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馬淵委員 民主党の
馬淵でございます。
質疑の機会をいただきました。昨年九月の二十七、三十日と、当経産
委員会での閉中審査、
福島第一
原発の
汚染水問題に関してでございました。その両日で
質疑をさせていただいて以来ということでございます。
この
汚染水問題は、当時、深刻化してきた理由の
一つに、いわゆる
東電、この
事業会社が直面する課題、
事故処理があります。一方で、
事業会社として
事業を継続させていかなければならない。この
事故処理やあるいは
廃炉に向けての投資というのはいわゆる利益をもたらさない投資、こうした中で、
事業継続と
事故処理のジレンマに陥っているのではないか、これが、私が昨年の閉中審査でも提示したテーマでありました。
この
指摘のテーマに関しては、その後も
予算委員会等々で我が党の仲間、同僚議員も
質疑を繰り返しさせていただいたわけでありますが、今回、原賠
支援機構法の改正案ということで、この
法案審議に当たって、費用の負担を恐れる
東電が、いわゆるリスクの過小
評価に陥らない、あるいは多重防御というものを行わないことによって
対策が場当たりあるいは後追い的にならないように、しっかりとこの
法律によって前に進めさせていかなければならない、このように
考えているところであります。
そして、第一
原発の問題は、再三私も、昨年、常任
委員会としてここで
質疑をさせていただきました。遮水壁の設置などの議論もございましたが、いわゆるエンジニアリングの問題だけではないということであります。ガバナンス、特にマネジメントの課題、これが非常に大きいというふうに思っております。
こうした問題意識をもとに、私どもは党内での議論も行っておりました。
汚染水問題のみならず、
廃炉に向けてということで、特に
廃炉の仕組みに関しましては、
東電から切り離すことによって、
事故処理と
事業継続のジレンマから解き放つことができるのではないかといったことから、党内において、私どもでは
福島第一
原発の
対策本部、こういうものを設置し、私の私案を提出して議論を行ってきたところであります。
そして、昨年十一月十九日には、民主党として、
廃炉機構に関する設置の提言を取りまとめました。また、取りまとめに基づいて、衆議院の法制局に協力をいただきまして、議員立法に向けた
作業も進めてきたところであります。
委員長のお許しをいただいてお配りした資料、これは私どもの案についてのポンチ絵でございます。資料1は、
廃炉機構設置ということで、第一
原発の
廃炉、
事故処理については、このような公法人、新組織をつくり、そこで
廃炉、
事故処理を行う。
東電においては、
賠償をしっかりと行っていただきながら、人材、あるいはまたその他の
事業者からも人材、技術、これらを拠出していただくというこの仕組み。第二段階では通常
廃炉ということも含めて、この案をつくって提示をしてきたところでありました。
一方、
政府におかれましても、当初は分社化という議論が
中心をなしていたと
思いますが、その後は、昨年末から検討を本格化され、
原子力損害賠償支援機構を、
廃炉業務を含む組織への改組という形で本
法案の形に進めてこられた、この改正案の提出に至った、このように
理解をしております。
当時から、
政府の検討
状況というものを見つつ、我々といたしましても、
福島第一
原発の
廃炉問題は、
大臣も常々おっしゃっておられます、与野党を超えて取り組むべき課題である、そのように
考え、いわゆる対決型ということよりも、むしろしっかりと
政府案をブラッシュアップさせていただく、あるいは
政府案に対して我々がしっかりと本来必要な課題というものを提示していかなければならない、こうした
思いで、この皆さん方の取り組みに対しても、さまざまな形で検討段階から我々の
考え方というものもお伝えをさせていただいてきたところであります。
そして、ことしの二月二十四日には、
茂木経産
大臣にも申し入れを行わせていただきました。さらに、閣議決定前の二月二十六日には、官邸において、菅官房長官にも申し入れという形で文書の提出をさせていただきました。
お手元の資料の2から3、4が、民主党として大畠幹事長が菅官房長官へということでお渡しをしたものでありますが、原賠法の一部改正
法律案に関する申し入れということで、四項目を提示したものであります。
