○大河原雅子君
民主党の大河原雅子です。
ただいま
議題となりました
食品表示法案につきまして、
民主党・新緑風会を代表して質問いたします。
本
法案は、
民主党政権下において
検討され、法制化に向けて準備してきたものです。これまで、
食品の
表示は、
食品衛生法、JAS法、
健康増進法など複数の
法律にまたがり、
消費者にとって大変分かりにくいものでした。
今国会に提出に至ったことは
消費者の立場に立つ
民主党として歓迎するものですが、さらに、
消費者の立場に立った十分な審議を尽くし、成立されることを望んでおります。
さて、あなたの体はあなたが食べたものでつくられている、この言葉は当たり前のことですが、いつも新鮮な響きがあります。私たちが日々、体に取り入れる
食品は命の源です。そして、体に様々な影響を及ぼします。
例えば、血圧を下げる薬の一つであるカルシウム拮抗薬の服用中は食べない方がよいかんきつ類があること、よく知られております。また、加工
食品などに使われている甘味料が原因と見られる食物アレルギー患者についての
調査報告書もあります。アレルギーや病気で食べてはいけないもの、余り食べない方がよいもの、健康
増進のためにたくさん食べる必要があるもの、一人一人
食品の選択
基準が違います。
自分で食べるものを正しく知ることは、
消費者が自ら命を守るために必要不可欠なことです。
表示は、知る権利、選ぶ権利であると同時に、安全を確認するために必要なのです。中でも、
消費者にとって原材料
表示は最も重要な情報であり、添加物を含めて原材料の
表示が必要です。
また、一方、
事業者には製造物
責任があります。どこでどのように生産され、どんな加工をしたのか、このことを示すのは作り手である
事業者の
責任であり、また誇りともなります。
私は、こうした観点から、
食品表示法案について
基本的な何点かの質問をさせていただきます。
まず、
消費者の権利について伺います。
本
法案には、
消費者の権利の尊重と
消費者の自立の
支援が明記されました。これについては評価をしたいと思います。そこで、
食品表示における
消費者の権利の尊重及び
消費者の自立の
支援とは
具体的にどういうことなのか、改めて大臣の
見解をお伺いします。
また、
消費者の権利を
規定するとともに、その一方で、小規模な
食品関連事業者の
事業活動に及ぼす影響及び
食品関連事業者間の公正な競争の
確保に配慮するとの
規定もあります。これはどういう経緯で盛り込まれたのでしょうか。
小規模
事業者への配慮は確かに重要でありますが、
事業者への配慮が必要以上に強くなると、
消費者の権利を阻害することになるのではないかと思います。これについても大臣の所見をお伺いします。
次に、今後の
検討課題とされた
事項への
対応について伺います。
食品表示一元化
検討会の報告書では、加工
食品の原料原産地
表示、中食、外食の取扱い、インターネット販売の取扱い等、
検討課題については別途
検討の場を設けて引き続き
検討を行うとしています。また、新
食品表示法に関する
消費者団体とのワークショップで示された新
食品表示制度のポイントにおいても、これらの
検討課題はことごとく新たな
検討の場での
検討とされました。
結局、今般の
食品表示法案は、
食品衛生法、JAS法及び
健康増進法の三法の
表示の統合にとどまり、
消費者団体が要求していた様々な
課題は先送りされています。
食品衛生法第二十条と
健康増進法第三十二条の二、虚偽・誇大
表示広告の禁止も
食品表示法への統合が必要であり、これらの
課題の
検討を早急に進めるべきだと考えます。
食品輸入大国の
我が国において、加工
食品の原料原産地
表示は、
消費者の選択に資するものであり、
国民の関心が高い
事項であり、長年、
消費者がその拡大を求めてきました。
消費者基本計画にも、加工
食品における原材料の原産地
表示の義務付けを着実に拡大しますと明記されています。
生鮮
食品については、既に全ての
食品について原産地
表示を義務付けることとされていますが、加工
食品については、現在、JAS法の
規定による二十二
食品群及び個別
基準による四
食品、農産物漬物、野菜冷凍
食品、ウナギかば焼き、かつお削りぶしに原料原産地
表示が義務付けられているだけです。原材料の調達先がグローバル化するに伴い、
食品の履歴を知る一助ともなる原料原産地に関する情報は、
消費者にとっては
食品選択の重要な要素です。加工
食品の原料原産地
表示の拡大については、早急に
検討に入り、必ず
実施すべきであると考えます。大臣の
見解をお伺いします。
また、現在の義務
表示対象品目の選定要件、これは、原産地に由来する原料の品質の差異が加工
食品としての品質に大きく反映されると一般的に
認識されている品目のうち、製品の原材料のうち単一の農畜水産物の重量割合が五〇%以上である商品とされていますが、この選定要件の
見直しを行うつもりはあるのでしょうか、併せて伺います。
次に、遺伝子組換え
食品の
表示の
見直しについて伺います。
遺伝子組換え
食品の
表示については、
食品衛生法及びJAS法により遺伝子組換え又は遺伝子組換え不分別との
表示を義務付けており、遺伝子組換えでないとの
表示は
任意表示となっています。遺伝子組換えの義務
表示対象食品は、現在、大豆、トウモロコシ、菜種などの八農作物及び豆腐、納豆などの加工
食品の三十三
食品群ですが、
表示が義務付けられた
食品が主な原材料となっていない加工
食品は遺伝子組換え
表示の
対象外とされており、また、五%以下の意図しない混入を認めています。意図しない混入率についてはEUの〇・九%以下程度とすべきとの意見もある中、遺伝子組換え
食品の
表示の
見直しをどのように進めていくのか、お考えをお示しください。
食品添加物
表示の
見直しについて伺います。
添加物については、原則として
使用した添加物を全て物質名で
表示することになっていますが、複数の物質が
