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2013-11-26 第185回国会 参議院 国土交通委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年十一月二十六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月二十五日     辞任         補欠選任      野上浩太郎君     井原  巧君  十一月二十六日     辞任         補欠選任      井原  巧君     島田 三郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤本 祐司君     理 事                 赤池 誠章君                 渡辺 猛之君                 田城  郁君                 広田  一君                 魚住裕一郎君     委 員                 青木 一彦君                 井原  巧君                 江島  潔君                 大野 泰正君                 太田 房江君                 北村 経夫君                 酒井 庸行君                 島田 三郎君                 豊田 俊郎君                 中原 八一君                 森屋  宏君                 田中 直紀君                 野田 国義君                 前田 武志君                 山口那津男君                 藤巻 幸夫君                 和田 政宗君                 辰已孝太郎君                 室井 邦彦君                 吉田 忠智君    国務大臣        国土交通大臣   太田 昭宏君    副大臣        国土交通大臣  高木  毅君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       土井  亨君        国土交通大臣政        務官       中原 八一君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 利幸君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      濱  勝俊君        国土交通省総合        政策局長     西脇 隆俊君        国土交通省国土        政策局長     花岡 洋文君        国土交通省道路        局長       徳山日出男君        国土交通省鉄道        局長       瀧口 敬二君        国土交通省自動        車局長      田端  浩君        国土交通省港湾        局長       山縣 宣彦君        国土交通省航空        局長       田村明比古君        国土交通省国際        統括官      稲葉 一雄君        観光庁長官    久保 成人君    参考人        情報システム        研究機構国立情        報学研究所名誉        教授       淺野正一郎君        筑波大学社会工        学域教授     石田 東生君        立命館大学経営        学部特任教授   土居 靖範君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○交通政策基本法案内閣提出衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件 ○特定船舶入港禁止に関する特別措置法第五  条第一項の規定に基づき、特定船舶入港禁止  の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) ただいまから国土交通委員会開会をいたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、野上浩太郎君が委員辞任され、その補欠として井原巧君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 交通政策基本法案を議題といたします。  本日は、情報システム研究機構国立情報学研究所名誉教授淺野正一郎君、筑波大学社会工学域教授石田東生君及び立命館大学経営学部特任教授土居靖範君、以上三名の参考人に御出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。  この際、参考人の方々に御挨拶を申し上げます。  本日は大変お忙しい中、本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  参考人皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にしていきたいと存じておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  それでは、本日の議事の進め方について申し上げたいと思います。  まず、淺野参考人石田参考人土居参考人の順序でお一人十五分ずつ御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。よろしくお願いいたします。  それでは、まず淺野参考人お願いいたします。淺野参考人
  4. 淺野正一郎

    参考人淺野正一郎君) おはようございます。御紹介いただきました淺野でございます。着席して発言させていただきます。  お手元に二枚ほどの資料を用意いたしました。それを御覧になっていただきたいと存じます。  私は国立情報学研究所におりまして、現在名誉教授となってございますけれども、一方で、交通政策審議会の会長を今務めてございまして、この交通政策基本法を含む国土交通行政についての審議会の取りまとめを行ってございます。  今日は、私の考えていることで交通政策基本法に関するものをまとめたものを用意いたしましたので、それに基づいて発言させていただきます。  まず、現状の認識でございますけれども、日本少子高齢化だけでなくて人口減少が起こってございます。これは、通勤通学者減少も含めまして地域公共交通の担い手を大幅に少なくしているということで、その維持を困難にするということがございます。  平成十九年の地域公共交通活性化及び再生に関する法律、これはここでは簡単に活性化法と略させていただきますけれども、その試みが、全国で約五百ぐらいの試みが行われてございまして、国や自治体事業者並びに国民の義務と責務、そういうものにつきまして一定の共通認識を培うために役立っていると考えてございます。  他方、欧州におきましては、二〇〇一年ぐらいに、二〇〇二年ぐらいにスウェーデンで新しい新交通法ができたと。人口減少というのは日本だけでなくて世界的な先進国の問題でございまして、その地域公共交通に関する公的資金の投入の効率化を図るためにどういう方策があり得るかということを押しなべて考えるということ、その中で、その新公共交通法というのが学術界では結構話題になってございまして、いよいよスウェーデンにおいても民間による公共交通機関への参入が大幅に認められ、それが中心になってくるのではないかということが議論されているということがございます。  このような経験を踏まえまして、今後更に維持が難しくなるでありましょう地域公共交通の持続的な確保に向けて交通政策基本法が今回議論されているということはまさにタイムリーであって、日本の将来に対しても大変重要な入口になっていると考えておる次第でございます。  申しましたとおり、二番目でございますけれども、時間的な余裕というのはもうございません。できるだけ早く新しいスキームの下に地域に根付いた、あるいは持続的に維持を可能とするような地域公共交通が根付くこと、これが求められていると考えてございます。  それに伴って国、自治体事業者並びに国民負担がゼロでその問題が解消するということは恐らくあり得ないのであって、これに責務国民の役割を明記した新しい交通政策基本法のその抱えている精神並びにその自覚を促しているというのは大変重要なポイントであると考えてございます。  まずは、現行活性化法によります法律現行でも生きてございますので、それを支援する、あるいは補強する、そういうふうな基本法であってもらいたいと考えているわけです。  これにつきましては、具体的な個々の目標地域目標が定められること、これが大変重要なことだと考えてございます。それから、先ほど申しましたけれども、自ら持続できるような、そういう条件を整理し整備する、これが大変重要なポイントであると考えてございます。負担がゼロではないということを申しましたけれども、この負担行政側負担利用者側負担事業者負担というものが効率的に効果を出しているかということをその都度見える化することによって関係者に対してフィードバックすることができること、これが持続的な公共交通維持するためには大変重要なものであると考えてございますけれども、そういうふうな見える化を支援するようなものであるということが必要であると考えてございます。それから同時に、その見える化によってその負担効果、これが示せること、説明できること、これもまた重要なことだと思ってございます。  こういうことによって今の活性化法を支援する、補強する、そういうことができるような交通政策基本法であること、これが一つの重要な観点であると考えてございます。  二番目は、この国土交通委員会におきましては、単に移動の問題を扱うだけでなくて日本国土全体を扱っているわけであって、国土空間を今後どういう方向に持っていくかということを議論されている委員会だと承知してございます。そういう意味では、国土インフラ交通関係である、あるいは近年重要視されていますまちづくり観点であったり、あるいは災害時の避難誘導の手段としての交通であったり、あるいは災害時に堅牢なインフラであったり、そのものの関係をつぶさに考えるようなこと、それから環境対策あるいは地域の緑化、こういうものを総合的に考えること、こういうものが含まれるような、あるいはそういう要請にこたえることができるような、そういうふうな基本法であるべきだと考えております。  現行地域総合連携計画、その目標を作ることというのは現行法で書かれてございますけれども、その中でも円滑な移動と、それから活力向上、これが基本法によって強化されるというものであってもらいたいと、そう考えてございます。これらを総合的に支援し強化する、それが新しい交通政策基本法であるべきだと考えてございまして、是非そのような御審議をこの国土交通委員会でも行っていただけることができるようなものであってもらいたいと願っている次第でございます。  ページをめくります。三項めでございます。  ただ、全国一律な政策運用で問題が解消するとは考えてございません。地域はやはり多様でございます。先生方の地元の問題、多様な問題を抱えていると思います。その地域の判断が尊重できるような、あるいは活力向上するために独自性が発揮できるような、これはこの交通政策基本法が多様に運用されるということが必要であると考えてございます。  一方、交通の安全であるとか、あるいは需要に対する情報処理を使ったような技術デマンド対応技術とここでは書いてございますけど、ITを活用することによってデマンド効果的に吸収するような技術というのは全国で共通な技術だと考えてございます。それから、効果を計測するような技術、見える化の技術、これもまた共通な技術だと、こう書いてございます。  こういう共通なもの、それから共通な関心にこたえること、共通な責務にこたえること、この中にはアクセシビリティーも含まれると思いますけれども、これについては共通性全国に行き渡っていくことができるような、そういうふうな運用ができるものであってもらいたいと思うわけです。そういうふうな多様性共通性を同時に実行できるような基本法であってもらいたいと考えてございます。  四番目、これは持続させるための一つの重要なポイントではないかと私は考えているところでございます。  パフォーマンス向上という言葉で全体をまとめてございます。日本国土の平均的なパフォーマンスを年々向上させていきたい、これは共通な政治課題であると思います。同時に、立地条件なり人口密度が違いますので、パフォーマンス指標というのはその都度地域によって設定されるべきものだと考えてございます。  このパフォーマンス指標というのが資金確保であり、あるいは事業継続のための合理性を説明する、そういうふうな指標であるべきだと考えてございます。これがパフォーマンスの共通な見方であると考えてございます。  地域規模によってパフォーマンスは変わる。あるいは、行政区分が現在ございますけれども、その行政区分どおり政策を進行することがパフォーマンス最大化につながると言えない場合がございます。行政区分を超えたこと、これもまた考えることが必要な場合が出てまいります。そういう意味で、地域規模によってパフォーマンスが変動するということを十分御考慮いただきまして、行政区分に対しても柔軟な対応ができる、そういうふうなことであってもらいたいと思ってございます。  運行主体参加によってパフォーマンス向上する。これは、民間事業者参加ということですけど、民間事業者もかなり大きな問題を抱えています。運転に携わる労働者確保が困難になっているとか、あるいは大型バス運行が、それ自体が困難になってバスが小型化してしまうとか、そういうふうな本来あるべきパフォーマンスを発揮できなくなるような、そういうふうなことも抱えているわけです。その事業者の問題も同時に考えてもらう、これが重要なものであると考えてございます。当然、ほかの政策と同時に年々計画を変更し、見直し、向上するというPDCAサイクルを回すことができることが必要であると思ってございます。  公的資金、これは限られてくるわけですけれども、その使い方パフォーマンス向上させること。もし地域公共交通維持できなくなってくると付加的な投資が必要となっていくこともございます。そういうことも加味してパフォーマンスはいかに向上すべきであるかということを総合的に考えることができること、これも重要なことだと思ってございます。  創意工夫によるパフォーマンス向上、これはアメリカなんかでは最近データ・ドット・ガブという、これは公的なデータ社会に公開することによってデータの持つ経済性なり効率化のための使い方ということを向上しようと、そういうことでございますけれども、そういうことができるような制限の緩和であるとか、それによって新しい事業を起こして就業者を増加させるとか、そういう意味パフォーマンス向上があるわけです。  一方では安全性であり、アクセシビリティー、これはアメリカ的に申しまして、日本ではバリアフリーなんて言われることが多いわけですけれども、身体に障害を持たれる方にとってもこの交通政策基本法によるパフォーマンス向上して、それが全国一律の基盤の上に進歩すること、これを求めていくということです。  最後は、それによって総合的な生活の質が向上し、日本の文化的なプレゼンスも向上するということができたら願わしいことだと思っています。こういうことを総合的に考えることができるような交通政策基本法であっていただきたいと念願している次第でございます。  以上です。ありがとうございました。
  5. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) ありがとうございました。  それでは、続きまして石田参考人お願いをいたします。石田参考人
  6. 石田東生

    参考人石田東生君) おはようございます。筑波大学社会工学域におります石田と申します。今日はどうも呼んでいただきまして誠にありがとうございます。  私が所属しております社会工学域というところでございますけれども、これ社会とか社会システムの問題を発見して、その解決策を総合的かつ実践的に研究して教育をしていこうということでございまして、その一つ典型例交通システムだというふうに考えてございまして、今日は本当にお礼を申し上げたいと思います。  早速でございますけれども、意見と書いたメモがございますので、それに従って御説明をしたいと思います。  まず、交通に関する基本認識でございます。  御案内のように、当然でありますけれども、交通は国、地域都市における生活産業経済活動、安全、安心を支える最も基本的な社会システムでございます。ところが、これまで我が国においては、御案内のように、公共交通活性化法とか道路法とか航空法とか港湾法とか鉄道事業法とか道路交通法とか、もう枚挙にないほど交通関係法律がございまして、それぞれの個別の枠組みの中で議論政策決定にとどまっていたという嫌いがあったんではないのかなというふうに考えます。  総合交通体系という単語も昭和四十年代には盛んに議論されたんですけれども、これは財源の取り合いをめぐってのものでございまして、交通基本的重要性にまで言及されていたとは言い難いんではないのかなというふうに思います。  そういう状況の中で、交通に関する施策について、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定めるということを定められた目的としている交通政策基本法の意義は非常に大きいと思いますし、かつ期待も非常に高いと思います。特に、私が思いますに、以下に述べる点がすばらしいんではないかなというふうに思います。  二、二からでございます。  一つは、国民生活経済社会活動、安全、安定といった基本的な非常に重要な価値に対して交通基本的重要性定義付けたということで、交通がその豊かな国民生活実現国際競争力強化地域活力向上、大規模災害への対応環境負荷の低減、交通安全の確保期待、貢献をするべきであるということを明確に記述しているという、定義付けが非常に明快であるということが第一点でございます。  特に、その中でも、今般の交通政策基本法の中で、産業観光国際競争力獲得地域活力向上と大規模災害対応ということが加わったわけでございますけれども、これは成長とか安心という今時代が求めているものへの素早い対応でございまして、これはもう非常にいいことだなというふうに思います。  かつ、二の四でございますけれども、関係する各者、国、地方自治体事業者施設管理者国民の間の連携協働重要性を強く示してございまして、これは新たな公共交通とか新たな公とか、交通政策実施展開の新たな在り方ということをサジェスチョン、示す上で、これも非常に重要だというふうに思います。  さらに、若干私の個人的関心と興味もあるんですけれども、調査研究技術開発国際協力について、姿勢を必要であるというふうにうたっておられることは、これからの政策展開施策の推進を見える化するということが、PDCAを進める上でも、あるいは国民の間で合意形成を図って支持を得る上でも重要でございます。そういった観点から、調査研究とか技術開発というのは、大学に所属する研究者としても非常に有り難いというふうに思っております。  こういうすばらしい法律案でございますが、更に良くするために、三のところに、こういうことを先生方が更に議論していただいて、政策展開を図っていただくと有り難いということで、多少書かせていただいております。  まず、三の三、一の財源獲得でございます。  私が参加をしておりました交通基本法検討小委員会でも盛んに議論されたんですけれども、交通権とか移動権というのは理念的にはすばらしい概念だと思いますけれども、今現在においては残念ながら実現する手だては十分ではないんではないかなという、そういう懸念がございます。  フランスの交通基本法においては交通権を明記してございますけれども、それは交通事業所税という潤沢な財源があるということと、都市連帯法という、交通広域にわたるものですから、広域交通行政を可能にする法制度の存在が多いというふうに思います。  また、一九八〇年代にはアメリカ合衆国においてADAアメリカンズ・ウイズ・ディスアビリティー・アクト、障害を持つアメリカ人のための法律ということが産声を上げたわけでございますけれども、残念、この当初には財源手当てがなくて、余り実効性を発揮できなかったと。それが、一九九〇年代になりまして陸上交通効率化法という法律で、これは交通プロジェクト投資への予算を授権する法律でございますけれども、そういう財源手当てがあって初めてこういうすばらしい理念実現できたということでございます。  理念的には非常にすばらしい移動権とか交通権の確立に向けて、これからこういう支援法でございますね、財源とか体制ということについて議論が進むことを是非お願いしたいと思います。  それと、三の二は、地域公共交通への地方公共団体積極的関与ということでございまして、この基本法案においてもちゃんとやりなさいよということを明記していただいておりまして非常に有り難いんですが、ただ、交通政策基本計画は国にのみ課せられた責務でございまして、地方自治体は、できる規定とまで言って、書いてございません。地域地域特殊性、事情に応じて、でも超高齢社会への対応とか地域活性化とかコンパクトな都市交通在り方ということは、やっぱり都市経営とか広域都市圏におけるサービスの提供という在り方、言い換えると、交通まちづくりのビジョンの提示とそのための負担在り方についてこれから積極的に地方自治体として提言して議論をしていくということが何より必要だと思います。  ですから、こういう観点から、地方自治体におかれましても、交通政策基本計画の策定が本当に望ましいと思いますので、そのことについても議論をしていただければと思います。  三番目が、国際競争力強化のための地域交通の整備と、いささか逆説的なことを書かせていただいてございます。  国際競争力強化というと、すぐハブ空港とか中枢港湾とかということになるんでございますけれども、よく考えてみますと、これからのグローバル化アジア連携というのは相手がアジアでございまして、欧米と比べまして距離が圧倒的に短うございます。そういうところで本当にハブ空港のように乗り換えていくだろうかと。それよりは、もうちょっと小さな飛行機、中型の船舶によった直結のフリークエントサービスが望まれるんではないかなというふうに考えてございます。そうしますと、今お荷物と言われている地方空港とか地方港湾をどう活用していくかということに知恵が問われるわけで、そのことをうまく支援する高速道路との直結在り方とか地方空港への公共交通サービス向上とかということも地方都市経営という観点からは非常に大事だろうというふうに思ってございます。  四番目が、新たな地域公共交通への対応ということでございまして、地域公共交通といいますと、すぐバス鉄道、タクシーといった事業者が提供しているサービスを思い浮かべるわけでございますけれども、これからは超小型モビリティーシェアリングシステムとか、あるいは自転車のシェアリングシステムと、ちょっと毛色の違った地域公共交通が浮かび上がってくるんだろうと思います。ヨーロッパ、アメリカ動き、あるいはもうアジアでも始まっておりますけれども、そういう動きを見ておりますと、遠からず日本でもそういうふうになるだろうというふうに思われます。そういうことをこの地域公共交通としてどう受け止めるかということも基本計画の大きな課題だろうというふうに思います。  次が、交通のモニタリングと交通情報プライバシー問題ということでございます。  政策展開PDCAを図るためにもデータが必要だというふうに先ほど申し上げましたけれども、そのことが本当に重要だと思います。幸いのことに、ICT技術の進展において交通ビッグデータと呼ばれるものが徐々に徐々に充実してきてございますが、そのことと個人情報保護との折り合いをどう付けるかと。これは非常に大きな問題でございまして、独り交通だけの問題ではございませんけれども、国民議論が要請される、そのようなことも是非考えるべきだというふうに思います。  最後は、若干毛色が違いますけれども、復興地域における、あるいは事前復興としての交通政策基本計画重要性ということを述べさせていただいております。  本当に少しでございますけれども、今、復興地域、東北にかなり通わさせていただいてございまして、その中で、復興計画、復興事業が急速に展開してございます。ところが、皆さんの御関心はやっぱり住宅、基盤整備、区画整理、防災集団移転等の住宅にのみ集中し過ぎている嫌いがあるのかなというふうに思います。  最初に申し上げましたように、交通というのは社会を横串に見る、そういうものでございます。やっぱり人々の生活とか産業への支援ということが交通を介在することによって非常に明確に見えてくるんじゃなかろうかというふうに思ってございまして、暮らしと地域、町を支える交通を再度とらえ直すという、そういう作業が必要で、そのことによって復興事業が更に良くなっていくんではないのかなというふうな感想を強く持っておる次第でございまして、述べさせていただきました。  どうもありがとうございました。
  7. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) ありがとうございました。  それでは、次に土居参考人お願いをいたします。土居参考人
  8. 土居靖範

    参考人土居靖範君) おはようございます。  立命館大学の経営学部の土居なんですけれども、大学では交通システム論とか交通政策論あるいは交通まちづくりとか、そういった授業を担当させていただきながら研究も同時に並行的にやっています。  今から三十年ほど前に勤務し出したんですけれども、ちょうどそのころに、お手元のメモの四ページ、五ページのところに挙げていますけれども、フランスで国内交通基本法というのが制定されたということが話題になりまして、交通基本法自体も初めてだったけれども、その中に交通権というタームが入っているということで、それで関西における交通研究所とか様々な人が取りあえずその研究を始めないかぬということになりまして、そのとき、関西の大阪市大とか立命、ほかの先生方も含めて交通権を考える会という小さな研究会を発足させまして、フランスのこういう原文を取り寄せていろいろ翻訳をやってもらって、どんなことが書いているかとか、そういう形で交通権を考える会というのが発足したのが今から約、この交通基本法ができてからの一年ぐらい後なんですけれども、それで非常に面白い政策だということが分かってきまして、それで学会ができているんです。余り小さな学会で社会的にはインパクトがないかもしれませんけれども、交通権学会という学会で、交通を権利として探求する学際的、実践的な学会であり、一九八六年に発足したんです。  それで、そこの中ではもう実践的に、いわゆる交通関係労働者の方も入りながら、研究者も含めて、それから地域住民の方も含めて、どういうふうに交通を考えていったらいいかとかいうようなこと。それから、障害者の方が車椅子で町に出たいと言われても、もうバリアフリーになっていなくて当時はなかなか出れない。それから、障害者の方が私も外に出たいとか、様々な要求が分かってきたわけですね。そして、これをどういうふうにまたやっていったらいいか。そのとき、やはりモータリゼーションの様々な弊害も出てきていまして、そういうのをいろいろ研究する学会として交通権学会というのが発足しまして、これ一九八六年で、私もその当時、研究会から引き継ぎまして学会活動に貢献してきたといいますか、いろいろ研究を重ねてきています。毎年一回、やはり学会ですから、各大学を持ち回りに発表会、大会というのをやっています。  それで、そういう意味で、私の研究のルーツがフランスの国内交通基本法だったもので、かなり交通権というのに、かなりそういう形で、実現という形で、ライフワークと言ったらちょっと語弊がありますけれども、何とか交通権を我が国でも導入したいという思い入れが物すごくきついんですね。それで、そういう意味で、様々な交通権のことをこれまでもいわゆる「交通権」という雑誌とか交通権憲章とかでいろいろ発表しているんですけれども。  フランスの交通基本法も、最初から国とかが交通権を認めるという形で目標としてあるので、それに国とかそういう地方自治体はできるだけそれを保障できるように近づけていくといいますか、そういう規定になっているんですね。最初からもう天賦のもので、与えられたものでなくて、国なりいわゆる地方自治体がそれを獲得できるようにいろいろ準備していくといいますか、そういうことがうたっていますもので、だからその点ではやはり目標なんですね。だから、交通基本法もやっぱりそういう意味では目標を高らかに掲げないと、この目標自体が曖昧だと基本法としての役割が果たせないんではないかという私の考えです。  それで、一つ、この四ページのところに、交通基本法を作るときの目標というのが四点書かれています。これ、ル・モンドという新聞の記事らしいんですけれども、四点ですね、目標の中の①人間性豊かな社会進歩に参加すること、②社会的な効率性を確保すること、③空間の整備に資すること、④計画化と民主主義を調和させることと。こういった形でフランスで最初に、資本主義の国では初めて交通権というのを取り入れたわけですけど、かなり高らかなことを考えながらそれを目標にしてやっていこうという形で。  それからもう三十年たってそのフランスがどうなっているかということですね。先生方いろいろ視察に行かれて、パリとかいろんな形の都市を見られていると思いますけど、私もそういう形でストラスブルグとかリヨンとか、様々なフランスの都市を見に行きますと、やはりそういう意味では、すごく成功事例として、フランスの都市が生き生きと人々が移動できるような形になっていると思っています。  そういう形で、私の方の今回の交通政策基本法に対するスタンスなんですけれども、主要な点、メモに戻りますけれども、三点の問題があるというふうに考えています。交通権保障を盛り込んでいない、二点目、抜本的な地域主権が盛り込まれていない、三点目、交通安全対策基本法とのかかわりで交通安全面の追求上問題があるという形で、かなり大きな問題を現行出されている政策基本法にあるということで、基本的にはこの成立に関して反対という立場を取っています。  今後の我が国の高齢、超高齢化社会対応が非常に急がれている問題、本当にもう高齢者の人があふれ出て、本当に家にじっと閉じこもっているとか様々な問題があるのをこの交通政策基本法では解決できないんではないかという形で考えています。  それでは、順次一ページの方から御説明したいと思いますけれども。  交通権を盛り込んでいない。先ほども言いましたけれども、今非常に高齢の方を中心に移動の制約者の方があふれています。それは一つは、これまでマイカー運転というのが前提にあって、まちづくりにしても、マイカーがあるから郊外に住んでいいとか、マイカーがあるからスーパーでも遠くても郊外のモールとかに行っていいとなっていた方が、今は、七十五歳になったらやはりそういう意味ではもう後期高齢者になりますし、家族も物すごく心配して、もう乗ってくれるなとか。家族がそれを支援していたらいいんですけど、かなりもう核家族化して独居老人が多くなっていますから、ほとんどもうそういう郊外のスーパーとかに行けなくなっているんですね。地元のそういう商店街も本当にもう寂れてしまって商品も置いていないとか。公共交通があったら、そういうことでバスとか鉄道に乗っていってもいいわけですけど、それも非常に不便になってきたり、それから買物の帰りがまた大変なんですね。バスが停留所に止まっても、それまた延々と荷物を持って帰らないかぬとか。そんなことが現実にもう日常の各地域で見られるという、買物難民問題という形で言われていますけれども。  あとは、病院にも行けない。病院も、大きな病院が、立派な病院がありまして、それがまた立派だから新しく郊外の方に新設されてしまって、ほとんどそこにも通えないといいますかね。あとは、お風呂に行けない人も何かいてるみたいですね。もうお風呂屋さんがなくなって、都会でしょうけれども、入浴ができないとか。様々なそういう移動の制約がたくさんなっているということです。  その交通権というのは、交通権学会でいろいろ議論してこういうふうに文言としてうたっています。交通権国民移動する権利であり、日本国憲法の第二十二条、二十五条、十三条などの基本的人権を実現する権利だということなんですね。ですから、特にそれを交通権という形で文言を明らかにしなくても、基本的人権が保障されているわけですから、交通権はちゃんと国民にあると考えているんですけれども、そういう交通権を高らかにうたうということがやはり今後の日本の、我が国のそういう、アジア諸国に対しても、やはりそういうリーディングカントリーとしての理念という形では非常に大事ではないかと思います。  やはりフランスが、EUに関して物すごくインパクトがあって、ほかのスウェーデンとかいろんな国に対しても、イギリスとかに対しても、やっぱり交通権の保障、実質的なことをちゃんとほかの国も横並びでやっているわけですね。ですから、同じように日本でも交通権というのを高らかに打ち立てて、中国とか韓国とか様々な、ベトナムなどに関してもそういう交通権の保障を、日本でもちゃんとやっているように、そういう経済発展の中で取り残された人を救うといいますか。  それで、交通権のモデルというのが図の一に書いていますけれども、ひとつこういう形の理念ですね、盛り込むべきではないかと考えています。理念があって、あと下の方に交通関連の個別法といいますか、それも整合性あるものにするという形で、全て日本のこれまでの交通関係の分野を整合性あるものとして統一化した再編をすべきではないかということが。  まず、理念のところでは、これはあくまでも一つの案ですけれども、国及び自治体国民が自由に安心、安全に移動できる権利を基本的人権として保障する責務を負う、二、全ての人と環境に優しい交通実現、三、それぞれの交通手段の長所を生かし連携した効率的な総合交通体系実現、四、地方交通に関する権限と財源を基礎自治体に全面的に移管する、すなわち地方主権の確立といいますか、そして、それぞれを実現するためのこれまでの個別の在来法とか新しい法律を総合して抜本的に再編を図る、こういったイメージで今後あるべきではないかと考えています。  次の二ページに行きますけれども、地域主権が盛り込まれていないという点です。  やはり交通というのはいろんな局面で、国際交通とかありますけれども、国民の一番の交通の行動の多くは、日常的には生活圏といいますか、生活圏で行われています。ですから、その生活圏の一番身近なところにある地方政府ですね、そういうところが地域の住民のまず交通要求とかいろいろな事情とかも様々知っているわけですから、ですから、やはりそういう意味で、地域固有のいろいろな事情をきめ細かく対応するためにはやはり地方政府自体がその第一線に立つべきではないかという、そういうコンセプトで。  非常に地域交通に関してはそういういろいろな施策が、各自治体はいろいろな施策を持っています。医療とか福祉とか教育、観光、商工業、縦割りの、その地域を発展させるために、福祉とか教育、観光、商工業、それがなかなか現実にはうまくいっていないのが現実なんですね。先ほど挙げましたけれども、やたら郊外のところに立派な病院ができているとか、それから学校にしても統廃合で、立派な校舎ですけれども、そこに通うのにも親御さんが朝夕車で連れていっているとか、そういうこともありますので、やはり公共交通投資として、その土台の方に投資すれば全体の自治体政策自体も効果があるものではないかというふうに考えていますので、その辺が図の二のところに書いています。様々な施策を作っても、公共交通がなかったらばらばらになるということです。  それから、三点目の方は安全の問題なんですね。  この新しい政策基本法では、交通安全対策基本法というのを書かれていますけれどもやはり昭和四十五年の法律ですし、一定もう役割自体を終えて、基本的には交通基本法自体に入れ込むといいますか、そういったことが必要ではないかと思います。やはり安全問題ですね、国民交通権にかかわります、そういう点では、やはりその安全を担保するのは交通事業者とそこで働いている交通のいわゆる労働者ですから、そういう人たちの雇用とか賃金条件とかをちゃんと保障していかないと現実には交通の安全が担保できないのではないかということで、大きく三点の理由で今回の交通政策基本法に関して私は反対の立場を取っています。  以上です。
  9. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、恐縮でございますけれども、各委員質疑時間が限られておりますので、質問する側、そしてお答えになる参考人の皆様におかれましては、簡潔に質問そして御答弁をお願い申し上げたいと思います。  それでは、質疑のある方は順次発言願います。
  10. 森屋宏