この四項目の申し入れに対して、
法案の条文について中身を見ますと、我々の主張あるいは問題意識というものをそんたくし、あるいは既にそのことに対して
思いを持っていただいているということが十分感じられる
法案にはなっているなと感じておりますが、今後に関しては、当然この条文の
確認もあわせて、運用等は極めて重要です。まさに新たな組織に改組するということであれば、その組織
体制に魂を入れる
作業を、役所の皆さん、
大臣がリーダーとして率先してやっていただかなければならない。
その観点から、本日のこの
質疑の中では、私どもの申し入れがどのような形で反映されているのか、あるいはどのような運用を行っていかれるかということにつきまして、少し細かい点も含めて
確認をさせていただきたいというふうに
思います。
この資料2にあります申し入れの中で、一番として、「
廃炉業務についての
大臣による
措置命令、
機構による
廃炉の専門技術的助言・指導・勧告の実効性担保」という観点から、情報提供義務あるいは調査権限ということにつきまして御提示をさせていただいたところであります。これについてお尋ねをしたいと
思います。
私も、再三この
委員会でも申し上げていますが、三年前のあの
原発事故発生以来、三月二十六日より
総理補佐官として
事故対応に当たっておりました。最大の課題、もちろん目の前に迫りくる事態の推移あるいは変化というものもありますが、やはり重要なことは、必要かつ正確な情報が常に
対策の側に入ってくる、あるいは適時迅速に入ってくるということが極めて重要でありました。私が所管をしていたのは、当時、放射性物質の封じ込めということで、いわゆる
政府・
東電統合本部の中にあります遮蔽プロジェクトのリーダーでございました、後に中長期
対策チームという形に変わっていくんですが。しかし、
実態としては、適宜正確に迅速に情報が入ってきたかというと、実はそうではない
状況がございました。
一例を挙げれば、これも繰り返し申し上げていることでありますが、地下水への放射性物質の汚染拡大に関しては、当初、
東電はその可能性を否定しておりました。しかしながら、私どものチームで過去の
原発における不適合事象の洗い直しを行って、その結果、不適合事象と呼ばれる
事故、
トラブルの記録をつまびらかにしてまいりました。建屋に地下水が入り込んで、そして過去、繰り返し止水工事を行っている、こうした事実が明らかになり、そのデータを
東電に突きつけることによって、ようやく地下水が流れ込んでいる可能性があるということを認め、浸透流解析という新たな施策の
実施に入っていくわけです。
こうした地下水の流れについてのシミュレーションを行った後に、結果、建屋が地下水で洗い流されているような
状況が明らかになり、汚染
対策が始まった、これも
委員会の中で明らかにしてきたところであります。
こうした教訓を振り返りますと、幾ら司令塔がしっかりしていても、そこに情報が入ってこなければどうしようもない、あるいはそれがおくれて入ってきてはどうしようもないということであります。したがって、司令塔として戦略的な判断をなしていくためには、情報の収集がきちっと上がってくるように義務化をさせる必要があるのではないか。
この我々の
考え方の中でも、本
法案の準備段階におきまして、申し入れの中で言ってきたことは、
主務大臣、
大臣におかれて
措置命令がなされます、また
機構においては助言、指導、勧告の
実施が行われます、この実効性を担保するためには
東電から国、
機構への情報提供の義務化並びに国、
機構が
東電に対して、
事業者に対して調査の権限を持つ、これを
法案に盛り込むことが必要ではないかということをこの申し入れの中に記したところであります。
そこで、ここは
事務方にお尋ねをします。
今回の法改正で、
事故を起こした
事業者、すなわち
東電でありますが、この
廃炉に対するグリップというのは、
政府から
事業者に対して、また
機構から
事業者に対して、この二つのルートがあります。この
政府から
事業者に対しての情報提供の義務ということに関しては調査権限も含めて本
法案で
措置されたかということにつきまして、これらを拝見させていただきますと、四十五条二項一号、四十一条三項一号、二号、四十七条一項等にその趣旨の条文が見受けられますが、
確認のために、簡潔にお答えいただきますようお願いいたします。