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2013-11-25 第185回国会 参議院 国家安全保障に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年十一月二十五日(月曜日)    午前十時九分開会     ─────────────    委員異動  十一月二十二日     辞任         補欠選任      石上 俊雄君     藤田 幸久君  十一月二十五日     辞任         補欠選任      佐藤ゆかり君     酒井 庸行君      二之湯武史君     舞立 昇治君      小川 敏夫君     白  眞勲君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中川 雅治君     理 事                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 芝  博一君                 福山 哲郎君                 石川 博崇君     委 員                 猪口 邦子君                 岩井 茂樹君                 宇都 隆史君                 江島  潔君                 北村 経夫君                 上月 良祐君                 佐藤ゆかり君                 酒井 庸行君                 二之湯武史君                 舞立 昇治君                 松山 政司君                 三宅 伸吾君                 大野 元裕君                 神本美恵子君                 白  眞勲君                 藤田 幸久君                 牧山ひろえ君                 矢倉 克夫君                 山本 香苗君                 小野 次郎君                 真山 勇一君                 井上 哲士君                 仁比 聡平君                 中山 恭子君                 福島みずほ君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     小野寺五典君        国務大臣        (内閣官房長官) 菅  義偉君        国務大臣     森 まさこ君    事務局側        常任委員会専門        員        五十嵐吉郎君        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       北崎 秀一君        内閣官房内閣審        議官       能化 正樹君        内閣官房内閣情        報調査室内閣審        議官       鈴木 良之君        外務大臣官房審        議官       秋葉 剛男君        外務大臣官房参        事官       山崎 和之君        外務大臣官房参        事官       山田 滝雄君        防衛省防衛政策        局長       徳地 秀士君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案  (第百八十三回国会内閣提出、第百八十五回国  会衆議院送付)     ─────────────
  2. 中川雅治

    委員長中川雅治君) ただいまから国家安全保障に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、石上俊雄君及び小川敏夫君が委員辞任され、その補欠として藤田幸久君及び白眞勲君が選任されました。     ─────────────
  3. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 福山哲郎

    福山哲郎君 おはようございます。月曜日の早朝から本当にお疲れさまでございます。よろしくお願いいたします。  今朝の通告になりましたので外務大臣には大変恐縮でございますが、非常に日本安全保障にとって重要なことが起こりましたので、質問させていただきたいと思います。  十一月の二十三日、中国尖閣諸島の上空を含む東シナ海防空識別圏設定したと発表いたしました。もう日本政府一定抗議を伝えたというふうに報道をされておりますが、我が国領空を含むもので、これは本当に、これは防衛大臣も非常に緊張感が高まっていると思いますが、不測事態を招きかねないものだというふうに思っております。  外務省防衛省の現時点の対応、そして今の外務大臣のこの問題に対する所見をまずお聞かせいただきたいと思います。
  5. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 十一月の二十三日ですが、中国外交部東シナ海防空識別区を設定し、当該空域飛行する航空機に対し中国国防部の定める規則を強制し、これに従わない場合には中国軍による防御的緊急措置をとる旨発表いたしました。  まず、中国がこうした空域設定して、そして自国の規則に従うことを義務付ける、こうしたことは、東シナ海における現状を一方的に変更し、事態をエスカレートさせ、そして現場空域において不測事態を招きかねない非常に危険なものであると認識をしております。  そして、今回発表された措置は、国際法上の一般原則である公海上における飛行の自由の原則を不当に侵害する、こういったものであります。また、この中国側設定した空域我が国固有の領土である尖閣諸島領空があたかも中国領空であるかのごとき表示をしております。こういった点からも、我が国は全く受け入れることができないと認識をしております。  外交ルートを通じまして懸念を表明し、抗議を行い、そしてこの関連措置撤回を今求めているところでありますし、昨日は外務大臣談話も発出させていただきました。そして、この問題は、我が国のみならず、東シナ海現状変更ということでありますので、関係国にとりましてもこれはひとしく懸念事項だと認識をしております。是非、米国とはもう既に緊密に連携協議をしておりますが、関係国あるいはパートナーとも協力していき、中国の自制を強く求めていきたいと考えております。
  6. 福山哲郎

    福山哲郎君 大変毅然とした御答弁をいただきまして、ありがとうございます。大臣おっしゃられるとおり、これは完全に一方的に現状変更向こう側が動いたということでございますので、非常に僕は問題だと思っております。  外務大臣がもう御答弁いただいたので、私、申し上げようと思っていたのは、やっぱり韓国を始めとして東アジア全体の現状変更につながってきますので、これは関係諸国と緊密に連携をしていただいて、中国に対して厳しい対応お願いしたいと思います。  一方で、昨日の抗議は、報道によりますと、局長から向こうの公使に対しての抗議をされたというふうに報道にはありますが、私の感じでいうと、このレベルでいいのかと。大臣談話を発出されたことも私は評価をしておりますし、そのことは承った上で、このレベル抗議でいいのかどうかについてちょっと御答弁いただけますでしょうか。
  7. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 済みません。まず、先ほど答弁させていただいた際に、十一月二十三日、中国外交部はと答弁させていただいたようですが、訂正させていただきます。中国国防部に訂正させていただきます。  そして、その上でただいまの質問ですが、こうした事態に対しましてまずは迅速に我が国として反応することを心掛け、アジア大洋局長、そして今度、在中国の我が方の大使館から先方に対して懸念を表明し、そして抗議を行い、そして関連措置撤回を求めたわけであります。そして、その後、内閣官房におきまして、関係省庁局長級会議を開き、情報収集と、そして対応を検討している、こういった状況であります。  大臣談話は発出いたしましたが、今後、この対応につきましては、状況をしっかり判断しながら抗議レベル等についても検討をしていきたいと考えています。
  8. 福山哲郎

    福山哲郎君 是非、迅速かつ非常に分かりやすい対応を、相手にとっても分かりやすい対応をしていただきたいとお願いをしたいと思います。  一方で、いわゆる防空識別圏設定をする、現状変更をするような問題について、中国側から事前に何らかの政府に対しての報告なり事前通告なりはあったんでしょうか。
  9. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 本件につきましては、二十三日午前、中国国防部から我が方在中国大使館に対し、中国国防部東シナ海防空識別区を設定する旨説明がありました。直前でありましたが、説明はございました。
  10. 福山哲郎

    福山哲郎君 それ以前には、何らかのシグナルなり兆候はキャッチはできなかったんでしょうか。
  11. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国への説明は、ただいま申し上げましたように、公表される直前でありました。それ以前につきましては、当然のことながら我が国としましては様々な情報収集に努めてきているわけでありますが、具体的なこの件につきまして、少なくとも私は承知はしておりませんでした。
  12. 福山哲郎

    福山哲郎君 この問題は国益に資しますから、私は、いたずらに政府を追及したり外務省に対して批判的な議論をするつもりはありません。  しかし、十一月十日、毎日新聞によると、中国空軍防空識別圏設定を検討しているという報道があります。中国国内においては、この話は随分と内々というか、一定出回っていたということも実は中国のある専門家から私も承りました。これが、信憑性の問題もあるので、逆に政府から正式にそういった報道レベル抗議がしにくいというものも私は理解をしているつもりです。しかし、そういったことが報道される前に何らかの手を打てなかったかどうかということについては、できるできないの結果は別にして、あったのかもしれないなというのは、私、若干そこは感じています。  それで、けしからぬとかいうことを今言いたいわけではないのですが、そういった情報にやっぱり注視をしていただいて、何らかの手を打っておく必要もあったのではないかというのを若干注意喚起をしておきたいというふうに思いますので、そこは大臣、いかがですか。
  13. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) あらゆる課題について情報収集に努め、そしてそれを分析し、そして外交を行っていく、こうした姿勢は当然のことながら重要なことであります。  この件に限らず、あらゆる情報収集には今後とも努めていかなければならないと存じますし、しっかり分析し、対応に心掛けていきたいと考えています。
  14. 福山哲郎

    福山哲郎君 余り直接お答えになりませんでしたけれども、逆にこういう報道が出た後って、中国内で中国の国防省がこういう準備を始めているのではないかという話の中で、どう内々外交的に相手側に対していろんなメッセージを伝えることも実は必要だったと、ひょっとしたらやっておられるかもしれませんが、それは言いにくいことだと思いますのでもうこれ以上は申し上げませんが、非常にこれから、不測事態も含めて、これから私議論をさせていただく、官邸危機管理センターの内部、それから防衛省、海上保安庁、恐らくこのことを含めてかなり緊張感の高まる勤務が続くと思いますので、是非そこは、大臣皆さん、よろしくお願いをしたいと思います。  防衛大臣、一応聞いておきましょうか、この状況について。やはり、いや、お呼びしたからには、僕忘れていたわけではないので、お伺いします。
  15. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 御指名ありがとうございます。  防衛省としましても、中国側のこのような一方的な設定に関しては、飛行を制限するということになりますので、現場海空域において不測事態を招きかねない非常に危険な状況だと思っております。  二十三日の中国による公表については今外務大臣から御説明がありましたが、防衛省におきましても、私が夕刻、幹部を集めまして情報収集等について協議を行いました。また、通報を受けた段階では、速やかに現場指揮官までしっかりとした対応をするようにということで指示を出させていただきました。  引き続き万全の態勢を取ってまいりますし、また今後とも、やはり我が国周辺海空域における警戒監視活動は、万全はもとよりでありますが、国際法及び自衛隊法に従い、厳正な対領空侵犯措置を実施していきたいと思っております。
  16. 福山哲郎

    福山哲郎君 是非防衛大臣におかれましてもよろしくお願いしたいと思います。  若干用意していた質問前後しますが、官房長官、よろしくお願いしたいと思います。  まさに今、領空領海侵犯のリスクが高まっている状況でございますので、緊急時の国家安全保障局長、いわゆるNSC役割、職責についてお伺いをしたいと思います。この質疑は、私、例えば何か引っかけたり、何か落とし穴があったりするような質問をする気は全くありませんので、官房長官是非真摯に御議論できればと思いますので、よろしくお願いします。  私は、前も申し上げましたが、官房長官のときに東日本大震災にも対応させていただきました。天安や延坪島のときもやらせていただきました。日本官邸にいる官僚の皆さんは大変優秀な方がいらっしゃって、日本の国民の安全、安心のためには本当に昼夜を分かたず懸命に仕事をしてくれたと僕は思っています。  その中で、答弁の中で官房長官は言われましたが、いわゆる危機管理センター、いわゆる初動の緊急参集チームの招集はこれまでと同様、NSCができても危機管理監だという答弁をいただいています。それを聞いて、私はある意味良かったと思ったんですけど。  例えば震災のとき、当然、お手元に資料をお配りしておりますが、二枚目の資料を見ていただきますと、当時、内閣官房危機管理に関する体制というのは、総理がいらっしゃって、官房長官がいらっしゃって、そして官房長官があって、危機管理監がいらっしゃいました。この危機管理監現実オペレーションはやってくださっていました。その下に、災害のときには統括官がい、そして安全保障に関係するところでいえば、官房長官補外政安危の方々が本当に懸命に危機管理監とタッグを組んでというか、協力をしてやっていただきました。もちろん、そこで我々もずっと常駐をしながら指揮は出しますが、しかし、現場オペレーションはこの危機管理監、そして安危外政、それぞれがよく分かっておられましたので、自衛隊派遣等についても即応態勢を取っていただいたりしたことを覚えています。  実は、今回の安全保障局長は、立案調整という議論があるんですが、現実には非常に重要な安全保障上の情報とかが来ると。しかし、この危機管理体制の中でどこに安全保障局長が入ってくるのか僕はイメージできないんですね。それと、もう一つ申し上げると、後で議論しますが、内閣総理大臣補佐官がこの体制でどこに入ってくるのかが正直申し上げて余りイメージできないんです。  御案内のように、緊急事態即応性が重要です。指揮系統がはっきりしていることが重要です。ラインとして情報が上がってくることが重要です。そのときに、安全保障局長内閣総理大臣補佐官がどういう動きをされるのかを、これこそNSC議論の中で役割事前に決めておいていただかないと非常に混乱をすると思っています。  そのことに対して、大変生意気ながら、官房長官、どういう今思いでいらっしゃるのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  17. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今委員からこの資料を提供いただきました。やはり、今回の国家安全保障局長、その位置付けでありますけれども、これは内閣官房長官の、同じような形でその指揮に入るわけであります。そして、内閣危機管理監とはまさに同等の役職というふうに考えています。お互いに総理の、特別職国家公務員ということであります。そして、そこは明快に分けたいと思っています。まさに、従来どおりの、政府事態対処の機能はこれまでも充実強化してきました。そういう中で、危機管理に従事する内閣危機管理監中心として、そうした事態対処は行うという形にさせていただいています。  一方、この国家安全保障会議、これは外交安全保障政策の司令塔としての役割をしっかり果たしてもらうことができるように会議を支えるものでありまして、国家安全保障局には危機管理は担当させずに、国家安全保障政策に関する企画立案総合調整、これに専従させようというふうに思っております。  このように、国家安全保障局長とこの危機管理監、これをしっかりと分ける体制というのが私どもが考えておる体制でありますし、現在において一番ふさわしいというふうに考えます。
  18. 福山哲郎