    ○森屋宏君 おはようございます。自民党の森屋宏でございます。  本日は、淺野先生そして石田先生、土居先生には、お忙しい中、当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございました。  また、私は実は委員会初めての質問、藤本委員長そして理事の皆様方に機会をいただきましたことを御礼申し上げます。  それでは、質問をさせていただきます。  今回の交通政策基本法は、我が国における交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的としてということで、今回、提出をされたところでございます。  法案の中身的には、少子高齢化の進む社会経済情勢、そして観光を含めた我が国産業国際競争力強化、そして災害あるいは環境への対応ということで、ある意味多岐にわたった政策的なことを網羅しているわけでありますけれども、私は、そうした、今、日本が置かれている多様な社会情勢の中において、これまでそれぞれ大きな問題意識は持っていましたけれども、しっかりとした対応がなされていなかったというふうな現状があるんだろうなというふうに思います。  その意味で、今回、地域の自然的、経済的、社会的諸条件に応じた政策実施していくということで、現下の厳しい地方財政の中において行政の役割、地域住民の役割、これを明確化させていくことは不可欠であろうというふうに思っております。その意味で、先ほど参考人先生方からお話がございましたけれども、今回のこの法律交通政策そのものを政策課題のテーブルに上げたというふうな感じがいたしまして、そういう意味でも大変重要なものでありますし、早期の実現を強く望むところでございます。  そこで質問でございますけれども、先ほど土居先生のお話にもございました移動権あるいは交通権というふうな議論が過去にあって、今までも、今現在も行われているということは承知をしておりますけれども、実は私は地方議員を長く務めていたものでございまして、基本的には国の責務、そして地域責務というものをある程度明確化させていくこと、そして、何よりも私は、こういう日本のように長い、北から、北海道から南は九州、沖縄まで、そして自然環境も異なる地域、多様な地域ございますから、地域の中での発想力といいますか、そうしたものをやっぱり大切にしていく、そうしたものを喚起をしていくことということがまず第一であろうなと。当然、財政的な支援でありますとかそうしたこともございますけれども、何よりも地域の発想力というものをやはり大切にすることが大切であろうなというふうに思うわけでございます。  そこで、淺野先生にまずその辺のところ、国の責務地域責務の明確化、その意味において地域の発想力を大切にしていくという私の考え方に対して御教示をいただきたいと思います。
  11. 淺野正一郎

    参考人淺野正一郎君) ありがとうございました。  先生と全く基本的な認識は同じでございまして、この交通政策基本法が成立した後にどう展開していくんだろうということを考えた場合に、様々な地域におきましてどういう行動が生まれてくるかということに非常に関心を持っています。  国が一律に計画の作り方をアドバイスするということは、これは到底できないと思っていまして、地域公共交通に絡むような運行事業者、運輸事業、輸送事業体、それから住民、場合によっては第三セクターも絡みまして、やはりいろんな協議が行われていくんだろうと思っています。その協議のもたらす結果が一過的でなくて、例えば五年目標のものが数サイクル繰り返されて、それが結果的に上昇の方向へ向かってくるというためにどういう国の支援があり得るんだろうということを考えています。  そういうふうな自治、あるいは地方の発想のいいところを酌み取って、それを助長するようなことができるような行政であってもらいたい、また、そういうふうなことが計画の中で取り組まれてうたい上げられるような国の計画であってもらいたいというふうなことを考えています。その結果、先生おっしゃるような結果としての地域活性化であり、地域の発想の定着というものが起こってくるんだろうというふうに思っていますし、私もこれからの残った時間をそういう方向に使っていけたらいいなと思っています。
  12. 森屋宏

    ○森屋宏君 ありがとうございました。  実は、先ほど交通政策が初めて地域の中での政策課題のテーブルにのったという話させていただきましたけれども、実は私、山梨県議会、長くさせていただきまして、山梨の行政、県の行政の実情をお話ししますと、実は県の組織の中にリニア交通局というのがあるんです。これは主にリニアの問題をやっていると、この建設計画の支援ということ。もう一つ交通で何やっているかといいますと、ほとんど数人の職員が、交通安全運動なんですよ、このことを専ら計画を立てたり実施をしていると、この程度実はなんです。全国恐らく変わりないだろうなと思います。  先ほど石田先生のお話にありました平成十九年に施行されました地域公共交通活性化及び再生に関する法律にのっとって地域公共交通総合連携計画を立てなさいといいますか、立ててくださいよというふうなことでありました。ちょっと調べてみましたら、今年の白書によりますと、この総合的な計画、八百の目標値を立てたということでございますけれども、結果として五百十のものしか、ものしかと言ったら失礼ですけれども、できなかった。中には、奈良県のように自ら議員立法で条例を作ったという取組もございますけれども、まれな取組でございます。  といいますのは、今地方は、実はこうした新しい政策課題に取り組んでいくという意味においては、先ほど言いましたけれども、財政的な側面はもちろんでございますけれども、人的面におきましても、実は全く新しい政策課題に着手していくということは、これは予想以上に、想像以上に実は大変大きな問題がございます。でありますから、法律を作って、そして地方にこうした連携計画というものを作っていただくということが大きなことだと思いますけれども、私はやっぱり国の支援というものが、ここでスタートダッシュをするときの国の支援というものは大きなものが必要じゃないかなというふうな認識を持っているわけでございますけれども、先ほど石田先生はそのようなお話ございましたので、先生の御意見をいただきたいと思います。
  13. 石田東生

    参考人石田東生君) 私も先生と全く同感でございます。  実は私、筑波大学におりまして、地元のつくば市の公共交通活性化協議会の会長をもう七、八年ずっとやらせていただいておりまして、そこでやっぱり痛感するのは、つくば市は人口二十七万人ぐらいの比較的大きな町ですけれども、やはり交通の専門家という方は余りおられないと。そういうことが非常に現実の問題としては大きいなというふうに考えております。  これから国の方で交通政策基本計画を策定されると思いますけれども、そのときに非常に重要な国の任務としては、先生がおっしゃるような環境を整えると。先ほど、私、自治体交通基本計画を立てることの意義と意味は非常に大きくて、それを是非実現していただきたいというふうな発言をいたしましたけれども、その真意は、国としては、そのようなみんなでやろうよという、そういう雰囲気をどう醸成するかということと、そのための環境ですね、これは人材の育成であったり財政的な支援であったりとか、あるいは広域交通ということが非常に重要になってまいりますので、都市間の連携をどう支援するかという体制の問題であったりすると思うんですけれども、そういうことは是非、交通政策基本計画の中に明記していただければ有り難いなというふうに考えております。  ありがとうございました。
  14. 森屋宏

    ○森屋宏君 ありがとうございました。  時間が今日は限られておりますので、是非この法律にのっとって、私は日本の、全国の中でパイロット的な、挑戦的な施策実施をされて、その成功事例、例えば富山市がやっているようなコンパクトシティーというのを併せた交通政策というのをお持ちですけれども、あのような成功事例というのが全国に数多く出てきて、それが日本的な、全国的な広がりになっていくということを大いに期待するところでございます。  本日は、先生方、御出席をいただきましてありがとうございました。  以上で終わります。
  15. 田城郁

    田城郁君 民主党の田城郁です。よろしくお願いいたします。  本日は、淺野先生、そして石田先生、土居先生、大変お忙しい中をお越しいただきまして、ありがとうございます。  十分という時間ですので、お三方にそれぞれ一問ずつ御質問させていただきますので、三分ぐらいずつでお答えいただくとちょうど十分ぐらいになるかと思います。  まず、淺野先生には、この事前にいただきました参考資料の中でユニバーサルデザインの重要性ということを説いていらっしゃいます。この交通基本法とユニバーサルデザイン、この関係性といいますか、これが成立することによってどのように生かしていけばいいのか、推進していけばいいのかという観点一つお願いいたします。  それと、石田先生には、やはりこの事前の資料によりますと、渋滞問題、これの解消が非常に重要だということもおっしゃっておりますが、渋滞による経済的な損失を始めとしたあらゆるマイナスがあると思うんですが、その点について教えていただければと思います。  それと、土居先生には、反対の立場ということですが、この交通基本法の中で交通権がうたわれていないということも含めて、今、東北の被災した鉄道なりほかの交通機関も、復旧したところもありますし、まだまだまちづくりとの関係で進んでいないという山田線始めとした被災三線ということもあるんですが、この法律が成立することによってそういうものにどのような効果があるか、あるいはどのように進めていくべきか、この点についてそれぞれお願いいたします。よろしくお願いします。
  16. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) それでは順番にお願いします。
  17. 淺野正一郎

    参考人淺野正一郎君) 石田先生の資料にあったようなディスアビリティーアクトというアメリカで起こった法律なんですけれども、それが基を作ったのは実は日本でございまして、ISO、国際標準化機構に日本が一九八〇年代の後半にアクセシビリティーのための、アクセシビリティーというのはその当時の身障者等に対しました公共機関における配慮というものに関しました基本的なガイドラインを定めた基本通則みたいな標準でございますけれども、それを提案しまして、それがISOの標準になったと。  ディスアビリティーアクトが議論された場合に、日本のそういうふうな議論参加したグループがアメリカの国会の公聴会に呼ばれまして意見を述べたということがございました。  つまり、当時は日本は大変な世界的な先進リーダーであったと。そのときの精神は、やはり全国あまねく、こういう問題を地域格差なく、あるいは場所を問わず共通な認識を醸成して、そして一歩一歩であってもそれが進む方向に行くべきであろうというふうなことを考えた。それが産業界を交えた共通の認識であったということです。つまり、日本はそういうふうな意識を醸成することはもう済んでいるわけですから、この新しい基本法の中でそういう醸成を具体的にするようなことを計画の中に盛り込むことによってそれが更に前進すると考えてございます。  以上です。
  18. 石田東生

    参考人石田東生君) 渋滞問題というのはやはり非常に大きな問題だと思っております。国土交通省の推計によりますと、たしか年間九兆円ぐらいの負担国民に課しているということでございまして、今、世界の企業は物流のコストというのを非常に気にしてございます。この渋滞というのは物流のコストに非常に負荷を掛けるものでございますので、企業の海外進出、逆に言うと日本国内からの流出というのが懸念されておりますけれども、その中のかなり大きな要因だろうと思っております。  それとともに、渋滞だけではなくて、多分、防災とか災害時の安全性、安定性ということも事業継続計画という観点からは非常に日本は今マイナスポイントじゃないのかなというふうに思います。  そういう意味からしても、先ほども申しましたけれども、空港、港湾と高速道路直結というのが、より低廉、効果的な物流という観点からだけではなくて、やっぱり沿道の住民の環境の問題とか、あるいは燃費が上がりますので、地球環境問題という観点からも重要ではないかなというふうに思います。  以上でございます。
  19. 土居靖範

    参考人土居靖範君) 東北の方に、私も岩手とか福島の方に二度ほど、おっしゃるような交通の事情がどうなっているか、その調査に行ってきまして、鉄道自体が物すごく復旧が遅れているといいますか、まだ不通になっている区間があるというのにはちょっと信じられなかったんですけれども、現実には、地元の人はやはり何とか、日常的な買物とか病院に行くために、スーパーに行くのに町の方のコミュニティーバスをつくっているとか、あるいは乗り合いのタクシーみたいなものとか様々な形で防衛していたのですけれども、やはりこういう鉄道網というのは通学生もたくさん使いますし、そういう意味ではやはり上下分離とかいう形で、JR東日本の方も何かもう安楽死しろみたいな感じですね。大体災害が起こったところはほったらかしにしておくんです、ほかの九州にしてもですね。そういうのがもう見え見えなのが見えましたから、やはりもっと国の方の指導で、ちゃんとJRにも社会的な責任を果たすようにとか、それから第三セクターの三陸鉄道にしても、やはりそういう上下分離で施設の方のところはちゃんと国なり自治体がもう自分で持つと、インフラの部分はですね、社会的なインフラとして持つとか、もっと抜本的な施策を打ち出していただきたいと思っています。  以上です。
  20. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。
  21. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。今日は、三人の参考人先生方、ありがとうございます。  早速、まず淺野先生から御意見を承りたいと思います。  この交通政策基本法案で、第五条とか第二十四条において徒歩、自転車ということが自動車とか鉄道とか船舶、航空、他の交通手段と同様に取り扱われて、その適切な役割分担と有機的、効率的な連携ということが重要だというふうに言われているわけでございますが、先生の中でこの徒歩、自転車、どういうような位置付けになっているのか、それから、特に自転車につきまして、これは車社会の是正にもつながっていく、環境面もいいんではないのかなと思うわけでございますが、淺野先生はどういうふうにお考えなのか、お示しをしていただきたいと思います。
  22. 淺野正一郎

    参考人淺野正一郎君) 衆議院の附帯決議に徒歩と自転車の話が載ってございますけれども、このとおりのことが今から約三年ぐらい前の国土交通省の中の委員会議論、その当時の旧基本法をどうやって立て付けをつくるのかという検討を行ったものがございまして、その中で徒歩、自転車の扱い方というのをやはり含めるべきであるという議論が起こりまして、当時からしっかりと議論したつもりでございます。  国土空間と言っては大げさなんですけれども、インフラの問題もあるし、インフラの中には道路の問題もあるし、道路の中には除雪等の問題もあるし、冬の期間、山間地域で雪をどけなければ歩けなくなる、これは交通基本法の問題でもあるんだねという話が起こりまして、まさしくそうだという意見で当時から徒歩の問題は含めたつもりでございます。  おっしゃるとおり、徒歩の問題というのは交通基本中のまず基本である、アクセスの第一歩でございますので、第一歩を除いては公共交通機関に至ることもできませんから、そういうふうな意識でこの中に含めて、また計画の中でも今後重視していただきたいと思っているところでございます。
  23. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 続いて石田先生にお願いをしたいと思いますけれども、選挙でいろんなところに私も行かせていただくんでございますけれども、富山市に行きますと、何か、LRTというんですか、海岸の方から、そしてまた新幹線が来るぞということで高架になって、路面電車を北と南側をつなげて町中を路面電車でずっと移動できるようにしていこう、それから、郊外にいる人たちも町中に住んでもらう、特に高齢化になってからですね、若い子育て世代は逆に郊外に出ていっていただくと。そうすると、介護等も高齢者が多く集まった地域でできるんじゃないのかという感覚でまちづくりしているように見えるわけですし、あそこの森市長ともそんなお話をさせていただいたわけでございますが。  先生の中で、まちづくり交通連携図っていく上で何が重要だとお考えなのか、御教示いただければ有り難いなと思います。
  24. 石田東生

    参考人石田東生君) 交通まちづくりという言い方をよくいたします。交通まちづくりと不可分一体であるということでございます。  その目的は、やはり人に優しい、産業にもいい、かつ都市の経営という観点からも望ましい交通と町の在り方というのを探るということだと思っておりまして、富山市はその本当にベストプラクティスだというふうに考えてございます。  森市長がよくおっしゃるんですけれども、富山の今先生おっしゃったポートラムというLRTとセントラムという都心の環状線、及び北陸新幹線が来ることによってその両方を連結させようという計画を今邁進されておりますけれども、そのときによく言われるのは、例えばポートラムによってお年寄りの外出が非常に多くなったと。外出機会を与えたと。車がなければ外出できなかった人たちが、あれを利用することによって日中、買物に行かれるようになって、元気になられて医療費が少なくなったように感じると。  実際、これも筑波大学の先生でございますけれども、毎日一歩歩くと医療費が〇・〇〇〇六円かな、下がるという、そういう実験、研究成果もございます。歩く、外出するということは医療費とも関係が出てきますし、町に出ていただいて買物をしていただくと、それは町の活気にもつながりますし、固定資産税とか都市計画税が上がる、税収が上がるという、そういうトータルの都市経営の中で公共交通を考えると、LRT自体は赤字なんでございますけれども補って余りあるものがあるというふうにおっしゃっておりまして、そういうトータルの都市経営の中での地域公共交通という、こういうとらえ方をするような大きなビジョンが必要かと思います。
  25. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ありがとうございました。  続いて土居先生にお聞きしたいと思いますが、非常に交通権という用語、私も魅力的だなとは思うんでございますが、ただ、権利という以上その裏側は責務というか義務というか、そうするとなかなか、そこを条件を満たすというのはなかなか難しいんではないのかというふうに思っておりまして、私も、ちょっとまだ時期が早いのかなという思いがしますが、そういうお立場の中で、今回この交通政策基本法案、これは前は民主党の政権のときは交通基本法案ということだったはずだと思いますが、違うのは、大規模災害時への対応というのが入っているわけでございますが、この大規模災害時、先ほどもちょっとお話がありましたけど、交通権と言われても、自治体も含めて対応するところも対応できないというか、職員もいなくなってしまっているような状況の中でどう考えるのか、大規模災害時における交通権というのはどういうふうに考えたらいいんだろうかということをちょっと教えていただきたいと思います。
  26. 土居靖範

    参考人土居靖範君) 非常に地域自体がコミュニティーが崩壊しているといいますか、各家庭自体においても家族が非常に少なくなって、そういう形でコミュニティー自体が崩壊していて、助け合いとかそういった形の精神も薄らいでいるかもしれませんけど、現実にはもう本当に孤立した形の人がたくさん町の中にいてるわけですね。  先生おっしゃるように、やはり災害のときにいかにそれがうまく、災害だからうまく機能するかというと、やはり日常から考えてみますと物すごく難しいと思いますね。ですから、やはりこの交通でも、本当にバスもないところとかいうのはどういうふうにやっているかといいますと、いろいろタクシー事業者なんかがやっているところもありますけれども、やはりもう自分たちで支えにゃいかぬということで、福祉有償運送といいますか、そういう形で運転できる人がいろいろ講習を受けて何とか安全に、二種免許を取ったりしていますから、おっしゃるように、やっぱりその地域地域のそういったところの機能を高めていくというのがなかったら、災害のときなんか本当にもうどこで亡くなっているか分からないようになりますから、各地域にやっぱりそういう意味計画の中に、本当にもう地域交通をいかに住民参画の下でつくり上げるかというのが、地味なようですけれども基本的に大事ではないかと考えています。  以上です。
  27. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ありがとうございました。
  28. 藤巻幸夫

