○中根(康)
委員 それはもう結構でございます。その前提で、その条件で出していただくということをお約束したということでございますので、お願いいたします。
次の
質問に移らせていただきますけれども、あえて、今からの
質問は、社会保険の問題を事業主の立場に立って取り上げていきたいということでございます。
例えば、これは
資料を添付させていただきましたが、四ページでありますけれども、こういうケースではどうかということでございます。
年間一億円の利益を上げているA社とB社があって、A社は十人の正社員を雇用している、B社は百人の正社員を雇用している。そして、ともに一億円の利益を上げているというふうにした場合に、法人税額は基本的には同額だと考えていい。他方、雇用者数ということでいうと、ここに示してあるように、B社はA社の十倍雇用している。すると、正社員、従業員、個々の事情を同一だと仮定した場合に、社会
保険料の負担は、B社はA社の十倍負担をするということになるわけであります。
B社の正社員は百人ということでありますので、
資料五ページをごらんいただいてもわかりますように、正社員が十倍いらっしゃるということは、賃金ということでいっても、正社員の方は非正規の
方々よりも相当賃金がいいということでありますので、従業員の方の生活にも貢献しているし、所得税収ということについても社会貢献がある。
それから、六ページ、七ページの
資料をごらんいただければわかりますけれども、正社員の方の結婚率というものは非正規の
方々に比べて極めて高い、交際
状況も顕著な差があるということでございます。
こういった
意味合いで、B社はA社に比べて社会貢献が極めて大きいということなのに社会
保険料は十倍負担が大きいというのは感情的に見て納得できないところがあるというのが、多くの事業主の
方々の御意見ということであります。
もう一度繰り返しになりますけれども、正社員ということを前提にしますと、A社とB社、正社員を十人、百人、それぞれ雇用しているということを前提としますと、正社員の方が非正規の
方々よりも所得が多い、結婚しやすい、子供が生まれる可能性が高いということであれば、税収にも少子化
対策にも貢献をしているということであります。
つまりは、正社員をふやすということが、この賃金とかあるいは結婚
状況ということから見ても極めて重要だということは、こんな回りくどいことを言わなくても、明らかなわけであります。
特に、雇用の大
部分を担う中小企業において正社員の拡大を図っていくということが当然国策としても重要なことであるということになってまいりますが、この場合に、これは話をもとに戻しますけれども、正社員雇用の障害になっているのが、特に中小企業においては、社会
保険料の事業主負担ということになるわけであります。
A社、B社のケースを見ても、利益が同じ場合、法人税は同じように払うのに、正社員が少ないと社会
保険料負担は十分の一。正社員が少ない方が社会
保険料負担が軽くなるということ。回りくどく言いましたけれども、これは当然わかっていただけると思います。
その場合に、A社、B社、特に中小企業の場合でいえば、社会
保険料負担の重い分だけ、もう一度これは回りくどく言いますけれども、社会
保険料負担の重い分だけ、正社員の雇用が抑制されたり、あるいは賃金が抑制されたりということが、もう既にこのA社、B社の場合にも、比較をすれば起こっているということになるのかもしれません。社会
保険料負担が重いということが、結果として、中小企業の非正規社員雇用をふやしている、正社員雇用を抑制しているということにつながっているのかもしれないということは、容易に推察ができるわけであります。このように見てくると、社会
保険料負担が軽ければ正社員雇用が拡大するという可能性が出てくるわけであります。
大臣、いろいろと回りくどいことを言いましたけれども、ここまでのところはわかっていただけると思います。
この格差を解消するためにも、非正社員に対する社会
保険料の適用拡大ということもなお一層重要になるわけでありますけれども、一方で、特に中小企業に対して、社会
保険料負担が正社員雇用の障害になっているということでいえば、社会
保険料負担の軽減を支援するということが政策的に必要になってくるのではないかということを私は提案させていただきたいということでございます。
雇用をふやすと一人当たり四十万円の税額控除という雇用
促進税制というものも導入されましたけれども、もともと中小企業は、これは
資料九に添付しておりますけれども、利益が出ているのは全体の三割
程度ということになります。つまりは、七割は赤字で法人税を払っていないわけでありますので、この雇用
促進税制というものは、特に中小企業において正社員をふやすのに余り効果的であるとは言えないということになるわけであります。
したがって、正社員をふやした中小企業に対して、何らかの形で社会
保険料の負担を軽減するという支援をぜひ厚労省としてあるいは政府全体として御検討いただきたいということでございます。
もう時間がないのでずっと申し上げますと、では財源はという話になると思いますので、財源は、今でも、
消費税収によって余裕が出た分を公共事業に回したりあるいは大企業の法人税減税に回したりということをなさっておられるわけであります。
したがって、大企業の法人税減税を一部やめたりして、今検討されているものを一部やめたりして、この中小企業の社会
保険料負担の軽減という方に回すということ、これは安倍総理の言うトリクルダウンということには反するかもしれませんけれども、私は、この中小企業支援というものがこれからの日本経済の活性化、成長の原動力になるということ、そして社会
保険料負担の軽減ということが正社員雇用の拡大につながるということであれば、そこから、結婚し、そして子供がふえるという好循環につながるわけでありますので、こういった中小企業に対する社会
保険料負担の軽減というものは検討に値するものだと考えておりますけれども、
大臣、いかがでしょうか。