○
後藤(祐)
議員 ただいま議題となりました
特別安全保障秘密の適正な
管理に関する
法律案及び
情報適正管理委員会設置法案につきまして、
提出者を代表して、その
提案理由及び内容の概要を御
説明申し上げます。
まず、民主党・無所属クラブ
提出に係る五
法律案の理念について御
説明申し上げます。
行政情報の適正な
管理を行うに当たっては、
秘密保全法制の整備だけを先行させるのではなく、公文書
管理制度、
情報公開制度及び国会における
情報管理のあり方について、総合的な体系を整備することが必要であります。その上で、以下のような理念に基づいて、制度のあり方を検討すべきであると考えます。
すなわち、
秘密保全法制においては、現行の制度で不十分な部分に限り、
秘密を
保全するために必要最小限の規定を置く一方で、それ以外の部分については極力現行の制度を維持することとすべきであります。
また、
情報を持つ
行政機関の恣意性を排除するため、第三者機関によるチェック体制を整備すべきであります。
また、国会への
秘密情報の提供に当たっては、その条件を政令で定めるのではなく、国会が主体的に提供の是非を決することとすべきであります。
このような考えに基づき、我々民主党・無所属クラブは、
行政機関の保有する
情報の
公開に関する
法律等の一部を改正する
法律案、公文書等の
管理に関する
法律の一部を改正する
法律案、
特別安全保障秘密の適正な
管理に関する
法律案、
情報適正管理委員会設置法案及び国会法の一部を改正する
法律案の計五
法案を国会に
提出いたしました。これらのうち、
行政機関の保有する
情報の
公開に関する
法律等の一部を改正する
法律案については、既に十一月七日に本
委員会に付託されております。
以下、本
委員会に付託されました二
法律案につきまして、その概要を御
説明申し上げます。
まず、
特別安全保障秘密の適正な
管理に関する
法律案について御
説明申し上げます。
第一に、この
法律の
目的であります。
この
法律は、国の保有する
情報は本来
国民のものであるとの
国民主権の理念にのっとり、
国民の知る権利の保障に資する報道または取材の自由を十分に尊重しつつ、恣意的な
情報の秘匿が行われないよう、当該
情報の適正な
管理に関し、
特別安全保障秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その
漏えいの防止を図り、もって
我が国及び
国民の安全の確保に資することを
目的としております。
第二に、
特別安全保障秘密の指定であります。
行政機関の長は、当該
行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する
情報であって、公になっていないもののうち、その
漏えいが
我が国の
安全保障及び
外国の
政府または国際機関との
情報の共有に著しい支障を与えるおそれがあるために秘匿することが必要かつ不可欠であるものに限り、これを
特別安全保障秘密として指定するものとしております。この場合においては、その
漏えいが
我が国の
安全保障及び
外国の
政府または国際機関との
情報の共有に著しい支障を与えるおそれについて
説明する責務が全うされるようにするものとしております。
なお、別表に掲げる事項は、外交に関する事項及び国際的な
テロリズムの防止に関する事項としております。
また、
行政機関の長は、違法行為、
行政機関の不作為もしくは過失もしくは既に公になっている
情報を隠蔽し、もしくは公正な競争を阻害する
目的で、または
我が国及び
国民の安全の確保に必要と認められない
情報については、指定をしてはならないものとしております。
第三に、指定の有効期間及び解除であります。
まず、指定の有効期間については、
行政機関の長は、
特別安全保障秘密として指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない
範囲内においてその有効期間を定めるものとしておりますが、当該指定の有効期間は、延長した有効期間を通じて三十年を超えることができないこととしております。
ただし、
行政機関の長は、
政府の有するその諸活動を
国民に
説明する責務を全うする観点に立っても、なお指定に係る
情報を公にすることにより、
我が国の
安全保障及び
外国の
政府または国際機関との
情報の共有に著しい支障を与えるおそれがあることが明らかであることについて、その理由を示して、
情報適正
管理委員会の承認を得た場合に限り、通じて三十年を超えて指定の有効期間を延長することができることとしております。
次に、指定の解除でありますが、
行政機関の長は、指定をした
情報が指定の要件を欠くに至ったとき、または指定をしてはならないものであることが明らかとなったときは、有効期間内であっても、速やかにその指定を解除するものとしております。
また、
特別安全保障秘密の
取り扱いの
業務を行う者は、指定に係る
情報が指定の要件を欠くに至ったと思料するとき、または指定をしてはならないものであると思料するときは、
情報適正
管理委員会に対して、その旨を通知しなければならないものとしております。当該通知を受けた
情報適正
管理委員会は、調査を行い、当該
秘密の提示を受け、指定の解除が必要と認めるときは、
行政機関の長に対し、その旨を勧告するものとしております。当該勧告をした
情報適正
管理委員会は、当該勧告を受けた
