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2013-11-14 第185回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年十一月十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野村 哲郎君     理 事                 猪口 邦子君                 山田 俊男君                 小川 勝也君                 紙  智子君     委 員                 金子原二郎君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 山田 修路君                 郡司  彰君                 徳永 エリ君                 羽田雄一郎君                 柳田  稔君                 平木 大作君                 横山 信一君                 山田 太郎君                 儀間 光男君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        農林水産大臣  吉川 貴盛君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       横山 信一君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        法務大臣官房訟        務総括審議官   都築 政則君        農林水産省食料        産業局長     山下 正行君        農林水産省農村        振興局長     實重 重実君        林野庁長官    沼田 正俊君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       木村 陽一君        国土交通省都市        局長       石井喜三郎君        国土交通省水管        理・国土保全局        次長       加藤 久喜君        環境大臣官房審        議官       平岡 英治君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    梶原 成元君        環境省水・大気        環境局長     小林 正明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林漁業の健全な発展調和のとれた再生可能  エネルギー電気発電促進に関する法律案(  内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林漁業の健全な発展調和のとれた再生可能エネルギー電気発電促進に関する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務大臣官房訟務総括審議官都築政則君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 農林漁業の健全な発展調和のとれた再生可能エネルギー電気発電促進に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 山田俊男

    山田俊男君 どうも皆さん、おはようございます。  本日は、先般、大臣から提案のありました再生可能エネルギー法案につきまして、私の方からまず質疑をさせていただきます。  この法案、ややもすると、太陽光発電中心にして、それに伴います必要な農地転用ということが中心になるような法律になるんじゃないかということを大変懸念するところでありますが、その点、旧法案、これは前国会に出されておりました部分、それを新たに見直しまして、それで優良農地確保発電利益地域への還元ということをしっかり盛り込んだ法案に私はなっているというふうに思うところであります。  ところで、この事業者側からの太陽光発電施設確保という観点と、一方での優良農地確保それから地域活性化、この二つ観点をどう調整するということでこの法案の中に盛り込まれているのか、工夫されているのか、この点お聞きしたいと思います。
  6. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、山田委員からもお話がありましたように、この法案は、農業上の再生利用が困難な荒廃農地等再生可能エネルギー発電設備整備を誘導するなど適正な土地利用調整を行うことによって、優良農地確保しながら地域において再生可能エネルギー発電促進することで農山漁村活性化を図っていこうと、こういうことでございます。  具体的に少し申し上げますと、市町村基本計画で定める発電設備整備区域、これは農業上の再生利用が見込まれない荒廃農地等を優先的に活用する、そういうことによって優良地農地確保に支障がないように設定をすると。それから、設備整備計画市町村による認定市町村がこの計画認定するわけですが、これに際しては、農地法に基づく農地転用許可基準に反した転用が行われないようにするために、農地転用許可権者である農林水産大臣都道府県知事の同意を得なければならない、こういう仕組みを設けておるところでございます。また、さらに、本法案の枠組みに基づいて再生可能エネルギー発電を行う場合、再生可能エネルギー発電設備整備と併せて農林漁業の健全な発展に資する取組、これを行うことが必要であり、売電収入の一部がこの取組のために使われて地域還元されることになるわけでございます。  こういう中身になっておりますので、これの適切な運用を通じまして、今、山田委員がおっしゃいました優良農地確保とそれから発電利益地域還元、これを図ってまいりたいと思っております。
  7. 山田俊男

    山田俊男君 そうしますと、太陽光等施設整備と、それともう一つ市町村農林漁業活性化に取り組むための施設整備と、この計画二つ出すということであって、発電施設計画だけを認めて、あとは市町村活性化取組についてはこれはないということはないんですね。要は二つ、両方なきゃいかぬということでいいんですね。
  8. 林芳正

    国務大臣林芳正君) やはり、この農林漁業の健全な発展に資する取組、今お話のあった、これは内容が適切であるということは当然でございますが、やっぱり確実にそれをやってもらう、このことが担保されていなければならないと、こういうふうに思っております。  どういう内容かということですが、全国先進事例等を基にして、どのような取組地域において適切であるか、認められているかを国の基本方針でまず具体的に示したいと、こう思っております。それに基づいて、農林漁業地域での実情を踏まえて、本当にそれができていくように、市町村関係農林漁業者・団体との協議を経て、市町村取組内容をその基本計画に定めると。  そして、実施面においては、今度はこの設備整備計画設備整備者が出してきて、市町村がそれを当該基本計画に基づいて認定をする、こういうことになるわけですが、まず、当然のことながら設備整備者取組内容確認すると。その的確な、そしてその実施を担保するために指導及び助言認定した後もそれをやっていくと、これは二十一条でございますが、それを規定させていただいております。  さらに、市町村は、この認定しました設備整備計画に従って農林漁業関連施設整備等を行っていない、こういうことが認められる場合には認定そのものを取り消すと、こういうことができるようになっておりますので、これが事業者に対して一定の制約を課すと、こういうことになっております。これは八条三項でございます。  こうした仕組みで、きっちりとまず認定するときに確認するとともに、その後もそれをきちっと担保されると、こういうふうにしてまいりたいと思っております。
  9. 山田俊男

    山田俊男君 地方自治体に財政上のゆとりがないときには、ややもすると地域活性化地域農業振興のための取組が、ないしはその計画作りが不十分に終わるという心配を大変持っておりますので、そういうことのないように、大臣の方でしっかり指導を進めてもらいたい、このことをお願いしておきます。  もう一つ木質バイオマスの件に移りたいというふうに思います。  この木質バイオマス発電は、山の活性化を図ることができるし雇用も確保できる、農地荒廃心配もないというふうに思います。ところが、当法案においては、この木質バイオマス位置付けが私は低いんじゃないかというふうに思っております。ただ、木質バイオマス地域活性化を狙いにした多くの事例がもう誕生しているというふうに思うんですよね。  とすると、どういう進み具合になっているのかということと、それともう一つは、木質バイオマス施設整備による農地転用等の問題はあるかもしれませんが、ほとんど余り例がないというふうに思います。むしろ必要なのは、山の路網整備ですね。成木切り出しであったり、間伐材廃材切り出しや運搬であったり、そういうことの方が大事なんですね。  とすると、この木質バイオマス発電の設置、取組に関しては、もう既に林野庁が一貫して進めております森林経営計画の樹立、推進としっかり連動したものでなければならないというふうに思うんですが、その取組は一体どういうことになっていますか、お聞きします。
  10. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) お答え申し上げます。  木質バイオマス発電所整備状況でございますけれども、従来は建設廃材とかそういったものを主体にした発電所が多かったわけでございますけれども、昨年でございますけれども、福島県の方に、従来未利用であった間伐材、こういったものを主原料といたします木質バイオマス発電所ができておりまして、それを契機に数が増えてきております。  先週、大分県で一つ竣工して、年内に本格稼働する予定でございます。また、岩手県でもう一つ年内に竣工する予定でございます。年内にはこういった三か所ができ上がる予定でございますが、さらに、この未利用間伐材主原料とする発電所新設計画と申しますと全国各地もう既に四十施設ほどございまして、そういった意味でも、こういった木質バイオマス発電取組を積極的に推進していきたいというふうに考えております。  そしてもう一つ森林経営計画との関係についてお尋ねがございました。  実は再生可能エネルギーの固定価格買取り制度がございますけれども、この中では、製材等残材など一般の木質バイオマス調達価格が一キロワットアワー当たり二十五・二円でございますが、間伐材森林経営計画が策定された森林における主伐材の調達価格、これは三十三・六円でございます。そういった意味で、こういった経営計画作成というものを通じて森林林業活性化というものを図っていくことは極めて大切なことというふうに考えていることでございます。  こういった、いわゆる山側から見ると三十三・六円という買取り価格ということになるわけでございますけれども、この価格水準というものも活用して、積極的に森林経営計画作成というものを図りながら木質バイオマス発電というものに努めてまいりたいと考えているところでございます。
  11. 山田俊男

    山田俊男君 全国取組が進んできているというのは大変うれしい限りでありますが、先般も大分日田で新しい施設竣工式があったというふうに聞いていますが、どうぞ大臣お忙しい大臣ですが、時間があれば竣工式に行きまして、そしてちゃんとテープカットしてくるということがあっていいというふうに思うんですね。大臣行けなかったら政務三役ですね、どうぞ御出席いただいて、こんなふうに取り組んでいるぞ、木質バイオマス発電は極めて大事だぞということを訴えていただきたい、こんなふうに思うところであります。  昨年の豪雨で九州北部に大変な被害を及ぼしました。私は、熊本阿蘇の外輪山の被害を見ました。これ、山が、戦後植林した杉の木を中心とする成木が、もう見事な林材があるわけでありますが、そこを一気に、まあ怒りの神様がこうしてつめでひっかいたような形で山津波が生じて被害を繰り返した。結局これは、戦後植林した後、昭和三十三年、それから平成二年、そして平成二十四年、二十年置きにもう三回全く同様な被害が生じているわけであります。新聞報道なんか見ましても、二十年前の新聞報道を見ましたら、現在の被害報道と二十年前の報道は全く同じ、そういう形での事態になっているわけです。  どうぞ、この成木をどう切り出すか、そしてさらにそれをどう活用するかという観点で、私は災害対策としてもこの木質バイオマス発電取組は極めて重要だというふうに思いますが、その点について、いかがお考えですか。
  12. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) お答え申し上げます。  災害に強い森づくりを進めていく、こういう観点からいたしますと、地域実情必要性に応じまして治山施設整備するとともに、間伐を始めとする多様な森林整備をしっかりと行っていくということは大変大切なことと思っております。こういったことで、間伐材や主伐材を有効に利用して林業活性化していくということが不可欠でございまして、その一環としてやはり木質バイオマス発電というものも活用していくということは重要だと思っております。  先生お話がございました阿蘇地域でございますけれども、実は大分県の日田地方に今回新たな発電所ができますけれども、間もなく本格稼働いたしますが、いわゆる未利用間伐材、主伐材の集荷圏域の中に入っている、位置しているというふうに考えておりまして、今後その活用も十分期待できるんではないかなというふうに考えているところでございます。
  13. 山田俊男

    山田俊男君 さらにもう一つ、小水力発電の場合もこの法律位置付けがなされているというふうなことでありますが、どうもここも位置付けが大変低いというふうに受け止めざるを得ません。とりわけ小水力発電の場合は、水利権調整に関して様々な申請や認可の取得が必要になっています。相当の期間が掛かるということなんですよね。経産省、農水省、国交省環境省等の、これはみんな関係する省庁なんですが、ここの窓口の一本化が必要ではないかというふうに思いますが、この点、大臣にお聞きします。
  14. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今お話がありましたように、いろんなところに窓口があって、手続が煩瑣であると。こういうことをやはりやりやすいようにしていかなければいけない、こういうことが非常に大事であると考えておりまして、そういう意味では、市町村による基本計画作成、まずこれを支援する体制づくりが重要であると、こういうふうに思っております。  予算措置による支援を行うほか、基本計画作成に必要となる情報の提供や助言が的確に行えるように、国の相談窓口地方農政局等に設けて、また地方農政局等と各地方経済産業局、それから環境事務所、これが連携して対応するように、計画作成を促してまいりたいと、こういうふうに思っております。  小水力発電整備については、例えば農業用水路に小水力発電設備整備するという場合には、まさにその設備の一部が農地に掛かって転用をしなければならぬ、こういうことが出てくると思いますし、それから貯水槽から発電設備まで水圧管を埋設する、こういうことが出てくるかもしれませんが、この場合に森林の伐採が必要になるケース等いろんなケースがございまして、こういう農地法森林法に基づく許可手続、いろいろあるわけでございますから、本法案によって、こういう手続ワンストップで行える、こういうことも併せてやっていくことによりまして、この設備整備を行おうとする方の負担が軽減されるようにしていきたいと考えておるところでございます。
  15. 山田俊男

    山田俊男君 小水力発電の場合、さらに河川法における水利権許可手続が具体的には必要になるわけであります。この点、東日本大震災地域の場合、特例の措置を設けまして、そして許可手続簡素化に役立つという仕組みを採用しているわけでありますが、今回、この小水力発電についてもそうした取組が私は必要じゃないかと、こんなふうに思いますが、この点、国土交通省、どんな取組になっていますか。
  16. 加藤久喜

    政府参考人加藤久喜君) 再生可能エネルギー普及拡大を図る上で、小水力発電導入促進するということは非常に重要であるというふうに認識をしております。  河川から取水しました農業用水等活用する、いわゆる従属発電につきましては、登録制度というものを創設することなどを内容といたしました改正河川法、これが本年の六月十二日に公布され、六か月以内の施行となっております。  登録制は、従属元水利権審査において、下流の利水者河川環境への影響について既に確認をしておるということで手続簡素化は可能というふうにしております。登録制導入によりまして、関係行政機関への協議は不要となるなどによりまして、いわゆる従属発電に係る標準処理期間についてはこれまで約五か月ということでございますが、これを約一か月へと大幅な短縮が図られるものというふうに考えております。  国土交通省といたしましては、水利使用手続簡素化円滑化等を通じて、今後とも小水力発電導入を積極的に促進してまいりたいというふうに考えております。
  17. 山田俊男

    山田俊男君 水利権調整その他につきまして、五か月掛かっていたのが一か月にするということですから、それは大変朗報ですから、しっかり指導を強めてもらいたい、こんなふうに思います。  さて、小水力発電は、しかしそうは言いましても、施設整備が必要であったり、それからさらには導水管等整備をもう一回やらなきゃいかぬとか、とりわけFITに該当するために様々なやはり投資が必要になってきているということで、それもなかなか取り組みづらいという動きになっているんですよね。経産省としてはどんな促進策を講じているんですかね。経産省の方からお聞きします。
  18. 木村陽一

    政府参考人木村陽一君) お答えいたします。  小水力発電でございますけれども、再生可能エネルギーの中でも出力が安定しております。そういった優れた特徴がございまして、地域にも開発可能な地点が多く残されております。地域活性化にも資するものと認識をしてございます。  まず、経済産業省といたしましては、小水力発電普及拡大に向けまして、まずは発電通常要するコストをしっかりカバーする価格で買い取りまして、その投資回収に見通しを与える固定価格買取り制度を小水力に対しましても着実かつ安定的に運用するということを第一義に考えてございます。  あわせまして、小水力発電設備メーカーと例えば発電事業者が共同で、落差がそれほどなくても発電量確保できるような水車開発でございますとか、あるいは事業性評価のための調査といったものの支援予算措置を講じて実施をしてございます。それから、あわせまして、税制等によります促進ということも考えてございまして、平成二十五年度の税制改正によりまして、中小水力発電設備、これを法人税所得税のいわゆるグリーン投資減税対象にすることをお認めいただいたわけでございます。  こういった促進策を通じまして、引き続き関係省庁とも連携させていただいて、小水力発電導入拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
  19. 山田俊男

    山田俊男君 どうぞ、地域の実態に応じた水車等開発、これは大変大事ですから、どんどん進めてもらいたい、こんなふうにお願いします。  さて、農地利用した太陽光発電におきまして、荒廃農地のうち主に農地としての再生利用が困難な荒廃農地再生可能エネルギー発電施設活用されるということを想定しているというふうに思うんですが、再生利用が可能な荒廃農地と、それと再生利用が困難と見込まれる荒廃農地、具体的にはどんな基準でこれ想定されているんですか。
  20. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 荒廃農地基準についてお答え申し上げます。  市町村荒廃農地再生エネルギー発電施設整備区域に設置する場合に、毎年市町村農業委員会実施する荒廃農地調査の結果を踏まえて対応することとしております。この調査につきましては、農林水産省で策定いたしました荒廃農地に係る全国統一的な基準がありまして、これに従って毎年実施しているところでありまして、これに基づいて市町村農業委員会現地調査を行って判断をしているところであります。  この基準におきまして、荒廃農地につきましては、現に耕作されておらず、通常農作業では作物の栽培は客観的に不可能となっているというものということでございますが、更に具体的に、一つは、再生利用可能なものといたしましては抜根、整地等により通常農作業による耕作が可能となると見込まれるもの、それから再生利用困難なものといたしましては、森林の様相を呈しているなど農地に復元するための物理的な条件整備が著しく困難なもの、こういう区分をしているところであります。  第一種農地に該当する荒廃農地につきまして再生可能エネルギー発電設備整備区域設定しようとする際には、まず市町村が改めて調査結果を確認した上で、さらに国や都道府県との土地利用調整をいたしまして、本来の許可権者である国や県が最終的に確認をするということにしておりまして、これらによって適切な設定確保してまいりたいと思っております。
  21. 山田俊男

    山田俊男君 次の課題ですが、この再生可能エネルギー法は、所有権移転促進事業を柱の一つにしております。それでいいですね。その際、所有権移転促進事業対象農地は、あくまで今もお話のありました荒廃農地対象だということでいいのかどうか。それで、この所有権移転促進事業でやりました土地一つ発電施設用地となり、もう一つは、これは優良農地として耕作できるということであれば、これは優良農地として耕作していくということになるんだと思うんですね。この優良農地権利関係はどこで調整し、誰が優良農地の担い手になっていくんですか。ややもすると、私が心配するのは、この事業をやって、そして発電事業者が、発電しやすい敷地がもう確保できました、それで終わりですということになりかねない心配をしているから言っているんです。  優良農地活用についてきちっと考えているんだということなのかどうか、お聞きします。
  22. 山下正行

    政府参考人山下正行君) 所有権移転等促進事業につきましてお答え申し上げます。  本法案において、農業上の再生利用が困難な耕作放棄地再生可能エネルギー発電設備整備を誘導するに当たりまして、土地地権者が複数存在するケースも想定されることから、所有権移転等促進計画の公告に基づく一括処理により円滑な土地権利移転等を図るため、所有権移転等促進事業措置しているところでございます。この事業につきましては、土地について所有権等権利を有する者の全ての合意が得られていることを要件としておりますが、その要件に基づきましてこの事業が行われるということでございます。  本法案の下で、市町村再生可能エネルギー発電設備整備を行おうとする者や農林漁業者等地域関係者による協議会がつくられます。協議会の場を活用いたしまして、その関係者が一体となって、所有者確認の作業ですとか不在地主調整ですとか、荒廃農地利用に係る地域合意形成等を行っていくことを想定しております。  このような対応も含めまして、国の基本方針等で具体的な指針を規定することによりまして、この所有権移転等促進事業活用を図ってまいりたいと考えております。
  23. 山田俊男

    山田俊男君 さらに、もう一つ別の課題でありますが、農地転用して太陽光設備等を設置した後、詳しいことはやめますが、いろんな事情でもう廃業になったりしてしまうといったときに、その場合、土地や景観が荒廃したまま残されかねない心配があります。  太陽光パネルは、私は詳しくは分析できないんですが、有害物質もあるというふうに言われております。原状回復をしっかりさせない限り駄目だというふうに思うんですね。これはどこでどんなふうに準備されているんですか、また担保されているんですか、お聞きします。
  24. 山下正行

    政府参考人山下正行君) お答え申し上げます。  再生可能エネルギー発電事業者が農林地等に発電設備整備したにもかかわらず、途中で事業を中止し、また撤退ということも想定されるわけでございます。その場合に残された施設の取扱いを決めておくことは重要と認識しているところでございます。  このため、本法案に基づく再生可能エネルギー発電設備整備を行おうとする際には、発電設備の撤去時における原状回復、費用負担等に関する事項を市町村協議会協議事項にする、それから設備整備事業者作成する設備整備計画の記載事項とすると、こういうことを検討しているところでございます。また、あわせて、設備整備事業者設備整備計画認定を申請する際に、原状回復に関する事項が記載された地権者との間の契約書の写しを添付させるということも検討しているところでございます。  このような対応を含めまして、農林地等に再生可能エネルギー発電設備整備した後、途中で事業が中止、撤退をする際に問題が生じないよう、国の基本方針等で具体的な指針を規定するとともに、市町村に対しまして必要な助言や情報提供を行っていくと、そういうことを考えております。
  25. 山田俊男

    山田俊男君 どうぞ、その点大変心配ですから、しっかりやっていただきたい、こんなふうに期待します。  最後の質問ですが、再生可能エネルギーと関連しまして、もう一つ、全然違うんですが、非主食用米を原料とするバイオエタノールの取組があります。  この点は、日本はもうバイオエタノールの取組はまだ大変少ないわけでありますが、しかしこれは、米国やブラジルではトウモロコシ等のバイオエタノール化が相当進んでいるわけであります。日本での取組については、バイオエタノールと混合する混合専用ガソリン、これは国内の石油連盟が新規参入を嫌っているという観点から、なかなか手に入れられないものだから韓国から輸入しているというのが実情なんですね。この点、是非、石油連盟との関係改善や連携をしっかり図ると。これは何でかといったら、大臣がこれから大きく課題としてかかわられます水田のフル活用、これは全国の農林業者、みんな課題であります。さらには、生産調整の見直しとも関連する形でこれは重要な意味を持っているというふうに思っておりますので、この点の推進につきまして大臣の見解をお聞きします。
  26. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今委員からお話がありましたように、このバイオエタノール用の新規需要米、これは米穀の需給調整実施要領の中に新規需要米として既に位置付けられておる、こういうことでございまして、そういった関係で産地資金等々にも活用対象になっていたと。こういうこともありまして、この実証事業を北海道二地区、それから新潟県において既に実施をしている状況でございます。  各地区において原料調達の多様化、製造コストの削減等の事業化に向けた課題に今取り組んでいるところでございますが、なかなか苦戦をしておると。こういうふうにも聞いておるところでございますので、これは主食用米の需給に全く影響を及ぼさない、こういうことでありますから、生産者にとって取り組みやすい仕組みであると、こういうこともございますので、しっかりとこれもサポートしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  27. 山田俊男

    山田俊男君 ありがとうございました。  これで終わります。
  28. 堀井巌

    ○堀井巌君 自由民主党奈良県選挙区選出の初当選の堀井巌でございます。  本日が初めての質問になります。その質問の中で、この再生可能エネルギー法案質疑、参画をさせていただくということで、この法案、非常に思いの深い法案ということで、よろしくお願いをしたいと存じます。  今、農政の方は、TPP交渉、あるいは米の生産調整の見直し、それから農地集積の促進、いろいろこういう節目を迎えている状況でありますが、こういった大事な時期にこの農政に関して議論に参画をさせていただけるのは大変光栄であると同時に、特に地域の声をしっかりと届ける、その役目の責任も痛感をしているところでございます。  質問に入ります前に、一点だけ、特に有権者の方と今般接する中で感じたことを一言申し上げます。  日本では、今生産調整の見直し、特に米についてもなかなか需要が少なくなってきている、米余りだと、こういうような流れで来ておりますけれども、世界全体で見れば人口増が続いているわけであります。やはり、食料自給率というのを向上をしっかりと図るということが将来世代のことを考えれば何よりも重要ではないかというふうなことを、これは地域の方々もそのことを一番の思いとして持っておられる、そのことを痛感したわけでございます。  そのためにも、今進められておりますように、農地あるいは作付面積をしっかりと確保しながら、将来世代に、これは十年後、三十年、五十年後、あるいは百年後まで含めてつなげていくことが大切であろうと、このように思っているところであります。今は、もちろん人が食べるものあるいは飼料用作物というようなこともありますけれども、先ほど山田委員の御指摘にもありましたように、バイオエタノールのための、エネルギー供給のための作付けということもこれから本格化すれば日本の農業のありようも相当変わってくるんではないかというふうに思うわけでございます。そういった意味で、農地あるいは作付面積をしっかりと確保していく、大切にしていく、そのような思いの中で今回のこの法案が出されていると、このように感じているところでございます。  これは、発電ということを考えた場合に、この再生可能エネルギー、これを導入していくことは大変重要であります。しかしながら、無計画に推進をすれば、農地転用が無秩序に進んでしまったりするというようなことにもなりかねません。その上でも、特に今回の経緯を眺めますと、自民党の修正によりまして農林漁業の健全な発展調和という観点が入ったと、これは非常に意義あることだと思います。また、基本理念として、地域の活力の向上及び持続的発展を図る、あるいは必要な農林地等の確保ということが明記されたことは大変意義深いことと考えます。  こういった基本理念の明確化も踏まえながら、大臣の方からこの法案必要性、そして法案に懸ける思いについてお伺いをしたいと思います。
  29. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まずは、堀井委員におかれましては、今日がデビュー戦ということですね。今後の御活躍に期待したいと思いますし、プロフィールを拝見いたしますと、趣味は料理で得意は手作りカレーと、こういうことでございますので、そういう面からも御指導いただければと、こういうふうに思うわけでございます。  法案必要性ということでございますが、農山漁村の活力が低下しているという中で、今委員からもお話がありましたように、農山漁村の豊かな資源を活用した再生可能エネルギー発電促進するということは、農業、農村の所得の向上等による農山漁村活性化という意味でも非常に大事であると、こういうふうに思っております。  一方で、これも御指摘があったように、食料供給や国土保全という重要な機能をそもそも農山漁村は有しておりますので、再生可能エネルギー発電設備整備が無計画に進みますと、農林漁業の本来の機能の発揮に支障を来すおそれがあると。  このバランスはどう取るかということがポイントでございまして、まず法案においては、この再生可能エネルギー発電促進をするに当たって地域の活力の向上と持続的発展を旨とする、そして地域農林漁業の健全な発展に必要な農林地等が確保されると。これを基本理念としてまず明確にした上で、この基本理念の下で、農林地等の利用調整を適正に行いつつ、農林漁業の健全な発展調和の取れた再生可能エネルギー促進する、そして農山漁村活性化を図る枠組みを構築すると、こういうことにしたところでございまして、まさに農林漁業の健全な発展調和の取れた再生可能エネルギー発電促進してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  30. 堀井巌

    ○堀井巌君 ありがとうございました。  今大臣もおっしゃられましたけれども、そのような理念、そして目的をしっかりと踏まえた上で、本法案が所期の効果を上げていくというためには、この法律の中身の規定、内容関係者の方々の間で十分に理解、共有されることが重要であるというふうに思います。また、これまでの質疑等も通じましても幾つか懸念事項についても指摘をされていたと存じますが、そういったことができる限り払拭されながら進めることが望ましいと、このように考えるところでございます。そのような観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。  まず、二〇一三年の自民党の公約、御案内のとおりの選挙公約でありますが、こちらの中で、今後三年間で再生可能エネルギーの最大限の導入促進を行うと、このようにも書かれているところでございます。この法律によればどの程度の電力供給を目標とされているのかということについてお伺いをしたいと思います。日本再興戦略でも、平成三十年に約百地区で取り組むということが書かれているわけでありますが、どの程度の電力供給をイメージされているかお伺いしたいと存じます。
  31. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) どの程度の電力供給を目標としているかという御質問でありますけれども、この本法案に基づく措置予算措置等によりまして、再生可能エネルギー発電のメリットを活用いたしまして、地域農林漁業発展を図る取組平成三十年度に全国で百地区で実現をするとの政策目標を掲げているところでもございます。  これらの地区におきましては、具体的にどのような発電設備導入するかにつきましては、それぞれの地域の資源の賦存状況等を踏まえた発電事業者の判断や各市町村再生可能エネルギーに関する取組方針等にもよりますけれども、当該目標が実現された際の発電量を具体的に見込むのは困難ではありまするけれども、農林水産省といたしましては、本法案を始めとする各種の措置によりまして、農山漁村に存在する資源を活用した再生可能エネルギー発電のポテンシャルをできるだけ引き出していくことができるように努めてまいりたいと思っております。
  32. 堀井巌

