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渡辺(喜)
議員 端的に申し上げますと、国家経営にイノベーションが働かなくなってしまった。やはり国家経営も企業経営と同じように、イノベーションがなくなりますと衰退の一途をたどるようになります。
ベルリンの壁が崩壊をしたのが
平成元年、そこから先は社会主義の国が消えてなくなって、世界じゅう大競争の
時代に入ったんですね。しかし、
日本だけが中央集権で統制型のシステムを相変わらずやり続ける。そうすると、どうしても世界の大競争についていけなくなってしまうという事態が起こり始めました。九〇年代の半ばには、もう既に世界経済が一体化を始めていたわけですね。結局、若手官僚がそういった危機
認識を持って
企画立案を、横串を通した国家戦略を立案してもそれが採用されないという事態が起こり始めたんですね。
結局、そういったことを
考えると、やはり冷戦が終わったというのは極めて大きなことであって、外交や安全保障の面でも、冷戦
時代というのは、戦争も不可能だが平和も不可能な
時代だった。冷戦が終結をしたというのは、平和も可能になったが戦争も可能になった
時代なんですね。
ところが、前例踏襲で、とにかく集団的自衛権の行使は認められないんだというようなことに固執をしておりますと、まさに戦略的な外交・安保政策の
企画立案はできなくなってしまうわけであります。
したがって、そういうことを
考えれば、やはりイノベーションのできる
公務員制度が必要である。イノベーションができるためには、今のような身分制を廃止するということが大事ですね。
例えば、試験区分による人事、これも身分制です。入省年次による人事、これも身分制なんですね。こういう身分制で人事をやり続けていますと、例えば、若手官僚の
企画立案における評価において先輩の天下りポストをいかにふやすか、こういうとんでもないことが裏の評価ポイントになったりするわけであります。そうすると、延々と統制型のシステムが続く、前例踏襲主義が続くということになって国家経営は衰退の一途をたどっていくわけであります。
第一次安倍
内閣のときには、こうした身分制の人事をやめさせようということで、はっきりと
国家公務員法に採用年次や試験区分で人事を行ってはいけないという規定を設けたところであります。現役
時代は能力・実績主義、実力主義、これで
法律上は整ったんですが、いまだにそれが貫徹されていない。
第一次安倍
内閣のときには、再就職をするときにも能力・実績主義でいこうと。つまり、天下りというのは人事ではめ込んでいくわけでありますから、まさにこれは統制価格による再就職なんですね。実力主義で再就職をするんだったら誰も文句はありません。しかし、現役
時代よりちょこっと年俸が下がる程度で天下りをやり続ける。そうすると、統制型のシステムを温存しておかないと、現状維持をやり続けないと、人事そのものが回らないということになってしまって、国家衰退はまさに必定になるわけであります。
我々は、こうしたことを全面的に転換するために、やはり
公務員制度改革が必要であると
考えたところであります。
第一次安倍
内閣においては、天下り規制、各省、天下りあっせんを全面禁止するという驚天動地の
法案をつくって、これを通したわけであります。こうしたことをさらに具体化していくためにはやはり
基本法が必要である、そう
考えて、福田
内閣において
基本法の制定を見たところであります。
官僚の本分というのはやはり政策の
企画立案であります。そして真の政治主導というのは官邸主導なんですね。政治家がたくさん集まって政治主導というのは、これはミスリードの話であって、民間企業経営であっても、例えば人、物、金の選択と集中、国家経営においても、
内閣に人事権、予算編成権、国家戦略の
企画立案、
決定、こういった権能を集中させることが大事であります。したがって、そういう
観点から、
国家公務員改革基本法を制定したところであります。
そういったことを進めていくためには、さらに細部にわたる
制度改革が必要になるわけでありまして、
内閣人事局を初めとした一連の
改革がその後に続くはずだったのでありますが、いまだに進んでいないというのが残念ながら現状かと思います。