使用されている場合には、酸味料、香料などの用途を表す一括名
表示が認められています。
しかし、一括名
表示では
消費者にはどの物質が添加物として
使用されているのか分かりません。
消費者の知る権利を尊重するならば、添加物の一括名
表示を
見直し、全て物質名と用途をきちんと
表示すべきであると考えますが、大臣の
見解をお伺いいたします。
中食、外食等における
食品表示について伺います。
生活様式の変化に伴い、持ち帰り総菜や半加工品などの中食や外食の割合が増えています。これらは、購入時に販売員に原材料等を確認することができるため、
表示の義務は課されていません。
現状においても各
事業者団体により自主的な情報提供がなされていますが、中食、外食により急性アレルギー反応が引き起こされた例もあり、中食、外食においてもアレルギー
表示の
義務化を進めるべきであると考えますが、大臣の
見解をお願いします。
次に、
表示の文字サイズの拡大について伺います。
高齢者にも見やすいものにするため、文字サイズの拡大が今後の
検討とされています。これによる
表示内容の削減、簡素化が懸念されます。
消費者の安全や必要な情報の提供が妨げられることのないよう、
表示内容が後退することは許されません。また、容器包装上の
表示が重要であることは言うまでもありませんが、インターネットによる情報提供など、
表示を補完する手法の
検討も進めるべきではないでしょうか。
次に、
栄養表示の
義務化について伺います。
栄養表示は、現在は
任意表示になっており、
表示する場合には
健康増進法に基づく
栄養表示基準に従うこととされ、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウムを
表示しなければなりません。
食品表示法案では、原則として全ての加工
食品、全ての
事業者に義務付けることとされています。
栄養表示をする場合、食
生活を取り巻く
環境の変化や
生活習慣病の増加等を考慮すると、義務
表示事項の追加が必要ではないでしょうか。既に
消費者基本計画には、トランス脂肪酸等の脂質を始めとする栄養成分の
表示の
在り方について
検討を進めますと記載されています。現在は任意
表示事項である飽和脂肪酸、トランス脂肪酸等を義務
表示事項とすることを
検討すべきだと思います。
また、小規模
事業者がスムーズに
義務化に移行できるように、栄養成分のデータベースの提供など、実行
可能性を担保する
支援も必要です。いかがお考えでしょうか。
次に、
食品表示法案の執行体制について伺います。
消費者庁は地方組織を持っていません。現在、地方における
食品表示の執行業務については、地方農政局において
実施されるとともに、都道府県においても
実施されています。
食品表示法案においても、現在の執行体制を引き継ぐということでよいのでしょうか。
現在、不適正な
食品表示の
調査、指導には、農林水産省のいわゆる
食品表示Gメンがおり、地方農政局に配属されています。また、保健所には
食品の
安全性を
監視する
食品衛生
監視員がいますが、これらの業務の一元化など、執行体制の
強化が必要です。大臣の
見解をお伺いいたします。
次に、適格
消費者団体への
支援について伺います。
消費者全体の利益擁護のために差止め請求権を適切に行使することができる適格性を備えた
消費者団体として
内閣総理大臣の認定を受けた適格
消費者団体は、現在、全国に十一団体あります。
食品表示法案により、
食品表示に関しても差止め請求が可能となるわけですが、その
実効性を担保するために人的
支援、財政的
支援が必要と考えますが、大臣の
見解をお伺いいたします。
次は、酒類の取扱いについてです。
食品表示法案には、酒類の
表示についても盛り込まれました。酒類については、酒税の保全及び酒類業組合等に関する
法律にも、酒類の
表示基準についての
規定、またそれに基づく指導、命令等の
規定がありますが、
食品表示法案における取扱いとの違いは何でしょうか、御
説明願います。
次に、景品
表示法との関係について伺います。
景品
表示法は、不当な
表示や過大な景品類の提供による顧客の誘引を
防止し、
一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為を禁止することによって
消費者の利益を
保護することを目的とする
法律であり、
食品表示においても不当な
表示がなされると景品
表示法違反が
適用される場合があります。
食品表示法案第十四条には、この
法律の
規定は、不当景品類及び不当
表示防止法(景品
表示法)の
適用を排除するものと解してはならないとありますが、
食品表示法が
適用される場合と景品
表示法が
適用される場合の違いを明らかにしていただきたいと思います。御答弁ください。
次に、衆議院における修正について伺います。
本
法案は、衆議院において、
食品表示基準の
表示事項及び
食品を摂取する際の
安全性に重要な影響を及ぼす
事項にアレルゲンを追加する修正がなされました。
法律に明記したことの意義とその
効果について、大臣にお伺いいたします。
あわせて、この
法律の
施行状況についての
検討年限を
施行後五年から三年に改める修正も行われました。これについても御答弁ください。
食品表示法案は新たな
制度の枠組みであり、新たな
食品表示基準の作成を可能な限り早急に進めることが必要です。積み残した加工
食品の原料原産地
表示や遺伝子組換え
食品の
表示等の
課題もできるだけ早く
検討し、結論を出していくべきです。
私は、食べる側、
消費者の立場に立った信頼のおける
食品表示の実現は、
事業者の皆様にとってもメリットのあることと確信をしております。改めて新
制度に対する大臣の決意を伺って、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣森まさこ君
登壇、
拍手〕