    福山哲郎君 役割を分けていただくということをはっきり明言されたのは、僕は一つの、逆に大きな御答弁をいただいたと思っています。これで危機管理監安全保障局長に気を遣わずに指揮命令ができるわけです。  そうすると、緊急事態のときに、これは実は事前事務方への質疑のときに出てきたんですが、緊急対応時、国家安全保障局長役割は何かと私は事務方に聞いたら、自衛隊配置等があると答えたんです。私は、自衛隊配置等があるということになると、実は、それは官房長官補防衛省から来られている方と安全保障局長役割の違いは何だと言ったら、そこはもううやむやになってしまったんですね。  これはまあ事務方が多分その場で発言をされたので、余りはっきりとした系統立った話ではないと思うんですけど、今の官房長官のお話を承ると、そこの、例えば自衛隊配置等についても、これまで同様、危機管理監と副長官補安危外政のそれぞれが役割を担うという形でよろしいですね。
  19. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 従来と全く変わらないように考えています。
  20. 福山哲郎

    福山哲郎君 そうすると、緊急時は国家安全保障局長は何をするんですかね。
  21. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) まさにこの事態対処中心内閣危機管理監でありまして、この危機管理監の下に緊急参集チームがこれ入ります。そこに、国家安全保障局長内閣危機管理監と日ごろ連携をしていますから、この緊急参集チーム国家安全保障局長も参加をして内閣危機管理監と緊密に協力するとともに、国家安全保障局の職務も危機管理の職員と対応すること、こうしたことも考えておるところであります。  そして、あくまでも対処事態内閣危機管理監指揮の下で行うと、そして国家安全保障局長はその外交防衛政策企画立案そして総合調整、このように分けて考えています。
  22. 福山哲郎

    福山哲郎君 緊急参集チームのメンバーとして加わると、だけど指揮命令危機管理監がやるということを整理していただいたので、一定僕は見えました。見えたので実は良かったなと思っているんですけど、それでも、国家安全保障局長は恐らく次官級ですよね。で、危機管理監は警視総監の御出身も含めてやはりそれなりレベルで、官房長官補も実はそれなりレベルの人がいると。つまり、この安全保障局長に配慮したり気を遣う体制をつくればつくるほど、実は危機管理即応性が弱くなるんです。  今報道に出ている安全保障局長のお名前の方は立派な方だと僕は思います。しかし、それは現場の警察のように各都道府県警が分かっているとか、自衛隊のように各駐屯地、各部隊部隊状況が分かっている方ではない。だから、この安全保障局長が本当に余り緊急時には出っ張らないでいただきたいというのが私の率直なところです。安全保障局長は一般的に言うと省庁間の調整とか企画立案されますが、基本的にはそれは事務の副長官がやられるはずです、現実には。  だから、そういう状態も含めて、是非そこの整理整頓は、今官房長官が私に、野党の私にこれだけ答弁いただいたので非常にすっきりはしたんですけれども、そこのことには是非、緊急時、御留意をいただきたいとお願いをしたいと思います。  一方で、補佐官です。これまた、この図の中でいうと、補佐官どこにいるのという感じなんです。変な話ですけれども、審議の中でも補佐官位置付けは非常に課題になっています。官房長官答弁の中で情報共有意見交換をやっていくと言われて、NSCにも出席できるんだというんですが、この情報共有意見交換は組織としては担保できないんですよ。だって、補佐官ライン何にもないんだから、総理に提言するだけなんですから。  そうすると、属人的な話になると実は非常に危ない。そのことで、例えば補佐官が自分のところはライン情報が来ないからといって走り回ったり、あっちこっちに行って、正直申し上げて多少思い付きみたいな発言されるのも緊急時には非常に困る。平時はまだいいです。ここも私は非常に問題意識があります。  だからこそ、我々の修正案では補佐官を外させていただいて、安全保障に関する官房長官をきっちりラインで置いてくださいと、その下に危機管理監を置いていただければはっきりと役割が分かるということを我々の修正案では出させていただいたんです。ですから、そのことは我々も与党を経験させていただいたことを含めてお願いをして、そこは残念ながら与党にはのんでいただきませんでした。  ただ、そういう問題意識だということと補佐官役割というのが非常に曖昧だということについても官房長官には是非、そこはもう重々御理解いただいていると思いますが、まあ御答弁しにくいと思いますが、御答弁いただければと思います。
  23. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私ども、この法案を作る段階でも大変な議論をしました。ただ、そういう中で、やはり総理のあくまでも直轄のスタッフとして総理に助言を行い、その判断を助ける役割をすると、そういうことにさせていただきました。  そしてまた、これいろんな危機になったときに、総理の命を受けて、私何回か申し上げていますけれども、それぞれの政党への説明だとか、与党野党も問わず説明等は、やはりそれなりに精通をして総理の意を酌んで説明できる人が必要だろうというふうに思っていますので、そういう中で私たちはこの総理補佐官を設けさせていただくことになったわけですけれども、いずれにしろ、総理大臣中心にこの国家安全保障会議を設計する中でそれは必要だという判断をさせていただいたところであります。
  24. 福山哲郎

    福山哲郎君 それでもまだ私は、若干この総理大臣補佐官懸念をしています。  例えば、今回、国家安全保障局総理補佐官は常設なんですけれども、法文上、非常勤なんですね。これ、例えば緊急事態のときに、安全保障局長は先ほど危機管理センターに飛び込むと言われました。ということは、安全保障局長危機管理監同様緊急事態に備えて非常に官邸の近くのところに常駐していただける。しかし、補佐官はこれ非常勤なんですね。これ、非常勤補佐官もこの安全保障担当補佐官になった場合は、当然、じゃ緊急対応用に短時間で来れるような、それが、まさに政治家の場合には本当に来れるのかという懸念も実は私は持っているんですけれども、そういう状況になるというふうに考えてよろしいですか。
  25. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 基本的には緊急参集チームには入っておりません、緊急参集チームには局長がこれ入ることになっていますから。今御指摘もいただきました、そこはしっかり検討させていただきたいと思います。
  26. 福山哲郎

    福山哲郎君 常に官邸に入る体制も取っていない補佐官なんですね。これは、安全保障局長危機管理監とはもう全然、ラインも含めて、正直言って業務の質が全く変わってくるんですね。そのことについては本当に、その方が、緊急の危機管理のときに、みんなが危機管理センターでやっているときに何時間後かに入ってきて好きなことを言うみたいな話は何とか勘弁をしていただきたいと、ちょっと言葉は悪いんですが、そういうのは本当に思います。  逆に、補佐官がアメリカのNSC補佐官と例えば交渉するような話も官房長官答弁で言われています。私、これ実は問題だと思っているんですね。情報もない、ましてや責任も非常に曖昧、総理に助言するだけの人がアメリカのNSC補佐官と交渉するなんというのは、基本的には補佐官という、訳語ではアメリカの補佐官、訳語になっていますが、全然多分権限も違う、職務も違う。もっと言えば、この補佐官は国会答弁の義務もないんです。国会答弁の義務のない補佐官がアメリカのNSC補佐官、大統領補佐官と交渉なんかされちゃ、申し訳ないです、たまらない、僕はそんなのは考えられない、正直申し上げて。  だから、僕は別に補佐官という役割を下に見ているわけではありません。しかし、やっぱり職責とそれぞれの責任というのがあるので、そこについて官房長官が、アメリカの大統領補佐官と交渉することもあるんだというような発言を答弁でされているので、それはまずいでしょうと。国会への説明責任がない、更に言えばラインにもない、そして緊急事態に対していえば、基本的に危機管理センターに飛び込まなきゃいけない義務もない、こういう人がアメリカと何らかの安全保障や災害のときに交渉ができるというのは僕的に言うとあり得ないと思いますので、そこについては、官房長官是非御検討いただきたいと思います。
  27. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 国家安全保障局長が、米国の安全保障担当大統領補佐官を始め各国のNSCの責任者と平素から緊密な連絡を取って、そのカウンターパートであります。補佐官が米国の大統領補佐官を始め会談をするということは、総理の特命を受けた場合のみというふうに考えていただきたいと思います。
  28. 福山哲郎

