○唐木美代子君 では、私の方からは、今まで出てきました、
地域包括ケアシステムの関連の中の
地域支援事業について主に説明させていただきたいと思います。お手元の
資料、「山梨県北杜市の取組」というものに簡単にまとめてありますので、これをもとに説明させていただきます。
まず、北杜市の状況はここに書いてあるとおりですので、先ほどから出ていますけれども、
高齢化率というところは二〇%どころかもう三二%を超えておりますので、超高齢化ではなくて超高齢
地域というふうに私たちは思っています。
その下に、年度別の被
保険者数及び受給者数が書いてあります。北杜市は
平成十六年に合併しておりますので、十六年以前のものは修正をかけて北杜市バージョンとして改めたものなんですが、ここで見ていただきたいのは、基本的に、
平成十八年に
地域包括
支援センターは仕事を開始しています。その時点から、受給者というか
介護認定率の方は、高齢化の方はどんどん進んでいるんですけれども、認定率は何とか抑えている状況になっています。
こういった状況の中で、具体的な北杜市の
取り組みについて説明させていただきます。
まず、
平成十八年の制度
改正がありましたときに、包括
支援センターというのを新しく立ち上げると決めたときに、北杜市としてはどういうふうにしようかというのをみんなと
検討していきました。
包括
支援センターの役割というところで、実は、国の説明会であるとか研修会とかいっぱいあったんですけれども、どうしてもいまだに腑に落ちないのが、あのとき、たしか規模の説明があったときに、社会福祉士さんと保健師さんと
介護支援専門員、三人で何千人ぐらいを見なさいよというのがあったときに、北杜市で計算しましたらば、うちは三人でよかったんです。そのときに、たしか私は手を挙げて何度も何度も説明をお願いしたんですけれども、包括
支援センターにこれだけのことをやっていこうと決めるときに、本当に三人でできるとお思いですかというのは何度も何度もしつこく言った記憶があります。
言っていても、基本的には北杜市でどうするかということですので、まず北杜市の方に戻りまして、自分たちが包括
支援センターをどういうふうにつくり上げていくかという話をしたときに、まず、うちは十二人
体制にしていただきました。十二人
体制にするときに当然一番ネックになったのが、おい、唐木、包括
支援センターは三人でいいんじゃないのか、北杜市は何で十二人必要なんだという話が何度も何度も私の方に来たんですけれども。
私、もともと、
介護保険制度というのは、本当に、
地域、自分たちの
市町村が自分たちで考えて、自分たちでどうしていくかということをしっかりとビジョンを持って取り組まないといけないものだというふうに自分の中ではずっと思ってきたので、北杜市としてはというところを出したいということで、一応、
体制整備を図る上で
予防を重視したい、これが十八年の時点です。
それから、
介護予防の
事業というのは、たしかあの当時ですと、健康増進の方へ
予防事業が行って、包括
支援センターは総合相談を受けてみたいな役割分担があったんですけれども、一体的にしたいということで、
介護予防の
事業についても、企画から立案、それから実施をすべて包括が行いたい、一体的にしたいということを訴えまして、
中心に
取り組みますよということで十二人
体制を確立していただいたという経過があります。
この中で一番大事だったのが、まず
高齢者を
状態像で分けましょうということで、ますます健康になっていただく方、もうちょっと
予防を頑張っていただく方、それから、これは水際とよく言うんですけれども、今の
状態を何とか維持していただく方、それともう
一つは、確かに
介護の
状態になってしまった、だけれども、この
介護の
状態を何とか維持する、要するに、
介護度二だった人が三にならないためにどういう
サービスを提供しなきゃいけないかというところを考えようということで、それぞれの
事業を企画しております。
事業につきましては、
関係者との連携を強化したりとか、
事業目的とか
効果等について情報共有する、ここが一番大事であったかなというふうに思う反面、本当に大変なところでした。健康増進課であるとか、社協さんであるとか、それから
介護保険事業所、一番大変だったのはもしかしたら庁舎内の調整だったかもしれません。
行政というのは縦割りですので、部も違えば課長も違うという中で、やはり庁舎の中で、
介護予防というのを一体的にやっていくんだ、だから、これをしないと北杜市はもしかしたらとんでもない状況になるかもしれないというのを訴えていくというのを、各部署を超えて共通認識を持っていただくのは、それは、済みませんけれども、最後に私がやめるときまで確実にはできていなかったかもしれないんですけれども、目標としてはそこを持っています。
地域支援事業につきましては、まず、この時点では余り出てきていなかったんですけれども、
地域支援事業そのものを
地域づくりというものに視点を合わせましょうということで、全ての
事業が
地域づくりに向くような目的で企画をしております。
