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2013-11-07 第185回国会 参議院 財政金融委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年十一月七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月三十一日     辞任         補欠選任      大沼みずほ君     片山さつき君  十一月七日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     浜野 喜史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         塚田 一郎君     理 事                 伊達 忠一君                 鶴保 庸介君                 西田 昌司君                 尾立 源幸君                 西田 実仁君     委 員                 愛知 治郎君                 石田 昌宏君                 片山さつき君                 熊谷  大君                 長峯  誠君                 長谷川 岳君                 三宅 伸吾君                 礒崎 哲史君                 大塚 耕平君                 風間 直樹君                 金子 洋一君                 浜野 喜史君                 安井美沙子君                 山本 博司君                 井上 義行君                 山口 和之君                 大門実紀史君                 中山 恭子君                 平野 達男君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君    副大臣        復興大臣    谷  公一君        財務大臣    古川 禎久君        財務大臣    愛知 治郎君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        福岡 資麿君        総務大臣政務官  松本 文明君        経済産業大臣政        務官       磯崎 仁彦君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 伸一君    政府参考人        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  室城 信之君        金融庁監督局長  細溝 清史君        消防庁国民保護        ・防災部長    室田 哲男君        財務省理財局次        長        美並 義人君        経済産業大臣官        房商務流通保安        審議官      寺澤 達也君        経済産業大臣官        房審議官     石川 正樹君        気象庁地震火山        部長       橋田 俊彦君        防衛省人事教育        局長       豊田  硬君    参考人        日本銀行総裁   黒田 東彦君        日本銀行総裁  岩田規久男君        日本銀行企画局        審議役      野村  充君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (復興特別法人税に関する件)  (量的・質的金融緩和に関する件)  (国家公務員宿舎に関する件)  (金融機関の反社会的勢力への対応に関する件  )  (消費税率引上げ経済対策に関する件)  (中小企業金融円滑化に関する件)  (地震デリバティブに関する件)  (法人税実効税率引下げに関する件)     ─────────────
  2. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月三十一日、大沼みずほ君が委員辞任され、その補欠として片山さつき君が選任されました。     ─────────────
  3. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) この際、古川財務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古川財務大臣
  4. 古川禎久

    ○副大臣古川禎久君) この度、財務大臣を拝命いたしました古川禎久と申します。  十月三十一日に開催をされました日本銀行金融政策決定会合出席するため、皆様方への御挨拶が遅れてしまいましたことをおわび申し上げます。  麻生大臣の御指示を仰ぎつつ、愛知大臣とともに全力で職務に当たってまいります。  どうぞ、塚田委員長始め先生方の御指導をよろしくお願い申し上げます。     ─────────────
  5. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長室城信之君外七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、同副総裁岩田規久男君及び同企画局審議役野村充君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 安井美沙子

    安井美沙子君 民主党・新緑風会の安井美沙子です。  本日は、財政金融委員会において初めての質問をさせていただきます。復興財源及び金融緩和出口戦略について、時間の許す限り伺いたいと思っております。  まずは、復興特別法人税について伺います。  安倍内閣では、五兆円の経済対策と併せて一兆円規模の税制改革に取り組むとのことですが、この一環として復興特別法人税の一年前倒しが実現する見込みと認識しております。復興特別所得税が今年から二十五年間課され、住民税は来年から十年間加算される一方で、あと一年しか残っていない復興特別法人税を特出しし、前倒し廃止するということについては、先日の予算委員会安倍総理も異例の措置と認めていらっしゃいます。復興特別法人税復興特別所得税及び住民税は、復興基本法第五条にありますように、国民は、相互扶助連帯精神に基づいて、被災者への支援その他の助け合いに努めるものとするという理念の下にセットで制度化されたものですから、これを今になって変更するとなれば、国民に対して丁寧な説明が求められるのは当然です。  十月一日、二日に行われた共同通信の世論調査でも、東北地方では復興特別法人税廃止前倒しに八割近くが反対しています。これに対し根本復興大臣は、さきの予算委員会で、被災地理解を得ると答弁されていますが、誰にどのように説明理解されることをもって被災地理解が得られたと担保するのでしょうか、財務大臣に伺います。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今般の経済政策パッケージの中におきましては、足下の経済成長というものをいわゆる賃金上昇につなげるということを前提にして復興特別法人税の一年前倒し廃止検討をしておりまして、十二月中に結論を得ることといたしております。  いずれにしても、復興はこの内閣におきましての最重要課題一つと存じます。復興法人税廃止を行うということになりましても、集中復興期間におきます二十五兆円の復興財源は確実に確保してまいりますとともに、今後とも復旧復興に取り組むこととしておりまして、基本法精神を損なうものではないというふうに御理解いただければと思っております。  また、今言われましたように、被災地方々理解をいただくということに関しましては、これはもう、すぐこれをやればぱっと、というような手っ取り早い方法があるわけではございません。したがいまして、関係省庁よく連携をいたしまして、被災地方々はもちろんのことですが、国民皆様に丁寧に説明していくことが一番大事なところだと、私たちもそのように考えております。
  12. 安井美沙子

    安井美沙子君 平成二十三年七月に出された復興基本方針財源確保に係る基本的な考え方の中で、今を生きる世代全体で連帯負担を分かち合うことを基本とするとしながら、復興特別所得税については二十五年間と長期にわたるため、現段階で生まれてもいない子供にも負担させることになり、三党合意で決まったものとはいえ、じくじたる思いを抱えておるところですが、今回、さらに、個人への負担はそのままで法人だけ優遇するのは税の公平の負担原則にも反しますし、それ相応の理由付けが求められます。  これを前倒し廃止することによって、国民がなるほどと納得できるレベルメリットが期待できるのでしょうか。財務大臣にお尋ねします。
  13. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先ほども答弁をさせていただきましたように、これはこの一言を言えば直ちに御理解が得られるというようなものではないと、私どももそのように思っております。  したがいまして、復興特別法人税の一年前倒し廃止に伴いまして、それによって得られたいわゆる収入なり余剰なりが少なくともその企業内において賃金に回るということによって、復興所得税の分に関しまして何らかの緩和ができればということにつながっていければと思っておりますが、いずれにしても、賃金を上げてもらうということは、これは命令してできる話ではありません。我々は、そのことに関しましては、これはもう、社会主義国でもありませんので、きちんと丁寧に御理解をいただく努力をしていかねばならぬことははっきりしておると思いますので、先ほど申し上げましたように、丁寧に御理解をいただく努力をしていかねばならぬと思っております。
  14. 安井美沙子

    安井美沙子君 確かに、国民メリットとして、経営者理解を得て賃金上昇につなげると総理予算委員会答弁されていますが、大企業の一部経営者賃金上昇を約束することをもって経営者理解を得たこととするのには無理があると思います。  今、財務大臣も、理解を得ていくのは非常に、一足飛びにできることではないとおっしゃいましたけれども社会主義国ではないこの日本においてより多くの経営者理解をし実行していただくためには、何かお考えがありますでしょうか。
  15. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、政労使によります懇談会というのを開始させていただいて、これで三回目になったと存じますが、出てこられる方々はこの問題に関しましてもいろいろ御質問のあるところでもありますので、私どもとしては、是非賃金上昇、なかんずく、最近ベアなんて言葉言ってもベアが通じない世代がいっぱいなので、ベアとは何ですかと聞かれる方も多いので、新聞社レベルの方が全然時代と遅れていますので、あれはベースアップの略ですということを説明するところから始めなきゃいかぬぐらいの時代になって、やっぱり二十年間のデフレーションというものは、結果としてそういったものから距離があるということだと思います。組合の方も本当に定期昇給でよろしいんですねと春の春闘で聞くぐらいの騒ぎですから、これは本当にこの二十年間のデフレーションによります不況というものがどれぐらい影響を与えたかというのは、これは本当に大きかったんだと改めて感じるところですが。  いずれにしても、企業に対して、そこに組合の方も出席しておられますので、是非政労使懇談会の場におきましても、この点につきましては定期昇給ということをお願いをさせていただき、少なくとも、先週辺りからぽつぽつベアという言葉企業の交渉の、うちの利益はこれだけ出るがベアをという言葉が出始めるようなところまでは来たというところですけど、これは数から見たら極めて限られたまだものでありますので、来年の春闘にかけての話になろうとは思いますけれども、引き続き努力をしていかねばならぬと思っております。
  16. 安井美沙子

    安井美沙子君 納税企業七十一万社のうち九八%が中小企業ですが、十月のロイター企業調査によると、復興特別法人税前倒し廃止となっても、その分のキャッシュフロー賃金に振り向けるとする企業が五%にとどまり、雇用人員の増強に充てる企業が五%、一番多いのは内部留保にとどめるとの回答で三〇%となっています。  復興特別法人税前倒し廃止により、賃金上昇恩恵にあずかる人はどのくらいいるのでしょうか。就業人口の何割くらいと見立てていらっしゃいますか。これは難しい質問だとは思いますけれども、もし予測し切れないという場合は、どの程度の割合で賃金上昇が実現したら一年前倒し廃止は正解であったと評価できるとお考えでしょうか。財務大臣に伺います。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありましたように、これは定量的に申し上げることはなかなか難しいんだと存じますが、恩恵を受ける企業だけが賃金上昇に取り組めばいいというものだとも思っておりません。少なくともこれを契機として全ての企業というか、多くの企業賃金の水準を全体的に上昇していただけるようなことを促すための一つ契機になればと思っております。  賃金上昇消費というものを、一般消費を押し上げるということに関しましては、これは消費を押し上げるということはそれだけ商品が売れるということにもなりますので、企業の収益にもつながっていくということになろうと存じますので、そういった意味ではいわゆる経済循環が好循環で回り始めるということになるので、景気回復の更なる発展、進歩にもつながっていくんだと思っております。  ただし、重ねて申し上げますが、賃上げはこれは個人の、個々の企業経営者判断なり会社の判断でもあろうと存じますので、賃金見込みについて定量的な数字を申し上げるということは不可能、なかなか難しいと思います。
  18. 安井美沙子

    安井美沙子君 それがある意味分かっていながらこの前倒し廃止をするわけですから、税の公平負担原則に照らしても、それから被災地の心情を考えても非常に大きな決断だと思いますので、しっかり効果が出るようにお取り組みをお願いいたします。  さて、話が急に実務レベルになって恐縮なんですけれども復興特別所得税納税方法についてお伺いします。  復興特別所得税については、各種の報酬や利子配当などに対して源泉徴収前提となっており、法人が受ける利子配当ども源泉徴収の対象となります。復興特別所得税の精算は、財源確保法四十九条により復興特別法人税をもって精算することとなっておりますが、課税事業年度終了後は、復興特別所得税還付を受けるためだけに復興特別法人税申告書を作り続けなければなりません。  これは前倒し廃止のいかんにかかわらず、当初からあった問題点だと考えますが、来年以降、法人税申告上の煩雑な手続が二十年以上続くことが分かっているのなら、未然に防ぐ手だてを早急に考えるべきだと思います。財務大臣のお考えをお尋ねします。
  19. 愛知治郎

    ○副大臣愛知治郎君) お答えを申し上げます。  御指摘法人に対して課される所得税付加税である復興特別所得税の額については、復興特別法人税課税期間においては復興特別法人税の額から控除されることとされております。これは復興特別法人税復興特別所得税の二重課税を排除するという趣旨で設定されております。  今御指摘のとおりでありますが、現行制度によりますと、復興特別法人税課税期間終了後は復興特別法人税還付手続を行っていただく必要がございます。これについては、確かに実務において生ずる事務費負担について配慮すべきとの声があることは承知しておりますので、これからどのようなことができるか、しっかりと検討してまいりたいと存じます。
  20. 安井美沙子

    安井美沙子君 今申し上げました復興特別法人税申告書を作り続ける手間に加えまして、小規模企業還付額は数円から数千円と少額なものがほとんどで、そのための申告受付手間、e―Taxのシステムの管理、還付振込手数料還付作業人件費などは看過できないレベルであることから、所得税本税における税率の見直しで対処することなどを検討すべきと考えますが、財務大臣の見解をお尋ねします。
  21. 愛知治郎

    ○副大臣愛知治郎君) 先ほどと関連しますので、私から答えさせていただきたいと存じます。  いろいろ御提言がございましたけれども復興特別所得税については、先ほど先生指摘のとおりに、次の世代に先送りすることなく、今を生きる世代全体で連携し、連帯をして負担を分かち合う等の観点から臨時特別に手当てされたものであります。所得税本税の税率を見直すのであれば、どれだけ負担を分かち合っていくのか、納税者の皆さんにとってなかなか分かりにくくなってしまいますので、また、時の経過とともにその趣旨も不明確となってしまう可能性がありますので、適当ではないと考えております。  いずれにいたしましても、納税者の御不便に対しては引き続きしっかりと耳を傾けた上で、制度的な検討をしてまいりたいと存じます。
  22. 安井美沙子

    安井美沙子君 いろいろなやり方が考えられると思いますので、是非創意工夫をよろしくお願いいたします。  次に、復興予算の未使用流用問題についてお伺いします。  先月公表された会計検査院の報告によると、二〇一一年から一二年度の東日本大震災復興予算十九兆八千九百四十九億円のうち、人手不足資材不足住民との合意形成難航などによる未使用は四・五兆円余りとなっています。そのうち、瓦れき処理補助金漁港復旧事業等約二兆円は繰越し、除染関連事業等約二兆円は国庫に返納されることとなります。また、基金に積み立ててある約三兆円のうち、ニーズとのミスマッチ等により七割が残、八基金は塩漬け、先端技術研究開発拠点立地補助金五十七億円は国庫返納となりました。  このように、これまで四・五兆円の未使用の実績があるにもかかわらず、復興財源を十九兆円から二十五兆円、つまり六兆円増やしたことを強調した総理答弁が目立ちます。先ほど財務大臣も言及されましたけれども。  予算を増やすからには未使用に対する具体的な対策があることが前提だと思います。どんな対策が打たれているのでしょうか。復興大臣にお尋ねします。
  23. 谷公一

    ○副大臣谷公一君) 御指摘のことでございますが、まず執行状況でございますが、平成二十四年度の復興関連予算執行状況ですが、歳出予算九・七兆円に対して支出済額が六・三兆円で、未執行は三・四兆円であります。この中には、二・二兆円の繰越し、一兆二千億の不用があるわけであります。なぜこういうことが生じたかということでございますが、主に町づくり除染実施計画策定について地元との調整に時間を要した、そういったことだと承知しているところであります。  このため、復興庁では様々な対策を講じています。例えば住宅再建まちづくりでは、根本大臣の下に関係省庁局長クラスでタスクフォースを設置し、加速化措置をこれまで三弾にわたって講じたところでありますし、また、資材不足人材不足につきましては、それぞれ現地で会議を設けるなり、あるいは全国の自治体に職員派遣要請をし、二千名を超える方々被災地派遣をしているところでございます。
  24. 安井美沙子

    安井美沙子君 対策を具体的に打たれているということですけれども、六兆円予算を増やすということは国民にとって非常に大きなことですし、未使用ということがまた繰り返されますと納得を得られないと思いますので、是非、鋭意努力をよろしくお願いいたします。  次に、復興予算流用問題について伺います。  既に国会質問報道等でも繰り返し指摘された内容ではありますが、全千四百一事業中、流用事案は三百二十六件、一兆三千億円に上ります。具体例資料でお配りしておりますとおりでございます。  これらの事態を受けて、昨年十一月末に復興推進会議予算計上に関する変更案が出され、閣議決定がなされました。その結果、被災地域以外で復興特別会計に計上できるものはそれまでに比べかなり限定的になりました。また、平成二十三年度第三次補正平成二十四年度予算措置した復興関連予算に係る事業のうち、三十五事業が不適切とされ、百六十八億円が執行停止となりました。それ以外の事業であっても、復興施策性疑義が生じるおそれが判明した場合には、各所管大臣当該事業執行に際し、あらかじめ復興大臣及び財務大臣に協議するものとするとありますが、その後、二十四年度補正予算も含め、執行状況はいかがでしょうか。疑義が生じた事案は実際にあったのでしょうか。復興大臣に伺います。
  25. 愛知治郎

    ○副大臣愛知治郎君) お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、復興予算の不適正な使途の問題については、昨年十一月の復興推進会議決定を踏まえ、官庁施設防災機能強化事業など三十五事業百六十八億円の執行を見合わせることといたしました。また、二十四年度補正予算及び二十五年度当初予算において、子供安全確保に係る緊急性の高い学校の耐震化事業、また、津波災害を踏まえて新たに必要性が認識された一部公共事業契約済み国庫債務負担行為歳出化分を除き、復興特会に計上された全国向け予算原則全廃をしたところであります。例えば、鯨類捕獲調査安定化推進対策の経費については、復興予算ではなく、一般会計予算の中で対応するとされました。これらのことは、去る平成二十四年の十一月十五日の衆議院決算行政委員会の決議を受けて決定されたものでもございます。  また、本年七月には、全国向け事業を行う基金、十六基金二十三事業、国からの予算執行額一兆一千五百七十億円についても、復興予算使途厳格化観点から、執行済みのものなどを除く千四百二十八億円について財務大臣及び復興大臣から国への返還等要請を行ったところでございます。この結果でございますが、七月末時点で、全体の返還見込額千十七億円に対しまして約七割の七百十八億円の返還が確実に見込まれている状況であります。  このように、復興予算については流用等批判を招くことがないよう使途厳格化を行っているところでありまして、今後とも復興予算の適切な執行に努めてまいりたいと存じます。
  26. 安井美沙子

    安井美沙子君 もう一枚の資料を御覧ください。左側が菅内閣閣法原案、これ復興基本法ですけれども、右側が三党協議後の実際の法文です。原案になかった活力ある日本の再生という文言を入れたことが、私は流用における諸悪の根源であると考えております。今後の復興関連予算に関する基本的な考え方閣議決定されたことですし、それと平仄を合わせる意味でも、復興基本法第一条の当該文言を削除する法改正が必要と考えます。財務大臣復興大臣の両方の御所見をお尋ねします。
  27. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは副大臣の方から先にお答えすべきかとも存じますが、この復興予算につきましては、もう条文、御存じのとおりだと存じますが、既に国から支出済みである基金分も含め、流用等批判が招くことがないよう使途厳格化や国への返還などを取り組むということはもうはっきりしておりますが、書いてあるんですが、法律の条文文言を修正するかしないかということよりも、取組を確実に進めて被災地復興を少しでも前に進めることこそが重要なんだと、私どもはそう考えておりますが、いずれにしても、国民の誤解を招くことのないよう復興予算の適切な執行に努めてまいります。  ただ、原案は、この閣法として当時出された原案は、被災地域のということは書いてあるのが、修正された本文では、東日本大震災からの復興の円滑が及ぶ等々、いろいろな表現になってきて、何人もとかいう言葉が入ったりいろいろして、これは全国的に読めるというような形に修正されたという経緯がございますということだけを御理解いただければと存じます。
  28. 谷公一

    ○副大臣谷公一君) 復興関連予算につきましては、委員今御指摘のように、様々な批判も受けているところでございますが、その執行につきまして、被災地復興に最優先に使ってほしいという被災地の声を我々も真摯に耳を傾けながら、本当に必要とする予算はしっかり手当てしていかなければならないと思っております。  その上で、今、流用防止のためには法改正が必要ではないかという問題提起でございますが、御承知のとおり、これは三党で、議員立法でできた法律でございます。我々といたしましては、使途厳格化ということを今財務大臣答弁させていただきましたようにしっかり取り組んでいく、そのことが必要ではないかと思います。  いずれにいたしましても、国民の皆さん、また被災地皆様に誤解を招くことのないよう、復興関連予算の適切な執行に今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  29. 安井美沙子

    安井美沙子君 私は、当該官庁が厳格な執行の監視、取組をしていただくことがもちろん最優先だと思いますけれども、それと法改正と併せてしていただくことが法治国家として正しいのではないかと思っております。今後お取り組みを拝見しながら、私自身も取り組みながら、また必要を感じましたらば再度この法改正について提案をさせていただきたいと思います。  さて、話題は一転するんですけれども、異次元の金融緩和についてお尋ねします。  先般の衆議院予算委員会安倍総理は、日本はゴルフでいえばバンカーに入ってしまっていて、バンカーから出てグリーンに出るためにはグリーンの先の崖を心配してパットで打っていては駄目で、安倍政権はサンドウエッジでグリーンに乗せようと頑張っていると、そういう趣旨のことをおっしゃいました。まさにアベノミクスのイメージを言い得て妙と私は感心してしまったんですけれども。  一方で、異次元緩和については、私はむしろ、思いっきりバンカーからたたき出したボールがその先の崖から落ちてしまわないか心配しています。出口戦略について伺うと日銀総裁は必ず時期尚早とおっしゃるだけで、それ以上の答弁は控えられるのが分かっていますので、今日は麻生財務大臣出口戦略に対する一般的な御所見を伺いたいと、そう思っております。  まず、金融緩和出口戦略の成功事例として引き合いに出される一九五〇年代初頭におけるアメリカのケースについての評価を伺います。一九五二年三月の、アコード締結後に実施されたボンドコンバージョンなど、日本が今後参考にすべき点があるとお考えでしょうか。
  30. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今ごろアコードというとホンダアコードしか出てこないんですが。  日本でもこれは共同声明と、日銀とのアコードなんという話が最初出ましたので、もう今どき全然時代が違いますので、もうこんな言葉は分かりませんよというお話を申し上げて共同声明に、ジョイントコミュニケにさせていただいたんですが。  FRBとの間で締結されたこのアコードによれば、これは、FRBは金融政策担当ということを担う一方で、国債の管理政策は財務省が担うということが明確にされたというところが一番大事なところだったというように理解をしております。FRBの、いわゆる連邦銀行の独立性の強化とインフレの抑制が課題であった当時の米国とは、日本におきましては、これはこっちはデフレをしておりますので、状況が全く違っているとは言いませんけど、かなり違っております。  したがって、政府と中央銀行、日本銀行が一定の共通認識を持つという意味におきましては、本年一月に発表させていただきました日銀との間の共同声明がその参考になると思いますが、共同声明の下では、日本銀行は二%の物価安定目標の実現を目指して金融緩和を進めるということにしてありますが、アメリカの場合は下げて二%、こっちはマイナス、デフレから上げて二%にしようとしておりまして、これは状況は全くその点においては違っております。  また、政府は財政運営に対する信頼を確保するために、これは日本銀行によりますいわゆる円滑な金融緩和というのを実施を支えるという観点から、持続可能な財政構造をきちんと確立するために我々は取組を推進するということにいたしておりまして、政府としてはその役割を着実に実行していかねばならない、果たしてまいりたいと、そのように考えておるところです。
  31. 安井美沙子

    安井美沙子君 状況が全然違うということは理解いたしました。  それでは、今度、最後に、現在出口に最も近いと考えられますアメリカについて伺います。アメリカがどういう戦略を選ぶかはまさに日本経済のみならず世界経済に影響するわけですけれども、今のアメリカが留意すべき点はどこにあるとお考えになりますか。
  32. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 金融緩和するといって緩和したときには大量の外資が流れ込んでくるといって新興国等々はいずれも大問題と言われ、今度は金融を締めるといったらドルが全部引き揚げるといって大変だと言われ、どっちが大変なんですかと。どっちが大変なんですという話はG20でも話題になったところでもあります。どの程度にやるか、これはマーケットとよくよく相談をしながらやっていかねばならぬ大事な問題なんであって、法定準備金に対して今、アメリカはマネー、十七、八倍いっていると思いますが、そういったような状況ですから、いずれは締めなきゃいけませんでしょうけれども、そういった状況を少しずつ確実に、新興国、自国の都合だけでなく他国のことも考えながらやっていくということは、アメリカとも我々、一番近い関係にもありまして、金融における力関係においてもアメリカとはそういう関係に、近い関係にあろうと思いますので、双方でよくよく相談しながらやっていくというところが一番大事だろうと思っております。
  33. 安井美沙子

    安井美沙子君 ありがとうございました。  最初に申しましたように、この異次元の金融緩和、まさに異次元であるからこそ出口戦略が非常に心配だと私は個人的に考えております。先例を挙げさせていただきましたけれども、多分前例がないというようなことで非常に高度な戦略が求められるのだと思います。アメリカが一歩先を、タイミング的には一歩先を行っておりますので、この状況をよく見極めながら、また財務大臣がおっしゃったようによく連携を取りながら、いい出口戦略を採用していただきたい、このことをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  34. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。  まず財務大臣に、金融担当大臣としての麻生大臣にお伺いしますが、みずほの融資問題、これについての現状認識と今後の対応について一言よろしくお願いいたします。
  35. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) みずほ銀行に関しましては、これは今、検査などを通じて、例えば提携ローンにおいて、いわゆる多数の反社会的勢力との取引が存在するということを把握していながら、それを防止するとか又は解消するとか、そういった抜本的な対応を行わず、かなりの長い時間にわたって放置していたではないかということなど、これは経営管理体制に重大な問題点があるんだと、私どもはそう思っております。  また、この過程において、みずほ銀行の方から金融庁に対して事実と異なる報告が行われていたということに関しては、これは大いなる問題なんであって、甚だ遺憾なことだと思っております。  いずれにしても、今、みずほ銀行につきましては、ヒアリングや立入検査等々をいたしておりますけれども、提出された業務改善計画及び、また、この件について私どもとしては対応などをきちんと検証して、我々としてはその結果を踏まえて対処してまいらねばならぬと思っております。
  36. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、みずほ以外のあとの二行に対してもこれから対応するというお考えですか。もう既に検査入っているんでしたでしょうか。
  37. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いわゆる通称三メガと言われる三つのメガバンクにつきましては検査は入っております、既に。
  38. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 御承知のとおり、かつてはUFJ銀行では検査忌避などが刑事事件にもなりましたし、みずほの体質については、私も前職の関係上、金融界の実態とか体質的なものは個人的に思うところございますので、これは厳正に対処をしていただきたいと思っております。  それから、経産省来てもらっていると思いますが、お伺いしたことだけ端的にお答えいただければと思いますが、信販会社は経産省の担当ですね。
  39. 寺澤達也

    政府参考人(寺澤達也君) お答えします。  私どもが所管しております。
  40. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは、今回の件はもう信販会社にもしっかりメスを入れざるを得ませんので、信販会社に対してもしっかり対応するということで経産省はよろしいですか。
  41. 寺澤達也

