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2013-12-18 第185回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年十二月十八日(水曜日)    午後一時二十二分開会     ─────────────    委員異動  十二月十七日     辞任         補欠選任      柳田  稔君     森本 真治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野村 哲郎君     理 事                 猪口 邦子君                 山田 俊男君                 小川 勝也君                 紙  智子君     委 員                 金子原二郎君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 山田 修路君                 郡司  彰君                 徳永 エリ君                 羽田雄一郎君                 森本 真治君                 平木 大作君                 横山 信一君                 山田 太郎君                 儀間 光男君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        内閣府副大臣   西村 康稔君        農林水産大臣  吉川 貴盛君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       横山 信一君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       澁谷 和久君        法務大臣官房訟        務総括審議官   都築 政則君        文部科学大臣官        房審議官     常盤  豊君        農林水産省消費        ・安全局長    小林 裕幸君        農林水産省食料        産業局長     山下 正行君        農林水産省生産        局長       佐藤 一雄君        農林水産省経営        局長       奥原 正明君        農林水産省農村        振興局長     實重 重実君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (畜産物等価格安定等に関する件)  (畜産物価格等に関する決議の件)     ─────────────
  2. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、柳田稔君が委員を辞任され、その補欠として森本真治君が選任されました。     ─────────────
  3. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官澁谷和久君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 農林水産に関する調査のうち、畜産物等価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 馬場成志

    馬場成志君 どうもお疲れさまです。熊本選出の参議院の馬場成志でございます。  いよいよあしたが審議会ということで、山場を迎えております。今朝も自民党の畜酪の小委員会の中で、野村委員長の下、熱い議論があったところでありまして、引き続きまた衆議院農林水産委員会の中でも深刻なやり取りがあったと伺っております。大臣を始め政府皆様方には、御苦労に対し心から敬意を表させていただきたいというふうに存じます。  今申し上げました早朝からの議論の中でも、根本的制度見直し論、これが必要だという意見も多く出ておるところでありますが、本日は当面のこととして質問してまいりたいと存じます。  先週末から今週の月曜にかけて、自民党の小委員会で北海道と熊本の視察が行われました。熊本での肉用牛繁殖農家においては、今は自分たち経営は一時的に良くなっているが、保証基準においては今の額では少な過ぎる、今後、繁殖を増やす方向性は見えないといった意見、また肥育農家においては、新マル緊の拡充がなければ、今後、子牛価格が落ち着くような施策を取っても間に合わない、あっという間に肥育農家は更に半減するといった意見を強く訴えられたところであります。また、配合飼料高止まり心配は、既に、値下げするのに高くなる、支払金額が高くなるということが現実になってきております。  そこで、質問時間の関係もありまして、乱暴かもしれませんが、まとめてお尋ねをいたします。  経営安定対策として、酪農の様々な補給金、また肉畜に対しての新マル緊肉用牛繁殖経営支援事業や子牛生産者補給金制度配合飼料価格安定制度など、今後の確かな将来展望ができるような改善、運用が必要でありますが、どのようにお考えか、答弁をいただきたいと存じます。    〔委員長退席理事猪口邦子着席
  7. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 肉用子牛生産者補給金制度、これは、肉用子牛価格保証基準価格を下回った場合、生産者補給金を交付することにより肉用子牛生産の安定を図るものでございます。  この保証基準価格については、今委員からもお話がありましたように、配合飼料価格等生産費の動向、需給状況、それから今回の場合は消費税率の引上げ、その他経済事情を考慮しながらルールにのっとって算定し、食料農業農村政策審議会意見を聴いた上で適切に決定してまいる所存であります。しっかりと現場意見を反映したものになるように努力をしてまいりたいと思っております。
  8. 馬場成志

    馬場成志君 大変短い答弁でございましたが、既に午前中、衆議院でも随分なやり取りがあっておりますので、今後は、これまで様々な努力をしていただいておるということも十分存じ上げておるところであります。それにつきましては感謝を申し上げるところでありますが、政府の精いっぱいの支援現場において十分ということではありませんので、農家から少しでも不安が取り除けるように、しっかりとした設計をつくっていただきますようにお願いを申し上げておきます。  また、繁殖農家のところに行きましても、これから肥育農家のことが心配だというような話も出ております。適正な食肉価格肥育農家のコストを下げるためにも繁殖基盤の強化が急がれるところでありますが、どう対応していかれるか、聞かせていただきたいと存じます。
  9. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 今先生の方から御指摘ございました繁殖農家でございますが、ここ数年、三千戸程度のペースで減少しておりまして、また飼養頭数も減少しておりますものですから、やはりこの生産基盤を拡大していくということが非常に重要だというふうに認識しております。  このため、農林水産省といたしましては、肉用子牛生産者補給金制度といった繁殖農家に対する経営安定対策事業、あるいは離農した農家の方のその畜舎等経営資源をしっかり引き継いで規模拡大することを支援する経営資源有効活用対策事業、また新規参入者への畜舎等の貸付け、あるいは優良繁殖雌牛導入支援など、こういった対策を今実施しているところでございますが、今先生の方からも御指摘ございましたように、今後とも、現場意見をよく聞きながら、対策充実に努めつつ、繁殖基盤維持拡大支援していく考えでございます。
  10. 馬場成志

    馬場成志君 次に、大動物獣医師確保についてお尋ねをいたしたいと思います。  産業動物獣医師不足は、これは全国的な課題となっておると思いますが、また家畜伝染病に対する防疫対応危機管理体制の整備、食品安全確保家畜衛生公衆衛生にかかわる公務員獣医師不足は、これは全国的な課題であります。どうしたら大動物獣医を増やすことができるのか。小動物へ行く方々が多いのは幾つもの理由があると思いますが、大学においての講義や実習が少ないのではないかとの声も聞かれるところであります。  今日は文部科学省にも来ていただいておりますので、取組を強くしてほしいと思いますが、どうでございましょうか。
  11. 常盤豊

    政府参考人常盤豊君) お答え申し上げます。  獣医学を学ぶ学生産業動物診療現場体験させること、このことが、獣医学教育質的向上を図るという観点からも、また産業動物診療への関心を高めるという観点からも極めて重要であると考えております。  この点につきまして、全国大学獣医学関係代表者協議会におきましてモデル・コア・カリキュラムを策定いたしまして、今後順次実施をされていくということになっているわけでございますけれども全国獣医系大学において共通して学ぶべき授業科目といたしまして産業動物臨床実習というものが盛り込まれております。この中で産業動物診療や検査の基本的な事項について学ぶということが求められております。  また、文部科学省獣医学教育改善充実に関する調査研究協力者会議が置かれております。そこでも、産業動物臨床実習の一層の促進を図るという観点から、協力機関確保、あるいは指導体制充実に取り組むべきという御提言をいただいているところでございます。  こうした御提言を踏まえまして、文部科学省といたしましても、獣医学教育質的向上を図る一環として臨床実習充実支援に努めてまいりたいと考えております。
  12. 馬場成志

    馬場成志君 ありがとうございます。  今、大学の方でも協力を今既にしておるというような話だったというふうに思いますが、そんな中でまだまだその研修先確保というのに苦労しておるというような話もありますけれども、どうでしょうか。
  13. 小林裕幸

    政府参考人小林裕幸君) 今先生お話しいただきましたように、産業動物獣医師確保というのは大変大きな課題でございます。  そのために、農林水産省といたしましては、一つは、獣医学系大学学生に対する修学資金の貸与、貸付けというのも行っております。さらに、獣医学系大学学生に対する診療現場での実習研修というものの支援を行っております。  また、それとはもう一つ別に、今文部科学省の方からお話にありました、カリキュラムの中で臨床実習を行う際に、では、どこで臨床実習を行うかという問題がございます。この点につきましては、このカリキュラム、実際に実習が行われますのは平成二十八年度からというふうに承知をしておりまして、それに向けて各大学でその実習場所確保に大変努めておられるということでございます。  農林水産省といたしましても、産業動物医師確保というのは大変な大きな問題でございますので、これまでもそういう臨床実習が実施される場合には、例えば農業共済組合などでできるだけ実習を受け入れるようにというふうに依頼をしてきております。  今後も、引き続き、獣医系大学農業共済組合などとの間での調整などで私ども協力させていただきたいというふうに考えております。    〔理事猪口邦子退席委員長着席
  14. 馬場成志

    馬場成志君 今回の質問に当たって、このことを是非とも大学側にお願いしたいということで今日は文科省に来ていただきましたけれどもお話をすると、なかなか受け入れるところも難しいというような話もありました。それはよく聞いてみればそうだろうというふうに思います。  と申しますのが、獣医さん方が本当に忙しくしておられる中で、例えば生徒さん方が来てきちっと教えたり、あるいは経験を、体験をさせたりというような、そんな余裕がないというのが本当のところだろうというふうに思います。  しかし、そういうことをやっていると、どんどんどんどん悪循環のままで、公務員獣医師になった方にしろ、大動物に行った方にしろ、そのきっかけの中には、やっぱりあのときの体験がというような話をよく聞くところでありますので、その現場にしばらく御苦労を掛けるところはあると思いますので、そこをしっかりとマッチングをしていただきながら、結果的に大動物に行っていただく生徒さん方をしっかりと確保していただくように、これはもう本当に今後の、畜産だけではなくて、いろんな本当に防疫管理から国家の大きな問題にかかわってくるというふうに思いますので、両省しっかりと手を組みながら、そして別の分野でもしっかりと応援をもらいながらやっていただきたいというふうに思っております。どうかよろしくお願い申し上げます。  もう本当に、私としてはこれで最後の質問になりますけれどもヘルパーのことについて質問させていただきたいと思います。  酪農ヘルパー事業円滑化対策事業が本年度終了するために心配されている方々も多いわけでありますが、これは逆にこれまで以上に充実して事業をやっていただきたいと思います。このことについて御答弁をいただきたいと存じます。
  15. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 馬場先生指摘酪農ヘルパーでございますが、酪農家の休日の確保疾病時の経営継続に貢献するとともに、このヘルパー業務を通じた後継者、あるいは新規就農者育成といった役割も担っておりまして、極めて重要な事項というふうに認識しております。このため、平成十六年度から今年度まで、都道府県ごとにいわゆる地方基金といったものを形成しまして、ヘルパー利用組合運営経費等の助成を行ってきたところでございます。  また、これに加えまして、毎年度、酪農経営安定化支援ヘルパー事業というもので疾病時の利用支援ヘルパーを通じた後継者研修等を実施しているところでございますが、この地方基金につきましては十年間利用組合が自立することを前提にしたものでございまして、いよいよ今年度で終了することになりますが、ヘルパー支援というものは非常に重要でございますので、この酪農経営安定化支援ヘルパー事業に新たな事業メニューを加えまして、ヘルパー要員確保育成、定着などの課題に対応できるよう事業充実させることを検討していきたいというふうに考えております。
  16. 馬場成志

    馬場成志君 ありがとうございました。  このことに関しては、このことだけではなくて、今回、いろんな農政改革の中で農家の中には不安の声というものが随分あります。どんなにシステムがしっかりとしていても、現場でちゃんと使えなければ結果的に良くはなりません。しかも、今回のスピードでやっております。そのことを、前回も申し上げましたけれども、しっかりと対応していただくと同時に、今申し上げました以外にもたくさんの話があります。そのこともしっかりと受け止めていただいておると思いますので、これから歩みながら、しっかりとそこの足りない部分を、本当に不安が取り除けるように実行していただきたいということを申し上げて、本日の質問を終了させていただきます。  ありがとうございました。
  17. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 長崎選出古賀友一郎でございます。よろしくお願いいたします。  今日は畜産酪農がテーマ、議題でありますけれども、実は、今朝の報道でTPPに関してちょっと驚きの記事が出ておりましたので、急遽予定を変更いたしまして、この問題からお伺いをしたいと思います。  今朝の日経新聞ですけれども、重要五品目の五百八十六のタリフラインのうち四割が輸入実績がないという報道がありました。この記事の中では、各項目、品目ごとに具体の数字が並んでいるんですね。これについては私どもも、五百八十六、何があるのかすら教えられていなかったものですから非常に驚いた次第です。  したがって、ちょっとまずこの記事の真偽のほどを確認したいんですが、この重要五品目、五百八十六ラインのうち輸入がないライン数はどのぐらいあるのか、品目ごとにどのくらいあるのか、これをちょっとお伺いしたいと思います。
  18. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) お答えをいたします。  重要五品目に分類されるタリフラインのうち二〇一〇年度に輸入がなかったライン数は、貿易統計によれば、米が二十二ライン、小麦、大麦が五十八ライン、牛肉が十二ライン、豚肉が十三ライン、乳製品が百六ライン、砂糖、でん粉が二十三ラインとなっているところでございます。
  19. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  そうすると、この記事に載っている数字と大体合っているんですけれども、大体こういう記事が出ることがちょっと遺憾なんですね。こういう記事が出て、今後の交渉に支障を及ぼすことをちょっと私懸念しているんですが、この輸入品目、その輸入実績があるとかないとか、これは確かに一つの材料だと思いますけれども、しかし、私はこの輸入実績の有無だけで関税をどうこうするという議論にはなりにくいような気はしているんです。  したがって、そうした観点からちょっと幾つかお伺いしておきたいと思うんですが、まず、輸入実績がない、そういう品目というのは一体どういうものがあるのかということです。それともう一つ、そういう品目について政府関税撤廃ができるというふうに、そう思われているんでしょうか。この点をちょっとお伺いしたいと思います。
  20. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 輸入実績がないタリフラインの中には、関税割当て管理をしている品目、特に枠外税率として高関税が適用されているもの、加工品調製品のうち成分が僅かに違う類似のラインには輸入があるものといったもののように、現時点で輸入実績がなかったとしても、仮に関税を撤廃したとすればそのライン輸入の急増が見込まれるものがございます。  したがって、このようなタリフラインについては、今委員からもお話がありましたように、単純に輸入実績がないというだけで関税撤廃に応じられるわけではないということを一般論として申し上げておきたいと思います。
  21. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  いずれにしても、情報管理というのはしっかりしてほしいと思います。  いずれにしても、衆参の国会決議があるわけですから、重要五品目をしっかり守るという、そういう決議があるので、今後、政府としても、国会決議を十分に守るように、そういうふうにして交渉をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  それで、本来予定をしておりましたちょっと質問に戻りたいと思いますけれども畜産酪農業の問題についてであります。  この畜産酪農業我が国農業生産額の三割以上を占めておりまして、米や野菜をしのぐ日本農業の最大の部門であるということであります。私の地元長崎県におきましても、畜産は離島・半島地域の非常に重要な、農業振興上極めて重要な作目となっておりまして、特に肉牛につきましては、昨年十月に長崎県で開催されました第十回の全国和牛能力共進会において日本一の内閣総理大臣賞を受賞するということで、大変今勢いに乗っているところであります。そうした我が国農業の柱となります畜産酪農業をどういうふうにして振興していくか、もっともうかる、もっと魅力的な産業としていくためのポイントとしては、私は、飼料費縮減、ここに注目をしているわけであります。  この飼料費については、畜産物生産費のうち四割から六割を占めるということでありまして、畜種によっては六割を超えるものもあるというふうに聞き及んでおります。ただ、その飼料用穀物はほとんどを輸入に依存をしておりますので、国際価格の変動に大きく影響されてしまう、そういった不安定さがあるということではこれもちょっと大変今後心配なんですけれども、世界的な穀物争奪戦が繰り広げられていくということが予想される中で、この飼料をいかに安く、そして安定的に確保していくかがこの畜産振興の鍵になるというふうに考えております。  そうした観点から私が注目しているのが、いわゆる食品残渣でございます。この食品残渣は、そのままだとごみ廃棄物になってしまうだけなんですが、これを飼料として活用することによりまして、受け手側にとっては飼料代の節約、そしてまた、出し手側食品関連事業者にとりましては廃棄物処理費用縮減ということで、これはダブルの効果が期待できると考えておりますし、また、公共的に見ても、ごみの減量、それからまた、ひいては、大きく考えれば食料安保にも資するんじゃないかというふうに考えているわけであります。そしてまた、何よりも、食べ物を捨ててしまうともったいないという、そういう心を持った日本人の道徳観念にも非常にマッチしているんじゃないかというふうに思っておりまして、まさにこの食品残渣活用というのは一石二鳥どころか一石四鳥も五鳥もそういう効果が得られる理想的なプロジェクトじゃないのかなというふうに思っているところなんですが。  そこでお伺いしたいと思いますが、いわゆる食品残渣というもの、これは一体どういうものがその食品残渣の中に入っていて、またそれが年間どれだけ排出をされてどの程度利用されているのか、そしてまた、その利用されている、再利用されているうちのどのくらいが飼料として活用されているか、この点についてお伺いしたいと思います。
  22. 山下正行