ここに書いてありますように、住みなれた
地域で安心して過ごすために、
医療とか
介護とか、それから
介護保険外
サービスというのを
高齢者の日常の
生活の場に用意するきっかけとして、
日常生活支援総合事業というのを北杜市としては二十四年四月から開始したところです。
総合事業をしたからといってできるものではないというのはもう当然承知の中だったんですけれども、まず、
介護保険サービスを含めたこういう
サービスを包括的、継続的に提供するために、
地域の人たちと一緒に考えていかなきゃならない、他職種との連携をとらなきゃいけないというところで、私の頭の中では
地域ケア会議を活用するというのが出てきています。ですから、
地域ケア会議は早期のうちから開催する。
最初、手探りでしたので、なかなか
医療からの参加がないとか、今言う
地域ケア会議とちょっとイメージが違うんですけれども、
地域で起きた困り事であるとか、それから
介護支援専門員さんからの相談であるとか、困難事例であるとかというのを取り上げながら、
地域の中で開催をしていきました。
それから、
一つ大事なことなんですけれども、
介護保険は、もともと私の感覚では、措置という福祉の制度の中から幾つか引っ張ってきているものがあるので、措置であった福祉のときには、やってもらう、それから行政が来て何かをしてもらうというのが比較的後期
高齢者の中には根づいていました。
そうすると何が起きるかというと、例えば私たちが訪問すると、きょうは何をしに来てくれたのというのが先に出るという考え方を、やはり私たちを含めて少しずつ変えていかなきゃならないということで、いろいろな
会議であるとか、研修会であるとか、地区の説明会のときには、自助、互助、共助、公助とあってねというのを、これを出すと何だか
高齢者に冷たいようなんですけれども、私たちと一緒にこれを考えていきましょうねという視点で、機会ごとに説明をしてきました。
おかげさまで、私が思うのには、もしかしたら北杜市の
高齢者は我慢強いというところもあるのかもしれないんですけれども、八十五になっても九十になっても、自分の田畑をしっかり管理していかなきゃならないという意識が強いので、意外と自立という意識は強いかなというふうに思っていますし、自分で自分のことを何とかしたいという思いも強いというのは確かですので、機会ごとに説明しながら、だけれども、年をとるとこうなるよ、だから
予防もしていこうねという話をしてきた経過があります。
同時に、
地域づくりを目指して、できるだけ地区組織、要するに、北杜市が合併したときに、八つが合併しているんですけれども、合併したところに必ずあることなんですけれども、本当に八つが八つ違うんですね。住んでいる方も当然違うんですけれども、意識もそれぞれ違う。これを北杜市
一つとしてやっていくというのは結構難しいことで、でも、その八つがある特徴を生かしながら
地域づくりをしていきましょうねというのが包括
支援センターの目標だったかと思います。
次に、北杜市の日常
生活総合事業の
内容は、ここに書いてあるとおりなんですけれども、
事業形態としては、
NPOとか社協さんであるとか、地区組織、JAさん、
介護保険事業所も当然入っています。ここで、通所型のふれあい処北杜というのを立ち上げています。マネジメントの方は、北杜市
地域包括
支援センターです。
ここで
一つ、北杜市の
地域包括
支援センターの十八年、十九年がどうだったかというと、十八年の制度
改正があったときに、要
支援一、二が誕生しました。それまで要
支援の方というのは、
ヘルパーさんが毎日来たりとか、デイ
サービスに週三回行ったりというのがずっとあった
サービスだったんですけれども、要
支援一、二になったところで、
サービスとしては、例えば要
支援一の方だと、
ヘルパーさんが週一回来るかな、デイ
サービスに週一回行けるかな、そういうレベルに来たときに、うちは包括が直営で一カ所だったんですけれども、そこをしっかり説明して
高齢者と一緒に考えていかなければ、基本的に、制度が変わるときにいろいろな話が出るんですけれども、やはりそこにいる
高齢者なんですよね、一番大変な思いをするのは。
言ってはいけないんですけれども、二番目に大変な思いをするのは、その制度がたくさん与えられるように変わる制度だと構わないんですけれども、見た目、
サービスを何となく減らすようなものを説明するときには、そこに行って説明する人間というのは物すごいプレッシャーとエネルギーを必要とします。
ここで包括のみんなと、十八年の当初は、私はセンター長としていたんですけれども、地区に出て説明してくる包括
支援センターの職員のメンバーの顔を凝視できないぐらい、みんな疲れ切っていました。
というのは、何を言われたかというと、
現場の話ですから、私はきっと
現場の話が主になると思うので言わせていただくんですけれども、今度からね、
ヘルパーさん週一回で、デイ
サービスも週一回なんだけれどもという話をした途端に、こんな年寄りをいじめてから始まって、あんたたちは鬼だと。包括