    政府参考人(寺澤達也君) お答えします。  経産省としても、この反社会的勢力の排除というのは極めて重要な課題だと考えています。  このため、十月一日にクレジット業界に対して、反社会的勢力の排除の徹底ということを求める文書を出しました。これを受けまして、ちょうど本日、先ほどなんですけれども日本クレジット協会の方が、全銀協のデータ、あるいは暴追センターのデータ、暴追センターというのは暴力追放運動推進センターですけれども、そうしたデータを受け入れて業界全体としてのデータベースを作るということを発表したところでございまして、しっかりと取り組んでまいります。
  42. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 本件については、是非、当委員会でも集中審議をしていただきたいと思います。  これは与野党共通の課題でもありますし、過去を振り返りますと、バブルの発生及び金融緩和に付随して様々な金融不祥事が起きたことは九〇年代から二〇〇〇年代前半にかけての歴史が教えているわけでありまして、アベノミクスはこれから金融緩和、今もやっているわけでありますけれども、やり続けるわけですから、そういう意味においては早い段階での警鐘をしっかり鳴らしておく必要があると思いますので、集中審議を是非開いていただきたいと思います。
  43. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 後刻理事会において協議いたします。
  44. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それでは、お手元に予算委員会のときにも使わせていただいたグラフを裏表で用意していますので、是非大臣も、今日は日銀総裁にもおいでいただいておりますが、総裁にも御覧いただきたいと思います。  詳細は予算委員会で非常に短時間でしたけれども申し述べたつもりでありますので、繰り返しません。繰り返しませんが、特に金融緩和の実情と株価の動向の方を見ていただくと、これだけマネタリーベースをずっと増やしてきているにもかかわらず、実は八九年の三万八千九百十六円の株価のピーク以来、株価のピークは断続的に下がってきていると。今回も、現状は五月二十二日の一万五千六百二十七円で、直前のピークの二〇〇七年の一万八千二百六十一円を下回っているわけなんですね。  総裁にお伺いしますが、一貫してこういう関係にあるのはどういう理由からだと思いますか。
  45. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 委員御案内のとおり、株価は様々なファクターによって影響されますけれども、何よりも市場参加者がその企業に対して、その業績についての見通しがどのようなものかということが一つありますし、他方で、投資家側でリスクテークに関する姿勢というようなことがあろうかと思います。  まさに御指摘のとおり、日経平均株価はバブル期の一九八九年末にピークを付けた後、このグラフの示すとおり、長い目で見ますと下落傾向にあります。これは、バブル崩壊以降の長期にわたる景気低迷の中で、日本経済あるいは企業収益の先行きに明るい見通しを持ちにくかったといったようなことが背景にあったのではないかと思われます。  もっとも、昨年末以降、株価は上昇傾向にありまして、人々の期待が転換しつつあることがこういった株式市場における前向きの動きとして現れているのではないかなというふうには思っております。
  46. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、総裁のその今の株価の認識はちょっと、足下については違うと思いますよ。上昇傾向だったのは分かりますけれども、ここのところ一進一退になってしまっているわけですよね。株価は様々な要因で変わるのでという、そういう紋切り型の御答弁をいただいても面白くも何ともありませんので。  このグラフ、私もこのグラフの前半は日銀で仕事をしていたんです。後半は、今、国会で仕事をさせていただいておりますが、こういう状況を何とかしなきゃいけないと思って国会でも議論を続けさせていただいているんですが。  その一方、背後では、裏面御覧いただくと、財政はこういう状況なわけですね。つまり、一言で申し上げると、アベノミクスの第一の矢と第二の矢は、これは断続的に行われてきているんです、我が国は。だけども、八〇年代をピークに我が国の経済も株価も中長期的に見ると非常に難しい状況が続いていると。  だから、総裁もこの大半の期間は財務省の幹部としてお仕事されていたわけですから、もうちょっと深い御答弁をいただきたいと思うんですが、御自分の財務省での御経験、御記憶も踏まえて、なぜこれだけ財政拡大と金融緩和、とりわけマネタリーベースの傾向的増加を行いながら、九〇年代以降日本経済は低迷しているんですか。
  47. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) この点につきましては、やや個人的な感想というか見解になるかもしれませんが、確かに御指摘のとおり、八〇年代に相当な資産バブルというのが生じまして、それが九〇年代になって崩壊し、その結果として、金融機関の不良債権、その他企業の過剰債務、過剰設備もありましたし、様々な問題が一気に噴出して厳しい状況が九〇年代に続いたということでございます。  企業の過剰債務あるいは過剰設備、それから金融機関の不良債権の問題というのは二〇〇〇年代の初めにほぼ一旦解消されたと思いますけれども、その間に日本経済の先行きについての見通しがやはり相当下方に修正されたというかシフトした下で、先ほど申し上げたような状況が起こったのではないかというふうに思っております。やはり委員指摘のとおり、財政面での下支えの努力、あるいは金融面での努力というものも続けられてきたわけですが、先ほど申し上げたような実体経済の下でなかなか先行きの見通しが明るくなってこなかったということがあったと思います。  最近時点でいいますと、もちろん二〇〇八年秋のリーマン・ショックで世界的な金融危機と不況が起こり、それが日本にも大きな影響を及ぼしたということがあったと思います。現在、私どもが行っております量的・質的金融緩和というのは、こういった状況を打破すべく、もちろん政府は政府として第二の矢、第三の矢と言われる努力をしておられるわけですけれども日本銀行としても量的・質的金融緩和というもの、思い切った緩和を行うということを通じて期待の転換、さらには日本経済に対する先行きの見通し、そしてデフレの脱却に向けた後押しを行っているというところでございます。  株価については、委員の御指摘のとおりだと思います。
  48. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総裁、御就任になる前とか御就任直後は、これまでの日銀文学にはないボキャブラリーも駆使されて、非常に刺激的で僕は有意義な御発言多かったと思うんです。最近ちょっと日銀文学的発言が多くなっていまして、これではマーケットの期待にこたえられないと思いますから、是非、今のような御発言も含めて、御就任当時のような感じで是非やっていただきたいなと思うんですが。  総裁は、まあ別に総裁の責任ではありませんが、しかし、財務省の一員として、我が国の財政赤字の対GDP比だけでいえば、戦前を超えるような状況を生み出す過程で財務省の幹部として財政の責任の一翼を担っておられたことは事実なんですね。裏面見ていただくと、今度は金融です。金融についても責任を負われるわけですから、私は是非成功していただきたいと思うけれども、失敗したら財政金融両方に大きな責任を負うという形で後世に名をとどめますからね。そのことは是非、御自覚していただいていると思いますけれども、本当に大事なお立場なんです、今。  だから、この金融緩和の実情と株価の動向のこのマネタリーベースの青い線が、今、日銀がコミットしたところでは、マネタリーベースを二百七十兆まで来年の末までに持っていくと言っているんですよ。そうなると、株価はどうなるんですか、そのときは。どういうふうに予想しておられますか。
  49. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 株価につきまして中央銀行総裁が具体的なその予想めいたことを申し上げるというのは差し障りがあると思いますので、具体的なことを申し上げるつもりはございませんが、先ほど申し上げたように、企業業績が改善を続け、投資家のリスクテークの状況がポジティブになっていけば当然株価は上がるであろうと思いますが、株価の先行きについて具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  50. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そこはあえてこれ以上もうお伺いしませんけれども、しかし印象的に言えば、もし二百七十兆までやってもこの株価のピークの長期トレンドが変わらないようであれば、それはどこかその金融政策と経済の間のトランスミッションに問題があるというふうにお考えになってやらないと、これは本当に正常化するのが難しい状況を迎えると思います。  そのことは総裁は十分御理解いただいているからこそ、実は一昨日、非常に重要な御発言をしておられるんですね。これは日経新聞に、大阪市内で講演した内容として、総裁の御発言として、「出口のあてもなく入り口に入ることはない」というふうにおっしゃっているんですね。出口のあてもなく入口に入ることはないということは、出口についてはどのようにお考えになって入口に入られたんですか。
  51. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 今御指摘の発言は、実は御質問がありまして、出口戦略をどういうふうに考えているかというお尋ねがありましたので、現時点で出口戦略を具体的に議論するのは時期尚早であるということを申し上げるとともに、しかし、出口について十分考えていく必要はあるし、そもそもこういった量的・質的金融緩和という大胆な金融緩和を進めるに当たって、将来のことを一切考えないでやったということではないので、当然いろいろな考えがあることは事実ですけれども、しかし、具体的に出口戦略を議論するということになりますと、そのときの経済金融情勢を踏まえたことを行う必要があるわけでして、現時点では量的・質的金融緩和が始まって七か月、消費者物価上昇率もマイナスを脱してようやくプラスになり、足下プラス〇・七というところに来ている。まだ二%の物価安定目標からは遠いわけですので、今具体的に出口戦略について議論するのはやはり時期尚早であろうというふうに考えております。
  52. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 出口のことはもう一回後でお伺いしますが、麻生大臣にお伺いしますが、この金融の方のグラフ見ていただくと、実は二〇〇六年ごろ、竹中さんと福井総裁のコンビのときにマネタリーベース大分上げているわけですね、これは例の非不胎化の介入によって。麻生大臣は、その直後は今度は財務大臣もしておられたと思いますけれども、そうですね。当時は最後の局面ですね。  実はこのころ、今もうこの状況を超えているわけですから、グラフ見ていただいたらお分かりのとおり、為替は百十円、CPIは一・四%ぐらいだったんですよ。今、だからそれ以上のことをやっても、為替も九十円台、CPIも〇・七%というのは、なぜその当時と同じぐらいの効果が出ないんでしょうか。これは麻生大臣にお伺いします。
  53. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これ、株価の話をおっしゃっているんですと、株価に関しましても私もうかつなことが言える立場にありませんので申し上げられませんが、マネタリーベースが幾ら増えたって、マネーサプライが増えなきゃ意味がないのはもう日銀におられたのでよく御存じのとおりです。日銀が幾らお金を増刷しても、それは日銀当座預金にたまっていくだけなんであって、各銀行から企業に金が回っていくということが起きない限り、すなわち資金の需要が民間から出てこない限りは、マネタリーベースを増やしてもマネーサプライは増えないと。もうこれは既に実験済みですから。これは我々としては、こういったようなことを日銀にだけ言うのは意味がないと言って、当時随分、私どもは負けた方ですから、当時はやり合って、私は一人で、財務省がこれに対応して、ちゃんときちんと対応して財政の出動もやらない限りは、日銀だけおっかぶせて金だけ刷ればいいなどというのは断固違いますということを言い続けて負けたんで、しゃあないです、私の方も。  それで、今、私は今度、財務省というその今言われる立場の側に回りましたものですから、日本銀行にお願いをして、当時たまたま白川さんが同じ、私は当時の時の日銀総裁に私どもの方でお願いした方でもありますので、その方にお願いをさせていただいて、日銀との間に二%ということをさせていただいたというのが経緯です。  したがいまして、今回は、今までとは違うところで言わせていただければ、これは財政出動という、機動的な財政出動を伴っているというところがあの当時と一番違っているところだと思います。それが一点。  もう一点は、何といってもそれ以後ずっと日本の場合は、こちらの都合じゃありませんけど、世界的な問題から円がどんどんどんどん高くなって七十五円まで、リーマン・ショックを受けた後は、あのときは百八円だったんですが、一時期七十五円まで円が高くなっておりますので、これはとてもではないけどということで、私どもとしては、日銀とこういった政策を一緒に連携してやっていくことによって我々は、このデフレ不況、なかんずく資産がデフレーションを起こしておるわけですから、資産のデフレーションからの脱却ということを図らなければ、とてもではないけど、我々としては、片一方だけ、日銀だけとか財務省だけがやっても意味がありませんからということで、一緒にということで、その後、黒田総裁になられて、波長がほぼ、大体日銀との共同声明どおりに、ああいった形で今のような状況が起こってきつつあるんだと思いますが、少々これはまだ時間が掛かることが一つ。  もう一個は、他国がこんなに、何となく、ヨーロッパの金融危機というのはちょっとリーマンのときにこれだけ急激に来るという予測をしませんでした。その後のこれだけユーロが長引くとも思いませんでしたし、また中国の経済状態が一〇%から八、七といって、どんどんどんどん急激におっこってきているという状況も、我々としては対外事情というものも考えにゃならぬと思っております。  幸いアメリカの方がそこそこ、一部良かったり一部悪かったりして、ちょっとなかなかまだ確実に景気が回復している状況にはありませんけれども、そういった状況になって、アメリカの方も少し、景気が拡大までは行きませんけど、安定しつつあるというところまで来ておりますので、我々としては、今の政策をいましばらく続けていくことによって我々としては国内の需要というものを喚起するということをやらないと、対外に余り期待できるということはないと思って我々は国内需要で景気を回していくということを考えていくべきなんだと思っております。
  54. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 若干かみ合っていない部分もございましたけれども、御丁寧な御答弁ありがとうございました。  一番最初に、だからマネタリーベースとマネーサプライは違うとおっしゃっていただいて、そのとおりでありますので、今日は日銀参考人も来ていただいていますので、端的に数字だけお願いします。この八九年のバブルのピークのころ、一九九〇年と現時点で比較して日銀のバランスシート上の国債と銀行券と当座預金がそれぞれ何倍ずつになっているかというのを、ちょっと端的に数字だけを教えてください。
  55. 野村充

    参考人野村充君) お答えをいたします。  御指摘日本銀行のバランスシート項目を、一九九〇年度末と直近、今年の十月末で比較をいたしますと、国債は約二十六兆円から六・八倍の約百七十六兆円、銀行券は三十四兆円から約八十四兆円、二・五倍、当座預金は約五兆円から十八・九倍の約百一兆円に増加してございます。  以上です。
  56. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 つまり、国債と当座預金は物すごい倍率で増えているんですけれども、当座預金なんか二十倍ですよ。私が実際日銀のオペレーションの部署にいてやっていたころの数字からしたら、もう信じられない数字なんですが、だから、銀行貸出しは全然、まあちょっと増え始めましたけれども、本来の意味でのマネーサプライにつながっていないわけですよね。だから、これから国債とか当座預金ばかりを増やすんじゃなくて、しっかりと市場に金が回るようにしてほしいんですが。  そうなると、最初の話で、安易に貸しやすいところにどうしても回っていくというといろんな不祥事につながっていったという歴史なんですね。そのことを繰り返さないためにも、繰り返し集中審議をお願いしておきたいと思いますが。  そうすると、総裁、国債も今の数字からすると大体八倍近くに今なっているんですけれども、先ほどの御発言、出口のあてもなく入口に入ることはないと。だから、いつごろかとかそんな不粋なことはお伺いしませんが、テクニックとして、このマネタリーベースがここまで増えているこの状況をどういうふうに技術的に縮小していくんですか。
  57. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 委員よく御承知のように、マネタリーベースは日本銀行のバランスシートの負債側なわけですけれども、この資産側で国債の保有額を年間五十兆円増加させるペースで増やしておりますので、当然、負債側のマネタリーベースが大きく増えているわけでございます。将来、二%の物価安定目標が実現され、それが安定的に維持されるという状況になれば、当然、現在の量的・質的金融緩和からの出口というのが具体的になってくるわけでございます。  その際、マネタリーベースの増加が落ちる、あるいは減少すると。このまさにグラフにありますように、二〇〇六年から、マネタリーベースが減少しておりますときには当然日本銀行の資産側の、特にあのときは短期国債だと思いましたが、それがどんどん償還で減っていくということがあったと思います。今回は、短期国債のみならず長期国債もかなり保有しておりますので、それがどういう形でどういうテンポで減っていくべきかというときの手法としては、理論的にはいろいろあると思います。  そういった問題も含めて、出口についてはいずれ具体的に議論することになると思いますけれども、現時点では、今申し上げたとおり、資産側のバランスシートの中身をどのように必要な分だけ減らしていくか、あるいは、今の米国のFEDの状況を見ますと、言わば減らすというよりも、増やし方を減らしていくというか、テーパリングオフをするということがアメリカで言われていますけれども、そういったことも含めていずれ具体的に議論してまいりたいというふうに思っております。
  58. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 重要なキーワードを幾つもおっしゃいました。これは麻生大臣も敬愛する愛知大臣ももう御理解いただいていると思いますが、二〇〇八年のとき、このときは日銀は短期ベースで増やしていったから出口も簡単だったんですよ。今回は長期ですからね、持っているものが。これは場合によっては、長期国債を縮小していくという、保有を縮小していくというときには、これは先物もありますから、先物もコントロールしないと多分日銀は制御できなくなると思います。先物をどういうふうに制御するのかという議論まで今日入る時間はありませんので、この程度にさせていただきますが。  日銀総裁是非、どの総裁もみんな重要なお立場でしたけれども黒田総裁は、これから三十年、五十年後に、後世どういうふうに御評価されるかまだ分かりませんけれども財政のみならず金融にも大きな足跡を残されるお立場になりましたので、是非誤りなき対応をお願いしたいと思います。  最後になりますけれども、今日は十時半から参与会だというふうに伺っておりますが、わざわざこっちに来ていただいて恐縮なんですが、財界の皆さんとの会合も大事ですけれども、国会も意味のある議論をちゃんとさせていただきますので、是非出席をいただきたいと思います。  今日は、ちょうど参与会にこの後お帰りいただいてお伝えいただかなければならない発言をさっき麻生さんがされたんですね。賃金は、アベノミクスの恩恵を受けた企業だけではなく、恩恵を受けていない企業も賃上げをしてくれということをさっきおっしゃったんですよ。  これ物すごく重要な発言で、今、予算委員会で、まだ理事会で少し協議事項になっています例の安倍総理が経団連の資料だと百三十二社がボーナスを上げたとかというのも、あれよく調べてみたら、今のところ報告を受けた段階では、百三十二社のうち実際にボーナスを上げていたのは六十社なんですよ。下げていたのが六十二社か四社。加重平均ですからね。  今の麻生財務大臣の御発言は非常に重くて、そういう六十二社、六十四社、下げているような企業も、今回はこの後しっかり上げていってくださいよということを財務大臣金融担当大臣として御発言になられたので、総裁、参与会に戻られたら、財界の皆さんに麻生大臣はそう言っておられたということをお伝えいただけますでしょうか。
  59. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 御趣旨はよく理解いたしました。
  60. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 どうもありがとうございました。終わります。
  61. 金子洋一

    ○金子洋一君 おはようございます。民主党の金子洋一でございます。  本日は、金融政策は私、やりませんので、公務員の官舎の問題を取り上げさせていただきたいと思います。  先日、衆議院の方で、安倍総理がなかなか総理公邸にお入りにならないということで、我が党の近藤洋介議員だったと思いますが、それは危機管理上大変ゆゆしき問題ではないかと、十五分私邸から掛かるんでは、その十五分が命取りになる可能性だってあるぞという指摘をされました。麻生総理は、ちょっと時間はありましたけれども総理時代には公邸にお入りになったと承っております。  そういった形で、緊急時に必要な皆さんについては、きちんとそういった官舎に入っていただくということが重要なんだろうなと思っております。また、そういった皆さんに対して配分をされる官舎というのは、別に福利厚生的な理由ではなくて、そういった業務の遂行という観点から重要になっているんだろうというふうに思っております。  さて、現在、平成二十三年に策定をされました国家公務員宿舎の削減計画に基づきまして、今、手元にございますこれなんですけれども平成二十八年度を目途に国家公務員宿舎の全体数を約四分の一削減するということ、そしてまた、宿舎の使用料を全体としておおむね二倍弱にするということが検討されていると聞いております。  この計画、これは二十三年十二月一日でありますから民主党政権の時期のものですけれども、座長として取りまとめましたのが当時の財務大臣でありました藤田幸久先生でありました。  ところが、実はこの計画について、一昨日、財務省さん、担当の課長さんに私のところに来ていただいて御説明をいただいたんですが、そのときは、なるほど分かったと思ったんですけれども、後になって読み返してみましたら、重要な観点が漏れていたということなんです。  それは、この報告書の二ページに、「現場で活躍する公務員の住環境の改善が急務」と書いてあるんですよね。  ちょっと読ませていただきますけれども、「今回の大震災の被災者支援で活躍した自衛官、海上保安官、警察官、消防職員、自治体職員等の姿は全国民に感動を与え、今日ほど現場で働く公務員が国民に近くなったことはない。しかし、現場で国民生活を守る公務員の宿舎の住環境が余りにも劣悪な現実がある。三階に住む人が一階の共同トイレを使用するしかなく、そのトイレの中に洗濯機がある、という宿舎もある。こうした宿舎は、早急に改善を行うべきである。」というふうにこの計画の中には書いてあるんです。  ところが、その一昨日説明に来ていただいたときには、資料をいただいたんですけれども、その国家公務員宿舎の削減計画、平成二十三年十二月一日公表のポイントというところには、①宿舎戸数の削減、②宿舎使用料の見直しということしか書いていないんですね。これ、どういうことでこういう資料になっちゃったんでしょうか。理財局、お願いします。
  62. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) お答えいたします。  今先生お話しになられました国家公務員宿舎の削減計画は、御指摘にもありましたように、財務省に設置した国家公務員宿舎の削減のあり方についての検討会において議論され、同年十二月に策定、公表されたものでございます。
  63. 金子洋一

    ○金子洋一君 分かっているから、先に行ってください。
  64. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) はい。  で、このポイントにつきましては、公務員宿舎削減計画において約四分の一程度の削減を行うということと、宿舎使用料の見直しを行うということが……
  65. 金子洋一

    ○金子洋一君 だから、それはもう言ったじゃないですか。
  66. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) はい。それも重要な点なので、それについてポイントに書かせていただいたところでございます。
  67. 金子洋一

    ○金子洋一君 つまり、次長のおっしゃっているのは、現場で活躍する公務員の住環境の改善が急務、その早急な改善を行うべきであるというところは重要でないから書いていないという趣旨ですね。よく分かりました。
  68. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) お答えいたします。  重要でないというわけではございませんけれども、中身として具体的に決まっている話として宿舎戸数の削減、それから宿舎使用料の引上げということをポイントにまとめたところでございます。
  69. 金子洋一

    ○金子洋一君 じゃ、ここに「早急に改善を行うべきである。」と書いてあるのに、なぜ具体的な動きをなさっていないんですか。
  70. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) 宿舎については、適宜その補修、改修等を行っているところでございます。
  71. 金子洋一

    ○金子洋一君 次長のおっしゃる補修、改善というのは、三階から一階の共同トイレに行くと、そのトイレの中に洗濯機があるというようなことを補修、改善をなさっているという意味ですか、それは。
  72. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) 済みません。大変申し訳ありませんけれども先生から本日この点について質問するという話を聞いておりませんでしたので、今個別の事情について承知しておりませんので、御容赦いただきたいと思います。
  73. 金子洋一

    ○金子洋一君 私が通告していないのは当たり前です。理財局の担当の課長が、私がこれを説明をしてくださいと言ってきたときに、こういう文言があると、二ページ目にこういうことが書いてあるということを一言も言及していないから、私は通告できないわけですよ。  それ、どうですか。これを説明してくれって言ったときに、こんな大事なことが書いてあるということを説明しない、それでいいんですか、次長。
  74. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) その点については、全体を説明すべきであったかなと思っております。
  75. 金子洋一

    ○金子洋一君 早急に改善をするという点についてはどうなんですか。具体的にどう考えていくんですか、これから。
  76. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) 国家公務員宿舎削減計画に決められた話につきましては、それを着実に実施していきたいというふうに考えております。
  77. 金子洋一

    ○金子洋一君 日本語通じますか。  こうした宿舎は早急に改善を行うべきであるというところについて先ほどお尋ねしたんです。削減の計画について、数を減らすとか引上げをするとか、そういったことを聞いているわけじゃないですよね。お分かりになりませんか。
  78. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) 失礼いたしました。  先生指摘の点も国家公務員宿舎の削減計画に盛り込まれていることでございますので、それを着実に実施していきたいと考えております。
  79. 金子洋一

    ○金子洋一君 でも、そうはおっしゃるけれども、今のところ具体的には何のアクションもしてないということはお認めになるわけですね。
  80. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) 大変申し訳ありませんけれども、現時点でその個別の状況について把握しておりませんので、今具体的にやっているとかどうとか申し上げることはできません。
  81. 金子洋一

    ○金子洋一君 いやいや、把握してないって、これ理財局担当じゃないんですか。理財局担当で、あなた次長ですよね。把握してないで済むんですか、あなた。
  82. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) 把握してないと申し上げたのは、現時点で個別にどのような改善を行っているかについて、今手元に把握していないということでございます。
  83. 金子洋一

    ○金子洋一君 だってこれ、国有財産の改善ですから予算書に載るわけですよね。当然載るわけですよね。載るものが、あなた分かってないっておっしゃるのは、要するに、理財局の管轄だけど、私は次長だけど、理財局が何やっているか全然ノーアイデアですとおっしゃっているんですけど、そんなものなんですか。
  84. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) 済みません。予算のことで申し上げますと、実は財務省が所管しているのは合同宿舎、それから、各省庁で所管して管理しているのが省庁別宿舎ということになります。したがいまして、省庁別宿舎については各省庁の予算で補修、改善をすることになっております。  もちろん、財務省としましては国家公務員宿舎全体を見ておりますので、そういう観点から個別に宿舎についてどういう状況であるかは把握する立場にあるとは考えております。
  85. 金子洋一

    ○金子洋一君 考えておりますとおっしゃいましたか。
  86. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) はい。
  87. 金子洋一

    ○金子洋一君 そうすると、あなた何をおっしゃっているんだかよく分からないですね。  私は、だからちゃんと把握しなさいと、把握していないのは問題だと申し上げたんですけど、あなたは把握すべき立場にあるけれども、把握はなさってないんですよね。ということは、非常に御自分のなさっていることというのは、理財局次長にとって求められている業務を果たしてないということをお認めになるわけですよね。
  88. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) 申し訳ありませんが、現時点において今、手元で把握していないということを申し上げたということでございます。
  89. 金子洋一

    ○金子洋一君 要するにきちんとなさってないとしか私には判断できませんし、恐らくこの委員会の場におられる皆さんもそういうふうにお考えになったんじゃないかと思います。  資料を提出してください。委員長、そこ、お取り計らいをお願いいたします。
  90. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) 分かりました。
  91. 金子洋一

    ○金子洋一君 変なところで時間を掛けてしまいましたけれども、続けさせていただきます。  まず、この宿舎使用料は二倍弱引き上げるということなんですが、十八平米の独身用、大体約十八平米が平均なんですけれども、あと六十五平米が平均の係長、補佐用と、あと八十七平米が平均の幹部用というのがありまして、それぞれ平均の築年数が二十六年だということなんですけれども、東京二十三区の場合、幾らから幾らになるのか、次長、簡潔にお答えください、簡潔に。
  92. 美並義人

    政府参考人(美並義人君) 宿舎の使用料については基本的な考え方を示しておりますが、具体的な使用料の水準については現在検討しているところでございます。
  93. 金子洋一

    ○金子洋一君 何だか非常にやる気がうせるんですけれども。  課長さんが下さったペーパーには宿舎使用料の見直しということで、東京二十三区、築二十六年、全国の宿舎の平均ということで、十八平米の独身用が引上げ後一万六千円、引上げ幅が七千円、六十五平米、係長、補佐クラスは五万一千円に引き上がって、引上げ幅が二万三千円、八十七平米の幹部用が十一万八千円に引き上がって、引上げ幅が五万二千円だということです。  要するに、独身用も係長、補佐用も幹部用も引上げ率は大体同じなんですが、ここで大臣にお尋ねをしたいんですが、やっぱり手取り二、三百万円の独身者が入るところと千五百万円とか二千万円を超える局長や次官が入るようなところでしたら、これ傾斜を付けるべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。
  94. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のありました独身者、若年層等々の入居に関する宿舎の使用料につきましては、その負担能力に応じて配分をすべきだという御指摘なんだと存じますが、これまでも相対的には低く設定をしてあります。したがいまして、今般の使用料水準の見直しに当たっても引き続き同様の配慮を行うという方向で検討を指示しております。
  95. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございました。  今申し上げたような数字で行かれるというふうに解釈をいたしましたけれども、私としては、やはり収入の低い方に対する引上げ率は低めにして、高い方に対する引上げ率は高めにするということをやるべきではないかと思います。  さらに、ほかの問題なんですけれども、自衛隊員や海上保安官、警察官、消防職員、刑務官などにつきましては、危機管理上そういった場所の近傍に居住をする必要がありまして、夜間、休日時の緊急参集義務や外出制限が掛けられているということでありますが、そういった方々に対する配慮が必要なんではないかなと思っております。例を挙げますと、国家公務員の約四割を占めるのが自衛隊ですが、自衛隊について申しますと、その宿舎は大規模災害などの緊急事態に備えるために基地の近傍にあるということで、自衛隊の即応態勢を支える重要な基盤になっております。  ところで、その件について、これは北海道の状況なんですけれども、これは北海道自衛隊駐屯地等連絡協議会の会長さんの山口さんという方、この方は千歳の市長さんなんですが、この方によると家賃は大体、自衛隊の場合ですけれども、二万円程度、ただし財務省の方針どおりになると三万九千円程度になるだろうと。一方、道内で同じ程度の広さの民間マンションが都市部でも七万円程度で入居できる。民間に入居すると二万七千円の住宅手当が入るので、自衛官の負担はこれは官舎でも民間でも大差がなくなってしまう。その上に通勤手当も付くので、財政的には、財務省、お金を出す比率というのが増えてしまうんじゃないかという提言がございました。  こうした自衛隊ですとか海上保安官ですとか、あるいは警察官といった皆さんについては、危機発生時に初動対処のために緊急参集が必要な方々、特にそういった方々、近傍に住まわせるために配慮が必要だと思います。こうした配慮が必要な方々に対して宿舎の制度の中でどういう措置が可能なのか、特にその宿舎使用料についてはどうなのかということについて、大臣お答えいただければと思います。
  96. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 平成二十三年の十二月にいわゆる民主党等々で策定をされました国家公務員宿舎の削減計画におきまして、御存じのように、今後五年をめどに宿舎戸数を約二十一万八千戸から十六万三千戸まで、いわゆる二十五%程度削減を行うということにしておられます。その中で、緊急参集するという必要がある職員のために存続いたします十六万三千戸の半分以上に当たる八・三万戸の宿舎を確保するということにしております。  したがって、現行の国家公務員宿舎法では、生命、財産を保護するための非常勤務に従事する場合におきましては、近接する無料宿舎の貸与を認めております、御存じのとおりだと思いますので。  今回の宿舎使用料の見直しに際しましても、公務に支障が生じるということでは本末転倒になろうと存じますので、無料宿舎の活用についても必要に応じ検討してまいらねばならないと思っておりますが、今、無料宿舎の貸与戸数は一万六千四百二十八戸だと存じますが、いずれにしても、隊内に住まねばならぬとかいろんな条件が、同じ、自衛隊の話をされましたけれども、これはほかにも、警察官にしても消防にしてもございますので、今申し上げたというのが現行の数字でございます。
  97. 金子洋一

    ○金子洋一君 今、無料宿舎のお話を大臣からいただきました。この無料宿舎は、現在は勤務先から百メートル未満の距離に所在するものとされていますけれども、これが昭和四十年代に決まった基準だそうです。例えば、これをもっと拡大することによって緊急参集要員に対して配慮をするとか、そんな形で無料宿舎の数を増やすということで対応をする必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  98. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、無料宿舎を貸与されるのは主に現場を担う人なんだと思いますが、現場を担う人の人数が急激に増えているということになる。例えば、海上保安庁が今その傾向が最近出てきておるように感じますけれども。そういった場所、また、いわゆる所属しております、警察なのか自衛隊なのか海上保安庁なのか、自衛隊の中でも海自なのか陸自なのか、ちょっといろいろそれによって事情も違おうと思いますが、内容を減らせるところもあるかもしれませんし、増やさないかぬところもあろうかと存じます。  ちょっと今、数だけでいきました場合、こっちが減ってこっちを増やしてトータルでは同じになるということもあろうかと存じますので、今、一概にお答えできませんけれども基本的には、非常事態に備えて無料等々で貸与をせねばならぬ隊員の数が増えているのであれば、そういった要員が増えているのであれば、それはそれなりに検討せねばならぬと存じます。
  99. 金子洋一

    ○金子洋一君 無料宿舎の再配分だけではなくて、先ほど申しましたように、百メートル未満という基準をもっと大きくするということによって、無料宿舎の量自体を是非とも増やしていただきたいと思いますし、また、この公務員宿舎の問題というのは、単に財政の切り詰めという観点だけではなくて、先ほど申しましたけれども、報告書に、現場で活躍する公務員の住環境の改善が急務だと書いてあるとおり、地方で大変な住環境、劣悪な住環境で過ごしておられる方もおいでですし、先ほど申しました平等の観点というのもあると思います。自衛隊とか海上保安庁とか警察とか、そういった緊急参集の必要な方々に対する御配慮というのを是非ともお忘れなく、今後全体の気配りをお願いをしたいと思います。
  100. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今般の宿舎の運用見直しにつきましては、今言われたように、百メーター以内のといった話につきましては、この運用基準についても検討をして、既に、おります。  もう一つ、金子先生、この際一緒に質問してほしいのは、やっぱり今どき隊員が昔の役人みたいに背が小さくないんですよ。ベッドの大きさまで決めて、そういったところまで、ちょっと詰めるならそこまで詰めてもう少し質問していただくと私らの方としても大変対応がしやすいと、そう思います。
  101. 金子洋一

    ○金子洋一君 大臣から御指導をいただいてしまいましたが、今後、そういった面もきちんと考え、勉強しながら質問させていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。     ─────────────
  102. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、風間直樹君が委員辞任され、その補欠として浜野喜史君が選任されました。     ─────────────
  103. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 おはようございます。民主党の尾立でございます。  今日は時間が十五分と短いもので、以前国会で質問させていただいたことや、また当委員会で決議をさせていただいた内容、さらには、岩田日銀副総裁にも来ていただいていますが、出口戦略について具体的に少し話をさせていただきたいと思います。  まず、当委員会では、国税庁や税関や財務局の職員の定員確保について、度々、毎年度附帯決議を付けてしっかり確保をするようにという要請を行ってまいりました。今日、資料をお配りしておりますけれども、その成果もあって、また業務の重要性も考慮をしていただいて、政府の中でも比較的定員の確保が進んでおったわけなんですが、そうはいってもやっぱり政府全体で削減をしなきゃいけないということで、二十四年度、二十五年度の直近二年については大幅な定員減というのが行われております。  ただ、国税庁につきましては、国税通則法の改正、また四月からいよいよ消費税の増税などで業務が一段と増えますし、適正にやっていかなきゃいけないと、これは国民が皆さんがそう思っていることでしょう。さらに、税関についても、密輸の手段が巧妙化したり、さらには外国のお客様がどんどん今、これは円安の効果だと思うんですけれども、来られていると、そういう意味で業務が非常に増加しております。地方空港などもオープンしておるということだと思います。また、財務局、これ比較的国民の皆さんにはなかなか接点の少ないところではあるんですけれども、この当委員会でも、金融商品取引業者などの様々な事件や事故でしっかりこの検査体制も確保していかなきゃいけないという要請の中で、業務が非常に増加をしております。  とりわけ、国税、税関というのは、政府全体の歳入確保という観点では非常に重要な任務を担っていると思います。他の役所は全部お金使うばかりですから、そういう意味では非常に要であると私は思っております。  そういう意味で、現場の職員がしっかり使命感を持って、士気をしっかり維持したまま業務に当たっていただくためにもこの定員確保は大事だと思いますが、そういう意味で、麻生財務大臣、さらには総務省の今日は政務官に来ていただいているんですかね、それぞれの立場で決意をお聞かせいただきたいと思います。
  104. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、尾立先生指摘が前々からこれはあっているところだと記憶いたしますけれども、御存じのように、今、財務局におきましては、国際化したというか、いろんな意味でインターナショナルなファイナンスということが分からないと、なかなか今どきドメスティックでやれないほど金融がいろいろな形で混合しておりますので、そういった意味では、金融商品取引業者等々もこれはかなり増加をしております。また、国有財産の有効活用についての要請も、理財局、おっしゃるとおり余り目立つところではないんですが、こういうところも非常に要請も多いと。加えまして、今、ビジット・ジャパンという話で、どんどんどんどんいろんな方がお見えになる。そういった空港入国者数とか輸入申告者も物すごい増えてきておりますので、国税庁におきましてもこれは経済取引というのが物すごく国際化をしたりする。また、いわゆる調査とか徴収義務がもう物すごく複雑化して、インターネットやら何やら、デリバティブだ何だでえらい複雑化してきておりますし、税の方もやるし、また税をくぐってケイマン諸島だ、何だかんだいろんな話になってきますので、物すごくこういったようなもので我々を取り巻いております環境というのは、従来とは違って複雑かつえらくスピードが上がってきているというような感じがしておりますので、こうした状況を踏まえまして、我々といたしましては定員増求というのをやらないととてももちませんということで、定員の合理化を図るのは当然ですけれども、一方、新たな行政需要に対応するため、百四十七人の定員増求を今回要求を行っているところであります。  いずれにしても、厳しい財政事情の下でもありますので、我々としては、引き続き業務の運営の効率化を図るというのは当然ですけれども、加えて所要の定員の確保を努めない限りは、いわゆる職務を全ういたしかねるということにならないように、また、かなり過重というか、過重労働にもなっていくということは、仕事の精査の点でも落ちる可能性考えておいて対応していかねばならぬと考えております。
  105. 松本文明