    ○藤巻幸夫君 みんなの党、藤巻でございます。  お三人のプロの先生方のお話、非常に参考になりました。私は、今日まで三十年余り、百貨店とか老舗メーカー、小売などの流通業に始まり、これまで全国に生まれているメード・イン・ジャパンの良いものを世の中に広めると、このようなことをやってきました。まさに、地域産業のブランディング、それから今、茨城、山梨、高知の観光大使も務めさせていただいていますが、地域活性化まちづくりの一端をずっとやっております。  そういうような経験上、流通それから観光計画的で総合的な交通網なくしては絶対に成功しない。今回の基本法は、非常にいかに重要であるかについては十分に分かっているつもりであります。また、参考人の方々の本当にお話のとおり、この交通網をしっかりとつくり上げることが、これが更に新たな日本経済の成長と快適な国民生活の安定をもたらす、これは非常に重要だと思います。  本日は、幾つかの提案を含めまして、先生方の御意見を一度お伺いしたいと思っています。  私が常に心得ている基本姿勢は利用者目線です。顧客視点とも言っていますが、いつもこの視点で都市地域、あるいは過密と過疎を移動しています。これが非常に私は肝心だと思っておりまして、是非陸路、それから空路、それから航路の連携を、いま一度徹底した利用者目線でこの国を描き直す、グランドデザインって大臣も言っていますけど、必要があるんじゃないかと思っています。  そこで、資料一と二をちょっと御覧いただきたいんですが、特に資料一につきましては私の知り合いがやっておりますので、決してPRということではないんですが、是非ちょっと御覧いただきたいんですが、これはJR東日本、まさにJR、いろいろな形で話題になっていますが、これは一つのいい例としてお話をしたいんですが、基本法案の策定ということでちょっと違ったかもしれませんが、これはまさに三つの観点で貢献しているんではないかと。観光の面と復興支援、そして地域活性化に貢献している事例であります。  この東北エモーションというのが資料一に出させていただきましたが、新しい東北を発見しようと。今先生がおっしゃったようにまだまだ遅れている地域がありますが、やはりまだまだ過疎、それから人を呼ぶ、そしてお金を落としてもらうという視点で、三両を改造して列車全体を移動するレストランとして運用しております。二〇一三年の十月十九日から二〇一四年の三月三十日の間、臨時列車として、八戸線にて、土曜、休日、それからゴールデンウイーク、それから夏休み、年末年始を中心に年間百五十日の運行を予定、計画されております。デザインと食、アート、景色を楽しめる列車として、まさに日常から解放される旅行を提供し、乗ること自体を目的としています。当然、安心、安全ではなく、やはりまさに観光立国日本をつくる一つの僕は手段として非常に面白いんじゃないかと思っています。  もちろん、鉄道を始め交通網は、当然日常生活移動手段として、安心、正確、便利が必要条件であることは間違いありません。これからも交通手段にも付加価値を付けて、日常生活移動手段はもとより、地域活性に貢献してもらう必要があると、過密の解消にも貢献できる可能性があると私は思います。  そこで、付加価値という魅力を生み出す手段こそが、いつも私は言うんですが、デザインの力であり、そこにブランドが誕生する、この観点を是非国策にももっと入れてほしいなと常日ごろ思っております。  それからもう一つ、資料の三をちょっと御覧いただきたいんですが、これは子供から御年配の方、外国人までが見て誰でも分かるいわゆる表記、サイン、これ、日本全国いろいろ見ていると非常にまちまちで、特に年配の方、それから外国人の方が日本に来ても分かりづらいという、こんなことがあります。  これ、非常に古い例なんですが非常にいい例をちょっと御紹介させていただきますと、一九二二年生まれのオトル・アイヒャーというドイツを非常に代表するグラフィックデザイナー、特にこういうデザインの観点では、このドイツのオトル・アイヒャーという人間が非常に世界的に実は影響を及ぼしたというのは非常にデザイン界では有名な話なんですが、実はこのアイヒャーは、一九七二年のミュンヘン・オリンピックのときにデザインのリーダーとして使われました。公共の標識で広く使われている絵記号、よく我々が言いますピクトグラムの立て役者でもあります。ミュンヘン空港などは今でもそれを使われていますが、アイヒャーは、これ非常に大事なんですけれども、五輪会場関係はもちろん、色数を限定し、ポスター、IDカード、医療、駐車券、ミュンヘン空港のサイン計画なども、そしてまた町の観光案内所なども、制服から対応マニュアル、これをつくり上げました。鉄道、警官や病院などのオリンピック時の対応マニュアルなど、観光にかかわる全ての機関が彼の制作したデザインを使用したということであります。  余談ですが、会場内には限定で、ミュンヘン会場ではあらかじめ決められたカラー展開がされておりましたので、実はコカ・コーラのカラーですらこのレギュレーションに応じたという話もあります。このように、デザインの力でいかに分かりやすい国家をつくり、顧客視点で人々を楽しませた、こういうようなこともあります。  そこでなんですが、実は交通政策基本計画の中には、まちづくり観光立国の観点からの施策ともあります。是非ともデザインの重要性をその観点に盛り込んでいただきたい。交通インフラの質の向上を図るべき私は政策一つだと思いますが、それぞれの先生、簡単でいいんですけど、感想と御意見いただければと思います。  よろしくお願い申し上げます。
  29. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 三名の参考人それぞれですか。
  30. 藤巻幸夫

    ○藤巻幸夫君 はい。
  31. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) それでは、淺野参考人お願いします。
  32. 淺野正一郎

    参考人淺野正一郎君) 大変スマートな資料で感服いたしました。  ちょっとこれから外れるんですけれども申し述べたいことが一点あって、先日台湾で、台湾の高速列車、新幹線でございますけれども、それに乗って、席に弁当の案内があって、おいしそうな弁当があったものですから、ちょうどおなかすいたものですから、そこに通りかかった方に、当然私はそのとき車内販売の担当の方だと思って、これを二つほどもらえないかと言ったら、ノー・プロブレムと言って帰っていったんですね。で、それを持ってきてくれて、お金を出したらお釣りがあって、どうも変だったんですけれども、個人のがまぐち出してお釣りくれたんです。しばらくすると、その方が来て、切符拝見するからといって入口で言って、みんなの切符見に来たんですよね。つまり、車掌さんだったわけです。  つまり、車掌さんは、車内サービスがほかの人たちが行っても、みんなその車内のサービスだと思って分け隔てなくて乗客に対してサービスするんですね。つまり、そういうふうな一体となったホスピタリティーというのがやっぱり感銘もあるし、いいと思うんです。これ実施するのが、食堂車は食堂車、列車は列車という、そういうふうなものでなくて、全体一体となってサービスしてつくっていただくと、大変外国の方にとっても違和感がないし、いいものができそうな感じがしまして、勝手なことを申しました。
  33. 石田東生

    参考人石田東生君) 交通経済学という学問分野がありまして、私は工学なので余り詳しくは存じ上げないんですけれども、最初に教わるのは、交通は派生需要であるということを教わります。そこの場所に移動することのために交通を行うんだと。ですから、交通経済学で教えるところの理想の交通手段というのは、ドラえもんのどこでもドア、瞬時にそこへ行けるということでございます。  ところが、世の中は、先生おっしゃるように、特に観光に関してはゆっくりゆったり楽しむということで、道中を楽しむと。交通そのものが本源的需要といいますか、そういうふうな分野が拡大をしてきておると思いますし、特に、観光あるいはそれを生かした地域活性化ということに関しては、そのことに十分留意しなければならないというふうに思っております。
  34. 土居靖範

    参考人土居靖範君) 私も、デザインの力というのは非常にインパクトがあるというふうに感じています。この資料ではJR東日本ですけれども、JR九州がかなりそういう形の、寝台列車も含めて、そして物すごくアピールしていますよね。高齢の方もそういう形でたまにはぜいたくしたいことで、夫婦連れでそういうのを利用されていることもありますけどね。やはりそういう意味では、旅行自体を楽しむということを是非こういうデザインの力からJR各社も是非取り組んでいただければいいと思っています。  以上です。
  35. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) よろしいですか。
  36. 藤巻幸夫

    ○藤巻幸夫君 ええ、いいです。ありがとうございました。
  37. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎でございます。  まず、三人の先生方、本当にありがとうございました。大変参考になるものばかりでございました。  私は、まず土居先生に、フランスが初めて交通権という文言を用いて法律でも規定したという話がありました。そこで、今、フランスの交通政策というのが注目をされているというふうに思うんですが、今回の法案には交通権というのが盛り込まれませんでした。いろいろ議論がある中で、まだ時期尚早じゃないかということなんですが、例えば、その問題点だと言われている一つに、交通権ということをうたってしまうと、例えば訴訟が増えてしまうんじゃないかとか、過疎地に道路を通してほしいとか、そういうことが増えるんじゃないかということもあろうかと思いますが。  では、フランスでは、例えば、その交通権ということを入れたということによってそういった訴訟が増えたのかということであるとか、また、フランスと日本を比べたときに、例えば法的な観点、また予算の配分、政策過程で日本とフランスでどう違うのかということなど、また、日本ではこうフランスで見習うところがあるんじゃないかということなんかを御教示いただければと思います。
  38. 土居靖範

    参考人土居靖範君) ちょっと私、不勉強なもので、そのフランスの具体的な訴訟の案件に関してはちょっと存じ上げていません。いわゆる国会の資料、文献なんかをちょっとまた見てみて、訴訟はどうなったかまた勉強したいと思っていますけれども。  それで、現実にやはり訴訟問題という形が出てきますけど、私のスタンスは、やはり各地域ごとに地区の交通基本計画を住民の参画、事業者の参画でやっていって、それでやはり、バスのいわゆる本数ですね、一時間に一本がいいのかとか、それからそういう停留所は何メートルぐらいがいいのかとか、やはり地域の住民、利用者と事業者、行政が一つのテーブルで、それは余りにも何か要求し過ぎだとか、そういう形でいろいろ話合いの中で具体的な交通のいわゆるシビルミニマムに関しても出てくると思っています。  ですから、もう訴訟まで行かなくて、ちゃんと人々の、取りあえず同じテーブルにのせて、どういうふうな交通が望ましいかとか順番に考えていくのが交通基本法の具体的な在り方ではないかと思いまして、国の方の政策を基に、あと県レベル、それから基礎自治体、市町村レベルの計画を順番にすり合わせていくといいますか、こんな作業が大事ではないかと考えています。  以上です。
  39. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 続いて土居先生なんですけど、フランスの予算といいますか、私たちはもっと公共交通日本の予算も配分するといいますか、地方分権の観点からも移譲していくということも考えますけれども、この分野でのフランスの地方公共交通機関政策の中での予算配分といいますか、その辺はどういうことになっているんでしょうかね。
  40. 土居靖範

    参考人土居靖範君) ヨーロッパ全体なんですけれども、運賃収入でそこの公共交通自体の経費を賄っているところは、ヨーロッパではもう全くありません。そういう意味では、運賃収入自体が一〇%レベルとか、多くても二〇%ぐらいで、あとの方は、おっしゃるように、各地方自治体財源、そういう形では自主財源的なものをかなり国の方からちゃんと与えられて用意しているといいます。  やはり地方分権の中で現実に財源がなかったら本当にもう実現できませんから、そういう意味では、やはり地方財源をいかに確保するかですけれども、その辺ではいろいろ、日本の場合、どういう形で道路財源をどういうふうに活用するかとか、いろんなことも現実には行われてくると思いますし、フランスの場合では、通勤交通にいわゆる法人が負担をするといいますか、交通税と言っていますけれども、そういう意味で、事業所の方に掛けて、そういう通勤の、事業所が雇っているという人には特別な税金、それは公共交通の利便性のために使うといいますかね。  そして、今おっしゃったような、先ほど富山の例みたいな、新型の路面電車にどんどんそういった投資していく。そうすると、普通の通勤の人も、マイカー別に使わなくてもスムーズに通勤のとこまで来れるとか、マイカーは郊外の駐車場に置いて単身通勤できるとか、様々な利便が都市交通、小さな都市も含めて図られていますので、それで一定税金をちゃんと負担してもいいという形ですから、是非どういうふうにして財源確保するか、今後この法案が通っても一つの大きな研究課題になるのではないかと思います。  以上です。
  41. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 ありがとうございました。  今回の法案で、第二条で、「国民その他の者の交通に対する基本的な需要が適切に充足されなければならない。」と、これは二〇一一年に閣議決定された交通基本法なんですけれども、その文言が今回は、交通政策基本法の中では、「国民その他の者の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要であるという基本認識の下に行われなければならない。」という文言に変わりまして、私自身、そういう基本認識がありさえすればいいじゃないかと一歩後退した内容に今回の法案はなっていると思っております。  もう一点後退をしたところでいいますと、やはり今回の法案の中身で、国際競争力強化ということが、前回の法案の中にもありましたが、殊更強調されているのではないかというふうに思っておりまして、もう一度土居先生で申し訳ないんですが、国際競争力ということが強調されていますが、この点での御見解といいますか、もしあればお願いいたします。
  42. 土居靖範

    参考人土居靖範君) そういう意味で、今回大きく、国際競争力の整備という形でハブ空港とかそれから拠点的な港湾の整備が行われていますけれども、そういう意味では、今回の理念自体がまあ総花的と言ったらちょっと非常に語弊がありますけれども、やはりその目標自体をちゃんとターゲットを絞っていないような感じはします。やはり交通基本法のところですから、そういう国民の、住民の交通のそういったニーズを大事にしていくといいますか、そのコンセプトを大事にしていって、そしてその国が豊かになればまたそういう意味でいろんな観光とか様々なところにまた波及するでしょうから、そういう意味で、今回そういう政策的なスタンスは私自体はやっぱり絞って、交通権の確立というところに絞るべきではないかと思っています。  以上です。
  43. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 ありがとうございました。  以上です。
  44. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 参考人先生方には、お忙しいところ、本当に今日はありがとうございます。  早速、淺野参考人の方にお尋ねをいたしますが、この交通政策基本法案において、私は利用者目線、国民目線というところにちょっと触れさせていただいて御質問したいと思うんですけれども、お聞かせいただきたいと思うんですけれども、この交通政策基本法案におきまして先ほど来移動権という問題が出ておりますが、この移動に関する保障については規定されませんでした。その点で、この利用者目線、国民目線の視点への転向の必要性について今回非常に論点となったと、そういうこともお聞きしておりますけれども、交通施策を推進する上で様々な関係者連携また協働することが不可欠であると、このように明記されることになっております。  そこで、共に考え、共に維持し、共に育てるという協働の場において、具体的目標の設定に向け様々な関係者の利害をいかに調整するかが重要なポイントと考えられます。その上で、利用者目線、国民目線という交通政策実現させるためにはどのような方策が講じられていくべきかを、お考え、御所見をお聞かせいただければと思います。
  45. 淺野正一郎

    参考人淺野正一郎君) 答え方は恐らくたくさんの答えがあるのではないかと思うんですけれども、私がこの資料の続きからいって今日申し上げたかったこととして申し上げますと、利用者というのは、料金を払う、税金を払う、何らかの負担というものをしているわけです。それに伴って公共交通維持されていると。その負担の額が自分の受けたサービスに対して適切なものであったかということが全国的な比較の上において納得できるものだったかということを知ること、これが一つ国民目線の、納得性を高める意味国民目線ではないかと思っておるわけです。そういう情報が公開され、開示され、またその効果というものが目に見えた格好で表現されるということが年々行われることが、その納得を高めていき、また次年度につながって利用を進めていく上で極めて重要なことだと思っています。  現在そういう手段がなかなかない。事業者にとっても基礎的な移動データを集める手段もない。ですが、見方によっては、PASMOみたいな交通系ICカードであったり携帯電話であったり、個人の移動を測ろうと思えば測れる手段はあると。そういう手段を使ってこういう方々の移動実現して、こういう費用で実現しているということを年々表現し、住民に対して、国民に対してそれを説明する方法ができれば、これは国民目線の公共交通に対する参加を一層深めたことになってくるんじゃないかと。そういうことを考えて、是非ともそういう方向で進んでもらいたいと。  もう一つは、その結果、国民はきっと交通をよく知ることになると思うんです。自分の周りにどういう交通があり、どういう交通が欠けているか。先ほどフランスの例がありましたけれども、フランスの地方に行って日本との差でよく思うことは、例えば駅へ行って、どこか行きたいんだけれどもどういう方法があるかというと、国鉄に関係ない方法であっても懇切丁寧に教えてくれると。つまり、そういう交通に対して全員が日本以上によく知っている。その結果、日本にもその目線が、国民目線になることによって交通に対する参加意識が増えて理解が深まって交通をよく知ることができる、これが一番大きな効果であってもらいたい、そういう方向を促進する基本法であってもらいたいと、そういうことを考えておるわけです。
  46. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。  石田参考人にお伺いをしたいと思いますが、田城先生と多少重複いたしますけれども、御勘弁いただきたいと思います。  石田参考人のこの資料、いろいろと目を通させていただきましたが、特に渋滞とか車の二酸化炭素、CO2の関係をとらえられておられるんですけれども、交通渋滞の解消は、もちろんこの二酸化炭素の排出削減に大きな効果をもたらすことは言うまでもありません。そしてまた、日本の車というのは、エコカー、環境に対しては恐らくもう世界一優秀だと、私はこのように思っておりますけれども、この渋滞とか停滞で、日本は、アメリカやカナダ、オーストラリアといったエネルギー消費大国といいますか、そういう仲間入りをしようとする傾向がありますけれども、そこで、道路の走行の状態の悪さ、渋滞問題がCO2の先ほど申し上げましたように排出量に、増加に大きく影響しております。  交通政策基本法によってどのようにこの問題の解決を図っていくべきだと、どのように石田参考人はお考えをされているのか、御所見をお聞きをしたいと思います。
  47. 石田東生

    参考人石田東生君) 議員御指摘のように、日本の新車のエコぶりは世界最先端でございまして、ところが、実際に実動で燃費等を調べますと余り良くないんですね。結構、アメリカとかカナダという、ああいうエネルギー多消費型の道路交通状況に近いところにございまして、この一つの原因はやはり渋滞にあるんではないかなというふうに思っております。  その渋滞を解消するのに道路をばんばん造れという、そういう時代ではないと思うんですけれども、今ある道路をいかに利活用していくかと、そういう知恵が問われていると思うんですね。  そこに、ITSといいますけれども、高度交通情システムですね、情報の力を使ってすいた道を案内しようとか、あるいは信号制御をもっと合理化しようというふうなことがあろうかと思います。でも、それと同時に、やっぱりドライブする側の、運転する側の意識啓発というのも非常に重要だと思いまして、エコドライブをするとか、あるいは不要不急の、あるいは過度の車依存から脱却をして公共交通を使っていただくと。  実は私、モビリティーマネジメントと申しまして、適切な情報を共有いたしまして自発的に交通行動を変えていただこうと。例えば、車で移動するとCO2がこれだけ出ますよとか、車で移動ばっかりしていると消費カロリーが少なくなってダイエットに良くないですよとか、そういう情報をお与えすると、結構国民の皆さん変えていただけるんですね。そういうことをする、そのためにも、この政策基本法の中にありますけれども、調査とかデータ整備ということをして、その上に立って本音の議論をするような環境を整えるということが何より重要かと考えます。
  48. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。  土居参考人、申し訳ございません、僕、四十二分までということを言われておりますので、この移動権のことを主張されておられることを、交通権ですか、書いておられましたもので、今いろんな質問が出ておりますので、いつか機会がございましたらお聞きしたいと思いますので、どうも失礼いたしました。よろしくお願いいたします。  終わります。
  49. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社民党・護憲連合の吉田忠智です。  三人の参考人の皆様には貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。それぞれに質問、参考人に質問させていただきたいと思います。  まず、淺野参考人地域公共交通の現状、この本日議論しております交通政策基本法についての認識、そして課題ということで説明をいただきました。  私も、この交通政策基本法、百点満点じゃありませんけど大きな前進、課題的には前進した法案であるというふうにとらえておりますけれども、淺野参考人、この交通政策基本法でやや自分が考えて物足りない点などがありましたらお聞かせいただきたいと思いますが。
  50. 淺野正一郎

    参考人淺野正一郎君) 一番最初の質問の先生の話にあったんですけれども、果たして地域がこれで十分施策を展開できるような形になるんだろうかと、その裏に人材が不足しているとか交通の専門家が少ないとか、そういう話がありました。  結局、地域でソリューションをつくっていって、そのソリューションを持続するという方向に持っていかなければならないんですけれども、市町村を含めて交通の専門家を受け入れるようなところは少ない。そういう方を増やしていただきたいんだけれども、そう簡単ではない。  そうすると、その人材を補完するような仕組みというのはどういう仕組みなんだろうかということを考えますと、やはり全国的な連携といいますか、そういうものがやっぱりあった方がいいんだろうと思いまして、それはこの法案の中に書いていない。恐らく計画の中でそれを着実に進行するようなことを作っていかなければならないと、そういうふうに考えてございます。
  51. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ありがとうございました。  続きまして石田参考人に伺いますが、交通権移動権理念的には素晴らしいが、実現する手だてが十分ではなく、時期尚早であると思料すると書かれております。  私も、今回の交通政策基本法案の中で移動権の保障が盛り込まれなかったことは極めて残念だ、問題だと思っていまして、午後、政府に対しても質問をさせていただくんですが、鶏が先か卵が先かみたいな議論になるんですけど、また、こういうことを盛り込まなければそういう課題も前進しないのではないかと逆に思うんですけど、諸外国の例を先生も例に出されて、それはもう今回はやむを得ないみたいな中身になっているんですけど、そのことをお聞かせいただきたいのと、学問的に交通権移動権というふうに並べておられますけれども、交通権の中には移動権以外のほかの概念が何か入ってくるのかどうか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  52. 石田東生

    参考人石田東生君) 先ほども申しましたように、交通権ということを明記されているフランスでは非常に潤沢な資金をお持ちです。土居参考人がおっしゃいましたように交通事業所税というのがございまして、これは国がそういう制度をつくって、自治体が条例で定めればできるんですけれども、どういう仕組みになっているかというと、事業所の総支払給与額の、都市によって異なるんですけれども、一%から三%ぐらいまでを交通目的で徴収をいたしまして、それを交通投資をする、あるいは通勤手当の補助に使うというふうな仕組みのものでございまして、三%というと相当な高額でございまして、ですからフランスのようにああいう活気のある地域公共交通実現しているというふうに思いますが、それに比べまして我が国は誠に済みませんがお寒いような状況でございまして、そのことをどう確保していくかということが、これは非常に大きな課題だと思います。  それともう一つ地域公共交通といった場合に、先ほどの活性化法では自治体の中で協議会をつくりなさいということになっているんですけれども、あくまで我々の日常生活圏は自治体を越えて広がっておりますので、その自治体間の連携をどう担保するのかという仕組みが必要かなというふうに思います。そういうことができると交通権ということを言ってもいいんだろうというふうに思います。  移動権交通権というのは、私の理解する限りではほとんど差はないというふうに考えております。
  53. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ありがとうございました。  続いて土居参考人に伺いますが、土居参考人が列挙されている、問題点としておっしゃられたことは私もよく理解ができます。  ただ、この交通政策基本法土居参考人は反対ということでありますけれども、しかし、これはやっぱり法案としてはしっかり通した上で、課題課題として今後また改正なりをしていくという立場の方がいいのではないかと思うんですが、その辺のところについてもう少し詳しくお聞かせいただきたいと思いますけれども。
  54. 土居靖範

    参考人土居靖範君) 先生がおっしゃったように、フランスでは国内交通基本法自体はもう毎年のごとく改正改正で、本当にフレキシブルに改正されていますけれども、それ自体は現実の課題のところの、うまく調整していますから、基本的な線ではちゃんともう全然動いてはいないんですね。  現実の対応でそういう具体的な問題が出たときに対応されているので、私もそういう意味ではこの改正自体で乗り切るというのも一つは考えられるんですけれども、やはり日本自体が今後アジアのリーディングカントリーになるとしたら、やはりもう今後同じようにベトナムとかいわゆるそういうASEANの諸国なんかも物すごく交通問題で大きな問題が出てくるでしょうから、そのときやっぱり理念的にも日本はもう交通権を高らかにうたった交通基本法でちゃんと整備しているんだということを、やはりそういう意味のインパクトのあるような形で是非位置付けるべきではないかと考えています。  以上です。
  55. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ありがとうございました。  以上で終わります。
  56. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々にお礼を申し上げたいと思います。  参考人皆様方には朝早くから、また長時間にわたり御出席をいただき、有意義な御意見を述べていただきましたこと、誠にありがとうございます。感謝いたします。  交通というのは、我々の様々な生活の側面を支えていくという意味で、その社会システムの、大変重要な基本的な社会システム一つだろうと思います。ただ、その一方で、やはり地域におかれては地域構造、人口構造、産業構造、自然条件等々、様々な違いがありますので、これをそれぞれで担保して成功に導くというのは非常に難しいテーマだろうというふうに思います。  今後、皆様方の御意見をこの委員会審議の中で十分に活用してまいりたいと思います。  委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  それでは、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  57. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、井原巧君が委員辞任され、その補欠として島田三郎君が選任されました。     ─────────────
  58. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  交通政策基本法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、国土交通省総合政策局長西脇隆俊君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  60. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 交通政策基本法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  61. 太田房江

    太田房江君 自由民主党の太田房江でございます。  今日は当選後初めての質問の機会をいただきました。ありがとうございます。これまでは答弁側の経験しかございませんで、そういう意味でも本当の初質問でございますが、一応ぐるっと見回したところ紅一点でございますので、一応ですね、紅一点でございますので、どうぞよろしく、大臣を始めお願いを申し上げたいと存じます。  さて、今回の交通政策基本法案ですけれども、この法律案は我が国の総合交通体系を構築していく上でその基本的な視座となる諸点を与えるものでありまして、その意義は大変大きいと考えております。そしてまた、その基本理念として、豊かな国民生活地域活力向上、あるいは大規模災害への対応と並びまして、国際競争力向上ということが挙げられております。私は、この点を大いに評価させていただきたいと思っております。  私事で恐縮ですけれども、私は、実は旧通産省、現在の経済産業省で住宅産業課長というのを務めさせていただきました。その折に、旧建設省とも連携をいたしまして、低コストと言われる輸入住宅の導入促進という施策を行ったんですけれども、その際、住宅部材を運ぶ運賃、これはアメリカの西海岸から横浜港、横浜港から都内の建築現場ということですけれども、この二つの運賃が全く同額であると、ほぼ同額であるということが分かりまして、物づくりの競争力というのは、製造工程のみならず、物流の効率化というところに負うところが大きいということを痛感いたした次第でございます。  言うまでもないことですけれども、こういう道路、港湾、鉄道、空港というようなインフラは、産業競争力の強化に大きな役割を果たします。日本再生が待ったなしの状況になっている折に交通基本法案でこういう点をうたっていただいたということは大変大きな意義があるというふうに申し上げましたけれども、この基本法に沿った具体的な取組を早く始めるということが喫緊の課題になっているというふうに思います。  今日は、それに関連して、女性ではありますけれども多少男性的な質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず大臣にお伺いをさせていただきます。  大臣は、この法案の成立を受けて、今後、我が国産業国際競争力強化のためにどのような具体的な施策を進めていかれるおつもりでしょうか、お聞かせください。
  62. 太田昭宏

