○丸山穂高君
日本維新の会の丸山穂高です。
維新の会を代表して、ただいま
議題となりました
特定秘密の
保護に関する
法律案に関連して質問させていただきます。(
拍手)
我が国を取り巻く
外交、
安全保障上の
課題が山積し、また、
国際テロリズムなど国境を越える問題が数多く生じている中で、これまで以上に、
情報、インテリジェンスが持つ価値は高まっています。
また、これまで、
日本は、
機密情報が漏れやすく、スパイ天国だとやゆされてまいりました。
非常に高度な
機密情報について、国際テロ対策等を目的とした他国との
情報共有のために、また何より、
国民の生命財産、
国家主権、領土を守る上で、その漏えいを防ぐための法整備と環境整備について検討することは、非常に大切なことであると考えます。
本
法案につきましては、例えば、
政策判断ミスといった都合の悪い
情報を
特定秘密に指定するなど、時々の政権、役所によって、都合の悪い
情報を隠すといった、恣意的な運用がなされる
可能性が否定できないとの懸念の声や、法文上、「
国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない」と書かれてはおりますが、これはあくまで
努力規定にすぎず、具体性が乏しい中で、どこまでの取材が問題なく、どれほどの報道、取材の自由に対する配慮なのかということがわからないことから、それが、ひいては
国民の知る権利に重大な影響を与えるとの声も上がっております。
このように、本
法案は、
国民の関心も高く、また、今
国会最重要
法案の一つでありますから、本
会議、
委員会の場で、しっかりと
議論を行い、論点、不明瞭な点を
明確化していくことが不可欠です。
そこで、以下、具体的に質問させていただきます。
まずは、本
法案で規定されている
特定秘密の範囲について伺います。
特定秘密の範囲は、本
法案別表において、防衛に関する
事項、
外交に関する
事項、
特定有害
活動の防止に関する
事項、そして
テロリズムの防止に関する
事項の四項目に分類されております。
このうち、
特定有害
活動については、条文十二条にて定義がなされており、それによると、
特定有害
活動とは、一つに、「公になっていない
情報のうちその漏えいが
我が国の
安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための
活動」二つに、「核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための
活動」とともに、その三つ目に、「その他の
活動」という書きぶりで、かなり大枠での定義がなされておりますが、このように、その他の
活動というのであれば、これに全てが含まれてしまいかねず、非常に不明瞭ではないでしょうか。
十二条二項一号における、三つ目の、その他の
活動については、何を想定されているのですか。事前の
内閣官房への問い合わせに対する回答によると、
北朝鮮による拉致問題のように、外国の工作機関が
日本人の拉致を行う
活動や、
我が国において反乱団体を
組織し、またはこれらの団体に資金、兵器等の援助を行う
活動という認識とのことですが、
政府見解として、それで相違ありませんか。
相違ない場合、特に、後者は具体的にどのような団体を指すのでしょうか。また、それ以外に、その他の
活動に当たるものはありますか。
総理の答弁を求めます。
また、どういった
情報が
特定秘密に当たるのかという点については、本当に多くの懸念が上がっております。さらに、森大臣を初め、
委員会での御発言や、その後の会見等での
政府の方々の発言が大きくぶれているようにも感じられます。
今後、
委員会審議を進めるに当たっては重要な事柄でございますので、これから挙げる具体例において、それぞれ
特定秘密に当たるのかどうかを御答弁いただき、当たる場合には、別表のどの項目に該当するのか、御回答ください。
例えば、いわゆる西山事件で取材対象であった
沖縄返還
協定の密約や、二〇〇九年、鳩山内閣で調査が行われた核密約、さらに、基地等
日本国内への過去の核持ち込みの事実の有無については、
特定秘密に当たるのでしょうか。
総理の答弁を求めます。
また、福島第一原子力
発電所事故における当時の菅政権時の
対応や、原子力
発電の核廃棄物最終処分場の交渉について、さらには、原子力
発電所の設計図、警備状況については、
特定秘密に該当しますか。
TPP交渉については、さきの
国家安全保障委員会において、今後の通商
協定、EPA、WTOの
議論は全て
特定秘密に該当しないのかどうかという
質疑に対し、岡田内閣府副大臣より、
特定秘密には該当しないとの答弁がありました。
しかしながら、森大臣の記者会見では、
事項に該当すれば、なる
可能性もあると、TPPが
特定秘密保護法案の規制対象に入るかもしれない旨の発言があるなど、答えにぶれがあります。
TPP交渉等通商交渉は、
特定秘密に当たるのか、当たらないのか、森担当大臣にお伺いします。明確にお答えください。
最後に、
総理が参院本
会議で述べられた、過去十五年間の
情報漏えい事件五項目、海上自衛官によるロシアへの
情報漏出、イージス艦データの
情報漏出、内調職員によるロシアへの
情報漏出、自衛官による
中国潜水艦
情報の漏出、
中国漁船事件の映像流出について、これらの漏えいされた
情報は、
特定秘密に当たるのでしょうか。
総理の明快な答弁を求めます。
これまで述べてきたように、
特定秘密の範囲について、範囲がとにかく広くとられかねない状況にあります。我が党においては、
特定秘密の範囲について、米国の秘密保全に関する罰則において
保護される秘密の範囲と同一に修正する
修正案を準備しているところではございますが、この点につきまして、
総理の見解をお伺いします。
次に、
特定秘密の取得行為について伺います。