    大臣政務官(松本文明君) 本委員会で初めて答弁に立たせていただきました。  今大臣からお話がありましたとおり、国税の調査・徴収体制の強化、空港等における旅具審査体制の整備、金融商品取引業者の検査体制の強化などを主な内容として、百四十七名の増員要求が出ております。しかしまた、他方で国民への更なる負担をお願いしようとする中で、政府全体として行政改革の取組、これを継続していく必要がある。この二つの相反する、何というんでしょうか、要求をどうこなしていくか、大変難しい局面にあるわけでありますが、この要求内容、必要性緊急性等を十分に精査させていただくつもりでおりますので、今日のところはこの辺の答弁で御勘弁をいただきたいと思います。
  106. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 結果についてはしっかり注視をしておりますが、改めて、麻生財務大臣金融担当大臣として、政府の中で、この件については当委員会の、国会の意思でもありますので、しっかり要求をして、しっかり総務政務官も聞いてください。よろしくお願いします。  それでは、今日は岩田副総裁に来ていただいております。今、同僚の安井議員や大塚議員からも量的緩和出口戦略についていろいろ話がありましたけれども、この議論をそもそもリードされた副総裁ですから、是非、始まりがあれば終わりがあるわけなので、その辺りについて、学者の経験ももちろんおありの方ですから、少しお考えをお聞かせいただきたいと思っております。具体的にお聞かせいただきたいと思います。  というのも、やはりこの出口戦略をきちっと議論しておくということはマーケットとの対話を重視する日銀にとっても私は必要だと思っておりますし、アメリカもこの点で非常に苦労しているというか、もがいているんではないかと思います。IMFのレポートも多分読まれていると思うんですけれども、この出口戦略について、アメリカでも相当年数が掛かる、例えばMBSの解消には三十年ぐらい掛かるというような推計も出ておるわけなんですけれども、そういう意味で、岩田副総裁出口戦略考えられるパターン、またタイミング等について、是非考えをお聞かせください。
  107. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 現在、日本銀行は、二%という物価目標をできるだけ早期に実現するように最大限の努力を払っている最中であります。したがいまして、出口戦略はまだ議論するのにはやはり時期尚早だというふうに考えています。量的・質的金融緩和の出口に向けた対応については、その時々の経済・物価情勢、市場の状況によって変わり得るものですので、現時点において具体的なイメージを持ってお話しすることは適当ではないと考えています。
  108. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 タイミングについてはまだ難しいのかもしれませんが、手段については議論できるんじゃないですか。例えば、当然資産の新規買入れをまず一旦停止する、縮小するというのが一つありますよね。その次には売却をする、さらにはゼロ金利を解除し上げていくというようなことが我々素人でも考えられるんですが、いかがでしょうか。
  109. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 御指摘のとおり、国債の償還を再投資しなければ日本銀行の国債保有量は減ってまいりますし、委員のおっしゃったようないろいろな方法はあるかというふうに思いますが、ただ、繰り返しになりますが、国債の取扱いを含めて、出口に向けた具体的な対応はその時々の状況に応じて変わりますので、やはり現時点ではお話しすることは適当ではないというふうに考えています。
  110. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 今、この出口について三つぐらいの私、パターン言いましたけれども、これまでの学者の経験、また今の日銀に行かれてからの経験も踏まえて、そのほかに何かあるのか、ちょっと教えていただけませんか。
  111. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) そのほかにもあり得るとは思いますが、私も考えてはおりますが、いずれにしても、現時点では、いろんな状況によってどの手段がいいかとかいうのは変わりますので、やはり現時点では具体的にはお話しするわけには、適当ではないというふうに思います。
  112. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 先ほど大塚委員からも日銀総裁に対して歯切れが悪くなったという御指摘があったんですが、本当に岩田副総裁についても、当時議論させていただいたのと、随分おとなしくなられたように思うんですけれども、いかがですか。もっとずばっと言われたらどうですか。
  113. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 日銀にまだ入らない前は学者として何でも申してきたんですが、それは、学者として言う場合にはマーケットにそんなに影響、直接与えるということは心配する必要はなくて何でも話すわけなんですが、副総裁の立場となると様々な憶測をマーケットが呼んでしまっていろいろ反応するということで、それはかえって金融政策上も二%の目標を達成するのにむしろ障害になると考えますので、何でもかんでも学者のようにお話しするわけにはいかないということでございます。
  114. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 私は、同僚議員からもお話があるように、手段の、ツールについて議論をするのは別にこれは何もおかしくないと思うんですよね。我々も共有したいと思いますし、マーケットもそれを多分聞きたいと思うんですよ。それをいつどのような組合せで使うかというのはまさに皆さんの御判断だと思います。そういう意味で、いかがですか、このツールについて、頭の体操をするということを国会でこれから続けようではございませんか。いかがですか。
  115. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) いろんな手段、いろいろあるかもしれませんが、いずれにしても、具体的な手段がどれであってその順序はどうだとかいうのはやはり経済・物価情勢に依存しますので、その時々において技術的に対応していきたいというふうに思います。
  116. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 質疑時間終わりました。  またこのテーマは引き続き取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いします。
  117. 西田昌司

    西田昌司君 自民党の西田昌司でございます。  麻生大臣質問いたしますが、先ほど大塚委員からも質問がありまして、マネタリーベースを増やしていくけれども、なかなかそれが景気回復に直結するのかと。それに対して麻生大臣は、かつてそういうことあったけれども、あのときは財政出動をしなければならないと麻生大臣は主張されておられたんだけれども、なかなかそれを容認してもらえなかったと、自分は負け組だというお話があったんですね。そこで今回は機動的な財政出動をどんどんやっていこうと。それが景気の下支えというか、まさにデフレからの脱却の一番大きな私は原動力だと思います。それで、まさに今回のアベノミクスはある意味ではアソウノミクスだと私が申し上げてきたわけなんですね。まさに麻生総理がおっしゃってきた政策がようやく実現されつつあると思うんです。  ところが、そういう形でせっかく財政出動をやって、特に公共事業など随分増やしていただいている。これはいいんですけれども、実は、そういう中で、いわゆるマンパワー不足ですよね、この間いわゆる公共事業の従事されている方々の人口、物すごく減りましたから、せっかく発注しましても仕事がこなせないと。それだけ仕事がこなせないんであるならば、それに合わせて予算も少なくしていこうじゃないかと、こういうとんでもないことを言う人がいるんですよ。誰が言っているのかなと思えば、これが財務省の財政制度審議会でそういうふうに、公共事業をこなせないんだったら減らしましょうかという、とんでもない発言をされているということは聞きました。私はこれ、とんでもないと思うんですね。  そこで、私は、麻生総理はまずこの財政出動が大事だということをお考えになっておられるわけでございますから、まずは財政出動、それを長期的にしないと、結局はこのマンパワー不足に備えて人をどんどん雇っていって、そして、それをこなしていく長期的な計画を立てるためには長期的な財政出動が必要なんですよね。  それを市場にしっかり示していくということが私は一番大事だと思うんですけれども麻生大臣の御見解をお伺いいたします。
  118. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 目的はデフレ、正確には資産デフレ不況からの脱却、それは経済成長によるということになるというのが一つ、片方は財政再建と、これ両方あると存じますけれども、少なくとも今資産のデフレからの脱却を目指すためには、我々はデフレーションに対して対策をやった経験は少なくとも過去六十八年間はゼロです。  したがって、デフレの経験がなければ、当然、デフレ対策の経験もないのも当然のことなんであって、したがって、その点に関しましては、我々はデフレをきちんと対応した歴史を見れば一九三〇年代ということになろうと思いますので、その三〇年代に何が行われたかといえば、間違いなく、元日本銀行総裁、元政友会総裁、時の大蔵大臣だった高橋是清の政策を基本的に参考にさせていただく。あれが一番、経験者ですから。事実、二年半でデフレ不況からの脱却に成功して、今次不況を世界最初に日本が脱出に成功せりと当時のウォール・ストリート・ジャーナルに書かれているぐらいですから、間違いなく成功したあの例を見習わなければならぬなと思っております。  いずれにしても、デフレーションから脱却するに当たって、経済成長をするためには政府支出が伸びるか、民間消費が伸びるか、設備投資が増えるか。この三つがGDPの基本的な、ほかにも純輸出とかいろいろありますけど、基本はその三つですから。その三つのうち二つ止まっておりますので、政府支出というものがまず起きない限りは、これはとてもではないけどほかの二つが動いていかないことになりますと思っておりますので、私どもとしては、政府としては、安定した政権の中で長期にわたってこの方向でいくということを言わない限りは、民間の経営者としては、設備投資をして償却してどうのこうのと考えました場合は、短期間ではとてもできるはずがありませんし、人も雇えませんから、そういう意味ではきちんとしたメッセージを国として全てに、国民に伝えるということをやる必要があろうと存じますので。  今言われましたように、こういう社会資本の充実というのは、この十五年間ぐらいずっと公共工事は減らしておりますので、よく笹子のトンネルの話が出ますけれども、そのほか、いわゆる昭和三十七年、オリンピック以前に造った公共工事というものは総じてほぼ五十年はたっておりますから、五十年の間よほどメンテナンスをきっちりしていない限りは、そういったものは基本的には耐久年度というのは厳しいものになってくる。これは元セメント屋として言っておりますから、その点は間違いありません。  耐久年度を計算すると、これはメンテナンスがすごく大事なんだと思うんですが、このメンテナンスを、一番、公共工事が減らされたときには仕事ができなくなると。メンテナンスの手を抜いている部分というのは、地方の橋とか道路とか、見ればよく分かるところなんで、是非この点をきちんとしていくというのに公共工事費を使うと。  すなわち、土地代に金が消えて、土地代がまた預貯金に回るんではなくて、今既に使われているものに補強するというのは、工事はきちんと発注されますし、土地代に消えるわけでもありませんので、そういったものを考えると、やっぱり長期にわたってやるという方向性は明確にしておく必要があろうと存じます。
  119. 西田昌司

    西田昌司君 大変安心しました。やはり平成の高橋是清を目指して是非本当に頑張っていただきたい。ですから、財務省の財政制度審議会が言っているような話に惑わされることなく、しっかりと長期的な財政出動ができるように予算決めをこれからしていただきたいと思います。  そこで、今、麻生大臣もお話しになりましたけれども、片っ方で財政出動、もちろん大事なんですけれども、民間のそういう投資や消費を増やしていく、これも大変大事なことなんですね。  そこで、様々な成長戦略と言われているんですけど、ちょっと私が気になりますのは、法人税減税しろとか投資減税しろとか、こういう話があるんですね。私は、投資減税はそれはそれなりに意味あると思うんですね。投資をした分だけ早く損金算入できて、法人税が少なくなると。だから、法人税払うんだったら今投資する方が得だよという、こういうメッセージなんですね、それは分かるんですよ。  ところが、法人税を減額しちゃうと、法人税を減額して投資減税すると、法人税がそもそも下がっちゃいますから、使わなくても使っても、そもそも税金下がるんですよ。むしろ逆に、法人税が高ければ、今よりも実効税率、例えば五〇%あると、半分税金取っていかれるんだったら今投資減税で使った方が得じゃないかと、こういうインセンティブ働くんで、本来、これ法人税減税じゃなくて、法人税を増税して、そして投資減税をすると。これが全く合理的なんですよね。  ところが、今回何か言われているのは、政府の中から出てくるのは、この投資減税、これは分かるとしましても、法人税減税まで一緒にしろと言っているんですね。これは全く私は効果が期待できないどころか、言っている方向が逆だと思うんですけれども麻生大臣、いかがお考えでしょうか。
  120. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 法人税、主に実効税率ということになろうと存じますが、実効税率がいわゆるOECD等々の中で比較して日本の場合は高いではないか、したがって国内にある企業が海外に出ていく、海外の企業は国内に投資をしない等々の点が巷間よく言われているところは知らないわけではありません。  ただ、今おっしゃいましたように、法人税というものを納めておられる方々は、これ中小企業も含めまして約三割ぐらい。残り七割は、法人税を払っておられない方に法人税を下げても、何の景気刺激策にはなりません。私どもはそう思っております。  したがいまして、今設備投資をしていただく等々の、いわゆる投資をしてもらった方に関しては減税をしますとか、いわゆる即時償却認めますとか、またそれに対して補助金を付けますとか、そういった形のものの方が私どもしては即効性はあると考えております。  加えて、これまでやっぱり十五年、二十年近く、新しい設備投資をするというのを各企業は、デフレーションに進んでいくという感じだったので、御存じのように、債務超過、資産がデフレーションを起こしたために、各企業は土地代とか持っております株の価格が下がったために、銀行からの借入金に対して担保不足が起きて、簡単に言えば債務超過という状況に対応するために借入金の返済を第一にされたのが企業の対応の仕方だったと思いますので、結果としてその癖がずっと付いておりますものですから、今これだけ債務超過の状況が終わった二〇〇〇年代前半に、債務超過が終わって、これ進むかと思ったときリーマンが来てまた、というようなことになったこともあろうとは存じますが。  いずれにしても、企業の場合は、この六月末で内部留保が三百七兆円までという数字がこの間上がっておりました。三百七兆の内部留保というのは巨額な額でありますので、こういったようなものが何もしないでじっとしております。これは設備投資に回るか、金融に回るか、配当に回るか、どこか回らないとなかなか事は進んでいかないと思いますので、このデフレの気持ちを切り替えるということをするためにどうすればいいかというところも、我々はこういったものを考えるときに最初に考えておかねばならぬ大事な点だと存じます。
  121. 西田昌司

    西田昌司君 今、麻生大臣がお話しになりましたように、法人税減税しても必ずしも景気に良くなるとは限らないと。もうそのとおりだと思うんです。  それで、我々自民党の税調でもそういう議論をしているんですけれども、政府の方がとにかくデフレ脱却するためにいろんなことを考えられるのはいいんですけれども、余りにも法人税減税ということが独り歩きしちゃうんですよね。投資減税は意味が分かるんですけれども、そういう法人税減税というのは本当に意味があるのかということを我々党内でもかなり議論をしておりまして、是非麻生大臣は副総理でもおられますんで、余り法人税減税という決め打ちでこうやるというよりも、どうすれば民間投資が増えるかということを党内でも議論してくれよという投げ方をしていただく方が、より私は柔軟にいろんな様々な政策が出てくると思いますので、これはお願いをしておきたいと思います。  その上で、今おっしゃいましたように、赤字法人が大半、七割が赤字なんですよね。そこで、繰越欠損金というのを抱えておられて、当年だけじゃなくて、今九年間延ばせるようになってしまいましたから、なかなか利益が出てきても払わないという法人が多いです。これは、繰越欠損金、当然、今まで損失をしてしまったんですから、ある意味それを通算してあげるのはそのとおりで、会計上はそのとおりでいいと思うんですよね。  ところが、問題は、繰越欠損金といいましても、いわゆる中小企業中小企業は本当にお金ないんですよね。そもそも、他人資本というか資本金が非常に少ない状況でやっていますから、利益が出てもその利益は棚卸になったり売掛金になったりしますから、そもそも手持ち資金ないと、税金払うときは利益出ていても借金をして払わなければならない、これが普通の中小企業ですよ。ところが、大企業、特に上場企業は、お金を市場から要するに無税で入れていますからね、エクイティーによって供給していますからお金自身はあるんですね。お金はあるんだけれども、会計上赤字なんですよ。会計上赤字だから、これ同じように会計上からいくと税金払わなくていいと、こういう仕組みが使われているんです。  しかし、私は、考えてみるとちょっとおかしいんじゃないかなと思うんですよね。つまり、中小企業は本当にお金がないんですよ。上場企業は、お金はあるんだけれども、要するに帳簿上の、会計上の赤字があることによって税金を払わなくていい。やっぱり、これはこれから真剣に考えておかないと、これ、中小企業との間の担税力の話を考えても私はここのところはもう少し考えていかなければならないと思うんですけれども麻生大臣、いかがお考えでしょう。
  122. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) もうプロにこの話をしても始まりませんけれども基本的に担税力、企業によって差があるのはもう当然のことなんですけれども、これ昔は、今は九年間になっていますが、これはついこの間までは七年間だったと記憶していますけれども、いつの間にか九年間になっていましたので、私もこれちょっと、担当になるまで九年に延びたということを知らなくて、調べたら、おととしかさきおととしかになっております。九年になりましたので、これは、これだけ多くの企業が、黒字に一挙になった企業でもこれまでの赤字の、累積赤字が八年続いていれば少なくとも払わなくてよくて、その分を全部消しますので資金繰りは更に余裕が出てくるということになっているだろうということはもう容易に想像の付くところでありますけれども。  いずれにしても、企業というものは、これはかなり長くやっていくという前提に立って物を考えてやらぬといかぬところで、税負担はある程度平準化してやるということを考えてこういうものができたんだと存じますけれども、少なくともちょっと、ある程度企業とか状況によって九年まで延ばす必要というのは今の状態としてはなくなってきているのかなと、正直、個人的にはそう思いますけれども。  いずれにいたしましても、この問題に関しましては、企業間格差というか、いわゆる資金能力のあるところとないところの差がかなり付くという状態になっていることは確かだと存じます。
  123. 西田昌司

    西田昌司君 そういう問題意識で是非財務省でも検討していただきたいと思いますし、我々も自民党の税調でこの問題ちょっと議論したいと思っています。  そこで、この繰越欠損金の制度について関連するんですけれども日本航空、JALの問題なんです。私は、この問題、度々問題点を掲げてきましたけど、まさにこのJALは民主党政権のときに企業再生をしたと、成果として言われているんですけれども、現実には要するに過大な支援をし過ぎてしまったと私は思っております。  そのことを裏付けるかのように、この前の羽田の発着便の枠をやるときに、今国交省の方も、JALとANAとの体力差を考えると圧倒的な差が付いてしまっていると、そこで、その配分に差を付けて傾斜配分されたわけですね。しかし、考えてみると、この前事実上倒産した会社ですよ。倒産した会社が何で圧倒的に今こちらの方が利益出ているのかと。これ、誰が考えても、やっぱりそのときの企業再生がやり過ぎていたということは明らかなんですね。  そこで、私、申し上げたいのは、これは、このままほっておきますと、JALは、聞くところによりますと三千億円ほどのいわゆる事業の赤字ですね、事業の欠損金があったと。プラス九千億円ほどはいわゆる会社更生法ということを適用されたおかげでまた欠損金が増えたわけです。更生法上の欠損金なんです。合わせて一兆二千億円の欠損金が累積欠損金として取り扱われまして、毎年JALは二千億近く、一千億以上のずっと利益を上げてきていますが、このまま延々と税金を払うことがないんですよ。  ところがJALは、先ほど言いましたように、この企業再生の過程で債務免除していただきました。事実上、今無借金です。無借金で、そして毎年お金がどんどんどんどん一千億、二千億と金がたまってくる。たまってくるんだけれども一円の税金も払わなくていい。この状態が後ずっと延々続いてくるわけですよ。ですから、一兆二千億円のこの赤字がなくなるまでの間、毎年二千億円ほど利益出ていましたら、六年間で全部使い切ることになりますが、それぐらいの利益がここにたまることが予測されるんですね。これをこのまま放置しておくというのはかなりおかしいと思うんです。  私は、JALが、一つの具体的な問題点でありますけれども、先ほど言いましたように、繰越欠損金の制度というのを考えましたときに、担税力ということも一つ大事だし、それからもう一つは、JALは公的資金で再生させているんですよ。公的な資源、つまり税金が使われて再生させて、そしてその結果、税金も払わない。そしてその結果、今JALは株価は幾らかと言えば、三千五百円だったものが今五千円を超えているんですね。物すごく上がっていますよ。そして、その株主は半分は外国人ですよ。外国に利益がどんどんどんどん出ているんですよ。国内で税金を一円も払わずに、海外に利益のその成果は渡していく。しかし、その利益の元は何かと言えば税金じゃないですか。国民負担なんですよ。それをそのまま海外に放出するということは、これはモラルとしてもおかしいんですね。  ですから、私はこの問題を放置できないと。麻生大臣もかつて予算委員会で私がこの問題を指摘しましたときに、メンバーを見ながら、うん、意味深ですなと、こうおっしゃったわけですよね。かなり問題意識を持っておられる。となると、やっぱりここで財務省としましても、課税ということを含め、例えば私は公的資金とそれからいわゆる会社更生法のダブル適用をやった場合には、会社更生法上の欠損金の損金算入は認めないようにするなど、考えればできるんですよ。是非それを考えるべきだと思いますけれども是非麻生大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  124. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは西田先生、一般論で申し上げさせていただくところと、特定の会社で言うとちょっと話が違ってくると思うんですが。  一般論で言えば、法人税というものは、これは法人税法に定められたルールによって計算された繰越欠損金控除の所得にいわゆる担税力というものを見出して課税を行うということになるわけですけれども、所得以外のものについて担税力を見出して課税を行うという制度というのは、課税の制度そのものの変更になりますと、その影響はちょっといろいろなところに、我々の想像をしていないところに波及する可能性もありますので、これは慎重に検討する必要があろうと存じますし、加えて、今のJALの場合は、今触れられませんでしたけれども、あれは持っていた株主の被害が非常に大きかったということも是非これ忘れていただいては困るところであって、今新しく株を取得した人と前持っていた株は全部パアになった人と、その差は一体何だと言われれば、これはいろいろ問題のあるところであるという点も私どももそう思っております。  しかし、特定の企業のみを想定した形というのをやると、これは何というか不利益遡及とかいろんな難しいことがありますけれども、そういった形になっていくというのも考えなきゃいかぬところなんで、いずれにいたしましても、企業再生の結果によってその前提というものを覆して、まあJALで言わせていただければ、前提を覆して追加的に後から税制をやるということになりますと、これは極めて納税する側にとりましては不安定なことになりますので、これを特定の企業というのではなくて、一般的な話をさせていただくと、今申し上げた点も考えてやらぬといかぬと思いますが、今言われた企業のことに関しましては多くの方々から疑問が投げかけられておるという事実はよく認識をしております。
  125. 西田昌司

    西田昌司君 大臣も問題意識は持っているということだと思うんですね。  そこで、私はJALの問題は一つ個別のケースで言いましたけれども、別にJALをターゲットにしろと言っているんじゃないんです。要するに、今言いましたように、繰越欠損金制度は何であるんですかというと、これはそもそも、まあ担税力というものが一つあるはずなんですよね。ところが、全く担税力に問題がないと。お金は余っていて借金もないと。それで、毎年二千億円ほど入ってきて払わなくてもいいと。これは、企業再生計画でこんなところまで予定しているはずがないんですよ。ですから、これは過大な話でして、これ言い出してくると、そもそも企業再生、ここがおかしいんだということをやらねばならないと思います。しかし、残念ながら、ここをなぶる、このこと自体ができないわけなんですよね。もう企業再生しちゃいましたから、これは。  ですから、そこを含めて考えていくと、これから先、過去に遡及しろとは言いませんが、これから先のことも含めて考えると、今言った公的支援とそれからいわゆる会社更生法のダブル適用の欠損金は損金算入させませんと。これはJALだけじゃありません、ほかの企業もそういうことはさせませんということをやればいいんです。過去に遡るんじゃなくて、これから先はやりませんと、この次の年度からはやりませんということで何の私は問題もないと思うんですけれども、いかがですか。
  126. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは税法上、もう言っておられる御本人が一番御存じなんで申し上げませんけれども、いろいろ波及するところが多いと思いますので、私の段階でごもっとも、はい、というような話ではなかなかいかぬところなんだと思いますので、これはよくよく党税調やら何やらいろんなところで検討していただかないと、これはJALだけに限った話ではない、それだけははっきりしていると思います。
  127. 西田昌司

    西田昌司君 もう終わりますが、要するに、しかし具体的にこれ調べますと、こういう形で影響を受けるところはあるのかと、私は何度も事務方に聞いているんですよ。あると思いますと言うけど、出てこないんですね。つまり、ないんですよ、実際のところは、これは。影響を与えるというのは、つまりこれだけのことをやったケースが過去にないから、JALだけの話なんです。だから、ここにおられる民主党の方もあれやり過ぎたなと反省されていますから、是非これは大臣の決断でやっていただきたい。そのことをお願いしまして、私の質問を終わります。
  128. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 自由民主党、北海道の長谷川岳です。  昨年十二月に安倍政権が発足し、大胆な金融緩和、機動的な財政政策、民間主導の成長戦略という三本の矢から成るアベノミクスが実行されております。その結果、円高は是正され、停滞していた株価も回復し、経済成長率は上半期に年率換算で約四%となっており、市場からも大きな評価をいただいております。  大臣、振り返って、これまでの成果、どのように御自分なりに評価をされているか、お伝えをいただきたいと思います。
  129. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 安倍政権になってかれこれ十か月少々がたったことになろうと存じますが、総裁選挙が終わった九月から、長谷川先生もよく御存じのように、衆議院の選挙が終わるまで約三か月、私どもは必ず政権を奪還するという、確信しておりましたので、政権奪還というのは単なる手段ですから、これは奪還して何するかが目的なんだから、何されるんですか、はっきりしておきましょうやと。あれもしたい、これもしたいというのはできませんと。したがって、まずは、ということをきちんと絞ってやっていただくというので一致したところがいわゆるデフレ不況からの脱却、経済成長という主に経済という話になりましたものですから、経済成長はデフレからの脱却ということに集中をさせていただくと。  先ほど西田先生の御質問にもあっておりましたが、やっぱり我々はデフレ不況からの脱却をやった経験というものは過去八十年近くやったことがありませんので、まあ世界中ないんですが、我々としては、歴史に学ぶということによればやらなければならぬということを、これこれということを申し上げて、結果として株が上がったというのがよく言われるところですけれども、やっぱりGDPが去年の七―九はマイナス三・五だったかな、それが今年では三%プラスに変わってきておりますので、三・五、三・八、いろんな形でプラスに変わってきたというのがやっぱり一番分かりやすい指標として、経済成長率がマイナスからプラスに変わったというのは一番分かりやすかったんだと思っております。  設備投資もおかげでプラスになってきましたし、デフレーションも、マイナスのデフレーションが、インフレ率というか、あれが少なくともまだゼロ、少しずつ上がってきてやっと〇・〇ぐらいのところまで来たように思っておりますので、これでいきますと、日銀の言われるように、目的にしております二年後にはほぼ二%のインフレまで行けるのではないかということを考えておりますので、気分的には、円が下がったおかげで輸出企業が良くなって、トヨタが今朝の新聞では二兆円を超す経常利益が出ておりますけれども、そういったような形が、目に見える形で出てきたのがやっぱり消費という、我々としては一番大きく、ここが一番難しいと思っておりました消費が伸び始めてきているというのは、それの傾向としては成果かなと思っておりますので。ただ、これが、先ほど西田先生の話の、これ続いていくという保証がないとなかなか財布のひももということになろうと存じます。
  130. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 アベノミクスは景気を回復基調に乗せておりますが、やはり私は北海道ですので、地方の成長というのはお考えをいただきたいというふうに思います。  私、北海道に戻りますと、確かに札幌のマンションは売れ始めました。それから百貨店の高級品は売れています。それから外国人の、特にイスラム圏からの旅行者がすごく増えてきたのがこの皮膚感覚というか、すごく感じるところです。それから、ニセコのリゾートマンション、百二十平米ぐらいで大体六千万から八千万のものがかなり売れる、完売という状況になってきております。  しかし、これ、私たちが札幌から離れて旭川、人口三十万の旭川とか、今度は函館、人口二十八万のところに行くと、なかなかこれが動いていないという実態でして、やはり東京、大阪あるいは名古屋に続く三十万ぐらいの地方都市をどういうふうにこのアベノミクスを効かせていくかというところについて、やはり私は大臣の御答弁をいただきたい、どのように考えていらっしゃるかを聞きたいと思います。
  131. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはもう全くおっしゃるとおりで、福岡でいいましても博多はにぎやか、とにかくもう飲み屋もいっぱい、もう全然入れません。おまえ偉そうに、客を断れるほどおまえ偉くなったのかっておちょくるほどえらく去年とは態度が違うので、よっぽどお客が多いんでしょうな。それはつくづく私らもそう思いますが。じゃ、翻って人口十三万の私どもの飯塚市に行ってそんな状態かと。いや、それはとてもじゃないんで、公務員の給与は下がっておりますし、いろんな意味で一番分かりやすいのはタクシーとか、それから一杯飲み屋とか、そういったところを歩いて回れば、大体、何となく気持ちが明るくはなってきちょるばってん、それから先はなかなか前に進まないというのが現実だと私らもそう思っております。  したがいまして、今後やっていくのに、やっぱり地方でいえば、今大蔵省というかこれは主に農林省の仕事なんでしょうが、地方におきましては農林水産業ということを考えておかねばなりませんので、いわゆる基盤整備というものをきちんとやって、いろんな形で今農業、過疎化に伴って農地を集積してきちんとやるという中間管理というようなことをやろうとしてみたり、基幹的な交通のインフラというのをやりませんと、田舎に行けば行くほど交通機関が発達していないから車の絶対量が多いわけで、どの家でも軽自動のほかに何とかがあったり、トラックだ、そういうのと別にバンがあったり、いろんなものが、ワンボックスカーがあったり、いろいろ皆お持ちにならざるを得ぬということになっているんだと思っておりますので。  そういった意味で、やっぱり医療とか福祉の施設とか、そういったものをもっとコンパクトなものにして、その真ん中にそれを全部して、高齢者は地方の中での外に住むんじゃなくて、都市の中に住んでもらった方が、例えば救急車にしても航続距離は短いし、そこの地域に、近所の人たちはみんな昔からの人たちと別れたくありませんから、みんなその地域にいた人がそこにこう、というようなことを考えるというようなことを考えていかないと。何となく、例えば被災したからといって、じゃ、引っ越しますって、今まで隣近所で付き合っていた人たちと全然別のところに行って引っ越すというのはよほどの覚悟が要るんだと、私らはそう思っておりますので、そこらのところを考えてちょっときめ細かい対応をやっていかないといかぬと。  こういうきめ細かいことはおよそ役人には不向きな仕事ですから、そんなきめ細かい人は役人やりませんので、もう全体的なことをやってもらわなきゃ困るわけですから。そういった意味では、そのきめ細かいところをやっぱり議員の方々が地方の事情というものを訴えてきちんと対応されていくということは、これはみんなでやらないと、これはなかなかうまくいかぬのだろうなと思って。  いずれにいたしましても、農業の六次産業化とかいろいろな話が出てきておりますんで、地域に配慮したものをやっていくに当たって、今いろいろ、各省からももちろんのことですけれども、議員から直接いろいろ案が上がってきておりますんで、そういった案の中を取捨選択いたしましてこの年末に決定させていただきたいと考えております。
  132. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 地方の対策をお話をいただきましたが、地方の足である軽自動車も是非守っていただきたい、そのように思います。  次に、質問を変えます。銀行と反社会的勢力との取引についてお尋ねをしたいと思います。  皆様方にこちらの資料をお配りさせていただいておりますが、提携ローンにおけるこの反社会的勢力をチェックする仕組みということで御理解いただきたいと思います。  みずほ銀行以外に他の銀行も反社会的勢力との取引を行ったかのような報道もされておりますが、地方銀行には反社会的勢力をチェックする仕組みを独自につくっているところもありまして、この反社会的勢力との取引を排除しようという努力は見受けられます。  まず最初に、大臣にお聞かせをいただきたいんですが、今のこの銀行のチェック体制、要は反社会的勢力をチェックする体制は十分だと御認識でしょうか。大臣にお聞かせをいただきたいと思います。
  133. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 地銀の話を今、長谷川先生されましたけれども、各銀行いろいろ、都市銀行、信用金庫いろいろございます、第二地銀含めてありますけれども。私らの俯瞰的に見た場合の話ですけれども、地銀が一番きちんとその点はしているんではないかと私どもそう感じております。多分、大銀行と違って、そこにいる人はそこの地元の人たちの顔を皆きちんと頭に入っているからというのが一番大きな理由なんで、何となく上品そうに見えるけど、これは違うばいというのは皆知っているわけですから。だから、そこのところは、かなり地銀はきちんとしているかなという、結果論としてはそんな感を持っております。  ただ、金融機関自ら、自分らで顧客のなかなか根がそんなにしっかりしていないところもありますんで、反社会的勢力から取り込まれる可能性というのは、これは十分に考えてやらないかぬので、いい学校出てそのまま大都会に行ってそのまま地方に飛んだ、今支店でやっている人なんというのはおよそ全くその地域のことは知らぬわけですから、そういったところだとなかなか難しいんで、これ事前に防止するというためには、担当者に幾ら言ってもなかなかそんなの分からぬというところだと思いますんで、これはある程度未然に防止するという意味から、いろいろ情報というものを各所で持ち合おうやないかというようなことを今考えておりますんで、これが個人情報といろいろオーバーラップするところがありますんで、そこのところはなかなか、銀行間で、金融機関間でやるとか、いろんなことを考えなきゃいかぬなということで、いろいろ努力が始まっておりますというお答え、今の段階ではそこまでしか申し上げられない。
  134. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 お配りした資料は、ある地方の銀行の情報を基に私の事務所で作成したものでありますが、このオリエントコーポレーション、今回問題になっている、その新型提携ローンにおける反社会的勢力をチェックする仕組みを示したものです。この一にありますように、顧客の情報がオリコの反社会的勢力のチェックで該当があった場合にその時点で取引をお断りすることになっています。  次に、顧客情報がそこを通過してしまって、二の銀行所定のチェックにより反社会的勢力と判明した場合は、直ちに決められたスキームと契約にしたがってオリコに対して代位弁済を請求し、反社会的勢力との取引を排除する仕組みになっております。  問題は、この銀行所定の審査にはやはりどうしても限界があって、この反社会的勢力をチェックする仕組みの質をやはり上げる必要があると私は思いますが、これは金融庁としての見解を伺いたい、そのように思います。
  135. 福岡資麿