    福山哲郎君 これも、基本的にはやらない、総理の特命で特別の場合だけという形にしていただければと思います。  我々も、尖閣のときに細野補佐官中国に派遣をしたということがあります。だから、一定その事情は僕は分かりますが、対外的な通常の交渉なり通常の連絡は補佐官ではなく安全保障局長お願いしたいと思いますし、問題は、その安全保障局長と万が一のときの危機管理対応について危機管理監が本当に連携をしておかないと、緊急時は危機管理監が行くけれども、ふだんの、平素の例えば日米の交渉はこっちだけでやっていましたといってここが分断されていると非常に問題だと私は思っていますので、そのことも付言をさせていただきたいと思います。  それから、事務局です。もう時間がないので、お手元の表を見ていただければと思います。  実は、一枚目の表は、省庁再編前、自民党のかつての政権のときにあった省庁再編前の官房事務局です。これは、いわゆる外政審議室と安全保障危機管理室がばらばらになっていました。ばらばらになっているのを、実は省庁再編のときに自民党政権が下のような形に変えました。これは、危機管理安全保障は一体となって対応しなければいけないということで、官房長官補の下に内政と外政安全保障危機管理事務のスタッフを一緒にして、例えば尖閣に何らかのことがあったときにはその事務方がみんな協力してやっていました。震災のときは、警察の派遣も自衛官の派遣も海保の派遣もみんな一緒だから、逆に外政安危も含めて、それから海外からのいろんな支援も含めて、事務方が本当に一緒になってやってくれていました。これは、僕は自民党政権がやった省庁再編の中で非常に良かった点だと思っています。それは、現実に私もその中で仕事をさせていただいたからです。  ところが、三枚目を見てください。今回また、副長官補の下に危機管理外政、そして新しく安全保障局長の下に、いわゆる六十人と言われている安全保障局の局ができると。これ、またもう一度元へ戻すんですかと、分けるんですかと。先ほど申し上げたように、尖閣の問題は、もちろん防衛省外務省、重要ですが、海保も重要な本当にアクターとしてやっていただいています。そこを、またこれ外政危機管理安全保障局といって事務局を分けて、また先祖返りをして縦割りつくるんですかと。  私は、非常に実はこれは残念に思っています。だから、我々の修正案には、先ほど申し上げたように、副長官で、安全保障危機管理の副長官を専任に置いて、その下に全部の事務局をお願いをして、一体として縦割りを排して事務局をつくろうという案を修正案として出させていただきました。  是非、この話は、もうこの法案、残念ながら私たちから見ると少し、補佐官の問題、事務局の問題を含めて、また縦割りに戻るんじゃないかとか、余計なものがぶら下がったんじゃないかとか、危機管理体制のときに危機管理監安全保障局長に気を遣わなきゃいけないんじゃないかとか、何か非常にそういう懸念はあるんです。  ただ、そこは官房長官の采配一つだと思いますので、是非、どんな事態が起こるか分かりません、私も三・一一みたいな東日本大震災にまさか東北の皆さんも含めて遭遇するとは思いませんでしたけど、起こり得ることは分からないんですね。その起こったときにどう機動的に対応するのかというときに、今日後ろに控えておられる方はもう本当に優秀な方がたくさんいらっしゃいます、彼らがいかに働きやすい環境をつくっていただけるかが重要なので、今回のこの仕組みは、私は実は相当心配しています。また縦割りに事務局戻したんだと、そこの意思疎通どうするんだと。  それは全て政治の方で、官房長官が、大変恐縮ですが、私のような者が申し上げるのは、配慮いただいて、そこのことについては常に心を砕いていただいて、国民の安全を守る、まさにNSCであり官邸危機管理体制ですので、そこのことを官房長官に心からお願いをして、御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  29. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 官邸の中で大変御苦労されて、その思いの中の提言だと思いますので、そこはしっかり重く受け止めさせていただきたいと思います。
  30. 福山哲郎

    福山哲郎君 終わります。
  31. 石川博崇

    ○石川博崇君 おはようございます。公明党の石川博崇でございます。  月曜日の朝から、委員の皆様、また菅官房長官始め関係者の皆様、大変に御苦労さまでございます。  本参議院の国家安全保障特別委員会、随分と充実した審議を続けてまいりました。菅官房長官始め関係閣僚の皆様方には、御都合を付けていただき、この委員会に足を運んで熱心に誠実にお答えいただきましたことに感謝を申し上げたいというふうに思います。  私からは、これまでの質疑の中、参考人からも大変貴重な御意見を賜りました、また、総理とのテレビ入りの質疑も随分と活発な議論が行われたというふうな中で、最後に一点だけ確認をさせていただきたいという点があり、今日御質問させていただきたいというふうに思います。  今回の国家安全保障会議の設立によりまして、外交安全保障政策を外務、防衛、各省庁が縦割りを排して一体的に機動的に、特に四大臣会合を軸として行っていく、現下の大変我が国を取り巻く厳しい国際環境の中で極めて意義のあることだというふうに考えております。そうした中で、この国家安全保障局事務体制を担って中心的な役割を果たしていくわけでございますが、六十人体制から始めて今後機能を拡充していくということも御答弁いただいております。  そうした中で、是非今後運用の中で御検討いただきたいというふうに思っておりますのは広報戦略でございます。パブリックディプロマシーの重要性を私から指摘するまでもございませんが、やはり外交安全保障政策を進める上で対外的な広報戦略をどう練っていくのかということは極めて重要な機能でございます。これをこれまでどおり外務省防衛省あるいは他の部局がそれぞれ別個ばらばらにやっていくということではなく、せっかくこうやって統一的な機動的な機能をつくるわけでございますから、この広報戦略についてもしっかり国家安全保障局の方で統一的な役割を担っていただきたい。  また、あわせまして、どのような外交政策あるいは安全保障政策を取るにあっても、やっぱり国民の皆様方からの幅広い御理解とそして支援、支持がなければ進めることはできないというふうに思っております。国家安全保障局の方で様々今後進めていかれる政策立案の過程の透明性とかあるいは国民の皆様方への不断の情報発信、こうしたことにも是非国家安全保障局として尽力をしていただきたいというふうに思っております。  今のところその六十人の体制の中でいろいろな班をつくってという話は出ておりますけれども、こういった広報戦略を担う部局、あるいは国民への情報発信、ホームページを立ち上げられるのか、あるいはどのような総理としてのメッセージを国民に対して発していくのか、いろいろやり方はあろうかと思いますけれども、そういった話が残念ながら委員会等での質疑ではなかったなというふうに思っておりまして、この点、最後に官房長官に確認をさせていただきたいと思います。御答弁、よろしくお願いします。
  32. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 国家安全保障会議ができて、そして我が国国家安全保障外交防衛政策中心にその保障会議の中で決定をし、そのことを対外的に発信をしていく、極めて大事だというふうに考えております。実は有識者会議皆さんからもこの広報機能の強化について御指摘もいただいております。そういう中で、政府としては、これから法案、成立をした暁には、その広報の仕方、そうしたものをしっかりと局内で考えながら、国民の皆さんに、そして海外に発信できるような体制というものをつくっていきたいというふうに考えています。  それと、委員外務省にいられて様々な広報に精通をしておられるわけでありますけれども、現在の我が国の広報について、私自身も官房長官に就任してから余りにも縦割り過ぎるのじゃないかと、連携が取れていないと。そういう中で、内閣広報官を中心に今戦略的に広報を行うことができるような体制をつくっているところでありますので、今の提案を真摯に受け止めたいというふうに思います。  そして、具体的にありましたホームページの件でありますけれども、対外的に、このホームページを含めて、これ、つくっているところが意外に調べさせたら少ないわけですけれども、必要であればそうしたものを含めて検討していきたいというふうに考えています。
  33. 石川博崇

    ○石川博崇君 是非、精力的に御検討いただき、また、この国家安全保障局、そして会議の設立に当たっては、これをつくられた最初の内閣として後世の範となる運用をお願いし、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  34. 真山勇一

    ○真山勇一君 みんなの党の真山勇一です。  今回のこの法案の審議をしているさなかに中国のああした行動が出てきて、まさに、いろいろな情報をどうやって収集しているのか、事前に予測ができているのかどうか、あるいはそれを、集めた情報をどうやって分析していくのか、そしてさらにはどういう対応を取るのかというようなことですね、やっぱり一つのモデルケースとしてまさにシミュレーションをしてもいいような事態がやっぱり起きているわけです。こうしたことを見ても、今の日本の置かれている国際情勢の中で、NSC国家安全保障会議というものがやっぱりどうしても必要であるという認識は大分出てきたというふうに思っております。  ただ、そうは申しましても、まだその審議の過程で様々な疑問点とか問題点があります。修正にも大分応じていただいてきています。しかし、まだ解決しなければいけない、私たちが修正しなくてはいけないというふうに感じているものはまだまだあると思いますし、この法案が実際に運用に入るとまた更に様々な問題点、改善をしなければならないところが明らかになってくる、予想されるんではないかというふうに思っております。  ひとつ是非伺いたいのは、この運用した後、必ずこうした問題点、疑問点、改善点、そうしたことの見直しあるいは修正、これの取組を必ずしていただけるのかどうか、その辺りの姿勢、取組についての約束を是非していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  35. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) この審議を通じまして、各委員皆さんからもいろんな御指摘もいただきました。まさにこの国家安全保障会議我が国初めてでありますので、六十人体制でスタートをさせていただいて、必要なものであれば当然変えていくし、不必要なものがあればそれは省いていくというのがこれは当然のことであるというふうに考えています。そして、アメリカを始め各国のNSCの歴史をひもといてみても、そういう試行錯誤をしながら今日に至っている、そういう歴史もありますので、私たちもそこは柔軟に対応していきたいと考えています。
  36. 真山勇一

    ○真山勇一君 柔軟な対応というお答えじゃなくて、もう少し踏み込んだ、やはりこれだけ大事な、重要な、国民も注視をしている法案なので、できましたら、やはり見直し、修正、こうしたものに意欲的に是非今後も取り組んでいっていただきたいというふうに思っています。  そして、私はやっぱり、特に、様々な問題まだありますけれども、情報のその処理の仕方ということでまだ幾らかいろんな危惧を持っております。その点を伺っていきたいんですけれども。  まず、特定秘密というのが、これまでの審議の中で、どのくらいかという数字、これは正確に出ないので予想ということで出ておりました。その数字、これがその後の審議とか状況で何か新たに変わったり、あるいはそのまんまかどうか、その辺り、まず確認を行いたいと思います。
  37. 鈴木良之

    政府参考人(鈴木良之君) お答えします。  平成二十四年末現在の特別管理秘密の文書等の件数は約四十二万件と承知しております。本法案において特定秘密として指定される情報を記録する文書等の件数の見通しについては、現時点では確たることを申し上げることは困難でありますが、特定秘密は特別管理秘密よりも更に対象範囲を限定していることから、特定秘密の対象文書等の件数は特別管理秘密文書等の先ほどの約四十二万件より限られるのではないかと考えております。
  38. 真山勇一

    ○真山勇一君 四十二万件が予想ということですが、それよりも特定秘密は限定されるので少なくなるだろうということです。どの程度少なくなるかということが一つちょっと分からないのであれなんですけれども、例えばこの数字、例えば四十二万件、あるいはこれより多少少ないとしても、かなりの情報というものが集まってくるというふうに予想されているわけですけれども。  問題は、集まってくる情報、これを一体どこで集約をするのか、そして集約した後、評価、分析、そして政策に生かすということなんですが、その辺りはどこがやるのか、これをもう一度確認したい。その情報の流れ、フロー、これがどうなるのかを確認したいと思っています。情報を集めるところのいわゆるへその部分、それからその情報を基にして様々な政策をつくる、また政策をつくるへその部分というのがあると思うんですが、その辺の情報の流れ、どこが情報を集めそして管理してそして政策などをつくるという、その役割分担、フローをもう一度確認させてください。
  39. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) まず、現在の情報でありますけれども、内閣直属の情報機関として内閣情報調査室が設置をされています。また、情報コミュニティーは各省庁が内閣の下に相互に緊密な連携を保ちながら情報収集、分析活動に行っております。こうした活動の成果を総理を始めとする政策部門に報告、提供され、それらの判断や政策立案等に生かされておるのが現在の状況であります。  そして、この国家安全保障局が設置をされた後は、国家安全保障に関する情報は安全局で集約され、内閣の政策立案に生かされていくということであります。国家安全保障局では、この政策の企画立案等を行う機関であって、政策と情報の分離の観点から、自ら情報収集、分析を行うことはないということであります。行うのは、情報を集約をしてそのことを政策立案をする、そこの中で様々なことを分析をしながら会議に提案をしていくという、そういう体制を考えております。
  40. 真山勇一

    ○真山勇一君 そうすると、情報、集まった、分析された情報を政策に生かしていくのは国家安全保障局がやると、それで情報の収集とその政策立案とは分離するということで、それ以外はいわゆる情報コミュニティーと言われる様々な機関、これは内閣情報調査室辺りが中心というふうにも思えるんですが、そうしたところ、まあほかにも情報は集まるところがあると思うんですが、そうしたところが集まって、そこで既にその情報、集めたものを分析などもそちらでするんでしょうか。分析ということは国家安全保障局の方には来ないんでしょうか。
  41. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 情報の収集、分析はその内閣情報室で行います。国家安全保障局で行うのはそうした情報を集約するということです。それは、内閣情報室だけでなくて、海外からの情報とか、そうしたものの情報を集約をして、そこで、今分析という言葉を使わせてもらいましたけど、そこで加工して、その会議に上げていくと、そういうことであります。
  42. 真山勇一