    ○堀井巌君 ありがとうございました。  なかなか現時点で、まだ法案の段階でそれぞれについてこの発電量というのを定量的に見込む、これはなかなか難しいところではあると思いますが、平成三十年に百地区でということで目標を掲げられておりますので、是非その御努力を期待したいというふうに存じます。  また、私の地元の奈良県の方でも、例えば首長さんを始め、特に山間地域ですと、小水力あるいは木質バイオマスに対する期待も高いところがございます。そういった場合にある程度大体そのボリューム感というものが分かれば、どの程度自分たちが市町村として進めていくのかということも見えてこようかというふうに思いますので、今後とも、その点、きめ細やかな御対応をお願いできればというふうに存じます。  次の質問に移らせていただきます。  これも、元々この法案で、優良農地、しっかりと保全をしながら進めていくんだということがこの法案の趣旨であるというふうには理解しておりますけれども、やはり今回、仮に太陽光発電のパネルを設置する場合に農地転用が起こってくると、その場合にそういった優良農地がいかに保全されるのか、失われてしまうおそれはないのかということについて御質問をしたいと思います。  例えば奈良県の場合、耕作放棄地が今一九%で、近畿の中ではトップであります。耕作放棄地の率が高い地域ではございます。ただ、そういったところというのは、太陽光発電のパネルの設置ということでいうと、例えば小規模なところで点在している場合に、それが今度この発電ということ、再生エネルギー導入といったときにうまくイメージできるのかというところもあって、この辺が恐らくそれぞれの地域でどのように考えていったらいいんだろうと。定性的には再生困難な耕作放棄地ということになろうかというふうに思いますけれども、例えば太陽光発電を設置するような場所はどのような場所を想定されているのか、できるだけちょっとイメージが分かるように、もしできればお答えいただければ有り難く存じます。
  33. 山下正行

    政府参考人山下正行君) お答え申し上げます。  本法案では、農業上の再生利用が困難な荒廃農地等太陽光発電等の再生可能エネルギー発電設備整備を誘導する、そういったことで土地利用調整を行う、優良農地確保しながら地域において再生可能エネルギー発電促進することで農山漁村活性化を図ると、こういうものでございます。  具体的に申し上げますと、市町村基本計画で定める発電設備整備区域でございますけれども、これは、農業上の再生利用が見込まれない荒廃農地等を優先的に活用することなどによりまして優良農地確保に支障がないように設定すること、さらには、設備整備計画市町村による認定、これに際しましては、農地法に基づく農地転用許可基準に反した転用が行われないようにするために農地転用許可権者である農林水産大臣又は都道府県知事の同意を得なければならない、こういった仕組みを設けているところでございます。また、この認定を受けた設備整備計画に従わずに再生可能エネルギー発電設備整備された場合は、農地転用許可があったものとみなされないために、農地法に基づく都道府県知事による原状回復命令等の措置や罰則の対象となると、こういうことでございます。  こうした取組、こうした仕組みが現場で有効かつ適切に機能するよう、関係制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
  34. 堀井巌

    ○堀井巌君 ありがとうございました。よろしくお願いしたいと存じます。  今、農政の中では、特に耕作放棄地を減らして、そして作付けをしっかり増やしていこうという政策もこれから性根を入れて行われようとされているところであります。  そういった中で、今度、本当にもうこの再生困難な耕作放棄地にはこういった太陽光発電含めた再生可能エネルギー導入していくというところで、恐らくそれぞれの地域の側に立ったときには、じゃ、どういったゾーニングのイメージを持ちながら国の方は進めようとされているのか、どこまでは作付けをしっかりやってほしい、あるいはその中でこういったところは耕作放棄地を、もう再生困難である、これは太陽光発電で生かしていこう、そういう部分についてそれぞれのやはり市町村計画作成の場合にいろいろと悩みながらやっていかれる場面もあろうかというふうに思います。その辺を含めまして、また今後適切に御対応いただければというふうに期待をしているところでございます。  次の質問に移らせていただきます。  仮に太陽光発電の例を取りましたときに、地域の外の方々が結果的にその利益の大半を得ることにならないかという懸念、これもこれまでも指摘もされてきたところだと思います。太陽光発電の例えばパネルメーカーさん、あるいはその設置者の方々にこの利益の大宗が行って、その地域の方は土地は貸したけれどもなかなかその地域発展につながりにくい、利益が落ちにくいというふうな心配もあるやに伺いますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  35. 山下正行

    政府参考人山下正行君) 再エネ発電利益還元に関しての御質問だと思います。  本法案におきましては、本法案による措置活用しようとするその事業者について、地域内の主体か否かを問わず、再生可能エネルギー発電設備整備と併せて農林漁業の健全な発展に資する取組実施する必要があるということとしております。このような取組を通じて、再生可能エネルギー発電利益地域還元されるようになると思っております。  一方で、地域における所得の向上により農山漁村活性化に貢献すると、こういう観点からは、地域農林漁業者やその団体といったその地域の主体が再生可能エネルギー発電事業に取り組むことが望ましいと考えております。このため、平成二十六年度概算要求におきまして、農林漁業者やその団体が主導する再生可能エネルギー発電事業構想から運転開始に至るまでに必要な様々な手続、それから取組への支援等に必要な予算を盛り込んでいるところでございます。  本法案による措置に加えまして、予算措置活用して、地域主体の農林漁業者が中心となるような取組を進めてまいりたいと考えております。
  36. 堀井巌

    ○堀井巌君 ありがとうございます。  懸念事項についての質問が続くんですが、これは懸念をしているということよりも、やはりこの法案が所期の効果を上げるためにも、できる限り、地域の方々がこういった心配事を仮にしたとしても、それを是非とも払拭し乗り越えていただきたいという思いで、済みません、続けさせていただきます。  次は、この事業者の撤退リスクであります。  今回、仮に太陽光発電の場合、パネルを設置して二十年なら二十年というタームで発電が行われたとしましても、例えば事業者が倒産してしまった、あるいはその後二十年たってもう機械の設備の耐用年数もある程度来てしまった、更新もしなければならない、ところがなかなかその更新の道筋が見えなくなってしまった。そうしますと、結果として残るのは、もう発電が終わってしまったそのパネル等、これは産業廃棄物になってしまうかもしれませんが、そして農地転用されてしまって農地に回復できない土地だけが残ってしまうということにもなりかねないところでございます。  こういったリスクをできるだけ減らしていくことが大変重要だというふうに考えておりますが、その点についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  37. 山下正行

    政府参考人山下正行君) 委員御指摘のように、事業者がその事業の途中で中止、撤退するということや、事業終了後にその発電設備が放置されると、こういったことも想定されるわけでございます。そういうことで、残された発電設備の取扱いを決めておくことも重要であると認識しております。  このため、本法案に基づく再生可能エネルギー発電設備整備を行おうとする際に、発電設備の撤去時における原状回復それから費用負担等に関する事項をその市町村協議会協議事項とする、それから設備整備事業者作成する設備整備計画の記載事項とすると、こういうことにつきまして国の基本方針や省令で規定することを検討しているところでございます。また、あわせまして、設備整備事業者がこの設備整備計画認定を申請する際に、原状回復に関する事項を記載された地権者との間の契約書、こういった契約書の写しを添付させることを省令で規定すると、こういうことを検討しているところでございます。  このような対応を含めまして、農林地等に再生可能エネルギー発電設備整備した後に、途中でのその事業の中止、撤退や事業の終了の際に問題が生じないように国の基本方針等で具体的な指針を規定するとともに、市町村に対しまして必要な助言や情報提供を行ってまいりたいと考えております。
  38. 堀井巌

    ○堀井巌君 事業者が仮に撤退した場合のその原状回復についていろいろと省の方でもお考えをいただいて、きちんとルール作りをしていただいて、それを示していただけるということでありましたので、是非とも期待いたしたいと思いますけれども、太陽光発電、今は非常に買取り制度もあって推進していこうという機運になっておりますけれども、二十年後、ひょっとしたら、いやいや、もう太陽光発電ではなくて別の様々な再生可能エネルギーの方を推進した方がいい、例えば先ほどの話ではないですけれども、バイオエタノールの作付けをした方が地域のためにいいんじゃないか、こんな環境になっているやもしれないわけであります。そのときにルールがなくて、二十年前にパネルを設置した人はもうそのままにしておくということになりますと、後々困るのはやはり地域であり、また国民全体のそれは負担にもなってくるわけでありますので、是非、事業者が仮に撤退したときのそのリスク、これを極小化する方法そしてルール作りについてまた一層意を用いていただければというふうに要望したいと存じます。  次の質問に移らせていただきます。  この法律案の第七条二項二号でございます。再生可能エネルギー発電設備整備と併せて行う農林地の農林業上のと書いてありますが、特にこの農林漁業の健全な発展に資する取組内容をこの計画に記載するということになっておるわけでございます。この内容は、むしろ地域の方々にとってみれば非常に、一つこういった再生可能エネルギー導入されることによって地域がどんなふうにその周りに便益がもたらされるんだろうということで大変期待をする条項でもあるかというふうに思うんですけれども、例えばこの具体的なイメージというのはどんなものか教えていただければと存じます。
  39. 山下正行

    政府参考人山下正行君) お答え申し上げます。  この取組の具体的な内容法案の、先ほども出ました第七条第二項に則して挙げていくとすれば、農林地の農林漁業上の効率的かつ総合的な利用確保のこの例としては、発電事業者が売電収益の一部を支出して太陽光発電設備の周辺の農地の簡易な整備等を行い農業の生産性を向上させる取組、こういったものを想定しておるところでございます。  また、農林漁業関連施設整備、こういった例といたしましては、風力発電設備の近隣におきまして発電設備の見学者等を主な客層として地元の農林水産物やその加工品等を販売する直売所の整備、運営をする際にその費用の一部を発電事業者が売電収益からその一部を負担すると。  それから、農林漁業者の農林漁業経営の改善の促進、その例といたしましては、例えば木質バイオマス発電を行う事業者地域森林所有者等から未利用間伐材を安定的な価格で買い取り、発電活用する取組、こういったものが考えられます。  それから、農林水産物の生産又は加工に伴い副次的に得られた物品の有効な利用の推進のこの例といたしましては、例えば畜産業者が家畜の排せつ物を引き取ってバイオマス発電実施するとともに、発電事業者が費用を負担して消化液や残渣から堆肥を製造し、低価格で提供する取組、こういったものが考えられます。  農林水産省といたしましては、こうした取組を始め各地の先進事例を踏まえて、本法案に基づき策定する国の基本方針等において具体的なモデルケースを紹介することで、地域における適切な取組促進してまいりたいと考えております。
  40. 堀井巌

    ○堀井巌君 ありがとうございます。様々なことをいろいろと考えていただいているというのは大変有り難いことだと思います。  私、この法案農林水産大臣から提出されている、このことは非常に意義の深いことだというふうに思います。太陽光発電、確かに再生可能エネルギー、これはエネルギー供給の観点からの多様化、環境面からして非常に大事なことであります。しかしながら、これが農山漁村整備される場合には、やはりそれぞれの地域農地、そして美しい景観、そして様々な農林漁業地域の健全な発展、そういった調和、このことがあって初めてこういった再生可能エネルギーも本当の意味地域の方々に受け入れられ、そして効果をもたらすものだというふうに思うわけであります。  そういった意味で、今、様々なことをお考えいただいているということをお聞きしまして、意を強くいたしましたですけれども、是非ともそのような形で取り進めていただければというふうに期待をするところでございます。  もう一点だけ、条文に沿って質問を申し上げます。  第二十条でございます。「国及び都道府県は、市町村に対し、基本計画作成及びその円滑かつ確実な実施に関し必要な情報提供、助言その他の援助を行うよう努めるものとする。」というふうに書いてございます。  私はこれ、実施する、計画を立てる市町村側からしましたら、ひょっとしたら、理念、考え方が共有されていなければ、ばらつきが出てくると思います。やる、やらないのばらつきは、これは首長さんの取組によってあると思うんですけれども、全然、同じ太陽光発電導入ということでいっても、首長さんによってイメージが違ってきてしまいますと、例えば事業者とともに積極的に、とにかくもう農地太陽光発電に変えていくんだという人がいてみたり、あるいは、いやいや、これはもうそんなことはいかぬのだと、もうちょっとこの辺の土地でやるんだということになってみたり、いろいろとばらつきが出てきてしまう。そして、じゃ、何のためにやっているんだということが国全体で共有されない中で、この法律位置付けが不明確なまま進んでいってしまうということがあってはならないというふうに思うわけであります。  そのためにも、この第二十条で、国がしっかりと必要な助言その他の援助を行うよう努めるものとするというふうに書いてありますけれども、そういった具体例を示すなどの、先ほどのような具体例を提示するなどのきめ細かいサポートが大変重要であると、このように考えますが、いかがお考えでしょうか。
  41. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 堀井委員におかれましては、長い間、自治行政に携わってこられました。その観点から、この市町村支援をどうするかという御質問だと、こう思います。  御指摘をいただきましたように、第二十条で情報提供や助言等の援助を行うよう努める旨の規定を設けているところでありますが、さらに、具体的には、国から市町村に対しまして、全国先進事例等を基にしたモデルケースを紹介をいたしますとともに、地方農政局と各地方経済産業局環境事務所などと連携をいたしまして相談窓口を設置をいたします。そして、情報提供や助言を行うことといたしております。さらに、都道府県から市町村に対しましては、調査等により得られた条件等の情報提供や技術的な助言を行うことによりまして、市町村基本計画作成実施支援をしてまいりたいと考えております。  御承知のことと思いますけれども、平成二十六年度の予算の概算要求におきましても、農林漁業者やその団体が主導した再生可能エネルギー発電事業構想から運転開始に至るまで必要となる様々な手続取組支援する予算も要求をいたしております。本予算事業活用して、基本計画作成実施に関する事項について関係者合意形成を図るために必要な経費を助成することが可能になってまいりますので、これらも活用していただいて、市町村による基本計画の円滑な作成実施支援してまいる考えでございます。
  42. 堀井巌

    ○堀井巌君 ありがとうございます。そのお取組に期待を申し上げます。  最後の質問になりますけれども、木質バイオマス発電所についてお伺いをしたいと思います。  先ほど山田委員からの御指摘にもありました。再生可能エネルギーの中でこの木質バイオマス発電所、私は、農地転用とかそういったことを必要ともしませんし、また、例えば切捨て間伐で今までは価値を生まなかった、経済的な価値を生まなかったそういった間伐材、こういったものを購入をして利用していくということで、地域への経済効果も大変大きいのではないかというふうに期待をするところでございます。私の地元の奈良県でも取組が進められているというふうに承知しておりまして、大変私はこれは期待をしているというふうに思います。  重要なことは、やはり国民の方々の中で、こういった木質バイオマス発電所、あるいはその地域の方々の中で、こういったものがどのような効果があるのか定量的にある程度共有をされることが重要ではないかと。何となく定性的に木質バイオマスをやると、木を通じて発電するので環境にも優しいし、いいんですよということだけじゃなくて、できる限りその効果を定量的に示しながら、その重要性について関係の方々に理解を求めていくことが重要ではないかというふうに思いますが。  林野庁の方にお伺いしたいんですけれども、どの程度この経済効果が予測されるのか、これまでの取組を例にしても結構ですので、お聞かせいただきたいと存じます。
  43. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) 木質バイオマス発電所がもたらす効果について、お答えを申し上げたいと存じます。  地域の未利用間伐材のみを、これを主体に使用して発電する五千キロワット級の木質バイオマス発電所、これは今福島県で一つございますし、先週竣工いたしました大分県のものもこのクラスでございます。  このクラスの施設で試算いたしますと、固定価格買取り制度によります売電収入、これは年間おおむね十二億ないし十三億円と想定されます。それから、燃料として使用される未利用間伐材は年間六万トン、これは丸太換算にしますと十万立方メートル程度でございます。この木材の購入代として、年間七億ないし九億円が地域に支払われるということになろうかと思っております。それから、発電所の運営で十人以上の人が必要ですし、またその原料入手、山から木を切って運び出してくるということが必要になりますので、そういった意味では五十人以上の地域雇用が創出されるのではないかというふうに試算しているところでございます。  このように、木質バイオマス発電所は、エネルギーの地産地消だけでなくて、地元の林業、それから地域経済に大きな効果をもたらすことが期待されるところでございますので、私どもといたしましても、地域と連携を図りながら、そしてPRもさせていただきながら、木質バイオマス発電取組を積極的に推進してまいりたいと考えているところでございます。
  44. 堀井巌

    ○堀井巌君 ありがとうございました。  奈良県も、林業の再生ということが地域の将来に向けても特に重要な課題だというふうに思っております。まさに、林業が再生するかどうかというのが山間地域のこれから将来がどうなっていくかということに直結をしてくるというふうに考えております。そんな中で、この木質バイオマス発電所、様々なもちろん取組必要性もあろうかとは思いますけれども、今お伺いしましたところ、雇用の効果も五十人以上というようなことで、これは相当な効果が期待できるのではないかというふうに思っているところでございます。こういった取組を是非とも今後とも力強く進めていただきたいというふうに思います。  最後に、感想になりますけれども、私もこちらに出てきてまだ僅かでありますけれども、例えば農林の関係の勉強会等、参画する中で、農林漁業については、産業政策あるいは地域政策として両面から語られております。まさにそのとおりだというふうに思いますけれども、私はもう一つ、そのことにかかわりますけれども、やっぱり、例えばへき地に住むことで、あるいは離島に住むことで、あるいは山間地に住んで山を手を入れることで、この国土が保全をされているというふうな側面が非常に大きいと思います。また、海岸線、長い海岸線の中で、そこに人が住むことによって国の安全保障にもつながる。また、今は耕作放棄地多いですけれども、将来、穀物価格、国際的な動向を鑑みれば、また人口増を鑑みれば、食の安全保障というのは国の安全保障そのものにもつながるというふうに思います。  そういった重要性が、私はこれ、農業関係者だけではなくて、やっぱり、例えばこの東京に住む方々にもしっかりと理解をされることが重要だと思っております。森林環境関係の条例を改正するときに……
  45. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 堀井君、時間が来ておりますので、まとめてください。
  46. 堀井巌

    ○堀井巌君 はい。  苦労いたしましたけれども、そういったことを、是非とも皆様のお取組を今後とも期待しまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  47. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 長崎県選出の古賀友一郎でございます。  私も七月に初当選させていただきまして、国会での質問は初めてということになります。野村委員長を始め委員各位、並びに林大臣を始め政府関係者の皆様方、どうぞよろしくお願い申し上げます。  今日は法案の審議ということでありますけれども、実は私、諫早に実家がございます。御案内のとおり、一昨日、諫早湾干拓の排水門開門問題について、長崎地裁が開門差止めを認める仮処分決定を出したという非常に大きな動きがございましたので、去る五日の当委員会でもこの問題について議論をされたところでありますけれども、ここはお許しをいただきまして、まずこの問題について御質問をさせていただきたいと思います。  まず、今回、開門を差し止める仮処分決定がなされたことによりまして、言わばその開門を命じた福岡高裁判決、確定判決と相反する二つの司法判断が同時に存在するという、非常にこれは異例な状況だと思いますけれども、こういう判断、こういう状況になったわけであります。この二つの司法判断の関係です。  私も昨日、この仮処分決定の理由も読みましたけれども、何と長崎地裁は福岡高裁の確定判決と事実上矛盾する決定をするんだということを正面から言っているんです。もちろん、これは基礎となる事実認定が異なるということで、その理由を述べてはいるんですけれども、こういう矛盾すると言っている二つのこの司法判断、これの関係が一体どうなるのか、政府はどちらの判断に法的に従わなきゃならないのか、この点を法務省にお伺いしたいと思います。
  48. 都築政則

