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2013-11-05 第185回国会 参議院 環境委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年十一月五日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  十一月一日     辞任         補欠選任      浜野 喜史君     櫻井  充君  十一月五日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     浜野 喜史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 信秋君     理 事                 中西 祐介君                三原じゅん子君                 柳澤 光美君                 市田 忠義君     委 員                 岸  宏一君                北川イッセイ君                 山東 昭子君                 高橋 克法君                 中川 雅治君                 藤井 基之君                 脇  雅史君                 小見山幸治君                 長浜 博行君                 浜野 喜史君                 竹谷とし子君                 水野 賢一君                 清水 貴之君    国務大臣        環境大臣     石原 伸晃君    副大臣        内閣府副大臣   後藤田正純君        経済産業大臣  赤羽 一嘉君        環境大臣    井上 信治君        環境大臣    北川 知克君    大臣政務官        環境大臣政務官  牧原 秀樹君        環境大臣政務官  浮島 智子君    政府特別補佐人        原子力規制委員        会委員長     田中 俊一君    事務局側        常任委員会専門        員        山下 孝久君    政府参考人        内閣大臣官房        原子力災害対策        担当室長        兼原子力規制委        員会原子力規制        庁原子力地域安        全総括官     黒木 慶英君        内閣原子力委        員会委員長    近藤 駿介君        環境大臣官房長  鈴木 正規君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    梶原 成元君        環境省総合環境        政策局長     清水 康弘君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       塚原 太郎君        環境省地球環境        局長       関 荘一郎君        環境省水大気        環境局長     小林 正明君        環境省自然環境        局長       星野 一昭君        原子力規制委員        会原子力規制庁        次長       森本 英香君        原子力規制委員        会原子力規制庁        審議官      山本 哲也君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○環境及び公害問題に関する調査  (PM二・五による大気汚染問題に関する件)  (放射性物質汚染に係る指定廃棄物最終処分  場に関する件)  (除染加速化に関する件)  (地球温暖化対策と税制に関する件)  (東京電力福島第一原子力発電所汚染水問題  に関する件)     ─────────────
  2. 佐藤信秋

    委員長佐藤信秋君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  環境及び公害問題に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣大臣官房原子力災害対策担当室長原子力規制委員会原子力規制庁原子力地域安全総括官黒木慶英君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤信秋

    委員長佐藤信秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 佐藤信秋

    委員長佐藤信秋君) 環境及び公害問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 中西祐介

    中西祐介君 お世話になります。自民党の中西祐介でございます。  本日は、先般、大臣ほか所信的御挨拶をいただきましたので、その点につきまして一般質疑をさせていただきたいと思います。  まず大臣に伺いたいと思っておりますが、環境行政への意気込みを所信に対して質問させていただきたいと思っております。  先般、石原大臣におかれましては、水俣条約外交会議にて議長をお務めになられたところであります。まさに日本の中における水俣という地は環境行政原点であろうと、私はこのように考えております。公害被害を乗り越えようとしている水俣の地で、日本がリードする形で水俣条約が採択されたことは非常に意義が大きいことだろうと考えております。その外交会議の中で大臣は、途上国公害対策日本として積極的に協力をしていくことを御明言されました。また、法規制整備、あるいは人材育成への資金の拠出、我が国環境技術各国に紹介していくということをお約束なされたというふうに承知をしているところでございます。  そこで、大臣に伺いたいと思いますが、我が国は数多くの環境問題に取り組んでまいりました経験があります。日本経験をしてまいりました先進事例を基に、世界環境行政をリードし、貢献することがこれから重要になってくるというふうに考えておりますが、大臣環境行政に懸ける決意を改めて伺いたいと思います。
  6. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま中西委員が、水俣外交条約に触れ、また水俣病に触れ、我が国環境行政原点であったと。そして、水俣病にこれは代表されてしまったことは私どもの悲劇でもありますし、これを何とか乗り切っていかなければならない重要な案件でありますけれども、戦後の敗戦から高度成長時代を通じて今日に至るまで、大気汚染やさらには水質汚濁、こういうものによって多くの方々が苦しみ、またお亡くなりになられた方がいる。こうした問題に手をこまねいていたわけではありませんが、対処をしてきた。  そんな中で、水俣という地で世界百四十か国の代表が集まり、二度とこのような水銀による被害を、また、水銀だけではなくて、様々な有害物質によって健康が損なわれたり人命に影響があるようなところが世界各国、特に途上国でかいま見られる、こういうものをどうやって克服をし、そしてまた日本技術をどういうふうに援助をしていくことができるのか、非常に考えさせられる私は会議議長として出席できたことを大変誇りにも思っているわけでございます。  そして、こういう問題に悩むいろいろな途上国代表の方とお話をさせていただきますと、問題は本当に多岐にわたっております。一足早く新興工業国入りした国の問題、あるいは、巨大な国ではありますけれども、国土の至るところで金を製錬するために水銀を使って幼い方々が犠牲になっているような問題、様々な問題をお話しさせていただく中で、やはり二国間あるいは国際条約を行うような多国間のマルチの場を使って、この日本技術によって、私たち経験をしてしまった悲劇一つでも二つでも起こらないように世界の国々に対して尽力をしていくことが、亡くなられた方、また苦しまれる方々へ対しても私たち日本がやらなければならないことである、こんなことを強く感じさせていただきました。  こんな思いを持って行政に当たらせていただければと考えております。
  7. 中西祐介

    中西祐介君 大臣、ありがとうございます。  これからも大臣のリーダーシップを環境行政におきまして発揮をいただきたいと、このように考えております。  順番を少し変えさせていただきまして、重要なところから御質問をさせていただきたいと思っておりますが、東電除染費用に関して今大きく報道がなされておりますが、その点につきまして副大臣から御回答いただきたいというふうに思っております。  現状除染あるいは汚染廃棄物処理あるいは中間貯蔵設置費用については、放射性物質汚染対処特措法におきまして東京電力に対して求償するということになっておると思います。御案内のとおり、廃炉汚染水処理とは違って、除染等取組については既に国や自治体実施をしておりまして、東京電力費用負担を行うという仕組みに現状なっております。  ところが、十月十六日に国会に御報告をされた会計検査院報告によれば、四百四億円の請求に対して、現状東電は六十七億円しか支払が済んでいないというふうな状況でございます。差引きで三百三十七億円未回収だということでございます。これを黙認すれば、東京電力除染に対して十分な責任を果たしているとは言えないというふうに多くの国民の皆様が感じておられます。  早速、環境省におかれましては、先週、事態を受けて井上大臣がその意図を東電側確認をなされたとの御報告もいただいております。東京電力石崎社長をお招きをされて面談をなされました。早期に支払を約束させ、来週、再来訪されるときにはしっかりと具体的支払額を提示するというところまでの報道をいただいたところでございます。  そこで、まず一点御質問を伺いたいと思いますが、なぜ東電がこの支払にこれまで十分応じ切ることができていなかったか、どういう回答があったか、東電からの回答を副大臣からいただきたいと思います。
  8. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) まず、順番を変えて重要な問題からということで、この問題について非常に重要だと認識をしていただいていることに私から感謝を申し上げたいと思っています。  今お話しのとおり、除染などに係る費用につきましては、特措法規定に基づいて東京電力求償を行うこととされております。これまで四百四億円の請求に対して六十七億円の支払にとどまっていると会計検査院からの所見も示されております。  石原大臣からも強い指示をいただきまして、私自身が、先月、東京電力増田常務、また一日には石崎社長を呼んで回答を求めたところです。一日の副社長回答は、証憑の確認に時間を要するという事務手続に加えまして、経営状況、これを言っておりました。これは法律の規定に基づいた請求でありますから、経営状況は理由にならないだろうということで、私の方で、文書で持ってきたんですが、それを持ち帰らせて、改めてちゃんと検討をして今週中に回答するようにと申し入れたところです。  東電現行法規定する支払責任を果たさないということは、実際の除染作業などを国や自治体に委ね、その費用も払わないということであり、到底認められるものではなく、汚染者負担の原則に照らしても、国民被災者理解を得ることはできないと考えております。  環境省としては、会計検査院所見にもあるとおり、今後も十分調整を行いながら引き続き求償を行ってまいります。
  9. 中西祐介

    中西祐介君 井上大臣の下で迅速にかつ毅然とした形で御対応いただいたことに関しまして私としても少し安心をしたところでございます。  続いて、もう一つだけ確認をさせていただきたいと思いますが、これは仮定の話でございますけれども、仮に東電側回答あるいは対応が、支払の面で一部あるいはまだ回収されていない三百三十七億円、その全額支払がない場合、省として、あるいは政府としてどういう取り得る手段があるのか、あるいはこれからどういう交渉を重ねていく必要があるのか、その点についても御回答いただきたいと思います。
  10. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) 先ほど申し上げたとおり、まずはこの請求している四百四億円、これを全額支払ってもらうということであります。  ただ、他方で、なかなか事務作業に時間が掛かるといいましても、もうそれぞれ数か月以上たっております。あるいは、その特措法で言う支払義務のある除染等に該当するかどうかと、こういった議論もあります。ですから、そういったことをしっかり東電調整をした上で全額を払ってもらうということですが、しかしそうはいっても時間の制約というものもありますから、今週中に回答をすると、これは東電の副社長が約束したことですから、それをしっかり待って、十分妥当な回答がない場合にはそのほかの手段も考えざるを得ないと思っております。  具体的にどういう手段を取るかということについては、まずは回答を待ってからと思っています。
  11. 中西祐介

    中西祐介君 ありがとうございます。  しっかりと東電と向き合いながら指導的立場対応お願いしたいと、このように思っております。  今除染の話題になりましたので、引き続き除染を伺いたいと思っておりますが、福島復興そして再生は我が与党としても最重要課題というふうに位置付けておりまして、広範囲にわたる放射性物質に対しましてしっかりと対処していくことが何よりも必要だと、このように考えております。  ただ、現状市町村別取組なんかを拝借をして確認をしてみますと、やはりばらつきがあるというふうな把握をしております。現状市町村ごとでの進捗ではございますが、場所によっては一〇〇%終わっているところもあれば、一〇%程度にとどまっていると。この原因については様々、私も現地に足を運びまして伺っているところでありますが、例えば仮置場の選定とか、そこの土地交渉、地主との交渉、あるいは、私はこれは大きいんじゃないかなと思うのは、住民放射線量に対する安全なラインはどこなのかというふうな認識といいますか、意思疎通が十分じゃないようなところもあるんじゃないかなと、こんな思いが足を運ぶたびに思うところがあります。  まず、井上大臣に伺いたいと思いますが、この除染インフラ復旧とを組み合わせて復興加速化につながるような除染取組についてこれからどのように取り組まれるか、その点について伺いたいと思います。
  12. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) 確かに、当初二か年でということで今年度中に終えると言っていた除染が遅れているというのは現実であります。  そういった状況を踏まえながら、現実に即した計画を立てようと、除染計画の見直しということを九月十日に発表したところです。あわせまして、単にその計画を後ろに倒すだけではなくて、どうやったら除染加速化することができるかと、その除染加速化パッケージについても発表をさせていただきました。  委員指摘のように、例えば住民方々に対する理解リスクコミュニケーションであったり、あるいは仮置場の確保と、こういったことをするに当たっては、やはり現地福島環境再生事務所の定員を増強していくと。体制整備も必要です。それから、新しい新技術などがありますから、そういったものはどんどん活用していこうと。そして、今最後に御指摘になったインフラ整備、これと組み合わせて効率的に除染を行っていくというようなことを発表させていただきました。この加速化策に基づいてしっかり取り組んでまいりたいと思います。
  13. 中西祐介

    中西祐介君 ありがとうございます。  是非、今計画を作っていただきましたので、現地と、現場の状況と併せてお進めをいただきたいというふうに思います。  先ほど私の発言のところで放射線量住民に対するPRということもお話をさせていただいたところでありますが、つい先月にIAEA環境回復ミッションが来日をいたしました。その十月二十一日にまとめられた概要報告書においては、日本の今の除染に対して取組評価をいただいているという報告内容でありました。  おおむね評価をいただいているその中で、さらに、御助言として、一ミリから二十ミリシーベルトという範囲内のいかなるレベル個人放射線量も許容し得るということの広報を取組拡大していく必要があるんじゃないか、そしてもう一点が、一ミリシーベルト・年追加個人被曝線量長期目標であって、例えば除染活動のみによって短期間に達成し得るものではないと、自然界にある放射線量も含めてそのようなお話もありました。国民理解いただくためのコミュニケーション強化が大事だろうということも御提言をいただいております。  福島に入ったときに、現地の新聞でありましたが、福島民報というのがありまして、「一ミリの呪縛」ということで連載があった時期がありました。まさに、この長期目標である一ミリシーベルト以下ということが何か除染目標にすり替わっているような印象が住民方々に受け取られていないかということも我々はメディアとともに危惧をするところでございます。  線量を低くさせるということは、大量に廃棄土砂をつくるということにもなりますし、同時に処理量がこれは限界に達するということもあります。あるいは、数倍の除染費用がこれからかさんでいく、そしてまた莫大な土砂を運んでいくという輸送の課題にもなってきて、さらには道の整備等インフラ課題にもつながっていくということで、非常に大切な課題だと思っておりますが、このIAEA報告書に基づいた今後の除染の在り方について省としてどのようにとらえられておるのか、是非伺いたいと思います。
  14. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) IAEA調査ミッション方々には私も直接お会いさせていただきまして、その御努力というものに敬意を表させていただいたところでございます。  その中で、ただいま中西委員が御意見の御開陳をいただきましたように、おおむねこれまでの除染進捗というものは評価をすると、そしてそんな中で除染に対する住民の信頼をどのように向上させていくのかというような御助言もいただいたところでございます。  内容はもう既に中西委員の方で御意見の御開陳がございましたので詳細は省略させていただきましたけれども、こういう助言を踏まえまして、除染進捗状況やそれに伴う結果、こういうものに住民方々、多くの国民方々の御理解をいただきまして、それを理解を進めるコミュニケーションをより高め、政府一丸となって今後も取り組んでいかなければならないということを強く感じたところでもございます。
  15. 中西祐介

    中西祐介君 大臣からも御答弁いただきましたとおり、しっかりと、まだまだ避難をなされている方々、あるいは仮設の方々も含めて、政府が寄り添う姿勢をつくるということで、リスクコミュニケーション非常に大事だと思っておりますので、今後とも御対応をよろしくお願いをしたいと思います。  次いで、先般、テレビ中心に大きく報道されましたが、PM二・五について伺いたいというふうに思っております。  中国でも大変深刻で、テレビ報道画面を見ましたときに、本当に画面が真っ白に映っているような、それぐらい濃いスモッグが出ておると。あるいは、報道によると呼吸器系疾患で死者まで中国国内では出ていると、そのような状況にあると伺っております。  しかしながら、国内PM二・五の、平成二十三年度ベースでありますが、環境基準達成率はまだ三割弱とまだまだ低いというふうな状況にあって、これから早急な対応が必要だろうと、このように考えております。  ちょうど私もホームページ等でも情報を調べさせていただきましたが、今、大気汚染広域観測システムということで、そらまめ君ということで、各地で観測拠点を設けておられるということでございます。また、私の地元の徳島でも十六か所その観測拠点がありますが、このPM二・五におきましては、肺がんとかそれから呼吸器系、あるいは循環器系に悪影響を及ぼすというふうな可能性指摘されています。我が国としてこれからどのようにこのPM二・五に対して取り組んでいかれるのか、それについて伺いたいと思います。
  16. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) おっしゃるとおり、PM二・五、この週末も国内でも濃度が高まりましたし、また中国の衝撃的な映像が流れており、国民大変心配をしていると思っております。とりわけ、例年西からの季節風が吹く冬には濃度が更に上がるということでありまして、少なくともそれまでにしっかり国内におけるPM二・五対策を強化していく必要があると考えております。  例えば、今注意喚起暫定指針というものを定めておりますが、それをより自治体において的確に実施をしていただくために、今月中旬に専門家会合を開き、運用改善に向けた方策を示したいと思っております。  あるいは、その観測網ですね、観測網の充実につきましても、地方自治体において目標数に向けた測定局整備がなされるよう、自治体との連携強化情報共有を図りながら取組を進めていきたいと思っております。  加えまして、PM二・五がどのように生成され大気中に広がるかといったメカニズム、これもなかなか不明確な部分がありますから、しっかり解明していくということは抜本的な対応のために重要であります。中国からの越境汚染対策を含めた政策パッケージを年内を目標に取りまとめて発表し、それに基づいてしっかり取り組んでいきたいと思います。
  17. 中西祐介

    中西祐介君 ありがとうございます。  地域を回っておりますと、このような報道がありましたので、よりPM二・五に対する精度を向上をさせてほしいという御要望がたくさんありました。ちょうど先月でありますが、毎日新聞でも、一日の平均濃度注意喚起すべき値、一立方メートル当たり七十マイクログラムという基準がありますけれども、そこを見逃してしまったことが最近あったというふうな報道もありました。なので、より精度の高い体制に移行をしてほしいということでございましたが、この設置自治体中心に取り組まれておると思うんですが、例えばそらまめ君のホームページなんかを見させていただくと、観測拠点がやはりかなり偏っているといいますか、多分住民の人口が多いところを中心に置かれていると思うんですけれども、エリアとしてかなり、四国の例えば足摺岬を中心とした西半分辺りはほとんど観測拠点がなかったりとか、これからまだまだ整備が必要なところがあると思いますので、是非、省としてもバックアップをこれからお願いをしたいというふうに思っております。  一つだけ、これは私の御提言も含めて申し上げたいと思いますが、例えばこの観測拠点があってデータが取れても、一般方々に知らされる、リアルタイムに知っていただくことがまだ不十分じゃないかなと思いますので、例えば天気予報のニュースのときには付随してこの情報を流せるというふうな省としての後押しも是非お願いをしたいと思っておりますが、一言だけいただきたいと思います。
  18. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) 確かに、住民に周知をさせるということは非常に重要であります。注意喚起情報については、例えば自治体ホームページテレビ、ラジオなどを通じて提供をされておりますので、こういった情報を広く利用されるように、その普及を進めていきたいというふうに考えております。  他方で、注意喚起情報がより広く利用されるためには、その正確性を高めるだけでなくて、早い段階で予測できるということも重要です。そのためには、実測値だけではなくてシミュレーションモデルによる濃度予測、これを併用することが有効だとは考えています。ただしかし、今のシミュレーションモデル段階ではなかなかまだ活用できるレベルまで来ていないというのが現状です。ですから、気象条件を考慮に入れたシミュレーションモデル高度化にも取り組んで、その上で、より的確で使いやすい注意喚起情報提供につなげてまいりたいと思います。
  19. 中西祐介

    中西祐介君 ありがとうございます。  是非、省のバックアップお願いをしたいと思っております。  ちょうど実は今年の十二月に日本とASEANの友好協力四十周年を記念して特別首脳会議が東京で開催をされる予定であります。ここでは総理大臣出席をされて各国との意見交換をなされるわけでありますが、アジアにおける環境問題の取組是非日本から積極的に発信する意味でも、この場において環境省のメッセージを積極的に発信をしていただくようなことも御検討に加えていただきたいと、このようなことを申し上げさせていただきたいと思います。  次いで、質問を変えさせていただきたいと思います。COP19に向けた温暖化対策等についての取組について伺いたいと思います。  来週十一日からCOP19が開始をされます。そしてまた、十八日からは大臣も御出席予定ということでありまして、まさにこの会議についての意気込みをまず伺いたいと思っております。  せんだって、北川大臣におかれましては就任直後にプレCOPに出席をなされまして、COP19において目指すべき成果などについて閣僚レベルの議論に参加されたと、このように伺っております。気候変動交渉の最重要議題の一つである二〇二〇年以降の将来枠組みについては、アメリカやそして中国など、主要排出国が参加することが地球規模の気候変動対策を進める上でも大変重要だと私は認識をしております。  このCOPに向けての見通し、そして会議、とりわけ十八日から大臣も御出席される閣僚級でのセッションもありますが、それに臨むに当たって、日本の立場、今回の意気込みについて伺いたいと、このように思っております。副大臣お願いします。
  20. 北川知克

    ○副大臣北川知克君) では、まず私の方から、後ほど大臣の方からお答えをさせていただきますが、今委員の御指摘がありましたように、就任直後にプレCOPに行かせていただきました。  また、今委員がおっしゃっておられますように、世界全体の排出削減をしていくためには、やはり二〇二〇年以降、将来の枠組み、これはアメリカや中国、あらゆる国々、全ての国が参加をできる実効性のあるものとしていかなければならないという認識であります。  その下で、私も十月の二日から四日にワルシャワで開催をされましたプレCOPに出席をいたしました。この中での一つの印象としては、全ての国が参加をしなければいけないということもありますので、EUを始めそれぞれの国々が随分中国に気を遣った発言等もありました。そういうものを踏まえて、やはり全ての国が参加をしなければ意味がないなというものを痛感をしたところであります。  その中で、私は、まず全ての国が約束を提出することを法的義務とすること、そして次に、主要経済国は総量削減目標を提出すること、そして各国が提出する約束案については事前に国際的に協議をするとともに、約束の取組状況については国際的な評価、検証が必要であると、主にこの三点を主張をさせていただきました。その上で、このCOP19においても我が国の立場を明確に主張することが重要であると考えております。  あわせて、このCOP19では、我が国があらゆる国内施策を実施をして温暖化対策を積極的に推進していることや、そして、我が国が誇る環境技術を活用して世界全体の温室効果ガスの排出削減に貢献していくことをしっかりアピールをしていくことが重要であるという思いであります。  なおかつ、先ほど申し上げましたが、このプレCOPにおきましては、今回、議長国のポーランドが、産業界とのセッションということで、まず最初にこのセッションから始められました。それを見ますと、今後、COP19においても、機会があれば我が国から民間資金の投資促進を図る取組や二国間クレジット制度などを紹介するなど官民連携の推進について意見交換をしていきたい、こういう姿勢で臨むべきであると考えております。
  21. 中西祐介