    ○真山勇一君 それと同時に、特定秘密というのがありますが、こちらはそれぞれ行政機関の長がばらばらに指定をするということですね。  私がやっぱり心配になるのは、もう大分言われてきておりますけれども、やはり情報の集約というのがうまくいかなくて、機能しなくて、見逃されたり、それからばらばらになったりということで、しかも、先ほどのお話ですと、四十二万件近いこうした特定秘密も含めていろいろな情報があるということになると、本当に情報が吸い上げられるのかどうかという何かその心配が拭えないんですね。  ちょっと気になることは、先日の参考人聴取のときにも春原参考人がおっしゃった、これは中山委員質問に対してお答えをしていただいたのですが、あの例の九・一一の同時多発テロのときも、アメリカ国内にアルカイダと見られる人物が潜入していろいろと活動していたということがあったけれども、それを当時、CIA、それからその情報を吸い上げるNSCというものに十分伝わっていなかったというふうにおっしゃっています。ダイヤモンドのような情報、砂浜の中にあるダイヤモンド、それを見付けることができなかったというような指摘をされているわけですね。  それからもう一つ、私、先日こんな本を読ませていただいたんですが、「大本営参謀の情報戦記」という本があります。堀栄三さんという方が書かれているんですね。御存じの方もいらっしゃると思うんですが、大戦当時、大本営の情報参謀というふうな仕事をなさっていて、そして戦後は自衛隊統幕情報室長を務めたその道のプロという方なんですね。  この方が、やはり広島に原爆が落とされるときに事前に様々なそれを予兆させる情報があったと。正体不明機が日本の上空を飛んできたけれども、これを何であるか見破ることができなかった。原爆が広島に投下されたのは八月六日ですけれども、もう六月末ごろからそうした謎の飛行機が飛んできていたということ。それから、七月の十六日にはニューメキシコ州で新しい実験が行われていたという外国通信社の記事が、こういうのもあったと。これについてもどういうものなのかよく分析ができなかった。そして八月六日を迎えてしまって、この中で、その当時飛んできた一機のB29、これがどうもよく分からない、追跡したけれども正体不明機のまま、そして原爆は投下されてしまったということがここに書いてあります。  つまり、この堀さんの反省として、我々はたくさんの情報の中の一粒の金を見失っていた、ただそれが金であると見抜く能力がなかったのだというかなり厳しい反省をしておられる。まさに、当時と今とその情報収集能力、分析能力、違うと思うんですが、やはり情報の大切さというのはまさにここにあるんじゃないかと思うんですね。  私は、やっぱりその集めた情報、これをどうやって分析して伝えるか、そして、それを対策として生かすかという辺りがまさに本当に大事なところであるというふうに思うんですけれども、この辺り、今の、現在のやり方ですね、本当にこの情報と政策、分離して、そして情報がきちっと運用されるようになるのかどうか、まだ不安があるんですが、その辺りはいかがでしょうか。
  43. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 情報と政策、分離した一つの大きな理由には、情報はどうしても都合のいい情報しか上がってこない場合があり得るわけであります。しかし、政策立案に当たってやっぱり質の高い情報というのは、これは極めて大事なものでありますから、情報国家安全保障局安全保障会議に吸い上げるような仕組みをつくらなきゃならないということであります。  そうした意味合いにおいて、今回は国家安全保障局からそれぞれの省庁に対して情報を要求することが可能になりましたので、それが、それに対して義務を負うことになりますから、ありとあらゆる情報がそこに集約される体制ができているというふうに思います。そして、集約された情報を、先ほど申し上げましたけど、様々な観点から集約をして、そこで政策立案に用立てていくと、そういう体制であります。
  44. 真山勇一

    ○真山勇一君 いわゆる日常業務的と言ったらいいんでしょうか、そういう情報収集、分析、政策立案という過程ですと、今おっしゃったようなことで、縦割りでなく情報がちゃんと流れさえすればある程度順調に機能するのかなという感じも一つ私は持つんですが。  それと同時に、あともう一つ、こうしたふだんの情報の流れ、収集、分析とは違って、先ほどもちょっとお話が出ていますが、突発的なものあるいは緊急事態、例えばの例を挙げますと、今、中国の行動が気になっていますけれども、あれが例えば万が一、偶発的に領海のちょうど付近辺りで予期せぬ衝突を、予想外の衝突をしてしまった、あるいは日本の上空をミサイルがもう間もなく飛んでいく、もしかするとそのミサイルが日本の本土に影響を与えるかもしれないというときの緊急そして突発的な情報がありますね。こういう情報はどんなふうに集めて、どこへ伝達して、どう収拾をしていくのか、これについても伺いたいと思います。
  45. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今のようなお話は防衛省になるだろうというふうに思いますし、様々な、例えば同盟国だとか、様々なところからそうした情報が集約されるような形になっております。  例えば、本年も北朝鮮がミサイルを発射するんじゃないかなという緊迫したときがありました。そうしたときも、様々な分野からそうした情報官邸で集約をして対応をさせていただきました。
  46. 真山勇一

    ○真山勇一君 やはり、こういういわゆる事態に備えるということ、まさにこれは国民の安全それから国を守るために政府がやらなければならない一義的なものだと思うんですね。ふだんの作業ならそれはそれなりにやれるという部分もあるでしょうけれども、こうした緊急とか突発というのは、まさにこのときが力が試されるときじゃないかというふうに思うんですね。  私も仕事柄、取材ということをやっていまして、やはり普通に予定が組んでインタビューする相手の時間を予約してきて、そして話を聞いてというようなことなら、普通の取材のルーチンならいいんですけれども、やはりそうじゃない突然起きたときにどういうふうな態勢を取るかというのがやはり大きな問題になってくるわけですね。  私は、今までの審議も通じて感じるのは、やはり通常ルートはいいけれども、この辺りの、もし万が一本当に一分一秒を争う決断を下さなくちゃいけないときに、その大事な情報をどうやって集めて、それをどうやって分析してそれに対応していくかというのがまさに問われる、これが国家安全保障会議の本当に大きな今回役割になってくるのではないかというふうに思っています。  是非情報のプロと言われる方が、先ほど官房長官もおっしゃいましたが、本当に大事な情報が漏れてしまったり吸い上げることができなかったら困るわけですね。プロの情報コミュニティーの集団の中でよく使われる言葉に、取れない、上がらない、回らない、そして漏れるというようなことが言われているそうなんです。大事な情報がこういうことになったら大変だと思いますので、是非この辺りの運用を今後も更に検討を続けていただきたいなというふうに思います。  そして、時間になってしまいそうなんですが……(発言する者あり)あっ、なっちゃいましたか。済みません。知る権利とか適性評価とか伺いたいことありましたけれども、まだ是非審議させていただきたいと思います。よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  47. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  日本NSCの設置法案について採決の提案があり場内協議をされているようでありますが、審議は尽くされておらず、引き続き審議を求めたいと思います。  そして、本法案と一体の秘密保護法案について与党は明日にも衆議院での採決を主張をしております。国民世論を見れば、およそそのような状況ではありません。  森大臣にお聞きいたしますが、日本弁護士連合会、そして五十二の弁護士会全てが反対を表明をしております。日本ペンクラブ、日本雑誌協会、テレビキャスター八氏、刑事法研究者百二十九氏も反対を表明をしております。さらには、日本新聞協会、日本雑誌協会、日本民間放送連盟も強い懸念や危惧を表明しております。  今朝、日経新聞の世論調査が出ておりましたが、特定秘密保護法案への反対は十月の前回調査よりも拡大し五〇%に達しております。そして、今国会で成立させるべきは一三%にとどまって、継続審議と廃案合わせますと七八%というのが今朝の世論調査であります。  審議をすればするほど疑問の声や徹底審議を求める声が広がっているという現状について、森大臣認識を伺います。
  48. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 日弁連の皆様とは大臣室においてその意見書を出された後に意見交換をさせていただきました。また、報道機関の代表の皆様とも意見交換を直接させていただいて、私からも御説明を申し上げたところでございます。  御懸念が示されております国民の知る権利、そして知る権利に資する報道の自由、取材の自由等々についてもしっかりと法案の中で配慮をいたしておりますし、通常の取材活動又は一般国民が処罰されるおそれがないということもしっかりとこの審議の中で御説明を申し上げてきたところであると思います。また、各党との修正協議等の中でも建設的な御議論がされているものと承知をしておりますので、しっかりと御説明をしてまいりましたので、何とぞ御採決をいただきたいと、この成立に向けて早期の成立をお願いを申し上げているところでございます。
  49. 井上哲士

    ○井上哲士君 今、説明もし、そして修正協議もしてきたと言われました。  今朝の日経は、なぜ、どういう懸念があるのかと多い順に挙げますと、チェック機能が不十分、秘密の範囲が曖昧、永久に公開されないおそれがある、報道機関が取材しにくくなる、世の中が萎縮する、つまり、法案の根幹部分について幾ら議論をし説明をしても国民の懸念が広がっています。そして、修正合意したが骨格は変わらない内容に懸念はむしろ広がっていると、こう書いているんですね。  そして、今懸念の声は国内だけではありません。国連人権高等弁務官事務所が二十二日、二人の特別報告者が日本の特定秘密保護法案に重大な懸念を表明したということを発表しております。表現の自由担当のフランク・ラ・ルー特別報告者は、法案は秘密に関し大変広範かつ曖昧な領域を規定するのみならず、内部告発者やさらに秘密を報道するジャーナリストに対する深刻な脅威を含んでいるとしております。そして、法案の人権基準との適合性について懸念を述べた上で、日本政府に法案についての詳しい情報の提供を求めております。  外務省としては、どのように受け止めて、どのように対応されるんですか。
  50. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 十一月の二十二日ですが、国連人権高等弁務官事務所は、人権理事会の表現の自由の特別報告者、そして健康の権利特別報告者が特定秘密保護法案に関し懸念を表明している旨の共同プレスリリース、発出したと承知をしております。  まず、基本的には、我が国としましては、この特定秘密保護に関する法律、これは、特定秘密の恣意的な指定が行われることがないよう重層的な仕組みを設け、そして国民の知る権利に資する報道又は取材の自由に配慮しなければならないこと、規定をしております。ですから、御指摘のプレスリリースにあるこの懸念は当たらないとまず基本的には考えております。  また、本件プレスリリースは、あくまでも個人資格で任命された独立の専門家である特別報告者による懸念の表明であり、国連の機関たる人権理事会の意見ではないと承知をしております。ただ、この特別報告者の懸念につきましては払拭されるようしっかりと情報提供は行っていきたいと考えています。
  51. 井上哲士

    ○井上哲士君 既に行われたということでしょうか、情報提供。
  52. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この懸念につきましては、これから精査した上でしっかりと対応を考えていきたいと考えています。
  53. 井上哲士

    ○井上哲士君 特別報告者というのは、大臣も言われたように、独立したものであって、非常に権威のある報告なわけですね。そして、現実に起きている人権侵害ではなくて、法案の段階でこういう懸念が表明をされ、情報提供を求めるというのは極めて異例なことなんですね。そのことへの認識はいかがなんですか。
  54. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) こうした特別報告者個人の懸念に対しても、これはしっかりと情報提供は行っていきたいと思っています。  基本的に、先ほど申し上げましたように、この特定秘密の保護に関する法律案、特定秘密の恣意的な指定が行われないよう、また、国民の知る権利に資する報道又は取材の自由についても配慮しなければならない、こうした規定を設けておるということ、こうしたプレスリリースにある懸念には当たらないということ、これはしっかりと説明をし、情報提供はしていきたいと考えています。
  55. 井上哲士

