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2013-06-13 第183回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年六月十三日(木曜日)    午前十時十六分開会     ─────────────    委員異動  六月十一日     辞任         補欠選任      江崎  孝君     金子 恵美君      長谷川 岳君     牧野たかお君  六月十二日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     尾辻かな子君      牧野たかお君     長谷川 岳君      山田 俊男君     岩井 茂樹君  六月十三日     辞任         補欠選任      一川 保夫君     広田  一君      金子 恵美君     小川 敏夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中谷 智司君     理 事                 郡司  彰君                 徳永 エリ君                 野村 哲郎君                 長谷川 岳君     委 員                 岩本  司君                 小川 敏夫君                 尾辻かな子君                 広田  一君                 松浦 大悟君                 岩井 茂樹君                 岡田 直樹君                 加治屋義人君                 福岡 資麿君                 白浜 一良君                 横山 信一君                 山田 太郎君                 平山 幸司君                 紙  智子君                 舟山 康江君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        農林水産大臣  加治屋義人君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官    とかしき なおみ君        農林水産大臣政        務官       稲津  久君        環境大臣政務官  齋藤  健君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       新村 和哉君        農林水産省食料        産業局長     針原 寿朗君        国土交通大臣官        房審議官     竹田 浩三君        環境省自然環境        局長       伊藤 哲夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○食品製造過程管理高度化に関する臨時措  置法の一部を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付)     ─────────────
  2. 中谷智司

    委員長中谷智司君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、江崎孝君、小川勝也君及び山田俊男君が委員辞任され、その補欠として金子恵美さん、尾辻かな子さん及び岩井茂樹君が選任されました。     ─────────────
  3. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事長谷川岳君を指名いたします。     ─────────────
  5. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  食品製造過程管理高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医薬食品局食品安全部長新村和哉君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 食品製造過程管理高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 徳永エリ

    徳永エリ君 おはようございます。  皆様には大変お待たせをいたしました。ちょっと遅れてスタートさせていただきます。民主党・新緑風会の徳永エリでございます。  前回委員会におきまして林大臣から趣旨説明がございました、食品製造過程管理高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案HACCP支援法について御質問させていただきます。  食の安全、安心という観点から導入されるトレーサビリティーシステムやHACCP、それからGAPは、我が国加工品の商品としての差別化異質化の実現に大変役立ちます。このHACCP支援法は、HACCP導入促進するために支援していくというものでありますが、平成十年の制定から五年ごと、これまでに二度の改正が行われまして、HACCP導入促進に取り組んでまいりました。  今までのこの取組の成果、そして現状はどうなっているのか、まずはそこからお伺いしたいと思います。
  9. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) 平成十年のこの法律制定以降、HACCP導入基準を定める高度化基準がこれまで二十二業種で策定されております。それに沿った高度化計画が三百五十二件の認定を受けており、そのうち百二十四件につきまして総額五百二億円の公庫融資が行われております。  このような中で、中小事業者、私ども、この場合の中小事業者販売額で一億から五十億というふうに言っているわけでございますが、その事業者HACCP導入率は、前回法改正時の一六%、これは平成十八年でございますが、二十三年度は二七%へと向上しております。ただ、まだ低水準にあることは否定できないということでございます。  これまでの現状ということで御説明申し上げます。
  10. 徳永エリ

    徳永エリ君 二七%ということでありましたけれども、これ、たしか前回改正のときは導入率五〇%を政策目標としようということで、一六%だったものを五年間で五〇%ということだったんですが、二七%と伸び悩んでいるわけであります。  この伸び悩んでいる理由といいますか、課題についてはどのように受け止めておられるでしょうか。調査もしていると伺っておりますので、お伺いしたいと思います。
  11. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) この法律は今月の三十日で一応法の適用期限が切れるわけでございます。昨年来、なぜ伸び悩んでいるのかということで、中小事業者さんにヒアリングを行いながらその原因をいろいろ調べたわけでございます。  その要因といたしましては、まずは、中小事業者にとって、HACCP導入する際には専属のチームを設けて、継続的な観察、記録を作らなければいけない、それがなかなか人員的に難しい。それから、HACCPに行く前のいろんな、製品の洗浄のラインとか原料の保管の場所とか、そういうものにまだ工場整備が整っていない。なかなか一気にHACCPというのが難しいんですというような御意見が出ておりました。  したがいまして、まずはやりやすいところから始める方をどう支援するのか、そういう原点に立ち返って、裾野を広げながら頂点も伸ばすというようなやり方を取らないと、これ以上、旗振れどなかなかこの二七%を格段に増やすというのは難しいと、そういうような認識の上に立った次第でございます。
  12. 徳永エリ

