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2013-11-13 第185回国会 参議院 国家安全保障に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年十一月十三日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十一月十二日     辞任         補欠選任      牧山ひろえ君     相原久美子君      山下 芳生君     井上 哲士君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中川 雅治君     理 事                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 芝  博一君                 福山 哲郎君                 石川 博崇君     委 員                 猪口 邦子君                 岩井 茂樹君                 宇都 隆史君                 江島  潔君                 北村 経夫君                 上月 良祐君                 佐藤ゆかり君                 二之湯武史君                 松山 政司君                 三宅 伸吾君                 相原久美子君                 大野 元裕君                 神本美恵子君                 白  眞勲君                 藤田 幸久君                 矢倉 克夫君                 山本 香苗君                 小野 次郎君                 真山 勇一君                 井上 哲士君                 仁比 聡平君                 中山 恭子君                 福島みずほ君    衆議院議員        修正案提出者   後藤 祐一君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     小野寺五典君        国務大臣        (内閣官房長官) 菅  義偉君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    古屋 圭司君        国務大臣     森 まさこ君    内閣官房長官        内閣官房長官  世耕 弘成君    副大臣        内閣府副大臣   後藤田正純君        内閣府副大臣   岡田  広君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       磯崎 仁彦君    事務局側        常任委員会専門        員        五十嵐吉郎君        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       武藤 義哉君        内閣官房内閣審        議官       北崎 秀一君        内閣官房内閣審        議官       藤山 雄治君        内閣官房内閣審        議官       能化 正樹君        内閣官房内閣情        報調査室内閣審        議官       鈴木 良之君        外務大臣官房参        事官       山崎 和之君        外務大臣官房参        事官       山田 滝雄君        文部科学省研究        開発局長     田中  敏君        防衛大臣官房技        術監       外園 博一君        防衛大臣官房審        議官       吉田 正一君        防衛省防衛政策        局長       徳地 秀士君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案  (第百八十三回国会内閣提出、第百八十五回国  会衆議院送付)     ─────────────
  2. 中川雅治

    委員長中川雅治君) ただいまから国家安全保障に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、牧山ひろえ君及び山下芳生君が委員を辞任され、その補欠として相原久美子君及び井上哲士君が選任されました。     ─────────────
  3. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案の審査のため、必要に応じ政府参考人出席求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明聴取いたします。菅内閣官房長官
  6. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) ただいま議題となりました安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及びその内容概要を御説明をいたします。  我が国の平和と独立を確保し、国民の生命及び財産を守ることは、政府の重要な責務一つであり、その責務を果たすためには、正確かつ総合的な情勢判断に基づき、時代変化に迅速かつ的確に対応した国家安全保障に関する政策を展開することが不可欠であります。  我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、外交安全保障政策の司令塔として、国家安全保障に関する諸課題につき、内閣総理大臣を中心に、日常的に、機動的に審議する場を創設をし、政治の強力なリーダーシップを発揮できる環境を整えることが重要です。  そこで、現行の安全保障会議審議体制等を見直し、もって我が国国家安全保障に関する機能等を強化するため、安全保障会議名称国家安全保障会議に改め、その審議事項国家安全保障に関する重要事項に拡充し、国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策基本方針等一定事項について内閣総理大臣外務大臣防衛大臣内閣官房長官により審議を行うことができることとするほか、内閣官房国家安全保障局設置すること等の措置を講ずる必要があります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明いたします。  第一に、安全保障会議設置法の一部改正であります。  まず、題名を国家安全保障会議設置法とし、会議名称国家安全保障会議とするものとしております。  次に、会議は、国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策基本方針等国家安全保障に関する事項審議し、必要に応じ、内閣総理大臣に対し、意見を述べるものとし、従来の安全保障会議への諮問事項については、これまでと同様の取扱いとするものとし、武力攻撃事態等その他の一定事態に関し、特に緊急に対処する必要があると認めるときは、迅速かつ適切な対処が必要と認められる措置について内閣総理大臣に建議することができるものとしております。  この際、国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策基本方針等については、議長である内閣総理大臣のほか、外務大臣防衛大臣内閣官房長官議員として審議するものとし、従来の安全保障会議への諮問事項については、引き続きこれまでと同様の議員により審議するものとし、重大緊急事態への対処に関する重要事項については、内閣官房長官及び事態種類に応じてあらかじめ指定された国務大臣により審議するものとしております。その上で、武力攻撃事態等及び周辺事態に関し、事態の分析及び評価について特に集中して審議する必要がある場合には、議長外務大臣防衛大臣内閣官房長官及び事態種類に応じてあらかじめ指定された国務大臣により審議を行うことができるものとしております。また、審議に際しては、議長判断により他の国務大臣を臨時に会議に参加させることができるものとしております。さらに、議員が不在のときは、一定の場合に限り、副大臣がその職務を代行することができるものとしております。  そのほか、内閣官房長官及び関係行政機関の長は、会議に対し、国家安全保障に関する資料又は情報を適時に提供するものとし、また、会議は、内閣官房長官及び関係行政機関の長に対し、資料又は情報提供及び説明その他必要な協力をするよう求めることができるものとし、議長及び議員並びにそれらの経験者に加え、副大臣として議員職務を代行した者等は、その職務に関して知ることのできた秘密を他に漏らしてはならないものとしております。また、内閣官房長官及び国家安全保障に関する重要政策を担当する内閣総理大臣補佐官は、会議出席をし、議長の許可を受けて意見を述べることができるものとし、議長及び議員を補佐するために会議に幹事を置くものとし、会議事務は、国家安全保障局において処理するものとしております。  第二に、内閣法の一部改正であります。  内閣官房国家安全保障局を置くものとし、国家安全保障局は、内閣官房事務の一部のうち国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策基本方針等に関するもの、会議事務並びに会議提供された資料又は情報等を総合して整理する事務をつかさどるものとし、国家安全保障局国家安全保障局長等を置くものとしております。  また、内閣官房に少なくとも一名の内閣総理大臣補佐官を置くものとし、内閣総理大臣はその中から、国家安全保障に関する重要政策を担当する者を指定するものとしております。  第三に、国家公務員法及び特別職の職員の給与に関する法律の一部改正であります。  国家安全保障局長特別職国家公務員とし、その俸給を定めるものとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要でございますが、この法律案につきましては、衆議院におきまして、次の二つの事項内容とする修正が行われております。  第一に、諮問事項であります。  会議に諮ることとされている事項のうち、武力攻撃事態等及び周辺事態への対処自衛隊活動国防並びに重大緊急事態への対処に関する重要事項は、内閣総理大臣が必要と認めるものについて会議に諮らなければならないこととしております。  第二に、資料提供等協力義務明確化であります。  内閣官房長官及び関係行政機関の長は、議長求めに応じ、会議に対し、国家安全保障に関する資料又は情報提供及び説明その他必要な協力を行わなければならないこととしております。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同いただきますようにお願いを申し上げます。
  7. 中川雅治

    委員長中川雅治君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員後藤祐一君から説明聴取いたします。衆議院議員後藤祐一君。
  8. 後藤祐一

    衆議院議員後藤祐一君) ただいま議題となりました安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案衆議院における修正部分につきまして、御説明申し上げます。  まず、諮問事項についてであります。  国家安全保障会議に諮ることとされている事項のうち、武力攻撃事態等及び周辺事態への対処自衛隊活動国防並びに重大緊急事態への対処に関する重要事項は、内閣総理大臣が必要と認めるものについて会議に諮らなければならないこととしております。  次に、資料提供等協力義務明確化についてであります。  内閣官房長官及び関係行政機関の長は、議長求めに応じて、会議に対し、国家安全保障に関する資料又は情報提供及び説明その他必要な協力を行わなければならないこととしております。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  9. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 大野元裕

    ○大野元裕君 民主党・新緑風会の大野元裕でございます。  今日は、国家安全保障に関するこの新しく設置をされました特別委員会におきまして、NSC法案という国民の関心も高い法案をこれから議論をさせていただくトップバッターを務めさせていただきます。官房長官におかれては、しっかりとまた御審議を賜りたいと思います。先ほど官房長官から速やかな採択という話もございましたが、しかし、この法案は、まずこの国会において熟議の上で議論をされるべき法案だと思っています。  そこで、まず、質問通告はしておりませんが、一つ伺いをしたいんですが、新聞を読んでおりましたら、ある新聞に「NSC初代局長 谷内氏 法成立後、年内に始動」という見出しで、首相側谷内氏に安保局長就任の打診を繰り返してきたと断言、また、最終的に首相の強い意向を踏まえ受諾したという、こういう報道記事が出ております。  これから、実際に趣旨説明を聴く前からこのような報道が出てしまうのは、熟議をこの国会で、参議院でしようという前に出てしまうと、これはおかしくないですか。まず、官房長官、それについて一言いただけませんか。
  11. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今委員指摘がありましたように、私ども政府としても、当然この法案国会可決をされた暁にそれは考えることでありますから、今そういう報道をされたことは承知をいたしておりますけれども、いずれにしろ、総理大臣が、法案成立した際に、これから決定するものであるというふうに考えています。
  12. 大野元裕

    ○大野元裕君 おっしゃるとおり、我々が審議をした後にこういった人事の話についてはしっかりと諮っていかれるものだと私も思っております。しかしながら、こういったものが我々が議論を始める前から出てきたことに対して、これもう新聞名前もお分かりでなければお教えいたしますので、是非まず抗議をしていただくこと。そしてこの委員会は、今のところまだ決まっていませんけれどもNSCのこの法案の後に特定秘密に関する閣法が議論をされるやにも伺っております。  これはまさに、政府による秘密漏えいや、その関係者から情報が出たことに対する危機意識、若しくはそれをさせないことのための法案議論するための特別委員会だと思っていますけれども、これがその一番最初の我々の議論が始まる前から出てしまったということは、逆に、抗議をすると同時に、部内の調査を始めるべきではありませんか。官房長官、いかがですか。
  13. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 先ほど申し上げましたように、総理自身がこの法案が成立した後にそこは決定することでありますから、まだ決まっていないことでありますし、そうしたことを、私もこの責任者でありますけれども、私も全く承知していないことでありますから、そこは極めて、どういう形でそういう報道になったかということを、私たちはまだ白紙でありますので、そこは、なぜこういう報道になってきているのかと。  いろんな報道がありますから、ここのだけでなくて、審議に入る前からいろいろな人の名前が挙がっていますから、そういう一連の中だろうというふうに思います。
  14. 大野元裕

    ○大野元裕君 済みません、これ余り時間掛けたくないんですが、全く承知していないことが断言の形で報道をされているということについては、私はやはりゆゆしき事態だと思いますし、今まさに官房長官おっしゃいました、何でこうなったのか。  何でこうなったのか調査していただけませんか。あるいは、全く根も葉もない話であれば抗議をされるべきではありませんか。改めてお伺いをいたします。
  15. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 報道の自由ということもあります。  ただ、私どもは全く白紙であって、この法案がこの参議院可決をされて初めてこれ実行に移るわけですから、その時点で総理自身判断をすることだろうというふうに思います。
  16. 大野元裕

    ○大野元裕君 この方も含めて何人かのお名前出ています。そういったことを見通しとして報道はこれまでもありました。これ、断言形なんです、本当に。断定しているんです。  それについて、総理が確かにお考えになること、しかし、先ほど官房長官、私も責任者として白紙である、承知していないとおっしゃっておられました。責任者として、調査抗議をされるべきだとはお思いにはなりませんか。いかがでございましょう。
  17. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私自身がこれの責任者として全く知らないことでありますし、この決定は総理大臣が任命をすることになっていますので、私は新聞に、今までいろんな報道もありましたけれども、一度もそこは抗議したことはありませんし、私自身の立場は全く白紙であるということを再度申し上げたいと思います。
  18. 大野元裕

    ○大野元裕君 官房長官、お答えになっていただいていないように私には思えます。  調査をし、抗議をするべきだと責任者たる官房長官はお思いになりませんかというのが私の質問でございますので、改めて御答弁を願います。
  19. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 決まっていないことでありますから、調査する必要は私はないと思っています。(発言する者あり)
  20. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  21. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 速記を起こしてください。  先ほどの理事会で、今、大野元裕君の提示した新聞記事に関する事情を政府の方から聴取をしようということに決まりましたので、理事会の場あるいは理事懇談会の場で政府の方から説明をしていただきたいと思います。
  22. 大野元裕

    ○大野元裕君 では、この件についてはこれでやめますけれども、これから特定秘密保護法審議をされることであります。そういった法案を作っても、何らそれが実効性を持たないのであれば私は意味がないし、現在の国家公務員に関する法律について、業務上知り得た者が、これは恐らく、もしも漏えいだとすればですよ、多分漏らしたんでしょうし、もしそうだとすれば、官房長官すら承知しないということは極めて限られた方しか御存じないわけですから、私はやはり調査していただくべきだと思うので、是非、委員長、これにつきましては政府から書面で御返答賜りたいと思っておりますので、よろしくお取り計らいください。
  23. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 後刻理事会において協議いたします。
  24. 大野元裕

    ○大野元裕君 それでは、本題に入らさせていただきたいと思っています。  我が国を取り巻く安全保障環境、これはこの二十年間で大きく変化をしています。私自身もそれに従いまして、オールジャパン体制日本版NSCをつくって、しっかりと国民の命、安心、こういったものを保障していくことは必要だということで、そのNSC設置自体については正直、原則として同意をしている次第であります。  他方で、民主党におきましては、安全保障調査会というものを立ち上げまして、与党時代我が国安全保障の中核となる防衛大綱議論し、あるいは冷戦時代からの古い発想からの脱却、例えば旧ソ連軍上陸作戦を前提とする、こういった基盤的防衛力構想から動的防衛力構想への転換を図りました。さらには、防衛省縦割り行政を排する中で、オールジャパン安全保障体制を構築するべきとしてまいりました。  その一方で、これは本会議でも申し上げましたけれども、現政権はこの防衛大綱を凍結して、恐らくこの年末とも言われていますけれども、少なくとも一年は日本戦略なき安全保障体制という漂流状態に陥らせています。このような認識に立って、先週の本会議においては、どんな戦略の下でNSCが位置付けられるのかと伺ったところでございます。これに対して総理は、国際協調主義に基づき、世界の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献する国になるべきとの積極的平和主義との考えの下、国家安全保障政策を機動的、戦略的に進めていくことが必要と答弁をされておられます。戦略的に進める必要性を強調されながら、国家安全保障戦略を凍結したままNSCをつくるというのは、私は大きな矛盾に見えます。  官房長官総理が強調される戦略的な安全保障政策とは何なのか、教えていただきたいと思います。
  25. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 先般の会議総理答弁されたわけでありますけれども日米同盟を基軸として、単に周辺諸国との二国間関係だけを見詰めるのではなくて、世界全体を俯瞰して、自由、民主主義基本的人権、そして法の支配という価値観を共有する国々との連携を強めていくことが安倍内閣として外交安全保障政策を進めるに当たっての基本方針であり、さらに、今委員から指摘がありましたけれども、まさに我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中にあって我が国のみでは我が国の平和を守ることができないと、そういう中にあって総理が機動的に物事を進めることができる、そういう中で、今回、NSCという法案を提出させていただいたということであります。
  26. 大野元裕

    ○大野元裕君 二国間だけで、日米同盟だけではなくてマルチ、多国間の関係価値観を共有する国々と共働していく、あるいは機動的な安全保障外交を進めていく、これ、二二大綱に全部書いてあります。それを凍結して、新しい戦略が必要で、その下にNSCが必要だというのが私は筋だと思っていますけれども、この話、余り議論しても仕方ないので、制度はつくるけれども、その戦略の中身は空っぽと、そういうことで私の方では理解をさせていただきたいと思います。  それで、この名称について改めてお伺いしたいんですが、この国家安全保障会議国家安全保障安全保障、この意味の違い、定義の違いとは何でしょうか。官房長官、お願いいたします。
  27. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 安全保障とは、一般的に、外部からの侵略等脅威に対し、外交政策防衛政策を駆使して国家及び国民の安全を保障することを意味するものであるというふうに考えます。これに含まれる具体的な事象の範囲はあらかじめ定まっているものではありませんけれども、本法案にあります国家安全保障に関する重要事項という国家安全保障とは、まさに今申し上げました安全保障の中で国の存立にかかわる国家レベルのものを指しているというふうに御理解をいただければと思います。
  28. 大野元裕

    ○大野元裕君 そうされますと、実はこれもお伺いしましたけれども、包括的なあるいは国の安全にかかわるということであると。実は、六十一年の自民党政権時代参議院内閣委員会における政府答弁では、国家を付けた場合は、どうしても、外部からの攻撃外部からの脅威外部からの侵略に対して国を守るというニュアンスがどうしても強いので、より広い概念として取った方がいいというふうに、つまり安全保障の方が広いという答弁を実は当時されているんですよ。  ところが、先ほど、安全保障に関しては、外部からの脅威に対して、国防等を駆使し、国民の安全を守る。ということは、当時の国会答弁から今の解釈が変わっているということでよろしいですね。
  29. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 安全保障とは、一般的に、外部からの侵略等脅威に対し、国家及び国民の安全を保障することを全体とすれば意味するものでありますので、当時の認識とは全く変わっていないというふうに思います。
  30. 大野元裕

    ○大野元裕君 要するに、当時は、外部からのみを基本的に対象とするのが国家安全保障だと、だから、より狭いと、それだけではないんだということを当時言っているんです。だから、安全保障会議という名称にしたとわざわざ答弁をされているんです。  ところが、総理も実際、この間の本会議におきましても、包括的な安全という言葉もお使いになられております。これ、当時の議論に従えば、安全保障会議の方がいいんじゃないんですか。いかがですか、官房長官
  31. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今申し上げましたけれども安全保障とは、一般的に、外部からの侵略等脅威に対して国家及び国民の安全を保障することを意味する、その認識には全く変わっておりません。ただ、私申し上げましたけれども、やはりこの我が国を取り巻く環境が厳しい中にあって、そうした中で、今回この法案を提出をさせていただくことになったということであります。
  32. 大野元裕

    ○大野元裕君 我が国を取り巻く環境が変わったのでより狭い概念で対処をすると、そういうことなんでございましょう。  ここで引っかかっても仕方がないので若干進めさせていただきますが、大臣、順番を少し変えさせていただくことを御容赦いただきたいと思います。  やはり昭和六十一年の政府答弁であるんですけれども、この今回の法案にもあります重大緊急事態、これが昭和六十一年の安全保障会議設置法案で国防会議時代に比べて新しい所管として加わっています。この重大緊急事態は、当時の第二次行革の臨時調査会、何で行革でやるのか分かりませんが、そこで答申をされて、その前身の安全保障会議において重大緊急事態への対処に関する重要事項が所管事項になるということで入っているんです。  官房長官、このときの重大緊急事態に対する国会答弁では、従来の法制度あるいは中央防災会議のような既存の体制では対応できない国防以外の事態がトップダウンのやり方で決められなければならない、それが重大緊急事態であるというふうに述べておりますけれども、その定義でよろしいですか。
  33. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 本法案における重大緊急事態とは、我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるもののうち、通常の緊急事態対処体制によっては適切に対処することが困難な事態から武力攻撃事態周辺事態等の事態を除いたものを指しております。そして、こうした緊急事態に際して、国家安全保障に関する重要事項については、高度に政治的な判断を行う必要がある場合に緊急大臣会合を開催をし、政府がとるべき措置等について審議することになっております。
  34. 大野元裕

    ○大野元裕君 武力攻撃周辺事態ではない、通常の緊急事態ではないようなものということでよろしいんですね。  例えばそれは、例えばですけれども、ちょっとイメージとして湧かないんですが、自衛隊の治安出動のようなもの、こういったものを対象とするようなものなんでしょうか、要請するようなものなんでしょうか。
  35. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) イメージとして、例えば領海侵入、不法上陸だとか、あるいは放射能物資のテロ事件だとか、あるいは大量難民事業だとか、そういうことをイメージといたしております。
  36. 大野元裕

    ○大野元裕君 そういたしますと、当時の重大緊急事態と基本的に定義は一緒だというふうに私も理解を、事態の変更はあったとしても理解をしておりますけれども、当時の議論をもう一度振り返りますと、国防会議から昭和六十一年に安全保障会議になりました。  そのときに、常任メンバーではなかった当時の経済企画庁長官国家公安委員長が当時メンバーに新しく追加をされているんです。その際にやはり国会議論になりました。その際の国会答弁政府が言っていたのは、この重大緊急事態に関して国家公安委員長は任務上一番関係が深い方であると答弁をされているんです。ということは、この答弁を見る限り、国家公安委員長は重大緊急事態に対応するために常任メンバーになった、それ以外付け加わっていないんですから、と考えるのが普通だと思います。  ところが、今回の法案を見ていますと、本法案の中を見ていますと、同じ所管事項、つまり重大緊急事態が入っているのにもかかわらず、その重大緊急事態において国家公安委員長は本法案第二条第一項第十号にある重大緊急事態の常任のメンバーからは外されて、事態種類に応じてあらかじめ内閣総理大臣により指定された国務大臣の一人、ワン・オブ・ゼムになっているんです。その一方で、国家公安委員長は、その六十一年の前の、つまり、この重大緊急事態が入る前のときは常設のメンバーじゃなかったんです、常任のメンバーじゃなかったんです。ところが、今回の法案では、この重大緊急事態以外の一号から八号のなぜか常任メンバーになっているんですよ。これは、当時の国会答弁あるいはこの定義と考えるとあべこべじゃないんでしょうか。  どうしてこういう形で、常任メンバーに片っ方は関係ないものが入って、片っ方は最も任務上一番関係が深い方とあくまで答弁されていることですから、それをそっち側から外されている理由は、官房長官、どうしてなんでしょうか。
  37. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 緊急事態の対応というのは様々であって、関係する国務大臣もこれ様々であります。そのため、緊急大臣会合における議員は、内閣官房長官のほかに、総理大臣より事態種類に応じてあらかじめ指定された国務大臣といたしております。緊急事態種類に応じてあらかじめ過不足なく関係閣僚を議員として指定をし、迅速な対応を講じることができるようにしており、御指摘国家公安委員会委員長についても緊急事態種類に応じて適切に指定していく考えであります。  一方、これまでの安全保障会議は、九大臣国防に関する重要事項について審議を行うことによってその文民統制機能を果たしており、国家安全保障会議設置後も安全保障会議の文民統制機能の重要性は変わらないために、引き続き、防衛大綱、武力攻撃事態及び周辺事態への対処等の国防に関する重要事項については、国家委員長を含む九大臣会合を行うということになっています。
  38. 大野元裕