    政府参考人都築政則君) 一昨日、長崎地裁におきまして、御指摘のとおり、排水門の開門の差止めを認める仮処分決定がされました。しかし、国は平成二十二年十二月の福岡高裁の確定判決によって、同じ排水門を開放すべき義務を負っております。  両者の関係は困難な問題でありますけれども、今回の仮処分決定によって福岡高裁の確定判決の法的効力が失われるものではありません。そこで、まずは今回の仮処分決定の内容につきまして詳細に検討し、各関係機関と協議の上、適切に対応すべきものと考えております。(発言する者あり)
  49. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 今、分からないという声が出ましたけれども、本当に分かりませんよね。要するに、相矛盾するという司法の強制力が働く判断がありながら、この関係が分からないわけですよ。要するに、両方やれと言っているんですね。それに等しいわけです。開けるなという命令もあるし、開けろという命令もある。だから、今この二つの相矛盾する法命令が定立しているわけですね、二つ並び立っているわけです。ただ、今までは片方だけだったんです。開けろという命令しかなかったわけですね。これが二つ並んだということで、言わば、ある意味法的にはイーブンになったということだろうと思うんです。  今回の仮処分決定は、開門反対の方々にとってはまさにこれは全面勝訴と言える判決なんですね。ただ、これはあくまで仮処分です。あくまで仮処分ですから、今おっしゃったように福岡高裁の確定判決がなくなるわけではないということです。したがって、今、法的にはイーブンになったという状況ですから、これから政府が右に行くのか左に行くのか、今まさにその分岐点に立っている状況ではないかと、こういうふうに思うわけであります。  現在のところ、政府は、福岡高裁の確定判決があるのでその履行をしなければならぬということで開門をしたいという立場を取っているわけではありますけれども、私は、この際、政府は開門しないという立場に立ち返って方針転換する必要があるというふうに考えております。  そう考える理由を、主な理由を幾つか申し上げた上で質問させていただきたいと思うんですけれども。  まず一点目は、信頼関係を再構築するという観点です。もはや話合いすらできない、そういうほどに徹底的に農水省と地元長崎県との信頼関係は破壊されています。  そもそも、かつて二人三脚で干拓事業をやってきた農水省と長崎県の信頼関係を破壊してしまったのは、言うまでもなく、菅元総理がまさに地元の哀願ともいうべき声を一切無視して、上告をせずに判決を確定させてしまったと、これがスタートになっているわけです。政府と地元長崎県との信頼関係を再構築していくためには、開門前提では話にならないんです。今そういう状況にあります。今、菅元総理の判断については、農水省も恐らくじくじたる思いがあると思うんです。今年一月十一日の新聞報道によりますと、林大臣御本人も、福岡高裁判決を確定させてしまったということについて、何であんなことをしちゃったのかと、そういうコメント、批判をされていたということが報道でなされておりました。  もちろん、前の民主党政権のことではありますけれども、信頼関係破壊の原因をつくったのはあくまで政府なんですね。そのことには変わりないんです。開門を前提とする政府とは話合いをしない、そういう立場を堅持する地元との間で信頼関係を再構築するには、政府の方が姿勢を転換すべきであるし、するほかない。農水省はこの先もずっと、地元長崎県と一緒になってこの諫干事業をやっていかなきゃいけないんです。これから先のこともよくお考えいただきたいというのが一点目であります。  次に二点目でありますけど、これは高裁判決の内容にかかわる話でありますけれども、私は重大な問題があるというふうに思っています。  そもそも、この開門請求のその法的な根拠になっているのは、個々の漁業者の方々の漁業行使権に基づく妨害排除請求権です。そして、福岡高裁は、漁業補償契約というのは国と漁協との間の債権的合意にすぎないのであって、個々の組合員の漁業行使権は別に放棄されているわけでもなく生きているんだから、物権的請求である妨害排除請求はできるんだと、こういう論法で開門を認めたわけです。  しかし、実際には、漁業補償契約締結の際に、原告の方々を含む個々の組合員の方々は、漁協に対して契約を締結する権限を委任しているんです。そして、実際にも潮受け堤防の外の漁協だけ取って見ても、総額約七十七億円の補償金が長崎県内外の各漁協に支払われています。  各組合員の皆さんは補償金の受領権限も漁協に委任していますから、もし個々の組合員への補償金の支払に問題があったとしても、それは漁協内部の問題です。したがいまして、たとえ組合員の漁業行使権が生きているとしても、原告を含めた個々の組合員の皆さんも委任という法律行為を通じて漁業補償の債権的合意の言わば法的拘束の枠組みの中に皆さん入っておられるわけですから、当然、組合員が漁業行使権に基づく妨害排除請求権を行使するということが、債権的合意の法的拘束に従ってこれは行使されなければいけないわけですから、制約、制限を受けるのは当然であるはずです。  もちろん、中には、その補償契約締結後に組合員になった方もいらっしゃるでしょう。相続とか新しい新規就業とかですね。しかし、そうした後から入ってこられた方々についても、漁協と国との法的拘束の枠組みの中に後から入ってこられたわけですから、妨害排除請求権の行使が制限されるのは当然です。しかも、そうでないともう漁業補償なんかやっていられませんよね。  ところが、こういう状況であるにもかかわらず、福岡高裁判決はこの点を考慮していないんです。なぜか。政府が委任の事実について証拠を出してきちんと主張をしていないんですよ、裁判の場で。だから、福岡高裁の論法を許す、そういうすきをつくっちゃったんですよ。  そもそも、福岡高裁判決でも、この干拓事業と諫早湾それからその近傍部以外の、まあ要は大部分の有明海の環境変化との因果関係というのは認めていないんです。そこに来て、この諫早湾そしてその近傍部については、今申し上げたように漁業補償がきちんと成立しているんだと、妨害排除請求は認められないんだとするならば、開門請求が認められるような法的な余地がないじゃないですか。政府の、まあ言わば守備の穴、これをついて福岡高裁は判決を認めたということなわけです。  今、政府は、遅ればせながらではありますけれども、別の裁判の福岡高裁の場で委任の事実を主張、立証し始めたということは聞いていますけれども、この今確定している福岡高裁判決を許してしまったということは、私はこれは政府の重大なミスだと思うんです。ですから、その分、政府にはリカバーする責任があると思うんです。  そして、この漁業補償の在り方については、事実上大きな禍根を残すという問題点も私は指摘したいと思うんです。福岡高裁判決のこの論法を容認してしまうと、これまで国あるいは自治体がやってきた漁業補償の蒸し返しが幾らでも可能になってしまうんですよ。それに加えて、今後の補償についても一々個別の各組合員の方々と契約を結ばなきゃいけなくなってくる。もう膨大な手間暇が掛かります。そういう事態は自治体も非常に迷惑するでしょうし、農水省としても是非避けなければならないはずなんですね。何といっても、これは確定判決の理由なんです。判決理由になっているわけです。  現に、その開門請求を認めなかった長崎地裁においても、実は同じ論法で損害賠償請求を認めているんです。これは、私はこの漁業補償の在り方に非常に悪影響を及ぼしていくんじゃないかと、そういうふうに思うんですね。  福岡高裁判決の内容については、これ以外にもいろいろ指摘はされているようです。しかし、私は今ちょっと絞って申し上げましたけれども、そういった事情、理由から、政府はこの際、開門しないという方針に転換した上で、この福岡高裁判決、確定判決との決着を付けるべきと、このように考えているわけですが、今回、自民党が政権に復帰をいたしまして、そしてまた、今この開門差止めの仮処分決定が下ったということで、その方針を転換する私は環境が今整ったと思っているんです。まさに時は今だと思うんですね。  そこで、林大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、地元との信頼関係再構築の第一歩として、まずは福岡高裁判決を上告せずに確定させてしまったことは、あれは誤っていたんだということをまず率直にお認めいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか、お伺いいたします。
  50. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まず、古賀委員も今日がデビュー戦ということで、今後の活躍を御期待申し上げたいと思います。いきなり直球の御質問をいただきましたので、しっかりとお答えしたいと思いますが。  先ほど法務省からもありましたように、十一月十二日に長崎地裁が、長崎県関係者の開門差止めを求める仮処分申立てに対し、国に対して開門してはならないという差止めを命ずる決定を行ったということでございます。これはよく混同する向きがございますが、決定でございますので、地裁段階の決定であっても国に対する拘束力を持つということでございまして、国は開門してはならないという義務を、この確定した高裁の判決に加えて今回負うことになったと、こういうことだと認識しております。  当時のお話でしたが、平成二十二年の十二月に福岡高裁において、今申し上げたように開門を命ずる判決、これが出ておるわけですが、これについては今御指摘があったように、当時の総理の判断によって上告せず判決として確定したということでございます。私の一月ぐらいのコメントを今御指摘いただきましたが、批判をしたというよりも、どうしてそういうことをされたんだろうかというクエスチョンマークが付くなと、こういう趣旨で申し上げたわけでございますが、いずれにしても、当時の最高責任者であった菅元総理の判断で上告をされなかったと、こういうことであります。  我々としては、そういうことを全てもろもろ知らなかったわけではありませんが、政権として、政権交代をしたということは当然そのときに確定した国の法的義務を引き続き負ったと、こういう認識をしておりますので、今から当時に遡って、あれがこうだった、ああだったと言うことは差し控えたいと、こういうふうに思います。
  51. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 今、何であんなことをしちゃったんだろうというのは純粋な疑問形だというような御答弁でありましたけれども、私は大臣の御本心は反語だと思うんですね。何であんなことをしたんだろう、いや、あるべきでなかったんじゃないかと。それは、恐らくここにいらっしゃる農水省関係の皆様方、皆さんそうではないかと思うんですよ。  何となれば、長年ずっと農水省の皆さんは地元長崎県と一緒に干拓事業をやってきて、門を開けないという方針でずっとやってきて、佐賀地裁、福岡高裁やってきて、そして福岡高裁判決が確定する前、上告するかどうかという段階でも必死に菅総理を止めに行ったじゃないですか。それは、農水省の皆さんが持っている気持ちだと思うんですよ。それを今吐露できないという状況にあるというのは、非常に残念な状況なんです。  でも、先ほど申し上げたように、今までは一方だけの法的拘束だったんです。これからは、もう一方の法的拘束ができたわけですから、さっき言ったように、ある意味ではイーブンになっている。今から右へ行くか左へ行くか、それが今非常に問われているわけです。今かじを切らなければ元の正常な状態には戻れないと思います。そういうことも含めて是非よくお考えいただきたいと思うんです。今直ちにこの場でそういう評価はしにくいというお気持ちも分かります。でも、私は今回の仮処分決定を受けて、是非政府はその仮処分決定の方に従っていただきたいというふうに思っているんです。  そこで、林大臣にお伺いしたいと思うんですが、今回の仮処分決定に従った上で開門しないと、法的義務だから開門しなければならないんだという立場から方向転換して開門しないという立場に今後変わって、そして今係争中の残されている裁判に臨んでいくべきではないかと、このように考えているわけですけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  52. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど申し上げましたように、国は今、開門すべき義務、これが福岡高裁、平成二十二年の十二月に確定した高裁判決で負う義務でございまして、今般の長崎地裁の仮処分決定ということで開門してはならない義務と、相反する二つの義務を負ったということでございまして、先ほど法務省から答弁しましたように、法的にどちらが優先するか明確ではないと、こういうふうに承知をしております。  したがって、今委員からは新しく出た方というか今回の決定に従うべきだという御意見があったわけですが、相反する義務ということは、一方の義務に従うともう一つの義務については不履行になると、こういう状況でございまして、国として難しい状況になったというのはそういうところを申し上げておるわけでございます。  委員も御承知のように、十一月十二日に出されたものは五百九十三ページに及ぶ大部なものでございまして、我が省はもちろんでございますけれども、関係各省含めてこれを今詳細に吟味、分析をしておるところでございますので、今後慎重に検討を行って今後の対応を考えていきたいと、こういうふうに思っております。
  53. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  何分にも大部にわたる決定ということで、その分析に時間が掛かるのは分かります。是非詳細に決定をした上で、先ほど私がるる申し上げましたそういった事情があります。元の正常な状態に戻るチャンスが今来ているんです。是非、大臣始め農水省の皆様方、この声を受け止めていただきたいと思っております。  先ほど大臣がおっしゃったように、確かに片方の義務を履行すると片方からまた飛んでくるということがあるわけであります。一方で、高裁判決、福岡高裁が存在し続けるということもこれは事実でありますから、言わば逆サイドからの強制執行ということもこれは視野に入れておかなければならないということであります。  開門に賛成しておられる方々の話としては、強制執行のうち間接強制によって政府に確定判決を履行させようというふうに考えておられるという話も仄聞をするところなんですけれども、この強制執行に対する対抗手段として、民事執行法に基づく請求異議の訴えというものも私は考えていくべきではないかなというふうに思っているところです。  そこで、法務省にこれは伺うべきと思いますけれども、この強制執行に対する請求異議の訴えが認められるための要件は何でしょうか。そしてまた、仮にその仮処分決定に政府が従った場合に、確定判決の履行を求める人から強制執行が来た、そういう場合を想定した場合に、今回の仮処分決定が認められたということが請求異議の訴えが認められるためにどの程度役に立つものなのか、資するものなのか、その辺も含めてちょっと御見解を伺いたいと思います。
  54. 都築政則

    政府参考人都築政則君) 御指摘の請求異議の訴えというものは、特定の債務名義、例えば確定判決ですけれども、に表示されました請求権の存在又は内容について異議の主張をして執行力の排除を求める訴えであります。  要件ですけれども、確定判決後に生じた、正確には確定判決の口頭弁論終結後に生じた事後的な事情によって確定判決が認めた請求権が消滅したことなどが要件となります。  今回の長崎地裁の仮処分決定は開門の差止めを認めるものではありますけれども、これが請求異議事由となるかどうかにつきましては、先例もなく、非常に困難な問題だというふうに認識しております。
  55. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 その確定判決後に生じた事由によってその債務が消滅したことなどとおっしゃいましたね、今、などと。だから、私はこれでも役人出身ですから、そこは一定の含みがあると思うんですよ。  今、矛盾する法的義務を課せられるという状況が現に起きているわけですね。それにもかかわらず、仮にこの請求異議の訴えが使えないとなると、じゃ、その調整をどうするんですか、制度上ですね。現行制度の不備ではないですか。かといって、じゃ、法務省はその法的義務を果たせと、両方やれと言うんでしょうか。もう間断なくその排水門を開けたり閉めたり開けたり閉めたり、そうしろと言うんですか。そんなことないでしょう。これは民事執行法を所管する役所として真剣に考えてもらいたいと思うんです。実際、現実の問題なんですから、どっち付かずは許されないですよ。  これは、今、そのなどというところを私突っ込みましたけれども、この請求異議の訴えが認められる、使えるかどうかというのは可能性はゼロではないというふうに考えてよろしいでしょうか、伺いたいと思います。
  56. 都築政則

    政府参考人都築政則君) 先ほども申し上げましたとおり、長崎地裁の決定は一昨日出たばかりでございます。今慎重に検討しているところでございます。請求異議の訴えに関しまして、今ここで何らかのことを申し上げるというのは差し控えさせていただければというふうに思います。
  57. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 この場で差し控えたいということでありますけれども、現実問題としていずれかはそうなるんですよ、どっちにしても。だから、これは政府として真剣に検討すべき問題です。いずれにしても、使えるようにしておかないと、これはどうするんですか。これは調整付きませんよ。だから、そういうことをきちんとやっていただきたいと思うんです。  もしそういう可能性がゼロでないということであれば、私は林大臣に、もしそうなった場合にはそれを使ってほしいというふうにお尋ねしようと思ったんですけれども、その前提が今、まだ答弁がなかったものですから、これは政府として、法務省を中心として是非これは御検討いただきたいと思います。
  58. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 法務省から一般論が今お話がありました。さすが古賀委員、役所の経験もあって、私も行革をやっていたときは、などというのが出てきたときは常になどの中身を言えと、こういうことをずっと言っておりましたので、そこが大変大事なところであるということはそのとおりでございます。  今の段階では、そもそも債権者である原告団から強制執行の申立て、これが行われていませんので、仮定の問いと、こういうことになるのでなかなかお答えしにくいと、こういうことでありますし、先ほど申し上げたように、大部のものも出たものですから、慎重に検討していくということなんですが、一般論で今、民事執行法のお話があったので、三十五条で、確定判決の後に生じた事由によって債権者の請求権の存在、内容について異議がある場合にこの請求異議の訴えを起こすというふうに書いてございます。  この規定は、一般的には、民事的な債権債務関係にある当事者が確定判決後の事情を理由として争うということで使われているものでありますから、国がこの制度で訴えを起こしたことは今までないんではないかと、こういうふうには思っております。また、この差止め仮処分という判断が今申し上げた事由に当たるかと、これも前例はないと、こういうふうに承知をしております。その前提で、先ほど申し上げたように、関係省庁でしっかりと検討してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  59. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 確かに前例はないと思います。ただ、今起こっているこの現実は、これこそ前例がないんです。前例がないことに対しては前例のないことで対応していかなければならないわけです。ですから、その辺をきちっと踏まえて政府として御検討いただきたいと思います。  私は、この問題は、開門するのかしないのかというこの二項対立にばかり注目が行く余りに、排水門をこじ開けること自体が自己目的化しているように思うんです。問題の本質はそうではないと思うんですね。有明海の環境保全をどう図っていくのか、再生をどうするのかというのが本質なんです。  先ほど、福岡高裁判決で諫早湾干拓事業と有明海の環境変化について、諫早湾近傍部以外の大部分は因果関係は認められないという認定がなされていたということは申し上げましたけれども、このことは佐賀地裁、一審の佐賀地裁でも、それからまた国の環境アセスでも同様の認定なんですよ。したがいまして、真の原因は別のところにあるということなんです。その原因究明と対策が進まないから諫干がぬれぎぬを着せられてしまうと、そういう背景があると思うんです。  そこでお伺いしたいんですけれども、この有明海の環境変化の原因究明、そしてその対策、それが今どんな状況なのかをお伺いしたいと思います。
  60. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 有明海再生についての取組でございますけれども、有明海につきましては、赤潮それから貧酸素水塊の発生等により漁業は大きな影響を受け、厳しい状況にあることは十分に認識をしております。このような中で、農林水産省におきましては、覆砂それから耕うんなどの事業実施しており、その効果として貝類の漁獲量の増大や底質環境の改善なども確認をしておるところでございます。また、本年度から、新しい垂下養殖技術によりまして貧酸素水塊を避けてアサリやタイラギを養殖する実証試験に対して支援を始めております。  このような各種対策を講じ、今後も有明海再生のために必要な取組を推進してまいりたいと存じております。
  61. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  やはり、この対策が進まないと、有明海の環境悪化に悩む方々にとっては本当にこれは切実な問題が一方にあると思うんです。だから、まさに一縷の望みといった感じでこの諫干の開門に過大な期待を寄せてしまう、そういう背景があると思うんです。だから、有明海再生を是非加速していただきたい、そのように心からお願いしたいと思います。  私は、この問題についていたずらに党派的な対立を持ち込むつもりはありません。むしろ、政治の果たす役割というのは冷静でなければいけないと思うんですね、この問題については。ですから、地元を混乱に陥れた菅元総理のように、諫干を政治利用してはいけないと思うんです。地元の皆さんはそれに翻弄されているんですよ。  今日、たくさんの方々がお見えいただいています。諫早、地元からお越しいただいているんです。皆さん同じ気持ちだと思うんですよ。今までずっと二人三脚でやってきた、この事業を進めてきた、その農水省にある日突然裏切られたわけですよ。驚きですよね。悲しみだと思います。憤りだと思います。それを今、正常に戻そうということなんですよ。  私は今回、自民党の国会議員というよりは、一人の諫早の人間として質問をさせていただいたつもりです。ここにいらっしゃる地元の方々と気持ちを同じくして質問させていただきました。皆さん、今の政権に本当に期待しているんです、前の政権に裏切られただけに。是非、地元の悲痛な叫びをもう真摯に受け止めていただきますよう本当に心から切にお願いを申し上げまして、先ほど指摘申し上げました検討を進めていただいて、是非善処していただきたいと思います。  今日はこの法案質疑ということで、そのほかの質問も用意してきたんですけれども、ちょっと時間がなくなってしまいました。幾つか最後に御指摘だけさせていただいて終わりたいと思いますが。  法案内容と直接はかかわらないですけれども、燃油対策、漁業の燃油対策なんですね。これは私、もうどこかでお伺いしたかったというところはあるんですけれども、今、私も選挙戦等を通じて離島を回って特に感じるんですけれども、非常に深刻です。もう将来に展望が抱けない、漁業に。若い人から辞めていっている。ショッキングでした。やっぱり、将来展望の持てる漁業、これは地域の存亡というだけではなくて……
  62. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 古賀君、時間が来ておりますのでまとめてください。
  63. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 はい。  だけではなくて、国境離島のような地域では国防上問題があると思います。  是非、今燃油価格の平均ということでやっていますけれども、漁業経営の実態を踏まえた恒久的なセーフティーネットの発動ラインというものを御検討いただきたいということを切にお願い申し上げまして、ちょっといろいろ行き届かない面もあったと思いますけれども、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  64. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党の郡司彰でございます。今日は、今国会になりまして初めての質問をさせていただきたいと思います。  法案に先立って、食品の虚偽表示のことについて大臣にお尋ねをしたいなというふうに思っております。  十二日でありましょうか、農林水産省の方から食品表示の適正化に向けた取組方針を大臣の発言としてなされたということで、適正な取組内容が発表されているわけでありますけれども、私は、その中で、違反が多く報告をされる食材、エビというような表現がございました。このエビについて、これまで虚偽表示のことについては前回の委員会で徳永委員の方から当然なすべき質問がなされておりますので、切り口を変えて御質問をしたいなというふうに思っております。    〔委員長退席、理事山田俊男君着席〕  資料を付けさせていただいておりますが、二枚目のところを御覧になっていただきます。日本の国別エビ輸入量の推移ということで一九八九年から一二年までのものが載っておりまして、それぞれそのときの国の量がある。全体を見ると、合計のところを見ますと、約三十万トンから今は二十万トンぐらいに十万トンぐらい減ってきております。その下の表は、ちょっとこれ分かりづらいんですが、一番右の方が一二年から一一年、一〇年、九年、八年というような形で、この間のエビのトータルの輸入を、一番多かったところがベトナムでありますよと、こういうような形で書いてあります。これを見ますと、例えば中国、上の表と合わせて見ると、三万七千トン余りのものが一二年で言いますと一万五千トンぐらいに減ってきている。  これは、全体が減っている中でもちろんこういうことが起こるのでありますが、なぜこういうようなことが起こるのかといえば、これは一ページの方の資料を見ていただくとお分かりになりますように、これも農水省の資料でありますけれども、世界全体の食の市場の規模というのが三百四十兆から六百八十兆、約二倍になるんだと。しかし、アジアだけを見れば三倍になるような動きで、今市場の規模が拡大をしている。  私は、もう二十年ぐらい前でございますけれども、自宅に中国の留学生というのが半年ぐらい住んでいることがございました。その方は三十歳ぐらいで、両親は、片方の方が中国の空港の責任者、片方の母親の方が大学の教授、中国でいえば相当裕福だったのかなというふうな感じがしておりますけれども、その方が三十歳を過ぎて日本に来て半年間で、二か月たったときに、三十歳になるまで食べたエビの量よりも日本に来て多くのエビを食べましたと、こういうような表現をなさっていました。    〔理事山田俊男君退席、委員長着席〕  当たり前のことでありまして、大臣よく御存じだと思いますけれども、エビというのはそのときの世界の豊かさの象徴なんですね、輸入の国のランクというものは。ですから、もうずっと前からいえば、スペインでありますとかフランス、イギリス、そしてアメリカとか日本という形になってずっと推移をしてきているわけであります。こういうような推移の中で、世界の食の市場が変わってくる。しかし、日本のところにおきましては、当たり前のようにどこに行ってもエビがたくさん作られる。十年前にインドネシアに行ったときも、空港からジャカルタまで行くときに、みんな食べるためのお米の田んぼを潰して日本に送るためのブラックタイガーの養殖をしていたわけであります。今、ブラックタイガーよりももう少し病気に強いとかいろいろな食材に合うようなという形でもって、最近話題になっているようなエビというものも台湾でも養殖をされたり、いろんな形でもって日本を始めとするところにどんどんどんどん輸出をするようなことが行われてきた。  一方で、先ほど言ったように、これからは自らの国がそれを食べるような時代に入ってきているんですよ。こういう中で、前の五月のときにもお話をさせていただきましたが、日本は食べられるものを捨て続けている国なんです。そういう中で今度の、日本人の胃袋を満たすために世界中から集めてきている食材の中で表示が違うという問題が起こってきている。これは、表示が違うのはやっちゃいけないことです。当たり前のことです。是正はしなければいけませんけれども、一方で、根底にそのような食の、飽食という問題が横たわっている中で今回起こっているのではないかというような感じがいたしますけれども、大臣の御感想をお聞かせください。
  65. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今先生からお話があったことは、前大臣のお言葉としても大変にそのとおりだと、私も同じ認識を共有して農政に当たっておりますが、まずは、おっしゃっていただいたように、この表示の問題は大変遺憾なことであって、あってはならないことであると、こういうことであります。  基本的には食材や料理を提供する業者の問題ということですが、やはりこうした問題が発生する要因の一つとしては、今先生からお話があったように、多くの食料をやはり海外に依存しているということ、我が国の食料供給構造、これもあるんではないかというふうに考えております。  メニュー表示の問題については、我々としても、十二日に外食関係団体等を招集しまして、食品表示の適正化に向けた指導を行うとともに、食品表示Gメンというのがおりますから、普及啓発活動、またDNA分析等もやっていって、表示内容確認等の取組を行うと、こういうふうに考えております。  一方、まさに今郡司先生からお話がありましたように、こういう機会に我が国の食料供給構造、それからやはり日本人の食生活、我々子供のころから、一粒たりとも米を残すなと、お百姓さんに申し訳ないと、こういうふうに言われて、そのせいかこういう体型になりましたけれども、国民全体でやっぱりそういう大事にするということも含めたことを見詰め直すきっかけにすることは非常に大事だと、こういうふうに考えております。やはり米を中心とした日本型食生活の実践を推進するとか、それから食材提供の場を活用した栄養指導講習会、食生活改善活動への支援と、こういう食育の推進についても積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  66. 郡司彰

    ○郡司彰君 ありがとうございました。  大臣、いろいろなところでこうした問題についての発言があろうかと思いますけれども、今のような視点ももし加えていただければ有り難いなというふうに思っております。  その十二日の発言のところ、最後のところに、この食品偽装というのは我が国の食への信頼を失うことになるというような大臣の発言がございました。時あたかも、ユネスコに食の文化、和食というものを申請をしておりまして、年内には可否が下されるんではないか、こういうような話もございます。一方で、七年後のオリンピックということも決まりまして、まさに日本の和食というものが世界に対して非常なプライオリティーを持ってきている。そして、いわゆるおもてなしということを考えてもこれは最高の素材ということになるんだろうというふうに思っております。  日本に対する和食を含めたイメージのアンケートというものがございまして、そのときにいただいた、ほかの国の方々のいいよというものは、日本というのは大変穏やかな国であると、安全、安心な国であると、そして平和な国であると、こういうような言い方があったようであります。まさに、今まで私たちの国はそのような評価をいただいてきたんだろうというふうに思っております。  詰まるところ、これからはちょっと林大臣ではなくて、宏池会の林座長の立場でもお話をいただければと思いますが、先ほど言ったような日本のあるべき姿と今の評価をいただいているところというのは、まさに宏池会が目指すような日本の姿そのものではないかなというふうに思っておりまして、また必要以上な経済を至上とするようなものでありますとか、あるいはバンカーから出すときにはサンドウエッジを使うんだけれども、バンカーはどうも右の方にばっかり入るようなことでは困るとか、いろんなことが起こってくるんだろうというふうに思いますけれども、和食の文化そして日本の海外からの評価含めて、林座長兼大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。
  67. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  ここでお答えする限りは大臣という立場を外してということはなかなか難しいと思いますが、せっかくのお尋ねでございまして、宏池会を始められた池田元総理から脈々と、非常に落ち着いた政治また風格のある国家と、こういうことをずっと先輩方が言い続けてきておりますので、我々もしっかりとそれを受け継いでやっていきたいと。こういうふうに思っておりまして、そういった意味でも、今回のこの問題というのは、大変に国内のみならず海外の消費者からの日本の食の信頼が揺らぎかねない重大な問題であると、こういうふうに考えております。  そもそも和食は、多様で新鮮な食材の持ち味を尊重して、栄養バランスも優れており、これも宏池会的に言えば、自然を尊重しながら自然との共生の中で生きていくと、こういうことになろうかと思いますが、こういう日本人の精神を体現したものであり、こういったところが全体として今ユネスコの無形文化遺産に推薦のところまでこぎ着けていると。こういうことでありまして、今まさにこの十二月に最終的に決定するという大変大事な時期である、こういうことでありまして、そういった時期にこういう問題が起きているのは大変に遺憾なことであると、こういうふうに思っております。  したがいまして、政府全体としても、十一日に食品表示等の関係省庁等の会議をやりまして、各省庁がそれぞれ所管業界に対して、違反事例等の周知、表示適正化の取組状況の把握、それから表示の適正化の要請、速やかに実施していくという方針も決定したところでございまして、我々としても先頭に立ってしっかりと取り組んでまいりたいと、こういうふうに思っております。
  68. 郡司彰

    ○郡司彰君 総じて再生エネ法の議論に入らさせていただきたいというふうに思いますけれども、まず、個別の条文その他の関係の前に、今いろいろとこの委員会の中でも議論をされましたけれども、産業競争力会議とか、あるいはまたいろんな会議が開かれております。そういう中で、最大の幅を取ると本当にこれまで行ってきたような農政とは異なる部分が出てくるかもしれない。だとすると、一つ一つの閣法を議論をする際にその大体の幅というものをとらえておかなければ、その閣法そのものが議論をすることの有効性が出てこないのではないかという形で質問をさせていただきたいと思いますが、まず産業競争力会議についてお伺いをします。  農業分科会、これはもうここの皆様方よく御存じのことでございますけれども、再興戦略の書きぶりは、農林水産業を成長産業にする、全農地面積の八割が担い手、法人経営体は五万法人というようなことを今後十年間でやっていくということになっているわけであります。  そこで、まず単純な話をお聞きをしたいというふうに思いますけれども、この割合でいきますと、十年後、担い手が農地の八割ということはそれ以外のところが二割になるわけでありますが、担い手が何万ヘクタール、何万人、その他の二割が何万ヘクタール、何万人、平均年齢が幾つぐらいになっているのでありましょうか。そのことについてお尋ねしたいと思います。
  69. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 私の方からお答えをさせていただきますので、お許しをいただきたいと存じます。  現在、我が国の農業構造を見ますると、これまでの農地流動化の結果といたしまして、認定農業者や集落営農を含めた担い手の利用面積は農地面積全体の約五割となっております。  さらに、本年六月の日本再興戦略におきまして、担い手への農地集積、集約を加速化をしまして、担い手が利用する農地の割合を現在の五割から八割まで引き上げることが目標として定められたところでもございます。  平成二十四年の農地面積四百五十五万ヘクタールを前提といたしますれば、その八割に当たる三百六十四万ヘクタールを担い手が利用をし、残りの二割に当たる九十一万ヘクタールを担い手以外の人が利用するということになると考えております。  この目標でありますけれども、農業の競争力強化を図る観点から定められたものでございまして、国全体としての担い手の農地利用の目標でありますけれども、これに対応する担い手と担い手以外の人数、農業者の平均年齢につきましては定めておらないということでもございます。  なお、現在の年齢階層別の基幹的農業従事者数を見ますと、六十歳以上が百六万人と約六割になっております。四十代以下が二十万人弱で約一割となっておりまして、世代間バランスが崩れた状態となっております。  したがいまして、持続可能な農業を実現していくためには、定着する青年就農者数を、現在一万人でありますけれども、二倍の毎年二万人としまして、十年後に四十代以下を現在の二倍の約四十万人にしていくことが必要と考えているところでございます。
  70. 郡司彰