    ○井上哲士君 そういうことが行われても、なお懸念が出されているということを受け止める必要があると思うんですね。  この特別報告では、さらに、ジャーナリストや市民社会の代表などを含むそのほかの個人が公益のためと信じて機密情報を受け取り又は流布しても、他の個人を重大な危険の差し迫った状況に追いやることがない限り、いかなる処分も受けてはならないということも指摘をしております。  まさに、今の日本政府の法案がこうした国際的な人権の立場から見たときに極めて重大な中身を含んでいる。ですから、外国メディアの特派員でつくる日本外国特派員協会も、十一日に、この法案について、報道の自由及び民主主義の根幹を脅かす悪法だとして廃案や大幅修正を求める声を出しているわけですね。  森大臣にお聞きします。先ほど、早く採決をということを言われましたが、国民の自由と人権にかかわる法案で、国際的にも、そして国内からもこれだけ反対と懸念の声が広がっているのに、そして、賛成という人も含めて徹底審議をという声がこれだけ広がっているのに、なぜその声にこたえようとしないんですか。
  56. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) これまでの審議を通じて丁寧に御説明を申し上げてまいりましたし、また記者会見、そのほかの意見交換等の機会を通じて御説明を申し上げてまいりました。また、今御指摘の国連人権高等弁務官事務所の特別報告者の御意見についてプレスリリースが発出されましたけれども、ここで指摘をされております点ですけれども、秘密情報を告発した公務員、ジャーナリスト及び市民社会の代表者は処罰の対象とされるべきでないとか、公務員の活動について最大限の開示が原則とならなければならないといった点はこの法案によってもしっかりと保障されていると思いますので、これについて特別報告者の御理解をいただけますように、しっかりと外務省を通じて御説明をしてまいるというつもりでございます。
  57. 井上哲士

    ○井上哲士君 今保障されていると言われましたけれども、どういう条文で保障されているんですか。
  58. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 告発した公務員については、公益通報者保護法によってこれは保護をされております。  また、二十一条の二項でございますけれども、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、出版又は報道の業務に従事する者の取材行為について、これを正当な業務による行為とするものとするというふうに規定をしております。
  59. 井上哲士

    ○井上哲士君 いやいや、公務員がこの情報は公益に反していると、そういう思いを持ってそれを明らかにした場合に処罰が避けられることになっているんですか。
  60. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 公務員の場合は、公益通報者保護法によって保護をされております。
  61. 井上哲士

    ○井上哲士君 およそ納得できる問題じゃありませんけれども、さらに、私は、こういう問題も含めて衆議院での徹底質疑がされるべきだと、こういうことを改めて強調しておきます。そんな状況で、およそ参議院にそんな状況で持ってくるようなことではないということを改めて強調しておきたいと思います。  NSC法案に関してですが、先日、二〇一〇年に設置された情報保全についての日米協議、BISCについて聞きました。今年七月までに四回の日米協議が行われているという答弁でありましたが、アメリカの参加者として、国務次官補代理等を共同代表として関係省庁の関係者が出ているという答弁でもありました。  このアメリカ側からの出席者には、アメリカの国家情報長官室も入っているんでしょうか。
  62. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 情報保全についての日米協議ですが、このBISCにつきましては、多少の変動はあるものの、原則として国家情報長官府の関係者は出席をしております。  BISCについては、二〇一〇年三月に設置され、以降、同年十月、そして一一年の一月、一二年の七月、一三年の七月と、計四回開催されておりますが、このうち国家情報長官府の関係者は第三回会合を除き計三回出席をしております。
  63. 井上哲士

    ○井上哲士君 アメリカの国家情報長官室からも参加しているという答弁でありました。  この部屋のトップは米国家情報長官クラッパー氏でありますけれども、今、世界中で大問題になっているアメリカの情報機関による同盟国の首脳の盗聴について、十月二十九日のアメリカの下院でこの国家情報長官のクラッパー氏が証言をしております。  驚くべき居直りなんですね。首脳の意向を収集、分析することは基本的な信条のようなものだ、情報機関に最初に学ぶ基本は指導者の考えをどう知るかということだと、どんな指導者でも対象になると明言をした上で、通信傍受の目的について、外国首脳の発言が実際に起きていることと符合するのかを確認するためだと米下院で証言をして、同盟国を含む外国首脳の通信傍受を認め、正当化をしているわけですね。ですから、日本とBISCで協議をして秘密保全の強化を求める一方で、同盟国の首脳の盗聴を一方で正当化をしているわけですね。  外務大臣は先日の答弁で、このBISCでの議論について、諜報活動による情報漏えいに対するものを含め、秘密情報の保護に関するそれぞれの見方、政策及び手続について理解の促進に取り組んでいると、こうおっしゃいましたけれども、同盟国の首脳の通信傍受は当然だという、こういうアメリカの見方についてもこのBISCで理解を促進をしてきたと、こういうことになるんでしょうか。
  64. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) BISCのこの協議内容、詳細は控えなければなりませんが、本件協議は、日米両政府それぞれの情報保全体制に対する共通の信頼を増進することを目的として、諜報活動による情報漏えいに対するもの、カウンターインテリジェンスを含め秘密情報の保護に関するそれぞれの政府の見方、政策あるいは手続、こういったものの理解の促進に取り組んでいるということであります。  そして、御指摘のNASAによる通信記録の収集問題につきましては、日米間で実態把握のための意思疎通を今日まで続けておりますし、これからも続けていきたいと考えています。
  65. 井上哲士

    ○井上哲士君 NASAではなくてNSAですね。  本会議でも私は、情報共有のために信頼関係が必要だというならば、このNSAによる日本大使館に対する盗聴について抗議をして事実解明を求めるべきだと求めましたけれども、今と同じように、一層緊密に意思疎通すべくアメリカに申し出たと、こういう話でありました。  確認をいたしますが、抗議し、事実解明は求めたのですか、求めていないのですか、はっきり答弁をしていただきたいと思います。
  66. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) NSA、米国家安全保障局による通信記録の収集問題につきましては、国際社会において様々な報道が流れ、また議論も行われております。そして、日米間で実態はどうなのかということについて、実態把握のために意思疎通を図ってきているわけです。  そして、オバマ大統領は、この問題につきまして外部有識者によるレビューグループを設置すること等の具体的措置を既に発表しております。同グループによる情報収集技術等の能力の在り方等についての最終報告、これは年内に発出されると承知しておりまして、我が国としましては、こうした動きもしっかり注視をしていきたいと存じます。  我が国に対してどうなのか、我が国状況につきましてしっかり情報把握に努めていきたいと考えています。
  67. 井上哲士

    ○井上哲士君 抗議という言葉が出てこないんですね。  じゃ、外務大臣にお聞きしますが、十月二十五日の記者会見で、日本大使館に対する盗聴問題について問われてお答えですけれども、どのようにお答えになっているでしょうか。
  68. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) さきの記者会見では、通信の自由、不可侵が保障されている在外公館等に対する情報収集活動は外交関係に関するウィーン条約との関係から問題がある、こういったことにつきまして一般論として申し上げた次第であります。
  69. 井上哲士

    ○井上哲士君 一般論としてやはりこれは国際法違反だと、こういう認識なんですね。そうであるならばやっぱり抗議すべきじゃないですか。なぜ抗議ができないんですか。
  70. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 現状、実態把握に努めている状況であります。実態を把握した上で対応を考えていく、こういったことになります。
  71. 井上哲士

    ○井上哲士君 盗聴に関する事実関係が明らかになったら抗議をすると、そういうことで確認してよろしいですか。
  72. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 仮定で物を申し上げるのは控えさせていただきますが、まず実態を把握しなければならないと考えています。
  73. 井上哲士

    ○井上哲士君 幾ら言っても抗議というのを口にされません。これだけ問題が出ていて、そしてドイツやブラジルなどが抗議をして事実解明について積極的に行動をしているときに、なぜそれができないのかと。  意思疎通を盛んに言われますけれども、じゃ、逆に聞きますけれども、日米間の意思疎通が不足していたからこういう通信傍受が行われた、盗聴が行われたと、こういうふうに認識されているんですか。
  74. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国は、日米間でどうであったのか、そうした実態把握に今努めているわけであります。実態を把握した上で、必要があればしかるべき対応をしていく、これは当然のことだと思います。まずは実態把握に努めていきたいということで意思疎通を続けている、こうした現状であります。
  75. 井上哲士

    ○井上哲士君 ドイツ、ブラジルは、国際法の下で保障されているプライバシーの保護の権利を全ての国が守るように求める通信保護の決議案を国連総会の第三委員会に提出をしておりますけれども、その内容について御説明いただきたいと思います。
  76. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) こちらは十一月の一日ですが、国連第三委員会におきまして、デジタル時代のプライバシーの権利決議案、これがドイツ及びブラジルによって提出をされました。  本決議案の趣旨ですが、情報通信技術の発達により個人が使用する情報通信技術が高度化する一方、政府等の情報収集能力も向上する中で、自由権規約等に規定されているプライバシーの権利保護を確認するものと承知をしております。
  77. 井上哲士

    ○井上哲士君 各国には、国際人権法上の義務に従った立法など人権侵害を終わらせる措置をとることや、監視に関する手続、実践、法律を見直して透明性を確保し、説明責任を明確にするために独立した監督機関を設けることなど、この決議案は呼びかけております。これ、名指しはしておりませんけれども、アメリカのNSAによる通信傍受を非難をした、そういう中身になっているわけですね。  十一月末にも国連総会第三委員会で採択をされることになっております。ドイツ、ブラジルは欧州や中南米諸国と協議中で、フランスやキューバ、ベネズエラなどが共同提案国になるという報道もされておりますが、日本はこの決議案、どのように対応されるんですか。
  78. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この決議案につきましては、国連規約で定められております自由権規約等に規定されているプライバシーの権利保護を確認するという内容でありますが、現在、我が国としましては、関係国により協議中でありますので、採択時に存在しなかった情報通信技術を踏まえたプライバシーの権利保護の在り方について国際的合意を見出すべく、我が国としてもこの協議に参加をしております。引き続き協議を続けていきたいと考えています。
  79. 井上哲士

    ○井上哲士君 この決議は、名指しはしておりませんけれども、アメリカNSAによる通信傍受を非難したものでありまして、明確な対応日本政府がするということを改めて強く求めておきたいと思います。  アメリカによる通信傍受はこれまでも問題になってまいりました。アメリカを中心に構築された軍事目的の通信傍受システム、エシュロンであります。同盟国にある米軍の施設や大使館を使って電波を傍受したり、直接通信線を盗聴することで莫大な情報を収集していると言われてきました。  二〇〇一年に欧州議会がこのエシュロンの存在を断定する報告書を発表し、重要な点は、軍事通信だけではなく、私的あるいは商業通信の傍受を目的としていることであるとこの報告書は述べております。その上で、日本では米軍の三沢基地にその傍受基地があるということもこの報告書では明記をされておりますが、この欧州議会の報告書を受けて、アメリカに事実の確認を日本政府はしたんでしょうか。
  80. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘の欧州議会の報告書ですが、この報告書については承知しております。しかしながら、いわゆるこのエシュロンの事実関係については把握はしておりません。また、三沢飛行場に通信施設が所在していること、これは承知をしておりますが、米軍の運用については政府としては把握をしていない、こうした立場にあります。  そして、このNSAによる通信記録の収集問題等、日米間でしかるべくこの実態把握の意思疎通、先ほど来申し上げているように続けております。引き続きまして、こうした情報収集問題については意思疎通を図っていき実態把握には努めていきたい、このように考えております。
  81. 井上哲士

