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2013-11-05 第185回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年十一月五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十月三十日     辞任         補欠選任      平木 大作君     山口那津男君  十月三十一日     辞任         補欠選任      山口那津男君     平木 大作君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野村 哲郎君     理 事                 猪口 邦子君                 山田 俊男君                 小川 勝也君                 紙  智子君     委 員                 金子原二郎君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 山田 修路君                 郡司  彰君                 徳永 エリ君                 羽田雄一郎君                 柳田  稔君                 平木 大作君                 横山 信一君                 山田 太郎君                 儀間 光男君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        農林水産大臣  吉川 貴盛君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        小泉進次郎君        農林水産大臣政        務官       横山 信一君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       澁谷 和久君        消費者庁審議官  菅久 修一君        農林水産省食料        産業局長     山下 正行君        農林水産省生産        局長       佐藤 一雄君        農林水産省経営        局長       奥原 正明君        農林水産省農村        振興局長     實重 重実君        水産庁長官    本川 一善君        環境大臣官房審        議官       奥主 喜美君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (環太平洋パートナーシップTPP協定交  渉に関する件)  (攻めの農林水産業に関する件)  (米の生産調整に関する件)  (経営所得安定対策に関する件)  (諫早湾干拓事業潮受堤防排水門開門調査に  関する件)  (漁業経営安定対策に関する件)     ─────────────
  2. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官澁谷和久君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 山田俊男

    山田俊男君 自民党の山田俊男であります。  本日は三十分という短い時間でありますけれども、濃密な質疑を多くの重たい課題を抱えた林大臣に率直に申し上げたいと、こんなふうに思います。  まず最初に、十一月一日の質問事前通告では含んでおりませんでしたんですが、実は、十一月二日の日本経済新聞は一面トップの記事で、TPPについて我が国自由化率は九五%だと、それで、関税を守る品目タリフラインで四百五十だ、さらには重要五品目を、五百八十六ですね、これを下回る数字を提示するんだと、こういう内容のものでありまして、品目は様々な品目をもう具体的に挙げているわけでありますが、これは大臣、誤った報道ですか、お聞きします。
  6. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 交渉具体的内容にかかわることでございますのでお答えは控えさせていただきたいと思いますが、関税撤廃率につきましては今後も各国とやはり交渉を積み重ねていくべきものと、こういうふうに承知しております。守るべきものは守るということを常々申し上げておりますが、そのことによって国益を最大限に実現をしていきたいと考えております。
  7. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、毎回こういう形で報道をされて、その上で、それは誤った、誤報でありますみたようなことを、ないしは、その点については、今もおっしゃっていただきましたが、申し上げる内容ではありませんと、こうした回答になってしまっているわけです。そのことで一体どれだけ全国農林漁業者が不安な思いでいるかということを本当に思い至っていただきたいというふうに思います。  私は、これは予算委員会でもやらせていただきましたが、自由化率を前提にして、例えば九五%という話にしちゃうと、今言いましたように、それはもうタリフラインは四百五十であるとかみたいな話、ないしは五百八十六からこれを引きます、さらにはこっちから入れていきますみたいな議論になるんですよ。大体、自由化率交渉するということはどこで決まったんですか、お聞きします。
  8. 林芳正

    国務大臣林芳正君) いわゆる何%という自由化率ということで決まったということについても交渉中身そのものでありますから、私からは包括的で高い水準協定を目指すということをずっと申し上げてはきておりますけれども、予算委員会山田先生の御質問がありましたので、市場アクセス交渉、これはMA以外にもほかに二十分野あるわけですが、このMA交渉においてはやはり相手国の実質的な輸出関心、これを把握した上でやるということが非常に重要であるということをそのときも申し上げましたが、改めてそのことをここで申し上げておきたいと、こういうふうに思います。
  9. 山田俊男

    山田俊男君 大臣は、これは現段階では誤った報道であるかどうかは申し上げられないという話でありますが、今、自由化率新聞に出ている、新聞に出ているということしか材料がないですからそう申し上げるんですが、今大臣おっしゃったように、アメリカとの間で具体的な交渉をかくのごとくこうしていると、だからタリフラインについても相手側からいろんな要求が出ているから、それを踏まえて自由化率議論タリフライン議論をそういう形でせざるを得ないんだということが背景に今あるんですか、ないんですか。
  10. 林芳正

    国務大臣林芳正君) お相手がどういうことをやっていて、我々がそれにどう対応しているかというところがまさに最も交渉のコアにかかわる部分でございますので、誠に申し訳ないんですが、そこは交渉中身ということで申し上げられないというお答えになるんですが、我々としては、やはりこのTPP、数か国でやるマルチではありますけれども、それぞれの相手国の実質的な輸出関心、これを把握した上で交渉を進めることが大事であると、こういうふうに考えて、当然、米国ともそういう考え方で二国間協議を行っているということでございます。
  11. 山田俊男

    山田俊男君 そうしますと、自由化率でこういう形で、まあ誤報でありますが新聞に出ておりますという中で一旦提示して、それでアメリカと二国間、アメリカを中心にして申し上げますが、二国間の協議をやってアメリカ関心事では全くないということになったら、一体これ提示した話はどっちへ向かっちゃうんですかね。  私が心配なのは、まさに大臣がおっしゃるとおり、きちっと交渉をして、そしてアメリカの意図はどこにありやと、そういう中で私はつかんで交渉していくということだと思いますが、もう一度、大臣、そこをはっきりお聞きします。
  12. 林芳正

    国務大臣林芳正君) したがいまして、今委員もおっしゃいましたように、この二国間の交渉というのは相手が望まないものを、まあ一般論ですが、こちらが出す必要もないわけでございますから、相手がどういうところに関心を持っているか、実質的な輸出関心と私申し上げましたけれども、これをしっかりと把握した上で交渉を進めていくと、そのことを申し上げておきたいと思います。
  13. 山田俊男

    山田俊男君 そうしますと、これは私も予算委員会質問させていただきまして、総理は、御案内のとおり、バリTPP首脳会談にお行きになって、それで多様性バランスという首脳声明を出していただきましたよと、だから、バランス多様性、これをしっかり確保しながら進めるんですというふうにおっしゃった。もう自由化率タリフラインをどうするという議論をやめて、そして、きっちりアメリカとの間に本当に真の意味で、二月の日米首脳会談でお互いにセンシティビティーを確認したじゃないかと、そういう立場交渉をするということじゃないんですか。そのことを、改めて政府として交渉の仕方を見直して、そしてきちっと多様性バランスで進めるということだと思うんですが、大臣の見解をお聞きします。
  14. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 首脳バリ会合においては、まさに今、山田委員がおっしゃったように、包括的でバランスの取れた地域協定にすると。これは、安倍総理がおっしゃったということにとどまらず、首脳声明ということで確認をされたということでございます。  もう一つは、今おっしゃっていただいたように、日米共同声明でも我が国農産品センシティビティーということが明記をされた、こういうことでありますので、我が国だけではなくて各国とも大変に政治的な困難な課題を抱えている、こういうことでございますから、各国センシティビティーに配慮しながら包括的で高い水準協定の達成に向けて各国努力していくと。これが大事でございますので、我々も衆参の農林水産委員会の決議も踏まえて全力で国益を守り抜くように力を尽くしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  15. 山田俊男

    山田俊男君 ともかく、大臣、今の決意で米国との間できちっとした交渉を積み重ねていただきたい、こんなふうに思います。その上で、本当にタリフラインをどんなふうに扱うか、そのことを徹底して議論しながら、そして我が国立場センシティビティーをしっかり主張していくという交渉にしてもらいたい、このことを大臣始め皆さんに切にお願いする次第であります。また、その場合は、外務省が交渉しています、内閣官房交渉していますという形じゃなくて、農林大臣がもう一歩も二歩も前へ出てこの交渉を、農産物のこの交渉をリードするという形をつくってもらいたい、このことを切にお願いして、次の質問に移ります。  次は、今これほど農林漁業者農業者が特に混乱した状況は見たことがありません。何かと。ひとえに、この時期に来て生産調整についてはもう廃止するんだ、見直すんだと。そして、具体的な手だてを明示しているわけではありません。そういうことだけがもうわっと世の中に出ているという環境であります。もう種もみ用意してありますよ。荒起こしをするところは荒起こししてありますよ、来年の作付けに向けて。その段階生産調整の在り方について方向が出ていない。さんざん言われている。これほど困難な状況はないというふうに思います。  大臣、本日は大臣所信挨拶をいただいた上での質疑ということもありますので特に申し上げるんですが、大臣所信的挨拶の中に生産調整について触れていなかったんです。これ、二、三日の違いでありますが、どうですか。産業競争力会議の新浪委員生産調整廃止という提案が出てこの議論が起こったんですか。なぜ所信生産調整の論議が触れていなかったか、これをお聞きします。
  16. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 私のこの間の所信でございますが、日本型直接支払制度創設及び経営所得安定対策見直しにつきまして、引き続き与党との議論を踏まえながら検討を進めていくと、こういう旨言及をさせていただいたところであります。  委員も御専門ですからお分かりだと思いますが、経営所得安定対策見直し、また多面的機能に着目した日本型直接支払創設議論、これは米の生産調整を含む米政策と密接に関係をしておりまして、一体的にこれは議論が進んでいるというふうに御理解をいただけたらと、こういうふうに思います。
  17. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、今もおっしゃっていただきましたが、生産調整についてはもう四十年もずっと様々な議論をしながら進めてきた経緯があります。その中で、基本的には、水田を総合的に利用して、そして需要がややもすると努力にもかかわらず減退しているこの実態の中で、この水田活用しながらほかの作物をどんなふうに作り上げていけるのかどうか、そして同時に、ちゃんと食べていける経営地域ごとにどんなふうにつくれるかということがあるわけであります。  大臣、長い議論の中で三つあるんです。一つは、水田フル活用をどう進めるのかということでありました。そして、そのために、麦や大豆主要作物や、それからこうした作物をきちっと定着させるということがあったわけですね。  二つ目は、それこそ地域担い手をつくり上げるということでありました。ですから、それこそ本当に各地で涙ぐましい努力もしながら集落営農取組であったり、それから法人経営をつくり上げるという取組であったりしてきたわけでありますから、そうした担い手地域の特色を生かした集落営農等担い手をちゃんと育てていく、それが複合経営の形も選択して取り組んでいけるという形を整えることだったと思うんです。  三つ目は、どうしても豊凶で過剰が生じます。そうしたら、過剰を放置しておくと救いようがありませんので、そのための対策を何とか講ずるということであったはずです。そうです、だって食糧法で過剰な米を買い上げるという手法は到底つくれないという形で進んできたわけですからね。  とすると、この三つ手法はしっかりそれなりに確立したもの、議論議論の末につくり上げてきた内容だというふうに思います。  大臣、この生産調整議論をするときに、全ての作物対象にした収入保険検討していっていいぞ、また検討していく余地があるぞという大臣記者会見でもあったし、農林水産省のこれは一つ考えですかね。だって、検討のための、調査分析のための予算を講じていますからね。だから、そういうことであれば、そのための対策検討方向を今の段階できちっと示さなきゃ、さっき話しましたこの三つ課題についてどんなふうにこたえていくのかということについてのこれは方向生産者も全然見出せないわけであります。  私は、収入保険の仕組み、なかなか有力な方策だというふうに思っているんです。その立場で聞くわけでありますが、一体どういう内容イメージを持ったものなんですか、お聞きします。
  18. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 収入保険関係でございます。  この収入保険につきましては、生産調整というよりも、むしろ農業共済制度、これをどういうふうに改善していくかという問題意識で我々考えております。  現在の農業共済制度、これは自然災害による収穫量減少、これを対象としておりまして、価格の低下は基本的に対象になっておりません。それから、収穫量減少を見るということで、対象品目はこのチェックができるものに限定をされておりますし、それから加入単位品目ごとということになっております。こういった問題がございまして、この複合経営経営安定ということを考えますと必ずしも十分ではないと、こういう側面があるんではないかというふうに考えております。  このために、全ての作物対象といたしまして、農業収入全体に着目をした収入保険導入について調査検討を進めていくという必要があるというふうに考えておりまして、二十六年度の予算概算要求におきましてその調査費要求をしているところでございます。
  19. 山田俊男

    山田俊男君 一体、この収入保険の形を、それじゃ、調査研究を進めるということでやって、何年ぐらい掛ける予定ですか。
  20. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 収入保険制度設計には、これは従来の共済とはかなり違う側面がございます。特に、この加入者収入捕捉をどういうふうにするかという捕捉の方法ですとか、それから過去のデータを踏まえた保険料保険金等水準設定、こういったことに十分な検討が必要であるというふうに思っておりますので、一定期間が必要であるというふうに考えております。
  21. 山田俊男

    山田俊男君 新聞報道でも議論になっています。大臣収入保険方向考えるよというふうにおっしゃって、それは三年なのか五年なのか七年なのかという議論があるんですけれど、それぐらいの長期の期間考えるということでいいんですか。
  22. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) そこは、その程度期間は必要であるというふうに考えております。
  23. 山田俊男

    山田俊男君 そうしますと、一体、生産調整廃止というふうにおっしゃるこの取組と、それと各作物全体を含んだ収入保険ないしは経営安定対策の仕組みを検討するということの間のずれはどんなふうにお考えになるんですか。  今、生産調整廃止したっていったら、一体その後の手だてをどんなふうに仕組んでもらえるのかということをみんな心配しているわけですね。その際に収入保険検討、これもあるよとおっしゃっているんですから、そうすると一体収入保険が、五年ないし七年ですか、そういう期間が掛かるイメージで持っていますよという話にしたら、この間一体何で支えるんですか。  御案内のとおり、現行は収入減少影響緩和対策、これは引き続き実施しますというなれば、ナラシというふうに言っているんですが、これは都道府県は四ヘクタールないしは集落営農で二十ヘクタールというふうな形で規模要件があったんですが、これはなくしますよという考え方一定程度政府等との協議の中で出ているというふうに言いますが、しかし加入者は七万人ないしは八万人しかないはずですね。それじゃこの対策で支えることは到底できないというふうに思うんですよね。そうすると、一体これ、この間をどういう形で措置しますか。お考えがあればお聞きします。
  24. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 今、山田先生の方から御指摘があったわけでございますが、私どもといたしましては、今、日本型直払い等々の関係について与党の方とも今検討させていただいているところでございますが、やはり需要に見合った米の生産あるいは需要に見合った農産物生産といったものが今後とも大事かというふうに思っているところでございまして、特に、先生の方からお話ございましたように、地域水田農業をしっかり守っていくといったことが非常に大事かというふうに思っておりまして、今後とも、こうした観点から、餌米でありますとかあるいは加工米といったものの作付け転換をスムーズに進めていくことが重要かというふうに思っておりまして、いわゆる水田フル活用していくといったことが重要であるかと思っておりまして、このためには、地域として団地化やあるいは多収性品種導入等取組をこれを計画的に進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。  このため、現在、産地資金といったことで特色ある地域作物の推進をやっているわけでございますが、この産地資金活用計画書といったものを充実させて、言わば地域農業設計図といったようなことになるように、都道府県段階あるいは市町村、地域段階での地域農業再生協議会、ここにおきまして、三年から五年後を見据えた取組方針を記載していただく水田フル活用ビジョン、こういったものを策定することを検討しておりまして、こうしたビジョンに基づきまして、この産地資金の使途あるいは単価を地域で設定できる産地資金活用しながら、地域の特性あるいは創意工夫を生かした取組を推進していくといったようなことを考えているところでございます。
  25. 山田俊男

    山田俊男君 今、生産局長から産地資金の話が出ましたので、具体的に、産地資金については充実して、それが水田フル活用ビジョン作りに役立たせますよというお話だったかというふうに思いますけれど、しかし、産地資金の金額も、御案内のとおり現状では大変小さなものでもあるわけです。  本来、こういう形でまだ計画生産生産調整を続けざるを得ないという話であれば、それこそ固定支払をちゃんと継続していくという取組が必要なんじゃないんですか、段階的に。その点は一体どうなっているんですか。これは経営局長ですか。
  26. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 民主党政権下導入をされました所得補償制度、この中で米の直接支払交付金がございます。これにつきましては、生産調整を実施をされた販売農家の方それから集落営農の方に十アール当たり一万五千円、これが支給をされているというものでございます。  これについてはいろんな議論がございますけれども、米につきましては、畑作物、麦、大豆その他とは違いまして国境措置がきちんとございます。そういった意味では、諸外国との条件の格差、これが不利となって出てきているわけではないと、こういった問題が一つございます。  それから、農業構造改革を進めていくという観点におきまして、全ての販売農家の方に一万五千円を交付をするということになりますと、やっぱりこの構造政策方向性と合ってこないんではないかと、こういった問題もございまして、これについてはいろんなことを検討しなければいけないというふうに考えております。
  27. 山田俊男

    山田俊男君 とすると、生産調整廃止議論が出ております、そして収入保険も含めた対策をどうするかというのはまだ時間が掛かりますということであって、そんな中で産地資金を含めた水田フル活用取組はちゃんとやりますよと、こうおっしゃっている。  私は、やはり固定支払、これをどう評価するか、これについては私も意見があります。だけれど、来年の作付けをもう準備している生産者からとってみますと、もっと心配させない取組をきちっと検討しなきゃいかぬというふうに思いますので、そのことを強く申し入れておきます。  さて、水田を利用して複合的な経営を可能にするためには用排水対策が極めて重要であります。従来もこれは、具体的に、地下水調整も行うことが可能な形で用排水を完備した基盤整備を実施するということが全国でもそれなり規模で行われているわけでありますが、当然のこと、これに対しては投資が必要になります。どうですか、来年の概算要求にも当然このことは含んでいるんでしょうね。
  28. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 水田において、米だけではなくて、麦、大豆などの作物作付けをいたしまして生産性の高い農業を実現していくためには、委員指摘のとおり、零細、分散した農地の区画を大区画化いたしまして担い手となる農業者に集積していくことや、水はけの悪い湿田から用排水改良をすることによりまして作物に適した水位調整を可能とすること、これらが重要でありまして、こういった観点から圃場整備を推進し、また予算要求を行っているところであります。  全国的に見まして、三十アール区画程度整備済みとなっている圃場整備率は六三%でございまして、一ヘクタール程度の大区画化については現在積極的に進めようとしておるところでございますが、二十一万ヘクタールを二十八年度には倍増して四十万ヘクタールにする、特に、それも含みますが、それ以外も含めまして、畦畔除去などの区画拡大、それから暗渠排水など簡易な整備ができるものにつきましては、農業者自力施工をしていただくなどによりまして定額助成しまして広範に進めていきたいと思っておりまして、こういったところに力を入れて予算要求しているところでございます。
  29. 山田俊男

    山田俊男君 いずれにしても、アジア・モンスーンで水はけが大変課題であって、さらにまた傾斜地の多い我が国の中山間の水田農業を含めて対策講ずるということになれば、当然のこと基盤整備が必要になるわけですし、その基盤整備に対してきちっとした予算とそれから財政の支出が必要になるわけです。  話変わりますが、この産業競争力会議のメンバー、提案された、生産調整廃止だと。そして、さらにまた、何をおっしゃっているかといったら、国は手助けしない、自由な競争と自覚に任せる、生産調整廃止する。こんな形の議論だけで、一体、大事な日本農業、複合的経営も含めた担い手づくりに役に立つと思いますか。このことについてしっかりきちっと対応を図らなきゃいかぬわけです。  とりわけ心配なのは、一旦、豊作によって過剰米が出た後、その過剰米の扱いをどうすればいいか。米価は低落するだけですよ。国は、その米を買い上げるという措置は、御案内のとおり、もう播種前に備蓄米を買い上げるという仕組みを採用した後、手だてを講じておられないわけです。それじゃ何ですか、あとは先物取引で軽減すればいいんじゃないかという話にしますか。こうならぬわけでしょう。一体、この出てくる過剰米、米価の低落、これを、農業者あなた方の責任でしょう、自覚でしょうと、それで調整してくださいよという形で物事は進みますか。だからこそ、これに対してやはりどんな手だてでこれを講ずるのかということが絶対に必要なんです。  どなたかこのことを検討されているんですか、お聞きします。
  30. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 山田先生の御質問でございますが、まず最初に、私ども今考えておりますのは、米につきましては、先ほど先生の方から御質問ございましたように、水田活用対策というものをこれをまず充実させるということと、それと、やはり我々といたしましても、毎年国が全国ベースの米の需給見通し、こういったものを示して、これを生産者あるいは集荷業者の皆さん方に提示しまして、そこで主体的な経営判断や販売戦略に基づいた主食用米偏重ではなく需要に見合った米の生産といったものを実現を図ることが必要ということで、まず入口としてはそういうふうに考えているところでございます。  他方、今先生の方からお話ございましたように、出口ということで、やはり米は天候によりまして豊作もありますればあるいは需要減といったものもございますので、この需給の不安定化といったものは避けられません。したがいまして、生産者自らの取組を基本といたしまして、販売の見込みが立たなくなった主食用米を需要が期待できる加工あるいは飼料用等への供給といったことを考えまして、豊作、需要減等に対応するための民間主導による需給安定の取組が可能となるような環境整備が必要と考えておりまして、この点につきまして与党とも十分相談しながら対応を考えていきたいと、かように考えている次第でございます。
  31. 山田俊男

    山田俊男君 私は、米の生産調整は、こうした需要減や動向によりまして必要だというふうに思っております。だからこそ、水田の総合的利用をどんなふうに、ちゃんと地域で知恵も出しながら定着させていくということが必要です。そのための手だてをしっかり示さないと、これはもう不安でしようがないわけであります。とりわけその中でも、やはり今申し上げて議論しております過剰時の対策をどうするかというのは物すごく大事であります。  どうぞ大臣産業競争力会議にあんな形で、歴史も経緯も何も御存じないまま、企業の論理で、全てを否定するわけじゃないんですが、企業の論理でこの農業を仕切ってしまう、それもこの大事なときにこんな議論をしてくる、こんなことに対して敢然と大臣は闘わなきゃいかぬのだと思うんです。違いますよということを言わなきゃいかぬのです。どうぞ、大臣の決意をお聞きします。
  32. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 御声援ありがとうございました。  産業競争力会議、規制改革会議等は、その発足の経緯からしても、農林水産業を成長産業化する、こういう観点を軸にいたしまして議論が進められている。これも大事でありますが、やはり今、山田委員がるるお述べになったように、いろんな農林水産業が果たしている機能がございます。多面的機能というのもその大きな柱でございますし、食料を安心、安全の観点から供給すると、こういうことがあるわけでございますので、しっかりとこういう会議体には我々も必要に応じて出席して、私も九月二十日、課題別会合に出席しまして、直接民間議員と議論をいたしました。引き続き必要な発言、反論、これを行っていきたいと、こういうふうに思っております。  自民党の公約でも、多面的機能に着目した直接支払ということが経営所得安定制度と二本柱になっておるわけでございますし、農林水産省としても、強い農林水産業と並んで美しく活力ある農山漁村、こういう二本柱でやっていくということでやっておりますので、今の委員の叱咤激励も踏まえてしっかりとやってまいりたいと、こういうふうに思います。
  33. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 山田俊男君、時間が来ておりますので、まとめてください。
  34. 山田俊男

    山田俊男君 はい。  本日もたくさんの傍聴の皆さんがお見えです。この皆さんの熱い期待に大臣こたえなきゃ絶対駄目なんです。どうぞ、大臣の頑張りをお願いして、私の質問を終わります。  以上です。
  35. 金子原二郎

    金子原二郎君 この度、委員になりました金子原二郎でございますが、今日は、大臣に対する所信質問でございますけど、お許しをいただきまして、地元の諫早湾干拓の排水門問題についてお伺いをいたしたいと思います。  まず、諫早湾干拓事業の排水門問題について、この問題は、私もちょうど昭和五十年に県議会に籍を置きましてから今日まで何らかの形で携わってまいりました。今の状況に大変な強い懸念を持っております。  そこで、まず伺いますが、国は、今年の九月以降三度にわたり開門に向けた事前対策工事に着手しようと現場に入りましたが、地元の方々の激しい抗議行動によりまして着手できませんでした。私も三回目のとき現場に行ってみましたが、あのときの状況を見ますと、今後何度着手しようとしても同じ状態を招くのではないかと思いますが、国としては今後もこの事前対策工事を強行しようとしているのかどうか、まずはお伺いいたします。
  36. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 諫早湾の干拓排水門につきましては、委員も御承知のとおり、二十二年の福岡高等裁判所の判決が確定をいたしましたので、国としては本年十二月二十日までに開門すべき義務を負っておると、こういうことでございますので、開門した場合に被害が生ずるおそれがあるという地元関係者の皆様の懸念に対応するために、国として、防災上、農業上、漁業上の対策ということを提案してきたところでございます。  私自身も、就任をいたしまして、担当していただいております江藤副大臣とともに二月に現地を二日間にわたって訪問をさせていただきました。また、副大臣は八月にも現地を訪問をさせていただきまして、そのほか、長崎県の関係者、金子先生にも度々御同道をいただいたわけでございますが、上京される機会には対話を続けてきたと、こういうことでございます。  現地で職員が、予算が成立して以来、三百回以上戸別訪問をさせていただき、工事の説明会も開催をさせていただきまして、またパンフレットを二回ほど全戸配布をさせていただいた、その上で三回にわたる工事着手の試みと、できる限りの準備を行ってまいりましたが、今、金子先生がおっしゃったように、地元関係者の御理解をいただくという状況に今至っていないところでございます。  冒頭申し上げましたように、開門の期限がだんだんと迫ってくる中でございますので、この義務の履行の判断というものが司法の手に委ねられてしまう、こういう事態は避けなければならないと、こういうふうに考えておりまして、開門しても地元に被害が生じることのないよう引き続き粘り強く地元の関係者の御理解を求めていきたいと、こういうふうに考えております。
  37. 金子原二郎