    ○大野元裕君 ちょっと待ってください。  文民統制、シビリアンコントロールは確かに重要なんですよ。それはそのとおりなんです。しかし、それは国防会議時代からの任務であって、そのときには同じ任務で、中身の定義は変わらずに国家公安委員長が六十一年には入っているんです。何で入ったかというと、先ほど申し上げたとおり、重大緊急事態が新しく付け加えられて、最も関係が任務上深い大臣だからだと答弁されているんですよ。にもかかわらず、そっちから外されて、シビリアンコントロールの方に国家公安委員長が残されて常設メンバーになっている。これは変えたわけですからね、今回、変えられたわけですよね、その参加される大臣を。にもかかわらず、そうなっているのはおかしいんじゃないんですかということは、必ずしも答えておられないと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  39. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私、冒頭、緊急事態への対応様々だという話をさせていただきました。  例えば、海賊等にはやはり国家公安委員長は必要ではないというふうに思っていますので、そういう意味合いも含めて、必要なものについては必ず指定をする形になっております。
  40. 大野元裕

    ○大野元裕君 ちょっと待ってください。  海賊に対する対処、例えば今ジブチ等に出ていますけれども、ソマリア沖合もそうですけれども、そこは警職権、警察権は関係がないのでしょうか。これは国家公安委員長ではありませんけれども、警察権で対処されているのではないのでしょうか。
  41. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) そこについては海上保安庁になっております。
  42. 大野元裕

    ○大野元裕君 質問は、警察権は関係ないんでしょうかという。
  43. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 海上保安庁の方で行使するようになるというふうに考えています。
  44. 大野元裕

    ○大野元裕君 海上における、おっしゃるとおり、警察権というのは確かに海上保安庁でございます。しかしながら、じゃ、その当時に、まさに最も任務上関係が深いとおっしゃられた答弁自体は、これは必ずしも直接関係があるわけではないということでよろしいんですか。  また、先ほども一つ伺いしたのは、国防会議時代からのシビリアンコントロール、そこに国家公安委員長は入っていなかったにもかかわらず、今回は国家公安委員長が入れられた理由以外のところ、その前のところで新しくまた残っているというのはなぜですかというのも聞いているんですが。
  45. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 委員、元々この安保会議、九大臣のときから公安委員長は入っているというふうに思っています。
  46. 大野元裕

    ○大野元裕君 国防会議のときには入っておりませんでした。昭和六十一年の安全保障会議国家公安委員長と経済企画庁の長官が新たに入り、そのときの答弁で、新しく入った所管である重大緊急事態の最も関係が深い大臣だから入ったということですから、本来、国防会議時代からあったシビリアンコントロール、これ国防会議時代安全保障会議時代も中身の定義変わっていませんから、所管の。それについては、実は当時は、六十一年、前は入っていませんでした。しかし、新しい任務で入ったわけですから、今回そっちだけ残って、この任務上一番関係あるところが外されたのは逆におかしいんじゃないんですかというのが私の質問であります。
  47. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今日ある九大臣会議、この安保会議、ここにおいてはシビリアンコントロールというものも強化する中で、そういう御指摘のような形で入られたというふうに思っています。今はそのまま続いておりますし、今度の緊急事態への対処のための大臣については、まさにこの迅速、適切な措置に必要だというその大臣を事前に指定をしておりますので、先ほどちょっと例として挙げさせていただきましたけれども、海賊対処などは公安委員長がそのメンバーでなくてもいいだろうという、そういう判断の中で、このような緊急事態からは、重要な中からは外させていただいているということでございます。
  48. 大野元裕

    ○大野元裕君 答弁が変わりましたね。シビリアンコントロールを強化するために国家公安委員長が入ったというのは、当時一行も出てきていないですし、そういった説明はなかったと私は理解していますけれども、堂々巡りなんで、国家公安委員長、お伺いします。  当時の国会答弁によりますと、国家公安委員長は緊急重大事態のときに任務上一番関係が深い方とされているんです。確かにそういった面も私はあるんだろうというふうに思います。そのメンバーとして、常任メンバーから外されて、その責任を全うし、あるいはNSC等で調整が行われる、調整を受ける官庁の監督役としてその責任を全うできるというふうにお考えでいらっしゃいますか。
  49. 古屋圭司

    国務大臣(古屋圭司君) 委員指摘のように、常設の、常任のメンバーには入っておりませんが、今官房長官からも何度か答弁がございましたように、事態種類によって、警察が所掌する事案についてはあらかじめ国家公安委員長が指定をされるという立て付けになっております。  例えば、具体的に言うと、そうですね、領海侵入とか不法上陸事案、これはもう国家公安委員長が関係しますね。それから、放射能物質テロの事案なんかも入りますね。それから、大量難民がどっと押し寄せてきたと、こういうようなときにも国家公安委員長が所掌すると思いますので、こういった事態のときにはあらかじめ内閣総理大臣から国家公安委員長が指名を受けるという、そういう運営の仕方になるというふうに私たちは理解しておりますので、たとえこれが常設メンバーになっていなかったとしても、実質上の運営の中では正しく適切に機能されるものというふうに考えております。
  50. 大野元裕

    ○大野元裕君 そうしますと、今の官房長官の御答弁の中で、シビリアンコントロールを強化するために国家公安委員長が入ったものというお話もございましたけれども国家公安委員長はシビリアンコントロールをされるということでよろしいんでしょうか。  例えば、自衛隊の治安出動についても、これ実は第二条第一項の国防事態だというのが国防会議時代からの解釈のはずでございます。当時入ってなかったわけですけれども、そういう理解で、このNSCの中で国家公安委員長はシビリアンコントロールを果たす役割で入るということでよろしいんですね。
  51. 古屋圭司

    国務大臣(古屋圭司君) 当然私どもは、シビリアンコントロールというのは常にその責務はございますので、国家公安委員会の委員長としてそういう責務は常に持っているということというふうに理解をいたしております。
  52. 大野元裕

    ○大野元裕君 新しい解釈だと私は思いますけれども委員長、この後お時間もございますので、国家公安委員長については退席していただいて結構でございます。
  53. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 古屋国家公安委員長、どうぞ退席してください。
  54. 大野元裕

    ○大野元裕君 今国会衆議院における総理の御答弁では、先ほど包括的な安全保障の話をいたしました。その包括的な安全保障事項を扱うのであるから国家安全保障会議とするという御発言も総理からございました。安全保障会議の所掌事項から加わったもの、新たに加わったものは、第二条第一項第十一号のその他国家安全保障に関する重要事項のみだと理解をしてよろしいでしょうか。
  55. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 本案では、従来の安全保障会議審議事項は維持しながら、国家安全保障会議審議事項を、従来の国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項から、我が国安全保障に関する重要事項に改めて拡大をいたしております。これに伴って、第二条第一項第十一号のその他国家安全保障に関する重要事項だけでなく、四大臣会合の審査事項であります第九号の国家安全保障に関する外交政策防衛政策、その基本方針並びにこれらの政策に関する重要事項も新たに加えさせていただきました。  その他国家安全保障に関する重要事項に何が該当するかについては、その時々の安全保障の情勢に応じて総理大臣が大所高所から判断するものというふうに考えております。
  56. 大野元裕

    ○大野元裕君 そういたしますと、もう一度、済みません、確認ですけれども、今その時々で判断をするというお話でございました。ところが、先ほどちょっとお話しした重大緊急事態、これ、従来の法制度や中央防災会議等の既存の体制で対応できない国防以外の事態についてトップダウンのやり方で決めるというのは当時の答弁なんですが、これ、どこが違ってくるんでございましょうか、確認をさせてください。
  57. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 例えばエネルギーの安全保障とか食料の安全保障といった諸問題についても、これらが我が国の、国の安全保障の根幹に影響するというふうに考えられたときは、やはりここの中で議論する形になるだろうと思います。
  58. 大野元裕

    ○大野元裕君 もう一度、済みません。  昭和六十一年のときの若干のやり取りはお読みいただいた方がいいと思います。  当時、総合安全保障という議論があって、エネルギー安全保障はどうするんだといったときに、実はこのときに議論されている話だと私は理解をしておりますので、したがって、もちろん時代は変わりますから、当時のエネルギー安全保障と今の安全保障の定義、変わっているかもしれませんが、そこについては一度整理をしていただいた方が私はよいのではないかと思いますけれども、特に集まる大臣違うわけですから、第十一号と第九号は。そこは是非整理をされるべきだと思いますけれども、もう一度だけ、済みません、官房長官、御答弁ください。
  59. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) そこは総理が大所高所から判断することになるだろうというふうに思います。
  60. 大野元裕

    ○大野元裕君 いやいや、大所高所から判断するのはおっしゃるとおりだと思います、総理議長ですから。しかも、さっき申し上げた重大緊急事態もトップダウンのやり方で方針決めると言っているわけですから、そこも大所高所で判断する。  ところが、エネルギー安全保障を引かれましたけれども、昭和六十一年の議論、そのときは総合安全保障という議論を最初されていて、そういった部分はどこに入るんですかという議論が当時実はあって、もう既になされているんです、国会で。そうすると、新しく九号で入ったものと十一号で入ったものは整理をしないと、同じ大臣でやるわけじゃないですから、四大臣とそれから別な大臣ですから、そこはやはり整理をされてからNSCにかけないと、制度という枠組みを、箱をつくっても中身が混乱をすることになりかねないので、官房長官のところで一度整理をされたらいかがですかとお伺いしているんですけど、いかがでしょうか。
  61. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私、総理が大所高所から判断するという形のお話をさせていただきました。そして、必要な大臣については事前に総理大臣が指定して対応することになっていますから、そこは、今エネルギーの話をさせていただきましたけれども、食料だとか、総理大臣がやはり国家安全保障の根幹にかかわるという判断をした場合に私は指定されるんだろうというふうに思います。
  62. 大野元裕

    ○大野元裕君 是非一度整理をお願いを、私はするべきだと思います。  この日本版NSCにつきましては、より包括的でしかも機動的であるべきだと思っておりますし、つくること自体が重要なのではなくて、機能しなければ意味がないんだろうと私も思っております。  そこで、この組織、機能するかについても検証をさせていただきたいと思うんですが、まず、官房長官報道でもおっしゃっておられましたが、NSCの開催頻度について月に二回程度とおっしゃられておられます。これについてまず確認をさせていただきたいと思います。
  63. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) まず、この国家安全保障会議設置の意義というのが、総理を中心として、関係閣僚が平素から戦略的視点を持って審議を行って、政治が強力リーダーシップを発揮をし、政府として国家安全保障政策を機動的、戦略的に進めたい、そのための環境を整備するものであるということであります。  その中核になるのが四大臣会合でありまして、外交安全保障政策の司令塔として機能させていくために、やはり平素から四大臣がその時々の情勢を適切に把握をして、国家安全保障政策に関する共通認識を持つことが大事であろうという中で、月二回程度開催を予定をいたしているところであります。ただ、状況によっては定例会合を待つまでもなく開かれることもあるということであります。
  64. 大野元裕

    ○大野元裕君 安全保障会議にまた戻りますけれども設置されて以降、実は審議の頻度というのは、御存じかと思いますけれども飛躍的に上がっているんです。国防会議時代と比較すると実は三倍程度になっていて、年間三回から四回しか開かれていなかったものが、実はこの十年程度を見ると平均で月一回になります。安全保障会議を逆に活性化させれば十分とおっしゃった自民党政権の福田内閣のとき、実は年間五回だけなんですよ。一番活性化しなかったのがあのときでございます。  官邸として、月に二回会議を行わなければいけない理由というのを是非お伺いをしたいんです。というのは、アメリカでもそうですけれども、大統領によって開催の回数は相当違います。年間一回しかおやりに正式なものはならなかった大統領もおられますし、そういった意味では、この月二回という頻度を戦略的な必要性という観点から、確かに平素から話し合うのはそうですが、私もかつて公務員やっておりましたので、五分だけ、紙配って決裁して終わりという会議では決して平素からの機動的な戦略を扱う会議だと私は思えませんので、そういった機動的に機能させるためには、戦略的な観点からはこの月二回という理由はどういう根拠でお出になっているんでしょうか。
  65. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 外交安全保障の司令塔として機能していくためには、やはりこの四大臣会合というものは月二回程度は開催をして、お互いに共通認識を持っていくということが私は常に大事だというふうに思っていますので、それで、そういう考え方に立って、月一回というのはやはり余りにも私は少な過ぎると思いますし、二週間に一回程度は必要かなというふうに思います。
  66. 大野元裕

    ○大野元裕君 月一回、月二回は、先ほど官房長官もちょっとにやっと笑っておられましたけれども、紙配って終わりという、そういう会議で是非しないでいただきたいと思っています。  他方、民主党政権時代を振り返りますと、実は当時も安全保障に関連する四大臣の会合は開催をされておりました。それは月に何回という定例のごときものではないんですけれども、例えば尖閣事案、ホルムズ海峡の緊張、あるいは沖縄の基地問題、こういった議論が起きたときには、重要な案件があるときには、必要に合わせて時には非常に頻繁に何度も何度も開催を月にされておられました。  私は頻度を定めるよりも機動的に開催することの方が重要だと思いますし、アイゼンハワー大統領の当時は確かに定期的にやられていましたけれども、これブッシュ大統領、お父さんの方なんかもそうですけれども、どちらかというと、必要のある大臣と必要のある開催頻度で行うという体制の方が私は適切だと思うので、頻度というよりも中身の方に是非重点を置いていただきたいと思うんですが、いかがお考えでしょうか。
  67. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) いずれにしろ、私は、そこは中身が大事だというのは当然のことでありますので、それは委員の御指摘のとおりだろうというふうに思います。充実することができるような会議にしていきたいと思います。
  68. 大野元裕

    ○大野元裕君 是非よろしくお願いいたします。  NSCを機能させる際には情報コミュニティーがしっかりとした情報に基づき情報を上げると、そしてそれを事務局が分析を行い、NSC会議、本会議において、基幹になる大臣会合において戦略、戦術を構築し、さらに各省と調整を行うと、こういったサイクルがあるんだろうと考えます。  このような役割をこなす上では、やはり円滑な体制、しっかりとした体制を持たなければNSCは機能しないと思いますけれども、巷間言われております数十名の事務局の体制官房長官は十分だというふうにお考えでしょうか。
  69. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) まず、政府考え方でありますけれども国家安全保障局総理のリーダーシップの発揮を強力にサポートして、平素から総理の意向を踏まえながら国家安全保障政策の企画立案、総合調整、これを行うという観点から人数を考えております。  一方、この機動的政策決定を進めていくためには、最初から組織が大き過ぎればいいというものでもこれはないだろうというふうに思います。  いずれにしろ、設立の時点では必要となる機能として六十名前後を規模としてスタートをさせていただきたいと思います。各国のNSCの歴史を見てみますと、いろんな試行錯誤をしながら今日に至っているようでありますので、私たちとしては、まずスタートは六十人ぐらいでスタートをしたいというふうに考えています。
  70. 大野元裕

    ○大野元裕君 おっしゃるとおりで、たしかアメリカは、私の記憶だと二人だか三人から事務局始まったんだと理解をしております。  ところが、今官房長官が、官邸におけるサポートの機能、企画立案、総合調整というお話をされました。官邸における総合調整の責任は官房長官に私はあると思いますけれども安全保障国防の際にはその調整は専ら安全保障局長が行うということになるんでしょうか。
  71. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私の指示の下に国家安全保障局長が企画立案、調整を行うという形にしたいと思います。
  72. 大野元裕

    ○大野元裕君 そういたしますと、官房長官がおられて、指示の下に安全保障局長が調整や企画立案を行うということだったと思いますが、国家安全保障担当補佐官は、そうするとこのラインの中でどういう役割を果たされるんでしょうか。
  73. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今回の法案の中で常設化される国家安全保障担当総理補佐官は、総理直属のスタッフとして、総理の命を受けて、国家安全保障に関する重要政策に関し総理に対して助言を行い、その判断を助ける、そういう役割を担うことになっております。我が国を取り巻く安全保障環境が厳しい中で国家安全保障に関する諸課題が山積していることを踏まえて、このような役割を果たす国家安全保障担当補佐官を常設化する必要があるというふうに考えたところであります。  本法案においては、総理補佐官の中から国家安全保障担当を指定する一方で、総理補佐官が他の案件に併せて担当することも排除していないということであります。
  74. 大野元裕

    ○大野元裕君 いや、私もこのような日本を取り巻く安全保障環境の中でアドバイスできる人がいるのはいいことだと思いますよ。しかしながら、それはラインがしっかりあって、そこで調整や、さらにはインテリジェンスコミュニティーを含めた様々な支援する機関がある中での、この確固たる体制があるわけです。それに別途アドバイスする人は確かにいてもいいと私も思うし、そういう能力がある人だったら積極的に登用していくべきだと思います。  しかし、それを法定で置く必要、しかも、五人の今補佐官がおられると私は理解しておりますけれども、増員するわけじゃないですよね。五人の中の一人だか二人だか分かりませんけれども、その人を法定で総理が指名をすると、この必要性がどこにあるんでしょうか。
  75. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) ここについては、やはり総理大臣が、総理大臣も極めて多忙であることは委員も御承知だというふうに思います。総理補佐官、今委員の言われたように五人おります。その中の一人を常設に置くということでありますけれども、例えば国会だとか国会議員だとか政党だとか、いろいろなところに総理の命を受けてそうした考え方を伝えるというのは、私は必要だろうというふうに思います。
  76. 大野元裕

    ○大野元裕君 いや、ちょっと待ってください。アドバイザーですよね。それは国会等に命を伝えに行く方なんですか。ちょっともう一度確認させてください。
  77. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) アドバイザーということというよりも総理直属のスタッフとして、先ほども申し上げましたけれども総理大臣の命を受けて、国家安全保障に関する重要政策に対して総理に助言を行ったりその判断を助ける重要な役割という形で考えておりますので、総理の命を受けてそういうこともやはりする人が必要じゃないでしょうか。
  78. 大野元裕

    ○大野元裕君 いや、全くもって総理は多忙だと、官房長官も大変多忙だと私は思いますけれども、その補佐官が五人しかいない中でその方を安全保障に、その方かその方々か分かりませんけれども、下手すると五名ともこれ安全保障担当に任命することができるわけですけれども、その方々が法定で安全保障をやると定められることは、逆に言うと、補佐官がスタッフとして総理の命を受けて柔軟にかつ機動的に働くということを阻害しやしないかと。  また、先ほど申し上げた安全保障と付いているがために、安全保障のこちらのラインがあるにもかかわらず、ここからの情報から私は疎外されると思うし、役人はそういったラインに入っていない人の言うことを聞きませんし、逆にそこに介入しようとすれば役人から干されるというか、まさにそういう状況になると私は思います。その意味では、その補佐官に安全保障担当を法定ですることについて聞いているんですよ。  というのは、野田政権のときも長島補佐官は、まさにこの安全保障担当の補佐官を役割として野田さんから言われてやっていたんです。そういう柔軟な方が私はいいと思うし、大震災なんかのときには五人が五人ともその災害に対処するかもしれない。そういったまさに柔軟性というものを残しておいた方が私は官房長官にとっても総理にとっても使いやすいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  79. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 総理大臣補佐官ですから、私の立場では実は使うことができないんであります。  いずれにしろ、総理のそばにいて、先ほど来申し上げていますけれども総理に対して助言や、あるいは総理の命を受けて、そうした自由に行動をすることのできる人を総理大臣補佐官の中から一名、やはりこの極めて重要な国家安全保障の担当に指名することは、これは必要だと思います。
  80. 大野元裕

    ○大野元裕君 考えが全く私とは違うので、もしも仮に国民の皆様の御信託を受けて政権を取れることになったら、まずここから改正しなきゃいけないなというふうに私は感じている次第でございます。  ちょっと話が変わりまして、戦略情報の分断と機能的な結合、これについてお伺いをしたいと思います。  本会議において、私は、法案の第十七条において、安全保障会議提供された情報NSC事務局が総合することになっている、これについて指摘をさせていただきました。  戦略情報は本来分離される原則であります。そうだとすれば、提供された情報NSC事務局が総合するのではなくて、NSCから示された情報関心若しくは情報要求に従って内閣情報官側で情報を総合し提供するべきだと私は思いますが、どうですかと伺いましたら、官房長官は、戦略情報の分離、オール・ソース・アナリシスの提供、こういった周知の一般的原則を述べられただけで、質問に答えていただけなかったと私は理解をしております。  改めてお伺いしますけれども提供された情報NSC事務局で総合するのではなく、情報分析官側の組織でやるべきではないでしょうか。いかがですか。
  81. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) まず、この内閣情報官でありますけれども、自ら情報を収集するとともに、政府が保有するあらゆる情報手段を活用して、総合的な分析成果を国家安全保障局を含め政策部門に提供をしていくことになります。  国家安全保障局は自らがそういう情報を収集する部門ではありません。国家安全保障局は、まさに内閣情報官が収集、集約した情報や分析結果の提供を受けるとともに、その時々の情勢に合わせて自ら自動的に情報関心を各省庁に示して、各省庁から機動的な報告を受けることによって総合調整機能を発揮し、より効果的な政策立案を行うこととされているものであります。そういう意味において、国家安全保障会議における質の高い審議に資するものであるというふうに考えます。  そして、今言われました情報部門において出されたこの政策において、政策部門の情報関心に基づいて情報を収集し、集約した情報を分析をして、その成果を政策部門に提供するわけであります。そして、政策部門はその情報提供を基に政策立案をし、その活用に資するようにするということであります。  そこで、この適正な政策判断を行うについて、これは客観的な視点で収集、分析された情報を基に行うことが必要だというふうに思っていますので、そういう意味においては、いわゆる国家安全保障局政策部門と情報を収集する部門をこれは分離をした方がいいという判断でこのような形にさせていただきたいということです。
  82. 大野元裕

