○中根(康)
委員 民主党の中根康浩でございます。
再生医療安全
確保法、あるいは
薬事法の改正、こういったもので、これまで治らなかった、あるいは治せなかった病気が治るようになる、新薬が開発されるということについては、大いに
期待をしてまいりたいと思います。特に
期待しておられるのは、難病
患者や御家族の方々だと思っております。
しかし、その
期待以上に、難病
患者の皆さんを不安に陥れている状況があらわれてまいりました。厚労省の難病対策
委員会で検討されている難病
患者の自己負担の大幅引き上げ。検討されているのは、現行、重症
患者さんの場合、
医療費は無料でありますが、これを、所得に応じた自己負担が課せられることになり、最大一月四万四千四百円、年間で五十三万円にも上る負担増ということになっているようでございます。
きょうは、傍聴席にも難病
患者の方々も大勢お越しになっておられます。私は、当事者の
皆様方の悲鳴にも似た思いをぜひ代弁したいという思いで、
大臣と議論をしてまいりたいと思います。
難病
患者や御家族にとっては、まさに命にかかわる大変重要な改定ではございますが、今提案をされているような内容の改定案を当事者の方々が聞いたのは、ここ数週間ということであるようでございます。そして、今回、十一月の中旬までに、もうあと二週間ほどでこれを決めて、次の通常
国会には法案を出すというような腹づもりということも聞いております。
余りにも拙速ではないでしょうか。もっと十分、当事者の方々の声を聞くべきではないでしょうか。このような拙速な法案が入ってくるようなプログラム法案ということであっては、当然、これまでの介護とか、あるいは
医療とか、こういった議論に加えて、賛成できないということになってしまいます。当事者の意見が十分反映されない法案というものは、この難病の法案にしても、プログラム法案にしても、賛成することはできないということになってしまいます。
今から、
患者さんや御家族の方々の具体的なお声を、
大臣に、厚労省にお伝え申し上げたいと思います。
資料を配付させていただきましたが、半分より少し後ろになりますが、五という
ところをぜひごらんいただきたいと思います。
これは皮膚筋炎という難病
患者さんについての
資料でございますけれども、
一つ一つは申し上げませんけれども、これだけ多くの薬を服用されておられるわけでございます。この中には、皮膚筋炎というもとの病気のための薬が副作用を起こすということで、その副作用を抑えるための薬も含まれているということでございます。
この方については、身障手帳というものは取得をされておられませんので、生活を送る上での各種軽減とか、あるいは免除とか割引、手当、こういったものは一切ありません。つまりは、難病でない方と同じ生活コストを負担しておられるわけでありまして、その上、大変長期にわたって、これは長期どころか、ある
意味、死ぬまでと言っては語弊があるかもしれませんが、続く可能性のある
治療でありますが、この
治療費や薬代が課せられる、上乗せをされるということでございます。ですから、せめて、もとの病気のための薬代だけは無料にしてほしいというような御要望も承っている
ところでございます。
このたび、この方の子供さんが就職をされるということのようでございますが、今回、もし改定案のとおりになってしまった場合、生計
中心者の所得から世帯単位の負担方法になりますと、大変負担が大きくなるし、そもそも子供さんの収入は子供さん自身の収入であるということで、日常的に頼りにしておられる子供さんに迷惑をおかけしたくないということで、世帯分離を考えざるを得ないのではないかという深刻なお気持ちになっておられるということ、まずこれをお伝え申し上げます。
それから、引き続きまして、
資料六、七にあります、これはALSの
患者さんのものでございます。
医療費助成で何とか将来への望みをつないでいたが、今回の自己負担引き上げで、あたかもはしごを外されたような気になってしまうと承りました。負担が重くなるのであれば家族に迷惑がかかるから、気管に呼吸器をつけるかどうか迷っておられるとのことでございました。つまりは、生きるか死ぬかの選択を、この難病対策
委員会が示した案が突きつけているということになるわけでございます。
病気以外にも、七番の表にありますように、毎月さまざまな経費がかかっているわけでございます。この上、一月四万四千四百円の負担は、余りにも重過ぎる。難病
治療は、一生続く、これは先ほども申し上げましたけれども、いつ終わるともわからない闘いが続くわけであります。
このALSの方も、御家族に迷惑をかけたくない、特に、働いて頑張って仕事と家庭を、また介護、介助というものを必死になって両立してくれている御主人に迷惑をかけたくないということで、今回、世帯単位になるということで、離婚も考えざるを得ないという深刻な思いになっておられるわけであります。しかし、今お伝えを申し上げましたように、御主人に日常介護も頼っておられるわけでありますので、離婚をするということになれば、まさにこの御本人の方にとっては、死にもつながるような状況を招いてしまうということになるわけであります。
大臣、最も厳しい状況にある方々に一筋でも希望の光を与えるというのが政治の
役割ではないでしょうか。それが、この難病の方々の場合、
医療費助成であるというわけであります。もちろん、きょうの法案の
再生医療というものも希望の光につながるわけでありますけれども、
再生医療で
治療法が見つかり、新薬が開発されても、負担が重過ぎると使えないということになってしまうのではないでしょうか。希望を与えるべき政治が希望を奪うというのはおかしな話であります。
資料の四をごらんいただきたいと思います。
これは、十月二十七日に、難病対策に関する意見交換会で
日本ALS協会の方々が
厚生労働省に提出をされた提出意見書でございますが、ここにありますように、難病
患者に余りにも重い自己負担、愛する人との別れを余儀なくさせられる世帯単位の考え方の導入については、ALS協会の方々からも強い反対の意見書が出されておるわけであります。
大臣もよくこれは御認識のことと思いますが、もちろん、この厚労省の難病対策
委員会の提言に対して反対している人ばかりではないということも、恐らく後で
大臣が
お話しになられると思いますけれども、しかし、法律によって生活が苦しくなる方々の声を、より慎重に、より十分酌み取っていくというのが、まさに行政の、あるいは政治の責務ではないでしょうか。
また、難病
患者の方々の団体を分断するような今回の
やり方、こそくなものであると感じざるを得ません。
大臣、これまでの当事者の方々の生活あるいは思い、こういったものをお伝え申し上げましたけれども、御見解を承りたいと思います。