○渡辺喜美君 みんなの党代表渡辺喜美であります。(
拍手)
初めに、
台風二十六号による
被害で亡くなられた
方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、行方不明の
方々の一刻も早い
救出をお祈りし、被災された
皆様に対し、お
見舞いを申し上げます。
安倍内閣が誕生し、十カ月近くが経過をいたしました。外から見ておりますと、世論の支持率も高く、絶好調の一語に尽きる感じがいたします。
その背景には、長引くデフレから脱却していく光が見えてきたことであります。
安倍内閣は
日本を衰退国家から再び右肩上がりの
成長国家にしてくれるのではないかと、
国民の多くが
期待をしているからでありましょう。
みんなの党が結党以来訴えてきた、二年でマイナスの物価をプラス二%以上に持っていく物価安定
目標とそのための大胆な金融緩和は、
安倍総理登場まで、どの
内閣にも採用されませんでした。
安倍総理の目のつけどころのよさに、以前、私は、長期政権の予感がすると申し上げましたが、現にそうなりつつあるような気がいたします。
政治家の関心がなさ過ぎて、日銀官僚に任せ切りにしておいた金融
政策ですが、
安倍総理は、立派に、日銀官僚と闘い、マクロ
経済政策という、国家経営の新たな扉を開きました。ぜひとも、
デフレ脱却に向けた
総理の不退転の
決意をお聞かせください。
ところが、今月一日、
総理は、アベノミクスと全く異質の、
消費増税を発表されました。
民主党政権時代、増税官僚の口車に乗せられてつくられた増税スケジュールは、
デフレ脱却という
政策課題にとっては、百害あって一利なしであります。
私が
自民党にいた五年前までは山のように存在をした
自民党内反増税派は、今や絶滅希少種になったようであります。これでもし
総理が増税凍結を決断していたら、政局になっていたかもしれません。でも、増税官僚や党内抵抗勢力と闘う
安倍総理の支持率は、株価とともに、さらに上がっていったでありましょう。
しかし、
総理は、ここで勝負をかけるのはまだ早いと考えられたのでしょうか、安全コースを選ばれました。
お尋ねいたしますが、
総理が増税の決断をされたのは、いつごろだったのでありましょうか。
世界経済は、さまざまなリスクを抱えています。当面、アメリカの危機はひとまず回避されますが、万々が一、来年にでもアメリカ国債がデフォルトしたら、大混乱が起きるでありましょう。同じように、
政治リスクを抱える中国
経済が大変調を来しても、
日本への
影響ははかり知れないでありましょう。
経済は生き物でありますから、来年四月までに何が起きるかわかりません。こうした
経済非常事態が発生をしても、
消費増税は
予定どおり行うのでありましょうか。
みんなの党は、
消費税増税の前にやるべきことがある、このことを一貫して申し上げてまいりました。まず第一に、
デフレ脱却が先、第二に、不公平の是正が先、第三に、無駄の削減、行政
改革が先であります。
総理もおっしゃるように、
デフレ脱却は道半ば。アベノミクスの金融
政策の
効果は、二年かかって物価指数が二%以上になるんです。そのとき失業率は一%程度下がっているというのが、マクロ
経済学の常識です。
生産性向上と相まって、
賃金は二年で三%から四%
上昇する。規制
改革、税制
改革等による
成長戦略も行って、
企業の業績を
改善させ、年率四%以上の名目
成長率を達成できれば、
税収はそれ以上に増加をしてまいります。プライマリー収支が
改善し、財政再建にめどがつき、
消費税率を上げる必要がなくなります。
また、歳入庁の
設置を通じ、税や保険料の取りはぐれを
解消すれば、増税しなくとも増収は十分可能であります。
さきの
通常国会で成立したマイナンバー関連法は、その取りはぐれの
解消にもつながるものであります。税、保険料の不公平を是正するための具体策として、歳入庁や
消費税のインボイスの
導入というのは、先進国では当たり前の話であります。
さらに、国債整理基金特別会計への定率繰り入れといった無駄をやめるとともに、労働保険特会等の、その他の特別会計の積立金も取り崩して活用すべきであります。
JT、NTTなど
政府保有の上場株式の売却、
日本郵政の株式売却、公務員宿舎等の売却、議員定数の削減、議員報酬の恒常的なカット、公務員人件費の削減も、増税の前にやるべきことであります。
しかし、無駄の削減は不徹底、不公平是正の取りはぐれの
解消にも着手しないで増税を行うというのでは、
国民の
理解は得られません。
総理は、こうした、増税の前にやるべきことに真剣に取り組まれるお考えはおありでしょうか。
みんなの党は、増税の前にやるべきことと増税凍結をセットにした
法案を準備しております。御賛同される
方々は、ぜひ一緒にやりましょう。
総理は、
消費税増税が