    ○郡司彰君 重ねてもう少し数字のことについてお尋ねをしたいと思いますが、五百八十六というと、このごろは皆さん頭の中に入っている数字があるわけでありますけれども、農家人口がちょうど五百八十六万人、昨年度、二十四年度というような数字なんだそうであります。戸数が二百五十三万戸、平均で二・三人ということになるんだそうでありますが、それを頭に置きながら、先ほどのことにプラスをして法人数が五万になるということであります。  これは時間の関係でちょっとその後の議論が細かくできないかもしれませんけれども、内閣府の方で特区の法案が審議をされておりまして、私どもも本来は議論をしなければいけないところでありますけれども、その中にも、農地の移動の問題、それから役員の要件緩和の問題ということが入っておりますが、この法人数五万というのは要件緩和をした上での前提なんでありましょうか。そのことも含めてお尋ねをしたいなというふうに思います。
  71. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 法人経営体数がこの十年で二倍以上に拡大をいたしまして、現在は一万二千五百法人となっております。また、そのうち約四分の一が一億円以上の売上げを持っているのでありまして、この一万二千五百法人には実態的に家族経営である一戸一法人は含んでおりませんで、一方で、リース方式で参入した企業は含んでおります。  農業発展させていくためには、的確かつ機動的な経営判断を行うことができ、投資財源の確保や雇用の安定の面でもメリットのある法人経営体を拡大をしていくことが必要であると考えておりまして、複数の個人経営の法人化や集落営農の組織化と法人化、さらには企業の農業参入などを進めていく考えでもございます。  このために、農地中間管理機構を活用した法人等への農地集積、集約化、さらには法人等に対するスーパーL資金による低利融資、そして法人等に対する農業経営基盤強化準備金制度による税制上の優遇措置や法人に対するアグリビジネス投資育成株式会社による出資ですとか、集落営農の法人化への支援なども考えております。  そしてまた、リース方式による企業の農業参入を積極的に推進していくことといたしておりまして、これによりまして、今後十年間で現状の約四倍、過去十年間の二倍のペースの五万法人としたいと考えているところでもございます。  以上であります。
  72. 郡司彰

    ○郡司彰君 また後でそのことについてもお尋ねをしますが、時間の関係で国家戦略特別区域法案については割愛をさせていただきたいと思いますが、ただ、国家戦略特別区域諮問会議ですね、これ大臣がお入りになっていない。つまり、決定に参加ができていない、関与できていないというような形で本当にいいんだろうか。あるいはまた、先ほど言いました生産法人の要件緩和あるいは権利移動の市町村との事務分担、これ二十二日に衆議院の予算委員会で、やる方向という答弁があったようでありますけれども、本当にこのことについても時間があればまた次の機会にでもお尋ねをしたいなというふうに思っております。  次に、食料・農業・農村基本計画ということについてお尋ねをしたいというふうに思いますが、まず、私は、食料・農業・農村基本法というのが今の農政の基本だろうというふうに思っておりまして、それに基づく基本計画というものがなされている。これは、十年を見通して五年ごとに変更するというような形で、今現在は二十二年の三月に作られて二十七年のところまでの計画ができているわけであります。  これを見ておりますと、そして今までの議論を重ねておりますと、私はちょっとお尋ねをしたいのは、そもそもこの食料・農業・農村基本法を作ったとき、そしてこの基本計画を作るということをお決めになったとき、これは政権交代ということがございませんでした。したがって、政権交代ということは想定をしないからこういうようなものを作って今までやってきたというような認識でよろしゅうございますか。
  73. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは食料・農業・農村基本法に法律として定められて、そして今委員からお話がありましたように五年ごとにまず計画を策定してやっていくと、こういうことでございまして、条文上、政権交代がないことを前提にするとかあることを前提にすると書いてあるわけではございませんので、これは政権交代あるなしにかかわらず、しっかりとこの法律に基づいて行政をやっていくと、これが基本的な立場ではないかと考えております。
  74. 郡司彰

    ○郡司彰君 大臣からそのようなお話をいただきました。  そうすると、今現在、この食料・農業・農村基本計画というものの位置付け、扱いというものはどのようになっているんでしょうか。それからまた、審議会との関係においてはどのような手続をして行われているんでしょうか。
  75. 林芳正

    国務大臣林芳正君) したがいまして、基本法で施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、今委員からお話がありましたように、おおむね五年ごとに基本計画を策定し、これに基づき施策を推進すると、こういうふうになっております。  毎年の施策につきましては、当然のことでございますが、毎年編成される予算等に基づいて推進をされていくということでございますが、その基になる基本的な考え方や方向、これは基本計画に的確に位置付けられて、これに基づき安定的に推進されるべきものと、こういうふうに考えております。  一方で、農政をめぐる情勢の変化等によって、閣議決定をした基本計画の推進が困難になった場合には、基本法は期中での変更を行うということも予定をしておりますので、こういった事情がない限りは、政権交代があっても閣議決定した基本計画は尊重されて政策推進がなされると、こういうことだと考えております。
  76. 郡司彰

    ○郡司彰君 実際には、この中に書いてあるのは、何が書いてあるかというと、簡単に言えば戸別所得補償と食の安全、安心と六次産業化をやりますよということが書いてあるわけですよ。  今の大臣の発言で、期中でもし変更があればそれは直すんだと言うけれども、これは今のところ直す計画はないというふうに聞いております。  したがって、先ほどの、産業競争力会議がある、それから閣法も出てくる、基本計画はそのままで今も生きているんだとすると、これは何が一番優先されるということで私どもは議論をすればいいんでしょうか。
  77. 林芳正

    国務大臣林芳正君) したがいまして、ここに書いてあることをこの法律に基づいて、法律というのは食料・農業・農村基本法でございますが、この基本計画を変更するというところが生じた場合には所定の手続等々を取ってこれはやらなければいけないということでありますが、今委員がおっしゃったようなことが、その計画上どういう位置付けであって、どういうふうなものが必要になるかということは、そのケース・バイ・ケースで判断をきちっとしていかなければいけないと、こういうふうに思っております。
  78. 郡司彰

    ○郡司彰君 先ほど吉川副大臣からお答えをいただいた数字は、年度は違いますけれども、そのことについても基本計画にももう少し細かい形で記載がされております。それが先ほどのような形で変わる。全体の農地の面積についても十万ヘクタールぐらい違いが出てきている。そうすると、この再生エネルギー関係法案についても、つまるところは、例えば再生エネルギーにかかわる農地というのはどの程度を見込んでいるんですかというような話になってくるときに、これは話として整合性が取れないような形になってくる。私は、その辺のところがはっきりしないと、今後、中間管理機構などはもっとそうでありますけれども、これは議論できないですよというようなことを考えてしまわざるを得ません。そのことについて、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  79. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 本基本計画、これは先ほど申し上げましたように十年間を見通して定めると、こういうことでございますが、この食料・農業・農村をめぐる情勢の変化や施策の効果に関する評価を踏まえて、おおむね五年ごとに見直し、所要の変更を行うと。  この法律には、政府は、第一項の規定により、これは定めるということですが、基本計画を定めようとするときは、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならないと、こうなっておりますので、先ほど申し上げましたように、いろんな状況の変化によって、また予算編成等々によって政策に変化があってこの基本計画というものについて変更の必要が生じると、こういう場合があれば、この法律に基づいてそういう対応をしていくということは、委員が御指摘のように必要なことであるというふうに考えております。
  80. 郡司彰

    ○郡司彰君 私の思いは、これ、生産現場も、例えば基本計画を作ったならば、政権交代があってもなくても、このことはきちんと五年間はやるんですと。そして、それから後のときに検証を含めてまた変えて、そこでもし政権交代がもし更にあったとしても、その政権もこの五年間はきちんとやるんですよというようなことにならないと、本当にこれまで言われてきたような猫の目農政ということの繰り返しになってしまうと。  せっかく、ほかの国ではいろいろな取り方をしていることがありますけれども、アメリカのように何年法というような形で一定の期間というものはこれを信じて農政をしていていいんだなということがないと、例えば減反の問題も、減反を評価をするというのは大変時間が掛かる、難しいことだと思っています。しかし、結果として、そのことによって日本の農政にかかわりがない形の米作りをした人が四割まで増えたんですよ。だから、もう減反をやっても意味がなくなっていたんですよ。そういう意味では、このような形の政権交代による政策の振替というものがまたまたいつでも起こり得るんだということになると、これは私は、農家の方は国の方を見なくていいと、自分たちで決めてやるしかないんだというような形にまた戻っていく可能性があるんではないかなというふうに思っているんです。  そこで、今までの議論は取りあえずおいておいても、大臣の方に御提言でございますけれども、これはどういう形で縛るかはともかく、何かのときにその農業基本法に基づいて作られた基本計画というものがきちんとできたらば、それは与野党の合意でできたということならば、少なくても五年間なら五年間というものはまずそれをやってみるんだと、こういうような合意というものは、私どもが野党になっても与党にもしなることがあっても、同じような形でもって必要なことではないかというような思いを持っておりまして、これは逆に言ったらば、生産者だけじゃなくて、消費者の方も応分のその農政に対する税を負担をするわけでありますから、それはこのときのこういう政策で五年間税を負担をするような制度を認めたということをやっぱりやっていかなければいけない。  このことについて、今日のところで結論が出るわけではありませんけれども、今後、政府としても、与野党の中でもこうした議論というものをすべきだと思いますが、どうでしょうか。
  81. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事な御指摘だと、こういうふうに思っております。猫の目農政ということにならないように、しっかりとした中長期的な展望を生産現場の方、そして、今委員がおっしゃったように、消費者の目から見てもこの安定的な制度が中長期的に予測可能性を持っているということは非常に大事なことであろうかと、こういうふうに思っております。  そのことと、政権交代によってお互いの政党がいろんな政策を主張して、その政策を選択してもらって政権を取る、国会で多数を占めた政党が政府を形成する、その国会によって法律が決まると、このこととの整合性をどう取っていくのかと、こういう問題もあろうかと思いますので、委員の問題意識は共有するところでございますので、しっかりとその辺の整理を考えていきたいと、こういうふうに思います。
  82. 郡司彰

    ○郡司彰君 また、私どもも、そのことについてはこれからちょっと提案もしていきたいというふうに思いますので、またこれから議論をさせていただければなというふうに思っております。  先ほど副大臣から答弁をいただきました年齢の中で、就業人口の平均年齢の推移というものは、これは今現在も出ております。そして、今まで二十年間は、ほとんどが一年を経るごとに一歳年を取ってきたというような経過でございましたけれども、ここに来て少し変わっておりますのは、二十一年から二十二年、三年、四年というのはほとんど変化がなくなってきております。これは、私は戸別所得補償をやったからなどと言うつもりはありません。ちょうど時代的にもそのようになってきていることもあるんです。しかし、今までの戸別所得補償の支払の実績とそれに該当する耕作の面積を見ると、やはり後継者に譲る、それから農地の集約を行うということはこの制度そのものが持つ本質的な部分なんですよ。穏やかに、しかしながら確実に構造の改善が行えるというような仕組みとしてやったということでありますので、そのこともちょっと付言をさせていただきたいなというふうに思います。  時間が少しなくなってきましたから法案の方に入りたいと思いますが、まず、法案の前提として、一年前に法案が提出をされて審議をいただきませんでした。今回、何が加わったから良くなったということになっているのでしょうか。
  83. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 今御指摘をいただきましたように、この法案につきましては、優良農地確保発電利益地域への還元等の観点から懸念がありと、自民党からのそういうような御指摘等々があったと伺っておりまして、さらには、慎重に検討すべきであるという考え方が示されていたところでもあります。  こうした経緯に鑑みまして、この自民党における議論も踏まえながら改めて検討を行った結果、これらの懸念が生じないようにするために、新たな法案では、農山漁村における再生可能エネルギー発電促進につきましては、地域の活力の向上と持続的発展を図ることを旨とするべきこと、さらには、地域農林漁業の健全な発展に必要な農林地等が確保される必要があることという法案の根本的な考え方を基本理念といたしまして明確に規定をしたところでございます。  なお、食料・農業・農村基本計画におきましては、国が講ずべき農業の持続的な発展に関する施策の方向性につきまして規定をしておりますけれども、本法案の基本理念は、国のみならず農山漁村における再生可能エネルギー発電にかかわる全ての関係者が共有すべき根本的な考え方を明らかにしたものでもございます。
  84. 郡司彰

    ○郡司彰君 要するに、基本理念というところが加わったと、それで、その中には二つのことが書かれているということはこれまでの議論の中でもあったとおりであります。  一つ目の、地域をこのような形で活力を維持するんだというような部分については、これは改めて書くような内容では私はないんだろうと思うんですよ。これ、先ほど言いました食料・農業・農村基本法のところの二十二条から二十六条ぐらいにずっといつでも書いてあることなんですよ。だとすれば、農林水産省法案にはいつもこれを入れるようなことになるんですかというような、こういうところで議論がされなかったとすれば、非常に私はおかしなことをやってきたんではないかなと。しかし、その中で一つ抜けています二十七条、高齢者をきちんと活用しましょうというところが今回の部分では抜けているんですよ。  ということは、産業競争力会議がおっしゃっているような文面と合わせると、高齢の方々や中小零細の方々については配慮をしなくていいというようなことがこの基本理念の中にも含まれているんですか。
  85. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 基本法に基本的な施策の方向ということで書いてあるということでございますから、全ての政策においてこの視点が基本的な方向性としてあった上でそれぞれの施策、法案等がある、まずこのことがあると、こういうふうに思っております。  したがって、委員は大臣もされておられましたので、前回の法案と一体どこが違うんだと、こういうことだと思いますが、御懸念がいろいろあって、その御懸念をなるべく払拭して、すっと受け入れられるようなことをやっぱり考えていかなければならないと、こういった経緯を先ほど副大臣から答弁いたしましたけれども。そういう意味では、特に御懸念の強かったところに対して、当然のことというふうに前大臣からはお見えになるかもしれませんけれども、あえてそこを加えることによって御懸念がないようにして、なるべく多くの皆様の賛同を得られるような形に変えて御提案をさせていただいたと、こういうことじゃないかというふうに考えております。
  86. 郡司彰

    ○郡司彰君 改めて、副大臣の方になりましょうか、今後十年後の集落の消滅可能性の数というものが分かりましたらお知らせいただきたいのと、前二十年間でどのぐらいの集落数が消えてしまったのか、そのことについてお答えいただけますでしょうか。
  87. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 私の方から御答弁させていただきます。  集落数の減少でございますけれども、寄り合い活動や農業用の用排水路の保全など集落機能を有すると思われる農業集落数、これは平成二年のときには約十二万集落ございました。それが、平成二十二年には約十三万五千集落ということで、約五千集落減少しております。  また、今後の見通しについてでございますけれども、これは確たることは申し上げることは難しいんでありますが、仮にこの傾向をそのまま継続するというふうに仮定をいたしますと、単純な計算で、今後十年間で見ますと、約二千五百集落程度が減少するということになります。
  88. 郡司彰

    ○郡司彰君 今まで五千ぐらいの集落がなくなって、これから十年間で二千五百ぐらいの集落がなくなるということなんですよね。  そういう状況の中で、今はなくなったんです。九戸以下とか五十戸以下とかというような形になると、莫大な数の集落というものが、農村という定義はございませんけれども、よく言われているような機能というものが発揮できないようなことになってくるんではないかなというふうに思っております。先ほどの計画全国百か所ということでありますけれども、いずれにしても、先ほどは、施設荒廃したときに取り替えるようなことがきちんとできるんだろうかということがありましたけれども、これ、今の状態の中で、そういうような動態予測を含めて、どういう展開が本当に望めるんだろうか。  この後、細かい話をずっとしたかったんでありますけれども、ちょっと時間の関係、配分が悪くてできませんでした。簡単に、今のような集落の減少、それから集落は残っているけれどもほとんど農村としての機能が果たせないようなものが全国的に出てくる、このような中で再生エネルギーというものがどういう位置付けにおいてきちんとなされていく保障があるんだろうか、そのことについてお答えをいただければと思います。
  89. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 私の方からお答えいたします。  先に、さきの私の答弁の中で、平成二年の集落、先ほど十二万集落というふうに申し上げてしまったんですが、十四万集落ということで訂正をさせていただきます。  この農村集落が今後どのような発展に資する取組として考えられるのかというような御趣旨だと思いますけれども、本法案に基づいて再生可能エネルギー発電設備整備と併せて行う農林漁業の健全な発展に資する取組の望ましい例としては、例えば発電設備整備を行う者が売電収益の一部を支出して太陽光発電設備の周辺の農地の簡易な整備を行う、あるいは農業の生産性向上に資する取組を行うと、また、風力発電設備の近隣においては、発電設備の見学者等に地元の農林水産物やその加工品等を販売する直売所を設ける、またその整備、運営する費用に充てる、こうした取組などが考えられます。  他方、実際に農家に電気が供給される際の電気料金というのは、再生可能エネルギー発電設備整備を行う者ではなく、発電設備整備者から再生可能エネルギー電気を固定価格で買い取る電力会社が決定するという、そういう条件になっております。そういうことで、この本法案に基づく農林漁業の健全な発展に資する取組としてこうした様々な取組がございますけれども、発電、供給する側のことというのが一般的には難しいというふうに考えております。
  90. 郡司彰

    ○郡司彰君 終わります。
  91. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  92. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林漁業の健全な発展調和のとれた再生可能エネルギー電気発電促進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  93. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。今日もお付き合いをいただければと思います。  再エネ法の審議ということで、前の国会からのいきさつにつきましては、前の質問者であります同僚郡司彰委員からもいろいろ指摘がありました。  この「農林漁業の健全な発展調和のとれた」という冠を付けた法案のタイトルにしたということは、やはりやたらめったら再生エネルギーだからといって農地を濫用して造るべきではないという思想の表れだと思っています。  そんな中で、少し議論を始める前に前提条件の確認というか、要望、お願いを大臣にさせていただきたいと思います。  今回、この法案に密接に関係するキーワードは農地であります。農地にもいろんな区分があって、優良農地、いい農地、あるいはもう厳しい農地、いろいろあるわけであります。  もう一点、この後の法律とか、あるいはTPPとか、あるいは戸別所得補償制度の見直しや生産調整の見直し含めて、いろいろと言われている前提条件があります。それは、特に経済界から言われているのは、農業者の平均年齢が上がっていくではないか、それから、今言った農地であると滋賀県と同じ面積の耕作放棄地がある、こういうキーワードであります。果たしてそうなのかどうなのかということをもう少ししっかりとしたデータを基に議論を進めた方が、このエネルギー法律でさえもっと有効な議論ができるのではないかと思うわけであります。  人口減少社会を迎えてもっと効率的な農業を目指していくというときに、果たしてこれからも現在ある農地全てが農地としてカウントされるべきかどうかという議論がどこかでされるべきだと思います。すなわち、もう既に木が生えている農地もありますし、農地に復元するために膨大なコストが掛かるであろう農地もあります。そして、現代の流れでいうと、ほかの農地に比べて大変小さい面積の農地もあるわけであります。どこかでやはり農業人口、集落、それから全国農地、しっかりと検証をしてから様々な共通認識に基づいて様々な政策の議論や法律の議論をすべきだと私は考えますけれども、大臣の御認識をいただければと思います。
  94. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事な視点であると、こういうふうに聞かせていただいたところでございます。  よく六十六歳が平均年齢である、それから五十歳以下が何割しかいないと。これは確かに統計上は間違ったことを言っているわけではないでありましょうし、それはそれできちっと受け止めなければいけないと思いますが、じゃ、日本全体の平均余命が何歳でこれが何歳なのかと、そういう視点、今言っていただいたと思いますけれども、そういう視点で総合的に見るということ。  また、耕作放棄地についても、ずっとやってきて、そして今はこういう滋賀県並みのことになったと。これはこれで、もし止められるんならいろんなことをやって止めていく、新しい活用もしていただくと。こういうことも大事かと思いますが、歴史的に遡って、ずっと食料増産で人口も増えて、そして開墾して造ってきたと。こういう経緯もございますから、人口が今減少している、そして食料に対する需要もいろいろ変わってきている、こういう中でこれをどうとらえていくのかと、こういうことも併せて見ていく視点というのは委員がおっしゃるように当然あり得るべきものと、こういうふうに考えております。
  95. 小川勝也

    ○小川勝也君 特に、山田俊男理事からは、やっぱり優良農地に例えば太陽光パネルをばかばか建てるような自然再生エネルギー促進はすべきではないという御注意、御指摘もいただいています。共通の認識です。しかし、先ほど私が申し上げましたように、これからはもう優良農地に変えるべくもないその農地は一たび森林に戻すとか、あるいはエネルギーのために転換するとか、そういった合理的な施策も考える時期に来ているのではないかというふうに思っているところであります。  そういった工夫もお願いをしながら、この表題にありますように、「農林漁業の健全な発展調和のとれた」という前提で、再生可能エネルギー促進を進める立場から質問をさせていただきますが、午前中の質問でも大事な観点質疑が行われました。  まさに三・一一以降、私たちの国、おのずからエネルギーをどうするのかという議論が大きく沸き上がりました。原子力発電に対する政策は様々な政党、個人、考え方があるでしょうけれども、自然再生エネルギー促進という言葉に関していうと、目くじらを立てて反対する人はいないわけであります。幾つかの前提条件がクリアになれば、再生エネルギーは諸外国と同じように、あるいはドイツやスペインを目標に増やしていこうという、そんな思いは大勢だと思います。  午前中の質問にもありましたとおり、都会の事業者がしっかりとその利潤を追求するために資本を盾に農山漁村にパネルを設置してその利益の大部分を都会にもたらす、こういう再生エネルギーは私は芳しくないと思うわけであります。それから、私の認識においては、太陽光や風力よりも、午前中、沼田長官から、まさに木質バイオマス利用した発電がどれだけの雇用をという話もありました。雇用と利潤を農山漁村にどうとどめるのか、これはこれからの農林水産省の腕の見せどころだろうというふうに思っているところであります。  私たちの課題は大変大きなものもありますけれども、この雇用と利潤を農山漁村にという観点から、力強い御答弁をお願いしたいと思います。
  96. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 本法案の枠組みに基づきまして、この再生可能エネルギー発電を行う場合、まさに今委員も御指摘いただいたように、この発電設備整備は当然のことながら、これに併せて農林漁業の健全な発展にやはり資する取組を行うと、これが必要であると考えておりまして、売電収入の一部がこの取組のために使われて地域還元されるということになるわけでございます。  地域農林漁業者・団体が再生可能エネルギー発電を自ら行う、こういう場合には売電収益そのものが地域還元されると。まずこれがあるわけでございますが、さらに、その地域の方でない方が発電設備整備した場合でも、まず地権者、これが農業上の再生利用が困難な荒廃農地の有効活用、先ほど冒頭の御議論があったように、なかなかもう木も生えて農地に戻すのは難しい、こういうところを有効活用することによって、今はそういう収入がないところが新たな地代収入が出てくるということ、そしてまた、市町村においては、固定資産税というものも入ってくると。こういうこともございますし、それから地元の企業も、やはり発電事業への関与、例えば設備整備ですとかメンテナンス、こういうものも出てくることが可能となるということで、こういうことを通じて雇用につながっていくと。いろんな地域経済への波及効果を期待していきたいと思っております。
  97. 小川勝也

    ○小川勝也君 今大臣からは地代と固定資産税というキーワードをいただきましたけれども、あえて申し上げるならば、都会が、あるいは都会の事業者農山漁村地域でそういった事業を営む場合はまさに利益追求が第一義的な要求になるわけであります。地域の将来のためにならない事業者が出ないためにどんな歯止め、工夫を用意しておられるのか、重ねて御質問をさせていただきます。
  98. 山下正行

    政府参考人山下正行君) 本法案におきまして、本法案による措置活用する事業者、これは地域内の主体であるか否かに問わず、先ほども大臣から申し上げましたように、再生可能エネルギー発電設備整備と併せて農林漁業の健全な発展に資する取組実施する必要があると、こういうこととしておりまして、このような取組を通じて、再生可能エネルギー発電利益地域還元することになると考えております。  一方で、地域における所得の向上により農山漁村活性化に貢献するという観点からは、地域農林漁業者やその団体といった主体が再生可能エネルギー発電事業に取り組むことが望ましいと考えております。このため、平成二十六年度概算要求におきまして、農林漁業者やその団体が主導する再生可能エネルギー発電事業構想から運転開始に至るまでに必要となる様々な手続取組への支援等に必要な予算を盛り込んでいるところでございます。  本法案による措置に加えまして予算措置活用して、地域主体の農林漁業者が主体となるような取組を進めてまいりたいと考えております。
  99. 小川勝也

    ○小川勝也君 私は、この法律に電気の発電ということが書かれているわけであります。当然、冒頭申し上げましたように、三・一一、私たちの国は電力を中心としたエネルギーをどうするのかという大きな局面に立たされているわけであります。しかし、エネルギーは電力に限らないわけでありますので、私は、今回のこの法律が成立した暁にも、電力によらない自然再生エネルギー農林水産省としてしっかり取り組んでいただきたいという要望をさせていただきたいと思います。  午前中の幾つかの質問者の質問の中にもありました。私個人の好みも申し上げさせていただくと、風力発電よりも太陽光パネルの設置よりも、一番大好きなのは木質バイオマスであります。その次に好きなというよりも同等程度好きなのは、家畜ふん尿によるエネルギー供給であります。これは、言うまでもなく、エネルギーの地産地消であるにもかかわらず、雇用をしっかり生み出すということです。比較して想像すると、風力発電にしろパネルにしろ、設置をした後は、あとは若干のメンテナンスしかないわけであります。最もすばらしいのはまさに木質バイオマスで、木は切ったら植えなきゃなりません。運びます、切ります、そして燃焼させるときにはしっかりとその監視員が必要になるわけであります。  私は北海道出身者として、この委員会でも何を申し上げているかというと、コミュニティーの維持が心配だということであります。北海道が先に効率的な農業をした結果、まさに午前中、郡司さんからも指摘があったように、本当に集落が危ないというところがたくさんあるわけであります。これからこの委員会でも議論して未来志向の農業に変えていけばいくほど農業従事者は減っていきます。農業従事者が減っていくその先にも農村コミュニティーを維持するためには、後で申し上げる六次産業とこの自然再生エネルギーをミックスさせて、しっかりと先見の明を持って農村集落とコミュニティーを維持発展させていく、この哲学がないと、先ほど来申し上げておりますけれども、経済界の言うがままに効率的な農業を求めれば、農村集落の維持は大変困難になっていくんだと思います。  ですから、そんな観点から、私は、バイオマス、木質バイオマスによるエネルギー供給、これは釈迦に説法ですけれども、電気に変えるというと、電気はまさに使い勝手がいいエネルギーでありますのでいろんな使い方ができますけれども、そこには一端のロスが出るわけであります。木質バイオマスを最も効率的にエネルギーにするのは、多分熱供給だと思います。  これは、幸いにして、北海道は日本の中で最も積雪寒冷な地域でありますので、その木質バイオマスを直接熱エネルギーに変えて供給ということが一番効率的なエネルギー利用の仕方でありますので、私の出身の北海道上川管内、その北部地域はまさに最も寒い地域でありながら、木材の町、下川町を始め私のふるさと和寒町を含め、農林水産省の温かい御指導をいただいて、木質バイオマスをまず熱として使いましょうというその政策の恩恵に浴している地域であります。  発電によるエネルギーということも大事でありますけれども、引き続き、そのまま木質をエネルギーすなわち熱に変えるというこの方法も大事な政策として推進をいただきたいわけでありますけれども、確認の答弁をお願いします。
  100. 山下正行

