○木下智彦君
日本維新の会、木下智彦です。
私は、
日本維新の会を代表して、
政府提出の
産業競争力強化法案について質問いたします。(
拍手)
まず初めに、先ほどの
質疑にもありましたが、本
法案にかかわる
質疑が行われる本日の本
会議に
総理が御出席い
ただけていないことは、非常に残念であります。
我々
日本維新の会は、いわゆる維新八策の中で、「首相が年に百日は海外に行ける国会運営」とうたうとおり、真の国益に資するため、
総理が外交日程を
確保することについては異論はありません。
しかしながら、
総理みずからが本臨時国会を
成長戦略実現国会と言われている中、
成長戦略のかなめとなるであろう本
法案の
趣旨説明、
質疑に御出席い
ただけないことは、
総理の意気込みが本当であるのか、疑問を示さざるを得ません。
そもそも、本
法案以外にも重要
案件が多数ある今回の臨時国会の会期がわずか五十日余りであり、尽くすべき議論の時間に制限があることは残念でなりません。
本臨時国会
期間中に審議される予定の国家戦略特区
法案は、同じく
成長戦略実現国会における重要な
法案という位置づけでありましょうから、その審議の際には、ぜひとも
総理御自身の本
会議への御出席を賜りたいとお願い申し上げます。
我が党は、綱領に、「
政府の過剰な関与を見直し、自助、共助、公助の範囲と役割を明確にする」「既得権益と闘う
成長戦略により、
産業構造の転換と労働
市場の流動化を図る」を理念として掲げています。
今回の
産業競争力強化法案の
趣旨には、
規制改革の
推進のための新たな
制度と
産業の
新陳代謝の
促進を図るための
制度の創設とあり、我々と基本的な
思いを同じくすると信じ得る
安倍内閣が、過去の
政権が本格的に取り組めずにいた、
思い切った
改革を
実行しようとする
意欲を感じる
取り組みであり、また、
総理が掲げた三本の矢の三本目である
成長戦略の中核となる
規制改革と
産業の
新陳代謝を具現化し、先般の
所信表明で言及された、
景気回復の実感はいまだ
全国津々浦々まで行き届いていないという状態をいち早く脱することを目的としているものとして、非常に期待感を持っておりました。
しかしながら、本
法案を見るにつけ、ここで掲げられたそれぞれの
施策が、
我が国の発展を妨げてきた
規制の早期
改革への突破口となり得るかは、疑問が残ります。まさに、上がったときには華やかだが、一瞬で消えてしまう打ち上げ花火になりはしないかと危惧するものであります。
今求められていることは、この
状況からいち早く脱するために、あり得る手段を積極的に講じていき、
改革を
加速化させることであるとともに、
産業の発展の妨げになることが明らかな
規制を広範囲かつ恒久的に緩和、撤廃することで
我が国の繁栄につなげていくことを目指すべきではありませんか。
本
法案では、五
年間という年限を区切って
実行計画を
集中的に
実施していくこととなっていますが、この五
年間をもって
特例的にさまざまな
規制改革を断行したとしても、抜本的な
規制改革とは言えません。
本
法案で掲げられている
施策である
企業実証特例制度、
グレーゾーン解消制度といった
規制緩和策や、
産業の
新陳代謝を目指す
事業再編の
促進、
民間設備投資の
促進、ベンチャー
投資の
促進などについては、今まで
課題として挙げられていたが、本
法案で総合的に
施策として取り組むことで
加速化を狙うことは評価できます。
であるからこそ、まとめて
法案化されることにより雑にならないように、それぞれの
施策が実効的に機能し、地に足のついた、実のある
施策として
実現していくべきではないでしょうか。
それぞれを一本ずつ
法案化して審議せよという意見がある中、総合的な
取り組みとしてまとめて
法案化する以上、
我が国の発展、
国民の豊かで安定した生活に資する重要な
案件については、
集中的かつ丁寧に、迅速な審議が必要です。
与党が安定多数を
確保している今こそ、本格的な論戦が行われ、我々
全国会議員の本来の役割をしっかりと果たせる
環境をつくってい
ただきたいと切に願うものです。
以上の
提案をもとに、本
法案が、
総理の言う
成長戦略を具現化するための
規制改革、
産業の
新陳代謝の
促進として
実効性があることを期待し、以下の質問をさせてい
ただきます。
まずは、
企業実証特例制度の創設に関して質問いたします。
この
制度は、
企業みずからが安全性などを
確保する
措置を講ずることを
前提に、
企業単位での
規制の
特例措置を
適用するとしています。
全国一律の
規制改革に先駆けて
特例を認め、その
特例を呼び水に一律の
規制改革につなげていこうという
政府の意図は理解できますが、さきにも述べたとおり、五
年間の
集中実施期間の後の
規制改革のグランドデザインが描かれていなければ、
規制緩和、撤廃が一時的なものとなり、広く
経済全体に浸透することはなく、特別
措置が講じられた
企業だけにとどまってしまうのではないかという懸念があります。
五
年間の
集中期間後も続く抜本的な
規制改革を
実現するための
施策について
政府に具体策があるのか、お答えください。
次に、
グレーゾーン解消制度の創設について質問いたします。
企業が、現行の
規制の
適用範囲が不明確な
分野においても安心して
新分野進出等の