    ○井上哲士君 米軍の運用については承知をしていないと言われましたが、これだけ欧州議会という公式のところから報告が出されている以上、三沢基地にそういうものがあるのかどうかと、これは当然主権国家であれば確認をするのが当たり前だと思いますが、確認をしたのか、されていないのか、明確にお答えください。
  82. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日米間においては、情報収集に関しましてもしっかり意思疎通を図っております。そして、その詳細については、事柄の性質上、これは明らかにするのは控えなければならないと思っています。  いずれにしましても、我が国と米国との関係、実態についてはしっかりと実態把握をしなければいけない、そういった思いで意思疎通、努めていきたいと思っています。
  83. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、事柄の性質上と言われますけど、日本の主権にかかわる問題なんですよ。事柄の性格上、明らかにするべきじゃないですか。  官房長官、お聞きしますけど、先日の衆議院の答弁で、この問題について問われて、米軍の三沢基地の通信施設の運用については把握していないと述べられた上で、我が国においては通信傍受はないと考えておりますと、こういうふうに言っておられました。把握もされていないのに、何を根拠にないというふうに答弁されたんですか。
  84. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 米国家安全保障局による通信記録の収集問題については、日米関係でしかるべき意思疎通を図っている、これは外務大臣答弁のとおりでありますし、また、日ごろより情報の保全については政府として対策に万全を期しております。  情報保全措置の具体的内容については、事柄の性質上お答えすることは差し控えたいと思いますけれども、こうしたことを踏まえて、米国による政府中枢等対象とした通信傍受の事例は認識していない、その旨を申し上げたところであります。
  85. 井上哲士

    ○井上哲士君 あなたは、ないと考えておりますと、認識していないじゃなくて、こういう答弁をされているんですね。  先ほど来挙げていますように、相手の米国の側が、指導者の考えを知ることは当然だと言って、こういう通信傍受について当然視をしているわけですよ。そこと意思疎通をしている意思疎通をしていると言って、何もないと言っているというのは、一体何が根拠なのか。  これまで自民党は、日本はスパイ天国だと、こういうふうに言ってきました。だから法規制が必要だということも強調されてきました。しかし、一番のスパイ活動をやっているのはアメリカじゃないですか。そこと情報保全の協議をしてきたと、こう言いながら、盗聴問題にも抗議をしない、このエシュロンの問題でもアメリカに事実確認をしない、それで日本の主権守れるんですか。官房長官、いかがですか。
  86. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) まず、私、そのないということは、情報保全については政府として、日本政府として対策を万全に期しているという、そういうことも踏まえた上で、私は先ほど申し上げたとおりのことを言ったわけであります。  やはりここは、外務大臣、森大臣答弁にあったように、国家として私ども主張すべき点は主張しながらもしっかりと対応しているということであります。
  87. 井上哲士

    ○井上哲士君 およそ主張すべき点を主張しているとは思えないんですね。  スノーデン氏の告発によって、専らアナログ対応のエシュロン以外に、デジタル対応のPRISMと呼ばれるインターネット情報収集システムの存在も明らかになりました。これは今年の春の話でありましたけれども、先ほども指摘したアメリカの国家情報長官のクラッパー氏が六月の八日に声明を出しております。このPRISMの存在を認めた上で、インターネット通信の監視についてアメリカは、国外に住む外国人だけを対象にしたものだと、アメリカ国民はやっていませんから大丈夫ということが言いたかったようでありますが、国外に住む外国人は対象にしているということを正式に認めているんです。  六月のG8サミットで、オバマ大統領が各国の首脳に対して活動は合法的に行われると言っておりますが、要するに裁判所の監視の下に行われているということのようでありますが、そうであれば、外国に住む外国人のインターネットの情報を収集してもいいのかと問われるわけですね。  先ほどのBISCの会合は今年の七月に最終が行われておりますが、このクラッパー氏がPRISMについて認めた声明出したのは六月八日であります。その後行われたこのBISCの会合では、この場で日本としては説明を求めたんでしょうか。
  88. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、我が国としては、情報の保全について政府として万全を期しているところであります。ですから、それを踏まえて、我が国として米国による政府中枢等を対象とした通信傍受の事例は認識をしていない、こうしたことを申し上げております。そして、その上で、引き続きまして、日米間では実態把握について意思疎通を図っているということであります。  具体的な詳細については、この場では控えさせていただきたいと存じます。
  89. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本認識できるようなやり方でやられたら大変なんですよ。分からないようにやっているから、これは通信傍受なんですね。  国外に住む外国人のネット通信の監視は合法的に行っていると、アメリカの国家情報長官が言っているんですよ。それについて説明を求めずにどうやって信頼関係の促進ができるんですか、お答えください。
  90. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 情報収集情報の在り方について日米間で意思疎通を図っているわけであります。そして、そのやり取りの中でしっかり信頼醸成をしていく、こうした努力を続けております。引き続きまして、意思疎通を図っていきたいと思っています。
  91. 井上哲士

    ○井上哲士君 相手の盗聴するのは当たり前だと言っている人と意思疎通をして信頼関係がつくれるというのは、私には全く理解ができません。主権侵害に対するこういった問題の抗議も事実解明も要求もしていません。  先日の質疑で、アメリカの捏造情報を同盟国の信頼関係が基本だからということでうのみをして、あの国際法違反のイラク戦争に支持をしたことに対する反省もないことが明らかになりました。にもかかわらず、日米同盟強化だといって情報共有の強化を図るということは、一層私はこの面でもアメリカへの従属を強めて、同じ過ちを繰り返すだけだということを言いたいと思います。  最後、森大臣にお聞きしますが、先日の答弁で、違法に収集された情報は特定秘密にならないというふうに言われました。アメリカは、国内法上はこれは合法だと言っているんですね。しかし、岸田大臣が言われましたように、国際法上は問題があるわけですね。米国が、国内法上は合法だけども国際法に反するような盗聴を行ってその情報がもたらされた場合というのは、取扱いはどうなるんでしょうか。
  92. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 個別具体的な案件についてはお答えを差し控えますが、一般的なことで申し上げますと、外国との間で情報交換が行われる際に、外国において適正に情報収集活動が行われることを前提として提供を受け、その情報の保護を図ってまいります。  仮に、想像し難い事態でございますけれども、仮に提供された情報が当該の外国により違法に収集されたものであるということを当該国が明らかにした場合には、その情報の取扱い等については当該国と協議し対処することになると考えております。
  93. 井上哲士

    ○井上哲士君 アメリカは国内法上は合法だと言っているんです。しかし、それは国際社会では認められないことなんですね。そういうものがどういうふうになっていくのか、極めて重大な問題だと思いますが、今後更に質問をしていきたいと思います。  終わります。
  94. 中山恭子

    ○中山恭子君 日本維新の会の中山恭子でございます。  官房長官質問通告していないテーマなんでございますけれども、昨日、沖縄に行ってまいりました。普天間の基地を辺野古へ移設しようとする県民大会に参加いたしました。沖縄では、外から入ってきた方々ではなくて沖縄県民の方々が動き出していると感じております。  そこで署名活動が行われておりますけれども、当初五万人の署名を集めようということで始まりましたのが、二か月半ほどで五万人を突破し、十一月の半ばでは七万三千人、まだ署名の応募がたくさん続いているそうでして、八万人を超えるのではないだろうかという、そんな動きになっているとのことでございました。この県民大会を主催していらっしゃる会長の方のお話では、この動きは沖縄のほんの氷山の一角の動きであり、沖縄には今、やっと自分たちで考えて、自分たちで意思表示をしようという動きが出てきたというようなことを話されておりました。  沖縄に関しましても、国家を守るという非常に重要な機能といいましょうか、沖縄の方々が忍耐しながら日本の安全のために尽くそうという、そんな考え方で皆さん過ごして、活動を進めているという状況でございます。  また、政府としても、沖縄に関して他の国からの諜報活動があるのではないだろうか、ないかどうかとか、そういったことも把握しながら、しっかりした対応をしていただきたいと考えます。  通告しておりませんので御感想で結構なんですが、今の動きについてどのようにお感じになっているか、お話しいただけますでしょうか。
  95. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 沖縄県民の皆様方が、当初五万の署名、それを超える七万数千人の方が辺野古移転への署名をされたということでありますけれども、大変に有り難いことだというふうに思っています。  我が国を取り巻く安全保障環境が極めて厳しい中で、その抑止力を保ちながら、また普天間の飛行場の危険除去というものも一日も早く取り除かなければならない、そういう中にあって最良の選択はやはり辺野古への移設だというふうに私ども考えておりますので、そういう中にあって沖縄県民の皆さんがそうした活動をしていただいている。  それと同時に、政府としては、沖縄の皆さんに過度の基地の負担が掛かっておるわけでありますから、その負担軽減に全力で私たち取り組んでいかなきゃならない、そんな思いを今新たにしたところであります。
  96. 中山恭子

    ○中山恭子君 非常に重要な役割を果たしてくれている地域でございます。まさに日本が安全、平和を保つために必要な措置であろうと思いますので、今後とも、是非注意深く、しかし温かく動いていただけたらと考えております。  今日、この会議国家安全保障会議の設置の委員会であるということは十分承知しておりますけれども、情報活動の強化を図るというためにはやはり秘密保全の体制づくりが重要でございます。  先日の参考人質疑の中で西山先生が、過程の秘密は秘密でよいと、ただし、結論が出たときは公表すべきではないかといった御発言がありました。過程の段階で秘密が漏えいされた場合には事が成らないということになりますので、この過程の段階は秘密でよいという考え方というのは非常に大切なことであると考えております。  日本の場合には、この過程の段階で秘密が漏えいしてしまうという、極めて初歩的なことができていないというのが現状であろうかと考えております。どこの国でも防衛や外交に関する特定秘密を保護する法制度が存在していますが、日本にはそれがありません。そのためにペルーの事件ですとか、いろんなところで日本人が被害に遭うというようなことが、北朝鮮の拉致の問題もそうですけれども、被害に遭う状況が出てきております。  森大臣に、非常に基本的な、まずまず基本的な問題として、情報を生かして政策に反映していくために秘密保護が必要なのだという事柄について、基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  97. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 中山恭子委員が拉致問題担当補佐官としてお務めになったときのことを後輩として常日ごろ聞かされておりましたけれども、どこにいても盗聴されているんじゃないかという緊張感の中でお仕事をされてきたこと、そして絶対連れ戻すまでは帰らないという覚悟で長期滞在の荷物を持って北朝鮮に行ったときなどのことをお伺いをして、尊敬をしております。  そのような、日本人が危害に遭うことを事前に防止する、又は事後的に救済をしていくためにも、外国との情報共有は重要であります。日本人のための情報を外国から入手をすることが重要であります。  そのためには、日本の国内において、諸外国と同等のレベル情報保全が確立をされていることが大前提でございます、又は政府部内の情報共有が促進されていることが大事でございますので、特に国家安全保障会議の審議がより効率的に行われるためには秘密保護に関する共通ルールの確立が、今のような省庁間の申合せだけではなく、法律的にきちっと確立をされていくことが大切だと思います。  また、情報漏えいについても、我が国においては、防衛分野以外の安全保障に関する秘密については一般的な国家公務員法の守秘義務の定めしかありませんで、また適性評価等の秘密の管理を規定する法律が存在をしませんでした。こういうことから、しっかりと秘密の保全体制を取っていくことが必要であると、喫緊の課題であると思っております。
  98. 中山恭子