    中西祐介君 ありがとうございます。  事前に副大臣が足を運ばれて日本側の主張もお伝えをなされたというふうに承知をしております。  その中で、やはり今、事前の主張にもありましたように、日本としての立場、日本としての目標設定をやはり今回打ち出す大事な局面、大変難しい判断でありますが、しなければいけないと、私はこう思っております。  ただ、現状日本は九〇年比で二五%削減を目標ということを国連では登録をしたままということでございます。これは、東日本大震災がありました、そして原発事故があったその以前に、原発を最大限活用するという前提でつくった目標でありまして、これは私個人の意見でありますが、二五%削減をこれからも続けるというのは現実的ではないと私は考えております。  その中で、安倍総理からの御指示もあって、とにかく二五%削減目標をゼロベースで見直せと、そしてCOPまでに考えろというお話、今見直し中であるということも伺っておりますが、これから日本が国際的な議論でもやはり主導権を発揮してこのCOPでの役割も果たすためには、今回どういうふうな御表明をなされるのか、可能な範囲で現状としての立場をお伺いできればなと思っております。
  22. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま中西委員が御説明いただきましたように、マイナス二五%というのは、二〇二〇年二五%の前提に原発の割合が二〇三〇年で五〇%、すなわち三・一一の前で三割弱でございますから、五十基の原発を百基にするという大前提の上に成り立っておりますので、これは私も委員の御指摘のとおり非現実的であると。私どもはやはり現実的な数字を、可能な現実的な数字を示していかなければならない。そんな中で、一月に指示をいただきまして、今関係省庁で最終的な詰めを行っているところでございますが、十月の末に関係大臣でざっくばらんに意見交換をさせていただきまして、前が見えてきたなというところまでやってまいりました。  その中で、日本が地球規模で最大限のこれからも貢献をしていかなければならない。もちろん日本は既に省エネ、再エネやっていますけれども、更に省エネ、再エネ、技術革新によって伴う努力によってどれだけのことができるのかということをしっかりと示していくということが今回のワルシャワの会合では重要だと、こんなふうに認識をさせていただいております。
  23. 中西祐介

    中西祐介君 大臣、ありがとうございます。大変難しい局面でありますが、本当に真摯に取り組んでいただいているなというふうに私は感じております。  原発が停止をしている今、この目標提示に当たっても、やっぱり前提条件というものを整理すること、大変今御苦労されているんじゃなかろうかなと、このように思っております。まずは、やっぱり大震災の復興も途上であると、そして被災地の傷跡もまだ根深いものがあるということも併せてこのCOPの中ではお伝えをいただきながら、日本が置かれたエネルギーの環境、資源が少ないという前提も含めて、今回の目標現地で御説明といいますか、世界にPRをしていただきたいなと、こんなように私は思っております。  先ほど大臣の方からもお話ございましたが、やはり日本一国の減らす量は大事なんです、これをしなきゃいけないんですが、やっぱりこれほど環境に配慮した国はないわけでありまして、その点におきましては、これから途上国の割合が物すごく増えてまいります。そして、中国や近隣諸国に対しての貢献もたくさんある。その中で、我が自民党としても主張をさせていただいておりますが、二国間クレジットをしっかりと拡大をして世界に貢献をしようということが大事じゃなかろうかなと、このように思っております。  これから、今、日本が抱えている優れた環境技術世界に対して広く普及するとともに、世界に貢献する、またそれに対して評価もしっかりいただくというために二国間クレジット制度を推進していくべきだと、このように考えておりますが、お考えを伺いたいと思います。
  24. 北川知克

    ○副大臣北川知克君) ただいま委員がおっしゃられたように、日本の国だけで温室効果ガスの削減ということも限度がありまして、一九九〇年、また現在も世界の温室効果ガスの中に占める日本の排出割合というのは三%でありまして、そういうことを考えると、あらゆる国と協力してこの削減をしていかなければならないというのは確かであります。  その中で、今回我々も主張いたしておりますが、この二国間クレジット制度、JCMの促進が重要との認識はまさに共有をしていただいていると思います。本制度の促進に当たっては、署名国の今後の拡大と具体的なプロジェクトの形成の二点が主な課題であると考えております。このため、COP19などの場を活用しつつ更なる署名国の拡大に向けて取り組んでいきたい、こういう考えであります。  また、今年度からJCMを活用する候補案件への設備補助事業を開始をいたしました。具体的なプロジェクトの形成を推進し、更により大規模な排出削減につながるよう社会インフラに関する技術移転を行い、都市や地域を丸ごと低炭素化していく、スマートシティーとも言われておりますが、こういう案件を含め、様々な調査事業を推進してまいります。  今後もこれらの課題に取り組み、世界に先駆けて実績を積み重ねていくことが必要であり、また国際的な温暖化対策の枠組み構築に向けた議論を我々は是非主導していきたいと考えております。
  25. 中西祐介

    中西祐介君 副大臣、ありがとうございます。  本当にこれは、これから外交の大きな武器にもなるんじゃないかなと、私はこのように考えております。ただ、現状、この二国間のクレジット制度がうまく進んでいるのが八か国ということでございますので、何とかこれを世界のニーズに対して結び付きを広めていきたい、こんな思いをしておるところであります。  そこで、一つ提言も含めて申し上げたいと思いますが、例えば全国千八百ある基礎自治体、市町村がありますが、各自治体ごとにいろんな国と友好都市関係、友好姉妹都市関係を結ばれていると思っております。全国の千八百の自治体の首長さんがどんどん世界に出ていっていただいて、自治体ごとに友好関係の上に上乗せして、環境分野も、より技術的あるいは人的な面も含めて環境の友好関係を築いていこう、こうした環境姉妹都市を是非推進をしていくべきじゃなかろうかなと、このように考えております。  この二国間クレジット制度については、環境大臣そして外務大臣、外務省とともに動いていると思いますので、政府として動くと、やはりなかなか動き俊敏にいかないところもあろうかと思いますので、是非自治体取組を後押しできるような効果はないのかなと、そんな思いがしております。  例えば国立環境研究所の試算によりますと、二五%削減、これまでの目標ですね、一九九〇年比で二〇二〇年二五%削減するには、最大これから百兆円ぐらい追加投資を民間も含めてしなきゃいけない。国として百兆円の富が奪われることを考えれば、全国千八百ある自治体がしっかり旗を振って推進をして、都市間の環境姉妹都市の連携が進めば二国間クレジット制度に基づいた連携が進むと。そういう結果につながった場合、例えば交付税で環境分野での措置をするとか、何か自治体にしっかりとインセンティブが働くような制度の在り方をこれから考える必要があるんじゃないかなというふうに思っておりますが、御意見をいただきたいというふうに思います。
  26. 北川知克

    ○副大臣北川知克君) ただいま委員がおっしゃられましたように、現在のところ、この二国間クレジット、八都市と事業を進めるという方向であります。また、環境省におきましても、今年度から自治体間の連携を活用して二国間クレジットのプロジェクトを形成する取組を開始したところであります。  具体的には、北九州市とインドネシアのスラバヤ市、そして先日、大阪市とホーチミン市との間で調印も済ませましたが、こういう連携の下、それぞれのプロジェクトの実現可能性調査実施をしているところであり、一方、このような自治体連携を更に拡大していくため、アジアの都市の環境情報をデータベース化した自治体プラットフォームをこの十月の二十二日に立ち上げをいたしました。  また、十月二十四日に横浜で開催をされました第二回アジア・スマートシティー会議におきまして、私も参加をさせていただきまして、アジアの二十三の都市の首長や幹部の方々出席をしておられました。その中で、私も自治体連携の重要性を訴えをさせていただき、なおかつ我が国がこれまで経験をしてまいりました環境問題、こういうものに対する経験、そして今我が国が持っている技術等は必ずやアジアの皆様方の役に立つ、こういう発信もさせていただきまして、出席をされているアジアの都市の方々にも共感を得たと思っております。  そういう点におきましても、今後とも、こうした取組を通じて自治体連携を深めることにより、社会インフラ整備などに積極的に関与をし、途上国自治体丸ごと低炭素化を推進をしていきたいと考えております。  委員おっしゃるとおり、自治体と連携をしていかなければならないのはもちろんのことでありますし、温暖化対策というのは国民の皆さん方の本当に理解協力をしていただかなければ推進はできない課題であると思っております。そういう考えもありまして、委員のおっしゃるのも一つのアイデアかもしれませんが、今我々はこういう取組を始めたばかりでありますので、交付金制度ということになれば今後の課題かなと思っておりまして、現時点ではまだなじめないのかなという考えでありますので、御理解をいただければと思います。
  27. 中西祐介

    中西祐介君 ありがとうございます。  是非自治体といいますか、それぞれの地域の特性、あるいは省エネやいろんな技術環境を地方は持っていますので、そういうことを世界に対して広めるような後押しをこれからも御検討をお願いしたいと思っております。  私、驚きましたが、中国との外交関係は非常にねじれたある種状況にありますが、実は先月末には北京市の環境局の副局長責任者の方が東京に参りまして、東京の排ガス規制の在り方とか環境への取組を直接学ばせてくれということで頭を下げてやってきたということであります。非常に住民方々の目線に立てば、環境問題というのは、国やあるいはイデオロギーや、そうした政治の状況をおいておいても進めなきゃいけない、こういう大きなテーマだと痛感をしたニュースを聞いたところであります。  これからも是非石原大臣の強いリーダーシップの下でこの環境行政をしっかり進めていただけるようお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  28. 高橋克法

    ○高橋克法君 自民党の高橋克法です。質問をさせていただきます。  福島第一原発事故によりまして福島県内甚大な被害を被りましたが、実はお隣の栃木県もやはり被害を被っています。例えば、福島県の栃木県と接する白河市、さらには西郷村、そして栃木県側で接している那須町、さらに那須塩原市、こういうところの放射線量というのはほぼ同じなんですが、ただ除染メニューについては、福島県は高線量メニューが使えますよ、ただし県を越えて栃木県に入るとそこは低線量メニューでございますと、そういう状況になっているんです。  このことについては、地元自治体の町長、市長を始め、住民方々からも、どうしてなの、なぜ、素朴な疑問だと思いますが、この辺を踏まえまして、除染メニューに関して、高線量メニューと低線量メニュー、これはどのような基準でそれぞれ適用しているのか、お答えをいただきたいと思います。
  29. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) まずもって、高橋委員には地元栃木においても、様々な対策、御協力いただきまして感謝を申し上げます。  御質問の高線量メニューと低線量メニューにつきましては、特措法の基本方針あるいは除染関係ガイドラインの中で定めております。低線量メニューにつきましては、福島県外において環境省放射線量低減対策特別緊急事業費補助金により財政措置をする除染事業について適用をしております。高線量メニューにつきましては、福島県内において福島県が県民健康管理基金により財政措置をする除染事業について適用しているところです。
  30. 高橋克法

    ○高橋克法君 福島県が基金を独自に策定しているといっても、これは全ての財源が福島県が負担をしている財源なんでしょうか。
  31. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) 国の方でこの福島県が設置をしている県民健康管理基金に財政を措置しております。
  32. 高橋克法

    ○高橋克法君 つまり、福島県独自の基金といっても、それは、乱暴な言い方になりますけれども、国が行っているというふうな理解をせざるを得ないと思っています。  そんな中で、例えば、低線量メニューの対象地域となっている栃木県、福島県に隣接する那須町などではおざなりな対応しておりません、細かく線量をきちっと測定をし、調査分析をして除染活動やっていますけれども、どうしても低線量メニューでは空間放射線量が下がらない、いわゆるホットスポットと言われているそういうところがあることも事実なんです。  しかし、町をお預かりする町長、私も町長を十五年やらしてもらいましたけれども、たとえ低線量メニューの対象地域であっても、町内で目の前に高線量メニューを使わなければ空間放射線量が下がらないという現実がホットスポットとしてあるとすれば、これは国が低線量メニューでございますからできませんよということは言えないことなんですね。  ですから、那須町などでは独自に自らの財源でそういった対処をしているという現実もありますが、とてもとても一つの小さな町でそういったケースが多い場合には対応し切れないということにもなろうと思います。そういう現実があることに対してはどういうふうに感じていらっしゃいますか。
  33. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) やはり大切なのは、人の被曝量をいかに低減していくかということでありますから、そういった被曝量に多く寄与している地点についてはしっかりとした除染実施していくということが大切だと思っております。  ですから、例えば低線量メニューが適用される地域においても、放射性物質が濃集している蓋然性が高い地点、いわゆるホットスポットですね、ホットスポットにつきましては除染関係ガイドラインの中で、必要に応じて土壌の天地返しあるいは除去などいわゆる高線量メニューも認めているところでありますので、具体的にここのホットスポットがということがあれば御相談をいただければと思っています。
  34. 高橋克法

    ○高橋克法君 大変前向きにありがとうございます。  一つお伺いしたいのが、西郷村、別に僕は西郷村に恨みがあるわけでも何でもないんですが、例えば西郷村、これは高線量メニューの対象地域ですけれども、この福島県の基金を用いた除染事業によってやっているわけですが、西郷村の除染作業の、例えばメニューの対応の仕方、言い方を変えれば、西郷村も全てが高線量メニューを全てを使わないと空間放射線量が下がらないということではないと思います。それをやらなければならない場所もあるだろうし、低線量メニューのようなメニューでも対応できるところも当然同じ村の中にあると思うんですが、西郷村の実情についてお分かりになればお答えをいただきたいと思います。
  35. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) 今先生から御指摘ございましたように、各それぞれの地域住民との御相談の上で計画を作ってめり張りを付けてやっていただいているところでございます。  今お尋ねの西郷村の除染事業でございますが、今お話にも出ておりましたように、国の補助金によりまして、福島県が管理する県民健康管理基金、これを造成して、その中から財政措置を実施し、事業をやっていただいているところでございます。県からの報告によりますと、平成二十三年度は約八千万円、平成二十四年度は約十五億六千万円の支出実績があったというように承知しているところでございます。  なお、本年度も引き続き除染事業については計画に基づいて実施しているところでございます。
  36. 高橋克法

    ○高橋克法君 今金額の総額はお話しいただきましたが、ということは、西郷村全体で、例えば高線量メニューに規定されている屋根の除染ですとか庭の表土除去、これ全てやっているわけじゃないと思うんですよ。高いところはそれをやる、高くないところは、何も高線量メニュー使えるからといって、それを必要もないのに使うということは絶対やっていないはずなんですが、その辺のところは分かりませんか。
  37. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) 御指摘のとおりでございまして、方法につきましてはガイドラインに詳細にメニューを示してやっていただいております。その中で、今先生御指摘のとおりでございますが、線量が比較的高いところについては、表土の除去を含みます、あるいはショットブラストなどを使うような対策を、場所に応じてでございますがやっていただいております。それから、比較的低いところについては、なるべく拭き取ったりいたしまして、余り除染の廃棄物が出てこないというようなことで工夫をいただいております。  ただ、そういう中にありましても、特に子供の生活空間についてはより手厚い対応を取っていくと、こんな形のめり張りを付けてやっていただいているところでございます。
  38. 高橋克法

    ○高橋克法君 つまり、地方自治体は、メニューがありますけれども、それぞれきちっと調査をし分析をして、そして適切に除染作業をやっている、そういう実態、現実であるということだと思いますし、間違いなく各自治体はそれをやっていると思います。那須町もそれをやっている。ということは、逆に言うと、那須町でも那須塩原市でも、一生懸命細かく、メッシュを細かく切ってやればやるほど、もうどうしても高線量メニューを使わなければならないところというのはよりはっきりしてくるわけなんですよね。  ですから、私が申し上げたいのは、自治体はそれだけ真剣に取り組んでいます。ですから、こういった制度をやる場合にはどうしても一つどこかでラインを決めなければならない、これは分かるんです。制度を実行する場合にはどこかで、便宜上という言い方は失礼だけれども、どこかで線を引かなきゃならない。私も町長を十五年やってきましたから、制度設計をして実行する場合にはどこかで引かなきゃならない、これは分かるんです。  ただ、それを引いたときに、必ず原則として引いたとしても例外は出てきますよね。問題は、私たちがやらなきゃならないのは、原則どこかで便宜上引かなきゃならないけれども、仮に例外が出た場合にそこをどう対応し、対処していくのか、そこをきちっと状況に合わせて個別に丁寧に対応していかないと、いわゆる自分たちは国に、言葉は悪いけれども、捨てられたんだと、あのラインで切られて、こちらは関係ないよというふうに言われたんだというふうになってしまったら、これは町づくりできないことになりますし、これからこの原発事故の処理の問題については、いろいろなことを国民が心を一つにしてやっていかなきゃならない。  栃木県でも指定廃棄物最終処分場の問題、これ、この後から質問しますが、その問題もある。だからこそ、心を一つにして、自分が良ければいいじゃなくて、自分が良ければいいということじゃない感覚の中で組立てをしていかなきゃならないんですから、やはり原則は引いたとしても、例外があればそれに対して個別に丁寧に対応していく、そういうことをやっていかないと、この問題は除染だけの問題じゃありません。そのほかいろいろなこの原発事故の処理をしていく全体に大きく影響する問題だと思いますので、原則的にラインを引くことはしようがない、それは便宜的にある程度分かることなんですけれど、栃木県であれば那須町やお隣の那須塩原市、それから千葉県の柏とか野田といったところにももしかするとホットスポットがある可能性があるわけですから、そういうところを県や市の境界で切るんではなくて、高線量であるか低線量であるかという、そういう基準によって丁寧に対応していただきたい、そういうふうに考えておりますので、これはどうぞよろしくお願いいたします。  次に、指定廃棄物最終処分場の問題でちょっと質問いたします。  石原大臣始め環境省の皆様の御努力で、実はこれは十一月二日の地元の新聞ですけれども、栃木県内十八市町が理解を示しているという記事です。これ、アンケートを取られたんですね。県内二十六市町ですから、そのうちの十八市町が理解を示したということは、これは皆様の御努力の結果だと私は率直に評価をいたします。  なぜならば、前政権のとき、二〇一二年の九月でしたけれども、野田政権のときに、当時の環境大臣が突然栃木県に来て、栃木県の矢板市というところにこの指定廃棄物最終処分場を造りますという唐突な訪問でありました。これについては、後から、なぜ矢板市が選ばれたかというその理由は説明がありましたけれども、そういうやり方をされると、もう誰もその矢板市を選んだ理由などに耳を貸す人間はいないんです。人間というのはそういうものだと思います。  私も当時は矢板市の隣の隣の高根沢という町の町長でしたから、同じように憤りました。こんなやり方をされたら理解していただけるものも理解していただけなくなるということで、県内の市長、町長でいろいろな議論、話合いをしまして、このやり方では絶対に受け付けられないということでお戻ししたわけですね。その後、政権が替わったということもありますけれども、非常にスタートから丁寧な対応をしてくださってここまで来たんだと私は思っていますので、それは先ほど申し上げたように率直に素直に評価をしたいと思うんです。  現在、実はこれ質問を用意していたんだけれども、地元の新聞に大分プロセス出ちゃったんですが、丁寧におやりになってきてくださっている、そして今の状況、どういう状況なのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  39. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) まず、私ども、政権に復帰をいたしまして、私自身もその直後に栃木の知事さん、それから矢板の市長さんのところに伺って、まずはお話を伺いました。  高橋委員おっしゃるとおり、やはり前政権のときに地元の意向を全く考慮しないような手続が進められていたということで、それをしっかり反省をして取り組んでもらいたいというお言葉もありましたので、それを深く受け止めまして、まずこれまでの前政権での取組について検証をいたしました。そして、その結果、改めるべきところは改めようと、そういう観点から、地元との意見交換を重視した選定プロセスに大幅に見直すという方針を本年二月に公表いたしました。  この新たな方針に基づいて、本年三月から現在まで有識者会議、それから五県における市町村長会議を並行して開催をし、処分場の安全性、また候補地の選定手順などについて議論を重ねてまいりました。おかげさまで十月四日の第六回の有識者会議においては、各県で候補地を選定するためのベースとなる基本的な案、これを取りまとめてもらいました。これを踏まえて、今後、この各県、五県毎の選定手法の策定を進めていきたいというふうに考えております。具体的には、今月から各五県で日程調整をさせてもらいながら市町村長会議、これをまた開催して、ここでこの有識者会議の結果を議論をしてもらおうと思っております。  いずれにしても、指定廃棄物の処理進めるには、やはり関係自治体の御理解と御協力、これが不可欠だと思っておりますので、今後とも是非高橋委員におかれましても御協力よろしくお願いいたします。
  40. 高橋克法

    ○高橋克法君 指定廃棄物最終処分場のこれから決定に向けて御努力をされていくということですけれども、国の責任で前面に立って進めていただきたいと思っています。  そして、先ほど申し上げたように、県内二十六市町のうち十八市町が理解を示しているというアンケート結果は出ましたが、理解を示しているといっても、やっぱり一番心配をしているのは風評被害です。風評被害に関しては、例えばテクノロジーでどうのこうのしようということにならないわけですから、どの市長、町長に聞いても、風評被害が一番やっぱり気に掛かると。正直言えば、風評被害は、これは必ず起きると私は思っています。  そのとき、国はどこまで風評被害に対して責任を持って対処していく覚悟があるのか。さらには、例えば風評被害に備えて国、県、市町村が共同して風評被害対策のための基金などを創設するというお考えはあるのか、可能なのか。そして、地域振興策、これは風評被害防止とはまた別の観点になりますけれども、そういった立地市町に対しては積極的に地域振興策について応分の財政措置をとっていくというお考えはあるのか。以上、答弁をお願いします。
  41. 梶原成元

    政府参考人(梶原成元君) まず、風評被害対策でございます。  先生御提案の風評被害対策のための基金の創設、これも具体的な対策の方法の一つだと考えておりますけれども、まず正確な情報をお示しをして風評被害をできるだけ発生させないようにすることが第一だというふうに認識をしております。そのために、私ども、施設の安全性のPR、あるいは施設を造る前、それを造った後のモニタリング情報の公開等によりまして、風評被害の未然防止に万全を尽くしてまいりたいというふうに考えております。  これまでにも環境省ホームページ等を通じましてそういった安全性でありますとかについての広報に努めておりますけれども、これに加えて、国民方々住民方々により分かりやすいきめ細かな情報提供を行っていくためにパンフレットの作成なんかにも力を入れているところでございます。  今後ともこのような施設の安全性のPRに努め、正確な情報提供を行うことを講じた上で、さらに、万一風評被害が起こった場合には、関係省庁と共に連携をしてしっかりと対応をさせていただきたいと思っております。  また、第二点目の地域振興策についてでございます。  平成二十六年度の概算要求におきまして、復興庁の方から放射性物質によります汚染された廃棄物処理に関する環境整備のための経費を事項要求をさせていただいているところでございます。具体的な地域振興策にどうこたえていくかについては、候補地が決まった段階で、その地元地元の御意向も賜りながら、それがしっかりと反映できるように努めてまいりたいと、かように考えております。
  42. 高橋克法