    金子原二郎君 三回地元に入ってみて、あれだけ強い抵抗を受けたということについて、じゃ、何でそんなに地元は、皆さん方が大変な努力を今日までやっているのに、大臣含めて三回、そしてまた地元に対するいろいろなパンフレットを配ったりしても、これほど強い抵抗があるわけなんですよね。なぜこういう抵抗があるのかということがまず一つ。  それから、皆さん方が仮に、今おっしゃったように、最終的に司法的な手続を取らなきゃいけないということを今大臣発言なされましたが、じゃ、そういう司法的な手続というのはどういうことをお考えになっているのか。それについて、二点についてお尋ねします。
  38. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 地元長崎県関係者の皆様方と度重なる話合いをさせていただいておるわけでございますが、その中で、今委員から、御地元が反対しておられる理由ということでございますが、大きく三つあると思っております。  一つは、原告と被告、国との間で一方的に判決が確定してしまったことに対しまして、その影響を被るのは地元関係者であると、そういう意味で納得がいかないという御主張がございます。それから二番目は、諫早湾干拓事業の完了によって防災上も安心することができた、また広範囲の農地で優良な農業経営が展開されている、さらに漁業上も努力して成果を上げておられる、こういう中で開門すれば再び不安な状態に置かれて被害を受けるおそれがあるというようなこと。それから、有明海の漁業の不振の原因が諫早干拓事業であるとは考えられない、開門しても漁業が良くなるとは思えないと、こういったような御主張をいただいているところでございます。  これに対しましては、農林水産省といたしましては、一つ目の点でございますけれども、これは、確定判決が存在する以上、国はその履行の義務を負っているわけでございますので、地元に開門しても悪影響が生じないということになるように万全の対策を講じることが必要だと思っております。このために、具体的な対策といたしましては、五千八百ページに及ぶ環境アセスメントを行いまして、防災、農業、漁業上の対策を示しまして必要な予算措置を講じたところでございます。  また、開門した場合の効果ということについての御意見がございますが、これについては、魚類の産卵や稚魚の生育に良い影響がある可能性もあるという専門家の指摘もございますので、開門の前後を通じて有明海などの百か所で追跡調査をするということで、本年度から既に行っているところでございます。これらについて資料をもって説得に努めてきておるところでございますが、いまだ納得を得るに至っておりません。  それから、委員指摘の司法上の観点でございますが、これは、私どもと申しますよりも、原告団の皆様方が開門についての債権者でございますから、この国の対応が、義務が履行されていないということになりますと強制執行を申し立てられる可能性がございます。そういうことにならないように努力をしたいという具合に思っておるところでございます。
  39. 金子原二郎

    金子原二郎君 いろいろと地元の皆さん方の思いに対する四点のお話がありましたので、それは私と大体同じような考えだと思います。ただ、やっぱり地元の皆さん方からすれば、そういう状況の中で、たしか平成九年に閉め切り堤防が完成したわけなんですね。それから、非常に今まで、それまでには大雨が降ると大変な被害を受けておった、そして、農業もなかなか塩害を受けて非常に厳しかった。  地域の皆さん方というのは、そういう状況の中で閉め切り堤防が完成したことによって生活ががらっと変わったんです。非常に安定してきたんですよ。心配をする必要がなくなった。営農だって塩害も非常に少なくなってきた。それから、背後地に八百戸以上の方々が住んでおりますから、今までは大雨が降るたびに、台風が来るたびに心配しておったのが、この十五年間は全くその心配がなくなってきたわけなんですよ。  そういう心配がない中でですよ、あえて国が今回こういった形で開門をするということになると、自分たちの十五年間のこの生活の安定が脅かされてしまうんじゃないかと非常に恐怖感を持っているんですよ。だから、国の方であの対策をします、この対策をしますと言ったって、地元の皆さん方からすれば十五年前どうであったかということについてもうよく分かっているから、そのときのやっぱり自分たちの置かれたそういう環境というものを考えると、これは本当にあそこに水を、海水を入れてしまうと、どういう状況になるかということはよく分かっているわけなんですよ。だから、彼らは絶対反対なんです。だから、今回の反対のデモを見てみると、入植者よりも従来の干拓地の人たちが多いんですよ、圧倒的に。要するに、営農はしていない人でもあそこに住んでいる方々が圧倒的に多い。  そういう恐怖感がある中で、こういう事業をやるということ自体がもう正直言って分からない。というのは、実際皆さん方も御承知のとおり、平成十四年に開門を一時、一か月間やりました。あのときは短期、中期、長期という話が出たんです。検討委員会をつくって中期で、長期でやっても、何らこの有明海全体に対する影響の状況調査しても分からない、影響は分からないというふうな判断をしたんですよ。  私は当時知事をしておりましたから、いろいろな状況の中で短期だけはもうやらざるを得ないなと。短期をやらないと、どうしてもあのノリの不作に対する漁民の皆さん方の理解も得られないし、国としてのまた協力も得ることができないということで、あれは当時、たしか私と佐賀県の知事と、それから福岡と熊本の副知事と、三県漁連の皆さん方に出席していただいて、農林水産大臣のところに行きまして、そして、皆さん方で話し合った結果、この事業は十八年度に完成をさせる、その代わり開門調査は短期でということで話が付いた。  ところが、この短期さえも地元は反対しておったんですよ。しかし、国を信頼して、国が今まで地元のこの工事を進める上において、それは昭和二十八年にこれはスタートしたんですが、いろいろな紆余曲折があった。実際は、湾内の漁民、湾外の漁民、そして、県外の漁民の皆さん方の説得がなかなかできなかった。それが昭和五十七年だったですかね、規模を三分の一に縮小して防災でこの事業をやるんだということで、それぞれ今まで反対していた方々がまあ理解を示して、そして、結果的には二百八十億ぐらいのお金を払って、それぞれの漁民との間で同意ができたわけなんですよ。  そういう努力をしながら、しかも平成十四年度のときの開門調査の話でも、もう本当に国との信頼関係なんですよ、この事業を進めてくる上において。本当に国との信頼関係なかったらやれなかったはずですよ。皆さん方も誠心誠意尽くしてくれた。中には、あの十四年、開門調査をするときに、農林省の技術の皆さん方は絶対開けるなと私に言ったんだから、開けたらこの事業は終わりだと。しかし、一部政治家には開けてもいいんじゃないかという声があった。しかし、長崎県選出の国会議員は全員一致して、そして開けること自体がもう駄目だということで、みんながお互いに協力し合って、最終的にはやっぱり国も検討委員会を開いて、そういう結論が出たから結局こういう形になってきたわけなんですよ。  それが、一方的に皆さん方は判決だ判決だと、こうおっしゃっているけど、地元からすると国の司法的な判決とは思っていないんですよ。要するに、地元は上訴してくれということを何回もお願いしたんだから。上訴してくれ、上訴してくれとお願いするのに、全く今までの信頼関係を築き上げてきたこの国と長崎県を無視しちゃって、そして上訴しないで、最終的にはその判決が確定したわけです。  だから、私たち地元から見れば、これは行政判断と見ているんですよ。上訴して、最終的に最高裁の判決が出たら状況は変わったでしょう。しかし、行政が判断をして、行政が判断をして最終的に決まったということは、一方的に行政が判断した結果こういう形になったんだから、当然、地元としては、そういったことから考えて、どんなことがあったってこれは認めることができないという、そういうのが皆さんの考え方なんです。こういう考え方について、大臣、どう思います。
  40. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 若干、事務的な点について先に答弁させていただきます。  まず、委員指摘のとおり、諫早干拓事業は、干拓農地を造成するというだけでなくて、防災上の効果も大きなものがございました。そういう意味で、農業面、防災面を含めましてその効果を維持していくということは非常に重要な課題だと思っております。  この諫早につきましては、満潮時、海抜二メーターまで水位が上がるようなことがございますので、この現在閉め切った内側の池につきまして、調整池でございますが、これは海抜マイナス一メートルからマイナス一・二メートルで管理をしております。これは、開門いたしましてもこれについては変えないということで、これは淡水が海水になりますけれども、防災上は影響を及ぼさないというような考え方でございます。そのほか様々な、塩水が浸透してくるのではないか、あるいは潮風害を受けるのではないかというような点につきましても具体的に対策を示させていただいております。  一番工事で重要なのは、委員指摘のとおり、水を周辺の農地を含めまして大変使っていらっしゃいますので、海水になるということになりますと、営農用水がなくなります。これについては淡水化施設を設置するという形で予算を計上いたしまして、これも対策について御地元に示して御相談をしているところでございます。  また、今御指摘ありました経緯でございますけれども、この委員会の場でも何度も御議論がありましたとおり、農水省としては上告をして和解の道を探ってはどうかということを当時の総理に申し上げたところでございますが、総理の判断で確定いたしました。これについては、政府全体のものとして義務を負っているわけでございますので、その開門の義務を履行していくことが今の政府全体の責任であるという具合に思っております。
  41. 金子原二郎

    金子原二郎君 まあ大臣の話聞いても同じような答弁でしょうからね。  最終的に総理が判断したと言うけど、私たちが平成十四年度開門調査するときだっていろいろな意見があったんですよ。しかし、あのときは、いろいろな意見がある中で、最終的にはやっぱり地元の意向もいろいろと聞いていただいて、そして最終的な検討委員会でああいった結論を出していただいて政治的決着をしたと。  今回も、上訴するということでお願いをして、総理がしなかったと言うけど、じゃ、そのときの流れを私見ておって、農林水産省だって体を張って反対しましたか。誰一人しないでしょう。普通は、本当に農林水産省がこの事業は地元とお互いの信頼関係によって今日までやってきたと、どっちかというと国主導ですよ、私はずっと流れからいって分かっている。それを本当に上訴して、そういう判決が確定すると、これは地元は絶対難しいと。しかも、最終的な判断の、司法の判断というのはやっぱりもう一つ最高裁に行くことだというふうに考えるならば、私は、農林水産大臣でも副大臣でも担当副大臣でも辞表を提出すべきですよ、本当は。辞表を出してでもこれは、絶対この事業は最終判決をしてもらわないとおかしい。というのは、福岡高裁の判決の中身だって、後で議論しますけど、おかしいんだから。  そういうことをやって、結果的には総理が聞かなかったというのなら分かるのよ。何か皆さん方のを聞いていると全て総理に責任を預けちゃって、菅さんがやったんだ、菅さんがやったんだと、そんな答弁ばかり地元でしているのよ。司法が最終的に決定したからといって、地元でこの前、私も行っておったら、整備事業部長が、これはもう裁判で決定したんです、確定したんですと。まあよくも言えるなと、今までは私たちに何を言っていたかなと。  そういうふうな、お互いもう不信感だらけなんだから。それでこのまま本当にこれが解決できると私は思わない。本当にここは国でもう少し何かの方法を考えなきゃいけないと思うんですが、大臣、どうですか、この件に関しては。
  42. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 改めて一番経緯をよく御存じの金子先生からお話を聞いて、先ほど局長からも答弁いたしましたように、長崎の皆さんがどうして反対しているかということについて説明をさせましたが、まさにそこのところの経緯のところ、非常に心情的に理解ができるところでありまして、私も就任してなるべく早くと思って現地を見させていただきまして、現地で既に営農されているいろんな方のところへ行って実際こういうものを作っておられるというところも見せていただきましたので、先生お話一つ一つ大変心にしみるところでございます。  したがって、私としては、今までどうであったかということをるる述べるということではなくて、やっぱり現在置かれている状況で何がベストなのかということをしっかりと先ほど申し上げたように努力をしてまいると、こういう決心でおるところでございます。
  43. 金子原二郎

    金子原二郎君 そこで、私が皆さん方にお話ししたいことは、お手元にお配りしてあるんですが、長崎地裁で、要するに最高裁の上訴をやめた後の翌年、そういう状況の中であっても、この小長井・大浦漁業再生請求事件について長崎地裁は公共性があるというふうに認めたんですよ。だから開門の必要はないと言っている。だから、開門の必要がない、それは前の年に、わざわざ上訴しなくて最高裁で決定しておったのに、その後開かれた長崎地裁で、しかもこの中には佐賀地裁のメンバーも入っておる、それでこういう判決がなくて、開門の必要はないという判決を受けた。これについてはどう思われますか。いや、大臣
  44. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 事実関係を述べさせていただきます。  平成二十二年十二月六日に福岡高裁判決が出ましたけれども、その後に、今委員指摘の平成二十三年六月二十七日の長崎地裁におきまして、開門と損害賠償を求めておられた原告漁業者に対しまして、一つは、諫早湾内の漁業者の開門、それから損害賠償の請求は認めない、それから諫早湾近傍の漁業者の損害賠償請求は認めるという判決を出しておられまして、その中で、本件事業の公共性が低いとは言えない、開門したことが違法な侵害行為とは認められないという判断を述べておられるところでございます。
  45. 金子原二郎

    金子原二郎君 だから、上訴をしていればこういう判決は、その後出たということは、この裁判についてもまた国としては対応していきたいということになっていくでしょうし、仮に、確定した後でも地裁でこういう判断が出るということは、やっぱり裁判所によって判断が違うわけですよ。だから、私は、こういう判決が出た中で、今これを福岡高裁に持っていっていますね。福岡高裁でまた今審議をしておりますが、国はこの問題に関してどういうような対応で今取り組んでおりますか。
  46. 實重重実

    政府参考人實重重実君) この平成二十三年長崎地裁判決でございますが、これは先ほど申し上げたように、湾内の漁業者の請求は認めない、一方で近傍の漁業者の損害賠償請求を認めるとされておられます。  この点につきましては、長崎地裁判決につきましては、近傍の漁業者に対しても既に漁業補償を行っておりますので、損害賠償請求を認めた部分を適当と考えておりません。この点を争って福岡高裁で控訴審で係争中でございます。
  47. 金子原二郎

    金子原二郎君 そこで、漁業補償の問題で、小長井の漁協が認められなかったのは、お互いの補償協定で結果的にはもう求償権がないということで認められなかった。ところが、太良の人たちは組合長との契約だったと、組合長との契約だったから、個々に対する補償があっていなかったということでこういう判決が出たわけですね。それは間違いないですか。
  48. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 国といたしましては、双方とも漁業補償を行ったという具合に主張しているわけでございますが、判決上の整理としては委員指摘のような形だったと思っております。
  49. 金子原二郎

    金子原二郎君 そこで、今、国は福岡高裁でどういう証拠を出しているかというのは、要するに太良の皆さん方と実際の補償協定を結んだのは国であったけれども、今度は、組合長さんたちが個々の組合員と委任契約の協定を結んでおったと、だから結果的には、この実際の判決の場合は、組合長だけの協定でやっていたんだから個々の組合員についてはそういう請求義務があるけれども、今その出されている証拠は、お互いに契約に基づいて、委任された上で責任持って要するに組合長とやったんだから、これはおかしいんじゃないかという、そういう今は主張をしているんでしょう。
  50. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 原告の御主張は、個人に対して漁業補償のお金が必ずしも行っているわけではないと、漁協に対して行っただけであるというような御主張がございます。これに対しまして国側といたしましては、漁協の代表者である組合長と契約を結んでおりますので、漁業補償を行っておりますので、これは漁業者に対する補償を一般的にそういう形でやっているわけでございますので、漁業者に対する補償と同じであるということを主張しているところでございます。
  51. 金子原二郎

    金子原二郎君 そういうふうな証拠の書類を何で佐賀地裁で判決されて福岡高裁に行ったときに出さなかったの。福岡高裁の中でも漁業補償の問題についていろいろとお互い審議がされているんです。そして、その佐賀地裁のときにもそういった補償的なものの振りがあったという話もあったけれども、そういうふうなことの書類を出していると、また福岡高裁の中身が変わったかもしれない。その辺はどうなんですか。
  52. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 福岡高裁の漁業者の、原告漁業者の御主張は、有明海全体の漁業が悪くなった、これは諫早干拓事業が原因であるということでございました。  実際に漁業補償は、有明海の工事を行うことに伴って漁業に影響が及ぶ部分、これについては全体について漁業補償を行っております。今委員指摘の諫早湾内あるいは諫早近傍だけではなくて、近県、周辺の県を含めまして有明海全体の漁業者に対して、因果関係が特定されると考えられる工事に伴う影響につきましては補償を行っております。  ただ、御主張の方は、そうではなくて、その補償を行った部分を超えて非常に大きな被害が、有明海漁業の不振が生じており、その原因は諫早干拓事業である、そのために干拓堤防を撤去すべきであると、こういうような主張でございました。裁判ではそれは認められませんで、撤去は認められないで、また有明海全体の漁業についての因果関係も認められていないということでございまして、漁業補償を行ったということについてはこの福岡高裁判決に至る過程でも十分主張してきているところでございます。
  53. 金子原二郎

    金子原二郎君 ただ、福岡高裁のときに、その佐賀地裁での判決の内容を見ると、漁業補償を出していれば要するに今度は再請求の権利はないんだから、そうすると開門の必要もないということになってくる可能性があるわけなんですよね。というのは、今回、福岡高裁というのは、甚だ被害があるかもしれないからその被害の状況を調べるために開門しなさいという話になっているわけですから、漁業者に対するちゃんとした補償がなされておれば、言うならば、要するに開門の必要はないという判決があったかもしれない。まあ、これは裁判のことだから分かりません。  そこで、今、国が長崎地裁の判決を受けて福岡高裁で争っているのは、漁業補償の問題だけ争って、開門の問題について争っていないんですよ、もう確定したからと言って。しかし、私は、地元のとらえ方としては、佐賀地裁から福岡に行ったものを政治判断でこういう形になったんだと、しかもそれは民主党政権のときであったと。今回は、その後に出された判決の中身を見ると、要するに開門の必要はないということをはっきりうたっているわけです。それで、地元の人たちが加わって今それを盛んに主張しているでしょう。国は、ところが開門の問題については争わないということで一歩引いている。  私は、行政判断で最終的に最高裁の決定を待たずに決まったんだから、一方では逆に開門しないでいいという、こういった判決がなされたものを福岡高裁でやっているんだから、徹底して国、闘えばいいじゃないですか。それを闘わないから地元はますます不信が募っているんだ。だって、違う判決が出ているわけなんだから。それを何で、行政的に判断がもう決まったからと言うけど、行政の判断は時によって変わるでしょう。だって、さっきの話だって間違った判断であったかもしれないというふうにみんな思っているんだから、総理が決定したんだといって、総理の判断が間違っていたかもしれない。そうしたら、こちらの裁判が最終的に福岡高裁でどうなるか、そこはやっぱり国としても責任を持ってやってみる必要が私はあると思うんです。なぜそれをやらない。
  54. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 委員指摘のとおり、福岡高裁判決とその後で出ました長崎地裁判決に微妙に違いがございますけれども、これは、私どもとしては、福岡高裁判決では諫早湾近傍の漁業者に対して開門を認めるということになっております。それに対して、長崎地裁判決では、湾内の漁業者が開門を求めておられたので、その請求を退けたというような関係になっていると思っております。それから、福岡高裁判決では、原告団、原告の皆様方はそもそも潮受け堤防の撤去を要求しておられて、これは退けられて開門を受けられたというような争点の違いもあるものと思っております。  先ほど申し上げたように、今の長崎地裁判決の控訴審、福岡高裁におきましては、漁業補償を行っているので国に損害賠償の必要はないということを争点として争っているわけでございまして、一方で、今御指摘の開門の関係について申し上げれば、福岡高裁判決が確定したものでございますので、その義務を履行することが必要であるという具合に考えているところであります。
  55. 金子原二郎

    金子原二郎君 だから、さっきから言っているように、違った判断が出ているわけですから。だって、国がいろいろな訴訟を受けたときに、各地域でいろいろな訴訟があって、それで結果的にはいろいろな判決が違うというのは多分たくさんあるでしょう、例が。そういう中で一つは確定したかもしれないけれども、こういう判断が、違った判断がなされているということは、地元から見ればやっぱり開ける必要がないというふうに思っているわけなんですから。恐らく、私はこのままいっても恐らく事業に着手することは難しいと思うんですよ。  だから、皆さん方と私たちの信頼、地元との信頼を取り戻すためには、ここでもう一回行政判断をしてみればいい。政治的判断です、そこはある意味じゃ。だって、前の佐賀地裁のときは、政治的判断でこれは決定した。今回、一方でこういった問題があるということは、政治的判断でやってみる必要があると思うんですよ。それでとことん司法の場で争って、結果的には最高裁まで持っていって、最高裁の判決がどういう結果になるか分からないけど、その判決が出ない限りは、私はどんなに皆さん方がやろうとしてもこの問題解決は難しいと思う。地元もそういう考え方。だって、お互い信頼関係でやってきたんだから。  この裁判はお互い当事者が国民なんですよ。一方の元々諫干に反対の人、元々諫干に協力した方と。単なる国を訴えたわけじゃないんだよ。関係者が両方に分かれていて、一方に有利な最終的な判決をそれを政治判断をしたなら、我々と長年一緒に協力してやってきたもう一つの裁判についてとことんやるべきですよ、国としては。後ろで頭を課長が振っているけれども。あなたたちは今まで裏切ってしまったんだから。  だから、本当に地元の人たちを説得する意思があって、もしもこのまま強行したら大変なことになりますよ。今はまだ地元としてはまあ本当にそこまでやらないだろうと思っているけど、現実的にこれが本当に工事着手してやるということになったら、今の人数じゃないですよ。諫早の周辺の人たちは相当な数が集まってくるでしょう。私が平成十四年に開門調査をするその前の反対のときには五千人集まったんですから。それはやっぱり何が何でもやっぱり完成させなきゃいかぬという気持ちがあったから。今回は完成したものをまた元に戻すようなことはないだろうというふうに思っている人が多いと思う。ところが、これが本当に現実的になってきたとき、私は、今以上の騒ぎが起こる。だから、これはもう是非、政治的判断ですよ。大臣の答弁を是非お聞きします。
  56. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほども申し上げましたように、金子委員は、遡ればお父様の時代からずっとこの件については深くかかわりになられて、特に知事時代には苦渋の決断ということでいろんなお話をまとめられたというのも全部お聞きをしておるところでございます。  したがって、政治判断ということをいろいろ今御議論いただきましたけれども、政府全体として、一度上告断念で判決が司法の場で確定している、その前提に基づいていろんな対策を講じてその説明をずっとやってまいりました。それがずっとの経緯でございますので、この段階でやはり粘り強く努力を続けていくことによって、なかなか金子先生がおっしゃるように地元の気持ちは難しいんだということは私もひしひしと常に感じてきたところでございますが、最後まで諦めずに、どうやったら御理解をいただけるかという努力をしっかりと傾注をしてまいりまして、その際には金子先生からの御指導も非常にお願いをしたいと考えておるところでございまして、十二月二十日が迫ってくる段階でございますので、しっかりといろんな努力をしてまいりたいと、こう考えております。
  57. 金子原二郎

    金子原二郎君 時間が来ましたので、これで終わりますけれども、期待をしていますからね。自民党政権になったということに対する期待感は非常に強いんですよ。民主党政権のときにこういう結果が出た。だから、自民党と一緒になってずっとこの事業は進めてきたと。その思いが非常に強いということを最後に大臣お話しして、今日は水産庁長官始めいろいろとお見えになりましたが、ちょっと質問ができなかったことをおわびを申し上げたいと思います。  どうぞ、あとはよろしくお願いいたします。
  58. 山田修路

    山田修路君 石川県選挙区の山田でございます。  今日は初めての国会質問ということでございますので、農政の基本的な方向などについて御質問をしたいと思います。よろしくお願いをいたします。  まず、農業構造改革についてでございます。  林大臣は攻めの農林水産業ということを標榜されておりますけれども、これを展開していく上で経営規模を拡大し、コストを低減していくということは極めて重要であります。この意味で、今国会に制度化を予定をしております農地中間管理機構、これは本当に有効な手法であるというふうに期待をしております。  中間管理機構が十分に効果を上げていくためには過去の反省を踏まえる必要があると思っております。昭和四十五年ですけれども、農地保有合理化法人、これ都道府県農業公社というような形で現実に行われておりますけれども、その当時鳴り物入りで制度化されたわけですけれども、十分に機能してこなかったというふうに思っております。  二つの点を指摘したいと思います。  六月に閣議決定された日本再興戦略の中で、十年間に農地面積の八割を担い手に集積するというふうにしておりますけれども、公的機関が介入をするということになりますと、なかなか量的に限界があるのではないかというふうに思います。それ以外の農地流動化施策についても、併せてしっかり推進していく必要があるのではないかと、この点が第一点です。  それから二つ目は、四十五年の農地保有合理化法人、これが、先ほど言いましたように県の農業公社でございますけれども、リスクを避けるという観点から農地を集めることについて消極的になったんではないかというふうに言われております。これがこの農地保有合理化法人が十分機能しなかった理由の一つだと言われておりますけれども、このような二つの点を踏まえながら制度設計をし、また推進をしていくことが必要だと思いますけれども、考え方をお伺いしたいと思います。
  59. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  担い手への農地集積と、この農地の集約化を加速するために、今国会におきまして、ただいま委員からもお話がありましたように、農地中間管理機構関連法案を提出をしているところでもございます。  ただいま御指摘のありましたとおり、昭和四十五年から県段階で農地保有合理化法人を設置をしておりますけれども、事業内容が売買を中心にしておりまして、出し手、受け手、合理化法人とも消極的な姿勢であったこと、さらには、出し手、受け手の個々の相対協議を前提としておりまして、地域全体として農地流動化を進めようという機運が出にくい面があったこと、さらには財政支援も不十分でありましたことなどから実績が低調であったと認識をしているところでもございます。  こうした実態を踏まえまして、今般これを廃止しまして農地中間管理機構を設けまして、リース方式を中心とし、機構が間に入ってまとまった形で農地を担い手に転貸をするとともに、地域関係者に徹底した話合いを通じた人・農地プランの作成や見直しとセットで取り組むことといたしております。もちろん財政支援も充実をさせることで成果を上げようというのが今回の法案の狙いでもございます。  なお、農地の流動化に様々な意向や実態等があることから、農地の出し手と受け手との間の個別相対による権利移動や、市町村段階の団体が農地の出し手の代理人として受け手を探す農地利用集積円滑化団体の制度は、従来同様に措置をしているところでもございます。  さらに、担い手への農地集積だけではございませんで、担い手の農地利用の集約を図ることを考えますれば、農地を借り受け、担い手のニーズに合うことをまとまった形にして転貸する農地中間管理機構が最も効果的な手法であると考えておりまするけれども、この機構と個別相対や農地利用集積円滑化団体をうまく組み合わせまして、農地流動化の成果を上げていきたいと考えているところでもございます。
  60. 山田修路

    山田修路君 是非、効率的に動くように制度設計をしていただきたいと思っております。  次に、直接支払見直しについてお伺いをいたします。  日本再興戦略の中でやはり直接支払見直しについて言及をされております。大臣は先ほど二本柱というようなお話もされましたけれども、日本再興戦略の中では、農業経営安定対策、これは従来の戸別所得補償制度でありますけれども、これを適切に見直し、併せて農林水産業多面的機能の発揮を図る取組を進め、新たな直接支払制度創設検討するということで書かれておりますけれども、今後この検討が行われることになります。諸外国の例などを見ますと、この直接支払というのは非常に有効な政策手法だと考えておりますので、方向性としては直接支払という政策手法を拡大していく、これをやはり充実していくというようなことが基本的に大事だろうと思っております。  この点についてお考えをお伺いしたいと思います。
  61. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 委員も御専門でありますが、この直接支払制度については、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の結果等を受けまして、EUや米国において価格支持、いわゆるサポートプライスといったものを見直して、各国様々でございましょうけれども、その事情に応じて直接支払をすると、こういうものの拡充を行ってきておられるようで、農政における世界の潮流だと、こういうふうに認識をしております。  先般、FAOの総会でローマに行ってまいりましたが、当時の、そのときも、今度EUの農業委員、EUの農業大臣に当たられる方ですが、チョロシュさんという方と会談をいたしまして、まさにコモン・アグリカルチュラル・ポリシー、CAPの見直しを今からやっていくんだと。その中で、今度はグリーン支払的なものの要素も考えていらっしゃると、こういうお話もお伺いしたところでございまして、そういう流れの中で、我が国でも、平成六年の食糧法制定、それから十九年の品目横断的経営安定対策導入を始め、その時々のやっぱり農業事情に応じて価格制度の見直し、直接支払導入拡大、こういうことを累次行ってきたところでございます。  先ほど、山田先生のときにお答えしたように、経営所得安定対策見直しとそれから多面的機能の維持に着目した日本型直接支払検討、これ二本柱で自民党の公約にもなっておるところでございますので、まさにこの公約に従って検討を鋭意進めておるというのが今の状況でございまして、今後とも直接支払制度の拡充を進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  62. 山田修路

