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林国務大臣 農地中間管理事業の
推進に関する
法律案及び
農業の
構造改革を
推進するための
農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の
法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御
説明いたします。
現在の我が国の
農業構造を見ると、これまでの農地流動化の結果として担い手の農地利用
面積は農地
面積全体の約五割となっているなど、かなりの
変化が見られるところでありますが、
農業の
生産性を高めていくためには、法人
経営や大規模家族
経営などの担い手への農地集積と農地の集約化をさらに加速していく必要があります。
また、
農業者の
高齢化の進展に伴い、六十五歳以上の
農業者が約六割を占めるのに対し、四十歳代以下の
農業者の数は約一割と、世代間バランスが崩れており、将来にわたって安定的な
農業生産を行っていくには、青年就農者などの
農業への新規参入を促進していく必要があります。
さらに、法人
経営の数はこの十年間で約二倍となり、
地域農業において大きな存在感を持つに至っておりますが、
農業の継続的
発展を図っていくには、
農業法人の数をふやすとともに
経営内容の充実を図っていくことが必要です。
こうしたことを踏まえて、本年六月に取りまとめられた
日本再興戦略においては、今後十年間で担い手が利用する農地を全農地の八割に引き上げること、定着する若年就農者を現在の二倍とすること、法人
経営の数を現在の四倍とすることが目標に掲げられたところであり、こうした目標の達成に資するため、本二法案を提出した次第であります。
次に、これらの
法律案の主要な内容につきまして御
説明申し上げます。
まず、
農地中間管理事業の
推進に関する
法律案についてであります。
第一に、目的についてであります。この法律は、
農地中間管理事業の的確な
推進により、
農業経営の規模の
拡大、農用地の集団化、
農業への参入の促進等による農用地の利用の効率化及び高度化の促進を図り、もって
農業の
生産性の
向上に資することを目的としております。
第二に、農地中間
管理機構の指定等についてであります。都道府県知事は、
農地中間管理事業を適正かつ確実に行うことができる一般社団法人または一般財団法人を、都道府県に一を限り、農地中間
管理機構として指定できることとしております。
また、農地中間
管理機構の役員の選任及び解任は都道府県知事の認可を要することとするとともに、
事業の実施
状況が著しく不十分な場合等には都道府県知事は役員の解任を命ずることができることとしております。
さらに、農地中間
管理機構は、借り受ける農用地の基準、農用地利用配分計画の決定の方法などを定めた
事業規程を作成し、都道府県知事の認可を受けるとともに、これを公表しなければならないこととしております。
第三に、農地中間
管理機構の業務についてであります。農地中間
管理機構は、農用地の出し手から農用地を借り受け、必要な場合には農用地の利用条件の
整備を行った上で、担い手に対し、その規模
拡大や利用する農用地の集団化に配慮して、転貸することとしています。
貸し付けについては、公平、適正に行われるよう、定期的に区域ごとに借り受け希望者の募集を行い、応募した者等の
情報を整理し公表するとともに、実際の貸し付けに当たっては、農用地利用配分計画を定めて都道府県知事の認可を受け、その計画の公告により、農用地の利用権が設定されることとしております。
また、農地中間
管理機構は、その業務の一部を第三者に委託する場合には、都道府県知事の承認を要することとしております。
第四に、国による評価であります。
農林水産大臣は、農地中間
管理機構の業務の実施
状況について評価を行い、その結果及び優良事例に関する
情報を公表すること等により、
事業の効率的かつ効果的な実施を図ることとしております。
次に、
農業の
構造改革を
推進するための
農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の
法律案についてであります。
第一に、青年等の就農支援についてであります。新たに
農業経営を営もうとする青年等は、青年等就農計画を作成し、市町村の認定を受けることができることとし、認定を受けた者に対して日本
政策金融公庫等が無利子資金の貸し付けを行うことができることとしております。
第二に、遊休農地に関する措置の強化についてであります。遊休農地に関する措置の対象を、耕作者が不在となること等により遊休農地化することが見込まれる農地にまで
拡大することとしております。
また、遊休農地の所有者に対して農地の利用意向
調査を行い、農地中間
管理機構に貸し出す意向があるかどうかを確認することから手続を開始するとともに、都道府県知事の裁定による農地中間
管理機構への利用権設定に至る手続を簡素化することとしております。
さらに、所有者が確知できない場合の公告の
制度を改善することとしております。
第三に、農地台帳等の法定化についてであります。農地の集積、集約化を効果的に進めるため、
農業委員会は、農地の所在、所有者、賃借権等の種類、存続期間等を記録した農地台帳及び地図を磁気ディスクをもって作成し、これを公表することとしております。
第四に、
農業法人に対する投資の
円滑化についてであります。
農林水産大臣の計画承認を受けて
農業法人投資育成
事業を行う投資主体として、現行の株式会社のほか、投資
事業有限責任組合を追加するとともに、日本
政策金融公庫は、
大臣承認を受けた投資
事業有限責任組合に対しても出資の業務を行うことができることとしております。
第五に、青年等の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法を廃止することとしております。
以上が、これらの
法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御
審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。