    政府参考人山下正行君) お答え申し上げます。  先生おっしゃるとおり、再生可能エネルギーを熱として利用することは、これは農山漁村活性化に加え省エネルギー事業活動に伴うCO2排出の削減に資するものであり、大変意義あるものと考えております。一方、現時点では、熱の利用につきましては、例えば農林漁業活用する場合、事業の採算性ですとか技術性能面で課題を克服する必要があると考えております。  この熱につきましては、再生可能エネルギー発電と熱供給では導入促進に向けた課題や手法が異なるため本法案では対象としておりませんけれども、例えば、本法案による農林漁業の健全な発展に資する取組の一環として、売電収益を活用して熱の農林業上の利用等の取組促進すると、こういったことも国の定める基本方針において定めることも検討しておりますので、熱の適切な利用を促してまいりたいと考えております。
  101. 小川勝也

    ○小川勝也君 その苦しい答弁もよく分かるんですが、私は、今のそのキーワードの中のまた売電、この売電に偏るのはいかがなものかと思います。売る前に使うことを考えるのが一番大事。  私は、先ほど来申し上げているとおり、一番大事なのは、農山漁村地域に雇用をどう生み出していくのか。電気をつくって売ってしまったらそれを電力会社においしいところを取られてしまう、自分がその熱エネルギーかあるいは発電により得られた電力エネルギー利用して六次産業化の取組をして地域の雇用と付加価値を更に高めていく、このことを農林水産省こそが指導すべきだと私は訴えたい。いかがでしょうか。
  102. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今の委員のお話を聞いておりまして、最近、最近というか少し前に「里山資本主義」という本を読みましたが、まさに今委員がおっしゃったように、自分のところであるものを使って自分のところのエネルギーを、電気にかかわらず、きちっと供給していく、そういう意味で非常に今の電力のネットワークからある意味で独立ができると、こういうようなことが書いてありましたけれども。やはりそういう集落とか市町村ベースでそういう実際に計画を立てておられるところもあるというふうに承知をしておりまして、大変大事な取組ではないかというふうに思っております。  したがって、今委員がおっしゃったように、熱を電気に変えるとそこでエネルギーロスが出て、ネットワークに売って例の買取りでお金はもらえると、こういうことですが、その手前で、そこにエネルギーに対する需要があれば、熱のまま使うということによって、その変換ロスとそれからこちらに売ってしまうということをやらずに済むというところがございまして、バイオマスでまた活用というとちょっと新しく聞こえますけれども、昔から地元ではそういうことをやって、きこりさんがやってと、薪をたいてということをやってきたわけですからそう難しく考える必要もないのではないかと、こう思いますけれども。  一方で、施策としては、実は次世代施設園芸、こういうものも考えておりまして、再生エネルギー等の地域エネルギーを熱として利用する大規模な施設園芸拠点の整備を推進していこうと、こういう形で、その地場で回っていくようにということも意を用いてやっていきたいというふうに考えております。
  103. 小川勝也

    ○小川勝也君 前向きにお取組をお願いをしたいというふうに思います。  第一希望、第二希望いろいろあるわけでありますけれども、まあ第三か第四か分かりませんけれども、個人的な好みを申し上げました。  風力発電やいわゆる太陽光パネルで得られた電力エネルギーもその農山漁村地域で工夫して使うことはやはり善、ベターだろうというふうに思います。例えば動力ですと、今、流行してくると思いますけれども米粉の利用、これは言うまでもなく粉にするために動力が必要でありまして、昔は水車などで使われていましたけれども、これは農山漁村地域にあるエネルギー動力を利用して米粉を作る、あるいは菜種を搾る、全てエネルギーは地産地消が可能なわけでありますので、付加価値と雇用を地域にもたらすべく、なるべくその恩恵を他地域に渡さないように努力に努力を重ねるのがこのエネルギー利用の最も大事なポイントだというふうに思います。  改めて、熱に限らず電力を含めて、地産地消、六次産業化、雇用、付加価値、これは今大臣からの御答弁もありましたとおり、施設に対する熱供給も使えるわけであります。それから、全ての工場は電力が必要でありますので、まんじゅう工場もお菓子工場もあるいは野菜の乾燥工場も全てエネルギーを消費するわけでありますので、今回のこの自然再生エネルギー法律ができた暁には、まさに六次産業化と相まって農山漁村地域発展するように更なる御指導をお願いをしたいと思いますが、もう一言お願いします。
  104. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど局長からも答弁いたしましたように、この法律の中でも健全な農林漁業発展に資する取組一つとして売電収益の活用ということも申し上げましたけれども、この法案に基づくそういう措置や、先ほど申し上げましたほかの施策も総動員しながら、地域でなるべく回っていく、こういう姿を目指すことによって農山漁村活性化していくと、これを目指していきたいと思っております。
  105. 小川勝也

    ○小川勝也君 ありがとうございます。  私は、この法律、まさに与党のときから審議をしようと思って待ち構えていましたけれども、私の右手におられる方々の御協力がなかなか得られなくて本日まで来るわけでありますけれども、どこを応援したいと思ってこの法律を眺めていたかといいますと、言うまでもなく被災地であります。被災地の農地の中には、まさに食料たる農産物を生産するに適さない農地が出てきてしまいます、あるいはしまいました。  先日も南相馬地域に視察に行ってまいりました。いろんな農作物はできます。米も野菜もできます。それからもっと言うと、消費者の懸念がない、いわゆる施設の中で農産物を作るということも可能であります。しかし、風評というものはそれほど優しくないという厳しい現実にも接してまいりました。しからば、エネルギーをつくる作物を農地で作っていただいた方が、これはみんなウインになるのではないかと、こんなふうに思っているところであります。  このことについてお伺いをしたいわけでありますが、まずは、私が与党時代からも含めて福島の森林・木材関係者からいわゆるバークの処理がなかなか進まない、あるいは稲わらの処理が進まないんだ、こういう話も受けております。それぞれ農林関係物資、今、処理がどこまで進んでいるのか、御答弁をいただければと思います。
  106. 梶原成元

    政府参考人(梶原成元君) 今先生御指摘のバークにつきましては、これまでのところ一キログラム当たり八千ベクレル以上を超えるものは確認をされておりませんで、八千ベクレル以下のバークにつきましては、廃棄物処理法に基づきまして従前の同様の処理方法により処理が可能だということにしております。  私どもとしては、ホームページ等で安全性につきまして周知をするとともに、関係省庁と一体となりまして、既存の産業廃棄物処理業者への受入れの働きかけを行うなど、その早期処理に取り組んでいるところでございます。  福島県の廃棄物、特に八千ベクレルを超えるものにつきましては、指定廃棄物ということで国が処理をすることとしておりまして、現在、仮設の施設等を設置しまして、集約的に減容化の処理を行うという方針で関係市町村調整を進めているところでございます。その中で、可能な範囲で八千ベクレルを下回る、以下の農林系の廃棄物につきましても処理を進めていくということで進めているところでございます。  例えば、一つの例を申し上げますと、飯舘村におきましては、村内で発生します廃棄物に加えまして、周辺の六市町の農林業系廃棄物等を処理する焼却設備を、仮設焼却炉を整備することで地元の了解を賜りまして、現在事業の発注を進めているというところでございます。  いずれにいたしましても、福島県あるいは関係市町村等と連携をいたしまして、住民の方々の御理解を賜りながら農林業系の処理を推進してまいりたいというふうに考えております。
  107. 小川勝也

    ○小川勝也君 これは私はほとんど知っていて聞いているんですけれども、八千ベクレル以下のものは法律でどこの焼却炉で焼いてもいいことになっているんです。ですね。ところが、じゃ、山田さんの家の隣のあそこで焼きましょうといったときには、山田さんはええって言います。じゃ、郡司さんの家の隣で焼きましょうかというと、郡司さんはいいえと言います。ということは、なかなか焼けないままずっと残っているんですよ。それと、除染しますね。フレコンに入れます。それは、じゃ、どこに持っていきますか。動かす場所がないんです。  これはこの委員会で役所の方に文句を言ってもしようがないんです。これは、この国が、政府がしっかり責任を持って、つらいことも言いながら、つらいハードルも越えながら一日も早く進めていかなければならないということを共通認識にしたいんです。放射性物質に汚染されたものを県外に持っていくということは常識的でしょうか。私は、どこかでつらい判断を林大臣を始めとする内閣の皆さんが決めて、方針を、そして一日も早く福島の皆さんが、いわゆる被災地の皆さんが再び笑顔で業を進められるようにつらいハードルを乗り越えてもらいたい。林大臣も全部御案内だと思います。大臣の決意を、一端をお伺いしたいと思います。
  108. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 私もこの仕事になる前から地元に何度かお邪魔していろんなところを見せていただいて、またこの仕事になってからも見せていただきまして、今委員がおっしゃったものそのものかどうかは別として、なかなか持っていき場所がなくてそのまま積んであるというところを目の当たりにしたわけでございまして、やはり誰かが、よく我々のこのかいわいでは泥をかぶると、こう言いますけれども、誰かが泥をかぶることによって物事を先に進めていくと。やっぱりこういう姿勢で、そのときそのときに任にある者がそういう覚悟を持つということで進めていくということが大変大事であるというふうに考えております。
  109. 小川勝也

    ○小川勝也君 そんな中で、大変言いにくい話もあるんですけれども、被災地の方々の中には、いわゆる補償金を手にされておられる方もいます。補償金を手にして仕事を奪われている方が、やはり一番楽しいのは、やっぱり自分の仕事をして、汗をかいて、夜一杯飲んだり、休みの時間に遊びに行ったり、これが一番楽しいわけであります。仕事を奪われて、生産的な仕事に就いていない中で遊んだり晩酌をしても楽しくないわけであります。ですので、なるべく社会に貢献をしていただく事業にいち早く復帰をしていただくように、農林水産省としても最大限のメニューを提供して現地に寄り添ってもらいたい。  そんな中で、ここで申し上げるいわゆるところの汚染された農地、これをいわゆる食に供するものができないとするならばエネルギーに供するものをつくっていただく、そのこともこの法律によって推進できないだろうかと私は思っているわけであります。発電になるのか発電にならないエネルギーになるのかは別にして、様々な実験作物や自薦他薦含めて提案がたまってきているはずであります。全てが成功するとは私も信じておりませんけれども、いろんなアイテムを試してみて、それぞれの地域のためにどんな役割を果たしていけるのか、私は税金の使い道の中にそういった費目は許されると確信をする次第であります。  いわゆる除染の進捗が途中の農地においてエネルギー作物を促進するという観点から、農林水産省取組と決意について御答弁をいただきたいと思います。
  110. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 福島県における非食用のエネルギー作物についての考えでございますが、昨年十一月、福島県が、外部有識者等によりまして、福島県バイオマス活用検討委員会というのを設置をいたしました。ここでは、避難指示区域における農地活用した資源作物の生産及びエネルギー化の実用可能性について、技術、採算等の面から調査検討を重ねているところでございます。この委員会におきまして、事業採算性、放射性物質の影響により活用方法が制限されている残渣の処理、プラント整備に対する住民の理解等の様々な課題があり、現時点において対象地域での実用可能性は低いという議論が行われていると承知をしております。  一方、福島県の農業者の方々は、事故前と同様、食用作物を作りたいという、そういう気持ちを持っておられる方も大勢いらっしゃいますので、これにこたえていくことも重要というふうに考えております。  食用作物の生産につきましては、これまでの試験栽培等の結果によれば、除染が完了した地域においては、カリ肥料の施用等による放射性セシウムの吸収抑制対策を徹底すれば基準値を下回る米を生産することは十分可能ということが分かっておりますので、除染や対策の実施によって安全な作物は生産可能というふうになっているところでございます。  除染後の農地での作付け実証などを進め、安全な農作物が生産可能であることを地域で実証するなど、安心して作物の作付けの再開に取り組んでいただけるように農林水産省としては支援をしているというところでございます。
  111. 小川勝也

    ○小川勝也君 これは、私は現地に行って現地の方にお話を伺ってまいりました。農林水産省基準値以下だから米を作りなさいというふうに押し付けてきている、ここまで私は聞いてきているわけであります。  しかし、風評というのは大変大きく強い敵でありまして、福島県内の方でさえ、福島県内の農産物に対してという思いもあるようであります。地域から、例えば菜種を作ってエネルギーにしたい、こんな要望が来ているはずであります。それは様々な検討を加えられているようでありますけれども、いわゆる食用の農産物を作ってつらい思いをしたくないという方々の思いもしっかり耳を傾けていただければというふうに思っているところであります。  菜種のほかにもいろいろと可能性のある作物があるというふうに聞いておりますので、まげてここで、また委員会で再度お願いをさせていただきますので、様々な可能性について御検討いただくよう、御答弁をお願いしたいと思います。
  112. 林芳正

    国務大臣林芳正君) いろいろな可能性をやはりきちっと検討して、そして被災地の皆様が、先ほど先生が冒頭でおっしゃったように、働かずに一杯やるとかそういうことではなくて、しっかりとやることを見付けて、その上で復旧が復興につながっていく、このことが非常に大事だと、こういうふうに思っておりますので、そういう被災者の気持ちに寄り添っていけるような対応を我々も取っていきたいと、こういうふうに考えております。
  113. 小川勝也

    ○小川勝也君 この際ですので、私の印象は、久しぶりに福島にもお邪魔をさせていただいて、やはり除染が大変遅れているなということと、見えざる敵と戦うこの作業というのが本当に大変だなという思いを新たにしたところであります。  野党でありますので、何やっているんだというふうに言ってもいいわけでありますけれども、これが誰がやっても大変なのは承知しているわけであります。必要な作業を合理的な手法でしっかり進める、無駄なことは途中で批判されてもやめる、これが大事なことだろうというふうに思います。  除染全般の進捗と今後について、担当者来ていたらお答えをいただければと思います。
  114. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) 除染についてのお尋ねをいただきました。  放射性物質汚染対処特措法、これは超党派の議員立法で作っていただいたものでございまして、これに沿って避難指示の解除ができるように、また復興につながるようにということで進めております。  御指摘ございましたように、避難指示区域については国が直轄で、それ以外のところについては市町村中心にやっていただいておりますが、進捗にかなりばらつきがございます。国直轄の福島県の十一の市町村の全部、一部にわたるわけでございますが、一つの市は無事既に計画は完了しております。今、見通しとしては、三つの町は予定どおり年度内に計画に乗っている除染を終わる予定でございますが、あとの七つの市町村につきましてはかなりばらつきがございまして、今市町村計画の改定について話合いを行っております。  是非、帰還ですとかあるいは復興につながるような形での除染、そういう意味では、地域のめり張りを付けたりというようなことで、余り画一的ではない、地元の御意向に沿った計画の改定をしたいというふうに考えております。  周辺の市町村につきましてはそれよりは進捗している状況でございますが、福島県内につきましては他県に比べますとやはり厳しい状況がございます。これにつきましては、市町村の除染について我々は技術的な援助、特にまた財政的な裏打ちをするという立場でございますので、これも地元としっかり連携を組んでやってまいりたいと思います。  是非、農林水産省あるいはほかの事業省庁とも連携をいたしまして、復興につながる除染ということを心掛けてやってまいりたいと思っております。
  115. 小川勝也

    ○小川勝也君 途中でも申し上げましたけれども、これは誰もやったことのない作業ですし、知見の少ない中で取り組んだ話であります。途中で、この方法は芳しくないぞ、あるいはこの作業は効率が悪いぞということは改めていただいても私は結構だと思います。しっかりと現時点で最良だと思う方法で着実に除染を進めていただければというふうに思います。  時間も限られてまいりました。私が木質バイオマスと同じぐらい好きな家畜ふん尿による発電について質問をさせていただきたいと思います。  これは、十勝の地域が特にバイオマス産業都市の指定をいただいてしっかり取り組んでいる内容であります。ここでうまくいけば、南九州も牛がたくさんいますので、非常に楽しみになってくるのではないかというふうに思いますけれども。特に北海道地域は二重、三重のメリットがあります。それは、家畜ふん尿がそのものが、厄介者がエネルギーに変わる、発電に供するということです。そして、固形物は土壌改良から肥料になりますし、いわゆる液体は液肥になります。すばらしいことばかりでありますし、またFITの中では大変高い買取り数値もいただいているところであります。様々な取組、十勝でも進んでおりますし、これがもしうまくいけば、途上国への輸出の芽も出てくるのではないかというぐらい私は期待をしているわけであります。  このいわゆる自然再生エネルギーの中においての家畜ふん尿による発電、現在までの取組状況と今後の見通しについて御答弁をいただきます。
  116. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 小川委員が二番目に大好きだと言われる家畜のふん尿の関係でありますけれども、少し丁寧にお答えをさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。  この家畜排せつ物を利用したバイオガス発電を推進することは、畜産農家の経営安定に資するとともに、エネルギー源としての有効活用の面からも極めて重要な取組認識をいたしております。このために、従来より、必要な予算措置を講ずること等によりまして、家畜排せつ物を利用したバイオガス発電を推進してきたところでもあります。御指摘にありましたように、北海道では、十勝バイオマス産業都市構想というものが既に構想が進められているところでもございます。  一方で、この家畜排せつ物の利用に当たって、発電事業の採算性の確保のための効率的な収集ですとか運搬体制の確立、さらに地域住民に対する臭気あるいは排水など環境面での配慮が課題になりますことから、地域関係者間の調整や最適な発電事業用地の確保を行うことが最も必要なこととなってくるだろうと思います。もう御承知のとおりのことでありますけれども。  このような課題に対しまして、本法案の枠組みを活用した場合には、発電事業を行う者、家畜排せつ物の供給や収集、運搬を行う者、地域住民の代表者等が協議会の構成員として参画をすることによって、関係者間で円滑な合意形成が私は可能になると考えております。  さらに、市町村基本計画作成をして再生可能エネルギー発電整備促進をする区域を設定することによりまして、発電事業用地として活用可能な候補地があらかじめ明らかとなって、適切な立地の検討に資することになるのではないかと思います。  御指摘をいただきましたように、この家畜排せつ物を利用したバイオガス発電導入を更に促進をしてまいりたいと思いますので、今後とも御指導のほどをよろしくお願いいたします。
  117. 小川勝也

    ○小川勝也君 困難を乗り越える知恵を農林水産省に出していただきますようにしっかりお願いをさせていただくと同時に、午前中の質疑にもありました、小水力発電水利権との調整が大変厳しいものがあると承知をしておりますが、水をいただくのではなく借りるということで考えると交渉の余地があろうかと思います。農林水産大臣として国土交通大臣としっかり闘って水利権を勝ち取っていただきたいという要望も併せて発言させていただいて、質問を終わらせていただきます。  以上です。
  118. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  まず初めに申し上げますが、本法案については、農山漁村に豊富に眠る再生可能エネルギー活用し、エネルギー供給源の多様化に貢献しながら、同時に農山漁村活性化を図るということで、その立法趣旨及び基本理念に賛成するものでございます。その上で、この施策を推進する上で、具体的にどのようにして農山漁村発展につなげていくのか、その取組についてお伺いするとともに、障害となり得る点を議論させていただければと思います。  初めに、再生可能エネルギー導入することの経済効果についてお尋ねを申し上げます。  私は、これまでいろいろなところでメガソーラー発電所の設置現場を見てまいりました。環境にも優しくて大変すばらしいわけでありますけれども、同時に、この太陽光発電最大の問題はその地域に対する経済効果がほとんど見込めないということでございます。メンテナンスもほぼ不要、下草取りと保守管理を少々やるだけで基本的にはいいということでありまして、基本的に雇用を生み出しません。  太陽光以外については余り存じ上げないわけでありますけれども、この再生可能エネルギー地域に持ってくることの経済効果というのは一体どのくらいなものでしょうか、御答弁をお願いいたします。
  119. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この法案の枠組みに基づきまして再生可能エネルギー発電を行う場合は、設備整備がまず行われるわけですが、これに併せて農林漁業の健全な発展に資する取組を行うことが必要でございまして、売電収入の一部がこの取組のために使われて地域還元されることになるわけでございます。  また、その設置の主体ですね、これが地域農林漁業者・団体の場合は売電収益そのものがまず地域に入っていくと。こういうことでございますが、さらに、地域の外から来られた方が設備整備した場合でも、地権者に、特にこの設備再生利用困難な荒廃農地、したがって今収入を生み出していないところにこれを整備する、こういうことになりますので、新たにここから地代収入が入ってくると。それから市町村には固定資産税による税収の増加が見込まれると。それから、余り太陽光パネルの場合はないのではないかというお話もありましたが、設備整備そのもの、工事も出てくると思いますし、それからメンテナンス等々に携わることが可能となって雇用の創出につながると。太陽光以外の、先ほどお話が、好きな順に小川委員からもありましたけれども、それ以外の場合ですと、その燃料の供給等々で持続的にもこの地域に裨益をすると、こういうことが期待されるところでございます。
  120. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  今おっしゃっていただいたような点、多々あるかと思うんですが、私の歩いてきた感じから申し上げますと、一つは、これデータでもありますけれども、今再生可能エネルギーとして普及されているものの九割以上は太陽光発電、なかなかその中では、余り単純に地域に持ってくるだけでは地域活性化に使うのは難しいと、こういう声を伺っております。そうした中で、今御答弁いただいたような、じゃ具体的に、そこで得た、太陽光発電したことによって、それをどう地域活性化あるいは農山漁村農林漁業に結び付けていくのか、この施策が大変大事であるというふうに認識をしております。  本法案では、農林水産大臣がそのための基本方針を定め、それを受けて市町村基本計画作成することになっております。それぞれについてどのような形でこの再生可能エネルギー農山漁村活性化の連携が規定されるのでしょうか、御答弁をお願いいたします。
  121. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) どのようなことを考えられるのかという御質問でございますので、法案の第七条の二項に則して四つ具体的な例を申し上げます。  一つは、農林地の農林漁業上の効率的かつ総合的な利用確保というこの点に関して申し上げますと、売電収益の一部を支出して周辺の農地整備、例えば作業道等の整備ができるということであります。それから、二つ目として、農林漁業関連施設整備ということの具体例といたしましては、地元の農林水産物やその加工品等を販売する直売所の整備、運営ということが考えられます。また、三つ目として、農林漁業者の農林漁業経営の改善の促進の具体例といたしましては、例えば木質バイオマス発電を行う事業者地域森林所有者等から未利用間伐材を買い取る、そしてまた発電活用すると、こうした取組が考えられます。四つ目として、農林水産物の生産又は加工に伴い副次的に得られた物品の有効な利用の推進ということの具体例といたしましては、畜産業者から家畜排せつ物を引き取ってバイオマス発電実施するとか、あるいは発電事業者が費用を負担して消化液や残渣から堆肥を製造して販売するとか、こうしたことが考えられるということでございます。
  122. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  発電事業者というのは、基本的にはこの電力の高い買取り価格に引かれて、そして自らの投資収益率を高くすることを使命として事業を行っているわけでありますので、今御答弁いただいたような、直売所につなげる、六次産業化の取組をする、こういった具体的なことを市町村のこの計画の中に盛り込みやすいような形で是非御指導していただければというふうに思っております。  この法案の要点の一つは、これまで都道府県知事農林水産大臣などから一々取っていたこの許可について、市町村においてワンストップで同意を取り付けることができ、発電事業を進めることができるようになる点だと理解をしております。  つまり、事業者にとっては大幅な手続簡素化が図られるわけでありますけれども、そこで心配されますのが、先ほど来出てきております、際限なく貴重な農林地が発電転用されていってしまうのではないかという点でございます。許可から同意に変わったことによって具体的に何が起こるのか。基本理念の中でうたった食料の供給、国土の保全その他農林漁業の有する機能といった全体最適の視点というのはきちんと担保されていくのか。二〇〇九年の農地法改正においては第一種農地転用を基本的には禁止したというふうに理解しておりますけれども、本法案の成立をもってこの第一種農地設備整備区域として転用されやすくなってしまうのでしょうか、お答えをお願いいたします。
  123. 山下正行