    ○大野元裕君 全く答えていらっしゃらないと思います。  先ほども言ったとおり、これ本会議のときと一緒で、オール・ソース・アナリシスの提供情報戦略の分離、これについて今お話をされたんです。そうじゃない。私が申し上げているのは、情報NSC事務局が総合するのではなくて内閣情報官が総合してから提供するべきじゃないんですかと言っているだけですけど。
  83. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 現時点でおいて、内閣情報官は収集したものについてそれを今分析をしているわけであります。今度の安全保障局は、その情報を基にしながら自らまた政策立案をしていくという、そういう形で政策立案と情報収集は分けて考えています。
  84. 大野元裕

    ○大野元裕君 情報の総合って、だったら何ですか、情報の総合というのは政策分野なんですか。
  85. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 政策情報を生かすことだというふうに考えます。
  86. 大野元裕

    ○大野元裕君 ということは情報分野ですよね。だとしたら、内閣情報局で内閣情報官が行われるべきだと私は思いますが。  というのは、実は内閣情報官の方から先ほどおっしゃったその情報関心を明確に伝える制度というのはもう既にありますよね。内閣情報会議には官房副長官補が出席をされておられて、政策側の関心と連結を務めておられます。つまり、政策側から情報側に出ていって、これこれこういう情報を整理してよこせと既に言っているんですよ。とすれば、これやる作業は情報側じゃないか、それを私は問うているわけでありまして、有機的な連結の在り方というものを、両方に食い込んでしまうと、政策が入った情報というのは、例の大量破壊兵器のイラクの問題についても、ブッシュ政権の間違いは、大量破壊兵器があるという情報を上げてこいと、これだけの政策をその情報に突っ込んでしまったための間違いでありました。  もう既にいろんな国でそういった間違いが行われているんですから、我々は情報政策の分離原則、そして有機的な連結というものはしっかり考えていくべきだというふうに思いますけれども、改めて官房長官の御答弁を賜りたいと思います。
  87. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今委員指摘がありましたイラクの話ありました。そういうことを考えた上で私たちは情報政策を分離しているということであります。
  88. 大野元裕

    ○大野元裕君 全然話がかみ合っていないと思いますけれども、もう少し御検討を賜りたいと思います。  民主党の方から御提案をさせていただきました修正案におかれましては、政府・与党においてはこれを真摯に懸命に御検討を賜りました。これにつきましては感謝を申し上げたいとは思っております。しかしながらその一方で、このうち、会議が各行政機関の長に対し情報提供求めることができるを、議長求めに応じて提出しなければならないに改めた。これは戦略を扱うNSCを機能させる上で重要な修正だと我々も思っておりますけれども官房長官の御所見を賜りたいと思います。
  89. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私は、その修正の結果を踏まえてここはしっかり運用をしていきたいというふうに思います。ただ、この問題についても、法案を作る際の技術的な問題で、目指すところは同じだったように私ども考えていました。しかし、修正提案がありましたので、そこはそんなふうに修正をさせていただいたということであります。
  90. 大野元裕

    ○大野元裕君 違いについて若干説明させていただくと、会議求めることができるだと、会議の中には提供する側の大臣も入っていらっしゃるんです。岸田大臣そこにおられますけれども、岸田大臣のところで集めた情報を出したくないというふうに会議の構成員があくまでも突っぱねるような状況は、やっぱり機能させないことにもつながりかねない。だからこそ、議長求めに従い提出しなければならないと、こういう我々は機能するための、まさに今の政権で使っていただくための、そういう提言をさせていただいたと思うんです。  他方、官房長官は、いわゆるNSCに期待される役割というのは、分析の結果を基に企画立案する、そして会議に提示をすることだ、つまり、戦略とペアになる情報については、先ほどもおっしゃられたとおり、事務局でやるのではなくて、各省庁に依存することが大きいんだと私は思います。特に、今回、安全保障あるいは安全保障にかかわる外交、そういった外交に関する分野がとても大きいんだと思います。そういう意味では、このNSCが機能するかどうかというのは、当然の話ながら外務省に対しても負っているところは多いと思っています。  そこで、まずは官房長官にお伺いをさせていただきたいんですけれども、外務省の中でも、外務省全体で情報を取っていますので一部局だけではありませんが、外務省の情報統括官組織の情報収集強化のための予算というのは年々削減されて、平成二十六年度の概算要求ベースでも更に削減されているんですよ。要するに、NSCはつくります、でもそれとペアになるべき情報の部分はどんどん減らしていきます。これではNSCは機能しないんじゃないんでしょうか。  私は、決して今の政権NSCという目立つ部分だけ強調して、ほかの国民の目に届かないところはどうでもいいと思っているとは思いませんが、官房長官、何でこういう形で、NSC、重要法案として提出をされておられるにもかかわらず、そのペアになる情報が減っていくような予算組みをされるんでしょうか。いかがでしょうか。
  91. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 昨今の我が国の厳しい経済財政事情の中で、外務省国際情報統括官組織予算が削減をされてきているというのは委員指摘のとおりであります。一方、我が国を取り巻く国際情勢が厳しさを増す中で、我が国の国益を守り国民の安全を確保するためには、我が国の対外情報収集・分析能力の向上を図ることが必要不可欠であるというふうに私は認識をいたしております。  政府として、今後とも外務省を含む政府全体の情報収集・分析能力の向上を図ってまいりたいというふうに考えていますので、ここは、私どもはこの重要性というのは考えております。
  92. 大野元裕

    ○大野元裕君 重要性は考えているけれどもお金は増えない、これが今の御答弁内容かなと思うんですが。  岸田大臣、極めて重要な部分を担っておられるわけですけれども政権の優先事項として日本版NSCがある、これは当然、決定は閣議ですから、内閣が一体となってされたことですけれども、しかも、それに対して我々は、いろいろ議論はありましたが、それでも嫌々、嫌々とは言いませんが、特別委員会まで立てて議論をさせていただいている。そのような重要な事項であるにもかかわらず、何で外務省は概算要求で予算削る形で要求するんですか、そこで頑張らないんですか。いかがでしょうか。
  93. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の国際情報統括官制度、これは、二〇〇三年のイラクへの武力行使後、外務省に設けられた組織だと承知しておりますが、この重要な組織、予算につきましても、平成十八年が七億程度だったと思いますが、二十五年度で五億程度に予算が削減されてきている。理由につきましては、ただいま官房長官からありましたように、我が国の厳しい経済状況、財政状況の中でこうした予算になっているということだとは思いますが、我が国の国益を守り、そして我が国の安定を守るために、情報の収集、そして情報分析、これは極めて重要な課題だと認識をしております。  平成二十六年度の概算要求におきましても、厳しい環境の中ではありますが、現状以上の予算を獲得するべく、外務省としては要求をしている次第でございます。
  94. 大野元裕

    ○大野元裕君 あれ、現状以下じゃ、もう既に概算要求のところで四億八千八百万、たしか以下になっているんではないかと私は理解をしておりましたけれども。いずれにしても、情報は大事だけれども数字は減らす、これが今の政権情報戦略に対する姿勢というふうに取られては、決して、我々はここで審議している意味がないんではないかと思いますので、頑張っていただきたいと思います。  安倍政権は、アルジェリアの事件に際して、事件の当日の朝、隣の国のリビアが国会で、アルジェリアとの国境を閉鎖した、これは公に出ている話ですからね。事前に隣の国は国境を閉鎖しているんですよ。そういうことを知らずに、事件発生後は専らアルジェリア政府や欧米に頼って十分な情報収集体制をしかず、これは以前予算委員会大臣とも議論をさせていただきました。ただの一人のアラビア語を話せるやつも応援体制も含めて送らなかったと、このようなお粗末な危機管理体制を露呈させてしまいました。  外務省としては、そのときの教訓も生かして、答弁でも何回かありましたけれども情報収集体制を強化させるというふうにおっしゃっていたと思います。もちろん、それはアルジェリアだけではない、サヘル地域だけではないと思いますけれども情報収集予算、これ全体の世界情勢が緊迫する、あるいは多様性を持つ中で、どんどんこれ情報収集予算や能力、強化するということではなかったんでしょうか。大臣、お願いいたします。
  95. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 在アルジェリアの邦人に対するテロ事件を受けた邦人及び在外企業の安全確保、この点につきましては、この事件発生後、外務省の中にも、また官邸の中にも、検証し、そして有識者会議等を設けて検証を続けてきました。そして、報告書もまとめられたわけであります。この報告書を踏まえまして、二十六年度概算要求において、海外における邦人そして企業の安全確保の施策として総額十四・九億円の予算を要求をしております。この中に先ほどの国際情報統括官組織への予算も含まれているということでございます。こうした予算を活用しまして、引き続きまして情報収集、情報分析、しっかりと努めていかなければいけない、このように認識をしております。
  96. 大野元裕

    ○大野元裕君 先ほども申し上げましたけれども、しかしそれでも金額は全体として下がってきている。そして、この十四・九億円の中でも、情報統括官組織の中で見ると、実は、マグレブあるいはサヘル、こういった地域に重点的に配分がされているんです。確かに一度空いた穴のところは埋めていく必要もある、しかしながら、多様で、しかも予測できる危機というのもたくさんあると思います。  これは質問していませんけれども、例えば来年の四月にはアフガニスタンでターリバーンが再度全面攻勢掛けるともう今から言っています。それに従って中央アジアについても不安定化が始まっています。そういった全体としての情報収集の予算というものはしっかり取っていかないと、再び命を預かる外務省がしっかり機能しない。しかも、今度はそれをNSCという形で事前から準備していく、そこに情報を上げて判断をし、分析をし、政策を作っていただくためには最も基本的なことじゃないですか。もう一度御答弁ください。頑張ってくださいよ、大臣
  97. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘はそのとおりだと思います。NSC、その会議においてしっかりとした判断が行われる、あるいは国家安全保障局においてしっかりとした企画立案、総合調整が行われるために、外務省として法律に従ってしっかり情報提供していかなければいけない、このことは改めてしっかり確認をしなければならないと思っています。  そして、そのために、予算におきましては、先ほど申し上げましたこのアルジェリアの教訓に基づいた安全対策予算、そして、そもそもこの国際情報統括官組織への予算、こういったものをしっかり総合的に活用していかなければならないと思いますし、また、外務省の情報収集ということであるならば、報償費等あらゆる手段を使って情報収集に努めていかなければならない、このように認識をしております。
  98. 大野元裕

    ○大野元裕君 岸田大臣、この続きはあしたの外交防衛委員会でまたやらせていただきたいと思っております。  情報の予算だけではなくて、情報の今度は流れについてお伺いをしたいと思っています。  実は、民主党政権下でもNSCに関しては二年間我々議論を続けさせていただいて、インテリジェンスの分野に対する皆さんからの御議論というのは非常に示唆の富んだものがありました。総理の本会議でのお言葉を借りれば、情報コミュニティー各省庁が内閣の下に相互に緊密な連携を保ちつつ情報収集・分析活動に携わっている、こういうことになっています。つまり、内閣情報官に対し政策分野から情報関心が伝えられ、そして、原則としてそこで情報評価を経た情報が、情報コミュニティーから上がってきた情報情報評価を経てNSC総理などに上がっていくということになっているはずなんです。  ところが、現実には、各省庁から、重要な情報であればあるほどほかの省庁には漏らさずに総理官房長官のところにいわゆる秘書官と称する人たちが時間を見付けて上げてくる、こういう状況がこれまで頻発してきました。これではオール・ソース・アナリシスではなく、各省に都合の良い情報ばかりが上がってくる、そういう危険性をはらんでいると私は思っています。  これからNSCができるわけですから、しかも情報を提出しろということまでしましたので、この内閣情報官のルートをしっかりと生かして、情報評価を経た上で客観的な情報として上げる、それを担保するような制度というものを、官房長官、必要だとお思いになりませんか。
  99. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 委員指摘がありましたように、現状では、情報コミュニティーがあって、そこで様々な情報について内閣情報調査室、情報官が集約することになっています。私自身も定期的に情報官から情報を提示を受けております。政府が保有するあらゆる情報というものを活用した総合的な分析の成果を官邸首脳に情報官は提示しているわけでありますけれども、同時にまた、各情報コミュニティーからも必要と思うときは情報提供を受けております。  いずれにしろ、時々の情勢だとか、あるいは必要なもの、そうしたものについての情報というのはその時々の状況に応じて適切に判断をしていくことが私たちは大事だというふうに思います。
  100. 大野元裕

    ○大野元裕君 確かにそういうことになっているんです。しかしながら、あらゆる情報内閣情報官のところへ総合して上がってくるわけでも必ずしもない。  さっき、NSC情報を総合するのは政策側か情報側かという議論をしました。情報側はしないんじゃなくてできないんですよ、集まってこないんですから。だからNSC側で総合する、そういう制度になってしまっているんではないかと私は危惧をしています。情報評価を行う内閣情報官に情報が共有されない、あるいは全体の情報の流れが官房長官からも仮に見えないとすれば、それは好ましくないんじゃないかと思います。戦略をつくる上では、様々な選択肢、様々な分析を行う上で様々な情報が必要である、これはもう当然の話だし、そこに政策がかかわることなく、生の情報、加工される場合でも情報評価というそのテクニックを受けた上での情報が上がってくることが必要じゃないかと思うんです。  だからこそ、実は民主党は、先ほど、議長求めに応じて情報提供しなければならないということと、もう一項あったんです。そこは、修正案では、官房長官情報コミュニティーからの情報提供の状況を評価するというものを御提案させていただいたんです。  これは残念ながらのんでいただけなかったんですが、これは何かというと、まさに戦略情報を機能的に連結させて、情報官のところで少なくとも情報がなるべく集まる、そして、それが直接上がるルートがあったとしても、官房長官なら分かるわけですから、それを適切に来ているかどうかということを評価しないと、また勝手な情報が各省の利益で、各省に都合のいい利益が直で上がってくると。こういう状況がずうっと続くのであれば、あるいはNSCは知っていても、情報のコミュニティーの方を取りまとめるべき内閣情報官は知らないとすれば、これは必ずしも円滑な情報戦略のパートナーシップが築けないということになるからこそ御提案をさせていただいたんですよ。  つまり、上げるだけではなくて、NSCに、それを途中で加工する、そういう作業のところに集める、必要がないと思うものは官房長官が把握する、この提案を私どもさせていただいたんですが、残念ながらのんでいただけませんでした。今からでも、官房長官、我々の案、再検討していただくというのはいかがでございましょうか。
  101. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 内閣官房には政策部門と情報部門があって、それらについていわゆる政策情報の分離を適切に行っていく必要というのは、これは大事だというふうに私も考えております。  ただ、御指摘のような制度をつくった場合、政策部門が情報部門の業務の取組状況を事実上評価するような形にこれなるんだろうというふうに思いますので、情報部門は政策部門の政策目的に迎合するような、また客観性を欠く偏った内容になる危険性というものがあるんではないかなというふうに思っております。  そういう中で、この政策立案のための質の高い情報を集めるとの観点から、提案については私たちは今回修正に乗らなかったということであります。
  102. 大野元裕

    ○大野元裕君 まあ御判断はそれはあるんでしょうけれども、しかし、私はその情報の分野に政策が影響力を行使することになるとは思いません。なぜならば、官房長官のところに政策情報が両方、実は二つあります。その情報の方を実はコントロールされているのも官房長官なんですよ。そうすると、もう既に官房長官政策の面においても情報面においても影響を及ぼすことができるようになっています。  質の高い情報で中立的というか客観的な情報を集めてくるためには、内閣情報官の前で様々な省庁の情報を総合して、あっ、この情報はこちらの省庁と符合が合う、ここはおかしい、そういうものを経た上で上げるべきだと私は言っているんです。直接来ると、その省庁に都合のいいものだけ上がって、そうじゃないものは隠す。実は、外務省だろうが防衛省だろうが警察だろうが、純粋な情報省庁じゃないですから、政策も彼らはやっていますから、自分たちの利益もありますから、それを統合する制度を持っている方が私ははるかに純粋な情報、まあ純粋な情報と言うべきか使える情報というか、しっかりと上がってくると私は思いますけれども。  もう一度だけ、済みません、我々、善意でしっかり政府が仕事していただけるようなものを提案しているつもりでございますので、真摯にお答えいただけないでしょうか。
  103. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私、委員を始め民主党の皆さんの今回の修正というのは、そこは正直言って一理あるというふうに思いました。しかし、私、今懸念をするという話をさせていただきましたけれども、先ほどイラクの話がありましたけれども、どうしても政策分野が、政策部門でその情報部門の取組状況を評価するような形になると、やはりどうしても偏ってしまう危険性があるというふうに判断したわけであります。  私自身は、官房長官として、政策情報両方持っていますから、そこはしっかり当然やるというふうな思いでありますし、情報部門から円滑、確実に情報が来て、それを、政策情報部門の連接というものをしっかり図っていくという、その思いは強いですけれども、ただ、先ほど申し上げましたように、政策部門が情報を評価するような形というのはやはり今回は避けるべきじゃないかなというふうに判断をしたということです。
  104. 大野元裕

    ○大野元裕君 永遠に議論を続けさせていただいてもいいんですが、もう一点、別の話をお伺いしたいと思います。  民主党修正の提案の中には、実はNSCの議事録を残すべきだという議論がありました。そこで、まずお伺いしたいんですが、アメリカのNSCは議事録を作成していますか。
  105. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 近年の米国NSCにおいては、会議の結論について簡潔にまとめられた文書が作成され、事後に公開をされていることもあるということですけれども、詳細な議事録は作成をしていないというふうに承知しています。
  106. 大野元裕

    ○大野元裕君 アメリカの行政機関においては、議事録の作成、記録の保存が法律で定められていますけれどもNSCがそのような議事録を作成していない理由は何でしょうか。
  107. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) それは、やはり機微に触れる様々なことを議論をするというふうに考えます。
  108. 大野元裕

    ○大野元裕君 果たしてそうなんでしょうか。アメリカの連邦法のチャプター三百四十三にありますいわゆるFOIA、いわゆる情報自由法というんでしょうか、これに従いますと、全ての行政機関は記録を残さなければならないというふうになっています。  私が伺っているのは、情報公開とかではなくて、記録を残すということについて、ちなみにその全ての行政機関はといって別なレポートを読むと、NSC行政機関ではない、ここで言うところの、だから記録を残さないというのが私の理解でございますけれども、これは外れているんでしょうか。
  109. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) その考え方は正しいと思います。
  110. 大野元裕

    ○大野元裕君 もちろんこれは日本法律じゃないので、アメリカの法律なんですが、参考までにお伺いしますけれどもNSCは法定の会議ですけれども行政機関でしょうか。
  111. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私、そこまで承知をしていませんでしたけれども、今事務方から、そこは行政機関ということです。
  112. 大野元裕

    ○大野元裕君 さようでございます。  私どもは、NSCにおいて機微な議論をされること、それはもう当然だろうと思っています。そして、機微な議論をする中でも、特にNSCのような会議は、自由闊達で、しかも縛ってはいけない、そういったところも特性としてあると思っています。それを制限する、そのようなものを我々は求めているわけではなくて、そのようなところに配慮しながらも、将来における検証、これはやはり必要ではないか。実は、NSCも、先ほど官房長官が御答弁されたように、法律上は議事録を残す必要が本来FOIAについてはないはずなんですね。にもかかわらず、将来の検証のためにメモ程度のもの、概要みたいなものは一部残していると私も聞いているんです。  とすれば、我が方のNSCについても、議事録を残すということについては御検討をされるべきではないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
  113. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 従来の安全保障会議でありますけれども、ここについては、これは民主党政権のときもそうだったんですけれども、やはり機微な内容審議だとか、あるいはまた関係閣僚が闊達な意見交換を確保する必要がある、そういう観点から議事録は作成をされておりませんでした。そして、事後の官房長官の会見でできる限りのことは公表していたわけであります。  今回、この安全保障会議でありますけれども審議内容は同じように機微な情報も含むので、公表の在り方や関連文書の作成及び取扱いについては、国家安全保障会議の性質等を十分に勘案をしながら、国の安全保障を損ねない形でしっかり検討していきたいというふうに考えます。
  114. 大野元裕

    ○大野元裕君 先ほどちょっと取り上げたアメリカの法律がなぜこういう形で出ているかというと、ここに書いてありますけれども情報というのは国民国家の資産であると、これが基礎であります。つまり、NSCにおける議論というものが機微である、自由闊達な議論を保障するために制限されなければならない、公開については、それはそのとおりだと思います。しかしながら、国民国家の資産であるというところについてはやはり我々は一度思い出す必要があるのではないかというふうに思っています。  そして、それと同時に、これはもう岸田大臣なんかはよく御存じだと思いますけれども外交交渉をされているときに、この実は情報というものは、資産だけではなくて、対外的ないわゆる下準備や交渉の材料として非常に活用ができるものでもあります。しばしば、我々は承知していますけれども、例えばどこかの国で日本に関する機微な情報が流れて、それが日本にとって不利に働く、こういったことも実は、情報は活用ができる、仮にそれが歴史文書であってもです、こういうことがこれまでもありました。相手方はその過去の情報を持っている、そして判断に従ってこれを活用するために出すこともできる、リークすることもできる、しまっておくこともできる、持っているよと脅すこともできる。我が方は記録すらない。  これ、NSCが言うところの戦略に使える話ではないかと思うんですけれども、いま一度、近い将来、やはりこういった議事録を残すということを積極的に取り組んでいただけるということはいかがでございましょうか。
  115. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 先ほど申し上げましたように、国家安全保障会議の性質などを十分に勘案しながら、国の安全保障を損ねない形でしっかりと検討していきたいというふうに考えています。
  116. 大野元裕

    ○大野元裕君 少し時間は残しますけれども、これで終わりにさせていただきたいと思いますけれども、今後、国会において特定秘密保護法案についても議論されるやに私は伺っております。そういったことも含めて、NSCというものをつくるのであれば、我々の、国民の、そして国家の資産としての感覚を忘れずにいただくと同時に、そんなことをする、繰り返しになりますけれども、このような情報が流れる、これ関係者だとしたらNSCに入れない方がいいんだと私は思いますよ、もう一度だけ申し上げますけれども。是非、そこのところを御検討をいただいた上で、今後の活発な議論に是非とも官房長官にも御協力をいただきながら、我々も真面目に審議をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  117. 小野次郎