    政府参考人山下正行君) 食品残渣についてのお尋ねでございますけれども、いわゆる食品残渣には事業系のものと家庭系のものがございます。比較的再生利用が進んでいる事業系食品廃棄物等につきましては、食品製造業製造過程の副産物、それから流通過程の売れ残りや外食の食べ残しなどでございまして、年間約二千万トンが排出されております。このうち約一千四百万トン、これは全体の約七〇%でございますけれども、これが飼料、肥料、エネルギー等再生利用されているところでございます。再生利用のうち、飼料化は、餌化は約一千万トンでございまして、この再生利用量の約七五%、それから全体の約五〇%でございます。
  23. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  二千万トンが食品残渣ということでありまして、その半分ぐらいは飼料としてというお話でありましたけれども我が国の米の年間需要量が八百数十万トンということを考えれば、いかに膨大な残渣が出ているかというのは分かろうかと思います。そしてまた、同時に、まだまだその活用の余地があるということも分かろうかというところでありますが、農水省におかれても、エコフィード事業として食品残渣利用した飼料の普及に取り組んでおられるということでありまして、非常に敬意を表する次第でありますが、確かに年々その活用は増えているんですけれども、どうも近年はその伸びが少し鈍化してきているような感じがしてならないわけであります。  そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども食品残渣飼料としての活用、これが伸び悩んでいる原因、そして課題がどこにあるんだろうか、それを踏まえまして今後どのような対策を講じていこうと考えておられるか、お伺いします。
  24. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 今の御質問でございますが、食品残渣利用した餌、飼料、いわゆるエコフィードでございますが、これは先ほど答弁にもありましたように、食品製造業由来残渣を中心に生産利用量が順調に伸びておりまして、平成十五年度ですが、専門的な表示になりますが、四十八万TDNトンであったものが平成二十四年度には百四万TDNトンということで、約二倍、倍増をしておるわけでございまして、濃厚飼料全体の栄養量の五・五%を占めまして、これは輸入トウモロコシの約百三十万トンに相当する量と相なっているところでございます。  それで、今先生の方からありましたように、この伸びが少し伸び悩んでいるわけでございますが、食品小売業やあるいは外食産業等由来の食品残渣につきましては、異物などの分別の手間あるいは経費が必要だということからいまだ廃棄処分が多く、今後引き続きエコフィード活用を進めていく上にはこれらの活用を取り組んでいくことが重要というふうに考えております。  このため、平成二十六年度予算におきましては、食品残渣飼料化するための適切な分別方法の普及、あるいは活用が進んでいない食品残渣を原料としたエコフィードの生産拡大等を支援するための予算を要求しているところでございまして、今後とも食品残渣飼料利用を推進することに力を注いでいきたいというふうに考えているところでございます。
  25. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  農水省においても、是非もっともっとこれが普及していくように積極的に取り組んでいただきたいと思います。私もこの問題については、非常に意義深い事業だと考えておりますので、今後ともフォローさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、次に、テーマを変えまして、緊迫の度合いを増しております諫早湾干拓の排水門開門問題について質問をいたします。  いよいよあさって二十日、福岡高裁が命じた開門期限を迎えるわけでありますけれども、期限内の開門は極めて困難な状況になっております。この問題については、先月十四日、私も当委員会において問題点を指摘をさせていただきました。政府の訴訟上の重大なミスによって福岡高裁判決を招いてしまったということ、そして、あろうことか、政府はその問題の高裁判決を中途半端に確定をさせてしまったということ、言わば政府の二重の過ちによって今回の事態を招いてしまったわけであります。したがいまして、政府は、自ら招いた混乱を自らの責任において収拾をしなければなりません。  そこで、私は、今回の長崎地裁の仮処分決定を契機として、政府が開門しないという方針に立ち戻って福岡高裁判決の強制執行を排除しつつ、改めて適切な司法判断を取り直すべきであるという趣旨で質問をいたしました。しかし、その後、政府は、林大臣自ら記者会見でおっしゃっていましたが、この状況を打開するには、国と長崎県側、佐賀県側の三者による話合い以外にないと、そういうお考えのようであります。  そこで、まずお伺いしたいんですけれども、なぜ裁判による解決でなく、話合いによる解決以外にないと、そのようにお考えになるのか、その理由をお示しいただきたいと思います。
  26. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 諫早湾の干拓排水門につきましては、今お話をいただきましたように、福岡高裁判決、これは確定をしておりますが、国が本年十二月二十日までに開門すべき法的義務を負っております。もう一つは、本年十一月十二日の長崎地裁の仮処分決定によりまして、国は開門してはならない法的義務を負うことになりました。二つの相反する法的義務が存在するという前例のない状況下でございますので、一方の義務を履行いたしますと他方の義務に違反すると、こういうことになりますので、解決の道を模索するには関係者による話合い以外にないのではないかと、こういうふうに考えておるところでございます。  長崎側、佐賀側の双方の関係者に対して話合いを呼びかけてきたところでございまして、昨日、十二月十七日ですが、私と江藤副大臣で、長崎、佐賀の両県知事や関係者とそれぞれ面会をいたしました。長崎側からは、開門を差し止める仮処分決定が出たのだから開門の方針を撤回し白紙から見直すべきであると、こういう意見が出されました。また、佐賀側からは、確定判決に基づき開門方針を堅持するべきであるという意見が出されたところでございます。  確定判決に定められた十二月二十日の期限まで本日を含めて三日間という状況でございまして、大変残された時間は僅かでございまして極めて厳しい状況となっておりますが、ぎりぎりまで関係者による対話の努力を行ってまいりたいと思っております。
  27. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 話合いしかないんだとおっしゃる以上は、よほどのそれは確信と見通しを持ってやらないと、むしろ両当事者の不信感を招くことになりかねないというふうに私は思っております。特に長崎県側は、今政府に対して開門差止めを裁判で争っているという、そういう最中であるわけですから、その裁判を今言わば脇に置いて、原告である長崎県側が被告の国と法廷の外で話合いを行うということは、これは基本的なそういう状況にないわけであります。  そこで、私はお伺いしたいと思っているんですけれども政府は、開門反対派と賛成派の双方を納得させて話合いをまとめるだけの解決策について、腹案ないし見通しをお持ちなんでしょうか。お伺いしたいと思います。
  28. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 確定判決による十二月二十日の開門期限を控えまして、今大臣からお話ししましたとおり、昨日も大臣と江藤副大臣によって、長崎、佐賀の両県知事や関係者にそれぞれ面会して話合いを行ったところでありますが、現段階においては打開のための道筋が見出せているというわけではないというのが実情でございます。  国は、福岡高裁判決による開門すべき義務と長崎地裁の仮処分決定による開門してはならない義務という二つの相反する法的義務を負っているわけでありますので、双方の義務を同時に満たすような方策を見出すことはなかなか困難なものと考えております。また、一方の義務を履行すればもう一方の義務の違反となるといった関係にありますので、どちらか一方に近い方針を、例えば今委員指摘のように腹案として持つというようなことは難しいと思っております。  このような状況下にありましては、関係する当事者が歩み寄りの道を模索して納得するまで話し合う以外にないのではないかと考えて、ぎりぎりの努力を行っているところでございます。
  29. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 打開策は今のところ見出せていないと、話合いをやるんだから腹案を持つこと自体もはばかられるというような御答弁でありましたけれども、その程度の、取りあえず話合いをやってみてそこから何かしてみようというような感覚で、それで話合いが唯一の解決方策だというふうに思っていらっしゃることが私は理解ができないんです。その程度だったら、混乱を先送りするだけ、その場しのぎの対応と見られかねないのではないでしょうか。  今、現状は、門が閉じている状態なんです。ですから、長崎県側にすれば、話合いのテーブルに着くということは、今のこの現状よりも悪くなる、そういうリスクを負うわけです。それに対して、佐賀県側にしてみれば、今は閉じている状態ですから、テーブルに着くことはそれは駄目で元々なんです。加えまして、佐賀県側は、もう既に開門せよという確定判決を得ていますから、もう基本的に裁判は終わっているんです。それに対して長崎県側は、今まさに開門しないための裁判を争っている最中です。しかも、先日の長崎地裁、まさに長崎県側にとっては全面勝訴と言えるような仮処分決定が出た、そういう長崎地裁の裁判、そういう有利に今進めているその裁判、それを脇に置いて話合いのテーブルに来てくれということなわけですね。これは非常に長崎県側は大きなリスクだと思われませんか。  それに、何といいましても、政府はいまだに開門の旗を立て続けているわけです。今回、政府が期限までに開門できない、そういう見通しになったのは、何も開門方針を撤回したからではないわけですね。単に間に合わなかったというにすぎません。長崎地裁の仮処分決定が出されてからも、依然として政府は開門の旗をテーブルの上に立てているわけです。しかも、これは先週九日ですけれども長崎側の弁護団が農水省の事務方の方に、開門しないための要請の場、この設置を求めたにもかかわらず、これが大臣に伝達されるころには、開門が前提でなければ意見交換に応じてもよいと、こういうように趣旨が変わって伝わってしまっているんです。これでまた一悶着あったわけでありますが、そんなことをやっていてはますます不信感を増幅するだけではないでしょうか。  そうした状況の中にあって、政府が話合いをしましょうと言ったところで、その話合いの中身自体もどんなものか分からないのに長崎県側がのこのこ参加してくるでしょうか。私、非常に疑問であります。それでも政府が話合いに懸けるというのであれば、私は、政府が開門方針を白紙撤回して、今掲げている開門の旗を開門しないという旗に差し替える、それぐらいの条件を提示しなければ難しいと思います。  そこで、お伺いしたいんですけれども政府は、開門方針を白紙撤回して、開門しないと、そういう方針に転換するお考えはないでしょうか、お伺いします。
  30. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 平成二十二年十二月に福岡高裁判決が確定いたしまして以降、国は環境アセスメントを完成しまして、制限開門、いわゆるケース三の二の方針を示しました。また、開門しても地元に被害が生じないための対策案を提示して、対策工事の発注や工事着手の努力を行うなどの準備に努めてきたところでございます。そういう意味で、今委員が御指摘のように、開門方針を持ってきたということでございます。  その後、本年十一月十二日に至りまして、長崎地裁から開門してはならないという差止めの仮処分が出されたところでありまして、このために、国は開門すべき義務と開門してはならない義務という二つの法的義務に挟まれることになりました。これは、従来に比べれば、委員指摘のとおり新しい状況ではあるという具合に思っておりますが、一方で、有効な確定判決が存在しているということもまた事実でございます。長崎側からは開門方針を撤回するように強く申し入れられているところでございますけれども、佐賀側からは確定判決による開門義務を履行するよう強く申し入れられているところでございまして、国としてはどちらか一方を選択するというように断定的に申し上げることはできない状況に立ち至っているというのが現状であります。  したがいまして、十二月二十日の確定判決の期限を間近に控えまして、今の状況下におきましては関係者による話合いにぎりぎりまで努力していきたいと考えているところでございます。
  31. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 話合いで解決するんであればとっくに解決していてもおかしくないですよね。よほどのやっぱり腹案とその見通し、しっかりした見通しがなければ難しいように思いますが、いずれにいたしましても、開門期限までに開門できそうにないということには変わりはないわけですから、開門賛成派の弁護団の方が週明け二十四日にも申立てを予定しております間接強制に対して政府は備えなければならないわけであります。この点についても、先月、私も民事執行法上の対抗手段を指摘をいたしましたし、また先週、長崎県側の弁護団が江藤副大臣の方に申し入れた意見書においても幾つかの現実味のある対抗手段が提案をされております。  そこでお伺いしたいと思いますが、政府はこの間接強制に対してどのように対応されるおつもりでしょうか、お伺いします。
  32. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 佐賀側の原告団と当方の事務方で議論をさせていただいております。十二月十六日の月曜日にも意見交換をさせていただいたところでございますが、佐賀側原告団は、今委員指摘のとおり、十二月二十日の期限までに開門ができない場合には強制執行、間接強制を申し立てるということをおっしゃっておられます。これに対して、当方といたしましては、直ちに司法上の手段に訴えることは話合いによる解決を困難にしますので、話合いの努力を続けさせていただきたいということを申し上げ、またお願いをしているところでございます。  現段階で、そういう意味で、佐賀側原告団から強制執行の申立てを行われているわけではございませんのでお答えすることは難しい面がありますけれども、仮に強制執行の申立てがあった場合には強制執行の手続における審尋という手続になってまいりますので、そういった審尋の場におきまして国としての考え方なり意見について申し上げることとなろうという具合に考えております。
  33. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 仮に間接強制の申立てがなされた場合には国としては何らかの対抗措置をとると、そういうような方針ということでよろしいんでしょうか、確認したいと思います。
  34. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 強制執行の申立てをされますと、執行裁判所におきまして司法上の手続がございまして、必ず申し立てられた相手方の意見を聴くという手続になっております。それが審尋という具合になっております。その審尋の場において国としての考え方なり意見について申し上げることになろうと思っております。
  35. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 その審尋の場でどういう対抗をしようと考えておられますか、お伺いします。
  36. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 先ほど申し上げましたとおり、私どもに対しては、佐賀側原告団から、期限までに開門ができなければ強制執行を申し立てるという具合に言われているわけでございますけれども、まだ今ぎりぎりの努力をしているところでございますし、司法上の手段に訴えることは解決を困難にするので話合いの努力を続けさせていただきたいと、また話合いをお願いしたいという具合にお願いをしているところでございまして、その先のことについてはなかなか現段階で申し上げることは難しいところでございます。
  37. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 仮定の話という答弁でありますけれども、これはもう差し迫った目の前の問題なんです。私も一月以上前にこの問題について指摘をさせていただきました。是非、そういう想定をした上でしっかりと政府としては準備をしておいていただきたいんです。その場になって右往左往するようでは困りますから、その点を是非お願いしたいと思います。  もう一つ確認しておきたいことがございます。  先日、長崎地裁で係争中の裁判の補助参加人である開門賛成派の方から地裁に対して仮処分決定に対する異議申立てが行われたというふうに聞き及びましたけれども、この異議申立てに対して政府としてはどのように対応するおつもりか、お伺いしたいと思います。
  38. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 長崎地裁による開門差止めの仮処分決定に対しまして、佐賀側原告団は、十二月十六日の月曜日、長崎地裁に異議申立てを行われたものと承知しております。  長崎側、佐賀県側両方、両県との話合いをさせていただいておりますが、その話合いの中で、長崎側からは、国は仮処分決定の内容に従って異議申立てする権利を放棄すべきである、異議申立てをすべきではないということを強く求められております。一方、佐賀側からは、国が仮処分決定の法的効力を失わせるために異議申立てをすべきであるということを強く求められている状況にございます。  現在、ぎりぎりの話合いの努力を続けているところでありますので、仮処分決定に対する異議申立ての取扱いも含めまして、引き続き政府部内において慎重に検討してまいりたいという具合に考えております。
  39. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 結局、その話合いに期待をしているので慎重に検討ということで、要はどっち付かずの状態だというような御答弁であったと思います。  ただ、先ほどの間接強制もそうなんですけれども、今のこの異議申立てにしても、もうどっち付かずの状態ではいけない、そういう抜き差しならない状態になってきているわけですね。年明けの二月三日には、仮処分の手続でこれまで止まっていた長崎地裁の本訴が再開をされる予定になっています。もはや政府はどっちかに腹をくくっていかなきゃいけない、もうそういう土壇場に来ているわけですね。  だから、私は、先ほど、話合いに期待をするという皆さんの答弁に対して、本当にそれで解決するのか、確固たる見通しはあるのか、腹案はあるのか、今、表には言えないけれどもちゃんとそういうプランニングがあるのかということをお伺いしたんです。別にどんな腹案があるんですかというところまで私は聞こうとは思いません。しかし、話合いをやって解決するんだ、今この土壇場に来てそれをやるんだと言う以上は、それぐらいの腹をくくってやっていただかないと、取りあえず話をしてみるというぐらいでは私はとてもじゃないけれどもこの問題は解決し得ない、そのように思っております。  おととい、十六日になりますけれども長崎地裁が開門反対派に対して開門賛成派を訴えるかどうかという意思確認を求めていた求釈明の件で、開門反対派は長崎地裁に対して、提訴は考えるが状況次第であるという回答を行ったと聞きました。これを新聞では玉虫色の回答などと書かれてしまいましたけれども、私は、本当に反対派の皆さんの苦渋の結論だというふうに思います。  反対派の方が賛成派の方を訴える、住民同士で直接争え、非常に酷な話じゃないでしょうか。賛成派だって反対派だってみんな同じ地域に住む仲間、住民なんですよ。それを直接対決しろと、こんな酷なこと私はないと思うんですね。  でも、そういう事態、そういう状況にまで追い込んでしまったのは、先ほど来私が申し上げているように、政府なんですよ。そういう自覚が政府に一体どれだけあるんだろうか。私の目には、どうも政府はうまく立ち回ろうとしているようにしか見えないんです。そうではないでしょう。どうしたら解決するかという単にそういう問題じゃなくて、どうあるべきか、どういう状態が一番望ましいのかということを考えて、そのために一体どうしなきゃいけないのかを考えていくべきではないでしょうか。  再三私も申し上げていますけれども、元々農水省は、長崎県と二人三脚でこの事業をやってきたんです。ずっとそれでやってきたんですよね。それが前の政権のときにおかしなことになってしまった、それを元に戻しましょうと、ずっとこのことを訴えてまいりました。だから、農水省には、そういう信念を持っていただきたいんですよ。右向いたり左向いたり、そういうんじゃなくて、信念を持って中央官庁としての気概を見せていただきたいと思います。あくまでも、これは泥をかぶることになりますけれども、泥をかぶらなきゃいけないのはやはり政府なんです。そして、政権交代したがゆえにそれができる政府になったわけです。そして、その期待も政府は負っているわけです。  最後に、私は、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、今回のその混乱を招いたことは、確かにこれは前政権です。前政権のこととはいえ、あくまでもこれは政府の責任であって、政府の責任において腹をくくって事態の収拾を図らなければいけない問題だというふうに思っておりますけれども大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  40. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 平成二十二年の十二月の福岡高裁判決、これは前政権の下で上告をせず判決が確定したと、これは事実でございますが、政権が替わったからといって政府が負った法的義務、これが変わらないということは御承知のとおりでございます。  したがって、私は江藤副大臣にも担当をお願いして、就任直後から長崎、佐賀等の双方の関係者と面会をいたしまして、今日もるる古賀委員からもお話をいただきましたが、長崎側の皆様の率直な御意見、それから佐賀側の皆様の率直な御意見、ずっと聞いてきたところでございます。長い経緯のある難しい問題でありまして、双方の関係者の間の考え方、隔たりがあるというのが現状であります。  したがって、常に両者の間に政府が存在してきたというこの責任からは逃れることはできないと、こういうふうに思っておりますので、まずはこの確定判決、十二月二十日による期限を間近に控えておりますので、ぎりぎりまで努力をまずはしていきたいと、現状ではそう考えておるところでございます。
  41. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。大臣の決意を信じたいと思います。  自公政権、新しい政権、期待を担っております。政権交代の意義を是非とも発揮していただきたい、そのことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  42. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  私とその後に質問をさせていただきます徳永議員は北海道の選出でありますので、明日開かれます食料農業農村政策審議会、これに向けての委員会議論は、まずは加工原料乳のいわゆる補給金単価、限度数量、これを大臣などにお願いをする、引上げを要請するというのがいつもの話であります。  今日、まずお話をしなければならないのは、現状が大変だということも当然でありますけれども、いわゆる経営者、生産者のマインドが相当冷え切っているということを大臣に御理解をいただきたいということであります。  いわゆる和牛の分野でも、いわゆる子牛の高騰、もうえらい騒ぎだそうです。子牛を高値で仕入れて、餌が高くて、その高い餌をたらふく食わせて、出荷するときにプラスになるのか赤字になるのかもう恐々として、いわゆる和牛の肥育農家も頑張っておられる。酪農家も同じであります。高い餌、高い電気料金、そして燃料、そして言うまでもなくTPPの恐怖であります。もし仮にという話になりますけれども、一番打撃を受けるのは、いわゆるてん菜からの砂糖、麦、あるいはバター、チーズ、脱粉、乳製品が大変大きなダメージを受けるというふうになっているところであります。  御案内のとおり、来年四月には消費税が上がりますので、様々な設備投資の駆け込みがあるようであります。家を建てる、車を買う、農業機械を買う。ある酪農地帯の生産者がこう教えてくれました、見事に牛舎を建てるという件数は一件もなかった。これが不安の表れだろうというふうに思います。そして、そのことと同じように、投資が順調になされて初めて適正な乳量が確保できるという過去の慣例からいって、いわゆる投資を怠るということは、乳量の確保がままならないという現状が今北海道を始めとする生産地帯を襲っているところであります。  冒頭申し上げましたとおり、いわゆる補給金単価、大事です。限度数量の確保、大事です。しかし、かつて、銭ではなく、その銭にゼロを付けろ、銭ではなく円で、こういう交渉もあったようでありますけれども、今年ばかりはもっともっと大きなメッセージを酪農家畜産農家に出していただきたい、これを大臣にお願いをしたいわけであります。  林大臣にも十勝に入っていただきました。野村委員長も釧路から上川、大分御苦労されたようであります。私と徳永議員もいわゆる北網地域、十勝地域、関係者の話もよく伺ってまいりましたし、全道の酪農関係者が東京に要請に参られた際にも膝を突き合わせてお話を伺いました。このままでは息子がやめると言っている、この集落から離農が出そうだ、本当に切実な話でありました。  TPPの議論はおいておきまして、北海道で搾乳を続けるんだ、あるいは和牛の肥育も大丈夫だ、食料農業農村政策審議会からもいろんなメッセージが大臣に寄せられると思いますけれども、それに増して大臣から生産者へしっかりとメッセージを発出していただけるような決定をお願いしたくお願いをしたいと思います。大臣からの御答弁をお願いします。
  43. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、小川委員からお話をいただきましたように、先々週ぐらいだったと思いますが、十勝の方にお邪魔をさせていただきまして、現場も見る機会をいただきました。特に、この酪農現場を見させていただきまして、改めて、北海道それから都府県の地域における基幹的な産業として酪農が地域経済社会の維持に重要な役割を果たしているということ、そして、元々、粗飼料ですから、人間が食べられないものを飼料として与えて、これが良質なたんぱく質やカルシウムといったような国民にとって必要不可欠な栄養素になってくるという意味でも、国民の健康的な食生活にやはり欠かせないものであるというふうに改めて理解をさせていただいたところでございます。  二十五年度の酪農情勢を見ますと、配合飼料価格が高水準で推移している一方で、副産物収入となる子牛価格も前年を上回って推移をしていると、こういうふうにも承知をしておりますが、猛暑の影響等がございまして生乳生産量が減少しているということで、加工原料乳も本年度の限度数量百八十一万トンをかなり下回る見込みであると、こういうふうにも聞いております。  二十六年度の加工原料乳生産者補給金の単価それから限度数量につきましては、酪農家が安心して経営に取り組めるよう、酪農経営を支えるための関連対策とともに適切に決定してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  44. 小川勝也