    政府参考人山下正行君) この法案で、委員御指摘のように、際限なく農林地が転用されるのではないかというそういう御懸念でございますけれども、本法案は、農業上の再生利用が困難な荒廃農地等再生可能エネルギー発電設備整備を誘導することなど適正な土地利用調整を行うことにより、優良農地確保しながら地域において再生可能エネルギー発電促進することで農山漁村活性化を図るという、そういうものでございます。  具体的には、市町村基本計画で定める発電設備整備区域は、農業上の再生利用が見込まれない荒廃農地等を優先的に活用することなどにより優良農地確保に支障がないように設定すること、それから設備整備計画市町村による認定に際しましては、農地法に基づく農地転用許可基準に反した転用が行われないようにするため、農地転用許可権者である農林水産大臣又は都道府県知事の同意を得なければならないと、こういう仕組みを設けているところでございます。また、認定を受けた設備整備計画に従わずに再生可能エネルギー発電設備整備されたと、こういった場合には、農地転用許可があったものとはみなされないため、農地法に基づく都道府県知事による原状回復命令等の措置や罰則の対象となるということでございます。  こうした取組が現場で有効かつ適切に機能するよう、関係制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
  124. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  手続簡素化を図る一方で、農地などの転用のハードルを下げる趣旨のものではないと、この点を確認をさせていただきました。  本法案は、農地法森林法あるいは海岸法などで保全されたある一定区域を発電のために転用する場合について規定しているわけでありますけれども、この一方で、皆様御存じのとおり、脚の長い支柱を立ててその上で太陽光パネルで発電をしながら下部の農地はそのまま営農を継続する、いわゆるソーラーシェアリングと呼ばれる方式がもう既に始まっております。  営農と発電を両立させるという意味では大変すばらしい取組であるわけでありますけれども、この一方で、支柱の基礎部分だけ一時転用すると、こういった枠組みのために、三年ごとにこの許可を取り直したり、あるいはこの下部で営農している部分についての影響を逐次報告したりと、手続がやや面倒になっている嫌いがあります。  本制度、本法案成立後も、面として農地転用することなく営農と再生エネルギー発電を両立していけるこの方式は引き続き推奨していくべきだと考えております。将来的にこの手続簡素化などを御検討いただけるのかどうか、お答えいただけますでしょうか。
  125. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 農地に支柱を立てまして、その支柱の上に太陽光パネルなどを設置をいたしまして発電を行うタイプの施設開発され、かなり実用化されてきております。これについては、農地法に基づく、今委員御指摘のとおり、一時転用許可、これを行うことができるということを本年の三月三十一日付けで通知文書を発出したところであります。  この施設につきましては、発電とその農地における営農が両立をすることが前提でありますので、その面のチェックはさせていただいております。一つは、一時転用許可の期間を三年間といたしまして、営農に支障がない場合には再度許可をするというような形になっております。それから二つ目に、一時転用許可を行うに当たりまして、その農地や周りの農地の営農に支障を及ぼすおそれがないかどうか、これを確認させていただきます。それから、一時転用の許可の後、毎年一回報告を受けまして、営農に支障が生じていないことを確認させていただきながら設置を認めていくというようなことにしているところであります。  これは、三月末に通知を出しましてまだ間もないところでございまして、今、全国各地事例が出てきておりますが、まずは制度の周知を図りまして、優良事例、やはり営農もできる、発電もできるということでございますので優良事案ということになると思いますが、こういった事例の形成と定着あるいは普及ということに努めたいと思います。  発電と営農の双方が適切に行われるような事例につきましては、やはりこれは迅速に許可対応などをしていく必要があると思うわけでございますが、相談があった場合には必要な情報提供などを積極的に行ったり、いろいろな形で指導をさせていただいたりしながら、事務処理の迅速化に努めてまいりたいと思っております。
  126. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  是非とも利用者が使いやすい制度に逐次改善の方をお願いしたいというふうに考えております。  次の質問に移らせていただきます。  現在、農林漁業発展、農林漁村の活性化を考える上で忘れてはならないのは、福島を始めとする原発事故による汚染及び風評被害に苦しむ被災地の方たちでございます。  そこで、お伺いしたいのですが、原発事故の影響で今現在も農林漁業の再開のめどが立っていない地域、ちょっと定義が難しいかとは思うんですけれども、今現在どのくらいあるのでしょうか。農地の面積ですとか漁港の数ですとか、そういった分かる範囲で結構ですので、具体的にお答えをお願いいたします。
  127. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) お答えいたします。  東日本大震災の発生からこれまでの間に取り組んだことにより、約六割の津波被災農地で営農が再開可能な状態になっております。また、八割の漁港において全部又は部分的に陸揚げ岸壁機能が回復をしております。おおむね計画どおりに復旧が進んでいるところでございます。  一方、福島県におきましては、避難指示区域内に津波被災農地が約二千ヘクタール、森林が約八万ヘクタール含まれております。そのうち立入り等が制限されている帰還困難区域や居住制限区域については、当面営農活動等ができない状況でございます。これらの農地及び森林につきましては、今後の避難指示解除等の見直し等を踏まえ、復旧、営農再開等に向けた対応を進めてまいる所存でございます。  なお、福島県内の避難指示区域にあった二漁港、二つの漁港につきましては、本年四月に避難指示解除準備区域に再編されたことを受け、復旧作業に着手をいたしました。  今後とも、地域の皆様と話し合いながら農林水産業の一日も早い復旧復興に全力で取り組んでいくこととしており、現時点で営業再開が困難な地域がどの程度あるかについてお示しすることは難しい状況にございます。
  128. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  先ほど、小川先生の質問の中でも被災地について触れていただいたわけでございますけれども、私も先日、宮城県南西部の福島県とのちょうど県境にある七ケ宿町に行ってまいりました。ここは避難指示区域であったわけではないわけですけれども、この町で今最大の懸案事項というのが汚染されてしまった町営の放牧場の取扱いでございます。ここは元々国費も入れて整備した放牧場でありましたけれども、高齢化の中で周辺の畜産農家、十二戸にまで減少してしまいました。そのうち、次の担い手が確保されているのは四戸のみ。こうしたさなかに東日本大震災の被災によりまして放牧場が汚染されてしまいました。この二年間は全く使用されておりません。  利用する畜産農家が減少して経営的に苦しいというのは全国どこでも共通して抱える課題ではございます。しかしながら、被災地がより大変なのは、こうした課題に加えて、汚染の風評被害などによって将来の担い手の育成やあるいは新規参入を呼び込むと、こういった点で大きなハンディキャップを抱えている点でございます。  この汚染と風評が原因で人口の流出が加速してしまった被災地の思いとして、たとえ除染したとしても風評が心配で営農が再開できるか分からない、であるならば一刻も早く発電のために転用して地域活性化のために使いたい、このような声を伺ってまいりました。  もとより、本法案は、趣旨としては優良な農地をしっかりと保全する、そして売電収益を使って農漁村の振興を図るということでございます。しかしながら、震災から間もなく三年がたち、被災地がコミュニティーとしての生き残りを懸けた現在、個々の被災地の状況をしんしゃくして、例えば第一種農地、そういったところについても、転用に関しても場合によっては例外的な判断もあり得るのではないでしょうか。  この点、是非、大臣のお考えをお聞かせください。
  129. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 放射性物質に汚染された農地につきましては、先ほどもやり取りさせていただきましたけれども、政府全体として除染に取り組んでいるということで、基本的には除染して農地として利用していくと、これがスタンスであると考えております。  他方で、やはり原発事故で放射性物質に汚染された農地については、土地利用の制約がどうしても出てくるということでございまして、今回、原発事故で避難指示のあった福島県の市町村地域について、復興整備計画によって復興に必要な事業が行われる場合は、第一種農地、これは原則転用はできないと、こういうふうになっておりますが、この第一種農地であっても転用できるように措置をしたいと考えまして、所要の手続を進めておるところでございます。十一月十三日にパブリックコメントを開始をすると、こういうことでございまして、そういうことで手続を進めていきたいと、こういうふうに考えております。  先ほど、農地に支柱を立てるものについても御答弁させていただいたところでございますが、こういうものの制度、それから今から取り組む例外的な第一種農地転用制度、それから今の本法案仕組みと、こういうものを活用していくに当たっては、やはり個別具体的にどれに当てはまるか、どういう調整が必要かと、これもあると思いますので、農林水産省からも担当官を現地に派遣する等々で、しっかりとこういう調整支援してまいりたいと考えております。
  130. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  そういった形で被災地の現場に寄り添った形のきめ細かな対応、今してくださっているというようなお話をいただきました。  先ほど来ありました避難指示のあったところ、例えばこういうふうに行政で線引きをしますと、何で隣の村はいいのにこっちは駄目なんだみたいな話が必ず出てまいります。どうか、福島もそうですし、その周辺地域も含めまして、個々の現場の実情をなるべく見ていただいて、柔軟な対応をお願いできればというふうに思います。  それでは、ここからは再生エネルギー推進の現状と、そして市町村では判断や実行が困難と思われる点について質問をさせていただきます。  まず初めに、現在、全国再生可能エネルギーを推進していると言っても、そのほとんどが太陽光発電に偏っている現状がございます。よく原子力や火力も含めて最適なエネルギーミックスといったことが議論されておりますが、これは再生可能エネルギーに限って議論した場合でも、例えば各発電の方式ですとかコスト、そういったものの特性の違いから考えて、この再生可能エネルギーの中のベストミックス、このような考え方もあってしかるべきだと思っておりますが、現状どうどうとらえられておりますでしょうか。答弁をお願いいたします。
  131. 木村陽一

    政府参考人木村陽一君) お答えいたします。  まず、再生可能エネルギーは、その重要性に鑑みまして、政府といたしましては今後三年程度の間で最大限再生可能エネルギーの普及を加速することとしております。そのためには、やはりまずは固定価格買取り制度の着実かつ安定的な運用が重要だと考えてございます。  現在、固定価格買取り制度導入後の設備導入状況を見ますと、容量ベースで再生可能エネルギーの九割以上が太陽光ということは事実でございまして、これは風力あるいは地熱といったほかの再生可能エネルギー開発期間、最低でもやっぱり数年程度掛かるということが背景にあるんだろうというふうに考えてございます。今後は、風力あるいは地熱といったものにつきましても、その環境アセス中の案件を始め、計画中の事業が随時立ち上がってまいりまして導入が進んでいくということだと思います。  政府といたしましては、こうした動きを加速するために、固定価格買取り制度に加えまして、環境アセスメントの迅速化、あるいは送電網の整備といった措置を着実に進めまして、再生可能エネルギー導入拡大に向けたその環境整備を行っていきたいと考えてございます。
  132. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  是非とも、やや太陽光大分偏ってしまった現状をなるべく、ベストの状況が何割、何割なのかというのは難しいまた議論があるかとは思うんですが、時間の掛かる風力ですとか地熱、こういったところにもインセンティブが付くような形の取組、どんどんしていっていただければというふうに思います。  今答弁の中でも少し触れていただきました。こうしたエネルギー供給源の多様化に資する取組の中で今ボトルネックの一つと言われておりますのが電力系統、送電網のキャパシティーが小さく、せっかく発電しても容量不足を理由に接続を拒否されてしまうと、このような懸念がございます。この点について、現状の認識と強化策について御答弁いただけますでしょうか。
  133. 木村陽一

    政府参考人木村陽一君) 御指摘のとおりでございます。再生可能エネルギーの普及には送電網の充実が必要なことは、もう申すまでもないことでございます。  特に、再生可能エネルギーの中でも相対的にコストが低く大規模に展開することが可能でございます風力発電開発が今後の再生可能エネルギー導入の拡大の鍵になるわけでございますけれども、我が国では、風況が良く大規模な風車の立地が可能な場所、これが北海道あるいは東北の一部に限られているということで、やはりこうした適地は人口が少ないために元々強い送電網が引かれていないということはございます。したがいまして、そういう整備が大規模な風力開発のためには必要になってまいります。  したがいまして、経済産業省といたしましては、こうした最適地が限られる風力発電のために、その強化に向けまして、地域内の送電網の整備あるいは実証に対して予算措置を講じましてその強化に取り組んでいるところでございます。  あわせまして、北海道—本州間の連系設備、北本連系設備につきましても、現行六十万キロワットしかございませんけれども、これに加えまして、二〇一九年三月までに北海道電力が三十万キロワットを増強するということを決定してございます。現在、その着工準備が進められておりまして、これも再生可能エネルギー導入拡大に資するものと考えてございます。  あわせまして、再生可能エネルギーのやはり出力変動が系統に影響を及ぼすわけでございますけれども、これを吸収するために、例えば電力会社の変電所に大型の蓄電池を導入するといった試み、あるいはその蓄電池自体のコストの低減に向けた取組、あるいは電力システム改革の中でより広域的な運用を可能にするようなそういう枠組みの検討でございますとか、そういったことを通じまして取り組んでまいりたいと考えてございます。
  134. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  こうして再生可能エネルギー推進、様々計画が走っているかと思うんですが、この推進の実施状況に関して、最近の報道に、この一年間で認定を受けた再エネ発電設備のうち、実際に運転を開始したのが僅か一割程度にとどまると、このような指摘がございました。この実態をどう把握されているのか、引き続き御答弁をお願いいたします。
  135. 木村陽一

    政府参考人木村陽一君) お答えいたします。  昨年七月の固定価格買取り制度の開始以降、制度に基づく経済産業大臣認定を受けた再生可能エネルギー発電設備は、本年の六月末時点におきまして二千二百九十一万キロワットございます。そのうち現実に発電を開始した設備は三百六十七万キロワットと承知してございまして、全体の一六%の水準であるということでございます。  特に、十キロワットを超えます太陽光発電設備につきましては、認定設備量とその発電開始量の間にかなりの乖離があることは事実でございます。  これにつきましては、現在、非常に太陽光の市場が活況を呈しておりますことから、部品の不足あるいは納期に非常に時間が掛かるというようなことで建設工事自体が遅れているというケースが多いものとは承知してございますが、ただ、中には建設を意図的に遅らせているケースがあるのではないかという、そういう御指摘もございまして、現在、法律に基づく報告徴収を行う形で実態把握を進めております。この実態を踏まえまして、必要があれば適切な是正策を取ってまいろうと考えてございます。
  136. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  これも報道ベースでありますけれども、この高い売電価格のうちに権利だけ獲得して実際に建設コストが下がるまで待っているですとか、あるいは、この高い価格をブローカーのようにある意味右から左に流すと、こういったことをしている方もいるというふうに一部報道ではございます。是非とも原因究明をしていただきまして、そしてなるべくこの懸念点、ボトルネック解消に努めていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  次に、私の好きな風力発電についてお伺いをしたいと思います。  先ほども触れましたとおり、太陽光発電よりもやや低コストの発電が期待できる、そういった面も風力発電にはあるかというふうに認識をしておりますけれども、一方で、環境アセスメントがネックとなることも懸念されております。通常、風力発電の場合、このアセスメントに三、四年現在では掛かっているわけでありますけれども、これでは先ほど答弁いただいたような、いわゆる再生可能エネルギー促進期間の中に終わらない、こういったことが指摘もされております。  アセスメントの簡素化ですとか短期化、このようなことに取り組むお考えがあるのかどうか、御答弁をお願いいたします。
  137. 木村陽一

    政府参考人木村陽一君) お答えいたします。  風力発電導入加速化のためには、現在三、四年程度を要します環境アセスメント手続の迅速化が重要であることは御指摘のとおりでございます。  具体的に、これを取り組んでまいるわけでございますけれども、既にこれまで百五十日程度掛かっておりました国における審査期間を、手続の合理化あるいは簡素化によりまして、それを四十五日程度に短縮するという方針で取組を進めてございます。あわせまして、環境省とともに自治体に対しまして、審査に掛かる手続期間の短縮への協力も依頼してございます。  更なる取組といたしましては、やはり事業者さんの現実のそのアセスメントの手続自体を何らかの形で効率化していかなくちゃならないわけなんですけれども、事業者のその環境アセスメントの手続として実地で行われます環境影響調査、これを、従来はこれは方法書手続の後に手続が挟まる形で行われておったわけでございますけれども、前倒してこれを開始し、他の手続と同時並行で進めることが望ましいと考えてございます。  ただ、これにはやはり事業者さんに一定程度リスクを伴う話でございますので、自分からなかなか前倒しに着手するということが難しいということもございまして、こうした場合に備えたその方法論を確立すべく実証事業を行うことを私どもとしても検討してございます。現在、その関連の予算を要求させていただいているところでございます。  今後とも、こうした取組を通じまして、環境省とも連携しながら、風力発電所設置の際のアセスメントの迅速化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
  138. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  終わりの時間が迫ってきてしまいましたので、最後にもう一つ御要望ということでお話をさせていただければと思います。  この法案の中では、基本計画を作る市町村が、発電事業者設備整備計画実施する見込みが確実であることを確認する、このように定めております。しかしながら、現実問題として市町村がこの計画の中身をどれだけ実質的に精査できるのかという点については大変疑問が残るところであります。  例えば、先ほど来よく出ております木質バイオマス発電設備、これについて私も自治体の方から一度御相談を受けたことがあるんですけれども、パンフレットを持ってきていただいて、ドイツの有名なメーカーらしいんだけれども国内ではまだ一件も実績がないと、これについて今市町村で入れることを考えているんだけれども、どう思いますかと、このように相談をされたことがございます。  要するに、なかなか市町村の単位でこの海外のメーカーがどういうようなものを造っているのかどうか、太陽光のパネルについてはある程度認知がメーカーについてもされてきておりますけれども、この発電設備のメーカー、例えばなかなか具体的な実情が分からない。あるいは、今この再生可能エネルギー一つのブームみたいな形になっていまして、発電事業者が一気にわっと増えてきていると、このときに事業者一つ一つがしっかりとちゃんと事業してくれるところなのかどうか、企業情報ですとか与信情報、そういったところも含めて市町村単位で調査する、なかなか厳しいものがあるというふうに認識をしております。  是非とも農林水産省として、この法案通していただいた暁には、現場の、特に市町村レベルで運用しやすいような形の具体的な支援あるいは情報の提供、ここに努めていただきたいというふうにお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  139. 山田太郎

    山田太郎君 みんなの党、山田太郎でございます。よろしくお願いします。  今日は、かなり再生可能エネルギー、ハイレベルな議論がされているなと。私も、実はこの再生可能エネルギー、私が好きなのはバイオマスなんですけれども、木質バイオマスでございます。実は、私もバイオマスの設備を誘致して実際機械を動かすところまで過去やったことがございまして、大変興味の範疇が高い。それから、平木議員の方からもかなり細かい問題意識も引き継ぎながら、ちょっといろいろな質問が重なってまいりましたので、整理しながら是非質疑をやらせていただきたいと思います。  本日は、そういった意味で、この再生可能エネルギー質疑ということと、もう一つは、後で農業委員会の話も少し土地利用という形で触れさせていただければと思っております。  まず、今回の法案でございますけれども、まさに農地法のいわゆる岩盤規制、これに風穴を空ける思い切った試みということで、今まで全く動かなかったこの辺りの法律に対してやっとメスが入ったのかなと、我が党の立場としてはそんな形で見ているわけであります。そういう意味で非常に歓迎するべきところは多いんですが、やっぱり中身を見てみますと、幾つか問題もあるだろうという立場で質疑をさせていただきたいと思っております。  まず、この再生可能エネルギー発電の特に事業者側に対してですね。これは先ほど平木委員の方からも少しあったんですけれども、やはり収支のバランスを見て参入してきますので、余り過度に農林漁村の関係者が干渉したり負担を求めたりということになっては、逆に実効性がないというか事業が始まらないだろうと、こういうところもありまして、その辺も本件きちっと払拭していきたい、こういうふうに思うわけであります。  そういった意味で、この法案、とにかく推進をして一つでも効果を出さなければ、単に農地法等その他の法律ワンストップでできて、解決できてよかったねということになっちゃいますので、まずこの法案の背景にあるところとして、この再生可能エネルギー発電がどれぐらい推進されると見込んでいるのか。幾つかこれ他の委員の方の質問でもあって重なるところもあると思うんですが、私の方はできるだけスケジュール感というんですか、何年でどれぐらいのものを目指しているのか、やっぱりそれを最初に考えて、実現できて初めてこの立法措置の成功というか具体性が見えると思いますので、その辺りから質問させていただけたらと思います。
  140. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 委員がおっしゃっていただいたように、農山漁村には土地、水、バイオマス、委員はバイオマス派だと、こういうことでございましたが、こういう資源が豊富に存在しておりまして、再生可能エネルギー発電のポテンシャルというのは非常に大きいと考えております。具体的にどの程度のポテンシャルがあるかということは様々な試算があり得ると、こういうふうに思いますが、一つの試算として、農業上の再生利用困難な荒廃農地、これを対象にするわけですが、これ全てが活用対象となり得るということは、なかなかそうならないかもしれませんけれども、仮に農業上の再生利用が困難な荒廃農地十三万ヘクタール全てに太陽光発電設備を設置した場合ということですが、これは二十三年度の我が国の総発電量の九%に当たる八百二十億キロワットアワーの発電量が見込まれると、これは試算でございます。  それから、人気の高いバイオマスでございますが、バイオマスについては、仮に未利用間伐材の年間発生量二千万立米を全て木質バイオマス発電活用した場合、これは年間で七十億キロワットアワーの発電量が見込まれるということでございます。  また、農業用の水利施設活用した中小水力発電についても、流量等から年間八億九千万キロワットアワーの発電ポテンシャルが見込まれると、こういう試算が出ております。  この法案見ていただければ分かるように、どれをどれぐらいということがこの法案によって規定されるということでなくて、それぞれの地域の資源の状況等々を踏まえた発電事業者の判断等にもよってくるということでございますので、今のポテンシャルがどこでどれぐらい実際になっていくのかということを見込むのは大変難しいところでございますけれども、この法案によりまして、委員からも冒頭ありましたように、発電のポテンシャルというのをできるだけ引き出してまいりたいと思っております。
  141. 山田太郎

    山田太郎君 今、大臣の方からももう一つ大切な問題点、指摘されたと思うんですが、まさに、この法律を使って現場の再生可能エネルギー、どういうモデルでやっていくのか、これは非常に大切だと思っております。  この法案の中にも、農林漁村の健全な発展というふうに書いてありますが、そうしたら、では健全な発展というモデルをやっぱり地元だけではなくて国の方も研究してきちっと引き渡していくというか、そういう作業も必要だろうと。そうでないと、地域、地元にその発電や再エネに関してそれだけの知識、見識が全てあるとは思えないわけですね。例えば、再生可能エネルギーを使って地産地消型でやりましょうと、そういう意味では私自身はバイオマスというのは非常に面白いなと思いますが、風力だとか太陽光発電、こうなってきますと多分他地域への売電ということになるかもしれませんし、そこでできた電気を逆に使って地元に他の産業を誘致していくと、こういう組合せになるかもしれません。  ただ、いずれにしても、やってみなきゃ分からぬということだけで進めれば、当然効果としてどれぐらい見込めるのかということになってしまうのかなというふうに思っております。  そのモデルを、ここで農水省を始めとして他の省庁、多分経産省さんなんかも含めて、国土交通省さんも含めて議論することによって、もう一つ日本の過疎の問題も取り上げられることができるんではないかと、こんなふうにも思っているわけでございまして、特に、健全な発展のイメージ、これをやることによってどんなモデル、イメージを実は今回持っていらっしゃるのか、それによって雇用とか所得がどれぐらい結び付いていくのか、このことはもう一度、何人かのちょっと議員も聞いておりましたけれども、確認させていただければと思っております。
  142. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 健全な発展についてのイメージという御質問でございますので、お答えをいたします。  農山漁村におきまして、農林地等の農林漁業上の利用再生可能エネルギー発電のための利用調整が適正に行われるとともに、再生可能エネルギー発電利益農林漁業のために活用されることにより、地域農林漁業の生産活動が持続的に行われ、食料供給や国土保全等の重要な機能が十分に発揮されていくことを表現したということでございます。  仮に、農林地等の適正な調整が行われないといった場合にはどうなるかということでありますが、農林地等の効率的かつ総合的な利用が図られず、担い手への農地集約等に支障を来すおそれがあるとともに、再生可能エネルギー発電利益地域還元されない場合には、再生可能エネルギー発電に対する地域の理解が得られず、その導入が進まないということが予想されるということでございます。
  143. 山田太郎

    山田太郎君 もうちょっと本来具体的な答弁をいただきたかったんですけれども、これはまたゆっくりやっていきたいと思います。  さて、もう一つ、ちょっとこれは我が党内でもいろいろ、脱原発を提唱している党なので再生可能エネルギーは極めて重要な議論ということで、かなり多くの議員から質問があったので確認しておきたい点が一個あります。  この法律案の枠組みなんですけれども、これを利用しない事業者には何らの制約はないんだと。協議会なるものを市町村につくるということでありますけれども、今回の農地の未利用地の分に関してこの協議会が精査するということなんであって、今ある市町村協議会、これをつくろうとする者がその他の地域における再生可能エネルギーについて何らかの制約を課すものではないんだということを確認しておきたいんですけど、いかがでしょうか。
  144. 林芳正

    国務大臣林芳正君) おっしゃるとおりでございまして、これはあくまでこの法案措置というのは、取組促進するために手続ワンストップ化、権利移転の一括処理というものができると。したがって、この仕組みに行かない人、この法案による措置活用をすることなく再生可能エネルギー発電を行おうとする方については、従来どおり個別の農地法等の許可等の手続を取れば再生可能エネルギー発電事業を行うことができるということで、まさにこのスキームによらずに再生可能エネルギー発電を行う事業者の方にとって、何かこの新しくできるものが足かせになったりすることはないと、こういうことでございます。
  145. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つ、今度は、ではこの枠組みにおける再生可能エネルギーの展開ということなんですけれども、法案の四条、大臣作成する基本方針というふうにありますし、法案の五条、市町村作成する基本計画というふうになっているんですが、この中において、やはり発電事業者の方に対して過度な負担、干渉ということをどういうふうにしていくのか。  つまり、この委員会農林水産委員会なんで、農林水産の現場の人たちに対して、あるいは農村の荒廃につながらないように、これも分かるんですけれども、実際、事業者に対してもバランスを持ってサポートしていかなければ、現実的な線にはならないと。ややもすると、例えば俺たちの言うことを聞けない事業者は出ていけと、こういうふうになってしまったら元も子もないということでありまして、そういった意味においてもちょっとチェックという形で、是非よく話し合って進めるようにというような条文、事業者と密接な連携というのを、法案二条の基本理念にもありますので、例えば先ほど申し上げた四条の基本方針、又は五条の三項にある基本計画で盛り込むような話はできないものなのか、ちょっとその辺りについても確認しておきたいと思います。よろしくお願いします。
  146. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 過度の干渉、負担というようなお話でございましたけれども、再生可能エネルギー発電事業者に対しまして、農林漁業の健全な発展に資する取組として過度な干渉や負担を与えることは本末転倒であり不適当だと、適当ではないというふうに考えているところでございます。  このため、取組内容につきましては、地域農林漁業実情を踏まえ、真にその発展に必要で、かつ実現可能なものとなるよう市町村関係農林漁業者・団体、発電事業者等が十分協議を行い、その結果を踏まえて市町村基本計画に定めるということになっているところでございます。  国としては、全国先進事例等を基にして、どのような取組地域において適切な取組であるとして受け止められているかについて留意しつつ、基本方針等においてモデルケースを具体的に示してまいりたいというふうに考えております。
  147. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございました。安心しました。  もう一つ、六条の市町村基本計画の策定に関する部分で、協議会というものが設定されています。これも我々の立場からすると、一部の既得権益の人たちの協議会になってはいけないというふうに思っておるんですけれども、例えばこの再生可能エネルギー発電設備整備を行おうとする者は、協議会には誰でも基本的には入れるのかどうか、この辺りも確認したいと思います。よろしくお願いします。
  148. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この六条に規定しております協議会の設置ということでございますが、この協議会の構成員となって再生可能エネルギー発電設備整備を行おうとする者としては、本法案の趣旨に即しまして、地域農林漁業の健全な発展に必要な農林地等の確保に配慮するとともに、地域農林漁業の健全な発展に資する取組を行う意欲を持っている者と、これを想定しておるところでございます。  このような者を協議会の構成員とすることで、当該協議会を設置する市町村作成する基本計画がより充実したものとなるように、基本計画に即した再生可能エネルギー発電設備整備農林漁業の健全な発展に資する取組が行われることが期待されるということでございますので、国の基本方針等において、これらの意欲のある再生可能エネルギー発電設備整備を行おうとする者が、市町村協議会に積極的に加えるべきことを示すとともに、それを現場に徹底を図っていきたいと、こういうふうに思っております。
  149. 山田太郎

    山田太郎君 是非、現場への徹底に関して、それは分かるんですけれども、やっぱりいろんな血をこの協議会に入れていくということも大事だと思っております。余り現場の血が濃過ぎてしまうとアイデアも出ないでしょうから、うまい構成員をこの協議会で構成できるように、少し知恵を絞っていただければなというふうに思っております。  さて、もう一つ、第七条の、これも核心的部分だと思いますけれども、設備整備計画認定に関してなんですけれども、この認定にはどれぐらいの時間が要するのかという辺りについても少しお話ししていただければと思っております。  今回ワンストップでということではあるんですけど、これに三年も五年も掛かるということでは何のための立法措置かということになります。多分この今回の立法措置はスピードを高めると、加速化するということがもう一つ大きな目的、ポイントだと思いますので、そのいわゆるスケジュール感というんですか、それを是非教えていただければと思います。
  150. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 私の方からお答えいたします。  本来再生可能エネルギー発電事業者が自ら行うべき農地法等の許可申請手続ワンストップ化して市町村が代わりに行い、様々な事務に要する期間を短縮することというのがこの法案発電事業者に対するメリットということになっております。一方で、市町村設備整備計画認定の可否を判断する際に、農地法森林法等の許可等の手続に要する期間よりも長く掛かることになってはこのメリットが損なわれるということであります。  そこで、国といたしましては、基本方針等において、農地法の許可等の手続に際して通常要する期間よりも短い期間設備整備計画認定事務を行う必要があるということを示す、そしてまたこのことが現場に徹底されるよう、市町村に対し必要な情報提供や助言等を行ってまいりたいと考えております。
  151. 山田太郎