    山田修路君 次に、小規模農家の位置付けについてお伺いをしたいと思います。  先ほど言いましたように、農業構造改革を進める、そして担い手に農地を集積していくということは非常に重要であると思っております。一方で、小規模な農家、こういった農家は担い手とともに地域で農地や農村を守っているということでございます。  こういう方々が最近の状況に対して不安を抱いているような状況もあります。このような小規模農家が切り捨てられたというような感じを持たないように、農政上の位置付けをはっきりしていくということが大変重要だと思っております。この点についてお考えをお伺いしたいと思います。
  63. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 御指摘のありました点でありますけれども、たとえ経営規模が小さくても、それぞれの地域の実情を踏まえまして、集落営農を組織し、さらには地域農業を担う経営体へ発展できるようその法人化を進めたり、また、六次産業化、新品種、新技術の開発普及などによるバリューチェーンの構築等によりまして、農林水産物の高付加価値化等に積極的に取り組んでまいりたいと存じております。  多様な経営改善の方法を選択できるようにすることが大切であるとも考えております。現在、攻めの農林水産業推進本部におきまして、国内農業を強くしていく産業政策と、経営規模の小さい農家も構成員として重要な地位を占める地域社会を維持する地域政策を車の両輪として、施策の具体化について検討をしているところでもございます。この中で、農業多面的機能の維持に着目した直接支払制度創設についても検討を進めているところでございます。  今後とも、地域の潜在力を引き出していくという現場重視の視点に立ちまして、生産条件の違い等も考慮した上で、今後の政策の方向性農林水産業地域の活力創造プラン、仮称でありますけれども、として取りまとめてまいりたいと存じております。
  64. 山田修路

    山田修路君 次に、米の生産調整見直しが今報道でいろいろ伝えられております。農家の方々の不安が高まっておりますので、その点についてお伺いをしたいと思います。  米につきましては、日本において、生産能力それから消費量、このギャップが非常に拡大している状況が長く続いております。この生産調整という政策手法が今後とも継続していくことがいいのかどうか、これについては十分検討していく必要があると考えております。  現在、特に報道などで生産調整廃止のみに焦点が当たって取り上げられております。農家の方々の不安が大きくなっている原因の一つがそこにあるかと思います。生産調整だけでなく、先ほど収入保険やナラシ対策などのお話もありましたけれども、今後の米対策米政策、全体像をまず示すことが農家の不安感を払拭する上でも大事なことではないかと思いますが、どうでしょうか。
  65. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 私の方からお答えをさせていただきます。  現在、自民党において、選挙公約とも関連をいたしまして、経営所得安定対策見直し、そしてまた多面的機能に着目した日本型直接支払検討議論が進められているところでございます。この検討は米の生産調整を含む米政策とも関係がございまして、農林水産省も時間を掛けて検討を重ねてきているところでございます。  御指摘にありましたとおり、米政策については、生産農家が安心して営農に取り組めるようその全体像をお示しすることが重要であるというふうに認識をしております。今般の見直しにおきましては、水田活用対策等を充実させることで、生産者や集荷業者、そしてまた団体が国の需給見通し等を勘案しながら、主体的な経営判断や販売戦略に基づき、需要に見合った米生産の実現を図るための環境整備する必要があると考えております。具体的には、水田活用直接支払交付金の充実、また中食、外食等のニーズに応じた生産と安定取引の推進、そして国によるきめ細かい需給・価格情報、販売進捗、在庫情報等の提供と、こうしたことなどの取組を進めていくことが重要ではないかというふうに考えているところでございます。  今後の米政策の在り方につきましては、引き続き精力的に議論検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  66. 山田修路

    山田修路君 次に、TPPについてお伺いをいたします。  最近の新聞報道などで、自由化率を九五%に引き上げるなどなど、そういった記事が出ておりまして、農林水産業者の方々あるいは食品関係の方々の不安や不信が大きくなっているというふうに思っております。このような不安感、不信感は、TPP交渉に対するのみならず、農政全体に対する不安感、不信感ということにつながりかねないと思っております。  私も公務員時代に貿易交渉にも当たってまいりましたけれども、そのときの経験などからいいますと、先ほど大臣がおっしゃっていました実質的な輸出関心というんでしょうか、まさに何%を自由化率にするかということよりも、自分の国が作っているものがどれだけ日本に売れるかということに関心がありまして、率自体はそんなに気にしないというのが実際の二国間でやっている交渉ではそういう形になるというふうに思います。  そういう意味で、やはり大事なのは、米とか麦とか、あるいは牛肉・豚肉、乳製品、砂糖などの甘味資源作物、こういった重要品目の確保など、これをうたっております衆参両院の農林水産委員会の決議、これをしっかりと遵守をして交渉していくということをしっかりと農家の方々あるいは関係者の方々に伝えていくことが不安感の払拭には大事なことなんではないかと思います。大臣に是非その点を再度御確認していただきたいというふうに思います。
  67. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この委員会でも御決議をいただいた中に、実は改めて見てみますと、この重要五品目の、項目六でございますが、「交渉に当たっては、二国間交渉等にも留意しつつ、」とちゃんと書いていただいておるところであります。  まさに先ほどの山田委員とのやり取りでも申し上げたとおりでございますが、今、山田委員からお話があったように、やはり相手国の実質的な輸出関心、これを把握した上で、実質的に何がお互い欲しているのかということを交渉を進める上できちっと頭に入れて、これを念頭に交渉することが大変重要だと、こういうふうに考えておるわけでございます。  先ほど改めて読ませていただきましたが、交渉に当たって衆参両院で決議をいただいておりまして、そこに、重要五品目などの聖域の確保を最優先とするというふうに明記をされております。したがって、これに従って全力を尽くすという考えを先ほども申し上げたところでございますが、農林水産業者や食品製造業者、こういう皆様にもこうした方針がきちっと伝わるように正確な情報の発信に努めてまいりたいと思っております。
  68. 山田修路

    山田修路君 今お話がありました情報を正確に伝えていくということは本当に大事なことだと思っております。ステークホルダーといいましょうか、関係者に対してその説明を行っていく、それが不安を払拭する上では本当に大事なことだと思います。  特に、最近よく言われますのは、交渉参加に際して秘密保持契約を結んだと、サインをしたということなんで情報が出せないんだというお話があります。そういう制約があるにしても、やはりステークホルダー、関係者への説明を丁寧にあるいは頻繁に行っていくということで不安感、不信感を解消していくということが本当に大事だと思っております。これについて具体的にどういうふうな取組の方針なのか、内閣官房にお伺いいたします。
  69. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  各国ともに御指摘のようなTPPの保秘契約を結んでいるものですから、国内の今御指摘のあったステークホルダーでありますとか、関係者の皆様にどのように情報提供するかということについて大変各国とも悩みながら取り組んでいるというふうに聞いているところでございます。  我が国政府といたしましては、交渉会合の前後に関係団体、公共団体等に対して随時説明会を開催する。また、単に説明をするだけではなくて、その際に、関係団体、御出席の方々じゃない方も含めて御意見を募集をして、公開してもいいよと言われた方についてはその御意見も内閣官房のホームページに掲載させていただいているところでございます。  先日も、十月の二十一日でございますが、バリ島における会合の報告会を開催いたしましたところ、関係団体中心に二百五十名の方お見えになりました。一時間半にわたりまして、私からの説明、それから関係の皆様からの御意見を伺うと、こういう場を設けさせていただいたところでございます。七月のマレーシアの会合の出席の前後から、ならしますと月に一回ぐらいの頻度でこういう説明会の開催、さらには意見募集というものを行わせていただいているところでございます。  今後も、できる限りそうした団体あるいは国民への情報提供に努めるとともに、国民の声をしっかりと踏まえて交渉を通じて国益を実現するように努力してまいりたいと思います。
  70. 山田修路

    山田修路君 今のTPPの話もそうですし、あるいは米の生産調整、また直接支払見直しについても、情報がマスコミでセンセーショナルに出て、なかなか農家の方や関係者の方の不安というものが募っていくというんでしょうか、収まらないという状況にあります。説明できる内容はそれほどしっかりと中身のあるものまでできないにしても、やはり情報提供をしっかりして、今こうなんだということを流していく、周知していくということが本当に大事だと思いますので、是非この点は、TPPのみならずほかの問題も含めてしっかりやっていただきたいと思います。  次に、水産業についてお伺いをいたします。  水産業については、もう皆さん御存じのとおり非常に厳しい状況にある、資源の状況が悪い、あるいは燃油価格が高騰している、また消費も減退している、こういう厳しい状況にあります。国民に水産物を安定的に供給をしていくというためには、我が国水産業の振興が重要ですけれども、特に経営対策ですね、漁業者に対する経営対策についてお伺いをしたいと思っております。  二十三年度に資源管理・漁業経営安定対策導入したり、あるいはその前から、もうかる漁業事業と言われるもの、こういったものを随分水産庁、農林水産省も強化をして活用していただいておりますけれども、今後、やはり燃油価格が高止まりするとか、あるいは魚価の、魚価安ということを考えますと、特に水産業の振興、特に経営対策、更なる充実が必要だと思っております。  この点について、お考えをお伺いしたいと思います。
  71. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 我が国の水産業が極めて厳しい状況にあります中、水産物の安定供給の確保、そして水産業の健全な発展を図るためには、今議員が御指摘にありましたように、経営安定対策の強化は極めて重要というふうに認識をしております。このため、平成二十三年度から、計画的に資源管理、漁場改善に取り組む漁業者を対象に、収入安定対策と燃油価格高騰対策を組み合わせた資源管理・漁業経営安定対策を実施しているところでございます。  このうち、漁業収入安定対策事業につきましては、漁業、養殖業の経営安定のための中核的な施策として引き続き実施するとともに、養殖業者の加入要件の多様化などの内容の充実を検討しているところでございます。  また、燃油価格高騰対策であります漁業経営セーフティーネット構築事業につきましては、本年七月から特別対策として、価格上昇分の四分の三を国が負担をするという最大限の対策を措置しているところでございます。  さらに、より厳しい経営環境の下でも操業、生産を継続できる経営体への転換を早急に図る必要がございます。そこで、省エネを図る改革型漁船の導入等による取組を支援する、今議員がおっしゃいましたもうかる漁業事業、漁業構造改革総合対策事業ですかね、通称もうかる漁業というふうに言っておりますが、この事業の更なる充実を検討してまいりたいというふうに考えております。
  72. 山田修路

    山田修路君 水産業については、いろんな対策をしっかりやられていると思いますけれども、農業の面で直接支払等の手法がどんどん導入されているということなので、やはり水産分野についてもこの経営対策をしっかりやっていただきたいと思います。  森林・林業・木材産業についてお伺いをいたします。  森林の有する公益的機能、国土保全ですとか水源涵養、あるいは温暖化防止というような機能、これを維持していくためには、林業や木材産業が経営として成り立っていくということがないとなかなか難しいと思っております。経営として林業・木材産業が成り立つためには、何といっても木材の需要が増えていく、これがないことには経営として成り立たないということだと思います。  石川県の中でも、木質バイオマスを発電に利用するというようなことが関心を集めておりますけれども、そういったことも含めまして、木材の需要拡大を積極的に行うべきというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
  73. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 私の方からお答えをさせていただきます。  森林が有する多面的機能を発揮させていくためには、今まさに利用期を迎えております我が国の森林資源を適切に利用していく必要がございます。また、木材の需要拡大が喫緊の課題であるというふうに認識をしております。そのため、公共建築物の木造化、内装の木質化、また木造住宅の新築等にポイントを付与する木材利用ポイント事業のほか、木質バイオマス発電等の利用施設の整備に対する支援などの措置を講じているところでございます。  さらに、本年六月に決定をされました日本再興戦略を踏まえ、中高層建築での利用が期待されるCLT、クロス・ラミネーティッド・ティンバーなどの新たな製品技術の開発や普及等を通じて新たな木材需要の創出を目指してまいります。また、国産材の安定的、効率的な供給体制構築などを図ることによって林業の成長産業化の加速化を図ってまいりたいと考えております。  木材需要の拡大を積極的に進めることにより、林業・木材産業の成長産業化を図り、森林の多面的機能の発揮に努めてまいる所存でございます。
  74. 山田修路

    山田修路君 最後に、農村の活性化ということについて二点お伺いをしたいと思います。  一つは、世界農業遺産に関連してでございます。石川県の能登、それから佐渡が先進国で初めて世界農業遺産に認定されたと、そして本年また三地区が追加されたということでございます。これまで、この世界農業遺産の指定に当たりましては農林水産省の大変な御努力があったということで高く評価をしたいと思いますけれども、大事なのはこれからだと思っております。  過疎地域、農村地域においては、地域の活性化を図るためには第一次産業を活用することが極めて重要です。能登の世界農業遺産の認定に併せて能登の棚田米というブランド化を図ったりしておりますけれども、ほかの地域でもこういった世界農業遺産を契機にした取組が大事だというふうに思っております。農林水産省としても大いにこういったことを支援すべきだというふうに思いますけれども、その点が第一点でございます。  それからもう一つ地域で大変困っているのが鳥獣害でございます。鳥獣害については、非常に農林漁業のみならず、農山村社会の崩壊にもつながりかねないという問題でございます。最近、鹿肉などを食用として利用している向きもありますけれども、そういったことも併せて、鳥獣害対策、しっかり取り組んでいただきたいと思いますが、この二点についてお伺いしたいと思います。
  75. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 世界農業遺産、GIAHSについてお答えさせていただきます。  これは、次世代に継承すべき重要な農法や景観、文化、生物多様性を持っている農業システム、これをFAO、国連食糧農業機関が認定をしている制度であります。現在、世界十一か国二十五地域が認定されておりますが、最初に認定されました石川県では大変熱心にお取り組みをいただいておりまして、本年五月に石川県でGIAHSの国際会議が行われたところでございます。ここで新たに我が国地域が認定されまして、現在、全体で五地域となっております。  こうした認定地域では、この世界農業遺産の趣旨であります生物多様性や農村景観の保全、こういった取組が行われますが、並行いたしまして、農産物のブランド化、観光との連携によるグリーンツーリズム、こういった地域振興の取組が活発化しております。また、今、五県、それから市町村でいいますと二十八市町村でありますけれども、こういったところが連携をしまして一つのネットワークを形成しておられまして、農産品の共同販売といったようなこと、シンポジウムの共同開催、こういった情報発信も検討されているところでございます。  農水省としましても、この世界農業遺産を活用した地域振興は非常に重要で効果的な取組だと思っておりますので、こうしたネットワークを進めておられることについて御支援をしたり、それから知名度向上のための情報発信、それから既存のいろいろな事業がございます。こういったものを効果的に活用していただくというようなことを通じまして、引き続き認定地域の振興を支援してまいりたいと考えております。
  76. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 鳥獣害の点についてお答えしたいと思っております。  先生指摘のように、鳥獣被害といったものが深刻化しているところでございますが、他方、地域資源として鳥獣肉を使った、利活用をする取組も出てきているところでございまして、こうした状況を踏まえますと、鳥獣被害対策の推進に当たって、この鳥獣の食肉としての利活用を通じた捕獲の推進といったものは非常に重要なことと認識しているところでございます。  このため、農水省といたしましては、捕獲した鳥獣の食肉としての利活用を推進すべく、鳥獣被害防止総合対策交付金、平成二十五年度予算では九十五億円でございますが、これを計上いたしまして、捕獲した鳥獣の処理加工施設の整備、あるいは商品の開発、販売流通経路の確立など、販売面の強化を図っているところでございます。  また、特にこの利用を推進するに当たりまして衛生管理の面が問題になりますので、鳥獣肉を利用する事業者あるいは市町村担当者を対象とした研修会、こうしたものを全国で開催しているところでございます。さらに、平成二十四年度補正予算におきましては、捕獲頭数に応じまして、一頭当たり八千円を支払うといったような対策の充実強化を図っているところでございまして、こうした各種支援策を通じまして被害の一層の軽減を図っていきたいと、かように考えている次第でございます。  以上でございます。
  77. 山田修路