    ○高橋克法君 風評被害が起きないように万全を期するということはこれはもう是非お願いをしたいんですけれども、例えば、今回、原発事故起きました。原発は絶対安心なんですという、そういう思想の下で組み立てるのと、原発は安全なんだけれども、やはり人間がやることだし、自然という人間の力の及ばないというものが相手なんだから、万全を期すけれどもあり得るんだという、そういう思想で物事を組み立てるのでは全く違うわけですよね。ですから、風評被害を出さないために御努力をされる、それはもう是非お願いしたいし、敬意を表しますが、それでもやっぱり風評被害は起こり得るんだという考え方で事前にきちっとやった方が私は絶対に、それぞれの市町村長さん方を含めて、また県民も含めて、これは栃木県だけの問題じゃありませんから、御理解を賜れるんだと思うんですよ。  もう多分国民は、絶対に起きないとはおっしゃってはいないんですよね、起きないように努力しますだけでは多分信用しないでしょう。ここまで風評被害起きないようにやりますけれども、それでもやっぱり起きるかもしれない、起きたときにはこういうことでやりますよという、それがさっきの基金みたいな一つの発想なんですが、そういうことでしか多分信頼、信用は勝ち取れないんではないかと私は思うんです。そして、そういう思想の下で組み立てることが大事なんじゃないかなと、私たちは今回で大きな経験をしたわけですからね。そういうふうに是非お考え方をもう一度組み立て直していただければ大変有り難いと思います。  次に、指定廃棄物最終処分場とは別なんですけれども、先ほど中西先生からも御質問がありましたが、関連するんですが、除染技術の開発を進めていくことも大変重要なことだと思います、新たな技術という意味でね。そういう意味で、そういう技術の開発のための予算措置についてはどのようになっておるでしょうか。
  43. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) 委員おっしゃるとおり、除染加速化に向けては民間による新技術の開発を積極的に促進していくことが重要と考えております。  本年九月に発表した除染進捗状況についての総点検においても新技術の活用を促進していくことを発表いたしました。そのために、環境省においては、新技術の実証試験を行ってその有効性を評価、公表する除染技術実証事業について、平成二十四年度、二十五年度と予算措置を行って実施をしております。また、新たな技術を有する企業と除染を行う事業者などとのマッチングを促進をするため、新たな除染技術を迅速に登録、公開をして評価をする除染技術探索サイトを本年度から整備をしております。  こうした取組によって、今後とも除染に関する新技術の開発、導入を促進してまいりたいと思います。
  44. 高橋克法

    ○高橋克法君 次に、ちょっと順番変えさせてもらいます。  平成二十五年五月に第三次循環型社会形成推進基本計画というものが閣議決定をされ、いわゆる地域循環圏という考え方が出てきました。この地域循環圏の構築の実績、循環圏個々の主体及びその具体的取組状況、並びに個々の取組に対する国の具体的な支援メニューと支援実績についてお伺いしたいと思います。
  45. 梶原成元

    政府参考人(梶原成元君) 今お尋ねの地域循環圏につきましては、今先生御指摘のように、本年五月に閣議決定いたしました第三次循環計画の中で大きな取扱いをしているものでございます。  具体的には、地域の特性あるいは地域に眠っている資源の性質に応じまして、地域内で循環可能な資源をなるべく循環させて利用するんだと。そして、その特定の限られた地域ではなかなか循環できないというものについては、更に輪を広げて広域的な形で循環型の社会づくりを進めていこうというものでございます。  具体的には、例えば、地域で発生いたしました食品廃棄物からの堆肥を作って、それをさらに農業に利用していくといったような取組などが挙げられます。それ以外にも、都市型のもの、あるいは有用金属を取り出すといった類いの循環の輪というのもあるというふうに考えてございます。  この推進につきましては、それぞれの地域住民方々あるいは事業者の方々地域の実情に応じて進められるように、昨年七月に地域循環形成推進ガイドラインを策定しております。さらに、支援メニューということでお話がありましたけれども、そういったガイドラインに基づいて、例えば地域方々がモデル計画を作って進めていくといったような支援メニューにつきましても本年度から実施させていただいているところでございます。
  46. 高橋克法

    ○高橋克法君 今答弁の中にあった地域循環圏形成モデル事業のことだと思いますけれども、今年の七月から八月にかけて公募が行われたと思いますが、その応募状況及び具体的な内容まで概略をお話ができるんであればお伺いしたいと思います。
  47. 梶原成元

    政府参考人(梶原成元君) 地域循環圏形成モデル事業、本年度からの事業でございます。  応募状況につきましては三件の御要望がありまして、それで、具体的中身につきましても、実は今月中下旬に審査会を開いて、その審査会の中で、検討会の中で応募の要件を検討していくというものでございます。具体的には、地域住民、事業者、地方公共団体等、地域コミュニティーを形成する幅広い主体の方々が参加をして、なおかつ地域の実情に即したものができるかどうかといったような観点から審査をしてまいりたいと思ってございます。  こういったような事業、予算的にも限定されておりまして、三件ということではございますけれども、こういったような事業につきましては、その中身あるいはその結果につきまして発表会あるいはホームページ等でPRをして、ほかの自治体方々あるいは住民方々にも参考にしていただいて、この輪を広げてまいりたいというふうに考えてございます。
  48. 高橋克法

    ○高橋克法君 それでは、また質問の項目を変えます。  栃木県の那須町には那須平成の森というのがあります。これは、那須御用邸の一部を天皇陛下が、国民が自然に直接触れ合える場として活用してはどうかというような、そういったお考えの下に、平成二十年三月に宮内庁から環境省に所管換えがあり、日光国立公園第二種特別地域として平成二十三年五月、那須平成の森が開園をいたしました。その後、那須高原ビジターセンター、フィールドセンター、観瀑台等が整備をされて、非常に国民の皆様にとっては親しまれる、すばらしい自然の残った那須平成の森であると思っています。  実は、あの東日本大震災以降、那須町は風評被害によって観光客が平成二十三年度は二五%も落ち込んでいるという状況。そこで、何とかもう一度震災前の状況に戻したいということで本当に地元は努力をされているんですけれども、その中でやはりこの那須平成の森、ここにはまだ渓谷沿いなどに非常にすばらしい景観スポットが多く残されていますし、展望台や渓谷歩道の整備など、まだまだあるもの探しをしていくとすばらしいものがたくさんある。  そういう意味で、新たな施設整備計画する考えはあるのでしょうか。これは那須町の震災以後の振興につながることでもありますし、さらに、地元との密接な連携の中で利用促進を図るというソフトの部分というのが非常に大事だと思っています。その辺のところでどういうお考えがあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  49. 牧原秀樹

    大臣政務官(牧原秀樹君) 先生御指摘のとおり、平成の二十年の三月に環境省の方にこの那須平成の森が移管をしまして、それから三年以上掛けて中の整備、例えば駒止の滝という先生御承知のとおり滝があって、そこの滝を見るための観瀑台なんかのところですね、そういうところを整備をさせていただいて、三年たって二十三年の五月にオープンをさせていただいたということでございます。オープン以来、毎年約十万人を超える多くの方に御利用いただいておりまして、特にトレッキング型のエコツアーであるガイドウオーク等の自然体験プログラムというものが大変好評を博しているというところでございます。  もちろん環境省としても、先生御指摘のように那須の復興も含めて利用の促進を図っていきたいと思っておりますし、特にプログラムの充実ということについては今なお真剣に検討中でございます。施設整備等につきましては、一部キャンプ場のアクセス、からの通路などを検討中でございますけれども、先生やあるいは関係の自治体の皆様からこういうところも是非ということがあれば、是非御指導いただいた上で検討をしていきたい、このように考えておりますので、今後とも御指導のほどよろしくお願い申し上げます。
  50. 高橋克法

    ○高橋克法君 特に私はやっぱり大事なのはソフトだと思います。  例えば、僕はまだ参議院議員になりたてで、まだ前の町長職のことが頭にいっぱい残っているものですから、高根沢町で平成十五年にエコ・ハウスというのをつくりました。全国九か所、これ環境省ですけれども、そのうちの一つです。これを運用するに当たって、僕は役場の職員に言いました。君たちは絶対に考えるな、君たちが考えても面白くないから、民間の力をどんどん借りようと。そして今、エコ・ハウスは非常にすばらしい活動をしてくれているんです。  そういうことからいうと、やはり那須町にも那須町以外の地元にもいい意味での変わり者はいっぱいいますから、そういう方々をいかに仕組みの中に取り込んでいくかという、そういう柔軟性が絶対必要なので、そこをよろしくお願いしたいと思っています。  次に、時間が少しなくなりました。環境税についてですが、これ端的に聞きます。今の環境税はどちらかというと排出源対策、しかし、地方からすると吸収源対策というのが非常に重要なんです。  気仙沼、唐桑半島の畠山さんのカキというのは有名ですけれども、この畠山氏は、森は海の恋人ということで一生懸命山に広葉樹を植えてきたカキ漁師です、カキの養殖家です。そういう発想からいうと、吸収源対策、法律上の問題もあるかもしれませんけれども、そちらにきちっと財源をこれから振り向けていく必要があるんではないかと思うんですが、その辺の御見解をお願いいたします。
  51. 北川知克

    ○副大臣北川知克君) ただいま委員のおっしゃるとおり、森は海の恋人ですか、宮城の方のこのような御意見等もありますし、森林の吸収源というものは地球温暖化にとっても重要なツールであります。  その中で、我が国環境税の議論、様々ありますし、党の方でもこの問題についての議論もありました。特に、地球温暖化対策のための税、いわゆる温対税が昨年の十月からスタートいたしました。我々といたしましても、この税が今引上げ段階でありまして、きちっとした税として定着をしていくこと、これが最も重要であると考えております。  一方、森林吸収源対策につきましては、与党の平成二十五年度税制改正大綱において、財源確保について早急に総合的な検討を行うということにされております。この方針に沿って総合的な検討を行っていくことになるものと考えており、環境省といたしましては、揮発油税など、当分の間、設定される税率をグリーン化の観点から維持をし、その税収を今後森林吸収源対策等に優先的に充当することを農水省とも連携しつつ要望をいたしております。  また、農水省と連携をいたしまして、間伐材等を活用した再生可能エネルギー導入の推進のための事業も実施をしているところでありまして、こうした取組を通じまして、森林吸収源対策の推進に努めながら温暖化対策に寄与をしていければなと考えております。
  52. 高橋克法

    ○高橋克法君 最後の質問ですが、私は十五年間、地方の小さな町の町長をやりましたけれども、町政の柱は環境政策でした。平成十二年に、もう一切生ごみを燃やすのをやめようということで、一日に出る三トンの生ごみと、酪農家から出る一日四十トンのうちの、そのうちの十六トンの畜産ふん尿、そして、米どころの町ですから、そのお米から出るもみ殻、これを一日に約三・五トン、これを攪拌して地元の土にいるバクテリアで五十日間掛けて堆肥を作る。年間千七百トンから千八百トン生産できますが、そしてこれを大地に返していって農業者の方に真剣に作っていただいて、それを地元で食べて、また残渣を自然に返していく。  当然、市街地の方々には分別の手間が掛かります。一枚六円で生分解性の袋を買っていただかなきゃならないという現実もあるんですが、あえて町民の皆様に御負担をお願いして、そしてそのことが二酸化炭素排出の削減にもつながるし、地球環境にもつながるんだけれども、一番言ったのは、生ごみを燃やすということは当たり前のことじゃないでしょうと。私たち大人が当たり前のことができなくて、どうして子供が当たり前に育つんですかと。我々大人は少し大変でも当たり前のことをやって、当たり前の姿を子供たちに見せましょう。そういう町をつくっていきましょう。そんなことを言ってきた結果、当然、市街地住民方々の意識も変わりましたし、農業者の方の意識も変わりました。  それは、そういう形でできた堆肥を使って真面目に手間は掛かるけれども物を作ると、地元の方々が買う。学校給食でまず導入しましたけれども、学校給食で子供たちが食べていると、子供たちが食べている野菜はどこで買えるんだという話になって、それで直売所をつくったら、それが年間四億五千万の売上げになって、つまり、手間は掛かるけれども、一生懸命やると、あそこのじいちゃん、ばあちゃんが作っている顔の見える安心、安全な、しかも安い農産物が食べられる。これ、インセンティブなんですよね。  だから、結局、努力をすることは回り回って自分のプラスにもなるんだ。情けは人のためならずという言葉があるけれども、そういうふうなことで、非常に私は町づくりの一つの形として環境政策というのは大事なことだというのは実感としてありますし、多分、環境行政であるからこそ、農業政策なり、ほかの産業政策なり教育政策も横串が刺せる。そういう位置に僕は環境政策というのはあるんだと思うんです。  この土づくりセンターという堆肥化施設を造ったことによって、子供たちの作文をもらいますけれども、ここにこう書いてあるんですよ、大臣。私たちが仕組みをつくれば世の中に無駄なものは何にもないんですね、町長さん。それから、市街地の小学校四年の女の子は、お父さんがたばこの吸い殻を生ごみに入れようとしたら、お父さん待って、私たちが給食で食べる野菜がたばこ臭くなっちゃうよと。こういうことを子供たちが言うようになった。  つまり、環境行政というのは本当に大事なことだと思うので、最後になります、もう時間なくなっちゃいました。手短で結構です。大臣環境省の役割に対する思いお願いいたします。
  53. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 高橋委員が高根沢の町長としてまさに循環型の町づくりをつくった結果、子供さんが親御さんに注意をする。まさに理想だと思いますね。  やはり環境行政の基本は、生ごみ燃やさないというお話がございましたけれども、できる限り出さない、リデュース、そして使えるものはそのまま使う、リユース、そして、その次がリサイクルなんですね。どうも私たちは、この順番が、リサイクルからどうしても始まってしまうんですけれども、堆肥を作るというのはまさに循環型のリサイクルですけれども、やはりあるものだけで豊かな生活、そしてそれがまたクオリティーの高い社会になっていくといったような環境行政、循環型社会の構築、ちょっとこの言葉、今はやらないんですけれども、まさに今、高橋委員がお訴えになられたものを実践するような環境行政でなければならないというふうに感じております。
  54. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 民主党の柳澤光美でございます。環境委員会には初めて所属をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  私は、野田政権で一昨年の九月に経済産業大臣政務官を仰せ付かると同時に、福島の原子力災害現地対策部長を兼務することになりました。昨年二月に復興庁が発足する中で経済産業大臣を仰せ付かりましたが、志願をして現地部長を昨年九月まで一年一か月務めさせていただきました。  発災から半年、野田総理から、福島復興政府、国を挙げて取り組むことが最優先課題であり、福島再生なくして日本再生はないと宣言をしたい、福島復興に全力で取り組んでほしいというお話をいただいて、一昨年の九月の八日に野田総理と福島入りをしました。  当時、現地本部は福島県庁の五階の会議室をぶち抜いて設置をされておりました。本省から百名を超える支援部隊、そして警察、自衛隊、海上保安庁、さらには福島第一原発の復興に当たる東京電力の部隊、後に火災が起きたらどうしようかということで、消防本部も私の指揮下に入ることになりました。各責任者から報告を受ける中で、これはもう腹をくくって自分の目で見て肌で感じなければ駄目だと、そんな思いで昨年二月十日に復興庁が発足するまでの五か月間、県庁前のホテルを借り、新幹線で往復するなど、ほぼ福島常駐で復興の先頭に立たさせていただきました。二十キロ圏内の警戒区域はもちろん、避難区域をくまなく歩く。また、市町村長さんの話を聞く。仮設住宅を訪問して避難されている住民の皆さんの声を聞く。福島第一原発にも何回も入らせていただきました。本当に胸が痛いというよりは胸が張り裂ける思いでした。東京電力に押し付けるだけではなくて、政府、国が前面に立って復興に当たらなければいけないということを強く思いました。  課題は山積しておりまして、私なりに全力投球をしたつもりですが、原発事故の処理がいかに大変かということは痛感をしております。汚染水の問題、あるいは除染の遅れの問題、何よりも福島の皆さんに結果として約束が守れないことが多かったということに関しては、当事者としてじくじたる思いと同時に反省もしています。  発災から二年八か月。そろそろ希望的観測ではなくて、住民の皆様に現実を正直に率直に説明をして、どう理解と納得を得ていくか、新しいステージに入らなければいけないと私は思っています。  民主党はちょっと与党ぼけをしているというふうにも言われていますが、この福島復興再生の問題だけは本当に与野党を超えて、党派を超えて取り組まなければいけない課題だと思っておりまして、そんな思いで私の個人的な考え方も交えて質問をさせていただきたいというふうに思いますので、是非率直な御答弁をいただければと思います。  最初にまず、石原大臣も何回も現地に足を運んでいただいておりまして、是非原発事故と福島復興に対する率直な思いをお聞かせいただければというふうに思います。
  55. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 柳澤理事が現地対策部長として内閣、当時の民主党内閣で現場に足を踏み入れ陣頭指揮をされているというのは、テレビ等々で拝見をしておりました。私は当時、野党の幹事長という立場でありましたけれども、今委員が御指摘されたとおり、この震災に対する対応というのは党派は関係ないということで、まず震災が起こってすぐに、もう政治的なモラトリアム、これを谷垣総裁とともに当時の菅総理に申し入れました。  また、福島にも度々足を運ばせていただいておるんですが、実はまだ入れない地域等々へ行きますと、車がまだ逆さまにひっくり返って野ざらしになっているような場所や、あるいはちょっと内陸に入りましても稲わらが農家の軒先に置きっ放しになっている、まだまだやれていないなと。また、やれているところもあるんですが、やれていないところも多々拝見することができました。  やはり、今現場主義というお話をいただきましたけれども、私環境大臣させていただいて、二週間前は川内村に行ってきたんですけれども、私一人で行くんじゃなくて、環境省で有志を募りまして、復興サポーターという形で地域に行って、まあ大したお役には立てていません、二十人から三十人ぐらいで行って、地域のイベントのお手伝いをさせていただく。ただ、それに対しても喜んでいただける、また、その行くことによって勇気をいただくみたいな経験をさせていただいておりますので、この問題はやはりしっかりと引き続いて取り組んでいかなければならないというふうに認識をさせていただいております。
  56. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 私もまたできるだけ協力をさせていただきたいと思っております。  実は、通告では一番先頭で苦労されている井上大臣にもお話をお伺いしようと思ったんですが、実は今日は現地部長をされている経産の赤羽副大臣がわざわざお越しをいただいておりまして、聞いていると時間がなくなってしまうんで、済みません、質問の中でお答えをいただければというふうに思います。お許しをいただきたいと。  私が現地に行ったのは発災から半年、課題はもう山積をしていました。それを全部現地本部で受けるという形でした。そんな中で、私の一番の思いは、一人でも多くの方に一日も早く自宅に帰っていただくということが最大の使命だというふうに感じていました。  また、福島第一原発をそのためにも何としても冷温停止状態に抑え込む、さらには空間線量をそこからいかに下げるか、線量が飛ばないような状況を早く構築をして、それに合わせて除染を進めると同時に、二十キロの警戒区域、入れないところの区域の見直しを進めて、避難指示解除をしながら帰還を進めるということを最大の目標にしました。  しかし、思うように帰還が進んでいないのが現実だと思います。その最大の問題は、除染長期目標である一ミリシーベルト以下が独り歩きをして、一ミリシーベルト以下でなければ帰還できないということが強い誤解となっていることだと思っています。線量と健康不安に対して住民の皆さんに本当に真正面から説明して理解を求めるという努力が今一番求められているだろうと。  そんな中で、くしくも本年十月の十四日から二十一日までIAEAによる除染のフォローアップミッションが実施をされて、そのサマリーレポートにおいて、助言として、除染実施と被曝線量について触れられています。その内容を含むこのサマリーレポートに対する政府の見解、そしてこの報告を具体的にどのように活用しようというふうに思われているのか、お話をいただきたいと思います。
  57. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) 今御指摘がございましたIAEA除染ミッションの報告書でございます。これ、今御紹介がございましたように、十月十四日から二十一日まで、現地にも入り、いろんな方と意見交換されて、概要の報告書というのがまとまっているところでございます。  それについては、重要な進展があった事項を幾つか掲げた上で、特に今お尋ねの点に触れる部分といたしましては、助言ということで、除染実施している状況において、一ミリから二十ミリシーベルト、これ一年当たりということでありますが、の範囲内のいかなるレベルの個人被曝線量も許容し得るものであって、国際基準などに整合しているということ、一方で、これが長期目標であり、例えば除染活動のみによって短期間に達成し得るものではないということについて国民理解をいただくためのコミュニケーションの強化が大事だというような重要な御指摘がございました。  それで、この線量全体につきましては、規制委員会委員長もいらっしゃっていますが、政府全体でこれを検討していこうということで、原災本部全体で、政府全体でどうしていくかというようなことを検討し、規制委員会の科学的、技術的な検討もいただこうと、こういうことになっております。  そういう中で、これから除染につきましてもだんだん、地域によりまして進捗の差はございますが、計画が終わってくる部分もございます。遅れているところは進捗をさせ、計画が終わったところについては復興につながっていくような対策をまず考えていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  58. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ちょっと具体的なことはその後聞きたいと思いますが、区域を見直すのを進める中でのちょっと経験話をさせてもらいたいと思うんですが、昨年の一月三十一日の午前中、実は郡山の仮設役場で川内村の遠藤雄幸村長と帰村宣言について話をしていました。遠藤村長は、二年以内に戻らなければ村は再生できない、何としてもこの春には帰村を進めたいと、それには、住民の皆さんやマスコミの批判があるかもしれないけれども、今日、帰村宣言をしたいんだというお話をいただいて、私の方では、分かりました、全面的なバックアップをしますので宣言をしてくださいと。午後に県庁で帰村宣言がされて、非常にメディアの方もいい方向で報道をしてくれるという経緯がありました。  そこで、私は、何としてもこの警戒区域の見直しにもう全力を挙げなければいけないということで、住民説明会等を精力的に進めながら、四月一日に川内村と田村市、四月十六日に南相馬市、七月十七日に飯舘村、そして警戒区域の中にある楢葉町、これは全員協議会に私自身が出ていってお願いをして、八月の十日に区域の見直しを実施しました。その後、多くの皆さんの御努力で区域の見直しも順調に行われて、八月に完了したというふうに聞いております。関係者の皆さんの御努力に心から敬意を表したいと思っています。  次の目標が、区域を見直して避難指示解除をするということが大きな目標でしたから、優先順位を付けて、避難指示解除準備区域の田村市の都路、非常に除染も進み始めていましたし、ここを集中的に除染をして避難指示の解除に結び付けようという方針を出しました。結果、多くの皆さんの努力で年間被曝線量が二十ミリシーベルト以下になったことを確認できたとして、政府は十一月から避難指示を解除する方針を示されたと聞いています。しかし、実態は、住民説明会では年間被曝線量長期目標である一ミリシーベルトの実現を求める意見が強く出されて解除を延期しているというふうに聞いています。  私は、この避難指示の解除というのはできるだけ計画的に進めていかないとなかなか前進が取れないというふうに思っていますが、その辺の基本的な方針も含めて御答弁いただければと思います。
  59. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 柳澤議員には私の前職で大変な御苦労をされていただきました。また、住民集会にも精力的に出ていただいて、大変な、私もこの前、田村市の住民集会に出てまいりまして、もう本当に、何とも言うに言われぬ本当に大変厳しい会合を重ねていただいた。その結果として、今お話がありましたように、避難指示区域、当該十一市町村の避難指示は完了したところでございます。  実は、八月から田村市の都路地区も本格解除の事前宿泊、事前準備宿泊として、八月から三か月間、十月三十一日まで実施をしておりまして、約四十世帯の方が事実上本格的に帰っている、その準備をされている、宿泊を続けているということを受けて、国が決めたということではなく、正確に申し上げますと、田村市の冨塚市長が市の提案として、十月三十一日まで準備宿泊をやる以上、これは切れ目なく十一月一日から本格的な解除を宣言したいと、そうすると冬に入る前で様々なことがいいのではないかということで、その取りまとめというか、住民の皆さんの意見を聞くために集会を行っていただきました。  これは私も参加をいたしまして百数十名の方が来られましたが、結果としては、非常に残念ながら、今御指摘があったとおり、一ミリシーベルト以下にならないと危なくて帰れないと。大変そういう厳しい意見が、まあ全員だったわけではないと思いますが、そういった意見が出まして、私たちも、何というか、国が解除を決めるからもう無理やり帰れみたいなことという、そういう意思は全くありませんので、帰りたいと思われている方たちに対して本格解除を決めるということの中で、一番大事な住民の皆さんたちがどう思われているかということの意見聴取も含めてということでやらさせていただきました。  私、その会合の席上でもはっきり申し上げました。多分、発災から二年もう八か月近く掛かりますが、なかなか、何というんですかね、誤解を恐れず言えば、こうなっているのが百ミリ以下だったら、まあ何というか、発がん発症率が上がるというようなことはないんだと、これはもう医学的にも証明されていますという、ある意味では医学界の常識をはっきりあの現地で言うということがなかなか大変な、すごくそういったことが非常に何というんですかね、難しい環境が続いてきたと。これは、私は一番今回の福島悲劇というか不幸だと思っております。発災直後のあのパニック状況の中で、大変危ないということで正論が通らなかったということは理解できますが、もう二年八か月たっておりますので、やはり少し落ち着いた状況。  加えて、私自身も委員と同じ意見なんですが、帰れるところはなるべく帰って、本格的な帰還を進めた方がいいと。そのために我々は、除染環境省中心に頑張ってやっていただいていると思いますし、インフラとか、また経済産業省としても雇用の確保、こういったことを進めていこうと、こう思っております。  しかし、一方では、どうしても小さいお子さんに対する被害が大きいのではないかという、私はそういったことを喧伝した偽専門家は許し難いと個人的には思っておりますが、小さな子供を連れて県外に避難されている若いお母さんがいる、そして御主人は違った生業で大変御苦労されていると。こういったリスクの方がふるさとに戻って第二の人生を始めるリスクよりも相当大きいはずなんですね。しかし、それを、そういう選択をしにくい状況になってしまっているということは何とか冷静に進めていかなければいけないのではないかと。  済みません、長くなって申し訳ありませんが、川内村のお話出ましたが、あそこは長崎大学の原爆後障害医療研究所から有名なドクターも常駐されたりとか、女性の看護師さんが去年一か月間、川内村に常駐してもらって、御存じだと思いますが、折田さんという方が一軒一軒戸別訪問をされて丁寧にお話をし、また今年から約一年にわたって常駐していただいております。  やはり、上から押し付けるのではなくて、本当に被害者の皆さんの立場に立ったリスクコミュニケーションをもう一度ちゃんと丁寧にやり直していくことがこれから本当に本格的な帰還に向けて一番大事なことだと。私自身もこの前の田村市の住民集会に出させていただいて改めてその認識を深めて、もう一度政府挙げてそういったことを県とそれから当該市町村の協力を得ながら、住民の皆さんが安心して納得してふるさとに帰還ができるように頑張っていきたいと、こう決意をしたところでございます。  以上です。
  60. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 本当に御苦労をいただいているのは私も実感として分かりますし、そろそろ二年八か月、来年は三年たつ中で、私たちが積み残してきた宿題を皆さんに押し付けている部分もあると思いますけど、そろそろステージを変えていかなければいけないときだというふうに強く思っています。  特に、除染の問題にしても、一ミリシーベルト以下というニーズが非常に強まっていて、ただIAEA助言でも、一ミリシーベルト追加個人被曝線量長期目標であり、例えば除染活動のみによって短期間に達成し得るものではないことを国民理解していただくためのコミュニケーションを強くすべきだという提言がされています。なかなか政府が言っても信用されない。だけど、国際的な基準でこうなっているんだというのを、この辺をもう一回前面に出して説明をしていく時期に来ているだろうというふうに私は思います。  そんな中で、これは検討課題だと思うんですが、どうしても私たち住民の皆さんの強い声に押されて一ミリシーベルトということが出てしまいましたけど、本当は当面は五ミリシーベルトとか、ちょっと基準をもう一つ、ワンクッション置くようなことも、どこまで理解が求められるかどうかは別として、そろそろ考えないといけないんではないかなと思いもしていまして、これは答弁は求めません。私の思いだということで問題提起をちょっとさせていただきたいと思っています。  この問題には、もう健康への不安が非常に大きい、今、赤羽副大臣もおっしゃられたように、県民への健康調査を始め、被災者の健康管理、健康不安対策についてはこれまでもいろんな取組実施してきたことは承知していますし、いまだ健康についての不安を抱える被災者が数多いというのも現状だというふうに思っています。  そうはいっても、除染長期目標である年間被曝線量一ミリシーベルトという数字が独り歩きをしている。恐らく説明の中でもなかなか御理解がいただけないと思うんですが、人間は宇宙や大地から放射線を浴びている、レントゲン、CTスキャンでもとか言うと、もう大変な反発になってしまうのも分かっているんですが、ただ、年間被曝線量でいえば、百ミリシーベルト以下なら発がん率は増えないという、先ほど赤羽さんからもあったように、それを基準に今福島の第一原発の事故現場で作業員の皆さんも頑張っていただいているというのも現実です。  IAEA助言でも、除染実施している状況において、一から二十ミリシーベルトという範囲内のいかなるレベルの個人被曝線量も許容し得るものであって、国際基準等に整合したものであるということも強く助言をされています。  今日は、原子力規制委員会の田中委員長にもお越しいただいていますが、委員長も、一ミリシーベルト以下が独り歩きをしている、避難先でのストレスなど全体のリスクを考えれば、年間の二十ミリシーベルトまで許容した方がいいというのが世界一般的な考え方だというふうにも述べられていますが、是非委員長の御見解を再度お聞かせいただきたいと思います。
  61. 田中俊一