    ○小野次郎君 みんなの党の小野次郎です。  大野に続きまして小野が質問に立ちましたが、まず最初、官房長官にお尋ねしますけれども、実は六年前の最初に安倍内閣が同じ名前法案を出したとき、私は与党の衆議院議員でもいたし、直近まで自分自身がそういう秘密関係するところを担当していたり安保会議の担当でもありましたんで、非公式にですけれども法案を作る立場の方からも御相談いただきました。私はそのときから、反対じゃないんですけれども、そんなに、この問題というのは何かあったときに音もなくちゃんと手だてを取ることが大事なんで、大上段に振りかぶって日本版NSCとかっていうようなものが必要なんですかねというふうに一議員としてはお答えしたんですね。  それと比べて、今回の案見て、今度の安倍内閣の方がお役人との関係が改善されているのかなと思うのは、悪く言うと竜頭蛇尾、あれほど振りかぶっていたのに、みそだった部分というか、へそと言ってもいいか、みそというか、部分が大分なくなっているんじゃないかなという気がするので、ちょっと今日は、私は結論的にはうまく動くものであればいいと思いますけれども、やはり問題点あるいは疑問点はただしておかなきゃいけないと思うので、その視点からお話をさせていただきますが。  まず最初に、今、大野議員もおっしゃいましたけれども、この安全保障担当の総理補佐官というのですが、これが目玉だったですよね、六年前のときは。今回、必要的に置くということになりましたけれども、どう見ても、横から見ても縦から見ても、この人でなければできないという特段の権限や責任を有しない人をわざわざなぜ法律に書く必要があるんですか。
  118. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 前回と比較をして今度の法案内容も大分違っております。そういう中で、今回常設化される国家安全保障を担当する補佐官でありますけれども総理直属のスタッフとして国家安全保障会議出席するなど、国家安全保障に関する重要政策に関し総理に助言を行い、またその判断を助ける役割を担うことになります。また、この補佐官は、総理の命を受けて、国家安全保障政策事務方の責任者である国家安全保障局長と緊密に連携をすることになります。そして、この補佐官が国家安全保障局長とお互いの業務、役割を補完し合うことにより、強力な私は総理のサポーター、サポートを果たすことができるというふうに思っております。
  119. 小野次郎

    ○小野次郎君 私が聞いていますのは、その総理主導の司令塔をつくるという話が、もし総理の御意向がこの補佐官を通じて聞くということになれば、余計な中二階みたいなのを設けることになるんじゃないかと思うんですけれども、そういう心配はありませんか。
  120. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) そこは全くありません。今申し上げましたけれども、まさに総理に対して助言、また総理判断を助ける役割を担うと同時に、ラインであります国家安全保障局長と緊密に連携を取りながら、お互いに役割を補完しながら総理をサポートすることになりますので、そこは私は必要で、また重要な役割だというふうに考えます。
  121. 小野次郎

    ○小野次郎君 後で聞きますけれども、これ局長の置かれている位置についても前回と比べて変わっているので、それはまた後で触れますが。  ちょっと違う視点ですけれども長官、十月二十八日に、局長と補佐官は兼任させることも一つ考え方かもしれないが、人事案件だから総理判断に委ねるとおっしゃいましたけれども、この補佐官が政治家がなっている場合には局長にはなれないんじゃないですか。
  122. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) それはそのとおりであります。
  123. 小野次郎

    ○小野次郎君 理由を。
  124. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) それは、国家安全保障局長国会法第三十九条の規定により国会議員が就くことはできないわけであります。ただ、総理補佐官には、これは民間の人もなれますから、ですから、民間の方の場合は両方兼任することも可能だということです。
  125. 小野次郎

    ○小野次郎君 報道で大分流れましたので、誤解がないように、今長官が御説明いただいたとおりだと思うんで、兼職できないわけですね、国会議員は、このポストは。  次の問いに移りますけど、後藤議員にお伺いしますが、衆議院での審議修正された内容はさっき紙で、趣旨説明でいただきましたので、その二点について修正の理由をお話しいただきたいと思います。
  126. 後藤祐一

    衆議院議員後藤祐一君) まず一点目の諮問事項修正した理由でございますけれども、現行の安全保障会議設置法では、武力攻撃事態等への対処自衛隊活動国防及び重大緊急事態への対処、こういった重要事項というのは内閣総理大臣が必要と認めるものについて会議に諮らなければならないとされているんですけれども、元々の政府の案ですと、この内閣総理大臣が必要と認めるものという限定がなくなっていて、そうなりますと、国防等に関する重要事項は読みようによっては全て会議に諮らなければならないと、そんな解釈が可能な規定になっておりました。そうしますと、国家安全保障に対する文民統制の徹底という名の下に、本来防衛大臣が単独でなすべき事項までNSC諮問事項になってしまうと。そうなると、必要以上になってしまうんではないかということで、防衛大臣の機動的、柔軟な対応を難しくしてしまう。  それだとまずいので、現行法と同じ対応をするんですという政府の御説明でもありましたので、であれば、元々今もそうであるように、内閣総理大臣が必要と認めるものという限定はきちんと加えるというか、今と同じように残すということにして、現行の文民統制の対象はきちんと維持しつつ防衛大臣の迅速な判断も可能にするように、このNSCの文民統制と迅速判断のバランスを取ることにしたと、こういう次第でございます。
  127. 小野次郎

    ○小野次郎君 もう一点。そっちを聞きたかったんです。
  128. 後藤祐一

    衆議院議員後藤祐一君) 大変失礼しました。大事な方を忘れていました。  資料提供協力義務明確化でございますけれども政府の原案ですと、会議、つまりNSCという会議体が関係行政機関の長に対して資料提供等の要求ができるという規定になっておりましたけれども、この政府の案ですと、この会議の構成員である特定の省庁の大臣がどうしても資料を出せないといって拒んだ場合には会議というその請求主体自体が成立しなくなってしまうというおそれがあって、必要な情報を入手できなくなるおそれがあったと。それに対して、関係行政機関の長等は、議長会議議長である内閣総理大臣求めに応じて会議に対し資料提供等を行わなければならないと、完全な義務の規定にすることによって提供の義務を明確にさせていただいたところでございます。
  129. 小野次郎

    ○小野次郎君 今日、森大臣にもお越しいただいていますが、秘密保護法の方で行政機関の長が他の行政機関の長に情報提供できる場合が書いてございますけれども、この秘密保護法案の仕組みの中では、このNSC局長の位置付けというのはどうなるんですか。
  130. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 国家安全保障局局長の位置付けについて御質問をいただきました。  国家安全保障局は、本法案に言う行政機関には該当せず、国家安全保障局局長行政機関の長には該当いたさないことになります。つまり、内閣官房の中に位置付けられます国家安全保障局の中の局長ということになります。
  131. 小野次郎

    ○小野次郎君 つい十分か二十分前に官房長官行政機関の長だとおっしゃったように思うんですけど、違いますか。官房長官、食い違いませんか、両大臣の御答弁が。
  132. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 今御答弁申し上げましたとおり、本法案に言う行政機関には該当しないということです。つまり、第二条におきましてこの法律における行政機関を定義付けております。その行政機関には当たらないということです。
  133. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうすると、秘密保護法案の六条でいわゆる省庁から情報をもらうことはできないわけですね。
  134. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 国家安全保障局が所属しております内閣官房が第六条によって提供を受けることになります。
  135. 小野次郎

    ○小野次郎君 また同じ問題が出てくるかもしれませんが、次の問いに取りあえず続けますけれども、次に官房長官にお伺いしますが、緊急事態における事態対処のオペレーションというのはこの国家安全保障局長のラインが担当することになるんでしょうか。
  136. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) いわゆる緊急事態に対しての事態対処は、これまでと同様に内閣危機管理監を中心とする危機管理担当部局が担って、緊急大臣会合自体も、その対処そのものを行うわけではありません。
  137. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうすると、オペレーションは内閣危機管理監等のラインでやってもらう、情報の方は自前では省庁からももらえなくて内閣官房から回してもらったものでやるとなると、何か、政策政策と言うけど、私のイメージで言っているコンパクトでも機動的な司令塔というのは、情報政策を立ててオペレーションというのが総理の意向あるいは官邸、内閣の意向のままに動くような組織にするのが私は一番理想じゃないかと思うんだけど、何か三つ分けちゃって、この国家安全保障局長という名前はすごいおどろおどろしい名前だけど、余り大したことできないんじゃないかと思うんですけど、そんなことないですか。
  138. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) まず、国家安全保障局は、外交安全保障政策の司令塔たる国家安全保障会議を支えて、平素から総理の意向を踏まえながら役所の縦割りを排して国家安全保障政策の企画立案、総合調整を行うものでありまして、この国家安全保障局長と同等に内閣危機管理監がありまして、そこは連携をしながら、事態対処内閣危機管理監を中心に行うということであります。
  139. 小野次郎

    ○小野次郎君 この事務局というんですかね、局ですけれども、これもやはり前回の法案、六年前の法案と比べたときに大きく違ったところは内閣官房の下に置いているということなんですね。ですから、官房長官、官房副長官の下に置いたわけで、これじゃ単なる内閣官房の、昔、内政審議室とか外政審議室というのがありましたけど、省庁間の調整機関に戻ってしまったんじゃないかと思うんですけど、そういう心配はありませんか。
  140. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) そこは全くないというふうに考えます。  日ごろから、まさに総理の意向を踏まえ、役所の縦割りを排して企画立案、総合調整をここで行っているわけでありますから、そういう意味において、まさに内閣総理大臣、そして内閣官房長官、私の下にこの国家安全保障局があって、総理の指示の下に日ごろから役所の縦割りを排して政策の企画立案、総合調整を行いますから、そこは極めて重要になってくると思います。
  141. 小野次郎

    ○小野次郎君 いや、そこは違うと思いますよ。六年前の法案のときは総理直属の事務局になっていたんですから。それだからまさに総理の意向を受けてやるとなっていますけど、官房長官がいて官房副長官がいて各省庁の代表者が集まっている内閣官房に置いてしまったのでは、まさに全省庁が合意できた内容で、方針でやるということしかできないじゃないですかということを私は聞いているんです。
  142. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 前の事務局というのは運営するための事務局であったというふうに思います。今回はまさに総理直轄になるわけでありますから、その意向の下に常日ごろから政策の企画立案、総合調整を行いますので、そこは総理と緊密に連携を取ってやりますので、前回の法案とはここは大きく違っているんだろうというふうに思っています。
  143. 小野次郎

    ○小野次郎君 もう一度伺いますけど、その局長というのはやっぱり総理の意向、指示を受けるだけじゃなくて、官房長官の指示も受け、官房副長官の指示も受ける、命令を実行する立場になるんじゃないんですか。
  144. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私、内閣官房長官の下で統括的な事務を行うことになりますので、直接私の指示にこれはなるのだろうというふうに思いますし、私自身総理の指示を受けるわけでありますし、その局長というのは常日ごろから総理と緊密に連携をしているということであります。
  145. 小野次郎

    ○小野次郎君 まあよく分かりませんし、また、政治家って、それは今は安倍総理と菅官房長官はすごくいい感じでやっていると思いますよ。ですけど、よく総理部屋とか官房長官部屋というぐらいで、やっぱり大政治家が二人おられるわけですから、そこは、誰の部下なのかというのは大事だということはこの長い検討結果の中にあったはずなんで、今さらっと、普通の役所の局長の下に審議官がいて課長がいて、その下だからみんな共通の部下ですよでは済まないから、今、どこに付けるかというのが、まさに六年前と今回だって変えているんで、変えた理由は何だと聞いているのに対して、心配は要りませんというだけでは心配になるんですが、まあちょっと今日は時間の都合があるので先に進みますけれども。  森大臣にまた伺いますが、秘密保護法案に関して、この国家安全保障に関する重要な情報についても、結局、省庁縦割りの弊害を残したままこの秘密保護法案法律で追認してしまっている、そんな内容になっているんじゃありませんか。
  146. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 特定秘密に当たる重要な情報ですね、特定秘密の指定は各行政機関の長が責任を持って指定します。なぜならば、そのつかさつかさの行政機関の専門的な知識と技術によって特定秘密を指定するからです。それは、縦割りの弊害ではなく、その行政機関の役割であると思います。そこで指定された特定秘密がこの共有のルール、第六条でございますが、これによって提供されて、NSC等に提供されて活用されるということになりますので、御指摘の御懸念は当たらないと考えております。
  147. 小野次郎

    ○小野次郎君 いや、御指摘は当たりますよ。だって、インテリジェンスというのは、どの省でやったからその省の所掌事務のことしか入ってこないというものじゃないんですよ。外務省の方が防衛省情報を取ることもあるし、警察の人が防衛省情報も取れちゃうからどうするかという議論をしているときに、何か元からきれいに畑のあぜ道があって、分かれているから問題ないんですみたいにならない世界だから今まさに問題なのに、森大臣のお言葉は、ちょっとその辺が分かっていらっしゃらないんじゃないかなと思いますけど。  じゃ、この秘密保護法案の中では、総理自身の置かれている立場というのは、行政機関の一長にすぎないんじゃないですか。
  148. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 今のお話ですけれども、あぜ道がもちろんきちっと定められていないからこそ、共通のルールを決めて、特定秘密を指定するわけです。現状では、各行政機関が各々運用指針に従って設定しているという状況であるので、それであると行政機関同士の情報共有が迅速に、円滑にいかないんです。それだからこそ、特定秘密のルールを定めていこうという趣旨を御理解いただきたいと思います。  総理大臣につきましては、内閣官房の長になります。行政機関の長でございます。
  149. 小野次郎

    ○小野次郎君 じゃ、官房長官は、その下におられる官房長官はどういう位置付けになるんですか。
  150. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 官房長官総理の指揮下にあると考えます。
  151. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうすると、官房長官は自らの肩書というか権限の下では一般の省庁から情報をもらえないということですか。
  152. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) いえ、官房長官内閣官房の中で情報を共有できます。
  153. 小野次郎

    ○小野次郎君 ちょっと意味が分からないですよ、今の答弁。  もう一遍言います。だって、今、総理内閣官房の長だとおっしゃって、長が二人いるということですか、それじゃ、内閣官房には。森大臣。(発言する者あり)
  154. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  155. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 速記を起こしてください。
  156. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) お答えをいたします。  御質問の、内閣総理大臣行政機関の長かという御質問に対しては、内閣総理大臣内閣官房の長であり、この法律に言うところの行政機関の長であります。官房長官内閣官房の中の一機関でございます。
  157. 小野次郎

    ○小野次郎君 じゃ、今度官房長官にお伺いしますが、そんな苦しい解釈していて、さくさくと本当に日本安全保障に対する大事な情報官房長官総理にどの省庁からも全部入るようになっているんですかね、こんな。お店が何屋さん、何屋さんと並んでいる中の何屋の一つ内閣官房であり、その長が総理だと、官房長官はその中の内部機関だなんという言い方じゃ、内閣に一元的に情報が入ってくる仕組みとはとても思えないんですけど、どうなんですか、これは。
  158. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今の森大臣答弁というのは、いわゆる今回の法律の中の話の位置付けだというふうに思います。現在行っている中では、この内閣官房長官たる私の下にそれぞれの省庁からの情報というのは、それはしっかり入ってきています。
  159. 小野次郎

    ○小野次郎君 いや、ですから、総理もほかの大臣も言っておられるとおり、この二つの法案は一体として内閣の統率の下に日本安全保障に対する機能アップを図るんだと、司令塔になるんだと言っている割には、これは違う世界の話というふうにすぐ言ってしまうんじゃ、何のための秘密保護法なんだということなんですよ。  もう一遍、森大臣に聞きますけど、そうすると、総理内閣の下にこの情報コミュニティーの連携を図ってというか、確保してとおっしゃっているけど、実は総理自身が同列同格のこのコミュニティーの一メンバーにすぎないということなんですか、この法律では。
  160. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) それは違うと思います。内閣総理大臣というのは、憲法に書いてありますとおり、内閣の首長であると同時に、内閣府の長でもあり、そして内閣官房の長でもあるわけです。ですから、内閣官房の長としては第六条として情報を受け取ることになります。
  161. 小野次郎

    ○小野次郎君 何か憲法なんというと、じゃ憲法に違反する法律作っているんですか。(発言する者あり)だって、違うじゃないですか、限定しているんだったら、総理の権限。
  162. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 今御答弁したとおり、内閣総理大臣が同列なんですかという御質問に答えて、同列ではない、それは憲法に書いてあるとおり内閣の首長であり、指揮監督権を持っているわけですから。そうではなくて、本法案によって情報が行き来をするときには、それは総理に渡すといっても、実質的にはいただいた特定秘密が文書である場合には秘書官が持ったり、それはその部屋の中に保管をしたりして、そのときのためのことを第六条にきちっと、保護措置を整っている行政機関同士で提供し合うということが書いてあるわけでございます。
  163. 小野次郎

    ○小野次郎君 全然意味が分かりません。だって、総理のところに情報が集中しなければ、政策を立てたりオペレーションの指示を出せないじゃないですか。それが、あなたは何度も、自分の担当している法律世界の中では総理は一行政機関の長だと説明されている。それじゃ同格同列なんであって、例えば外務大臣から情報がもらえない、特定秘密はもらえなくなりますよ、それだったら、そういうことで同格であれば。それでいいんですかと聞いているんです。
  164. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) この特定秘密を指定する話と情報が集まる話はまた別でございまして、内閣総理大臣内閣府の首長、つまり首と書いて首長でございますけれども、首長でございますから、それは情報提供されるわけでございます。それで、情報がもらえなくなりますよというその御質問の根拠自体がないと思います。
  165. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうすると、秘密保護法案に書いてある六条以外にほかの省庁に提供できる例があるということですね、列記しているもの以外に。今の話だと、内閣の構造がそうだから報告できるんだというんだったら、六条でせっかく限定的に、こういう場合には特定秘密提供できると書いている条文は何のために作っているんですか、それじゃ。
  166. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 六条以外の場合に情報提供できる場合があるのかというお尋ねでございますけれども情報提供自体は六条に書いてあります。そして、総理大臣内閣の首長であるということはもう憲法で定められた当然のことでございますので、内閣総理大臣情報提供されるわけでございます。
  167. 小野次郎

    ○小野次郎君 つまり六条で、他の省庁に渡すのと同じ規定で官邸にも報告するということですね。
  168. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 総理大臣の個人としてのことを、個人というか、総理大臣一人のことをおっしゃっておられるのか、それとも行政機関の長、先ほど申し上げました内閣官房の長としておっしゃっているのか分かりませんが、内閣官房の長として受け取るときには、それは当然六条の保護措置がなされていることが必要であります。  ただ、通常、内閣官房は常日ごろ機密を取り扱っておりますので、この法律が予定をしている保護措置はしっかりと定められておるものと理解しております。
  169. 小野次郎

    ○小野次郎君 よくこの二つの法案関係、特にお互いが連携して機能が発揮できるような説明を両方の担当の方で考えていただいた方がいいと思いますよ。  十月二十四日の予算委員会で森大臣からお約束いただいた行動規範、倫理規範の検討はどうなっていますか。
  170. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 予算委員会において小野次郎委員から、情報活動における行動規範、倫理規範について定めるべきではないのかというお尋ねがございました。  私は、現行上もこれは行動規範というものがありますけれども、それに、委員の御指摘に応じて、それを更に見直していく、そういう必要はあるというふうに受け止めさせていただきますというふうにお答えをいたしました。(発言する者あり)
  171. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 小野次郎君、もう一度質問の趣旨を願います。
  172. 小野次郎

    ○小野次郎君 それでどうなったんですかと今聞いているんですけれども
  173. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 予算委員会で、私は答弁で、検討すべき課題として受け止めさせていただくというふうに御答弁をいたしましたから、しっかりと検討をすべき課題であるというふうに認識をしております。
  174. 小野次郎

    ○小野次郎君 認識しているだけで検討してくれないんじゃ困るんですよね。委員会というのは別に言葉で言って通り抜ければ終わりじゃなくて、検討すべき課題だと言ったら検討してくれないと困るんで、それがどうなっていますかと聞いているんですが、その後もいろいろ事実が明らかになっているんですね。  例えば、国家公務員の倫理規程があるじゃないかという声も予算委員会でも上がりました。でも、倫理規程の二条には、明文で、外国政府とか国際機関、これに準ずるものは利害関係者ではないと書いてあるんですよ、政令で。だから、この外国政府や国際機関との情報交換や情報収集している仕事の人にとっては、相手方の人は利害関係人じゃないと、これ倫理規程の枠外に外されてしまっているんですよ。更に言えば、確定した解釈で、報道関係者は利害関係者に含まれるのかと、これについても含まれないと言っているんですよ。  ということは、情報収集に当たる人が情報収集しようとする相手としての外国政府や国際機関は利害関係人にならないし、逆に、情報を管理している公務員が取材を受ける報道関係者との関係も倫理規程で定めがないわけですよ。  だから、そういう部分作らなければ、厳罰だけ処すというか、そういう法案だけ作るんじゃ、仕事をやっている人が不安だし、有効な仕事ができないんじゃないかと私は指摘しているんですけれども大臣、検討していただけないでしょうか。
  175. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 私は、小野委員の警察としての御経験に基づく御指摘は謙虚に受け止めて、検討すべき課題だというふうに認識をしております。  ただ、今の外国人のことについて申し上げれば、これは、第二条において、利害関係者とはということで、外国政府若しくは国際機関を除くと書いてあります。これは、国家公務員等が飲食接待をする相手として、利害関係を持つような業者さん等と飲食接待してはいけないですよという規程等において、外国政府とか国際機関についてはそれは除きましょうということで、外国企業や一般の外国人はもちろんその倫理規程の相手方に入っておりますことを申し上げておきます。
  176. 小野次郎