    ○国務大臣太田昭宏君) グローバル社会を生き抜いていく中で、今御指摘のありました我が国の産業競争力、また都市間競争を勝ち抜いていくということが極めて重要であり、国際交通ネットワークを形成することが必要不可欠だというふうに考えています。特に近年、アジア諸国の成長に比して、港湾にしても空港にしてもハブが逃げて後れを取っているということもあります。国際都市間の競争に勝ち抜くために、この法案によって産業インフラの整備をしっかりと位置付けて国際的なネットワークを強化していきたいと考えています。  具体的には、国際コンテナ戦略港湾において、水深十六メーター以上の大水深コンテナターミナルを二〇一六年度までに十二バース、現在三つしかありません、しかも全部横浜です。これを十二バース整備して、海外トランシップ貨物を韓国等から奪還する。首都圏空港、成田、羽田、二十六年度中の年間発着枠七十五万回化をし、それ以上の機能強化を目指す。あるいはまた、国際拠点港湾と日本各地の生産拠点を結ぶ国内物流網の形成促進などの施策実施したいというふうに思っています。  地方においても、空港が直接海外と結ぶということもでき、また港においても直接船が就航するという、観光にもということがありまして、全国を挙げてそうした形を国際的な観点で取っていかなくてはならない局面だと思っております。
  63. 太田房江

    太田房江君 ありがとうございます。  午前中の参考人質疑の際には地域公共交通、これについて大変多くの議論がございましたけれども、私は、総合的な交通体系の結節点として、あるいはグローバルな世界の中の日本交通体系という意味において、日本に複数のハブ機能を持った拠点を、インフラを造っていくことは大変に大事ですし、また、これらのインフラを有効に連携させていくという発想もこれから大きな課題になってくるというふうに考えております。どうぞこの点を交通政策基本計画の中にしっかりと位置付けていただけるようにお願いをしておきたいと存じます。  そして、具体的な施策一つとして、リニア中央新幹線の問題があろうかと思います。リニア中央新幹線は、皆様方御存じのように、東京―大阪間を僅か一時間七分で結ぶ、国民に大きな夢を抱かせる、まさに二十一世紀に入っての大変最大の大事業だと私は思っております。日本再興計画の象徴的プロジェクトともなり得るというものだと思っておりまして、二大都市圏をつなぐ複眼構造を通じて国土強靱化にも資するものであることは言うまでもございません。  また私事になって恐縮ですけれども、私は一九六四年、東海道新幹線が開業をいたしました年に、国鉄マンでございました父とともに広島県の呉市から愛知県豊橋市の方に移りました。そこで、偶然ですけれども、太田大臣と同じ高校を卒業することになったということでございますけれども、当時、東京オリンピックとこの新幹線というのは我が国の高度成長を支える二大プロジェクトであったと言っても過言ではないと思います。  一方、リニア中央新幹線の方ですけれども、こちらの方はJR東海さんが建設資金を全額自己負担されまして、東京―名古屋間を二〇二七年、そして名古屋―大阪間は実に十八年後、十八年後の二〇四五年に開業するとされておられますけれども、私は、日本再興を期して、アベノミクスを成功に導くためにも東京―大阪同時開業ということを実現すべきであると考えております。  リニア中央新幹線の大阪同時開業、これは名古屋までと分断するよりもずっと大きいと私は思うんですけれども、その効果や影響について、まず鉄道局長にお伺いをいたします。
  64. 瀧口敬二

    政府参考人(瀧口敬二君) リニア中央新幹線は、最速型で東京―名古屋を四十分、そしてまた、ただいま委員御指摘がございましたけれども、東京―大阪につきましては一時間強で結ぶというものでございます。  こういった三大都市圏の人の流れを劇的に変えるということ、そしてまた、東海道新幹線との二重系化により災害リスクへの備えにもなるということを考えますと、国民生活経済活動にも大きなインパクトをもたらす、御指摘のとおり重要なプロジェクトであるというふうに考えております。  大阪同時開業に関する効果や影響について、私どもの方で数値的に分析をしたというものは別にございませんが、言うまでもなく首都圏と中京圏がリニア中央新幹線で結ばれ、さらには関西圏まで延伸されるということにより、リニア中央新幹線の本来の機能が十分に発揮されるということになるだろうというふうに考えております。  委員御指摘のように、本事業につきましては、平成の十九年の十二月にJR東海が全額自己負担で整備をするという意向を示したところでございます。これを受けまして、私どもの交通政策審議会の中央新幹線小委員会を計二十回開催いたしまして、有識者の皆様に幅広く御議論いただいたところでございます。その結果、二十三年の五月に建設及び営業主体の指名、また整備計画の決定、建設の指示といった手続を行ったところでございます。  その中で、JR東海は、民間企業としての経営の自由や投資の自主性の確保が大原則であるという前提を示しておりまして、このJR東海の財務や現場の工事の見通しというものを踏まえまして、委員御指摘のように、東京―名古屋間につきましては二〇二七年を、また大阪までにつきましては二〇四五年をそれぞれ開業期間として設定をしております。  早期に開業すべきであるという御要望があることについては重々承知をいたしておりますが、建設主体でもありますJR東海の考え方もよく踏まえて対応していく必要があるというふうに考えているところでございます。
  65. 太田房江

    太田房江君 ただいま経済効果については具体的な言及はございませんでしたけれども、あるシンクタンクの試算によりますと、東京―大阪同時開業の場合は日本全国に及ぼす影響十六・八兆円、それに対して、東京―名古屋間でとどめた場合は十・七兆円ということで、この二つの間には約六兆円の大きな差がございます。  今、税調等を含めまして何とか日本の経済を元気にしたいという議論が続いているわけですけれども、アベノミクスというのは中長期の経済成長をより確かなものにするという成長戦略であると思います。国土の基軸となるリニア中央新幹線、これがこういう成長戦略の中で東京、大阪をつなぐのが二〇四五年ということでは、私は多くの国民期待に沿わないものになるのではないかと、こういうふうに思っております。  もちろん、リニア中央新幹線の建設には、おっしゃったように九兆三百億円という巨額の費用が掛かるわけでございますし、大阪同時開業を一民間企業であるJR東海だけに背負わせるのは大変難しいと、こういうふうに考えます。現在の新幹線と同時運用をいたしましても、財政面で大きなリスクを負うことはJR東海が自ら明言されておられるところでありまして、大阪同時開業を実現しようとすれば、このプロジェクトの在り方をいま一度検証すべきではないかと思料いたします。  すなわち、我が国の成長戦略に不可欠であるということ、それから国土強靱化と国の安全保障にとって極めて重要であるということに鑑みまして、リニア中央新幹線を国家プロジェクトとしてしっかり位置付け、国が何らかの支援を行ってはどうかと、このように考えるわけですが、鉄道局長のお考えをお伺いいたします。
  66. 瀧口敬二

    政府参考人(瀧口敬二君) リニア中央新幹線の整備につきましては、東京―大阪間を直結することで初めてそのリニア中央新幹線というものが持ちます機能が十分発揮されるというふうに考えておるところでございます。  一方で、本事業につきましては、JR東海が民間企業としての経営の自由や投資の自主性の確保が大原則であるという前提の下、全額自己負担で整備するという意向を示したことにより初めて動き出しました。そういった意向が示されましたので、私どもの先ほど申し上げた審議会で、整備計画であるとか、そういった具体的なステップを進める作業というものが進められてきたわけでございます。こういったような意向が示されたことを前提として、JR東海が建設主体、そしてまた営業主体として指名され、建設の指示というものが出されておりまして、現在アセスメントが進んでおると、こういったような状況でございます。  このJR東海自身が、現時点において、先ほど申し上げたような開業の目標年次を設定しているところでございます。したがいまして、現時点におきましては、早期に開業すべきという御意見があることについては十分承知しておりますが、まずJR東海が自分の負担でやるということでこのプロジェクトが始まったということを考えますと、JR東海の考え方というものを十分踏まえて対応していく必要があるというふうに考えております。
  67. 太田房江

    太田房江君 そういうお答えであろうということは想像できたわけでございますけれども、私は、この日本再興戦略ということの中で、本当にこの象徴的なプロジェクトというものが見当たらない中、しっかりとこれを国家プロジェクトとして位置付けるということは決して国土交通省にとっても、何というんでしょうか、マイナスにならない大変大事なことだと思っておりますので、どうかこれから関西経済界のみならず国民の声に耳を傾けていただいて、このプロジェクトの在り方についてお考えいただくようお願いを申し上げておきます。  鉄道の次は空港についてお伺いいたします。  関空についてでございますけれども、関西国際空港は御承知のように平成六年に開港いたしました。そして、十九年に第二滑走路が供用開始となりまして、来年で二十周年を迎えようとしております。この関西国際空港は、元々は国際ハブ空港として建設をするというコンセンサスの下に建設が始まったわけですけれども、今の時点でもこの国の基幹インフラとしての位置付けは変わっていないと、こういうふうに考えております。  この国際ハブ空港としての所期の役割を十全に発揮していくということのためにはより一層の機能強化が必要だと思っておりますけれども、このところ、これは港湾も同じでございますけれども、アジアの諸空港の躍進ぶりが大変著しい。そういう中で、成長するアジアのゲートウエーとして高いポテンシャルを要する関西のみならず、我が国全体の成長戦略にも大きく資するものとして、関西のハブ化を一層進めていただくことは東日本大震災の教訓に鑑みた国土強靱化にもかなうものであると、こういうふうに考えております。  私は平成十九年に第二滑走路を供用開始したときの大阪府知事でございましたけれども、第二滑走路によって空港の二十四時間化が実現されまして、その後の企業誘致等に大きな力をいただきました。  関空は、先ほども申し上げましたように、これからも重要性は変わらないと思いますけれども、残念ながら羽田と成田という首都圏空港と関空との国際空港としての力の差は年を追うごとに広がっていると言わざるを得ません。数字を何を挙げたらいいのかなと思ったんですけれども、例えば日本人出国者の空港別利用割合のシェアというのが少しずつ動いておりまして、関空は御承知のようにLCCの活動が大変活発なわけですけれども、それでも二〇〇六年二二%あったものが二〇一二年には二〇%、代わりに三%首都圏空港が伸びているわけで、首都圏空港の吸引力というのは大変大きなものがあるというふうに思っております。  首都圏一極集中では真の日本再生は果たせないというふうに考えておりますけれども、国としてこの関空の機能強化について現時点でどのように考えておられるのか、航空局長にお伺いをいたします。
  68. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) お答え申し上げます。  関西国際空港は完全二十四時間運用でございまして、関西の国際・国内ネットワークの拠点空港として機能しております。関西圏の経済、それから国民生活を支える重要な基盤施設であるというふうに考えております。  一方で、関空は、海上空港の特殊性ということで、その整備に要した非常に巨額の整備費というのがありまして、約一・二兆円もの負債を抱えております。その負債ゆえに、なかなか戦略的な経営、あるいは前向きの投資の実行というのが困難な状況になっておりました。このため、関西の国際拠点空港としての再生強化、それから関空、伊丹両空港の適切かつ有効な活用によりまして、関西の航空需要の拡大を目的といたしまして、昨年の七月に新関空会社の下で関空は伊丹空港と経営統合され、一体的に運用されているところでございます。  また、現在、関空はコンセッションの前段階でありまして、この実現に向けまして、LCCの拠点化、それから、いわゆるフルサービスキャリア、従来型の航空会社のネットワーク拡充等による旅客ネットワークの拡大、それから、貨物ハブ空港戦略など、全体としてその事業価値増大のための施策を積極的に進めているところでございます。  国交省としては、これらの取組により、関空の国際ハブ空港としての機能が再生強化されるということを強く期待しているところでございます。
  69. 太田房江

    太田房江君 ありがとうございます。  ただいま、コンセッションということへの言及がございました。このコンセッションというのは事業運営権の譲渡を意味しておりますけれども、国土交通省では、本年に入って、民間活力を有効に活用して様々な交通手段の効率化を図るということが積極的に行われておりまして、航空行政の分野でも民活空港運営法あるいは改正PFI法等が成立いたしております。  今後は、恐らくコンセッションのような民間活力を生かした空港運営へと大きくかじを切られる、これまで国が責任を持って空港を運営してきたところから、民間活力を大きく利用するという、活用するというところにかじを切られることになると思いますけれども、私は、そういう中にあっても国が一定の役割を果たしながら空港運営の効率化を目指していっていただきたいと、このように考えている者の一人です。そういう中で、関西国際空港はその先鞭を着けることになるわけですから、是非コンセッションを成功させていただきまして空港の機能強化実現していただきたいと、このように考えております。  恐縮でございますが、航空局長からいま一度その御決意、お考えをお聞かせいただければ幸いでございます。
  70. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) お答えいたします。  先生ただいま御指摘のとおり、関空それから伊丹のコンセッションというのは、民間活力の活用の拡大ということで日本再興戦略にも位置付けられた重要な施策でございます。現在、関空、伊丹、先ほど申し上げましたように、コンセッションの前段階にあるわけでございますけれども、新関空会社は両空港の事業価値の拡大、増大を図りまして、できる限り速やかに、早ければ平成二十六年度中にもコンセッションを実現することを目指しているところでございます。  コンセッションが実現すれば、民間の柔軟な経営判断や創意工夫がより一層発揮され、関空の国際拠点空港としての再生強化、それから債務の円滑な償還が期待されるところでございます。したがいまして、国交省といたしましても、関空のコンセッションの成功に向けまして、新関空会社の経営判断を最大限尊重しつつ、その早期かつ円滑な実現のために可能な限り支援、協力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  71. 太田房江

    太田房江君 ありがとうございます。  実は港湾についてもお伺いしようと思っておったんですけれども、時間がなくなってまいりましたのでお願いだけ申し上げたいと思います。  国際コンテナ戦略港湾政策ということの加速については、その必要性は十分御理解いただいていると思います。これも、アジアの主要港湾とコンテナ取扱貨物量がどんどん差ができている、こういうことの中で日本産業は立ち直っていかなくてはならないと、こういう時点でございます。大臣の所信的御挨拶の中では選択と集中ということがはっきり述べられておりますが、この国際コンテナ戦略港湾政策こそ、この選択と集中ということが最も求められている分野ではないかというふうに思います。しっかりとその原則を堅持しながら、大型船対応といったハード面、それからコスト削減といったソフト面で様々な対策を早急に講じていただきたいと、こう考えております。  そして、一つ大臣のふるさとでもいらっしゃいます三河港の整備、これは、今申し上げた港湾のランクはもう少し下がりますけれども、それでも、完成自動車の国際海上輸送のハブ港として大変大きな期待が掛かっております。この関係で国交省にお願いを申し上げておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  インフラシステムの世界展開について、一つだけお伺いをしておきたいと思います。  成長戦略の中にも大きく登場いたしましたこのインフラ輸出、日本には交通システムにも世界に誇る、あるいは国際競争力が十分にあるシステム技術がたくさんございます。例えば従来型の新幹線、これは数百キロの路線をほぼ定刻どおりに運行して、開業後半世紀にわたって死亡事故が発生しておりません。また、大都市圏の都市交通、これは世界に例を見ないほどの大量輸送を数分間隔で日々実施しているオペレーションシステムでありますが、これも世界に類を見ないシステム技術であると思います。こういうような高い技術を持つ交通インフラシステムとして世界に展開していくということは、我が国の産業の発信力を強めるという意味からも大変重要だと思っておりますし、安倍総理自らがそのことをトップセールスで展開しておられるのは御承知のとおりでございます。  こうした交通インフラの海外輸出について、今後、どのように取り組まれていかれるおつもりか、国際統括官にお伺いをしたいと思います。
  72. 稲葉一雄

    政府参考人(稲葉一雄君) お答え申し上げます。  今後の交通インフラ海外輸出への取組についてお尋ねがございました。  先生御指摘のとおり、インフラシステム輸出の推進は日本再興戦略にも掲げられております政府の大変重要な政策一つであります。国土交通省としても、従来に引き続き、交通インフラシステムの輸出推進に取り組んでまいりたいと考えております。  具体的には、まず第一に、ハードとソフトが一体となって高い機能を発揮するシステム委員も御指摘のありました日本の強みをトップセールス等の機会に積極的にアピールしてまいりたいと考えております。第二に、相手国が本当に必要とするものを提供する。これが重要でありますけれども、そのために相手国の経済、社会等の実情や相手国のニーズに即した提案を行うと、このようにして受注につなげていきたいと考えております。第三に、日本技術規格の国際標準化、あるいは事業リスクを軽減するための方策を講ずる。このような方法によって現地に進出しようとする日本の企業を支援する、このような措置を講じてまいりたいと考えております。  以上申し上げましたような取組を積極的に推進することによって、交通インフラシステムの海外輸出を支援してまいりたい、このように考えてございます。
  73. 太田房江

    太田房江君 ありがとうございます。  ただいま規格の標準化の問題について言及がございました。こういうインフラ輸出の場合にも、例えば日本と米国との間には技術基準の大きな違いがございます。トップセールスも進めていただく一方で、こうした環境整備、技術基準の面でのグローバルスタンダードの設定というようなことについても適切に対応をしていただければ幸いでございます。  最後に、JR北海道への支援についてお願いを申し上げておきたいと存じます。  JR北海道に対しましては、現在、国土交通省によります無期限の特別監査が実施されております。そういう中ではございますけれども、JR北海道の老朽設備の更新は、北海道のみならず、鉄道に対する国民の信頼、安全、安心を取り戻すために待ったなしの状況となっております。  先日の国土交通委員会で江島委員から提案をされました、木の枕木からPC枕木への交換、それから旧国鉄時代からの気動車の更新、これらに必要な合計約四百億円の財政支援、これを私からも強くお願いを申し上げたいと存じます。遅くなればなるほど費用がかさみますので、どうかこの面について御配慮を賜りますよう私からも強くお願いを申し上げて、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  74. 広田一

    ○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。  交通政策基本法、この本法案につきまして我々は賛成でございます。  民主党は、二〇〇一年以来、交通政策に関しまして、陸海空、これは個別対応ではなくて、骨格となる枠組みをしっかりとつくった上で、基本計画に基づきまして総合的、計画的に推進をすること、このことを一貫して主張してまいりました。よって、本来でございましたら、民主党政権時代において成立を図るべきでございましたけれども、諸々の事情で実現かなわず、じくじたる思いでいっぱいであります。  政権交代後、今回提出をされました交通政策基本法案は、人材確保であるとか保安の観点などにつきまして明確でないところがございますけれども、民主党、社民党が提出をさせてもらっておりました交通基本法の内容を相当程度網羅したものというふうに評価をするところでございます。  よって、私が座長を務めさせてもらっております民主党の国土交通部門会議におきましては、これまで、交通政策基本法を民主党が作る際、いろんな面で御支援を賜った団体の皆さんや関係者の皆さんと慎重な協議をした結果、そして本日御出席でございますけれども、吉田忠智社民党党首にも御相談をした上で、自分たちの案を取り下げても、この交通政策基本法案を一日も早く成立をさせること、これが我が国の交通政策におきましては大きな初めの一歩であるというふうに認識をしているところでございます。  衆議院におきましてはだんだん秘密保護法案の関係で波高しになってきまして、視界も不良になりつつありますので、一日も早い成立を図っていかなければならない、このように思うところでございます。  こういった経緯を踏まえて、本日は何点か確認の意味で御質問をさせていただきます。  まず第十一条関係でございますけれども、この第十一条は、国民の皆さんに対して、交通政策基本理念実現に向けて、国民の果たすべき役割などについて規定をしている項目でございます。これは例えば、地域公共交通の利用促進であるとかエコドライブの推進など、国民の皆さんの協力なくしては何ともならない重い課題があります。  その一方で、例えば、地域公共交通における利用者視点というものは非常に重要、大事でございますけれども、そのとらえ方は難しゅうございます。といいますのも、アンケート調査を見ますと、公共交通について必要ですかというふうに問われれば、多くの皆さんが、利用者の皆さんが必要だというふうにお答えをします。しかしながら、実際のその利用状況とはかなり懸け離れている結果が出ております。つまり、回答結果と行動が不一致であります。  私自身も胸に手を当てて考えてみますと、地元に戻って挨拶回りをするとき、公共交通を使っている割合より車で移動している割合の方がはるかに多いと思います。先ほど藤本委員長に聞きましたら、自分は公共交通の方をはるかに使っているということでございますので、見習わなくちゃいけないなというふうにも思いました。  一方で、実際、地域公共交通を守るために補助金を出しております県や市町村の職員の皆さん、実は、五二〇運動というふうに、五日と二十日は公共交通を使って通勤しようという運動がありますけれども、こういった運動を逆にしなければならないほど利用が少ないという実態もございます。こういったことを考えれば、誤解を恐れずに申し上げれば、公共交通はあればいい、あることにこしたことはないけれども、それと利用をするのは別問題だというのが利用者の今の強い感覚ではないかなというふうに思うところでございます。  実際、みんなの党の藤巻委員観光大使を務めていただいております我が高知県でございますけれども、車社会の進展とか人口減少の問題等あるわけでございますが、いわゆる公共交通の利用者減といったものに歯止めが掛からない状態が続いております。例えば、第三セクターの鉄道について申し上げれば、平成元年、平成二十三年と比較をすると、マイナスの四三%であります。路面電車はマイナスの一八%。そして、乗り合いバスは何とマイナスの五〇%になっております。公共交通の担い手でございます事業者の皆さん、もうこれ以上自分たちで担っていくのには限界が来ているというのが正直なところであり、このことはほかの県も、濃淡はあろうかというふうに思いますけれども、同じ傾向ではないでしょうか。  こういったことを考えたときに、まず政府の方にお伺いしたいのは、国としてこういった利用者の視点といったものを現時点でどのようにとらえて、本法律が成立をする機会にどう生かしていき、その上で国として国民の皆さんの積極的な役割をどう促していくのか、この点の基本的な点についてまずお伺いしたいと思います。
  75. 高木毅

    ○副大臣(高木毅君) 委員御指摘のとおり、人口減少だとかあるいは地域間格差等があって、なかなか地域公共交通機関、残したいんだけれども維持しにくいというような状況があるわけでございます。しかし、そうはいうものの、それぞれの関係者がそれぞれの立場でしっかりと取り組んでいって何とか残していくということも大変大切なことだというふうに思っているところでございます。  地方公共団体におきましては、コンパクトな拠点とこれを結ぶネットワークを高度に進化させるためのまちづくりを進める、あるいはまた、公共交通事業者公共交通サービス向上を図り、そしてその公共交通機関をしっかりと国民が利用する、そういう取組、そういったものをやって初めて、先ほど申し上げたとおり、公共交通機関維持確保が図られるということであるというふうに考えております。  この法案におきましては、こういった観点から、自ら取り組むことができる活動、それぞれの先ほど申し上げた事業者だとかあるいは地方公共団体、そういったところが主体的に取り組むわけでありますけれども、国民の役割というものもしっかりと十一条で規定しているというところでありまして、国土交通省といたしましても、しっかりとそれらにこたえて、公共交通の利用促進活動に積極的に取り組んでいくということだというふうに考えております。
  76. 広田一

    ○広田一君 どうもありがとうございます。  いまいちちょっと腹に入らないところもありますけれども、是非とも、国民の皆さんの役割、更に高めていくように国としての取組を是非ともお願いをしたいと思います。  次に、地域公共交通についてお伺いをしたいと思います。  国は、これまでも地域公共交通に対しましては、例えば地域公共交通活性化・再生法などに基づいて、地域公共交通確保維持改善事業などを実施をしてきたところでございます。まずお聞きしたいのは、今後ともこの政策の充実強化を図っていくのかどうかということ。  一方で、これまでの取組につきましては、特に中山間地域とか過疎地域において非常に不可欠な取組であり、また評価もされているというふうに考えます。ただ、残念ながら、その延長線では、これは延命策を続けるだけで、結果として事業者側は疲弊をし、地方自治体負担の増加が続くという実情でございます。  そこで、本法案の成立を契機にいたしまして、今の地域公共交通活性化・再生法の改正も含めて、公共交通維持発展のために新たな支援策を検討する考えがあるのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  77. 高木毅

    ○副大臣(高木毅君) 地域公共交通は過疎化等を背景として利用者の減少が進んで交通事業者が厳しい経営を余儀なくされていると、これはもう御指摘のとおりでございます。  交通政策基本法におきましては、第十六条に、国は国民が日常生活等を営むに当たっての必要不可欠な交通手段の確保等の必要な施策を講ずる旨が規定されておりまして、これらを踏まえて地域公共交通に対する支援策の充実に努めてまいりたいと考えております。  いわゆる延命策ではないかという話もございましたけれども、必ずしもそうでもないかと思いますが、これまで地域公共交通確保維持改善事業によりまして、一定の地方バス路線の維持等に関しまして運行費の欠損の二分の一を補助するなどの財政的支援を行ってきたところであります。  ただ、今御指摘のとおり、それまでではなくて財政的な支援策、更にやるべきだというようなことで、より多くの方々に実際にバス鉄道に乗っていただくことも重要であって、こうした観点から、利便性の向上だとか、あるいは利用促進を図っていくということも必要だと考えております。例えば、LRT、BRTの整備だとか、あるいはICカードの導入など、利便性を向上させるための取組に対して支援を行っているほか、今年度から地域の総合交通マップ、時刻表の作成や乗り継ぎ案内情報提供システムの開発、提供など、地域ぐるみでの利用促進の取組についての支援も行っているところでございまして、今後とも、地域公共交通重要性というものをしっかり認識しつつ、地域の実情に応じて国交省といたしましては各種の支援に着実に取り組んでまいりたいと、そのように考えているところでございます。
  78. 広田一