    ○中山恭子君 六月七日付けの産経新聞に、湯浅特派員が「ウサギに長い耳あり」との文章を載せていました。情報日本の安全を守り日本の平和を維持していく上で極めて重要なものでございます。  先ほど、官房長官から、国家安全保障会議では情報の収集、分析はなしで、分析された情報を集めて例えば四大臣会議にかける、そのようにお話がありました。私は以前、分析もここでなされる可能性があるかと思って少し期待しておりました。このことを、分析は行わずに、内調で情報の収集、分析を行うということも先ほどお話しになったかと思います。  もしそうであれば、この内調の在り方、内調の組織自体を今後見直しをして、アメリカに見習えるような、そこまではなかなか難しいかもしれませんが、お考えいただかないといけないだろうと考えております。柔軟にというお話もありましたが、今後まだまだ変えていくという御決意をもう一度お話しいただきたいと思います。
  99. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今委員からいただいたような様々な御意見がありますので、今後とも政府全体の情報収集活動、そして分析等の能力向上を図ること、こうしたことについて検討してまいりたいというふうに考えます。
  100. 中山恭子

    ○中山恭子君 例えば国家情報長官、アメリカのですね、これは連邦政府情報機関の人事と予算を全て掌握するような権限を持っております。参考にして、今後、しっかりした情報組織をつくっていただきたいと考えております。お願いいたします。  ありがとうございました。
  101. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  ツワネ原則は、この策定には、国際連合、人及び人民の権利に関するアフリカ委員会、米州機構、欧州安全保障協力機構の特別報告者がかかわっています。  フランク・ラ・リュ言論と表現の自由の権利に関する国連特別報告者は、私は、国連人権理事会によって本原則が採択されるべきだと考える、全ての国が国家安全保障に関する国内法の解釈に本原則を反映させるべきであると述べております。  ところで、モートン・ハルペリン氏、この方は米国の核戦略の専門家で、国防総省や国家安全保障会議NSCの高官を務めた方です。沖縄返還のときのアメリカの、相手方の担当者を務めております。この人が、日本の特定秘密保護法案について、政府の裁量が広過ぎ、知る権利と秘密保護のバランスを定めた国際基準を逸脱していると批判をしています。過剰な秘密指定は政府自体も管理が困難になると指摘しています。今、四十一万件、礒崎補佐官によれば三十万件台が秘密指定され得るというふうに言っています。  このモートンさんは、日本はなぜ国際基準から逸脱するのか、政府は国会採決の前に説明しなければならない、民主主義社会の義務だというふうに言っております。スピードを懸念する、南アフリカで同様の動きがあるが既に数年掛けて、南ア政府は最初二か月で法案を通そうとしたが反対運動が起き、三、四度修正された、ツワネ原則に完全合致はしないが、時間を掛け大いに改善されたと述べています。このように、アメリカの元高官からも、スピード審議や中身がひど過ぎるということで批判が上がっています。  そして、先ほどもありましたが、このフランク・ラ・リュ国連報告者は、アナンド・グローバー国連健康問題に関する特別報告者と連名で、二十二日、特定秘密保護法案に関して日本政府に幾つもの質問事項を伝え、国際法における人権基準に照らし合わせた法案の適法性について強い憂慮を表明をいたしました。  これは、憂慮とそして質問事項が伝えられております。先ほどの答弁で合致していると言っているけれども、合致していないじゃないですか。合致していたら、なぜこういう専門家の人たちが憂慮を表明するんですか。憂慮を表明し、質問事項がある中で、採決なんかできないですよ。これ日本の恥になりますよ。  そして、この欧州評議会の中でも、ツワネ原則の公表後、欧州評議会議会議は、二〇一三年十月二日、このグローバル原則を支持し、欧州評議会の加盟国の当該分野の関係官庁に対して、情報へのアクセスに関する法律の制定と運用を現代化するに当たっては、本原則を考慮に入れることを求めるという決議をしています。  御存じのとおり、日本は、アメリカとともに欧州評議会のオブザーバーを持っております。この原則日本は十分に検討しなければならない。私は、これは有識者会議皆さんたちや政府がこういう議論、ツワネ原則議論の過程も一切知らずに拙速でひどい法案を作った、これは日本の恥になりますよ、今もそうなりつつありますが。  この特別報告官の憂慮、質問事項に対して、日本政府はきちっと回答するんでしょうか。
  102. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) ツワネ原則については、公式な機関ではないと承知しておりますし、その指摘事項が、パブリックコメントに付されたときの原案を見てなのか、現在の法案なのか、審議を通じたもの以降についての御意見なのか必ずしもはっきりをいたしませんけれども、今るる御指摘されたことについてはしっかりと法案で保障されておりますし、その旨これまで御説明をしてまいっております。  また、特別報告官については、先ほどの御質問岸田大臣からも御答弁申し上げましたとおり、しっかりとその御懸念を払拭するための御説明をする予定でおります。
  103. 福島みずほ

    福島みずほ君 いつ説明するんですか。
  104. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 特別報告官からの申入れの書面が今届いているかどうか私の方は承知をしておりませんが、外務省において、それが届き次第、申入れの内容を精査して早急に対応する予定になっております。
  105. 福島みずほ

    福島みずほ君 ツワネ原則は、全文を日弁連が翻訳しておりますし、英語の文書もあります。違法行為について、あるいは環境問題、命に関することについて、秘密としてはならないとか無期限にしてはならない、いろんな原則、たくさんあります。これに明確に反しているじゃないですか。条文はそれに反していますよ。だからこそ、こういう疑義、質問事項があるわけです。その質問事項にきちっと答えるまで採決などできないというふうに思いますが、いかがですか。
  106. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) ツワネ原則のうち、例えば秘密指定は無期限ではあってはならないとの御指摘については、本法案では特定秘密の指定に当たって有効期間を上限五年といたしておりまして、さらにその有効期間が三十年たった場合には内閣の承認を要することとしております。また、諸外国についても、米国においても十年、二十五年、五十年という期間を定めており、例外もございますので、このツワネ原則には違反していないと考えております。
  107. 福島みずほ

    福島みずほ君 森大臣、うそばっかり言うのやめてくださいよ。あなたは条文を読むか、自分の都合のいい解釈しかしてないですよ。あなたはこの法案を説明するのに不適格です。なぜならば、無期限じゃないですか。五年の延長ができるんですよ。そして、内閣総理大臣の同意があれば廃棄できるんですよ。無期限じゃないですか。一体どこに全ての情報情報開示するなんていう条文があるんですか。ツワネ原則をクリアしていません。あなたはでたらめ言っているんですよ。全く納得がいきません。大臣答弁としても不適格ですよ。  この法案の、たくさん問題はありますが、共謀という点も問題です。ここでもお示ししました原発のベトナム輸出についての回答、真っ黒だったんですね。情報公開法の適用により、これは、公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めるにつき相当の理由がある事項、つまり第五条の三号に当たるということで不開示になっております。  この原発輸出については秘密指定されるということでよろしいですか。
  108. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) お尋ねの原発輸出に関する情報は、特定秘密の保護に関する法律案の別表のいずれの事項に関する情報とも言えませんので、特定秘密の指定の対象とはなりません。
  109. 福島みずほ

    福島みずほ君 今情報開示されないことが、何で特定秘密になれないのか、あるいは特定秘密の中の外交交渉あるいは安全保障に当たるとして出てこないんじゃないかというふうにも思っております。  では、お聞きします。例えばプルトニウム輸送、これは秘密指定されますか。
  110. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) されません。
  111. 福島みずほ

    福島みずほ君 これ、今まで明らかにされていないんですよ。プルトニウムの輸送、これ安全保障あるいはテロリズム対策で出せないんじゃないですか。今まで政府、一切出していないですよ。
  112. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 現行の情報公開法と特定秘密保護法案は別のものでございます。情報公開法は、そこに規定してある要件に基づいて開示、不開示を決定しております。
  113. 福島みずほ

    福島みずほ君 これは、何を秘密指定とし、何をしていないかは明らかにしませんから、例えば、これは外交安全保障あるいはテロリズム対策で秘密指定されたかどうかということも私たちは確認のしようがないんですよ。将来これが秘密指定されたかされないか、私たちは確認のしようがないんですよ。単に情報開示ができませんというだけです。  私は、使用済核燃料の再処理と直接処理、日本の役所であれば直接処理についてのコスト計算をするだろうと思いました。再処理と直接処理、直接処理についてコスト計算をしているかと予算委員会で聞いたら、そのようなコスト計算はしておりませんというのが答弁でした。しかし、これはスクープが出て、内部の資料が出てきました。審議会で計算をしていたけれども、これを明らかにすると反対運動が強くなるから出さないと、出てきませんでした。こういう計算、これはずっと審議会は隠されてきて、こういう事実はない、計算はしていないということだったんですね。  私は、森大臣が、違法なことや、それは秘密とはしないと言ってきたけれども、そんなのうそですよ。計算しながら、それを……
  114. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 時間が来ておりますので。
  115. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。  それを出してこなかった。これ、公務員が漏えいすれば十年以下、メディアがやれば十年以下、そして共謀すれば五年以下です。このようなことが起きるというふうに思っております。  また続けて質問をいたします。
  116. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  午後六時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後六時十一分開会
  117. 中川雅治

    委員長中川雅治君) ただいまから国家安全保障に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、二之湯武史君及び佐藤ゆかり君が委員辞任され、その補欠として舞立昇治君及び酒井庸行君が選任されました。     ─────────────
  118. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 休憩前に引き続き、安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は終局しておりますので、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  119. 仁比聡平

    仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、国家安全保障会議設置法案に反対の立場から討論を行います。  本法案によって設置される日本NSC日本外交安全保障の司令塔だとされますが、検討されている国家安全保障戦略の中身を見れば、首相の下に戦争、軍拡の司令塔をつくろうとするものです。秘密保護法と一体で、主権者国民を罰則で禁圧し、あらゆる情報を隠しつつ米国との情報共有を行って政策決定を進めようというものであり、集団的自衛権の行使に向けた検討と併せて、憲法に反する海外で戦争をする国への体制整備にほかなりません。  政府国家安全保障戦略において、名実共に武器輸出国になるための検討がなされていることは重大です。紛争当事国への輸出につながることを承知で米国等との共同開発に乗り出すばかりでなく、首相自らがトップセールスまで行い、トルコ軍との戦車の共同開発のために合弁会社まで設立することは、武器輸出三原則を掲げてきた立場を公然と投げ捨てるものです。武器輸出三原則は単なる政府方針ではありません。国会が決議を上げ、政府も国是だと答弁してきたものであり、国際的にも日本の平和国家としてのありようを具体的に示す理念として広く認められてきたものです。これを一内閣の判断で根本から覆すことなど、断じて許されるものではありません。  さらに、国家安全保障戦略では、ジブチの基地の拡充を始め国際平和協力活動のためとして、自衛隊の海外基地の整備を図ることが検討されています。日本防衛とは全く無縁であり、世界の警察を自任する米軍をまね、それに付き従って海外での軍事行動を広げるための検討にほかなりません。今や外国に軍事基地を置く国は、巨大な基地ネットワークを持つ米国のほかにはイギリス、フランスなどが僅かに持つだけです。軍隊の外国駐留が縮小の道をたどった第二次世界大戦後の世界の流れにも逆らうものであり、このような検討は直ちにやめるべきです。  NSCにより米国との情報共有を強化するとしていますが、日本政府がイラクの大量破壊兵器保有の証拠だとする米国の捏造情報をうのみにし、国際法違反の戦争を支持したことについて、まともな検証を行う意思も反省もないことが審議を通じて改めて明らかになりました。さらに、米国が日本を通信傍受の対象としていた問題では、米国との意思疎通を図っているなどと述べるだけで、主権侵害に対する徹底した事実解明の要求も抗議もしていません。同盟の強化だとして情報共有の強化を図ることは、米国への従属を深め、同じ過ちを繰り返すだけです。  政府には、イラク戦争への対応について正面から誠実な検証を行うとともに、同盟ありきの外交判断と政策を根本的に改めるよう強く求めるものです。  本法案は断固廃案にすべきことを重ねて申し述べ、反対討論を終わります。
  120. 大野元裕