    山田修路君 以上で質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  78. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 民主党・新緑風会の徳永エリでございます。  まず、大変遅くなりましたけれども、吉川副大臣、そして横山務官、御就任おめでとうございます。北海道出身のお二人が政務に就かれるということは、北海道はほかの府県とは事情が随分違いますので、しっかりと伝えていただけると、頑張っていただけるということで大変に心強く思っております。特に経済界の方々は今の農業の現状を全く分かっておりませんので、しっかりと現状をお伝えいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  さて、平成二十五年度産の米、作況ですけれども、全国では一〇二、私の地元北海道では一〇五、三年連続の豊作であります。そして、北海道のおいしいお米、ゆめぴりか、これが全国的に大変に人気の高い新潟産のコシヒカリを価格は超えたということでございまして、本当に稲作農家の皆さんの努力が実ったなとうれしく思っております。  お手元に資料がありますので御覧いただきたいと思うんですが、十五年ぐらい前は、道民であっても、正直、北海道のお米買いませんでした。余りおいしくなかったんです。しかし、当時は三割か四割のシェアだったんですが、今はもう九割を超えるシェアになっています。本当においしいお米になったんですね。  ただ、そういった明るい数字の一方で、二十四年度産の米の市中価格が出来秋に高騰した影響で中食、外食の需要が減りまして、米が余って平均価格は下落しました。また、大変に最近暑くて、北海道も気候が変わりまして、高温障害なども出ています。それから、雨や風による倒伏、こういった被害も起きておりまして、本当に農家というのは一喜一憂の日々なんだなということをつくづく感じるところでございます。  そんな中で、今、経営所得安定対策と名前は変わりましたけれども、民主党の農業者戸別所得補償制度、これが水稲農家などの安心を支えてきたと私は思っております。生産数量目標をしっかりと守った全ての販売農家対象に、恒常的な赤字、コスト割れを補償する交付金が払われる。米価が下がっても、生産費と販売価格の差額をしっかりと補填していく。また、主食用の米だけではなくて、新規需要米ですとか大豆、麦などにもしっかりと自給率を上げる取組をしてまいりました。  その結果、これもお手元に資料がありますけれども、非常にこの農業者戸別所得補償制度というのは分かりやすくていい制度だということで農家の評判は大変に良くなりましたし、それから、下の方にありますけれども、農家の所得はV字回復をいたしました。それから、大規模化、大規模化と今盛んに言っておりますけれども、北海道ではもう大規模化が既に進んでおります。それから、一番うれしいのは、後継者がいない、いないとよく言われますけれども、今北海道には後継者がおります。都会に出ていった人たちが、所得が上がったことによって将来に希望が持てるということで、親の農業を継ごうということで都会からどんどん帰ってきている。私が農業地帯を回って歩きますと、息子が帰ってきたんでもっと規模を大きくして農業をやっていきたいと、土地を借りたい、買いたいんだけれども、なかなか出してもらえないんだよねなんという声を聞くくらいに、非常に今現場は明るく意欲的に取り組んでいるところだと私は思っております。  まずは、林大臣から、この経営所得安定対策、私どものつくった農業者戸別所得補償制度の評価を伺いたいと思います。お願い申し上げます。
  79. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、徳永委員からちょっと急に振られたものですから、手元に細かい資料はございませんが、選挙でそういうことをお訴えになって、それが実現していって、何度か先国会でも、この委員会、それから衆議院の農水委員会でも御議論させていただきました。  私が拝見しておりましたのは、当時野党でございましたけれども、民主党政権時代にも幾度か変遷を経て、集積化加算でございますか、こういうのを導入しながらいろいろと工夫を重ねられたというふうに承知をしておりますが、やはり、我々野党時代ではございましたけれども、少し、ばらまきという言葉がいいかどうか分かりませんが、そういう批判もあるのではないかという議論もさせていただきましたので、その辺も踏まえて、我が党として去年の十二月の公約で経営所得安定とそれから直接支払と、こういう二本立てで整理をすべきではないかという公約を訴えさせていただいた、これが経緯だというふうに承知をしております。
  80. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 農家を回って歩いていますと、私たち叱られるんですね。どう叱られるかというと、なぜ民主党は政権時代に農業者戸別所得補償制度を法制化してくれなかったのかと、しっかり法制化していてくれれば不安もなかったのにということをよく言われます。  今、農業改革の話が他の委員の方からも出ておりましたけれども、今日の毎日新聞大臣、御覧になりましたでしょうか。驚きました。菅官房長官と石破幹事長、この両氏が、政権発足前に農業改革について腹合わせをしていたという記事がこの毎日新聞の一面に載りました。  官邸に改革会議をつくるべきだ、石破氏の勧めで、菅氏は、今年の五月、農林水産業地域の活力創造本部を官邸に設置した。それから、石破氏は、親交がある農水官僚である針原さんを審議官にしたと。それから、この農政の方向性につきましても、戸別所得補償制度見直し、それから農協改革、それから減反の見直し、この三点を指示していると。その流れでまさに動いていると思いますけれども、この中に、農業者の声を一番聞いている、私たちの声も聞いてくださっている林農水大臣の名前が全く出てこない。このことに関して御説明をいただきたいと思います。  これは今日のことですので通告しておりませんが、済みません。
  81. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 私も全部これを詳細にまだ読む時間がなかったんでございますが、今委員が取り上げていただきました、例えば官邸に本部をつくるとか、それから個人名で恐縮ですが針原氏の人事と。客観的にはそういうことは起こっておりますが、その背景にこういうことがあったかどうかということについては、これはちょっと新聞記事でございますので、それぞれの方にお聞きいただかないと、どういう方がどういうことをおっしゃってこういうふうになったのかというのはなかなか難しいと思いますが。  私としては、先ほど申し上げましたように、公約をきちっと作って、その作るときの私も全体の取りまとめの責任者でありましたけれども、この二つのことをきちっとやっていくということ、そして、記者会見でも度々申し上げておりますように、我々野党時代に主張してきたこと、また野党時代にこの二つの議員立法等々も提出してきたと、こういうことを踏まえて、この公約に実は沿って見直しをするということをもう今年の早いうちからずっと検討を続けてきておるところでございます。  その上で、当時出ていたのは、なぜ政権交代したのにすぐやらないんだということを当時は言われておりましたが、やはり現場が混乱してはいけないということで、骨格は維持した上で数字的に直したところもありますが、しっかりと検討して、そしてこの制度を定着させていく努力をした上でやっていこうと、こういうことをやってきた。その長い検討が今ここで注目を浴びるような格好になっておりますが、検討自体はきちっと公約に基づいて早い段階からやってきたということを申し上げておきたいと思います。
  82. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 本当にこの新聞を見ると、やはり農業者の方々にしてみれば、農林水産大臣がなぜこの農業改革の流れの中に入ってこないのだと。もう政権発足前に腹合わせがされていたんだということに対して、やはり印象が非常に良くないと思うんですね。しっかり農林水産大臣は現場の声を反映させてくれるんだろうかと、そういう不安感が農業者の間に起こってくることも私は否めないと思いますので、これはしっかりと問題にしていった方がいいと思います。  そして、十月二十三日の日経新聞に、「コメ減反見直し議論」という見出しで記事が掲載され、またその翌日に産業競争力会議農業分科会が開かれまして、終了後に主査を努める新浪剛史ローソンCEOが記者会見を行いまして、生産数量目標の配分の廃止あるいは経営所得安定対策の岩盤部分を本年限りで廃止することや各種補助金の見直し、それから生産コストの縮小などを打ち出しました。さらに、その後、農水省から資料が出てきまして、来年度から十アール一万五千円の岩盤部分の補助金の削減を始めて数年後にはゼロに、生産調整は五年後には廃止という案でありますが、この案が出されるに至った議論といいますか、理由を御説明いただきたいと思います。
  83. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 先ほどから、先ほどからというか最初に激励をいただきまして恐縮に存じております。ゆめぴりかも大変おいしいお米でございますので、是非お食べをいただければ有り難いなと、こう思っております。  徳永委員から、先ほど大臣からも多少評価、経緯の中でお答えを申し上げたところがございまするけれども、私の方からこの生産調整関係で改めて今日までの経緯を詳しく申し上げますので、御理解をいただければと思っております。    〔委員長退席、理事山田俊男君着席〕  この経営所得安定対策見直しにつきましては、大臣からもお話を申し上げました与党の公約として見直しを行うこととされまして、本年の二月以降に自民党の農業基本政策検討PTにおきまして十五回にわたって議論がなされてきたようでございます。農水省といたしましても、本年六月の日本再興戦略におきまして経営所得安定対策を適切に見直すことが明記されたことを受けまして、十一月の末をめどに政府において取りまとめる農林水産業地域の活力創造プラン、仮称でありますけれども、に反映させるべく検討を今進めているところでもございます。  このような中で、先月の二十四日に行われました産業競争力会議の第三回農業分科会におきましては、経営所得安定対策見直しと併せて生産調整について取り上げられたところでもございます。また、先月の二十五日には自民党の農業基本政策検討PTにおきまして、さらに二十八日には公明党の農林水産部会におきましても現行施策の現状と課題を説明しますとともに、三十一日には各々のこの議論の材料として論点整理の案をお示しをさせていただいたところでもございます。  今後は、産業競争力会議における議論も含めまして関係方面と幅広く相談をしながら、今後の施策の方向性農林水産業地域の活力創造プラン、仮称でありますけれども、として取りまとめてまいりたいと思っております。
  84. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今、与党の公約として見直しというお話がありましたけれども、自民党の昨年の総選挙の農政公約では、戸別所得補償から農地を農地として維持する支援策への振替充実であって、農家の皆さんは、よもや生産調整廃止するとか、補助金の削減を検討するということは思っていなかったと思います。多面的機能払い、日本型の直接払い、何かもっとこう支援が充実する、そういうイメージでいたと思いますので、やっぱりこの生産調整をなくすという方向性は非常に現場が混乱することになっていると思います。  農林水産省の減反見直し案では、来年度から岩盤部分の削減をするということですが、この岩盤部分は、生産費と販売価格の差額、この生産費についてはどういうことが掛かっていくのかということを自民党で案を作るときにじっくりと検討した結果なんですね。    〔理事山田俊男君退席、委員長着席〕  この岩盤部分の削減なんですが、どのような算定根拠で削減をしていくのか御説明をいただきたいということと、それから、今後どのようにこの見直し案を進めていくのか、そのスケジュールも併せてお話しいただきたいと思います。
  85. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) お答えをさせていただきたいと思いますが、米の直接支払交付金につきましては、現在、米については、麦、大豆等と違いまして諸外国との生産条件格差から生ずる不利はないと存じております。また、全ての販売農家に対しまして生産費を補填することは構造改革構造政策との関係でも適切ではないと考えておりまして、消費が減少していく主食米よりも非主食用米等への支援を充実することが必要だと考えているところでもございます。  ただし、現場の混乱を避けるための配慮は必要でございまして、多くの課題があることを踏まえまして、経過措置として、平成二十六年度産米から単価を削減した上で終期を明示して時限的に実施することとしてはどうかという論点整理をお示しをしたところでもございます。  本交付金を含めた経営所得安定対策見直しにつきましては、産業競争力会議における議論も注視しつつ、与党と十分協議をしながら調整を進めていきたいと考えております。
  86. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 産業競争力会議の中でも生産コストを下げるという話が出ているんですけれども、六十キロ一万六千円の生産コストを四割削減するのが目標ということですけれども、これできればもう農家の人はとっくにやっていると思います。圃場の維持管理なども地域によって掛かってくる経費は違いますし、それから日米の並行協議の影響でしょうか、トラック、軽トラックの税制優遇措置の見直しなんという話も出ていますし、資材費が上がったり、円安の負の影響も出てきているわけですね。これ現場で生産コストを下げるというのは非常に難しくて、なかなかその目標どおりにしていくのは困難なのではないかと思います。  六月の五日に民主党は、社民党、生活の党と共同で衆議院に農業者戸別所得補償法案を提出いたしております。この生産調整見直しは、産業競争力会議等の議論の中で見てみますとゼロベースで見直すということですけれども、先ほども申し上げましたように、経営所得安定対策というのは現場で非常に評価が高いんですね。どこを変えなきゃいけないんだろうと私は思うぐらいでありまして、そのゼロベースの見直しということではなくて、やはり今までやってきたものをしっかりと踏まえながら、直すところは直す、守るべきところは守っていく、その方向で進めていただきたいということを申し上げたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  87. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、副大臣からも詳しい経緯を答弁させていただきましたが、やはり現場が混乱してはいけないと私、常に申し上げているところでございまして、そういった意味では、公約に掲げた方向性ということに向けてずっと議論してきたところではございますけれども、まさにこの経過措置というものをしっかり残すということと、それから、まだ全体像が固まっていないうちにいろいろ報道があるということもあって、現場で不要な御不安というのが生じているということは我々も肝に銘じて対応しなければいけないと思っておりますが、しっかりとした制度をつくってお示しをして、そして進めていく、この手順も大事にしたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  88. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 民主党が提出したこの農業者戸別所得補償法案とともに、一日も早く案を出していただいて審議をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  89. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 済みません、ちょっと一言いいですか。  なお、先ほどお触れになっていただいた民主党、生活の党、社会民主党さんがお出しになっている六月の案については承知をしておりまして、我々も、なるべく猫の目農政と言われないように、法制化をやっぱりきちっとするということが大事だと考えておりまして、今、見直し自体は与党協議しながら検討し、予算に間に合わせるように予算でできることはやっていこうと、こういう前提で協議をしておりますが、法案についても来年の通常国会できっちりと法案を提出するということを念頭に置いて考えておるところでございます。
  90. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 是非ともよろしくお願い申し上げます。  さて、それでは、TPPについて伺いたいと思います。  澁谷議官におかれましては、ブルネイで政府説明会等でお世話になりまして、ありがとうございました。私は、第十九回のブルネイ会合にステークホルダー申請をいたしまして、八月の二十六日から三十日までブルネイ会合に行ってまいりました。このブルネイでは、各国の首席交渉官とお話をしていただきましたし、某新興国の首席交渉官とは特別にお時間をつくっていただきまして、一時間以上、かなり深いお話までさせていただきました。それから、新興国の国会議員の皆さんとも意見交換をさせていただき、あとは国際NGOの皆さんとも二時間以上にわたって意見交換をさせていただきました。  某新興国の首席交渉官の方がこう言っておりました。なぜ私たち新興国が日本交渉に参加してほしかったかというと、アメリカに次いで経済的に強い日本が参加してくれることによって、協議の中で問題点をどんどん指摘してくれて、いわゆるごねてくれるだろうと、協議を引き延ばしてくれることを期待していたんだと。ところが、日本が参加してから、引き延ばしてくれるどころか順調に進んでいるような感じがすると、日本アメリカの兄弟なのかと言われました。  私は、そこで、なぜこの年内合意にこだわらなければいけないのかということを非常に疑問に思うんですね。バリ島での首脳会合の後の声明で、総理は、年内妥結を目指し日本が主導的な役割を果たすとおっしゃいました。関税の問題、市場アクセスの分野はもちろんのこと、例えば環境の問題ですとか知的財産の問題ですとか競争政策とか、難航している分野がたくさんあります。しかも、日本はマレーシア交渉会合で三日間、そしてブルネイで最初から参加しましたけれども、全体交渉にはたった二回しか参加できていないわけですよね。ですから、もっともっと時間を掛けなければ日本国益を守ることができないんじゃないかと思います。  それから、やはり延ばせば延ばすほど、私たちも、私がブルネイで経験させていただいたように、首席交渉官とお話をしたり他の国の議員と意見交換をする中で、秘密会合と言われながらも、協議の中でどんな話をしているかという情報は取ることができるんですね。しかも、インターネット上に本物のテキストが流出していることももう審議官御存じだと思います。延ばせば延ばすほどいろんな情報を得ることができるという上でも、私は逆に日本が主導してTPPのこの協議を延ばすことを主張するべきではないかと思いますが、その点に関して御意見を伺いたいと思います。
  91. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  徳永先生には、ブルネイへおいでいただきまして、三回にわたりまして私の説明会など御出席いただきましてありがとうございました。  先ほど、日本はまだたった三回ぐらいしか交渉会合に出ていないという話がございましたが、この間バリ島で農業団体の方と意見交換会をさせていただいたんですが、そのときに、毎回様々なオケージョンで関係の団体の方には、先ほど御説明したように、私の方から意見交換を持ちかけているわけですけれども、そのある方が私におっしゃったのは、いや、澁谷さん、一つだけ分かったことがありますと。中身はともかくとして、表に出ている交渉会合、日本が参加したのはまだ三回なわけですけれども、そこだけで交渉が行われているわけではないというのは澁谷さんのお話を伺ってよく分かりましたということをおっしゃっていただきました。交渉交渉交渉会合の合間に中間会合という会合が設けられる場合もありまして、そうじゃなくても、今この瞬間もまさに各交渉官が行っておりますが、電話ですとかEメールでありますとか様々な形で、二十四時間いろんな形で交渉をずっと行っているという状況でございます。  そうした中で、先ほど御指摘いただきましたが、あのバリの首脳会議におきまして、年内妥結に向けて努力するということが合意されているわけでございます。何も前のめりになっているということではないし、かつまた無理に遅らせるということではなくて、十二か国のモメンタム、年内合意に向けたモメンタムを日本としてもそこは共有をした上で日本にとっていい形で合意をする、これが国益に沿ったものであるというふうに考えております。  TPPはルール作りが非常に重要な分野でございまして、これから広域FTA、地域間の経済連携というものが非常に進むと思います。TPP、RCEP、FTAAPと続くような様々な地域連携協定の中でこのルール作り、初めて本格的に行うのがTPPでございますので、そのルール作りを日本が主体的に参画する形で作っていくということは非常に大きな意義があると考えております。
  92. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 マレーシアのナジブ首相は、妥結に時期は固定されていない、幾つかの分野で多大な懸念がある、国有企業や政府調達の方針は国の主権にかかわる、TPPはFTAの域を超えている、もっと柔軟性を求めたいとおっしゃっています。メキシコのペニャニエト大統領も、妥結に締切りはない、チリのピニェラ大統領も、多くの国がかかわるのだから米国はもっと柔軟にならなければならないと発言しています。  日本が、今おっしゃったように、本当に交渉の中で国益をしっかり守っていこうと思うのであれば、繰り返しになりますけれども、私は、むしろ年内妥結よりも、もっと協議日本が主導して先延ばしをさせ、有利な交渉を引き出す努力を続けるべきだと申し上げたいと思います。  林大臣も、実は交渉参加表明を正式にした後、NHKの番組に出演なさった際に、TPPが年内合意を目指していることに関して、スケジュールに合わせていかなければいけないという意識が強過ぎる、国益が満たされない場合は、もう少し議論しようと主張していけばいいんだと、年内妥結にこだわらず交渉に取り組むお考えを示されました。私は本当にそのとおりだと思いました。  年内妥結にこだわるべきではない、むしろ新興国の思いをしっかりと受け止めて、日本アメリカに対して十分な協議期間を求めていくべきだと思いますが、林大臣の御見解を伺いたいと思います。
  93. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 加盟してから間もないころに多分NHKの番組があったと、こういうふうに記憶をしておりまして、そのときの状況でそういう発言をしたのは先生がおっしゃったとおりでございますが、その後、十月八日のTPP首脳会合で、これは総理も御出席になったわけでございますが、包括的でバランスの取れた協定の年内妥結に向けて、交渉官は残された困難な課題の解決に取り組むことが合意されたと、こういうふうに承知をしておりますので、今内閣官房の方からお話がありましたように、前のめりにならずにしっかりと交渉していくと。その一番大事なことは、しっかりと我々の国益を勝ち取ると、こういうことでございますので、ただただいたずら、ごねて延ばすという姿勢がもし相手に伝わると、逆に大事な目標である国益の確保ということが損なわれるということも考えながらしっかりと対応してまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  94. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ブルネイ会合でいろいろと意見交換をさせていただいたり情報をいただいたというお話をいたしましたけれども、私たちが聞いている限りにおいては、国益を守るというよりは国益を損なうと、日本の国の主権を失いかねないということを大変に危惧いたしております。  国益というお話を今大臣なさいましたけれども、もう何度も聞かれていると思いますが、林大臣がお考えになる国益とは何なんでしょうか。
  95. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 何度も聞かれておりますので何度もお答えをしているところでございますが、やはり衆参両院で、この農林水産委員会で決議をいただいておりますので、やはり重要五品目などの聖域の確保を最優先するということが決議をされた、これを踏まえて国益を守り抜きたいと、こういうふうに思っております。
  96. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 国会決議をしっかり守るために林大臣は頑張っていただけると、そう信じてよろしいですね。
  97. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この決議、この委員会とそれから衆議院の委員会、決議をされております。しっかりとこれを踏まえて国益を守り抜きたいと、こういうふうに思います。
  98. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 さらに、協議に関する情報をもっと私たちが得る場をつくっていかなきゃいけないということを提案させていただきたいと思います。  TPPには守秘義務がありますから、政府協議内容は明かせないといつもおっしゃいますけれども、マレーシアのアンワル元副首相の令嬢でありますヌルル・イッザー・アンワル議員とブルネイでも意見交換させていただきましたし、先日日本にもいらっしゃいまして、改めて意見交換をさせていただきました。マレーシアでは、自国が協議の中で何を守ろうとしているのか、そのことを国民やステークホルダーの皆さんに対して説明をしている。他国のことは話せなくても自国のことはちゃんと話しているそうです。さらに、国会議員から政府要求をしてコーカスをつくったと。今はTPPについてこのコーカス、国会集会の中でどういうことが議論されているのかということをステークホルダーとともに議員全員が知ることができるようになったというお話でした。  アメリカでも、要求をすれば国会議員がテキストを閲覧することができるようになったとも聞いています。メモを取ったり持ち出すことはできませんけれども、テキストを見ることはできるようになったという情報もあります。  アンワル議員は、同じことがマレーシアにできて、あるいはアメリカにできて日本ができないはずはないんだと、これはしっかりと政府に対して日本もコーカスをつくるべきだということを主張した方がいいというふうにアドバイスを受けました。この点に関して、いかがでしょうか。
  99. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 先ほどの山田先生への答弁でも申しましたが、各国ともいわゆるこの守秘義務の遵守と情報提供の在り方については非常に悩みながらそれぞれの事情に応じて工夫をしながら取り組んでおられるということで、私ども十一か国全てについてどんな取組をしているかというのは非公式な形でお聞きをしてございます。今御指摘があった二か国についても詳細にその対応状況をお聞きしてございます。ただし、これは保秘義務ということではなくて、公の場でそれを言わないということを条件にお聞きしているものですから、私の方から先生がおっしゃったことについてのコメントはできないわけでございますけれども。  ただ、私どものことで申しますと、これまでの国会において、安倍総理、甘利大臣始め、TPP交渉に臨む姿勢などについて御説明をさせていただいているところでございますし、交渉会合の前後に与党、野党の会合で何度となく状況等については御説明をさせていただいております。また、バリにおいても現地にいらっしゃった国会議員の先生には個別に御説明をさせていただいているところでございまして、今、徳永先生が御指摘いただいた二か国の状況と比較しても、我が国の国会議員の先生方への情報提供が特に頻度なりその中身も含めて遜色があるかというと、そこは日本の方が少ないということはないんではないかというふうに考えております。  いずれにしましても、今後とも国会に対しての丁寧な説明というものを是非努力をさせていただきたいと思います。
  100. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 どういう協議の中でどんな話がされているかということは、私たちが知らなかったこと、幾つも教えてもらいました。この場で言うのが適切かどうか分かりませんので言いませんけれども、本当に心配な内容ばかりで、今、澁谷議官は説明をしているとおっしゃいましたけれども、正直全然分かっていません。特に、国民の皆さんは全く分かっていません。  まずは、TPPの本当の目的が投資や貿易の自由化ではなくて制度の自由化なんだと。二十一分野二十九章あるうちのこの貿易に関することは僅か六章しかなくて、あとはほとんどが制度の改正なんだということは、ほとんどの国民が分かっておりません。関税の問題だと思っている人がほとんどだと思います。十分な情報提供をして、しっかりと国民的議論をする、それが全くできていないと思います。ここにいる多分委員の皆さんも、ほとんどTPP協議の中でどんなことが話されているか分かっていないと思います。例えば、私たちは、これからTPPに参加することになったら、その前に国会批准をしなければいけないわけですけれども、国会批准に向けても、何で判断したらいいのか、全く判断の材料がないんですよね。  米韓FTAの場合などは、議会でスクリーンにテキスト、英語のテキストをざあっと一回流しただけで採決をしたということなんですけれども、よもやそんなことになったらこれは大変なことでありまして、やはり何らかの形で、少なくとも、どんな心配事があるのか、ここだけは譲れないとか、ここは日本も少し柔軟にならなきゃいけないんじゃないかとか、もう少し詳しい情報をやはり国会議員に提供する場は必要なんではないかと思いますので、是非御検討いただきたいということを申し上げたいと思います。先ほど申し上げましたけれども、マレーシアではコーカス、国会集会を開いていると。マレーシアにできて、どうして日本にできないのか。是非御検討いただきたいということを重ねてお願いを申し上げたいと思います。  それから、今もお話をいたしましたけれども、農業のことは関税の問題だけではありません。食の安全基準は大変に重要な問題です。健康とそして命の問題であります。既にアメリカとの事前協議で二月から輸入牛肉の規制が緩和されました。BSEの検査対象月齢も三十か月超に四月からなったと思ったら、七月から今度四十八か月超になった。もうあんなにこの安全規制に関してみんなで議論してやっと決めたものなのに、どんどんどんどん変わっていっている。もうすごく心配です。  それから、残留農薬の問題、ポストハーベスト、食品添加物、遺伝子組換え食品の表示義務、原産地表示、SPSやTBTの問題、こういったことが一体交渉の中でどうなっているのか。委員会の決議でも、「食の安全・安心及び食料の安定生産を損なわない」とありますけれども、しっかりとこの食の安全、安心を担保できるのかどうか、大変に心配です。  この点に関して大臣はどのように御覧になっているでしょうか。この交渉の行方といいますか、中身をどう御覧になっているかお伺いしたいと思います。
  101. 林芳正

    国務大臣林芳正君) せっかく内閣官房からお見えでございますので、内閣官房の方に聞いていただいた方がとも思いますが。  決議を踏まえてということを常々申し上げております。決議にも今委員がおっしゃったことがるる書かれておりますので、我々としてもしっかりとこの決議が、ここに書かれてあることが担保されるように注視をしてまいりたいと、こういうふうに思っておりますし、それから、先ほどちょっと委員がおっしゃったように、この関税の分野は二十一分野のうちのマーケットアクセスという意味では一つでございまして、それ以外にもいろんな分野があって、例えば難航している分野は知的財産だとかこれだとかいう報道はなされておりますので、この農林水産委員会議論しますと、とかく五品目等に注目が当たりがちでございますけれども、その辺りはもっと広い、広範なルール作りをやっているんだということを我々も心掛けて発信をしていきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  102. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 同じ質問です。この食の安全、安心が担保できるかどうかについて、澁谷議官にもお伺いしたいと思います。
  103. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 先ほど国民の間に十分浸透していないというお話がございまして、そこはもう反省をしなきゃいけないと思っております。内閣官房のホームページには、二十一の分野、全ての状況等について掲載をしておりますし、またQアンドAも書かせていただいておりますが、ただホームページに載っけるだけでは駄目だよときっとお叱りをいただくと思いますので、そこはまた心して努力をしていきたいと思います。  食の安全につきましては、これはホームページでも書いているところでございますが、TPP交渉においては、国民の食の安全が損なわれることのないよう、国際基準や科学的な根拠を踏まえて対応するということで国民の安心の確保に努めてまいりますということが書かれておりまして、また、記者会見の場で、例えばSPSとかTBTの分野において国民が懸念しているような議論がされているのかということを聞かれますと、私としては、そういう議論はされておりませんということを記者会見お答えしているとおりでございまして、そこの記者会見の部分はホームページにも掲載させていただいております。また引き続き丁寧な説明に心掛けていきたいと思っております。
  104. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 その点に関してまだまだお聞きしたいことがありますけれども、時間がないので、最後の質問に行きたいと思います。  また、今、食の安全、安心の話をしましたけれども、米韓FTAはよくTPPのお手本になるというふうに言われますが、米韓FTAにおいて、韓国の企業がアメリカに進出するときはアメリカの国内法で対応し、アメリカの企業が韓国に進出するときは米韓FTAの協定が適用すると言われています。そのことによって韓国の制度をアメリカ企業が自由な経済活動ができるように変えるべきだと要求されて、六十以上もの法令を全て変えてきたんですけれども、その中には、地産地消、学校給食などの条例も実はあるんです。TPPによってこのようなことが日本でも起きたら、先日、大臣の御発言にありました、国産農林水産物の利用拡大に向けたモデル地域づくりや学校給食における消費拡大に大きな影響があると思います。関税以外のこの農林水産業にかかわる問題も交渉の中でしっかりと注視していかなければいけないということを重ねて申し上げたいと思います。  食の安全・安心条例を作っているという自治体はたくさんあります。それから、給食も地域の物をしっかり使っていこうという条例を作っているところもたくさんあります。この点に関して、最後に大臣にお伺いをしたいと思います。
  105. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 内閣官房からもお話がありましたように、やはりSPS協定というのがしっかりとありまして、ここで科学的根拠に基づいたものをやるということが各国認められておりますので、この原則はしっかり担保されるということと、それから、今、米韓FTAのお話がありましたけれども、このMAの分野だけではなくて、いろんな全体として我々が進めている政策にきちっと影響がない、若しくはそういうことと相反することがないという視点でもしっかりと交渉をしてまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  106. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございました。
  107. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  108. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  109. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。久しぶりの質問になりますけれども、どうぞよろしくお願いします。  午前中の審議は特に与党席からも厳しい質問農林水産大臣ほかに飛んで、いい委員会になったものだなというふうに改めて感慨を深くしているところであります。どちらかというと、農林水産委員会与党も野党も主張が余り隔たりがなく、それぞれの地域の第一次産業が元気になるようにというふうに和気あいあいに質問をしていた、そんな時代もあったかと思います。しかし、今、農林水産業を抱える、あるいはその地域を抱える、含む大変大きな流れの中にある、そんなときを迎えていると思っています。今国会から来年の通常国会にかけては、我が国農林水産業にとって大変大きな変革期になるのではないかというふうに思っておりますので、ふだんおとなしい私ではありますけれども、今日は傍聴席に大学の後輩も来ておりますので、時に声を荒げることもあるかもしれませんので、御容赦いただければというふうに思っています。  まずは、午前中に引き続いて、TPPについて質問したいと思います。  お手元にこの委員会の決議を参考資料として付けさせていただきました。このときは多分、野村委員長と郡司委員が力を込めて作った文章が元になって、この参議院の決議になったんだと思います。  徳永委員からの質問で、農業分野がTPPの全てではない、こういう主張がありました。私もそう理解をしていますけれども、全国農業関係者、農林水産関係者はTPPに格別な関心も寄せています。そんな懸念を払拭するに、網羅的ではありますけれども、よく考えて作っていただいたなというふうな感慨を今新たにしているところであります。  幾つか質問をさせていただきますが、先ほど私が声を荒げたところですね、七番、「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告する」、澁谷さん、何報告したんですか、国会に。
  110. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 代表質問予算委員会、各種の委員会におきまして、先生方の御質問に答えて、総理、甘利大臣ほか関係大臣等から御答弁を申し上げさせていただいたところでございます。
  111. 小川勝也

    ○小川勝也君 さっき二番のところで、食の安心、安全についてどういう情報を提供しているかというと、国民の心配な点はそうならないように頑張りますとしか言っていないんですよね。交渉の結果は絶対に言えないというのがこのTPPの流れです。  今日はせっかく集まって議論をするわけでありますけれども、推理と想像に基づいて質問するということがこのTPPにおいては行われるわけであります。どこまで私も質問者として耐えられるか分かりませんけれども、順次質問してみたいと思います。  例えば一番の米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物、これは当委員会委員がおおむね関心を持ち、心配をしている案件でありました。しかし、TPPという文言に接したときから、TPPというのは全ての関税を撤廃する、それがTPPだと私は記憶しているわけであります。単純な質問をいたしますが、この五項目と呼ばれる重大関心事の農作物関税を維持しながら日本TPPに入るという可能性はあるんでしょうか。林大臣お答えください。
  112. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 総理が、今年の前半だったと思いますが、日米首脳会談において共同声明というのを発していただきまして、それに至る経緯で、我々の昨年の衆議院選挙の公約、我々というか自民党の公約ともかかわってくるわけでございますが、聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加には反対と、こういう公約をしてまいったわけでございまして、こういう経緯も踏まえて、この共同声明においては、両政府は、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認すると、こういう文書になっております。  そのパラグラフの前段には、御案内だと思いますが、日本には一定農産品米国には一定の工業製品というように、両国共に二国間貿易上のセンシティビティーが存在することを認識しつつと、これにも明記をしたところでございまして、まさにこの共同声明も踏まえながらしっかりと交渉していくと、こういうことでございます。
  113. 小川勝也

    ○小川勝也君 もうこれはお互い分かっていて質問し合っているんですけれども。  例えば、日本に乳製品を輸出したいともくろんでいる交渉参加国があります。日本は乳製品は高い関税で守りますよと言ったときに、相手国はがっかりするんじゃないでしょうか。そういった自分たちの都合のいいことばかりが結果として表れることがないということはみんな承知しているはずであります。日本の例えば国会議員の中にも、農産物の中、幾つかは守られるかもしれないけれども、おおむね関税撤廃、タイムラグは別にして、やられながら妥結するだろうと思っている人は多いと思うし、そう思っている国民も非常に多いと思いますし、私は農業者の中にもそう思っている人がたくさんいるんじゃないかと思います。  もし五項目が守られるのであれば、大臣からもっと高いトーンで農業関係者や御懸念を持っておられる方にメッセージを発していただきたい。いかがでしょうか。
  114. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 必ずしもそのもっと高いトーンというのがどういう意味か、ドよりもソの方が高いという意味でおっしゃっているのでないと思いますけれども。私は常々言うことをなるべく変えないように、この決議をいただいておりますので、この決議を踏まえて国益を守るために全力を尽くすということをもう一貫して申し上げておるところでございます。
  115. 小川勝也

    ○小川勝也君 情報がない中、特に今大臣から御説明があった交渉参加入りのために安倍総理がオバマ大統領との間で交わしたあの文書がまだるこしくて分かりにくいので、多くの国民は、農業者は、懸念を強くしているんです。  もっと分かりやすく言ってくれればいいんです。この五項目があるので、もしこの五項目が守られなければ、少なくとも農林水産大臣たる私は総理に撤退、脱退を申し入れると、こう言ってくれればいいんじゃないでしょうか。
  116. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 決議の中に、何項目めでございましたか、六項目め、「交渉に当たっては、二国間交渉等にも留意しつつ、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること。」と明記をされております。このことも含めて決議を踏まえて対応すると、こういうふうに一貫して申し上げてきておるところでございます。
  117. 小川勝也

    ○小川勝也君 先ほど澁谷さんに何を情報提供したかというふうに申し上げたんですけれども、政府からまともに情報提供されることはほとんどありません。しかしながら、マスコミから漏れ伝わってくること、あるいは自由民主党の役職者からいろんな情報が発せられてきます。もし五項目の全てが守られるのであれば、そのタリフラインの精査などという情報は私は出さないんだろうというふうに思う。ですので、多くの有識者というかステークホルダーは、そろそろもう関税を撤廃する分野を探り出したなというふうにみんな想像する。だから心配が大きくなっていくんじゃないかと思う。  もっと、政府はどうするか分からないけれども、農林漁業者立場に立ってしっかりとその分野を守っていくのが農林水産省だとみんな思っていたわけです。もっと農林水産省として主体的な情報を発信してもらいたいというのが与党を含めた農林水産委員の偽らざる気持ちだと思います。  林大臣には、トーンが高いというのを疑念を持ってとらえられましたので、もっと別なトーンで力強い発信をしていただければ幸いですが、いかがでしょうか。
  118. 林芳正

    国務大臣林芳正君) トーンの話は少し、ちょっと言葉が過ぎたかもしれませんが、要は、大事なことはやはり、常々申し上げていることを変えないということがやはり一つ大事なことではないかと思っております。  ここで衆参両院の決議をいただいたということを重く受け止めるということは当然のことでありますし、私、かねてから、申し上げたことはあるかもしれませんが、この決議の意味というのは、交渉において、我々の仕組みとしては、政府が妥結した後、批准というものがございますので、この批准をいただくためには、この批准をされる方は決議をされた方でありますので、そういう意味で非常に重い決議であるということも付け加えさせていただいた上で、この決議を踏まえてしっかりとやってまいりたいと思っております。
  119. 小川勝也