    ○広田一君 今後ともソフト事業等々も含めて更に充実強化を図っていただきたいというふうに思います。  一点、これは質問通告はしてはいないんですけれども、本日午前中の参考人質疑石田参考人が述べておりました、いわゆる交通まちづくりというふうなことにつきまして、これからは地域まちづくり地域公共交通、これは非常に密接な関係があって、そういったトータルな視点でこれからの公共交通といったものの在り方を見直していくべきじゃないか、そういうふうな趣旨のお話があったわけでございますけれども、これらの観点についてもし御所見がございましたらお伺いをしたいと思います。
  79. 太田昭宏

    ○国務大臣太田昭宏君) これまでの交通バスでいいますと、この五年間で八千キロなくなったというような深刻な事態である上に、更に人口減少が進み高齢化が進んでくると。そこを今、高木副大臣申し上げました、改善事業ということで応援をするというようなことだけではなかなか持ちこたえられない。  一方、まちづくりということからいきますと、今までは中心市街地活性化法とか駅前をどうするか、商店街どうするかと、こういうことだったんですが、結局、まちづくり全体を、何々市はどういう交通体系をし、どういうまちづくりをし、どこに高齢者の住宅等を配置しながら移動していくか、歩いて暮らせるようにするにはどうしたらいいか、あるいはバスをどうするかという、総合的なそうしたまちづくりが大事だというところにこの交通政策基本法のもう一つ大事な側面があるんだというふうに私は思っております。  そういう意味では、まちづくりをどうするかということと一体で、その中で交通をどうするか、その交通の中で鉄路をどうする、バスをどうする、そうしたことを位置付けていくという、そういう意味では、これからまちづくりとも相まって、この交通政策基本法がむしろそういうことのまちづくりの触媒となって展開するというような趣旨をこの法律は成し遂げることができるものだと私は思っておりまして、具体的に各市においてどう展開できるかということの知恵の提供ということも含めて、制度の改正も含めてやっていかなくてはならないと思っているところでございます。
  80. 広田一

    ○広田一君 今ほど大臣の方から地域公共交通まちづくり、その関連性についてのお話があったところでございますけれども、これに関連しまして、この地域公共交通というものを考えるときに、先ほど来議論してきましたように、過疎地域や中山間地域公共交通をいかに維持していくのかというふうな問題も大事ではございますけれども、それと並んで重要なことが、先ほど言いましたように、これからのまちづくりとどのように絡めていくのかということだと思います。  こういった観点で、ちょっと自分も高知市のことを思い返しながら質問させていただきたいというふうに思っているんですけれども、今後はやはり県庁所在地の周辺地域、つまり中央地域公共交通の再編、再構築といったものが非常に重要であり、これは積極的に取り組んでいく課題ではないかなというふうに思います。これがうまくいけば、持続可能な自立した交通体系というものが私はできるんじゃないかなというふうに思っております。  しかし、残念ながら現状は、例えば別々のバス会社が同じようなルートを走ってしまっている、お客さんは減っているけど、そのような状況であります。そういう中で出る赤字といったものをどう補填するかと申し上げると、空港までの連絡バス、この黒字で何とか穴埋め等々もしながら維持をしているというふうな現状もあるわけでございます。  そういうことを考えますと、町の中に走っております鉄道といったものを基軸にしながら、その枝葉に当たるバス事業といったものの一元化再編という取組を、今、高知のみならずほかの地域でも取り組んでいるところだというふうに思いますけれども、この点についてやはり推進するような、インセンティブが働くような、そういった支援策を国として検討すべきだというふうに思いますけれども、御所見をお伺いをいたします。
  81. 高木毅

    ○副大臣(高木毅君) 先ほど来議論のとおり、もう全国どこでも、例えば多少人の多い県庁所在地等においても、なかなか公共交通機関維持するのは難しいという御指摘でございます。それぞれがいろんな工夫をしてやっていただいているわけでありますけれども、是非インセンティブを与えるような形でやれないかというようなお話でございます。  大事なことは、先ほどの話のとおり、地方公共団体だとかあるいは事業者だとかしっかりと、まあ知恵を出し合いといってもなかなかこれは大変なことでありますけれども、整合性を持ってやっていくということではないかなというふうに思います。  官民の連携によりまして地域交通網再編等に係る交通計画の策定と合意形成を促進するための措置だとか、あるいは関係法令の特例など計画実現力を高めるための措置を打つ、あるいは安全かつ効率的な輸送サービス確保するための措置による地域の主体的な取組を支援するための新たな枠組みの構築などを国交省として今検討しているところでございまして、こういった先ほど委員御指摘のようなことがスムーズにいけるように、何とかインセンティブを与えるような形でやっていきたい、やっていかなきゃならないというのが我が省の考え方だというふうに考えております。
  82. 広田一

    ○広田一君 是非ともよろしくお願いを申し上げます。  次に、第二十条、二十二条に関連をしてお伺いをしたいと思います。  二十条は交通の経済的な側面の重要性を強調する規定でありまして、第二十二条は東日本大震災の発生と教訓、そして今後想定されます首都直下型地震や南海トラフ巨大地震への備えを強調した規定になっているところでございます。  特に、あの東日本大震災の教訓として、あのとき自衛隊が僅か八日間余りで十万人体制をしくことができた、その理由は大きく二つありまして、一つは、二〇〇八年にみちのくアラート二〇〇八ということで、今回のような大規模大震災というものを想定をした訓練を既に行っていたということであります。そして、もう一つは、高速道路が生きていたこと、使えたこと、そしてくしの歯作戦を実行することができたというのが大変大きかったというふうに思うところでございます。  よって、民主党政権のときにはコンクリートから人へというふうに言われましたけれども、特に前田大臣のときにはいわゆるミッシングリンクの解消に向けて積極的に取り組んできたところでございます。加えて、前の自公政権のときにはいわゆる地域高規格道路といったものはミッシングリンクには含まれておりませんでしたけれども、民主党の政権のときにこれを含めるようにしたところであります。  是非とも現政権におきましても、同様にミッシングリンクの解消をより一層進めるように期待をしたいところでございますが、先般、わざわざ高知にも来ていただき、高知の実情もよく御承知の太田大臣全国には同じようなミッシングリンクの地域がございますので、これらも踏まえた取組について御所見がございましたら、お伺いしたいと思います。
  83. 太田昭宏

    ○国務大臣太田昭宏君) ミッシングリンクの解消というのは、災害ということからいきましても、リダンダンシーという観点からも、ここの道路が通じていればという要請は非常に強いです。経済活性化ということでも強いです。人間は意気が少し上がらないと、元気にならないとということになりますと、あちらもこちらも通っているのに自分のところだけがいつまでもという地域があります。いろんな意味でこのミッシングリンクの解消というのは、東日本大震災以来、ますます重要になったというふうに思っています。  高知を始めとする四国ではまず八の字で、ミッシングリンク解消して八の字でしっかり回るようにということを伺っているところでありますけれども、極力努力をしたいということをお答えしているところでございます。
  84. 田城郁

    田城郁君 こんにちは。民主党・新緑風会の田城郁です。  本日は、交通政策基本法について質問させていただきます。  民主党は、一九九七年ごろより、社民党の皆さんとともに国民移動する権利を確立すること等を目的に交通基本法を検討し始め、二〇〇三年の法案提出以後は成立に向けて頑張ってまいりました。途中、紆余曲折ありましたが、本日、防災・減災の視点を入れて、交通政策基本法という格好として成立の見込みとなりました。移動権の確立には至りませんでしたが、難産であっただけに喜びもひとしおであります。  移動権については、平成二十三年二月の交通基本法検討小委員会の報告書において、賛否両論ありましたが、内容等が不明確である中で、権利を、法制論、行政論、社会実態論等から様々な問題があるという委員意見、これまでのパブリックコメントやアンケートを総合すると、それを規定することは時期尚早であるとされました。  一方で、交通政策基本法案においては、第十五条第五項で、交通政策基本計画の案の策定に当たっては、あらかじめ国民意見を求めることとなっております。また、第三十一条では、国民等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとあります。そこで、そうした場で改めて移動権を求める意見が多く出てきた場合には、新たに移動権議論、検討する場を設定していただけるものだというふうに大いに期待もしているところでございます。  将来に向けては、老若男女、障害をお持ちの方もそうでない方も、地方に住もうが都市部に住もうが、必要に応じて人が移動し、そして物が輸送できる、そういう社会を確立するべきであるというふうに私は考えております。もちろん、国、事業者あるいは利用者、それぞれの権利と負担の問題などしっかりと考え合わせながら、移動権というものの確立ということに向けてまた頑張っていきたいと、そのように思っております。  質問に入ります。  地方の足と観光立国のための地方鉄道あるいはバス路線の維持の必要性ということについて質問をさせていただきます。  今年は、外国人観光客が既に八百万人を超えた、一千万人に到達しそうな状況であると、そのようにお聞きをしております。次の目標は二千万人の高みを目指す、最終目標は三千万人だと。そういうふうになれば、いつも主張しておりますけれども、リピーターをどう獲得していくのかという話になります。陸海空の交通手段をしっかりと整備をして、受入れ体制、移動体制を確立しておかなければならないと考えます。  そこで、地方鉄道バスの役割についてですが、沿線住民の生活の足を確保するということはもとより、風光明媚な日本の原風景を楽しんでいただくとともに、デザイン次第で、いつも藤巻先生御主張しております、デザイン次第でバス鉄道車両そのものが貴重な観光資源にもなると。そういうことも含めて、外国人観光客も含め、多くの観光客を誘致するための潜在性を秘めていると私は考えております。  また、本法案第十六条において日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保等が、第二十六条においては観光旅客の円滑な往来に必要な交通手段の提供など、観光立国の実現観点からの施策の推進が国の施策としてそれぞれ定められているということを踏まえますと、高齢化する地方の人々の生活基盤を確保するとともに、外国人観光客を呼び込むという観点から、地方公共交通、とりわけ地方鉄道バス確保維持、改善の推進を図っていただきたいと、そのように思いますが、いかがお考えでしょうか。太田大臣でしょうか、観光庁長官でしょうか。
  85. 久保成人

    政府参考人(久保成人君) 先生がお話しのとおり、本年、史上初めて訪日外国人旅行者数一千万人を達成して、さらに二千万人の高みを目指すというためには、外国人の旅行者の方々が快適、円滑に日本の国内を旅行して日本の魅力を満喫してもらうということは極めて重要です。そのためには、鉄道バスなど交通機関の良好なサービス確保して、その利便性や満足度を高めていくことが重要な課題だと私どもも認識しています。  このため、関係閣僚会議で決定された観光立国実現に向けたアクションプログラムにおきましても、鉄道バスなど交通機関による快適、円滑な移動のための環境整備を図るという形になっておりまして、私どもも鉄道局や自動車局と連携して関係事業者の方々との意見交換等を行っているところであります。既に関係事業者におかれましても、外国人旅行者向けの企画乗車券を作っていただいたり、外国語のパンフレットを作成いただいたり、あるいは御指摘のとおり魅力ある鉄道車両の導入などに取り組んでいただいております。  観光庁といたしましても、外国人旅行者の方に日本の魅力ある鉄道に乗ること自体をも一つ観光体験、観光資源としてとらえていただいて、鉄道バスに乗って我が国の風光明媚な景色を多くの方に楽しんでもらえるよう、外国人への情報発信等を積極的に今も取り組んでおるところでありますし、今後も強化していきたいというふうに考えております。  以上です。
  86. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  もちろん、地方の足を確保するという意味では、航空関係も含めた赤字路線をぶつぶつぶつぶつとすぐに切ってしまうというようなことでは、来るべき三千万人が押し寄せたときの日本列島をどういうふうに移動してもらうんだという絵が描けないと思うんですね。ですから、長期的な視点に立って、陸海空の地方交通というものをどう維持発展させていくのかということで、是非知恵を絞りながら進めていきたいと、そのように思いますので、よろしくお願いをいたします。  次に、物流の効率化における事業者、利用者の意見の吸い上げの必要性ということについてお尋ねをいたします。  全国には、あともう少し投資を拡大するだけで物流の効率化が大幅に促進され、莫大な投資効果が得られるような地域が、あるいは交通、物流施設などが各地に存在をしていると思われます。  例えば、お手元の、これは大井埠頭の写真ですけれども、資料を御覧になっていただきたいと思います。これは大井埠頭、東京国際コンテナターミナルというのが黄色い枠で囲ったところであります。失礼しました、東京コンテナターミナルは青い枠ですね。JR貨物の東京貨物ターミナルが黄色い枠で囲ってあるところです。赤い線で示した道路が荷積みを待つトラックで常に慢性渋滞に悩まされているという部分であります。渋滞によりましてトラックの労働者の疲労度も増して、その後の安全運転にも影響しかねない状況であります。また、歩合制のために、待ち時間の増加に伴って、時給はコンビニのアルバイト並みかそれ以下になってしまうというような現状もあるわけです。午前中に石田先生の御意見でも、渋滞による経済損失は日本全体で九兆円を超えると、そのような試算を報告をされておりました。  そこで、このボトルネックの解消そしてモーダルシフトの推進のために、この二枚目の写真を見ていただければと思いますが、黄緑色の点線で示したところが、これが新たにJR貨物の線路を引いてコンテナターミナルの中まで引込線を引くと、こういうことをすることで、国際コンテナターミナルの敷地に新たに鉄道貨物の引上げ線を敷設して、トラックの積込みのほかにも貨物列車にもコンテナを直接積み込めるように整備をして、ボトルネックを解消することによって渋滞の解消とトラック運転手の労働環境の緩和につながるというふうに考えるわけです。平均七、八時間、トラックはここでずっと待機をしているということであります。平均です。全国にはこのような箇所が結構あるのではないかと思われます。予約制ということで、今、横浜港の辺りでは試験をしているということは、国交省が試験をしているということは存じ上げておりますけれども、まだこの大井埠頭は手が入っていないという中で、そのほかにも首都直下や南海、東南海のトラフ大地震等を考え合わせると、もし万が一、太平洋側が大災害を受けたという場合には、日本海側の港湾とJRやトラックあるいは臨海部の鉄道などを新たに敷設するなりして施設の整備や連携強化をしておくということも必要ではないかと、そのようにも思っております。  交通政策基本計画の案の策定に当たって国民意見を求めるとありますが、こうした箇所を指摘する事業者や利用者の意見を大いに吸い上げて集約をし、事業実施に向けて取り組むことが重要であると考えますが、いかがお考えでしょうか。国交省のどなたでしたか、よろしくお願いします。
  87. 土井亨

    大臣政務官(土井亨君) ただいま事例を挙げていただいて御紹介をいただきました。  御指摘のとおり、物流分野におきましても、事業者や利用者からの意見を聴取することが現場を知る、現実を知るということで大変重要なことだと思っております。これまでも例えば地方運輸局、地方整備局など国の出先機関、地方自治体、経済団体、荷主、物流事業者などの関係者で国際・国内物流の一体的効率化策を検討する国際物流戦略チームを設置をいたしまして、地域の実情を踏まえた施策の推進を図ってきたところでもございます。  今後とも、こうした地域ごとの検討の場なども活用しながら、地域の様々な関係者意見を吸い上げて施策にしっかりと生かしてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  88. 田城郁

    田城郁君 是非、太平洋側だけでなく日本海側の強化ということが、全体として日本全体をもしものことがあっても力強く復興できる、その鍵になるというふうに私は思っておりますので、是非よろしくお願いをいたします。  次に、交通政策基本法と被災鉄道の復旧支援ということについてお尋ねをいたします。  交通政策基本法案が定められることによって、国が交通に関する諸施策を講ずることが法的に義務付けられることになります。  具体的には、国民が日常生活及び社会生活を営むに当たって必要不可欠な通勤、通学、通院、障害者やお年寄りの方々、いわゆる交通弱者への対応又は物の移動を円滑に行うことができるようにするため、離島に係る交通事情その他地域における自然的、経済的、社会条件に配慮しつつ、交通手段の確保その他必要な施策を講じなければならないこととなります。  こうしたことを考えると、本法案成立後は、国は山田線を始めとした被災三線の復旧について責任を有することになるのではないかというふうにも考えますが、本法案成立と被災三線の復旧支援との関係について太田国交大臣にお伺いをいたします。
  89. 太田昭宏

    ○国務大臣太田昭宏君) 三陸沿岸の鉄道の復旧は極めて大事で、被災地に行きますと、復興を実感するという年にしてもらいたいということを盛んに言われました。決意ではなくて実感ができると。  今年の四月に南三陸鉄道が復興しました。旗を振って大勢の人が大変な喜びを示していて、「あまちゃん」にもあるとおり、鉄道というのはちょっと普通の復興の力以上のものがあるんだなということを実感しました。  山田線については、ずっと議論をしているところですが、基本的に鉄道事業者と地元との議論が、合意を形成するということが極めて大事で、復興ということと相まって、そこで予算組みができるという形になろうというふうに思います。山田線は、六回、復興調整会議を開催をしまして、七十億、百四十億というお金の試算提示もされているというところで、私の認識では、今鋭意その復興に向けて調整が続けられていると、こういうふうに認識をしています。  大船渡線及び気仙沼線につきましては、私も行きましたが、BRTが運行されていて、これは大変いいことであるわけですが、復興調整会議で同じく鉄道復旧についても議論が進められているというふうに思っています。ルートについてJR東から提示された変更案も含めて関係者間において検討が進められているというふうに思います。  今後もこの復興調整会議等の場を活用し、引き続き関係者間の合意形成が円滑に図られるよう私どもとしましても努力をしてまいりたいと、このように思っております。
  90. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  私は、BRTそのものを否定するつもりは全くありません。専用軌道であれば定時性もしっかりと確保できますし、そういう意味では非常に有用な交通手段だと思っております。しかし、なかなか全部が専用軌道とはいうふうにはならない中で、どうしても渋滞に巻き込まれる中で定時性が失われる、そういう問題も現時点ではあると思います。  と同時に、やはり私は、被災、発災後一週間で東北各地を回ってまいりましたけれども、一番訴えられたのは、鉄道というのはたどりたどると東京につながっているんだと。それが何よりの心の支えなんだと。このまま流されたままでは何も心に力が入らないと。復興の私は力強さを取り戻すその源が、鉄道としての復旧ということが次のエネルギーにつながるというふうにも思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  次に、JR三島会社支援についてであります。  私のところには、JR三島会社についても、厳しい経営環境に対して、経営基盤強化のため、自助努力は大前提としながらも、国による更なる支援を求める意見も多く寄せられております。交通政策基本計画の策定に当たっては国民意見を求めることとなっておりますし、また、第三十一条では、国民等の意見を反映させるために必要な措置を講じるとありますが、こうした意見が国に対して出されれば、JR三島会社の経営基盤強化のための更なる支援については国は具体的支援について対応する用意があるのでしょうか、国交省にお伺いいたします。
  91. 土井亨

    大臣政務官(土井亨君) 御指摘いただきましたJR三島会社につきましては、分割・民営化当時から厳しい経営状況が予想されていたために、その当時、国鉄改革時に経営安定基金を設置をいたしまして、基金の運用益で営業損失を補うことといたしているところでございます。  一方、低金利によりまして経営安定基金の運用益が長期に減少していることから、平成二十三年度にJR北海道及びJR四国に対して実質的な経営安定基金の積み増しを行っております。  以上のように、脆弱な経営基盤に対する支援については必要な措置を講じているところでございますが、これとは別に、JR北海道、JR四国及びJR九州に対して平成二十三年度から、老朽化した車両、設備の更新を着実に進めるための設備投資への支援を行っているところでもございます。また、JR三島会社の鉄道路線ネットワークを維持しつつ早期の民営化に向けた経営基盤の確立を図るため、平成二十四年度税制改正におきまして、承継特例、三島特例を五年間延長したところでもございます。  JR三島会社に対しましてはこのような支援措置を講じているところでございますが、これらを有効に活用しながら経営自立に向けた着実に推進していくよう引き続き指導してまいるところでございます。
  92. 田城郁

    田城郁君 私は、非常に短い間でしたが、国鉄も経験をしておりまして、国鉄改革当時は一時帰休ということで余剰人員対策ということにも応じさせていただいて、そういうところで国鉄改革の微力ながら一翼を担ったという自負も持っております。  当時、いろいろ労使問題も取りざたをされましたが、基本的には構造欠損というものが、構造的に赤字を出し続ける、そういうような経営体質になってしまったという中で起きた問題だというふうに思っております。JRの本州三社については、その構造上の問題が民営化によって見事に克服をされているというふうに思いますが、基本的に、やはり三島そして貨物というところは構造的な赤字体質というものがあると思います。  ですから、戻りますけれども、JR東が黒字を上げている中で、なかなか、流された鉄道というところを、もちろんまちづくりとということで進めるということではありますが、一度構造欠損に陥ると、来年投資をしてすぐに赤字から黒字に転換するということが鉄道会社の場合難しいという中で、一歩踏み込めないという状況も恐らく経営陣の方々は持っていらっしゃると思うんですね。ですから、そういうことも含めて、先ほどの被災線三線への是非国の支援ということも、そしてJR三島会社あるいは貨物への支援についても是非よろしくお願いをしたいと思いますし、もちろんそのためには自助努力、あるいは克服せねばならないことは克服するという、そういうことが大前提でありますが、是非、その点、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、交通従事者確保のための支援の必要性ということについてお尋ねをいたします。  本法案第二十一条では、運輸事業の安定的な運営が交通機能の確保及び向上に資するものであることに鑑み、その健全な発展を図るため、事業基盤の強化、人材の育成その他必要な措置を講ずるものとするとあります。現在、例えばバスの運転手にしても、大型二種免許保有者の高齢化によって運転者不足が問題となってきておりますし、タクシー業界等も含めて、日本交通関係の従事者は全体として高齢化をしておりまして、このままでは利用者や設備があっても人手不足で交通事業を断念せざるを得ないということにもつながりかねない状況にあると思います。  人材の育成ということも当然大事なんですけれども、人材の確保ということについても大事ではないかというふうに考えております。交通従事者の確保は、国民交通に対する基本的な需要を充足するという交通政策基本法の最も重要な基本理念直結するものでありまして、国は交通従事者の確保についてどのようにお考えなのでしょうか、国交省にお尋ねをいたします。
  93. 土井亨

    大臣政務官(土井亨君) 御指摘いただきましたように、地域公共交通をめぐる環境が大変厳しさを増している中で、人材の不足や高齢化が深刻化しているというものと認識をいたしております。  例えばバス事業におきましては、バス事業を取り巻く経営環境が厳しさを増していること、他の職種に比べて労働時間が長い、そしてまた、大型二種免許保有者が平成十四年の百十九万人から二十四年には百三万人と大きく減少し、かつ高齢化が進んでいることなどが原因となって運転者の要員不足が問題になっていると承知をいたしております。また、内航船員は年々高齢化が進んでおり、五十歳以上の船員が五割を占めております。  一方、国民交通ニーズに適切にこたえるとともに交通の安全をしっかりと確保していくためには、交通サービスの担い手である運輸事業者、運輸事業その他交通に関する事業の安定的な運営を確保することが必要不可欠であると考えております。そして、現場で働く方々が誇りを持って仕事に携わっていただくことが重要ではないかとも考えております。  このような認識に基づき、例えばバス事業につきましては、今後、学識経験者、バス事業者、労働組合、関係省庁などとともに運転手の要員不足を専門的に検討する場を設け、バスの運転手の確保及び育成に係る課題対応策などを検討してまいりたいと考えております。また、内航船員につきましては、海上技術学校などにおける船員の育成や、計画的に新人船員の資格取得や試行的な雇用に取り組む海運事業者に対する費用の助成などの施策を講じてまいります。  国土交通省といたしましても、今後とも、交通関連事業の健全な発展を図るため、必要な人材の育成、確保にしっかりと取り組んでまいります。よろしくお願いいたします。
  94. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。是非、官民一体となって交通従事者の確保ということについても尽力をしていただきたい、そのように思います。  同時に、これは警察庁もかかわることですので、答弁というか、そういうことにはならないとは思うんですが、現状だけちょっとお話をいたしますと、事業者あるいは労働組合双方、バスにしてもタクシーにしても、新卒者、特に高卒の新卒者の対象にならないと。なぜかというと、十八歳では普通免許しか取れなくて、普通免許を取って二年間しないと二種免許を取れないという中で、十八歳で採用して二年間ほかの仕事をやっていただいて、二年たったら二種免許を取ってというふうにはなかなか企業の体力上も難しい、そういうような実態があると。なので、高校の就職募集の欄になかなか交通機関の会社が名を連ねにくいという現状があるということです。  そういう中で、免許制度なのでこれは警察庁ですかね、とも関連することなんですけれども、私は電車運転士の免許を持っているんですけれども、そのようにバス運転手なり大型旅客運転手免許とか、そういうことを設定をして、十八歳で入って机上で何か月か勉強して、見習を何か月かして、十九歳ぐらいにはバスの運転手になれるというような、そういう制度などを確立をすると。あるいは、タクシーにしてもそうですけれども、そのような制度が、大型二種免許なり二種免許とは別途の、そういうプロのドライバーの資格をつくるという中で、そういうことで新規採用を募るという状況をつくりやすくする。あるいは、若いうちからプロの旅客ドライバーを養成する、そのような視点で物事を考えていくと、このような視点からも問題が解決していくのではないかという思いもありますので、是非、これは他省庁との関連もありますから答弁ということではありませんが、お話だけしておくということであります。よろしくお願いします。  大規模災害時における交通事業者地方公共団体との連携、これについて質問させていただきます。  公共交通機関を利用する乗客の避難方法などについては、地方自治体交通事業者連携協議して具体的な方策が打たれるべきだと考えておりますが、大震災から二年八か月を経た現在においても、必ずしも連携が進んでいる現状にはないというふうに思います。  私は、京浜東北線や東海道線あるいは横須賀線の沿線をしっかり歩いて踏査をしてまいりました。大地震や津波を想定した避難路や避難場所を確認してまいりましたけれども、必ずしも自治体の指定場所と列車やバス等が災害で緊急停止して乗客を誘導する先の避難先がマッチをしていないという例が多々見受けられました。  高台が近い駅なのですが、自治体の避難場所が海に近い方にあるのでそちらに誘導するような、そういう対策が打たれていたりとか、そういうようなミスマッチが起こっているんですけれども、これはやはり自治体事業者が個々に対策を、対策は立てているんだけれども連携をしていないという中から出てくる矛盾であろうと、そのように思います。  大規模災害時における乗客の避難時の対応については、自治体事業者連携が大変重要であると考えます。今回、大規模災害時の対応に関する規定が盛り込まれましたけれども、この規定を設けた趣旨と関係者連携強化に向けて、太田国交大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  95. 太田昭宏