景気の腰折れにつながることを懸念し、本年度の補正予算で五兆円
規模の
経済対策を
実施するのでありますが、増税で
景気が腰折れすることがわかっているのであれば、なぜ増税をされるのでありましょうか。
経済対策と言われますが、増税しなければ、その必要もないではありませんか。
しかも、
消費税率三%
引き上げによる
負担増が、年間で八兆円、向こう五年で四十兆円になります。この
経済対策は、一回限りの五兆円、つまり八分の一しか還元されないことになり、お話になりません。
復興特別法人税の
前倒しの
廃止についても同様であります。これは一年限りの
措置で、八千億円から九千億円の減税
効果しかありません。
みんなの党は増税には
賛成いたしませんが、もし、増税し、
景気後退回避が必要であるというのであれば、増税分と同額の減税をすべきであります。
具体的には、
所得税の税率引き下げと給付つき税額控除、法人税率の引き下げであります。法人実効税率引き下げは、国際競争力を高め、構造
改革につながります。これら
所得税及び法人税減税と給付つき税額控除で八兆円
規模の
対策にすることが、理論的には、増税のマイナス回避策としては一番正しいのであります。
総理、一時しのぎの五兆円
規模の
経済対策ではなく、こうした恒久減税案を採用されてはいかがでありましょうか。御
見解をお伺いいたします。
福島第一の
汚染水漏れは、大自然との闘いです。
対応が大幅におくれてしまった原因は、東京電力を、破綻処理せずに、資本注入で中途半端な国有化をしてしまったところにあります。
総理がおっしゃるように、東電任せにすることなく、国が
前面に立って
責任を果たすのであれば、株主や債権者に
責任をとってもらう、東京電力の法的整理まで行うべきであります。五兆円に及ぶ送配電網を売却し、発送電分離を行えば、電力システム
改革が一気に進んでいくではありませんか。
総理の御
決意をお伺いいたします。
大飯、柏崎と、次々に
原発再稼働申請が行われています。東海地震の震源域の真上に位置し、最も危ない
原発と呼ばれる浜岡
原発の再稼働申請も、
年内に行われると言われております。
原子力規制
委員会の新規制基準は、問題があり過ぎです。例えば、施設の一部
対策に対し猶予期間を認めていますが、なぜ、五年の猶予期間を設けても安全だと言えるのか。
そもそも、
福島原発事故の総括もいまだ行われておりません。このような状況で
原発の再稼働など、あり得ないはずであります。
総理の御
見解を伺います。
先日、小泉純一郎元
総理のお話をお伺いする機会がありました。
小泉元
総理は、フィンランドの核廃棄物最終処分場オンカロを視察され、
我が国の最終処分場が
確保できない状況下での
原発推進は無
責任であり、
原発ゼロしかないと
決意をしたとのことでありました。極めて真っ当な御
見解です。
自民党政権の
総理経験者で日米同盟重視を実践してこられた方がこうした発言を行うことの意味は極めて大きい。多くの
国民も、
原発推進が無
責任であることに気がついているのではないでしょうか。
そもそも、ほとんど地震のないフィンランドの、しかも永久凍土下の処分場ですら完全な安全は担保できないのに、どうして、荒ぶる列島、地震国の
日本で処分場が
設置できるというのでしょうか。これは、処分場候補地の選定が難しいという
社会的な問題ではなく、
技術的に困難をきわめるという、根本的な問題です。
要するに、
原発を推進するということは、トイレなきマンションに例えられるとおり、処分場がないままごみを出し続けるという行為であり、無
責任以外の何物でもありません。
小泉
総理は、
総理大臣が決断すればできるとおっしゃっておられますが、
安倍総理の御所見をお伺いいたします。
みんなの党は、
原発ゼロと
経済成長を両立させるため、
経済的アプローチを重視しております。つまり、電力自由化を徹底することにより
原発を市場淘汰していくという戦略であります。
みんなの党がさきの
通常国会に提出をした電力自由化推進
法案では、法的分離については、
平成二十八年までに
措置するとし、所有権分離については、法的分離の
措置後二年以内に、
実施可能なものからできる限り
早期に
実現するとしています。また、電力小売
事業参入の全面自由化についても、
平成二十八年までに可能にするとしています。
総理も、ベンチャー意欲の高い皆さんに自由なエネルギー市場に参入してほしいと述べられているのでありますから、中途半端な
政府案ではなく、徹底した電力自由化を目指すみんなの党案を、一部でも採用されてはいかがでしょうか。
総理の御
見解を伺います。
小泉元
総理は、自然エネルギーについても熱く語っておられました。
私が地元で
農業用水を利用した小水力発電を行っていることを申し上げると、風力、太陽光、
バイオマス、牛豚ふん尿のバイオガス発電等、堰を切ったように話し始められました。