    政府特別補佐人(田中俊一君) 私が以前にそういったインタビューを受けまして、どう思うかということで、今御指摘のとおり、様々な、避難とかいろんな生活の不便を考えて、いろんなストレスによるリスクを考えた場合には、一から二十ミリシーベルトぐらいの間ですと、こういった事故時に被曝をするということについて、二十ミリが永遠に続くということではございませんけれども、そういうふうな判断は合理的であるというのが、IAEAもそういうふうに考えていますし、元々はICRPがそういう勧告を出したということで、それを我が国もその事故のときにそれを取り入れて、現存被曝状況ということで取り入れたものと思います。
  62. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ありがとうございます。  そんな中で、実は原子力規制委員会の下に帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チームが立ち上げられたというふうに聞いております。その具体的な内容をちょっとお話をいただければと思います。
  63. 田中俊一

    政府特別補佐人(田中俊一君) 原子力災害対策本部の方から、原子力規制庁、規制委員会の方に帰還に向けた対策を考えるようにという検討の指示がございました。  これに基づいて私どもとして今検討している大きな柱を申し上げますと、まず被曝線量ですが、事故時、事故当初は空間線量をベースにして避難とか、そういった避難準備区域とかというのを決めたんですが、既にサイトの状況はかなり落ち着いていますので、それに基づいて個人の被曝、個人一人一人の被曝線量を測るということが大事であろうと。それから、そういうことと同時に、地元医師会とか保健婦さんを中心にした医療健康相談というのが随時できるような体制をつくろうということであります。  それからもう一つ、これは私どもの大きな課題になりますけれども、これは、政府でも是非御判断いただきたいのは、単に放射線の不安だけで戻れないのではなくて、生活をどうやって再建するかというところがございます。そういったことがありまして、関係省庁、復興庁なんかも含めまして今そういった検討を進めているところでございます。  なお、かといっても、帰りたい人、帰りたくない人という、そういう方もおられますので、そういった一人一人の意思も尊重できるようなシステムができれば少しずつ帰っていただけるのではないかということで、今そういった検討を進めさせていただいております。
  64. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 実は大臣お願いがあるんですが、このいわゆる線量と健康の問題に関して、避難されている住民の皆さんはもちろんなんですが、福島県民、更に言えば国民に向かって、線量水準と健康不安に対するリスクコミュニケーション政府を挙げて、場合によってはメディアも含めて行うべきときに来ているというふうに私は思っておりまして、規制委員会の方でもこういうチームが立ち上げられる。ですから、特定のではなくてトータルで、場合によったらIAEAの国際的なメンバーに来ていただいてでも、それをもう一回訴えるというのをするときにあるんではないかというふうに思いますが、御所見をできましたらお聞かせいただきたいと思います。
  65. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいまの柳澤委員政府委員との答弁を聞かせていただきまして、ごもっともな御指摘も多々含まれていると。  ただ、非常に厄介な話は、この線量線量と科学的に医学的に言いましても、今日午前中、衆議院の環境委員会でも、医療従事者の委員の方から、自分の年間被曝線量は三十ミリシーベルトだと、これで何にもないと自分は医者であるから理解するというようなお話がありましたが、結局、目に見えないものでありますので、不安を持たれている方は永久に不安であると。そこがこの厄介な問題でございまして、今のお話で感じますことは、やはりリスクコミュニケーションというものをもっともっと前面に出していって、それで御理解のいただけた方には戻っていただくと、こういうことに尽きるのではないか。  そして、私も遠藤村長さんと半月ぐらい前にお話をしてきたんですけれども、半分しか、残念ながら千人ちょっとしかまだ戻ってきてくれていないと。そして、その戻ってきてくださっている方が高齢者の方ばかりだと。そうしますと、その村の将来ということを考えると、帰ってきた方々は安心して、ああ、いいじゃないかといって暮らしているけれども、若い人がいないとこれまた難しい。そこに、外から全く村にいなかった方が来てくださっていて新しいコミュニティーが生まれているというような話を聞かせていただきました。  やはり、そういう苦労をされている方々思いますと、帰村がもっともっと充実していくように後押しをしていくということは非常に重要であると。その一つのキーポイントがリスクコミュニケーションであるということを強く認識をさせていただいたところでございます。
  66. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 難しいことは私もよく分かります。  ただ、IAEAが来て、国際的にもこうだと、規制委員会の専門家もこういうふうに言っているということは、事実を事実としてもう一度踏み込み、やっていく必要があるだろうというふうに思っています。帰る帰らないは別問題として、決して避難をされている皆さんだけではなくて、国民全体に向けてもそんな発信が今新たに必要だろうというふうに思いますので、是非御検討をいただきたいと思っています。  この前、現地本部のメンバーに聞いたら、IAEA助言でも、個人線量計で測定されるような個人被曝線量の活用に向けて継続的な活用が必要だという助言もされています。ですから、一人一人が自分の線量確認できる。これが非常に小型化をされて、首に下げて、ここへ差し込むと積算の方も全部出てくる、それが今度はパソコンにもつなぐこともできるという報告を受けまして、この機能と、今どんな状況で進められているか、答弁できる方がいたら、お願いします。
  67. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) 御指摘ありました元々一ミリとか二十ミリという基準も個人が被曝する線量というのが科学的ベースでつくられているものというふうに承知をしております。これが空間線量とかなり誤解されているというのは、先生の御指摘のとおりでございます。  これにつきましては、いろんな方面で、今個人の線量をしっかり把握し、その状況をまた皆様方に知っていただこうということで、環境省の中ですと、環境保健部が中心になりまして、かなり健康管理等を含めまして対応しているところでございます。  また、支援チームが帰還に向けていろんな準備をしていく中で、先ほど来出ております一時帰還の皆様方がいらっしゃいます。こういう方にも積極的に活用していただこうと、そういった線量計については積極的に提供いたしますと、こういうことで、是非、これについての認識を我々も深め、また地元の方にも深めていただこうと、こういう取組が今進んでいるところでございます。
  68. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 という意味では、本当に目に見える形で個人個人の皆さんに安心感、健康への不安をどう払拭していくかということも大事だと思うので、この辺の取組は、そう高いものでもないでしょうし、たくさん作っていただいて貸し出していただいて安心をしていただく、その良さが情報として広がる。先ほど言った全体へのリスクコミュニケーションと同時に、本当に帰還をされた人たちが安心してということも含めて、是非進めていただきたい。  その中でいうと、福島県が二年前から実施している県民健康管理調査の基本調査の回収率が今年の三月時点で二割強としかなっていないというふうにも聞いています。被災後に県外へ避難されている県民も多くいるのは分かりますが、私は、県に任せるのではなくて、そろそろ国も本腰を入れてそういう調査をきちんとして健康管理をしていくということが必要になってきているというふうに思いますが、その考え方、御答弁いただければと思います。
  69. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) これも大変幅広い課題でございまして、各セクションが連携してやってまいりたいと思っておりますが、さっきもちょっと御報告をいたしましたように、今、規制委員会に最終的には判断もいただくような形で、線量水準についてどういう形で見ていった方がいいのか。個人の線量であるよというようなことももちろんでございますし、これを管理していくのは除染というのも外部の被曝をコントロールする意味で一つ大きな要素でございますが、こればかりではございません、いろんな生活上の問題もあると思います。また、食品の問題ですとか健康管理の問題、もろもろの観点からこの線量の防御というものについてはやっていくべきだろうということで、さっきも申しましたように、政府全体の中で、原災本部でこれを考えをまとめていこうと、これについては原子力規制委員会にも科学的な見地からチェックをいただこうと、こういうことでやっております。  そういう中で、是非お互いが連携できるような形でやっていきたいということを今検討中だということでございます。
  70. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 是非精力的に私は進めていただきたいと、この健康不安にあらゆる手段を使って払拭をしていくことが今一番大事だろうというふうに思っています。  ちょっと通告していないんですが、実はこの帰還、あるいは解除の問題でもう一つ大きなネックになっているのは、実は賠償問題があるんですね。実は川内村の遠藤村長と話したときに、本部長、この賠償が、逆に言えば帰還を遅らせるだけではなくて、コミュニティーを壊して、家庭を壊して、人間を壊してしまうということにもつながりかねないと。大切なのは、帰還を促すような賠償の使い方を検討すべきだと。私の方でも、帰還をして自分の家や家の周りを除染をする、あるいは田畑を除染をするというようなことに参加していく、そこに特殊勤務手当などもひっくるめて賠償を使った賃金が支給される、あるいは水道光熱費関係がしばらくはただになるとか、いわゆる帰還を促す形でお金をどう出していくかということは大変大事な課題になってきているんではないかと。  先ほどの避難区域の解除にしても、解除をしたら賠償がもらえなくなるんではないかという反応が恐らく出たというふうに思うんですね。僕らは解除してすぐ帰ってくれとは言っていないんで、そんなに抵抗なく解除はできるんですが、それが解除されてしまうと、もらっている手当が出なくなるのではないかというような不安も合わさってこういう現象も起きているんで、この辺是非もう一歩踏み込んだ検討をしていただければというふうに思いますが、もし御答弁いただけるのであれば。
  71. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 賠償問題について、私、今の御指摘のとおりというか、そういう側面はかなりあると思います。避難指示解除が早く終われば、それからプラス約一年ぐらい継続するというようなこともありますけれども、早く帰った方が損をするみたいな変な話になりかかっている。そういう仕組みを何とか変えなければいけないと。  今、損害賠償紛争審査会でこういったことも検討をいただいておりますので、年内に何らかの方向性も出るというふうにも思っておりますし、また加えて、賠償の枠組みの中でやるという考え方とは別に、早期に帰っていただく、そこの何というか動機付けというか、モチベーションを上げるような支援金みたいなことも考えなければいけないんではないかということは今政府の中でも議論させていただいているところでございますので、何とかいい知恵を出して、全体としては帰れるところはなるべく早く帰りやすいような環境をつくるということに注力したいと考えております。
  72. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 実は、当時行ったときにこの原子力損害賠償も大きな議論になっておりまして、これは文科省が中心となって東京電力と原子力損害賠償支援機構と原子力損害賠償紛争解決センターで進められていました。それがどうしてももう一歩進まないということで、一昨年の十二月の二十七日に、経産省から本部長である私も入って、原子力損害賠償円滑化会議を立ち上げました。この問題は、本当にあらゆる省庁の皆さんを巻き込んで、特に除染費用にしても、東京電力に押し付けるだけではなくて、具体的にどうするかという議論は是非進めていただきたいというふうに思っておりますので、お願いをしておきたいと思います。  そんな中で、今、赤羽副大臣がおっしゃられたように、決して僕は賠償を、お金を使えという意味ではなくて、帰還をしたらメリットがあるようなものをもっと見せていかないといけないだろうということで、是非よろしくお願いしたいと思います。  次に、ちょっと除染全体についてお尋ねをしたいと思います。  当時、着任と同時に現地対策本部では除染がもうすごい各地で大きな議論になっておりまして、本宮の決起集会、実はそれまで本部長が出ていなかったんですが、私は行かせてもらうということで、千名を超える、あるいは双葉郡の決起集会等いろんなところへ出させてもらって、どちらにしても、除染にも優先順位があります。避難をされているところを優先してまずやります。そして、それ以外の地域に関しては国が直接やるんではなくて市町村で順次進めていってほしいというお願いをして今の体制が少し整理がされたと思いますが、そんな中で、現地本部の中に経産省から来られている担当者と話す中で、分かったと、もう環境省だけでは無理だよねということでプロジェクトチームを立ち上げてずっと議論をする中で、農地や森林は農水省、道路や水路は国土交通省、所管が違う、この省の壁というのをどう破るか。だったら、そういう組織をつくろうと。環境省をヘッドに経産も入って、農水、国土交通も入った組織にして議論をしないと除染は進まないということで、それが今の福島環境再生事務所になっているというふうに思いますが、今ここがどのような体制になって、どのような活動状況で、何か課題があるかどうか、少しお話しいただければと思います。
  73. 鈴木正規