    ○国務大臣太田昭宏君) 三・一一のときに、東京の道路が大渋滞しました。それまで立てている避難計画というのは、その後も環七の中を入れないとか、あるいは車を車線の一番左側に鍵を掛けないで置いておくとかということが言われていたんです。ところが、午前八時発災をするということになりますと、まさに、既に左に寄せるどころか道路自体が渋滞している。そうしたことがありまして、もう一遍抜本的な、いわゆる今まで想定していたもの以上の対応をしなくてはならないということで、今東京都とも連携取りながら、政府として、国交省といろいろそういう対応をしております。  午前八時に鉄道関係、駅と、そして列車、電車の中に乗っている人は、首都直下の場合、三百万人いると。これはもう本当に想像を絶する数です。そこで、駅、そして帰宅困難者、そして列車の中に閉じ込められている人、そういう人たちをどうするかということで、JR東を始めとする各鉄道会社とも連携取って、徐々にその体制を固めようと。駅が非常に大事になりますけれども、帰宅困難者も含めて近くのビル、そして近く、特にデパート関係ということとも連携取って、どのようにこの人たちを避難させ、そして水とかそういうものがあって、そして各家庭と連絡が取れるか、職場と連絡取れるかというようなことも含めて、今広域連携の体制を取らせていただいているというのが現状でございます。  池袋駅あるいは新宿駅を始めとしてそうした体制を取らせていただいておりまして、さらに、これは非常事態ということで東日本大震災と首都直下の場合は対応が違いますけれども、特に朝八時で三百万人というようなこと、そして同じように、夕方六時発災ということになると同じような数が鉄道関係のところに乗っているということをよく考えて、地域そして各企業との連携を取っていかなくてはならないと、今準備をそうした観点に立ってやらさせていただいているという状況にございます。
  96. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  根岸などを歩いてみますと、海抜一メーターの地帯がずっと広がっていて、海沿いに石油コンビナートがあって、鉄道があって、住宅街が一メートルのまま広がって、高台に上がるところの崖が一キロぐらいにわたって立ち上がっていると。その一キロの間には階段が三つほどありました、一キロの区間に。全部、大規模災害、大地震のときには崩壊するという指定がされている階段でした。あるいは、一本だけ二車線の道路があるんですが、恐らくそこも渋滞になるでしょう。そうすると、そこにいる住民、あるいは京浜東北線が走っているわけですが、満員の場合は三千人です、一車両、十両で。それを二人の運転士と車掌で誘導するという絵、描いて、さらにそこに津波が来るなどということになるとどういう状態になるのかと。  やはりこういうことを、いろいろなハード面の強化も必要なんですが、ソフト面で、いろいろな企業と自治体あるいは学校などが同じテーブルに着いて、そしてしっかりとそういうことについてどうしようかという共通認識を持って避難対策を確立していくということが早急に望まれると思いますので、国交省のみならず、関係省庁、是非連携を取って早急に進めていただきたいと、そのように思います。  次に、安全保安関係の確認についてであります。  昨年の関越自動車道での高速ツアーバス事故や先日成立したタクシー法の例を見ても、公共交通機関における規制緩和は、過度の事業者間の競争を招き、結果として労働条件の悪化や安全性の低下といった問題を発生させてきました。また、コスト削減圧力があるがゆえに、あらゆるところに悪影響を及ぼし安全性の低下を招いているJR北海道は、まさに安全な鉄道の再構築が迫られております。安全確保交通事業を行う上で大前提であり、具体的には交通安全基本計画に基づいて行われていくものと伺っておりますが、今後、交通政策基本法が成立をし、交通政策基本計画が定められることで更に改善をされていくことになるのでしょうか、国交省にお尋ねをいたします。  また、航空関係の従事員からはテロへの懸念というものが常に示されておりますし、鉄道員やバス、タクシー運転手などに対する暴力事件の問題など、陸海空の公共交通そのものの安全性の低下や交通障害、ひいては大事故にもつながりかねない社会的にも重大問題がございます。公共交通に対する保安の取組についても、今後、国、事業者において一層の充実強化が図られるようにしていくべきであると考えますが、いかがお考えでしょうか、国交省にお伺いをいたします。
  97. 土井亨

    大臣政務官(土井亨君) 交通の安全の確保につきましては、従来から交通安全対策基本法や道路運送法、鉄道事業法、海上運送法、航空法などの既存の関係法律に基づいて実施され、安全確保に関する具体的な規定が整備をされているところでもございます。  一方、交通政策基本法案に盛り込んでいる交通施策の中にも、事業基盤の強化、人材の育成、施設の老朽化に配慮した交通手段の整備、大規模災害への対応など、交通の安全の確保と綿密に関係する施策が多数含まれてもございます。今後、交通政策基本計画を作成する中で、これらの施策にしっかりと取り組むことで、ひいては交通の安全確保にもつながってくるものと考えており、交通安全基本計画と相まって、交通の安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。  また、交通従事者に対するいろいろな暴力行為等々が頻発をいたしておりまして、現在、先生からの御指摘も踏まえ、全鉄軌道事業者を対象としてその発生件数などの実態調査を実施しているところでございます。今後、当該調査結果を踏まえ、関係者とも連携し、鉄道係員に対する暴力行為撲滅に向けて利用者の啓発等を実施していくことと考えております。  バス、タクシー、また飛行機等について、これから警察庁や関係団体と連携し、防犯マニュアルの策定、タクシーへの防犯仕切り板の設置など、所要の安全、安保対策を進めてきたところでもございます。  今後とも、このような取組を通じ一層の対策強化に努めてまいる所存でございます。
  98. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。
  99. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  交通政策基本法案ということでございますが、我が国を取り巻く環境が大きく変わりつつある中において、基本法案がもっと早く出されてもしかるべきだったんではないのかなというふうに思っておりまして、大事な法案というふうに認識をするものでございます。  また、交通政策ということでございますけれども、七年後、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックということでございまして、外国人の旅客も増えて、また、全国津々浦々まで旅してもらいたいと、そういう思いもありますし、一方で、万が一大規模災害等が発生したときの交通機能の維持やあるいは円滑な避難、こういうこともしっかりやっていかなきゃいけない。そういう意味で、この法案は本当に大切な法案だなというふうに思うところでございます。  さて、交通といっても、本当に大きなハブ空港から、あるいはコンテナの港とかありますけれども、一方で、この五条でありますとか二十四条等におきましては、徒歩や自転車、それから自動車、鉄道船舶、航空というふうに記載があるわけでございまして、非常に大きなものからちっちゃなものまでというような認識で、かつそれぞれの適切な役割分担と有機的、効率的な連携がなされることが重要であるというふうに指摘されているところでございます。  そして、先般、ニュースであったわけでございますが、先月の二十日、サイクリングしまなみ二〇一三というのがございました。愛媛県と広島県を結ぶしまなみ海道という高速道路があるわけでございますが、ここを通行止めにいたしまして、そこでサイクリングの大会が催されたということでございまして、愛好家が二千五百名集まってそれを通ったということでございまして、国土交通省の観光庁も後援に入っているということでございます。  愛媛県や広島県、自転車を中心とした観光振興にも、これによって地域を変えようというようなもくろみだと思っておりますが、そのモデルは実は台湾だろうと思います。今、馬英九さんが総統でございますけれども、自転車政策が推進をされている。自転車のシェアリングというような貸し自転車が発達しておりますし、また、電車の中にも持ち込めるというようなことをやっているわけでございまして、あの有名な最大の湖で景勝地であります日月潭ですか、リーユエタンにも世界屈指のサイクリングロードが整備されたということで、年間五百万人も訪れていると、そしてまた、今後、台湾一周できるような、そういうサイクリングロードの整備計画もあるやに伺っているところでございまして、ただ、この裏は一体何なんだろうか。よく見てみると、世界的な自転車メーカーが台湾にあるということのようでございまして、日本にも自転車メーカーはいっぱいあったわけでございますが、キング・リュウとか言われる方がオーナーでございますけれども、一台数十万円もするような、そういう自転車を開発して世界に売っておいでになる。ツール・ド・フランスでもその自転車を活用したところが、グループが勝っているというようなことがございまして、そのメーカーがサイクリング文化を伝導しようという形で推進をしているようでございます。  一方、我が国は、自動車交通が発達する一方で、一般道路における自転車の区別が分かりにくい、あるいは、駅前などでも放置自転車問題等が発生しているところでございますが、そんな状況の中で、徒歩、自転車ということがこの法案の中に書き込まれているわけでございますけれども、国土交通省として、この自転車の位置付けといいますか役割といいますか、車社会の是正にもつながっていくと思うわけでございますが、国土交通大臣として、自転車、この位置付けをどういうふうにお考えなのか、御認識をお示ししていただきたいと思います。
  100. 太田昭宏

    ○国務大臣太田昭宏君) 自転車は市民にとりまして身近な交通手段でもあり、環境にも優しい、また健康増進にも資する、更に言えば、今、魚住先生おっしゃったように、台湾に大きな会社があって、しまなみ海道の大会は今年最初で、連携取ってやらせていただいたんですが、来年はもっと大きなことになるのではないかというふうに期待をしているところです。    〔委員長退席、理事広田一君着席〕  あるいは、フランス等では非常に盛んなんですけれども、大都市に自転車を置いておいて、それをそのまま乗っていけるようにして、乗り捨てというよりは、また違うところにきちっと置いてという、そういうシステムができている。いろんなことでより一層自転車交通というものを確立していくということがこれからますます大事になってくるというふうに思います。  負の部分の駐輪場の問題とか、あるいは車道、歩道の中での事故の問題とか、いろんな問題がありますけれども、それはガイドラインを警察庁との間でも作らせていただきまして、利用ルールの徹底や、あるいは安全で快適な自転車通行空間の整備等々をやらせていただいて、もう少しここが安全で快適な、交通としての自転車であるということを進めていく時期に達したというふうに考えているところです。
  101. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今大臣の御答弁の中にもあったわけでございますが、やはり、この法案の二十七条には、国、地方公共団体あるいは交通関連事業者、住民等の関係者連携協働ということがあるわけでございますが、今たまたま台湾のメーカーのお話をさせていただいたわけでありますけれども、我が国でも、自転車メーカーあるいは自治体とも、この自転車による地域活性化、後押しをしていくべきではないのか。  先ほどのしまなみ海道の話、観光庁が後援だというふうにありますけど、この二十六条は観光立国の実現観点からの施策の推進という表題になっておるんですが、ここには自動車、鉄道車両云々とは書いてあるんだけど、自転車とは書いていないんですね。そういう視点は改めていくべきではないかと思いますけれども、国土交通省の御答弁を求めます。
  102. 西脇隆俊

    政府参考人(西脇隆俊君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、自転車につきましては、観光地での貴重な足ですし、先ほどから御指摘がありますいろんなイベントの主役となっておりまして、地域活性化の有効な手段であるというふうに考えております。  今委員から御指摘がありました二十六条のことでございますが、まずその前段として、先ほどからございますように、まず自転車を交通手段の一つとして二十四条で明確に位置付けて、なおかつ、地域活力向上を図るための地域内の交流の促進という二十条でも、これは当然自転車は含まれております。  今御指摘の二十六条のところでございますけれども、外国人観光旅客に対します情報の提供の推進の例示として自動車以下挙げておりまして、その例示としては使っておりませんけれども、その前段で、観光旅客の円滑な往来に必要な交通手段の提供の推進ということが書いてございまして、当然これには、自転車は非常に有力な交通手段の一つだと考えておりますので、私どもの思いといたしましては、二十六条にもその自転車交通の活用、利用促進というのは入っておるというふうに考えておりまして、いずれにしても、そういう非常に重要な自転車の位置付けでございます。当然、安全面の確保ということを大前提としながら、更に活用されるように施策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。    〔理事広田一君退席、委員長着席〕
  103. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先ほど、台湾一周できるようなサイクリングロードというような御紹介をしたわけでございますが、我が国でもこの自転車道というのが造られているようでございますが、主なものは河川堤防を利用したものが多いというような、そしてその堤防の上を走るだけで完結してしまう。  私、名古屋に住んでいるわけでございますが、結構幅広の市内道路で、改修して自転車道をつくっているわけだけど、しかし、交差点に来るとどこを走るのかなみたいな話になってきて、そこで止まってしまうなという、そんなことがあるわけでございまして、ある意味では隔離されているような交通手段だなというふうに思っておりまして、今後の自転車道の整備の在り方について国土交通省のお考えをお聞きしたいと思います。
  104. 徳山日出男

    政府参考人徳山日出男君) お答えを申し上げます。  先ほど大臣からも申し上げましたとおり、自転車は身近な移動手段として重要でございまして、より一層安全で快適な利用環境整備が求められていると考えております。  ところが、一方で、交通事故全体は減っておる中で、この中に占める自転車関連事故は拡大傾向にございまして、憂慮をいたしております。これを削減していくためには、自転車と自動車を分離するだけではなくて、自転車と歩行者も分離した自転車の専用の通行空間を整備する必要があるわけでございまして、今までに三千キロの整備を進めてまいりましたけれども、委員おっしゃるとおり断片的でございまして、今後は面的なネットワークとして機能させること、これがポイントであると考えております。  先ほど大臣からも、ガイドラインを策定したと申し上げました。警察庁さんと連携して昨年十一月に策定いたしましたけれども、この中で、自転車ネットワーク計画の作成やその整備が進められるように計画や設計の留意点を定めておりまして、昨年度末までに五十三の市区町村において計画が策定されて整備が進められております。  国土交通省といたしましては、今後ともこのガイドラインを活用していただきまして、地方公共団体関係省庁等と連携の下で、自転車の安全な、そしてネットワークを成した利用環境整備を推進してまいりたいと考えております。
  105. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 是非、たしかオランダかどこかだと思いますが、もう自転車の方が優先だと、都会の中に入れるのは自転車しかないみたいな、そこまでやれとは言っていないわけでございますが、もう少しこの優先度を上げてもらうような方向でお願いをしたいなと思っております。  自転車というとやっぱり、最近、自分でも車を運転していて、あっ、危ないなというか、そのまま信号無視して行く自転車があったり、本当に冷やっとすることがいっぱいあるわけでございますし、また、この間も逮捕者が出たようでございますが、このマナーについて、当然、若年者から超高齢者というか、本当はやめてもらいたいなというか、そういう方まで自転車に乗っている方もいるわけでございまして、その辺どうするのかと。かといって、免許という制度もないわけでございますが、この辺のマナー向上について、警察庁、ちょっと御答弁いただきたいと思います。
  106. 濱勝俊

    政府参考人(濱勝俊君) お答え申し上げます。  自転車の走行のマナー向上でございますけれども、議員御指摘のとおり、警察庁としても大変重要な課題だと認識してございます。このため、警察におきまして、自転車の交通ルールを簡潔にまとめました自転車安全利用五則と、こういうのがございますが、そのリーフレットを活用した広報啓発活動、それからスタントマンによる交通事故の再現とか、シミュレーターを利用した参加、体験、実践型の交通安全教育、さらには、重大事故が発生するような懸念がある路線等におきましては啓発指導も積極的に推進をしているところでございます。  これらの活動に加えまして、本年六月の道路交通法の改正によりまして、例えばブレーキのない自転車に対する警察官による検査、それから応急措置命令、これ左側通行でございますけれども、路側帯の通行に関する規定が整備されるとともに、一定の悪質自転車運転者に対し講習を義務付ける制度が設けられたところでございます。  警察庁といたしましては、今後とも、学校、企業等の各種教育主体との連携強化し、自転車走行のマナー向上に積極的に取り組んでまいりたいと、かように思っております。
  107. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 よろしくお願いしたいと思います。  先般、何か自転車泥棒を捕まえるために放置自転車を移動してというか、それで警察辞めたという方がいたわけでございますけれども、ちょっとその自転車にまつわって、まず警察自体もしっかりマナーを確立していただきたいなと思っているところでございます。  次に、自転車よりももっと根本的な移動手段でございます徒歩でございますけれども、昨年四月、京都府の亀岡で集団登校中の小学生十人が死傷をしたという交通事故がございました。警察庁によれば、通学路での交通事故による小学生の死傷者数は、二〇一一年、二千五百名ということになってございまして、通学路の安全対策というのが非常に重要でございます。  政府においては、これを受けて全国の小学校の通学路の緊急点検を実施して、七万四千四百八十三か所で安全対策が必要というふうに報告してございますけれども、このうち、警察庁、国土交通省、この安全対策の進捗状況について御報告をください。
  108. 濱勝俊

    政府参考人(濱勝俊君) 警察の関係でございますけれども、全体七万五千か所のうち一万九千七百十五か所が警察の関係でございます。それにつきまして、信号機の設置、横断歩道の新設等、約二万六千対策を実施することとしておりますが、これらの対策につきましては、現在できるものから早急に実施をしているというところでございます。  進捗状況の関係でございますけれども、平成二十四年度末までに、全体の約六割に当たります約一万六千の対策を完了してございます。今年度中には、全体の約九割に当たる約二万四千の対策が完了する見込みでございます。残りの対策につきましても、地元の合意形成を要するものなども含まれておりますけれども、関係機関との連携を密にし、早期に対策を実施してまいりたいというふうに考えております。
  109. 徳山日出男

    政府参考人徳山日出男君) ただいまの約七万五千か所の対策必要箇所のうち国交省担当分でございますが、歩道の整備やガードレールの設置など、道路管理者による対策がふさわしい箇所が約四万五千か所ございまして、昨年度末で二万二千八百十八か所、約五一%が対策済み、そして今把握している限りでは、今年度の対策予定箇所を加えますとおおむね八割が対策済みになると見込んでおります。今後とも安全対策について推進をしてまいります。
  110. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先ほど来、この基本法案において徒歩が重要な交通手段の一つであるということは指摘しているところでございますが、小学生、中学生、ほとんどが通学は徒歩なんですね。だから、徒歩による通学になるわけですから、その通学路が安全であるということは、文字どおり、何といいますか大前提であると思いますし、通学路の安全対策がこの交通政策基本計画の中心になっていかなきゃいけない、そんなふうに思うわけでございますが、この通学路の安全対策が加速されるべきであるというふうに思うわけでございますが、政府のお考えを伺って、質問を終わります。
  111. 西脇隆俊

    政府参考人(西脇隆俊君) 通学路の安全対策につきましては、先ほど警察庁の答弁がございましたように、緊急合同点検の結果を踏まえて、国土交通省といたしましては、歩道等の整備とか防護柵の設置、路側帯の設置等に努めているわけでございます。  委員御指摘のとおり、交通政策基本法案では、交通に関する施策の推進に当たりましては交通の安全の確保に関する施策と十分連携を図るということをしておりますし、まさに徒歩を重要な交通手段と位置付けるということは、通学路ということで、子供さんの安全を守るということで、安全なくしては重要な交通手段として機能しないという認識を持っておりますので、この政策基本法案によりまして更なる通学路の安全が充実されますように努めてまいりたいというふうに考えております。
  112. 和田政宗

    ○和田政宗君 みんなの党の和田政宗でございます。  私は、本法案に関連しまして、防災や被災地の復興、地方交通網の発展の観点から聞いてまいります。  まず、本法案二十二条に主にかかわってくる問題だと思いますが、被災地では復興を進めるためにスムーズな物流の確保が必要ですけれども、それを可能にする道路整備、さらには余震による津波に備えて避難するときに渋滞しない道路の確保が喫緊の課題になっています。  まず、東北地方と首都圏を結ぶ大動脈である国道四号線について聞きます。災害や気象条件によっては東北自動車道の代替道路となる重要な道路です。しかしながら、特に宮城県内の国道四号線、片側一車線の部分がありまして、復興の資材を運ぶダンプもどんどんと通る中、よく渋滞を引き起こします。スムーズな復興につなげるためにも片側二車線化、すなわち道路全体の四車線化を速やかに進めるべきだと思いますが、国の考え方や取組はいかがでしょうか。
  113. 徳山日出男

    政府参考人徳山日出男君) お答えを申し上げます。  国道四号は東京と青森を結びます全長八百八十八キロという非常に長い幹線道路でございまして、宮城県内延長が約百四十四キロ、このうち四車線以上の区間は約六割に当たる八十七キロでございます。  委員御指摘のとおり、二車線区間等ありますと渋滞等の課題を抱えております。さらに、災害時や高速道路が雪で通行止めの際の代替路としても重要なものと認識をいたしております。現在、宮城県内におきましては金ケ瀬拡幅や築館バイパスとして四車線化やバイパス整備を進めているところでございまして、引き続き早期整備に努めてまいります。
  114. 和田政宗

    ○和田政宗君 次に、高速道路について聞きます。  特に三陸自動車道は被災地の物流の要でありまして、緊急時の輸送道としても極めて重要であると考えます。しかしながら、この三陸道についても片側一車線の交互通行になっているところがありまして、毎日のように朝夕渋滞を起こしています。特に仙台港北インターチェンジから桃生豊里インターチェンジの間でその問題は深刻ですけれども、私はここの部分も四車線化を進めるべきだと思いますが、国の考え方、取組はどうでしょうか。
  115. 徳山日出男

    政府参考人徳山日出男君) お答えをいたします。  三陸沿岸道路につきましては、震災当時、全延長の約三分の一が開通をしておりましたけれども、発災直後から救助救援活動や復旧のための物資輸送に機能を発揮いたしまして、命の道と呼ばれました。  御指摘の四車線化でございますけれども、宮城県内の三陸沿岸道路では三区間で四車線化を進めているところでございまして、御指摘の仙台港北インターから桃生豊里インターまでの四車線化につきましては平成二十七年度までに完了の予定でございます。  引き続き、リーディングプロジェクトとして早期に開通できるよう全力で取り組んでまいります。
  116. 和田政宗

    ○和田政宗君 あわせて、日本列島の太平洋側と日本海側を結ぶいわゆる横軸の道路についても聞きます。  東日本大震災におきましてはこの横軸の道路、救援物資を運ぶ上で極めて重要な役割を果たしました。そうした観点からも、例えば被災地の石巻―酒田間道路というのがあるんですけれども、こういった道路を始めとする横軸道路、復興のための物流や緊急時の物流の面で重要だと考えますが、石巻―酒田間道路を含めて、このような横軸の道路の重要性、整備について国の見解はどうでしょうか。
  117. 徳山日出男

    政府参考人徳山日出男君) 御指摘の東北の横断方向のネットワークでございますけれども、東日本大震災におきましても、太平洋岸のネットワークが被災する中、秋田港や酒田港、新潟港に陸揚げした救援物資を被災地に運ぶために大変大きな役割を果たした道路でございます。  御指摘の石巻から酒田間の道路で、横軸でございますけれども、現在、国道四十七号及び国道百八号として整備をいたしておりまして、余目酒田道路、高屋道路、新庄古口道路、古川東バイパスとして事業を進めているところでございまして、引き続き早期整備に努めてまいりたいと考えております。
  118. 和田政宗