地産地消の
再生可能エネルギーの
世界では、農林業がエネルギー
産業と隣接領域にあることに気がつかされます。発電と熱供給のコジェネを行えば、お金も資源も
地域で
循環するシステムと
地域の
成長産業を創出できるようになります。
台風や
竜巻被害の拡大を見てもわかるように、気候変動問題は全人類共通の
課題です。
しかし、残念ながら、
総理の所信には、こうした
政策が含まれていませんでした。改めて、
総理に、
再生可能エネルギーへの
取り組みについて、御
見解をお伺いいたします。
安倍総理の
成長戦略にかける熱い
思いは、所信を聞いてよくわかりました。ただ、
総理のチャレンジ精神を大事にする理念と提案されている
政策との間には、相当のギャップがあるように思えてなりません。
規制
改革推進の具体的な仕組みである
企業実証
特例制度は、下手をすると、特定
企業にだけ規制のお目こぼしをする、前代未聞の特定利益付与
政策と言われそうな危うさがございます。要するに、天下りを受け入れているような特定
企業に恩典を与えるための
制度になりかねません。
役所が
支援企業を決めるような極端なターゲティング規制
改革ではなく、既得権益と闘い、岩盤規制を打ち砕くべきであります。
総理の御所見を伺います。
成長戦略は、民間
企業の自由な活動を担保し、これを後押しすればいいのであって、国が主導してしまえば、かえって民間
企業の自由な活動を阻害することにつながります。
みんなの党は、国主導の従来型
産業政策には反対の
立場です。
投資を促進するのであれば、旧態依然としたターゲティングポリシーではなく、みんなの党がかねてより提案をしている、
企業が自由に償却期間を選択できる自由償却税制を採用されてはいかがでしょうか。利益調整に使われるからだめなどという役人の理屈ではない、
総理の御
見解をお伺いいたします。
規制
改革を進めるには、官僚
制度改革が必要です。
総理は、国家公務員
制度改革を推進していくとおっしゃいました。
まず、幹部公務員について、
政府案では、幹部公務員も、一般職のまま下位職員と全く同等の身分保障を受けることになっています。これでは、若手官僚や民間人の柔軟な抜てき登用が制約をされ、閉鎖的で年功序列の人事の温床がそのまま残されてしまいます。
幹部公務員については、通常の一般職とは別
制度であることを明確にし、若手、民間人の柔軟な抜てき登用を可能にすべきであります。
野党時代、
自民党は、みんなの党と一緒に幹部公務員
法案を提出いたしました。これを再度提出するのがベストでありますが、
自民党内守旧派が多過ぎて無理であれば、せめて、その精神だけでも今回の
改正案に盛り込むべきであります。
総理の御
見解をお伺いいたします。
次に、幹部職員の公募は、国家公務員
制度改革基本法で規定をされた重要な事項です。しかし、
政府案では、国家公務員法に基づく採用昇任等
基本方針に定めるとされているだけで、これでは、民間からの公募ができなくなる可能性もあります。
幹部の公募は、いわゆる甘利
法案においても規定されていたところであり、しっかりと法律において規定をすべきであります。
総理の御所見を伺います。
官民人材交流の推進について、人事交流
対象法人の拡大は、かつて民主党政権当時に進められた、実質的な天下りの拡大につながる可能性があります。
総理、そのようなことにはならないと断言していただきたいと
思います。いかがでしょうか。
国家戦略スタッフ及び政務スタッフは、基本法において、
内閣の重要
政策ないし
政策の企画立案を補佐するためのスタッフとされています。しかし、
政府案では、国家戦略スタッフについて
総理補佐官に置きかえようとしていますが、
総理補佐官は、
総理に対する企画立案ではなく、進言、
意見具申を行うものであり、役割が異なります。これでは、基本法で予定していた
内閣機能
強化はできません。政務スタッフについても、同様に、企画立案機能の補佐を担わせることが必要です。
政治家を政権内部にたくさん送り込んでも意味はありません。官僚のレトリックのわかる側近ブレーンを持っていることが極めて大事なことなのであります。
総理の御
見解を伺います。
みんなの党は、当たり前の自由
社会と一人前の国家を目指す政党です。戦時体制下の国家
社会主義の残滓を一掃し、新しきよき時代の輝ける
日本をつくっていきたいと願っております。
安倍総理が闘う
改革を進めていくのであれば、みんなの党は、真摯に
協力をいたします。
安倍総理は、御健康も回復され、体力、気力ともに
充実しているとお見受けをいたします。ぜひとも、岩盤のような官僚主導体制に風穴をあけるような
改革マインドを持ち続けて、国家経営を行っていただきたいと
思います。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