    大臣政務官(福岡資麿君) お答え申し上げます。  委員今御指摘いただきましたように、金融機関が提携ローンを取り扱うに当たりましては、反社会勢力との取引を防止するために、今委員資料でいいますと、この左側の信販会社の反社会検証の能力、それを向上させていくことであったり、また、この右の方でいう金融機関自らによる反社検証の実施、この両方を適切な対応を取っていくことが今求められているというふうに思っております。  このような観点から、反社会的勢力の排除の強化に向けまして、今大臣お答えになりましたように、金融機関自らが提携ローンにおける反社チェックに必要な体制整備を行っているほか、先ほども指摘がありました信販会社そのものが反社のデータベースの整備をきちっと行っていくということ、また信販業界など他業態との反社データベースの共有に向けた取組について検討等を開始しているものというふうに承知をしております。  金融庁としては、これらの取組が積極的に進められるように促すとともに、必要な協力を行っていきたいと思っています。
  136. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 特に党内の財金部会でも課題と挙げられたのは、やはり警察庁としての協力だと思います。チェック体制の質を上げることについてやはり警察庁がどのような所見を持っているか、どのようなこれは積極的に働きかけをするかというのが非常に大きなポイントだと思いますが、警察庁の見解を伺いたいというふうに思います。
  137. 室城信之

    政府参考人室城信之君) 金融取引から暴力団等の反社会的勢力を排除していくことは、金融取引の公共性や健全性の確保の観点はもとより、暴力団対策上も極めて重要なことであると認識しております。銀行業界や信販業界においては、銀行業界が保有する反社会的勢力のデータを信販会社においても活用できるようにするなど、反社会的勢力のチェック体制を強化するための取組が検討されているものと承知をしております。  警察庁としても、そのような取組により銀行業界や信販業界における暴力団排除が更に進展することを期待しているところであります。
  138. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 何か他人事のような気がするんですね。警察庁がやっぱり日ごろ反社会的勢力の撲滅を言っているわけです。銀行の反社会的勢力のチェックには限界がある。今回、やはりみずほの問題もありますが、もう一つは地域において地方銀行のやっぱりチェックの限界というのを露呈したということもあると思うんですね。それに対して、やはり警察庁が銀行の反社会的チェックに限界があることを認識した上で、やっぱり警察庁として一つ踏み込んだ対応をするべきではないかと。これは当然だと思いますが、いかがですか。
  139. 室城信之

    政府参考人室城信之君) 警察におきましては、従来から、暴力団の排除のため銀行等に暴力団情報を提供してきたところでありますが、これに加えまして、現在、銀行等からの暴力団情報の照会にオンラインで対応するシステムの構築につきまして、金融庁及び全国銀行協会との間で検討を進めているところでございます。  今後は、この検討を加速させるとともに、引き続き暴力団情報の銀行等への適切な提供を行うなど、金融取引からの暴力団排除の取組を支援してまいる所存でございます。
  140. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 ということは、もう一度確認なんですが、警察庁も具体的に協力して、銀行協会と連携してその仕組みを近々につくるという認識でよろしいですか。
  141. 室城信之

    政府参考人室城信之君) ただいま申し上げましたとおり、この検討を加速してまいりたいというふうに考えております。
  142. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 もう事件は起きているわけですよ。加速するのではなくて、やっぱりやるかやらないかというのがすごく大事だと思うんですね。そこはやっぱりやるとしっかり答弁をいただきたいのですが、いかがですか。
  143. 室城信之

    政府参考人室城信之君) このシステムにつきましては、幾つか超えねばならない、検討しなければならないハードルがございますので、そういった事項につきましていち早く検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  144. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 銀行がどんなにチェックをしても努力をしても、チェックする仕組みには限界があると。  大臣に伺いますが、金融庁、警察庁がやはり連携をして支援すべきだと考えますが、大臣、もう一度この連携ということについてお答えをいただきたいというふうに思います。
  145. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは既に今年の一月から開始していると、私の知っている範囲では一月から既に開始しているんですが、個人情報保護法とかですね、これは我々が作った法律だから、これは、結果的にそれが難しいことになったりするというのは、ここらのところは証券会社の窓口やら何やらがいろいろ関係してきますので、そこらのところにそれが教えられるかと言われると、これはなかなかちょっと難しい問題があるというのがあるから、検討しておる、壁があると言っているのはその内容なんだと存じますけれども、証券会社に対してそれが出せるかという話になると、これはなかなかちょっと個人の話になりますので難しいところがあるというのも事実だと思います。  これはよほど綿密なあれをしておかないといかぬというので、警察も慎重にならざるを得ぬ。証券会社の方もなかなか、お願いしますといったって、はい、と言ってすぐその場で、はい、元暴力団とか、はい、今まだ現役とか、そんな簡単にちょっと言える話ではないということなんだと存じます。
  146. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 そういったプライバシーの問題はあるといえども、やはり警察庁としては、反社会的勢力の撲滅ということを掲げている以上はこのスピードを加速していただきたい。それから、当事者に是非ともなっていただいて積極的に働きかけをしていただきたい、そのことを申し上げます。  質問を変えます。  当委員会大臣は、金融機関に対して、中小企業等に対する新規融資を含む積極的な資金提供あるいは経営改善、事業再生等の支援に取り組むよう促してまいりますというふうに所信で大臣述べられたと記憶をしておりますが、やはりここ一番難しいのは、中小企業に対する新規融資というのが、地方の銀行というのは非常に勇気が要るというふうに認識をしています。  特に、先ほどの地方のアベノミクスを成功させるためには、当然ながら、先ほどの大臣が言われたことにプラスして、地方の、特に中小企業に対する新規融資を、地方銀行の後押しをするようなやはり施策が必要かというふうに思いますが、大臣、この所信に対して、取り組みますと述べられておりますが、どのようにこれを促していくのか、お答えをいただきたいというふうに思います。
  147. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今お答えする前に、先ほど申し上げたのは順番が違っていました。証券会社の方が、証券協会の方が法人格を持っているのに対して、銀行協会の方が法人格を持っていない。したがって、銀行に対しては、協会に関しては守秘義務が課せられない、法人組織じゃないものですから。銀行の方であって、ちょっと証券会社と言いましたけれども、銀行の方です。  それから、二つ目の今の御質問ですけれども、これは新規融資というものに関してどのように対応するかということだと存じますが、リーマンの前からもう続いていましたけれども、特にリーマンの後、その前から続いておりました九七年の金融危機、アジア金融危機として、あのとき北海道では拓銀が潰れて、三洋、山一が倒産して、その後、長銀、日債銀等々、どでかいところがばたばたいって、今もう昔の名前で出ていますという銀行はほとんどなくなって、地銀が残ったぐらいのもの。都市銀行はほとんどもう、パソナだか、りそなだか分からぬ、何かいろんな名前になりましたので、私はもうその銀行の元の名前が分からぬので、委員長が元三井銀行、太陽銀行にいたなんて話を言ったって、太陽銀行って何ですかというようなものだと思いますよ、今。それぐらい銀行というのはとても立ち行かなくなったんだと思いますね、あの九七年、九八年ぐらいのところ、金融国会と言われたときですけれども。  この後を受けて、金融業界は生き残りに全力を挙げざるを得なくて、多額の金が返済をされる。したがって、金融業としては金を貸す相手がいないというんで、預金だけぼんぼん増えて、貸す相手がいないというんで、本当だったらどんどん貸せたはずだったんですけれども、何としても、企業の方は債務超過の状態が続いていますので、債務超過に銀行は金なんか貸せませんから、そういった意味では、非常に銀行は経営としてはきつかった時代がずっと続いておりました。それが二〇〇八年にリーマンが来たものですから、これはいろいろまた別の意味でどんとショックが大きかったんだと存じますが、いずれにしても、とにかく銀行に瑕疵がないように、何かないようにということばっかりに集中したものですから、何となく銀行として本来の業務である、資金力のないところ、担保力はないけれどもアイデアがいいとか、いろんなところに対して銀行としては本来ならもっと資金を融資してもおかしくなかった時期にそれができなかったのが一つ。  二つ目は、金融庁としても、いわゆる金融処分庁と言われるようなあだ名が付くほどいろいろやっていましたので、私、赴任したときに、金融育成庁と呼ばれるように変わろうじゃないかという話を、始業式ですか、新年のときに最初に言ったと記憶しますけれども、いずれにしても、そういうものをやるに当たって、これまで銀行は長いこと右肩上がりというか、正確には土地代が右肩上がりの時代に合わせて土地という不動産に担保を求めて、その事業内容とか事業計画を審査して、それに金を付けるという目利きは銀行には育っていないと、私はそう思っております。  したがって、これをきちんとやらせるためには、やっぱりこういった事例というので事例集を過日作って、この部分を配付をしておりますが、本年十月に、いわゆる金融機関による先進的な取組を広く実践されることが望ましいということで事例集として取りまとめて、それ公表をいたしております。是非そういったものも銀行で見てもらって、これ、銀行というと大きく聞こえますけど、信用金庫とか信用組合とか、小さな事例もいっぱい載っておりますので、そういった中小企業に対する、いわゆる金をただ貸すだけではなくて、これはこういう取引やるんだったらこの企業に行かれた方がもっといい、できますよとか、いろんな意味のコンサルタントができるし、おたくはアイデアはいいと、営業先も分かったと、しかし資金繰りやるといっても金融関係の知識が全くあなたのところはなさ過ぎるから、誰々さんは銀行辞めているから、あの人を今引き抜いて、この人を顧問にしたらとか、そういったものをコンサルタントしたらどうですかという話まで含めていろいろやらさせていただいておるところでありますので、こういったものが定着していかないとなかなか前向きに事は進んでいかぬと思って、今努力をさせているところでございます。
  148. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 最後の質問でございますけれども、この四月より消費税が八%に引き上げられると。引き上げた後、私は、やっぱり地方の消費が極端に落ち込まないための対策のために五兆円規模の経済対策、策定を今進めているということですが、その中に地方経済を活性化させる施策がどれぐらい含まれるのか、今策定中だと思いますが、大臣の思いをお伝えをいただければというふうに思います。
  149. 愛知治郎

    ○副大臣愛知治郎君) お答えを申し上げさせていただきたいと存じます。  今般の経済政策パッケージでは、地方を含む国全体として、消費税率引上げによる反動減の緩和、それから成長力の底上げ、賃金上昇に結び付ける政策を決定しております。こうした取組により成長の果実が全国津々浦々に広がっていくことを期待しておりますし、それを結果を出していかなければならないと考えております。  特に、五兆円規模の新たな経済対策の中では、先ほど大臣も触れられたんですけれども、地域活性化のための例えば農業の六次産業化の推進であるとか、地域経済に配慮した社会資本の老朽化対策など、地域に配慮した政策を実施していくこととしております。  いずれにいたしましても、新たな経済対策の具体的な内容については、御承知のとおり、十二月上旬の対策の策定、その後の二十五年度補正予算の編成において検討してまいりたいと存じますので、また様々な御提言賜りたいと存じます。
  150. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 是非、地方にメッセージを送っていただきたいと思います。  これで質問を終わります。ありがとうございました。
  151. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  152. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  153. 熊谷大

    ○熊谷大君 熊谷と申します。初めて財政金融委員会質問に立たせていただきます。二十五分間、よろしくお願いします。  それで、初めてだからというわけではないんですけれども、ちょっと添付資料の方に、私、ちょっと漢字の間違いがございまして、出典のところが出展の方になってしまっておりまして、済みません、大変申し訳ございません。また、この資料の中身、結構黒塗りにしているところとか某銀行さんとか、こういうふうな書き方をしているんですけれども、ちょっと財政金融委員会で非常に世間に与える影響が大きいんじゃないかなと思って、余り悪いことをしているようなところではない、民間さんなので、ちょっと迷惑掛かったらまずいなと思って黒塗りにさせていただいているところ等々がございますので、済みません、次回からはしっかりとそこら辺の配慮をしていきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。  さて、東日本大震災から二年七か月が過ぎて、もうすぐ二年と八か月が過ぎようとしております。全国からの御支援、そして全世界からの御支援を受けて、そろそろ自立への道を歩み出さなければいけないところだというふうに思っております。楽天の日本一もその契機になっていかなければならないかなというふうに思っております。そうした自立を応援すべく、自民党でも大島理森さんを筆頭に復興加速化本部というところで提言を出したりして後押しをしているところでございます。  自立に向けた歩みや復興のつち音が大きくなるにつれて、少しあの震災の混乱の中で見落としてしまっていたもの、またなかなか気付かなかった点、又は出来事なんかがちらほらと最近になって声になって出てきたという状況がございます。それらを反省しつつ、もし今後の大きな災害、大きな地震や津波、特に数十万の被害が想定されている西日本の地震、津波に備えて教訓にして伝えていくことができたらなというふうに思っております。  その意味で、今日は地震と、また金融派生商品について御質問をさせていただきたいと思います。  二〇一一年三月十一日、巨大な地震が襲ったことは周知の事実でございますが、その際の地震の、東日本大震災のマグニチュードと揺れ、地震動はどれほどのものだったのか、気象庁、教えてください。
  154. 橋田俊彦

    政府参考人(橋田俊彦君) ただいまお尋ねがありました東日本大震災東北地方太平洋沖地震でございますけれども、マグニチュード九・〇、最大の震度は七となっております。
  155. 熊谷大

    ○熊谷大君 ありがとうございます。  その震度を評価しました、今、最大震度七というところだったと思うんですけれども、その震度を評価した震度計についていろいろと質問を展開してまいりたいと思います。  この震度計についてなんでございますが、気象庁、全国に何か所置かれてあるのか、何個設置しなければならないのか、そこには法的拘束力があるのか、設置に関してですね、またどのように震度計によって観測された震度が皆さんがよく見るテレビ画面にピロピロロンと、こう出てくるのかということをちょっと教えていただければと思います。
  156. 橋田俊彦

    政府参考人(橋田俊彦君) ただいまお尋ねがありました気象庁の設置しております震度計でございますけれども、これは全国に六百六十五か所ございます。これは、国の初動対応といたしまして、おおむね六弱以上の地震が起こったときに、どこでもとらえられるような形で、おおむね平均二十キロ間隔で設置をしているところでございます。  このほか、この後出てまいりますけれども、地方公共団体等が設置しております震度計がここの資料にございますように二千九百十七か所等々ございまして、気象庁では、これら観測点をそれぞれオンラインで結びまして気象庁に集めて、地震が発生いたしますと一分半程度で直ちに震度の大きさを発表するという仕組みになっているところでございます。
  157. 熊谷大

    ○熊谷大君 ありがとうございます。  今ほど御指摘いただきました資料一によって、地震情報に活用している震度観測点というのが、気象庁が六百六十五、地方公共団体が二千九百十七、また防災科学技術研究所が七百七十七地点置いているというところであります。  この地震の震度を表すには、地震動ですね、揺れが大事でございます。この被災の大きさというのは地震動で決まるということは、確認させていただきたいんですけれども、それでよろしいでしょうか。
  158. 橋田俊彦

    政府参考人(橋田俊彦君) 今、地震の被害等につきまして地震の揺れで決まるということで、地震動の被害はまさにその地震の揺れの強さで決まるものでございますけれども、その目安といたしまして、私ども、長い歴史ございますけれども、震度ということで発表しております。それは、人が体感をするもの、それから建物、耐震性の高低ございますけれども、その耐震の度合いに応じてどのような被害があるかという相関を見て、震度階級を定めて発表しているというところでございます。
  159. 熊谷大

    ○熊谷大君 ありがとうございます。  先ほど、大体二十キロ圏に一つというふうなお話をされておりましたが、地震の震度を観測するときに、その二十キロ圏に一個という間隔は何か科学的な根拠というものがあるんでしょうか。
  160. 橋田俊彦

    政府参考人(橋田俊彦君) 先ほど申しました震度六弱以上を全国でどこで発生してもとらえるということでございまして、地震の揺れは地震の規模、マグニチュードですね、それから地震の発生した場所からの距離等でおおむねその震度が予想されますので、それら規模と距離の関係からいいますと、ただいま申し上げましたように、おおむね二十キロ程度で震度観測網を整備するということでやってきているところでございます。
  161. 熊谷大

    ○熊谷大君 その気象庁さんが設置している六百六十五地点というのは、そういった二十キロ圏ということの範囲で設置しているととらえてよろしいでしょうか。
  162. 橋田俊彦

    政府参考人(橋田俊彦君) そのようにとらえていただいて結構だと思います。
  163. 熊谷大

    ○熊谷大君 そのほかに、地方公共団体に設置をしてもらっている地震計がございますが、その地震計に先ほど法的拘束力がありますかという質問をさせていただきましたが、それはございますか。
  164. 橋田俊彦

    政府参考人(橋田俊彦君) この地方公共団体等が整備した震度計でございますけれども、これは、阪神・淡路大震災をきっかけといたしまして、それぞれ地方公共団体の防災対応、初動対応するために設置されたものというように考えてございまして、私どもといたしましては、その震度の観測を行うための環境であるとか、あるいは震度計そのものが一定の精度を確保するための委託検定等によりまして震度の正しい震度観測を確保するように支援をさせていただいていると、そういう状況でございます。
  165. 熊谷大

    ○熊谷大君 ありがとうございます。  これは何も気象庁さんを攻撃するとか責めるとかという質問内容ではございません。あくまでも確認でございます。  先ほど委託というふうにおっしゃられたんですけれども、そこで、監督指導ということは、先ほど環境整備というお話もされたんですけれども、どのような形でされているんでしょうか。
  166. 橋田俊彦

    政府参考人(橋田俊彦君) 設置環境につきましては、平成二十年度に、気象庁と総務省消防庁と共同いたしまして震度に関する検討会というのを、学識経験者等で構成される検討会を開催いたしまして、正しく震度を観測するためのガイドラインを定めてございます。このガイドラインには、例えば崖の近くなど局所的に特殊な揺れとなる場所を避けることとか、震度計を置く台、場所が傾いたりひびが入っていないなど様々な設置条件、環境条件を示しておりまして、この条件に合う形で設置をしていただくと、こういうようになってございます。
  167. 熊谷大

    ○熊谷大君 ありがとうございます。  実は、この震度計、地震計の設置なんですけれども、非常に法的拘束力もないということで、矛盾をちょっと多くはらんでいるんではないかなということを御指摘させていただきます。例えば、しっかりと地震計が設置されている場所もあれば、そうでない場所もある。その環境のガイドラインというのもありましたけども、この地震計は約百万円、設置費用は一か所五百万、その他メンテナンス又はいろいろにお金が掛かるんでございますが、地震計がこのように適切な場所に本当に置かれているんだろうかという疑問がちょっと出てまいっております。  資料二の一に目を通していただきたいんですけれども、これはある宮城県内の市町村の市の方で市長と市民が懇談をしているところなんですけれども、ここで数多く指摘されているのは、この震度計の設置場所についてそれが適切かどうかということが市民からの声で数多く出ております。というのは、この市が地震があった、でも、この市に住んでいる住民、なぜかテレビのテロップに出てこない、震度が出てこない、体感しているんだけれども震度が出てこない。また、周りの市町村と震度がちょっと違う、一度くらいとか違うということがここで指摘をされておるのでございます。ここはちょっと、その設置が曖昧ということは、この市が実は強固な地盤の上に震度計を設置したためにほかの市町村との震度で差が出てきてしまっているというところでございます。  これは本当に、地震の性格とか、どこの地盤か、砂質なのか泥質なのかとか、もういろいろなことを加味して震度というのは表現されるので、その日の天候もあるでしょう、非常に難しいんでありますが、これをどうにか気象庁さんの知恵を振り絞って統一的な設置基準みたいなのを作れないのかなというふうに、ちょっと聞かせていただきたいんですけれども
  168. 橋田俊彦

    政府参考人(橋田俊彦君) 今お尋ねの設置基準につきましては、先ほど申しました検討会の結果を踏まえましてガイドライン、これは震度計の設置環境基準というのを定めて示してきております。これが、平成二十年度に検討会を行いまして、二十一年以降、精力的に現地に職員等が赴き、全ての環境をチェックしております。  気象庁としては、この環境に適合するもののみを震度情報として発表するということをしておりまして、地方自治体等におきましてもこの基準を満たすような形で御努力をいただいて、現在必要な改善がなされてきているというように思っております。
  169. 熊谷大

    ○熊谷大君 本当に気象庁さんの御努力は私もよく承知しておりますし、ただ残念ながら、資料の一番後ろに今回いろいろ、資料の四というところでいろいろ付けさせていただいたんですけれども、なかなか、大きな地震によって震度計自体が動かなかったとか、ころんと転がっていたとか、燃えてしまった、そういうふうな事例も出てきました。じゃ、ここで、本当にその震度というものが正確に測れるんだろうかということをちょっと御指摘しながら、次の質問に移らさせていただきたいと思います。  次の質問は、金融派生商品なんでございます。  ここで資料三を御覧ください。「損保会社における地震デリバティブの取扱について」というところでございますが、地震デリバティブ、つまり、何か地震が起こってその会社さんなりが損害を受けたと。そうなったときに、震度を基準に支払がされますよというふうな条項がございます。資料の三の二を御覧ください。ここに地震デリバティブの特徴としてトリガーイベントというのがございます。定められた条件を満たす、この条件を満たしさえすれば、すぐ投資したものが支払われるということでございます。  この資料三の三を御覧ください。ここで強烈にうたわれているのは震度の基準、震度でこのデリバティブが支払われますよというふうな案内になっているんですね。この震度というのが明確に記されているんですけれども、二年七か月前、巨大な地震が起こった、これで体でももちろん感じた、でも地域によって、先ほど御指摘させていただいたように、性質とか天候とかいろんな要件が加味されているにもかかわらず、ここで震度幾ら幾らで幾ら幾ら支払われますよというふうに商品が出ている。つまり、震度が非常に複雑な経緯でつくられているにもかかわらず、その基準、いわゆる金融派生商品の基準になって、私はここで、しまっているというふうに指摘をしたいというふうに思っておるんですけれども。  ただ、その気象庁さんがおっしゃるように、この震度の基準というのは非常に私は難しいというふうに思います。その難しいものを金融派生商品の基準にしてしまっているというのは、これ大丈夫なんでしょうかということを麻生担当大臣にお伺いしたいというふうに思います。
  170. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) 金融商品取引法上、当事者があらかじめ定める一定の参照指標の数値に応じて、ないしは一定の事由に応じて金融機関と顧客の間で金銭の支払の有無や支払額が決定されるというのがいわゆるデリバティブ取引、店頭デリバティブ取引でございます。  この一定の参照指標として気象庁が発表する観測数値も政令で規定されておりまして、いわゆる天候デリバティブズと言われている商品でございます。
  171. 熊谷大

    ○熊谷大君 ありがとうございます。  そのちょっと一定というのが、やっぱりちょっとくせ者なんじゃないかな。ある意味、民間と民間の契約ですので、それは本当に仕方ないところはあるんですけれども、じゃ、この基準になる震度というものを今の気象庁さんの解説で言った場合に、本当にそれを商品の紹介としてうたう基準として適切なのかということが非常に危惧されるわけでございます。  ここで何が言いたいかというと、気象庁さんと金融庁さん、今回は総務省の消防庁さんにも来ていただいておりますが、そこでちょっとワーキングチームとかを設置していただいて、やはり市場を活性化させるためと言ったらいいかもしれません、自民党風に言えばアベノミクスかもしれません、先ほどの西田委員言葉を借りればアソウノミクスかもしれません、そこを活性化させるには、やはり統一した基準を設けて、それをベースに民間がいろいろ取引しますよということを明確にうたった方がいいんではないかというふうに思うんですけれども、お考えをお聞かせください。
  172. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) デリバティブズは、一定の金融指標の変化を基に機械的に発動する、しないというトリガーというのをつくるものでございます。したがいまして、その金融指標ないしは事由というのは客観的に明確である必要がございます。それからもう一つは、契約当事者が影響を与えない、与える可能性がない、与えることが困難であると、つまり操作できないということが重要でございます。  そうした中で、当時、金融商品取引法を制定していました当時、天候デリバティブズというニーズが出てきた。例えば、晴天の日に弁当は売れるけれども雨の日には売れないと。そうすると、雨か天気かのデリバティブズがあればヘッジが掛けられるといったようなニーズがあったわけでございます。  そうしたことがありまして、気象庁、公的機関でございますので、気象庁が発表される気象の観測の成果にかかわる数値というのは、これは客観的に明快に一つでございますし、契約当事者が影響を与えることはできません。したがって、こういったものが典型的なデリバティブズとして規定されたということでございます。
  173. 熊谷大

    ○熊谷大君 ちょっと、もっとはっきり明確に何かやるって言ってほしいんですけれども。  というのは、資料三を御覧ください。二〇一一年、二〇一〇年、二〇一二年、その年度、経年を書いたんですけれども、二〇一一年度を境にやっぱりオプションの、いわゆるそこに投資するお金というのは物すごく多くなっているんですけれども、取り扱っている金融機関というのは実は少なくなってきているんですね。恐らくこれは、東日本大震災でどのような影響が出たかということを鑑みてだというふうに思うんですけれども。  私は本当に、先ほど冒頭申し上げさせていただいたように、東日本大震災から何を教訓として学ぶのか、また学べるのかということに力点を置きたいというふうに思っております。というのは、じゃ、その統一基準とか、本当に今でもちょっと曖昧な震度というものを基準にして、これから来るべく西日本大震災に備えて、同じような不幸、つまり震度が曖昧だったがゆえに支払われなかった人、泣きっ面に蜂だった人が結構多くいらっしゃいます、そうしたことを繰り返さないためにも、是非本当に、省庁横断的なワーキングチームをつくって、統一された設置基準又は震度に関する見解というものを公式に出すべきではないかなというふうに思っております。  ちょっと時間が来てしまったので、最後、麻生大臣から一言あればというふうに思いますが、よろしくお願いします。
  174. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはもう先生、一般論として申し上げさせていただきますけれども、これはデリバティブなんというものは、元々かなり投機的な意味合いもありますし、これまでに余りなかった金融派生商品でもありますんで、これは売る方も売る方ですけど、買う方もこれはよほど慎重に、眉に唾しっかり付けて内容をよく読んでもらわぬと、我々一回読んだぐらいじゃ、あの内容は、この場合はどうなんですかという疑問が幾つか湧いてくる程度の常識がある人でも、何となくどうかなと思うことはいっぱいあれは書いてありますでしょう、前にどれくらいやられたかどうかは知りませんけど、書いてありますんで。したがって、これは、販売の勧誘を行うときにはこれは適切な勧誘をしてもらわぬと、これはちょっと、何だか引っかけているように取られるようなことになりかねないということは、もうこれ出たときから言われている話でもありましたけれども。  いずれにしても、金融庁としては、各金融機関というか勧誘業者に関しましては、これは販売勧誘に当たっては適切な態度が大事なんですよということをずっと求めているところでもありますんで、いずれにいたしましても、こういう体制の整備というものがきちんとなされているか否かにつきましては今後とも監督してまいりたいと考えております。
  175. 熊谷大

    ○熊谷大君 ありがとうございました。  以上です。
  176. 西田実仁

    西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  この委員会は本当に久しぶりでございまして、初当選の年には財金でございましたが、その後は違う委員会にずっと所属しておりました。久しぶりに今日は御質問をさせていただく機会をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。  我々自公連立政権の最大の課題というのは、連立政権合意にもあります経済の再生とそれから復興の加速ということになりますが、そういう意味では、経済の再生というためにはいわゆるアベノミクスというものを是非とも成功をさせていかなければならないと、このように思っているわけであります。  今日は、そのためにどのような課題があるのか、またそれをどう克服していこうとしているのかということについて御質問をさせていただきたいというふうに思ってございます。  経済の体温計でもある株価とか、あるいはアベノミクスで大事な為替レート、これを今見ますと、アベノミクスが誕生して、登場して、マーケットも随分好感しました。株価も上がりました。為替も行き過ぎた円高が是正をされました。しかし、今ここに来て、ややマーケットの一部では賞味期限じゃないかというふうなことが言われているぐらいに頭打ちになっているのもこれ認めなければならない状態でございます。  株価につきましては、午前中も議論がありましたが、五月二十二日にピークを打ちました。為替につきましても、九十五円から百円の間のボックス相場になっていると。株もそして為替も共に、いわゆるチャートでいうところの三角持ち合いの状態になっているというのが実態であります。ここをしかし突破していかないとアベノミクスは成功しませんし、我々もそこに向けて与党としてお支えをしていきたいと、このように思って今日は質問をさせていただきたいと思います。  アベノミクスの課題、言い方によっては死角ということになるかもしれませんが、その第一は、やはりお金が空回りするということでございます。  日本銀行の異次元の緩和政策が四月四日に決定をされて以降、マネタリーベースは拡大しておりますけれども、残念ながら貸出しの方はその思ったほどの効果をまだ上げていないという実態、お手元にお配りをさせていただきました表で確認をさせていただきたいと思います。  これは、マネタリーベースと銀行貸出しの前年同月比を上ではグラフに示しております。マネタリーベースは急速に増えている。貸出しももちろん緩やかではあるけれども増えている。その下に表がございますのは、マネタリーベースの前年同月比の増加額、それと銀行貸出しの前年同月比の増加額、それぞれ並べておりまして、その両者を割り算をする、マネタリーベースが一増えたときに貸出しがどのぐらい増えているのかという数値を割り算しているわけであります。  そうしますと、直近では今年の九月が最新のデータになりますが、九月の末残でマネタリーベースは五十六兆一千三百九十二億円増えているわけですね、前年よりも。じゃ、銀行貸出しは前年に比べてどのぐらい増えているかというと、八兆九千五百七十六億円増えていると。共に増えているわけですけれども、これを割り算いたしますと〇・一六という数字になります。  一年前の二〇一二年の九月、この数値は〇・四一でございました。すなわち、一年前の方がマネタリーベースの拡大効果というものが、銀行貸出しという点で見るとあったということになってしまう、こういう今状態にある。これをどうやって克服していくのかということが、まず第一に、お金の空回りを回避していく、抜け出していくためのアベノミクスの課題ではないかと私は考えております。  もちろん、この要因には、午前中もいろいろ議論ありました。日本銀行金融政策の問題、これは、今日は日銀の方にはお見えいただいていませんので、また別の機会に質問を譲りたいと思いますが、その問題に加えまして、なかなか貸し出すことができない銀行の問題があると思います。また、なかなか借入れをしにくい企業の方の問題もあると思います。さらには、金融行政全般の問題もあろうかと思いますので、どれがどうというふうになかなか特定はしにくいかと思いますけれども、まず、こういう状態、つまりマネタリーベースを拡大はしておりますけれども、その効果が出切っていない、なかなか貸出し増につながっていかないという状態について、もう経済の大変な権威であられる麻生総理大臣からその認識をお聞かせいただきたいと思います。
  177. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この先生のお示しいただきました一番左側の前年同期比の増加額を見ましても、これは〇・一六に下がるはずで、昨年の九月に比べたときには、これは十一兆三千八百九十億円、それが今六十一兆二千ということになっておりますので、これ絶対額として、当時の貸出しの、マネタリーのサプライの方が四兆六千億が八兆九千億まで少なくともこの点は伸びてきておるんですけれども、貸し出す分母が大きくなっておりますので、パーセントとしては〇・一六に下がるということなんだと思いますが。  いずれにしても、国内銀行の貸出しにつきましては、足下では前年同期比で約三%程度ぐらいのマネーサプライが増えてきているんですが、マネタリーベースの拡大ほどないではないかという御指摘はそのとおりだと思っております。  これは、資金の貸し手になりますいわゆる金融機関の貸出し姿勢の面という面と借り手になります企業側のいわゆる、何というのかしら、投資意欲かな、景気の悪さとかデフレが染み付いているところとか、いろんなものが複合的に重なっているんだと思いますが、いろんな意味で、新しく投資をしよう、設備投資をやろうという投資意欲という問題と重なり合ってこういった形になっているんだと私どもはそう思っております。  いずれにしても、これ脱却していくためには、本年九月に私どもとしては監督方針というのに基づきまして新規融資に関する取組というものを重点的に確認することにさせていただいております。十月末に、金融機関によります先進的な取組例というのは全国にいろいろありますので、各金融機関はそれらの情報を共有しているわけではありませんので、私どもとしては取組などの事例集というものを取りまとめて公表したところでもあります。  いずれにしても、中小金融機関による中小零細企業に対する融資というものに関しましては、従来ですと、いわゆる不動産担保に対する貸出しというような感覚でいたところを、事業内容に基づく事業審査ができるようなものに変えていくというのが長期的には必要なんだと思いますが、残念ながら、過去何十年間かそんなことやったことがありませんので、ほとんど担保に対して金を貸す。事業内容に対して金を貸しているとか、事業をやる人に対して金を貸しているというような例はほとんど日本の場合はありませんので、そういったことを含めて、今後、目利きとかいろんな表現がありますけれども、そういった事業に対して、企業に金を貸すだけではなくて、いろいろな仕事をするに当たって、このアイデアもいい、この人も柄も悪くない、事業計画も悪くないけれども、問題は、売り先が極めて限られているところは、こういううちの銀行の取引先のこういうところ、こういうところというのに売ったらどうかとか、また、資金を借りるに当たっては、もっとこういった国の、中小企業金融公庫等々の公のあれを使ったらどうか等々のアドバイスをしてやるというような、コンサルティングみたいなものを併せて考える、そういった方向で中小金融というものは考えていくべきだというようなことを申しているところであります。
  178. 西田実仁