    政府参考人(鈴木正規君) 現在、今御指摘いただきました福島環境再生事務所、約三百名余の職員がおりまして、除染を始め対策地域内の廃棄物の処理、中間貯蔵整備、あるいは今御指摘がありました市町村除染助言、監督等をやっておりまして、各省とは、福島再生総局という復興庁が中心になった組織がございまして、その下で関係省庁協力し合って除染も進めているというところでございます。
  74. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 恐らく少し体制も強化をするということが必要だというふうに思いますが、ただ、問題は、今直轄地域の市町村への説明に行っても、住民説明会では恐らく一ミリシーベルト以下、あるいは報道によれば、再除染をしろという声が強まる、あるいは森林というすぐにはできないようなところまで除染への要望が強まっていく。これを、それぞれがばらばらで除染担当の再生事務所の人が説明に行ってもなかなか住民説明会で説明し切れない。そうすると、どうしてもその場を何とか乗り切るような答弁になってしまうということがこれは現状だというふうに私は思っています。  是非お願いしたいんですが、これは大臣に検討いただきたいんですが、これからの住民説明会は、帰還解除も含めていよいよ本格的に除染を進めていく市町村別に、あるいは避難区域別に、あるいは住宅、公共施設、あるいは田畑、そして森林というのをプライオリティーを付けていく中で、私は、復興庁が具体的復興計画と帰還、あるいは専門家による線量と健康についての説明といったいわゆる総合チームをつくって少し入っていく、先ほどの健康不安に対してもきちんと説明ができるという形をつくっていかなければいけないだろういうふうに思っています。  これは率直に、復興庁ができる、いろんな組織ができる、大臣も副大臣も政務官もたくさんの人ができると逆に情報が分断されてしまう。特に赤羽副大臣井上大臣なんかはもう常にコンビで動いているぐらいの対応が必要だろうというふうに思っていまして、そんないわゆる住民説明会の在り方をもう一回抜本的につくっていただきたいというふうに思いますが、御所見をいただければと思います。
  75. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) 委員指摘のとおり、市町村や住民方々への御説明に当たって、関係各省連携して取り組むことは本当に大切なことだと認識をしております。さっきの答弁にもありましたけれども、福島復興再生総局を設置して、そして政府全体の対応ということ、一体的運用を進めてきているところであります。  除染に関しましてもおっしゃるとおりでありまして、復興庁や被災者生活支援チームとともに市町村の御意見を伺う、あるいは住民説明会に出席すると、こういったところ、現在も取り組んでいるところでありますけれども、引き続きそれを充実して取り組んでいきたいと思っています。
  76. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 計画はたくさん報告を受けています。机上論では幾らでも形はできるんですが、本当にその辺をもう一回トータルで新しいステージに入っていくときに来ているだろうというふうにも思っています。  ちょっと具体的に、私、今、これから一番大きな議論になってくるのが、仮置場現地保管されているものをどうしていくかということが一番大きな議論になるというふうに思っています。恐らく、今、汚染水の貯蔵タンクが大きな議論になっていますが、あれも決して全てが線量の高いものではなくて、本当を言えばトリチウムは取り切れませんから、これは答弁は求めませんが、田中委員長も、汚染水についてはある程度海に流してもいいんじゃないかというような、きちんと処理して基準以下になった汚染水を海に排出することは避けられないという発言を一部されておりますし、日本原子力学会の事故調査委員会は、放射性物質の除去装置で取り除けないトリチウムは薄めて海へ流すべきだという問題提起もされています。これが、タンクがたくさん並ぶと、中がもう線量の高いとても危ないものだという不安感をすごく与えてしまう、このことは、漁協の反対も分かるし風評被害のことも分かるんですが、この辺も、幾らタンクを造っても、私は物理的に、地下水だけではなくて雨水の問題もあるわけですね。  私自身反省しているのは、一昨年の十月の二十八日に海側に八百メーターにわたって二十二メーターの鉄板を打ち込む遮水壁の起工式に参加をして、これで私も大丈夫だというふうに思っていましたが、そんな生易しいものではないというのも実感していまして、ある程度その辺も説明をしていかなきゃいけないというふうに思っています。これはもう別に直接答弁を求めませんが、是非、規制委員会も含めてその辺の説明をしていかないと、不安をあおる。  なぜこの話をしたかというと、実は仮置場の問題も同じような問題がこれから出てくると思っています。この前、環境委員会に来ていただいて、今、仮置場とか、僕は仮仮置場と言っていたんですが、仮置場に行かないで積み上がっている、今は現場保管と言われているみたいですが、どのくらいになっているか聞かせてくれという話をしましたら、今年の四月末の福島調査除染実施計画に基づく仮置場が三百六十五か所、昨年十二月末から二百三十か所増えたと。現場保管及びその他の仮置場が一万三千百九十四か所、八千三十四増加したと。全体でいうと一万三千五百五十五か所、八千二百六十四か所、四か月で増加しているという報告を受けました。  そこでちょっとお伺いしたいんですが、この実態、四月末だというんですね。しかも、県が市町村に聞いた。それからまた、もう四か月も五か月もたっている。八月末あるいは九月末でどうなっているか調査をされているかどうか、されているのならその数字をちょっと教えていただきたいと思います。
  77. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) 仮置場現状につきまして、ちょっと済みません、八月時点あるいは九月時点の数字、今手元に持っておりませんが、しっかり管理をしていこうということで今管理を強めておりますので、国が直轄でやる部分は当然でございますし、市町村がやっている部分についてもデータとしてしっかり握っていくという整備を進めているところでございます。
  78. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 福島だけの問題ではなくて、先ほどあった栃木、茨城、千葉の問題も大きく広がっているんです。  私が心配しているのは、これが本当に草木でチップにして小さくして燃せるもの、あるいは土壌あるいはコンクリート破片というような形で分別がされているかどうか、あるいはフレコンバッグに入っているなど保管状態がどうなっているのか、その量がどのくらいあるのかというのは把握されていますか、イエス、ノーで答えてください。
  79. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) 中身が土壌であるのかそれとも可燃物であるか、これについては、少なくとも直轄でやっている部分については把握しております。それから、どのような保管状態であるのか。古い時期にやったものがございます。そういうものはしっかり監視をすると、必要なものは詰め替えを行うというようなこともやっているところでございます。
  80. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 調べていないと言いましたけど、八月末あるいは九月末で調べていただきたいと。かなりまた増えているはずだと、これからもっと増えていくと。  という中で私が今一番心配しているのは、本当に線量別に分別されているんだろうかと。八千ベクレル以下と八千ベクレルを超えるいわゆる指定廃棄物がきちんと分かれているのか。現場保管だってどうなっているのか。それが積み重ねられてこれだけの雨に遭っているわけですから、しみ出してきて汚染水が流れ出るということがないんだろうか。そうすると、汚染水タンクと、もっと大きな不安を皆さんに与えることになるというふうに思っています。  そういう意味では、これを県とか市町村に任せるのではなくて、例えば線量によって区分されるかと聞いたら、特に八千ベクレル超の指定廃棄物の量は平成二十五年八月三十一日時点で十三万トンに達しており、ここ半年間においても一万トン増加していますという話を聞きました。これからもまだ増えてくるだろうと。  とすれば、僕は大臣にちょっとお願いしたいんですが、県と市町村にガイドラインを出して任せておくのではなくて、今仮置場だけではなくて現場保管も含めてどういう状況になっているのか、本当にそれを厳密に調査をすることが私は必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  81. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいまの柳澤委員の御疑問、また問題点の指摘は、実は私、福島に行ってすぐに同じ話を局長のところに落として、少なくとも国直轄の部分については今一週間から二週間以内に全てのところを監視させております。そして、今言われたように、初期のフレコンバッグ等々には、安かったらしくて不具合のものも何かあるというような報告も受けていますので、そういうものが拡散しないようにという指示は既に出させていただいております。  ただいま圧倒的に物量で増えているのは間違いなく市町村部分でございますので、ここは関係府県と環境省とがどういう形で連携をしているのかもう一度確認をさせていただいて、各県ですね、県と市町村から少しヒアリングをさせていただいて、実態が多分県で把握をしているという形になっていると思いますので、市町村から上がったものについてトータルなものを取りまとめるように指示をさせていただきます。
  82. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 全て写真で撮る、映像にするということも含めて、私は、把握をする、もちろん政府の忙しい方が回り切れないのは分かりますし、あるいは再生事務所の皆さんに役割分担してというのもあれですから、きちんともう少し、乱暴なあれではなくて、どんな状況でどうなっているんだというのは是非把握をしていただきたいと思います。  どちらにしても、この一番大きな原因は、実は中間貯蔵施設の問題が後ろにあるんです。私たちも、現場保管は二年ぐらいで仮置場も三年ぐらいでという約束で動いてきた経緯がありまして、それがなかなか難しくなってきているのが現状だろうと。  この中間貯蔵施設に関してはいろんなモニタリングやボーリングも含めて今スタートをしているというふうに思いますが、大臣、ちょっとお伺いしたいんですが、平成二十七年の一月までに設置して動かすという方針を出されていますが、本当に可能かどうか、ちょっとお聞かせいただけますか。
  83. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) 中間貯蔵施設が福島除染を進めるに当たっても本当に必要不可欠な施設であるというのは、委員の御指摘のとおりだと私どもも認識しております。地元といろいろ調整しながら手続を進めておりまして、今、ボーリング調査を各三町で実施をしているところであります。  当面といたしましては、それを行っている双葉町のボーリング調査の結果、これが出てきた上で、それを踏まえながら地元とよく相談をして中間貯蔵施設の案、これを速やかに関係自治体にお示ししたいと、今こういう状況にあります。  ですから、中間貯蔵施設の整備に向けたスケジュールについて、確かに当初の想定から数か月程度遅れているというのは事実でありますけれども、平成二十七年一月からの搬入開始、決して不可能ではないと考えておりますので、引き続き加速化して取り組んでいきたいと思います。
  84. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 私が心配しているのは、また福島県民の皆さんに約束が守れなくなってしまう、結果としてまたうそをついてしまうことにならないようにどうするかだと思うんですね。  そうすると、きれいな図面見させてもらっています。分別する施設があって、減容化、減量化施設がある。私は、中間貯蔵の前に、本当に分別施設なり、もっと言えば、減容化、減量化施設に真剣に取り組むべきだというふうに思っていますが、それに関してはいかがですか。
  85. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) これも御指摘のとおり、中間貯蔵施設に搬入するそういった貯蔵物について、できるだけ減容化するということがやはり整備もしやすいものにしていきますから、これも非常に重要だというふうに思っております。  じゃ、どうやってやるかということですが、減容化した後に搬入するということが一番望ましいと思います。しかし、他方で、中間貯蔵施設の外に減容化施設を設置する場合には、その地元の調整にまた相当の時間を要してしまうということであって、これは総合的に勘案して進めていかなければいけないと考えています。  現在においては、こういった観点から、幾つかの可燃物の発生市町村においては仮設焼却施設の設置場所を確保して、そしてこの減容化の準備を進めております。それと同時に、その中間貯蔵施設を構成する施設の一つとして、その中に減容化施設を整備することも併せて検討しております。
  86. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 私が問題提起しているのはそうじゃないんですよ。今、減容化施設をいろんなものがあるところに造る。ですから、私は、飯舘村の菅野村長が一番理解があるから、避難区域に減容化施設を造って、それが目に見えて減っていくという仕組みが大切だという話をして、この前確認をしましたら、飯舘村に、村内の除染で出た汚染土だけではなくて、近隣六市町から、下水汚泥を処理する仮設焼却炉と仮設資材施設の設置が決定し、二〇一四年三月までに着工して一五年三月の運転開始を目指すことが決まったという話があって、私は大変うれしく思っていまして、それだけではなくて、例えば県央の浄化センター、いわゆる汚泥のあれがたまって大変だったのも、減容化が進んでもう今稼働を始めている。  ですから、中間貯蔵を造るときにそこへ造るのではなくて、今のうちに造れるところで少しでも安全なものは燃す、そういう形で減容化、減量化をしていくことが私は大事だと思っているんです。特に、東京ドームが十三杯から二十三杯だとか二十八杯分あるとかと。じゃ、これをダンプカーで本当に運ぶということが可能かどうかという問題も話題になっておりまして、私は、施設を造ったって運ぶだけだって何年も掛かっていく。とすれば、減容化をすれば量も重さも、例えばこれを減容化やると廃棄物の体積は大体五から一〇%に減る、重量も一〇から二〇%に減っていく、そこから運び込むという、前もってそっちを進めないと私は駄目だというふうに思っています。  時間がないので答弁は求めませんけれども、もう少しその辺を踏み込んだことをしていかないと本当に難しい、また言っていることと実態が違うじゃないかという議論になりはしないかと心配をしています。よろしければ、どうぞ。
  87. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) 済みません、ちょっと私の説明が悪かったと思うんですが、先ほど答弁したその前半部分が、まさに委員がおっしゃるその中間貯蔵施設の外で減容化施設を造っていくと。これは飯舘を始めとして幾つか今進行中であります。ただ、この施設を造ること自体もなかなか反対もあったりしているものですから、苦労しながら今やらせていただいて、ただ他方で、それが全て計画どおりできればいいんですが、なかなか難しいので、中間貯蔵施設の中の減容化施設の話も併せて進めているということなので、御理解お願いします。
  88. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 是非お願いしたいのは、先ほど言いました住民説明会を本当に政府を挙げて、いわゆる復興庁もそれから環境省も経産省も現地本部も全部がセットで行って、減容化施設も住民の皆さんに理解と納得をいただくところまで、できれば規制庁も入っていただいて、健康の安全な部分も併せて説明をして理解と納得をしていただいて進めていかないと、また先送り、先送りになっていってしまうということを大変懸念をいたしております。  ということで、時間になりました。是非委員長にこの除染の問題に関しては時間のあるところで是非また集中審議をしていただければということをお願いをして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  89. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子でございます。環境委員会では初めて質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に、台風二十六号によって伊豆大島で発生した大量の災害廃棄物の処理について伺いたいと思います。  先日、井上大臣が伊豆大島御視察されまして、激しい土砂災害の現場をつぶさに御覧になったという報道がございました。私も災害対策特別委員会で視察をいたしましたが、人口約八千人、そして過疎化、高齢化が元々進んでいる、そういう小さな町で、私もこれまで災害以前に何度も足を運んで東京選出の議員として町おこしのために地元の方と方策を話し合ってまいりましたけれども、この大量の災害廃棄物、今後の復旧復興の妨げになるものでございます。小さな町で処理し切れる量ではないということを井上大臣も御覧になって感じていただいたと思いますが、これは物理的にも財政的にも町では処理し切れない。国の支援を島民の皆様は期待をされておりますが、今後、環境省としていかに支援していただけるか、教えていただきたいと思います。
  90. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) 私もおとといの三日、日曜日に大島町を訪問いたしまして、現地状況確認するとともに、大島町長と面会をし、災害廃棄物の処理における課題についてお聞きをしました。また、東京都も併せて今後の支援などについて意見交換を行ったところであります。  そのときにも現在の推計量というお話がありました。島内の既存の焼却施設あるいは処分場での処理、年間四千トン。そこにこの台風二十六号によりまして流木を中心とした可燃物とそれから土砂、合わせて十一万トン発生しているということで、単純に計算しても本当に二十年、三十年分の災害廃棄物が発生しているという状況にあります。ですから、やはりこれは島外での処理ということを想定をして災害廃棄物の処理方針についてしっかり大島町また東京都と協議をしていこうということを合意をしたところであります。  環境省としても、例えば島外への輸送が必要になった場合に、じゃどうやって島外にそれを搬出をしていくかということであります。東日本大震災のときの経験もありますから、そのときに広域処理で活用した専用コンテナを利用ができるように関係者と協議をしていくとか、あるいは我々の持てるそういったノウハウをきちんと提供をしていく、要請があれば職員を島に派遣をしてそういった対応に当たらせることも考えております。もちろん環境省として財政支援ということがありますので、そちらの方も併せて対応するということで取り組んでまいりたいと思います。
  91. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 今、要請があれば職員の派遣もしていただけるというお話もありましたけれども、町に行ってみてお話聞いて多分感じられたかと思うんですけれども、要請をすることを検討する、そういう人手もなかなか、今の復旧復興の量が大変な量でありますので、そういう状況でございますので、是非きめ細かくこちらから何が必要かということを支援の手を差し伸べていただけるような形で御対応をいただければというふうに思います。何とぞよろしくお願い申し上げます。  続きまして、大臣の所信の中で述べられていました環境省の政策の柱の一つである地球環境の保全と日本の優れた環境技術を活用した成長戦略への貢献ということについてお伺いしたいと思いますが、まずは温暖化による日本列島の気候変動の影響について伺いたいと思います。  本年九月の気候変動に関する政府間パネル、IPCCにおいて将来の地球温暖化の進行などを分析した結果、今世紀末に、海面は最大八十二センチメートル上昇、気温は最大四・八度上がると予測されたという報道がなされています。  このまま温室効果ガスの排出増が続く場合、日本では、今世紀末、海面水位の上昇どれぐらいになるか、また平均気温どのぐらいになるか、その結果日本列島というのはどのような状況になるのかということを環境省としてどのように予測、分析しているかということと、もう一つ、温暖化と今夏の記録的猛暑、豪雨、竜巻の発生との関係、どう分析しているか、因果関係は短期的には分からないというふうに言われておりますけれども、環境省についての御見解、二点お伺いしたいというふうに思います。
  92. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) 御指摘のように、今年の九月にIPCCの第一作業部会で温暖化の科学的根拠に関する報告書が取りまとめられております。この報告書におきましては、御指摘のとおり、今世紀末までに世界の平均気温が〇・三度から四・八度、また世界の平均海面水位が〇・二六メートルから〇・八二メートル上昇するということが示されております。  一方、日本国内の研究におきましても、日本周辺で気温や海面水位が世界平均よりも高めになる傾向があるということが予測されているところでございます。  これらのことを踏まえますと、我が国におきましても、高潮リスクの増大、熱中症・感染症リスクの増大、生態系の変化など、気候変動の様々な影響が現れるのではないかと分析しているところでございます。  また、今年の夏は、御承知のとおり、高知を始めとします各地で四十度を超える猛暑、あるいは豪雨、度重なる竜巻などが発生しておりまして、専門家の中ではこの背景に温暖化の影響があるという指摘もされているところでございます。  IPCCの報告書では、一九五〇年以降、世界規模で暑い日の日数が増加した可能性が非常に高い、これ九五%以上の確率で高いということが指摘されておりますし、また、豪雨の頻度や強度が増加している可能性が高い地域があることも示されております。今後も温室効果ガスの排出が続きますと同様な傾向が更に強まることが示されているところであります。  温暖化の影響は世界全体の脅威となっており、環境省としましては、IPCCの第五次評価報告書の警鐘を踏まえまして、改めて温暖化対策に邁進してまいりたいと、このように考えております。
  93. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 今御答弁ありましたように、この温暖化は世界の脅威である、また、日本世界の平均よりも海面水位の上昇が見られる可能性があるというお話ございました。日本列島の安全にとって、この温暖化というのが悪い影響をもたらしていくということは否定できない確実なことであると思いますので、この温暖化対策というものは命を守る取組であるというふうに思いますので、環境省におかれましては引き続き温暖化対策、最重要施策の一つとしてお取り組みいただきますようお願いしたいと思います。  次に、昨年から導入された温暖化対策税制についてお尋ねをいたします。  これはほかの国でもやられています、御承知のとおりでございますけれども。成果も上げている。一方で、化石燃料に税金を掛けるということで産業へ大きなマイナスの影響があるのではないかというふうに御指摘を受けているところもあります。  私は、休会中にスウェーデンを訪問してまいりました。環境エネルギー政策についての調査を行いましたが、御承知のとおり、スウェーデンでは一九九一年から炭素税が導入されています。炭素税と並行して、低炭素化を促進するための補助金制度も行いながら、この低炭素と低炭素産業の促進というものにも取り組まれてきました。  これまでの約二十年間の成果について説明を受けてまいりましたが、導入前の一九九〇年と二〇一二年、これを比較して、CO2の排出量は二〇%減、そして一方で経済成長は五九%増ということで、低炭素化と経済成長の両立が図られているということを明確な数字をもって示していただきました。  これで経済成長そして低炭素化というのは両立できるものだということを私もそれを見て確信をしたわけですけれども、数字による政策評価というのは今後も重要になってくると思います。二酸化炭素というのは定量化できるものでありますので、しっかりと、精度はともかく、適時に評価をして、そして政策の効果としてどう表れているかということを見直しながら、政策の選択と集中、より効果の高い政策に限られた予算また税制を集中させていくということが必要だと思いますが、我が国においては、この温暖化税制が施行されてからまだ期中でございますけれども、これまでに削減された二酸化炭素の排出量、どのように把握されているか、あるいは把握される予定であるかということをまずお伺いしたいと思います。
  94. 清水康弘

    政府参考人清水康弘君) 環境省の請負先の研究での試算ではありますが、その研究に基づきまして御説明したいと思います。  これは一定の前提の下に行っておりますが、温暖化対策のための税による価格効果とそれから財源効果を併せてCO2の削減効果を計算しております。二〇二〇年におきまして、量にして約六百万トンから約二千四百万トン、一九九〇年比ではマイナス〇・五%からマイナス二・二%分のCO2削減の効果が見込まれるということで計算しております。
  95. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 随分六百万トンから二千四百万トンということで幅がある試算であると思います。この試算の中には、幾つか前提を組み合わせてやったから幅があるということだと思いますので、やっぱり幅があるということはそれだけ政策に選択肢があるということで、これ、しっかり効果を見ながら、効果が高い方に限られた財源、税制も裏を返せば財源ということになりますので、それをしっかりとやっていく必要があるというふうに思っております。  次の質問させていただきたいと思うんですけれども、税制だけではなくて温暖化対策のための補助金、様々政府で行われております財政支出、平成二十四年度、二十五年度で政府全体で幾ら掛けているのかということをお伺いしたいと思います。
  96. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) 地球温暖化対策のための政府全体の予算額といたしまして、平成二十四年度は九千七百九十九億円、平成二十五年度は八千二百七十六億円でございます。
  97. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 今、二十四年度が九千七百億円超、また二十五年度が八千二百億円超ということでございますけれども、これだけのお金を掛けてどういう効果があったかということはやっぱりきちっと測定していかなければいけないと思います。CO2の削減、そして産業への影響というものも評価対象にしなければいけないと思いますが、これだけ財政措置を行うことによって産業にどれぐらいプラス面があったか。また一方で、温暖化税を掛けることでの産業へのマイナス面、どういったものがあったかということをお伺いしたいと思います。
  98. 清水康弘