    ○小川勝也君 ありがとうございます。いい付け加えだったと思います。  ちょっと澁谷さんに五番の点でお伺いしたいと思います。  推理と想像での質問で恐縮ですが、「濫訴防止策等を含まない」という冠は付いていますけれども、このISD条項についてこの決議は記載をしています。日本がどちらかというとアメリカから何かを言われるのではないかというその懸念からこの文章が作られたんだと拝察をいたしますが、実は漏れ伝わってくる情報によると、アメリカ日本が一体となって途上国側にこのISD条項を入れることを求めている、そんな情報もあるんですけれども、澁谷さん、いかがでしょうか。
  120. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) ISDSにつきましては、先々週ですかね、予算委員会の場でも御質疑をいただいたところでございますが、投資受入れ国としての我が国の規制権限に十分配慮しながら、その一方で、これは業界からもいろいろ御要望いただいているところでございますが、海外で活躍する日本企業を保護するという両面、このバランスに勘案しながら交渉を行っているところでございます。  NAFTA以降、このISDS条項はいろんなFTA、EPAで結ばれておりますけれども、この濫訴防止というようなことについて、どの条約でも最近は配慮するような方向になってきてございます。また、我が国以外でもこのISDS条項について交渉の過程で様々な意見が今出されているところでございまして、今調整の真っ最中でございますが、いずれにいたしましても、国の主権を損なうようなISDS条項には合意しない、甘利大臣予算委員会で答弁したとおりでございます。
  121. 小川勝也

    ○小川勝也君 これ以上、想像で質問してもしようがないのでまとめますけれども。  一つは、国際交渉、いろんな形態がありますけれども、ここまで国民に情報を提供しない交渉はいまだかつてなかったわけであります。独裁国家ならばいざ知らず、政府の権限は無限ではありません。国民に情報をできるだけ開示しながら、国民に判断を求めつつ交渉をしていくというのが一つ大事な事柄であるとすれば、このTPP交渉は極めて異例です。そのことを御承知の林大臣は、最後、批准までの間に何らかの情報提供があるのではないかということをお含みいただきました。最終的に国会、ここが関与するわけでありますので、最後、批准までの間の情報提供についても農林水産省としても格別の役割を果たしていただければというふうに思っているところであります。  それから、あえて蛇足でありますけれども、六番のところで、「自然的・地理的条件に制約される」という部分があります。たまたま十一月三日、四日、民主党の海江田代表が北海道の北見地域、十勝地域を訪問いたしました。徳永委員と私、同行させていただきましたけれども、これは北海道の地理的条件をしっかり把握していただきたいという思いで実施されたものであります。  例えば、私どもが一番心配しているのは、この五項目の中にあります甘味資源作物と乳製品です。甘味資源作物は、今申し上げた両地域の畑作・輪作体系に欠くことのできない作物であります。吉川副大臣横山務官は北海道農業にも大変精通しておられますので釈迦に説法ですけれども、寒冷地で畑作農業をやるときに連作障害を避けるために長年の英知で組み合わせたその畑作物がてん菜を含むバレイショ、豆、麦なわけであります。一たび甘味資源作物のビートが崩れると、歴史的に積み上げてきた当該地域の畑作・輪作体系全てが崩れ去るという大きな影響を及ぼすものであります。  加えて、乳製品で申し上げると、いわゆる生乳、これは、いわゆるところの外国から運んでくる間に大変なコストと劣化等のリスクがありますので、生乳の、すなわち飲む牛乳の自給率は激減される心配は非常に少ないと考えます。しかし、北海道は加工原料乳を作る酪農地帯であります。すなわち、バター、チーズ、脱脂粉乳、生クリーム、この辺はまさに、大型化してもニュージーランドやオーストラリアやアメリカ合衆国やカナダと比較できない農業経営規模でありますので、価格競争力を持ち合わせません。特に、道東地域を始め北海道には酪農しかできない地域がありますので、この乳製品の関税が、すなわちその地域を人の住めない場所にするということにつながっていく、そのおそれも議事録に載せていただければというふうに思っているところであります。  今、TPPの問題が黒船だとすれば、午前中の質疑にもありました、様々ないわゆる変革のときを今迎えているのが我が国農業政策であります。私たちは、自画自賛するわけではありませんけれども、猫の目農政の中で農業者の方々も大変苦しんでこられました。そして、農業者の人口をどんどん減らす中で、特に北海道では規模が大きくなり、そして優秀な農業者だけが残り、冷害が少なくなり、政府の施策が次々と充実をし、最後は民主党の戸別所得補償政策によって、何とか安心の農業になった矢先であります。それまでは、筆舌に尽くし難い苦労の連続でありました。私自身は、父親が村の鍛冶屋だったわけでありますので、農家の方々が毎日うちに訪れておりました。借金の話、冷害の話、地域の離農の話、議事録に載せるのは適切かどうか分かりませんけれども、首つりと夜逃げの話、そういった話を聞いて育ったのが私であります。  今、やっとこの北海道農業は良くなりました。なぜ良くなったかということを一言で言うならば、今農業分野に対して農業関係者以外からいろんな提言が寄せられているようでありますけれども、そのキーワードの一つ規模拡大です。規模拡大が農業経営の安定をもたらしたことを私は否定をいたしません。しかし、農業から他分野に追われた人、そして、どんどん地域コミュニティーが困難になった地域、学校がどんどんなくなり、役場がなくなり、出張所がなくなり、商店がなくなる、そんな地域をずっと見てきたのが、北海道選挙区から出ている参議院議員の私であります。今、様々な審議会やあるいは他分野からの提言で、農業分野にいろんな提言がなされています。経営効率が悪いのではないか、それは全くないとは言えません。しかし、彼らが考えるような農業政策を取れば、北海道と同じように、府県の全国農業地域に限りなく少ない人口とどんどんなくなる集落ができるだろうということを、私は北海道で事前に見させていただいたから提言できる分野もあるのではないかと思っているところであります。  まず、大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、今成長戦略という言葉があります。後でお尋ねしたいと思いますが、攻めの農政というのがあります。それもいいんですけれども、まずは、国を統べるのは会社を経営されておられる方ではなく、議院内閣制の我が国であれば、やはり国民の負託を受けた国会議員であり、そして多数党を構成した中から内閣総理大臣と閣僚が選ばれるわけでありますので、私は農業政策でも農村地域政策でも、まずは政治家が議論してしかるべきだと思っています。  ですので、例えば農村地域が国土保全のために果たしてきた役割はこうなんだと、農業経営の効率を優先するよりも国民に食料を供給することが大事なんだということをまず言ってから農業政策やあるいは成長戦略を議論するのが私は筋だと思います。林大臣、いかがでしょうか。
  122. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 小川委員は現在たしか、シャドーキャビネットでよろしかったでしょうか。
  123. 小川勝也

    ○小川勝也君 ネクストキャビネット。
  124. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ネクストキャビネット、失礼いたしました、の農林水産大臣ということでございますし、私は、私事にわたりますが、平成七年初当選の同期ということで長らくいろんなお話をしてきた中で、今の農に対する思いというのは初めて聞かせていただいたかなと、こう思って聞かせていただいておりました。  私も、実は社会人のスタートで、商社でございましたけれども、農産物を扱っておりまして、世界中の、葉たばこだったんですが、農産地を巡る機会に恵まれまして、そのときに、中南米、南米の国に行ったときに、見渡す限り全部その一戸の農家の方が持っておられて、それを安い労働力でだあっとやると。これを見たときに、裸で勝負すれば、これは到底なかなか勝負にならないところがあるんだなということを実感した、もう三十年以上前でございますが、そういう思いがあります。  今この職にあって、そういうところを見たときに、自然を相手にするというところで、ナラシというような呼ばれているものはありますが、もう一つ、やっぱり今委員がおっしゃっていただいた、また私も体験したところで、ゲタというものがきちっとあると、これもう先輩方が積み重ねてきたところであると改めて思っておるところでございます。  今委員からおっしゃっていただきましたように、国土保全、水源の涵養、まさに多面的機能と言われているものを将来にわたって発揮させていくということは、食料の安定供給ということの責務と併せて大変大事なことであると、こういうふうには思っておりますし、このことが実は食料・農業・農村基本法という我が省としては一番の基本になるこの基本法にも明記をされておりまして、国として取り組むべき重要な課題であると、こう認識しておるところでございます。
  125. 小川勝也

    ○小川勝也君 今、TPPから、いわゆる農地の中間管理の法律を提出を予定されておられる。それから、午前中も議論になりましたいわゆる減反政策の見直しや戸別所得補償政策の見直し農業地域の方々の動揺もいかばかりかと拝察する次第です。  私たちも、何も改革の必要性がゼロだと申し上げているわけではありません。人口減少社会において農業者人口はどのぐらいが適切なのか。他産業とのバランスも重要でありましょう。しかし、経営効率を良くしても国際競争には勝てないということは今大臣がおっしゃっていただいたとおりであります。多面的機能という言葉もありますし、あるいは多様な農業、これはWTO交渉を始め様々な国際交渉の中では大変重要なキーワードになってきた文言であります。日本には日本の農村を守る農業があるので、その独自性、特異性はしっかり守っていただかなければならないということを併せてお願いを申し上げたいというふうに思います。  そんな中で、やはり攻めの農政という言葉は聞こえがいいかもしれません。北海道十勝の川西農協のナガイモが台湾で非常に売れている。あるいは、小泉総理は津軽のリンゴが得意技でありました、八百円で売れる。あるいは、米の輸出も石狩沼田町の雪中米が売れている。こういうことは我々もどんどん応援したいと思いますよ。輸出できるものがあればどんどん応援したいと思いますよ。しかし、我が国農林水産業の大宗から見ると、ほんの米粒のようなウエートを占めるのが農業です。攻めも大事ですけれども、言うまでもなく大事なのは守りです。サッカーに例えると、唆されてみんな相手ゴールに行ったときにゴールキーパーがいなくなったと、こういう状況を招いてはいけないので、やはり農業者がしっかり国民に安心の食料を供給するんだ、地域はしっかり農業者あるいは林業者でもいい、守っていくんだということがあって初めて攻めができるんだと思います。  そこも、やはり農林水産省農林水産大臣が先人の思いもしっかり背負っていただいて、もっと声高に大きな声で発信していただかないと、我々委員席は不満なんです。もっと林大臣の大きな声を期待したいと思います。
  126. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 小川委員からも言われましたので、もっと大きな声で頑張ってまいりたいと、こういうふうに思いますが、実はこの週末にも、農業関係のイベント、結構ございまして、この十一月を実りの秋ということでやっていこうということで、この連休においても、地場もん国民大賞ということで、それぞれの地域で工夫をされておいしいものをやっていく、それを発信する一つのお手伝いというような意味も込めてそういうイベントもやってきたわけでございまして、まさに委員がおっしゃっていただきましたように、冒頭、生乳のお話しされました。  生乳というのは、運んでいろんなところへ行くと時間も掛かるのでということで、やっぱり地場産が非常に大事であるし、そこの心配はほかに比べて少ないんだということでありましたが、やはりいろんなところにこの地産地消、また食に対する安全や地域に対する愛着、こういったことも含めてそういうことが発信されつつあると、こういうふうにも思っておりますので、こういうところを大事にとらえて、しっかりとこういう立場で国内農業の活性化を図っていく、こういうことをやっていきたいと思っておりまして、攻めの農政というのはそこも含めて攻めだと、こういうふうに私も言っておりますが、更に声を大きくして言ってまいりたいと、こういうふうに思います。  特に、現場の宝ということで、地域地域取組事例で先行的にこれはいいなということを結構やっていただいております。こういうものを発掘して、なるべく横展開をしていくということを心掛けなければいけないと思っておりますので、そういうことが横展開していける、しやすくなるような施策の展開にも留意をしていきたいと思っております。
  127. 小川勝也

    ○小川勝也君 次からは少しトーンを下げて、今話題の話をちょっとさせていただきたいと思います。  外食産業やホテルなどでどういう食材を使われているのかということが、今、連日ワイドショーなどで報道されています。シバエビと言いつつ小エビを使う、クルマエビと言いつつブラックタイガーだった。これは実は少し前、私たちも経験をいたしました。北海道のむかわ町から釧路にかけてはシシャモが唯一捕れる海域であります。そのシシャモは、子持ちシシャモ含めて高級魚になりました。ですので、安い海外のシシャモがないかということで、輸入してシシャモという名前で販売をした業者さんがおりました。ちょっと違うぞと、顔が違って種類も違うので、これはカラフトシシャモと表示を変えさせなきゃ駄目だということが決まったのが数年前にありました。  それと同じように、我々も、例えば横文字の名前をたくさん食べさせられています。メルルーサ、メロ、あるいはナイルパーチ。横山務官は水産の専門家ですので全部御存じだと思いますけれども。それで、まあおいしい魚であれば食べてもいいし、どう表示をしてもいいわけですけれども、偽装なのかオーケーなのか駄目なのかの概念がしっかり時に応じて見直されるべきだと私は思います。  特に、今日のニュースでもいわゆる成形肉の問題が出てまいりました。牛脂を注入するのはどこまで認められるのか。あるいは、さいころステーキ、ハラミとカルビの違いはどういうふうにするのか。私は、農林水産省は食べ物全般を扱う省庁ではありませんし、表示に全ての責任を負う官庁ではありませんけれども、やはり食べ物の大宗は元々農林水産省の所管でありますので、消費者庁と連携をして、絶えず表示、表記の見直しをすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。まずは消費者庁から御意見を伺って、農林水産省の方に御意見をいただきたいと思います。
  128. 菅久修一

    政府参考人菅久修一君) お答え申し上げます。  まず、報道が行われておりますホテルにおけるメニューの表示でございますけれども、これにつきましては、現在、景品表示法に違反する事実があったかどうかにつきまして当事者などからよく話を聞くなどしまして必要な調査を進めているところでございます。また、業界全体での表示の適正化、これにつきましても、適正化が図られるよう必要な対応を取ることにつきまして森大臣より指示を受けておるところでございます。  今お話ありました魚介類の名称を含む食品の原材料の呼称でございますけれども、これにつきましては、例えば農林水産省におかれまして魚介類の名称のガイドラインを作成するなど、消費者への適正な情報提供に資するため施策が講じられてきているところでございます。今般のレストランなどのメニューの表記につきましても、今後、農林水産省など関係機関とも連携しまして、表示の適正化が図られるよう必要な対応を検討してまいります。
  129. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 小川議員の後輩の方々が傍聴されているということでございますが、そうなれば私の後輩にも当たるのでしょうか。  この偽装表示につきまして、私は本当に言語道断だと思っております。実は私、昨日、地元である方の結婚式に出ておりまして、イセエビが出てまいりました。そうしますと、出席者の中から、これは本当にイセエビなのかというささやきが漏れました。もう既にそういった風評被害が出ていると言っても過言ではないと思っておりますから、これは今答弁がありましたように、景品表示法を所管するのは消費者庁でありますけれども、消費者庁で徹底的にこういった原因究明も含めてしっかりとした体制を取っていただきたいと、このように思っておりますけれども。  一方、農林水産省におきましても、消費者の選択に資するために、例えば地域や成長段階により名称が異なるなどの魚介類について、魚介類の名称のガイドラインについての策定など取組を行ってきたところでもありまするけれども、今後とも消費者庁と連携をしながら、委員の御指摘のとおり、消費者が安心して食品選択ができるように努力をしてまいりたいと思います。
  130. 小川勝也

    ○小川勝也君 是非よろしくお願いしたいと思います。  断固許さないという副大臣の言葉がありました。やっぱり法律とかルールを逸脱すればこれは当然世間からたたかれ罰則を付加されてもしようがないんですけれども、ここまでは許されるんじゃないかという曖昧な点があれば、そのことによって本当に営業が苦しくなるような業態も出てくるんじゃないかというふうに懸念をするわけでありますので、今御答弁いただいたとおりしっかりおこたえをいただきたいと思います。  魚介類からおすしの話になって恐縮ですけれども、やはり日本人はおすしが好きでありますし、とりわけ一番好きなのはマグロであります。マグロの資源がウナギのシラスと併せて大変心配をしているところであります。マグロは漁獲量が割当てが少なくなるという懸念もさることながら、実は、喜ばしい話ではありますけれども、養殖や畜養の技術レベルが大変上昇しています。残念ながら、逆に、畜養に資するマグロを捕るために稚魚のときにそのマグロを捕獲するという、こういう流れになるわけでありますので、いわゆる畜養も進めつつマグロの稚魚の保護、保全もしなければならないわけであります。  大変一世を風靡いたしましたシラスウナギの資源の枯渇と相まって、資源確保、特にマグロ、シラスウナギについて御答弁をいただければと思います。
  131. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) お答えいたします。  今、マグロの話が出ましたけれども、これは長い時間を掛けて技術開発を進めてきたものでございまして、ようやく完全養殖までたどり着いたという段階でありますが、まだまだ技術的な課題はたくさんございます。そういう中にありまして、今委員指摘のように、天然の稚魚を持ってきて、それを畜養するという技術もつくられているわけですが、それを補完する形で今、人工種苗を何とかそこに入れ込めないかという、そういう研究も進んでいるという段階にございます。  こうしたマグロ資源が今悪化をしているという段階にありまして、特に太平洋クロマグロに関しましては我が国が主導する形で様々な会議が進んでおります。とりわけ本年九月に我が国が提案をいたしました太平洋クロマグロ未成魚の漁獲量の一五%削減、これがWCPFCの年次会合で勧告をされることになりました。太平洋クロマグロ資源の最大の漁業国、消費国として、WCPFCでの適切な保存、管理措置の採択に向けてこれからもリーダーシップを発揮してまいりたいというふうに考えております。  あわせて、採捕量が低迷をしておりますシラスウナギについてでございますが、これも国際的な資源管理対策としまして、東アジア地域による資源管理の枠組み構築に向けて我が国が主導的役割を果たしていかなければいけないものと考えております。  国内におきましては、シラスウナギの採捕、それから親ウナギ漁業及びウナギ養殖に係る資源管理、これを三位一体の対策として進めてまいります。また、今年度予算におきましては、増殖のための放流や調査研究など、ウナギ資源の回復と安定供給を図るための予算を大幅に増額したところでもございます。  以上でございます。
  132. 小川勝也

    ○小川勝也君 食べ尽くすわけにはいかない資源ですので、適切な御配慮をお願いをしたいと思います。  最後、時間がなくなりましたけれども、森林、林業の話で締めたいと思います。  与党時代、私もかかわってまいりました。我が国の木材産業あるいは森林分野含めて、昭和三十年代、四十年代に伐期を迎えた木をたくさん切りました。そして、植えた後、大変間伐などでお金が必要な状況がずっと続いた中、当時の自民党政権含めて間伐費用の捻出など頑張っていただいたんだと思います。しかし、今まさに伐期を迎えてきているのでありますので、間伐あるいはチップ、バイオマス発電、こういった脇の話ばかりではなくて、本丸を攻めていただくときだと思っています。  すなわち、カナダや北欧から日本に木材が来て家が建っていますけれども、それをできる限り国産材で家が建つようにしていただく、これが今の時代、今のときに農林水産大臣になっていただいた林大臣の役割だと思っていますので。民主党政権のときも頑張ってまいりました。路網、作業道の整備、高性能林業機械の導入、人材育成、新たな労働安全衛生の確立、そして工場を造るということです。  特に、今回の大臣所信にクロスラミナ、これを入れていただいたのを大変うれしく思っています。無限の可能性を秘めておりますので、高層建築物までこの使途が拡大する可能性が秘められているクロス・ラミネーティッド・ティンバーでありますので、できればその地域、地産地消という言葉もありますので、できれば全国に拠点ができますように、あるいはそれに限らず既存の工法でも、ツーバイフォーでも構いませんので、建材工場やコンビナートが全国にできるように頑張っていただきたい、最後、その答弁を求め、質問を終わりたいと思います。
  133. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに、小川委員からは民主党政権時代にやっていただいたことを御披露いただいたわけでございまして、我々そのバトンを受け継いでしっかりとやっていきたいと、こういうふうに思っております。  まさに、いろんなところの供給側を整備していただいた後、今まさにおっしゃっていただいたように、どうやって本丸、まさに木をきちっと使っていただく、ここを更に強くしていきたいと、こう思っておりますので、その一つの目玉として今御披露いただいたクロス・ラミネーティッド・ティンバー、これは高知だったと思いますが、三階建てのものが既に着工いたしましたので、こういうものの新製品、新技術の開発普及によって木材需要の創出をやる。それから、公共建築物の木造化、これもやっていただいておりますので、こういうものを進めていく。さらに、木材利用ポイント制度、これも木材の利用の拡大に資するものということで推進をしているところでございますので、川上から川下へ至る施策を総合的に進めてまいりまして、木材の自給率の向上、そして林業の成長産業化を実現してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  134. 小川勝也

    ○小川勝也君 終わります。
  135. 平木大作

    平木大作君 公明党の平木大作でございます。初当選の一回生でございます。不手際なところ多々あるかと思いますが、御容赦いただければと思います。  先日、林大臣から、農林水産業を産業として強くしていく取組と、そして多面的機能の発揮を図る取組、この両者を一体的に推進される旨を力強く御挨拶いただきました。今、日本農林水産業は客観的なデータだけを見ていれば大変厳しい状況にございます。この二十年間で担い手はほぼ半減、高齢化も著しく進んでおります。食料自給率も生産額ベースで七割を切り、カロリーベースでは四割を割り込んでおります。本日は、そうした大変厳しい状況の中で、中長期的な観点から農林水産業、そして農山漁村を育て、守っていくための御決意と方策についてお伺いしたいと思います。  まず初めに、農業の競争力強化についてお伺いいたします。  現在、攻めの農林水産業という言葉を旗頭にして様々な強化策が検討されていると思いますが、中でも象徴的に掲げられておりますのが、十年間で農業、農村の所得倍増という目標であります。大変意欲的な目標、ビジョンでありますけれども、一方で個々の農家の所得、手取りが倍になるという話でないことはこれまでの御答弁等でも再三おっしゃられてきたとおりであります。では、この十年後の農業、また農村のあり姿として一体どのようなものを思い描いていらっしゃるのか、また、そこに至る方策として具体的にどのようなことを検討されているのか、やり抜く御決意とともに御答弁いただけますでしょうか。
  136. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 平木委員におかれましては今日デビュー戦ということで、今後の御活躍を期待したいと、こういうふうに思います。  お触れいただきました農業、農村の所得倍増目標、これは六月十四日にこの日本再興戦略、成長戦略を閣議決定いたしましたが、ここにおいて、農林水産業を成長産業とし、今後十年間で六次産業化を進める中で、農業、農村全体の所得を倍増させる戦略を策定し、実行に移すと、こう決めたところでございます。  この所得倍増目標に向けては、やはり品目ごとの実情等を踏まえながら、まずは今国会にも法律をお出しさせていただきましたけれども、この農地中間管理機構等々を活用して農地を集積していく、このこと等によりまして生産性を向上をさせ、そして流通の合理化、それから農産物の高付加価値化等により、まずは農業からの所得を増やしていくと、これを図らなければならないと思っております。さらに、輸出倍増、それから観光業や医療、福祉産業との連携、いわゆる農食福医連携と、こう言っておりますが、こういうことによりまして、六次産業の市場規模の増大を通じまして、農村の所得の増大、これを図っていくことが重要だと、こういうふうに思っております。  このため、省内に攻めの農林水産業推進本部を今年の一月から発足させまして、そこで具体的な施策の検討をするとともに、ほかの省庁にもいろいろと連携協力してもらわなければなりませんので、官邸に設置された農林水産業地域の活力創造本部においてもこの検討を深めているところでございます。  来年度の予算概算要求においても、この取組の一年目ということで、所要の予算要求をしておるところでございまして、こういう施策を総動員しますことによりまして、今の農業、農村の所得、現在の約三兆円を倍の六兆円、農業所得を四兆円に、そして六次産業化の中で農村の所得というものを関連所得と位置付けまして、これを二兆円に、合わせて六兆円に倍増していくことを目指してまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  137. 平木大作

    平木大作君 ありがとうございます。  この十年間で所得倍増というような長期にわたる、かつ大きな目標というものは、担い手のお一人お一人にとってどのような状況なのかという具体的でイメージしやすい将来像とともに、どのようにして実現するのかという方法論を示さないと、なかなか現場の皆様の中にすとんと腹落ちするものではございません。  大臣には、今お取りまとめ中の活力創造プランなどの中にもこうした具体的な将来像、また方法論、そして三年後、五年後にどうなってなければならないのかという、こういったマイルストーンも是非御提示いただいて、現場が元気になるようなビジョンと戦略を描いていただきますようにお願いを申し上げます。  それでは、もう少し具体的に供給サイドの方から伺ってまいりたいと思います。  私は、この供給サイドにおける最大の問題点は、産業としての農業がまだまだ魅力的ではないために、若者の新規就農や企業の新規参入が以前より増えたとはいえ十分ではないことだと考えています。多くの新規参入を呼び込めるような成長産業であるためには、農業の収益性が高く、またある程度安定して経営できる必要があります。  そこで、まず一つ目のポイントである収益性についてお尋ねいたします。  日本農業は労働集約的で生産性が低いということがよく喧伝されるわけでありますけれども、ICTの活用や野菜工場の展開などで大きく生産性を向上させ、また競争力を付けてきたところもあるというふうに伺っております。  国内の先進事例、あるいはオランダなどの海外での取組を参考にしながら、今後、日本として具体的にどのようにして競争力があり収益性の高い農業を実現していくのか、具体的な取組をお聞かせください。
  138. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 平木先生の御質問お答えします。  今先生の方から御指摘いただきましたように、この農林水産業を産業として強くしてこの農業、農村の所得の倍増を図るためには、いわゆる攻めの農林水産業の施策の具体化が極めて重要と考えているところでございます。  今先生指摘いただきましたように、農業の高い生産性を確保するためには、ICT等の他産業の知識あるいはそのノウハウの活用が重要でございまして、実は先般、十月でございますが、高度な施設園芸の推進に向けた農業界と経済界との関係者を参集した全国的なセミナーを開催したところでございます。  また、さらに平成二十六年度の予算概算要求におきましては、先般、大臣がオランダを御視察されたわけでございますが、その際視察された施設園芸を参考にいたしまして、いわゆる脱化石エネルギーに着目した高度な環境制御が可能となるような全く新しいタイプの施設園芸産地の育成を図ることとしておるところでございます。  具体的には、木質バイオマス等の地域の未利用資源を活用したエネルギー供給センターと完全人工光型植物工場を活用した種苗供給センター、そして高度な環境制御を行う温室、集出荷施設、こうしたものを併せて整備する事業を現在要求しているところでございます。
  139. 平木大作