    西田実仁君 まさにそういうことでございまして、二枚目のグラフを見ていただきますと、これは全国銀行の預貸率の推移でございます。預金が入ってくる割には、とにかく貸出しが伸びていかないという状態がずっと続いているという状態で、今大臣がおっしゃったお話は大変大事で、いわゆる育てる金融というものをどうして育成していくのかということが問われているんだろうというふうに思うわけであります。  実際には、今日は表、グラフは用意しておりませんが、新規の約定金利はどんどん下がっていまして、過去最低を更新し続けているわけです。新規貸出しを増やすと、今、先ほど監督指針の話もされましたが、新規貸出しを増やそうという銀行は何をやっているかというと、育てる金融ではなくて、ほかが貸しているところに安い金利を武器にして奪うと、これが新規貸出しの実態になってしまっているという残念な金融現場での話でございます。  ですから、ここはまさに育てる金融にしていくんだという、この金融行政をつかさどっている大臣金融機関の経営トップの方の意識を変えていかないと、なかなか新規貸出しを増やしましょうという監督指針にしても、それはすなわち今申し上げた低金利での、ほかの客先を取るだけになってしまうという、全体が伸びていかないというのがマクロの結果になっているんではないかと思いまして、是非ここは大臣から金融機関の経営トップの意識を変える、それを促していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  179. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 誠に御指摘のとおりだと存じます。既に貸してあるところの企業を、まあ仁義なき戦いじゃありませんけれども、俺たちの方が金利は〇・一低いですよとか、まあいろいろな言い方はあろうと存じますけれども、そのほかのやり方はあるんだと思いますが、いずれにしても私どもとしては、いろいろな意味金融機関のトップ、特に地銀、第二地銀ぐらいのところの頭取の意向というのが極めて反映しやすいところの方が、私どもはこういったものに影響が直に出てくるという希望を持っております。  地方に強いし、地方の企業の背景をよく知っているし、いろんな意味でそこの地場のたたき上げでそこにのし上がってきている方が非常に多いのが地方銀行だとも思いますので、そういった方々の地方銀行協会とかまた第二地銀協会等々いろいろな会やら、信用金庫、信用組合とかいろいろ会合があるんですけれども、そういったところでもそういった方向でやってもらいたいという話は既に何回かいたしておりますけれども、引き続きやっていかねばならぬところだと思っております。
  180. 西田実仁

    西田実仁君 ありがとうございます。  そしてもう一つ金融行政としてお問いかけをさせていただきたいのは、アメリカの金融機関というのはいずれもアグレッシブで、むしろいわゆるボルカー・ルールの導入が遅れているように銀行経営自体が非常に前向きであると。しかし、日本の場合は、いろんな過去の経緯もあってなかなか融資に前向きではないという実態であるんですね。それをどう変えるかと、今いろいろ大臣からお話がございました。  この銀行の姿勢がいつになったら変わるのかということで、大きな流れを申しますと、世界というか日本の銀行もそうですが、銀行経営を取り巻く環境が、私は世界的に三つのディレバレッジ、資産圧縮ということが働いているのではないかというふうに思っております。第一幕が銀行の資産圧縮、第二は国家財政の赤字の圧縮、そして第三幕というのは中央銀行の資産圧縮。  これは、今日本はどういう状況かというと、第一幕から第二幕に行こうとしているという状況。銀行の融資姿勢がいろいろなことをやっても、全体として前向きになるのはこの第三幕、つまり中央銀行の資産圧縮。今、資産はむしろ拡大している時期ですから、これが終わってからではないかというふうに全体状況としては思っております。もちろん個々の努力はしていただかなければなりません。  そうしますと、私がここで問いたいのは、今の日本銀行の異次元の金融政策と金融行政の足並みをそろえる必要があると。つまり、具体的に言いますと、バーゼル3の新国内基準についてであります。これについては、やはり実際に原則十年の間に経過措置を導入し、十分な移行期間を確保しながら、段階的に実施というふうになっているわけであります。  今申し上げました世界的な三つのこのディレバレッジ、資産圧縮の流れも踏まえますと、慎重には慎重を期してこうした日本銀行による異次元の金融政策と足並みをそろえる形での金融行政というものがより展開されていかなければ、融資が増えにくい環境というものはなかなか変えられないのではないか。こういう金融行政としての問題点、これを問題意識として持っておりますけれども、いかがでしょうか。
  181. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、国内において金融活動をするという、いわゆる国内基準行のための新たな自己資本比率規制、いわゆるバーゼル3ですけれども、これは基本的に三つのことを頭に置いてやらねばならぬと、まあ通常のことではありますけれども日本の事情を十分に踏まえる、そして金融機関の健全性を保つ、そして三番目が金融の仲介機能というものを発揮させるという、この三つを基本にして今後ともやっていかねばならぬと思っておりますが。  その結果、新たな規制というものに関しましては、自己資本の質の向上を図りつつも、今では従来の自己資本の最低基準が四%ということになっておりますので、これを維持する。その上で、有価証券の評価損益を自己資本に反映させない。上がったり下がったりさせない。そして、業態の特性を勘案しないと、従来の、この業界はとかいうような、この会社はとかいう、そういう固定概念を持たずに、そういった業態の特性というものを十分に勘案しなきゃ駄目ですよということといたしております。  また、ある程度移行期間も要ろうと存じますので、原則十年間の経過措置というものを設けて、来年の三月から段階的に実施をしてまいりたいと考えております。  こうした措置によりまして、地域の実体経済とか、また金融機能の仲介いたしますに当たりまして、悪影響を与えることなく新しい規制に円滑に移っていけるようにしてまいりたいと思っておるところでございます。
  182. 西田実仁

    西田実仁君 是非、今異次元の金融緩和というのをやっている、そしてデフレから脱却しようと。アベノミクスを成功させるにはやはり貸出しを増やさなきゃいけないわけですから、逆にブレーキを踏むようなことにもなりかねないこうした基準については、よく、今大臣がお話しいただいた、慎重には慎重を期して行っていただきたいというように思いますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、このアベノミクスの課題として物価を上げていこうと。そうしますと、当然金利も上がっていきます。そのときに、銀行が持っているこの国債の評価損、これについてどう考えるのかという二つ目のテーマをお話ししたいと思います。  これは、大手行は日本銀行による国債買入れを増やすことによって随分国債は減ってきております。しかし、これから問題になってくるのは、やはり地銀や第二地銀の地域金融機関が持っている国債、これはどうしても貸出先の、先ほどの話の裏返しですけれども、貸出先が少ないということもあって国債によって収益を支えている面が強いわけですね。  こういう中小金融機関が持っている国債が、アベノミクスが成功することによって物価が上がり、当然金利も上昇していくという中にあって、その評価損をうまく処理していかないと、またこれ融資伸びない原因にもなってしまう。この辺についてはどんな対応を考えておられますでしょうか。
  183. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) ただいま御指摘の地域銀行の国債保有状況でございますが、本年八月末、足下では四十一・九兆円となっております。実は、本年四月末は四十三・八兆円でございましたので、若干減少をしております。  こういった国債を保有するリスクにつきまして一般論として申し上げますと、金利が上がると、金利が上がった際にはその国債の価格は下落いたしますので、金融機関財務にマイナスの影響を与えることが考えられます。ただし、先ほど大臣からバーゼル3の御説明がありましたように、自己資本比率規制上は評価損益はカウントしませんので、評価損が出ても自己資本比率規制では影響がないと、国内基準行はそういうことでございます。  ただ、金利が上昇した場合の影響でございますが、日銀が金融システムレポートを出しておりまして、仮に一律一%ポイント上昇した場合には、地域銀行の保有する債券の時価は三・二兆円減少するといった推計がされております。ただ、地域銀行の自己資本でございますが、ティア1プラスティア2で十八・二兆円ございますので、ここは全体として自己資本基盤が大きく損なわれることはないというふうに考えております。
  184. 西田実仁

    西田実仁君 今、日銀の話がございましたが、この日銀による金融システムレポートではその分析対象となっておりませんゆうちょ銀行の持っている国債について、その評価損、影響等についてはどのようにお考えでしょうか。具体的には、長期金利が二%上昇した際の評価損等について、またその対応についてはどのようにお考えでしょうか。
  185. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) 長期金利が例えば二%上昇した場合のゆうちょ銀行への影響ということにつきまして、一定の仮定に基づくもので、かつ個別行にかかわるものでございますので、コメントは差し控えたいと思っております。  ただ、同行は、過去のデータから、いわゆるアウトライヤー比率、金利変動幅を、過去のデータによる金利変動幅を基に算出した経済価値低下額の自己資本額に対する比率、これ二〇%というのが警戒ラインでありますが、二十四年度末の数値は八・六七ということにとどまっているということを公表しております。
  186. 西田実仁

    西田実仁君 いずれにいたしましても、ゆうちょも地域金融機関もアベノミクスが成功したことによってこういう影響もあるということは十分備えていただいているとは思いますけれども、万が一のことがないような対応を是非お願い申し上げたいと思います。  アベノミクスの三つ目の課題は、これは質問ではありません、金融政策だけでは物価は上がらないという、これはもう言うまでもないことで、今、ですから、総理また副総理先頭に賃上げのことを随分言っていただいておりまして、日本の物価が、なかなか消費者物価が上がらないのは、IT機器が下がっているというのもありますけれども、サービス業における賃金がなかなか上がっていかないというのも消費者物価に随分影響を与えているわけですから、賃上げがどうしてもなければ、金融政策だけで物価を上げるのは難しい。ここはもう既にやっていただいていることですから質問はしません。  四つ目に課題としては、これは実は私は大変危惧しておりますが、国際収支の天井という問題、古くて新しい問題ですけれども、国際収支の天井、懐かしい言葉であります。  今ここに来まして、輸出は回復しつつあるというものの、なかなか一気には増えない環境にもあります。輸入の方は非常に増えている。この間、九月貿易統計、財務省からも発表ありました。もう毎月一兆円近い貿易赤字ということに至っております。  ここでよく言われるのは、鉱物性燃料というのが増えているじゃないかと、原発の問題があるじゃないかと、こういうことを言われるわけでありますが、貿易統計を見ますと、必ずしも鉱物性燃料の輸入拡大が輸入増だけになっているわけではないと。というか、むしろ九月の場合は鉱物性燃料の輸入は減っているんですね。ですけれども、他のものが増えている。例えば、電気機器の輸入、これが三千三百億ぐらい増えています。そのうち、半導体等の電子部品は九百億円ぐらい増えている。通信機も一千三百億円増えております。その他のものも、一般機械も一千四百とか、化学製品、輸送用機器等々ですね。実は、この貿易赤字が一兆円近いというものの中は、決して鉱物性燃料が増えていることで輸入が増えているわけではないという、ここをしっかり認識しなければならないと思います。  アジア向け、EU向け、またアメリカ向け、それぞれの輸入シェアも、今日はちょっと添付されていなかったようですが、私が手元で作った資料が実はありまして、そのシェアも年々実は減ってきているという。つまり、日本の輸出のシェアというものがアジア向けやアメリカ向けやEU向けそれぞれで漸減しているという、こういうことと、今申し上げました輸入そのものが、決して鉱物性燃料だけではなくて、電子機器とか一般機械とか、日本のお家芸と言われているもので輸入が増えてきているという。  この二つから何が危惧されるかというと、言うまでもなく日本の製造業の競争力が、国際競争力そのものが落ちてきているのではないかという、こういう大変な危機感を私自身は持っております。  言うまでもなく、国際収支の天井というのは、これから財政をやるにしても何にしても、国内で国債を消化できる余力というものがどんどん落ちているということに直結する話でありますので、この製造業の競争力を回復するということがいかにアベノミクスの成功にとって大事かということを御認識いただいた上で今施策をいろいろ打っていただいているわけであります。  ここで、こういう今の状況、今申し上げたのは二つあります。一つは、日本の輸出シェアが各国で実は落ちてきているということ、それから、輸入が増えているのは決して鉱物性燃料が増えているだけではなくて、むしろそれを上回る電子機器等の輸入、一般機械等の輸入が増えてきている。こういう事実を見てどうしなきゃいけないのかという思いを是非大臣にお聞きしておきたいと思います。
  187. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、ある程度予想されているとおりになっておりますので、先生御自身もそう思っておられるんだと存じますが、私どもとしては、何となく貿易立国という国を、随分昔新聞によく書いてあったんですけど、今でもまた書いている人がいらっしゃいますが、現実問題としてGDPの中に占める輸出の比率なんというのは一〇%から一五%の間。ほかの国、韓国とか、あそこみたいに三〇だ、四〇だなんということはありませんから、貿易立国とはもう全く言えませんし、日本より輸出比率が高い国の方が圧倒的で、低いのが、G20の中でブラジルとアメリカ以外は全て日本より高いと存じますので、いわゆる貿易立国とは程遠い、いわゆる内需で我々はきちんと支えている国だというのがまず第一点。そういうように体質がこの何十年間かの間に変わっております。  もう一点は、やっぱり物、いわゆる今言われたような白物に限らずいろいろございますけど、そういう物の部分というのは確かにありますけれども、今それ以外に日本の場合でいわゆる総合収支の中に入ってくる、所得収支で入ってくるものでいえば、いわゆる特許料とか配当とか金利とか、そういうものの方がはるかに大きなものになってきておりますので、この国は明らかに、そういった物の輸出によって稼ぐ国より、これまでの投資したものによって回収している部分というものの方が額としては大きくなってきておるというのが二つ目であります。  それから三つ目は、やっぱり今後ともそういったことにすると、このままほっておくと、かつてイギリスが歩んだ道、かつてアメリカが歩んだ道で、物づくりは何となくセカンダリーな仕事に、二次的なものになって、頭のいいやつはみんな金融にやるんだ、ファイナンスなんだとかいうような怪しげな方向にわあっと行って、サブプライムローンとか怪しげなものをみんな買ったわけでしょうが。あれを読んで怪しげと思わない人の方がおかしいんですよと今アメリカ人は自分たちで言っているから、売ったのはおまえらじゃないのかということも何回か言い合ったことありますけれども。そういうようなものに我々は幸いにして英語が読めなかったから引っかからなかったんだと思うんですね、あれは。僕は、あれ、英語が読めたらきっと引っかかっていた強欲な人はいたと思いますよ、日本にだって。だけれども、引っかからなかった。おかげで日本は今回の中で、圧倒的に金融危機としては、金融に関しては強く生き残ったのが今日の日本の形なんだと思います。  しかし、今後ともやっぱり物をというものを考えていった場合は、例えば日本でいえば工作機械とかプレス機械でいえば、例えばゼネラルモーターズの、同社のプレスの機械はほとんどIHIですから。ほとんどというか、一〇〇%IHI。作業員も日本人というようなぐらいに、やっぱり重工業と言われるような重電とか発電機とかモーターとか、そういったようなものは圧倒的に日本というもののいわゆる技術の蓄積によってつくり上げてきているものは、これは今後とも日本という国は強いであろうというのであれば、こちらをむしろ傾斜的配分というか、そちらの方にもっと力を入れていくべきなんであって、私どもとしては得意な分野で今後とも勝負して、金融だけに走ることなく物もきちんとつくっていくというような姿勢が国としては望ましいんだと思っております。
  188. 西田実仁

    西田実仁君 ありがとうございます。  ちょっと時間が迫って次の質問に移らせていただきますけれども、もう一つのアベノミクスの懸念としてありましたのは、公共事業の下期息切れというのがありました。これは、でも懸念するほどでもなかったというふうに、結果的には思っております。  そして、六つ目に私が挙げたいのは、これは税収の問題であります。  税収につきましては、この過去三年を見ただけでも、当初予算と決算とでは大きく特に法人税収は異なっております。平成二十二年度は、当初予算法人税収六兆円、決算は九兆円。二十三年度は、当初予算七・八に対して決算は九・四兆円。二十四年度も、当初八・八兆円に対して決算は九・八兆円。そして、今年度も恐らく大幅な法人税収の上振れがあるだろうというふうに一般的に言われております。  私は、ここで政府の税収予想というのがもしかしたら民間企業のダイナミズムを見落としているんではなかろうかというふうに今思っております。この十年で企業はバブルから、後遺症から立ち直りました。企業経営も積極化してきたり、あるいは技術革新による新産業の育成や、また新興国の躍進等による世界経済の拡大、こういった環境変化がこうした政府の税収予想に私は織り込まれていないのではないかと思っております。  説明を省くために資料を見ていただきますけれども資料には、一九六〇年代からの今日に至るまで、名目GDPの成長率に対して経常利益増益率がどのぐらい増えているのかといういわゆる弾性値というものを、名目成長率がマイナスのところを除いて平均を割り出しております。六〇年代は一・〇二であります。ですから、名目成長率が一%上がると経常利益増益率も一・〇二%上がると。七〇年代は一・二〇、八〇年代は一・二九、九〇年代は〇・六〇。しかし、その後、二〇〇〇年から二〇〇九年で一六・七、私が申し上げた過去三年、税収の上振れがありました二〇一〇年―一二年の平均だけ見ると六〇・八、二〇〇〇年から二〇一二年の平均では二七・七と。明らかにこの弾性値は大きくなっていると。  こういうこの税収の見積り、私も事前に、もちろん先ほど西田先生からお話がありました繰越欠損控除の話とかも当然踏まえた上で、それもなおカウントしてもこの法人税収の見積りというのが過小になってはいないか、その裏に民間企業のこの間の変化、ダイナミズムというものが踏まえられていないのではないかというふうに危惧しておりまして、今後の財政再建ということを見るときにも、もちろん過大に見るのはおかしいと思いますけれども、しかし余りに過小に見るのもこれまた経済財政運営を過つことにもなりかねないと、こんな問題意識を持っておりますけれども大臣の方はどんなお考えでしょうか。
  189. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、毎年、次年度の予算を出しますには、十一月初めぐらいに各企業の上期の決算が出、下期の予算が出されたものが大体積み上がってくるのが十一月ぐらいになろうと思いますので、そのころに、大体中旬以降こういった予測をやることになりませんと、ちょっと何となく見込みだけでやりますと危ない、これ税収というのは極めて大事なものでありますので。  今年度の場合は、間違いなく、今予想しておりますのは、土台が上がっております分だけ七、八千億ぐらい上振れするのではないかという予想はしております。予想はしておりますけれども、私どもの今の段階としてそれ以上余り強気のことも言える状況ではないと思っておりますが。  しかし、昨日でしたか、トヨタの経常利益が二兆二千億かというようなことが税引き前で出ていましたけれども、ああいったような数字というのが出てみたり、新聞に、そうですね、十七、八年ぶりだと思いますが、ベアなんて言葉が出て、うちの若い人なんて、大臣ベアというのは何ですかと聞かれて、もうベアは通じませんものね。今の労働組合の若い人がベアって何ですと言うぐらいベアとは程遠い世界がもう十何年もデフレ続いておりますと、もうベースアップという言葉はまあ昭和三十年代、四十年代当たり前な言葉でしたけれども今は全く出なくなって、給料が下がっている。  日本の給料が高い高いと言ったけれども、気が付いてみたらもうどんどんどんどんほかの国の方が、置いていかれて、この二十年間の間、アメリカが一七〇%ぐらい、こっちは八八ぐらいまでとかという形になっておりますので、いろんな形でこういったような問題というのは、私ども、税収というか、やっぱりデフレーションというものが一番なんだと思うんですけれども、それが明らかに今変わりつつあるんだと思いますので。  こういったものを、決して役所としてこれを企業の活力を低めに見ているというより、やっぱり長い間のデフレーションによります税収減というものが非常に大きかったのが背景だと存じますので、これはなるべく近くに見当を付けてやらねばならぬというところで、これは民間とかなり差が出たり、まあ年によって違うんですけれども、民間の企業、民間のいろいろ研究所四十幾つ、私どもよく数字を使わせていただきますけれども、その四十何社の平均見ましても、これくらい下がりますとか上がりますとかというのを基づいて、我々も参考にさせていただいていますけれども、なかなか、今おっしゃるように、長い間ちょっとずっと落ち目だったものですから、何となくこっちの方も、出す数字も少し弱めに出てきていたのかなという面は私は否定できないと存じます。
  190. 西田実仁

    西田実仁君 率直にお答えいただいて本当にありがとうございます。  残りの時間、二つテーマがありまして、一つ復興特別法人税の一年前倒し廃止について是非お聞きしたいと思っております。  これにつきましては、私も与党税協のメンバーでもありますので、経緯はよく分かった上でお聞かせいただきたいと思っております。午前中も御質問がありましたので、重なる部分は省きます。  この復興特別法人税前倒し廃止のときに財務省の方から我々が受けた説明一つに、一つは財源の問題、そして国民理解、中でも被災地の方の十分な理解、そして三つ目には賃上げされることということがあったというふうに記憶しておりますが、その元々のペーパーには、この賃上げとともに下請企業支援というのが入っておりました。  なかなかこれについては総理からもお話がございませんので、先般たまたま機会がありましたので、財界のトップの方にも、元々これが条件なんだということで、しっかり大手企業またその大手の子会社の方は、取引先の下請企業に対しても同じ利益をシェアできるような、コンプライアンスを始めきちんとしてもらいたいと、こういう要望も私からも直接させていただいたわけであります。  今日は政務官お見えでございますのでお聞きしたいと思いますが、経産省としては、この復興特別法人税前倒し廃止は十二月に結論を得るわけですけれども、それまでの間にもどういうそうした下請企業支援というものを新たにやろうとお考えなんでしょうか。
  191. 磯崎仁彦

    大臣政務官(磯崎仁彦君) 今、西田委員の方から御質問がございました復興特別法人税廃止ということで、下請企業に対してどのような支援をするかということでございますが、まず、今その前提としまして、今の日本法人企業の数というのは二百五十七万社あるということで、そのうち利益を上げているのが七十一万一千社ということで、約三割が利益を上げている法人ということですので、今回この法人税前倒しをすることによって単に大企業のみが利益を受けるということではなくて、いわゆる下請企業も含めた中小企業についても、これは約七十万社が資本金一億円以下の中小企業ということでございますので、まずそういうこともあるということが一つ前提としてあるというふうに思っております。  それからもう一つ、今回、政策のパッケージということで、中小企業に対してのいわゆる促進税制、これについても今回思い切ったものを導入をしておりますので、これも中小企業という意味では、下請の中小企業についても、中小企業のいわゆる促進税制、これが非常に大企業よりもインセンティブの高い法人税の軽減措置ということになりますので、全体としてまずこういう環境にあるということがまず一つあるということを御理解をいただきたいというふうに思います。  それを前提といたしまして、下請の中小企業・小規模事業者ということでございますけれども、おっしゃるように、まさに産業の基盤を形成しているということでございますので、こういった下請の中小・小規模企業、やはり競争力を持つということが日本全体の競争力につながっていくというふうに思っております。  一つ、さきの通常国会におきまして、八つの法律というものをパッケージにしました小規模企業活性化法というものが先生方の御支援で成立をいたしておりますけれども、この一部としまして下請中小企業振興法という法律を改正をいたしまして、これは、一つ中小企業ではなかなか顧客のニーズに合った商品なりサービスなりを提供できないという環境にある中で、幾つかの下請企業が連携を組むことによって、いわゆる顧客の、顧客といいますか、親会社のいわゆるニーズに合った商品、サービスを提供できるということで、こういった連携をすることに対して支援を図っていくという、そういうことを一つ行っております。  もう一つは、やはり親事業者がいわゆる利益を上げた場合に、それをどう下請事業者に対して利益を還元をしていくか、これが非常に重要な意味合いを持つというふうに認識をしておりますので、親事業者が下請取引の適正化に取り組むということが非常に必要だというふうに考えております。  特に、この十一月は下請取引適正化推進月間ということになっておりまして、従来は、いわゆる大企業である親事業者、これは三万社ほどあるということでございますが、この大企業に対してのみ取引の適正化ということを文書で依頼をしていたところでございますけれども、今回は、大企業に限らず全ての親事業者、これが二十万社に上る数でございますけれども、こういった全ての親事業者に対して、収益の改善を適正な下請取引という形で下請中小企業にも還元をしていただくように文書で要請することをこの十一月中に考えているということでございます。  更に言えば、下請代金の減額とか買いたたきなどによって下請代金の支払の遅延等々が生じないようにということで、下請代金支払遅延等防止法違反のおそれがある、こういった行為が行われている場合には、立入検査であるとか改善指導とか、こういったことも厳格に行っていくということによりまして下請中小企業の活性化に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  192. 西田実仁

    西田実仁君 大変に御丁寧に御説明をいただきました。  まさにこの復興特別法人税の一年前倒し廃止するかどうか十二月に結論を得る際に、この下請企業支援、今言われた税制のところは私もかかわっているのでよく存じ上げておりますけれども、新たにこういうことをやっていくんだという道筋がやはり私は必要だというふうに思っておりますので、是非その促進もお願い申し上げたいと思います。  最後になりますけれども、がらっと話は変わりまして、最後の図でございます。これは、損害保険会社とそれから車の事故に遭ってそれを修理をするいわゆる板金塗装の修理工場との関係についてお問いかけをさせていただきたいと思います。  保険会社に入る契約者という方が事故を起こしてしまった場合に、この場合は加害者の図になっておりますけれども、事故の通知を損害保険会社に行います。これが①事故通知でございます。そして、被害者の方が被害に遭った車を直すために、これは修理工場に持っていくわけです。修理を②で依頼して、完成すると⑤でそれをお返しをすると。  問題は、この損害保険会社と修理工場との関係であります。事故の通知を受けた損害保険会社は、契約者との間でいわゆる修理請負契約をしました修理工場に行って、この修理費は幾らなのかという査定をして、そして、その修理費は幾らですよということで修理工場が請求をして、保険金によって支払をするということでこの契約全体が成り立つわけであります。  ここで問題なのは、この損害保険会社ないしはアジャスターと書いてありますけれども、これは損害保険会社の子会社だったりすることが多いわけですけれども、損害保険会社に代わりまして修理工場に行って、この作業は多過ぎるんじゃないかとか、高いんじゃないかとか、こんな部品高過ぎるとか、いろんなことを言って保険金によっての支払が余り増えないように適正化を図るという役回り、まさにアジャストする役割がアジャスターであります。  ここで問題になってまいりますのは、この損害保険会社と修理工場、ここには実は債権債務関係はありません。債権債務関係があるのは、保険会社と契約者の間。そして、契約者と修理工場の間には、先ほど申し上げました修理請負契約による債権債務関係がある。ちゃんと直してくださいね、ちゃんと直しましたよと、こういう契約があるわけですね。  この損害保険会社が修理工場に幾ら幾らとお金を決めて払わない限り、つまりこれを協定というふうに言うそうでありますけれども、損保会社と修理工場の間でのこの協定が成立をしないと、いつまでたってもお金は修理工場に払われないということになります。そういう状態がずっと続くとき誰が困っているのかというと、修理工場だけが困るシステムになっています。  つまり、損害保険会社は協定が成立していないからお金を払わない。事故を起こしてしまった人は、しかしもう直してもらっているから別に困らない。逆に、契約者の人は、保険金が払われなければ等級も下がらないからもっと困らない。じゃ、誰が困っているかというと、修理工場だけが直してしまった部品代を払っている、しかしお金はもらえない。この協定が成立をしない、長引けば長引くほど、修理工場は皆小規模の修理工場ばかりであります、片や損保会社は大変大きな企業ばかりでありまして、時間を掛けて協定が成立をしなければしないほど、言わば兵糧攻めのようにして修理工場だけが困っていくという、こういう構図に実はなりかねないわけでございます。  これを、やはりこの構図そのものをおかしいというふうに私も思う件が幾つか地元でもございますが、やはり、この協定を遅らせれば遅らせるほど、困って兵糧攻めになる修理工場が、じゃ例えば損保エリアに行けるかというと行けないんですね。なぜならば、契約者ではないから。ということで、持って行き場がない状態の中で大変にこの取引自体が困っていると。  こういう状況をやはり改善をしていくには、協定そのものを促進をしていく、また損保会社の方がそういう協定をきちんと相手の意見も聞きながら、また自分たちの意見も言いながら、その意見が異なるのは当然、価格交渉は個別対応ですからいいんですけれども、しかし、その結論を出さずにずっと行くということがあっては、これは結局修理工場の方が泣き寝入りをしなきゃいけないという、この構図を是非変えるべきだというふうに思うわけでありますが、金融庁の方はいかがでございましょうか。
  193. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) 御指摘のように、損害保険会社が保険金として自動車修理費を支払う場合は、本来の契約者ではなくて修理をした工場に直接支払う慣行がございます。  ただ、その修理費の金額、支払時期につきましては、損害保険会社と自動車修理業者という民間当事者間で決められるべきものでございます。ただ、修理を行った事業者等に直接支払う場合に、これらの者からいろんな照会とか苦情が来るということがございますので、そうしたことに対しては適切な対応を行うことということは従来から監督上の重点事項にしております。  損害保険会社が保険金の算定根拠あるいは支払に時間を要する場合は、その理由ないしは支払目途を丁寧かつ分かりやすく説明することが必要であろうと思いますし、苦情の申出に対しては適切に対応することが重要であろうと思っております。今後とも、引き続きそうした指導をしてまいりたいと思います。
  194. 西田実仁

    西田実仁君 ですから、これは時間を掛けて協定が成り立たないというのは、ある意味で、やり方によっては不当不払ということにもつながりかねない問題であろうかというふうに思うわけであります。  金融庁の方は、監督指針を平成十八年に改正された際に、保険金支払に係る監督上の着眼点というのを設けられて監督されていると思います。こういう個別ケースも頭に入れて、いたずらに協定を遅らせる、あるいは話合いに応じない、何か文句があるならば裁判をやればいいじゃないかと、こんなような対応が一部に見られますので、これは是非、よくよく監督上留意をしていただいて指導いただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  195. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) 個々の案件でそれぞれ事情があろうかと思いますので、長期化しているからといって一概に不当とか不払だとか、そういった話にはならないとは思います。  ただ、いずれにしましても、損害保険会社はこうした関係者に対しても丁寧かつ分かりやすく説明するとか、苦情の申出に対して適切に対応するということが必要でございますので、そういった点はよく指導してまいりたいと思います。
  196. 西田実仁

    西田実仁君 最後、大臣にも今見ていただきましたので、こうした構造上の問題、しかも相手は大きな会社、こちらは兵糧攻めに遭う方は小さな会社という、これを両者にとっていいような形にやっぱり変えていくべきだというふうに思うわけですが、最後に大臣、もし御感想がありましたらお願いします。
  197. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 個別の物件につきましてこれコメントをすることはちょっと差し控えさせていただかねばならぬと存じますけれども、これは算定根拠、先ほどのデリバティブの話じゃありませんけれども、あれも小さな字でいっぱい書いてありますものね、あれ。  そういった意味で、これはなかなか、ちゃんと読みもせずぽいとサインしちゃった結果、ある日突然にという事故にならないと保険の意味がなかなか普通理解されないところでもあるんですけれども、いずれにしても、そういった苦情の申出というのに対して、これはきちんとした対応をするという責任は、これは保険会社の方にもきちんとしたものがありますので、そういう点は対応を、又は最初に保険に入ってもらうときに、今はいろいろ保険会社はいっぱいありますので、昔は何となく一つか二つしかないような感じでしたけれども、今はもう外資も入ってきて、いろいろなものが出てきていますので、そういったものに、ある程度競争原理もこれは働いてきているような感じはしてはおるんですけれども、いずれにしても、保険金の支払に関しましては、これは管理体制というのをきちんとするように私どもも適切に指導してまいりたいと考えております。
  198. 西田実仁

