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中嶋参考人 板橋区立
企業活性化センターの
中嶋と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、
資料をお
手元にお配りしたと思いますが、そのレジュメに沿って御説明をさせていただきたいと思います。
私
ども企業活性化センターは、
中小企業をお助けする
立場、
支援する
立場から、きょうはいろいろな御
意見を申し上げたいなというふうに考えております。
まず、最後のところに雑誌のコピーと新聞記事がございます。実は、その雑誌の記事にちょうど昨年の今ごろ出まして、それでなぜか
全国的に有名になってきたという板橋モデルという形で、
中小企業をしっかりと支える板橋モデルが今回注目されているわけです。きょうはその辺の説明をさせていただきたいなと思います。また後ほどじっくり見ていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、レジュメに戻りまして、二ページから御説明させていただきます。
まず最初に、
中小企業を救う板橋モデルというところでございますが、私
ども板橋区では、二〇〇九年から、経営に困って悩んでいる
経営者をより具体的に
支援していくために、
中小企業の再生を目的とした経営
改善チームを
立ち上げております。今までの
行政機関でやっていないこと、できなかったことにチャレンジしているところでございます。ここが
一つ、きょうの一番のポイントでございます。
今、二百五十社以上御
相談に来ている、困っている
経営者の
悩みというものを抜粋しました。
経営不振に陥っている
経営者が
相談する場所がないということが一番大きいです。孤独でございます。社員にも話せない、家族にも話せない、そういった
経営者がたくさんいらっしゃいます。
続きまして、
自治体にも
相談窓口があるんですが門前払いされる、これはちょっと言い方、表現は
余りよくないんですが、難しい
案件を
相談に行っても断られます。特に、
資金繰りが悪化していたり、
資金調達が困難な場合は、そこまでで帰っていただくというパターンが非常に多うございます。
続きまして、
金融機関に本音で話せない、これは、
経営者の誤解もあるんですが、やはり債権者と債務者の関係というのが実は深くありまして、実態を話すと取引を切られるのではないかとおそれをお持ちの
経営者が多うございます。
一番問題なのは、
経営者自身が財務知識に疎く、
金融機関に行くのが怖い、経験が乏しい、そういう
経営者が非常に多うございます。ただし、光るものは必ずございます。過去の成功体験もございます。
特に
中小企業、
小規模事業者の問題ですが、人員の関係や、能力的な問題で、
企業単独ではいろいろな
計画がつくれないという
会社がほとんどでございます。
また一方で、経営
努力が足りない
中小企業、いい
会社の場合には本当に経営
努力をしているんですが、実際にはどうしてよいかわからないという現実もございます。
ほとんどの
経営者が、仕事が忙しいとか、リストラをやったりいろいろなことの痛みを伴うのは嫌だという意識が非常に多くて、問題を先送りしている現実もございます。私
ども経営
改善チームは、この
問題点を指摘しまして、道筋を明らかにしてあげようと、
経営者の覚悟づくり、よき
相談相手になることを目標にして
活動しております。
次のページに行きます。
板橋区の宣伝になりますが、我々
活性化センターは板橋区の産業
経済部の所管でございまして、
中小企業の
皆様の経営
相談システムというのは非常にうまくできております。これは、うちの区長の
全国ナンバーワンを目指すという宣言のもとでやっております。
左下の矢印の上のところなんですが、うちの区役所に経営
相談窓口というのがございます。ここには診断士が常駐しておりまして、いろいろな経営
相談、融資
相談をやっております。右側に行きまして、区役所の同じフロアに産業
振興公社というのがございます。ここは、プラットホームの代表機関をやったり、いろいろな
事業もやっている。
今まではそこまででございました。どこの
自治体に行ってもここまでは多分あると思うんですけれ
ども、先ほど申し上げました、本当に経営不振に陥った
企業さんが
相談する場所がなかった。今までお帰しをしていたんですが、それが、一番左下に私
どもの
企業活性化センターというのがございます、ここに来るのが経営不振に陥っている
企業さん、全部私
どもに来ます。
続きまして、次のページに行きまして、経営
改善チームの
紹介という形で簡単に御説明させていただきます。
二〇〇九年四月というのはリーマン・ショックのときでございまして、百年に一度の
経済危機と言われて、私
どもが緊急
経済対策の一環として始めた
事業でございます。
中小零細企業の
悩みに応える経営
改善チームという形の中で、一番から十一番まで、何でも
相談を受けています。特に三番、
計画がつくれない、四番、
相談する場所がない、あっても門前払いという先ほど申し上げたところについて、
重点的に私
どもは御
支援しています。
経営
改善チームの特徴でございますが、どんなに悪い
状況の
企業でも御
支援します。今月の手形が落ちない、そういった
企業さんでも積極的に御
支援しています。ただし、
経営者の合意と覚悟が条件になりまして、後で説明しますが、弁護士先生も五、六人いますし、最悪、だめな場合もございますので、ソフトランディングできるような御
支援をしております。
それから、土日、祭日、夜間の
相談にも対応しています。予約制でございます。
金融機関へも一緒に行きます、同行いたします。
資金繰り表、経営
改善計画など
計画書も一緒につくります。ネットワーク登録専門員の
相談を全て無料でやっております。完成するまでのモニタリング
体制ができております。
それから、これが大きいんですが、区内の全