支援センターは直営ですから、市の職員という
立場も背負って行きますので、北杜市は何てひどいところだと。それを全部受けとめながらも、何とか制度の
改正を説明してきた経過があります。
日常
生活総合事業の
内容について少し触れていたんですけれども、話がそれてしまいました。
サービス内容については、交流とか会話とか趣味とか、
事業所の特性を生かした活動をしてくださいということで、私がここで国にお願いしたのは、今まで国の方から、
事業がありますと、全て細かな、マニュアルじゃないんですけれども、こうしなければ、ああしなければというのがいっぱい書かれてくるんですけれども、私自身としては、余りそれをされてしまうと、北杜市としてはこういうところに委託をしたいんだと思っても、委託の
基準がクリアできないというふうなところがあったので、委託とか
事業をお願いする場所については自治体の方に任せてほしいというのを逆に私は言ったような気がします。
これが後の話にもつながるんですけれども、今のところはその説明をさせていただいて、ここの通所型のふれあい処北杜というのは、
地域の人が誰でも気軽に立ち寄れる場所、居場所づくりという形で立ち上げた経過があります。
当然、ここは、
NPOとか社協とかは地区組織の方ですので、ちょっと元気な
高齢者が来ると、一緒にお茶を入れてもらったりというのが当たり前なんですね。これが実は、きょうは
施設というか
事業所の方もいらっしゃるんですけれども、デイ
サービスセンターの方に委託しますと何が起きるかというと、まず、行ってお茶を入れてくださるんですね。
サービスの提供という部分になってしまうんですけれども、ここは大きな違いだったかなと。
だから、いろいろなところが入ってきたことによって、実は、ここの場所では、お茶はみんなで入れてもらっているんですよ、御飯はよそれる人がよそっているんですよ、みんなでほうとうもつくっていますよみたいな、話題提供ができたというのは、
事業所さんにとっても、とてもいい
内容だったのではないかなというふうに思っています。
もう
一つが
生活支援サービスで、配食と安否
確認を組み合わせまして、よくある配食ではなくて、配食業者がお弁当を配りながら、必ず手渡ししてくださいね、手渡しするだけでなくて、そこで見守りをしてください、何か起きたときには必ず包括の方へ連絡を下さいということで、
生活支援サービスをやっています。
そう言いながらも、実は、北杜市を見ていただくとわかるように、人口密度が非常に、本当に、隣のうちに行くのに十分かかるみたいなところなので、配食をする業者さんというのは
一定地区以外は絶対行かないんです。四百円のお弁当、五百円のお弁当を持っていくのに、三十分かかって二軒に届けてくる、これは
事業所としては絶対あり得ないですね。
事業としてもなし得ないだろうし、ましてや、民間でやるお弁当屋さんが行くはずがない。
では、どうするか。安否
確認のところにお金をつけさせていただきました。それをすることによって、できるだけ配食を、本当に山奥にまで行っていただく方法をとりたいというふうに私は思ったんです。
何が起きるかというと、うちの
事業で一カ所配食が決まりますと、その周りに
高齢者がいて配食
サービスが必要だと思う方に対しては、この
事業を使わなくても、お弁当屋さんは、御自分のところのお店としてやっていらっしゃるので、二軒目、三軒目がすぐ隣にできれば配ってくれるんですね。要するに、配食をしてくれる。
だから、配食というのを本当に北杜市全体に広げたいという思いもあったんですけれども、これは
地域の特性で、町場だったらば、例えば五分の間に二十食配れるかもしれないんですけれども、北杜市の場合には三十分かけて一食。ここに配食というのは業者としてはなかなか入らないということがあったので、それも狙いとして入れておきました。
こうした
事業をしまして、裏の方に結果と
課題が簡単に書いてあります。
本当に私たちは勉強になりました。地区組織とかボランティアとか
NPOの方は、本当に御自分の
地域に必要な
サービスを御存じでした。逆に、私たちが教えてもらいました。提供方法というのが、さっき言った、
基準をうんと厳しくするとその提供方法はなかなかとれないんですけれども、そこに
市町村みずからの
基準であったらば提供できるとしたら、本当に提供方法は
地域の実情に適していました。
これは、地区組織なんかは特にそうなんですけれども、私たちの住んでいる
地域のためにという強い思いで
事業というか活動をしていますので、基本的にその思いがあるというのは、
事業としては非常に強いものがあったと思っています。
それから、
事業自体がそうなんですけれども、そこの
NPOとか地区組織に集まってきて
事業をやってくださっている
方々が、仲間意識が非常に強くて、自分たちも楽しんで参加されている。だから、この中には、当然、当たり前に六十五、七十という人も、北杜市の場合、七十歳は
高齢者と言わないんですね、おわけえしと言うんです、地区によっては。本当に、
高齢者というのは、八十五から九十、九十以上の方を
