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荒井広幸君 新党改革の
荒井です。
冒頭、
官房長官、お忙しい中をありがとうございました。お礼申し上げます。
私の通告はかなり解説的でございまして何ページにも及びます。
委員の先生方とも共通認識を持ちたいものですから少しお手元に配付させていただいた資料とともにお話ししますが、この移住というペーパーを御覧をいただければ幸いでございます。
私は、ICRP勧告にはあるけれども、日本の基準になかったものがあったんです。移住という
概念です。そして、三月十一日を迎えました。二〇一一年三月二十五日の経済産業
委員会で私はペーパーとともに提案をしたのがこの移住でございました。当時は大変な状況下でありましたから、これまでの
政策の実施でやむを得ない面もあったことを理解します。しかし、今、除染して帰還するという考え方から将来の健康リスクを考えた、居住コンセプトと言っています、これはチェルノブイリ法でもそれに近い
概念をロシア・チェルノブイリ法は言っております。居住コンセプトに基づく移住の
政策を導入するべきときに来たと考えて
官房長官に御提案をするわけですが、いましばらく読ませていただきます。
自分の書いたものでございます、念のためです。
避難指示区域、すなわち高線量地域から避難している方々には帰還したくとも様々な理由から帰還しないという意向が多くなっています。このことは、今年六月に
政府が発表した住民意向
調査を始め各種アンケートからも明らかとなっています。最大の帰還にちゅうちょしているのは、これは
健康被害なんです。放射線
被害なんです。そして、早稲田大学の辻内先生という方も、PTSD、外傷後ストレス障害という分析で東京、埼玉の方々、避難された方々を
調査ずっとされまして、様々なデータを言っていらっしゃいます。
もう既に明らかとなっているように、実質的に移住を希望する人が増えているということです。除染して帰還するという一方通行の考え方ではなく、避難者の意思を尊重した双方向の
政策が
求められています。
基本的人権問題や多様性を認めた選択肢を用意すると、そういう発想ですね。
ここで、居住コンセプトについて、
委員の先生方また
官房長官に御
説明をさせてください。
住民の意向と多様性を認めつつ、居住コンセプトというのは曖昧では駄目なんです。将来の健康リスクを考えた放射線被曝を低減させるための居住の考え方です。これを導入していくことが必要なんです。
子ども・被災者支援法で一定の線量を決めて、それに基づいて支援策をそれに応じて多様にやっていきましょうと言いましたが、結局、一定の線量は示されませんでした。ここが相変わらず問題なんです。二十ミリシーベルトと国は言いながら、言い切れないんですね。
で、ここは問題のコアなところなんですよ。居住コンセプトに基づく移住の考え方はチェルノブイリ法にヒントがあります。
一つは絶対立入禁止地域をつくります。二つは義務的移住地域をつくります。これは居住できません。三番目は選択的移住という整理でしております。
私が申し上げる居住コンセプトの背景には、
政府が年間二十ミリシーベルト以下なら安全であると発信してきたこと、これは細野ワーキンググループ報告で、二〇一一年十二月二十六日の低線量被ばくの管理に関するワーキンググループで、ここで二十ミリって決めているんですね。これが根拠はといえば、国際機関の報告書を論拠として科学的だと、まあこういうところから引っ張っているわけです。
しかし、私が注目しているのは、二〇一一年四月、あの大惨事があった一か月後に、キエフにおいてウクライナ
政府報告書、
国家の威信を持ってウクライナ
政府は出しました。二百四十万人、独自の
調査方法です。一人一人の被曝量が分からない期間が四年から五年ありました。旧ソビエト時代でありましたから、伏せられていた。そこで言っていることは、時間がたつと
大人にも
健康被害が多く出ているというその現実を切実に訴えている。ところが、国際機関はこれをはねつけているわけです。
今般の、私ども会派で行ってまいりましたが、現地視察というのは、医療や住民の方を含めて様々にいろいろ言われていますから、確認的に視察に行ってまいりました。国際機関の報告書が拾えていない健康面での懸念を示す事実が多くありました。答えが
一つになっていない、こういうことも確認したわけです。
こうしたことから、科学的、医学的エビデンスを考慮しつつ、絶対安全とも絶対危険とも言えないという立場に立つべきでありましょう。将来の健康リスクを考えた健康
