○水野賢一君 みんなの党の水野賢一です。
みんなの党を代表して
質問いたします。
召集日の
所信表明演説で、
総理は、
経済再生や
震災復興の
重要性について強調していました。これらが極めて重要な
課題だということについては何の異論もありません。しかし、その解決のための
具体策にはほとんど触れていませんでした。いわく
世界一を目指そう、いわく未来を切り開くといっても、裏付けとなる
政策が曖昧では
経済再生も
震災復興も言葉だけに終わってしまいます。また、ほかにも、重要項目でありながら所信表明では一言も言及していない
課題が数多くありました。それらについては施政
方針演説のときに改めて述べるということなのかもしれませんが、正直、
期待外れの感は否めません。
そこで、質疑を通じて具体的
政策についてただしていきたいと
思います。
まず、
経済対策です。
総理は、デフレ脱却のために
政府と日銀が緊密な連携を図る必要があるとおっしゃいました。私
たちもそう考えています。考えているからこそ、今の日銀法のままではそれが
実現できないとして、これまで四回にわたって
国会に日銀
法改正案を提出してきました。所信表明では
法改正について一切触れていませんでしたが、なぜですか。現行の日銀法のまま、運用だけ
改善するというのでは不十分です。
法改正こそ王道と考えますが、いかがですか。
間もなく任期切れを迎える日銀総裁、副総裁の人事も極めて重要です。我が党の渡辺喜美代表は、財務事務次官の天下りは認めないということに加え、適任者の三条件としてマクロ
経済学の博士号を持っていることなどを挙げていますが、
総理は、日銀総裁の資質や出身母体についてどのようなことを必要条件として考えておられますか。
経済再生のために最も大切なことは、景気に悪影響を与えることはしないということです。デフレ
状況下で消費税を上げることほど景気に悪いことはありません。だからこそ、みんなの党は昨年の増税法案には徹底して反対しました。
この消費税増税法では、一応、
経済状況が悪い場合には増税停止もあり得ることになっています。こうした判断をいつまでにするという期限が法律上決まっているわけではありませんが、安倍内閣としては、増税を
実施するのか否かの最終判断はいつまでに行うのですか。
また、税率を一〇%に上げるときには
軽減税率を導入する
方針を決めたとのことです。世論調査を見ても、
軽減税率導入への支持は高いようです。生活必需品には
軽減税率を適用するというのは、確かにもっともらしく聞こえます。しかし、大きな
懸念もあります。どの品目の税率を
軽減するかは、官僚や族
議員のさじ加減一つで決まってくるからです。
軽減税率の品目に選ばれるかどうかは、
関係業界にとっては死活問題です。それだけに、こうしたさじ加減をする人
たちの権限
拡大にもつながるわけです。こうした
懸念についてはどう考えますか。
税制については、もう一つ問いたださなければなりません。道路特定
財源の復活問題です。
与党の税制改正大綱では、自動車重量税を道路の
維持管理、
更新等のための
財源として位置付けるとしています。これを見れば、まさに道路特定
財源の復活ではないですか。
自民党税調幹部が特定
財源ではないと釈明したようですが、
安倍総理にも確認します。まさか道路特定
財源の復活ということはありませんね。
そもそも、この
制度は、かつて
自民党政権自身が廃止して一般
財源化したはずではないですか。党内の根強い抵抗を押し切って無駄遣いの温床たる特定
財源を廃止したのは英断でした。それをもし復活させるというのであれば、古い
自民党の復活そのものではありませんか。
私
たちは、何も道路を一本も造るな、
補修もするなと言っているわけではありません。本当に必要ならば、一般
財源から充当すればいいんです。せっかくの税金を道路にしか使えない、使わせないとして道路を聖域にするのがおかしいと言っているだけです。一般
財源化は必ず堅持すると
政府の公式
見解として明言してもらいたいと
思います。
身を削る
改革について伺います。
昨年の衆議院解散直前の党首討論を受け、
国会議員定数を削減するという方向性はあるようです。問題は、そこに掛ける情熱です。
実現すればよし、しなくてもまあ仕方がないくらいの姿勢では、身を削る
改革が進むはずはありません。
総理がどのぐらいの覚悟を持っておられるのか、
政治生命を賭する覚悟があるのかをお伺いします。
身を削る話でいえば、昨年の解散でうやむやになってしまったこともあります。解散の前日、一つの法案が衆議院を通過しました。議会雑費を廃止する法案です。議会雑費というのは、衆参両院の委員長などが