金融機関との連絡網が構築されていまして、板橋区では三十二支店ございますが、全ての銀行を回りまして、支店長それから融資担当者との連絡網ができております。関東財務局、
経済産業局、最近では
中小企業庁さん、金融庁さんも協力いただきまして、定期的な勉強会を開催しています。現在、二百十社の経営
改善策を
支援しております。
次のページに行きまして、経営
改善チームの実績というところでございます。
これはことしの三月現在のデータでございますが、今、板橋区内で二百十社、その他区外から三十社が来ております。先ほどお見せしました雑誌に出ておりましたので、見たお客様が、区外のお客様もたくさんいらっしゃるというものですから、できるだけ断らないでやっております。
あとは、回数と実績でございまして、分類のところでございますが、正常先から清算と書いてございますが、これは
金融機関の言っているいわゆる分類ではなくて、
活性化センターに来ているお客様の分析をした結果です。正常先が六十六社で、厳しい
状況が七十一社、私
どもはリスケの予備軍と申し上げて、リスケという言い方はまた後で御説明いたしますが、まだリスケしていないんですけれ
ども資金調達が困難な
企業が七十一社ございます。それから、リスケ中、実際にリスケしている
企業が五十社、代位弁済が二社、残念ながら清算した
会社が二十社という形になってございます。
次に行きまして、経営
改善計画の進め方という形です。
これは、全ての
案件がケース・バイ・ケースということで進めておりまして、どんなに悪い
状況の
企業でも断らないでやる、何とかなります、手おくれはないという精神でやっております。よく、もっと早く来ればいいのにという言い方をするんですが、全く私
どもはそういうことはありません。今だからこそ、できることがたくさんございますので、やっております。それから、公的機関の
事業再生
支援というのは公平性と公明性が大切、当然でございます。それから、
金融機関では限界がある事柄も
支援可能になる、債権者と債務者の
立場を超える。例えば、もちろん役員報酬は削りましょうとか、大変申しわけないけれ
どもリストラをやりましょうとか、資材を売却しましょうとか、そういったことも積極的に、
会社を残すためにはやっておる
現状でございます。
やり方としましては、こういった感じで大体二、三回ヒアリングをやりまして、
問題点を把握して、
資金繰りを確認して、優先順位を決めていくという形です。特にここでは、
経営者の
皆さんに全て正直にお答えいただくようにしています。最初はやはりうそをついている
経営者の方が多いんですけれ
ども、二回、三回やっていくと本音が出てくる。そうすると、気が楽になってきて
信頼関係が構築できる、そういうやり方で進めております。
実は、ヒアリングからデューデリ、
金融機関に同行する、こういった
人材が今非常に不足していると思われます。
全国的に育てていく必要があろうかと思って、今、私
ども板橋区でも今度養成学校をつくってやるような形で考えていますので、こういうやり方を、
全国の
支援機関でもぜひ板橋モデルを取り入れてほしいなというふうに思っております。
困っている
企業を助ける任務というのは、その気になれば簡単なことなんです。私自身も別に資格を持っているわけではございません。ただ、何件かやっていくうちになれていきまして、だんだんスキルが身についていくということで、ここまでやるのは無理だとか、責任がとれない心配、そういった形で避けているのが
現状ではないかと思いますので、この辺をできるだけ変えていくような姿勢が望ましいというふうに考えております。
次のページは、ちょっと時間が
余りないので、リスケについてはもう
先生方が御存じのとおり、今
円滑化法が切れた中で、今まで一年間継続してずっと頑張ってきている
中小企業が非常に多いんですが、これからはやはりある程度いろいろな、
廃業がふえたり、そういう形が出てくるだろうと思われます。そこでは、リスケをやっている
企業をどうやって助けるかというところも大切な問題ではないかなというふうに考えてございます。
最後に行きまして、本日のテーマというところです。
全国を見まして、先ほ
どもお話がありましたけれ
ども、経営不振の
企業がたくさんございます。今後ますます増加するというのは、やはり信用保証協会も今なかなか厳しくなってきている
状況でございまして、そこでは、新たな
資金調達が難しくなるということ、またリスケ
企業がふえてくるというような形も考えられます。この辺の対策が一番必要だ。
二番目に、
創業の
促進について、
重点施策で、私も大切だと思っていますが、失敗者が多いのも物すごい現実です。私
どもも千五百人ぐらいの
創業者の
支援をやりましたけれ
ども、かなり失敗する危険があります。ですから、安易な
創業を勧めない、できるだけ準備期間をしっかりとって、自己
資金もためた上でやりなさいというふうに指導しています。それと、なおかつ継続的な
支援が非常に大切で、
活性化センターでも、九年以上、
創業者を
支援している
体制になっております。
また、
創業も大切ですが、
廃業させないような
支援策も重要だというふうに考えていまして、長年培ってきた実績と、社員を含めた貴重な経営資源を守ろうとしている
経営者の
皆さんをやはり支えていかなきゃいけないんだという形で板橋は頑張っております。
最後になりますが、よろず
支援拠点に
期待しております。実は、私
どももよろずの
全国本部に今度入ることになりまして、
全国に板橋モデルあるいは富士市の小出さんのモデル、これらを進めていくという形の中で、新しい
支援策をどんどん取り入れていくような形でお役に立ちたいなというふうに考えてございます。
特に、下の5でございます。ABL、MアンドA、第二
会社方式とか転
廃業、これは避けられません。ここら辺をやはり新しい
施策ということで研究して、実際に
廃業するのを避けられないお客さんのために、ソフトランディングできるようなやり方でこれから役に立っていきたいなというふうに考えております。
時間になりましたので、これで私の説明を終わります。ありがとうございました。(拍手)