    ○和田政宗君 そのほかにも横軸では仙台北部道路と国道四号の連結など、被災地の高速道路と国道の連結についても早期に実行してほしいという声を多く聞きますので、実態を把握して実行をお願いしたいと思います。  さらに、交通網の発展と被災地の復興の観点から聞きます。  これも宮城県内の事例になりますけれども、宮城県山元町の坂元地区には防災集団移転で新たな町ができます。近くを通る常磐自動車道にスマートインターを設置してほしいという声が大きくあります。この区間の自動車道の本線というのは現在建設中で、二十六年度中に供用開始の予定。一方、スマートインターは二十八年度の見込みです。  宮城県ではそのほかにも被災地の復興に向けてスマートインターの設置が行われますけれども、こうした事業につきましては社会資本整備総合交付金の復興枠を使って早急に整備をしていくべきだと考えますが、国の考え方はいかがでしょうか。
  119. 徳山日出男

    政府参考人徳山日出男君) 御指摘の常磐自動車道坂元スマートインターチェンジ、これはまだ仮称でございますけれども、山元インター―新地インター間に計画されている追加インターでございまして、今年六月に国土交通大臣から既に連結許可が出されたところでございまして、これに接続する町道の整備につきましては今年度から事業に着手をし、現在、調査設計を行っていると聞いております。  町道の整備に当たりましては、山元町から社会資本整備総合交付金の復興枠での要望があるということは承知をしておるところでございます。今後、復興庁とも調整の上、社会資本整備総合交付金による支援について検討してまいりたいと考えております。
  120. 和田政宗

    ○和田政宗君 次に、離島の架橋、橋について聞いていきます。  これは本法案の十六条にもかかわってきますけれども、例として宮城県女川町の出島を挙げたいと思います。この島は東日本大震災のときには船も流されて完全に孤立をしてしまいました。この島の災害時の安全確保や救急医療のほか、この地域特有の事情として原子力発電所が立地している町であることから、何かあったときの緊急避難路としても重要です。国としてこの女川町出島の事例というのはどういうふうに考えていますでしょうか。
  121. 花岡洋文

    政府参考人(花岡洋文君) お答え申し上げます。  離島架橋は本土と離島を結ぶ事業でございまして、離島の隔絶性というものを抜本的に解消する事業でございます。離島振興策として極めて重要な役割を担っていると認識をいたしております。  本事業につきましては、女川町より宮城県に対しまして事業実施するよう要請をされている段階でございます。県からは、架橋が多額の事業費と相当な期間を要するといったようなこともございますし、周りの復興事業との進捗状況も踏まえる必要があるといったようなことから、離島振興策全般の中で総合的に検討をしていく方針だといったふうに聞いております。  国土交通省といたしましては、まずは県と町の間で御議論をしていただき調整していただくということが重要であると考えておりますけれども、その後、県から具体の御要望があれば省として可能な支援をしてまいりたいといったふうに考えております。
  122. 和田政宗

    ○和田政宗君 この本土と出島の間の橋の長さは実は僅か三百七十五メートルなんですね。こうした場合、本土側の道路をしっかりと整備することで事業の促進というのも図れると思うんですけれども、本土側の道路整備について国の見解、いかがでしょうか。
  123. 徳山日出男

    政府参考人徳山日出男君) おっしゃいますとおり、架橋は約四百メートル弱でございますけれども、さらにそこまで迎えに行く本土側の道路が約二千四百メートル必要になってまいります。この連絡のためには架橋だけではなく本土側の道路、重要でございますけれども、非常に多額の事業費を要しますものですから、宮城県からは周辺の復興事業の進捗状況を踏まえながら総合的に検討していくというふうに聞いております。  私ども国土交通省といたしましては、引き続き、宮城県と女川町の間での議論を見守りながら、一定の環境が整った上で事業実施について具体の御要望があれば省として可能な支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  124. 和田政宗

    ○和田政宗君 次に、本法案の十九条と二十二条の関連で、空港の政策について聞いてまいります。  現在、日本国における国際拠点空港は成田、中部、関西空港となっています。これはいわゆる太平洋ベルト地帯に集中しているわけです。しかしながら、例えば仙台空港は北緯四十度線に近く、北米やヨーロッパの主要都市に最短ルートで飛べるという地の利があります。国際ハブ空港にするには絶好の立地であると考えます。  本法案でうたわれている国際航空網の強化や被災地の復興にも寄与すると思いますけれども、現在の航空政策における仙台空港の位置付けと、将来民営化された仙台空港の位置付けというのはどのようになるでしょうか。
  125. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) お答えいたします。  仙台空港は、現在、空港法上、国際航空輸送網又は国内航空輸送網の拠点となる空港として国土交通大臣が設置し、及び管理するものの一つとして位置付けられているわけでございます。いわゆる国管理空港であります。  その上で、仙台空港につきましては、地元の宮城県におきまして、早くからこの空港の民間運営による活性化を震災復興の起爆剤としたいということで、そういうふうに位置付けて官民の関係者による検討が進められております。昨年取りまとめられました仙台空港の経営改革に関する宮城県基本方針の中では、多くの旅客や貨物でにぎわう空港、それから東北地方の復興と発展を牽引する空港、さらには民間の力を活用した地域と共に発展する空港であるということで、具体的な目標の数字も挙げて仙台空港のあるべき姿として掲げられているところであります。  国交省といたしましても、さきの通常国会で成立した民活空港運営法、これを活用して、この法律の適用第一号ということを目指すという地元の御意向を踏まえつつ、引き続き必要な準備を進めまして、空港を核とした地域活性化に私どもとしても貢献してまいる所存でございます。
  126. 和田政宗

    ○和田政宗君 この仙台空港の活用につきましては、国土全体の防災の観点からも重要であるというふうに考えます。  例えば南海トラフの巨大地震が起きてしまった場合、成田、中部、関空はほぼ同じプレートに乗っていまして大きな影響を受けると見られていますが、これ羽田もそうです。一方、仙台空港を考えますと、乗っているプレートが全く別になりますので、南海トラフの地震でも影響というのは限定的であると考えられます。  違うプレートといいますと千歳空港というのもありますけれども、千歳は冬に雪が降る。仙台の場合は、東京とは陸続きであり、雪もそれほど降らないということからも、何かあったときに、日本の緊急物資の輸送ですとか、国際輸送の要になる重要な空港であると考えますけれども、国土防災の観点から仙台空港の機能強化についてはどのように考えているでしょうか。  大臣お願いいたします。
  127. 太田昭宏

    ○国務大臣太田昭宏君) 仙台空港は極めて重要だというふうに思います。南海トラフの地震は、おっしゃるとおり、南海トラフの影響は仙台は恐らくないでありましょうから、そこでの働きは非常に大きいというふうに思います。羽田空港が利用できなくなった際、緊急着陸先として全国の空港を活用する必要がありますが、仙台空港は極めて重要な空港だと思います。  また、近隣空港や陸上交通の状況にもよりますけれども、仙台空港については、首都圏への物資の輸送の拠点としても活用できるというふうに思います。そのために耐震工事を現在進めておりまして、既に緊急物資輸送拠点としての機能を確保しているわけですが、引き続き航空輸送上重要な空港として位置付けて、その機能を確保するための耐震化を始めとする諸施策を講じたいというふうに思っております。
  128. 和田政宗

    ○和田政宗君 最後の質問になりますけれども、本法案、交通政策基本となるものを策定しようというものですけれども、交通政策といっても、被災地ではそういった言葉が行き届いていないという現実が被災地を回っていてあります。  例えば、ある仮設住宅に住むおじいちゃん、おばあちゃん、仮設住宅の近くにバス停がありませんので、タクシーで片道二千円、三千円掛けて病院に通っているという実態もあります。本当に仮設住宅を回ってお話聞いていると、あちこちでそういう話を聞いて、その都度市町村に問い合わせたり、地元の市町村議と連携を取って働きかけなどを行っているんですけれども、今からでも仮設住宅の近くにバス停をつくるなどの配慮があってしかるべきだというふうに思いますけれども、これについてはどのように考えていますでしょうか。
  129. 西脇隆俊

    政府参考人(西脇隆俊君) お答えいたします。  東日本大震災によって直接的に甚大な被害を受けた被災地域におきましては、仮設住宅にお住まいの高齢者の方、マイカーをお持ちじゃないということで、その日常生活の足として、仮設住宅から例えば今御指摘あった病院とか公的機関、また買物のための商店への移動手段の確保というのが非常に重要な課題となっているというのは、これもう皆さん共通の認識だと思います。  一方で、被災地におけます移動のニーズにつきましては、復旧とか復興の状況とか、あと公的機関等が移転していくというようなことがございまして、時々刻々と変化していく側面がございます。その上では、必要な移動手段を確保する上では適時適切に、例えばバス路線の運行経路とか便数などを見直していくことが必要になるというふうに考えております。  そこで、私どもといたしましては、地域公共交通確保維持改善事業によります支援メニューの一つでございます地域交通計画等を策定するための調査事業というものがございまして、その制度的枠組みを活用して、特定被災地域公共交通調査事業等を創設して被災地の支援を行っております。具体的に申し上げますと、従来の調査事業運用を柔軟化いたしまして、例えば一地域当たりの補助限度額を通常二千万円から例えば三千五百万円へ引き上げるとか、普通の調査事業の実証運行は一、二か月を限度としておりますが、被災地におきましては通年でよいというようなことを柔軟にした上で、二十三年度から二十五年度までの取りあえず三年間の特例措置として今現在実施をしております。なお、補助限度額につきましては、本年度に制度を拡充いたしまして、有償運行の場合に限り四千五百万円への引上げということで、地域のニーズに即した形になっております。  二十六年度要求につきましては、こうした支援措置、まさに委員今御指摘のとおり、非常にニーズが高うございますので、更に二年間延長した上で所要額を確保したいということで、今財政当局との調整を進めるところでございます。  まさに御指摘のように、交通政策基本法案におきましては、国民が日常生活を営むに当たっての必要不可欠な交通手段の確保のために必要な施策を講ずるということがございますので、私どもとしてはこうした施策を活用して、なるべく被災地の生活交通確保について、これは地元自治体との連携が不可欠でございますけれども、地域の声をよくお聞きしながら適切に対応してまいりたいと思っております。  非常に柔軟な制度でございます。今、バス停等の話がございましたけれども、路線とかバス停の位置につきましても、公共団体の方が適切な対応ができるように出先の運輸局にもよく話をいたしまして、相談に乗ってまいりたいというふうに考えております。
  130. 和田政宗

    ○和田政宗君 ちょっと今の答弁の最後のところと重複するかもしれないですけれども、国の施策というのは私も当然知っているような形なんですけれども、なかなかやはりその地元がうまく活用できていないというところがあるんですね。そこ、具体的にどういった情報提供だとかをしていくかというところをもう少しお願いします。
  131. 西脇隆俊

    政府参考人(西脇隆俊君) 正直申し上げまして、制度創設の日が浅かったということもあるし、被災地という事情もございまして、当初なかなか制度が活用されないということもございましたが、まずこれは何かに載せるということもさることながら、被災地域限られておりますので、出先の方から自治体一つずつ回りまして、掘り起こしといいますか、こういう制度があるので是非活用してほしいというようなことで情報提供しておりますので、だんだんと活用も増えておりますし、逆に運行形態とかそういう交通運行、路線とか停留所も含めて、いろんなバリエーションも出てきておりますので、我々としてはできるだけ地元の現場で情報提供をして、活用していただくように努力してまいりたいというふうに思っております。
  132. 和田政宗

    ○和田政宗君 交通政策、被災地ということになりますと、やはり鉄路の復旧ですとか、あとは仙台港の利活用というところもありますので、そういったところも含めて交通政策が幅広く被災地に寄与するような形になることを希求しまして、質問を終わります。
  133. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。  地域公共交通をどうするのか、非常に大事な問題、課題であります。今、地域の足を確保する手段としてコミュニティーバスというのが増えております。コミュニティーバスを導入している自治体は、二〇〇六年には八百八十七でありましたが、二〇一一年には千百六十五、つまり五年間で一・三倍に増加をしております。また、バスそのものの数は、同時期に一千五百四十九台から二千七百三十八台へと一・七倍の増加になっております。乗り合いタクシーも同様に増加をしております。これら地域住民のニーズにこたえた公共交通の役割というのはますます重要になっております。しかし、そんなニーズとは逆行する流れというのも地方から出てきております。  例えば大阪市の赤バス問題であります。大阪市の赤バスというのは二〇〇二年から始まったコミュニティーバスであります。主に高齢者や障害者に利用され、喜ばれてきたバスであります。大阪市の交通局がその運営を担ってきたわけでありますけれども、橋下市長になって以降廃止になりました。この赤バス事業廃止後に代替交通、これをどうするのか、小型バスや乗り合いタクシーをやるかどうか、これは各区長、行政区の区長に委ねられる、丸投げということになりました。その結果、事業を続けている行政区と廃止してしまったところ、これでばらばらになってしまったわけであります。  それでは、その続けている行政区はどうやっているのか、小型バスもあればジャンボタクシーというのもあります。しかし、ゴルフ用の送迎車のようなもので福祉用に使うものではありませんから、当然これまであった赤バスのようなノンステップではありません。また、これが継続的な施策ではなくて、市民の要望で一年間は続ける、走らせるけれども、一年たったらもうやめると、こういう行政区も中にあります。  大阪市の西淀川の区民の足を守る会という団体が実施したアンケート調査によりますと、赤バス廃止後に運行されているにーよんバス、これが来年には廃止されるということで、とりわけ高齢者や障害者からこれの継続を望む声が多数寄せられているということであります。  そこで、大臣にお聞きしたいんですが、先ほども全国バスの路線が八千キロ、もうこれがなくなっているという話がありましたが、この地域の現状をどう見ておられるのか、お答えください。
  134. 太田昭宏

    ○国務大臣太田昭宏君) 人口減少そして高齢化、これ二つ違う問題ですが、進んできている中で、民間バス事業者の約七割、事業者の七割が赤字で、鉄道事業者の約八割が赤字というような状況で、地域交通を担う民間事業者の経営悪化は深刻なものになっているというふうに思います。  今大阪の話があったり、コミュニティーバスの話もあって、今まで東京等では朝の通勤に使うということがかなり主要な部分を占めたんですが、通勤しない高齢者、また病院に通うという人が多くなったりしまして、コミュニティーバス運行というのは非常に重要になってきたりします。  地方部では、今申し上げたように、公共交通の空白地域の拡大や運行回数などのサービス水準の低下が進行するということ、加えて、先ほどから出ております運転手等の確保の問題も顕在化しているという認識をしております。  ますます人口減少社会になる、この中でコンパクトシティー・プラス・ネットワークというものをどうするか、その中で交通手段というものをどのように図るかということが非常に大事で、待ったなしの課題であるという状況でありまして、まちづくりと一体化した地域公共交通の再編、利用者のニーズに合った新しい輸送サービスの導入などの取組を総合的に行っていかなくてはならない、このように思っておりまして、この交通政策基本法を提出させていただいているという状況にございます。
  135. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 やはりこういった地域公共交通減少している、ずたずたになっているということは、今回の法案の趣旨にも私は反していると思いますし、またバリアフリー法の精神、これはノンステップバスは二〇二〇年までには七割にまでバスで広げようということを目標が掲げられていますけれども、これにも私は反すると思います。  そこで、今大臣からも事業者の七割が赤字になっている、苦しいという話がありましたけれども、実は国の予算で、こういう赤字の業者に対しても公共交通を守っていこうという名目として、それも一つとして、予算が出ております。地域公共交通確保維持改善事業というものでありますけれども、この本年度の予算はどれぐらい計上されていますでしょうか。
  136. 西脇隆俊

    政府参考人(西脇隆俊君) お答えいたします。  地域公共交通確保維持改善事業につきましては、平成二十五年度で、国費で三百三十三億円を計上しております。
  137. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 三百三十三億円なんですね。  今日午前中の参考人質疑でも、フランスのこの施策についていろいろ質疑がありました。フランスではどういう予算になっているかと。都市公共交通財政規模は年間で約二兆円、百四十億ユーロですから、約二兆円なんですね。この内訳を見てみますと、地方目的税である交通負担金がこの交通財源の約四割を占めておりまして、そのほか地方一般財源や中央政府支出を含め、大体これが一兆三千億円ぐらいになります。つまり、全体の三分の二が公的支出となっておりまして、料金収入ですね、利用者の料金収入は四分の一にすぎないと。それだけ公的なやはり支出をして地方公共交通を守っているというのがフランスだと思います。  一方で、日本は三百三十三億円という話がありましたけれども、じゃ、どういうところにお金を一方で使っているのかということであります。例えば、国際コンテナ戦略港湾、これは京浜と阪神ですけれども、四百億円、これ単年度四百億円。二〇一二年の補正予算を見ますと百九十四億円ですから、これ年間で合わせて五百九十四億円がここに計上されております。整備新幹線で見ますと、これは国費だけで七百六億円でありますし、来年度の概算要求見てみますと八百二十二億円ということになっております。一メートル一億円近いお金が掛かると言われている東京の外環道には、これ去年の九月着工しましたけれども、一兆二千八百億円、これは総事業費になっております。  やはりこういった税金の使われ方、予算の配分というものが余りにも大型開発に配分されていて、一方で地方公共交通機関に対する予算というのが少な過ぎるというのが、私は、まず大きな問題の一つだと指摘をしておかなければならないと思っております。  地域公共交通を守ってほしい、足をなくさないでほしい、これが地域の住民、とりわけ高齢者や障害者から出されている切実な声であります。同時に、交通弱者と言われる方々に対して適切な予算配分を行っていく、これが大事なんですが、今言ったような、既に予算として計上されているものとは別に、最近、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会なるものが今年の九月に設立をされております。ここにチラシも持ってきましたけれども、これ和歌山と淡路島を海峡道路で結んで、四国に新幹線を走らせて、四国と九州を結ぶと、そういう道路を造るというものなんですが、この協議会は事務局が和歌山県にありまして、構成としては大阪府、兵庫県、奈良県、徳島、香川、愛媛、高知、大分、宮崎となっております。  木曜日にシンポジウムが開かれるということなんですが、基調講演の題目はこうあります。オールジャパンで進める国土強靱化、こういうことなんですね。この講演をされるのが内閣官房参与の方であります。高速交通インフラ整備の意義や必要性を国等に対して強く働きかける機運醸成を図るとしております。こういうシンポジウム、また、こういう協議会が設立をされているということを御存じでしょうか。
  138. 土井亨

    大臣政務官(土井亨君) 委員から御紹介をいただきました協議会が地元の府県により設立をされたことは承知をいたしております。  国土交通省といたしまして、協議会においてどのような活動がなされるかを見守ってまいりたいと考えております。
  139. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 この関西だけではないんですね。例えば、関門海峡道路というものを造ろうやないかと、こういう協議会もできておりまして、山口県は今年この調査のために五年ぶりに予算を復活しまして約二百万円を計上をいたしました。下関では建設促進協議会が開かれて、ここには麻生太郎副総理の実の弟である麻生泰麻生グループ代表が新会長に選出をされております。これらいわゆる六大海峡道路と言われるものがかつてありましたけれども、二〇〇八年に冬柴元国土交通大臣が、個別プロジェクトに関する調査は今後もうやらないと、こう答えました。費やした国費は六十八億円だったんですが、こういうプロジェクトを地方から声が上がっていると。  こういうものを実際に復活してやろうと思えば国からの調査費というのをまた出さなきゃいけないと、こういうことになると思いますけれども、この調査費を計上するつもりは今後国土交通省としてあるのかないのか、お答えいただけますでしょうか。
  140. 土井亨

    大臣政務官(土井亨君) 御指摘のとおり、平成二十年三月に個別プロジェクトに関する調査は行わないといたしておりまして、平成二十年度以降調査は行っておりません。また、現時点におきまして調査の再開については検討しておりませんが、国土交通省といたしまして地元における検討状況を見守ってまいりたいと考えております。
  141. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 やはりこういう無駄な大型開発、これね、私たち公共事業を全部反対しているわけじゃないんですよ。しかし、老朽化を正していかなきゃいけない、ちゃんと老朽化の道路などを公共事業としてやっていかないけないのにもかかわらず、このような大型開発というのがぼんぼん出てきていると。  これらのプロジェクトは、例えば今回の法案にもある国際競争力強化、また、法案の二十二条にある代替性のある交通手段の確保、これに当たるのかどうか、これどうお考えですか。
  142. 西脇隆俊

    政府参考人(西脇隆俊君) 今政務官から答弁ございましたように、地元の方で協議会ができているということですが、調査についてはしておりませんし、今のところ検討がないということでございますので、ちょっとこのプロジェクトについて具体の法案の中身に当たるかどうかについては、私どもお答えは持っておりません。
  143. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 私たち日本共産党は、こういった国土形成計画、かつてのですね、依然これらのプロジェクトが残っていると批判をしてきましたけれども、凍結されてきたものが今になってここに来て解除されてきたと、こういう格好であります。  和歌山県の知事は、九月の県議会の答弁で、政権交代して国土強靱化というチャンスだと、挑戦しようと、こういうことまで述べているということも報道されております。  二〇一〇年六月に国土交通省が出している交通基本法の制定、これの前身の基本法ですね、制定と関連施策の充実に向けた基本的な考え方というものの一番最初の部分にはこう書いてあります。移動権の保障による活力のある社会実現、健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な移動権を保障するんだと、かつての交通基本法法律理念、こううたっているわけですね。私は今こそ、国際競争力向上ということではなくて、国民の立場に立って、国民生活の安定、向上に資するために移動権の保障をこの法案に盛り込んで、同時に交通の安全の確保を据えることが大事だということを最後に申し上げて、質疑を終わります。
  144. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 日本維新の会の室井でございます。よろしくお願いいたします。  地方公共交通機関の衰退が指摘されている中、安全の確保と利便性の向上を両立をさせるという問題をいかに解決に導くか、喫緊の課題であります。また、地方都市や過疎地域における公共交通機関の利用者の減少は著しい、厳しいまた状況であり、更に拍車を掛けているという状況であります。公共交通機関としてその役割を放棄しないように経営努力を重ねながらも、やむを得ず減便、また廃止に至り、また更に追い打ちを掛けるように設備投資、更新の遅れなどサービスの低下につながってきたことは否定できません。  まさに、このような社会状況の中でこの本法案を協議をするということは非常に意義あることだと私は考えているところであります。国土交通省の方々に、大臣を始めとして、是非この法案が意義ある、また、効果の上がるまた対応を進めていただきたい、このように御要望をさせていただき、質問に入ります。  本法案は、国、地方公共団体事業者施設管理者、住民その他の関係者による効果的な相互連携協働を図ることにより、交通に関する施策効果的な推進を図るとしております。  第二十一条、第二十七条、第三十一条、特に地方都市公共交通におけるまちづくりとの連携など、相互連携協働を図るための必要な施策は何か、また、国民等の立場に立って国民意見を反映させるための必要な措置とは何か、御説明をください。
  145. 西脇隆俊

    政府参考人(西脇隆俊君) お答えいたします。  先ほどから出ておりますように、交通事業者の経営というのは非常に大変厳しい状況にあります。しかも、この中で、路線バスが多数廃止されるなど、地方都市を中心に地域の足として重要な交通ネットワークの維持が困難となっておるということで、このような状況を打開するためには、まさに地域における総合的なまちづくりと相まって、地域公共交通の再編、それから利用者のニーズに合った新たな輸送サービスの導入を進めることが不可欠だと。例えば、買物とか医療などの日常サービスをコンパクトな拠点を形成するまちづくり連携いたしまして、その拠点と住居エリアを結ぶというような公共交通サービスを充実して、利用者増とともに増収を図るといったようなことが必要だと考えております。  こうした方策を総合的に推進するためには、地元の地方公共団体が中心となって、地域関係者が知恵を出し合って、合意した上で望ましい地域公共交通ネットワークを検討する必要があるというふうに考えておりまして、国土交通省としてはそうした取組を後押しし、全国に普及させるための制度的な枠組みづくりにしっかり取り組んでまいりたいと思っております。  御指摘のように、三十一条で国民等の意見を反映させるための措置について規定しておりますけれども、そうした相互連携協働の下に地域公共交通に関する施策を進めるためには、やはり関係者間の協議の場を設けるとともに、住民の方々の意見の集約ということが必要でございまして、枠組みの検討に当たりましてはそういう点にも十分配慮してまいりたいと考えております。
  146. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 どうかよろしく、廃止路線とか減便が加速しないようにひとつ御努力をお願いをしたいと思います。  次に移りますが、我が国は常に利用者重視と安全優先に立った経済活動が行われてきました。世界において飛躍的な発展につながる要因というふうに私は考えておるところでありますが、このような観点から御質問いたしますが、この公共交通における安全、安心をより確実なものにするため、関係府省庁の連携による安全保安体制の一層の充実が強化されるべきと考えますが、この点についてどのように考えておられるのか、御説明をください。
  147. 高木毅