    西田実仁君 終わります。
  199. 井上義行

    ○井上義行君 みんなの党の井上義行でございます。  麻生大臣、久しぶりでございます。第一次安倍内閣以来だと思いますが、私も大臣の後ろにいる秘書官と同じように第一次安倍内閣で仕事をしましたけれども安倍総理は再登板しました。麻生大臣、再登板のお考えはないでしょうか。
  200. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) もう一回やりたいなという職業じゃありませんな。
  201. 井上義行

    ○井上義行君 麻生大臣総理になるためには、経済成長をいかに遂げるかということに懸かっていると思いますので、是非日本の景気が下がらないように全力を尽くしていただきたいと思います。  その景気を支えるのは、財政の力だけでは私は限界があるというふうに思います。したがって、民需の力を最大限活用していくためには、金融機関の安定が不可欠だというふうに考えております。  そこで、お伺いします。今回の反社会的組織への融資問題を招いたみずほ銀行の認識をどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
  202. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) このみずほの件につきましては、これは検査などを通じて、まず提携ローンにおいて、また多数の反社会的な勢力との取引が存在しているということを把握していながら、取引の防止又は解消のための抜本的な対策を行わず長期間放置していたというところがいわゆる管理体制上一番大きな問題点があるんだと思っているんですけれども、また、この過程において、みずほ銀行の方から監督官庁である金融庁に対して事実と異なる報告が行われていたということが極めて遺憾なことだったと、私どもはそう思っておりますので、いずれにしても、今みずほ銀行につきましてはヒアリング等々立入検査も行っておりますけれども、提出をされております業務改善計画書等々いろいろこの本件に対しての対応というのは出されてきておりますが、そういったものをきちんと検証し、その結果を踏まえて対処してまいらねばならぬと考えております。
  203. 井上義行

    ○井上義行君 多分、このみずほ銀行にかかわる問題が非常に社会的な問題になっているにもかかわらず、大臣の所信ではこのみずほ銀行の関係が記載されていませんでした。なぜ所信に載せていなかったんでしょうか。
  204. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは政策の問題ではなくて個別の問題になろうと存じますので、こういったことを、個別の問題を所信に書くということは通常はあり得ないと存じますが。
  205. 井上義行

    ○井上義行君 私は、今回のみずほ銀行の関係は頭取が辞任するべきだというふうに考えております。大臣のお考えをお聞かせください。
  206. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私どもとしては、これはまだ今の段階で検査をし、その結果、立入検査を再度行う等々をやっている最中でもありますんで、この点につきましては、今度きちんと精査をした上でないと、うかつに安易なことを申し上げる段階にはないと存じます。
  207. 井上義行

    ○井上義行君 私は、なぜそういうような考え方に至っているかと申し上げますと、やはり自分の持論の中に、地方銀行に一部裁量権を認めるべきだという考え方があります。ですから、自己責任をしっかりと持たせるような仕組みに変えていくべきだというふうに考えているからでございます。  そこで、今回の景気というのは、やはり、私も小田原に住んでおりますので、小田原は非常に景気が悪いんですね。ですから、地方、中小企業個人にどれだけお金が回ってくるかに非常に懸かってくるというふうに思っております。そして、日本経済が力強い成長を遂げていたころは、金融機関がリスクマネーの供給役を果たしていたんですね。ですから、成長産業を育成して、地域とともに成長をしてきました。  大臣の所信の中で、金融機関企業の再生、成長と地域経済の活性化に取り組んでいく、こういうふうに書いてありましたけれども、現在の厳格な金融行政の下では、金融機関は株の保有を減らし、返済の確実な優良債権にしか貸せない枠組みは変わらず、大きな期待はできないんじゃないか。  そこで提案ですけれども、地域金融機関に地域経済の活性化とデフレ克服のためにリスクマネーの供給役を担ってもらい、大手銀行とは全く異なる規制の枠組みとすることがあってもいいのではないかと。例えば、地域の再生に貢献するためのインセンティブ措置として、地域の中小企業に対する資本供給や貸出しについてはリスク計算の対象外といった制度も考えられるというふうに思いますので、是非この制度をつくってもらいたいと思います。  そこで、地域金融機関にこのような制度を導入する考えがあるか、麻生大臣にお伺いしたいと思います。
  208. 福岡資麿

    大臣政務官(福岡資麿君) まず、御指摘のとおり、日本経済がデフレから脱却し、力強い成長を実現していくためには、金融機関には新規融資を含む積極的な資金供給や経営改善支援を行い、顧客企業の成長を強力に後押しする役割を一層発揮していただかなければならないというふうに思っています。  このような観点から、本年九月に公表した中小・地域金融機関向けの監督方針におきましては、金融機関に対し、適切なリスク管理の下、目利き能力やコンサルティング機能を高め、成長分野などへの新規融資を含む積極的な資金供給を行うことであったり、また、中小企業の経営改善、体質強化の支援を本格化していくこと、こういったことの二点を強く促しているところでございます。  他方、今委員指摘のありましたように、自己資本比率規制上のリスク計算における中小企業向け貸出しの取扱いにつきましては、現在でもその小口分散という特性に配慮しまして、リスクへの算入を中小企業については軽減する扱いを行っていますが、御指摘のとおり、その全てを対象から外すということにつきましては、一つ金融機関における適切なリスク管理、もう一つ金融仲介機能の適切な発揮に必要な財務基盤の確保、こういった観点から、全て外すことについては適当ではないというふうに思っております。
  209. 井上義行

    ○井上義行君 次に、物価についてお尋ねをしたいと思います。  今回、東京オリンピックの招致が決まりました。麻生大臣におかれましては、スポーツ議連の会長として大きな役割を果たしたと思いますので、本当に国民を代表して感謝を申し上げたいと思います。  そこで、前回のオリンピックが開催された昭和三十九年と今年の価格を比較してみますと、例えば、変わらないもの、上がったもの、下がったものがあるんですね。  これは総務省の統計局が出したものでございますけれども、例えば、バナナが昭和三十九年では一キログラム二百二十八円、今年は二百一円、当時よりも安いんですね。そして、テレビはといいますと、昭和三十九年には一台モノクロ十六型で五万五千円、そして今ではカラー三十二型で五万二千百八十三円、これテレビの価格としては下がっている。郵便料金はというと、はがきでは昭和三十九年が一枚五円だったのが現在では五十円。封書では、三十九年が一通十円が、八十円なんですね。中華そばはというと、一杯昭和三十九年だと五十九・四円、そして現在では五百八十七円、こういうふうになっております。  ですから、物価が上がっただけでは国民の暮らしは良くならないわけですね。先ほど大臣が申し上げたとおり、所得が上がって初めて国民の豊かさがやってくるわけでございまして、例えば所得で申しますと、昭和三十九年、当時の国家公務員の初任給、大卒は一万五千六百円だったんですね、現在は十七万二千二百円、約十倍になっているんですね。だから、やっぱり所得を上げていくには経済の成長が不可欠だというふうに考えております。  そこで、今年は、今年の十月、日銀の展望レポートによれば、経済・物価見通しは、実質GDP、二〇一三年十月と二〇一四年、二〇一五年を比較しますと、二〇一三年がプラス二・七、二〇一四年、二〇一五年がそれぞれプラス一・五、プラス一・五ということになって、その差は一・二ということになります。これは、やはり消費税の影響が非常に大きいというふうに思われます。  そこで、消費税を二年間凍結した場合、二〇一四年、二〇一五年の実質GDPはどのぐらいになりますでしょうか。財務大臣
  210. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 二年間凍結した場合のGDPがどのくらいになるかという御質問ですが、これは、GDPの実質の成長率の見通しは、今年の八月だったかに内閣府が出しました中長期試算を公表しておりますが、この中では現行法に沿ったいわゆる消費税率引上げ前提とした試算が行われておりまして、消費税を引き上げない場合の試算というのは全く行われてもおりませんのでちょっとお答えのしようがないんですが、引上げによります経済への影響につきましては、駆け込み需要や反動減というものが出てきているというように考えております。  そこで、消費税率引上げ判断に当たって、引上げによる反動減というものを緩和して、これで景気の下振れリスクというものを対応するというのが我々に与えられている使命だと思っておりますので、この経済成長率を鈍化させる、民間によれば約四―六で一・八兆円、民間経済研究所の四十一社の平均、中間計数が約一・八兆円なものですからそれを使っておりますけれども、そういったようなもので経済政策のパッケージというものをこれによって策定をしておるんですが、いずれにいたしましても、こういった三本の矢という形できちんとしたものにしていく傾向によって、結果としてこの日銀が三日ぐらいに出しましたのは、これ最後のところに書いてあります、一・九という数字になってきて、ほぼ二%に行けるであろうということになっているんだと存じます。
  211. 井上義行

    ○井上義行君 そして、IMFの世界経済見通しでは、世界経済では二〇一三年が二・九、そして二〇一四年が三・六。米国も一・六から二・六に上がるわけですね。ほとんどの国が二〇一四年の経済見通しでは実質GDPが成長する中、日本だけが二〇一三年二・〇から二〇一四年には一・二と下がるわけなんですね。これはやっぱり消費税の影響が非常に大きいというふうに考えます。  そこで、麻生大臣に御提案があります。二年間消費税を凍結したらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
  212. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、なかなか安易に今の御提案にいいですなどという、申し上げられるわけにいかないという理由を説明すると、これは長くなりますので、とてもじゃないと思いますので。少なくともこれは、まずは法律というものを、みんなの党は関係は直接していなかったんですが、自公民三党で、これは三党合意で少なくとも二%というものを昨年の民主党内閣のときに決めさせていただいております。そのときに附帯条件というのが付いておりまして、その附帯条件、十八条等々がずっと書いてありますのは御存じのとおりで、あのときと今と比べて景気が悪くなっているかという数字は一つもないぐらいあのときに比べて良くなっておりますので、あの法律どおり実施させていただくというのが妥当だという結論に達しております。  したがいまして、私どもとしては、これによって、少なくとも国際社会の中におきましても、G20、もう二月のころと六月のころと十月ごろとは全くその内容が変わってきて、最初は日本に対しては円の独歩安だけを言われた時代がありました。二つ目は、財政出動だけやって全然財政の再建に対するあれが全くないではないかというようなことを言われましたけれども。  十月、この消費税の話を日本で私どもとして法律どおりやらせていただくという方向で動き始めて、後に開かれたG20におきましては、独歩安の話もなく、日本はきちんと財政再建をするという方向で、法律どおり俺たちは与野党合意で、衆参がねじれているにもかかわらず俺たちはできた。少なくともアメリカは、上下両院でねじれているからできない。したがって、俺たちの方はちゃんとできているということは、俺たちの方が民主主義の成熟度合いが日本の方が高いということを証明しているとそう言って、誰も反論する人いませんでしたので、私どもはその方向で事を進めて正しかったと思っております。
  213. 井上義行

    ○井上義行君 我々みんなの党がやっぱり危惧するのは、この消費税の影響によって景気を非常に冷え込ませてしまうんじゃないかと。そして、税収が冷え込んでいく中で、結局過去には消費税は上げたけれども税収は上がらなかった、こういう事実、そして教訓を生かしていかなければならない、こう考えております。  そのために我々は、二年間消費税を凍結をして、その間にデフレを脱却する。デフレを脱却するということは、二度とデフレ下に戻さない、こういうことです。ですから、この二年間、デフレを脱却をした上で、確かな経済で体力を付けて、その上で考えるべきだというふうに私は考えております。  その上で、来年度の今回消費税増税に伴ったこの消費税の増税分の見込額はどのぐらいになるでしょうか。
  214. 愛知治郎

    ○副大臣愛知治郎君) お答えを申し上げます。  現時点で消費税率五%から八%への引上げによる平成二十六年度の増収額でございますが、これはあくまでも一定の仮定の下で機械的に試算したものでありますけれども、国、地方を合わせ五兆円程度になると見込まれます。  必要があれば、概要について御説明申し上げますが。  消費税率を三%引き上げる場合、単純に税率だけで計算すれば、国税、地方税を合わせて増収見込額は八・一兆円程度、約一%増税することによって二・七兆円の増収となります。  しかしながら、引上げの最初の年度であります平成二十六年度において増収見込額が五兆円程度にとどまっておりますのは、例えば四月期決算法人の場合、増税分のうち二十六年の四月分のみが二十六年度に納税されて残りの十一か月分は二十七年度に納税されると、増税分の一定部分は二十六年度の税収にならないこと、これがまず一点でございます。また、二十六年四月以降も五%の税率が適用される取引、二十五年の九月三十日までに契約した長期請負契約などがあることなどによるものであります。  いずれにいたしましても、平成二十六年度予算の積算時に詳しい見積りを行うこととしております。  以上です。
  215. 井上義行

    ○井上義行君 そうしますと、消費税増税に伴う経済対策予算規模はどのぐらいでしょうか。
  216. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 三%の引上げをすることによって起きるであろういわゆる経済の下振れリスクに対応するために、私どもとしてはきちんとした財源を確保した上でやっていかねばならぬと思っているんですが、確実に成長軌道でずっと来たものが一回一・八兆円落ちる、それが底上げしただけではなくて、それを更に上のこの軌道にまで元に戻してやらないと、いわゆる早期復帰という点を考えまして、私どもとしては四―六の反動減ということを大きく上回る五兆円という程度のものを考えております。  財源としては、経済成長によります税収の自然増、いわゆる通称上振れという部分です。それから二十四年度決算の剰余金、そして二十五年度予算の不用というものなどを最大限活用することによって、それを確保してまいりたいと思っておるところです。
  217. 井上義行

    ○井上義行君 そうしますと、結局、消費税の見込額は三%上げたことによって五兆円、それに対する経済対策として出すのが五兆円、そうするとプラス・マイナス・ゼロなんですね。だから、消費税を凍結した場合と全く同じになってしまうわけですよ。  だから、消費税を凍結して自然増した方が来年度は税収が上がる、そのように考えておりますけれども、今の五兆円、消費税三%の分、見込額五兆円に対して、経済予算規模として五兆円、プラス・マイナス・ゼロ、財政再建にはつながらないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  218. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、今少子高齢化というものが多分日本は世界最速で進んでいると思われます。日本の社会保障制度というものを少なくとも持続可能なものにしていく責任というものは我々の世代にはあるんだと思いますんで、したがって恒久的な財源の確保というものはこれは避けて通れない問題なんだと思っております。  今回の消費税の増税というものは、まさにこういった社会保障というものを、いわゆる財源を確保しないと、少なくとも毎年半分、二・五兆一般会計から突っ込んでおるわけですから、そういった意味で、新たな経済政策の財源につきましては、今自己捻出ということの趣旨がよく分かりませんでしたけれども、いずれにしても経済の成長によって税収の自然増とか決算剰余金などというものを最大限に確保していく予定であります。  これらから生じるというものは、毎年度生じることが保証されているものではありませんから、したがいまして、一時的な財源を社会保障に回して当座しのぎをするというのではなくて、消費税のような形で皆広く負担していただくという形の方が私どもとしては適当ではないか、正しいのではないかと、そのように考えております。
  219. 井上義行

    ○井上義行君 だからこそ、我々は凍結という言い方をしております。  我々も、将来の社会保障の自然増に伴う財源というのは将来やはり考えていく必要がある。しかし、経済が失速してしまったら、せっかくの経済の成長に影響を及ぼす。その観点から、例えば今回、先ほど申し上げた、麻生大臣は税収、この五兆円の財源というのは経済成長による税収の自然増、そして二十四年度決算の余剰金、あるいは二十五年度の予算の不用、こういうことを最大限活用して五兆円を捻出すると。だったら、社会保障に足らないんだったら、その五兆円を社会保障に回せばいいのではないかと。  ですから、来年には消費税を凍結して、この五兆円を社会保障に回すべきだ、こういうふうに考えておりますけれども、いま一度大臣のお考えを伺いたいと思います。
  220. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先ほども申し上げたとおりですけれども、法律というものが、先生が当選される前にこれは法律で昨年決まっております。したがいまして、これは税制抜本改革法附則第十八条というのに基づいて、経済状況を総合的に勘案してこれはやるということを決めさせていただいた、これは三党合意に基づくものだったと記憶しますが、その結果、引上げと併せて、今言われるような、経済的ないわゆる、また下振れリスクというものもそこに抱え込むようなことになりますんで、それを避けるために経済政策パッケージというものをつくらせていただいております。  この経済政策パッケージに出しておりますお金というものは、消費税というもので恒久的に入ってくるものではなくて、いわゆる前年度の税の不用とかそういったようなもので、一時的なものでありますから、いわゆる税とは全く違った種類のものでこの場を対応し、結果として経済成長レベルを元のレベルまで戻す、元の直線まで戻していくということで私どもは対応すべきだと考えております。
  221. 井上義行

    ○井上義行君 今回の我々の消費税の凍結を考えを申し上げ、私の質疑を終わりにしたいと思います。
  222. 山口和之

    ○山口和之君 七月の通常選挙で議席をちょうだいいたしましたみんなの党の山口和之と申します。  井上委員に引き続きまして質問させていただきます。  最初ですので、簡単に自己紹介させていただきます。  昨年十一月までは比例東北ブロックの衆議院議員を一期務めさせていただきました。福島県福島市生まれ。現在、福島県の真ん中の郡山市に住んでおります。議員になるまでは理学療法士として、医療や介護の現場で約三十年間ほどリハビリテーションの専門職の仕事をしてまいりました。得意分野は予防、介護予防と自立支援、高齢者のリハビリテーションを中心とした活動をしてまいりました。また、病院や介護施設の運営にも携わり、その結果で、衆議院時代は専ら厚生労働委員会復興特別委員会を中心に活動してまいりました。  今回、財政金融委員会という大変重要な委員会に所属することになりまして、飛び交う言葉が違うので若干緊張しておりますが、国の税財政金融問題等の懸案に、これまで取り組んできた医療や介護、リハビリテーションの視点、福島を始めとする被災地の視点で質疑させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  さて、大臣、二〇二〇年の東京オリンピックの招致が決まりました。誠におめでとうございます。関係各位のこの間の御努力に心から敬意を表しますとともに、是非被災地に夢と希望を与える大イベントとなってほしいと思っております。  麻生大臣が会長をされておりますオリンピック推進議連、スポーツ議連、私も末席を汚しておりますが、この役割もまた大変大きいのではないかと考えております。大会の成功のため、会長、是非とも最善を尽くしていただきたいと思います。  ただ、被災地での受け止めは様々です。必ずしも歓迎と期待一色ではありません。例えば、福島県は原発事故の影響によって被災地の中でも特に復興が遅れております。七年後、オリンピック開催の七年後です、世界中が日本に注目するわけですが、そこにおいてどれだけ復興した福島の姿を示すことができるのか、またどのような福島県の姿を世界に発信できるのか。しかし、もしかしたら、オリンピック特需に沸いて日本中がお祭り騒ぎの中、福島県だけが置いていかれるのではないかと、現在の復興の進み方、そして原発事故対応を見ていると、この点、非常に心もとないと思っております。  ここで質問させていただきます。  大臣は、七年後の福島県の姿がどのようになっているのか、またどのような姿を海外に発信できるというビジョンを描いておられるのか、副総理として、また経営経験も豊かな大臣として、是非この点をお聞かせ願いたいと思います。
  223. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) あの東京オリンピックの開催というのは、これは昭和三十九年、生まれていたかどうか知りませんけれども、昭和三十九年のオリンピックのとき、私、日本にいなくて、海外から見ていて、ああ、日本というのは物すごい勢いでなっていくなというのを二十インチの白黒テレビをみんなで借りて見た記憶が私のオリンピックの記憶なんですけれども、そういう時代からかれこれ五十数年がたって、今東京オリンピックというものがもう一回ということになって、極めて明るいニュースとしてこれはとらえられていると存じます。その意味では、国民の何となく閉塞感漂っていた日本経済にとりましてもこれは非常に明るいニュースとして、気持ちを上向きにさせる大きなニュースだったと、私はそのように評価をしております。  その中にあって福島だけが取り残されるのではないかという御心配なんだと思いますけれども、ちょっと八年後生きているか死んでいるかは私自身は分からぬし、そのときに何しているんだかさっぱり分かりませんのでうかつなことは言えませんから。  そういうことを考えると、やっぱり数年間で急激に変わるというのは、やっぱり東京オリンピック前に日本にいて、帰ってきてから、東京のここはどこだろうかと思うぐらい変わっていましたので、いろんな意味で東京も変わりましたが、あれに合わせてやっぱり地方も随分周辺地域は変わっていったなというのが私が昭和四十何年に帰ってきたときに思った記憶なんですけれども。  いずれにしても、福島の復興というものと東京オリンピックというものに代えて、やっぱり今後とも原発事故に対する対応に全力を挙げていくとか、いろんなことで、避難解除地域というようなものに関する答えをもう少しはっきりさせるとか、何となく、何でもかんでも東京電力に押し付けておけば答えが出せるなんて思っている発想は間違っているのであって、明らかに迷惑している国民に対して、少なくとも国策としてやってきたことを考えれば、国としてしかるべき対応というものをきちんとやるのは当然なんだと、私はさっさとおやりになった方がよろしいんだと、私自身は基本的にそう思っております。  どういったやり方があるのか、これはいろいろ考え方があるんだと思いますけれども、いずれにしても、そういった考え方でやらないと、一社に押し付けて一社が潰れて、電気が通じなくなって何がいいのかと私は正直思いますので、更なる被害が起きないためにもきちんとした対応をしないのはおかしいんだと、私はそう思っておりますので、いずれにいたしましても、再生可能エネルギー等々いろんなものがこれから考えられていくんだとは思いますけれども、私どもとしてはこの国の経済の再生というものを考えていった場合に、少なくともそこだけ通り過ぎて、福島だけ通り過ぎていくというようなことを政府として考えていることは全くありません。
  224. 山口和之

    ○山口和之君 いい御答弁ありがとうございました。  生まれていました、その当時ですね。福島県のあの円谷選手が三位で、そのときを見て家の中を走っていた記憶がございます。  私の持つ危機意識は、今の復興策が復興ではなく、せいぜいよくて復旧止まりになるのではないかと。原発本体の処理は別としまして、このままでは除染をして復興公営住宅を造って終わりというような流れになっているのではないかという気がしてなりません。  私がこれまで取り組んできた関連でいいますと、リハビリテーションというのは、本来、元に戻すということではなく、新たな未来をつくっていくもの、そして決して諦めないのがリハビリテーションです。福島も、元に戻るだけではなく、福島が日本再生のモデルになるような思い切った復興支援こそ求められていると思います。  そこで質問なんですけれども、さてこのような中で、大臣も先週、本委員会で発言があったところですが、来年四月から消費税が八%に増税されることになりました。私の実感としては、福島県にとってこの負担増は大変厳しく、このハンディはとても大きいと思います。消費税増税の決定をする際、福島を始めとする被災地状況や、増税が福島の暮らしや経済にどのような影響をもたらすのか、どのようにお考えだったのでしょうか。大臣、御答弁をお願いします。
  225. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今回の消費税の値上げというものに、引き上げていくに当たりましては、引上げの反動減と、引上げによる景気に対する反動減と、そういった下振れリスクに対応するというために、先ほど何回か話をしておりますが、経済政策パッケージというのを考えさせていただいております。  消費税率というのは、これ日本全体、先ほど福祉の話をちょっとしましたけれども、これは日本全体のために、福祉とか社会保障とかありますけれども、これは被災地負担というものについても配慮しておく必要があろうというのは当然なんであって、経済政策パッケージにおいても、消費税率の引上げに際しては被災地復旧復興に遅延が生じないよう、被災者の住宅再建にかかわる給付というのはかなり大幅になっていると思いますけれども措置を講ずることとして、被災地におきましては掛けるパーセントが違っておりますし、給付率も違っておりますし、もうずうっとありますので、資料をというのであれば提出、差し上げます。こうした取組を通じて引き続き、いわゆるこれは復旧復興と言うけれども、復旧と復興意味が違いますので、復興ということを基本に置いて考えていかれるべき。  ただ、もう一つ大事なことは、これは先生自身の方もどういうのをやりたいのかという話を御自分たちでお考えにならぬと、役人が考えた案を唯々諾々としてのんで、後で文句言ったって駄目ですよ。自分たちで考えて、俺たちはこれやりたいと、これに金をくれというようなアイデアを出されるのがしかるべきだと、私はそう思います。
  226. 山口和之

    ○山口和之君 みんなの党では、消費税の、消費増税の凍結法案の準備を進めておりますが、その中では凍結解除の要件も示しております。要件は幾つかあるのですが、例えば給料です。月間給与総額が前々年総額から二%以上上昇していることなどを盛り込んでおります。  これが現在どうなっているかというと、厚労省の統計、月間給与総額の直近の八月の数字で比較しますと、全国平均で二〇一二年八月が前年同月比で〇%、一三年八月がマイナス〇・九%。アベノミクス効果と言われますが、給料は増えるどころか今減っております。福島県で見ますと、二〇一二年八月がマイナス一・八%、一三年八月がマイナス一・三%。福島では全国より減り方が大きい。  給与が減る中で、増税はますます消費にブレーキを掛け、景気の足を引っ張ることになります。福島はもっとそうなりやすい状況なのです。増税できる環境にはないと思われます。ここはやはり消費税増税に走っていくのはいかがかと思います。福島県を後押しする思い切った特区として、豊かな未来都市を目指すことと同時に、さらに所得税法人税を軽減したり賠償金には課税しないなどの処置を講じて、大きな後押しをしてはいかがでしょうか。  福島県の郡山市を中心に活動している放射能の危機を考える会という市民団体があります。このメンバーは、医療関係者や弁護士さん、あるいは研究者や教育者、地元の商工会議所のトップの方々らが取り組んでいるのですが、放射能被害に対するセーフティーネット、放射線の先端がん治療などの平和利用、福島県の法人税所得税消費税の相当期間の無税化といった要望の署名を集め、現在六十万人を超える署名を集めております。  リスクがある、風評被害がある、だからこそ税を軽減して企業や人を集める、元々福島で営む企業も後押しできる。どうでしょう。特に福島県の懸案である医師不足、看護師不足、介護士、介護職不足。リハ職はもちろん、医療、介護の提供体制にも大きく貢献できると思います。生活を支援して産業を活性化させる。現在も復興特区の関係でふくしま産業復興投資促進特区というものがあって、五百近い事業所が指定されておりますが、これはこれでいいんですけれども、県民に広く恩恵が行き渡り、日本の未来が創造できるような特区、制度自体は詳細な検討が必要でしょうが、例えば福島全体を教育、特に医療や介護関係の国際化を進めたり、また福島を医療のシリコンバレーにして、人も金も外国から呼び込もうというような大胆な特区が実現できないものかと。是非、大都市中心の国家戦略特区だけでなく、日本の未来、福島の未来、アジアの未来への福島のブランドについても、大臣、一緒に考えていってもらえないでしょうか。  一つだけ、通告がありませんが、もしお答えいただけるのであれば、福島における医師などの人材不足対策として所得税減税、これは大きな効果があると思いますが、いかがでしょうか。
  227. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、消費税を福島だけ例外にしろと、簡単に言えばそういうことを言っておられる、全体でいえば。それは物理的にはなかなか難しいというのはもう分かった上で聞いておられるんだと存じますけれども、これは福島だけって、どこに県境があるか、福島の方以外、隣接県の方以外は知らないと思いますし、私、妹が福島の相馬に住んでいますので、失礼ですけれども結構詳しいですよ。  ですから、その意味では、あそこの間の、浜通りだ、中通りだ、全然交通の便は極めて悪いし、横に走っている道路はほとんど、国道なんてこんな国道でというのも全部知った上ですから、それならそれをきちんと道路をやるような計画をお立てになったらどうですかと言ったけれども、やらぬね、福島の人は。どうしてかしら、これは昔から言っていますけれども、おやりにならぬ。何で中通りにとか、何で浜通りだ、何が会津だとかいって、もう全然話が通じなくて、私も筑豊というところに住んでいますからね、何が豊前だ、何が筑前だなんという意識は今でもありますから、地元には。それは地元にはみんなあるんですよ、南部と津軽がどうしたとか、岩手県も難しいこと言っているんですから。    〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕  だから、そういったようなのがみんな地域にあるのはよく知っていますけれども、この際はきちんと三つ一緒にまとまっておやりになるという福島の意思を示されない限りはまとまらないですよ、これは。言ってくる話は、みんな市長さんによってみんなばらばらなことを言ってくるんだから。だから、それをきちんとまとめて言ってくるということをなさらぬ限りはなかなか難しいんだなと、私自身はそう思っております。  いずれにしても、こういった形で、今消費税という話は先ほど井上議員に対しても御答弁申し上げましたし、先ほどの話で申し上げましたけれども、これは経済政策のパッケージとしていろんな形を考えられると思いますけれども、今も言われたような特区の案というのは、もう既に幾つかの案は出されておりますので、そういった案を福島県として、また福島のそういう地域を集められた方々の総意として持ってこられるという形をしていただかない限りは、一人の特定の方の意見とか特定のグループだけの意見を取ってそこだけ何とかするということは、財務省の立場としてできる立場にありませんので、是非その点も御理解いただいて、是非福島というものを一番知っておられる方々が福島のためにこうするという案を作っていただくのが一番肝心だと、私どももそう思っておりますし、そういった案が出てくるということを我々も期待しているところであります。
  228. 山口和之

    ○山口和之君 ありがとうございます。  福島をまとめて、またトライしたいと思いますけれども所得税減税というのは人材確保には非常に大きな役割を果たすのではないかと思っております。  東京オリンピック・パラリンピックは復興の象徴でもあります。また、パラリンピック開催は安心社会の証明でもあります。これは是非ともオリンピック・パラリンピックの一部競技でも福島で開催していただけないかと思っておりますが、大臣の感想で結構ですので、お答えいただければと思います。
  229. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) パラリンピックを福島でやれと。
  230. 山口和之

    ○山口和之君 オリンピックというのは一都市で本来行うものです。現在、宮城県においてサッカーの予選を一部行おうとしているんですけれども、福島県を世界に発信する、安心できるところだと、あるいはちゃんと復興してきているところだということで、オリンピックの予選でもいいから、あるいはパラリンピックの一部、安心の象徴でもあるパラリンピックの一部を、予選の一部を福島県内でできないかということです。もし、どうお考えになるか、お聞きしたいというふうに思います。
  231. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは私に言われる話ではなくて、これは全然陳情される方向が違っておられるので、まあ当選されたばっかりですから無理もないと思いますけれども。  これは、来年二月、一月か二月に決定をされます東京オリンピック、いわゆる組織委員会というのができると思いますが、この組織委員会において予選をどこでするとかいうのはそれから決まっていく話だと存じますので、例えばオリンピックの聖火リレーは福島県のここを必ず通るようにしてくれとか、いろんな話が考えられると思いますので、そういった話を福島県でお考えになって、隣接県につながる、通っていくであろう隣接県等々と話合いをされるというようなことをされるのがよろしいのではないかと存じます。
  232. 山口和之

    ○山口和之君 またこの件については議連の中で。  最後に、厚生労働省は八月三十日に、日本再興戦略を踏まえ、「国民の健康寿命が延伸する社会」に向けた予防・健康管理に関する取組の推進について取りまとめをしております。    〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕  高齢者の多い中、リハビリテーションの専門職、理学療法士として活動してきた山口にとっては、ここは思いっ切り得意分野であって、思いっ切り出番と思っております。  これによると、二〇二五年までに五兆円規模の医療費、介護費の効果額を目標としています。ただ、二〇二五年に至るまでの各年の効果額は不明ですけれども、また既に取組が行われている施策も含まれておりますが、社会保障制度改革プログラム法案も今国会に提出されているところですが、来年四月の消費税率引上げのような増税による財源確保に走る前に、まずは社会保障の各制度について取組をより明確にし、重点化、効率化、その工程等を明らかにする、つまりは中身がはっきりしてから消費税に取り組むと、このことが増税よりも先になるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  233. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今おっしゃっておられるのは、多分厚生労働省が八月三十日に出しました「国民の健康寿命が延伸する社会」に向けた予防・健康管理にかかわる取組の推進についてという、例によって長ったらしい名前が付いていますこの話なんだと思いますが、間違いないですね。  この話に関しましては、これは、予防というのは間違いなくこれは山口先生、大事ですよ。七十三歳で余り医者に世話になったことのないのが払っている税金で、ずっと飲むだけ飲んでおかしくなったのと一緒にされたらたまらぬなと、おなかの中で同級生とよく言い合うんですけれども。  私どもは、生まれ付きとか交通事故とかいろんな方で、なられた方はそれは当然のこととしても、少なくとも予防として自分で健康管理をやっていないためにとかいうようなことを言うと、ちょっと何となく、予防して一回も病院に行かないという人は物すごく国に貢献しているんだから、よく来なくて偉いといってこちらに奨励金が出るとかいう方がよっぽど効率性がいいんじゃないかなと思ったりもするんですけれども。  いずれにしても、こういったような話はいろんなことを考えておかないと、いろいろな問題が出てくることはもう確かなので、何となく善意の第三者ばっかり相手にしているわけでもないんだという点は、よくこういう法律を作るときには考えないかぬところなんだとよく言われるところなんですけれども、いずれにしても、この種の話をどういった問題に具体化する、重点化する、効率化するというようなことを、これはやっぱり進め方としていろいろ検討していかねばならぬ、今後とも大事なところなんだと思います。  少なくとも急激に増えていくというのが一つと、やっぱり医療費というのは四十七都道府県で見ますと、一番安い長野県と一番高い県とは一人当たりに掛かります医療費が倍ぐらい違っていますもんね。それはどうしてそんなに県によって違うんですかというのは、それは明らかに何かが違うんだと、私はそう思っておりますので、そういった意味で、私どもは、この社会保障の重点化とか効率化を考えていくときに、やっぱり今後とも中福祉というようなものを目指す、低福祉低負担、中福祉中負担というんであれば、中福祉を目指すんであれば、私どもは少なくとも消費税というものの値上げは避けて通れないというところだと、私どもはそう思っておりますので、この厚生労働省のプログラム法案に盛り込まれております各種の取組というものは、これは確実に実施されてしかるべきものは書いているんだと思いますけれども是非そういったものは予算編成に当たって考えていかねばならぬところだと思っております。
  234. 山口和之