    徳永エリ君 私の手元に、今もお話ありましたけれども、平成二十三年度食品製造業におけるHACCP手法導入状況実態調査というものがあります。これによりますと、やはり施設・設備の整備に、非常に初期投資に多額の資金が必要であるということ、それから、モニタリング・記録管理等人的コスト等HACCP導入後の運用コストランニングコストが非常に大きいということ、それから、従業員に対する研修を十分に行う余裕がないなどという回答をいただいているところでございます。  大変に今、食品製造業に限らず中小企業は経営が厳しいという状況でありますので、この調査の結果にも非常に納得できるところでありますけれども、この度このHACCP支援法を十年間延長するということですけれども、ただ十年延ばせば導入率が上がるということではなくて、段階的といいますか、具体的な数値目標も更に立てていかなければならないと思いますし、また、今お話をした課題もある中で、どのようにしてその目標を達成していくのか、何か具体的な方策は考えておられるのか、伺いたいと思います。
  13. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) 今御指摘のとおり、なかなか中小の方が一気にHACCPというのは難しい。そういう中で、先ほど御説明しましたように、まず裾野を広げて頂点も増やしていくと、こういうような二段階取組が必要になっていくかと思います。  したがいまして、今回の改正では、まずHACCPに至る前段階取組であるいわゆる高度化整備ではなく高度化基盤整備本法に位置付け、まずそれに取り組んでいただく。まず五年間で裾野を広げていただいた上で、その次なる五年間でその中から半分程度の方が本当にHACCPに取り組んでいただく、ということで裾野を広げながら頂点も増やしていくというような段階を追った取組をしていきたいと思います。  そのために本法延長とともに予算措置も充実いたしまして、専門的な指導を行う人材を派遣する、あるいは消費者にそのHACCP認知度を高めていただくような取組をする、そういうようないろいろな方策を講じましてこのHACCP導入を進めていきたいと考えております。
  14. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。  心配なのは、高度化基盤整備を進めたと、そこからどのようにHACCPへ移行していくのかということで、ここはもうしっかりと政策的な誘導をしていかないとなかなかその計画どおりには行くのは難しいのではないかと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  一方で、売上げが年間五十億円以上の大手企業ではHACCP導入率は七割ということですけれども、農林水産省調査を行っていると伺っておりますが、このHACCP導入によって企業として具体的にどんな効果が上がっているのか、今度はその効果について伺いたいと思います。
  15. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) 当省でHACCP導入状況実態調査平成二十三年に行ったわけでございますが、このHACCP導入効果、これは複数回答でございますが、まず品質、安全の向上を挙げられた企業さんが九五%、それから従業員の意識の向上を挙げられた企業が七八%、それから企業信用度イメージ向上を挙げられた企業が六八%となっております。  したがいまして、HACCP導入は、事業者にとりまして食品安全性の更なる向上にまず結び付いている。それからもう一つは、一度事故を起こしますと企業の倒産にもつながりかねない重大な事態になるわけでございますが、その事故を未然に防止する、言わばHACCP投資一つの将来の事故を防止するための保険の役割になっている。それから、自社の企業価値製品イメージ向上にも寄与する、そういうような効果をもたらしているのではないかと思っております。
  16. 徳永エリ