政策、政治判断と言ってもいいです。政治判断で厳しいところに数値を持って、予防的、医学的観点に立った、予防医学的観点に立った判断の下に居住してもいいとか悪いとかということをつくるべきなんです。その基準となるのが年間の追加被曝量でありますが、チェルノブイリ法では年間一ミリシーベルトとされているところです。この線量は非常に重いものですから次回にさせていただきますが、チェルノブイリの例を引かせていただきます。
チェルノブイリ法というのは、簡単に言えば三つあります。ベラルーシ、ウクライナ、ロシアです。
基本的には一緒です。年間一ミリシーベルト未満を通常の居住地域とします。一ミリシーベルト以下は通常。年間一から五ミリシーベルトの地域を選択的移住地域にします。この、選択的ですから、年間の被曝量をどう見るかが問題ですから、住み続けるという選択してもいいんですけれども、移住権の付与されていますが、住む場合は放射線被曝を低減するために
子供たちは休みごとに保養所に行って勉強するとかサナトリウムを活用する、こういう工夫の下で線量を下げていくということをするんですね。
次に、五ミリシーベルトを超える地域は強制的移住あるいは義務的移住地域として居住は認められていません。また、更なる事故のことを考慮して立入禁止を、チェルノブイリの場合は原発から三十キロ圏域は絶対立入禁止です。放射線量にかかわりません。これを設定しているんです。
福島第一原発でも汚染水問題などなどで事故が収束していない。この上に余震が頻発するなど、万が一の事態に対する懸念は払拭できていません。住民意向
調査もこれを非常に心配しているんです。汚染水ばかりに注目が、汚染水といえばそっちばかりに目が行きます。そこも絶対にやらなきゃならないことですが、今後、予期せぬ事故が起きぬように全般の
対策を怠ってはなりません。
では、どういうふうにして除染というものとの絡みを見たらいいか。これは各自に自己判断をさせてはならないということです。また亀裂が生じます。何だ、おまえは引っ越したのか、おまえは帰るのかと、
家族の中でももう分断が起きています。放射線、原発の心の
被害というのは大変なことです。分断が起きるということです。ですから、国が判断をするということです、
官房長官。各自に自己判断させてはなりません。こうした健康リスクを考えた居住コンセプトを導入することによって、結果的にです、あくまでも結果的に、進んでいない除染
対策が柔軟かつ集中的に行えることになります。
では、帰還を目指して
行政として町づくりをしている、これは例えば双葉郡等々の場合ですが、町村はそれぞれ残します。残しますが、特区的にして、国直轄の市町村指定で支援をしていくということをしていきます。除染は計画的に続けてやっていますが、急ぐところとスピード、これを調整できますし、集中をどこに向けるかもできていきます。これで足りない人、そして予算というものの効果を上げることができます。移住のためにも、結局は居住
環境を整えていきますから資金的に国が用意できるものも出てくるわけで、それを移住のために
対策として出すということになっていくわけです。
関東、東北に原発から離れて一定の線量、少々高い地域がありますけれども、この地域は早期に一定年数の間に徹底的に国直轄で除染をして、線量を下げて居住
環境を整備していくということにしていきます。ですから、選択しなくても大丈夫になる、移住しなくても大丈夫になるというふうにしていきます。こういうことを、
官房長官、考えていくわけです。
少し移住という
概念が出てきていますが、あくまでも健康
政策として、科学的、医療的根拠よりも厳しくして、予防原則に立ってこれを設定して、そして選択権を与えていく。あるいは、ここは駄目なんですよと、国が本当に原因者として、事故を起こした原因者として東電と一緒に謝りながら移住をお願いするという段階に今入っているということなんです。そして、結果的には、結果的には、そうしたことをすることによって中間貯蔵施設という、そうしたボトルネックも決まっていくものだろうと私は考えております。
放射線量については、今回は移住ということを非常に議論を起こしていただきたいがためにここだけを取り上げます。線量についてはまた改めて
機会にさせていただきたいと思いますが、
官房長官、先ほども経済産業
大臣と話をしてまいりました。
官房長官、こういうときに至っていると思います。移住を含めて、
官房長官、そういう段階に来たと思いますが、いかがお考えになりますでしょう。