    ○小川勝也君 現地を見ておられて分かるかと思いますけれども、北海道の酪農経営面積はかなり大型になってまいりました。様々な産業競争力会議等から、日本の農業はまだまだ非効率なので規模拡大をすべしという文言が並んでいます。しかし、北海道についてはもう当たらないというふうに私は考えています。一軒の酪農家が廃業を決める、六十ヘクタールの草地をその周りの数軒の農家で引き受ける、これも大変なことであります。いわゆる規模拡大だけが我々の目指す農業ではないということを北海道出身の私から林大臣にお願いをしたいというふうに思います。  集落の維持機能ということを考えたときに、一軒の酪農家がその地域から離れるということは大変な騒ぎであります。それでもなおかつ集落を維持するためには新しい農家の方に、酪農家の方に入っていただくということがベストなわけであります。そのことについては最後の質問に譲りますけれども、北海道の酪農については規模拡大ではない、そうではない経営の安定、これが府県と北海道の規模や農業の違いということでお認めいただけるのではないかというふうに思っているところであります。  最終的に規模拡大と経営効率をとことん突き進めれば、北海道に一経営体、日本に一経営体ということになるわけであります。しかし、農業農業だけで成り立つものでもありませんし、しっかりとコミュニティーがあって、助け合う地域があって農業が成り立つわけであります。規模拡大によらない北海道の新しい経営がある、そのことについて大臣はどうお考えでしょうか。
  45. 林芳正

    国務大臣林芳正君) おっしゃるように、酪農経営基盤を維持強化していくためには、規模の拡大のみならず、家族経営を含めた多様な意欲ある経営育成確保していく、これが必要であるというふうに考えております。やっぱり、手塩に掛けるという言葉がありますが、一頭一頭にきちっと目を行き届かせる、こういうところの大切さというのをこの間実際に見させていただいて改めて認識したところでございますが、そういう認識の下で、六次産業化への取組を含めて、地域のやはり特性を踏まえた取組、これをやることによって経営体質を強化していくということが重要だというふうに認識をしております。  したがって、酪農家に対する経営安定対策、これは加工原料乳への補給金、チーズへの交付金等でございますが、これに加えまして、酪農家の労働負担の軽減、省力化のための対策、後ほど御質問があるかもしれませんが、こういったこと、そして、新規就農者等への機械のリース等によって担い手の確保を図る、生産コストの低減等によって収益力の向上を図る、六次産業化によって畜産物の高付加価値化をやると、こういうものを総合的に効果的に実施をしていきたいと考えておるところでございます。
  46. 小川勝也

    ○小川勝也君 是非、規模拡大は地域の破壊につながるということも御理解をいただけたらというふうに思います。  もう一つの大きな焦点は、酪農ヘルパーの問題です。  御案内のとおり、酪農ヘルパー事業円滑化対策事業平成二十五年度までということになります。この後どうなってしまうのか、戦々恐々としているのが酪農家の皆さんの大いなる不安であります。  かつて同級生にも酪農家の子弟がおりました。言うまでもなく、うちの父親の鍛冶屋もそうでありましたけれども、一年三百六十五日休みのない仕事でありました。しかし、今まさにそういう仕事が存立するわけがありません。ヘルパーの導入から、やっと休みが取れるようになった、病気になったときの不安が小さくなった、お父さんと二人で初めて旅行に行った、いろんな話が聞かれるわけであります。  逆に、ヘルパーの中にも、生き生きと仕事をしてやがて自分が酪農家として自立をした人もいれば、夢破れて都会にまた帰った人もいます。過酷な労働条件で使い捨てにされた方もゼロとは言い切れません。その問題もいよいよ顕著になってまいりましたので、北海道で初めて酪農ヘルパーの働き方をめぐるシンポジウムが開催されました。農林水産省からもしっかりと担当者を派遣をしていただいて、情報の共有化をしていただいたところであります。  もとより、産業競争力会議や様々な提言の中で、これは徳永議員が余り好きではない言葉かもしれませんけれども、若者も参入しやすいよう、土日、給料のある農業の実現と、こういうふうに書いてあって、今頑張っているヘルパーが使い捨てにされるという世の中であれば、ここに書いているような十年後に四十代以下の農業従事者が二十万人から四十万人なんていうのはまさに絵空事になってしまうんです。今ヘルパーで働いている人を大事にしてほしい、ヘルパーから酪農家、この道筋を太くしてほしい、そこから初めて他分野の農業においても、畑作や水田や園芸においても、様々な形で農業を目指そう、給料がある、休みがある、しっかり守られている、こういう分野にしていくことが急務だと思います。  私は、二十五年にこの対策事業が終わるというのが一つの契機になるというふうに思いますし、このときに我々は林大臣を擁していた、すばらしいことだと思います。何とか、農業の発展全体に係る、そのことを踏まえてヘルパーをめぐる情勢をどうしていくのか、しっかりとした御答弁をお願いします。
  47. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今委員から御指摘をまさにいただいたように、このヘルパーは、酪農家の皆さんが休日が確保できる、それから傷病時の経営継続に貢献する、病気のときに休めると、こういうことで大変意義があるわけでございまして、それから、まさにおっしゃっていただいたように、この業務を通じて酪農後継者新規就農者、こういった方を育成していく、この役割も担っているわけでございますから、非常に大事な酪農生産基盤維持のための重要な施策だと認識しております。したがって、今年度まで都道府県に造成しておりました地方基金によってヘルパー利用組合運営経費等を助成してきたところでございますし、これに加えて毎年度、酪農経営安定化支援ヘルパー事業によりまして、傷病時利用支援ヘルパーを通じた後継者研修等を実施してきたところであります。  地方基金については、今御指摘がありましたように、十年間利用組合が自立をすることを前提に取り崩して使用するということにしたところでございまして、今年度で終了ということでございますが、酪農ヘルパー支援自体大変重要でありますので、酪農経営安定化支援ヘルパー事業に新たな事業メニューを加えながら、ヘルパー要員確保育成、定着、まさに育成して定着するというのは、さっき委員がおっしゃっていただいたように夢破れて帰るということがないようにしっかりと定着していただいて、ひいては後継者として、新規就農者として育っていただきたい、こういう課題に対応できるように事業充実させたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  48. 小川勝也

    ○小川勝也君 終わります。
  49. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 皆様お疲れさまでございます。民主党・新緑風会の徳永エリでございます。  まずは、私の地元北海道、そして酪農畜産に大きな影響がありますTPPに関してお伺いをしたいと思います。  十二月七日から十日まで開催されたシンガポールでのTPP閣僚会合、難航する分野で折り合いが付かず、目指していた年内妥結には至らなかったということになりました。私たちは国際NGOの方々やTPPの研究者とネットワークをつくらせていただいて情報をいただいておりますけれども、TPPの研究者でありますオークランド大学のジェーン・ケルシー教授からの情報が届きました。  いろいろありますが、難航分野の一つ、国有企業の分野で各国から強い反発があると聞いています。アメリカは、アメリカ企業が海外市場で一切のデメリットを受けない、一切の差別を受けないことを目的につくられている国有企業のモデルをこのTPPでつくろうとしていて、各国の交渉官は国有企業の議論の場でアメリカのテキストを見て一様に驚いたということを聞いています。このテキストでは議論ができないという不満の声も上がったそうです。政府から土地の提供や施設、融資などで優遇されているものは全て駄目、病院や大学、ガスや水道、全て私企業化、民営化しようとしているのではないかと参加国は恐れているそうです。特にマレーシアやベトナムが抵抗していると聞いています。それから、市場アクセスの分野では日本の自由化率のオファーは参加国の中で最低水準で、ひんしゅくを買っているということも聞こえてきています。  日本政府として、一月の下旬に開かれる閣僚会合に向けた交渉の現状はどうなっているのか伺いたいと思います。特にこの重要五品目について、果たしてしっかり守っていけるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  50. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  十二月の七日から十日までの四日間、シンガポールでTPPの閣僚会合が開催されました。テキストと呼ばれるいわゆるルール作りの分野、今国有企業のお話ございましたが、更に市場アクセスについて集中的に議論がなされたわけでございます。結論としては妥結に至らなかったわけでございますが、共同声明に書かれているとおり、実質的な進展があったということで、どの分野も、国有企業も含めまして、かなりの数あった論点を相当整理をするという作業を行いました。課題解決に向けた着地点、英語ではランディングゾーンと呼んでおりますが、このゾーンの幅をある程度狭めるということができたんじゃないかということでございます。  一方で、この市場アクセス、この市場アクセスは物品だけではなくて、投資、サービス、政府調達など幅広い概念でございまして、物品について我が国のオファーが水準が低いという御指摘をいただいていることは確かでございますが、他の投資やサービスの分野における市場アクセスについては日本のオファーは非常に高いものでございまして、そうしたことで全体としてバランスを取って、よく理解してほしいという主張を我が国は行っているところでございます。  いずれも、この物品、投資、サービスの市場アクセスは二国間の協議を積み上げていくという作業を進めておるところでございまして、今回の会合では結果的に余り十分な時間を取ることができなかったものでございます。物品について日米で二国間協議も行いましたが合意には至らず、引き続き交渉を行うということになりました。  いずれにいたしましても、今回の共同声明では、今後数週間集中的な作業を継続し、それを踏まえて来月会合を再度開催する予定であると書かれておりまして、まだ日程も場所も決まっておりませんが、そこをターゲットにして作業を進めるという方向性について合意されたものでございます。
  51. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 日本がオファーしている自由化率について、日経新聞、読売新聞、九五%とか九三・五%、いろいろありますけれども、これ九五%だとしたら五百八十六品目の六・五%は守れないということでありますし、それから、先ほど古賀委員からありました今日の日経新聞ですけれども、「政府関税を守る「聖域」として位置づけるコメや砂糖など重要五百八十六品目のうち、四割に当たる二百三十四品目輸入実績のないことがわかった。十八日に公表する。」となっているんですね。これ、どこからの情報なんでしょうか。  タリフラインに関しては先ほど数をおっしゃいましたけれども、私たちが知りたいのは品目なんです。ところが、農林水産の民主党の部門会議農林水産省にお願いしても、交渉に影響するからといってこの品目は全く出してもらえないんですね。ですから、この二百三十四品目輸入実績のないことが分かったと言われても、全然ぴんとこないんですよ。一体どうやって私たちは検証したらいいのだろうかということですし、それから、四割は実績がないから残り六割守れればいいという話になるんでしょうか。  この辺も大変危惧しておられる方もいらっしゃいますので、この点についてもお答えいただきたいと思います。
  52. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 物品の市場アクセスでございますが、我が国は八月にブルネイで開催されたラウンドから物品の市場アクセスの交渉を開始したわけでございまして、最初は二国間でオファーとリクエストの交換を行ってそれから協議するということをやっていたわけですが、交渉が大詰めの段階にもう既に入ってきておりまして、現時点におきますと、正式なオファーというよりは、先方が関心を示している個別品目について具体の協議を相当長時間掛けて行っているというのが実態でございます。  よく新聞記事が載ると、先生指摘のとおりでございまして、記者の方々にはそのところをよくお話しして御理解いただいているんですけれども、記者の方というか記者の上司の方なんでしょうかね、WTOのイメージからなかなか脱却できていないところがあって、まず先に自由化率を決めて、その枠内で品目の協議をすると思い込んでおられるところがあって、したがって日本はまず何か数字を出したんだろうと、そういうような感じで記事になって、ですから、実際の記事は、やたら数字を提示したとかそういう見出しが躍るわけでございますが、例えばアメリカのフロマン代表との会談で我が国が何%を提示したとかシンガポールで何%を提示したという報道は全て事実に反すると思っていただいてよろしいかと思います。  また、今御指摘があったような記事も含めてでございますが、余り影響はないと思われるような品目関税を撤廃して自由化率を高めるというのが我が国の方針であるかのような記事が載ると非常にまずいわけでございまして、要は、先方、交渉相手方はみんな日本の新聞を丹念に読んでおります。ああ、どうも何かそういう品目は撤廃する方針らしいねと、じゃ、それはいただきであって、更にそれに加えて自分たちの関心の高いものを撤廃しろと、こういう、要は相手の要求水準がただひたすら上がるということになってしまいますので、そうした報道については本当に十分注意していただきたいという旨を、私ども記者の方にもお願いをしているところでございます。
  53. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 先ほど御答弁にもありましたけれども、この自由化率が低いということでひんしゅくを買っているということは事実なわけですよね。ということは、自由化率はオファーはしているんですね、具体的に。
  54. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) ブルネイのラウンドで物品の市場アクセスの交渉を始める前には当然オファーはしているところでございます。
  55. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 何%でオファーしたんですか。
  56. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 交渉の中身でございますけれども、当初行ったオファーというものにつきましては、これまでの日本が結んでいるEPA、FTA等の水準を十分勘案したものでございまして、報道がされているような高い数字ではないというふうに御理解いただければと思います。
  57. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 具体的にはお答えいただけないんですか。
  58. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 具体的な数字は申し上げられません。
  59. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 分かりました。  さて、シンガポールでのステークホルダー会合で鶴岡首席交渉官は、協定条文の国会承認までには協定全文をオープンにするとおっしゃったそうですが、このことは間違いないですね。
  60. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) シンガポールの会合ではステークホルダー会合はございませんで、ステークホルダーの方々に私が説明いたしました。鶴岡首席はそこには出席をしておりませんので、鶴岡がそのようなことを申し上げたという事実はございません。    〔委員長退席、理事山田俊男君着席
  61. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 昨日内閣府に確認したらそう言われたんですけれども。じゃ、澁谷議官がお答えになったということですね。  しかし、問題の交渉過程についてはオープンにできないとおっしゃっているようですが、前回、マレーシアのコーカスの話をさせていただきました。その後、マレーシアではテキスト全文を国会議員に見せることが決まったそうです。また、アメリカの議会も一歩進みました。議会からの抗議で、一定の条件を付けた上で、議員はTPPの特定のチャプターを自身のオフィスに持ち込んで閲覧する許可を要請できるようになったそうであります。オーストラリアでも同じような議会決議が出されたという情報もありますが、日本もこの交渉の過程を何らかの形で情報をオープンにする必要があると思います。  このことを強く求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
  62. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 他国の状況につきまして、私ども、外交ルート等を通じていろいろ把握しているところでございますが、今先生が御指摘のあったような状況では必ずしもないということも承知しているわけでございます。  また、議会で決められたことと政府の対応は、今御指摘のオーストラリアについても必ずしも政府の対応が決まっているわけではないというふうに私ども承知しているところでございますが、ただ、ステークホルダーの説明会でも私の方から申し上げましたが、国会で当然承認の手続、批准の承認の手続をお願いしなきゃいけないわけでございまして、正式な署名が終わりますと当然テキスト本体及び附属書は全て公開すると、それを基に国会で御審議をいただくということになるわけでございます。  その前につきましてもなるべく様々な機会をとらえて、まあどの国も守秘義務の遵守と説明責任を果たすということのはざまで大変悩んでいるというのが実態でございます。先生が今御指摘になった国の報道なんかを見ていましても、やはりまだまだ情報が不足しているという、そういう報道を見るわけでございまして、どの国も非常に悩んでいる。その中で、私どもとしてもできるだけ説明責任を、一定の制約が課されている中で努力をしていきたいというふうに考えております。
  63. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 以前、みんなの党の山田委員からも秘密会の話もありましたけれども、この件もアメリカの議員あるいはマレーシアの議員から直接聞いている話でありますので、やはり日本もそろそろ検討する時期が来ているのではないかということをもう一度申し上げたいと思います。  それから、十二月一日にUSTRのマイケル・フロマン代表が来日した際にも、日本がオファーしている自由化率について相当激しいやり取りがあったと聞いています。林大臣もフロマン代表には直接お会いになりました。そして、御自身から日本の立場をお話しなさったということですが、具体的にどういうお話をなさったのか、そしてどんな反応をお感じになったのか、お聞かせいただきたいと思います。
  64. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 十二月一日、フロマン米国通商代表と会談をいたしました。こちら側は、官房長官それから甘利大臣も同席をさせていただいたところでございます。極めて厳しい協議であったというふうに思っておりまして、ただ、その中でフロマン代表に対して日本側の立場を直接伝えることができたという意味で、そういう意味では有益だっただろうと、こういうふうに思っております。  具体的にどういう話で相手がどう反応したかというのは、この交渉にもかかわってくることでございますのでお答えは控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、これは繰り返しで恐縮ですが、この農林水産委員会決議をいただいております。これを踏まえてしっかりと全力を尽くしていきたいと考えております。
  65. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 具体的なお話は難しいとしましても、農産物の重要五品目、いわゆる聖域を守っていくことは相当に難しいとお感じになりましたか、それとも守れますか。
  66. 林芳正