    徳永エリ君 今お話しいただいたような導入効果もありまして、企業間では認知度も上がって、HACCP導入していることが取引にも重視されているようですけれども、ただ、企業消費者の間では余りこのHACCPが重視されているというような感覚がないんですね。消費者の多くは、聞いてみますと、HACCPを知らない、聞いたことがない、何だかよく分からないという方が非常に多いんですね。  今もお話がありましたように、外食、中食などが増えている中で、食に関するリスク管理が大変重要になってきています。食品製造過程の規模が大きくなる中で、食中毒等、食にかかわる事件事故が発生すると多くの消費者が巻き込まれることになり、命にもかかわる深刻な事態にもなっています。  昨年の夏ですけれども、私の地元であります札幌で起きた浅漬け、この腸管出血性大腸菌O157による食中毒では、百十人以上が発症して七名が亡くなりました。この浅漬けを製造していた企業は、二〇〇八年に、札幌市保健所による食品衛生法などに基づく製品の抜取り検査で、札幌市の自主管理基準で定めた細菌数基準を上回っていたことが分かりました。衛生管理徹底消毒液濃度等記録を付けるように指導されていたのにもかかわらず、指導に従わず、記録も付けていなかったということであります。  もしこの企業HACCP導入できていてきちんと記録も付けていれば、果たしてこんなことにならなかったのではないかというような気もしますが、さらに、消費者は、店頭で購入する際には袋に入った加工品が果たして安全かどうかということが判断できないんですね。  前回のこの事件でも、葉物の野菜が売れなくなったりとか、ほかの漬物会社製品が売れなくなったりして、農家やほかの食品製造会社に大変に大きな影響が出ました。中小企業にとってはハードルが非常に高いかもしれませんけれども、やはりこのHACCP導入促進を進めていくということは非常に必要ですし、私たち消費者にとっても食の安全性を判断するという上で非常に重要だと思います。そういったことを踏まえて、この企業取組や姿勢というものがしっかりと消費者に伝わり、企業イメージアップや信頼につながることによって売上げも伸びるでしょうし、そして消費者安心、大きなメリットだと思います。  農林水産省としては、この余り認知されていないHACCP、このHACCPについて社会的な認知度を上げていくための取組を具体的に何かしておられるのか、また、認知度が高まっていきますと、例えば製品HACCP認証マークを付けたりすることのメリット企業にも出てきますし、それから消費者、我々にとっても安全を判断する基準が目に見えるということで、安心して信頼して食品を購入することができます。  地域HACCPあるいはこの認証マーク取組現状、どうなっているのか、伺います。
  17. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) 御指摘のとおり、消費者の方に聞くと、HACCP知らないということを返答される方もかなりいらっしゃるというふうにお聞きはしております。  他方で、企業としては、やはり企業信用度イメージ向上が図られるという認識を、先ほど御説明したように、お持ちでございます。したがいまして、事業者さんも、認定証の、例えば工場認定工場ですということを掲示していたり、ホームページや従業員の名刺に記載するというような取組もしております。それから、製品HACCPマークを付けるということも行われているわけでございます。  農林水産省といたしましては、これまでも、このような業者取組事業者さんの取組と相まって、研修消費者へのセミナーというものを開催しておりました。ただ、なかなかセミナーということだけでは、集まっている方の中で周知するということになりますので、今年度からは、HACCP導入済み工場による製品であるというようなことを小売の現場でチラシを配布するといった予算も付けております。更に消費者認知度向上のための努力を継続していきたいと考えております。
  18. 徳永エリ

