○横路
委員 少年に対する扱いについては、子どもの権利条約を初め、ハバナ・ルールズとか北京ルールズとかリヤド・ガイドラインとか、自由を奪われた
少年の
保護に関する国連規則とか国連の最低基準規則とか国連のガイドラインとか、いろいろあるわけですね。
一つ、これがさらに規制されていたらよかったなと思うのは、今回の
法律というのは広島
少年院事件を教訓にしているわけでございますので、職員の勤務規範をしっかり
規定するということがあればよかったかなというように思っています。
それはどういうことかといいますと、お配りした
資料の最初、児童の権利に関する条約とハバナ・ルールズをちょっと引用してありますけれども、例えば、差別の禁止、体罰の禁止、品位を傷つけるような取り扱いの禁止、プライバシー名誉の
保護ということなど、権利条約とこういう国連の規則に基づいて、職員に対する服務規律のところにこれらのことが
規定されればなおよかったかなというように思います。
ただ、最善の利益の考慮とか意見の表明という子どもの権利条約の三条、十二条の
規定というのは、今回、
少年院法の十五条の二に
規定されまして、ここを入れたことは非常に評価できるところだというように思っております。
いずれにしても、今後とも、職員の勤務規範というのは、なかなか御苦労も多いので大変だと思いますけれども、しっかりこれらのハバナ・ルールズの趣旨に沿って仕事をされますように、心から期待をいたしたいというように思います。
それで、きょうは、最近の
少年犯罪の動向と具体的な
処遇、それからさらに、今の
少年院のあり方といったことについて少し議論をさせていただきたいというように思っています。
少年犯罪そのものは、警察の
資料でも、刑法犯の検挙人員というのは非常に減少しているんですね。ただ、問題なのは、
再犯者率が上がったり、年齢が低年齢化しているというような傾向は見られるわけでございます。不良行為
少年とか虞犯
少年、触法
少年、いずれも非常に減ってきています。
皆さんにお渡しした
資料の二ページを開いていただきたいんですが、これは
少年鑑別所の
データです。東京、八王子は別です、それから名古屋、大阪、京都、那覇と五つの
少年鑑別所の
平成二十五年の速報値でございます。
これを見ると、今の子供の犯罪の傾向と背景にあるものが見えてきていまして、
家族の生活程度が貧困というのは大阪、京都が高いですね。大体四分の一ぐらいが貧困
家庭。
それから、やはり親、
家庭環境ですね。実際の両親と一緒に住んでいるというのは、東京、名古屋が四〇%を超えていますが、大阪、京都、那覇は三分の一ですね。そして、誰と住んでいるのが多いかというと、母親と住んでいるというのが大阪で四二、京都で四六、那覇で四〇%という
状況になっています。
それから、
少年鑑別所を退所したときの年齢でございますけれども、これも十四、十五は大阪、京都が高いですね。
それから、中学の在学と、在学と卒業の合計というのを見てみますと、中学に在学中というのも大阪、京都が高いです。東京一八%に大阪三二、京都二六ですね。それから、中学を卒業したという者と在学と合わせた数字は、那覇が六八、名古屋が五二%ということです。
犯罪は、窃盗が多いということと、あとは道路交通法違反が京都、那覇で多い。それから、詐欺は東京が多いというような、やはり
地域差も非常に出てきています。
あと、その詳しい中身は、三、四、五に東京、大阪と那覇の
鑑別所の数字を入れてありますが、これを見てみますと、やはり四分の一、貧困
家庭が多い。それから、
家庭環境ですね。
家庭の監護力が非常に低下しているなと。母親と暮らしている人が多いわけですけれども、今の母親の収入というのは、多分年収二百万以下の人が圧倒的に多いんじゃないかというように思います。それから、やはり
非行少年の年齢が若いですね。大阪や京都を見ますと、十四歳から十五歳というところが一番、三八とか三三%もいるということでございまして、これは、例えば、最近の児童自立
支援施設への送致年齢を見ますと、十三歳以下がふえているんですね。それから、
保護処分をした
少年も十五歳以下がふえているんですね。年齢が非常に低年齢化しているというのが非常に大きな問題ではないかと思います。
あと、子供シェルター、カリヨン子どもセンター、今弁護士会が中心になって各地で子供のシェルターづくりを一生懸命やっております。ここが、最初二〇〇四年から始めて八年間ですから、入った人間百六十二人の分析をしたものを見まして、今の傾向がやはりこうなのかなと思いました。
それは、親と離れた経験というのは百六十二人のうち百二十人おりまして、七四%ぐらいで、しかも、それはいつ離れたか、乳幼児期に離れているのが三分の一ぐらいいるんですね。それから、小学生のときに離れているというのが非常にふえているということが
一つですね。それから、虐待と暴力を受けたという経験が八割ですね。しかも、それはいつから受けたかというと、乳幼児期や小学生のときから受けているということで、精神疾患が三人に一人ぐらいということです。
そして、シェルター以前に他の施設に入ったという人間がやはり半分ぐらいいまして、いろいろなものを見ていたら、例えば、乳児院に入って、児童養護施設に入って、
少年院に行って、また児童養護施設に戻って、
少年院に行って、ひとり暮らしをして、シェルターに来たとか、わずか二十年そこそこの中でこれだけ子供のときから経験している、やはりそこで犯罪を犯しちゃっているという人もいるわけですね。
こういう傾向というのはやはり最近の大きな特徴だと思うんですが、最初に、児童相談所。児童相談所の方も
非行問題を扱っていますので、どんな
状況なのか、最近の傾向について、児童相談所を通して見える姿というものをちょっとお答えいただければと思います。