    ○小野次郎君 何かとぼけていますよ。  じゃ、大使館の武官だとか、そういう人は外国政府と言わないんですか。言うでしょう。
  177. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) この規程は国家公務員が飲食接待する等のときの規程でありますので、お尋ねの情報活動についての規程ではないというふうに思いますけれども、私は、小野委員が飲食をしながらの情報活動というものもあり得るというような御趣旨で御質問しているのであるとすれば、この倫理規程というものはしっかりと定めていくべきだと思います。  ただし、一般的に、情報活動を行っている公務員は、法令に従い行動するという一般的な国家公務員の倫理規程に基づいて行動しているものと思っております。
  178. 小野次郎

    ○小野次郎君 時間が来ましたから今日はこれぐらいにしますけれども、先日、安倍総理からも、政権交代、大臣交代の際には秘密指定を新しい大臣が見直すことができるという答弁をいただきましたけれども、これをしっかりと義務付ける仕組みをつくらなければ民主的なコントロールが及ばないんじゃないかということを御指摘申し上げて、議論の方はまた次の機会に送りまして、今日の私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  179. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  本法案による国家安全保障会議では、国家安全保障戦略を策定をすることになります。  それに盛り込むべき内容について、現在、安全保障防衛力に関する懇談会で議論をされていると思いますが、官房長官、お聞きしますが、その中で武器輸出三原則についてはどのように議論をされているでしょうか。
  180. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 国家安全保障戦略については、本年九月に立ち上げました安全保障防衛力に関する懇談会において、外交防衛政策に深い見識等を有する有識者の皆さんから様々な御意見を伺っているところであります。その中で、武器輸出三原則等については、例えば我が国との防衛装備・技術協力に関する各国の期待というのが高まっておる中で武器輸出三原則等を見直していくべきであるといった御意見をいただいております。  なお、政府としては、武器輸出三原則等については具体的な方針を決めたというような事実はなく、また、国家安全保障戦略の具体的な内容は、懇談会の議論を踏まえながら今後政府として検討していきたいというふうに思います。
  181. 井上哲士

    井上哲士君 この問題は本会議でもお聞きをいたしました。防衛産業の国際競争力の強化を防衛省が初めて打ち出したということも踏まえて総理にお聞きしたわけでありますが、総理は武器輸出で経済成長を図ることは考えていないという答弁でありましたが、武器輸出の拡大を考えていないと、こういう意味でいいんでしょうか。
  182. 磯崎仁彦

    大臣政務官(磯崎仁彦君) 答弁をさせていただきます。  十一月の八日、総理が本会議答弁をされましたように、当経産省としましても、我が国防衛産業、生産・技術基盤の維持強化を図っていくということは必要だというふうに思っておりますが、武器輸出によりまして経済成長を図っていく、そういう考え方にはございません。
  183. 井上哲士

    井上哲士君 いや、私が聞いたのは、そういう答弁がありましたけど、それは武器輸出の拡大は考えていないという意味ですかと、そういうことを今お聞きしているんです。
  184. 磯崎仁彦

    大臣政務官(磯崎仁彦君) お答えをいたします。  そういう趣旨でございます。
  185. 井上哲士

    井上哲士君 どういう趣旨ですか。武器輸出の拡大は考えていないという趣旨なんですか。
  186. 磯崎仁彦

    大臣政務官(磯崎仁彦君) お答えをいたします。  武器輸出の拡大は考えておりません。
  187. 井上哲士

    井上哲士君 いや、与党席からのええっという声が聞こえましたが。現実にはどんどん拡大しているじゃありませんか。そのために、あなた方は、この三原則を次々抜け穴をつくり、そして見直しをしようとしているんじゃないですか。  三月には、イスラエルへの輸出につながるF35の共同開発に踏み出しました。六月には、フランスと防衛装備品の共同開発協議で合意をしました。七月には、イギリスと化学防護服の共同研究で正式合意をいたしました。そして、昨日、トルコとの、同軍の戦車用エンジンの共同開発に向けての記事も一斉に報道されたわけでありますが、これらは武器輸出の拡大ということではないんですか。
  188. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 現在、防衛省は、様々な国と防衛交流をするような状況を取らせていただいております。  これは、委員も御存じのとおり、今の様々な防衛技術というのは、一国だけではなくて、多国間あるいは幾つかの国が集まって新しく開発をするということが世界の主流になっております。そういう中で、私どもとしても、様々な国との防衛交流、その中での技術交流、これも大切なことだと思っております。
  189. 井上哲士

    井上哲士君 共同によって輸出を拡大するんでしょう。違うんですか。もう一度お願いします。
  190. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 防衛省としては、あくまでも防衛技術交流がこれからやはり各国それぞれ防衛技術、能力を高める中で今主流になっているということであります。
  191. 井上哲士

    井上哲士君 明らかに、今幾つか例を挙げましたけれども、武器輸出の拡大が広がっているわけですね。その中でも、昨日、先ほど言いましたように、トルコの問題が大きく報道されました。三菱重工とトルコ政府がトルコ軍の戦車用のエンジンの共同開発に向けて交渉を進めており、トルコ政府が紹介する企業と三菱重工とで合弁会社を設立する意向だと、こういう報道がされております。  これも、政務官、お聞きしますが、外国軍の武器製造に関して外国企業と合弁会社という例はこれまであったんでしょうか。
  192. 磯崎仁彦

    大臣政務官(磯崎仁彦君) お答えいたします。  そのような事例はございません。
  193. 井上哲士

    井上哲士君 つまり、全くこれまでやらなかったようなことまで踏み込もうとしているんですよ。これが武器輸出の拡大と言わずして何と言うのかということになるわけですが。  これ、防衛大臣ですか、ちょっと確認しておきますが、そうなりますと、仮にこれが進んだ場合にはトルコとの間での秘密保護の協定を作ると、こういうことになるんでしょうか。
  194. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 日本とトルコの間では様々なレベルで二国間の防衛協力・交流について意見交換を行っておりますが、現在、御指摘のあったトルコとの防衛装備品等の開発を行うということを決めた事実はありません。  したがって、今回報道で、三菱のお話でしょうか、日本の企業のお話だと思いますが、その合弁のことについて報道で出ていることは承知をしておりますが、これはあくまでも企業活動の一環ということになりますので、私ども防衛省としてコメントすることではないと思っております。
  195. 井上哲士

    井上哲士君 これ、トルコとの共同開発になりますと、二〇一一年に、野田内閣のときに三原則が緩和をした際の日本安全保障に資するということにすら当てはまらないのじゃないか、そしてまた、クルド人問題を抱えておりますから国際紛争を助長することになるんではないかと、こう考えますけれども官房長官、いかがでしょうか。
  196. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 日本とトルコの間では、今防衛大臣答弁されたとおりに、二国間の防衛協力・交流等に様々な意見交換を行っているけれども、トルコとの防衛装備品の開発を行うことを政府は決めた事実はないという、そういうふうに私ども認識いたしております。
  197. 井上哲士

    井上哲士君 F35の共同開発でイスラエルにこれが渡ることも事実上解禁をされ、そして、このトルコとの間で初めて外国の軍の装備のために合弁会社までつくってやっていくということになりますと、まさに何の歯止めもないと、全面解除という方向に進んでいくということになるんですね。  先ほど民間会社同士の話だという答弁もありましたが、これは五月に安倍総理がトルコに訪問した際に発表した共同声明でも防衛協力の強化をうたっているんじゃありませんか。
  198. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) トルコとは限らず、我が国としては、例えば国連憲章上、我が国と同じスタンスを持つような国同士の間で防衛の技術交流、協力を行うということは大切なことだと思っております。
  199. 井上哲士

    井上哲士君 このときのトルコ訪問は、総理に百人以上の経済界の皆さんが同行したということになっておりますが、これ、官房長官、三菱重工の代表もこのときのトルコ訪問に参加をされていたんじゃないですか。
  200. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 承知はしておりませんけれども、百人ぐらいの大規模な経済関係の皆さんが行かれておりますので、もしかしたら、その中に参加したかどうか分かりませんが、今確認をしていません。
  201. 井上哲士

    井上哲士君 経団連の会長とともに三菱重工の社長が同行されたというふうになっておるわけですね。ですから、民間会社だとか言われましたけれども、まさに総理自身が訪問をしたトップセールスによって三菱重工は原発の輸出、これを受注をして、さらに戦車の共同開発までやると、こういうことになっているわけですね。まさに一体となってこういうことが進められているわけでありまして、そういう方向がこの安全保障戦略にも盛り込まれようとしていると、こういう事態であります。  それだけじゃありません。先日、毎日新聞で、革新的な軍事技術を生み出してきた米国防総省の国防高等研究計画局、いわゆるDARPAですね、これをモデルとした新組織を発足させることを政府が方針決めたと、こういう報道がありました。内閣府の総合科学技術会議の下に設置をして、先進的な研究に取り組む民間企業や大学に資金を投入して、産業や社会構造に大きな変化をもたらす科学技術を開発、防衛技術の発展につなげる考えだと。こういうことでありますが、内閣府、来ていただいておりますが、詳細について御答弁ください。
  202. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) お答えいたします。  報道政府新組織はImPACTのことだと思いますが、このImPACTは、日本再興戦略及び科学技術イノベーション総合戦略、これは六月の閣議決定におきまして創設が決定されたものでございます。このImPACTはあくまでイノベーションということを目標にしておりまして、革新的な科学技術イノベーションの創出、ハイリスク・ハイリターンな挑戦的研究開発を推進すると、こういうプログラムでございまして、八月末に骨子をまとめたところでございます。  報道のDARPAでございますが、これは組織として、委員おっしゃったように、アメリカの国防省の技術の部局でございますが、若干そこで誤解があるんですが、我々はあくまで科学技術イノベーションをいかに発展させるか、その上でDARPAの何を学ぶかといえば、これは組織論でございます。マネジメントの問題でございまして、これは、今度我々がやるImPACTは、今までのFIRST、山中教授での成功でもお分かりのとおり、これを進化させたものでございまして、これは予算面でもそうでございますが、新たに組織論として総合科学技術会議がテーマ設定をいたしまして、それをプロジェクトマネジャーというものを置いてそこに権限を持たせて、まさに今までのFIRST以上にハイリスク・ハイリターンな技術を生み出すようなそういう組織体でございまして、実はDARPAというのは二百五十人の定員がいるようでございますが、そのうちの百人がプロジェクトマネジャーで、そういった意味で、その運用といいますか組織論、マネジメント、これを学ぶと、参考にするということでございますので、特に防衛の技術を発掘するというようなことを目指したものではございません。
  203. 井上哲士

    井上哲士君 この報道でも、研究者によっては防衛目的の利用に懸念を持つ可能性もあるということで、支援の中身についてはそこは明確にしないというようなことも書かれておりますが。  じゃ、確認しますが、防衛技術の発掘につながるような研究は排除されると、こういうことでいいんでしょうか。
  204. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 防衛技術が、もちろん我々の憲法の下で、また自衛隊の在り方の中で、いわゆる防衛技術というものがこれから国民の生命、財産を守るために、これも一つの方向性等あると思いますが、それが結果として、そういう問題と民生の問題とが相互的に作用して、それが我が国の安全とそして我々国民の生活の向上につながるものであれば、それは排除されないと思います。
  205. 井上哲士

    井上哲士君 排除されないという答弁でありました。  この組織自身が、今までの防衛省と一部企業だけでなくて、民間の様々な視野をピックアップしてこういう革新的な技術を発掘しようということでありますから、まさに私は報道指摘どおりだと思うんですね。  防衛大臣にお聞きしますが、防衛大綱の作成に向けて、防衛力の在り方検討に関する中間報告の中では、防衛生産の技術基盤の維持強化という項の中で、民生技術の積極的な活用、大学等の基礎研究との連携の強化等による効果的、効率的な研究開発の推進ということがありますが、こういう方向の具体化ということではないんですか。
  206. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 内閣府の取組とは別に、大綱議論でありますので、防衛省としての大綱考え方ということでお話をさせていただきますと、近年、防衛技術と民生技術というのはデュアルユース化あるいはボーダーレス化がどんどん進んでおります。先進的な民間技術、民生技術と連携するということは、これは防衛装備品の要素技術の分野においても大いに相乗効果を生む可能性があります。  厳しい財政の事情もありますし、また何よりも、我が国は民生部分でも優れた技術を持っております。このような技術を防衛省としても是非、国民の生命、財産、領土、領海、領空を守っていくためにも活用していくことは大切だと思っております。  また、これまでも大学や独立行政法人といった基礎研究を実施している機関との間で技術交流、情報交換など行っておりました。このような連携を今後とも積極的に進めていきたいと思っております。
  207. 井上哲士

    井上哲士君 私、武器輸出三原則にしても、いろんな様々な研究にしても、憲法九条を持った日本として、そういう優れた日本のいろんな科学技術を武器とか戦争に使わせないというのが我が国の基本的な立場だったはずなんですね。  経済界は実に露骨に求めておりまして、今年の五月に日本経団連が発表した防衛計画の大綱に向けた提言の中では、米国国防総省のDARPAでは、技術の優位性を維持するために、装備品に適用が可能な将来技術への積極的な投資を行っている、我が国においてもこのような基礎的な技術研究を拡充していくことが民生部門も含めた全般的な先端技術開発力の向上にとって必要であると。DARPAのようなものを日本でもつくって民生技術と結合させていこうと、こういう方向を打ち出しておるわけでありまして、まさにそれが私は具体化をされている姿だということを指摘をしておきたいと思うんですね。  さらに、じゃ、宇宙開発についてはどうかと。昨年、JAXA法が改定をされまして、人工衛星の開発や打ち上げ、追跡などの業務を平和の目的に限り実施するということになっていたのが削られましたが、これはなぜでしょうか。文部科学省、お願いします。
  208. 田中敏

    政府参考人(田中敏君) お答え申し上げます。  平成二十年に成立をいたしました宇宙基本法第二条、これは宇宙の平和的利用を規定をしている条文でございます。同条文におきまして、我が国宇宙開発利用は日本国憲法の平和主義の理念にのっとり行われるものとすることが定められてございます。また、同法、宇宙基本法の附則及び附帯決議におきまして、独立行政法人宇宙航空研究開発機構については、宇宙基本法に掲げる基本理念を実現するため、その目的等について検討を加え、見直しを行うということとされてございます。  これを踏まえまして、昨年七月、独立行政法人宇宙航空研究開発機構法の改正に当たりまして、JAXAの目的規定、これは「平和の目的に限り」と書いてございましたけれども、それを宇宙基本法と整合を取る形で改めたという状況でございます。  以上でございます。
  209. 井上哲士

    井上哲士君 我が国の宇宙開発は、一九六九年に衆議院での全会一致によって採択をされた、わが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議によって、平和目的に限りというふうになっていたわけですね。それを、まさに憲法の平和原則を反映したものでありますが、国会決議に反して宇宙基本法で軍事目的に道を開いて、そしてこの基本法と整合を取るとして、JAXA法から、平和目的に限る、こういう規定をなくしていったと、こういうことなんですね。この制限がなくなって、防衛産業はまさに拡大を狙っているわけですよ。  日本経団連は、先ほど紹介をしたこの提言の中で、防衛における宇宙開発の明確な位置付けを求めると、こういうことをはっきり明記をしているわけですね。そして、この国家安全保障戦略に盛り込むものとしての議論の中でも、安全保障分野の宇宙開発利用の推進というものが明記をされていると。  ことごとくそういうものが盛り込まれようとしているわけですが、もう一つ防衛大臣、お聞きしますが、中間報告では無人機の導入についてどのように盛り込まれているでしょうか。
  210. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 先ほどの宇宙開発の問題でありますが、今、北朝鮮の弾道ミサイル対応等、BMD対応でも宇宙の技術の利用というのは大変重要だということでありますので、私どもは、国を守る、平和的にこの国を守るということの中で、やはりこのような現実の技術開発というのも現在行われているということを認識すべきだと理解をしております。  その中で、無人機のことについてでございますが、無人機の検討につきましては、我が国周辺の軍事力の近代化や軍事活動の拡大、活発化がより一層顕著になってきており、状況によっては短期間で事態が深刻化する可能性がある近年の安全保障環境において、各種事態の兆候を早期に察知することが重要となっているということを前提に、七月に報告しました防衛力の在り方検討における中間報告において、例えば、我が国領海、領空から比較的離れた地域で情報収集や事態の緊迫した際の空中での常時継続的な警戒監視等の点において、現有の装備品の能力が十分でないことから、搭乗員に対する危険や負担を局限にしつつ、広域における常時継続的な警戒監視態勢の強化に資する高高度滞空型無人機の導入についても検討するということで位置付けております。
  211. 井上哲士

    井上哲士君 これも、かねてから防衛産業などが求めてきた問題であるわけですね。  社団法人日本機械工業連合会というところが日本戦略研究フォーラムと一緒に毎年報告書を出しておりますが、平成十七年のものを見ますと、無人機の汎用化に伴う防衛機器産業への影響調査報告書というのを出されまして、それへの期待を打ち出しているわけでありますね。  ですから、今挙げましたように、三原則の見直しによる武器輸出の拡大、DARPAをモデルにしたような新しい組織による防衛技術の開発、そして軍事分野での宇宙の開発、さらにはこの無人機の問題。結局、防衛産業の求めに応じたものが今後国家安全保障戦略に盛り込まれ、言わばその国家戦略として格上げをされていくと、こういうことになっていく、それがまさにこのNSCではありませんか、いかがですか。
  212. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 今委員防衛産業のというくだりがございましたが、私どもはあくまでも、周辺の安全保障環境の状況に対応して我が国防衛力をどのようにすべきかというところから防衛大綱を含めた防衛力整備の議論をしているところでございます。
  213. 井上哲士

    井上哲士君 そのいずれもが、かねてから防衛産業が様々な制約を取っ払ってこういうことをずっと求めてきたということが、結局防衛大綱なり国家戦略に盛り込むものとして入ってきていると。私は、これはもう司令塔といっても軍拡司令塔だと言ってもいいような中身だということが出てきていると思いますよ。  そこで、こういう軍備の拡大の中で、他国との武器の共同開発ということがずっと、先ほど来指摘したようにクローズアップされてきたわけですが、これ外務大臣にお聞きしますが、その際に、相手から前提として求められてきたのが秘密保護に関する協定だと思うんですね。  先ほど紹介した日本戦略研究フォーラムの報告書を見ておりますと、二〇〇八年に当時のアメリカの大使館の防衛駐在官がアメリカの国防省の国防次官のオフィスに行ってこの問題を議論をしたことが報告をされておりますが、共同開発などについて障害とアメリカ側はどういうことを指摘をしているでしょうか。
  214. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の面談ですが、記録確認いたしますと、平成二十年十二月に行われた在米国日本国大使館防衛駐在官等と米国防関係者との会談を指すものと思われますが、そのやり取り、概要につきましては、同大使館から外務本省に対して報告がなされております。  報告によりますと、本件会談では、国防省におけるアウトソーシングの現状、あるいは国防産業の動向、あるいは日米の防衛装備技術協力等にやり取りが行われたものと承知をしております。
  215. 井上哲士

    井上哲士君 報告書が上がっているので、ちゃんと肝心なところを報告してほしいのですが。  その中に、相手側から言われているのが、日米の共同生産の中で障害となっているのが日本政府の武器輸出三原則政策並びに秘密保全体制の不備だと。武器輸出三原則については、BMDの共同開発で若干の緩和がなされたが実質的に変化は見られない。また、秘密保全に関しては、近年生じた防衛秘密漏えい事故が示しているように、米国防省から見ると法体制が十分に整備されていないように思えると、こういう発言を受けたということが報告をされておりますが、この共同開発をする上で秘密保護に対する法整備を強めろということは、これは外務省などもアメリカ側から求められてきたんではないですか。
  216. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、先ほどの平成二十年の十二月の会談につきましては、やり取り、対外公表を前提としておりませんので詳細については触れるのは控えさせていただきたいと存じますが、情報保全との関係、今、安全保障に関する情報の重要性が高まり、そして情報漏えいの危機、危険性が高まっている。こうした指摘がある中にあって、安全保障に関する情報一定のものを的確に保護する、これは我が国として不可欠であるという判断を行った次第です。  一般論としまして、こうした情報保全強化されれば、日米間始め他国との間の信頼関係は更に強化され、情報共有、質、量、双方において幅が広くなっていく、こういった期待があります。  こういった点からして、米国政府、従来から我が国のこの取組に注目はしていたわけでありますが、これはあくまでも、この法案の提出は我が国判断によって提出をしたということであります。
  217. 井上哲士

    井上哲士君 まさに、この共同開発などの日米軍事協力の深化の中でアメリカから秘密保護の強化が求められてきたと、その転機はやはり二〇〇七年に結ばれたいわゆるGSOMIAですね、秘密軍事情報の保護のための秘密保持の措置に関する日米間の協定と、これだと思います。  当時、日本経団連の防衛生産委員会事務局が二〇〇七年十月に文書を発表しております。その中で、こういうふうに今後の課題ということを言っているんですね。GSOMIAの締結に伴い、情報漏えいに関する罰則強化の検討及び処罰対象者の拡大化の検討といった国内の秘密保護法制の整備について検討する必要があると。情報漏えいに関する罰則の強化について検討するとともに、処罰対象者について、外務省等の関係省庁の関係者や国会議員等への拡大化等についても検討する必要があろうというのが、まさに日本経団連の防衛生産委員会事務局の報告なわけですね。  ですから、国と一体になってこういう軍事の拡大を進めてきた、軍需産業が進めてきた、国会議員の処罰まで求めると、こういう中身をまさに具体化したのが今回の秘密保護法ということになるんじゃないでしょうか。森さん、いかがでしょうか。
  218. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 本法案を提出した目的は、情報漏えいに関する脅威が高まり、一旦国民の生命や国家の安全に関する情報漏えいされますと高度な情報社会の中で一瞬にしてその情報が露呈されるという脅威が高まっている中で、その漏えいを防止することとともに、外国と情報を共有する上で我が国においてそれがしっかりと保全されていることが必要だということに鑑みて、この秘密保全に関する法制を整備をすることを我が国政府として決めたものでございまして、御指摘の論文がこの法案化作業に関係があるわけではございません。
  219. 井上哲士

    井上哲士君 時間です。終わりますが、軍事の共同開発を進める軍需産業と一体で秘密保護法制で国民の権利を奪い、国会まで規制するということは許されないということを申し上げまして、質問を終わります。
  220. 中山恭子