    平木大作君 是非とも、今御紹介いただいたようなそうした取組を、ノウハウの提供ですとかあるいは初期投資の支援などを通じて、新規就農者や農業法人が挑戦を始める際にも御支援いただけますようにお願いをいたします。  次に、二つ目のポイントとして安定性についてお尋ねいたします。  農業が自然を相手にする以上、ある程度の変動は仕方ありません。しかしながら、そのリスクを多少なりとも減少させる手段があるのであれば、行政としてもしっかりとその手段を整え、また推進していくことが大切であると考えます。  この夏、長野県のリンゴなど、果樹に対する大変な霜被害が発生をいたしました。私も松本市内の農家の方たちにお話を伺ったのですが、実はその地域の方々、ほとんどが果樹共済に入っておりませんでした。戻ってから調べてみますと、この全国の果樹共済、加入率は僅か二五%であります。共済制度においては掛金の半分が国庫負担ですので、本来でしたら大変お得な保険制度であるにもかかわらず、なぜこれだけ果樹共済の加入率が低いのか、また、今後加入率の向上に向けてどのような取組をしていくのか、御答弁いただけますでしょうか。
  140. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 農業共済関係でございます。  御指摘がございましたように、果樹共済、これの面積ベースの加入率、果樹全体では全国平均で約二五%、長野県でも約二二%というふうになっております。非常に率が低いわけでございますけれども、これは、果樹の場合、農業者の間の栽培技術あるいは経営方針等に大きな差がございまして、その結果、被害状況にかなり偏りがございます。一方で、この共済掛金率、こちらの方は原則として一つ農業共済組合の中では同一水準ということになっておりまして、この結果、自らの被害状況共済掛金率、これが見合わない農業者を中心に共済に加入しない傾向があるというふうに考えております。  御指摘いただきましたように、この農業共済制度農業経営安定のためのセーフティーネットとして極めて重要な役割を果たしておりますので、この加入を促進するために共済掛金に対しまして国が二分の一を負担をしております。  特にこの果樹共済につきましては、加入促進を図るためにいろんな工夫をしております。例えば、組合の判断によりまして、過去の被害の発生状況によって、地域又は農業者を幾つかのグループに分けまして、災害の発生率が低いところでは共済の掛金は低くなる、これ危険段階別の共済掛金率と言っておりますが、こういうものを設定をする、あるいは特定の災害のみを共済事故の対象とすることによって低い共済掛金率を設定する方式、あるいは防風ネット等の防災施設を設置をした農業者に対する共済掛金の割引の制度、それから、選果場ですとか集落単位等の集団加入によります共済掛金率の低減、こういった措置を導入をして加入促進を図っているところでございます。  引き続き、組合に対しまして、こういった措置の導入の推進、あるいは広報活動の積極的な実施、これによりまして加入の促進を図っていきたいというふうに考えております。
  141. 平木大作

    平木大作君 ありがとうございます。  先ほど来の議論の中でも、この農業に関しては収入保険のような角度での議論もあるというふうに伺っておりますけれども、まだまだ検討段階、あと五年、七年、それぐらいの時間が必要だというお話もございました。そういった意味におきましては、セーフティーネットはすぐ、今すぐに使えなければ意味がありませんので、じゃ、来年どうするのか、再来年どうするのかと、そういったところでは、今のこの共済制度、例えば、今おっしゃっていただいたように、仕組みを見直すですとか、あるいはどうしても加入率が上がらないようでしたら国庫負担の比率を見直すですとか、そういった形でもしっかりと安心して農業に取り組めるような環境づくりをしていただければというふうに思っております。  そしてもう一点、農家の悩みの種は鳥獣被害でございます。  丹精込めて作った作物が収穫前に荒らされた農家の皆様の悲しみは本当にどれほどかと思います。鳥獣被害については、わなの高度化ですとか様々取り組まれているとは思いますけれども、根本的には里に下りてくるようになったイノシシや鹿などを退治するほかにございません。  御存じのように、これまで害をなす鳥獣を駆除してきたハンターが全国的にも減少し、また高齢化してまいりました。先ほど来のまた議論の中でも、駆除する頭数に応じて支払を設定するですとか様々工夫はされているんだとは思いますけれども、やはりこのハンターの人数がボトルネックになっている限りにおいては、こういった状況でもなかなか改善し難いのだというふうに考えております。  そういった意味で、この若手のハンター育成など、今後の鳥獣被害防止の担い手の育成方法について御答弁いただけますでしょうか。
  142. 奥主喜美

    政府参考人奥主喜美君) お答えいたします。  鳥獣被害に対応してきました狩猟者の数は、先生指摘のとおり年々減少傾向にございます。昭和五十年には約五十二万人あったものが平成二十二年には約十九万人となり、約三十年で四割に減少、また狩猟者に占める六十歳以上の割合は六割を超えておるというふうな状況にございます。  環境省といたしましては、狩猟者を始めといたしました鳥獣保護管理の担い手の確保とその育成が重要な課題であるというふうにそれは認識しているところでございます。このため、農林水産省等の関係機関とも連携をいたしまして、若い世代を対象といたしました狩猟免許の取得を促進するフォーラム等を実施しております。これは、例えば平成二十五年度では全国九か所で実施するというふうな予定をしているところでございます。  今後とも、関係機関と連携をしながら、鳥獣保護管理の人材の確保、育成に環境省といたしましても積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  143. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 私の方から、農林水産省としての担い手対策についてお答え申し上げます。  委員指摘のとおり、全国的に野生鳥獣による農業被害、林業被害が拡大をしておりまして、それに対して重要な対策がやはり担い手の確保、育成だということは重要な点として認識をしております。農林水産省では、鳥獣被害防止総合対策交付金というものを用意をいたしまして、この中で、狩猟免許講習会の開催、それから箱わな等捕獲機材の導入等について支援を行っているところでございます。  また、こうした免許を取得した方々が被害防止対策の中心的な担い手となって鳥獣被害対策実施隊の設置が促進されるように進めているところでございます。この実施隊には様々なメリットがございます。例えば、猟銃所持許可の更新技能講習を免除したりとか、そういったいろいろなメリットがございまして、この実施隊を各自治体に設置をしていただくということが大事な点であるというふうに認識をしておりまして、この設置をする市町村への予算の重点配分等を実施しているところでございます。
  144. 平木大作

    平木大作君 ありがとうございます。  今お答えいただいたように、狩猟免許の取得推進ですとかそういったところ、農林水産省そして環境省、管轄は異なるのかもしれませんけれども、是非省庁の壁を越えて目的遂行のために御尽力いただきたいというふうに思っております。  続きまして、今度は需要サイドについてお伺いしたいと思います。  最近、和食、日本人の伝統的な食文化がユネスコの世界無形文化遺産への記載を勧告され、まさに日本の食文化とともに世界中で日本の食材に対する需要を喚起するための絶好のチャンスが到来をいたしました。海外によく行かれる方ですと分かるかと思いますが、この十年ほどの間に世界中で日本食レストランの数は大きく増加をいたしました。しかしながら、実は入ってみると、見たこともないような親子丼が出てくるですとか、偽物、まがいものが大変横行しているのも実情でございます。また、日本食が世界的に流行しているにもかかわらず、日本からの農林水産物の輸出量は思ったほど増えていないことも指摘されております。  日本農林水産物、食品の輸出を拡大するためには、レセプションなどで和食を単発的に紹介するだけではなくて、もっと長時間、現地にコミットした形で和食の作り方や日本の食材を紹介していくことが必要だと考えますが、いかがお考えでしょうか。
  145. 山下正行

    政府参考人(山下正行君) お答え申し上げます。  今後倍増すると見込まれている世界の食市場の獲得のためには、日本食、食文化の魅力を正しく普及していくことが重要であると考えております。そのためには、委員指摘のとおり、日本食、食文化が海外において継続的に普及、継承されていくような仕組みを構築することが必要であると考えております。  このため、クールジャパン推進会議でも提言されました食の伝道師を育成すべく、海外トップシェフや影響力のある食関連事業者に対しまして、日本食、食文化の魅力への理解を深めるような取組など、日本食、食文化の正しい普及を担う人材育成を実施しているところでございます。また、トップシェフだけではなくて、海外の市中の料理人に対しましても日本食の調理技術や衛生管理を教える講習会を開催したり、海外の料理学校において日本食講座を開設したりしているところでございます。  さらに、外国人料理人が日本国内で働きながら日本食、食文化を学べるような、外国人料理人に対するビザの要件緩和につきましても、全国調理師養成施設協会からの要望を踏まえまして、規制改革会議関係省との調整に精力的に取り組んでいるところでございます。  今後とも、これらの対策を総合的に実施することによりまして、正しい日本食、食文化の普及につなげてまいりたいと考えております。
  146. 平木大作

    平木大作君 もう一点、需要サイドについてお伺いいたします。  輸出を増やしていくためには、食文化について普及を努めるとともに、日本の食品の安全性と高品質を担保し、各産地ごとにブランドを確立していくことが欠かせません。ようやく日本の和牛などはアジアの富裕層などの間で人気が高まってきた一方で、海外では和牛が産地や血統を偽装して販売されるケースも出てきております。  このような事態に対してどう対処していくおつもりか、答弁をお願いいたします。
  147. 山下正行

    政府参考人(山下正行君) お答え申し上げます。  我が国農林水産物、食品の海外展開に当たっては知的財産の保護が重要であると考えておりまして、特に我が国の優れた品種の価値が正当に評価されるためには品種識別技術の実用化が重要であると考えております。  農林水産省では、異業種との連携により新事業を創出する観点から、緑と水の環境技術革命プロジェクト事業によりまして、品種識別技術を含めた革新的な技術の実用化を支援してきているところでございます。その中で、簡易、迅速、安価なDNA検査機器の農業分野への実用化につきましても、平成二十三年以来、本事業により実施、支援してきているところでございまして、これまで、牛肉については黒毛和種の簡易判別に、米につきましては二百種類以上の品種判別にそれぞれ取り組んでいるところでございます。  今後も異業種との連携を進めまして、我が国農林水産業、食品産業の振興を支援していきたいと思っています。
  148. 平木大作

    平木大作君 ありがとうございます。  そういった取組、今後もどんどん増やしていただきたいと思います。  農業担い手という話になると、とかく生産者の話になってしまうわけでありますけれども、今おっしゃっていただきましたようなDNAの鑑定するシステム、そういったものを作る電機メーカーのように、農業の応援団という形で、異業種の方、他業種、そういったところから知恵ですとかテクノロジー、こういったところを取り込むことで更に農業の振興が図れることになると思いますので、今後ともこうした産業界、経済界との連携を是非お願いしたいと思います。  それでは、ここで質問の角度を少し変えまして、現在、TPPを始めとする世界的な交易自由化の流れの中で、いかにして日本農林水産業を守り、食料自給の向上と食の安全確保に取り組むのか、これについてお伺いしたいと思います。  私は、食の安全保障を考える上で、従来からの食料自給率の大事さ、これは変わることはないわけでありますけれども、同時に、食料自給力という考え方も非常に重要であるというふうに思っております。この考え方は長らく議論されてきたものでありますけれども、直近では昨年の九月、前政権下において策定された緊急事態食料安全保障指針に明記されました。  そこで、まずお尋ねいたしますが、この緊急事態食料安全保障指針、これは現政権下でも維持されているのでしょうか。また、その場合、現在の日本の食料自給力をどのように御認識されているのでしょうか。是非、林大臣に御答弁をお願いいたします。
  149. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 食料・農業・農村基本法にも示されておりますとおり、不測の要因によりまして国内における需給が逼迫するような場合においても、国民が最低限度必要とする食料は確保されなければならないと、これ大事なことだと考えております。  こうした考えの下で、平成十四年に不測時の食料安全保障マニュアルを策定いたしまして、これを東日本大震災の教訓を生かして、平成二十四年九月、今御指摘いただきましたように、民主党政権の時代に緊急事態食料安全保障指針として再編をいたしたということでございますので、この指針は引き続き堅持をしてまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。  また、食料自給力という大事な概念についてもお尋ねがありましたけれども、農地、農業用水ですとか、それから担い手農業技術、先ほど委員の冒頭の御質問にもありましたように、いわゆるサプライサイド、供給サイドということになろうかと思いますが、国内農業生産による食料の潜在的な供給能力を示すというのがこの食料自給力であると、こういうふうに整理をしておりますが、我が国農業従事者の減少や高齢化、農地面積の減少、これが進展していること、それから需要の増大から世界の食料事情が中長期的に逼迫する可能性がある、こういう状況考えますと、食料安全保障の観点からは食料自給力の維持向上を図っていくことが非常に大事であると、こういうふうに考えております。  したがって、先ほど来御答弁しているように、攻めの農林水産業推進本部、今年の一月に農水省に立ち上げましたが、ここや官邸の農林水産業地域の活力創造本部、こういうところにおいてこの食料自給力の維持向上に必要な施策について検討を進めるとともに、自給力の指標化についても今後検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  150. 平木大作

    平木大作君 大変にありがとうございます。  先ほどの指針の中で、参考資料としてでありますけれども、この現在の日本において自給力の観点では一人一日二千キロカロリー程度であると、このような形で数字が示されておりまして、大変参考になるというふうに思いました。  そこで、次にお尋ねしたいのは、現在TPP交渉が大詰めを迎える中で、日本が参加した場合に食料自給率が大変低下する試算が話題を集めたわけでありますけれども、ではこの食料自給力への影響、TPP参加の影響はどの程度なのでしょうか、お答えいただけますでしょうか。
  151. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 御指摘をいただきましたTPPの影響試算でありますけれども、全ての品目が同時に関税撤廃されるという極端な前提の下で計算をしたものでありますけれども、食料自給率はその場合は、熱量ベースで四〇%から二七%程度に、生産額ベースでいきますと七〇%から五五%程度に低下するという結果となっております。  なお、この食料自給力は、先ほども大臣お答えを申し上げましたように、農地、農業用水、担い手農業技術などが構成要素として不測時も含めた国内農業による食料の供給力を示すものでありまして、TPPへの参加によりこれが直ちに下がるというものではございませんけれども、国産農産物の輸入農産物への置き換わりや、あるいは国産農産物生産の縮小等により、農地面積の減少農業者減少いかんによってはその低下も懸念をされると考えております。  食料自給力の指標化についても今後検討してまいるということが先ほどの大臣の御答弁にありましたので、私は省かせていただきたいと思います。  以上です。
  152. 平木大作

    平木大作君 ありがとうございます。  こうした試算ですとかあるいは指標化、こういったものが大変難しいということは重々承知の上でありますけれども、とりわけ食料安全保障を考える上では、現在の食生活をパーセンテージで表した食料自給率よりも、一人当たりのカロリー数で表示できるこの食料自給力の考え方、そういったものが大変親和性も高く、また直感的に理解しやすいというところもあると思います。是非とも、まだまだ困難なところあるかと思いますが、指標化に向けて御検討いただければと思います。  次の質問に移ります。  ここまで伺ってきました食料自給力の礎となるのは、やはり担い手と農地でございます。担い手については先ほどお尋ねいたしましたので、ここでは農地についてお伺いいたします。農地の転用、そして歯止めの利かない耕作放棄地の増大に対して今後どのように対処されるのか、御答弁をお願いいたします。
  153. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 食料の安定供給を図る上で、農業生産にとって最も基礎的な資源であります農地の確保が重要であります。これは食料・農業・農村基本法の中で、農地の確保及びその有効利用を図るということになっております。  そこで、まず農地の転用の関係でございますが、転用規制について、平成二十一年の農地法等の改正によりまして優良農地の確保を図るための規制の厳格化を図ったところでございまして、今後とも制度を適切に運用してまいりたいと思います。  また、一方で、委員指摘の耕作放棄地といった点についてでございますが、二十一年の農地法改正によりまして、遊休農地の所有者に対する指導、通知、勧告などの措置を規定いたしました。農地として再利用する場合の支援などの施策を併せて実施することにより、解消に努めてきたところでございます。  しかし、農地の相続が増えまして、そういうことを契機といたしまして、土地持ち非農家が増加をいたしまして、適切な管理者、耕作者が減ってきているというようなことが背景にございます。農地の担い手が見付からないために耕作放棄地が解消されないというケースも出てきているところであります。  今般、都道府県段階に農地中間管理機構を整備活用する法案を国会に提出させていただいているところでありますが、この法案の中ではこの機構が再生利用可能な耕作放棄地の受皿となりまして、受け手を見付けることにしております。こういった面で、この機構が耕作放棄地の発生防止あるいは解消に貢献するものと考えているところでございます。
  154. 平木大作

    平木大作君 ありがとうございます。  この他にも、農地の多面的機能ですとか、そういったところ、多々質問したかったんですが、時間が来たようでありますので、最後に一点だけお願いして終わりたいと思います。  現在、農林水産行政についてはとにかく報道が先行して、現場はまた猫の目のように変わってしまうのか、こういった不安が大きくなっております。農林水産業、そして農山漁村を守ると言いながら、いつの間にか切り捨てるという話にすり替わったかのように受け取られていることもございます。どうか現場の皆様に理解と納得を得られるような丁寧な議論と説明をお願いいたしまして、私からの質問を終わりといたします。  大変にありがとうございました。
  155. 山田太郎

    山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。俊男先生修路先生に並びまして三番目の山田でございまして、参議院の中では山田と付く議員が全員この農林水産委員にいるという、大変喜ばしいことかなと思っています。その一員にさせていただきまして大変ありがとうございます。  さて、今日は大臣所信に対する一般質疑に関連するということで、TPP、それから米の減反、農政の基本的な課題と水産庁のOBの天下り問題について少し質問させていただきたいと思います。  まず、TPPなんですが、御案内のとおり、我が党はTPPは推進の立場でございます。ただ、この委員会、多くの先生方、議員方が議論をしているように、ちょっと政府の進め方には我が党にとっても疑問が残るところでございます。そういう意味で、今日は少しTPP中身について、特に進め方等について質疑させていただければなと思っております。  例のタリフラインの話でございます。五百八十六項目があると言われまして、その中で、報道ではありますけれども、調製品とか加工品の約二百二十品目関税がなくなるか政府内で検討を始めたと、こんな報道も出ております。もし聖域の五項目を守ると貿易自由化率は九三・五%、これも報道の数字でございますが、仮にこの二百二十品目関税どおりに進めますと九六%。ということは、多分この二百二十品目の幾つかには手を入れるということなのかなと。そうすることによって、先ほど来議論がございました貿易自由化率九五%に近づけていくと、こういうことになると思います。  ただ、この五百八十六品目はどういうものなのかということに関しては非常にこの委員会の中でも先ほどから議論を呼んでいるところでございますけれども、前回の衆議院の方の農水委員会の方でも質問が飛んでおりましたが、林大臣の方は一切答えられないと、こんなような御答弁で終始されているかと思います。  ただ、国会決議まで今回させていただきまして守ろうとする聖域の中身が一切言えないということでは、国会は一体何の役割をしているんだと、何を決議したんだと、こういうふうになるわけでございます。もちろん、外交交渉でございますから全て筒抜けというわけにはいかないと思いますが、せめても代表的な幾つかの品目については含まれる含まれないということを示していただけないかなと。そうすることによって国民的議論が分かりやすくなるんではないかと、こういうふうにも思っております。  そういった意味で、今日お手元の表を用意いたしました。御案内のとおり五百八十六項目、各項目ごとに品目数は書いてあるんですが中身がよく分からないと言われているので、私の事務所の方が例示として作りました。これくらいのものはイエスかノーではっきりお答えいただくのがせめてもの政府の説明責任かなというふうにして用意をしてまいりましたが、このリストに従ってどれが五百八十六品目に入るのかどうかお答えいただけないでしょうか。
  156. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 衆議院でもたしか玉木委員だったと思いますが、これについては御議論をさせていただきました。そのときにも私からは御答弁をさせていただいたところでございますが、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物の五品目の分類されるものを合計すると五百八十六ライン、それから、そのうち米が幾つというものは既にお示しをしてきたところでございますが、タリフラインは、山田委員御承知かと思いますが、関税表というのがございまして、一つずつ細かくいろんなものが書いておりますが、御覧になっていただくと分かるように、全ての品目に米、麦というふうに必ずしも表題は付いておりません。したがって、この品目を米に分類する、この品目を麦に分類するというところは、我々の交渉上、交渉を有利に進める上での判断というものも当然入ってくるわけでございますので、その内訳を示すということになりますと交渉上の不利益をもたらすおそれがある、こういうことで差し控えさせていただくという答弁を衆議院でもいたしておりますので、同じ答弁をここでもさせていただきたいと思います。
  157. 山田太郎

    山田太郎君 残念なんですけれども、それでは、これは委員会の方に御提案なんですが、この委員会を秘密会議にして、相手国交渉人には伝わらないように開くというのを是非やっていただけないでしょうか。  正しく政府が外交交渉をやっているかどうか、国益のためにやっているかどうかというのはやっぱり国会は調査する責任があると思います。政府与党は信用できてもまさか国会は信用できないと、こういうことではないと思っておりますので、本件に関しては、委員長始め理事の方に、例えば秘密会にして、先ほどから政府が答弁されている、漏れると交渉によろしくないというのであれば、ここの中で国会議員の中だけでも、あるいは委員会の中だけでも質疑をさせていただく。マレーシアが先ほど徳永委員の方からやっているんだという話を聞きましたけれども、マレーシアができて日本ができないはずがないと私自身も思っておりますので、この辺はいかがか、これは多分委員長にお伺いするんでしょうか、よろしくお願いします。
  158. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 山田太郎君の提案につきましては、後刻理事会で検討させていただきます。
  159. 山田太郎

    山田太郎君 では次に、この五百八十六品目を中心に、自民党の西川TPP対策委員長が、どの品目関税撤廃に応じるか応じないかということを検討してその結果を政府に伝えたと、こういう報道も聞いております。特に、今度は逆に、関税撤廃をしてはならないレッドラインを政府に伝えたと、こういうことが先週の十月三十一日に記者会見ということで発表されています。  そこで、事実関係としてお伺いしたいんですが、実際に政府はそういう伝達があったのかどうか、あったのであれば、誰から誰にどんな内容だったか、これも大臣、御答弁いただけないでしょうか。
  160. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、十一月一日の甘利大臣記者会見におきまして、TPP総合対策本部事務局で話は承りましたと、こういうふうに甘利大臣がおっしゃっておられますので、我々としても、御案内のように、TPP政府対策本部というのをつくりまして各省縦割りにならないように連携して取り組んでおりまして、そこの本部長である甘利大臣からそういう答弁があったということで、そういう形で伝えられておると、こういうふうに承知しております。
  161. 山田太郎

    山田太郎君 どんな内容だったかは大臣の方には伝わっていないんでしょうか。
  162. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは交渉、具体的な内容にもかかわってくるところでございますので詳細申し上げるわけにはいきませんが、いわゆる重要五品目を含め、我が国センシティビティーをしっかり守ってほしいと伝えられたというふうに聞いております。
  163. 山田太郎

    山田太郎君 実際こういうことが、現実的に取りあえずやり取りであったということは、聖域の項目は関税としていじらないと公約されていたんですけれども、先ほどの二百二十品目を含めて関税を一切いじらないということはないんだなということ、これは、先ほど小川議員の方からも、もう国民や議員もそう思っていると、こういうことだったんですが、いっそのこと早めに国民にごめんなさいをしてしまって、政府も楽に交渉すると、もうはっきりこの際、そういうふうに政府が進めるということであれば、しっかりそういうまず趣旨できちっと議論をして、で、どうなのかということをやった方が、出せる出せない、内容は秘密ですということでは全く国民的な議論ができないと思うんですが、いかがでしょうか。
  164. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 委員もあるいは国際交渉の御経験があるかもしれませんが、ここで私がもしこれとこれというふうに申し上げれば、それはこの場にとどまらず交渉相手国にも即時に伝わるというのが国際交渉の常識でございまして、しからばそこから更に交渉をしようではないかと相手に畳みかけられるということも当然想定しながら交渉というのはやってまいらなければならないと。これ、一般論でもそういうことだと思いますので、そういう意味で、交渉を有利に、なるべく有利に進めるために今のようなことを対応していると、こういうことでございます。
  165. 山田太郎

    山田太郎君 では、交渉が有利に進むように是非国会の方は秘密会という形で進めて、ちょっと次の内容に行きたいと思いますが、そのTPP交渉の続きですが、年内妥結という話、これは徳永議員の方からも先ほど質問の方でありました。私どもも、やっぱりTPPに関しては慎重な議論、又は何を我々日本が勝ち取るのかということも極めて重要だというふうに思っています。  そういった意味で、今の状況下の中でどうして年内妥結が必要なのかどうか。例えば、少なくとも来年の一月とか二月ですね、あるいはその先を含めて延長するというようなことはあり得ないのかどうか。これは内閣府の小泉政務官お答えいただければと思っています。
  166. 小泉進次郎

    大臣政務官小泉進次郎君) 今御指摘のありました年内妥結に向けてということですけれども、これはまず前提として、交渉参加している各国の首脳間で年内妥結に向けて全力を傾ける、そういった中で日本交渉の中における貢献を果たしていくという、そういった認識で交渉に当たっていきたいと思っています。
  167. 山田太郎

    山田太郎君 首相の約束というのは分からなくもないんですが、ただ、やっぱりこれは我々国民のためにやっている国際交渉だというふうに思っております。みんな何が何だか分からないことを交渉されて、特に国益だからという理由で政府内部だけで議論されるということが本当に国益に資するのかどうかといったところはもう大変疑問に思うところであります。  我々、実は、TPP推進側の立場であったとしても、逆に何が勝ち取れるのかということに関しては、これは守る側も攻める側もいろいろあるとは思うんですけれども、大変重要な問題だと思っておりまして、是非、じゃ、年を越したら何か不都合が本当にあるのかどうかと。国益、国家国民のためということと、まあもちろん首相の約束と、交渉をだらだらやっても仕方がないということもあると思うんですけど、是非もう一度その辺り、そういった立場に立って、国益立場に立ってお答えいただければなと思いますけれども、いかがでしょうか。
  168. 小泉進次郎

    大臣政務官小泉進次郎君) まず、今申し上げたとおり、年内妥結に向けて首脳間の合意がある中で、今からその首脳間の合意に基づく年内妥結を果たせない、そういったふうになることは必ずしもいい方向にはならないと。そして、これは年内妥結がいいのか悪いのか含めて、そういった考え日本側また交渉各国がどういう認識でいるのかということも交渉上不利に働くこともありますので、まずこの目標で、首脳間で固めているとおり年内妥結できるように日本交渉力そして貢献をしていきたいという認識で交渉に当たりたいと思います。
  169. 山田太郎

    山田太郎君 今日は、小泉さん、楽しみに質疑できると思ってお伺いしたんですが、ちょっとテレビの前の歯切れの良さとは違って、なかなかこうしゃべれない、言えないというところが多かったので、ちょっと残念でした。また引き続きやらせていただければ幸いだと思っております。  さて、次はちょっと話題を変えまして、米の生産調整、減反に関しても問題になっております。お忙しい政務官の方は退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。  まず、これまでの、特に米の生産調整、減反に投入されてきた予算の累計ですね。結構多くのお金が投入されてきたと思うんですけれども、これについて簡単に報告していただけますでしょうか。
  170. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 米の生産調整についてでございますけれども、昭和四十六年度から本格実施をしてまいりました。現在までに、主食用米から麦、大豆等への転換を促進するために支払われたいわゆる転作助成金の総額は約七兆六千億円になっております。  なお、平成二十一年度からは、飼料用米への支援を始め、近年では生産調整に係る補助金として毎年度約二千億円を計上しております。そのうち、飼料用米への補助金は平成二十四年度では二百七十五億円となっているところでございます。
  171. 山田太郎