取り組みを行えるよう、具体的な
事業計画に即して、あらかじめ
規制適用の有無を確認できる
制度を創設するとのことですが、本
法案で
特例的な
措置として行うのではなく、初めから恒久的な
制度とするべきことではないでしょうか。
また、そもそも、
企業が
規制の有無を確認しなければいけないほど
規制そのものが複雑化していること自体が問題であり、たとえ
特例的に行うとする
理由があるとするならば、
企業が問い合わせする必要がなくなるほど、国が行う
規制がシンプルでわかりやすく、合理的な体系に見直されることを目指し、それまでの一定
期間を
特例としているということなのでしょうか。実際にこのような
規制緩和の抜本
改革を目指そうとされているのか、その具体的な予定がないならば、どのような将来像が
考えられているのか、
政府の御見解をお聞かせください。
続いて、
事業再編の
促進についてお伺いいたします。
本
法案では、一定
企業内では十分に
成長できない
事業の
再編統合と新たな
市場への
挑戦を優遇
措置で
支援することを規定しております。
私も、一般
企業にて約二十
年間勤めてきた中、自社単独ではこれ以上の
成長性の望めない
事業領域と、他社の
事業領域を切り出して合併させることで、業界シェアを高めて成功した事例を幾度か見ており、吟味を重ねながらの
再編統合によって
効果を発するものと
考えております。
ここで一定の
事業領域を切り出し、
再編統合するということは、それに伴い、
従業員とその
技術、経験も
再編統合するということにほかなりません。異なる
企業から、異なる勤労形態と雇用条件で働いてきた
従業員が参集して新しい
事業体を形成することが現実であり、実際には、新
事業体での雇用条件などの調整は一筋縄ではいかないものです。
合併などにより
企業統合が行われる際、それぞれの
従業員が持つ
技術や経験の結集が期待
効果となる場合が多く、衰退
産業分野から
成長産業分野への円滑で空白
期間のない雇用の流動化は、
成長戦略の
一つの大きな鍵であると思われますが、
政府は本
法案でそのあたりをどのように手当てしようと
考えられているのか、具体的にお示しください。
地域中小企業の
創業、
事業再生の
支援強化についてお尋ねします。
本
法案では、
中小企業の
活力の
再生として、
中小企業の
事業再生の
支援強化を盛り込み、
再生支援体制の
強化とともに、それらの
支援による
再生計画に基づき、経営改善、
事業再生に取り組む
中小企業者に対する
特例として、
計画実行段階の
資金調達を円滑化するとしております。
片や、さきにも述べた、
産業の
新陳代謝を目指そうとする中、衰退する
事業分野の改善、撤退なども含めた、
事業再編による
経済活性化を目指しており、それを本格的に
実現することは、雇用の流動化が
促進されることも想像させます。
これら二つの
施策のそれぞれは、もっともらしいことではありますが、
中小企業対策として、
資金調達を容易にすることで、衰退していく
産業分野に従事する人
たちをその
分野に縛りつけてしまう
可能性があり得る一方、本
法案の主たる目的である
事業再編では、雇用流動化を目的の
一つとしていると言わざるを得ず、これら二つの
制度には大きな矛盾をはらむおそれがあるのではないでしょうか。
また、たとえ、それら
中小企業の
再生可能性が十分に検討された上での
支援がなされるとしても、これらの
施策が、
規制改革、
産業の
新陳代謝を目指す、いわば大きな
産業の構造転換を促すことを目指している本
法案において、包括的に項目として盛り込まれていることは、違和感を感じるものであります。
そこで、本
法案において、わざわざ、
中小企業や
小規模事業者のみを対象とした
支援策を含むこれらの項目を盛り込む必要があるのかという点について、
政府の御見解をお示しください。
今回の
質疑を行うに当たり、これらの
制度を利用する側の
企業の立場から本
法案をどのように受けとめようとしているのかという観点で関係者の聴取や各種調査を行ったところ、
一つのコメントに出くわしました。それは、ダーウィンが言ったと言われる、強いものが生き残ったのではない、賢いものが生き残ったのでもない、変化に
対応したものが生き残ったのだという
言葉を引用し、
経営者の心構えを説くものでした。
また、英米におけるMBA、経営学修士の取得カリキュラムで、初めに修得する項目には、経営においてとるべき戦略について学ぶ項目があります。そこには、
政府などの機関からの
規制、
制度が自社
事業の強みとなるのか弱みとなるのかを分析するというものがあります。
すぐれた
経営者は、常に世の中の変化に敏感で、自社の
事業分野における
制度や
規制にうまく
対応していくものです。健全な競争
市場を喚起するには、国の
制度や
規制で彼らを惑わすような複雑なものや、障壁であることは避けるべきです。
ましてや、それらの
制度や
規制の
改革を行っても、それが一時的な変化でしかなかったり、
実効性が低い場合や、
政府からの干渉の度合いが強過ぎることで、余計に、
経営者や自然に伸びようとする
産業分野の発展を妨げることがあってはならないのです。
真に実のある
規制・
制度改革が
実行されることを切に願い、私の
質疑を終了させてい
ただきます。(
拍手)
〔
国務大臣茂木敏充君
登壇〕