○尾辻
参議院議員 ただいま
議題となりました
がん登録等の
推進に関する
法律案につきまして、その
提案の
理由及び
内容の御
説明を申し上げます。
がんは、
国民の疾病による死亡の最大の原因となっているなど
国民の生命及び健康にとって重大な問題となっております。
こうした中、
国民の
生活習慣とがんとの相関関係を明らかにするため、健康増進法第十六条の努力義務規定に基づき、全ての都道府県において、地域がん登録事業が実施されているところです。しかしながら、各都道府県のがん登録の精度にばらつきがあり、全国の罹患率は二十五府県の、五年生存率は七府県の登録情報を用いて推計しているのが現状です。また、
医療施設のがん診療評価を目的とした院内がん登録についても、さらなる充実が求められております。
そこで、本
法律案は、
平成十八年に成立したがん対策基本法の
趣旨にのっとり、全国がん登録の実施、全国がん登録情報等の利用、提供、保護等のほか、院内
がん登録等の
推進に関する事項を定め、あわせて、
がん登録等により得られた情報の活用について定めることにより、がん
医療及びがん検診の質の向上、がんの予防の
推進その他のがん対策の科学的知見に基づく実施を初め、がん対策の充実につなげようとするものであります。
次に、本
法律案の主な
内容について御
説明申し上げます。
第一に、病院及び都道府県知事により指定された診療所に対し、がんに関する情報についての都道府県知事に対する届け出を義務づけることとしております。また、都道府県知事は、届け出られた情報を審査及び整理した後に、厚生労働大臣に
提出し、厚生労働大臣は、これらの情報を審査及び整理した後に、全国がん登録データベースに記録することとしております。
第二に、厚生労働大臣は、都道府県知事等を経由して市町村長から
提出された死亡者情報票に基づき、生存確認情報等を全国がん登録データベースに記録することとしております。
第三に、全国がん登録情報等の利用及び提供に当たっての要件及び手続を定めております。特に、全国がん登録情報等の提供に当たっては、厚生労働大臣及び都道府県知事は、あらかじめ、がん、がん
医療等またはがんの予防に関する学識経験のある者及び個人情報の保護に関する学識経験のある者等で組織される審議会等の意見を聞かなければならないこととしております。
第四に、全国がん登録情報等を厳格に保護するため、適切な管理、利用及び提供の制限、秘密保持義務等について定めると
ともに、秘密漏示等に対する罰則を設けております。
第五に、専門的ながん
医療の提供を行う病院等の開設者及び管理者は、厚生労働大臣が定める指針に即して院内がん登録を実施するよう努めるものとしております。
第六に、国、都道府県、市町村等が、全国
がん登録等により得られた情報を活用し、がん対策の充実等に努めるものとしております。
なお、この
法律は、一部を除き、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上が、本
法律案の
提案の
理由及び
内容の
概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。