    山田太郎君 それだと一日短いだけで成功だったということになりますので、できたらガイドラインというんですか、もちろんいろんな法律がそれぞれ個々であるというのはあると思いますが、是非ガイドラインを示していただいて、これぐらいでみんなやろうよということを是非作っていただいて、この立法が確実に効果を現すように是非お願いしたいなというふうに切に思っております。  まさにこの法案再生可能エネルギーだけが農林水産業の地元に貢献するわけじゃありません。ただ、今回、岩盤規制になっている農地法を始めとした様々な法律が少しいじられることによって多少流動化する。もちろん、この委員会の中ではそれを懸念する声もあるので、これはチェックをしていくという議論は十分に必要だと思いますが、やっぱり、これからの農林漁村の雇用とか地域活性化、過疎の問題、総合的に考えた場合に、これが第一歩になるように、再生可能エネルギーだけではない分野に関しても是非展開をしていただきたい、こういうふうに思っております。  今後、こういったことをどのように農林水産省さんとしても考えていらっしゃるのか、これは第一歩だと思うんですけれども、もし方向性等あれば是非お聞かせください。
  152. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほどのほかの委員とのやり取りの中でも申し上げましたように、これに先立って一本脚のものや屋根型のもの、三月末にやらせていただきましたし、それから被災地の特例等も作ってきたところでございまして、さらに、二十四年の七月に開始されたFIT、固定価格買取り制度がこの事業性の改善ということで大きな役割があると、こういうことでございまして、そういう前提でこれを本法案を提出させていただいたと。一方で、今委員もおっしゃったように、無計画整備ということで農林地等が失われないようにすると、これにも十分な配慮をしたと、こういうことでございます。  再生可能エネルギー利用する事業所を含めて、再生可能エネルギー発電以外の事業について本法案と同様の措置を講ずる必要があるか否か、これはそれぞれの事業農山漁村活性化に果たす役割、地域農林漁業に与える影響、こういうものを見極めながら慎重に検討していきたいと、こういうふうに思っております。
  153. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございます。  次に、農業委員会の話に少し移っていきたいと思います。  農地権利移動という観点でも、農業委員会、大変大きな役割を果たしていると。皆さん御案内のとおり、農地の売買ですとかあるいは農地転用といったものに関して大きな権限等を有しているこの農業委員会でございます。ただ、農業委員会の中身を見ていきますと、実効性というのか、その辺りについても問題を少し抱えているのかなというふうにも思っておりまして、うまくこの農地がきちっと農業をやりたい人たちに移っていくように、渡っていくように、この辺の議論も少ししておく必要があるのかなと思っております。  まず、この農業委員会は選挙でもって委員を選出するという形を取っております。この辺りからお聞きしたいんですけれども、選挙で選出する趣旨ですね、意味も教えていただけますでしょうか。
  154. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農業委員会は、農業委員会法に基づく市町村の独立行政委員会ということでございまして、原則として市町村ごとに一つ設置をいたしまして、農地法に基づく許可事務、農地のあっせん、農業及び農民に関する行政庁への建議等の事務を行っております。  平成二十一年に農地法を改正しましたので、従来からの農地法に基づく許可事務といった受け身の業務に加えて、地域農地利用状況の調査、それから遊休農地所有者に対する指導、勧告等といった能動的な業務も行っておりまして、さらに昨年度からは、地域農業者の徹底的な話合いによる例の人・農地プランの作成にも積極的に関与するなど、これまで以上に重要な役割を担っております。  農業委員会は、農地権利移動の許可や農地のあっせんという、客観性、公平性、これを旨として行う行政機関としての業務と、それから先ほどちょっと申し上げましたように、農業及び農民に関する行政庁への建議といった言わば農民の代表としての業務、その二つの面を持った業務を行う組織と、こういうことでございますので、構成員については地域農業者による選挙で選出された委員を中心として構成されている、こういう仕組みになっているところでございます。
  155. 山田太郎

    山田太郎君 大臣からも極めて重要だということで教えていただきましたが。  さて、資料の方、皆さんのお手元に今回配らせていただいています。じゃ、その選挙の中身ということなんですけれども、実は農業委員会全国で千七百十三あるそうでございまして、そのうち無投票が一千五百五十六、投票が百五十七と、ほぼ九割が無投票で決まってしまっている状態であります。これ自身、いい悪いという議論もあるんですけれども、やっぱり活性化というんですかね、それだけ大切な委員を公正中立という形で選挙で選ぶのであれば、このこと自身に問題はないのかどうか、何かせにゃいかぬのかと、こんな問題意識を私自身は持っておるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  156. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 直近の選挙で、九一%の農業委員会で選挙委員が無投票で選出されていると、こういうことでございました。まさに数字はそのとおりでございまして、なぜそうなっているかということについては地域によって様々であると考えられますが、選挙で選出する方式を取っていると先ほど申し上げましたけれども、その趣旨からすれば望ましいことではないと、こういうふうに思っております。  ただ、無投票当選であるから公平性、中立性に問題が生ずるということでは直ちにはないと思いますし、また運営の公平性、中立性を担保するという意味では、選挙ということに加えて、総会等の審議過程を詳細に記録した議事録と、それから許可のポイントや申請に必要な書類記載マニュアル等、それから農業委員会の活動の目標とその達成状況、こういうものを作成して公開するように指導をしてきておりまして、実際にほぼ全ての農業委員会においてこれらのものが公開をされてきているということでございます。
  157. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つ、この農業委員会の選挙の有権者側のちょっと問題も触れたいと思うんですが、これは農水省さんの方に資料をいただきましたら、六百九万人ということになっております。ただ、農水省さんのもう一つの統計だと、農業就業人口は平成二十五年度で二百四十万人ということでございますから、三百七十万人、農業に従事していない方がいわゆる意見を農政に反映させるというふうになっているのかなというふうに思います。この辺の辺り、就業者とそれから有権者の数のずれという辺りについてもいかがでしょうか。
  158. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 私からお答えをさせていただきたいと思いますが、今委員から御指摘がありました件ですけれども、農業委員会の区域内に住所を有する満二十歳以上の方で、都道府県にあっては十アール、北海道にあっては三十アール以上の農地につき耕作の業務を営む者でありまして、さらに今申し上げました方との同居の親族又は配偶者、そして今申し上げました面積以上の耕作の業務を営む農業生産法人の構成員でありまして、平成二十三年一月一日現在で農業委員会委員選挙人名簿に登載されている有権者は、御指摘をいただきました六百九万人でございます。  一方、農業就業人口は、農業構造動態調査によりますれば、平成二十五年二月一日現在で約二百四十万人でございます。御指摘のとおりであります。この農業就業人口は、販売農家については農業従事者のうち過去一年間に自営の農業のみに従事した者又は自営農業が主の者を集計したものであります。  このように、選挙人名簿登載者には、世帯主義を取ることから、耕作の業務を営む者の親族等を含んでいる一方、農業就業人口には農作物を販売していない自給的農家等を含まないために差が生じているものでございます。  また、選挙人名簿に関しましては、毎年一月一日現在の状況を農業者からの申請に基づきまして農業委員会において資格を確認をして、さらに市町村の選挙管理委員会においても確認をした上で編さんすることとされているところでございます。
  159. 山田太郎

    山田太郎君 こういった選挙制度とか仕組みも相まって、農業委員会はややもすると地権者の集まりだというふうになっているかと思います。  農業は今、先ほど大臣等も答弁として、担い手をこれから増やしていくんだと。仮に土地を持っていなかったとしても、農業をやりたい人たちが従事できるということを一つ考えるんであれば、必ずしも土地農業ということだけを固定化するんではなくて、もうちょっとこの辺りについてもメスを入れながら、本当に農業をしたい人たちに農地が渡る、その人たちが農地を使えるようにするという改革もどこかでそろそろ必要なんではないか。もちろん、農業委員会の果たしている役割も理解しております。ただ、やっぱりこれからの農業を考えたときには、この辺りの土地権利移動といった辺りについても大胆な改革をしていく必要があるのではないかというふうに思っております。  そういう観点でもってこの農業委員会、それから農地法、それぞれ今後どういう形で農業をやりたい人たちにその農地を提供していくのか、この辺も今後の政策として、是非、農林水産省の方、大臣含めて御答弁いただければと思っております。
  160. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農業委員会につきましては、農地法に基づく許可事務、農地のあっせん、遊休農地措置等々行っていると先ほど申し上げたとおりでございますが、農業者等にアンケートをいたしますと、農業委員会の活動状況について、よく活動していると回答した農業者は全体の約三割に実はとどまっておりまして、じゃ、なぜ不満なのかという理由については、農地集積など農家への働きかけが形式的と、こういう意見が多いわけでございます。  したがって、農業委員会については、担い手への農地の集積、集約化、新規参入の促進耕作放棄地の解消等を強力に推進していける組織となることが重要と考えておるわけでございます。したがって、農業委員会制度の今後の在り方については、各方面の御意見を伺うとともに、農業委員会系統組織の自己改革の方向性も聞かせていただいてきちっと検討していきたいと、こういうふうに思っております。
  161. 山田太郎

    山田太郎君 時間がなくなりましたのでこれで締めたいと思いますが、私もこの委員会に参加させていただくことによって相当いろんな地域農業の勉強をさせていただきました。一つ分かってきましたのは、やっぱり農地というのはいかに大事なのかと。いい農地であればそんなに苦労せずに農作物ができるけれども、日本の多くの農地は、適していないところをどうやって土地改良してきたかの歴史だったと。ただ、その歴史たる土地をどうやって今度はやりたい担い手に渡していくのかという、この問題をやっぱり今こそ考えなければいけないと。  まさに、次の農地中間管理機構の法案もその一つの議論だと思います。これが今回、この農林水産委員会の中でも重要なテーマになると思っていますので、総合的に、そういった大きな視点から、農地について我が国はどう考えていけばいいのか、単なる地権者のものではないという、あくまでも国民のもの、それから農業をやりたい人たちのものなんだというふうに問題意識を述べさせていただいて、私の質問をこれで終わりにしたいと思います。  本当にどうもありがとうございました。
  162. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  農林漁業の健全な発展調和のとれた再生可能エネルギー電気発電促進に関する法案ということで質問したいと思います。  それで、この再生可能エネルギーを推進することについて我が党は賛成です。そこで、今問題の焦点になっていることは、脱原発に踏み切るかどうかと。脱原発に踏み切って、その前提で再生可能エネルギーを推進すること、これが福島での原発事故を体験して国民が強く求めていることだと思います。福島県は今、福島第一原発事故で依然として多くの方が避難を余儀なくされていると、福島県内からの全ての原発の廃炉と撤去を求めています。  それで、林農水大臣の大先輩に当たります小泉前首相ですね、脱原発で決断すべきだと今主張しているわけですけれども、まず、この脱原発ということについて大臣のお考えを、見解を伺いたいと思います。
  163. 林芳正

    国務大臣林芳正君) いろんな先輩がおられるわけでございますが、小泉純一郎元首相が一昨日、十一月十二日の記者会見の場など、またそれ以前にも御講演などにおいて、原発をゼロにすべきだという趣旨の御発言をされているということは報道等で承知をしております。  今のこの安倍内閣では、責任あるエネルギー政策を構築していくために、省エネルギー再生可能エネルギーの最大限の導入を進めまして、できる限り原発依存度を低減させていくと、こういうふうにしております。  我が国の国土の大宗を占める農山漁村は、土地、水、バイオマス等の資源が豊富に存在しておりまして、そういった意味で、この省エネルギーと再生エネルギーの最大限の導入を進めるに当たって大きな再生可能エネルギー発電のポテンシャルを農山漁村が有しておると、こういうふうに考えております。
  164. 紙智子

    ○紙智子君 もう少し小泉前総理の言葉を紹介したいんですけれども、経済界では大方が原発ゼロは無責任だと言うが、核のごみの処分場の当てもないのに原発を進める方がよほど無責任だ。原発の必要論者は、将来はゼロにする方がいいが、今は駄目だと言う。しかし、早く方針を出した方が企業も国民も原発ゼロに向かって準備もできる、努力もできる、研究もできる。今こそ原発ゼロにするという方針を政府・自民党が出せば一気に雰囲気は盛り上がる。そうすると、官民共同で、世界に例のない、原発に依存しない、自然を資源にした循環型社会をつくる夢に向かってこの国は結束できるというふうに述べられています。  私もそのとおりだなというふうに思うわけです。というのは、私ども共産党は、二〇一二年の九月二十五日でしたけれども、この「「即時原発ゼロ」の実現を」ということで提言を実は出しておりまして、これ、当時の政府に渡しています。五つの柱で中身は提言していて、最初のところに、全ての原発から直ちに撤退する政治決断を行うと。決断しないとまず駄目だということで、即時原発ゼロを実現しようということで、なぜなのかと。それはやっぱり福島のような事故は二度と起こしちゃいけないからだということと、処理する方法のない核のごみ、これが原発稼働を続ける限り増え続けるということなども含めて展開をしているのと、それから再稼働の条件について、これは再稼働の条件は存在しないんじゃないかということでの話ですとか、それから即時原発ゼロというのは可能なんだと。どうやってやるのかということなんかについても提言をし、それで四つ目の柱は、福島の被災者支援と復興にこそ総力を挙げて取り組まなきゃいけないということと、最後は、原発立地自治体への支援ということで、国も推進してきたという責任ありますから、雇用や仕事や地域経済の活性化ということについては、これは国が責任を持ってやる必要があるんだということなどで作って提出しているということがありましてですね。  ちょっとその中身からいうと、今回、小泉前首相がこういうことを言われているというのは非常に一致するところが多いなというふうに思うものですから、是非、林大臣もこの小泉前首相の発言を受け止めることができるかできないかという辺りで、もう一言お願いしたいと思います。
  165. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 小泉元首相がいろいろおっしゃっているということについては先ほど申し上げたとおりでございまして、今の内閣では、先ほど申し上げたような方針でエネルギー政策を責任を持って進めていこうと、こういうふうにしております。  更に申し上げれば、この方針、昨年の十二月に行われました衆議院選挙におきましても、我が党の公約でも同趣旨の記述をしたと、こういうふうにも記憶をしておりますし、我々野党時代でございましたけれども、自民、公明、民主の三党で原子力規制委員会というものを新たにつくって、行政の中で独立した形で、いわゆる行政法上、三条委員会にいたしまして、きちっとここで安全性を見ていくという仕組みもそこでつくってきたと。こういうことでずっとやってきておりますので、繰り返しになりますが、この省エネルギー再生可能エネルギーの最大限の導入を進めながらできる限り原発依存度を低減させていくと、これが現在での考え方でございます。
  166. 紙智子

    ○紙智子君 現安倍政権においてはそういう方向で行くんだという話なんですけれども、小泉氏の発言は、首相の権力は強いと、それを原発即時ゼロに使うべきだということで、安倍首相に対してこれ繰り返し要求をしているんですね。だから、総理が決断したら、これはできるんだということを言っておられて、かつて小泉さん自身も推進の立場だったと思うんですよ。それが変わったというのは、新聞、昨日、十三日付けのも大きく出ていましたけれども、これによりますと、フィンランドにある高レベル放射性廃棄物の最終処分施設にオンカロというのがあって、そこを視察をして、最終処分がいかに難しいかということを知ったと。それが原発ゼロへの思いを強くしたということなんじゃないかというふうにあるわけですけれども。  その点でいうと、今処理方法が決まっていない、だから動かしたら増え続けると。これについての考え方というので、林農水大臣自身はどのように思われているのかなというのをちょっと聞いてみたいなということで、いかがでしょうか。
  167. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 多分、オンカロというものは、小泉元首相が現役の総理のときからあそこにあったんではないかと、こういうふうにも思っておりますので、そういう意味では、総理が御決断をされるということは、その時代の状況と今とそれほど大きく変わっていない状況の中でどういう決断をそれぞれ現職の任にあるときにされるかと、こういうことだというふうに思っております。  したがって、先ほど申し上げましたように、我が党としては衆議院選挙の公約でああいう形を取らせていただいて、そして安倍政権が成立をしたと。こういうことでございますから、政権としてこういう考えでやっていくということを先ほど申し上げたとおりでございまして、私も内閣の一員として、ここで大臣の立場でそういうふうにお答えをさせていただいておりますし、もう一言申し上げれば、その政策を掲げて昨年の衆議院選挙、自らは候補者ではございませんでしたけれども、その作成に携わった一人としてそれは責任は共有しておると、こういうふうに考えております。
  168. 紙智子

    ○紙智子君 この問題はやっぱり日本の進路にかかわっていく、これからの問題として非常に大事な問題で、引き続いて私どもとしては主張していきたいなと思っています。  そこで、法案の関連について質問に入ります。  まず、この法律のスキームは、あくまでも農山漁村地域でのスキームということだと思いますが、視点を市町村に移しますと、この農山漁村一〇〇%の市町村だと問題はないんですけれども、首都圏とかあるいは中京圏、関西圏を始め大方の市町村は、市街化区域や市街化調整区域、こういうものを抱えていて、農地以外は、市街化区域や市街化調整区域に例えばメガ太陽パネルが進出しても、この法律のようなスキームがないので、事前に進出計画を知ることもできないし、住民との調整もできないわけです。  ですから、市町村から見ると、農山漁村地域はきちんとした法律スキームが今度できるということになるわけですけれども、同一市町村内でも、一歩市街化区域とか市街化調整区域に入ると野放し状態ということになるわけです。そうすると、行政としてはとてもやりづらいんじゃないかというふうに思うわけですね。  やはり、農山漁村地域だけではなくて、市街化区域、市街化調整区域においてもこの法律のようなスキームを持った法律が必要なんじゃないかと、ちょっとまずその点大臣にお聞きしたいのと、その後、ちょっと国交省認識もお聞きしたいと思います。
  169. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農山漁村におきましては、豊かな資源を活用して再生可能エネルギー発電促進し、地域の活力の向上等に結び付けていくということが大事な課題でございますが、一方で、今委員からもお話がありましたとおり、この再生可能エネルギー発電設備の無計画整備が進みますと、大事な農林地等が失われて、そもそも農山漁村の果たす役割である食料供給や国土保全等の機能の発揮、これに支障を来すおそれがあるわけでございまして、本法案はそういうことに対してきちっと調整をする枠組みをつくると、こういうことでございます。  地域によっては、今お話のあったように、市町村基本計画で定める再生可能エネルギー発電設備整備促進する区域、これに市街化区域や市街化調整区域等の都市計画区域が含まれることもあり得ると、こういうことでございますので、本法案においては、五条の九項におきまして、そのような市町村基本計画は都市計画等との調和が保たれたものでなければならないと、こういう旨を規定して、その都市計画との調和を促しているところでございます。
  170. 石井喜三郎

    政府参考人石井喜三郎君) お答え申し上げます。  まず、本法案の区域の中には、当然、先生御指摘のとおり、都市計画区域、これは市街化区域、それから調整区域、両方含まれますが、こういうものが含まれる場合がございます。今大臣がおっしゃいましたように、これらにつきましては都市計画等の調整を保つということで、本法案整備促進される場合も都市計画の都市機能の観点等に留意をしていただいてやっていただくということが対応が取れておるというふうに理解をしております。  一方で、一般的に、今回の対象になっております再生可能エネルギー関連施設ですが、大変広い土地を使うということで、地価が相対的に高い都市部よりも、相対的に低い、広さの確保しやすいところで展開をされるということが多いと認識をしております。このようなもの、例えば一定規模以上の風力発電施設等も含めて環境アセスメント法の対象となっております。都市計画においては、これらの環境アセスメントの手続というのを大変重視をしております。また、風力発電以外の再生可能エネルギーの関連施設については地方公共団体の環境アセスメント条例において対象とすることができると、また実際に対象としておられる場合もあるというふうに承知をしております。  今後、再生可能エネルギーの関連施設が周辺環境へもたらす影響については、環境アセスメント制度を含む環境政策の観点から取り組まれておりますが、国土交通省としても、都市政策の観点から必要に応じて協力を行ってまいりたいと存じております。
  171. 紙智子

    ○紙智子君 メガ太陽光パネルのトラブル事例ということで調べますと、市街地の住民とのトラブルが多いという印象があるわけです。住宅地に隣接してメガパネルが突然できると、それによって太陽光の反射光で住環境が悪くなるとか景観が悪くなって住宅地としての価値が下がるとか、こういうトラブルになっている例があるわけです。  しかし、太陽光パネルは建築基準法の対象になっていないんですよね。そのために、市町村は事前に設計計画も知らされずに住民との調整もできないということがあるわけです。それから、漁港では今回の法律による規制対象となりますけれども、隣接する港湾では同じように規制対象にならないと。それからまた、進出業者から見れば、規制対象地域外に進出した方が自由にやれるというふうに判断されかねないということです。  それを防ぐためにも、やっぱり市街化区域や市街化調整区域についても同様の立法が必要なんじゃないかというふうに思うんですけれども、もう一度お願いします。
  172. 石井喜三郎

    政府参考人石井喜三郎君) 都市計画という建築等の規制を主に見ております法律としての限界はございますが、先ほど申し上げましたように、環境アセスメント制度を含む環境政策の観点から、国及び自治体がその地域の環境を守る制度、それらにつきまして都市政策の観点からもできる限り今後とも協力をしてまいりたいと、かように存じております。
  173. 紙智子

    ○紙智子君 この法案の審議に当たって、私、福島県の福島県農民運動連合会とNPO法人自然エネルギー市民共同発電に参加している大阪や東京などの都市住民の皆さん全部で七十人が共同出資でやっている伊達市に行きました。そこに設置されている出力五十キロワットの太陽光発電所を視察したんですね。ここにはその隣接地に百キロワットの県北の農民連の太陽光発電所もあります。  この太陽光発電のすばらしいところは、利益が地元に還元されるということなんですね。それで、発電事業者が農村地域にメガソーラーパネルを設置したとすると、発電利益は全て発電事業者に持っていかれると。農村でのメリットは、土地を貸し出した農業者の利益と、村としていえば固定資産税としての利益がある程度なんです。固定資産税も、施設の設置によっては地方交付税が少なくなるということもあって、メリットも吹き飛んでしまうというようなことなんですけれども。こういうメガソーラーパネルの設置のやり方を地元では、だから植民地的という言い方をしてメガソーラーと呼んでいるようなんですけれども。  やはり地域農業者などが共同して出資してパネルを設置して発電利益地域還元できるようにすることを推進すべきじゃないかと思うんですけど、農水大臣、いかがでしょうか。
  174. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 取りあえず、この法案の枠組みでは、再生可能エネルギー発電を行う場合の主体については、外部の事業者地域の主体かということは問わずに仕組み利用できることにしておりますが、その場合でもこの発電設備整備と併せて農林漁業の健全な発展に資する取組を行うことが必要でありまして、売電収入の一部がこの取組のために使われるということで地域還元されるということにしております。  一方で、今、紙先生がおっしゃっていただきましたように、地域における所得の向上により貢献するという観点からは、やはりこの地域農林漁業者やその組織する団体といった地域の主体がやはり再生可能エネルギー発電事業に取り組むということが望ましいことだと、こういうふうに考えております。  したがって、この法案の枠組みに加えて、二十六年度の予算概算要求におきましては、農林漁業者やその団体が主導する再生可能エネルギー発電事業構想から運転開始までに至るまで様々な手続取組が必要になりますので、こういったことへの支援等をするために必要な予算、これを盛り込んでおるところでございまして、この法案措置に加えてこういう予算措置活用して、地域主体の農林漁業者が中心となるような取組を進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  175. 紙智子

    ○紙智子君 現在、日本農業を取り巻く環境は、TPP問題や高齢化や担い手の不足など非常に厳しいものがあるわけです。その中で、いかに食料自給率を上げていくかというこの重大な課題を抱えているわけです。  そのためには、耕作放棄地をいかに減らして耕地を増やしていくかという課題があります。この課題と再生可能エネルギー導入するということの両立性をいかに維持するかということが非常に大事だというふうに思うわけです。この点では、太陽光の場合は土地利用農業との競合が予想されると。特に、太陽パネル設置の土地の賃借料の目安が十アール当たり十五万円、まあ五十万円というところもあるんですけれども。これに対して水田の賃借料は十アール当たり一万円ということなので、当然これ、農村、農業者の再生エネルギー誘致需要が高まるということが想定されるわけです。  これに対して、優良農地を守って太陽光をできるだけ再生不能な耕作放棄地に誘導するというようにするためには、農地確保の目標を定める国の基本指針と都道府県の援助、指導がどれだけ歯止めになるかということに懸かっていると思うんですけれども、本当にこれ歯止めできるかどうかということでもあるんですけれども、大臣としてのお考えをお願いします。
  176. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この再生可能エネルギー発電設備の無計画整備が進みますと、今委員が御懸念のように、農林漁業に必要な農林地等が失われるということでございまして、ひいては自給率ということにも影響を与えかねないと。こういうことでございますから、この法案では、農業上の再生利用が困難な荒廃農地、これは先ほど小川委員とのやり取りの中でかなりやり取りをさせていただいたところでございますが、こういうところに再生可能エネルギー発電設備整備を誘導するということで適切な土地利用調整をやっていきたいと。これで優良農地確保しながら再生可能エネルギー発電促進するということを両立させていきたいと思っております。  具体的にどうなっているかということですが、市町村基本計画で定める発電設備整備区域、これは農業上の再生利用が見込まれない荒廃農地等を優先的に活用することなどによって優良農地確保に支障がないように設定すると、こういうふうになっております。設備整備計画の、これは市町村認定をするわけですが、この認定に際しては、農地法に基づく農地転用許可基準に反した転用が行われないようにするために、農地転用許可権者である農林水産大臣又は都道府県知事の同意を得なければならないと、こういうことで歯止めを掛けております。  さらに、認定を受けた設備整備計画計画にはそういうことが書いてあるんですが、これの書いてあるとおりにやってもらわなかった場合ということですね、認定を受けたこの計画どおりに再生可能エネルギー発電設備整備されていかない場合は農地転用許可があったものとはみなされないと、こういうことでございますので、農地法の原則に返りまして、都道府県知事による原状回復命令等の措置や罰則の対象になると。こういう仕組みにいたしまして、冒頭申し上げたような調和を図っていきたいと考えておるところでございます。
  177. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございます。  次に、太陽光パネルの廃棄物処理の問題についてお聞きしたいんですが、太陽光パネルが広範囲に設置された後の廃棄物処理ないしリサイクル問題について、太陽光パネルにはカドミウムが含有されているというふうにも伝えられていて、今からきちんとした処理体制を構築しておく必要があると思うんですけれども、環境省、いかがでしょうか。
  178. 梶原成元