国会開会中に毎日六千円ずつ受け取る手当のことです。土日、休日も
関係なく支給されるので、今
国会ならば会期百五十日で九十万円の手当が出ます。こんな意味不明な支出はやめようということで、昨年秋の
国会で現在、与党の
公明党も含めて
議員立法が出されましたが、唯一
自民党だけが反対しました。それでも、当時は
自民党は衆議院で少数派でしたから可決をされて参議院に送られてきましたが、審議入りをする前に解散となり、法案は廃案となりました。
消費税増税など
国民に
負担を押し付けていながら、身を削る方はさっぱりというのでは通用しません。こんな
制度は廃止すべきではないですか。
エネルギー・
環境政策について伺います。
みんなの党は脱原発という
立場を明確にしています。原発は、一たび事故が起きたときの深刻な影響ももちろんですが、安全に操業したとしても、運転すれば必ず高レベル放射性廃棄物が出ます。しかも、その廃棄物は数万年以上も高い放射線を出し続けるわけです。
その処分については、地下深くに埋めるということまでは決まっています。しかし、どこに埋めるのかは全く決まっていません。だからこそ、現在もたまり続けているのです。つまり、動かせば必ず後世にツケを残すわけです。増税をするときには次世代に借金というツケを残すなと言いながら、放射性廃棄物というツケに対しては目をつぶるというのは理解できません。
一体、最終処分場を設置するめどは付いたのですか。また、めどが付かないままでも原発再稼働や新増設を強行する
可能性もあり得るのですか。
さらに、「もんじゅ」を始めとする核燃料サイクルの破綻は誰の目にも明らかです。せめて核燃料サイクル計画くらいは断念を表明したらどうですか。
昨年、原子力規制委員会が設置されました。この五名の人事は
国会同意人事ですが、いまだに
国会の承認を受けていません。しかも、野田
政権が
国会閉会中に緊急任命したまま退陣したため、
民主党政権が選んだ人を
自民党政権が
国会での事後承認を求めるという奇妙な形になっています。
安倍
政権は、先日、衆参両院に対し、事後承認を求めてきましたが、前
政権が選んだ人物のことを現内閣としても自信と
責任を持って適切な人選だと考えているかをお伺いします。
最近、温暖化防止への機運が弱まっている感があります。従来の原発頼みの二酸化炭素削減策が行き詰まっているのも明らかです。また、京都議定書の約束期間は今年度で終了します。それだけに、これ幸いと野方図に二酸化炭素をまき散らそうという動きに対しては歯止めを掛けておく必要があります。
総理は、先日、排出削減二五%の
目標を見直すように指示しました。手抜きを画策しているなどという誤ったメッセージにならないためにも、しっかりと排出削減に取り組むことをここで約束をしてもらいたいと
思います。
みんなの党は電力自由化を強く主張しています。普通は、商品というのはどの会社の製品を選ぶか消費者が決めます。しかし、電力の場合は、一般家庭の場合、住んでいる
地域によって特定の電力会社を選ばざるを得ない。
地域独占だからです。しかも、その独占
企業の社長が値上げは権利だなどとばかげたことを言っている。こんな
状況を放置してよいはずがありません。
地域独占を打破して競争原理を導入するのは当然のことです。
以前の
自民党政権のとき、党内に自由化反対の声が渦巻いていたのは私もよく知っています。しかし、
大震災による原発事故以降、ようやく電力自由化の方向に踏み出しつつあります。よもや安倍
政権になってこれを逆行させることはありませんね。
外交について伺います。
まず、北朝鮮による拉致問題です。
言うまでもなく、拉致は極めて重大な主権の侵害であると同時に、極めて重大な人権の侵害です。解決のためには、北朝鮮に対し
対話と圧力の姿勢で臨むと同時に、
国際社会への訴えかけも必要です。
その具体案として、みんなの党は、昨年、総
選挙のアジェンダに、国連に調査委員会を設置することを提唱しています。
自民党も同様の公約を掲げていましたが、
政府として国連人権理事会に北朝鮮による人権侵害の調査委員会を設置すべく働きかけを行うべきではないですか。
総理は、
外交方針として自由、民主主義、法の支配などの価値観を共有する国々との連携を模索しているようです。そういう意味では、
中国はこれらの価値観が一致するとは言い難い
状況です。
中国では、共産党一党独裁の下、様々な人権侵害が続いています。三年前、民主化運動をしている劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞しましたが、
