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倉林明子君 私は、
日本共産党を代表して、
産業競争力強化法案に対し、
反対討論を行います。
討論に先立ち、
与党の乱暴極まりない
議会運営に対し、厳しく抗議するものです。
基本的人権と表現の自由を侵害する希代の悪法、
秘密保護法案に
反対し、廃案を求める声は、審議が進むにつれて広がり、強まっております。
与党は、何が何でも今
国会で成立させると強権的な
委員会運営に終始し、本
会議の
開催時刻まで遅らせるということを行いました。こんな横暴な
運営は絶対に許されるものではありません。
産業競争力強化法案は、
日本再興戦略を具体化し、世界で一番
企業が活躍しやすい国に
日本を変えるとして、
日本経済の三つのゆがみ、
過剰規制、過小投資、過当競争を根本から是正するための中核となるものだとしています。この二十年間に及ぶ
規制改革により、大
企業に巨額の内部留保をため込ませる一方、
国民には貧困と格差を広げ、雇用の質の悪化や地域経済の疲弊をもたらしてきました。
日本再興戦略では、行き過ぎた雇用維持から失業なき労働移動に転換するとし、本法案でも、雇用も
特例制度の例外ではないとされております。これまでの
事業再編でも、結果として雇用を確保してきたと強弁されましたが、実態はどうだったでしょうか。
産業活力
再生特別
措置法の下で、電機産業を始めとした大手
企業の工場
閉鎖や事業縮小が
事業再編として進められてきました。加えて、
政府が大
企業の海外進出を
支援してきた結果、雇用が奪われ、国内産業が空洞化し、都市部と地方の格差が一層広がっています。
産活法と併せて労働者派遣法の改正が行われました。その後、製造業の派遣が原則自由化された下で、非正規の労働者が増え、今では一千九百万人と過去最高となり、全労働者に占める割合は三六%にも上っております。今でさえ雇用は維持されておりません。製造業の現場では、非正規の労働者を雇用の調整弁として使い、最後は物のように切り捨ててきたことが
日本の物づくりの底力まで奪ってしまっているのではないでしょうか。
大
企業の競争力を
強化するとして提案されている本法案は、
国民の利益と一致しないばかりか、
国民の雇用も安全も犠牲にし、
日本経済の
再生や
国民生活の向上と逆行することは明らかです。
以下、
反対の理由を述べます。
第一の理由は、大
企業のリストラを
支援してきた
産活法を継承するものだからです。
産活法は、大
企業のリストラ、人減らしに対し
政府がお墨付きを与え、税金を使って
支援する役割を果たしてきました。電機産業の大リストラは、昨年夏、十三万人規模と言われていたものに、更に新たなリストラ計画が加わり、その規模は十八万人と拡大しています。
政府が九五%を出資している産業革新機構がその
推進役を果たしているのですから、もってのほかです。
第二に、新たに
企業実証特例制度や
グレーゾーン解消制度を導入し、
規制緩和の突破口を開き、全国に広げる仕組みとなっていることです。
特例の
対象は全ての分野が
対象となるもので、その代替
措置が十分かどうか、事業官庁と
規制官庁の協議、調整の最終判断は
内閣総理大臣に委ねられることとなります。
安倍総理は、十月に、
規制改革こそ成長力を起爆させる突破口と発言し、もはや岩盤のように固まった
規制を打ち破るには強力なドリルと強い刃が必要であり、自分がそのドリルの刃になると述べておられます。
規制緩和を進める権限を総理が握れば、その
推進者となることは明らかです。
医療や労働、環境など様々な
規制は、そもそも
国民の生命や安全を守るためにつくられてきた大切な
規制です。
国民も
国会も関与できない仕組みをつくり、
企業ビジネスに障害となるものは岩盤
規制として打ち破る
対象とするなど、到底容認できません。
第三に、本法案とセットで用意されている法人税等の軽減
措置が、大
企業の内部留保を増やすだけで、下請や取引先の
中小企業の収益向上や労働者の賃上げに結び付くものではないからです。
なお、国立大学法人がベンチャーファンドに出資や援助ができるという新たな
規定が盛り込まれております。損失が出た場合、学生の授業料の値上げや大学の
運営に支障を来す危険があり、
実施すべきではありません。
今、
日本が目指すべきは、多国籍
企業のために世界で最も
企業が活躍しやすい国をつくることではありません。大
企業の内部留保を労働者の賃上げに回して内需を拡大すること、事業所の九九・七%、雇用の七割を支えるだけでなく、
日本の物づくりの主役である全ての
中小企業・小規模
事業者を
支援することが
日本経済の真の
再生につながるものであると指摘し、
反対討論といたします。(
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