    国務大臣林芳正君) その場でも直接やり取りをして改めて認識をいたしましたが、米国の立場、これは従来と同じでございまして、重要五品目を含めて日本の農産物市場の開放、これを求めてきておると、こういうことでございます。我が国は、今申し上げましたように、決議も踏まえて国益を守り抜くということでやっております。したがって、日米双方の立場には依然として隔たりがあると、こういうことでございます。
  67. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 お手元に皆さんに資料を配らせていただきましたけれども平成二十二年十月二十七日の農林水産省の試算の資料であります。関税撤廃による国内農産物生産への影響に関する農水省試算の考え方、これ、当時皆さんよく御覧になったと思うんですけれども、改めて見てみたいと思います。  もし、重要五品目が守れなかったらどうなるのかということでありますが、北海道で生産しているてん菜などは品質格差がなく全て置き換わる、それからでん粉原料作物も同じように全て置き換わるわけであります。加工用のトマトなんかも、これ置き換わるんですね。それから、牛乳、乳製品、これも生クリーム等を除く乳製品が置き換わり、業務用牛乳等を中心に二割の飲用乳が置き換わるとなっています。北海道の生乳が飲用に回って、都府県の酪農はほぼ壊滅するとも言われています。これ、そうかと言うわけにいかないんですね。このデータの裏側には、農家方々一戸一戸の生活があるわけです。    〔理事山田俊男君退席委員長着席〕  ですから、そろそろ、五品目が守れるかどうか分からない中で具体的な対策を示すのもどうかという考えもあるかもしれませんけれども、もし守れなかったらどんなことが起きるのか、そしてそういったことが起きたときには具体的にどういう対策を打っていくのか、そのことをそろそろはっきりと言わなければいけないと思うんです。  先ほど小川委員からも話がありましたけれども、TPP、もう参加するんだよね、それだけで北海道の農家には、地域には大きな影響が出ています。もうこの機会に農業をやめてしまおうかな、酪農をやめてしまおうかな、あるいは投資するのをやめよう、もうそういう動きが確実に出てきているわけです。  農林水産省がやりたかったことは、離農をさせないことですよね。そして、新規就農者を増やしたいんですよね。耕作放棄地をなくしたいんですよね。でも、このままだと逆のインセンティブが働くと思います。TPPに入っても何とか生き残っていけるんだ、農業を続けていけるんだ、そういった対策なりあるいは中長期的なビジョンなりをきちんと提示しないと、本当これみんなやめちゃいますよ。  大臣、どう思われますか。
  68. 林芳正

    国務大臣林芳正君) お配りをいただいたこの資料でございますが、二十二年の十月のものでございまして、私が担当するようになってから、もう一度試算をやり直して政府全体の試算にしようということで、たしかトータルの減少額が三兆円だったと思いますが、これはその前のバージョンということではないかと思いますので、数字がそれぐらい変わるということでございます。  先ほど来、御議論がありますように、TPPに対する不安というものが現場の意欲を減退させていると、これは衆議院でも先ほど午前中の質疑で御指摘もあったところでございますが。その今の状態の中で、では、TPPの中身がまだ決まらないうちにこういう対策をやろうと、こういうふうなことを仮にやったといたしますと、ああ、では、その分野はもう譲るのだと、こういうふうに逆に受け取られかねないと。  こういうことがあろうかと、こういうふうに思っておりますので、この交渉には決議を踏まえて全力で取り組んでいくということを堅持した上で、TPPがあろうがなかろうが、今委員がおっしゃっていただきましたように、新規就農にたくさん入っていただく、耕作放棄地が出ないようにすると。これはもう待ったなしの課題でございますので、これについてはTPP、どのような結果になるかを待たずしてきちっと取り組んでいきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。  十二月十日に、官邸に置かせていただいておりましたこの本部で、農林水産業・地域の活力創造プラン、これを取りまとめさせていただきました。今後、このプランに基づきまして国内外の需要を取り込むための輸出促進等による需要フロンティア、これを拡大していこうということ。それからもう一つは、生産現場の強化ということで、農地中間管理機構を通じた農地の集約化をすることによって生産コストを削減する。また、経営所得安定対策と米の生産調整の見直しなど、こういうことによって現場を強化していきたいというふうに考えております。この需要と供給をつなぐバリューチェーンの強化ということで六次産業化を推し進めていきたいと、こういうふうに思っております。  この三つは、言わば産業政策的な部分でございますので、この産業政策と車の両輪になるのが地域政策でございます。多面的機能の維持、発揮、伝統ある美しい農山漁村を将来世代に継承すると。これを加えて四本柱でしっかりと取り組んでいきたいと、こういうふうに思っておりまして、今月の十二日に各都道府県の担当者を集めていただいて全国レベルの説明会を開催をいたしました。二十五日には来年度予算を踏まえての全国説明会を開きまして、年明け以降、農政局単位のブロック別、それから各都道府県別、それから市町村単位でもできればと、こういうふうに思っておりまして、きめ細かく、大きな改革でございますので、施策の浸透を図ってまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  69. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 きめ細かくというお話でございましたけれども現場までそのことが浸透しているかというと余り浸透していなくて、逆に水田農政の政策転換に関しても、これも、どちらかというと収入が減るんじゃないかというような思いで、うちは後継者がいないからもうやめてしまおうかとか、来年息子が高校を卒業するので継がそうと思ったけれども、やっぱりこれ展望が見えないのでやめさせようと思っていると、そういう声が出てきていますので、そういう方々にやはり今以上にきめ細やかに説明をしていただいて、何としてでもこれ以上離農が進まないように農林水産省としても頑張っていただきたいということをお願いしたいと思います。  そして、明日、二十六年度の酪農畜産価格が決定します。これもそうです。離農を食い止める、生産者の意欲、経営を維持向上させるためにも、酪農経営の安定や生産基盤確保のためにも、限度数量、加工原料乳の補給金単価、肉用子牛保証基準価格など、現行水準以上でお願いしたいということを申し上げたいと思います。  先ほどお話が小川委員からありましたけれども配合飼料価格、燃料費、資材費などが上昇したのはアベノミクスの副作用ですから、これ、円安の影響です。ですから、このことを踏まえて、しっかりと政府の責任として対応していただきたいと思います。  まず、二十五年度の加工原料乳の限度数量は百八十一万トンでしたが、北海道では夏の猛暑の影響で牛の分娩周期がずれたり、牛がばててしまって乳量が大きく減少しました。限度数量までの今の見込みだと、前年比の九七%から九八%、十万トンくらい残すことになるかもしれないようですけれども、あくまでもこれは猛暑の影響、暑さで牛が死んでしまって、その乳牛を、例えばTPPのことなど考えてなかなかこれ投資できないということで、死んでしまった牛を補充できないということもありますし、いろんな原因がありますから、決して搾り切れなかったからといって限度数量を減らすということのないように対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  70. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 徳永先生の御質問にお答えいたします。  今先生の方からもお話ありましたように、この加工原料乳でございますが、本年度は猛暑の影響等によりまして生乳生産量が減少しておりますことから、加工原料乳も本年度の限度数量、百八十一万トンでございますが、これをかなり下回る見込みとなっております。他方、加工原料乳の仕向け先となるバターの消費量につきましては、これもかなりの程度減少しているところでございまして、二十五年度の四月から十月期で比べますと、対前年に比べますと約八・四%の減少というふうになっているところでございます。  いずれにいたしましても、この二十六年度の加工原料乳生産者補給金の限度数量につきましては、法律の規定に基づきまして、こうした生乳の生産事情や乳製品の需要等を考慮しまして、食料農業農村政策審議会意見を聴いた上で適切に決定していきたいと、こんなふうに考えているところでございます。
  71. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 よろしくお願いします。  加工原料乳の生産者補給金単価について伺います。  昨年は、キロ十二円五十五銭でした。しかし、補給金単価とは別にチーズ向け生乳供給安定対策が十四・六円から十五・一円に、また加工原料乳確保緊急対策事業三十銭で実質十三円で決定をいたしました。加工原料乳確保緊急対策事業は二十五年度だけということもありまして、何とか二十五年度と同じ水準を確保するために十三円以上で決定をしていただきたいということをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  72. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 二十五年度の酪農情勢の全体的なものを見ますと、確かに配合飼料価格高止まりしているという一方で、ぬれ子でありますとか廃用牛でありますとか、そうした副産物収入となる子牛価格ども前年を上回って推移しているわけでございますが、いずれにいたしましても、この単価につきましても、先ほど申し上げましたようなことで算定ルールにのっとりまして、餌価格の推移、生産コストの変化を適切に反映させて算定しまして、食料農業農村政策審議会意見を聴いて適切に決定してまいりたいと考えております。  なお、二十五年度の十三円というこの数字につきましては、複数の助成金と合算したものでございまして、やはりその年々いろいろと事情が変わってまいりますので、これが今回の算定のベースとなるわけではないということについてどうか御理解賜ればというふうに考えている次第でございます。
  73. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 よく分かりますが、先ほど申し上げましたように、意欲を向上させなければなりませんので、よく考慮をしていただいて御検討をお願いしたいと思います。重ねて、重ねてお願いを申し上げます。  それから、食生活や食習慣が随分、特に若い人たちが変わりました。チーズの需要の伸びがまだまだ期待されると思っています。外食、中食でも相当チーズを利用した料理が多くなりましたし、それから、私たちの地元の北海道でも今まで作れなかった品種のブドウの生産なんかもできまして、すごくおいしいワインがどんどんできているんですね。やっぱりワインが伸びるとチーズが欲しくなるということで、チーズの需要はますます伸びるんではないかというふうに思います。チーズ向け生乳供給安定対策事業に関しては、生産意欲を増大できる水準に引き上げていただきたいということをまずお願いしたいと思います。  また、ゴーダチーズやチェダーチーズなどは三年連続、そのほかのチーズは二年連続で、円安で輸入製品の価格上昇が見込まれたこともあって乳価が一キロ平均七十銭上がりましたが、一キロ当たりの乳価はゴーダやチェダーで五十三円であります。生乳は十月から五円上がりまして、一キロ百十四円四十銭です。やはり比べると、チーズの乳価が余りにも低過ぎるんではないでしょうか。こちらも生産意欲を高めるためにも、チーズ向けの乳価を上げなければいけないというふうに思っています。  それには、需要や価格の問題がありますが、輸入に負けないおいしいチーズがいろいろとあります。北海道でも桜の花を使ったチーズとか、それからアイヌネギを使ったチーズ、あるいはサンショウを使ったカマンベールチーズなんというのもありまして、通販やインターネットで非常に人気があるんですね。全国のこだわりの料理人が好んで仕入れて店で使っているなんというケースも出てきております。  農林水産省としても、この国産チーズの振興にもっともっと力を入れるべきなのではないかと思いますが、大臣の御所見を力を入れて伺いたいと思います。
  74. 林芳正