    山田太郎君 これまで約八兆円ですよ、投入してきた生産調整、減反ですけれども、報道によりますと、これは先ほどから議論もありますけれども、大臣はその生産調整、減反をやめる又は見直すということを意識されているということを伺っております。  実は私、今年の二月二十一日に予算委員会の方で同じ質問林大臣にさせていただきまして、いっそのこと減反をやめるとか見直すということはお考えにないんでしょうかということでしたけれども、基本的な回答としては現時点ではないという回答をいただいておりまして、ただ、この間、それでは何があったのかと。どうしてこういう形になったのかという理由ですね、もしかしたらTPPということもあるのかどうか、そういったことも含めて、是非この胸中というか、是非胸の中を教えていただけると幸いでございます。
  172. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 私が答弁したことでございますので当時の議事録を改めて見てみましたけれども、山田委員からは、予算委員会で、減反は矛盾した政策と思います、いっそのこと減反をやめるとか見直すということはお考えにならないんでしょうかと。こういうことで、私から、消費が減少するという中で、米のですね、大豆や小麦等にバランスよくやっていただくということで、メリット措置で農家の判断に基づいてやっていただいているというふうに申し上げておりますので、この考え方は変わっておりません。水田フル活用するということでございまして。  私、衆議院の委員会でも常々申し上げたんですが、減反を廃止というんではなくて、やっぱり生産調整を見直すという言葉をあえて使いたいと常々申し上げておりました。減反というのは面積を減らしていくということでありますが、まさにここで申し上げているように、私は水田フル活用で、言わば飼料米ですとか餌米、小麦、大豆に転作するということも含めて農家のメリット措置での判断ということを申し上げておりますが、その中で実は経営所得安定対策見直しとこの米の生産調整のいわゆる固定払いのところがかかわってくると、こういう整理の中で今回のものが出てきたわけでございますので、特に考え方を百八十度変えたということではなくて、この見直しの中で今のような検討状況になっていると、こういうふうに考えております。
  173. 山田太郎

    山田太郎君 それでは、その生産調整ということですけれども、それをそうしたら見直すということによってどんな対策と、特に予算ですね、一方ではこれまで維持していくことによって八兆円使ってきたわけでありますが、もし逆さというか見直せば、当然それに対する措置又は予算ということがかかわってくると思います。  以前、私が農水省に対して生産調整又は減反についての廃止議論をしましたら、逆にそれの方が金が掛かるんだと、このようなことを説明された経緯もあったんですけれども、それでは、じゃ、今回その生産調整に対してどんな対策、特に予算ということをどういうふうにお考えなのか、是非お聞かせいただきたいと思います。
  174. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今申し上げましたように、選挙公約において、自民党のですね、経営所得安定対策見直し、それから多面的機能に着目した日本型の直接支払ということを議論していくと、こういうことでうたってまいったわけでございまして、この検討は、まさに米の生産調整を含む米政策とも関係があるということでございますので、先ほどどなたかの委員のときに議論あったかもしれませんが、二月から与党のPTでもずっと議論を続けてきたと、こういうところでございます。  したがって、予算ということでございますが、今まで種々の予算を使った対策見直していくということの中で、たしか公約の中には振替拡充という言葉もあったと、こういうふうに思いますので、限りある財政資源を有効に活用しながら、この選挙公約の方向に見合った見直しをきちっとしていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  175. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つ生産調整を行う場合の手続の問題なんですが、一つ我が国食糧法というのがあります。食糧法の改正というものが必要なのかどうかという議論でもあるんですが、それを農水省さんの方にお伺いしましたら、この法改正をせずに、生産調整、減反は局長通達でできるんだと、こういうふうに聞いておりますが、これはお間違いないでしょうか。
  176. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 米の生産調整というのは、先ほど私申し上げましたように実質的には選択制というふうになっているものでございますが、さらに、農家自らの経営判断によって需要に応じた生産を行える環境を更に整えていく必要があると、こういうふうに考えております。  したがって、生産調整の在り方については、生産数量目標の配分から卒業するという時期も含めて、引き続き精力的に議論を重ねていくということにしておりまして、午前中にも申し上げましたが、現場が混乱しないように十分配慮しながらよく対応を検討してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  177. 山田太郎

    山田太郎君 生産調整の時期等に関してもほかの委員から質問があったと思いますが、それに関連してお伺いしたいんですけれども、今般の国会で農地中間管理機構の話がもう一方で出てきます。いわゆる農地をどういうふうにしていくかという議論とこの生産調整の話というのは密接に関連がしてくると。今、これから法案が上程されてきますので実質質疑はこれからだと思いますが、工程表というのが上がっておりまして、二〇一四年から二〇一五年にかけてかなり具体的に進むと、こういうのをいただいております。  であるならば、この生産調整の実施時期もこれに合わせて例えば二〇一四年、二〇一五年にやる、又はあり得るのかどうか。新聞報道よりますと二〇一八年以降からというようなことも載っていたんですけれども、その辺の時期的な問題についても是非お伺いさせていただければと思います。
  178. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに集積を進めていくということが一つの大きな大事なポイントである、それと矛盾をしないようにこの経営所得安定対策をきちっと進めていくということが大事であると、こういうふうに考えております。  農地中間管理機構については、既に、今委員お話ししてくださったように、この国会に法案を提出をしておりますので、その農地中間管理機構でやっていくことと矛盾をしないような形でこの経営所得安定対策見直しということをやっていくということを心掛けたいと思っております。
  179. 山田太郎

    山田太郎君 そうしたら、最後の質問に移っていきたいと思います。漁業取締り船に絡む天下り問題について少しお伺いしたいと思います。  資料の方をお配りしています。二枚目になります。まず、水産庁に漁業取締り船というのがありまして、漁業法を始めとして漁業に関する様々な法律、条約に関する取締りを各地の海で日夜行っているというふうに聞いています。この漁業取締り船は国有船が六隻で、ただ、これでは到底日本の海を守れませんので、漁業監督官が乗船して民間から船を借り上げるということで、平成二十五年なんですけれども、三十五隻、十八社の民間会社から借り入れているそうであります。  そこで、借入れの契約、これ用船契約というそうですけれども、船の性能が知れると取締りに支障があるということで全て随意契約ということなんですが、一隻当たり約年間一千五百万から三千万ぐらいの契約で、三十五隻で平成二十五年度は総額七十八億円というお金が動いています。そして、船を借り上げている会社、これは用船会社というそうですけれども、漁業取締り船を国に貸す以外の事業は実はしていないと、こういうふうにも聞いております。  漁業取締り船を水産庁に貸すという仕事しかやっていない、そこでちょっとこれは怪しいなという感じもしなくはないんですが、この十八社の用船会社に水産庁OBは再就職していないのかどうか、いらっしゃるなら、どういう経緯で再就職されたのか、少し詳しく教えていただけますでしょうか。
  180. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 私の方からお答えいたします。  水産庁が漁業取締り用船各社に対して確認をしたところ、平成二十五年八月一日現在で三社に約四名の水産庁退職者が再就職をしておりました。本日確認をしたところ、十月二十日付けで一社一名が退社していたことが判明し、現状では二社三名となっているところでございます。  再就職の経緯につきましては、水産庁漁業取締り船の運航管理や漁業取締り業務に関する知識や経験、さらには海事職員としての実務経験など、水産庁在職中の幅広い経験やその知識が用船事業の適切な運営に必要と判断し採用されたものと聞いております。
  181. 山田太郎

    山田太郎君 この十八社の用船会社は、全国漁業調査取締船事業協同組合という組合を実はつくっているんですね。これはお手元の資料になるわけですけれども、組合の概要をまとめた資料でございます。この組合は、漁業取締り船の乗組員の制服とか研修というのを主にやっているそうです。そして、この組合は十八社の用船会社から賦課金、言わば上納金で運営されているということであります。十八社の用船会社は国に船を貸し出す用船契約で得る事業以外の収入はほとんどありませんから、この随意契約でもって国から得たお金をキックバックしてこの組合の運営費に充てているということになります。  さて、この組合の賦課金収入は、平成二十四年度四千六百五十万円、そのうち三千万円がこの組合のための人件費に使われているということです。では、この組合に水産庁OBはいらっしゃらないのか、いらっしゃるなら、どういう経緯で再就職されたのか、お答えいただけますでしょうか。
  182. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 平成二十五年八月一日現在で全国漁業調査取締船事業協同組合に在籍する水産庁退職者は二名でございます。  退職者が再就職した経緯につきましては、漁業調査や漁業取締りに関する実務経験やその知識を始め、水産行政全般に関する幅広い経験や知識が組合の事業運営に必要と判断され、雇用されたものと聞いております。
  183. 山田太郎

    山田太郎君 その二名のうち一名は専務理事さんという責任者に当たる方なんですね。職員が一名ということなんでありますが、この漁業取締り船の契約という随意契約を元にまさに水産庁OBが再就職しているというのは、ちょっと誤解を得ることがないのかなということを心配しております。  この辺り、大臣、今後非常に、いろんな改革をやっていく中で国民の誤解を得ないように何らか考えていただけないものなのかどうか、その辺りも含めて御見解いただきたいと思います。
  184. 林芳正

    国務大臣林芳正君) かつて我々も行革本部で、これは党の行革本部ですが、やはり国から補助金が出ているもののところの公益法人について調べたことがございましたが、やはり今委員がおっしゃっていただいたように、外見上やっぱり怪しいのではないかと思われないようにするということが非常に大事ではないかと、こういうふうに思っております。  その上で、この組合は、安全運転、事故防止のための研修事業や、それから諸情勢の情報提供、諸問題に関する意見交換、それから今言っていただいた制服、防寒着等の購入等々、それから保険事業の代行等もやっていただいております。  やはり、在職中の様々な実務経験やその知識、今のような事業をやる上では必要と認められたと、こういうふうに考えておりますが、やはり水産庁OBを養っていると、こういうような誤解を与えてはならないと、こういうふうに思っております。  したがって、毎年度事業報告書等が提出をされておりまして、今総事業規模に占める人件費の割合も御指摘があったところでございますが、やはりこの業務に見合った財政規模になっているかどうか、それから水産庁退職者がどういう雇用条件で採用されているか等々を含めてしっかりとチェックして、組合の元々の業務がきちっと適切に遂行されるように指導してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  185. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございます。  最後に、この農林水産委員会、先ほどの米の話もそうですけれども、生産側の話が非常に多く議論されていますが、やっぱり消費側というんですかね、日本のこれからのそれこそ自給率を上げる、日本のおいしい食材を我が日本人が食べていくということをしっかり議論していかなければいけないというふうに思っています。  大臣の方は、衆議院の吉野家さんの方に牛重を導入した仕掛け人だということを聞いております。牛重はハヤシライスという別名もあるというふうに聞いておりますけれども、こういった、小さな努力かもしれませんが、もう一つ農林水産省、是非、こういった形も含めて、我々の農業の発展に是非資するということを頑張ってやっていただきたいなというふうに思っております。  あわせて、もう一つ大事なこのTPPの問題、これはTPP推進も反対ももうないのかなと我々も議論していて感じるところがあるんですけれども、国益のためにということを含めてやっていきたい。もし秘密にしなければいけないのであれば、我々国会も政府に協力して秘密を守る形で質疑をするということだってありだと思っていますので、引き続きこの問題取り上げてやらせていただきたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。
  186. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  まず、TPPについてお聞きします。  日本政府は今年の七月末にTPPに参加したばかりですが、にもかかわらず、十月のバリ島でのTPP首脳声明で、年内妥結を目的に困難な課題の解決に取り組むことを確認したということで、この年内妥結に前のめりになっています。そのため、日本政府TPP交渉で足を引っ張ることができなくなって、最も困難な関税交渉日本自らの自由化率を上げなければならなくなっていると。  そこで、現在、重要五品目を含めて、これまで日本が自由貿易協定関税撤廃をしたことがない農林水産品目、これ八百三十四品目あるわけですけれども、そのうち聖域とされる重要五品目農産品、これ五百八十六品目となります。この重要五品目関税撤廃を避けるということになると、これ自由化率が九三・五%にとどまると。これはTPPのほかの参加国にとっては納得を得られないと。既に五か国からは、いや、自由化率は一〇〇%でなきゃ駄目なんだというふうに言われているわけです。  そこで、自民党の西川TPP対策委員長は、この重要五品目に立ち入って、加工品や調製品の関税撤廃に向けての検討作業を開始するということを表明して、その作業を行って、先日、関税区分の細目、タリフラインごとにこの自由化の影響の検証作業を終えたというふうに報道されている。政府は三十一日に、TPP参加十一か国と関税撤廃、削減などの品目ごとの取扱いを示す提案をしたということが報道をされていると。  この点についての経過というか、実際はこういうことがやられているんですねということで、大臣の認識を明らかにしていただきたいと思います。
  187. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 十月八日のTPP首脳会合、今委員もお触れいただきましたが、包括的でバランスの取れた協定の年内妥結に向けて、残された困難な課題の解決に取り組むことが合意されたと、こういうふうに承知をしております。これは今までの先生方の御議論の中でもあったところでございます。  この首脳会合においては、市場アクセス分野について、最もセンシティブな物品の取扱い、これはこれからの課題として残っているということがTPP貿易閣僚より報告をされておりまして、今後、十二月に閣僚会合を開催する方向調整が行われていると、こういうふうに聞いております。  西川先生の御発言は、自民党のTPP対策委員長としてのお立場からなされたものであると、こういうふうに認識をしておりまして、その後の政府に対するお話は先ほど御答弁をしたとおりでございます。  いずれにしましても、TPP交渉に当たっては、これも繰り返しになりますが、この農林水産委員会も含め、衆参両院の委員会決議を踏まえて、国益を守り抜くように全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  188. 紙智子

    ○紙智子君 十月二十四日の参議院の予算委員会で、与党議員、これ山田さんですけれども、質問に答えて甘利大臣が、別にこれは党が勝手にやっていると突き放すつもりはありません、党の方は党の方でいろんなリスクを考えて取り組んでいただいているんだと思います、それについては、政府は、情報提供は最大限、これは農水省を中心にやらせていただきたいと思いますと言って、農水省が協力していることを明らかにしているわけです。ですから、大臣は当然、この重要五項目の加工品や調製品の検討作業を知っているはずだと思いますけれども、いかがですか。
  189. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 甘利大臣も御答弁をされましたし、私も国会で、会見だったかもしれませんが、申し上げておりますが、党でやられる作業につきまして必要な情報の提供等々についてきちっとやらせていただくと、こういうことは申しております。  先ほどお答えしたとおりでございますが、西川委員長の方でいろいろ検証されたということ、そして、その甘利大臣の会見で、甘利大臣がおっしゃったように、事務方の方に伝えられたということも承知をしておりますが、どういう内容についてどうだったかということについては、これも先ほど申し上げましたように、具体的な内容にかかわることでございますので、ここでは控えさせていただきたいと思います。
  190. 紙智子

    ○紙智子君 情報提供をさせていただいているということです。  大臣所信で、交渉に当たっては、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物等の重要品目の聖域を確保すること等の衆参両院の農林水産委員会での決議を踏まえ、国益を守り抜くよう全力を尽くしてまいりますというふうにおっしゃっているわけです。それは当然、この重要五品目の五百八十六品目を確保することを意味するはずですよね。確認します。
  191. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などのこの重要品目につきましては、除外又は再協議対象とする、さらに、農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先すると衆参両院のこの農林水産委員会の決議においてされておるところであります。  この重要五品目内容につきましては、決議に書いてあります文章そのものでありまして、それ以上それ以下のものでもございません。  いずれにせよ、この決議を踏まえて、国益を守り抜くよう全力を尽くす決意でも、考えでもございます。
  192. 紙智子

    ○紙智子君 決議に書いてあるといって言わなかったんですけれども、重要五品目というのは五百八十六品目なんですよ。聖域ということはそれに手を付けないということなんですよ。その重要品目の聖域にまさに手を突っ込んで、加工品や調製品の関税撤廃対象品目をピックアップする作業というのは、これ与党だって国会決議に真っ向から反する作業ですよ。それに抵抗しなければならない農水省や農水大臣が協力しているということになるわけですよ。  これは、決議を踏まえる、決議を守るというふうに言っておられますけれども、そう言いながら真っ向から否定することなんじゃないですか。おっしゃっていることとやっていることに矛盾がありませんか。
  193. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、副大臣から御答弁させていただいたとおりでございまして、先ほど小川委員が推理と想像と、こうおっしゃいましたけれども、我々、今、紙委員がおっしゃったことをこういうふうにやっているということを申し上げたことは一度もございませんで、西川委員の方でいろんなことをお考えになって検証をされておられる、それに必要な情報の提供はいたしておると、これを申し上げているところでございます。
  194. 紙智子

    ○紙智子君 バリ会議は実は私も現地に行っておりました。そこで西川対策委員長は、年内妥結に向けてスピードを上げてやらなければならないというふうにおっしゃった。五品目の中から抜けるか抜けないか急いで検証するというふうに言われているわけです。何のために検証するのかといったら、それは聖域から外せるものは何なのかということを、外すためなんじゃないんですか。  大臣は、衆参両院の農林水産委員会での決議を踏まえて国益を守り抜くというふうに言いました。あなたにとっての国益は何かって先ほども徳永議員から質問がありましたけれども、それに対して農水大臣は、国益とはまさに衆参両院の国会決議なんだというふうに言われたわけですけれども、農林水産大臣林大臣は、国益といえばまさにこの日本農林水産業を守るために体を張って奮闘するということが当たり前で、内閣の閣内の中でそれを軽んずるような動きがあった場合はそれを牽制するというのが当然だと思うんですよ。歴代の過去の農水大臣の姿を見ても、やっぱりここぞという大事なところでは体を張って頑張るという立場でしたよ。  そこでは、確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとするということが決議に明記されているわけです。重要五品目、五百八十六品目が守れないんだったら脱退すると、それを閣内で主張するのが林農水大臣の役割なんじゃないでしょうか。いかがですか。
  195. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 吉川農林水産大臣
  196. 紙智子

    ○紙智子君 大臣に聞いています。
  197. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) その前に私にも答えさせてください。補足があれば大臣からお答えをさせていただきたいと思います。  TPPを通じてアジア太平洋地域の活力を取り込み、力強い経済成長を実現することが我が国のこれは国益だと私どもは考えております。他方で、衆参両院の農林水産委員会におきまして重要品目の聖域を確保することなどが決議をされておりまして、農林水産省といたしましては、この決議も踏まえてTPP交渉に当たることが国民を守る観点から不可欠と考えているところでございます。
  198. 紙智子

    ○紙智子君 確保できなければ脱退も辞さないと、これ本気でやる覚悟はおありになるのかどうか、これはお聞きしたいと思いますよ。だって、選挙のときだって、自民党の議員の皆さんそうですけど、さんざん言われていたわけですよ。選挙が終わった直後に、北海道でもそうですけど、マスコミの方からもし守れないときは脱退するんですかと言われて、脱退しますというふうに言われていましたからね。そういうことを約束をしてこられた。農水大臣は、そういう意味では、今内閣ですけれども、自民党の議員でもあるわけで、本当にそれを守る覚悟があるのか、国民はそこを本気でやる気があるのかということを見ていますよ。  先週、大臣の下に、北海道から高橋はるみ知事とJAの全中の方が来られて要請を受けられたと思います。そこには、TPP協定に関する緊急要請で、重要五品目はもとより、それ以外にも小豆、インゲンや軽種馬、ホタテ、木材などが重要農林水産物として生産され、今後の交渉の先行きを危惧する声が道内で上がっているというふうに書いています。  国民への十分な情報提供、説明を行って、万全な対策を行うことを求めているわけですけれども、こういう声にどのようにお答えになるんでしょうか、大臣
  199. 林芳正

    国務大臣林芳正君) お話がありましたように、先週だったと思いますが、知事始め関係者の皆様が、もう何度かお見えになっておりますが、いらしていただきました。その今のお話、御要請も受けたところでございますので、その場で、この決議を踏まえてしっかりとやっていきたいというような趣旨のことも申し上げたところでございます。  前段のところで、脱退も辞さないものとするということについてのお尋ねもございましたが、これも先ほどどなたかの御質問に対するお答えの繰り返しになって恐縮でございますが、決議の第六項に、「それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること。」と明記をされております。ここも含めて、決議を踏まえてと、こういうふうに申し上げております。
  200. 紙智子

    ○紙智子君 守れなければ脱退を、農水大臣総理に対しても、それからほかの閣僚に対してもはっきりと主張するということで確認をしてよろしいですか。
  201. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この決議は、私のみならず、閣内で少なくともこの仕事に携わっている皆様方に対しては共有をされておるものと、こういうことでございますから、皆さん同じ気持ちでこれはやっていただいているものと、こういうふうに考えておりますし、また、どういう場合にどのラインで脱退ということを軽々に発言いたしますと、これも先ほどのどなたかに対する御答弁と重なりますが、そこから交渉が始まってしまうという意味で軽々に申し上げることは控えたいと、こういうふうに思っております。
  202. 紙智子

    ○紙智子君 既に国民から見ると、非常に条件的な闘争に入っているんじゃないかというふうに心配しているわけです。これをめぐって、やっぱり農水大臣が本当に日本農業を守るという立場からしっかりと行動していただかなければ国民の公約は全くほごにされるということになるわけで、これはもう絶対許されないというふうに思います。  ところで、大臣所信の中で、食料自給率についての言及がありませんでした。これはなぜなのかと。国内生産を高めて食料自給率を向上させるというのは、これまでの農林水産省の大方針だったと思いますけれども、これについていかがでしょうか。
  203. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 私の方から御答弁申し上げます。  食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、国民に対する国家の最も基本的な責務でございます。国内農業生産の増大を図り食料自給率を向上させることは当然重要なことと認識しておりますが、先日の委員会における林農林水産大臣所信的挨拶は、本臨時国会期間中において特に取り組むべき重要課題を申し述べたものでございます。
  204. 紙智子

    ○紙智子君 ということは、自給率を向上させるということは変わらないと、基本方針変わらないということでよろしいんですか。
  205. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、横山務官から答弁させていただきましたとおり、この臨時国会期間中において特に取り組むべき重要課題所信的挨拶では申し述べさせていただきましたので、この食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、法律にも定められておりますし、私自身も基本的な責務であると認識しております。
  206. 紙智子

    ○紙智子君 私は、入っていなかったことが、TPP関税を撤廃した場合に、これは食料自給率が下がることが免れないわけですよね。だから言わなかったのかなと一瞬思いました。しかし、そうではないということであるならば、もっと今の時期こそそのことをはっきりと明言しなきゃいけないときじゃないかと思いますよ。  やっぱり自民党のJ—ファイルですか、そこの中にも書いてありますよね、食料自給率、カロリーベースで五〇%を目指すと。食料自給率をどう上げていくのかというのは重要な課題でありまして、これはどんなに時代が変わっても、この基本というのは変わらないと思いますよ、国際的なルールとして、万国共通のやっぱり非常に基本となる考え方ですから。これは、今こそはっきりと自給率の向上という問題は掲げて取り組むべきだというふうに申し上げておきたいと思います。  それから続いて、米の生産調整、減反廃止ということも先ほど来議論になっています。大臣がこれを打ち出している目的というのは何でしょうか。
  207. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) これは生産調整検討状況お話しすることで理解していただけるかと思うんですけれども、元々自民党の選挙公約の中にございました経営所得安定対策見直し、そしてまた多面的機能に着目した日本型直接支払と、こうした議論の中で、米の生産調整を含む米政策全般について農林水産省としても検討を重ねてきているということでございます。  また、米政策全般について申し上げますと、水田活用対策等を充実させることで生産者、集荷業者・団体が、国の需給見通し等を勘案しながら、主体的な経営判断や販売戦略に基づき、需要に見合った米生産の実現を図るための環境整備する必要があるというふうに考えているところでございます。
  208. 紙智子

    ○紙智子君 収入保険導入して賄っていくということも言われて、さっきも議論になりましたけれども、この仕組みというのは、農家が自ら積み立てる保険料を基にして農産物の急激な価格下落による収入減のときに支払える仕組みということなんじゃないかと。そうすると、負担できない農家は入ることできなくなるんじゃないかという心配があるわけです。  現場ではどんな声が出ているかというと、要は、作りたい人はどうぞ作ってください、ただし、米価が下落しても国は面倒見ませんよ、自分で対処してくださいということになって、結局、中小農家というのは切捨てにつながるんじゃないかという不安の声が出されているんです。これについてはいかがでしょうか。
  209. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど小川委員からも御指摘があって、地理的、自然的制約のためのゲタということと、それから、やはり自然災害等々の影響で収穫量減少がどうしても起こるということでナラシと、こういうものがあるということを申し上げましたけれども、まさにそういう意味で、現在の農業共済制度収穫量減少自然災害によるですね、これを対象としておりまして、価格の低下が対象となっておりません。それから対象品目も限定されておりますので、加入単位品目ごとになっていると。  こういうことがございますので、やはり複合経営経営安定、こういうものを考えますと十分でない面があると、こういうふうに思っておりますので、したがって、全ての作物対象とし、農業収入全体に着目した収入保険、こういうものを調査検討を進めていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  210. 紙智子

