○荒井
委員 私は、今のでは不十分だと思うんですよ。ちゃんとした避難経路、それが
整備されているかどうか、これはとても大事ですよね。
今、「ホワイトアウト」という小説、大変おもしろい小説ですから、一度
大臣も読まれたらいいと思いますけれ
ども。それを読んでみてください。冬の積雪の
地域、地帯で鉄塔がテロによって倒されて、
電力が来なくなって、避難計画がうまくいかないという、豪雪の
地域だという前提で、ありそうなことだなというふうにも思います。そのときの除雪の計画だとか、あるいは避難計画だとかというのは、あらかじめやはり準備をしておく必要があるんだろうというふうに思います。
この
原発事故のときに、私は、当時、民主党の原発PTというプロジェクトチームでいろいろな作業をしていたんですけれ
ども、アメリカ側と
意見交換をすることが結構ありました。アメリカ側が一番びっくりしていたというか、あるいは、
日本の安全、危機
管理の文化というのはこういうものなのかというような感想を非公式に漏らしたことがございます。
兵たんをほとんど重視していないというか無視しているというか、典型的なのが作業員の労働
環境についてでありました。あるいは、避難計画そのものがうまくできていないというようなことを
指摘しておりました。
まさに、
日本が太平洋戦争で負けたときの、それと同じ現象がこの事故の
対応のときに起きていたんだなというふうに感じた次第でありますから、ぜひ政府側でも、避難というものについてもっと重要視して、
原子力の規制だとか、そういう光の当たるところばかり何となく重視をするところがあるんですけれ
ども、もっと地味なところこそ、一番大事なんじゃないかなというふうに私は思います。
きょうは
田中委員長ともっと
議論をしたいんですけれ
ども、
田中委員長に最後お伝えだけしたかったのは、今度の事故で、女川原発の創設のときに携わった平井さんという、当時の東北
電力の副社長がおられました。
もうお亡くなりになっている方ですけれ
ども、この方が、多分、三陸にお住まいの方だったんだろうと思います。自分の小さいときに、ここよりも下に住むなという言い伝えがあったというんですね。ある神社だそうですけれ
ども。それが、ちょうど標高十五メートルのところだったんだそうです。それで、十五メートル以下に住むなという言い伝えがあったので、女川原発をつくるときに、標高十五メートル以上にしろと強硬に主張したそうです。
当時、政府の基準は五メートルですから、それで、海水で水冷するわけですから、なるべく低いところの方が経済的だということで、東北
電力の経理担当とかそういうところは、五メートルでいいじゃないかと。
福島第一原発なんか、わざわざあれは削って五メートルにしたんですね。そういうことをやろうとしたんですけれ
ども、この平井さんという方が絶対だめだと体を張ってそれを抑えたということで、十五メートルの標高に女川原発があるわけです。
そこに十四メートルの津波が来たけれ
ども、辛うじて救われた。そして、女川の
地域の人たちの避難場所にあの原発がなったんですね。もうお亡くなりになっていますけれ
ども、私は、この平井さんという方は本当に国民栄誉賞物だというふうに思います。
あるいは、吉田さんという
福島第一原発の所長さんも、最後の最後まで残ると決断をして、アメリカのワシントン・ポストかな、フクシマ・フィフティーと言われた、英雄として書かれている。まさに、そうだと思うんです。あの人がいなければ、もっと被害は広がったというふうに思います。
そういう
方々を先輩や後輩に抱えておられる良心的な
技術者であり研究者である
田中さんに、これからもぜひ、公明で公正で公平な行政をしていただけるようにお願いをいたします。
さて、
大臣、ちょっとお待たせいたしました、申しわけございませんが。
大臣のところでは、除染の仕事が
中心だと思います。これは、
福島の
方々にとっては死活問題になっています。
除染の仕事は、この二年間やってきて、どこが難しいのか、どこまでできるのかというのが少しわかってきたんじゃないかというふうに思います。ハイレベルの放射能のところは
かなり効率的な除染作業ができるというのが少しわかってきたんだと思うんですけれ
ども、低レベル、五ミリ以下のところは極めて難しいということがだんだんわかってきたんだろうと思います。
そこで、もともとの除染計画は、一年あるいは二年でという除染計画だったんですけれ
ども、それはもはや不可能だというのをだんだん理解してきて、計画の練り直しをする段階に来ているというふうに思うんです。そうしますと、今までの一、二年でやるための
施設あるいは体制、そういうものとは違ってくると思うんですね。そういう基本的な変更なり基本的な
考え方というのは、今、
大臣、どうお
考えなのか、それをお聞かせください。