    国務大臣林芳正君) そろそろ三時でございますので、ワインやチーズという話を聞くと、そろそろ一杯やりたくなるような時間かもしれませんが。  チーズ市場、着実に成長を続けておりまして、生乳の量、チーズ向けも、平成元年度二十四万トンだったのが平成二十四年度四十六万トンと、倍増する勢いでございます。  私自身も結構チーズは好きでございまして、昔はヨーロッパ等へ出張へ行くと向こうで、特にウオッシュという臭いのがあるんですが、ああいうのを買ってきておったわけですが、最近はもう日本のものが十分おいしくて手に入りやすくなってきているということでございまして、消費者の嗜好もかなり変わってきているんではないかと思いますので、この流れを加速化させていくことが重要だと、こういうふうに考えております。  チーズに対する支援でございますが、今予算措置として十五・一円、キロ当たりの助成金を交付しておりますが、酪農家の皆さんからはやはりより安定した支援と、こういうものを求められる声も寄せられておりますので、これを加工原料乳生産者補給金制度、これの対象にすることについて、当然、財政当局も含めて関係方面と早急に調整したいと考えておるところでございます。  また、需要拡大という意味では、先ほど桜の花の例も挙げていただきましたけれども、やはり六次産業化に向けた農家の皆さんの取組によってやはり特色のある付加価値の高いチーズ、これを生産をしていただくと。これを支援していくことが重要であると考えておりまして、例えば生産者等が行う地域特性を生かした新商品開発、それから販路の開拓、こういう取組についての支援、それから加工、販売のための機械や施設、こういったものの整備についての支援、こういうものを行ってまいりたいと思っております。
  75. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それから、先ほど小川委員からもお話がありましたけれども、水田や畑作と比べると労働時間が二倍から三倍の酪農、コントラやTMRの普及、定着により負担はかなり軽減されましたけれども酪農ヘルパーの貢献度も大変に大きく、重要であります。休日の確保や傷病、冠婚葬祭に対応できるということで、なくてはならないものです。また、ヘルパーを経験して酪農家になるという方も、新規参入する方もおられます。ヘルパー経験者だと大変さがよく分かった上で参入するので、定着率が非常に高いというふうに言われているんですね。  今、酪農家は一戸当たりの利用日数が二十五日くらいということですが、一日頼むと三万ぐらい掛かるんでしょうか、一人。酪農家の経費負担軽減のためにも、今年度で終わる酪農ヘルパー円滑化対策事業の後継対策が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  76. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 酪農ヘルパーは、ただいま御指摘いただきましたように、酪農家の休日の確保、それから傷病時の経営継続に貢献するとともに、ヘルパー業務を通じた酪農後継者それから新規就農者育成といった役割も担っております。酪農生産基盤を維持していくためには極めて重要なものというふうに認識をしております。  このため、平成十六年度から今年度まで、都道府県ごとに造成をいたしました地方基金、今御指摘いただきました酪農ヘルパー事業円滑化対策事業でございますが、この地方基金により酪農ヘルパー利用組合運営経費等を助成してきたところでございます。  地方基金につきましては、十年間利用組合が自立することを前提に取り崩してまいりました。それが今年度で終了することになりますが、酪農ヘルパー支援は重要でありますので、別途、毎年度支援をしております酪農経営安定化支援ヘルパー事業充実させることで検討させていただきたいというふうに考えております。
  77. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 よろしくお願いいたします。  そして、こちらも先ほど大臣から御答弁ございましたけれども、私の方からも改めて伺いたいと思いますが、全国ヘルパー数は昨年の数字で二千百八十二人、北海道には全国最多の九百六十四人が酪農ヘルパーとして働いているそうですが、生き物を扱う仕事ですから、経験や技術というのが非常に大切なんですね。従来は後継者や新規就農希望者が見習として働くケースが多かったんですけれども、今は一般の人が就職先として働くケースが増えているということですから、人材の確保はもとより、育成、そして安心して働ける環境をつくるための支援も必要だと思います。  この点に関して、改めて大臣から御答弁いただきたいと思います。
  78. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 酪農ヘルパー利用日数は増加傾向にございまして、平成十九年には十七・五日、年間でですね、だったのが、平成二十四年には二十・二日まで増加をしております。ヘルパー要員数は減少しております。平成十九年が二千五百九人から、平成二十四年に二千百八十二人ということでございますので、酪農ヘルパー制度の安定的な運営のためには、ヘルパー確保育成、定着、これが非常に重要な課題と認識をしております。  このため、今年度においても、ヘルパーの募集や研修を通じた育成、それからヘルパーの傷害保険加入していただくなどヘルパーの皆様の労働環境の整備等に対する支援、これをやってきたところでございます。  二十六年度の酪農ヘルパーに対する支援対策についても、別途、毎年度支援している酪農経営安定化支援ヘルパー事業に、先ほども小川委員の御質問に対して答えさせていただきましたように、新たな事業メニューを加えまして、ヘルパー要員確保育成、定着、こういう課題に引き続き対応できるように事業充実させたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  79. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  最後に、政府・与党の新たな農政改革についてですが、政策から、私たちは、コミュニティー、集落の維持や食料自給率の向上と食の安全、安心が消えてしまっているんではないかというふうに実は危惧しているんです。経済や成長の観点からばかり農業考えているのではないか。  日本の農業が世界から高い評価を受けているのは、やはり安心で安全で、そしておいしい農作物を作っているからだと思うんです。そして、この高い技術もとても評価されています。TPPも、関税の問題だけではなく食の安全が担保されるのかということも心配です。残留農薬の基準や遺伝子組換え食品、成長ホルモン剤、また知財の分野でも植物や動物のパテントの問題も気になります。農業には大変に大きな影響があると思います。  TPPや市場原理主義によって目に見えないもの、失うものがどれだけ大きいか、絶対失ってはならないということをいつも考えております。もちろん、TPPは国会決議をしっかりと守っていただきたいと思いますが、そういった農業、農村にある大切なものを守っていくという観点では大臣がどのようにお考えになっておられるのか、そのことを最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  80. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今御指摘いただいたように、まずは現場が意欲を持って営農できる環境を整備するということが大事であると考えておりまして、そのために、車の両輪と先ほど申し上げましたけれども、いわゆる産業政策的な取組に併せて、もう一つの車の両輪は、まさに今委員が御指摘いただいたように、国土保全、水源の涵養、それからコミュニティーの維持といったような多面的機能の発揮、これが非常に大事だ、これがほかの産業とは違ったやはり農林水産業の特色であると、こういうふうに考えておりまして、これを車の両輪としてしっかりと両方が発揮される、強くなっていく、こういう取組をいたしたいと、こういうふうに思っております。  具体策については、先ほど御答弁したように、官邸のプランもまとまりましたので、しっかりとこの車の両輪でやっていくという基本的な考えに基づいて施策の実行に当たっていきたいと考えておるところでございます。
  81. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございました。
  82. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  本日は、私も主にお伺いすることが多い関東甲信越の皆様からもやはりこの酪農、そして畜産に関しまして多くの不安の声ですとか様々な声をいただいておりますので、質問をさせていただければと思います。  これまでの議論の中で他の委員先生から重複する質問もあったというふうに認識をしておりますので、まずはこの畜産、そして酪農全般に関しまして最近アップデートをいただいたもの、そして報道で見聞きしたもの、これに関連して二つ御質問させていただきたいというふうに思っております。  ちょうど昨日、先ほど来の話題にも上っておりますけれども配合飼料価格の改定幅についてお知らせをいただきました。この中で様々、今この畜産あるいは酪農経営安定支援策があるわけでありますけれども、特にこの飼料にかかわる部分、根幹を成すところであるというふうに考えています。  現状のこの配合飼料価格制度、それ自体はどうしても、直近一年間の平均値を基準にして上がったのか下がったのかというところを見るということで、これ大きく乱高下、価格が急騰した後とかそういったところには非常に有効な支援策になるわけですけれども、現状のように高止まりしている、あるいは少しだけれども高いところから下がった、そういった状況では余り経営支援の策としては機能していないという状況があると思います。  この点に関して、そろそろこの配合飼料価格の大きな価格の下落といったものが見込めない現状において、もう一度この制度自体、支援の在り方自体を見直していく時期にあるんじゃないかと考えているんですが、この点について御答弁いただけますでしょうか。
  83. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 私の方からお答えいたします。  畜産では、販売価格の下落や生産コストの上昇によりまして収益性が悪化した場合にその損失の一定部分を補填するという基本的な考え方の下に、酪農肉用牛など各畜種の特性に応じた経営安定対策を実施するとともに、配合飼料価格の激変が経営に及ぼす影響を緩和するための対策配合飼料価格安定制度を実施しているところでございます。これらの対策につきましては、最近の配合飼料価格の高騰等に対応して配合飼料価格安定制度を見直すなど、必要に応じて見直しを行ってまいりました。  今後、食料農業・農村基本計画の見直しに併せ、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、通常、酪肉近というふうに言っておりますが、この酪肉近の見直しによりまして畜産経営安定対策の在り方についても引き続き検討してまいりたいと考えております。
  84. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  もう一つ、ちょっと直近の報道の中で、これは必ずしも畜産ですとかそういったところに限定しないんですけれども、先週の日経ビジネスの中で特集の記事がございました。私の問題関心とも非常に重なるところが多々ありますので、これについて御質問させていただきたいと思います。  この記事の中で、「農産物輸出、「倍増計画」の隘路」というタイトルで特集が組まれております。これは二〇二〇年までの農林水産物の輸出額倍増計画、一兆円を目指していこうという流れの中で、これ成功事例も紹介されているんですね。青森の黒ニンニクが四十倍に例えば増えたですとかそういった成功の事例も紹介されている一方で、ただ、農産物全般に関して見るとなかなかうまくいっていないようであるという御指摘のあった記事でございます。  この中で紹介されている事例として、本年の五月に大手の商社がアジアの大手企業とタイアップをして日本の農産物をどんどんアジアの新興国で売っていこうと、こういうふうに企画をしてこの秋から販売をしていく予定だったわけでありますけれども、この中で主に野菜そして乳製品を中心に販売していこうという形でプロジェクトを立ち上げたわけですけれども、結果、今は全く成果が出ていないということが指摘をされています。  この原因を見ていくと、結局、一つ一つの農産品、これ乳製品も含めて評価自体は高い、品質もいい、味もいい、だけれども、結局、国内も含めて物流の部分あるいは販促の部分が余りにもコストが高く付き過ぎてしまって、結局、個々の販売価格、現地での販売価格にしたときに競争力が全くなくなってしまっている、これが一つ大きく指摘をされております。  ここについて、結局、これまでも、例えば農産物の輸出促進というときに、どうしても、各都道府県の首長さんとかが例えば台湾ですとか香港ですとかお出かけになって販促のセールスをやられていると、これは大変すばらしい努力なわけですけれども、一方で、大きく日本全体として農産品の輸出を倍にしていこう、一兆円の規模にしていこうといったときにはやはりなかなか、個々の努力がうまくいって足し算で結局最終的にいければいいなということではなかなか到達できないのかなというふうに考えております。  そうする中で、やはり、農産物を作っていく、そういったところの支援もそうなんですけれども、物流網の整備ですとかあるいは販促、こういったところについて、政府として具体的に何か取組、お考えになっているところがあればお聞かせをお願いいたします。
  85. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 必ずしも委員の御指摘になったこの雑誌の記事の問題意識に沿っているかどうかは分かりませんが、諸外国との競争にやっぱり勝ち抜いていくためには、海外市場における日本産品のシェアの維持、拡大、それから、それぞれの産地の取組だけではなくて、やはりジャパン・ブランドそのものの確立、これが大変大事であると、こういうふうに考えておりまして、今年の八月末に公表しました国別・品目別の輸出戦略、これにもこのことを位置付けさせていただいておるところでございます。  二十五年度の補正、二十六年度の予算要求においても、この国別・品目別輸出戦略の着実な実行に向けまして、オールジャパンの輸出戦略の司令塔として戦略実行委員会を設置するための予算を盛り込んでおります。また、牛肉や青果物といった品目別の全国的な団体がございます。こういったところがやはり国内の主な輸出産地を取りまとめてジャパン・ブランドの確立に向けた取組を支援する、こういう予算も盛り込んでおるところでございます。  また、ジェトロ、これは大変国内外に幅広いネットワークを持っておりまして、我が国唯一の公益性を持った貿易促進機関でございますが、二十五年度からこことの連携を通じまして、輸出しようとする事業者の育成、それから海外の見本市への出展、それから国内外での商談会の開催等々、総合的なビジネスサポート体制の構築等の取組を積極的に進めておるところでございまして、こういう具体的な品目別のものをつくって地道な取組を積み重ねていきたいと考えておるところでございます。
  86. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  まさに、オールジャパンのブランドの構築ですとか、国として取り組まないとなかなか進まない部分というのはまだまだ改善の余地あるいは取組の余地があるというふうに考えております。  また、先ほどのお話の中でも御指摘させていただきましたが、特に流通網、販路の開拓ですとか、そういったところというのは、ある意味農産品以外のものとバンドルすることによっても、よりコストの低減ですとか販路が開けるといったことも考えられるのかなというふうに思っております。是非ともここについても御支援、引き続きよろしくお願いしたいと思います。  引き続きまして、この後は、全般というよりは、輸出一兆円をこれから目指していく上でやっぱり重要な強力なコンテンツとなると私が考えております和牛、牛肉について中心にお話を伺っていきたいというふうに思っております。  これまず海外に打って出ると、強力なプロダクトであるわけでありますけれども、やはり海外にまず出ていくときに、国内市場がしっかりしていないと外に打って出るというのもなかなか難しいんじゃないかなと考えるわけですが、近年この牛肉の国内の消費量自体は横ばいに推移しているというふうに考えているんですが、この点、農水省として、今後の牛肉の国内需要の伸び、それからその中において国産の牛肉がどのくらいの伸び代があると考えているのか、この点についてお聞かせいただけますでしょうか。
  87. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 牛肉の需要でございますが、平成二十年から百十八万トン、百二十一、百二十二、百二十五、百二十三と安定的に推移をしているというふうに見ておりまして、こうした中で消費者の多様なニーズに対応した特色ある牛肉生産、これによって消費拡大を図っていくことが大事であると、こういうふうに考えておりまして、国内生産数量は平成二十二年度の五十二万トンと、この現状を維持することが三十二年度の目標として現行の食料農業・農村基本計画で定められておるところでございます。  我が省としては、消費者の多様なニーズに対応した特色ある牛肉の需要拡大策として、例えば日本食、食文化の普及、それから地産地消、国産消費の推進、それから農業者と食品事業者等の多様な事業者がネットワークを構築して行う六次産業化の推進、それから生産者から販売業者までが一体となった国産牛肉の新たな商品価値の創出等の対策を推進してきておりまして、引き続き所要の予算額を要求し、こういう対策を打っていきたいと考えておるところでございます。
  88. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  今御答弁の中でも、多様なニーズをしっかり踏まえて今後取り組まれていくというお話がございました。国内市場にもまだまだ伸び代があるというふうに私も考えておりますし、また今後さらに海外に打って出るといったときには、やはり国内と違った市場においてまた違ったニーズといったものがあるというふうに考えております。そうしたものを踏まえていく中で、今後この牧畜、さらに牛肉の振興を図っていく上で、一つはどのような品種を作っていくのか、ここは大きなポイントになるんじゃないかなと考えております。  この点について独立行政法人家畜改良センターで取り組まれていると思っておりまして、業務の中に肉用牛の能力向上と、こういったことが実際に書かれているわけですが、これ具体的にどのような方針で今品種改良に取り組まれているのか、御答弁お願いいたします。
  89. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 平成二十二年度に策定しました家畜改良増殖目標の中におきまして、これまでいわゆる脂肪交雑、霜降りといった脂肪交雑に偏重した肉用牛改良といったものに重点を置いていたわけですが、やはり牧草をどの程度利用できるのかといったその牧草の利用性、あるいは早熟性、あるいは増体能力ですね、それとか繁殖性の改良といったものに重点を移すといったようなことをしていまして、また遺伝的特徴を有するできるだけ多様な育種資源の確保利用に努めるものとしているところでございます。  現在、家畜改良センターの、全国で十二か所の牧場があるわけですが、五つの牧場におきまして、多様な育種資源を確保する観点から、全国各地から改良の基礎となる雌牛を導入しまして、先ほど申し上げました牧草の利用性、早熟性、増体能力等の改善に重点を置いた種牛の作出や牧草の利用性等に関する検定手法の開発に今努めているところでございます。  現在、全国規模で流通しております和牛精液の約二割はこの家畜改良センターが作りました種雄牛により生産されたものとなっており、今後ともセンターの取組を通じて家畜改良増殖目標が実現できるよう指導してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  90. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  今のお話を伺いまして、ちょっと安心をいたしました。私もこの肉牛、牧場を千葉ですとか茨城を中心に何軒か回らせていただいて、そこでお話を伺う中でやや危惧していたのが先ほどの脂肪交雑、ともすると、A4ですとかA5ですとか霜が降っているいい肉が作れるんだというところに現場の皆さんも偏り過ぎているのかなというやや懸念を持っておりました。当然、霜の降った肉というのは非常に強力なこれ国内でも海外でも魅力のあるコンテンツだと思うんですけれども、一方で、ああいった霜の降ったものは食べないという方もまた海外にも国内にもたくさんいらっしゃいますし、赤牛ですとかいわゆる脂肪の少ない魅力的な食味の大変良い牛も日本にもやはり多数あるというふうに認識をしておりますので、どうか今おっしゃっていただいたようないわゆる多様な育種、これ今後、国内そして世界をにらんでそういったところの開発に引き続き取り組んでいただければというふうに思います。  時間がなくなってまいりましたので、続きまして、先日、報道を拝見しておりまして、現在、香港ですとかマカオ、タイ、こういったいわゆる新興国との間で日本が輸出する牛肉の月齢制限についてまだ結んだままであるという話が出ておりました。ブランド牛の産地ですとかそういったところから、林大臣にもいわゆる早く撤廃してほしいという要望が寄せられたというふうに伺っておりますけれども、この規制について今後どのように撤廃に取り組んでいくのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  91. 小林裕幸