    ○紙智子君 まだ細目がはっきり見えるわけじゃないので、またこの次この問題については議論させていただきますけれども、やっぱり地域を支えている小規模、中規模ですね、こういうところが離農促進を促すようなことにならないようにということを強調しておきたいと思います。  それで、最後ですけれども、諫早湾の潮受け堤防の閉め切り水門の開門について質問をしたいと思います。  それで、福岡高裁の判決で義務付けられた諫早湾の干拓潮受け堤防の開門について、実は先日、私、開門の反対から賛成に転じたある組合長さんから意見をお聞きいたしました。この方は、潮受け堤防を造るときに、我々は海が残れば今後も漁ができるという思いで干拓事業に賛成をした、苦渋の思いで賛成したと。しかし、当時はここまで疲弊することは想定できなかった。百名以上いた組合員が五十九名まで半減した。アサリなどが激減し、漁業で生活できなくなった。一日も早く開門して、有明海の調査をしてほしいけれども、本当に国は開門する気があるのか不安でたまらないというふうに訴えられたんです。  福岡高裁の判決というのは、これは永久に開門せよと命じたものではありません。これは調査するための開門、それがいいかどうかは別としても、調査するための開門を命じているわけです。この福岡高裁判決の履行期日というのは十二月二十日と。国が確定判決を履行しないということになれば、これは前代未聞のことになるというふうに思うんですけれども、大臣の御認識をお聞きします。大臣ですよ。
  211. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) まず私の方から御答弁をさせていただいて、不足があれば大臣お答えしたいと思います。  諫早湾の干拓排水門につきましては、平成二十二年の福岡高等裁判所の判決の確定により、国は本年十二月二十日までに開門すべき義務を負っております。開門した場合に被害が生ずるおそれがあるという長崎県関係者の懸念に対応するため、国としては、防災上、農業上、漁業上の対策を提案してきているところでございます。  大臣と本件の担当である江藤副大臣が二月に現地を二日間にわたって訪問をいたしました。副大臣は八月にも現地を訪問したほか、長崎関係者が上京される機会にその都度面会をし、対話を行ってきているところでございます。また、諫早の現地におきましては、職員が五月の予算成立以降だけでも三百回以上戸別に訪問をさせていただいております。また、工事の説明会を開催もしております。二回にわたって住民四万戸以上に対してパンフレットも配布をさせていただいております。その上で、九月から十月にかけて工事着手を三回試みたところでございます。しかし、地元関係者の反対によって撤退をせざるを得ない、そのような状況でございました。  このように、地元関係者の反対には根強いものがあり、苦慮しているところでございますが、十二月二十日までの開門義務は確定した法的な義務でございます。すなわち、履行しなければならないということでございます。他方、対策工事なしで開門すれば被害が生ずるおそれがございますので、そうするわけにはいかず、対策工事は不可欠というふうに認識をしております。開門と被害防止の双方を実現しなければならない、それが政府立場でございます。  引き続き、地元関係者の理解を求めてまいるよう努力をしてまいる所存でございます。
  212. 紙智子

    ○紙智子君 大臣に私、御認識を伺ったわけです。それで、これ、もし決まっていて、確定判決を履行しないことになったら、これはちょっと前代未聞のことになると思うんですけれども、大臣の御認識、お聞かせください。
  213. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ただいま横山務官から答弁させていただきましたように、十二月二十日までの開門義務は確定した法的な義務であり、履行しなければならない。他方、対策工事なしで開門すれば被害が生じるということで、この開門と被害防止の双方を実現しなければならないと。まさに横山大臣政務官が答弁したとおり、私もそのように認識しております。
  214. 紙智子

    ○紙智子君 先日、参議院本会議質問安倍総理は、諫早湾干拓堤防については、国は本年十二月までに開門すべき義務を負っているというふうに答弁をされました。つまり開門義務があると。それが開門しないということになれば、これは総理の政治責任ということに、そういう性格の問題だというふうに思うわけですけれども、この点はいかがですか。
  215. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、政治責任というお言葉が今ありましたけれども、我々は行政として、この司法の場から確定した判決ということで義務を負わせられている、こういうことでございますので、これは先ほど申し上げたとおり法的な義務を履行すると、こういうことでございます。
  216. 紙智子

    ○紙智子君 国が確定判決を履行しなかったことというのは憲政史上ないんですよね。ないというふうに言われているわけです。ですから、総理が本会議でもそういうふうに答弁をして、義務があると言っていることが、やれないということになれば、これは本当に大きな、大変なことにならざるを得ないというふうに思うわけです。ですから、是非、確定判決は責任を持って守るということでよろしいですね。
  217. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど申し上げたことに尽きるわけですが、確定判決を法的な義務として履行しなければならないということ、そして他方で、対策工事なしで開門すれば被害が生じるということでありますので、開門と被害防止の双方を実現しなければならないと考えておりまして、地元関係者の理解を求めてまいりたいと思っております。
  218. 紙智子

    ○紙智子君 それで、長崎県は、開門の対策工事に対して強く抗議する、対策工事の着手を取りやめて開門方針の見直しを強く要請するということで、知事の記者会見もありまして、非常に強い姿勢で反対をしていると。このことがあり、開門のめどが立たない状況が今続いているわけです。  そこで、長崎新聞を見ますと、そこにこういうことが記事が出ていました。「農水省 三者協議前向き」ということです。つまり、農水省としては、全てを裁判で決着させずに話合いで物事を解決し、開門義務を履行できるならそれが望ましいということで、三者での話合いが成り立つならば国は参加を考えているんだという記事がありました。  やっぱり膠着状態を脱するためにはこの三者協議に応じるというのは私は一つのやり方としては非常に大事だというふうに思っていまして、農水省もそこに参加し、司法のお膳立てがあって、そこに参加し、そしてやっぱり三者が参加していくということでは、長崎もそこに参加してもらうように説得すべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  219. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 事実関係について申し上げさせていただきます。  かねて、三者、今委員指摘の三者というのは、国とそれから長崎県の地元の関係者の皆様、それから佐賀県あるいは原告団の皆様方と、こういう三者ということになろうと思います。  私どもも、長崎県の地元関係者に対して繰り返し三者による対話はできないかということを呼びかけてまいりましたが、開門を前提とする話合いには応じられないということで、これに対しては長崎県側は反対という意見を表明されてきたところでございます。  また、裁判におきましても、高裁で係争中の裁判の中で、裁判長からそのようなお勧めがあったわけでございます。その裁判では、佐賀側の訴えに対し、長崎側の関係者の皆様が補助参加されているわけでございます。国が被告でございます。そういう中で、裁判長からの和解に向けての協議はできないかというようなお勧めも繰り返しあったわけでございますが、長崎県側からは、開門を前提とした話合いには応じられないという御回答でございまして、なかなかその三者での話合いの場が実現するのも難しいという状況にありまして、苦慮しているところでございます。
  220. 紙智子

    ○紙智子君 そういう状態がずっと続いてきたということなわけですから、やっぱりそれを、同じことを繰り返していたんでは仕方がないわけですよね。そこをやっぱり本当に踏み込んで、強い、もう一つ強いメッセージを出して、何とかやっぱり折り合い付くようにというか説得をするという努力をしていただきたいというふうに思うんですよ。そうでなければ、結局ずっといつまでもこの状態というのは続くわけですから、そこのところは強く私申し上げておきたいというふうに思います。  私どもとしては、やっぱり漁業と農業が本当に両立するということが願いなわけですよね。元々、宝の海と言われていた有明海の再生を願っているわけで、農水省はやっぱり、過去ずっとかなりもう時間たっているわけですけれども、強引にこの排水門を造って一次産業を担う農業者と漁業者に対立を持ち込んだと、これは私は国の責任が非常に大きいというように思います。  福岡高裁の判決というのは、先ほども言いましたけれども、永久に開門せよということを命じているものじゃありません。調査するための開門だと。その開門を行って、農業も漁業もやっぱり両立できると、また、その宝の海も復活することができると、そういう道を目指すということこそ対立を持ち込んだ国の取るべき行動だというふうに思うわけです。そのことを強く強調いたしまして、質問とさせていただきます。
  221. 儀間光男

    ○儀間光男君 維新の儀間でございます。  今日、この委員会最後の質問者となりまして、皆さんお疲れの様子もうかがえますけれども、どうぞ最後までお付き合いくださいますように、あらかじめお願いをしたいと思います。なお、国会での質疑などというのは全くの初めてで、要領を得ないところもあるかも分かりませんが、御容赦をいただきたいと思います。  私はまず、TPP問題と減反見直し及び農地中間管理機構についてを先に質問をさせていただきます。  なお、この際、米と甘味資源についてのみ質問をしてまいりますが、論議を広げていきますから、他の品目についても同様の質問だと思っていただき、関係すれば答弁をしていただきたいと思います。さらには、今回、小規模農家と兼業農家については触れておりませんが、次回に回していきたいと思いますから、併せて御理解を賜りたいと存じます。  政府はこれまで長年にわたって行ってきました米の減反政策、主食米のみでありますが、見直しを五年後を目途に廃止をするということでありますが、そもそも減反とは一体どのようなことを目的とし制定、実施されたのか、御確認の意味も含めて見解を賜りたいと存じます。
  222. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 私の方から御答弁させていただきます。  米の需給は、戦後、昭和二十年代から三十年代にかけて大幅に不足状態にありました。米の増産政策を当時は実施をしておりました。その一方で、米の需要量は、食生活の変化等によって、昭和三十年代後半をピークにほぼ一貫して減少をしてまいりました。このような中、昭和四十年代前半に大豊作がございまして、食管制度による政府全量買入れ制度の下で膨大な政府在庫が積み上がり、米の生産量の抑制が急務となったところでございます。このため、昭和四十六年度から米の生産調整を本格的に実施することにしたと、そのような経緯だというふうに承知をしております。
  223. 儀間光男

    ○儀間光男君 歴史を少し振り返ってみたいと思うのでありますが、戦後の農業政策の代表的な事業の一つとして、秋田県八郎潟の干拓事業がございました。これは昭和三十二年、一九五七年に始まっております。その干拓事業の目的は一体何だったか、同事業の経過も含めて、その事業量についても御答弁をいただきたいと思います。
  224. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 儀間先生の御質問お答えします。  先ほど横山務官の方から答弁ございましたように、米の需給につきましては、戦後、昭和二十年代、三十年代におきまして大幅な不足状態にあったわけでございまして、米の増産政策を実施してきたところでございまして、八郎潟干拓はその一環として昭和三十二年に国営事業ということで着手したものでございまして、昭和四十一年に約一万三千ヘクタールの新たな農地が完成しまして、昭和四十二年から入植を開始しまして、翌四十三年から営農が開始されたところでございます。  その間、先ほどお話ありましたように、輸入に依存しておりました米につきましては、昭和四十四年に国産米での自給といったことが達成される一方、高度経済成長下におけます食生活の多様化に伴いまして、主食用米の消費量が、昭和三十七年は一人年間百十八キログラムを摂取しておったんですが、これをピークに減少しまして、また昭和四十年代前半に大豊作が続いたことから国は膨大な過剰在庫を抱えることとなったところでございまして、このため昭和四十六年度から米の生産調整を本格的に開始しまして、米を作付けしない水田を有効活用して、自給率が低い麦、大豆の増産へとかじを切ることとなりましたが、国民に対する食料の安定供給という政策理念は一貫したものと考えているところでございます。
  225. 儀間光男

    ○儀間光男君 ただいまお答えがあったように、一方では減反政策は昭和四十六年、一九七一年から始まっておりますが、干拓事業が始まって完成まで十三、四年ぐらいの歳月だと思います。干拓が必要になった時期から十三、四年ぐらいの間で日本は米余りが生じたと、こういうふうに理解をするものであります。その干拓事業が終わって入植が始まって、たった二年の後に八郎潟の入植が始まっておりますが、時の事情はいろいろ様々あったとは思いますが、この二つ、つまり食糧増産を目的とした干拓事業と減反の施策は相反する政策であって、整合性が問われるという見解でございます。  もちろん、その中の十三、四年という経過はありますけれども、少し見通しに甘さがあったのではないかというような感じがいたしてなりませんが、いかがでしょうか。
  226. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 先ほどお答えしたところでございますが、実態的に申し上げますと、一万三千ヘクタールの農地が造成されまして、そのうち八郎潟の、大潟村の皆さんが関係する水田が約九千ヘクタールございまして、ここで水稲が作付けされたわけですが、その後、今説明申し上げましたように、違う麦でありますとか大豆への転換ということに相なったところでございますが、現在におきましては、約九千ヘクタールの水田面積のうち五千五百ヘクタールが主食用米の作付けをしておりまして、残りの約三千四百ヘクタールが加工米でありますとかこうした新規需要米、あるいは麦、大豆、こうしたものへの転換がなされているという状況になっておりまして、この点についてはやはり政策的な大意というものは外れていないんじゃないかというふうに考える次第でございます。
  227. 儀間光男

    ○儀間光男君 さて、確認の意味で今お答えいただきましたが、このような観点から、TPP、米、その他の農作物との関連について伺ってまいりたいと思います。  TPPの前提は、関税を撤廃し、関係各国が市場の参入を自由化し、物的流通の自由化を促し、世界経済のグローバル化を図ろうとするものであります。それを前提としますというと、どちらの国においても多少は差はあったといっても守りたい品目がそれぞれあるはずであります。  政府は、農業部門から米を始め五品目について聖域と定めTPP交渉に臨みたいとしましたが、基本的にはこの考え方を堅持すると理解してよいのでしょうか。この今の時点で御決意を聞きたいと思います。
  228. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今日は儀間先生デビュー戦ということで、今後の御活躍を御期待したいと思いますが。  今委員からお話がありましたように、今日はメーンテーマの一つでありまして、私も何度も御答弁を申し上げましたとおり、この農林水産委員会、また衆議院の農林水産委員会でも決議をされましたように、重要五品目等のものを守っていくということが決議をされております。それ以外にも幾つかの項目についても今日議論がございましたけれども、その決議全体を踏まえてしっかりと国益を守るために全力を尽くしていくと、これはいささかも変わっておらないところでございます。
  229. 儀間光男

    ○儀間光男君 今の御答弁は、お約束を申し上げた五品目については、ただいまの決議も含めまして五品目については九五%する中で、自由化率ですね、九五%する中でどう対処していくのか。また、お約束どおり頑張ってくださるように期待もいたします。  私は今回、TPPの五品目を守るという、守ってくださるという前提を表にいたしまして、他方では、この五品目を守る裏側に視点を当ててTPPの聖域の問題を議論したいと考えております。  すなわち、米も聖域に入るのでありますが、減反の見直し、つまり生産調整見直しと相まって、これからは国際市場をこじ開けまして、ねじ開けまして、我が国農林水産物加工品を国際市場のマーケットで展開を図っていくべきだと常々思っておるのでありますが、その意見についてはいかがお考えでしょうか。
  230. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先日も、夏だったと思いますが、お地元にお邪魔をいたしまして、ファーマーズマーケットというのをJAがやっていらっしゃいます、見せていただきまして、なかなか私の地元の山口県ではお目にかかれないようないろんなフルーツを中心にしておいしそうなものが並んでおりましたので、こういうものをしっかりと国内のみならず、海外にも出していくということが非常に大事ではないかと、こういうふうに思っております。  アジアを中心に世界の食市場が今後十年間で倍増すると。今三百四十兆円ですが、六百八十兆円に増えると見込まれておりまして、特に、インド、中国含めたアジアは八十二兆から二百二十九兆という三倍の勢いで増えていくわけでございまして、ここを取り込んでいくということが非常に大事だと、こういうふうに思っております。  したがいまして、我々としては、FBI戦略ということで、メード・フロム・ジャパン、すなわち世界の料理界での日本食材の活用推進、それからメード・バイ・ジャパン、日本の食文化、食産業の海外展開、ユネスコにおける遺産登録に向けて努力することもこの一つでございますが、それから、いわゆる農林水産物の食品の輸出ということでメード・イン・ジャパン、この頭文字を取ってFBIと、こういうふうに言っておるわけでございますが、これを一体的に展開をしていくということが重要でございまして、やはり品目ごとに、それから仕向け国、相手の国別に細かな戦略を作るということが大事であろうと、こういうふうに思いまして、八月末にこの国別・品目別輸出戦略を公表をしておるところでございます。  この戦略に基づく取組を広げるために、先月から今月にかけて地方ブロック説明会を行うということをするとともに、輸出環境整備などに必要となる措置を来年度、平成二十六年度の概算要求に盛り込んでおるところでございます。
  231. 儀間光男

    ○儀間光男君 質問が相前後するようで恐縮ですが、ですから、減反政策が始まるそのころから、海外のマーケットに向けて農林水産物の販売展開、マーケット展開をすべきだったはずなのに、それをせず、減反政策を取って、農家の田んぼの十アール当たり一万五千円の補助金を出してまいりましたが、そのときの社会状況いろいろ説明ありましたが、農家の育成、農業者の育成の面からは、結果的にはそれが育成に逆行した制度設計ではなかったのか。その結果が、農業の衰退とまではいきませんが、従事者の激減あるいは農家の生産意欲、そういうものが出てきたのではないかと思うわけですね。  繰り返しますと、物事が余るころから、海外マーケットへ進出するんだという進取な、先取な気持ちを取っておった方が、政策を打っておった方がよかったのではないか。もっともっと国際化された農業になっていたのではないかと思えてならないのであります。  そういうことを常々考えておりまして、今御答弁いただきました、これについてはもう答弁要りませんが、すなわち、生産性の高い質の良い米を生産するというのが農家の育成であり、それを補助金で包み込むということは農業者の、さっき言いましたように、研究意欲を失わせる、生産意欲を失わせたと指摘せざるを得ないと考えるのであります。  そのことをちょっと風刺的に想像してみたいんですよ。そうしますというと、私はこういうふうに想像するんです。ひよこがふ化時期になって、温める、あれ大体二十日ぐらい母親が温めますね、ふ化する時期になって、内側から、親鳥にですね、もうふ化の時期だよ、俺、元気よく出たいよということで殻をつつくわけですが、と同時に、親鳥もそれに合わせて、もうよいぞといって殻をつついてふ化を促進するわけです。そのさまをそったく同時という言葉で表現されておりますが、今まで取られた政府の減反政策は、生産意欲を持つ勢いの良い農家、つまり勢いよく飛び出そうとする農家、つまり、ひなを政府という親鳥が減反という政策で蓋をしてしまった。言うなれば、農家がたくをするのに政府はそつをしなかったのではないかというふうに私は理解をするものでありますが、これについていかがお考えか、御所見をいただきたいと思います。
  232. 林芳正

    国務大臣林芳正君) そったく同機というのは私も非常に好きな言葉でありまして、余り早くつつき過ぎると、中のひながまだかえる時期ではないのでかえらなくなってしまう、しかし遅過ぎると今度は大きくなり過ぎると、タイミングが非常に大事であるということを教えていただいているんではないかと思いますが。  まさに委員が先ほど来お話がありますように、私、生まれる前ですから見てきたようなことを言うわけですが、二十年代、三十年代ですね、昭和の時期においてはやはり食料が、特に米に着目しますと大変な不足状態にあったということで、まずは国民に食料を、農村の貧困追放ということで食料安保の重要性が国民全体に共有されてきた、こういう中でいろんなことをやってきた、こういうことではないかと、こういうふうに思いますが。  逆に今度は、国内需給が達成されたという時期に、同時に実は食生活の変化が起こって、これはいろんな原因があると思いますが、結果として米の消費量が減少をして、もう少しそこまで全部見通しておればという感は私も持つわけでございますけれども、やはり当時はまだ腹いっぱい白い御飯を食べたいと、こういうようなことを私も親の世代から聞いたことがございますけれども、やっぱりそういうところがあったのかなと、こういうふうに思っておりますが。  しかし、やはりアメリカ等の欧米諸国はこの間にも海外の食市場の拡大に着目をして、国内生産の拡大を輸出に結び付けると、こういう対応を取ってきたということでございますので、しっかりと反省すべきは反省しながら、きちっとしたそったく同機になるように、すなわちそれは、今後、今日あしたということにとどまらずに、中長期的な展望を持って施策を展開する、こういうことが大変大事であるというふうに考えております。
  233. 儀間光男

    ○儀間光男君 と申し上げますのも、日本は戦後復興の中で、昭和三十年代はどんどんどんどん復興を見たわけです。昭和二十五年の朝鮮戦争勃発をきっかけ、変なものをきっかけで経済が伸展するわけですけれども、いずれにしても昭和二十五年以降、昭和三十年代ではもう物すごい復興するわけですね、重化学工業で。そして、昭和三十九年にはオリンピックをするわけですね。その辺から日本人の食料、食生活は急激に変化していくわけです。米離れがあって、パン食をするとかね。そういうことで、米じゃない別の穀物を原料とする食料形態、食事形態に変わっていくわけです。その辺から見ますというと、どうしてもその政策の展開が遅きに失したと言わざるを得ないと思っておるのであります。  少し余談になりますけれど、この農家とのそったくを始めるために事業を実施したのは昭和三十二年からですから、当時は岸信介総理ですね。そして、減反という政策をもって蓋をしてしまったのは昭和四十五、六年ですから、佐藤栄作元総理であります。時の経過は、時の移るのは早いもので、五十年になんなんとする今日、この農家のたくに対して政府のそつを行うなど、孫に当たる安倍晋三時代というような時の巡り合わせ、これ一体何だろうなと思えて感慨を覚えるのであります。  つまり、私に言わせれば、いかに専業農家を育成するか、専業農家の作付面積を大規模化するか、これがいわゆる農家育成の本領としなければならないはずです。私は農家戸数が減っていくのはそんなには心配しておりません。ただ、農耕地というか耕地面積が減っていくことが最大の心配事であります。それは言うに及ばず知ってのとおりですが、大規模化していけば、専業農家や、あるいは企業化していって就農者も多くなりますから、雇用の面でも拡大されていきますから、農家が減っていくのはそんなには心配しないんですが、農耕地が減ることが一番困るのであります。  したがって、兼業農家を専業農家に育成すべきとも考えますし、どうしても専業農家として農業経営が続けられない農家に対して、また担い手がなく、放置された優良農耕地の有効活用を基本とする今国会提出法案の農地中間管理事業の推進に関しては、関連三法案は時宜を得た制度設計であり、その効果に大いに期待をしたいと考えておりますが、これとの関連についても御所見を賜りたいと存じます。
  234. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに委員からお話がありましたように、農地を集積をしていくということが一つ大きな大事なポイントであると、こういうふうに思っておりまして、そういった意味で、県段階に公的な機関として農地中間管理機構を整備をするということで、分散錯圃の解消や耕作放棄地の解消防止、そして何よりも規模拡大を図っていくというふうにしていこうと、こういうことでございまして、まさにこういうことをきちっと進めていく中で、この攻めの農政というものがしっかりとできていくということに取り組んでいきたいと思っております。  午前中だったと思いますが、この攻めの農政は、もちろん集積化産業政策という側面と、それから多面的機能、今委員もちょっとお触れになりましたけれども、この両輪相まっていく、こういうことが大事であると、こういうふうに考えておりまして、そういう意味で、実は攻めの農政ということを最初にお使いになった農林水産大臣は現安倍総理のお父上の安倍農林水産大臣だったそうでございますので、そういうえにしも踏まえながらしっかりと対応してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  235. 儀間光男

    ○儀間光男君 今の攻める農水産業の発案者が安倍晋太郎先生であったということは、親子四代にわたって、四名にわたって因果なものを感じて、新たな感慨を覚えるところであります。  さて、次に行きますが、先ほど申し上げましたTPP交渉の裏側に位置付けました米などを交渉のテーブルにのせるという場合について少しく申し上げたいと思います。  減反政策、つまり生産調整廃止は、米の生産を自由に生産していくようになります。いよいよ米は、主食米ですが、量産されていくと考えますし、先ほどから見てまいりましたが、米の量産は、主食米ですね、量産は国内マーケットだけではもう消費は今まで見たように無理であるということから、再び米余りの現象が生ずるように思えるんでありますが、政府検討している収入保険制度や補助金を手厚くする主食米から飼料用米や加工米への作付け転換など国内市場の流通だけを考える政策ではなく、これも先ほど指摘しましたが、日本米の品質を強く訴え、海外を見据えた大規模な市場への輸出を率先していくべきではないかと先ほど指摘しましたが、そのことが国全体の経済、なかんずく農業による経済のパイが大きくもたらされると考えます。  つまり、飼料米、加工米に転換しても、飼料米や加工米の現状の充足率は米の主食米よりははるかに落ちるわけですから、その分国外から入れなければなりません。したがって、主食米から加工米あるいは飼料米に作付け転換していくのも大事なことではありますが、逆に、もっともっと米を量産して、糧米も量産をして、飼料米、加工米も含めて海外市場を狙うんだというような発想に転換はできないものか。つまり、飼料米も加工米日本生産地となる、輸出国になるというようなことをTPPの上からも考えていけないものかをお尋ねさせていただきたいと思います。
  236. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、米の輸出についてお話があったところでございますが、我々も先ほど輸出の戦略を作って今その実行に向けて予算要求もしていると申し上げましたが、品目別の輸出戦略ということで、米及び米加工品、現在、百三十億の輸出でございますけれども、これを目標六百億円ということで掲げまして、精米だけではなくて包装米飯や日本酒、米菓、米のお菓子ですね、ここまで含めた米加工品の輸出に力を入れていこうということでそれぞれの戦略を作っておるところでございます。  この輸出戦略に従って、国の中だけの需要にとどまらず、輸出、国外の需要の取り込みということもしっかりとやっていきたいと、こう考えております。
  237. 儀間光男

    ○儀間光男君 質問たくさん準備したんですが、要領を得なくてもう時間がありません。はしょって、もう後ろの部分に行きたいと思うんでありますが。  日本農産物の製品の質の豊かさ、良さ、あるいは食の安全、安心、これに私どもはもっともっと自信と誇りを持って海外へ進出するんだと。つまり、政府が、農林水産省が関連省庁と連携しながら、各種農業団体が日本農産物加工品を担いでトップセールスを外国でやっていくということで、農家の市場を国内のみならず国外でも確立して、安心して日本の農家がおいしくて安心で安全で立派な製品が作れるような、こんなようなことを関係省庁を始めとしてやっていく、これが大臣がおっしゃる攻めの農林水産業ではないかと思っているんでありますが、これについても、重複しますが、お聞かせを願いたいと思います。
  238. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど米については数字を申し上げましたが、それ以外のあらゆる品目につきまして、品目別に、例えば水産物は千七百億を三千五百億、花卉、花ですね、八十億を百五十億等々、それぞれの品目別に具体的な数字を掲げまして、そして先ほど申し上げましたように、相手国別にいろんなことをやっていかなければなりません。  普通の商売ですと、この売り先を見付けて買ってくれるように努力をするということが基本になるわけですが、その手前として農林水産物の場合は検疫をどうするか等々いろんなところがございまして、相手国別に、また品目別にいろんな、そういう我々でなくてはできないところをきちっとやっていくと。例えば、中東諸国に肉等を輸出するときにはハラール処理というものを施さなければいけないと、こういうことも言われておりますので、そういうことを細かく戦略に今落とし込んでしっかりと一つ一つ実行をしていくと。  その行政的な窓が開いたときにしっかりと商売としてつながっていくように、見本市の開催をしたり、マッチングをやったり、また、供給体制ということで、周年供給体制をやはり実現していくためにいろんな後押しをしていく等々を総合的にやってまいりたいと思っておるところでございます。
  239. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 儀間委員、時間が来ておりますので、おまとめください。
  240. 儀間光男

    ○儀間光男君 はい、最後にまとめます。済みませんでした。  このTPPと減反、それから農地中間管理機構、この三つが矛盾しないように、マッチングするように、米も聖域の中でやるということを自信を持ってお答えできるのか、自信を持ってこの施策を進めることが今おありなのかどうかを最後に聞かせて、質問を終わりたいと思います。
  241. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 時間がありませんので、大臣答弁を控えさせてください。
  242. 儀間光男

    ○儀間光男君 はい、ありがとうございました。
  243. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十二分散会