    政府参考人(梶原成元君) お答え申し上げます。  先生今御指摘のとおり、現時点ではまだ太陽光パネルの廃棄事例は大変少ないということではございますけれども、太陽光パネルの寿命が二十年、あるいはパワコンの寿命が十年というふうに言われておりますので、将来的には大量の廃棄物が出てくるということが考えられると思います。そのために、分別等の処理をしっかり行って、再生利用できるものは再生利用をし、できないものは適正に処理をしていくということが重要になってくるというふうに考えてございます。  環境省におきましては、昨年度から実はこの使用済みの再生可能エネルギー設備の処理に関しまして、国内外の動向あるいは技術情報といったようなものについて調査を開始しておりまして、昨年度の調査では、一部の太陽光パネルには先生御指摘の有害物質が含まれているものもあるというふうなことが分かってございます。  今年度におきましては、太陽光のパネルメーカーから、今、生産の段階で不良品として出されるものがありますけれども、そういったものの処理の実態、あるいは太陽光パネルに含まれております有害物質の含有量溶出試験の実施等を進めておりまして、関係省庁関係事業者の方々と連携をして、適正処理のやり方あるいはリサイクルのやり方について検討しておるところでございます。
  179. 紙智子

    ○紙智子君 今、造る方で頭いっぱいなんですけれども、後のことを考えると本当に大事な問題なので、現状把握と同時にやっていただきたいと思います。  最後になりますけれども、ちょっと法案から離れます。十一月五日に林農水大臣の記者会見が行われたんですが、これについてお聞きしたいと思います。  記者会見で、記者の人から、主食用の米の関税率を五〇〇%台で提案するという方針を固めたという報道がありましたがという質問に対して、大臣は、そういう報道があるのは承知していますけれども、具体的な内容についてお答えは、まあ差し控えさせていただきますけれども、今、御指摘のあったような方針、これを固めた事実はないということを申し上げておきたいと思いますというようにおっしゃられている。  固めたかどうかということではなくて、これ検討したということだけでも大問題だなと思うわけなんですけれども、これ検討しているんでしょうか。大臣、明らかにしてください。
  180. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、記者の方の御質問が、五〇〇%台で提案をするという方針を固めたという報道がありましたが、この辺についてはいかがですかと聞かれましたので、そういうふうにお答えをいたしました。  したがって、いずれにしても、今、具体的に米についてどうしているかというのは交渉にかかわることでございまして、そこについてはお答えを控えさせていただくというふうにも同時にそこで申し上げましたが、まさに五〇〇%台にしたという事実はないということをそこでは申し上げたところでございます。
  181. 紙智子

    ○紙智子君 検討しているかしていないかということについても言えないですかね。そこのところが非常に私は重大だと思っているわけです。  さらに、この記者会見では、記者の方が、石破幹事長が二日に米の関税率について、関税を下げていっても国内の農業が打撃を受けない水準はある、七七八%が唯一絶対のものでないという御趣旨の発言をされていらっしゃるんですけれども、その大臣の考えとして、あの一キロ三百四十一円の米の関税について引下げの余地があるかどうかについては、大臣御自身はどのようにお考えですかというふうに記者から聞かれたのに対して、大臣は、まさに交渉の具体的な、まあ内容ということになりますので、そのとおりに言いますけれども、私がどういうふうに、そのことについてどう思っているかということはちょっと控えたいと、こういうふうに思いますが、まあ石破幹事長の御発言についてはですね、まあ報道で、まあ承知をしておりますが、ちょっと詳細にどういうまあコンテキストでおっしゃられたかどうかは、よくまだ、あの、読み込んでいないものですから、そういうところもしっかりと全体としてどういうふうにとらえているのかということを把握しておきたいと、こういうふうに思っておりますというふうに、ちょっと何というのか、お答えになっているんですけれども、この石破幹事長の発言について、その後、二日の日の話ですから、しっかり把握されたんでしょうか。
  182. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 報道内容については承知をしております。  そこで申し上げたように、石破幹事長、これたしか講演だったと思いますけれども、そういう発言をされたという、この報道の中身、報道で見たということではなくて、どういう発言をされたかということは、まだ詳細な原稿みたいなものは入手をしておりません。
  183. 紙智子

    ○紙智子君 決議を守るという立場でこの間繰り返し発言されている大臣の立場からいえば、そういうふうに幹事長が言っておられるということ自体、やっぱり黙っていられないはずなんですね。それはどうかと、例えば抗議をしたり問い合わせるということをなさらなかったんでしょうか。
  184. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 与党の幹事長でいらっしゃいまして、そもそも自民党で決議をいただいている、またこの両委員会でも決議をいただいている、その決議を踏まえてやると、こういうふうに繰り返し申し上げておりますので、どういうコンテキストでどういう背景でおっしゃったかということもありますので、この報道に現れたところだけを見て抗議をしたり賛意を示したりと、こういうことは一々は申し上げないということでございます。
  185. 紙智子

    ○紙智子君 私は、非常に農水大臣の立場としては問題だと思いますね。やっぱり本当に体を張って、それに対して覆す立場に立って頑張ってもらわないと、国民の皆さん、安心できませんよ。  あれだけ繰り返し約束してきたわけですし、この委員会においてもそうだし、言われてきているわけですから、それをやっぱりおとなしくじっとしていては駄目ですね。本当に声を大にして抗議していただきたいし、それだったらもう撤退しかないということで言っていただきたいと、このことを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  186. 儀間光男

    ○儀間光男君 維新の儀間でございます。しんがりを務めることのつらさをしみじみと味わっているところです。  法案に関連する切り口で出てきたんですが、私の質問はほとんど答えは出ました。ところが、ああそうですかって座っては、党へ帰っての、持って帰る顔がありませんから、繰り返しの答弁になるのかも分かりませんが、寄り添う気持ちでお答えいただきたいし、寄り添う気持ちでお付き合いを願いたいと思います。  まず、再生可能エネルギー電気発電促進に関する法案農地中間管理事業の推進に関する法案、それぞれ向き合えば兄弟同士のようでありますが、それぞれ利害が違うような接点も持っている法案のように思います。  今、紙先生からそれに触れておられましたが、この中間管理の法案の中身は、農家の高齢化などによって耕作不能、休耕地について、中間管理機構側が農地を借り上げて、農地を必要とする大規模農家や企業の方へ貸し付ける形の業務であると認識します。つまり、休耕地を生産地に変えて、食料増産はもとより農村の活性化を図るのが主たる目的だと理解をいたしております。  他方、再生可能エネルギー電気発電促進に関する法律案を見ますと、基幹産業である農林漁業の低迷によりその活力が低下して、地域の未利用の資源を生かす事業により活性化を図っていこうというように読み取れます。  この場合も、再生可能エネルギーを生むために必要とする空閑地、つまり荒廃した土地をその地権者から借り受け、若しくは買い取って自然エネルギー施設設備の建設用地に転用しようというものであるはずであります。  言うなれば、休耕地や荒廃地の農地施設整備に変えていくもので、優良耕地が施設整備事業、つまり発電用の施設に転換されていく可能性がなしとはしません。例えて言うなら、荒廃地といっても、農業を営もうとする意欲のある農業者やあるいは農業生産法人からすれば、それすらひょっとすると野菜工場として建てていく、あるいは水耕栽培の適地であるということで農業用地に必要とする要求が出ることだって考えられるわけであります。  農業の担い手がおらず、生産意欲を失い、荒れ放題になって放置をした土地、これを中間管理が借り上げようとしたわけですが、年取ったお父さん、お母さんは、先祖代々預かってきた、守ってきた土地ゆえに貸しはいたしません、売りもいたしませんと断るケースだってあると思います。そこに施設整備者側が回って、言葉巧みと言ってしまえば失礼ですけれども、粘りに粘って説得をして、それなら、あなた方になら貸しますよ、売りますよといった相談が成立したときには、この優良地施設整備地へと転換していって、優良農地が失われてくる可能性があるわけでございますが、その辺の措置と出る結果、どういうふうなものを想定され、あるいはどう対処しようとしていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  187. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この法案におきましては、市町村基本計画再生可能エネルギー発電設備整備区域として定めることができる農地には、原則として転用が禁止されている第一種農地は含めることはできないと。これが原則でございますが、例外的に、再生利用が困難となっている荒廃農地、それから再生利用が可能な荒廃農地であっても生産条件が不利で相当期間耕作に供されていない、そして受け手が見込まれないということで今後耕作の見込みがないと、こういう土地であれば第一種農地の中でもこの対象に含めることができると、こういう整理をしております。  一方、今委員から御指摘のありました農地中間管理機構でございますが、現在出しているこの法案の中では、再生利用困難な荒廃農地は借受けの対象としないと。こういうふうな方針にしておりまして、また、機構が借り受けることができたものの中で、一旦借り受けたわけですが、相当の期間を経過してもなお当該農用地等の貸付けを行うことができる見込みがない、すなわち、貸し手先ですね、使って耕作に供していただく方が出てこない等々でそういう見込みがない場合に賃貸借契約を解除すると。こういうふうになっておりますが、こうなった場合の農地についても、これは誰も耕作できないということで機構の取扱いの対象外と。こういうふうになりまして、こういう農地については、第一種農地であってもこの法案再生可能エネルギー発電設備整備区域対象になると、こういう整理をしておるところでございます。
  188. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。  さらに、この再生可能エネルギー側がいわゆる農家側と相談が成立してきますというと、施設整備側は基本計画市町村に出してまいるわけであります。この市町村にはいわゆる協議会なるものがあって、ここの協議に付されていくわけでございますが、例えば、変な言い方をいたしますけれども、この協議会の中に首長あるいは協議会の会長の性格というか姿勢というか、例えばAという首長がおったら積極的に行政を経営していく、あるいはBという首長や協議長がおって、これはまあまあ適当にやる、もう一方では、一人はノンポリでケセラセラというような三者があったとするときに、この協議会が出す結果、これにはおのずからいろいろなケースが出てくると思うんです。  つまり、参考資料の一、この協議会、真ん中の部分ですね、ワンストップサービスなどしながら事務処理のスピード化を図って、早めに事業の展開を図っていこうということをするわけでありますけれど、この協議会の処理の仕方によっては、先ほど申しましたが、これは協議会で了と出れば認定していくわけですから、あと個別の法律は、農地法とか酪肉振興法とか森林法とか、こういう個別の法律は同意として出てくるわけで、個別法による審議の機会を失うわけです。  それだけに、簡素化されるという利点もありますが、私が言いたいことは、ここが一番ポイントで、ばらばらな対応になって、A市では割とスムーズにいった、B市ではなかなか出てこない、ケセラセラの市ではなかなかやってくれないというようなもの等があったり、あるいは認定基準の持ち方がいろいろあってはならないと思います。  そういう縛りは当然されておると思いますし、また、先ほど山田太郎議員の指摘があったように、ガイドラインはきちっとやるんだというお話を聞いて安心はしておるんでありますけれど、こういう三つのパターンが出てきて、この出口、認定を出すときもきちっとした一つの結果が出て、三者とも同じ結論で認定を受けられるというようなことをしていかなければならないと思いますが、この資料一の真ん中の協議会、この部分をいま少し説明をしていただきたいと思います。
  189. 實重重実

    政府参考人實重重実君) まず、今委員御指摘の客観的にきちんと物を見ることができるかどうかという点につきましては、農地は、荒廃農地、客観的に基準が定められていることが重要だと思っております。第一種農地につきましては、原則としてエネルギー発電施設整備区域に含めないということとしているわけでございますけれども、例外的に荒廃農地については一定のものについて含むことができるとしておりますが、その荒廃農地基準が重要になってくると思います。  これにつきましては、かねてから毎年市町村農業委員会荒廃農地調査をしておりまして、その結果を踏まえて市町村におきましても、あるいは協議会におきましても、あるいは最終的な許可権者である国や県におきましても判定することになると思っております。  この基準でございますが、これは全国統一的な基準として示しておりまして、荒廃農地につきましては、現に耕作されておらず、通常農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっているということでございます。それが更に細かい基準になっておりまして、一つは、再生利用可能な荒廃農地でございますが、これは抜根、整地等により通常農作業による耕作が可能となると見込まれるものでございます。それから、再生利用困難な荒廃農地でございますが、これにつきましては、森林の様相を呈しているなど農地に復元するための物理的な条件整備が著しく困難なものと、このようにしているところでございます。  第一種農地に該当する荒廃農地再生可能エネルギー発電施設整備区域に設定しようとする場合には市町村が改めて、この調査結果が元々ございますので、その結果を確認した上で、国や都道府県との土地利用調整の中で本来の許可権者が最終的に確認をすることにしておりまして、その途中で協議会にも相談することとなろうと思いますけれども、これらによりまして適切な設定確保してまいりたいと思っております。
  190. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  不毛な地、荒廃地、もう生産ができないんですと判定されている土地、もし仮にこの土地が平場で、表土の下が岩盤で削岩機を入れるような土地であったとすると、施設整備側は、つまり生産法人というか民間の方は、栽培の仕方ってたくさんあるわけですから、例えば水耕栽培ならそういうところがいいんですよ。礫栽培でもそういうところがいいんですね。それから、野菜工場を設置するにはなおいいんですよ。そういうことで要求がされたときに、協議対象とし得るのかしないのか、聞きたいと思います。
  191. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 荒廃農地でありましても、委員御指摘のとおり、再生利用が可能なものにつきましてはやはりこれは再生して農業活用していくことが基本であると思っております。  そういう意味で、この区域に再生可能エネルギー発電設備整備促進区域に含めることのできる第一種農地といたしましては、一つ再生利用困難な荒廃農地。これは先ほど申し上げましたとおり、森林の様相を呈しているというようなものでございまして、実際にはもうなかなか農地としては認定しにくい。こういうものをまた復元しようといたしますと、相当重機を入れましたりして農地開発と同様のコストと労力を要するというようなところが広範にございます。こういった農地に復元するための物理的な条件整備が著しく困難な土地と、こういうものを再生利用困難な荒廃農地と言っております。これはかなり、一見しても明らかでございまして、毎年の調査でもこれは明らかにこういう土地再生利用困難であるということが判明しております。  それから、再生利用可能な荒廃農地があり得るわけでございます、今委員御指摘のようなですね。これについてはやはり再生して農業活用していくことがいいわけでございますけれども、一方で生産条件が不利でなかなか農業として使われない、あるいは相当期間ここは耕作に供されていない、さらに受け手が見込まれないと、こういったような要件が重なりますと、今後耕作の見込みがない土地であるということが客観的に出てくるという具合に思っております。こういうものにつきまして、認定を受けた施設整備計画に従ってこの区域で再生可能エネルギー発電設備整備したい、また農村に貢献したいと、こういう場合には第一種農地であっても転用できるようにしたいと考えておるところでございます。
  192. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  長崎県の宇久島、宇久町、ここにおいて既に大規模の太陽光発電、メガソーラーの建設設計計画が進められておるということで長崎新聞が伝えております。これは島の約四分の一の六百六十ヘクタールだそうです。その地目の内訳は詳細に入っておりませんが、多分これだけだとかなりの優良農地が入っている、その六百六十ヘクタールの中にあると容易に予想するわけでございますが、このことについて政府は御承知かどうか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  193. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 本件、個別の事案でございまして、事前に御通告いただいておりませんので具体的な個別の事案についてのデータを今持っておりませんが、全国的なことを申し上げますと、市町村が、この荒廃農地に当たるかどうか、荒廃農地のうちの再生困難な荒廃農地に当たるかどうか、それから再生利用可能な荒廃農地であるかどうか、これは毎年調査をしておりまして、市町村農業委員会が共同でその調査をしておりまして面積を出しているところでございます。
  194. 儀間光男

    ○儀間光男君 通告がなされていないというふうに聞こえたんですが、そのとおりですか。個別の問題で聞き及んでいないというふうに今答弁聞こえたんですが、そのとおりの理解でいいんでしょうか。
  195. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 今申し上げましたのは、今先生が御指摘の地域において、再生困難な荒廃農地再生可能荒廃農地の面積についてデータを持ち合わせていないということでございまして、これについては事前に質問通告をいただいていないという具合に思っております。
  196. 儀間光男

    ○儀間光男君 私が言ったのは、長崎県で宇久島でこういうような動きがあるけど、しかも六百六十ヘクタールだそうですけれど、これについての動きについてを掌握しているかどうかを尋ねたんです。していなければ、していないでいいんですよ。
  197. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 個別の事案として今、私はデータを持ち合わせておりませんが、いろいろ現地で国の機関が相談を受けているケースもございます。よく調べましてフォローさせていただきたいと思います。
  198. 儀間光男

    ○儀間光男君 ここは、離島なるがゆえの貧しさ、不便さ、悲しさ、わびしさ、貧乏さが重なるんですよ。したがって、過疎が激しくなる、農林水産業では、あるいはその他の産業でもなかなか生活が成り立っていかない。日本中の離島、皆そうなんですよ。だから、たとえ優良農地であってもこういうところに提供して、そこから少しでも雇用が生まれたり、あるいは利益還元される方策があったりしますというと、島の人々はそれを求めていかざるを得なくなるんです。そういうときだってあるわけでありますから、優良農地以外、あるいは不毛地以外は認められぬなどということになると、ここがいよいよどうなっていくかよく分からないですね。私はそういうふうに思うのであります。  しかも、ちょっと見てみますというと、長崎新聞の記事によりますと、新たな収入源や百五十人程度の規模の雇用が創出できるというふうにあるんですね。それを海底送電線で佐世保市に送って売電して、その利益を得ていきたい。これは業者側との共同経営になるかどうか分かりませんが、そういうふうに長崎新聞は伝えておるところであります。  したがって、私が懸念するのは、こういう島の背景を、万やむを得ないという島の背景がある中で、こういうのが協議会に上がったときに、協議会は一体どういうことに現実的になっていくのか。この六百六十ヘクタールのうち幾つあるか分かりませんが、長崎の宇久島の要請などを協議会で拒否していくのかどうか。その辺はどう判断されるんでしょうか。
  199. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 個別の事案に即して御相談をさせていただきたいと思いますが、仮に太陽光パネルを設置したいという場合にもいろいろ手法がございます。支柱を立てて太陽光パネルを屋根のような形で設置するような場合につきましては、その下で営農ができるものですから、これについては、現在、農地区分にかかわらず太陽光パネルの設置の一時転用許可を認めるという運用をこの三月末から取っているところでございます。  こういったケースもございますし、それから、本法案を適用して再生可能エネルギー促進したいというような場合につきましては、厳格に農地法の許可基準が適用されることになります。その上で、例外的に、荒廃農地であれば、現在農地として使われていないだけでなくて使われる見込みがないというようなことが客観的に確認されれば、それについては太陽光パネルの設置が可能であるというような特例を設けたいという具合に考えておるところでございまして、基本的には農地転用許可基準、従来の厳格な規制がございます、これに従って運用を含めて個別の事案として御相談させていただければと思っております。
  200. 儀間光男

    ○儀間光男君 私はよく言うんだが、そういうちっちゃな離島の出身なものでよく言うんですが、つまり、県庁から、県からいきましょう。県から離島を見てはいけませんよと、離島から海を越えて県を見れば、この間何をしなければいけないかよく分かる。総理官邸、林農林大臣の部屋から遠く離島を見てはいけませんよと、離島から農林水産大臣の部屋を見ると、この間にしなければならないのは何であるということが言外に把握することができます。そういう意味のことでの、今、離島のわびしさ、哀れさを解消する意味でも御配慮、御配慮というか気配りをしていただきたい、こういう思いを申し上げた次第であります。  また、中間管理機構で賃貸するときに、賃貸の期限のマックスがないんですよね。二十年なのか三十年なのか、未来永劫に貸しっ放し、借りっ放しなのか。長崎のは二十年として見直しがあるようでありますが、そうすると、仮に、個別の問題だから答える必要はないんですが、先ほどから心配されていた、事業が失敗してソーラーパネルを引き揚げるときの原状回復、こういうのを徹底して行わなきゃならぬという必要性に迫られてくると思います。  どうですか、中間管理機構で賃貸の期間とか、それは決められていませんか、皆さん。
  201. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これはまた中間管理機構の法案の御審議賜れば、そのときに条文に則して御説明できると思いますが、後ほど条文の詳細なところは確認してお伝えするようにいたしたいと思いますけれども、平成二十一年の農地法改正でリースを解禁したときに、たしか最長五十年までと、こういうふうに定めているというふうに承知しております。
  202. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  時間が押しておりますから次へ行きますが、私もバイオマスが好きなんです。植物バイオマスですね。例えば風力や太陽光というのは、それによって動力を動かして電気を発生させる発電であります。私の言うバイオというのは、淡水にできる藻ですね。アオミドロですよ。これは油が生産できて、この藻の、一個の藻の中に油成分が五〇%あると言われているんですね。それが太陽光を受けて光合成が促進されて、CO2が不足するんだったら石炭発電所とか何かCO2を吐くところへ行ってCO2を運んできて入れたらいいんですね。CO2を固定化して酸素を吐き出します。その藻が実に燃料を、石油に代わる燃料を生み出す最大のバイオだと、こう言われております。  この辺について御所見があればいただきたいと思います。
  203. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 私、この仕事になる前に、藻がエネルギーになるという話を最初に見たのは、たしかアメリカの国防総省がそういう実験をしていると。最初に見たのはそこでございましたが、その後、三・一一の後、たしか仙台市の周りで、し尿処理場が壊れたので、そこで筑波大学の皆さんがやっていらっしゃるものを実質的に研究してみようということで、たしかこれ沖縄で見付かったオーランチオキトリウムという種類の藻だったというふうに記憶しておりますが、非常に大きなポテンシャルがあると。  今委員からお話をしていただきましたように、この光合成ということは、ある意味では太陽エネルギーをパネルとは違う形でエネルギーに取り込んでやっていくということで、大きな可能性があるんではないかなとその当時から思っておりまして、農水省においても、この微細藻類でございますが、油分等の有用物質を低コストで回収、利用する技術を研究開発する、それとか、実用化に向けた新技術等の実証と、こういうことがございまして、民間企業や大学、研究機関への支援を行っておりまして、産業化をしていくということも視野に入れて、引き続き、まだ技術的に解消しなければいけない課題もございますのでしっかりと取組を応援してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  204. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。  是非とも取り組んで、これを物にして、日本が世界の油の輸出国になるように、それぐらい高めていただきたいと、こう思います。無尽蔵に作れるんです。無尽蔵の太陽光線、無尽蔵にあるCO2。無尽蔵に生産していけますから、その技術は日本は負けていないと思います。また、ちょっと調べてみたら、国は二十一世紀基本ビジョンの一つとして、微細藻によるバイオマスオイル、これを産業化していくんだといって明記をされております。したがって、今大臣おっしゃったように、是非とも日本の産業として育成をしていただきたいと、こう思います。  また、お話がありましたが、アメリカでも、国防でやっているんですね。オバマさんの予算に隠された夢の五つという中でこれが入るんですよ。藻を燃料にして進む軍艦とあるんですね。そのために、連邦政府は、エネルギー消費量の四分の三を占める米軍の省エネを図るため、約三十億ドルといいますから三千億円ぐらいですね、三十億ドルの予算を計上している。現在、もう活発に研究が進み、生産が上がっておるんだそうです。  したがって……
  205. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 時間が来ておりますので、まとめてください。
  206. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。  御答弁のあったように、この産業を育成していきますようにお願いを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  207. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 他に発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農林漁業の健全な発展調和のとれた再生可能エネルギー電気発電促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  208. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、小川勝也君から発言を求められておりますので、これを許します。小川勝也君。
  209. 小川勝也

    ○小川勝也君 私は、ただいま可決されました農林漁業の健全な発展調和のとれた再生可能エネルギー電気発電促進に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、みんなの党、日本共産党及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     農林漁業の健全な発展調和のとれた再生可能エネルギー電気発電促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   我が国の農林漁業農山漁村をめぐる厳しい状況に対処し、農山漁村活性化を図るため、農山漁村に存在する土地、水、バイオマス等の資源を活用した発電促進し、その利益地域還元させ、地域の活力の向上及び持続的発展に結び付けることが重要である。   よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 基本方針の策定に当たっては、基本理念に則り、再生可能エネルギー発電設備整備促進しつつ、事業者との密接な連携の下にその利益農林漁業者をはじめ地域関係者が十分に享受することにより、当該地域の活力向上及び持続的発展が図られるとともに、地域農林漁業の健全な発展に必要な優良農地等の確保が確実に実現されるよう定めること。また、その内容が、市町村作成する基本計画に十分に反映されるよう適切に指導すること。  二 市町村による基本計画作成及び再生可能エネルギー発電設備整備計画認定等に当たっては、その円滑かつ確実な実施が図られるよう、市町村に対し、必要な情報提供、助言その他の援助などきめ細かな配慮を行うこと。    また、市町村が農林地所有権移転等促進事業を行うに当たっては、農業委員会等と十分に連携することにより、農林地の農林業上の効率的かつ総合的な利用確保され、地域農業活性化につながるよう、市町村に対し、適切な助言等を行うこと。  三 再生可能エネルギー発電設備として利用されなくなった場合の農地等の原状回復等が確実に行われるよう措置すること。その際、市町村に過重な負担が生じないよう必要な措置を講ずること。  四 基本理念に掲げられた地域関係者の相互の密接な連携を実効あるものにするため、本法第六条に定める協議会活用地域合意形成が十分図られるよう適切に指導すること。  五 農林漁業の健全な発展に資する取組については、各地の事例調査し、評価・分析を行うとともに、結果を公表すること等により、その着実かつ効果的な実施に向けた環境を整備すること。  六 再生可能エネルギー電気発電促進に当たっては、農山漁村に存在する土地、水、バイオマス等の資源の賦存状況、農山漁村再生可能エネルギー供給の可能性を踏まえつつ、各種施策の充実を図ること。    また、農山漁村活性化に向けて一層の効果が期待される小水力発電木質バイオマス発電等の導入促進を図ること。  七 再生可能エネルギーに係る制度的・技術的な課題を把握し、その解決を図るとともに、再生可能エネルギー発電に係る利益地域還元させることができるよう、本法の施行状況はもとより、固定価格買取制度をはじめとする関係制度の運用状況について五年を待たずに評価・検証を開始し、その結果に基づき、速やかに適切な措置を講ずること。  八 東日本大震災からの一日も早い復興に向けて、被災地を中心とするバイオマス作物の栽培や未利用間伐材エネルギー利用の実用化等の検討を進めるとともに、再生可能エネルギー導入への支援の充実を図り、エネルギーの地産地消を進めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  210. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  211. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、林農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林農林水産大臣
  212. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
  213. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会