法案の二十一条二項、法令違反、著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とし、報道、取材の自由として認めるとのことですが、例えば、どういったものが、同条における著しく不当な方法や、二十三条における、
特定秘密の保有者の管理を侵害する行為に当たるのでしょうか。
例えば、西山事件のような、男女の情を利用して
情報を得る行為は、それに当たるのでしょうか。また、
政治家と記者の懇談会等、酒席において
情報を得る行為は、これに当たるのでしょうか。さらには、
法案担当の首相補佐官のテレビ出演時の発言で、最高裁判所判例を踏襲し、通常の、違法な取材
活動でない限り、罰せられないとの発言報道がされておりますが、これは
政府の見解ということで間違いないでしょうか。
また、条文における法令違反に
情報提供者の行為も含まれるのでしょうか。
例えば、違法行為とまではいかないまでも、ある
外交案件について、
政府が恣意的に
情報を隠している旨の内部告発が
国家公務員から報道機関にあった場合、この
情報が
特定秘密に当たるときには、この内部告発を行った公務員は
国家公務員法違反や
特定秘密保護法違反となりますが、この公務員の各法令違反行為によって
情報を受け取った報道機関についても、正当な業務に当たらないことになるのでしょうか。そうなるのであれば、
特定秘密について、正当な業務にて取材をすることができなくなってしまいます。
政府の見解を伺います。
また、
特定秘密の取得行為に関する罰則についても、とにかく広くなってしまっている中で、手段ではなく、目的による限定が必要ではないかと考えます。この点も、米国の秘密保全に関する罰則の例に合わせた
修正案を我が党で準備しておりますが、
総理の見解はいかがでしょうか。
次に、
行政機関による内閣や
国会への
特定秘密の提供について伺います。
行政機関が内閣に
特定秘密を提供する場合には、
行政機関の長が、
特定秘密の
保護に関し必要なものとして政令で
措置を定めるとのことですが、この
措置については、具体的に何を想定しているのでしょうか。答弁を求めます。
また、報道によると、
法案担当の首相補佐官が、
現行の
国会の秘密会は
情報管理が不十分なため、
国会への
特定秘密の提供は困難だと述べたとのことですが、
国会より秘密会における
特定秘密の提供の要望があった場合でも、
行政機関の長がそれを拒否することはあり得るのでしょうか。
その場合には、
憲法四十一条における
国会の最高機関性の
観点からも、
国会法第百四条における国政調査権の
観点からも、問題ではないですか。
国会法百四条では、各議院、
委員会が資料などの
提出要求を議決した場合、内閣や官公庁などは応じなければならないとしており、
提出できないときは、その理由を
委員会に
説明し、
委員会等が、その理由を認められないと
判断すれば、内閣に声明の要求ができるとあります。
本
法律案が、この
憲法四十一条及び
国会法百四条の国政調査権を侵害するものではないのかどうか、お答えください。
政府による
特定情報の指定の恣意性が懸念される中で、その恣意性の排除のために、国立公文書館に
情報保全監察
局長を置き、その場で機密指定に関する基準の
策定等を行わせるとともに、
省庁間機密指定
審査委員会を置く旨の
修正案も準備しております。
なぜ、
政府案である本
法律案においては、このような形ではなく、有識者
会議において事前の基準の設定のみを諮る形なのでしょうか。有識者
会議にした理由と、これらの創設についての
総理の御答弁を求めます。
本
法案において、
政府による秘密指定の恣意性を排除するために
設置するとされている、その有識者
会議についてお伺いいたします。
特定秘密の指定に関しては、統一的な運用を図るための基準を
策定するために、有識者の
意見を聞く場を設けるとのことですが、この有識者
会議は、現時点でどのようなメンバーを考えておりますか。それは、官僚や元官僚ではなく、民間人からの登用でしょうか。
また、
特定秘密を指定する際の統一基準の
策定スケジュールについてもお伺いしたいと思います。
特定秘密の指定の期間については、五年ごとに延長を検討し、三十年を超える場合には内閣の
承認が必要とのことですが、何でもかんでも三十年を超えて延長される懸念が出ています。この内閣の
承認とは、閣議決定を指すのでしょうか。具体的にはどのような手続を想定しているのか、答弁を求めます。
また、
特定秘密は四十万件ほどになるとの報道がありますが、件数についての
政府の見解はいかがでしょうか。
現在の特別管理秘密や防衛秘密は、そのまま
特定秘密に切りかわるという認識でよいのでしょうか。特別管理秘密や防衛秘密の中のどういった内容のものが
特定秘密から外れると考えていますか。
最後に、防衛秘密においては、本
法案施行時における、現在の防衛秘密の一斉廃棄の懸念の声が上がっております。施行時の防衛秘密の破棄予防については、具体的にどのような対策を行うのか、
防衛大臣の見解をお聞かせください。
さて、これまで、さまざまな
意見や質問を述べさせていただきました。我々
日本維新の会の
国会対応の方針は、是々非々であり、
国家、
国民にとって必要な
政策、
法案であれば、
政府に対して協力を惜しみませんが、一方で、問題点が多ければ、修正を求めたり、
反対の姿勢を示すこともあります。
最初に述べたように、本
法案は、世の中の関心が非常に高い
法案であり、
国民の代表として、
国会の場で、
国民にわかりやすい
審議を進めることが必要不可欠です。
まずは、先ほど来申し上げた疑問点につきまして、
総理を初め各大臣の明快な御答弁をお願いするとともに、今後の
国家安全保障委員会での
審議におきましても誠意を持った
対応をお願いいたしまして、私、丸山穂高の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