    ○中山恭子君 日本維新の会、中山恭子でございます。  国家安全保障会議について質問します前に、まずはその前提として、我が国を取り巻く現在の安全保障環境についてお伺いしたいと思います。  政府は、これまでの国会質疑で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していると答弁されています。安倍政権日米同盟を基軸として、自由、民主主義、先ほど官房長官からもお話ありましたが、法の支配といった価値観を共有する国々と連携を強めていく方針を掲げて、総理が就任以来、地球儀を俯瞰する視点で積極的に外交を展開されていらっしゃることを私自身は高く評価しております。  ただ、近隣諸国を見ますと、現在、北朝鮮による核・ミサイル開発を始め、朝鮮半島情勢は依然として予断を許さない状況です。拉致問題も、御尽力いただいているとは思いますが、依然として進展の糸口がつかめていない状況ではないかと考えています。また、中国の透明性を欠いた軍事力の増強、海洋活動の活発化は、我が国を含む周辺諸国の懸念を一層高めていると考えます。我が国の領土、領海、領空に対する挑発もやむことがありません。  こういった状況について、我が国を取り巻く現在の安全保障環境について、改めて政府の御認識をお伺いいたします。
  221. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今、中山委員から御指摘がありましたように、我が国を取り巻く環境というのは極めて厳しい状況になっています。北朝鮮による核・弾道ミサイル、さらにはこの我が国の周辺の海空域における活動の急速な活発化など様々な懸念の中で、そうした中で我が国としては、政治の強力なリーダーシップの下で機動的、戦略的に国家安全保障政策を進めていくことが必要であると。そういう環境整備として国家安全保障局設置をして、まさに我が国の領土、領海、領空はしっかり守っていくという、そういう決意の中で本法案を提出をさせていただいたところであります。
  222. 中山恭子

    ○中山恭子君 何が起きるか分からないような状況に近づいているように考えておりまして、その手だてを、対応をしっかり進めておいていただきたいと考えております。  官房長官、四十五分にこちらをお出になると伺っておりますので、ちょっと質問の流れを変えて、国家安全保障局についてお伺いいたします。  国家安全保障会議を有効に機能させるためには、やはり実務的に会議をサポートする体制が重要な鍵となると考えております。国家安全保障局設置することとなっておりますが、その狙いは何なのか。  また、国家安全保障局が機能するためには組織形態も重要でございます。国家安全保障会議設置準備室の資料を見ますと、国家安全保障局長総理と直結していません。また、十七条四項では、国家安全保障局長は、先ほど小野先生からもありましたが、内閣官房長官及び内閣官房長官を助け、その命を受けて局務を掌理すると書かれております。  これでは、総理とこの国家安全保障局長との間でスピーディーかつ十分なコミュニケーションが取れるとは到底思えません。今報道されているような方でございましたら個人的に親しくていらっしゃるのであれば取れると思いますが、そうじゃない可能性もあるわけでして、官房副長官の下でその命を受けて動くとなると、総理とのスピーディーなコミュニケーションというのは無理であろうと考えておりますが、その点、いかがでございましょうか。
  223. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 国家安全保障局は、まさに総理のリーダーシップの発揮を強力にサポートして、平素から総理とコミュニケーションを図りながら、総理の意向に基づきながら国家安全保障政策の企画立案、そして総合調整を行う組織であるというふうに考えています。そうした国家安全保障局が業務を円滑に行うことができるように、総理局長の間でコミュニケーションを取れることが極めて、委員指摘のとおり大事だというふうに思います。  そのため、局長人事については、総理が自らの人選を行う特別職国家公務員とすることで総理との一体性を確保することが可能だというふうに考えています。また、実際の業務においても定期的に国家安全保障政策にかかわるブリーフィングを行うなど、平素から局長総理の意向を踏まえてまた行動することができるように、そうした場もしっかりつくっていきたいというふうに考えます。
  224. 中山恭子

    ○中山恭子君 安倍総理は、十一月六日の衆議院におきまして、米国との情報共有について、米国の安全保障担当の補佐官と日本NSC事務局長との日常における情報の交換あるいは意思の疎通によって更に同盟関係は緊密なものになっていくと御答弁されていらっしゃいます。  ただ、例えば国会図書館の「調査情報」にアメリカの、米国のNSCの組織図がかかれておりますが、米国の国家安全保障問題担当大統領補佐官というのは非常に大きな権限を持っておりまして、NSCスタッフ組織とNSC委員会の両方を掌握し、大統領と直結しています。日本国家安全保障局長総理と直結していませんし、官房副長官の下で危機管理監と密接に連絡を取るということとされております。米国の大統領補佐官と日本側のNSC事務局長とでは全く権限が違います。総理のお考えになっているような状況はこの法律に基づく限り無理であると考えております。  安倍総理がお考えになっているように、国家安全保障局長が米国の安全保障担当補佐官と同格として情報の交換、意思疎通をなさるためには、これはないというお答えであったかと思いますが、国家安全保障担当総理補佐官がこの局長職を兼務するしかないと思われますが、こういったことに対して、官房長官、いかがお考えでいらっしゃいますか。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
  225. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) まず、大統領制のアメリカと我が国は組織が違うわけでありますから、そこはある意味で組織が違う形になっているということは、これは事実であります。  ただ、今委員から御指摘がありましたけれども国家安全保障局長は、米国の国家安全保障担当大統領補佐官を始め各国のNSC責任者と平素から意思疎通を行うことができる、そして業務を遂行することができるというふうに考えております。
  226. 中山恭子

    ○中山恭子君 アメリカだけではなくて、ヨーロッパ各国、また、非常に正確な情報を持っている中央アジアの国々、アラブ系の国々もあります。そのときにこの国家安全保障局長が対応するという形を考えていらっしゃるのでしょうか。
  227. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 委員のおっしゃるとおり、国家安全保障局長がそれぞれの国のNSC責任者とそこは意思疎通を図るということになっています。
  228. 中山恭子

    ○中山恭子君 この組織図といいましょうか、この十七条四項から見て、今官房長官がお答えいただいたようなことがこの局長の権限の中に入っている。今日、官房長官がそうできるのだというお答えですので何らかの形でできるようになるのかもしれませんが、この組織の、この法律案を見る限りは非常に難しいことになり得ると考えられますので、その辺りはもう一度御注意いただいて、場合によっては将来何らかの、何というんでしょう、考え方を補足していただく必要があるのではなかろうかと考えております。また、総理補佐官が別途いらっしゃるわけですので、そこと、この局長との関係というのも工夫していただかないといけないかと思っております。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕  是非、お時間かもしれませんが、これからも、非常に重要なポストでございますので、十分注意深くお取り扱いいただきたいと思っております。よろしいでしょうか。
  229. 中川雅治

    委員長中川雅治君) では、どうぞ、官房長官
  230. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございました。  それでは、ちょっと話が戻りますけれども、これ、大野先生からも今日いろいろ御質問の中に含まれていた点もあるかと思いますが、今回の改正では、その審議対象を、条文を読みますと、第一条で、我が国安全保障に関する重要事項審議する機関として、国家安全保障会議を置くとなっております。その改正前の安全保障会議設置法では、国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項審議する機関として、内閣に、安全保障会議を置くとなっておりまして、今回、この審議対象が相当に広がったと考えられるのではないかと思っております。国家が付いて狭くなったと考えるのか。私自身は、この一条の条文から見ますと、審議対象の範囲が拡大されていると考えております。我が国安全保障に関する重要事項というのが何なのかの定義がしっかりなされておりません。  今回の改正審議対象の広がった範囲、先ほど官房長官はエネルギー問題とか食料問題もこの国家安全保障の中に入るというようにお答えいただいたかと思いますが、それ以外に、例えば原発ですとか大災害などもここの中に含まれるのでしょうか。
  231. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) この法案では、従来の安全保障会議審議事項は維持しながら、国家安全保障会議審議事項を、従来の国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項から、我が国安全保障に関する重要事項に改め、拡大することといたしましたけれども安全保障の定義等について変更したというわけではありません。  安全保障とは、一般に、外部からの侵略等脅威に対して、外交政策及び防衛政策等を駆使して国家及び国民の安全を保障することを意味するものだというふうに考えます。これらに含まれる具体的事象の範囲というのは、あらかじめ定まっているものではないと認識をしております。  この法案にある、今御質問にありました国家安全保障に関する重要事項というこの国家安全保障とは、今申し上げた安全保障のうち、国の存立にかかわるものを指すというふうに考えております。ですから、あらかじめ範囲を定めているというか、いろいろ、エネルギーでも国の存立にかかわる問題もあればそうではない問題もあるということで、それぞれケース・バイ・ケースで異なってくるのではないかというふうに考えております。
  232. 中山恭子

    ○中山恭子君 今のお答えでよく理解できていると思いますが、その都度差し迫った判断が必要になってくると思いますので、是非総力を挙げて動いていただきたいと思います。  もう一点、情報機能の強化について伺います。  安倍総理は、日本版NSC設置法案審議入りしました十月二十五日の衆議院会議におきまして、我が国を取り巻く国際情勢が一層厳しさを増す中、政府全体の情報収集・分析能力の一層の充実強化に取り組むと述べられました。  情報機能の強化につきましては、前の第一次安倍内閣設置された情報機能強化検討会議では、これは平成二十年二月のことですが、国際テロ、大量破壊兵器拡散、北朝鮮に関する情報について入手困難な場合が多く不足しているとし、専門家の育成を求めることがこの報告書でまとめられております。さらに、日本版NSCに関する政府の有識者会議議論の中では、日本版NSCが十分に情報を活用できるように情報機関そのものを強化することを別途検討する必要があると指摘されています。  菅官房長官は、五月二十九日の記者会見において、対外人的情報収集、いわゆるヒューミントに携わる専門家の育成に努めることは極めて大事だ、専門的、組織的な情報収集の手段や体制の在り方について研究を深めていると述べられています。  今回の案では情報収集機能の充実については一切触れられていないと思われます。このままでは、国家安全保障会議の機能は私どもが期待しているものの半分くらいの事柄であろうと、両輪の半分がやっとできたところと言えるのではないでしょうか。情報収集機能の強化はこれからの課題と考えられますが、今後どのようにやっていくのか、お考えをお聞かせください。
  233. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 現在の情報コミュニティーは内閣直属の情報機関として内閣情報調査室が設置をされていて、それが機能をしているわけであります。  先生おっしゃるように、この情報収集機能というのを高めていくというのは非常に重要だと思います。今回のこの法案の中では、NSCとこの情報収集機能というのを、これを分けて考えておりますのでこの法案では触れられておりませんが、逆に、このNSCのようなものが立ち上がって、これは情報を要求していく側であります。やはり情報というのは、集めることも重要ですが、逆に要求のレベルというのも非常に重要でして、このNSCの要求に内閣情報調査室がこたえていく中で情報収集能力というのが高まっていくという面があるというふうに思っております。  いずれにしても、政府といたしましては、引き続き、政府全体の情報収集・分析能力の向上をしっかりと図ってまいりたいというふうに思います。
  234. 中山恭子

    ○中山恭子君 現在でも、いわゆる内調、それから外務省の国際情報統括官組織、さらには防衛省にもこういった情報収集組織がありますけれども、これを、もちろん、要求できるから出さなければならないというふうに修正されてきておりますが、いずれにしても、非常にこの情報を収集すること自体、それから集めて分析するということも非常に難しい事柄だと考えております。今後、もう一度、新たにこの情報収集機能の強化をお考えいただかなければならないと思っております。  以上で終わります。ありがとうございました。
  235. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党佐藤正久です。  今法案につきましては、国家安全保障というものにかかわる重要な法案ですので、これは成立は当然ですけれども、成立した暁には、しっかりこの法律に基づいて関係部署が動くと、機能するということが非常に大事だと思っております。今日のこれまでの質疑においても、大野委員を始め、内閣危機管理監と国家安全保障局長との関係や、あるいは四大臣、九大臣、緊急事態大臣会合等の議論もあります。そういうことをいかにうまく動かすかというのが非常に大事だと思います。  そういう意味で、これから北朝鮮の弾道ミサイル発射という事例を取りながら、これらの関係について少し議論を進めていきたいと思います。  仮に北朝鮮が、弾道ミサイルを日本を横断して発射するという声明を発し、発射準備に着手したとします。北朝鮮の各種活動等を分析をして、その後、我が国政府として、自衛隊法第七十六条の防衛出動で対処するのか、自衛隊法第八十二条三の弾道ミサイルの破壊措置命令でいくのか判断しなければなりません。防衛省局長や統幕長がメンバーとする防衛会議防衛大臣判断するのか、あるいは国家安全保障局長事態対処専門委員会が補佐する国家安全保障会議で最初に行うのか、どちらでしょうか。お願いします。
  236. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 今委員からは、北朝鮮によるミサイル発射事案を例に取って御質問があったわけですけれども、現実に起こり得る事態の様相というのは、これはもう本当に千差万別でありまして、それに応じた政府の対応については、もうその時々の、本当に一つ一つの細かいことも含めて具体的な状況に応じて異なってくるということになりますので、仮定の事案にのっとって、ちょっと、なかなか御説明することは非常に難しいというふうに思っております。  ただ、安全保障局長と危機管理監が密接に連携をしながら、特に外交とか防衛政策にかかわる部分であれば安全保障局長が中心に、そして、例えば住民の安全とかそういった問題に関しては危機管理監を中心に対処をしていくということになろうかというふうに思います。
  237. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  これは実際に防衛白書の方にこの大体大まかな流れというものがございます。まず、こういう段階においては、今までの議論の中、私もいろいろレクチャーの中で、まず最初に情報分析についてはやっぱり四大臣会合と。四大臣会合をキックオフすると。四大臣会合でまず情勢認識を図ると。それに基づいて、じゃ、どちらの方でいくのかと。  例えば武力攻撃事態と見ているような場合には、まさに今回であれば緊急事態大臣会合というものを開いて、それでこれは武力事態認定の方でいくと決めた後は、次に今度は九大臣会合で実際防衛出動を発令するということに、恐らく一つの流れとしてはなるんでしょう。さらに、これは弾道破壊措置命令でいくんだと、ミサイル破壊措置命令でいくといえば、それは防衛省の中で、防衛会議の方でこういう流れでいくんだと思いますけれども防衛大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  238. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 委員指摘しているとおりだと思っております。  そのような様々なことについて日々検討し、この場合にはどこでどのように対応するかということ、これは常々私どもは念頭に置くことが大切だと思っております。
  239. 佐藤正久

    佐藤正久君 今回の法案のやっぱり一番の核心は、国家安全保障会議は四大臣会合なんですよ。四大臣会合で日ごろから議論をしていくというのがまさに、兆候っていろいろ上がってきますから、四大臣会合でまずその辺の方向付けをするというのが多分今回の法案における一番大事な部分で、それはまさに、この法案ができた後すぐ動けるように各部署で連携をしてやるということが国民の不安あるいは懸念というものを払拭するということにつながると思います。  次に、実際そういう対処の段階は内閣危機管理監の方が主体、あるいは防衛省の方で主体としてやるんでしょうけれども、同時に、国連安保理に対する働きかけあるいは制裁については、これは四大臣会合でまず話をして、その方向に基づいて外務省が動くという認識ですけれども外務大臣、いかがでしょうか。
  240. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 実際の事態は千差万別で、そしてその時々、具体的な対応、変わってくるとは存じますが、一般論で申し上げれば、委員が御指摘のように、四大臣会合での判断があり、そして外交政策で対応するということになれば外務省が責任を持って対応していかなければならない、そのように認識しております。
  241. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは非常に大事なことなんですよね。これからいろんな事態を想定しながらシミュレーションをやらないと、実際に動かないんですよ。  昨年の四月の北朝鮮の弾道ミサイル発射の対応でも、どうしても防衛省と官邸の連携というのにやっぱり問題があったと指摘がありました。今度新しい部署をつくるとなりますと、やはりこの辺のシミュレーションあるいは訓練というのはやっておかないとなかなかうまくいかない。とりわけ、いろんな事態もそうですけれども、土日とか夜中とか一番きつい状況を想定しながらこういう対応訓練というのをやるのが大事だと思いますけれども、官房副長官、いかがでしょうか。
  242. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) まさにおっしゃるとおり、平時というか日ごろからいろんなシミュレーションを積み重ねておくということが非常に重要でありまして、このNSC設置されました暁には、特に四大臣会合を中心に、日ごろからそういったことをしっかりと、いろんな事態を想定して用意をしていくということになろうかというふうに思います。
  243. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは非常にもう国の安全にかかわる事項ですから、しっかり新しい部署をつくる、いかに会議を動かすか、あるいは国家安全保障局長情報官あるいは内閣危機管理監の関係、あるいは外務省、防衛省、警察の関係を含めてしっかりお願いしたいと思います。  次に、今回の国家安全保障会議、とりわけ四大臣会合においては、今衆議院審議されております特定秘密とかかわる事項も話されることもあるでしょうし、ここが、特定秘密保護法案に入らない、防衛省でいえば特別防衛秘密とか、あるいは各役所が持っている省秘というものも多分議論されることになります。でも、特に特別防衛秘密とかあるいは特定秘密というのは、漏えいした場合、非常に国益に対して大きな影響を与えるということから、罰則規定だけではなく施設も非常に大事だと思っています。  アメリカの場合、米議会においては、秘密会を行う際はそれなりのしっかりした施設、別な部屋でやると。例えば携帯電話は通じないと。携帯電話一つ持ち込めるだけでも情報漏えいの危険性は高まりますから、そういう施設ということもやっぱり考えながらやらないといけないと。単に執務室で四大臣会合をやると、それは普通の状況ならいいですけれども、やはりそういう特定秘密等を扱うような場合はしっかりそれなりの部屋でやると。官邸にもあるでしょうから、そういう配慮が必要だと思いますが、官房副長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  244. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 国家安全保障会議は、四大臣会合も含めて、原則的には場所としては、今の安全保障会議もそうなんですが、官邸の中の会議室で開催されることを想定をしております。  その上で、国家安全保障会議が開催される施設や、あるいは施設だけではなくて、会議資料を取りまとめる国家安全保障局の施設においても、重要な情報漏えいすることがないように資料等の管理、保全に関する厳格なルール作りを行うのはもちろんのこと、今委員指摘のような物理的な措置もしっかりと講じてまいりたいというふうに思っております。
  245. 佐藤正久

    佐藤正久君 しっかりお願いします。  まさに今、この特定秘密保護法案というものが衆議院審議されております。今回、幾らいい国家安全保障会議というものができたとしても、その漏えいを防止するためのやっぱり備える措置も必要だと思います。  岡田副大臣の方に、今回の特定秘密保護法案、これは国家安全保障に大事だと私は思いますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
  246. 岡田広

    ○副大臣(岡田広君) お答えをいたします。  今、世耕長官からも答弁がありましたように、佐藤委員指摘のとおり、大変重要な法案だと考えております。  そして、この特定秘密を扱う施設の保全措置についても細心の注意を払うべき必要があると認識しております。例えば、施設内への立入りを制限を講じたり、シールドルームにおいて特定秘密を取り扱うこととすることなどの厳格な物的管理を講じることも検討してまいりたいと考えております。  以上です。
  247. 佐藤正久

    佐藤正久君 質問を終わります。ありがとうございます。
  248. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 自由民主党の岩井茂樹でございます。  本日は、安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案参議院における最初の審議ということでありまして、基本的な事項、また、衆議院で既に議論を行われましたそれを参考にした質問をしたいと思っております。場合によりましたら重複する箇所もあろうかと思います。ただ、今朝ほどの新聞を見ましても、中国でも中国版のNSC設立の動きがあるというような記事が躍っておりました。そのようなことも踏まえまして、この法案は極めて重要な法案ということもありまして、改めて確認の意味も込めまして質問をさせていただきます。  さて、最初に、そもそも論からお伺いいたします。  この改正案において内閣国家安全保障会議設置をされることになりますけれども、この国家安全保障会議を創設する意義について、基本的なことですけれども、教えていただければと思います。
  249. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 委員から今、国家安全保障会議を創設する意義についてお問合せがありました。  北朝鮮による核・弾道ミサイルの開発の脅威、あるいは中国の透明性を欠いた軍事力の増強など、我が国の周辺海空域における活動の急速な拡大、活発化といった懸念事項を始めとして、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しているわけであります。  国家安全保障会議設置の意義は、内閣総理大臣を中心とする関係閣僚が常日ごろから戦略的観点を持ってしっかりと議論を行って、そして政治が強力なリーダーシップを発揮をして、政府として国家安全保障政策を機動的、戦略的に進めていくための環境を整備することにあるというふうに思っております。
  250. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 ありがとうございました。  日本に対する様々な脅威に対してどう対応していくか、その対応の仕方によりどのような反応があるかということも含めまして、常日ごろから様々なシミュレーションをしておく必要があるということ、また、その政策的な選択肢については、総理大臣外務大臣防衛大臣官房長官が、今お話にありましたとおりに、日ごろからよく理解をしながら協議をしていく、その状況をつくっていくということが極めて重要なことであると、そういう御説明だったと思っております。  そこで、質問ですけれども、第一次安倍内閣提出のときの旧法律案では、総理が必要と認めている国家安全保障に関する特定の事項について、関係閣僚が専門的に審査、審議をいたします専門会議、これを開催することとしておりましたけれども、本改正案においてはこの専門会議ということが盛り込まれておりません。政策的な選択肢について、先ほどのお話のとおりに、日ごろからよく理解しながら協力をしていくという状況をつくっていくことが本当に重要なのであれば、これ必要かと思うんですけれども、本改正案にこの専門会議が盛り込まれていない、その理由についてお答えいただければと思います。
  251. 北崎秀一