    政府参考人清水康弘君) 温暖化対策税ということで申し上げますと、税収によって省エネルギー機器や再生可能エネルギー設備の普及促進が進むということで、環境投資が拡大し、新たな市場や雇用が創出されるという面がございます。また、化石燃料の消費量、すなわち輸入額が抑えられるというような効果もあって、国内の産業活性化に寄与する面があるというふうに思っております。また、エネルギー集約産業についてはマイナスの影響があるということも言われております。  したがって、温暖化対策税におきましては、CO2排出量に応じて広く薄く負担を求めることで特定の分野や産業に過重な負担となることを避けております。また、急激な負担増とならないよう税率を三年半掛けて段階的に引き上げる、それから、エネルギー集約度の高い産業などにつきましては免税、還付など各種負担軽減措置を講じております。こういった措置により、産業への影響をできる限り少なくするような形で実施してまいります。  以上です。
  99. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 今御答弁にありましたように、環境投資などで新しい産業が生まれて雇用が生まれるというメリットもある一方で、エネルギー集約産業については税を課すことでデメリットを受ける、そういう場合もあるという、定性的なそういう御評価がありましたけれども、これはCO2の削減とまた産業がプラスになったかマイナスになったかというのは、これは測定可能なものでありますので、なるべく定量的に評価をして、政策の効果がどうだったかということを分析をした上で、また来年度予算、その次の予算、また長期的な政策というものに反映をさせていっていただきたいというふうに思います。  これ、政府全体としては八千億円から九千億円掛けているということでありますけれども、この財政支出、風力発電や太陽光発電、水力発電、地熱発電、また潮力、波力、バイオマス、その他再生可能エネルギー、また熱利用など、省エネ促進、様々な幅広い予算が幾つもあります。しかも、環境省だけではなくて、資源エネルギー庁や国土交通省、農水省、文科省、総務省、内閣官房総合海洋政策本部というところまで要求が出ている、そういう幅広い予算でございますけれども、この中には、中長期的な技術開発もあれば、すぐに太陽光発電など短期的に効果が出るというものもいろいろ含まれています。お金の使い方によってはいつまでも効果が出ないようなものも中には入ってくるのではないかと思います。きちっと評価をしなければいけない。  いずれにせよ、政府がそれらを一元的に評価をして、各省単独ではなくて、縦割りではなくて、一元的に評価をして、より効果が出るものに選択と集中を行っていく必要があると思うんですけれども、今そういった評価を行っているところがあるように私は感じられません。各省に話を聞いていますけれども、そういった評価を部分的に個別にやっているところはあるんですけれども、政府全体として並べてやっているということがない。これはやっぱり環境省が、温暖化、また再エネ、省エネを進めていくイニシアチブを取るのであれば環境省がやっていくべきことではないかというふうに私は思っております。これは御答弁結構です。おいおいいろいろ御提案をしていきたいと思いますので、次の質問をさせていただきたいと思いますが。  公明党は、温暖化対策、また再エネ、省エネを進めるグリーン税制、税制全体のグリーン化ということが大臣の御所信にもありましたけれども、公明党として緑の贈与税制というものを主張させていただいております。これは、高齢者が子や孫等に対して太陽光発電設備や高効率の給湯機器等の低炭素化設備を普及させるために贈与する場合、これに贈与税を非課税にする措置を、そういったことを創設するということを求めているものでございます。  繰り返し環境省にも個別にお話を伺っておりますけれども、現在の検討状況、また取組状況を伺いたいというふうに思います。
  100. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) 緑の贈与につきましては、この贈与を行う場合に贈与税を非課税にする特別措置につきまして、環境省が税の当局に現在要望しているところでございます。  ただ、いろんな課題もございまして、特に設備を贈与する場合には、不動産のような登記制度がないことから、贈与行為をどのように確認するかという、こういう課題がございまして、そういう点につきましても併せて検討も並行して進めているところでございます。
  101. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 今の御答弁は、公明党の部会等で、一か月か二か月ぐらい前でしょうか、伺った答弁と同じでございます。進展がないように感じます。もっとしっかりと検討していただきたいというふうにここで強く要望しておきたいというふうに思います。  この緑の贈与を非課税として推進することによって贈与税が減ってしまうということを財務省は心配する向きもあると思いますけれども、これ一方で消費税が消費が増えるということによって相殺又は税収増につながるという試算もあります。また、こういう制度ができたら使いたいという、そういう意向を調査している民間の団体のアンケートで、かなりの方が、資産を持っている高齢者の方がこういったものがあればやりたいという、そういう回答調査結果として出ております。  化石燃料への依存、これを減らすということは、政府全体にとっても、また温暖化対策を推進していく上でも大きな前進だと思いますので、実現に向けて一層の取組お願いしたいと重ねてお願いを申し上げます。  次に、再生可能エネルギーの促進と環境技術を活用した成長戦略への貢献という大臣の御所見の中で、まずは成長戦略への貢献をする上で政府として戦略がそもそもあるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
  102. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) 再生可能エネルギーの最大限の導入を実現するため、政府としても一丸となって取組を進めているところでございます。  例えばでございますけれども、我が国技術により世界全体の温室効果ガスの大幅な削減に貢献するため、本年九月でありますが、総合科学技術会議におきまして、環境エネルギー技術革新計画を改定いたしまして、再生可能エネルギーを含む環境エネルギー技術開発を中長期的に推進し、その国内外への普及に積極的に取り組むところとしたところでございます。
  103. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 今、例えばということで御紹介ありましたけれども、環境エネルギー技術革新計画、これが戦略であるという、そういう御答弁だったかと思うんですけれども、これを拝見をいたしますと、新しい技術を開発しようと。既存技術の普及には限界があるので、それで世界に貢献していくんだという非常にロマンがある計画だというふうに思うんですけれども、何によってどれだけCO2を削減するという、そういったものはないんですね。技術革新も非常に重要だというふうに思いますけれども、この既存技術の普及というところについて、もっと計画を立てていくべきではないかというふうに私は思っております。  スウェーデンに調査に行ったときに、ある五万人ぐらいのカールスクーガという自治体なんですけれども、そこでバイオガスのプロジェクト、来年から稼働するということで見てきたんです。このバイオガス、日本でもやっていますけれども、様々な実証実験をいろんなところでやっています。例えば神戸の下水汚泥を使ったものは有名であります、大規模で。このカールスクーガというところの小さな五万人のところで民間のガス会社が、神戸で大々的にやっているようなバイオガスを、これは二酸化炭素等を除去して通常の天然ガスのようにして使えるようなプラントだったんですね。  こういったことを日本では様々、実証実験でいろんなところでやっているんですけれども、まだまだ商業ベースに乗らないんですね。実証実験の結果報告見ると、こういう課題がありますというところで止まって次が続いていかない。でも、スウェーデンのような小さな国ではもう既に民間の商業ベースに乗せて普及されようとしているということで、これは私は日本の補助金のエネルギー・環境分野における使い方の間違いなのではないかというふうに思っておりますけれども、環境省、いかがでしょうか。
  104. 関荘一郎

    政府参考人(関荘一郎君) バイオガスの利用につきましては、例えば下水の終末処理場におきましては汚泥の消化ということでメタン発酵をすると、これはもう長年行われてきておりまして、定着しております。また、食品廃棄物を集めまして、食べ残しでございますけれども、これをメタン発酵しましてメタンガスとして供給するようなものも、商業ベースに乗っているものもございます。ただ、全般的に、様々な有機物の廃棄物を集めますときには、原料の収集方法やその量のばらつき、供給先での必要な熱の温度帯や量など地域ごとに様々でありますので、この辺が普及の妨げとなっております。  環境省といたしましては、農林水産省と連携事業ということで、特に農村域におけるバイオマスの活用、バイオガス事業を進めているところでございます。
  105. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 本日はちょっと時間がないのでこの辺でとどめさせていただきたいというふうに思うんですけれども、今様々な課題があって、それを解決をしていくために農水省等と組んでやっていくということだと思うんですけれども、技術開発よりも、そうした今ある課題、割とローテクな問題だったりします。そういう課題を解決をしてこの地産地消、また地域での、地域主体の再生可能エネルギーを進めていくということは、私は非常に確実で地域の産業、雇用に直結するものだと思いますので、是非力を入れて、バイオガスだけではなくて進めていっていただきたいと思いますが、最後に、この再生可能エネルギー、省エネの普及促進に向けた大臣の決意をお伺いして、質問を終わらせていただきます。
  106. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま竹谷委員政府委員の答弁を聞いておりまして、竹谷委員が物足りないなという思いを持たれたことを非常に私も横で感じておりました。  やはり実証をいかに商業化につなげる、これはやはり二〇三〇年のCO2の削減目標、二〇五〇年の削減目標への工程表、これをしっかりと政府、また環境委員会でこれぐらいのことをやろうということをやって初めて現場が付いてくる。個々の、今バイオガスのお話がございましたけど、そのほかにもジオサーマルもありますし洋上浮体式風力もありますし太陽光もあります。こういうものをやはりしっかりとバックアップする税制、また補助金等々をつくって低炭素な社会をつくるために尽力をさせていただきたいと、議論を聞かせていただきまして強く感じました。
  107. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 終わります。
  108. 水野賢一

    ○水野賢一君 みんなの党の水野賢一でございます。  まず、ちょっと昨日起こったことについての話なんで質問通告が今朝になってしまって申し訳ないんですが、昨日、千葉県でPM二・五が非常に高い濃度になったということで注意情報を出しましたよね。これ参考人で結構ですけれども、この千葉県が出した注意情報というのは大気汚染防止法に基づく注意報とかとは違うわけですよね。
  109. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) 御指摘のとおりでございまして、これは、PM二・五につきまして注意喚起のシステムをこの春につくりました。これを今自治体で運用していただいておりまして、大気汚染防止法に基づくものということではございませんで、環境省が示した指針に基づく注意情報を流したと、こういうことでございます。
  110. 水野賢一

    ○水野賢一君 大気汚染防止法ではいろんな注意報とか、一番重いのは重大警報とかと出せるようになっていますよね。それで、一番典型的なのは光化学オキシダントについて、光化学スモッグ注意報というふうに俗に言われているやつですけれども、これ、光化学オキシダントだとか若しくはSPMとか硫黄酸化物とか一酸化炭素とか、そういうようなものはこの大気汚染防止法とかそれに基づく施行令によって注意報を出せるわけだけれども、PM二・五はそもそも出せないんじゃないですか。この大気汚染防止法に基づいてPM二・五の注意報はそもそも現行法では出せないんじゃないですか。
  111. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) 大気汚染防止法に基づきまして、一定の物質については注意報あるいは重大警報を政令で決めることになっております。PM二・五は環境基準を作りましてまだ間もないわけでございますが、大気汚染防止法上の規定を制定しておりませんので法律上の措置としてはできないと、それを運用上指針に基づいてやっていただいているということでございます。
  112. 水野賢一

    ○水野賢一君 言っていることは分かりますよ。環境基準について、PM二・五は最近できたばかりだからということで。それは分からなくはないけど、同じ粒子でももうちょっと大きいいわゆるSPMなんかだと、これは出せるわけでしょう。SPMだとかSOxだとか二酸化窒素だとか、そういうようなものに関しては大気汚染防止法に基づいて注意報を出そうと思えば出せますよね、そういう事態になったら。  PM二・五はまだそうなっていないというのはちょっと違和感もなきにしもあらずですけど、現状はそうなっていますよね。
  113. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) 御指摘のとおりでございまして、ここ何十年か大気汚染防止に取り組んできております硫黄酸化物あるいは浮遊粒子状物質、SPMでございますね、それから一酸化炭素、二酸化窒素、オキシダント、こういうものにつきましては、大気汚染防止法上、注意報とか警報を発出するレベルを決めておりまして、そういう事態になりましたら、注意喚起をしましたり、あるいは一定の大気汚染を抑制するような措置をとると、こういうことになっております。  PM二・五につきましては、この正月以来の状況に鑑みまして、急遽、指針という形で制定をいたしたわけでございますが、大気汚染防止法上の措置としてはまだ制定しておりませんので、そういうことは今は運用上やっていただいていると、そういうことでございます。
  114. 水野賢一

    ○水野賢一君 PM二・五についてはいろんな科学的知見とかそういうようなものをまだ蓄積していく段階ということは分かるんですけど、今局長の答弁でも、まだ制定していないというふうに、まだ法令に基づく注意報とかは出せる状況じゃないということは、いずれ知見が高まっていったりとかすれば、それは同じように、そのほかの光化学オキシダントだとかNOxなんかと同じように法律に基づく注意報とかも出せるようにする余地は十分あるということですか。
  115. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) 大気汚染防止法上にそういう仕組みがございますので、この制定がどうかということは検討課題であろうと思っております。  今御指摘ございましたが、PM二・五につきましては、この春に日本の第一線の専門家に集まっていただいて注意報のレベルを決めるというような作業をさせていただきました。その後もフォローアップの会議なども開いているところでございますが、日本の今の国内レベルでどういうデータが集められるかというところについてはまだまだ課題が多いというような現状一つございます。  それから、あと少し制度的な話になりますが、大気汚染防止法上の措置は注意を促すというだけではありませんで、特に固定の発生源とか自動車から出てくるような物質が想定されておりましたので、法律上、レベルに応じてでありますが、抑制を協力要請をしたり、あるいはもうちょっと重大な事態になりますと、固定の発生源については命令を掛けたり、あるいは自動車については公安委員会に一定の措置を要請をしたりとか、そういう措置がございます。  ちょっとPM二・五について、こういうものがうまく当てはまるかどうかとか、そういう検討課題はあろうかというふうに思っております。
  116. 水野賢一

    ○水野賢一君 恐らくPM二・五の場合、中国由来もあるんじゃないかとか、若しくは二次生成なんかも多いとかと、そういういろんなことが背景にあるんでしょう。いろいろそこは、そういうことをいろんな角度から今後研究していただければと思いますが。  では、本日の本題の原子力の問題についてお伺いしたいんですが、去年、原子力規制委員会というのが設置をされて約一年余りたつわけですね。私たちみんなの党は原子力規制委員設置法には反対したんですが、しかし、この一年間の原子力規制委員会の仕事というものについては私たち評価をさせていただきたいというふうに思っていますが。  その中で、原子力規制庁について法律の中でこう書いてあるんですね。いわゆるノーリターンと言われている話ですね。原子力規制庁の職員が要するに例えば経済産業省から出向をして規制の仕事をしていたら、また戻ったら原子力推進というんじゃ、これはやっぱり社会的信頼も得られないというふうなことの中で、要するにそういうところには戻らないというノーリターンルール、これは実は規制庁が設置されてから五年間は猶予期間というのがあるので今日の時点では発動されてはいないわけですけれども、その五年間ももう一年たったわけですね。  そうすると、委員長もおいでなのでちょっとお伺いをしたいんですが、これノーリターンというのは、法律見ると、原子力の利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を認めないとかという非常に曖昧な書き方ですよね。つまり、この部署のここは駄目よと書いてあるわけじゃないので、多分、この原子力推進に係る事務を所掌する行政組織に配置転換しないといっても、具体的にどこなんだとかということを今から決めていかなきゃいけないんじゃないですか。その辺の検討状況はどうなっているのか。もしあれだったら、事務方でも結構です。
  117. 森本英香

    政府参考人(森本英香君) いわゆるノーリターンルールにつきましては、規制委員会が原子力利用の推進と規制を分離するということでつくられたことを鑑みまして、いわゆるその職員の配置につきましても推進と規制の分離を図るという観点からやるということでつくられたものでございます。  おっしゃるとおり、法律上は原子力の利用の推進に係る事務を所掌する行政機関への配置転換を認めないということで書かれております。現状においてまだ、先生にも御指摘いただきましたが、五年の経過措置ということなので、これについてまだ検討は進めておりませんけれども、今の法律の趣旨、またノーリターンの趣旨に沿って、今後その運用を検討していきたいというふうに考えてございます。
  118. 水野賢一

    ○水野賢一君 月日が流れるのは早いわけですから、五年と言っていてもだんだん、もう一年たったわけですから、これはしっかりと検討をしていただければと思いますし、これは本質は、要するに今日規制と言っている人たちが、明日はじゃエネ庁とかで原子力の立地の増設だとかなんとかと言っているんじゃ、これは当然信用を普通に考えてされないわけですから、だからそういうのが駄目だと言っているわけであって、この趣旨を踏み外しちゃいけないわけであって、そういう意味で、どこまで厳格にやるかというのは物の常識の判断が当然あるというふうに思いますけれども。  これ原子力規制委員会というのは環境省の下に置かれているわけですけど、環境省側から何か、政治レベルでも何かありますか、これに対する答えは。
  119. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) これは、当然のことながら法律に基づいてしっかりやっていくということだと思います。ただ、どこの範囲までという話になりますと、これは具体的にはやはりその人事の中でどういうふうにやっていくかということでありますから、これはもう規制委員会そのものの課題だと認識しております。
  120. 水野賢一

    ○水野賢一君 社会通念上、常識を踏み外さないような形でルールを作っていただければと思いますが。  今、原子力規制委員会の話聞いたんですが、原子力委員会というのがありますよね。原子力委員会で原子力委員というのが本来五人定数でいるんですが、原子力委員のこれ任期というのは何年ですか。
  121. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) ただいま原子力委員会の五人の任期は、これはもう今切れているわけでございますが、今三人、任期の職務継続規定により在職しております。
  122. 水野賢一

    ○水野賢一君 本来の任期の長さというのは、今切れているということは私も知っていますけど、本来の任期の長さは何年ですか。
  123. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 任期は三年でございます。
  124. 水野賢一

    ○水野賢一君 それ、いみじくも今副大臣おっしゃったように、三年が切れているわけですよね。じゃ、具体的に切れてどのぐらいたっているのかというのは、じゃ今三人在職していますけど、原子力委員に、いつ切れたんでしょうか。
  125. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) ただいまの状況でございます。近藤駿介委員長平成二十五年一月の五日でございます。鈴木達治郎委員平成二十四年十二月三十一日、そして秋庭悦子委員平成二十四年の十二月三十一日でございます。
  126. 水野賢一

    ○水野賢一君 つまり、今おっしゃられたように、任期が切れたのは十か月前とか十一か月前なわけですよね。  それで、じゃ普通は、これ国会同意人事なんですよね、国会同意人事、原子力委員というのは。国会同意人事は、任期が切れたり、というか、普通は切れる前なんだけど、切れる前とか若しくは欠員が生じた場合は、国会の方に、新しい人はこういう人たちをよろしくお願いしますといって国会に承認を求めるのが普通だと思いますけれども、政府の方ではそういう承認を求めていますか。
  127. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) ただいまの御質問でございますが、例の三・一一の問題が起こって以来、今、内閣官房に設置いたしました原子力委員会の在り方見直しのための有識者会議というものを置きまして、原子力委員会の在り方そのものについて速やかに考え方を出して、それから改めて国会の同意人事を求めようと、そういう方向で今検討しているところでございます。
  128. 水野賢一

    ○水野賢一君 いや、私の質問は、ですから提示を国会にしていますかと、任期切れで欠員があるけど、提示していますか。ということは、今のお答えでいうと、切れているけれども提示していないということですね。
  129. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) そのとおりでございます。
  130. 水野賢一

    ○水野賢一君 今の後藤田副大臣の答弁は、この原子力委員会の在り方を検討しているから、在り方を検討しているから、任期が切れているんだけれども、三年の任期の人が三年十か月とか三年十一か月在職していて構わないというように聞こえるんですけど、何で在り方を検討していると、原子力委員会の在り方を検討していると、何で任期切れが許されるんですか。
  131. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) この夏から内閣官房で在り方を検討している中で、なかなか今の状況の中で新しい委員の方の同意は得にくいという考え方もあり、まだ同意人事として提出する状況にはないという判断でございます。
  132. 水野賢一

    ○水野賢一君 いや、そんなばかな理屈はあり得ないのであって、同意を得にくそうだから国会に政府が国会同意人事のものを提出しないなんというばかなことはあり得ないわけであって、同意するかどうかは国会が決めるのであって、政府が何で国会の同意が得にくそうだから任期切れの人を職務継続規定で続けさせて、そんなこと許されるわけないでしょう。
  133. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 今、抜本的に見直しをするということにしています委員会につきまして、今回、今お話ありましたとおり、三年間の任期の同意人事案、これは今、繰り返しになりますけれども、新たな方に就任していただく、内諾をお願いすることがやはり非常に困難であると、この状況は否めませんので、国会に提出するかどうかという問題は議論があると承知しております。
  134. 水野賢一

    ○水野賢一君 じゃ、この原子力委員というのは、再任できる規定はありますか、ありませんか。
  135. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 先ほども申し上げましたとおり、職務継続規定というのが原子力委員会設置法六条にございますので、今の段階では三人の方に職務継続をしていただいているという状況でございますし、やはり三名であれば委員会として機能していると思います。
  136. 水野賢一

    ○水野賢一君 いや、私が聞いたのは職務継続規定の話ではなくて、同じ人を再提示するということはできるんですかということを聞いているんです。
  137. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) それは可能だと思います。
  138. 水野賢一

    ○水野賢一君 可能なんですよ。可能である以上、後藤田さんの今の理屈は、新しい人に就任してもらうことが難しいというんだったら、同じ人に、今現に三人仕事をしているわけでしょう。同じ人を再提示をして国会の了承をもらうのが当然でしょう。だって、国会は、任期三年の人事で、三年十か月ぐらい前に承認しているんですよ。それだったら、その任期が切れた時点で、同じ人に職務をしてもらう以上、再提示をするのが当然じゃないですか。
  139. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 委員も御承知のとおり、当初の五人の委員の中のお二人が、大庭委員と尾本委員が一身上の都合で辞任されているということは御承知のとおりでございますが、三名についてこのまま、やはり改めての委員会の在り方を検討した上で、そして新たに委員として我々は国会同意人事を提出したいと、こういう考えでございます。
  140. 水野賢一

    ○水野賢一君 今の話は初めて聞きましたけど、要するに三人については国会に新たに同意人事案として今国会に提出するということですね。
  141. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) これは、繰り返しますが、今内閣官房において原子力委員会の在り方について検討しているところでございます。その検討を速やかにした上で、適切な委員の方を提出するという今我々の方向でございます。
  142. 水野賢一

    ○水野賢一君 いやいや、今あなたは国会に提示するって言いませんでしたか。その三人の方、三人の人というのは、今現在、任期切れなんですよ。だけど、仕事しているわけでしょう。だから、それはおかしいと。その職務ずっとやっているんだったら、任期が切れた段階で国会の承認を求めるのが筋でしょう。それを提示するというふうに、そういう言い方したんじゃないですか。
  143. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 任期が切れておりますけれども、何度も繰り返しますけれども、三人の方は、これは職務継続の規定により今三人の方にやっていただいているということでございますが、国会に提示するのは、先ほど来申し上げますとおり、委員会の在り方を考えた上でそれは速やかにその中で新しい委員を推薦したいと、こういう考え方でございます。
  144. 水野賢一

    ○水野賢一君 いや、そんなばかな理屈はないんですよ。職務継続規定というのは確かにありますよ。だけど、それは本来、例えば政府としては提案をしたと、だけど国会が承認しなかったりしたときに空白になっちゃうから、空白になっちゃいかぬということで、今までやっていた人がその職務をしようがないから続けるって、これはあり得ると思いますよ。  ところが、今政府のやっていることは、意図的に人選を提示をしないと、だから後任が決まらないということで、意図的に後任をつくらないで、だからそれによって後任が決まらないから職務継続規定って、そんなことが許されたら任期の意味がなくなるというふうに思いませんか。
  145. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 繰り返しで恐縮でございますが、在り方を検討した際には、原子力委員会そのものの在り方がどうなるか、また、後継組織というものが新たに立ち上がる可能性もあったり、組織そのものが改廃、こういう可能性があるということでございます。そういう中で、私どもは、新たに国会同意人事を出すよりも、そのいわゆる在り方の方向性を見定めた上で、それがしっかりと新しい形になったときに皆様方国会に同意人事をお出しすることが適切だと、そう考えております。
  146. 水野賢一

    ○水野賢一君 いや、そんな理屈は通用しないんです。常識で考えて、要するに例えば一か月後にこの組織が廃止されるとかというなら分かりますよ。一か月後に廃止されるならば、一か月間の任期だけの人を提示するというのはそれはおかしいから今までの人をやってもらうって、これは分かりますよ。じゃ、いつ原子力委員会は廃止されるんですか。それも決まってないんでしょう。
  147. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) いや、これにつきましては、今申し上げたとおり、いつどうなるか、どういう形になるかということを、この夏から内閣官房において在り方について今検討していただいておりまして、それを速やかに、決まり次第、新しい委員というものをどういう形で国会にお出しするかということを検討してまいると、そういう状況でございます。
  148. 水野賢一

