○郡
委員 この
委員会でも、私を初めほかの
議員も
指摘をさせていただいているわけですけれども、そもそも不正行為を適切に認定することができていないのでありますから、不正行為がないことをもってその監理団体や受け入れ企業が優良であるというふうに
判断するのは難しいんじゃないか、できないんじゃないかということを申し上げているんです。
国策として外国人労働者の受け入れ政策の転換を試みた韓国の事例が、第五回の第六次出入国管理政策懇談会において吉村
委員から
紹介をされております。韓国はどのような国内事情から外国人の産業研修制度を導入して、その後
廃止に至ったのか、そして、現在の制度、雇用許可制度というんですけれども、これが生まれた背景は何であるのか。
韓国の
経緯はこうであります。
韓国でも、技能研修制度、これは国際貢献、
日本と同じような名目で導入をされました。
日本を模してということになるのかもしれませんけれども。実態は、保護なき低賃金、そして非熟練労働者の受け入れルートとして利用され、
日本の実習制度と同様に、極めて低い研修手当や、受け入れあっせん過程での不正、割高な手数料の徴収、外出の制限、パスポートの取り上げ、暴行などの権利侵害、人権無視の処遇、こういうふうなことがございまして、多くの研修生が失踪、逃亡し、劣悪な労働実態を発信しまして
社会問題となったわけです。
一九九八年に産業研修制度を
改正して研修就業制度を導入したけれども、研修制度と同様に不適正な事案は解消されませんで、この外国人労働者の政策を大転換することになります。国内の労働力が不足する
分野における合法的かつ透明な外国人受け入れ制度、雇用許可制度を整備したんです。
では、国内労働力が不足する
分野に外国人を合法的かつ透明性を持って受け入れる仕組みをつくるために、この制度にどのような工夫がとられたか。
まずは、仕組んだ仕組みその一で、制度の透明性を確保するために、政府間の覚書を締結して、政府及び公共部門による、送り出し、受け入れの過程を直接管理する、送り出しあっせん機関は公的機関に限定する、受け入れ機関である雇用安定センターは、労働部所管の、いわゆる
日本版のハローワークが担う、送り出し機関によるピンはね等の不正に対しては、受け入れ停止などのペナルティーを科す。これとともに、就労先の企業、雇用主を見直すなど、いわゆる移動の自由を保障いたしました。
そして二つ目ですけれども、国内労働市場における補完性を確保するために、就業可能な業種、また受け入れ人数等の制限を設定、クオータ制を導入したということです。そして、使用者には内国人の求人努力を求めて、建設業と製造業といった産業分類程度の職種カテゴリーごとに、韓国人の労働者を必要数雇用するんだということを目的に、市場テストをして確認しています。外国人には、一定の事業所変更による職場移動の制限を課す。
そして三つ目として、就業活動期間を設けてローテーションを原則としている、すなわち、一定期間就労させて、その後は必ず帰国させる。そして、その就業期間中の
家族の同伴、呼び寄せは禁止をされているというものでありました。
企業側の責任、労働者の権利を守るために、また韓国ではどのような施策が講じられたか。それは、差別禁止に基づく移住労働者の権利保障なんです。労働
関係法などを韓国人労働者と同等に適用して、各種保険への加入義務を課しました。また、変更期間三カ月以内、三回までの事業所の変更を可能としているということであります。
この雇用許可制度についても課題はあるんでしょうけれども、送り出し、受け入れ過程における不正や、ブローカーの介入、労働者の権利侵害という点は、数段、制度上改善をされました。
吉村
委員ですけれども、「「技能実習制度」というタイトルに合わない実態があるにもかかわらず、ではタイトルに合わせて適正化しましょうという
議論は、ちょっと九〇年代の
議論かなという感じがします。」というふうに述べられております。
この視点は、私は的を射ているというふうに思います。建前と実態が乖離をしているという
指摘は、再三なされているわけです。だからこそ、この制度に対するひずみが生じているわけでして、韓国は、実態に合うように、正面から労働者と向き合う決意をしたわけですよね。
私は、そこに
法務省が踏み込まないから、私が三月十九日の
質問でも
指摘しましたけれども、この技能実習制度を使って労働力不足を補おうというような
議論が
法務省のほかで沸き起こっているんだ、そういうふうに思います。実態に向き合って抜本的な
見直しを今こそ
法務省が思い切ってすべきじゃないでしょうか。韓国は、それができて、正面から労働者として外国人と向き合う決意をし、このような制度を新たにつくって、それなりに実績を上げてきている。
今、東京オリンピックの対応などが迫られて、
検討が迫られているわけですけれども、マスコミの関心も高まっている、
国民の関心も高まっている、このことを奇貨として、さらに大きな
議論を巻き起こして、外国人労働者問題に正面から取り組んで、抜本的な
見直しをすべきと思います。いかがでしょうか。