政治犯として服役中のため授賞式に出席することさえできませんでした。そのとき、
自民党議員は当時の菅首相に釈放を求めるべきだと随分と詰め寄っていました。みんなの党も、劉暁波氏の釈放を求める決議案を
国会に提出をしました。
安倍総理は、劉暁波氏を含む
中国の民主活動家やチベットの独立運動家などに対する
中国政府の弾圧に対して、どのような姿勢で臨むのですか。具体的には、劉暁波氏の釈放は求めますか。
また、
自民党の公約には尖閣諸島への公務員常駐の
検討がうたわれていましたが、これはどうする
方針ですか。
TPPについては、みんなの党は速やかな交渉参加を求めています。
総理は、
所信表明演説ではこの問題に全く触れませんでした。一方、その翌日のテレビ番組では、参院選前に示すべき方向性は示したいと述べました。なぜ所信では触れなかったのですか。また、態度表明の期限について
国会でも明言してもらいたいと
思います。
今般の
アルジェリアでの
事件は、
テロリストの卑劣さを浮き彫りにすると同時に、何の罪もない
日本国民が海外で理不尽な犯罪に巻き込まれる
可能性があることにも改めて気付かされました。
国内で起こった犯罪の場合は、例えば通り魔
事件のように、被害者に何の落ち度もなければ犯罪被害者等給付金という一時金を受けることができます。殺人の場合であれば、最高額は二千九百六十四万円です。しかし、国外で起こった犯罪の場合には、支給対象になりません。
みんなの党としては、こうした抜け穴をふさぐための法案を準備していますが、
政府としては
法改正についてどのように考えますか。
道州制について伺います。
みんなの党は、
地域主権型道州制を
政策の柱の一つとして掲げています。
総理も、第一次安倍内閣を組閣したときには、道州制担当大臣を新設するなど、前向きな姿勢が見られました。しかし、今回の所信表明では全く触れないなど、最近は余り熱意が感じられないような気もいたします。道州制の導入についてはどのようにお考えですか。
震災からの
復興について、所信表明では、
政府の
体制を大転換するとうたっています。大転換には大賛成です。
そもそも、
復興庁を設置するときに、みんなの党は、これは現地に置くべきだ、そして権限、
財源を
復興庁に与えるべきだと主張をしていました。ところが、でき上がったのは東京都港区赤坂に本部を置く
復興庁でした。しかも、従来の行政の縦割りは温存されています。これでは、結局、
被災地の人
たちは東京まで来て各省を回って陳情しなければなりません。それどころか、
復興庁ができた分、陳情先が一つ増えることになってしまいました。せっかく
体制を大転換というならば、みんなの党が主張していたように、
復興庁は現地に設置するようにしたらいかがですか。
天下りについて伺います。
自民党の公約を見ると、天下りを根絶しますと明記しています。民主党も似たようなことを言っていた時期はありました。しかし、
政権を取ると、天下りあっせんを禁止とトーンダウンしてしまいました。そして、あっせんがなければ構わないという妙な理屈で、結局、天下りが続いたわけです。
自民党公約を普通に読めば、あっせんの有無とは
関係なく天下りそのものを全面的に禁止すると読めますが、安倍内閣はそうした
方針だと理解してよろしいですね。
最後に、民主主義の基礎にかかわる問題、一票の格差について伺います。
昨年の総
選挙は、最高裁で違憲状態の判決を受けた区割りのままで
実施されました。しかし、その
衆院選よりも更に格差が大きいのが参議院
選挙です。衆議院が二・四三倍なのに対し、参議院は五・〇〇倍です。五倍というのは、ある人が一票を持っているのに対し、〇・二票の人がいるということです。とても許されません。
国民は皆、一人一票であるべきです。
一応、今年夏の参議院
選挙では四増四減が
実施され、格差は四・七五倍に縮小しますが、
議論の過程は非常に奇妙なものでした。民主党は格差約三倍の改正案を提示し、
自民党は約四倍の改正案を主張していました。三倍、四倍というそれ自体が不十分ですが、両党が妥協した合意案は四・七五倍でした。片方が三倍、もう片方が四倍を主張して、三・五倍で妥協したならばまだ分かります。何で四・七五倍になるんですか。これを
安倍総理の
責任と言うつもりはありませんが、
自民党総裁でもある
総理にお伺いします。
一票の格差をなくし、衆参両院とも一人一票の
実現を求めるという我が党の提案について
見解をお伺いして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