    ○水野賢一君 その理屈が大体おかしいんであって、じゃ、原子力委員会というのは廃止しようと思ったらすぐ廃止できるんですか。例えば政令か何かで廃止できるんですか。
  149. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) この原子力委員会の在り方について今まさに内閣官房で検討しているところでございますので、廃止するしない云々につきましては、私どもとしては今のところ内閣官房の検討結果に委ねたいと思っております。
  150. 水野賢一

    ○水野賢一君 原子力委員会というのは、原子力委員会設置法で決まっているんですよ。ですから、仮に廃止したり後継組織をつくるったって、そんなものは法改正をして、しかも、その後、法律が改正された日に廃止されるわけじゃないんだから、つまり、どんなに早くたって、じゃ今、この人たちの任期は三年十か月ぐらいたっているのが四年にはならないというふうに保証できますか、四年以上になるんですよ、必ず。
  151. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 今の四年以上になるということでございますが、私どもは内閣官房でその在り方を今できるだけ速やかに、検討結果をお待ちしている状況でございますので、それは、その期限については今私がこの立場で申し上げることはございませんが、そうすることがないように頑張っていきたいと思います。
  152. 水野賢一

    ○水野賢一君 いや、大体、今検討しているったって、じゃ、検討結果はいつ出て、いつ法律を法案として出すんですか。
  153. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) この点につきましては、今まさにその検討中でございます。それはもちろん速やかに出すことができればそれは望ましいことでございますが、我々、原子力委員会というものの今国民的な注目、そして原子力政策については大変注目されておりますから、それはしっかり慎重に懇談しながら、そして検討しながら決めてまいるというのが方向でございます。
  154. 水野賢一

    ○水野賢一君 注目されている大事な部門だからこそルールを守るべきなんでしょう。ルールとして任期は三年なんですよ。三年のものを平然と任期以上に職にとどめておくって、そんなことは、それが原子力だからこそけしからぬのですよ、ほかの分野でもけしからぬけど。  じゃ、近藤委員長、来られているのでお聞きしますけど、近藤委員長は任期が三年が切れたときに、自分としては職務を続けさせてくれというふうに、自分がずっとやらせろというふうに言ったんですか、それとも政府の方が後任が決まるまでやってくれというふうに政府の方に頼まれたのか、ちょっとそこを教えていただきたいと思います。
  155. 近藤駿介

    政府参考人(近藤駿介君) 後者でございます。
  156. 水野賢一

    ○水野賢一君 そういうことなんですよ。だから、政府が勝手に後任者が決まらないということで、職務継続規定でもう四年近くになるわけですよ。じゃ、何年間までだったら後藤田さんは許されるというふうに思っているんですか、三年の任期の人が、何年間までだったら許容範囲だと思っているんですか。
  157. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) 私の立場で何年間だから許されるということを申し上げる立場にはございませんが、今お話ありましたとおり、今の状況は職務継続規定ということで延ばしているわけでございますが、これは正常な状態ではないと思っています。ですから、それは速やかに、先ほど来繰り返し申し上げておりますが、在り方をしっかり見直して、そして新しい組織の上で新しく委員を国会の同意人事に上程したいと、こういう考え方でございます。
  158. 水野賢一

    ○水野賢一君 いや、正常な状態じゃないと思うのは当たり前なんですよ。じゃ、この三年の任期の人が、国会で三年で任期で承認された人が三年十か月ぐらい続いているのは、これはもうやむを得ない、許容範囲だというふうにお思いなんですか。
  159. 後藤田正純

    ○副大臣後藤田正純君) これにつきましては、三・一一というあの痛ましいああいう問題が起きたわけでございますから、改めてこれは、原子力委員会の在り方がどうあるべきかということは、これはもう国民的な議論としてしっかり我々政府責任を持って新しい体制で臨むということには変わりませんが、その任期ができるだけ長くならないように、しっかりと法改正も含めて、同意人事案も含めて出すように努力してまいりたいと思います。
  160. 水野賢一

    ○水野賢一君 いや、話が全然かみ合わないんですけど、三・一一があった、だから原子力委員会の在り方を検討する、そのことは誰も別に否定しないんですよ。検討するのは結構だけど、検討している間だって原子力委員会はあるんだから、そのときに、何で任期が切れた人が意図的に、政府が後任を選ばないということによって意図的にいつまでも職にとどまっているのかということを言っているんです。別に検討をしていたって、ちゃんと同意人事案を提示することはできるわけでしょう。  結論的にこれは話かみ合いませんので、もう質問はこれだけにいたしますけれども、原子力という極めて透明性とルールの遵守が求められている分野で、この政府の態度に対しては非常に不信感を持ちますけど、最後にじゃ、大臣、これ何か、自分の直接の所掌じゃないかもしれませんけど、何かありますか。
  161. 佐藤信秋

    委員長佐藤信秋君) 時間でありますので、大臣、答弁は結構です。
  162. 水野賢一

    ○水野賢一君 簡潔にお願いします。
  163. 佐藤信秋

    委員長佐藤信秋君) じゃ、一言。
  164. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 内閣府において適切に処理されるべきだと思います。
  165. 水野賢一

    ○水野賢一君 不適切なんだ、今は。  終わります。
  166. 市田忠義

    ○市田忠義君 今日は汚染水問題についてお聞きをいたします。  原子力規制委員会は、昨年十一月に福島第一原発を特定施設に指定をして、同年十二月、東電から実施計画が提出をされました。それに基づいて、その実施計画案を評価する第一回評価検討会が十二月二十一日に行われました。そこに提出された東電実施計画しているリスク低減方策によりますと、想定されるリスクとして、滞留水処理計画での放射性物質の系外放出リスク、滞留水発生量の増加リスク、海洋汚染拡大防止計画での放射性物質が地下水に流出した際の海洋への放出リスク、港湾内の放射性物質の海洋への拡散リスクなどが示されている。これは間違いありませんか。
  167. 山本哲也

    政府参考人(山本哲也君) ただいま御指摘ありましたのは第一回目の検討会の資料で、東京電力から示された資料の中の記載のとおりでございます。
  168. 市田忠義

    ○市田忠義君 この当時示されていた滞留水、処理水の貯蔵タンクからの漏えい、建屋内への地下水の流入と汚染水の海洋への流出などの、いわゆる当時想定されていたリスクが今現実に毎日起こっているわけです。  この第一回検討会で東電側が、滞留水がもう二十三万トン以上もたまっているので、適切に対処していかないと発電所が水だらけになってしまうと説明した。これに対して外部専門家からは、滞留水みたいにこれからどんどん量が増えていくと、量が増えるによってリスクも増えていくと。地元では汚染水のタンクをこれから幾つ造るんだろうと日々心配されているという意見が出されました。また、規制庁側からは、今付いている設備は仮設的なもので造っているわけで、きちんとリスクをまとめる必要があると、こういう意見も出された。  要するに、検討会の議論でも東電のリスク評価対策に対して危惧する意見が多く出されたと、これも間違いありませんね。
  169. 山本哲也

    政府参考人(山本哲也君) 委員指摘のように、福島第一につきましては様々なリスクがございますので、そういうリスクを全て洗い出して、そのリスクを全体としていかに低減していくかと、こういう観点から議論を行ったものでございます。
  170. 市田忠義

    ○市田忠義君 さらにちょっと確認したいんですが、今年の一月二十四日の第二回検討会に提出された東電のリスク評価についてでは、海洋への更なる放射性物質放出として、汚染水処理設備、貯蔵タンク、汚染水が滞留している建屋などを挙げていると。リスク分析の結果に基づく対策としては、漏えい検知器や監視装置を設置する、フランジボルトによるタンク接合部の止水対策、水を止める対策ですね、これを実施するなどを示している、これも間違いありませんね。
  171. 山本哲也

    政府参考人(山本哲也君) 御指摘のとおりでございまして、特にフランジ型のタンクにつきましては、その接合部からの漏えい事象が過去も幾つかございましたので、それの保守管理であるとか止水対策、それから万が一漏れた場合の堰の設置、そういったところの対策を議論したところでございます。
  172. 市田忠義

    ○市田忠義君 今挙げた対策は、信頼性向上対策と銘打って示されたわけですが、今現実に起きている汚染水の漏えい事故というのは、監視が全く不十分な中でタンクの接合部から漏えいが起きていると。信頼性向上どころか、信頼性を低下させている。  第二回検討会当時に示された原子力規制委員会が持っていた問題意識、大きく言って二つあったと思うんですが、これも事実確認しておきたいと思うんですけど、第一の問題意識として、特定原子力施設の主なリスク要因及びリスク影響評価を挙げている。各工程のプライオリティー付け、優先順位、工程前倒し、遅延の評価を適切に行う。リスク分析に基づく対策の優先度を明確にする必要があると、これが第一の問題意識。  第二に、いわゆるALPSからの漏えい防止、試験開始などにあったと。特に、私ずっと検討会何回かのやつ全部見ましたけれども、ALPSの運転開始の実施状況などについては毎回の検討会で議論になっている、これも間違いありませんね。
  173. 山本哲也

    政府参考人(山本哲也君) 御指摘のとおりでございまして、まず、リスクにつきましては、福島第一については様々なリスクがたくさんございますので、委員指摘のように、優先順位、スケジュール、そういったものを十分勘案して対策を優先的に進めていくということを議論いたしました。  それから、ALPSにつきましても、これはRO濃縮水という放射性物質を含んだ水を処理をするものでございますけれども、これらについても、この処理をした後のHICと呼ばれる廃棄物を入れました容器の安全性について十分な議論をいたしたところでございます。
  174. 市田忠義

    ○市田忠義君 当然、規制庁としては汚染水のリスクは承知をしていたと。その対策の優先度を明確にすることと、ALPSの漏えい防止と性能確認の試験を東電に求めておられたと。  そこで、私、規制委員長にお聞きしたいんですけれども、規制委員会、規制庁、昨年の十二月、今年一月当時から、東電が提出をした実施計画での汚染水による放射性物質の放出リスク、海洋汚染リスクを承知をしながら、東電の地下水バイパス、あるいはALPSなどによる防止対策を認めて、規制委員会としての積極的な漏えい防止対策東電に指示してこなかった。汚染水はALPSなどで処理して、地下水はバイパスで海洋に放出すれば深刻な事態になることはないと安易に静観しておられた。しかし、昨年秋に稼働するはずだったALPSは今年九月になってやっと試運転しているが、本格的な稼働にはまだ至っていないと。また、地下水バイパスからの地下水の海洋放流は地元関係者の合意が得られずにストップしたままになっていると。  少なくとも、この時点で規制委員会がリスク対策について積極的な対応を指示しておられれば、今日のような貯蔵タンクなどからの漏えいとか外洋への漏出などの広がりを少なくとも抑えることができたんじゃないかと。  規制委員長として、どうこの問題を考えておられるか。
  175. 田中俊一

    政府特別補佐人(田中俊一君) 先ほども山本から申し上げましたように、一Fに関しては様々なリスクがありまして、汚染水対策は当初から私どもも大変気にしておりました。  結局、水はどんどん流れてきますし、溶融炉心も冷却しなければいけないと。そうすると、ある程度汚染した、特にRO水という炉心を冷却した水については、これは相当の放射能を含んでいますので、最終的にはALPSという多核種除去装置で処理をして、トリチウム以外は大体取れるということの、一応実験室レベルでのそういう性能を確認をしながら、それを稼働することを奨励してきました。  しかし、それが幾つかのトラブルがあって、実際の稼働は、今御指摘のように、最近になってようやく少し稼働し始めたというところですが、これについては今後も更なる二倍、三倍増の増設をしながら、新たな装置を開発しながらきちっと処理をしていくシステムをつくらない限りは、この汚染水問題は片付かないと思っております。  また、地下水バイパスにつきましては、これは元々原子炉の、いわゆる壊れた原子炉の周りの水でありますので、これを何とか少なくするというために地下水バイパスという方法でその水の低減化を図るということで奨励してきたものでございます。
  176. 市田忠義

    ○市田忠義君 その福島第一原発で、今年の三月、配電盤のトラブル、いわゆるネズミ一匹で大規模な停電が起こって、使用済核燃料プールの冷却装置が長時間停止をいたしました。次いで、四月には地下貯水槽から汚染水が漏出したと。七月にはタービン建屋につながる地下トンネル付近から汚染水が混じった地下水が大量に海に漏れ続けていることが判明したと。  これは規制庁にお聞きしますけれども、これらの事故評価は個別的に行ったんでしょうか、やったかやらないかだけお答えください。
  177. 山本哲也

    政府参考人(山本哲也君) ただいま御指摘がありました地下水の貯水槽からの漏えい、それから停電事故、それから護岸付近の問題につきましては、委員指摘の監視・評価検討会、あるいはその更に下に汚染水の対策ワーキンググループを設置いたしまして、それぞれごとに原因、それからそれの再発防止策、あるいは漏出防止策、そういったものを検討しているところでございます。
  178. 市田忠義

    ○市田忠義君 検討のワーキンググループを設置したとおっしゃいました。原因究明と対策は個別に全部行われたんですか。
  179. 山本哲也

    政府参考人(山本哲也君) はい、原因究明についても検討を行いました。  ただ、地下貯水槽につきましては、まだ現在その中の状況を詳しく見ることはできませんので、事故原因究明についてはまだ継続中でございます。  停電につきましては、これは明らかにネズミによりますものでございます。これは、大きな原因としましては、電源の強化対策工事を実施していたわけでありますけれども、それを一番最後の段階で重要な設備を仮設の状態で接続をし、そこにネズミが入って停電をしてしまったというものでございます。これは原因が分かっているところでございます。  それから、護岸につきましても、これは私ども汚染水対策ワーキングの中で検討いたしまして、海側の配管トレンチの先の電源トレンチの辺りが地下水で触れて汚染水が海側に流出しているのではないかと、こういう推計をいたしまして、そのために今現在その止水対策、具体的には水ガラスによる漏えい防止対策を今実施をしていると、こういう状況でございます。
  180. 市田忠義

    ○市田忠義君 東電は、八月十九日にセシウムを除去した処理水をためるタンク周辺で百ミリシーベルトを超える非常に高い放射線量を検出したと公表をしました。後日、汚染水が近くの排水溝を通じて外洋へ流出した可能性、これも明らかにいたしました。漏れた総量は三百トン、数千テラベクレルと推計されていると。同じ形のタンクは三百五十基あると。そこで、ようやく規制委員会は、国際原子力機関、IAEAに問い合わせて、二十八日、国際的な事故評価尺度の重大な異常事象としてレベル3に引き上げました。  これ、規制委員長にお聞きしたいんですが、規制委員会対応は全く遅きに失したと言わざるを得ないと思うんですけれども、そういう反省はおありですか。
  181. 田中俊一

    政府特別補佐人(田中俊一君) いわゆるタンクからの汚染水漏れについては、これは一種の事故でありますので、規制をきちっとやったから防げたかというと、必ずしもそうでもないと思います。また、東電の百ミリシーベルトとか三百ミリシーベルトとかという値はその測定自体が汚染を表すものではないのだということで、そういう評価の方法は間違いであると私は委員会でも指摘し、ようやく最近そこが修正されるようになってきております。
  182. 市田忠義

    ○市田忠義君 規制委員長の判断は、やむを得なかったと、規制委員会の方に責任はないということですね。認識が甘かったということではないと、レベル3に引き上げざるを得なかったという点で、規制委員会としては全くミスはなかったという判断ですね、今の御発言は。
  183. 田中俊一

    政府特別補佐人(田中俊一君) 規制委員会の判断のミスというよりは、一応漏れた放射能の量としてIAEA基準に照らしてレベル3に相当するという判断をさせていただきました。
  184. 市田忠義

    ○市田忠義君 昨年の九月以降、東電から高濃度放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について、たしか報告は一週間に一度、規制庁にも上がっていたはずです。深刻な状況は把握されていたはずであります。そして、四月七日、東電に対して、規制委員長の名で、漏えい汚染水のモニタリングを行うと、汚染水が海洋などへ流出しないようにするという指示を出しておられます。私は、積極的に漏えい防止対策を指示しようとすればできた、状況が把握できていたはずだということを指摘しておきたいと思うんです。  先ほど指摘した、今年の三月の配電盤のトラブルで大規模停電が起こった。使用済核燃料プールの冷却装置が長時間停止をし、四月には地下貯水池から汚染水が漏出したと。七月にはタービン建屋につながる地下トンネル付近から汚染水が混じった地下水が大量に海に漏れ続けていることが判明したと。どれも事故評価すべきトラブルですが、先ほど、今検討、原因究明中だと言われましたが、個別の事故評価、真剣にやってきたという、そういう話ではありませんでした。八月十九日の汚染水漏れというのは、私、極めて重大事故で、福島原発事故は収束どころか重大事故の上に更に重大な事故を日常的に重ねていると。  私は、規制委員会は、いわゆる東電の地下水バイパスやALPS頼みによる応急仮設の防止対策ですね、これでは駄目だと、国が責任を持って非常事態を克服するという認識を持つべきではなかったのか。この点で、規制委員長はどうですか、お考えは。
  185. 田中俊一

    政府特別補佐人(田中俊一君) 汚染水漏れというのは二つありまして、一つは海側のいわゆる壊れた原子炉の地下にたまっている水ですね。それから、トレンチ等、これはかなりレベルの高い汚染水ですので、これについてはとにかくできるだけ速やかに処理するようにということで、最終的には、その水の処理はALPSというような多核種除去装置を使って処理する以外はないということであります。  さらに、先ほど御指摘がありました、いわゆるタンクにたまった水のタンクからの漏れ、これは、タンクの設置がかなり急場しのぎでやったということがありまして、十分な健全性が保てなかったということで漏れてしまったということですので、現在は、それについては早急に代わりのタンクに移すというようなことも含めて対策を取らせていただいているところでございます。
  186. 市田忠義

    ○市田忠義君 規制委員長、今起こっている事態は非常事態だという認識ですか、それともそういう認識ではありませんか。今起こっている事態についての認識です。これは国が前面に出てどんどん対応しなければならない非常事態だという認識、これはそういう認識ですね。
  187. 田中俊一

    政府特別補佐人(田中俊一君) 汚染水対策はやはり委員指摘のように国全体の非常事態だということで、政府、国を挙げて今それに取り組んでいるところでございます。
  188. 市田忠義

    ○市田忠義君 今起こっているのは、私、非常事態だと思うんですけれども、規制委員会は八月十四日に東電実施計画をこれは十分なものだと認めるとして認可をされました。そして、留意事項の中で、地下水流入対策実施、汚染水の処理、貯蔵などにおいては依然としてリスクが存在しているとして、地下水の流入抑制対策、タンクの溶接式への更新などを着実に実施すること。東電は当該汚染水のALPSでの処理などによる線量低減対策を早急に取り組むことなどを示している。しかし、この汚染水対策中心を見てみますと、東電が当初から狙っていたように、汚染水はALPSなどで処理して、地下水は地下水バイパスで海洋に放出すると。  私、結局、東電計画を規制委員会が追認したということになるんじゃないかと。東電実施計画を十分なものと認めたその後も事故が続いているわけで、これは規制委員会としてはまずかった、良心の呵責はお感じになりませんか。八月十四日に東電実施計画は十分なものだとお認めになったけれども、それ以降も事故は続いているじゃないかと。この点についてどういうふうに認識をお持ちですか。
  189. 山本哲也

    政府参考人(山本哲也君) 御指摘のとおり、八月十四日に東京電力実施計画を認可をいたしましたが、その際には、今委員指摘のような、海側トレンチの海洋への流出のリスクの問題、それからタンクのやはり健全性の問題等々、様々なリスクがございますので、やはりそのリスクをいかに低減していくかということで、今御指摘のような留意事項という形で引き続き東電に対してはそういう対策を求めていくと、こういう形で認可をしたものでございます。
  190. 市田忠義

    ○市田忠義君 確かに、留意事項で汚染水対策を強調しておられるというのは私も読んで知っております。確かにタンクの増設、地盤改良等を挙げておられますけれども、いずれもALPSなどによる処理や地下水バイパスによる海洋への放出を前提としたものばかりであります。このように実施計画のチェックが甘いのは、私は、ちょっと言葉は悪いかもしれませんが、規制委員会が事業者のとりこになっていると思われても仕方がないと。毎日のように深刻な汚染水漏れが起こっているときに、災害防止上、防護上十分だとして実施計画を認可すると。これ、私、全くの無責任の極みと言わざるを得ないと思います。  なぜ規制委員会の危機意識が希薄だったかと。田中委員長、七月二十四日の定例の記者会見で、濃度が十分低いものは捨てられるようにしないとにっちもさっちもいかなくなると、きちんと処理して排水レベル以下になったものは排出することは避けられないというのが私の率直な気持ちだと述べられた。さらに、東電だけに押し付けて解決しないと、国全体での対応が必要だとも述べられました。  しかし、漁業関係者を始め地元は、地下水バイパスの地下水の海洋放出は認めていません。田中委員長のこのときの発言は、こういう地元の皆さんの声を無視して東電が狙っている汚染水の海洋放出に道を開くものになるんじゃないかと。委員長、いかがですか。
  191. 田中俊一

    政府特別補佐人(田中俊一君) 若干誤解があるようですが、つまり、今福島第一が置かれている状況というのは、全ての水をあそこにため込むということは全く不可能な状態です。ですから、きちっと排出基準、告示濃度を下回るところまで処理をした水については、今までも普通の原子力施設で行われているように海に排水するというようなことをせざるを得ないだろうと。それが、逆に言うと、高いレベルの放射能汚水をずっとあそこの敷地に、もう限界がありますけれども、ためておくよりはその方がリスクは少ないということで申し上げました。  その結果として、海に捨てることによっていろんな風評被害とか漁業者の心配というのが起こる可能性ありますと、それについてはやはり政治的に、あるいは東京電力が事業者としてそれについては配慮すべきであろうというようなことを申し上げたというふうに私は記憶しています。
  192. 市田忠義