    政府参考人小林裕幸君) 日本産牛肉の輸出につきましてお尋ねいただきました。  委員指摘のとおり、香港、マカオ、タイ、シンガポール、こういった国々では、日本から牛肉は輸出はできるんですけれども、今お話をいただきましたように、月齢制限というのがございまして、三十か月齢未満でないといけないという条件が付けられております。一方、本年五月に我が国は国際獣疫事務局、いわゆるOIEから無視できるリスクの国ということに認定をされております。また、国内の産地からはこういった三十か月齢の月齢制限の撤廃について要望が寄せられていることも承知をしております。  こうしたことを踏まえまして、農林水産省におきましては、食品安全を担当する厚生労働省とも十分連携いたしまして、月齢制限の撤廃に向けて、香港、マカオ、タイ、シンガポールとは既に検疫協議を開始しております。複数回の協議を行っております。また、さらに、今お話には出ませんでしたけれども、アラブ首長国連邦とも今後協議を始めたいというように考えているところです。  いずれにいたしましても、しっかりと輸出目標を私ども持っております。そういったものの実現に向けて、日本産の牛肉の輸出に関する月齢制限ができるだけ早く撤廃できるよう、検疫協議をしっかりやっていきたいというふうに考えております。
  92. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  是非ともこの早期の撤廃に向けて御努力をお願いいたしたいと思います。  次の質問でありますけれども、この牧畜、良い肉牛を育てていくという取組の中でやはり防疫体制の充実といったことが絶対条件になってくるというふうに考えております。  二〇一〇年、まだつい最近のこととも言えると思いますけれども、宮崎県で口蹄疫が発生して多大な、大きな被害をもたらしたわけでございますけれども、このときの当時の取組について後から検証をしてみますと、様々、例えば初動の遅れですとか、あるいは効率優先の非常に密集した飼育の体系の中で、いわゆる感染した牛ですとか豚、こういったものの埋葬場所に困ってしまって、うろうろ運んでいるうちにまた広がってしまった、そういったいわゆる人災の部分も多々指摘されております。  この宮崎における口蹄疫において一体どのような教訓が得られたのか、またその教訓というのは現在の牧畜の体制においてどのように生かされているのか、この点についてお答えいただけますでしょうか。
  93. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 防疫体制のことでお尋ねをいただきましたので、お答えを申し上げさせていただきますが、宮崎県での口蹄疫の発生に係る対応につきましては、国、県等の対応を検証するために設置された口蹄疫対策委員会から次のような指摘をされております。一つには、徹底した口蹄疫ウイルスの侵入防止措置が実施されていなかったこと。二つ目には、畜産農家段階において飼養衛生管理基準が守られず、基準の内容も緊迫感や具体性に欠けていたこと。そして三つ目に、異常畜の発見の見逃しや通報の遅れがあったこと。四つ目には、国、県等の役割分担が不明確で、連携不足だったこと等でございました。  このことを踏まえまして、平成二十三年に家畜伝染病予防法を改正いたしまして我が国の防疫体制を強化をしたところでございまして、なお一層、今後気を引き締めて、都道府県と緊密に連携をしながら、本病の発生予防等に万全を期してまいりたいと存じています。
  94. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  時間がなくなってきましたので、最後の質問に移らさせていただきます。  現在、牛に関しましては、BSEの発生を契機にしてだと思うんですけれども、一頭ごとに今、トレーサビリティーが非常に充実したものが確立されております。一方で、豚ですとかあるいは鶏、こういったものに関しては、同様のもの、制度としてまだないというふうに伺っているんですが、これらについてのトレーサビリティー、取組についてお聞かせいただけますでしょうか。
  95. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) トレーサビリティーの御質問をいただきました。  我が省といたしましては、この食品のトレーサビリティーの取組の拡大を図るために、実践的なマニュアルの作成、普及活動を推進をいたしているところでございます。牛につきましてはBSEを契機に法制化、また、豚、鶏につきましては、自主的な取組のほか、事例調査や検討会を実施をいたしまして技術的支援を行うとともに、生産者団体が実証調査等に取り組んでいただいているところでもございます。  農林水産省といたしましては、このような取組を支援し、豚等のトレーサビリティーを更にしっかりと推進をしてまいりたいと存じております。
  96. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  この一頭一頭やるような牛と同じようなものをなかなかつくるのは難しいかと思うんですが、是非ともこの豚ですとか鳥肉、そういったものに関してもトレーサビリティー是非拡充していただいて、またこの日本の食の安全を確保する体制をつくっていただきたい。  一点だけ最後に申し上げたいんですけれども、牛については非常に今トレーサビリティー充実しているんですけれども、見に行きますと、基本的に日本語で表記がされております。もし間違っていたら指摘していただきたいんですけれども、これから海外に出していくことも考えまして、英語版のものですとかそういったものも引き続き充実に努めていただければと思います。  私からは以上です。
  97. 山田太郎

    山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。  本日は、畜産価格と密接な関係がありますTPP、それから農畜産業振興機構、ALICの問題について少し取り上げていきたいと思います。  まず、TPPに関する交渉の在り方についてお伺いしていきたいと思っておりますが、いわゆる聖域五項目、五百八十六品目というものが言われていますが、その内容は、前回も私の方が質問やりましたが、この委員会で秘密会議にして内容を公開してくれないかとか、幾つかお願いしたんでありますけれども、ままならぬということであります。ただ、これだと、一体何が交渉の俎上にのっているのか分からないというままにTPP交渉の在り方を議論しなければなりません。かなりそれは議論としても無理があるだろうということで、できるだけその中身についてはっきりさせていきたいな、こんな考えで今回質疑させていただいております。  そこで、五百八十六品目の輪郭をつかもうということで、農水省さんにこの度、いろんな資料を提出していただきました。お手元の一枚目の資料を見ていただきたいと思いますが、タリフラインとそれから輸入がないタリフラインとを含めた資料を、実はいろんな資料を農水省さんから具体的に出していただいたものを我が事務所の方で編集いたしまして、今回皆さんの方に公開させていただいております。重要五項目と言われる品目それぞれありますが、関税額、それから輸入数量、それから輸入実績のない品目数を一覧にしてあるわけであります。これ二〇一〇の資料ということでありますが、これが最新だということもお伺いしております。  そこで、まずちょっと確認をさせていただきたいと思います。何人かの委員の方からも、今朝の日経なんかにこの情報が出ていたということがあります。私の方の事務所の方で今確認しましたら、日経の方の取材を受けて、記事の中身は別ですけれども、我が事務所の方からこの数字を公表したということでありますけれども、その内容についてもう一度政府の方にもはっきりさせておきたいんですが、輸入のないタリフライン品目だけでも結構ですので、この確認のため御答弁いただけますでしょうか。
  98. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 輸入がないタリフライン数ということで、これはここの表に出ているとおりでございます。
  99. 山田太郎

    山田太郎君 まさに、五百八十六品目の中の四割が輸入実績なしということなんですね。  この、じゃ輸入実績がない二百三十四品目なんですけれども幾つか具体的な品目名を教えていただけないでしょうか。
  100. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 輸入実績がないタリフラインの中には、関税割当て管理している品目、特に枠外税率として高関税が適用されているもの、それから加工品調製品のうち成分が僅かに違う類似のラインには輸入があるものなどがございます。  このようなタリフラインが具体的にどのようなものであるかについては、交渉における重要五品目の範囲に予断を与え、交渉上不利益となるというふうに考えておりまして、これまで同様、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  101. 山田太郎

    山田太郎君 では、輸入がない品目をこれほど多く聖域の五百八十六品目に入れたのはどうしてなんでしょうか。
  102. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この聖域の五百八十六品目というふうに今委員お話しになりましたが、この五百八十六品目と、それからいわゆる御決議をいただいた五品目の聖域というものがどういう関係にあるのかというのは、その決議を我々は踏まえてやっていくということですので、我々としてそこについて申し述べる立場にないということを申し上げさせていただきたいと思います。
  103. 山田太郎

    山田太郎君 次に、西村副大臣にお伺いしたいと思います。  実は、この表を出すに当たって先ほどちょっと理事会ですったもんだありまして、出す出さないというところがあったんですが、自民党の議員の方々からも、この数字を初めて見るということで、いいのかというような議論もあったんですけれども、西村副大臣、この二〇一〇年の輸入実績がない品目がこの五百八十六品目の中に二百三十四あるということをいつお知りになったのか、教えていただけますでしょうか。
  104. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) いつ知ったかということも含めて、お答えは差し控えたいと思います。
  105. 山田太郎

    山田太郎君 何でこんな質問をするかというと、影響のある品目の中身についてしっかり政府が検討しているかどうかということは、これは今回のTPPの推進派でも反対派でも非常に重要な論点だと思っております。  そういう意味で、せめても、その審議、審査、中身について、担当の西村副大臣、御見解をもう一度お伺いしたいんですけど、いかがでしょうか。
  106. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 交渉の中身も含めてですし、我々がどういう検討をしているかということも含めて申し上げることは、これ交渉上不利になるおそれがありますので、お答えは差し控えたいと思います。
  107. 山田太郎

    山田太郎君 私自身は全てを出せと言っているわけではないので、幾つかの内容に関してどうなのかという見識でも、せめても国民の前に政府はどんなことを検討しているのかということをはっきりさせていただきたいので、こんな質問をさせていただきました。  ちょっと先に進みたいと思いますけれども、先ほどから出ていますように、十二月七日から十日のシンガポールのTPP閣僚会合に臨むに当たって、一ミリも譲らないと、こういう言葉で決意されました。輸入実績のないものまで守る必要があるのかどうかと、こんなところも是非、副大臣、お答えいただけますでしょうか。
  108. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 政府としては、この交渉全体の中で、攻めるべきは攻め、守るべきは守る、この姿勢で交渉に臨んできております。その中で国益を最大化するということで交渉しているところであります。  具体的な内容は申し上げられませんけれども、先ほど林大臣からも答弁がありましたけれども、我々、衆参のこの農林水産委員会決議、これはしっかり受け止めて交渉に当たっております。その決議を踏まえてしっかりと交渉していきたいと思います。
  109. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つ、この農林水産委員会の中でも質疑してきましたが、TPPの交渉を速やかにまとめて国会に早く出していただきたいと、こんなことを申し上げているわけであります。ただ、年を越えて、次、一月下旬ぐらいに閣僚会議が開かれると。仮に来年の一月下旬に交渉が妥結すると、この協定締結承認のための国会への提出というのはいつごろになるのかどうか。  実は、来年アメリカ中間選挙があって、それに対して、オバマ大統領、これを急いでいるというふうに言います。もしこれがどんどん遅れていくと、ほとんど国会での審議が難しくなってくるというかですね。で、この内容に関して、これは我々も当然、TPP交渉関税が下がればその品目は影響を受けるということで、何らかの対策をしなければいけないという考えは一緒にしているんですけれども、その審議も十分にされないまま次々いろんなものが決まっていってしまっては大変なことになると思っているんですね。  そういう意味で、今後のスケジュールについて、是非、これも西村副大臣、教えていただけませんでしょうか。
  110. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 交渉がいわゆるまとまるというか妥結をした後に、その文書について、まず英文でそれぞれの単語、どういう単語が同じ定義で使われているかどうかとか、そういういわゆる法律上の協定上の整理、文言上の整理、リーガルスクラブとかという言い方を英語ではしているようですけれども、これをやることになります。  さらに、我が国においては、それを日本語に直して、その上で法制局の審査も経て、まさに定義がちゃんとなされているか、文言としておかしくないかという、この整理に一定の時間が掛かりますので、その整理が終えた後に署名をするということになります。署名の後に国会に提出をして国会で御審議をいただくということになりますので、その段階で我々としてはしっかりと説明をして、国会での承認を得るべく丁寧に説明をするということになると思います。
  111. 山田太郎

    山田太郎君 与野党共にこれは国会議員として準備しなきゃいけません。仮に一月下旬に交渉が妥結したとして、具体的に我々国会の方にいつ渡ってきて、我々自身いつ知ることができるのか、それだけでも教えていただけませんでしょうか。通常国会に本当に間に合うのかどうか、これは是非大事なことなのでお願いします。
  112. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) どのタイミングで妥結されるか、我々としてはできるだけ早期に妥結をということで、バリでの首脳会合でもそういう方向性は出ていますので、我々としても是非早期に妥結を目指して交渉したいと思いますけれども、これは相手のある話ですし、十二か国それぞれの立場がありますので、妥結した後に、そこから、繰り返しになりますが、そういう法律上の整理、英文、日本語、法制局、こうしたところでの整理がありますので、一定の時間が掛かることは是非御理解をいただいて、その後に署名をして国会に提出をし、これを御審議いただくということになります。
  113. 山田太郎

    山田太郎君 妥結に関しては相手のあることだと思うんですが、妥結した後は、特に政府内部での作業だと思うんですが、どれぐらいで間に合わせるつもりなのかどうか、せめても、じゃ妥結をした後何か月以内ということ、もう秒読みだと思うんですね。本当に通常国会の中で議論するとなるとどういうタイミングなのか考えていただければと思うんですけれども、是非もう一度その点御答弁いただけないですか、妥結してからどれぐらいで我々は知ることができるのか。
  114. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 妥結した後に、今申し上げたとおり、法律上の整理がありますので、これは一定の期間が掛かります。少なくとも数か月は掛かると思いますし、今回、最終的にどのぐらいの条文になるか分かりませんけれども、大部になりますので、これは、どの段階で国会に提出をして御審議をお願いできるかというのは今の段階では申し上げることを差し控えたいと思います。
  115. 山田太郎

    山田太郎君 今の御答弁だと通常国会には当然間に合わないということでよろしいんでしょうか。
  116. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 現段階で見通しを申し上げることは難しいわけであります。
  117. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございました。  もう西村副大臣、結構ですので御退席いただければと思います。ありがとうございます。  さて、次は、ちょっとALICについても少しやりたいと思います。  済みません、大変持ち時間が少ないものですから、もうちょっとやりたかったんですけれども、また次に本件譲りたいと思っております。  まず、ALICの中には、畜産勘定、たくさんの資金、埋蔵金がたまっていると。この辺については今年の一月に本委員会の閉中審査の方でも私の方から指摘させていただきました。まさに、牛肉関税を中心とした国からの交付金、補助金の余剰金を積み上げたということであります。  それで、これも資料を見ていただきたいんですが、過去五年間畜産勘定保有資金の推移についてまとめたものがあります。金額だけ確認いただきたいと思いますが、平成二十三年で二千六百十七億、それから平成二十四年で三千三百二十六億ということであります。平成二十四年度末でこの保有資金は三千三百二十六億という巨額になっているわけですけれども、今年一月に指摘したよりも更に七百億円増えているんですよね。  もう一つ、お手元三枚目の表なんですけれども、見ていただくと、前年予算の剰余金を積み立てているということなんですが、是非これを、何とかしてこの積立てを国に返還して国民全体のために使えないのかなと、こんな思いでちょっと質疑を進めたいと思っています。  そこで、まず赤い字の七百二十一億円、例えば注目していただきたいんですが、これはセシウム関連対策予備費残額ということで伺っております。この七百二十一億円の内訳が、次の資料の四枚目、ちょっと資料が多くて申し訳ないんですけれども、次の資料の四枚目に挙げておりますが、運用益を除いた七百十九億七千五百万円についてどんな資金なのかということを実はまとめてあります。この中で一番上の肉用牛肥育経営緊急支援事業ですけれども、この事業というのは国の予備費からALICへ交付されたという予算でありまして、平成二十三年から二十四年での事業が行われましたけれども、これは被災農家に対しての支援金ということで、本来、東電からの賠償が得られたらそっくり返還すると、こういう性格のものなんですね。言わば立替払で支援事業をしているということであります。  ということで、後で返さなくてはいけないという制度の仕組みが敬遠されたのか、予備費の予算額が七百六十一億円に対して執行額が約百九十億円。執行された予算のうち、東電の賠償が行われたりして返還されたお金が約七十億円ということであります。平成二十四年度のこの支援事業に関する残額はそうすると六百四十二億円という大きな金額になっているわけですね。この六百四十二億円、本来であれば、予備費の交付要綱によりますと、事業で交付した金額の返還が全て終わったら全部一貫して国へ返すという定めになっておりますが、東電の賠償がなかなか進まないということを受けまして、被災農家にいわゆるお渡しした金額の全部が返ってくるのはいつになるか分からないと。  そこで、この六百四十二億円に今年の返還金を加えると約七百億円ぐらいになるということだと思います。早く国民のために使えるように速やかにこのお金返還していただけないかなと大臣にお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。
  118. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 肉用牛肥育経営緊急支援事業を実施するために予備費からALICに交付された資金のうち、今御指摘がありましたように二十四年度末で保有していた残高が六百四十二億円でございますが、その後、肥育農家から機構への返還が進みまして、二十五年十一月末現在では七百六億円になっております。この残高については平成二十六年度に国庫納付する方向で調整中でございます。
  119. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございます。是非、国民が使えるお金として有効に使っていただきたいと思いますので、そのようにしていただければと思います。  それでは、三千三百二十六億円の話なんですが、七百億円は国に返していただけるということなので、更に進めていきますと、まずこの三千三百二十六億円の保有資金がどのように運用されているかということについてもちょっと見ていきたいと思っております。  ちょっと次の資料をまた見ていただきたいんですけれども、この三千五百億円近くのお金、資本金の三百億円が加わった数字でありまして、平成二十四年度の運用益は約七億円だということであります。収益率は〇・二%になるということです。一方、これ財務省の方にも確認させていただきましたが、同じ三千五百億円を国庫に例えば返して運用すると、資料に書いておきましたが、〇・七%で運用できるということですから、年間二十五億円の収益が出ているということなんですね。ALICさんが運用すると毎年十八億円近い差額が国全体で生じるということになってしまいます。一方で、国の借金の元本返済に充てれば、国債の利子の発生を抑制するという効果も期待できるわけであります。  国全体のことをこれ考えましたら、三千三百二十六億円の全部を返せというふうには言いませんけれども、是非この保有金を今後減らしていくということが重要なんではないかなというふうに考えています。その辺に関して是非大臣の御見解をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
  120. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この農畜産業振興機構、ALICでございますが、十九年度の整理合理化計画とそれから二十二年度の独法の事務事業見直しの方針を受けまして、国からの交付金の交付額の抑制等によって保有資金残高の縮減を今まで図ってまいりました。畜産経営安定対策畜産業振興事業のほかに、不測の事態に迅速かつ適切に対応するための緊急対策の実施に要する資金を適正な規模で保有をしなければならないと考えております。  今委員が御指摘のように、緊急対策が必要となった場合に、その都度、改めて予備費若しくは補正予算等で手当てをするという対応を取ったらどうかと、こういうことでございましたが、畜産経営、今日は畜産に関する審議ということでございますが、やはり日常的に多額の運転資金が必要である一方で、口蹄疫それからBSE等悪性伝染病の発生や飼料価格の高騰、枝肉価格の大幅な変動といった緊急対策が突然に必要になる潜在的リスクが常にあるわけでございます。先ほどもどなたかの御指摘にあったように、つい三年前にも宮崎でああいうこともあったと、こういうことでございます。  こういう緊急対策というのは、予備費や補正予算が措置されるまでの間にも機動的に実施される必要があるということでございまして、これまでも、先ほど申し上げましたように、年度の途中で数百億円の規模でこういう緊急対策が必要となった経緯があったということを踏まえますと、やはり今の適正な規模で保有をしておくことが必要であると、こういうふうに考えておるところでございます。
  121. 山田太郎