    ○山口和之君 時間となりましたので終わらせていただきますけれども、まずはどれだけ消費税を上げるんだというふうに考えるのであれば、こういうことをしっかりとやった上で消費税はどれぐらいという話に本来なるべきだと思います。また引き続きさせていただきたいなと思います。  どうもありがとうございました。
  235. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  大変初々しい質問が続いておりますけれども、大変勉強させていただきました。  今日は税の問題を中心に議論させていただきたいんですけれど、その前に被災地支援の予算要求、少しだけ聞かせていただきたいと思います。  被災地事業所支援で中小企業グループ支援というのがあります。補助制度があります。これ大変喜ばれてまいりまして、復興の大きな力になってきておりますし、これは当初、中小企業庁がなかなかいい知恵を出してくれて、それが拡充してきてという中身でございます。  現在、来年度に向けた予算要求がされているわけですけれども中小企業庁から財務省にと。ただ、今の時点では事項要求になっているんですね。事柄の要求だけで、項目だけで、金額はまだ入っておりません。これ、現場のニーズを集約して十二月ごろに金額がはっきりしてくるということでございますが、現地では大変喜ばれて、まだ引き続き期待のある制度ですので、まず来年度の予算ですね、しっかり予算措置をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  236. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 何でしょうね、共産党の大門先生と意見が全く一致していると、ちょっと私も何かを間違っているのかなと、いろんな反省をしなきゃいかぬことがあるのかなとは思いますって、そんな冗談ではなくて、これはいわゆるグループ補助金の話なんだと思いますが、これは中小企業庁の最近やった政策の中では私は最も当たっている政策の一つかなと、私はこれは極めて評価が高い、これは財務省の中においても評価が高いと思っております。  したがって、今後とも中小企業庁を通じましてこういう現場のニーズというのを十分に把握した上で、これまで以上、約年間一千四百とか三百とかいうのをずっとしてきていると思いますけれども、これまだ今の段階では事項要求の段階で、まだ金額まで入ってきてはおりませんけれども、きっちり予算編成の過程でしっかり検討してまいりたいと考えております。
  237. 大門実紀史

    大門実紀史君 これは、実は私もずっとかかわってきたんですけれども被災地によっては、もう何もかも流された沿岸部の地域ですと、愛知さんよく御存じですけれども、これからかさ上げをして、その後そこに工場を建てるとかお店を建てるとなりますと、これから二年、三年、場合によっては五年近く先にならないとそこに事業所が出せないというところもたくさんあるんですね。そうしますと、恐らく来年度の、今予算をちゃんと確保していただいても、来年度中の申請にはできないと、まだ間に合わないと、間に合わないというか、その先になってしまうという事業所がかなり、被災地事業所が出る見込みなんですね。  この間ずっと被災地の商工会議所等でも要望になっているのは、単年度単年度だと、自分たちはどう見ても三年後だと。そうすると、三年後、本当にこの制度がまだあって、なおかつ予算措置されるのかどうかという不安が非常にあるわけですよね。できれば基金制度といいますか、単年度単年度ではなくて基金にしてもらって、二年後でも三年後でも安心して使える制度にしてほしいという要望が実は強くあるんです。  これは私、何度も財務省とは話をしてきて、基金にすると、まあはっきり言って間延びしてしまうというか、いろいろ財務省の考えがあるわけですね。かといって、後々出さないとは財務省言っているわけじゃないんですけれども、それならばもうちょっとこの制度については、本当に被災地状況を見ると中期的にしっかり見ていく制度であるということを、きっちりやっぱり大臣のお言葉で中期的にちゃんと措置していくような対象だということを明言していただければ被災地の人たちは随分安心してできると思うんですよね。かさ上げができないのは本人のせいじゃありませんので、町の計画の関係ですので。どうぞ一言。
  238. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) このいわゆるグループ補助金につきましては、平成二十三年度からスタートして今日まで約三千億円を超える予算の手当てがなされて、これは極めて順調に採択が進んでいると承知をいたしております。  これらの予算が、着実な執行をお願いしたいと考えておるんですが、いわゆる、おっしゃったように、事業の進捗が遅れている理由は個人の理由じゃ全くないところで起きておりますので、そういった意味では、被災地からの要望をいろいろ踏まえて、これ繰越しをやっていくに当たりましても、いわゆる事故の繰越しという、自分の自己じゃありません、事故繰越しや再予算化にかかわる予算というものにつきましては事務手続を、こんな紙が出てきて、もう簡単にせい、一回書いてあるものなんだからという話を何回も言って、いわゆる繰越明許とかいろんな役所用語がありますけれども、そういったものではなくもっと簡素化しろという話はしてあります。  また、基金につきましては、今、大門先生指摘になりましたように、これは資金の方が、むしろ基金化しちゃうとこれはいわゆる運用する段階になってこれはむしろ非効率になるという可能性が極めて高い分野でもありますので、私どもとしては、いずれにしても、これやむを得ない事情というのは、これは少なくともこの事故はちょっと、今回の事故は普通のところとは少し全然意味が違っていると思っておりますので、是非そういった事業の進捗が遅れているようなときの事務手続の簡素化なんかはきちんとやるということなどを考えて、私どもは今後この事業は継続をしてまいりたいと考えております。
  239. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございました。よろしくお願いします。  では、本題の税の問題ですが、まず、恐らく結論は、先ほど大臣が言われたように、ほとんど認識は一致すると思うんですけれども、まず今の与党税制大綱でも、また安倍総理の会見でも、法人税の実効税率の引下げというのが打ち出されております。理由は企業の国際競争力の強化ということなんですけれども、私、この分野、長くやらせていただいていて、いつもちょっと気になるのは、この法人税の実効税率で国際競争力、つまり国際比較をするというのが本当に正確なことなのか、正確な資料なのかということなんですけれども、配付資料の一枚目に、これは財務省の資料です。  これを見ると、確かに日本は実効税率は高いとなります。ただ、先ほど言いましたように、企業負担の国際比較のデータとしてこの実効税率の比較というのは正確なのかということなんですね。この表の下にもいろんな注釈が八項目、本当は実際にはもっとあるんですけれども、注釈が付いております。  いろいろ、国際統計というのは元々難しいんですけれども、そもそも国によっていろいろ違うことをある資料で寄せ集めて作るというものになるわけですね。そもそも法人税実効税率基本的な考えですけれども課税上の所得がベースになりますけれども、じゃ課税上の所得はみんなどこの国も同じように統一した基準があるのかというと必ずしもそうなっていないんですよね。だから、まずベースの課税上の所得も違うと。これはやっぱり、国際的に共通の会計上の利益とか、何か基準をやっぱりきちっとしてこういう統計は出す必要があるのかなというのと、標準税率を使っておりますけれども、研究開発減税、日本でいえばですね、そういうものとか、各国に割と大きな租税特別措置があるんですね。そういうものがまたここには加味されないというふうになります。  まあ国際統計の限界かも分かりませんけれども、これだけをもって実効税率日本は高いんだと言い切るのはどうかと、参考資料程度でいいんじゃないかと思うんですよね。ちょっと、まず資料の認識はいかがでしょうか。
  240. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはもうおっしゃるとおりなんであって、法人の所得課税負担の国際比較ということにつきましては、これは昔から客観的に国際比較が可能な指標なんだとして、地方と国の法人課税の中の税率を組み合わせたいわゆる表面税率と称するものの水準が、通常、実効税率とよく言われているのを使った議論がこれまでもなされてきております。  しかし一方、法人所得課税負担というのを考えましたときに、税率と租税の特別措置負担というのを踏まえたものを考えたものでやらないと、課税ベースを掛け合わせたものと両方でやらないと、これは国際比較を行う場合では、税率課税ベースというものの双方について検討をしていかないと、きちんとした答えは出てこないんだと思います。  そういう点で、この課税ベースは、今研究税制ということを言われましたけれども、そのほか国によっていろいろ特別な、適用除外みたいなものが国によって全然違いますので、そういった租税特別措置の制度が設けられているというのを、それら全てを織り込んで客観的にかつ定量的なものをつくろうというのはこれはちょっと容易ではないという点をよくよく留意しておかないと、私どもとしては、単純に実効税率だけでいうと、これはちょっと公平性を欠いている若しくは公正性を欠いているというように思っております。  いずれにしても、こういったものをやる立場の方からいいますと、国際競争力強化に向けて議論を行うときの一つの指標にはなろうとは思いますけれども、実質的な法人所得課税負担の比較というものをきちんと踏まえて検討していかないと、今言われたように、ちょっと国によって違うじゃないかという話が出てくるということも十分に勘案して検討していかねばならぬところだと、私どももそう思っております。
  241. 大門実紀史

    大門実紀史君 提案の二枚目、三枚目には、社会保険料負担を含めたデータを用意しておきましたけれど、日本の個別企業で実際に見てみますと、もう一〇%、一一%しか負担をしていない大企業も実際にあるわけですよね。ですから、こういう資料だけで議論するのは危険だなと思いますし、それならばやっぱり社会保険料負担を含めないと企業負担というのは分からないというふうに思います。  二枚目が経産省が作成したものでございまして、これは割と経産省頑張って実態に近いものを作ってくれております。これは、欧米とアジアの大企業のうち上場企業財務資料を基に作って、それを実際の納税額、実際の社会保険料負担を集計して、それで会計上の利益を一〇〇とした場合の割合ということで、割とできるだけ頑張って実態に近いものということです。これを見ると、日本はフランス、スウェーデンよりも低くてドイツ並み、アメリカよりも高いということになります。  ただし、これでもまだ不十分で、三枚目を見てもらって、アメリカよりも先ほどの経産省のやつだと日本の方が高いんですけれども、アメリカは、実は社会保険料負担というのが民間の医療保険が中心でございます。企業に雇われた場合は、その民間の医療保険の一定部分を企業負担をする、それを非課税措置にするということで、そういう意味で、民間の医療保険負担を公的な扱いにしているということでいくと、アメリカの場合はやっぱり社会保険料負担を加味しなければいけないと思います。それが三枚目に作った資料でございまして、これによりますと、これはGDP対比なんですけれど、逆にアメリカの方が日本よりも高い企業負担と、こうなるわけですね。  ですから、申し上げたいことは、こういう国際統計というのはできるだけ厳密にやっていかなきゃいけませんが、どの国とどの国と比べるときはよほど厳密にやらないと不正確な議論になってしまうというふうに思いますので、是非参考にしてもらいたいと思います。  その上で、先ほど大臣からありました課税ベースの問題なんですけれども、与党の大綱の中には、表面税率を引き下げる場合には、財政の健全化を勘案し、ヨーロッパ諸国で行われたように政策減税の大幅な見直しなどによる課税ベースの拡大や、他税目での増収策による財源確保を図る必要があると。つまり、表面税率を下げるならば課税ベースを拡大して税収減にならないようにする必要があるというのが与党の大綱の中に書かれております。  この議論はずっと民主党政権のときもあって、民主党政権のときも、法人税下げるんだけど、課税ベースを拡大してプラス・マイナス・ゼロにするということを打ち出したんですね。ところが、実際にはやっぱり経団連含めてかなり要求といいますか圧力があって、五%減税して課税ベースの拡大では二%しか増税できなくて差引き減税となったわけですね。  今回、この与党の大綱には、税率を下げるときには課税ベースを拡大して財源はちゃんと確保するとなっておりますけれども大臣としては税率は下げて、しかし課税ベースは拡大していくというようなお考えはございますか。ごめんなさい、これは通告していないかも分かりませんが、聞かせてもらえればと思います。
  242. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、大門先生、もう長い長い議論で、毎回法人税に関するときには課税ベースを広げるという話と法人税率を下げるという話はセットで常に出てくる話なんだと存じますので、これは今後ともいろいろ、今から年末に向けていろいろ各党議論がなされるところだと思いますので、私どもとしてはその議論を見守った上で結論出していきたいと考えております。
  243. 大門実紀史

    大門実紀史君 通常、ヨーロッパは基本的にはそういう考え方で対応しておりますし、先進国の中では基本的にそういう対応をすべきだと思っております。  次に、こういう、何といいますか、税の引下げ競争といいますか、みんなで税の引下げ競争をやり始めますと、これ合成の誤謬に私なると思うんですよね。それぞれの国が企業を誘致したいとか逃げていってもらっちゃ困るからって、みんなで税の引下げをやると、限りなく法人税がゼロに近づいてくると。そうなると何が起こるかといいますと、当然国の収入が減るわけですから、ほかの税目で税収を確保しようとすると、勤労所得に対する税が増えるとか消費税を増やすとか、こういうことになってしまって、ゆがんだ税構造になるし国の収入も減ってしまうというようなことがあって、これはもう議論されてきていることでございますけれども。  私も、前の麻生政権のときの、与謝野さんですかね、財務大臣、あのときは、与謝野さんのとき、民主党政権のときでいえば菅さんが財務大臣のとき、このことで提案をしたことがあるんですけれど、引下げ競争をずっとやってどうするんだと、そろそろ方向転換しないともう世界中の国々がみんな大変なことになるぞと思って、折に触れて提案をしているわけですけれども。  この法人税を含む税の引下げ競争というのは、実はOECDの租税委員会では九〇年代からかなり活発に議論がされておりまして、その後はちょっと議論が下火になったりしたんですね、グローバル化の影響があって。リーマン・ショックでやっぱりタックスヘイブンの問題が、私もこの委員会で何回も取り上げましたけれど議論になって、それでまたこの税の引下げの競争ですね、いかがなものかというのがまた議論が活発になって、今年九月のG20の首脳会議でも、これはタックスヘイブンのことが中心かも分かりませんが、こういう国際課税の在り方について改めて租税委員会が注目されている状況だというふうに思います。  今、世界もアジアもますますこういうふうに企業の税の負担の引下げ競争をずっとやって、先ほど言いましたように勤労所得とか消費課税とかあるいは資産課税、ほかのところで税を掛けようということで、みんなどこの国もかなりそれがゆがみを生じてきているというふうになってきておると思います。つまり、移動できない所得に掛けちゃおうと。移動できるのはどんどんどんどん安くなっているんですね。移動できない所得に掛かってくるということになってきているわけですね。  こういう傾向が大変強まっているんですけれども麻生大臣の認識はいかがですか。
  244. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは全く御指摘のとおりで、今、国際の、何というのかしら、国際金融の世界ではこれは通称BEPSとよく使うんですけど、ベース・エロージョン・プロフィット・シフティングで、略して税源浸食、利益移動と、直訳するとそういうことになろうと思いますけど、これを通称BEPSというんですけれども。  これは、OECDの租税委員長が今、日本人です。しかも、これは選挙で選ばれていますから、これ財務省のがここへ行っておるんですけれども。ここで、この間のOECDの前のG20で、少なくとも多くの人々が、今、税を払わないで社会資本をやたら使っている人たちが俺たちの国にもいるが、物が間違いなくディストリビューションができている、配送ができているのは俺たちが道路を造って何しているせいじゃないかと。それの税金は一切払わない、利用だけするという人たちが俺たちの国にもいっぱいいるけれども、外国から来てですよ、そういうのに対して外国の方も税金取らなければこちらの方でも取れていない。しかも、これは非合法でやっているのか、脱税かといったら、これは合法だと、節税をしているだけだと言われた場合に対しては、これを対抗できないというのは明らかに我々財務大臣が手抜きなんだ、このG7の財務大臣が駄目なんだからこういうことになっておるんだというのが我々の提案だったんですけど。  ほとんど、もうG7、最後の話題はこれだけになりまして、この問題をやるということでOECDに振り、OECDは下に下ろして、今言ったのでやっておりますので、今言われたように、今後、これをやっていかない限度に来ているかなと思っておりますので、基本的にこれは日本がリードする形で今スタートさせておりますので、その方向ではいい方向に行っているんだと思うんですが、現実問題でもう抜き差しならなくなってきている国も実はございまして、例えばお隣の韓国でもこれは法人税を上げましたもんね、上げざるを得ないほどきつくなってきているんだとは思いますけれども。  この種の話はやっぱり今後とも、これは一国でできる話ではありませんので、これみんなでやっていかないとどうにもならぬと思っていますので、私どもとしては、これは他国との連携、特に財務大臣の話になりますので、財務大臣会合等々ではこの問題は今後ともということで、今、実質問題、プロジェクトとしてスタートをさせております。
  245. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  今、韓国とか中国とかアジアの関係の話もございましたけれども、経団連が言っているのは、最終的にはアジア近隣諸国並みの二五%まで実効税率を引き下げてほしいという要望が出されております。この実効税率二五%というのは、少なくとも三年ぐらい前までは、例の日本がタックスヘイブンの国を認定する際の基準になったような低い税率ですよね、今二〇%でございますけれども。そういうことまで経団連の皆さんは要望しているわけですけれども、私は、もうそういう方向というのはちょっとほかの国にも悪い影響を与えるんじゃないかなと思っているんですよね。  例えば、今、韓国、中国と比べて高いから下げてくれというふうに経済界は要望しているんですけれども、国際競争力のためとかいろいろ要望を書いてありますけれども、今、中国と韓国で何が起きているかといいますと、大臣ちょっと触れられたように、韓国はやっぱりいろんなことを下げ過ぎたと。今、サムスンが独り勝ちで富が集中していて、やっぱり大企業優遇というのをかなり見直す方向になっていて、韓国は最小限納めるべき最低税率という制度があるんです。その最低税率を今年度の改正で一四%から一六%に引き上げるとか、最低これだけは納めろというのがあるわけですけど、そういうことにもう方向転換をちょっと始めているわけですよね。  中国も外国企業優遇税制が次々今撤廃されてきております。中国の特別区などで優遇税制の廃止が続いておりますし、これは二年前ですかね、二〇一一年かと思いますが、社会保険法というのが施行されて、これは外国人、邦人にも社会保険加入を義務付けるというものでございます。中国も格差が広がって、大変な貧富の差が広がっているので、外資にも負担を求めて財源にしようということで、北京などもう二十を超える都市で導入をされてきております。  つまり、韓国でも中国でも、今までは企業誘致とかいろいろやっていましたけど、ちょっともうその方向じゃ、さっき言った自国の税収からいろいろなことがゆがんでしまうということで、方向転換を始めているわけですね。そういうときに日本が韓国や中国との競争だといって、こちらが下げる下げる競争をやっちゃいますと、国も目先のことだけを考えてやっちゃいますと、結局、お互いみんなで足を引っ張り合うという結果になるんじゃないかと思うんですよね。長い目で見れば、どの国にとってもいいことではないと。  したがって、特にアジアの中で一番今までいろんなリーダーシップを取ってきた日本が、そんな目先のことで中国、韓国を相手にして下げろ下げろなんて、何か情けないことに走るべきじゃないと私は思うんですけれど、アジアとの関係で一言ございましたら。
  246. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、先ほどちょっと触れましたように、韓国を例に引きますと、二〇一〇年の法人税の最高税率というのをいわゆる二二から二〇に下げる予定だったやつをやめる、やめるというより下げないということにしております。また、いろいろな意味で最高税率というものをそのまま維持したんです、維持しているんですけれども、最低限の税額も引き上げるということにしたりしていて、これは韓国はかなり税収がきつくなってきているということを意味しているように思いますけれども。  いずれにしても、法人実効税率の在り方というものを今後日本検討をするときには、これはやっぱりヨーロッパでも皆やっているように、政策減税の大幅な見直しというのを課税、いわゆる課税ベースの見直しによる拡大、また他税、他の税目での増収というものによります財源確保を図る観点からの検討というものが重要なんだと、私どもはそう考えているんですが。  いずれにいたしましても、かつて企業は労働分配率というか、いわゆる労働者の賃金が低いからというんで多く中国に行った国が、今どんどんどんどん中国出てベトナムに行ったりミャンマーに行ったりラオスに行ったり、いろいろ今多くの企業がしておられるのは最近よく耳にする話ですけれども、そういった形で事情が大きく変わってきた。当然、経済が成長してきたからそうなっているんだと思いますので、私どもとしては、日本にいる企業が海外に出やすいことを考えるんじゃなくて、少なくとも日本にいる企業日本にとどまって海外と戦えるようにしないと、労働者の雇用の確保はなかなか難しいんだと、私はそう思っております。  したがいまして、企業というものが国内で戦えるようにしていくということを考えるときに、何がいいのかといったときに、みんなと一緒に何となくたらたら税の競争をしても意味がないので、私どもとしては私どもの強いところを維持するということを考えていった方が、より経済の上から見た場合は、少なくとも五年、十年で見たら、そちらの方がよっぽど、何というか、実質経済というか実体経済に即している考え方なんだと、私自身はそう思っておりますんで、今おっしゃいましたように、安易に法人税率を引き下げるということは結果としていい結果を招かないし、余り効果も少ない。むしろ、所得税の減税とか、減価償却の即時償却を認めるとか、そういったものの方がよほど、短期的にもうそちらの方が実効性が高い、実質性が高いと、そう思っております。
  247. 大門実紀史

    大門実紀史君 先ほどOECDの租税委員会の議長に初めて日本人の方が就任されまして、浅川雅嗣さんですね。浅川さんは、麻生内閣で首相秘書官を務められた方ですよね。  浅川さんは、この前、日経新聞のインタビューで、OECDの中で行き過ぎた法人税引下げは有害だという認識は共通しているというふうに述べておられます。これ大変重要な発言をされていると思いますので、麻生大臣も国際会議の場で、もう税の引下げ競争をいいかげん考え直そうということを是非これからも発信していっていただきたいというふうに思います。  随分気が合いましたので、これで質問は終わりたいというふうに思います。
  248. 中山恭子

    ○中山恭子君 日本維新の会、中山恭子でございます。  まず、麻生大臣に、今、デフレからの脱却、そして経済復興の兆しが見られるようになったこと、麻生財務大臣になられた後、明るい兆しが、あっという間に明るくなってきたという、大変うれしいことだと思っております。  先ほど、地方ではまだシャッターが下ろされたところが多いというお話がありました。既にお答えいただいておりますので、もう一点、中国の経済情勢、それから、ここには大きな懸念があると言われておりますし、欧州、米国においても国際経済に影響を及ぼすようなリスク要因があるとも伝えられております。日本として、せっかく今デフレ脱却に向けての動きが始まったところでございますので、こういったリスクについても注意深くいないといけないと思っております。  予測のことでございますので具体的な話というのは無理かと思いますが、これらの海外でのリスク要因をどのように把握していらっしゃるか、またそれに対してどのような政策運営を取ろうとしていらっしゃるか、お考えをお伺いしたいと思います。
  249. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 普通、一国の政府が発表する資料というのはかなり信頼性が高いと思いますけれども、今言われた国は最もその信頼性がないということで世界で有名ですから、これは私が言っているんじゃなくて世界的にそう言われていますので。その国がいきなり経済成長率をぽんぽんぽんぽんと、あっという間に七%まで落としてきて、あれでもおかしいというような話というのは、これはかつて我々は高度経済成長から一挙に落ちていったときよりもっと激しく落ちておりますので、その意味ではかなりいろいろな問題が経済的に抱えている、はっきりしていると思っております。  それから、やっぱり急激な経済成長は結果として、かつて我々も公害というのに悩みましたけれども、あの国も今PM二・五を始めいろいろな有害物質による経済成長の弊害というのが出てきているというのも、これは少なくとも飛行機の離発着ができないほどというのはかなりな状況なんだと存じます。そのほかにも、やっぱりいわゆる環境というような問題、特に水の問題。  また、国の中でのやっぱりいろいろな権力闘争に伴う話を聞いておりますと、なかなか国として、今経済成長という名の下にいわゆる社会主義下における市場経済という訳の分からないものが、私、今でも意味がよく分からないんですけれども、とにかくそれが始まったトウ小平のときからずっとここまで来ましたけれども、いよいよ、トウ小平が終わり、江沢民が終わり、胡錦濤が終わって、今の段階になってかなりその状況の矛盾がいろんな形で出つつあるということは、我々隣国として、輸出先としている国、我々はその点は十分に考えておかないと、工場進出をしている人やら何やらは、いわゆる暴動を含めて、これまでいろんなところから、いろんな人が聞いた話を見ましても、どう考えてもかつてとは違ったものになりつつある、変貌しつつあるということを自覚して対応していかないとならぬというところだと思いますので、私どもとしてはいろんなことをここは正直考えておかないと、我々の国益を著しく害することになりかねぬなという気持ちだけは常に持って対応しなきゃいかぬところだと思っております。
  250. 中山恭子

    ○中山恭子君 既にいろいろな対応策というのが考えられているかとは思いますけれども、やはり非常に注意深く対応していただけたら有り難いと思っております。  消費税八%へ四月一日から引上げということで、それに対応する経済政策パッケージが取られるということでございました。この中で、復興特別法人税の一年前倒しでの廃止ということも検討されているということでございますが、これにより結果的に法人実効税率が引き下げられる。私から見ると、やっと引き下げられる、基本税率に戻るということで、喜ばしいと考えておりますが、麻生大臣はどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
  251. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはいろいろな御意見が世の中にありますんで、法人税の実効税率が、これは一年だけの話ではありますけれども、約八千億、七千億ぐらいのものが前倒しで下がるということになるということなんだと存じます。  ただ、これに対しましては、先ほど御意見がありましたように、法人税に限らず、所得の方のいわゆる復興特別所得税みたいな形のものがありますんで、そちらを据え置いたまま法人税だけ下がるのはいかがなものかという御意見が自民党の中にもありましたし、閣内でも多くの方が言われてきたところではあります。  ただ、それを仮に予定どおり十二月に実行させていただくということを決定する場合においても、やはりその分だけきちんとした形でその八千億なり七千億の金が一つの刺激になり、インセンティブになって企業においての賃金上昇なり定期昇給なり、そういったようなものに跳ね返っていくというようなことはある程度見えてこないとなかなか理解は得にくいという点は我々としては考えておかねばならぬと、これは議論の最初からそう申し上げてきたんですが、いずれにいたしましても、これをやるに当たってはまだまだちょっと時間がありますんで、検討をしていかねばならぬと思っております。
  252. 中山恭子

    ○中山恭子君 今日は、法人実効税率について西田先生、それから大門先生からもいろいろな意見が出されて非常に貴重な会合であったと考えておりますが、私自身、もちろん国際的な何らかの基準が作られるということは非常に望ましいことでございますので、その点についてはこれからも是非国際社会の中で法人税のありようというものを御検討いただけたらと思いますけれども。  今の段階、現段階で、やはり企業経営者方々の話を伺いましても、何というんでしょう、海外へ拠点を移していくときの一つの要因として、安い賃金の国を探すというだけではなくて、やはり日本法人税率が相当高いということも海外に拠点を移す一つの要因になっているかと、そういうお話をよく聞きます。本当はもう移りたいんだけど、自分は日本人だから何とか日本の中に拠点を残すということを必死で頑張っているんですというような企業経営者の方からのお話もあります。それは賃金だけではなくて、やはり法人税の問題が大きく影響しているという話が伝わってまいります。したがって、現状でやはり余りにも近隣諸国と懸け離れた法人税率が課されているということは何らかの考慮をする必要があるであろうと考えているところでございます。いずれは国際的なしっかりした基準に基づいて各国との関係で適切な法人税の基準というのが見えてくれば、これは大変望ましいことであると思っております。  そういった意味で、いろんな議論があるということで日本再興戦略の中にも法人税率の引下げというのは入っていないわけでございますけれども、現状をどうするかということについては、やはり法人の実効税率を、近隣諸国を考慮した上で、引下げ競争にならないというくらいのところまでは引き下げていいのではなかろうかと、そのように私自身は考えております。  また、政府税調、調査会の資料によりますと、日本法人税率を五%引き下げた場合のGDP押し上げ効果は十四・四兆円という試算が提出されております。そういった意味で、企業の国内投資の促進、企業の海外流出防止などお考えいただいて、法人実効税率をもう少し下げてもよいと考えておりますが、麻生大臣はどのようにお考えでしょうか。
  253. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはもう中山先生御存じのように、法人の実効税率に関しましては、これまでも長いこといろいろ論議をされてきて、かつてに比べれば随分安いところまで、四〇%を切るところまで来ております。  いずれにいたしましても、この問題は、一%で今の時代大体四千億円ぐらいの税源が必要になります。したがいまして、四千億円となりますと、ちょっと半端な大きさじゃありませんので、この一%で四千億ということになりますと、その分だけをどこか課税対象を広げないかぬということを経団連として望むかといえば、私はただただ下げてくれだけではとても、税としてというか、国の経営としては成り立ちませんので、少なくとも、いわゆる財源対象を拡大するという話とセットにしなきゃならぬところが一番しんどいところかなと、経団連の方にはそう申し上げておりますのが一点。  二つ目は、今、目先のこの不況対策ということを考えたときには、やっぱり税を納めておられる方々、少なくとも、今年から少し、大分景気が良くなってきていますから、随分と税収も変わってくるとは存じますけれども、少なくともこれまでのところでいきますと、税を払っておられる方々は三〇%前後ということになろうと存じます。そのうち中小企業が約半分ということになっておりますので、そういった意味でいきますと、やっぱり、払っておられる数より払っておられない方が多い。日本の場合、御存じのように、景気の良かったバブルのときでも法人税を納めている企業は五〇%行ったことありませんから、そういった意味ではかなりほかの国とは少々違う状況にあることは確かです。  しかし、それでもやっぱり三割ということになりますと、残り七割の企業法人税を払えるようにするような税制を考えるのがしかるべき、若しくは、残りの七〇%の企業法人税を払えるように、補助金が出るとか、償却を早めに一括とか、即時償却を認めるとか、そういうことの方が少なくとも今現在置かれている日本の不況の中にあっては即効性が高いというような感じがしているのが私の今考えているところでございます。
  254. 中山恭子

    ○中山恭子君 いろいろこの問題は考慮しなければならない点がたくさんありますが、是非日本の中に海外の企業が投資してくる、日本企業日本に拠点を置いて活動していける、そういった観点からどのような税制がいいのかお考えいただけたらと思います。  もう一点ですが、中小法人の軽減税率につきましても、今回の経済政策パッケージにおきまして、もちろん、中小企業を支援する中小企業投資促進税制の拡充措置などが入っておりますので、それは評価しておりますが、ただ、中小企業の軽減税率一五%、八百万円まででしょうか、それについては、これは二十六年度末、二十七年三月で終了することになっております。経済政策パッケージでは、中小法人の軽減税率については明記されておりませんが、終了する後についても是非このことは継続していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
  255. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありましたものは、これは時限立法であるがゆえにある程度効果があるものなんだという点も私どもは否定しちゃいかぬところで、これずっとそうだということになったらなかなか効果というものが違うと思いますが、いずれにしても中小企業というものの経営基盤が脆弱である、特に財務体質等々極めて脆弱ということが一番問題なんだと思いますので、そういったことを考えてつくられた政策税制だと思っております。  したがいまして、時限を区切ってこそ検証してみる必要があろうとは存じますけれども、いわゆる税率の水準というものにつきましてはこれはいろんなことのバランスが考えなきゃいけませんでしょうし、個人事業主という人たちの所得というものを負担水準とのバランスというものと両方考えないとこれはいかぬところなんだと思っておりますので、いろいろなことを踏まえて、ちょっともう少しまだ時間がありますので、そのころは、これを実際にやるときにはもう少し今より景気が良くなっていればそれまたそれなりの考え方もあろうと思いますので、いましばらく時間をいただいた上で御返事させていただきたいと存じます。
  256. 中山恭子