    ○市田忠義君 私に何か誤解があると言われましたが、全く私誤解していませんよ。放射能汚染水を海に流出させないためにあらゆる手だて講じるというのが、私は規制委員会政府責任だと思うんですよ。  原子力災害対策本部は、九月三日の日に汚染水対策に関する基本方針を決定された。どう言われているかというと、今後は東電任せにすることなく国が前面に出て必要な対策を実行していくと。具体的に何を述べておられるかというと、具体的には、より高性能なALPSの実現について早期の事業開始を促すということと、地下水バイパスでくみ上げた地下水を海洋に放流するということについて、東電任せではなくて国が前面に立って関係者の理解を得るように最大限努力すると。結局、政府も地下水の海洋放流とALPSの処理頼みでしかないと。私は、東電政府も規制委員会も、地下水バイパスでの海洋放流やALPSでの処理頼みになっていることが応急的、仮設的な汚染水対策になっていたと、それが流出や漏えい事故を起こしてきているやっぱり要因になっていると。  結論として私申し上げたい、大臣是非見解聞きたいのは、福島原発の廃炉工程はあと十年、二十年という長期的なものであります。当然汚染水対策も、応急的、仮設的対策では解決しないことは明らかだと。もちろん、当面の応急対策も必要なことは私認めますが、やっぱりより中長期的な立場に立って恒久的な汚染水の貯水槽あるいは貯蔵施設、処理対策こそ必要じゃないかと。これは環境大臣の政治的な決断だと思いますが、いかがですか。申し上げたかったことは、当面の緊急対策だけではなくて、中長期的に恒久的な汚染水貯水槽や貯蔵施設、処理対策、こういうことに力を注ぐべきじゃないかと、この点についての大臣の見解です。
  193. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 市田委員も私の所掌外であるということを御存じの上での御質問だと思いますが、総理が、この汚染水の問題は政府を挙げて対処していくと、また規制委員長も、異常事態であると、これに対して的確に対処するという決意も述べられておりますので、これをしっかりと支えてまいりたいと思っております。
  194. 佐藤信秋

    委員長佐藤信秋君) 市田忠義君、時間であります。
  195. 市田忠義

    ○市田忠義君 まだ一分ありますよ。ストップウオッチを置いていますから。  体制問題について一つ大臣に聞きたいと思うんですけれども、汚染水対策として必要な、廃炉に不可欠な汚染水対策に今人的、物的支援を集中するということが大事だと思うんですけれども、その際、専門家からこういう意見が出されている。これは私、傾聴に値すると思うんですけれども、汚染水に係る地下水の抑制対策を進めるためには、地下水の特性、地質構造を具体的に解明する、岩盤地下水を正確に把握することが重要だと、こういう意見が専門家から出されています。やっぱり汚染水対策のためには、地下水、地質の専門家である産業技術総合研究所を始めとする研究機関を総動員する体制づくりを進めると、これが大事だと思いますが、いかがでしょう。
  196. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) これも私の所掌外で、経産大臣がこの問題に取り組まれておりますけれども、やはり阿武隈山系の方から水が流れてくるわけですから、その水が汚染している建屋等々に接しないようにすると。そのために英知を絞って、傾聴に値する意見があれば参考にして問題の解決に当たることが急務であると考えております。
  197. 市田忠義

    ○市田忠義君 終わります。
  198. 清水貴之

    清水貴之君 日本維新の会の清水貴之と申します。私は、七月の参議院選挙で初めて議席をいただきましたので、この質問が初めての質問ということになります。どうぞよろしくお願いいたします。  私、議員になって三か月余りが過ぎましたけれども、大変驚いていることがありまして、それはこの国会で出回っています紙の資料の多さなんです。毎日、議員の事務所に届く資料、そして各省庁の皆さんからレクを受けるときの配られる法案に関する資料、これ多分皆さんお思いじゃないかなと思うんです。新人の私なんかでそれだけ思うんですから、大臣のところなどはもっともっとたくさんの資料が届いているんじゃないかと想像するわけですけれども。  やはり、環境問題を考える上で資源の有効活用というのは大変大変大切な問題です。今は紙をあえて、大切な資料だということももちろん理解はしているんですけれども、紙の資料を使わなくてもタブレット端末なども普及してきていますし、ほかの方法もあるんじゃないかと、もっと何か考えられることがあるんじゃないかなとこれ常々思っておりますので、大臣のこの辺りについてのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  199. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ちょっと環境委員会を離れる御質問かと思いますが、やはり有限な資材でございますんで無駄に使っちゃいけないというのが環境大臣の立場でございます。その立場を行政側あるいは立法府の国会等々が尊重し取り組まれるということが望ましい、こんなふうに考えております。
  200. 清水貴之

    清水貴之君 ありがとうございます。是非大臣自ら率先して進めていただければというふうに思っております。  私は以前テレビの仕事をしておりまして、様々な現場に取材に行ってまいりました。そこで東北の被災地にも何度も何度も足を運んできまして、皆様からお話を聞かせていただいたことをやはり国政に伝えていく、現場の声を国へ届けていくということを念頭に置いて選挙運動を行って、このように今議員の活動をスタートしているわけなんですけれども。ですから、やはり、これまでもほかの委員から除染に関する質問福島の問題ですね、たくさん質問は出ましたけれども、私もやはりここで質問をさせていただきたいと思います。  除染をどこまでやるのかという基準値とか範囲の問題とか、今いろいろと考えておられるところだという話ですので、私は期間について、ずばり言いますと、いつまで除染というのを完了させることができるのか、この辺りのめどについてお聞きしたいと思うんですけれども。  現場で、福島で仮設住宅などへ行ってお話を聞いておりますと、当初は半年、一年と言われていたのが、だんだんだんだん延びて、最初は期待していたものがやはりそのうちその期待が薄れていって、最後には諦めの気持ちになって、今皆さんにお話を聞いても、もういつになるか分からないよという、もう本当に諦めていらっしゃるような声を多く聞きます。これは、大変期待させてそれをかなえられないというのは非常に残酷なことではないかと思っております。  ですので、非常にこの除染というのは大変難しい問題なので時間が掛かっているのも分かるんですけれども、十一市町村で国が行う直轄除染、今年度中に終わらせるという当初の予定が、七つの市町村ではそれが無理であると、作業期間が延長される、飯舘村では最長でおよそ三年、南相馬市でも二年以上の延長が必要だということなんですが、まずはその予定が計画どおり進まなかった理由、なぜ延長をすることになってしまったのか、これについてお聞かせください。
  201. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) 御指摘のように、十一市町村の国の直轄除染においても遅れが出てきてしまっているのは事実であります。その原因となりますと、これはいろんな理由があるんですけれども、例えばなかなか住民方々の同意が得られない、あるいは仮置場の確保ができないと、こういった理由もございます。それから、その除染そのものが言わば世界で初めてこれだけ大規模で行っているわけでありますから、実際除染実施してみるとなかなか難しいということが分かってきた。また、福島の気候ですから、冬の間雪が降るとなかなか現実的にできない。  いろんな要因がありますんで、そういったそのなぜ除染が遅れたかという理由をきちんと分析をして、どうすれば加速化できるか、これについてもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
  202. 清水貴之

    清水貴之君 やはり除染は早く進んで、少しでも多くの住民の方が元住んでいた場所に少しでも早く戻れるというのが一番理想的だとは思うんですけれども、ただやはり現実をしっかり直視しながら、現実的な計画も立てていかなければいけないと思っております。  その次の計画なんですけれども、いつごろどのように立てていかれる予定であるんでしょうか。
  203. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) 国の直轄除染につきましては、元々二か年でということで、今年度末までの計画でした。それが現実的に難しいということを私ども判断をいたしまして、市町村と調整した上で、この九月の十日に、じゃ、その計画の見直しということで、大体の方針を示させていただきました。しかし、その具体的にいつまでにという数字ということになりますと、もうしばらく市町村との調整に時間が必要だということで、今年年末までに具体的な除染計画というものを発表させていただこうと考えております。
  204. 清水貴之

    清水貴之君 その年末に出される計画というのは、もうある程度どこどこの市町村はあと何年後、どこどこは何年後というふうに、結構かっちりと出される予定なのか、それとも、やはりいろいろと不確定要素とかあると思いますので、もう少し大ざっぱなものになるといいますか、はっきりできないものになるのか、どんな今見通しを持っていらっしゃるんでしょうか。
  205. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) これなかなか悩ましいんですけれども、やはり不確定要素がある中で詳細な計画を出して、じゃ、それが本当に守れるのかということもあります。しかし、他方で、やはり具体的な計画、数字を出していかないと、住民方々の心構えというもの、それがありますので、なるべくきちんと数字を出させていただきたいと。ただ、それに当たりましても、やはり地元の市町村の意向というものもそれぞれですから、個別に御相談させていただきながらしっかり対応したいと思います。
  206. 清水貴之

    清水貴之君 続いて、不適正除染についてお聞きしたいと思います。  今年の初め、大きなニュースになりましたが、除染作業の言ってみれば手抜き問題ですね、除染で出てきた土や草木などを川に流したりしていたという実態があります。除染の現場も取材で訪れましたけれども、土を剥いで屋根やら道路やらを水で洗ってという本当に地道な作業なので、大多数の会社であるとか作業員の皆さんはしっかりとその作業に一生懸命取り組んでいらっしゃるとは思うんですけれども、やはり一部でこういう報道がなされますと、除染そのものに対する不安という、不信感というのも出てくると思うんです。不信感、住民の皆さんの気持ちだけではなくて、本当はやってあるはずの場所がきちんとやっていなかったということになりますと、もう一度再除染をしなければいけない。そうしたら、費用も掛かる、時間も掛かるということで、その辺り、様々な計画にも支障を来してくると思うんですけれども、環境省としましては除染適正化委員会というのを設置して、七月八日の第二回のその委員会では福島県内の状況確認を計六回行ったというふうに発表されているというふうに聞いております。  その後なんですけれども、七月から、もう十一月入りましたので、その後の実施状況、また、そこから出てきたもし問題点などありましたら教えてください。
  207. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) 御指摘のとおりでございまして、適正に除染をしていく、それによって地元の方の信頼を勝ち得ていくということ、非常に重要なことというふうに考えてやっているところでございます。  環境省内では井上大臣をトップとする本部という下で、それからまた外部の方のアドバイスも仰いで、適正化委員会に沿ってやっているところでございます。  その中で、今お尋ねがございました七月以降の、特に福島県による確認作業、これも現地の、目で見ていただくという意味で大変重視しているわけでございますが、七月以降十月までに三回の確認作業を行っていただきました。これは環境省も一緒に入る場合、それから県独自である場合、それぞれいろんなパターンでやるということが重要であるというふうに思っております。七月以降の三回につきましては、言わば抜き打ちというような形で確認をしていただいたものでありまして、その結果を受けてまた事務所と県がよく連携を取っていくと、こういう体制でやっているところでございます。
  208. 清水貴之

    清水貴之君 是非住民の皆さんの信頼をなくさないように、しっかりとその確認作業を行っていただきたいと思います。  続いて、PM二・五についてお聞きしたいと思います。  これもこれまでにも委員から質問出ておりますけれども、今年の頭に中国からではないかと言われる飛来ということで、九州などで大きなニュースになりましたけれども、やはり冬ですよね、今、秋から冬にだんだん季節が変わってきていて、暖房を使う、燃料を使うということで、また今年もPM二・五の影響、環境汚染の不安というのが高まってきておりますけれども、まずは、先ほど水野委員からもありましたけれども、昨日、千葉県で注意喚起情報が出されたということです。千葉県内全域に出されたということなんですけれども、観測されたのは市原市内の複数の地点でというふうに聞いています。  この辺りの観測状況なんですけれども、市原市内で観測されていても千葉県内全域で注意喚起情報が、じゃ、館山はどうなんだ、銚子はどうなんだという話になってくると思うんですけれども、今現在どのような観測状況、千葉だけではなくてもいいんですけれども、全国的にでもいいんですけれども、どういった状況で観測をされているんでしょうか。
  209. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) PM二・五につきましては、平成二十一年度に新たに環境基準として設定をされまして、今、測定網についても、地方公共団体にお願いをしまして順次整備をしていただいている途上であるということでございます。これは是非急ぎたいということでございます。  そういう意味で、各県の状況によりますが、今整備に努めていただいておりまして、その中で、特に一定の濃度になったときに注意喚起をするということも指針を出して対応いただいているわけでございますが、整備状況によって、今工夫をしてやっていただいている状況がございます。そういう中で、どこが高くなるのか、そのときにどのエリアまでに注意報を出すのか、この辺も自治体によりましていろんなお考えがあって、どこかで懸念があれば広く出すという考え方もございますが、また逆にいろいろ行動にいろんな制約が掛かってくるということがございますので、ブロックのような形でつくってやっているところもありというようなことで、この辺は、今実際に運用しながら、その改善、どうやるのが一番いいのかというようなことを改善をしていると、そういう途中でございます。
  210. 清水貴之

    清水貴之君 今のお話ですと、各自治体ごとにある程度任されていて基準も変わってくるというふうに聞こえたわけなんですけれども、となると、やはりばらつきがこれはどうしても出てしまうと。ある程度決まった基準なり測定の仕方なりというのが必要じゃないかなと思うんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。
  211. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) ちょっと御説明が不十分だったかも分かりませんが、どの濃度レベルになると注意喚起の対象であるか、七十マイクログラムというようなもの、これは専門家の知恵をいただいて国として明確に決めているわけでございます。  これは一日のうちで変動してまいりますので、どのぐらいの濃度になったら注意報を出そうかということをどこかで判断をしなきゃいけません。これはなかなか難しい作業でございますが、これについて八十五マイクログラムというような目安を設けまして、朝から高くなってくると出そうと、こういうことを決めております。  そのときに、これはかなり広域的に、非常に細かい粒子でございますので広域的に出てくるという部分がございます。また、測定上の問題もございまして、複数の測定局あるいは複数の時間というものを見て出した方がいいだろうと、こういうところまでは国が決めているわけでございます。  それを具体的に各地域でどういうふうに当てはめていくかというところについては、正直なところ、西日本と東日本状況が違うところもございますし、各自治体の方針もございまして、ここは情報を横の共有はしながら、どういう形が一番適当であるかというようなことを共有しながら改善を図りつつやっていると、こういう状況でございます。
  212. 清水貴之

    清水貴之君 その観測した今度はデータなんですけれども、この出し方についてもお聞きしたいと思っているんですが、観測して、ああ、これは注意喚起情報を出さなきゃいけないというときに、やはり住民に伝えるその手段というのも考えていかなければいけないと思うんですけれども。  今回、千葉をまた例に出しますと、市原が多分一番高いんでしょうが、もうそれこそ千葉全域に出たと。そうしたら、ほかの地域の多分関係ないと思われるところの方も非常に心配になってしまうようなこともあるかもしれませんし、逆に、非常に高いと思われている地点の方がその情報を得られなかったら、それはそれでせっかく得た情報注意喚起情報というのが生かされないということになりますけれども、それを住民に伝えていく方法としては今どういうような考えをお持ちでしょうか。
  213. 小林正明

    政府参考人(小林正明君) こういう注意喚起をしていくということ自体は、光化学スモッグなどで自治体は随分経験もあるわけでございます。ちょっとPM二・五はPM二・五の特性がございますので、工夫をしながらやっていただいているということでございます。  通常の自治体ですと、ホームページ上ですとかそういった媒体、それから、広報活動を行うことによりましてテレビ、ラジオにもなるべく乗っけてもらう、そういうような形で広報しているところでございます。  それから、直接日々の濃度がどうかということは、今日、前の方の御質問でもございました、そらまめ君というので、自治体の方で、つないでいただきますと日々の濃度の動きが見られると、こういう仕組みも用意をしております。これも今測定局整備を進めていただくのと併せて、そらまめ君につなぐ測定局というのも増えておりますので、関心のある方は、日々の動向をホームページ上で、各県の、環境省ホームページに載っけておりますので、そこでチェックをいただくこともできると。そんないろんなことを組み合わせてやっているところでございます。
  214. 清水貴之

    清水貴之君 そのPM二・五、まだまだ本当に、おっしゃったとおり本当にちっちゃなものですので、分からない部分というのもまだまだ多くあるのかなというふうに思っているんですけれども、ただ、健康に対する影響で大変気になる情報が出てきましたね。  WHOの機関ですけれども、研究機関が、先月十七日ですが、PM二・五を含む粒子状の物質について、非常に危険だと、リスクが五段階のうちでも一番高い危険度があるグループ1、つまり発がん性があるというそのグループに認定をしたということです。このグループは、アスベストや喫煙、コールタールと同じリスクということですから、普通にぱっと聞いて、あっ、それは相当やっぱり危険なんだなと、これは注意しなきゃいけないなと普通もう皆さん思われると思うんですけれども、その健康に対する影響、PM二・五の影響についてはどのように認識されているんでしょうか。
  215. 浮島智子

    大臣政務官(浮島智子君) WHOの下の国際がん研究機関がこの度発がん性を有するものに指定したと発表されたことは承知をいたしております。また、詳細は、今現在情報を収集中でございます。  また、環境省といたしましては、PM二・五、この対応をするために、注意喚起のための指針の運用改善、この運用改善は三月から行っておりますけれども、その情報をしっかりと得ましてこの運用改善をしていく、また常時監視体制の強化、そして充実にしっかりと取り組んでまいります。また、注意喚起をより的確に実施していくために、今月の中旬でございますけれども、専門家会合を開きまして、注意喚起のための指針につきまして、しっかりと住民方々により適切に注意喚起ができるように、運用改善に向けた方策を示してまいりたいと考えているところでございます。  いずれにいたしましても、今委員の方から御指摘がありました、国民の皆様に御不安を与えないように、払拭をしっかりとできるように、しっかりと環境省として努めてまいりたいと思っております。
  216. 清水貴之

    清水貴之君 そうですね。ありがとうございます。そのPM二・五が発生した場合の対応を非常に前向きに考えていらっしゃるということは分かりました。  となると、今度は、なぜ発生するのかと、その根本の部分から、原因の部分からやっぱり考えていかなければこれは根本対策にはならないというふうに思っているんですけれども、いろんな様々な原因があると思うんですけれども、中国から飛来している部分も、特に西日本の方ですね、九州などでは多いのではないかというふうな話にもなっておりますけれども、この辺りのコミュニケーションです、国際的なコミュニケーション中国とどのように話合いをしている、若しくは汚染物質対策をしている、こういったほかの国とのコミュニケーションについてお聞かせいただけますでしょうか。
  217. 井上信治

    ○副大臣井上信治君) おっしゃるとおり、中国PM二・五が非常に深刻だということで、我が国としても大変懸念をしているところであります。  中国に対する協力といたしましては、石原大臣出席をされた五月に開催をされた日中韓の三か国環境大臣会合で設置が合意された三か国政策対話、この早期開催に向けて調整を進めているところであります。また、公害を克服した経験環境技術を有する日本の地方自治体などの知見やノウハウを取りまとめて、それらを中国の主要都市における人材育成や政策立案支援に活用する、いわゆる都市間連携の取組を進めてまいりたいと思います。  これらの取組を通じて、アジアにおいて清浄な大気を共有できるように協力していきたいと思います。
  218. 清水貴之

    清水貴之君 報道では、シンガポールとはそういう協力関係が始まったということも聞いておりますので、是非是非その協力関係を進めていっていただきたいというふうに思っております。  あと時間僅かありますので、最後に、小型家電リサイクルについて、ちょっと話題は変わるんですが、お聞きしたいと思っております。  先ほど一番最初で紙の資源が多く使われていると。タブレット端末をもっともっと活用したらという話もちょっとさせていただいたんですが、そうなると今度は、今、携帯電話にしろそのタブレット端末にしろ、どんどんどんどん新しい電気機器、小型機器が出てきていまして、今度はこの辺りの、資源のリサイクルになるのか廃棄になるのか活用になるのか分かりませんけれども、この辺りの対策というのも考えていかなければいけないんだと思います。  非常に今のその辺りの進歩のスピードというのは速いですから、どんどんどんどん新製品が出ていく。じゃ、これまで使っていたものをどうするかという問題が出てくると思うんですけれども、小型家電リサイクル法、今年四月一日から施行されておりますけれども、これは、私が持っているのは環境省が五月に各市町村にアンケート調査を行った結果なんですが、私、兵庫選出ですので近畿地方のデータをいただきまして、五月現在で小型家電リサイクル法を行っている市町村は五つ、実施に向け検討が十九、未定であるが実施したいが九十四ということで、四月から施行で五月のアンケートですから、それほど、まだまだ進んでいる感じはしないんですけれども、自治体がこの法律、リサイクル法を進めていく上で環境省からもバックアップなり指導なりが必要だと思うんですが、この辺りについて進めていくための方策、どんなようなことを行っているんでしょうか。
  219. 梶原成元

    政府参考人(梶原成元君) 小型家電リサイクル法、これにつきましては小型家電、様々な小型家電がございますけれども、その中に有用金属が大変多いということもございまして、それをしっかりと回収をするという、その制度でございます。本年四月から施行させていただいておるところでございます。  今、先生御指摘のアンケート調査、五月のアンケート調査でございますけれども、これにつきましては、市町村数では全国の七五%、これは人口割りにしますと九割の市町村で今後制度について、しっかりとその市町村の回収制度、回収システムをつくっていきたいという前向きな御回答をいただいております。  それで、この市町村による小型家電の回収、これが全体の回収のレベルを上げるという意味では肝だと思っておりまして、私どもといたしましては、この市町村による回収事業に対して実証事業という形で、実際にボックスを置いていただくとか、あるいはPRをしていただくといったようなことの支援をさせていただいております。本年度だけで申しますと、もう既に百五十以上の市町村の取組を支援させていただいているところでございます。  また、市町村で回収していただいた後、これ、しっかりとした資源回収業者さんの方でリサイクルをしていただく必要がございます。これにつきましても、二十社の事業者を認定しておりまして、既に一部の市町村からはこの認定事業者の間で契約が成立して動き始めておるところでございます。  いずれにいたしましても、こういった制度がしっかりと全国的に定着していくためにはまだまだ時間が掛かると思っておりますけれども、こういった市町村の取組中心に積極的に支援をしてまいりたいと、かように考えております。
  220. 清水貴之

    清水貴之君 市町村の中には、個人情報がそういった携帯とか端末には含まれているので非常に導入にためらいのある市町村もあるというふうに聞いておりますので、その辺の対応というのも考えていただければなと思っております。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  221. 佐藤信秋

    委員長佐藤信秋君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時四分散会