    ○副大臣(高木毅君) 交通にとりまして安全の確保というのは何事にも優先される課題であると認識をいたしているところでございます。  従来から、交通安全対策基本法、道路運送法、鉄道事業法、海上運送法、航空法などの既存の関係法律に基づいて交通の安全の確保というものが実施されてきているところでございますし、また交通の安全の確保に関する具体的な規定がこの中に整備されているところでございます。  また、本法案には、第七条第一項、交通の安全の確保に関する施策は、国民等の生命、身体及び財産の保護を図る上で重要な役割を果たすという旨がございますし、また同二項には、交通に関する施策の推進に当たっては、交通の安全の確保に関する施策との十分な連携確保されなければならないということになっております。  今後、ただいま申し上げたような規定の趣旨を踏まえつつ、例えば国交省、警察庁、そういった関係府省庁が連携をして、政府が一丸となって交通安全の確保に万全を期してまいりたいと、そのように考えているところでございます。
  148. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 東日本大震災における教訓として、大規模災害が発生した場合、鉄軌道は被害状況によって復旧の見込みが付かず、災害を契機に路線廃止につながることが懸念をされます。  これは一つの実例でありますが、平成二十三年七月、新潟・福島豪雨により、JR東日本只見線の三橋梁の橋桁が流失をしました。土砂災害など大規模な被害を受け、その区間、会津川口から只見線はいまだ運転の再開の見通しが付いておりません。また、非常時における代替交通手段の確保の難しさがありますが、多くの帰宅難民者を発生させることになります。  そこで、国として、災害に強い交通施設の整備と災害時における代替交通手段の確保に関する課題をどのように解決していこうと考えておられるのか、御説明をお願いいたします。
  149. 西脇隆俊

    政府参考人(西脇隆俊君) 我が国は地震、津波などの災害が多い脆弱な国土でございまして、十分な事前防災対策、減災対策を講じていく必要があると考えております。  ただいまJR只見線の例がございましたけれども、交通施設につきましては、災害の発生によりまして、鉄道、道路等の寸断とか、また建物の崩壊や火災によりまして甚大な被害等が発生することが想定されております。また、御指摘のとおり、大都市においては大量の帰宅困難者の発生が予想されます。  このため、国土交通省におきましては、道路、鉄道、空港を含めた建築物等の耐震化、不燃化やネットワーク化によるリダンダンシーの確保等を推進しているところでございまして、さらに、主要駅周辺の滞在者等の安全と都市機能の継続性を確保するために、官民連携によりまして一体的、また計画的なソフト、ハード両面の対策を推進してまいりたいと思っております。  これらの取組によりまして、災害による交通の機能の低下を抑制し、また、迅速な回復が図れるように対処してまいりたいと考えております。
  150. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 よろしくお願いします。この只見線に関しても、地域の要望が非常にあると思いますので、ひとつ御検討のほどお願いを申したいと思います。  今後急速な、今後急速というよりも、現に急速な少子高齢化が始まっておるわけでありますが、その影響を大きく受けることになる離島、離島においては、医師、福祉、商業といった生活サービスの低下が離島の衰退につながる。これはそのような懸念というよりも、現にそういう状況に至っております。交通と離島振興の推進、連携をどのように解決していこうと考えておられるのか、御説明をください。
  151. 西脇隆俊

    政府参考人(西脇隆俊君) 離島が我が国において重要な役割を担っているというのは皆さんの共通認識であると思っております。  このため、離島の振興を図っていくというのは国の重要な責務でございまして、生活基盤、また産業基盤の整備促進の観点から、ハード両面にわたり様々な施策を講じております。  こうした中で、まさに離島ということで隔絶した特殊な環境に置かれておりまして、本土との間とか、また離島間での交通手段を確保していくということも非常に重要な課題でございまして、今委員御指摘のございましたように、病院へ行くとか、あと訪問介護に来られるとか、あと生活必需品の輸送等、まさに生活サービス交通というのは密接な関係がございまして、従前から地域公共交通確保維持改善事業等により支援を行っておりますけれども、今回の交通政策基本法の趣旨を踏まえて、一層離島の振興のためにもろもろの施策と調和を図りながら、離島の交通確保に向けて着実に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  152. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 離島の対応に対しては、ひとつ無人島化していかないように、やはり大切な点である、このように思っております。よろしく御検討、対応お願いをいたします。  続きまして、自動車による輸送量の増大、運輸部門における二酸化炭素排出量の増加、先ほど参考人皆様方のお考えとか、いろいろと御指導をいただきましたけれども、温室効果ガス排出量の削減目標を達成させるため、トラックによる貨物輸送では自家用トラックから営業用トラックへの自営転換の推進、そしてCO2削減にも資する自転車の活用が不可欠となっております。  特に、トラック自営転換についてはどのように考えておられるのか、御説明をください。
  153. 田端浩

    政府参考人(田端浩君) 営業用トラックは自家用トラックに比べましてトンキロ当たりのCO2排出量が七分の一であるなど、環境に優しい輸送手段でございます。このため、自家用トラックから営業用トラックへの転換を進める自営転換が京都議定書目標達成計画において目標達成のための対策と施策として位置付けられております。  また、本年六月二十五日閣議決定されました総合物流政策大綱においても、自営転換の一層の推進が掲げられております。この自営転換につきましては、自家輸送を行っている企業によります転換に向けた取組を喚起するために広範囲の周知啓発が重要でございまして、トラック協会と連携しつつ、継続的に私どもとしても取組を行っております。
  154. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 最後の質問をいたします。大臣に御答弁をいただけるようであります。よろしくお願いいたします。  円滑な移動を可能とする交通施設のバリアフリー化を、東京オリンピック及びパラリンピックの開催年を照準にバリアフリー社会実現させることにより、より国際競争力と国際プレゼンスの強化につながるものと期待をされます。バリアフリー対策をより着実に推進させるためには、どのように取り組んでいくお考えなのか、また、併せて財政措置を含めて御説明をください。
  155. 太田昭宏

    ○国務大臣太田昭宏君) 二〇二〇のオリンピック・パラリンピック、前回の開催と違いますのはパラリンピックというのがあると。長くて忘れるということがありますから、最近政府では二〇二〇東京オリパラと、こういうふうに必ずパラリンピックを付けると。これは非常に大事なことだというふうに思います。  更なるこのバリアフリー化を進めて、パラリンピック開催までに高齢者あるいは障害者、妊産婦、乳幼児、マタニティーマークとかベビーカーの表示、こうしたことが円滑になされて移動できる環境をつくりたいというふうに思っているところです。  これまで、バリアフリー法というのが累次にわたって進められて、最終的に今新しいバリアフリー法として力を入れてきているところですが、もう一段、二〇二〇東京オリパラに対応できるということにしたいというふうに思っています。  あわせて、日本国民全体がオリンピック・パラリンピックを迎えるに当たって、心のバリアフリーと。そうした人と一緒に共生して生きていくということで、押してあげても、坂を、押してぱっと放す方がいらっしゃったりして、逆に逆流するという、そこら辺のどの辺りまで押せばいいかとか、これ介護の世界でも同じなんですけれども、隣に座っている人をこう立たせるという場合でも、これ上にやったら抱きかかえるのは大変力が要るんですが、横にこう引っ張るということになると、いいかげんに、練習したわけじゃありません。そういう介護とか障害者とか、そういう人をどういうふうにするかという心のバリアフリーという、そうした技術というものも含めて二〇二〇オリパラを迎えていきたいというふうに思っているところです。  駅のエレベーターやホームドアを始めとして様々なもの、これ財政支援というものも具体的に付けて、バリアフリー化に向けた取組を強力に推進していきたいと考えております。
  156. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 終わります。
  157. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智です。  先ほど広田理事、田城理事からもこの間の経緯についてのお話もございましたが、我が党は旧社会党時代の一九八九年に法案を発表して以来、二〇〇二年六月の民主党と社会民主党の共同提案、そして二〇〇六年十二月の再提案と、交通基本法の成立を目指してまいりました。十年来の懸案が今回成立するということで大変感慨深いものがございますし、各政党、そして政府、国交省の皆さんのこの間の御尽力に心からの敬意を表します。  まず、移動権の保障について質問をいたします。  当初の交通基本法案の根幹には、憲法二十五条に基づく社会権と自由権の両面から規定する移動権が据えられておりました。  第十七条にも例示されておりますが、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児を同伴する者等のいわゆる移動制約者、交通弱者と言われるような方々は、現在でも交通機関の利用に多くの困難を抱えておられます。例えば、障害を持った方の乗るハンドル形の電動車椅子が交通機関によって乗車拒否される事例もいまだに報告をされています。  こうした現実と照らしても、きちんと法律移動の権利を明記すべきだったのではないでしょうか。移動の権利が盛り込まれなかったことで、基本法の意義や効果がどのように変わるのでしょうか、お尋ねします。
  158. 西脇隆俊

    政府参考人(西脇隆俊君) 移動権又は移動権の保障に関しましては、平成二十二年に交通政策審議会及び社会資本整備審議会に設置され、合同で開催されました交通基本法検討小委員会において議論が行われました。  その際には、権利の内容について国民のコンセンサスが得られているとは言えない状況にあること、また、権利として規定することは利用者、運輸事業者間の対立意識を生じさせるおそれがある等の問題点が委員会で指摘されたところでございます。  また、関連するパブリックコメントにおきましても、移動権については更に検討が必要であるというような意見が過半数を占めたところから、平成二十三年二月に、両審議会は、法定化については時期尚早であるとの報告を大臣に行われたというところでございまして、こうした経緯を踏まえまして、移動権の保障につきましては本法案に盛り込まれなかったところでございまして、あと、移動権の保障の背景となります様々な問題につきましては、それを解決するべくいろんな施策が必要だという認識は十分共有しているつもりでございます。
  159. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 争いのような状況になる可能性があるからそもそも明記しないというのは、早期に基本法を制定するという観点からは一つの工夫だったかもしれません。が、私はいささか禍根を残した、そういう思いもいたしております。移動の権利の理念や判断基準、指標といったものを整理する必要があるのではないかと思っています。  今後、移動の権利の検討はどのようになされるのでしょうか。何らかの検討の場を設けるべきだと思いますが、いかがですか。
  160. 西脇隆俊

    政府参考人(西脇隆俊君) 移動権の保障自体につきましては規定に盛り込まなかったわけでございますけれども、そういうものを検討するに至った課題、背景、例えば離島や山間部等のところでは公共交通維持が困難となって、マイカーなしでは住民が移動できないとか、あと、先ほどから話題になっておりますバリアフリーにつきましても、ハードの整備とともにいわゆる心のバリアフリーもしっかり進める必要がある等々につきましては非常に重要な課題だというふうに思っておりまして、この法案におきましては、国民等の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要であるという基本認識の下に、十六条で日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保、それから十七条で高齢者、障害者、妊産婦等の円滑な移動ということを規定に盛り込んでおりまして、そうした施策を具体化をするために交通政策基本計画を策定いたしまして、達成すべき目標でございますとか具体的に講ずべき施策について定めたいというふうに考えておりまして、こうした基本計画の策定に当たりましては、交通政策審議会社会資本整備審議会意見を聴くとともに、パブリックコメント制度等を活用いたしまして広く国民一般から意見を募るということにもしているわけでございます。  いずれにしても、今後、移動に制約のある方や交通条件に恵まれない地域の方に配慮しつつ、この法律に基づく計画と、及びその施策をしっかりと取り組むことによりまして問題の解決を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  161. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 是非検討の場を設けていただきますようにお願いをしておきたいと思います。  第十三条、法制上、財政上の措置について質問をいたします。  移動権については、形式的に法文上明記するか否かにこだわらず、具体的施策を講じることで実質的に保障していこうという方向性だというふうに理解をしております。であれば、十三条の必要な法制上、財政上の措置として、地域公共交通確保維持改善事業、いわゆる生活交通サバイバル戦略の大幅な予算規模の拡大、先ほど来御議論もありました地域公共交通活性化・再生法の改正なども必要ではないかと考えますが、いかがですか。
  162. 西脇隆俊

    政府参考人(西脇隆俊君) 委員御指摘のとおり、この交通政策基本法案におきましては、住民の足の確保でございますとかバリアフリーも含めまして、それにのっとった施策を具体的に進めていくことが肝要だというふうに思っておりまして、計画の策定、施策の実行を通じてそうしたものを実現していこうというふうに思っております。  今御指摘のございましたその中では、一つは、財政的な仕組みといたしましては、地域公共交通確保維持改善事業、これもいろんな経緯がございまして、徐々に拡充してまいったわけでございますけれども、こうしたものにつきましても引き続き充実に向けた努力を重ねたいと思っておりますし、それから、先ほどから申しておりますように、地元の地方公共団体と一緒になりまして、しかも地域関係者が知恵を出し合って望ましい地域公共交通ネットワークを形成していくというためには、そのための枠組みというようなものも私どもとして提供していく必要があるかなというふうに思っておりまして、この法案が成立いたしますれば、計画を踏まえまして、そうした新しい取組にも積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  163. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 是非、交通政策基本法が成立をしたならば、それを受けた形での来年度予算、目に見える形で是非示していただきたいと思っておりますし、実質的に移動権の保障につながるように、また特段のお取組を要請をしたいと思います。  次に、地方バスの現状について質問します。  第十三条が有効に機能することに期待したいと思いますが、より長期的な課題として、現在、地域公共交通の担い手の確保が大変厳しくなっているという問題があります。中でも、地域の乗り合いバスは全体で七一%、大都市部を除くその他地域では八七%が赤字であり、人件費を抑制して何とか路線を存続させているような状況であります。  こうした中、バスの運転手の年間総労働時間は二千五百三十二時間、これは全産業男子の労働時間より一六%長くなっています。また、一日の勤務の中に拘束時間に含まれない継続四時間以上の中間休息期間が与えられる事例も増えております。さらに、民営バス運転手の年収は約四百四十三万円で、全産業男子平均の八四%にとどまっています。これら長時間労働、不規則勤務、低賃金は、他の交通運輸産業従事者の労働条件とも共通する問題でありますが、運転者の健康状態に起因する事故の増加を招き、安全を脅かしているほか、バス運転者の確保を困難にしている一因ともなっています。  国交省として、バス運転手の長時間不規則労働、低賃金をどのように改善するのでしょうか、あわせて、このような地域公共交通の担い手確保に向けてどのように取り組んでいかれるのか、伺います。
  164. 田端浩

    政府参考人(田端浩君) 委員御指摘のとおり、近年のバス事業、特に地方部の乗合バス事業者において、この運転者の確保が難しくなっているものと承知しております。  事業者団体の日本バス協会ではこの現状分析などを行っておりますが、これによりますと、まず、御指摘のとおり、バスを取り巻く経営環境が厳しさを増していること、また労働時間が長くなっていること、大型二種の免許の保有者が平成二十四年で百三万人と、十四年から比較しましても大きく減少しております。また、高齢化が進んでおります。ということから、運転者の確保を困難としている原因だと指摘しております。  こういう状況を受けまして、国土交通省では自動車局が事務局となりまして、学識経験者、バス事業者、労働組合、また厚生労働省も含みます関係省庁などとともにこの問題を専門的に検討する場を早急に設けたいと考えております。この中で、バスの運転者の確保、育成にかかわる課題や、また先進的な事例の分析、共有を官民一体となって行いまして、効果的な対策、労働条件の改善なども取りまとめる方向で実施に移してまいりたいと考えております。
  165. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 私が最後の質問ですが、本日の一連の質疑を踏まえて、今後の地域公共交通維持、拡充に向けた大臣の御決意を是非伺いたいと思います。
  166. 太田昭宏

    ○国務大臣太田昭宏君) 人口減少少子高齢化の中で、民間バスの七割、民間鉄道の八割が赤字となり、今日の論議でも申し上げましたが、過去五年で八千キロを超えるバス路線が廃止されると、大変地方都市を中心にして維持が困難という状況にございます。これを打開するためには、助成するということは、離島や地方バス路線ということを含めて、助成ということは大事なことでありますが、それとともに、地域における総合的なまちづくりというものと一体化して、地域公共交通の再編や利用者のニーズに即して新しい輸送サービス、こうした導入を進めていくということが不可欠であるというふうに考えているところです。  富山であるとか、あるいは鶴岡、あるいは商店街活性化の丸亀とか、よく言われるわけですが、一昨日行きました黒潮、高知の黒潮町に行ったときも、百四十四世帯のいわゆる過疎というか、そういうところの三つの集落を結ぶ真ん中のところに学校の廃校を利用してお風呂を造り、デパートというんですか、本当に普通の日用品を置いて、そして娯楽もできるというような結節点を置いて、そこにディマンドバスということで回りながらやってくるというようなことをやってセンターをつくっておりましたら、そこでの交通手段も含めていろんな新しい試みというものが今生まれ始めてきているというふうに思います。  これらを含めて、地方公共団体が中心となって、地域関係者が知恵を出し合って、どうした交通体系をつくっていったらいいのかという検討がこれによって始まっていくと、このように私は思っております。制度的な枠組みについても、これらの営みを普及させるためにしっかり取り組んで前進をさせていきたいというふうに思っているところです。
  167. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ありがとうございました。  私は、民間事業者の皆さんが今懸命に御努力をされて、そして行政がそれに支援をするというのは、私は、これは当然、本来公的機関が受け持つコストであると、そのように考えております。そういう立場で是非一層地域公共交通への支援を拡充をしていただきたいと思いますし、また移動権の検討についても強く要請をしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  168. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  169. 辰已孝太郎

    辰已孝太郎君 日本共産党を代表して、交通政策基本法案について反対討論を行います。  反対する第一の理由は、法案に移動の権利、交通権の保障が規定されていないことです。  そもそも、交通基本法の原点は、全ての人が健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な移動の権利、交通権を保障することです。近年、人口減少、高齢化や地方の過疎化などの進展、交通運輸分野の規制緩和政策の推進などにより鉄道バスの路線廃止が相次ぐなど、地域公共交通が衰退し、高齢者を始めとした移動制約者が増大しています。住民の足を守るため、交通移動の権利の保障を明記し、国、地方自治体事業者の責任で地域公共交通維持確保、改善を進めるべきです。  反対する第二の理由は、交通の大前提に置くべき安全確保基本理念などに明記されていないことです。  高速ツアーバスやJR北海道の事故、データ改ざんなど、公共交通機関安全性が問われています。交通安全対策基本法に委ねるのではなく、交通基本法基本理念の第一番目に安全確保が大前提であることを明確に規定すべきです。  反対する第三の理由は、国際競争力強化として国際海上、航空輸送網の拠点となる港湾、空港の整備や企業立地、流通促進のための国内交通網形成などを規定し、国際戦略港湾や大都市圏環状道路など、大型開発事業促進の根拠になり得るからです。  災害対策として規定する相互に代替性のある交通手段には、東京外環道などを含む三重の環状道路建設や東海道新幹線の代替と宣伝するリニア中央新幹線建設などの大型開発も排除されません。今やるべきは、新規の大型開発事業を続けるのではなく、既存インフラの老朽化対策を施策の中心に置くことです。  以上、反対の理由を申し述べ、討論とします。
  170. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  交通政策基本法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  171. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、田城君から発言を求められておりますので、これを許します。田城郁君。
  172. 田城郁

    田城郁君 民主党の田城郁です。  私は、ただいま可決されました交通政策基本法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本維新の会及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     交通政策基本法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。  一 交通政策基本計画の策定及びその施策の推進に当たっては、国、地方公共団体交通関連事業者交通施設管理者、住民その他の関係者による効果的な相互連携が図られるよう配慮するとともに、利用者目線に立ちつつ、国民意見が反映されるよう努めること。また、「社会資本整備重点計画」の内容やその計画期間等との整合に留意すること。さらに、新たな「国土のグランドデザイン」の構築においては、本法の基本理念等がいかされるようにすること。  二 交通における安全・安心をより確実なものとするため、道路交通鉄道の安全等陸上交通の安全、船舶の保安等海上交通の安全及び航空保安等航空交通の安全の各分野について、関係法律で定めるところにより、万全を期すとともに、関係府省庁の連携による安全・保安体制の一層の充実等が図られるよう努めること。  三 運輸事業その他の交通に関する事業が健全に発展し、サービスが安定して供給されるよう、交通に関する施策の推進に当たっては、交通関連事業者及び交通施設管理者による適切な業務の推進、交通に関する事業において必要とされる交通従事者の労働環境の改善及び人材の育成・確保等についても十分に配慮するよう指導すること。  四 大規模災害が発生した場合における被害の軽減及び交通機能の迅速な回復のため、交通施設における老朽化対策及び耐震化対策等を推進するとともに、代替交通手段の整備、避難・救援・緊急輸送など非常時の移動手段の確保等に万全を期すこと。また、東日本大震災の教訓からミッシングリンクの解消等「命の道づくり」をより一層推進すること。  五 今後急速な人口減少・高齢化の進展が見込まれる中で、コンパクトシティの形成など交通まちづくり連携を一層推進するとともに、離島、過疎地域、中山間地域、豪雪地帯、半島地域など地理的、自然的、社会条件の厳しい地域等における国民交通に対する基本的な需要が適切に充足されるよう、地域公共交通や物流の確保維持・改善に努めること。  六 高齢者、乳幼児、障害者、妊産婦等の円滑な移動を可能とする交通施設のバリアフリー化に当たっては、「移動等円滑化の促進に関する基本方針」における目標年が東京オリンピック及びパラリンピックの開催年であることも踏まえ、我が国がより先進的なバリアフリー社会となるよう、その着実な推進を図ること。  七 交通分野における環境負荷の低減、省エネルギー化を推進するため、低公害車の普及促進、貨物輸送におけるモーダルシフトの推進やトラックの自営転換、交通における次世代技術の開発等への取組が一層推進されるよう努めること。また、ICT技術その他の技術の開発・活用等によって、交通の利用者利便の向上交通の効率的な運営による産業競争力の強化観光振興等が図られるよう努めること。  八 自転車が、本法において他の交通モードと並ぶものとして明確に位置付けられたことを踏まえ、自動車や歩行者等との共存関係が形成されるよう、関係府省庁は連携強化し、自転車道・駐輪場の整備等走行環境の改善などその利用促進に向けた施策に取り組むとともに、事故の減少を図るための施策を総合的に講じること。  九 交通の利用促進や物流の円滑化を通じた我が国の成長力の強化を図るため、高速道路鉄道、港湾、空港をはじめとする交通インフラの料金や運賃等については、利用者利便や国際競争力の更なる向上に資するとともに各交通モード間の持続的な連携を可能とするバランスある水準となるよう十分に配慮すること。  十 二〇二〇年の東京オリンピック及びパラリンピックの開催に向けて、日本の津々浦々まで外国人旅客が旅できる国土地域づくりを目指して、交通手段の充実、移動の円滑化、観光旅客の円滑な往来の促進等を図るとともに、万が一の大規模災害発生時における交通機能の維持、円滑な避難の確保等に万全を期すること。  十一 交通に対する基本的な需要の充足に当たっては、高齢者、障害者、妊産婦等を含む国民が日常生活及び社会生活を営むに当たり必要な移動、物資の円滑な流通等の需要が十分にくみ取られたものとなるよう最大限配慮すること。国民交通に対する基本的な需要が充足され、安全・安心・快適な移動実現されるよう、万全を期すこと。  十二 本法の制定及び交通政策基本計画の策定を踏まえ、これまでの交通政策の見直しを行うとともに、法制や助成制度を含め、行政運用に的確に対応すること。また、本法の施行状況について一定期間ごとに検証を行い所要の見直しを図ること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いをいたします。
  173. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) ただいま田城君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  174. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 多数と認めます。よって、田城君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、太田国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。太田国土交通大臣
  175. 太田昭宏

    ○国務大臣太田昭宏君) 交通政策基本法案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長を始め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。  大変ありがとうございました。
  176. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  178. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 次に、特定船舶入港禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶入港禁止実施につき承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。太田国土交通大臣
  179. 太田昭宏

    ○国務大臣太田昭宏君) ただいま議題となりました特定船舶入港禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶入港禁止実施につき承認を求めるの件の提案理由につきまして御説明申し上げます。  我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を始めとする我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、同年十月十四日以降、北朝鮮船籍の全ての船舶に対する本邦の港への入港禁止実施してきております。政府においては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮の対応や、六者会合、国際連合安全保障理事会等における国際社会動き等、その後の我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、北朝鮮がこれ以上の挑発行為を控え、諸懸案の解決に向けた前向きで具体的な行動を取るよう強く求めるため、入港禁止実施期間について、従来の一年間の延長に替えて二年間の延長を行うことといたしました。  これを受けて、特定船舶入港禁止に関する特別措置法第三条第三項の規定に基づき、平成二十五年四月五日の閣議において、引き続き平成二十七年四月十三日までの間、北朝鮮船籍の全ての船舶に対し、本邦の港への入港禁止することを決定いたしました。本件はこれに基づく入港禁止実施について、同法第五条第一項の規定に基づき国会の承認を求めるものであります。  以上が本件を提案する理由であります。  本件につき速やかに御承認いただきますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
  180. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  特定船舶入港禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶入港禁止実施につき承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  181. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 藤本祐司

    委員長藤本祐司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時九分散会