    政府参考人(北崎秀一君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、平成十九年の法案におきましては、特定の事項について専門的に調査審議するために関係閣僚から構成される専門会議を置くこととしてございました。  今回、この法案におきましてはこの専門会議は設けてございませんが、国家安全保障会議の中核となります四大臣会合を始め、各種会合には必要に応じて関係閣僚を議員として参加いただくことによりまして、内容に応じた実質的な審議が可能となっているところでございます。また、各省庁ごとの局長級の幹部から構成されます幹事会をテーマごとに定期的に開催することとしておりまして、実務的、専門的な観点から国家安全保障会議審議をサポートすることとしてございます。  このように、平成十九年法案におけます専門会議の機能は、本法案においても実質的に実現できているものと考えているところでございます。
  252. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 四大臣会合を始め、本改正案においては旧改正案のその中身がしっかりと含まれているという御説明だったと思いますけれども、もう一点、旧法律案との違いをちょっとお伺いをしたいと思います。  旧法律案では、国家安全保障会議の下に独立の事務局を設けることとしておりましたけれども、本改正案においては、内閣官房国家安全保障局を置くということになっております。このようにした理由を教えていただければ、また、その両者の違い、もしよろしければ教えていただければと思います。
  253. 北崎秀一

    政府参考人(北崎秀一君) お答えいたします。  平成十九年法案事務局は、国家安全保障会議の下に置かれまして、会議事務のみを行うことを予定してございました。他方、今回御提案をしております本法案により設置されます国家安全保障局は、内閣の総合調整権限を有します内閣官房長官の下に置きまして、役所の縦割りを排し、国家安全保障に関する外交防衛政策基本方針等の企画立案、総合調整などを行うこととさせていただいたものでございます。
  254. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 ありがとうございます。  役所の縦割りを排して政策の一元化、これは非常に重要なことでありまして、そのために総合調整の権限を有する内閣官房長官の下に国家安全保障局を置くというのは極めて合理的かなと、こう感じております。是非、縦割り行政に陥ることなく、政策の一元化、一本化、これを実現していただければと思っております。  さて、続きまして、情報収集体制について少しお伺いしたいと思っております。  国家安全保障局の任務といたしまして、国家安全保障に関する外交防衛政策基本方針の企画立案、総合調整という政策面と、関係行政機関等への情報発注及び提供された情報の整理、分析等を行うという情報面の二つがあると思っております。  これ、大野議員も少し触れられたかもしれませんけれども政策情報関係につきましては、米国が二〇〇三年にイラクを攻撃したときも、イラクが大量破壊兵器を保有していると、その情報に基づいて攻撃をしたものの、実際はイラクは大量破壊兵器を保有しておらず、誤った情報によって政策がゆがめられた事例がございます。このような事態を防ぐために、情報を迅速、確実に収集する体制が重要になると思いますが、情報収集体制をどのように考えているのか、政府の見解をお聞かせください。
  255. 能化正樹

    政府参考人能化正樹君) お答えいたします。  政策判断が適時適切に提供された正確な情報に基づいて行われるべきであるという指摘、そのとおりであると考えます。  政府では、ただいまお話のありましたイラク戦争を含む様々な事態の教訓を踏まえまして、情報機能の更なる強化に取り組んできております。例えば、内閣官房長官議長とする内閣情報会議や、その下に置かれ、原則隔週、二週間に一回開催する合同情報会議の機能強化を図り、また、平成二十年からは内閣情報分析官を設けて、政府が保有するあらゆる情報を活用した総合的な分析、評価を行うようにしてきております。これらを通じまして、内閣直属の内閣情報調査室、また情報コミュニティー、各省庁が内閣の下で相互に緊密に情報収集・分析活動に当たっておりまして、さらに、情報コミュニティー、各省庁が収集、分析した情報が集約され、総合的な評価、分析を行う体制が整備されております。  政府といたしましては、国家安全保障会議、それから国家安全保障局の十全なる機能発揮を可能とするよう、引き続き政府全体の情報収集・分析能力の向上を図ってまいりたいと存じます。
  256. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 ありがとうございます。  実は、先ほど事例に申しました、情報によって政策がゆがめられるだけでなく、実はそれと全く逆に、政策によって情報がゆがめられる、つまり、やりたい政策に都合の良いような情報が加工されるというケースもこれは考えられるのではないかなと、こう思っております。このような事態を防ぐためには、政策部門と情報部門はしっかりとこれは分離をすることが必要でありまして、この法案でもそのようなことになっているかと思います。その辺りもしっかりと対応していただきたいと思っております。  衆議院審議におきまして柳澤参考人が述べましたように、制度の本質というのは、制度そのものというよりは、いかにそういった情報がきちんと伝わり、そして判断ができるだけ的確になされるような、そういう人材を育て、お互いの信頼関係、これをしっかりと文化の問題として制度化していく、法律上の制度以上にそういった運用面での習慣のようなものを構築することが非常に重要だと、私も同感であります。制度をつくっただけでは駄目で、人材が大切でありまして、情報収集にしろ調整にしろ、お互いの信頼関係をしっかり築いていただきたい、こういうふうに思っております。  続きまして、四大臣会合、緊急事態大臣会合についてお伺いをいたします。  本改正案では、四大臣会合、そして緊急事態大臣会合を新設することとなっております。現状でも必要に応じて関係閣僚間で集まって協議を行うことはできると思いますけれども、これらを法定化することとした理由は一体何か、お尋ねをいたします。
  257. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) この法律では、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しているという状況を踏まえて、現在の九大臣会合に加えて、四大臣会合とそして緊急大臣会合を設置することにしております。このことは、外交安全保障に関する諸課題について、政治の強力なリーダーシップを発揮するために必要不可欠だというふうに感じております。  おっしゃるように、今の安倍内閣では必要に応じて適宜必要な閣僚が集まっていろんな会議を行っております。非常に機動的にできているというふうに思います。しかし、この国家安全保障会議審議する内容というのは、まさに国の、国家の存立や国民の安全に直接かかわるものでありますから、どんな内閣であってもしっかりやっていってもらわなければいけないということでありまして、この国家安全保障会議の下で開催される会合についてもしっかり法律で定めておくことが重要だというふうに考えております。
  258. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 ありがとうございました。  関係閣僚がこれ定期的に協議する場を設けることがまず必要だということと、その審議国家の存立や国民の安全に直接かかわる重要なものであるというお話でした。しっかりとそこを法定化することによって許容性も満たされる、そんな御説明だったと理解をしております。  続きまして、四大臣会合に関してもう一点お伺いをいたしたいと思います。  本年十二月に、我が国外交防衛にまたがる基本戦略であるとともに国家安全保障会議における意思決定の基盤となる国家安全保障戦略が十二月策定の予定と聞いております。これ、事務的な確認になるんですけれども、この国家安全保障戦略というのは四大臣会合で議論されるものと思われますけれども、策定に当たっては閣議決定を経るのか、閣議決定をもし経るんであれば九大臣会合も経るのか、政府の見解をお尋ねいたします。
  259. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 国家安全保障戦略については、現在、政府として取りまとめに向けて鋭意議論を深めているところであります。また、NSC法案も今まさに法律として今御議論をいただいているという段階ですから、あくまでも一般論として、あるいはこのNSC法がちゃんと成立をしたという前提においてお話をさせていただきたいと思いますが、国家安全保障戦略のような中長期的な国家安全保障の方向性を定める政策文書については、戦略的な観点から、まず四大臣会合においてみっちりと議論を行った上で、そして国家安全保障会議として決定する際には九大臣会合で最終的な審議をいただき、そしてさらに、政府として最終決定するに当たっては閣議決定を行うことになるというふうに思っております。
  260. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 ありがとうございます。  あくまでも一般論ということでありましたけれども、四大臣会合、そして九大臣会合、そして閣議決定という順序を追っていただけるというお話であったと思います。  続きまして、国家安全保障会議の補佐体制についてお伺いをいたします。  閣僚級の審議を真に機動的で戦略的なものにするためには、役所の、さっきからこのお話出ているんですけれども縦割りを排して、必要な情報が適時適切に提供されるなど、会議を補佐する体制が構築されていることが極めて私は重要だと考えております。この会議の補佐体制について、どのようなお考えがあるのか、御説明願います。
  261. 北崎秀一

    政府参考人(北崎秀一君) お答えいたします。  本法案におきましては、内閣の総合調整権限を有します官房長官の下に国家安全保障局長を置くことによりまして、役所の縦割りを排し、機動的、戦略的に国家安全保障に関する重要事項について総理をサポートできる体制とさせていただきたいと思っております。  また、閣僚級の審議と併せまして、各省庁等の局長級の幹部から成る幹部会をテーマごとに定期的に開催するなどいたしまして、国家安全保障に関し各省庁等がしっかりと連携するための仕組みを設けることを考えてございます。  さらに、本法案では、国家安全保障会議、トップダウンで各省庁等に対し必要な情報要求を行いまして、各省庁などは国家安全保障会議情報提供する義務を負うことを明記させていただいたところでございます。
  262. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 ありがとうございます。  会議審議というものは、その場の審議も重要ですけれども情報収集も含めた事前準備も、審議そのものと同様に、あるいはそれ以上に重要だと思っております。閣僚級の審議を真に機動的に、そして戦略的、効率的なものにするために、是非体制づくりをよろしくお願いいたします。  それで、次ですけれども、少し縦割りの話も含めてちょっと御質問をしたいと思っております。  国家安全保障局体制についてお伺いをいたしたいと思います。  菅官房長官は、十月の三十日の衆議院国家安全特別委員会におきまして、局の体制については、一、総括、調整に従事する班、二、インテリジェンスコミュニティーとの連絡調整等に従事する班、三、地域や各種の安全保障政策をテーマに応じて企画立案、総合調整をする班を複数置くことになっている、そういう中で、先ほどの三の地域や各種の安全保障政策をテーマに応じて企画立案、総合調整する班については、それぞれの時の情報によって柔軟に変えていきたいが、基本的には、例えば日米関係、アジア太平洋地域、中東アフリカ地域といった地域割りや、国家安全保障戦略の企画などの個別課題を担当する班というものを考えていきたいと、こう答弁をされております。  国家安全保障局を創設する重要な目的の一つに、政策情報の一元化、そして縦割り行政の排除がございます。その国家安全保障局をこのような班に分ける理由は何なのか、そして、このような班分けを行うことで国家安全保障局内で縦割り行政、班益あって局益なしといったことにならないか、政府の見解をお尋ねいたします。
  263. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 局の体制につきましては、これは法律が最終的に成立した後に正式に決定をさせていただきたいと思いますが、今委員指摘のように、大きく三つのグループ、局内の総括、調整の班と、そしてインテリジェンスコミュニティーとの連絡調整に従事する班と、そして地域とかテーマに応じた班という形に分かれていくことになろうかというふうに思います。  そもそも国家安全保障会議というのは省庁間の縦割りを排するためにつくるわけでありますから、それが中で班ごとで縦割りになっていたのでは全く意味がありませんので、そういう縦割りが起こることがないように、まずはこの局の中にある総括調整班でそこはよくコミュニケーション、調整を取ってもらうということ、また、国家安全保障局長自体がやはり指揮命令権を発揮をして縦割りにならないようにしていくということ、そしてさらに、これは当然、総理官房長官に所属する機関でありますから、強力な政治のリーダーシップの下、そういう縦割りが起こらないように、国益の観点から業務を行っていくチームになるようにきっちりと指導してまいりたいというふうに思っております。
  264. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 ありがとうございます。用意していた質問がだんだんとなくなってまいりまして、あと一つぐらいになってしまうんですけれども、時間が十分余ってしまうような気がしておりますが、ありがとうございました。  繰り返しになりますけれども、この国家安全保障会議を創設する重要な目的は、やはり政策情報の一元化、もうこれに尽きると思います。省庁間の調整の前に国家安全保障局内で縦割りや各省庁間のこれ縄張争いなどという事態になると、従来の体制より悪化したということにもなりかねません。政策情報の一元化を実現できる組織体制、運用を是非お願いをいたします。  そして、最後の質問となります。  中山恭子議員も少し触れられておりましたけれども、諸外国のNSC等との関係について最後に質問をしたいと思っております。  諸外国NSC等との関係についてお伺いをいたしますが、国家安全保障会議は米国及び英国NSCと定期協議を行うとされております。米国及び英国のNSCと定期協議を行う場合、レベル、そのレベルですね、と頻度はどの程度のものになるのか、また、米国及び英国以外のNSC若しくはNSCの機能を有する組織を持つ諸外国との交流を行うこととなるのか、政府の見解をお伺いいたします。
  265. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) 国家安全保障会議事務局機能を有する国家安全保障局は、会議事務を担うとともに、平素から総理の意向を踏まえながら国家安全保障政策の企画立案、総合調整に従事する組織であります。こういう役割を担う国家安全保障局が各国のNSC事務局等と交流をして緊密に意思疎通を行うということは、我が国安全保障政策に関する諸外国の理解を更に深めて、そして関係各国との連携強化に一層寄与するものでありますので、定期的な協議といったものも含めて積極的に取り組んでいくべきだというふうに考えております。  どういうレベルで頻度どれぐらいというのは、これはなかなか、実際にこれから立ち上げて、局長の下で、総理官房長官意見も聞きながら、どういうレベル、どういう頻度でやっていくかということについてはまたこれからじっくりとこれは議論を深めてやっていきたいというふうに思います。  ただ、そのレベルという意味では、これよく聞かれる質問でありますけれども、アメリカの例えば国家安全保障担当補佐官あるいはイギリスの担当者とのカウンターパートに当たるのは誰かということをよく聞かれるわけでありますけれども、今回、このNSC法が成立をした暁には、国家安全保障局長がアメリカの安全保障担当大統領補佐官を始め各国のNSC責任者とまず平素から緊密な意思疎通を行って業務を遂行することになろうかと思います。またさらに、一層重要な案件については、これは官房長官が直接各国のNSC責任者と意思疎通を行うことになるんじゃないかというふうに思います。さらには、総理が直接こういうことについてアドバイスが欲しい、こういうことを調べてほしいというような総理から直接的な命令がある場合は、国家安全保障担当総理補佐官が各国のNSC責任者と意思疎通を行うということになろうかと思います。  そういう意味では、頻度、レベルを簡単にこうですとお答えすることはなかなか難しいんですが、レベルという点に関しましては、場合によっては国家安全保障局長、場合によっては官房長官、そして場合によっては総理補佐官が行うということになるのではないかというふうに考えております。
  266. 岩井茂樹

    ○岩井茂樹君 とても丁寧な御説明をいただきまして、本当にありがとうございます。  冒頭お話をしましたとおりに、諸外国でこのようなNSCというような動きがある中で、我が国日本が取り残されるというか、しっかりと我が国のその辺の安全保障というところを考えていかなければいけないのではないかなと思っております。中国版もあるというお話もしましたけれども、中山先生も言っておられましたが、北朝鮮及び中国の日本国周辺におけるそのような我が国の国益を侵すような行動に対してしっかりと、ある意味こちらの意図を発信するという意味でも、是非この法律案を速やかに通していただきたいと思っております。  それでは、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  267. 石川博崇

    ○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。  いよいよこの特別委員会における審議がスタートしたわけでございます。しっかりと充実した審議にしてまいりたいというふうに思っておりますので、官房長官外務大臣、また関係者の皆様、大変お疲れかと思いますが、誠実な御答弁、何とぞよろしくお願いを申し上げます。  先日の本会議における質問にも立たせていただきましたけれども、そのときいただいた答弁を更に深掘りさせていただく形で御質問をさせていただきたいと存じます。  刻々と日々変化する国際情勢におきまして、時の政権を担う主要閣僚が、特に外交安全保障を担う閣僚の方々が、国民の生命、財産を守るために、特に緊急事態にあっては迅速に的確な判断を下すためにも、今回の国家安全保障会議設置するということは極めて重要な意義あることと認識をしております。同盟国である米国を始め関係諸国との情報交換もしっかりと密にしていただきたいというふうに考えております。  その上で、本会議でも質問をさせていただきましたけれども国家安全保障会議の運用を今の安倍政権としては非常に意欲的に精力的に開催していくという御認識答弁をしていただいております。先ほどもありましたが、月に二回程度というお話もございましたが、やはり、今後いかなる内閣におきましても、時の総理内閣によって頻度やテーマが左右されるようなことになってはならないと思いますし、また、それこそ五分だけ開いて、紙だけ配って署名して終わりというような形骸化したようなことになってはならないというふうに思っております。ただでさえお忙しい総理官房長官防衛大臣外務大臣がそろっての会議を定期的に開催するというのは、やはりよほどの意思と、それから制度的な担保も含めてなければ、継続した形で有意義な、また機能的な会議を行っていくということはなかなか難しいのではないかというふうに思っております。  先般の本会議においては、答弁において、後の規範になるような運用を行っていきたいという御説明でございましたが、具体的にどのような運用を行っていくことが、今回初めて安倍内閣としてこの国家安全保障会議を運用されるわけでございますが、どういうふうに規範となるような運用を行われるのか、御説明官房長官、いただけますでしょうか。
  268. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) まず、四大臣会合は、外交安全保障に関する諸課題について、総理外務大臣防衛大臣、そして内閣官房長官とで月二回程度、定例的に、また必要に応じては機動的に審議を行い、国家安全保障に関する外交防衛政策の司令塔としての機能を果たし、中長期的な戦略の策定を含め、基本的な方向というものをしっかりと示していきたいというふうに思います。具体的な運用については、有識者会議でも様々な有益な御指摘もいただいております。こうしたものを踏まえながら対応をしていきたいというふうに思います。  いずれにしろ、総理参議院会議で石川議員にお答えをしておりますけれども、まさに、外交安全保障に関する諸課題について、政治の強力なリーダーシップを発揮して、この国家安全保障政策を機動的、戦略的に進めていくために創設したものでありますから、その趣旨に基づいて、総理答弁をされていますように、創設の理念をしっかりと念頭に置いて、後の規範となるよう責任を持ってこれを運用していきたいというふうに考えます。
  269. 石川博崇

    ○石川博崇君 余り具体的な御説明でなかったような気がいたしますが。  最初にこの国家安全保障会議を創設される予定の内閣として、是非後世の範となる運用をお願いしたいというふうに思います。また、今回の創設によって、やはり関係省庁間の連携が密接になるということが極めて重要であるというふうに感じております。  私自身の外務省時代の経験を踏まえて少し申し上げさせていただきますと、イラクのサマーワで勤務していた折、私自身、現地におったわけですが、同じ現地サマーワからの情報であるにもかかわらず、例えば陸上自衛隊から防衛省に届く情報と、それから外務省の出先機関でありました現地サマーワ事務所からの情報、これが報告が若干異なっていたがゆえに、外務省からの発表、それから防衛省からの発表が異なって、国民の皆様に大変な御心配をお掛けしたということを先日のことのように思い返すわけでございます。  当然、現場においても、見る人が違うわけですから情報が違うということは当然あってしかるべきだと思いますが、そういうときにあっても、統一的な政策的意思決定を行うに当たって、関係省庁がしっかり連携をして統一見解を持つということが極めて重要だと、私も当時深く反省をした次第でございます。  その後、現地の事務所におきましても、佐藤業務支援隊長とも毎日のように打合せ、情報分析、行動確認など連携を密に取らせていただきましたし、また本省においても、防衛省、外務省の連携を強化するようにという意見具申もしたところでございます。こうしたことも、今回の国家安全保障会議の設立によって懸念をしっかり解消していただく、そのためにも機動的な運営をよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  さて、今回、三形態の大臣会合が創設されるわけでございますが、特に九大臣会合におきましてはこれまでの安保会議の役割を引き継ぐ、つまり、国防基本方針防衛大綱、武力攻撃事態への対処など国防に関する重要事項については閣議決定を行う前にこの九大臣会合で審議をして、軍事に対する民主主義的統制を行うという文民統制機能、シビリアンコントロールの機能を維持したわけでございます。本法案でこの機能を維持するという、この文民統制機能の重要性をしっかり認識した上での法案ということを評価させていただきたいと思います。  この文民統制機能の重要性について、官房長官、まず御認識をいただけますでしょうか。
  270. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 衆議院における審議の結果、内閣総理大臣会議に諮らなければならない事項の一部については、内閣総理大臣が必要と認めるものとする修正が加えられました。この修正は、九大臣会合を開催しなきゃならない事項について総理が最終的に判断することをより明確にするためのものであって、政府提出法案から九大臣審議事項の範囲が変わるということではありません。  したがって、九大臣会合が従来の安全保障会議が果たしてきた文民統制の役割そのものを維持することには何ら変わりがないというふうに考えています。
  271. 石川博崇

    ○石川博崇君 済みません、ちょっと通告の仕方が悪かったのか、次の問いについてのお答えをされてしまったわけでございますが、文民統制機能をしっかり維持されるということについての重要性をしっかり政府として認識しておられるんだというふうに私も認識しております。  今回、衆議院で、与野党の協議によりましてこの九大臣会合の文民統制機能にかかわる部分についての修正が施されたことを若干私自身懸念あるいは疑問に思っているところでございます。内閣総理大臣が必要と認めるものについて会議に諮らなければならないとされたわけでございます。これは元々旧法の規定がそうだったということで、旧法の扱いがそのまま適用されるということでございますが、裏を返して考えますと、内閣総理大臣が必要と認めなければ、例えば武力攻撃事態が生じても九大臣会合を経ずに、開かずにいいというふうにも読める規定になっているのではないかというふうに思います。  先ほど申し上げましたこの九大臣会合の文民統制機能という重要な民主主義国家における原則に鑑みれば、この九大臣会合の開催の重要性というものをある意味軽減せしめる、そういう修正になったのではないかというふうに危惧するわけでございます。  そもそも政府が御提出されていた改正案と、今回衆議院修正された修正案、その九大臣会合の文民統制機能については重要性は何ら変わりないという御認識でいいのか、改めて官房長官、御答弁をいただけますでしょうか。
  272. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) そもそもこの国家安全保障会議の設計をする中で、文民統制というものをしっかり機能させるために、この四大臣会合、そして九大臣会合、そして緊急事態の対応をするための大臣会合というのをつくらせていただきましたので、文民統制についてはこの九大臣会合で従来どおりしっかり対応できるという形に設計をさせていただいております。
  273. 石川博崇