    山田太郎君 これについては一月にも同じ御質問をしたんですけれども、BSE対策年間幾ら掛かったかということで、マックス八百億円、緊急対策に充てたということだったと思います。そういう事象から考えても、ちょっと三千三百億というのは持ち過ぎではないかと。  これは全く金利が掛からないのであれば、そういう形でお金をプールしておくということもありなのかなと思いますが、これ確実に金利が掛かっていきます。特に、政府の予算を私、民間出身で見ていますと、余り金利が掛かるということを考えてつくっていないような嫌いがありますので、是非そういった概念を入れて、不必要なものについては返還する。又は、今回のちょっとセシウムに対する緊急対策の執行状況の表があるんですが、これもきちっと一般会計予備費から支出するということで措置されているわけですから、このような形でもって、是非必要額以上のお金をプールすることがなく、とにかく国全体ではキャッシュが足りませんから、お金が足りませんので、是非ちょっと、その辺を大臣、今後見直していくということを答弁いただきたいのですけど、いかがでしょうか。
  122. 林芳正

    国務大臣林芳正君) おっしゃったような趣旨で無駄に積んでおくということはよろしくないということは当然でございますので、不断の見直しはしていきたいと、こういうふうに思っております。  なお、この三千三百三十億円のうちで、実は千七百六十億円分が固定資産、それから二十四年度の補正予算の未使用額、それから予備費の残額等で、実は対策の財源として見込めないものでございまして、実際には、この千五百七十億が先ほど申し上げたような対策費の財源として使えると、こういう状況もございますので、そういうことを踏まえて、今委員からの御指摘も踏まえて適切に対応してまいりたいと思っております。
  123. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございます。  質疑時間が来ました。先ほどのTPPの話も是非早く審議をしなければ、結局ツケが回ってくるのは現場農家だと思います。農水省が特にTPP担当者に関して情報を出させると、それで我々、国会が国民と一緒になって議論ができるということを求めていただければと思っています。これは、TPP推進の賛成派も反対派もありません。まず、情報がなければ議論もできないという状況に今国会は陥っておりますので、是非、その点、よろしくお願いしたいと思います。  私の質問はこれぐらいにしたいと思います。ありがとうございました。
  124. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  二〇一四年度の畜産酪農価格問題について質問いたします。  先日、北海道の皆さんが来られて、深刻な訴えがされました。三十歳代、四十歳代の中堅の酪農家の離農が加速していると。その原因は必ずしも経営難というだけではなくて、今年三月の安倍内閣によるTPP交渉参加決定で畜産酪農家が長期的な経営展望を持てなくなっているというのです。北海道の酪農は、大きなところは装置産業と言われるぐらい機械化が進んで、何億円という単位でこれは設備投資をしなければなりません。当然、この投資資金を回収しなければなりませんけれども、それも長期的な経営展望がなければできないと。  TPP加入で酪農畜産部門の農産品の関税撤廃が求められている中で、一体どうしたらそういう長期展望を持つことができるのかということになっているわけです。北海道では、年間二百人を超えて離農がある、離農率が二%から三%に上昇していて収まる気配がないと。これによって生乳の生産量の確保も困難になるという事態です。大臣、これ、どのように受け止められるでしょうか。
  125. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この酪農の飼養動向を見ますと、乳用牛の飼養戸数、北海道は、二十五年度がマイナス一・九、二十四年度がマイナス三・一、二十三年度がマイナス二・二、二十二年度がマイナス二・八という数字でございまして、毎年減少する傾向で推移をしておるわけでございます。  今委員がおっしゃられましたように、午前中衆議院でもそういう御指摘があったところでございますが、TPP交渉への参加による先行き不安も離農の要因であるという声を現場からは聞いているということもこれは事実でございますが、収益性を始め経営体ごとに多様な理由があると、こういうふうに思っておりますが、やはり周年拘束される労働である、それから労働条件が非常に過重であると。先ほどヘルパーのところの御質疑でもいただいたようなところが大きいんではないかと、こういうふうに思っております。  したがって、経営基盤維持強化のためには、規模の拡大のみならず、家族経営も含めた多様な意欲ある経営育成確保していくことが必要であると、こういうふうに考えております。
  126. 紙智子

    ○紙智子君 TPPの問題がすごく心配で先行きが大変だということを私は指摘したわけですけれども、余りそれには触れられなかったわけですね。  今も議論になってきたわけですけれども、重要五品目を守るといっても、既にこれ、皆さん方は重要五品目加工品調製品関税撤廃を米国政府に対して示して、米国政府からは拒否されたという経緯があるということが報道をされていると。全てのTPP交渉参加国からも関税撤廃を求められているというふうに言われている中で、このTPP交渉に参加している以上、今のままでは済むはずがないとみんな思っているわけですよ。  TPPの交渉からの撤退を決断できるのかどうかと、それができるんであれば、この畜産農家の皆さんの経営展望も持ち直すことができると思うんですけれども、いかがですか。
  127. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど数字をお示しいたしましたように、安倍内閣としてTPP交渉参加は今年でございますが、それ以前にも数%の傾向でずっと戸数が減少してきているというのが数字の現実でございますので、やはり私は、先ほど申し上げましたように、TPPに対する懸念以外のところの要因というものもしっかりと見ていかなければ、抜本的な経営体質の強化、また経営基盤の維持強化にはつながらないと、こういうふうに認識しております。
  128. 紙智子

    ○紙智子君 そんなことないですよ。それ以外なんて言うけど、実際には小さな規模でもちゃんと経営が成り立っているところは担い手が戻ってきているところもあるんですから。やっぱり今、本当に目の前にある、これを何とかしなきゃいけないという思いでいっぱいなわけですよ。はっきりした政府からのメッセージ出さなければ、この雪崩現象に歯止めを掛けることはできないという不安の声が広がっているわけです。このことは、引き続いて、重大な問題なので、次の通常国会でもやらせていただきたいと思います。  さらに、現在、畜産酪農経営の現状は、アベノミクスの円安誘導とトウモロコシ価格の高騰による配合飼料価格の高騰で、今年の四月以降、生産者の実質負担額はトン当たりで六千二百五十円も増額しているわけです。灯油や軽油価格高止まりなどの影響もあると。非常に厳しいわけですけれども、特にトウモロコシの価格高止まりをして、アベノミクスの円安誘導という話もさっきありましたけれども価格高騰になっているというのはこれは人災とも言えるものなわけです。その点では政府の責任というのは本当に重大だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  129. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この配合飼料でございますが、その原料の大宗を輸入穀物に依存をしております。米国の半世紀ぶりの大干ばつを背景に、トウモロコシ及び大豆油かすの国際相場、これが史上最高値を更新した等によりまして、昨年十月以降、価格が高騰していたところでございます。そのような中にあっても畜産農家経営安定が図られなければなりません。  したがって、この配合飼料価格安定制度につきましては、二十四年度の予備費でまず百四十八億円、それから二十五年度の補正予算において百億円、これをそれぞれ異常補填基金に積み増したわけでございますが、二十五年度の第二・四半期には通常補填の不足分に対して八十一億円の特別対策を実施をするということでございます。  日本政策金融公庫に対しましては、平成二十四年度予備費において百三十四億円、それから二十五年度補正予算案においては十億円をそれぞれ出資することによって、低利、無担保、無保証の資金融通を円滑化すると。  必要な対応は行ってまいりましたので、適切にこれらの対応を更に行ってまいりたいと思っております。
  130. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっとこれから聞こうと思うところまで答えられちゃって困っちゃうんですけど。  今これから聞こうと思ったのは、つまり、政府の責任で配合飼料価格が高騰しているんだから、政府の責任で加工原料乳の生産者補給金を大幅に引き上げるべきだし、酪農経営を安定させるというのは当然のことだと思うんですよ。これについて答弁いただきたい。そして、先ほどもありました要望の強いチーズ向けですね、この生乳供給安定対策事業の助成単価を引き上げるということについても、二つお答えください。
  131. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、先ほど来、今日のメーンテーマでございますのでそれぞれお答えをしてきたところでございますが、加工原料乳生産者補給金単価、これにつきましては、算定ルールにのっとりまして配合飼料価格等の生産コストの変化を適切に反映をさせて算定をいたしまして、食料農業農村政策審議会意見を聴いて適切に決定してまいりたいと思います。  また、チーズ助成金単価でございますが、現在、予算措置として十五・一円、キログラム当たりの助成金を交付しておりますところでございますが、酪農家の皆さんからはより安定した支援を求める声も寄せられているところでございます。こうした状況を踏まえまして、チーズ向け生乳を加工原料乳生産者補給金制度の対象とするということについて、財政当局も含めて関係方面と早急に調整を進めたいと考えておりまして、単価についてもその調整の中で適切に決定してまいりたいと考えております。
  132. 紙智子

    ○紙智子君 それで、配合飼料価格のこれからの動向も予断を許さないんですけれども、異常補填金の基金の残高が約二十五億円、通常補填基金の残高が約百三億円、合わせると百二十八億円しかないと。これに対して借入残高が九百八十五億円で、約一千億に上るわけですね。これでは安定的な価格安定制度とは言えないということで、今ちょっと途中までお話しされたんですけど、政府としての抜本的な対策を取るべきだと思うんですね。  これについて、ちょっと長くならないように一言でお願いします。
  133. 林芳正

    国務大臣林芳正君) なるべく長くならないようにいたしますが、二十五年度の補正予算で、先ほど申し上げましたように、異常補填基金に百億の積み増しを計上いたしまして基金財源の確保を図ることとしております。  それから、農家及び配合飼料メーカーの拠出による通常補填基金の負担を軽減するために、国及び配合飼料メーカーの拠出による異常補填について発動しやすくなるような機能強化、それから借入金返済の柔軟化等による返済計画の本格的リスケジュールを骨子とする見直しを行うこととしております。  今後とも、畜産経営の安定が図られるように、今回の見直しにとどまることなく制度の安定運用に努めるとともに、更なる制度の見直しについて検討してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  134. 紙智子

    ○紙智子君 それと、肉用牛経営安定対策については、肉用子牛の補填基準価格を直近の生産コストの実態を反映した算出方法で再生産可能な水準に引き上げてほしいということが出ていますし、子牛価格の上昇や配合飼料価格の高騰で苦境に追い込まれている肉用牛の肥育経営支援するための新マル緊事業、この継続、拡充などについても要望が寄せられていますけれども、これについてということが一つと、ちょっと併せて言いますね、時間なくて。  もう一つは、原発事故から二年九か月たって、滞留している放射性物質の汚染稲わら、牧草などの処分方法、これ明確にして、国の責任で早急に実施する必要があると。それから、牧草地の除染についても国の責任で実施すべきだと思います。これ、東電による賠償が早期にかつ確実になされるように万全の対策を取る必要があると思いますけれども、併せていかがでしょうか。
  135. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 新マル緊事業におきましては、これまで平成二十三年の七月から特例的に補填金の支払を毎月行っております。原則は四半期ごとでございますが、特例的に毎月ということでございます。  それから、二十五年の四月から、地域の実態をより反映するために都道府県ごとの補填金単価を算定する仕組みを入れました。二十五年七月からは屠畜経費を生産コストに算入するなど、肉用牛の肥育経営の視点に立って必要な見直しを随時行ってきたところでございまして、今後とも所要の予算の確保とそれから事業の的確な実施に努めてまいりたいと思っております。  それから、この肉用子牛生産者補給金制度における基準価格でございますが、生産費の動向や需給事情その他経済事情を考慮しながらルールにのっとって算定し、食料農業農村政策審議会意見を聴いて適切に決定をしてまいりたいと思っております。  それから、あわせまして、汚染稲わらについてのお尋ねがございました。  放射性物質に汚染された稲わらや牧草等については、放射性物質汚染対策特措法、これに基づきまして、八千ベクレル超は指定廃棄物として国、環境省でございますが、が処理をする、八千ベクレル以下は一般廃棄物等として市町村等が処理をすることとされております。  農水省としても、中間処理、最終処分を進めるために、環境省と共同で現地に参りまして関係市町村への説明などを行っているところでございますが、住民理解を得ることがなかなか難しい中で、中間処理、最終処分を行う体制が整うまでの間、営農上の支障が生じないように、また風評被害の原因とならないよう、隔離や一時保管を推進しておるところでございます。  牧草地の除染でございますが、空間放射線量が高い地域、〇・二三マイクロシーベルト以上ということですが、ここは環境省による除染事業、その他の地域では東京電力による損害賠償での対応、これを基本としながら、先行的に実施する場合は農林水産省が実施している東日本大震災農業生産対策交付金、これを使うことによりまして農家負担のない形で実施をさせていただいているところでございます。  今後とも、汚染稲わら等の処理及び牧草地の除染等の円滑な推進に加えまして、東京電力による賠償が円滑に行われるように、環境省や県、市町村等と連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  136. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱり現場に行きますと、ずっともう、二年九か月もずっと積んであるわけですよね。そういう状況を早く何とかしなきゃいけないわけで、随時つかんで、絶えずやっぱり状況はどうなっているかということを調べながら改善していくと、どんどん解決していくというようにしていただきたいと思います。  それから、これ皆さんも質問されていて、私もやっぱり質問したい中身ですけれども酪農ヘルパー事業の問題で、これ去年も私質問しました。それで、やっぱり誰も否定しないですね、もちろん大事なんだ大事なんだというふうにみんな思っているわけだけれども、実際には一三年度で廃止ということになると。これからの仕組みとして自立的なという話も前回やったときにされたんですけれども自分たちで一定の基金を積んでというような話もありますよね。だけれども、実際には、やっぱり非常に懐が寂しい中でどうやってそれを回していく仕組みにするのかということは非常に苦慮しているわけで、本当に実質的にそれが役に立つという中身でいえば、やっぱりこれまでもやってきた中身をむしろ拡充していくような中身で考える必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  137. 林芳正

    国務大臣林芳正君) それぞれ先生方から御質疑をいただいたところでございますが、まさに休日の確保、傷病時の経営継続ということで大変大事であるとともに、酪農後継者新規就農者育成という役割も非常に重要であると思っておりまして、今委員から御指摘がありましたように、十年間利用組合が自立することを前提に取り崩して使用してきたということで今年度で終了ということでございますが、酪農ヘルパー支援自体は大変重要でございますので、酪農経営安定化支援ヘルパー事業に新たな事業メニューを加えまして、ヘルパー要員確保育成、定着などの課題に対応できますように事業充実させたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  138. 紙智子

    ○紙智子君 それでは、次の問題について質問しますけれども、諫早湾の干拓潮受け堤防の開門についてお聞きします。  福岡高裁判決が義務付けた開門期限十二月二十日まではあと二日です。一方、長崎地裁が十一月十二日に開門差止めの仮処分決定を出しました。  まず、法務省に一般論についてお聞きしますけれども、確定判決の既判力は消滅させる手段はあるのかどうか、また仮処分決定は争う余地はあるのか、法務省の見解を求めたいと思います。
  139. 都築政則

    政府参考人(都築政則君) 確定判決につきましては、御指摘のとおり既判力がございます。この既判力を消滅させるためには、再審の訴えによる必要があります。他方、仮処分決定には既判力は認められておらず、保全異議などの不服申立て手続が認められております。
  140. 紙智子

    ○紙智子君 今の御答弁でいいますと、確定判決は再審と、そして仮処分決定は異議申立ての方法があるということですよね。  私、同じ一次産業である農業も漁業も両立をしなきゃいけないというふうに思うんです。やっぱり宝の海、かつて豊かだった宝の海を復活させたいというふうに思うわけです。  農林水産省は二つの司法の判断を受けて、昨日、大臣長崎と佐賀の両知事と相次いで話し合われました。そこで長崎県の知事は、国が開門方針をやめない限りは話合いに応じない、司法判断に委ねる、つまり裁判で争いたいというふうにおっしゃっているわけです。こうなると、あと二日でまとまるめどはないんじゃないかと思うわけです。  そこで改めて見直してみると、なぜ長崎地裁が仮処分決定を出したのかということです。決定が開門を差し止めた理由。一つは、国の海水淡水化の案の工事の契約は十二月二十日までに間に合うように契約していない、来年までの工期になっているわけです。二つ目は、民有地の賃貸を地権者が協力を拒否しているのに、農水省は具体的にどこに変更するかを明らかにせず、予定している期日までに設置工事を完成させるめどが立っていないと。三つ目は、海水淡水化施設の高圧電力が必要であるのに、高圧電力を導引する見通しを立てていないと。つまり、農業用水を確保するためのこの対策工事、契約を怠ったということが仮処分決定になったわけです。ですから、福岡確定判決を履行するための農林水産省の姿勢が鋭く問われたわけです。  農水省が福岡確定判決を真摯に履行する意思があるのであれば、やっぱり長崎地裁に対して開門のための具体策を示すべきだと、その意思を示して具体化するためにはこの仮処分決定に対して異議申立てを行うべきだと思うんですけれども大臣、いかがでしょうか。見解を求めたいと思います。
  141. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この長崎地裁によります開門差止めの仮処分決定に対しましては、佐賀側原告団が既に十二月十六日月曜日、長崎地裁に異議申立てを行われたと、こういうふうに承知をしております。  長崎側、佐賀側両県と国との話合い、今委員から触れていただきましたように、昨日お会いをさせていただいたわけですが、長崎側からは、国は仮処分決定の内容に従って異議申立てする権利を放棄するべきであると、こういうふうに求められております。佐賀側からは、国は仮処分決定の法的効力を失わせるための異議申立てをすべきであると、こういうふうに求められている状況でございます。  したがって、二十日に向けましてぎりぎり話合いをいたそうと、努力を続けていこうと、こういうところでございますので、仮処分決定に対する異議申立ての取扱いにつきましては引き続き政府部内で慎重に検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  142. 紙智子