    ○大野元裕君 民主党・新緑風会の大野元裕であります。  会派を代表いたしまして、安全保障会議設置法改正案に対し、賛成の立場から討論をさせていただきます。  我が国を取り巻く安全保障環境に適切かつ機動的に対処するための国家安全保障会議設置及びそれを支える事務局機能の充実は、民主党がかねてより主張してきたことであります。  しかしながら、本法に基づく国家安全保障会議の設置については大きな懸念も存在をします。  政府は、平成二十三年以降の防衛計画の大綱を凍結し、我が国安全保障戦略を漂流させてしまいましたが、そのような中で、戦略なき入れ物だけでは国家の安全保障に責任を負うことはできません。しかも、この入れ物に当たる制度についても、幾つも修正すべき点が残されています。縦割り行政に陥りかねない安全保障局、ラインに入らず曖昧な権限の中で事態対処体制の阻害要因となりかねない安全保障担当補佐官はその筆頭であります。  さらに、国家安全保障会議における戦略立案や分析を支えるべき体制も未熟です。それは例えば、インテリジェンスコミュニティーにおける情報収集体制の在り方の強化及び一元化、緊急事態における体制づくりの甘さ、国家安全保障会議の多様な形態ごとの構成員の適切な選任への疑問等であります。また、会議の性質に配慮しながらも、後世での検証を可能にする議事録等の記録についても早急に措置が講じられるべきです。  このように、国家安全保障会議を有効に機能させ、国民の命と安全を守るためには、不十分というどころか余りにも不備な点が多い法案ではありますが、民主党の修正案の一部を取り入れて最低限機能するものになったことを評価するとともに、本院における議論を踏まえ、国民の安心と安全のためにこの法案成立次第直後に本法案及びその運用を迅速に見直すことを切に要望し、賛成の討論とさせていただきます。  ありがとうございました。
  121. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  社民党を代表して、内閣提出、安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。  本法案は、現行の安全保障会議を改組して、米国のNSCをまねたいわゆる日本NSCを設け、首相官邸外交安全保障に関する司令塔機能を強化しようというものです。  まず第一に、権力の集中の問題です。  西山参考人はこう言いました。やっぱり内閣の権限を一極集中化させようと、権力の集中一元化をやればやるほど秘密の保全というものは進行するんですよ、そういう悪循環を断ち切らなければいけない、日米体制というものをこの際一挙に聖域化して、これによって日本の国家の安全保障体系をもう不動のものにするという意思もありますと。そのとおりだと思います。  日米体制、とりわけ軍事強化のための聖域化としてNSCをつくるということに反対です。我が国の根本理念である平和主義、世界で戦争しないということに反します。  第二に、情報操作とコントロールの危険です。  西山参考人は、日本の協力は絶対要るという視点からアメリカは情報を出したり引っ込めたりするというおそれがある、この国家安全保障会議というものを舞台にして、この日米の軍事力の共同体化というものが一層促進されていくという、そうすると、日本の主体性が果たして本当に発揮できるかどうかという非常に重大な問題が出てきます。これもそのとおりです。  イラク戦争のとき日本は、アメリカのイラクに大量破壊兵器があるという虚偽の情報を基にイラク戦争を即支持し、自衛隊をイラクへ派遣しました。誤った情報に乗せられ、誤った戦争に加担したことは重大です。NSCが設置されれば、アメリカの情報操作とコントロールの危険はより増幅されていくと考えます。  第三に、安倍内閣は、アメリカと情報を共有して安全保障で一元化した主体をつくり、秘密保護法を作って国民に対しては情報を出さず、国家安全保障基本法を作って戦争の手続法を作ろうとしています。新NSC法案、秘密保護法案、国家安全保障基本法案は、三位一体で戦争をするための法律です。集団的自衛権の行使を入れればカルテット、四つで戦争をするための法制度となります。これらには断固反対していかなければなりません。  以上で社民党の反対討論といたします。
  122. 石川博崇

    ○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。  私は、今般の安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案に対し、公明党を代表し、賛成の立場から討論いたします。  冷戦構造が崩れ、二十一世紀に入って以降も、九・一一の同時多発テロ、アフガニスタン、イラクにおける武力行使、中国の台頭、北朝鮮の核・ミサイル開発など、国際情勢は極めて流動的で刻一刻と変化する状況にあります。こうした中、我が国の国益を増進し、平和と安全を確保するには、機動的な外交戦略を打ち出すとともに確固たる安全保障体制の構築が必要であり、そのためにも、関係閣僚が総理の下に定期的に意思疎通を深め関係省庁間の連携を強化すること、そして同時に、同盟国である米国を始め諸外国のNSC当局との連携を深めておくことは極めて重要な課題であります。  今回の国家安全保障会議の設置は、こうした観点から、我が国の国益にかない、また東アジア地域の平和と安定に資する上で極めて意義あるものと考えます。特に、四大臣会合を定期的に開催し、外交・防衛当局の意思疎通を密にすること及び内閣官房国家安全保障局を設置し外交安全保障の司令塔機能を担わせることは、時の政府による政策の一体性をもたらし、国内外に我が国外交安全保障戦略を広く認知させ、これにより先々の我が国外交安全保障上の対応方針の予見性を高めることができ、国際社会における我が国のプレゼンス強化に資することも期待できます。  しかしながら、より重要なのは設立後の運用であると、当委員会で招致した参考人からもほぼ一致した意見であったことを重く受け止める必要があります。国家安全保障会議を設置した最初の内閣として、安倍総理、菅官房長官を始め関係閣僚の役割は極めて重要であり、後世の範となる日本NSCの運用に全力を尽くしていただくことを念願いたします。  特に、我が国の平和と安定は地域全体の平和と安定抜きに得られるものではないことを考えると、現下の極めて厳しい日中、日韓関係の改善なしに我が国安全保障環境の改善はなく、これに全力を挙げることもこの日本NSCが最初に取り組まなければならない重要な課題であると強く訴えておきたいと思います。  また、さらに、いかなる外交安全保障政策も、国民の幅広い理解と支持なく進めることはできません。政策立案の透明性確保と国民への不断の情報発信に努めるとともに、国民の民意に常に謙虚に耳を傾けながら政策を遂行することをお願いし、外交安全保障に関する国民全体の議論の活性化にも資することを強く御期待申し上げ、私の賛成討論を終わります。  ありがとうございました。
  123. 小野次郎

    ○小野次郎君 みんなの党の小野次郎です。  私は、本日の議題である衆議院で修正された安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案について、みんなの党を代表して、賛成の立場から討論を行います。  四年半にわたり安全保障危機管理担当の総理秘書官を務めた経験を通じて、私は我が国国家安全保障上の三つの大きな課題を実感してまいりました。  課題の第一は、千差万別な対応緊急事態、すなわち国家の危機に当たって機動的な対応を取れる体制の確立です。  危機管理の要諦はただ一つ、最初に最大、最悪の事態を意識するとともに、臨機応変な対応でスマートにまとめることであります。その意味で、国家安全保障に関する政府の司令塔は、どんな事態にも臨機応変に対応できるものでなければなりません。そのためには、省庁の縦割りを徹底的に排除しなければならないことはもちろんですが、他方で、少数の省庁の縄張争いの場にしてしまっても駄目であり、まさに官邸主導、なかんずく総理主導の危機管理体制を確立しなければなりません。  課題の第二は、国家安全保障に関しては官僚主導を許してはならず、政治的リーダー、政治家のリーダーシップが発揮される仕組みが制度的に保障されなければなりません。  危機管理の綿密なシミュレーションは官僚の方が得意かもしれませんが、本番は責任とリスクの伴う決断ができる真の政治家でなければ国家の重大危機を乗り切ることはできません。結果の責任は自分が取る覚悟を持った総理大臣や関係閣僚が政治的なリーダーシップを発揮できる、政治家主導でトップダウンの国家安全保障体制を築かなければなりません。  最後に、私が長年実感してきた第三の課題は、国家安全保障における意思決定プロセス及び責任の明確化であります。  緊急事態にあって、一時的とはいえ、国民の皆さんはかけがえのない生命、財産、自由と安全を政府判断と指示に全面的に委ねざるを得ません。国民の負託を受け、多くの同胞の運命を預かる立場に立つ政治家や官僚が、危機に際して記録を残さない方が最善の結論が出せると考えるのは大きな誤りです。公表する時期については別途考慮するにしても、何を考え、何を議論したか、個人の責任を明確にして、つまびらかに記録を残すことは至極当然のことだと考えます。  以上、本法案の採決に当たって、自らの経験に即して所感の一端を申し述べました。  本法案は、我が国国家安全保障の司令塔となる組織、つまり入れ物を用意するだけにすぎません。本法案は、今回衆議院の審議を通じて加えられた修正部分を含め、これまでの課題を克服して国家安全保障の充実に大きく寄与することができる内容であると考えます。今後、国民の期待にこたえて十全の機能を発揮するためには、更に情報の内閣一元化を図るとともに、意思決定プロセスの記録を残す仕組みの中で、政治家も官僚も各々の責任をしっかり果たさなければならないという点を最後に申し添えます。  以上、みんなの党を代表して、本法案に対する賛成討論といたします。
  124. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  125. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  芝博一君から発言を求められておりますので、これを許します。芝博一君。
  126. 芝博一

    ○芝博一君 私は、ただいま可決されました安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、みんなの党及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 国家安全保障会議の議事について、会議の性質などを十分に勘案しつつ、その意思決定に至る過程の将来における検証等を通じて政策決定の透明性を確保するという公文書等の管理に係る制度の趣旨を踏まえ、国の安全保障を損ねない形で速やかに会議録その他の議事に関する記録の作成について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。  二 国家安全保障及び危機管理に関する内閣官房の組織の在り方について、国家安全保障及び危機管理に係る政策決定の機動性及び実効性の観点から不断の見直しを行うこと。  三 国家安全保障会議の構成員については、国際環境の変化や会議の性質などを十分に勘案し、重大緊急事態にも適切に対処するため十全かつ効果的に会議が運営されるよう、不断の見直しを行うこと。  四 国家安全保障に関して、迅速適確な情勢判断と政策の企画立案の土台となるべき「情報の内閣一元化」を進めるため、必要な措置を講ずること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いをいたします。
  127. 中川雅治

    委員長中川雅治君) ただいま芝博一君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  128. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 多数と認めます。よって、芝博一君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、菅内閣官房長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。菅内閣官房長官
  129. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会において熱心な御審議をいただき、ただいま可決いただきましたことを深く感謝申し上げます。  今後、政府においては、審議中の委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長を始め理事の皆様方、委員の皆様方の御理解、御協力に対し、深く感謝の意を表します。  ありがとうございました。
  130. 中川雅治

    委員長中川雅治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十二分散会