    ○石川博崇君 何とぞよろしくお願い申し上げます。  続きまして、これまで衆議院におきましても国家安全保障局長の人選基準とかどういう方を局長に据えるべきかとか、そういう議論はかなり行われておりましたが、一方で、安全保障担当総理補佐官という、今回初めて法律で常設化されることとなります。これは、総理補佐官でございますから総理の人事ですので、どういう方が適当かというのは当然時の総理が決める総理の専権事項でございますが、今回初めて法定化されるということに鑑み、どういう人物であればこの安全保障担当総理補佐官としてふさわしい人物というふうに、官房長官、御認識されているのか、お答えいただけますでしょうか。
  274. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 常設化される国家安全保障担当総理補佐官は、総理直属のスタッフとして国家安全保障会議出席するなど、国家安全保障に関する重要政策に関し総理に対し助言を行い、またその判断を助ける役割を担うという形になっております。  総理補佐官は特別職国家公務員であり、そのような職務にふさわしい方を総理が人選をすることになりますけれども、その方針について答える立場に私はいないわけでありまして、総理自身が選任をする形になっております。制度的には、民間人のみならず国会議員からの登用も可能になるという形になっております。
  275. 石川博崇

    ○石川博崇君 なかなかお答えにくいのかなというのは理解をしたいと思います。次、機会があれば総理にお伺いをしてみたいというふうに思っております。  さて、今回の法案の様々な御提出の説明に当たって、総理官房長官の御答弁を聞いておりますと、現下の我が国を取り巻く国際情勢に関する認識として、北朝鮮による核・弾道ミサイル開発の脅威、あるいは中国の透明性を欠いた軍事力の増強というものを挙げられて、こうした日本を取り巻く、我が国を取り巻く国際環境が一層厳しさを増しているという情勢認識を踏まえて、だからこそこの日本版NSCを創設する必要があるんだというようなロジックといいますか論理展開をされているというふうに思います。  情勢認識としては私も全く異論はございません。非常に厳しい我が国を取り巻く国際環境でございますが、他方で、若干ここは御議論申し上げたいのは、今回のNSCの創設、これは我が国外交安全保障環境をしっかりと整えていく体制を強化するわけでございますが、この創設に当たって、そのときに述べる情勢認識として、前提の情勢認識として、特定の国家を対象としたような組織であるというようなことを対外的にあたかも言っているかのような説明をされるということは、果たして我が国の国益あるいは外交安全保障上の今後の備えにかなうものなのかということを疑問を若干感じております。  特に中国との関係、韓国との関係、大変厳しい中、政府関係当局におかれては、その関係改善に御努力をいただいているわけでございます。そうした中にあって、あたかも我が国からいたずらにこの両国に対して刺激をして緊張をあおるようなやり方、もちろんそういう意図はないと私は確信しておりますけれども、緊張をあおるようなふうに見られるやり方というのは、東アジアそして日本の平和と安全保障の観点からふさわしくないのではないかというふうに感じるところがございます。  今回のNSCの創設によりまして、我が国外交安全保障機能を強化するということはもうもちろんでございますが、それは、すなわち地域全体の、東アジア地域全体の安全保障環境にも資するものでなければならないわけでございます。そうした中にあって、今、中国、韓国ということを二国申し上げましたけれども外務大臣、今、我が国のここ参議院で行われているNSC創設に向けた議論に対して、この両国はどのように今認識を持っているのか、外務省としての分析があればお聞かせいただけますでしょうか。
  276. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) このNSC法案など、積極的平和主義に基づく我が国安全保障の取組につきましては、既に様々な機会をとらえて国際社会に発信をしてきております。総理外務大臣の外国訪問、さらには要人との会見等におきましても、直接こうした我が国の取組について説明をし、理解求めている、こうしたことを行ってきております。既に、米国を始め多くの国々からこうした我が国の取組に対して支持ですとか期待、こういった点が表明されています。  そして、御指摘の中国、韓国ですが、もちろん中国、韓国にも既に丁寧に説明は行ってきております。そして、こうした中国、韓国からは、我が国安全保障政策に大変強い関心が示されているということは十分承知をしております。是非、今後とも、こうした丁寧な説明はしっかり続けていきたいと考えています。
  277. 石川博崇

    ○石川博崇君 今外務大臣からおっしゃっていただきましたけれども、少なからず両国、今の日本の国内の動きに対して懸念の声、あるいは様々な場所での発信なんかもございます。恐らく誤解に基づいた発信というものも多いのではないかというふうに思っておりますので、両国を含め、国際社会に対して今後とも丁寧に、様々な外交ルートを通じて御説明をしていっていただきたいというふうに思う次第でございます。  残された時間で、少しシリア情勢についての御質問をさせていただきたいというふうに思います。  この臨時国会開催前、私は、公明党の現地調査を行えとの命を受けまして、シリアの近隣諸国を訪問させていただきまして、今シリア国外に二百万人の避難民が出ているという状況下、近隣国でありますヨルダンそしてイラクに行かせていただきまして、外務大臣も訪問されたザータリ・キャンプですとか、また国連関係者との意見交換、現地政府関係者との意見交換を行わせていただきました。  九月には、シリアへの武力攻撃が起こる可能性、予見性というものが非常に高まっていた状況がございましたが、その後、国連安保理での動き、米ロの合意も受けて、当面、そうしたシリアに対する直接的な武力攻撃という可能性は今遠のいているのではないかという状況と認識をしております。今、最大に注目されておりますのは、いわゆるジュネーブ2、シリアの和平を議論する国際会議の開催が果たして行われるのかどうなのかという、そして、そこにシリア政府側そして反シリア政府側が、参加が得ることができるのかどうかということが注目点でございます。  私自身、シリアという国に五年間勤務、在勤をさせていただいた経験を有しておりまして、二十代の半分はシリアで過ごさせていただいた。当時、本当に平和そのものの地域、国であったことに鑑みますと、今の状況は大変胸が痛む思いがいたします。  そうした現地の状況を肌感覚である程度分かる人間として、このシリア反政府勢力側というものをどういうふうに分析していくのかということが非常に重要なのではないかと思っております。いわゆるアラブの春ということが二年前から取りざたされ、エジプト、チュニジアあるいはイエメン等々でいわゆる民主化の動きというものが見られました。しかし、今のシリア反政府勢力という勢力、様々な勢力が、まあ何百とも言われておりますが、そういった勢力が果たしてシリアにおける民主主義求める勢力なのかと、一概に断定できない状況ではないかというふうに思っております。  様々な見解があるわけでございますが、アルカイダ系などイスラム過激派勢力がこうしたシリアの動乱に乗じてシリア反政府勢力側という側に多く入っているのではないか、あるいは今シリアの治安が悪化している最大の要因はこうしたイスラム原理主義勢力による暴力が相次いでいることにあるのではないかという、そういった勢力が非常に伸長しているというふうに言われて久しいわけでございます。  こうしたシリア反政府勢力側の状況を踏まえて、日本政府として、シリア和平あるいはシリアの難民の人道支援に当たっていく必要があろうかと思います。前政権下、民主党政権下におきましては、今のシリア政権側、いわゆるアサド政権側に対して退陣をすべきということを欧米側と歩調を合わせて宣言をいたしました。安倍内閣として、こうしたことはまだ言っていないといいますか、きちんと軌道修正をしていただいているなと私は思っております。  シリアの情勢、中東の情勢を考えるときには、当然、欧米諸国との連携というものも日本の国益として重要でございますが、地域の安定、そして現地中東地域の国民、大衆からの日本への信頼ということも考えて対応する必要があると思います。  こうしたことを踏まえて、外務大臣、シリア情勢に対して、もう時間が来てしまいましたので一言で結構でございますが、今後、御決意を伺って、質問を終わらせていただきます。
  278. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) シリア情勢につきましては、シリア国内で既に十万人を超える命が失われ、そして御指摘のように国外に二百万人以上の避難民が流出をしています。大変深刻な状況だと認識をしております。  そして、化学兵器に関しましては、強い安保理決議が採択されまして、その決議に基づいて平和裏に物事が動いていることは歓迎したいとは思いますが、ただ、通常兵器による暴力は今現在も大変激しいものが続いております。この暴力の停止ということにつきましては、シリア政府はもちろんですが、御指摘のように反政府勢力も含めて全ての勢力が責任を負わなければならない、暴力の停止に大きな責任を負わなきゃいけない、このように思っています。  その際に、御指摘のように、ジュネーブ2、この政治対話のプロセス、大変重要だと思います。我が国もしっかり貢献していきたいと考えています。
  279. 石川博崇

    ○石川博崇君 終わります。
  280. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  現行においても、九大臣ないし四大臣が閣議の前などの機会を利用して会合を持つ機会は確保されております。福田内閣においても、現行の枠の中で対応すべきものとして法制定に否定的な立場を堅持をいたしました。この度の法改正の必要はないのではないですか。
  281. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 我が国を取り巻く安全保障関係が極めて厳しさを増す中にあって、従来の九大臣会合に加え、今回、四大臣会合及び緊急大臣会合を設置することは、外交安全保障に関する諸課題について政治のリーダーシップの下に我が国国民の安全、安心を守るために極めて大事なことだというふうに認識をいたしております。  国家安全保障会議は、我が国安全保障に関する重要事項について審議を行う内閣の機関であり、その審議内閣総理大臣判断によって国家の存立、また安全に直接かかわるものであることから、開催される会合についてもしっかり法制化をさせていただいたということであります。
  282. 福島みずほ

    福島みずほ君 四大臣会合の新設により、閣議や九大臣会合が形骸化する懸念があるのではないでしょうか。また、この四大臣会合において、戦争するかしないかを決めるということはあるんでしょうか。
  283. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) そうしたことは、戦争については全くありません。  この四大臣会合というのは、まさに防衛外交政策、そうしたものについて総理を中心に四大臣として共通の認識を持つ意味で極めて大事な会合だというふうに思います。
  284. 福島みずほ

    福島みずほ君 秘密保護法案九条では、特定秘密を外国の政府提供することができるとしています。そして、新NSC法案では、議長議員、参考人などに、日本人に対しては厳しく秘密を漏らしてはならないと書いてあります。  どうなんでしょうか。日本の国会議員と日本国民には秘密指定して一切明らかにしない。でも、なぜ外国の政府にはその情報提供ができるんですか。国民主権と民主主義より優越する価値があるんですか。
  285. 中川雅治

    委員長中川雅治君) どちらに聞いていますか。
  286. 福島みずほ

  287. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) まさに国家安全保障でありますから、そういう意味において同盟国とその情報を共有するというようなことは、これは大事なことだというふうに思います。
  288. 福島みずほ

    福島みずほ君 国民それから日本の国会議員には秘密だ、秘密だと情報を開示しないんですよ。でも、外国の政府には情報提供ができる。日本議長やいろんな副大臣には秘密を漏らしてはならないとある、でも外国の政府情報提供できる。どっちを信用しているのか、どこの国に向かってやる政府なのかと強く思います。  スノーデン氏の件に関して、米国の盗聴対象の中に日本も入っていたとされています。米国に対して問合せ、抗議、確認などを行ったんでしょうか。ドイツは行っています。
  289. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 米国の国家安全保障局による通信記録の収集問題について、日米間においてはしかるべき意思疎通は行っております。また、常日ごろ、携帯電話を含め、総理に係る情報保全については万全の体制を期しているところであります。  米国との意思疎通や情報保全措置の具体的内容については、事柄の性質上答えることは控えさせていただきます。
  290. 福島みずほ

    福島みずほ君 ドイツの政府はかなり明らかにしたり抗議をしているじゃないですか。日本総理大臣の電話は盗聴されていなかったということでよろしいんですか。
  291. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) そのとおりであります。
  292. 福島みずほ

    福島みずほ君 政府情報だけでなく、国民情報も盗聴していたというふうに言われています。しっかりこれについては何なのかということを日本政府として確認をすべきだというふうに思います。  この参議院におきまして、二〇〇六年三月八日、参議院の予算委員会で外務省の密約問題について私は質問いたしました。  公文書がアメリカからしっかり出てきた。当時担当だった吉野文六さん、局長、私、会いに行きました、半日。そして、しっかり説明をしていただきました。全部文書が出てきた。密約を認めるか。政府答弁、当時の河相周夫北米局長は、返還協定が全ての立場で、密約というものはありません、そう答弁しています。当時は安倍官房長官、そして麻生外務大臣です。  密約はあるんですか、ないんですか。現在、今の段階で認めているか、認めないか。  二〇〇六年、当時の自民党政権は密約はないと答弁しました。今はどうなんですか。
  293. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 当時、麻生外務大臣ですか、安倍官房長官ですか、そういう答えであればそのとおりだと思います。
  294. 福島みずほ

    福島みずほ君 密約はないんですね。
  295. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 当時答えたとおりだと思います。
  296. 福島みずほ

    福島みずほ君 信じられないですよ。つまり、文書があるんですよ。文書がある、そして裁判でいえば物証がある、そして人証もあるんですよ。  吉野文六さんに私は聞きました。また、西山太吉さんの事件、文書不開示決定処分取消し等請求事件、地裁、高裁、高裁の判決は平成二十三年九月二十九日ですが、裁判所もしっかり密約の存在を認めています。ここまではっきりしているのに、日本政府はなぜ密約の存在を否定するんですか。(発言する者あり)
  297. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  298. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 速記を起こしてください。
  299. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 民主党政権当時の報告書については現政権でも踏襲をしてまいります。
  300. 福島みずほ

    福島みずほ君 行政交渉を外務省と行いましたが、密約はないと答弁したんですよ。  そうしたら、官房長官、密約の存在は、密約の存在はあるということでよろしいんですか。密約の存在はあるということでよろしいんですか。今、自民党政権は、外務省の密約はあるということでよろしいんですね。(発言する者あり)いや、自民党政権がどう考えているか。
  301. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 民主党政権で報告書が出ています。現政権はその報告書というものを踏襲をする立場にあると思います。
  302. 福島みずほ

    福島みずほ君 では、端的にお聞きします。密約といっても四つあるし、あの報告書はとても分厚いものです。二〇〇六年の私が聞いたときに自民党は密約はないと言いましたが、今の段階、今日の段階で自民党政権は密約はあるということでよろしいんですね。確認します。
  303. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今、現時点において私は民主党政権で出された報告書を現政権としては踏襲をしていくということであります。
  304. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、密約の存在はあるということでよろしいですね。密約はあるんですね。
  305. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 私が今申し上げたとおり、民主党政権の報告書というものを現政権でも踏襲をしているということであります。
  306. 福島みずほ

    福島みずほ君 民主党の報告書って分厚いもので、自民党政権が当時ないとおっしゃったので今の時点でしっかり確認したいんです。これはとても大事なことです。  密約は、今の時点で、今の時点でですよ、今日の段階で自民党政権は沖縄返還時に密約はあったということでよろしいんですね。確認させてください。
  307. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 民主党政権のその報告書というものを現政権は踏襲をしていくということであります。
  308. 福島みずほ

    福島みずほ君 とすると、自民党政権のときのは変えたということですね。
  309. 菅義偉

    国務大臣菅義偉君) 今何回も申し上げていますように、私ども政府民主党政権の報告書を踏襲しているということであります。
  310. 福島みずほ

    福島みずほ君 密約はあったということを自民党政権として認めるというふうに私は理解をしております。  だとすると、そうしたら、森大臣にお聞きをいたします。森大臣は記者会見で、秘密保護法の条文の二十一条に関して、「「不当な」というのは、通常刑法三十五条に規定をされている違法阻却事由になる不当だと考えておりますけれども、具体的には判例がございますので、西山事件の判例に匹敵するような行為だと考えております。」と。二十一条は違法性阻却事由を規定したものですよね。とすると、構成要件該当しているということで、では、二十五条のどこに西山事件は該当するんでしょうか。二十三条です、ごめんなさい。
  311. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 二十三条ですか、はい。  私の記者会見の答弁を引用されましたけれども、私は今読んでいただいたのと同様、「西山事件の判例に匹敵するような行為だと考えております。」というふうに言いましたので、個別具体的な事件について違法性阻却事由でありますとか構成要件該当性について言及したものではありません。  福島委員も弁護士でいらっしゃいますのでよくお分かりのことと思いますけれども、裁判のときには、生の事実があり、個別の事件があり、その事件についてどのような事実があったかということを裁判官が事実認定をいたします。そして、事実認定をしたそのものに法令を当てはめます。その事実認定行為に言及をすることはできませんし、しておりません。また、当てはめ行為もしておりません。  ただ、その後に、判決に書かれたものが判例法理になることがございます。この西山事件の中の判例法理である著しく人権を侵害するような行為というものを私はこの二十一条の行為に当たると、そういうような行為だと考えておりますというふうに述べたものであります。
  312. 福島みずほ

    福島みずほ君 でも、記者会見で、「西山事件の判例に匹敵するような行為だと考えております。」と二十一条の解釈をおっしゃっているんですよ。二十一条、違法性阻却事由じゃないですか。とすると、構成要件該当がある必要があって、構成要件に該当するから違法性阻却すると、それは森大臣も弁護士ですから分かると思います。  とすると、二十三条の構成要件のどれに当たると森大臣考えたんですか。だって、西山事件に言及されていますから。
  313. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 今御答弁を申し上げましたとおり、西山事件の判例に匹敵する行為というふうに申し上げました。つまり、判例法理の部分をこの二十一条の解釈基準というふうに私が申し上げたわけでございまして、西山事件そのもの、個別の事案そのものに言及をいたしておりませんし、その構成要件該当性にも言及をしておりません。
  314. 福島みずほ

    福島みずほ君 でも、記者会見では西山事件の判例に匹敵するような行為と言っていますよ。ですから、でも、これはでも、やはり構成要件に、では、二十三条で、メディアに関してこの構成要件に該当する場合がどれぐらいの範囲かということなんですが、「その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者」。でも、管理者、秘密と、こうパッケージがあるわけですよね。その秘密を管理者を侵害しないで取得できる場合ってあるんでしょうか。道端に落ちているのを拾う以外にほとんどないんじゃないんですか。
  315. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 管理を侵害する行為とは、例えば、鍵を掛けていない部屋であっても、そこに権利もないのに入っていって、そこで見付けたという場合もあると思います。ですので、全て、いつも管理を害さないで取得をするのかというような御指摘は当たらないと思います。
  316. 福島みずほ

    福島みずほ君 でも、「施設への侵入」とかそういうのが前にあって、私は、「その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為」、つまりその人たちが持っていて、その秘密を私が、ジャーナリスト、市民活動家、あるいは国会議員として、例えばある市民が取得する、その場合には必ずその特定秘密の管理者の管理を害しているじゃないですか。偶然私にもたらされるという以外、道端で拾う以外にほとんどこれ当たるんじゃないですか、構成要件に。  じゃ、当たらない場合にはどういう場合があるか、教えてください。
  317. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 施設の侵入が規定されているとおっしゃいましたけれども、住居の侵入に当たらない場合で管理を侵害する行為ということです。例えば、施設内部の特定秘密が記録された文書を施設外から、それが特定秘密であるということを知りながら望遠レンズで写真を撮影したり、面談中、中座した職員が卓上に放置した文書を特定秘密だということを知りながら見たり、そういうことを予定しております。
  318. 福島みずほ

    福島みずほ君 じゃ、逆に聞きます。管理者、この条文で言う特定秘密を保有する者の管理を害さない行為というのはどういう場合があるんでしょうか。
  319. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) それは、例えば、当たらない場合として、会議中ドアに耳を付けたり、ドアが開いているところに足を入れて聞いていたなどの行為が質問されておりますが、そういった通常の取材のときにされているような行為は管理を侵害する行為ではないというふうにしています。
  320. 福島みずほ

    福島みずほ君 この特定秘密についての廃棄が実は問題だと。まず秘密を指定して、それが本当に秘密に当たるのかどうかというのをチェックするところが実はない。そして、それは四十万件以上だとも言われていますが、それを廃棄する場合、要するに、特定秘密の指定が終わった後、公文書館に行くのか、あるいは総理大臣の承認があれば廃棄できるわけですが、総理大臣がオーケーと言えば何でも廃棄できるわけですね、ガイドラインありますが。それが妥当かどうかをチェックするところがないんですよ。  つまり、廃棄してしまったら、幾ら国会質問しても、そういうものはありませんとなってしまうわけで、この廃棄のところは、そういう廃棄したことも、廃棄したことも明らかにしないということでよろしいですね。
  321. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) 廃棄をするときに内閣総理大臣の同意だけで廃棄をできるというような御指摘がございましたけれども、これは通常の公文書でも同じでございます。公文書管理法に基づいて、特定秘密の文書であっても、その秘密の指定が解除されたとき、保存期間が満了いたしましたら、それは通常の公文書と同じように、歴史的な価値があれば公文書館に移管されますし、そうでないものは内閣総理大臣に協議の上、その同意を得て廃棄をされるわけでございます。
  322. 福島みずほ

    福島みずほ君 ですから、今までと同じということなんですが、廃棄したことが妥当かどうかということをチェックするところが一切ないんですよ。内閣総理大臣の同意により廃棄をした、しかし、ぽいぽいぽいぽい廃棄したかもしれない、廃棄した事実すら、何を廃棄したかも明らかにしない。結局、やみからやみで検証ができないんですよ。歴史の検証ができなくなる、それが本当に問題だと思います。  ツワネ原則について申し上げます。  諸外国における国家秘密の指定と解除という国会図書館の文書もありますが、ツワネ原則、今年の六月、アフリカのツワネで様々な人たちが集まってツワネ原則が発表されました。これから見て秘密保護法は問題ありと。何を秘密としてはならないかが明確になっていないとか、公開の裁判手続において秘密内容議論することの保障規定がない、秘密指定は無期限であってはならない、安全保障部門には全ての情報にアクセスできる監視機関が設置されるべきだ、バランスの取れた内部告発者の告発は法的に保護され、報復されてはならない。  ツワネ原則、今回全く考慮していないんですが、問題ではないですか。
  323. 森まさこ

    国務大臣(森まさこ君) お尋ねのツワネ原則でございますが、オープンソサエティー財団が本年六月に発表した国家安全保障情報への権利に関する国際原則をいうものと承知しております。  公の機関ではございませんけれども、今様々御指摘のあった点がございますけれども、本法案では、国民の知る権利や取材の自由に十分配慮しておりますし、秘密の範囲もしっかりと特定をし、その基準も有識者の御意見を聞いて定め、その基準も公表するものとしておりますので、御懸念は当たらないものと考えております。
  324. 福島みずほ

    福島みずほ君 ツワネ原則に全く反していて、白紙撤回すべきだということをまず申し上げ、私の質問を終わります。
  325. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十三分散会