    ○紙智子君 福岡高裁判決は、三年間準備期間を設けて開門するように求めてきたわけですよ。農業用水の対策をせずに開門したら農業被害が出るというのは当たり前なんですけれども、だから長崎地裁は開門のための準備を怠った農水省の姿勢を厳しく指摘したわけですね。  開門のための具体策を示して裁判所と争わないということなのかと、まともに対応しない農林水産省というのは一体どういうつもりなのかというふうに私は思いますよ。福岡高裁判決が求めたこの開門期日まではあと二日と。ですから、確定判決が履行されないということになったら、これは憲政史上初めてのことが起こるわけです。こういう事態になったら、安倍政権の政治責任が鋭く問われることになるわけですよ。  そういう自覚を持って対応することを私は農水省に強く求めて、質問を終わりたいと思います。
  143. 儀間光男

    ○儀間光男君 皆さん、こんにちは。維新の会の儀間でございます。  大分、緊迫感のある委員会でありますが、私の方はのんびりといきたいと思いますから、どうぞお付き合いをいただきたいと思います。  今現在、政府においてはTPPへの参加の交渉が行われておるさなかであります。農林畜産業者は将来への不安を抱き戦々恐々、農産物等の聖域を本当に守ってくれるのだろうか、関税が全て撤廃された場合、一体どうなるんだろうかという疑心暗鬼にさいなまれているのが現状ではないかと理解をいたします。六日の未明に国会が終わった後、少し地元へ帰ってJA中心に農家を訪問させてもらいましたが、口々にそのことを不安だと言っておりました。  以前、私は本委員会で、TPPへの参加に当たっては、守るべきものはしっかりと守っていただき、片や国際市場への参入可能な農産物については、それこそ積極的に、国際市場をこじ開けるぐらいの気概を持って政府はしっかり取り組むべきであるとの持論を申し上げた経緯がございます。したがって、今回は、食肉価格の決定が差し迫る中で、この食肉価格の安定に向けての様々な制度あるいは仕組み等がありますが、常に生産者側から見ていきますというと、生産に要するコスト、これは飼料代であり、あるいはその輸送コスト、そういうものが常に付きまとってくるわけであります。例えば配合飼料価格やその運送、あるいはマーケットの動向など、常に不安要因を残したまま農家心配をするわけであります。それらのことも含めて念頭に置きながら、質問をしていきたいと思います。  私は、畜産業の振興を図る一つの要因といたしまして、畜産における新規の就農支援事業、今あると思いますが、その支援事業を継続して行う必要があると思うのでありますね。そうじゃなければ、なかなか担い手の育成ができない。したがって、政府として継続してこれをやっていくべきであるというふうに認識をし、また、それにはそれなりの財源の確保が必要であることも大事であります。  したがいまして、支援事業の継続を含めて、財政の確保も入れまして、政府の御見解をまずは賜りたいと思います。
  144. 横山信一

    大臣政務官横山信一君) 畜産における新規就農者支援事業の継続について、財源の確保も含めての問いでございました。  子牛の生産を行う肉用牛繁殖経営につきましては、高齢化の進展等によりまして、年に三千戸程度のペースで減少しております。生産基盤を維持するためには、新規就農者確保することは重要だというふうに認識をしております。このため、農畜産業振興機構、ALICの畜産業振興事業におきまして、農協等が畜舎等を整備し、畜舎や繁殖雌牛を新規参入者に貸し付ける新規参入円滑化等対策事業を措置しているところでございます。  本事業の来年度以降の取扱いにつきましては、畜産物価格等を決定する際の議論を踏まえ、複数年化するなど、より取り組みやすい仕組みを検討してまいりたいと考えております。
  145. 儀間光男

    ○儀間光男君 今お聞きになったように、農林水産業全般を含めまして、政府の手厚い様々な制度、仕組みがあるわけでありますけれども、そんなような中でも後継者がなかなか育ってこない、若い就農者も含めて新規就農者がなかなかやってこない、しかも畜産農家も減少傾向にあり、また食肉の生産量もなかなか上がってこないというような現状を見ていると、必ずしも農政にかかわる諸制度が現場農家政府の間にマッチングがなくて、ひょっとするとミスマッチを起こしているのではないかというような疑問を感ずるものでございます。そのことに対していかなる御所見をお持ちか、お示しいただきたいと思います。
  146. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 現在の食料農業・農村基本法におきましては、食料の安定供給の確保農業生産活動による多面的機能の発揮、それから農業の持続的な発展、農村の振興、これを基本理念として掲げまして、その実現を図るべく、おおむね五年ごとに食料農業・農村基本計画を策定し、これに基づいてその時々の農業を取り巻く状況に応じて農政を展開しているということでございます。  十二月十日に、官邸におけます農林水産業・地域の活力創造本部、これにおきまして農林水産業・地域の活力創造プラン、これを決定をいたしましたので、この食料農業・農村基本計画の見直しに着手をすると、このことも同じプランで決めさせていただいたところでございます。  したがって、今委員からずれがあるのではないかというお話がございましたけれども、不断にこのずれを直していくためには、この食料農業及び農村をめぐる情勢の変化を踏まえながら、基本計画に掲げた施策について丁寧にやはり検証した上で、将来のビジョンとして、担い手となる効率的かつ安定的な農業経営の姿、これを具体的に示しまして、望ましい農業構造の姿とその実現に必要な講ずべき施策、これを明らかにしてまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  147. 儀間光男

    ○儀間光男君 今大臣お話にあったように、食料農業・農村基本法、審議会に託された多くの法律があるんですよね、実にたくさんの法律がある。これ、手厚いと言っていいと思うんです。ところが、こういう現状にあるということ自体、今大臣お答えありましたが、これ逐一チェック、詳細にチェックをして、どこにミスが起こって、どういうことがあって就農者が減っていくのか、担い手が乗ってこないのかということを明らかにして対策していく必要があると思うからであります。  さて、私はこれから、農林水産省が示した、それは十二月に提出がございましたが、牛肉の輸出、輸入についての議論を少しさせていただきたいと思います。  提出された資料を見てみますというと、牛肉の輸出、二〇一二年現在では八百六十三トン、金額にして五十一億円となっておりますが、二〇二〇年、つまり八年後においては、輸出目標額を二百五十億、四千トン、実に五倍に引き上げる計画が示されております。これでございます。  農林省がお示しになった目標値を達成するには、現在の実績からいいますと、肥育牛も含めて、子牛も含めて五倍の量の手当てが必要となっておりますが、どのような対策をもってこの五倍の量を確保しようとしているのか、制度支援も含めて具体的にお示しをいただきたいと存じます。
  148. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 儀間先生の御質問にお答えいたします。  まず、牛肉の輸出振興でございますが、まずは輸出国先の衛生条件等に適合した食肉処理施設の整備と、こういったものが必要でございまして、この度の二十五年度補正予算におきましても、ハラールといったような、そうした輸出国の衛生条件に合った施設の整備を行っていくというようなことで約百億円を計上させていただいたところでございます。  また、こうしたハード以外に、いわゆる商談会の開催でありますとか食品見本市への出展、それと日本食文化の普及と一体となった販売促進活動等の支援を行っており、今後ともこのような支援を通じて輸出の振興を図っていきたいと、こんなふうに考えているところでございます。
  149. 儀間光男

    ○儀間光男君 ちなみに、平成十二年、十三年、これの国内牛の生産量、何トン、何百トンあったか、先ほどもお答えありましたが、確認の意味で聞きたいと思います。
  150. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 平成十二年でございますが、枝肉ベースでございますが、十二年度が五十二万トン、十三年度が四十七万トン、十四年度が約五十二万トンと、こういうふうに相なっているところでございます。
  151. 儀間光男

    ○儀間光男君 五十二万トン、現在の生産量をもってして七年後に二百五十万トンを、生産量を上げるというのは、これはなかなかの技であります。したがって、具体的にタイムスケジュール、ロードマップというかタイムスケジュールを持って各年ごとに計画を立てていかないというとなかなか難しい話だと思うんです。かてて加えて生産の環境が、いわゆる飼料高止まりであるとかあるいはふん尿の処理等、なかなか生産に対する環境が整ってこない。これも整っていかなければならない、同時並行していかなければならないわけでありますから、その辺も含めてきちっとやる必要があると思います。  また、もう一つは、輸出量を増やす場合、私たちは国内の食料の自給率を確定する必要があると思うんですね。恐らく外国との交易上、国内の自給率を一〇〇%にして、更に上げていって輸出するなどということは、相手がありますからなかなかできないと思うんですね。したがって、国内の食肉牛の自給率をどの辺にとどめて、それを超過して、あるいは更に増産していって輸出へ拡大していくかということが大事だと思うんですが、その辺はどうお考えかをお示しください。
  152. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 佐藤局長、先ほどの答弁数字が少し違っていたんじゃないですか。
  153. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) はい、平成三十二年度の牛肉の輸出目標量は、これは四千トンと設定しております。四千トンと設定しておりまして、この四千トンというのは部分肉でございますが、今、二十四年度の国内の牛肉の生産量、部分肉ですが、三十六万三千トンとなっておりまして、この三十六万トンの中の四千トンですから、約一%の割合でございますので、これについては、輸出によって国内への需給に大きな影響をもたらすような、そういうような問題はないというふうに考えているところでございます。
  154. 儀間光男

    ○儀間光男君 その数字、後でただそうと思ったんですが直りましたから言いませんけれど、おかしな数字をおっしゃるものだなと思いました。  それでも、やはり国内での自給率というのは、確保する、どのラインだということは必要だと思うんですね。大体国内消費量の何%、一〇〇%とまさか言うまい。ということは、輸入肉もたくさんあるわけですから、相手国もあるんで、一〇〇%自給率を確保するということはなかなか、相手貿易国との関係からなかなか確保できるものじゃないと思うことから、大体自給率、食肉は、何%を押さえる、何十%を押さえるということの数字があってしかるべきだと認識するんですが、この辺いかがでしょうか。
  155. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 牛肉の自給率でございますが、重量ベースでいきますと四二%です。平成二十四年度ですね。カロリーベースでいきますと一一%というふうに相なっているところでございまして、恐らく、これについてはできるだけやはり国産を振興していくということで自給率の向上というのを目指すわけでございますが、自給率についてこの四二を更にどんどん上に行くというのはなかなか困難かというふうに考えているところでございます。
  156. 儀間光男

    ○儀間光男君 例えば、資料によりますというと、日本の今輸出量が重量トンにして八百六十三トン、逆に輸入量は、米国から重量トンにして九百三十三トン、EUから三百六十七トン、日本の輸出に対して輸入トン数がもう既に倍近くなっているわけですね。倍近くなっているんですよ。したがって、私たちが目指す国内の食料の自給率というのをどの辺に定めておかなければならないという数字を持たないというと、その月、その年に任せておっては、輸入量の方がはるかに進んでいって自給率が低下をしていくという可能性さえ生まれるわけですよ。ある程度制限をしておけば、これ以上は落とさぬぞということで輸出入の調整が出てくると思うんですが、そうでもしないというと、条件次第では、あるいはTPPの条件次第では、これがまた逆転して四〇%から三〇%に下がるなどという現象もなしとはしないというようなことから、その辺をしっかりと確保していただきたいと思います。  さらには、輸出拡大策として、マーケット、他の農産物とも抱き合わせてマーケットを拡大する必要があると思うんですね。単品ではなしに、農林水産物を含めてマーケットを確保する。それには、外務省や経産省、農林省、あるいは労働、失業、雇用率問題からすると厚生労働省、四省辺りが連携を取ってこれに取り組まなければなかなかうまくいかない部分が生じてくると思うんです。その辺についての御見解をお聞かせください。
  157. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) まさに儀間先生指摘のように、この輸出の振興というのは、我が農林水産省だけではなくして横断的に取り組む必要があるかと思っておりまして、こうしたことについては、クールジャパンとかいったようなことで、今官邸を中心といたしましてそうした後押しといいますか支援を行っているところでございまして、さらにそういう関係省庁とも十分連携を取りながら輸出の振興に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  158. 儀間光男

    ○儀間光男君 肉類の輸出拡大で、今多くの国とはもう交渉が完了していつでも出せるような状況にあるわけですけれど、新たに例えば新興国であるメキシコとかインドであるとか中国であるとかいう大消費地が、マーケットがあるわけでございますが、その辺との交渉は一体どうなっているんでしょうか。
  159. 佐藤一雄

    政府参考人佐藤一雄君) 今、先ほどの答弁に申し上げましたが、最近はやはり中近東の、いわゆるハラールの関係ございますが、中近東のイスラム諸国からの引き合いが多くなっているというふうに聞いております。また、さっき先生ございましたように、今後の経済成長を見込みますと、やはり中国といったものも大きなマーケットになってくるかというふうに考えているところでございまして、これについてはやはりそれぞれの国々の事情がございますので、よく今後の各国の動きといったものに注視していく必要があろうかというふうに考えております。
  160. 儀間光男

    ○儀間光男君 もう時間もありませんから終わりますけれど、どうぞ、他の作目品目も含めて、このTPP、これに負けないような施策を展開してやっていただかねばならないと思います。どうぞ頑張っていただきますようにお願いを申し上げて、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  161. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川勝也君。
  162. 小川勝也

    ○小川勝也君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び日本共産党の各派共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する決議(案)   我が国畜産酪農は、配合飼料価格の高騰、畜産物消費の低迷等厳しい経営環境にあり、離農の増加により生産基盤が縮小するなど危機的な状況にある。   よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成二十六年度の畜産価格及び関連対策の決定に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 畜産酪農経営が将来の展望を持って安定的に発展していけるよう、中長期的な観点から今後の畜産酪農政策の在り方について検討を行うこと。特に、肉用牛肥育経営安定特別対策(新マルキン)事業をはじめとする畜産酪農経営安定対策及び配合飼料価格安定制度については、配合飼料価格高止まりに対処し、必要な財源を確保し、拡充を図るとともに、地方特定品種の扱いを含め現場の意向も踏まえつつ、実効ある安定的な対策・制度の確立に向けた検討を急ぐこと。  二 加工原料乳生産者補給金の単価及び限度数量については、飼料価格の高騰等を踏まえ、酪農家経営努力が報われ、営農意欲が喚起されるよう、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。    また、今後、需要の拡大が期待できる国産チーズの生産拡大のための対策充実・強化するとともに、効率的な乳牛改良の推進、後継者確保酪農ヘルパーへの支援充実など酪農生産基盤の強化を図ること。  三 牛肉・豚肉の安定価格及び肉用子牛保証基準価格等については、畜産農家経営安定に資するよう、需給動向、価格の推移、飼料価格の高騰等に十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。    また、肉用牛繁殖経営への新規参入や繁殖雌牛の増頭、受精卵移植の取組等への支援を一層充実・強化することにより、肉用牛繁殖基盤の拡大を図ること。  四 飼料輸入依存体質を転換し、国産飼料に立脚した畜産酪農を確立する観点から、飼料用米・稲発酵粗飼料・稲わら・エコフィード利用拡大等の耕畜連携を強力に推進するとともに、コントラクター・TMRセンターへの支援充実・強化すること。    特に、飼料用米の利用拡大には、輸入飼料に対する価格の優位性や安定的な供給が必要であることに鑑み、肉用牛等に対する給与法の普及、低コスト栽培技術や多収性品種の普及、集荷・流通・保管・製造に係る体制整備を支援すること。  五 地産地消や食育の取組を進め、国産畜産物の消費拡大を推進するとともに、国産畜産物の輸出解禁に向けた衛生協議の加速化、相手国の衛生条件に対応した食肉処理施設の整備に対する支援充実など輸出促進対策を強化すること。  六 原発事故に伴う放射性物質により汚染された牧草地の除染対策と汚染された稲わら、牧草及び堆肥の処理を強力に推進するとともに、原発事故に係る風評被害対策に徹底して取り組むこと。  七 TPP交渉及びEPA交渉については、我が国畜産酪農が今後とも安定的に発展できるよう、平成二十五年四月の本委員会の「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する決議」及び平成十八年十二月の本委員会の「日豪EPAの交渉開始に関する決議」を遵守し、確固たる決意をもって臨むこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  163. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまの小川君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  164. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、林農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林農林水産大臣
  165. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
  166. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会