高齢者というふうに呼ぶんですけれども、お年寄りのためにといって、七十歳、七十五歳の方が一緒にこの
事業に参加していただいているという実績もあったかと思います。
ただ、こういった
NPO、地区組織が
一つの
事業としてやるときには、決まり事
程度で活動していますので、本当に、逆の意味では怖いところもあります。ただ、決まり事
程度でやっていますので、
利用者さんの状況とか、本当に柔軟な対応というのは可能ですので、
介護保険の中でいろいろな規則にがんじがらめになったものではなく、本当に柔軟な対応をしてくださっているというふうに評価をしています。
ただ、これもやはりマイナス面なんですけれども、意外と、地区組織の方とか仲間でやっている方というのは、そこにいるリーダーシップをとる
中心人物の方が元気で活動してくださっているうちは、強いつながりでいい活動をしていただくんですけれども、
事業所と違うところは、この方が抜けたときには活動
体制とか継続性が非常に不安定になります。
私たちが絶対
現場でやってはいけないこと、
高齢者に説明して、では、この
事業に行きましょうねと言ったときに、こちらの都合で、ここの
事業所、ここの寄り合いどころはなくなりましたということをやってはいけないんですね。せっかく
高齢者、皆さん、まだお若い方が多いからなんですけれども、
高齢者は本当に、一回使い出すと、その使い出したものになれるまでも時間がかかるんですけれども、なれたときに、また次の
展開をするときに物すごく大変だということをわかっていてほしいと思います。
ですから、自治体がこういう
事業をするときは、必ず継続性、それから活動
体制というもののバックアップが必要かなというふうに思いますし、ここでは専門性というところに関しては非常に低い、プラスでもありマイナスでもある面かなというふうに思っています。
幾つか
課題も見えています。
これは包括
支援センター側の
課題になるかと思うんですけれども、まず包括
支援センターとして、自分たちが
地域の状況を把握されているかということですね。
地域の状況がわからなければ、
事業の立ち上げはできないかと思います。
地域にある組織等の
資源の把握、
NPOがどこにあって、地区組織がどんな活動をしてというのは、包括
支援センターの日々の活動の中から把握できるものがたくさんあるんですけれども、十二人
体制でしていても、本当に一部しか把握していなかった。ニーズ調査というのが出てきたんですけれども、ニーズ調査だけではなくて、やはり包括
支援センターの日々の活動があっての把握かなというふうに思っています。
あと、地区組織等を含めた
介護保険事業所の連絡会は幾つもあるんですけれども、こういった地区組織を含めた
関係者との
関係づくりがどのくらいできるか。それから、
関係づくりができたところも含めてなんですけれども、
地域の
課題とか状況を共有する場というのがなければ、地区組織も、
NPOさんも、社協さんも含めてなんですけれども、一緒に活動していくというのは不可能かなというふうに思います。
一番大事なところです。
事業の目的、目標、それから
方針、これは自治体にも言えることなんですけれども、自分たちの
方針とかビジョンがしっかりあって、それが皆さんで共有できるようなレベルのものかどうかというのはしっかりと押さえていないと、協働なんというのは、ここでしっかり明確化していなければ協働は図れないかと思っています。
あとは、さっき言いました、活動
体制の継続性というものの
確保は
課題です。
それから、
地域支援事業というのは
給付抑制のための手段ではありません。あくまでも
事業を通じて
地域づくりをしていくものであるというふうに私は捉えていますので、中長期的なきちんとした目標があって、それに向かってやっていかなければ、
地域づくりが一年や二年でできるものではないというふうに思っています。
今回の
予防給付の方の移行に関しましても、これは私個人の
意見なんですけれども、要
支援一の方に関しては、比較的こういった
事業への参加というのは促しやすいんですけれども、要
支援二の方の
状態像というのは、要
介護一の方とほぼ同じだけの
介護時間を要しています。
でも、確かに、二の方の中でも
地域支援事業の方がいいという方もいるんですね。だけれども、一般的な話をさせていただくと、要
支援二の方が
地域支援事業の方へという振り込みというのは、実は今、北杜市でも非常に苦しくなっています。
要
支援一と二、要
介護の認定に関しましては、認定の仕方の問題もあるかと思いますし、それから、うちは認定率が低いんですけれども、何で低いかというと、やはり訪問調査であるとか、周りの状況であるとかということのきちんとした認定ができなければいけないということ、それから、認定
審査会における制度の問題があるかなというふうに思いますけれども、そこを一律にするというのは非常に難しい、困難な話かなというふうに思っています。
もう時間が来ましたので、あとのものについては、また御質問がありましたらばお答えしたいと思います。ありがとうございました。
以上です。(拍手)