    ○中山恭子君 やはり、まずもちろん景気が回復してくる、活発に活動できる状況が出てくるということで、法人税そのものの課税対象も拡大してくるでしょうし、また今の中小企業の減税措置というのもその時点でお考えいただくこととは思いますが、やはり日本の場合には、数多くある、二百五十七万の中小企業があると聞いておりますので、この中小企業に対しては、日本経済を支えている根っこの部分でございますので、是非軽減税率等、更なる措置をお願いしたいと思っております。  もう一つですが、先ほど、復興特別法人税を一年前倒しするということが決められておりますが、もう一つここで是非考えいただきたいのは、公務員給与というものが、国家公務員給与が来年の三月まで減額されております。この措置というものは、二十二年と比較して七・八%の減額支給になっておりますが、この措置は人事院勧告とは別に行われた措置でございまして、今年出されております人事院の報告でも、平成二十六年四月以降の給与は民間準拠による給与水準が確保される必要があるという報告がなされております。ということは、今その水準が確保されていないという状況だと言えるかと思います。  二十三年十二月の財政金融委員会、安住大臣だったと思いますが、この措置は極めて税制の観点から見れば国家公務員という職種についてだけ一〇%の所得税を課すと同じような効果がある、所得税を課すようなときにそういう一定の職種の人々に対してだけ課すということは公平公正なことではないのではないかという質問をいたしたことがございます。安住大臣も、税制をとる場合にはそういった政策は決してあり得ないというお答えでございましたが、この措置はとられることとなりました。どちらかというと情緒的な判断が相当入っていたのではないかと考えておりますが、今、安倍総理を中心にして各企業に対して賃金引上げ、先ほどの一年前倒しの場合でも賃金にそれを反映させるようにということを各企業にお願いしているかと思いますが、政府として、この国家公務員に対する減額措置をできればもう十二月から直ちに廃止すれば、この部分の減額分というのは消費に回る、非常に明確に。国家公務員は豊かではありませんので、その分元に戻せば全てが消費に回ることと思われますので、是非このことを思い出して、まあ総務省の問題かもしれませんが、企業賃金引上げをお願いするのであれば、まず国家公務員の給与を元に戻しておくということをお始めいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  257. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 財務省におられましたのでお分かりと存じますが、私の方から是非お上げになったらどうですかと言う立場にない。私はむしろ陳情の受け手、それを承った上でやる立場にありますので、同じ話は総務大臣にして、おまえ、しっかり地方の公務員から上げろと言えというような話はあちらにしていただいた方が、話としては、筋としてはよろしいんだと思いますんですが。  いずれにいたしましても、今御指摘のありました点に関しましては、一部拍手もしておられた方もおられましたけれども基本的にはおっしゃる方が筋が通っておると思っておるんですが、一番の問題は、中山先生、やっぱり宮崎を始めに地方ですよ。地方の市の職員の給与に合わせて近くの企業の、いわゆる中小企業の給与って横並びで、それを見合って決めているんですよ。これは現実問題、労働組合なんかがほとんどない中小企業におきましてはそれが現場です、現場の実感です。  したがいまして、地方の公務員給与というもの、もう今、東京と愛知以外は全部下がったと思いますけれども、いわゆるそれ以外のところの県は軒並み大体下がったんだと思います。たしか二県だけ、今年愛知県も交付団体になりますので、愛知県も変わったと思いますが。  いずれにしても、そういったような状況にありますので、私どもとしてはやっぱり、今言われましたように、民間にはベースアップ等々をお願いしているのに国家公務員とか地方公務員はいかがなものかという御指摘は、私どもとしてちょっとなかなか反論のしにくいところだろうとは存じますけれども、いずれにいたしましても、この部分に関しまして、財政再建とか、また福島のいわゆる復興に際してとかいうことで、我々国会議員も皆この点は全部減額をしておるところでありますので、そういったことを含めましてこれは一回全体で検討せにゃいかぬというので、関係閣僚で今会議を開始させていただいております。
  258. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます。  副総理というお立場もあり、また消費を拡大していくという点からも是非リードしていただけたら有り難いことでございます。  もう一つ、今日は共同溝の、これは横浜のMM21の共同溝の図面ですとか、どんなものかというのを配付しております。  これは、もちろん日本の社会インフラが、先ほども大臣もおっしゃられましたが、五十年たって非常に老朽化している、ちょうどメンテナンスから、又は造り替える時期に来ているということでございますので、その中の一つのアイデアとして、日本のできれば、まあ最近は虎ノ門ですとか、それから銀座の辺りでも共同溝工事というのが看板が出ておりまして、東京の中心の部分では相当広がっているように見えて大変喜んでいるところでございますが、この共同溝を社会インフラという形で日本全体まで行くのには何年か掛かるかと思いますが、主要なところから共同溝を備えた町づくりをするということをこれからの、何というんでしょうね、日本の国づくりの中でお考えいただきたいというふうに考えています。
  259. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、見えやすいところでいえば電柱の地下埋設というのが一番よく言われる言葉だと存じますが、何もこれは電線に限った話ではありませんので、ガスもありましょうし、最近電話線は減りましたけれども、ガスもありましょうし、光ファイバーもありましょうし、いろんな意味でこれを、御存じのように共同溝内を四つに区切って固いものにしてありますので、台風が来て電柱が倒れることによっていわゆる道路が遮断される、また電柱が倒れることによって電線が切れて停電になる等々、電信柱が地下に埋設してあるということは極めて国土が強靱化されるということの背景にもなりますし、加えて景観も物すごくよろしいので、町がきれいねと言って上を見たときに、トランスとかコンデンサーとか変圧器がうわあっと並んでいるのを見て、あれを見てきれいだなと思うのは九州電工ぐらいしかいないんじゃないかと、僕はいつも地元の電力会社の人によく言うんですけど、あんなものを見てきれいだと思うやつは一人も世の中にはおらぬのだと、あれは芸術でも何でもないと。  そういった意味で、あれを全部地下に埋設するという話をするんですが、これは地下に埋設しても全然利益にならぬわけですね、嵐でも来ない限りは。したがって、やらない、やりたくない、もう既に敷設してあるから。だから、これはある程度きちんとした形で国がしかるべき援助をするから国土強靱化に併せて今回やっていくことにすると、町は景観がきれいになるし、大体、電信柱がある町とない町と比較してみたら、町は広く見えるし、道路幅は広くなるし、交通事故で最初にやるのは電信柱にぶつけると大体相場が決まっていますので。  そういった意味では、大分いろんな意味でも効果は大きいということをもう大分前から申し上げているんですが、今回も、少なくともこれを地下に埋設する限りにおいては、新たに土地の買収に費用が掛かるわけではなし、今ある国が持っている土地の中に埋めるなり、県が持っている土地の中に埋めるだけのことなんだから、新たに地代が発生するわけでもないし、いろんな意味でこの方がいいのではないかということで、それに当たっては、またNTTとか、何でしょうね、電力会社とかガス会社とか光ファイバーとかそういったようなところが勝手にやって、また町を掘り起こされたらかないませんから、せえのでまとめて、はい、この線は四社一緒にということをやっていくような形にすると、極めて短期間でそういったものができて町並みもきれいになる。  これをオリンピックまでには必ずやらなきゃいかぬと思って、今スタートしておりますところは、多分一番早く手を着けておりますのは、何といってもあの墨田区の周辺に集中しております。これはもうひとえに、スカイツリーがみんな見やすくなって、景観が良くなって、みんな電信柱が入らないで写真が撮れる、これが一番大きなインセンティブになったそうです。
  260. 中山恭子

    ○中山恭子君 大変力強いお答えいただきまして、うれしいことでございます。  電柱の地中化というのとは全く別な設備でございまして、人が入って中で作業ができるという、しかも安全で安心と。私たちの先輩がつくってくれた、これまで、今でも相当快適に水洗トイレなどを始め社会インフラを享受しておりますけれども、この次の世代の人々が生活するときには更に安全で災害に強い、そして美しい町づくりということも含めて、この後の一つの国家として大きな、どういう財源でやっていく、これはもう財務省の方々がお考えいただければ、民間企業との、一緒にやるとか、将来、百年計画で百年掛かって支払っていくとか、いろんなアイデアが出してもらえるものと思っておりますので、是非この共同溝を全国敷設ということで進めていただきたいと思っております。  また、先ほど福島の話が出ました。東日本の地域にはこれから新たに造る……
  261. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。
  262. 中山恭子

    ○中山恭子君 町には全て共同溝を敷設するということでお進めいただきたいと思っております。失礼いたしました。  ありがとうございます。
  263. 平野達男

    ○平野達男君 改革・無所属の会の平野でございます。六年ぶりで財政金融委員会に戻ってまいりました。  今日は六年ぶりの質問ということもありまして、財政一般の話について若干の議論をさせていただきたいと思いますが、その前に復興特別法人税の一年前倒し廃止、これはやっぱりどうしても私は筋が悪いというふうに思います。筋が悪いという言葉自体余りいい言葉ではございませんが。復興をどういう形で支えるかということを議論した結果として、税の問題としては、復興特別所得税それから復興特別法人税、この二本で支えようと。復興特別所得税については薄くということで二十五年間、法人税については三年間で、一年当たり、二十五年度予算では九千百億ぐらいですね、税収を見込んでいるということでありますけれども、そういう約束をしたわけです。この約束をしたということは、国としての約束ですから、これをたがえるということは、あれだけの震災が起こった地域に対してはやっぱりあってはならないことだと思います。  それからもう一つは、これ、仮に減税したとしても何に使われるか分からないという、一度説明を聞いてみますと、これを財源にして賃金を上げるということなんですが、これは要請をするということだけであって、これが最終的にどう使われるかも分からない。一方で、復興の方はきちっとした財政需要があります。何らかの形でこれは担保しなくちゃならない。だから、こういう税としては二本立てでこういうものを用意したということでありまして、これは被災地理解を得るとか、様々なことを、ということを言っておられますけれども、やはりこれは国の姿勢、政府の姿勢だろうと思います。  これは是非このまま廃止ということではなくて、この形でやるということを決断をいただきたいというふうに思います。簡単でいいですから、御答弁願います。
  264. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先ほどもどなたかの御質問お答えをいたしましたけれども、これは今検討させていただいている最中で、十二月にその検討の結論を得るということになっておりますので、まだ今おっしゃるとおりに決まったわけではないので、さっさとという御説なんだと思います。  いずれにしても、復興というのはこの内閣にとっての最重要課題一つでもありますので、したがいまして、まずは十九兆、六兆、二十五兆の復興財源に増やしておりますし、そういった意味では、その復興財源はきちんと確保します。その上で、私どもとしてはこの部分に関しましてはということで、今先ほどいろいろ御議論のあった法人税の減税ということで、中山先生は賛成という、これいろいろ意見が分かれるところなんですが。  いずれにいたしましても、私どもはこういった形で減税をされた八千億が、いわゆる賃金上昇につながり消費にまでつながっていくという方向に是非この八千億を使ってもらうように、これはちょっと、共産国家じゃない、社会主義国家でも全体主義国家でもありませんので強制はできないので、是非お願いをするという立場で、このところ、政労使等々、三回やったのかな、いずれの会議でもこの話をさせていただいておりまして、ベースアップとか定期賞与とか、いわゆる賃上げという話につながって、今ほんの一部ではありますけれども、つながりつつあるところだと思いますので、今後とも努力をしていくと同時に、御理解を得るためにはこれはよほど丁寧な説明をしなければならぬものだと私もそう思っております。
  265. 平野達男

    ○平野達男君 繰り返しになりますけれども復興を支える財源として位置付けたということだけは繰り返し申し上げさせていただきたいというふうに思います。  それで、財政一般の話に入ってまいりますけれども、まず冒頭、何で今更こんな質問かと思われるような質問をさせていただきたいと思います。それは財政法の四条にかかわる特例公債の発行ということでございまして、今年度の予算を見ても、国債の発行のうちの圧倒的な部分は特例公債になっていると。  過去の歴史見てみますと、この特例公債というのは財政法四条で発行が禁止されていますから、昭和五十年、一九七五年だったというふうに聞いていますけれども、大平正芳さんが当時の大蔵大臣のときに約二兆円の特例公債を発行した。このときに大平さんは、万死に値をするというふうに言って、一生をもって償うという、そういう発言をしたという逸話も残っています。それぐらい特例公債、要するに財政均衡ということに対して強い信念を持っておられたということだと思います。それから、その後、鈴木善幸さんが内閣をつくったときも、やはり赤字公債からの脱却ということでいろんな対応をするんですけれどもできなくて、最終的には退陣に追い込まれるということもあったというふうに記憶しております。  それで、特例公債については、元々これは償還期限を迎えたら現金、キャッシュで返しましょうというルールになっていました。ところが、どんどんどんどん特例公債の発行増えちゃったものだから返せなくなっちゃった。そこで、建設公債に認めている六十年償還という、そういう償還にまでその十年後の昭和六十年にはもう変えてしまうという。それ以降、ずっと特例公債については当たり前という状況になっています。  当時の財政当局の方々の感覚は今から見ますとオオカミ少年だったとかなんとかと言う人もいますけれども、そういう感覚という、その感覚を今どうしても忘れてしまっているんじゃないかという感じがちょっとしますが、当時の人の感覚がおかしかったのか、それとも今のこの財政状況がおかしいのか、麻生大臣はそれどのように思われますか。
  266. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) その後、鈴木内閣の後、中曽根内閣一般消費税というのを、こういう意識があったから一般消費税という話があって、結果的にはできなかったんですが、いずれにしても、でき上がったのは竹下内閣、その竹下内閣も三%できた途端に退陣ですから、いずれにしてもこの税の問題というのは極めて難しい話だと存じます。  今のお話にありましたように、やっぱりあの当時、万死に値すると言われておりますけれども、その昭和五十一年だか二年だかがちょうどいわゆる予算の伸び率がゼロになった年です。その前まで毎年プラス何兆というのが出ていたのがそこからゼロになった年だと記憶しますが、いずれにしても、その当時の時代においては私は極めてまともな感覚だったんだと、万死に値するというほどかどうかは別にして、大平さんはその意識が非常に強くおありになったから大平内閣のときに一般何とか税を、あのときの名前は一般何とか税だったかな、おやりになられて、結果的に亡くなられるんですけれども、そういった気持ちは非常に強いのが当時の時代であったので、私はそれはまともな感覚なんだと存じます。  ただ一方で、平野先生、今の世界の中を見ますと、もう私どもの場合と全然時代が変わって、私たちが習った経済学では全然理解ができなくなっていると思いますのは、やっぱり十五年ぐらい前に四百五十兆円ぐらいだったのが今一千兆というような話になっておりますけれども、GDPは五百二十兆、まああのころは五百兆ぐらいですけれども、そういった時代にあって、経済用語では売上げが同じで借金が倍に増えていりゃ普通は金利が上がらなくちゃおかしいんですけれども、御存じのように金利はあのころは五・何%か六%、それが今は〇・六%、今日〇・六〇ぐらいだと思いますが、そういったような感じになっておりますので、私たちが学校で習った経済学が全然もう時代に合わなくなってきているということを考えますと、少なくとも今の中で、やっぱり今の時代、各国皆同じようになってきておりますので、逆に日本だけがそれ、もしこだわって何にもしていなかったらどうなっていたのかなというのは、ちょっと正直、また別の観点からの考え方もあろうかと思いますが、基本的な考え方としては大平さんたちの考え方の方が真っ当な考え方なんだと存じます。
  267. 平野達男

    ○平野達男君 そこで、今、麻生大臣の言われた債務の積み上がりということなんですけれども、今財務大臣からも御紹介がありましたように、普通国債で七百五十兆、地方とそれから財投債等々を入れれば一千兆という相当のレベルに上がっています。今年度の予算の中でいわゆる国債費というのは約二十二兆なんですが、それの内訳は、御案内のとおり国債費というのは定率繰入れと、六十年償還の、前年度期首の国債発行残高の一・六%を繰り入れるということで、これは償還費ですね、それからあと利払いということになりまして、利払いは、今長期国債は、十年国債は財務大臣がおっしゃったように〇・六四か六五だったと思います。ただ、財政上は、一・一かそれぐらいでしょうか、今計算しているのは。非常に低い率ですね。  実は、国債費、これだけどんどんどんどん積み上がったんですけれども、国債費は余りこれまで伸びてこなかった。伸びてこなかったのは、定率繰入れは一・六%ですから徐々に増えていくんですが、利率がどんどんどんどん下がってきたんですね。利息の最大の一番大きいところは、直近で、ここ四十年ぐらいでは七%とか、それに近いようなときがありました。ところが、今一%割るぐらいでしょうか、それぐらいの利率でなっていますから、利払い費が全然伸びない。そういう中で、全体の財政に占める国債費の割合というのはそんなに率が大きくなってこなかったんですが、徐々に上がり始めていますね。これ以上長期金利が、〇・四とか、今度は下がることはないだろうと思います。むしろ、財務大臣がおっしゃったように、今日は金利の話で西田委員からもいろいろありましたけれども金融機関のリスクよりも公的債務が抱える発散リスクというのがやっぱり出てくると思いますね。  今日、資料で一枚ちょっと用意させていただきました。これは日米独の長期金利の推移ということで、御案内のとおり日本は非常に低い。低いんですが、いわゆる日銀の異次元の緩和というところが入る以前は、何となくこう、米独の金利の推移とパラレルの形で動いてきたんですが、ここで、デカップリングというふうにも言われているようですが、乖離が起こってきていますね。やはりこれは日銀の量的緩和、異次元の量的な緩和の影響だろうと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  268. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今言われたように、それだけがというわけではないのかもしれませんけれども、日銀のこれまでの態度から比べれば、これは日銀との共同声明以降、やはり総裁も替わった、共同声明もできたということがやっぱり世界に出て、共同声明が出たときにばっと下がりましたし、いろんな意味で大きな影響を与えたうちの一つだと思います。
  269. 平野達男

    ○平野達男君 フローで九十兆、年、フローというかグロスで九十兆ですか、それからネットで年率五十兆ずつ増やしていくよということで、そういう今、長期国債の買入れを今やっておるわけでありますけれども資料によりますと、二十五年度の当初予算ベースの国債、利付国債の発行は、これ借換債も含んで約百三十兆です。単純な比較は意味がないんですけれども、百三十兆、これ新規国債と借換債含めてですよ。一方で日銀が九十兆を買入れするという。これはもう、やっぱり相当の金利抑圧圧力になって働くということは間違いないんだろうと思うんです。  今日お聞きしたいのはその話じゃありません。先ほど西田委員から金利が一%上がったときの要するに金融機関に与える様々な問題ということについて質問を受けましたけれども、実はこの一%上がったときに財政にどれだけの影響を与えるか。これは、仮に七百五十兆、七百五十兆普通国債ありますから、これ固定だとして、もう単純計算ですけれども、一%金利が上がれば利払い費が七・五兆増えます。ただ、これ償還期間が今七年ですから、一気に七・五兆増えるわけじゃなくて、七年間ですから、一年百兆ずつ借換えでやっていきますから、一兆ずつ増えていって、七年間で計算上は利払い費だけで七・五兆増える。消費税三%上げても五兆ですから、そんなのが簡単に飛んでしまうぐらいの、要するにマグマがどかっとたまっているような状況なわけですね。  そういう中で、この金利をどうやってコントロールしていくのか。あるいはできないかもしれません、本当に。理屈上は、日銀は物価上昇二%と言っているわけですから、そこに実質成長率が加われば、それに普通は名目金利がそれでイコールになってしまう計算になるはずですから、そんなことになってしまってそれが国債の金利になってしまったら、公的債務がもう発散してしまいます。  そういう状況の今一歩手前なんだろうと思いますが、そこに関しての今の財務大臣の認識ということを、まず冒頭、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  270. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはもう間違いなく、日本財政というものはGDP比の倍ということになりますので、それは累増していっているわけですから、これは厳しい状況にあることは間違いないんだと思いますが、利払い費が急激に増加するというようなことというのは、日本の国債というものに対する信頼がなくなった場合には、日本の円をということになったり国債をということになる。  それは、結果的には、日本の国債というナショナルボンドを持っているのがいっぱいいますから、その人にはそれで売り掛ける、売り掛けるということはそれは間違いなく金利が逆に上がるということを意味しますので、そういった意味では、我々としては日本の国債というものはきちんとして、我々はちゃんと財政というものを考え経済対策をやっているんですよというメッセージのためには、この間の十月一日の我々の三%の増税というのは極めて明確なメッセージを伝えたものだと、私どもはそう思っておるんですけれども、いずれにしても、おっしゃるとおりの問題点を我々はずっと抱え続けているという認識は十分に持っておかねばならぬところだと思っております。
  271. 平野達男

    ○平野達男君 金利の上昇には、やっぱりいわゆる悪い金利上昇ということで、信認がもう本当に崩れてしまったときそういう上昇もありますし、もう一つ、やっぱり頭の中で、これもう財務大臣が一番お詳しいわけでありますけれども、先ほど申しましたように、物価が上昇していくという中で、やっぱり金利もそれに連動して上がっていくというのが通常の金融の世界だろうと思います。  だから、インフレになってそれだけ税収が上がるからそれで補えるんだということなんですが、という見方もあるかもしれませんが、実は、私は、それ以上に今の日本の債務というのはもう膨れていますし、今のこの財政運営を続ける限りどんどんどんどん膨れていくという、そういう状況なんですね。だから、そういった意味で、歳出の抑制努力というのもやっぱり引き続き相当やっていかなくちゃならないだろうというふうに思います。  日本財政は、もう御案内のとおり、国債費と地方交付税と社会保障費でもう七割でありまして、財政の一般会計はですね。その中で、税と社会保障の一体改革ということで野田内閣のときに消費税を上げるということを決めたんですが、あくまでも社会保障の制度の改革と一体だということだったんですね。  ところが、どうも最近は成長戦略だとか三本の矢だとか、何となく日本が要するに成長していくんだというみたいな、そういうほんわかしたようなそんな雰囲気があって、余りその歳出抑制ということについての、歳出改革ということについての努力というのがちょっと見えてきていないという感じがいたします。  これは、社会保障というのは、もう釈迦に説法で申し訳ありませんが、今のままだったら毎年一兆増えていくという状況の中で、人口も減っていくという状況の中でどういう社会保障制度にするか、これは本当に真剣に、三本の矢もいいんですけれども、この社会保障制度改革は真剣にやっぱり考えていただかなくちゃならないんじゃないかと思いますけれども、これについても御所見を伺いたいと思います。
  272. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、平野先生指摘になりましたように、社会保障関係費は今予算の総額の約三四%ぐらいになっていると思いますが、それが基本的に毎年ほっておいたら一兆円ずつ上がっていくという状況でいけば、それは消費税五%もあっという間にそれだけでなくなるということになりますので、私どもとしては、今言われましたように、これは歳入ももちろんですが、歳出を抑えるという努力は今後ともせねばならぬ。  少なくとも二〇一五年までに二〇一〇年度比でプライマリーバランス、いわゆる財政均衡を半分までします、二〇二〇年までには並べますということを申し上げているので、この二〇一五年までにきっちりそろえておくためには、向こう二年間で約八兆、毎年四兆円ずつの歳出を抑え込んでいくということをやらないと今言っているようなことが達成できないということだと思いますので、私どもとしては、今、平野先生指摘のありましたように、経済成長による歳入を伸ばすこともさることながら、財政の域でいけば歳出の部分を聖域なくきっちりやっていかにゃいかぬということで、今から十二月にかけて予算の編成に入るわけですけれども、この点に関しましては、何となく行け行けムードも感じられないわけではないという御指摘もあろうと思いますけれども、私どもとしては、その点に関しましては結構厳しく各省からの予算要求、概算要求含めまして、それに対しては去年並みということでやらせていただかないととてももちませんよというお話は申し上げているところでもあります。これはちょっとなかなか簡単にいく話じゃないんですけれども、これをやらぬと少なくとも財政再建の方は難しいということになろうと思います。
  273. 平野達男

    ○平野達男君 歳出面で見ますと、九十二兆、さっき私は地方交付税と社会保障と国債費で七割と言いましたけれども、少なくともこの七割の中の国債費はこれはもう手の掛けようがないですね。これは金利がどうなるかによってもまた変わってきますし、それから地方交付税、これはもう、これもなかなか手を掛けるというのは、これは総務大臣も御経験されていますけれども、なかなかこれは難しい。あと、その他の経費として二十六兆、これは防衛費とか公共事業費とか公務員の人件費とかありますけれども、これはある程度改善の余地、見直しの余地はあるのかもしれません。でも、大きいのはやっぱり三十兆の社会保障費ということでありますから、ここに手を掛けるというのは本当に難しい話で、地元へ行っても医療費抑制なんていうのは、言った途端にその説明に物すごい時間を要してなかなか大変なんですが、しかし、やっぱりマクロとしての財政のことを考えたときには、ここは現実の問題としてしっかり見ていくということはやっぱり大事だろうというふうに思います。  それからあともう一つは、成長戦略でありますけれども、私は三本の矢の中では成長戦略がやっぱり一番大事だろうとは思います。と同時に、これは前から私、予算委員会なんかでも何回か言っているんですけれども、人口減少社会の中の経済成長というのはやっぱり本当どこまで可能なのか。これはよく供給サイドと需要サイドという二つの観点から見たときに、要するに供給サイドの場合には、例えば女性の労働市場への参入とか、労働生産性を上げればいい、そういうことで答えられるんですが、一方の需要サイド、いわゆる消費の段階から見ますと、麻生大臣、今日御答弁の中で言っていましたけれども消費と政府支出と設備投資、あと純輸出がそこにちょっと入るということで、それで全体のGDPが成り立っているのですが、その消費の六割というのが大体個人消費で、大体の推移は変わらないわけですね。  名目成長でどんどん伸びていって、そして人口が減っていくという中で、個人消費をある程度その率で何か固定するというふうに想定すれば、これは相当一人当たりの給料が上がって、要するに豪華な旅行に行くとか、ロレックスか何かの時計を買うとか、何かそういう生活でもしないと、多分その成長がずっと仮に続いた場合に個人消費が追い付いていかないという、そういう構図になりますし、もしそれが駄目だったらば、もう要するに輸出、日本のGDPは輸出に回すしかない。だから、要するに経常収支の黒字を、じゃ、その輸出にずっと回し続けられるかといえば、これはつい最近までグローバルインバランスという話があって、アメリカ以外は全部経常収支の黒字をつくる方向に向かってきて、更に日本がそれをずっと続けられるという保証もないという中で、どうもどういう国が経済成長の中でつくられるのかというイメージがどうしても私にはまだ湧かないんですが、ちょっと説明が抽象的かもしれませんが、麻生大臣の御所見をまたちょっと伺いたいと思います。
  274. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは平野先生、最も大事なところであって、簡単にはアベノミクスが終わった先、どないな社会になるんだと言っておられるんだと存じますけれども、先ほどどなたかの質問に少し答えさせていただきましたけれども、やっぱり我々としては、仮に今言われたようなものを考えたら、今、絶対的にそこにある問題として、エネルギーが一つ、人口減少が一つ、そしてこの財政と。この三つの問題は絶対的な問題なんだと理解をしておかにゃいかぬところだと思っております。  今、幸いにしてこの国は高齢者が結構元気がいいということで、活力ある高齢化社会になりつつあるんだとは思いますけれども、いずれにしても、それでもどれくらいあるかといえば、なかなか高齢者だけの労働に頼るわけにもいかない。当然のこととして女性が活躍する。現実問題として、去年の金融庁の採用人員十六人のうち八人は女性。役所が始まって以来のことだと思いますけれども、入省人員の半分が女性ですから、そういう優秀な女性が職場に出やすい環境というものを我々は確保していかなきゃいかぬ時代なんであって、中山恭子が出てきた時代とは全く違う役所の状況になってきております。  そういったようなことを考えていきますと、私どもは、女性が活躍しやすい社会、これは結婚して子供を産んだ後も活躍できる社会というようなものを考えていかにゃいかぬ。女性の社会進出はいろんな表現がありますけれども、そういうものが普通に行える社会が一つ。  また、物を作っていくという面でいきますと、先ほどちょっと申し上げましたけれども、軽電機で韓国に負けたからといって何となく日本が韓国に負けたみたいな話を書いている新聞がいっぱいありますけれども、あれは経済が分かっていない人の書いている記事なのであって、現実問題として対韓貿易は今でも日本は黒ですし、対中貿易は、中国に対して黒だなんて国は先進国の中で日本以外ないと思っていますから、そういった意味では、きちんとしたものができ上がっているんで、こういったものはきちんと維持しながら、金がもうかったからといってアングロサクソンのようにファイナンスだけにわあっと走っちゃって、結果としていろんな世界中に大きな問題を発散させてしまったようなことは、道は取らない。我々はそういった道は取るべきではないんであって、きちんとした物づくりもやる、そういった意味の社会構造をきちっとつくり上げておかなければならぬ。  家庭環境におきましても、家族制度をきちんと我々は守っていこうじゃないかというのがみんなの強さなのであって、よく例に引きますけれども、アジアで日本が受けているものを三つ言ってみろというと、中年に限らず若い人、高齢者を含めて三つで共通しているのは、おしん、なでしこ、AKBと。これが大体アジアで受けている日本のスリーメジャーなんですよ。この三つとも共通点は一つで、これは一人一人は超一流品じゃないんです。しかし、ばっと十一人集まるとアメリカに勝てると、これが日本の持っている最大の強さなんだと。私はそう思っていますので、少なくとも個人プレーじゃなくてみんなでやる、介護もみんなでやる、きずなでやる、みんなでやる、そういったところがこの国の持っている最大の強さなんだと思っていますので、是非そういったものは今後とも維持し続けながら、経済というものは、少なくとも日本の場合は軽電機は負けても重電では勝てますよと。きちんとしたものはちゃんとあります。プレスの機械をごらんなさい、工作機械をごらんなさい、全部。というようなことが言えるような社会をきちんと維持し続けられるような研究開発にはちゃんと予算を付けるとか、いろんな意味でイノベーションは今後ともきちんとやっていくとかいうようなことで、働くというのが美徳な国というのは世界中にそんなにありません。  少なくとも旧約聖書に全く違反しているわけですから、労働は罰として神がアダムに与えたことですから。日本では労働は罰ではありませんから、そういった意味では、私どもは労働は美徳として、少なくともアマテラスオオミカミですら機織り小屋から出てきて機を織っておったわけですから。そういった特殊なものではありますけど、こういった歴史は大事にしながら日本という国をやっていくと、私は平野先生、そんなに悲観的なものではなくて、将来、私どもはきちっとした形でこういったものに対応できる。  幸いにして、このたまった国債というものは、これは全て自国通貨だけでやってきていますから、ほかのギリシャとか何とかと一緒だとか言っていた人も元大蔵大臣におられましたけど、国際金融から見たらそれはもう全然違う話なのであって、自国通貨だけでこれだけの大量の国債を消化し切れるはずがないので、今後ともきちんとした形でやっていくという姿勢が大事なんだと思っておりますので、今おっしゃいましたように、歳入だけじゃねえぞ、歳出もだと、歳出も気を付けろという御指摘は全く正しいと思って、私ども努力してまいりたいと思っております。
  275. 平野達男

    ○平野達男君 いずれ、自国の資金だけで回っているというのは、現在がそうでありますけれども、いわゆる経常収支の黒字というのはいつまで続けられるのか、これの見通しも様々な見通しがありますし、特に人口減少社会という中でマクロ経済がどういうふうに動いていくのか。ヨーロッパなんかでは移民を受け入れたから今の経済が成り立っているんだという説もあります。ヨーロッパも人口減少社会に入っていますから。だから、日本で移民ということも言われますけれども、なかなか移民というのは、これは言うべくして難しいというよりも、私は日本がそれは無理ではないかとすら思っています。  そういう中で、その人口が減っていく中で日本はどういう経済運営をしていくかというのは、ある意味で世界が注目していることでもありますし、いろんなことを考えますと、ペシミスティックになる必要はございませんけれども、しかし楽観的になることもできない。特に財政がこういう債務を抱えている中で、やはり保守的に見るということも非常に大事なことではないかというふうに思いまして、この点については、また引き続き、折を見ながらやっていきたいと思います。  あと、消費税に絡んでちょっと地方税収の話をお聞きしたかったんですが、今日は時間でございますので、時間を守ってこれで質問を切り上げたいと思います。  どうもありがとうございました。
  276. 塚田一郎

    委員長塚田一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時五分散会