行政機関の長に対し、当該勧告に基づき講じた措置について報告を求めることができることとしております。
第四に、
特別安全保障秘密の提供であります。
特別安全保障秘密を保有する
行政機関の長は、他の
行政機関が
我が国の
安全保障に関する事務を遂行するために当該
特別安全保障秘密を利用する必要があると認めたときは、当該他の
行政機関に
特別安全保障秘密を提供することができるものとすることとしております。
なお、国会に対する
特別安全保障秘密の提供に関して、
秘密会のあり方等は立法府の決定すべき事項であると考えられることから、政令に委ねることなく、国会法において、現行国会法百四条の手続とは別に、別途
提出した国会法改正案により、規定を新設することとしております。また、両院議長が副議長の
意見を聞き、
国家の極めて重大な利益に回復しがたい悪影響を及ぼすこととなると認めた場合を除き、必要な措置を講じた上で、
行政機関の長に
情報提供を命ずることができることとしております。
第五に、現行のカウンター
インテリジェンス機能の強化に関する基本方針に基づいて行われている適格性確認を法的に位置づけることとしております。また、適格性確認の
対象者については、適格性確認の結果その他当該確認
対象者について
実施された適格性確認について、書面で、
情報適正
管理委員会に対し、苦情の申し出をすることができるものとし、
委員会は申し出者の所属する
行政機関の長に対し申し出があった旨を通知し、これを受けて、
行政機関の長は誠実な処理を行った上で、その結果を
委員会に報告することとしております。
第六に、
政府による国会に対する報告についての規定であります。
政府は、毎年、
特別安全保障秘密の指定及びその解除並びに適格性確認の
実施の
状況を国会に報告するとともに、公表しなければならないこととしております。
第七に、
罰則についてであります。
特別安全保障秘密の
取り扱いの
業務に従事する者であって、その
業務により知得した
特別安全保障秘密を漏らした者に対する
罰則は五年以下の懲役とする等、所要の
罰則を整備することとしております。
なお、
特別安全保障秘密の過失による
漏えい、
漏えいの未遂については、
政府案とは異なり、
罰則の
対象としないこととしております。また、民間事業者による
秘密漏えいを企て、命じ、故意にこれを容認し、唆し、またはその幇助をした者については、現行制度どおり、
罰則の
対象としないこととしております。したがって、現行の法制度から処罰
対象が広がることはありません。
次に、
情報適正管理委員会設置法案について御
説明申し上げます。
国の保有する
情報は本来
国民のものであるとの
国民主権の理念にのっとり、
国民の知る権利の保障に資する報道または取材の自由を十分に尊重しつつ、
特別安全保障秘密の適正な
管理を行うため、
情報適正
管理委員会の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な
範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する
行政事務を能率的に遂行するため、必要な
組織を定めるものであります。
その内容について、その主な概要を御
説明いたします。
第一に、
情報適正
管理委員会の設置であります。
内閣府設置法の規定に基づいて、
内閣府の外局として、
情報適正
管理委員会を置くこととしております。
第二に、
情報適正
管理委員会の任務及び所掌事務であります。
情報適正
管理委員会は、国の保有する
情報は本来
国民のものであるとの
国民主権の理念にのっとり
国民の知る権利の保障に資する報道または取材の自由を十分に尊重しつつ、
特別安全保障秘密の適正な
管理を図ることを任務とし、その任務を達成するため、
特別安全保障秘密の指定の解除に係る調査及び勧告に関すること、適格性確認についての苦情の申し出に関すること、
特別安全保障秘密の指定及びその解除並びに適格性確認の
実施に関する統一的な
運用を図るための
基準の作成に関すること等の事務をつかさどることとしております。
第三に、
情報適正
管理委員会の
組織等であります。
情報適正
管理委員会は、
内閣の恣意性を排除し、独立性を重視する観点から国会の議決による指名に基づいて、
内閣総理
大臣が任命する
委員長及び
委員六人をもって
組織することとし、独立してその職権を行うこととしております。
第四に、
情報適正
管理委員会による資料
提出の要求等であります。
情報適正
管理委員会は、必要があると認めるときは、
関係行政機関に対し、資料の
提出、
意見の開陳、技術的知識の提供その他必要な協力を求めることができることとしております。
第五に、
情報適正
管理委員会による国会に対する報告であります。
情報適正
管理委員会は、毎年、
内閣総理
大臣を経由して国会に対し所掌事務の処理
状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならないこととしております。
以上のほか、所要の規定を整備するものとしております。
なお、この
法律は、一部を除き、
特別安全保障秘密の適正な
管理に関する
法律の施行の日から施行するものとしております。
以上が、二
法律案の
提案理由及びその内容の主な概要であります。
何とぞ、慎重御
審議の上、速やかに御賛同くださいますよう
お願い申し上げます。