    徳永エリ君 是非、セミナーをやっているというのは聞いたことも今までなかったですし、本当に、先ほどもお話しいたしましたけれども、私もいろんな方に聞いてみましたが、HACCPが何なのかほとんど分かっておられないというこの現状は変えていかなければいけないと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  やっぱり、社会的な認知度が上がらないと、その安全を判断するための認証マークを張るということをなかなか企業も取り組まないと思いますし、取り組まないと消費者は安全、安心かどうかの判断ができないということになりますので、まずはとにかくこの社会的認知度を上げるということを徹底的にしていただいて、企業にとっても、そして消費者にとっても大変にメリットがある、安心、安全なんだ、あるいは売上げもしっかり上がっていくんだというような結果につなげていっていただきたいというふうに思います。  また、今回の改正では、国が定める基本方針HACCP導入輸出促進に資することとなるように配慮して法律上明記することになりました。  我が国の主要な輸出先であるアメリカやEUでは、安全規制の強化、義務化が進んでいます。輸出する食品についても求められているわけですけれども、そんな中で、今後このHACCP義務化を進める国が増加していくということが予想されるのではないかというふうに思いますが、特に成長目覚ましいアジア国々のことが大変に気になるんですけれども、アジア諸国は今このHACCPについてどのような取組をしているのか、御説明いただきたいと思います。
  19. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) 御指摘のとおり、昨今、欧米諸国アジア諸国の一部でHACCP義務化の動きがございます。  今の御質問アジア諸国について御説明いたしますと、日本から特に輸出が多い国・地域における状況でございますが、まず台湾でございます。台湾は、国内製品でございますが、食肉、乳製品加工品、それから水産食品、これは国内ではHACCP義務化しております。ただ、輸入食品については義務化はしておりません。それから韓国でございますが、白菜キムチかまぼこ類等の一部の食品について義務化をしておりますが、これも輸入食品については義務化はしておりません。  他方で、この逆でございますが、自国の地域の中では義務化はしておりませんが、日本から輸出する際に、先方の輸入手続上、実質的に条件としてHACCPを求めている場合がございます。例えば香港に牛肉輸出する場合、我が国厚生労働省によるHACCP対応施設認定が必要でございます。また、シンガポール牛肉、豚肉を輸出する場合は、シンガポール政府HACCP対応施設認定が必要でございます。中国、タイ、これも輸出が多い国でございますが、現在義務化はされておりません。
  20. 徳永エリ

    徳永エリ君 アジア国々も、やはりこのHACCPというのを非常に重要に考えていると思いますし、輸入に関しては義務化していないというところもあるようですけれども、これからだんだん競争が厳しくなってくる中でいろいろ変化も起きてくるんではないかと思いますので、しっかりアジア国々対応も注視しながら我が国対応していかなければいけないと思いますが。  政府は四千八百億円の輸出を十年間で一兆円に伸ばすという目標を立てています。この目標を達成するためにも、我が国も、HACCP導入パーセンテージを上げることを目標にするだけではなくて、やはり様々企業にとってお話しいただいたように課題も多いとは思いますけれども、HACCP導入義務化を目指すこともやはり考えていかなければならないのではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
  21. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、るる徳永先生から御質問いただきまして、課題等を明らかにしていただきましたが、まさに、ちょっとO157の話ありましたが、そもそもの発端が平成八年の、記憶に新しいところでありますが、O157事件、これでやはり食品に対する安全性への関心が高まって、消費者からの声が高まったことによって製造業者がその対応を迫られたと。ここからいろんな議論を経て、十年にこの法律が始まったわけでございます。  したがって、まずはやはり国民に安全な食品を安定的に供給するということが極めて重要だということでございまして、ここまでやってきて、今度は高度化基盤整備ということで裾野を広げるということで、更に広げていこうということでございますし、今御指摘いただいたように今度は輸出についても、周りの成長するアジアの国でこういう取組が広がっていくということですから、それにも資するようにやっていこうと、こういうことでございます。  その先に、今局長から答弁させていただきましたように義務化をしている国もございますし、そうでない国もあるということですから、これはどの程度この今回の法案によって普及していくか、また、どの程度消費者皆さんと、それから製造業者皆さんの御議論がどういうところになるか、こういうところを見極めながらそういうことに対する議論というのはやっていく、こういうことになるんではないかと思っております。
  22. 徳永エリ

    徳永エリ君 十年延長ということですけれども、間々で段階的に促進状況どうなっているのか、あるいは課題は解決に向かっているのか、あるいはさっきお話ししたように社会的認知度もしっかり上がってきているのか、その辺をしっかりチェックしながらやっていかなければいけないなということを改めて強く感じます。国内はもとより、今後の輸出促進への取組安全性の更なる向上品質管理徹底に関してもしっかりとやっていかなければならないということを強く感じました。  さて、次の質問に移らせていただきたいと思います。  輸出促進ということを考えても、やはり国内水産物とか、それから農産物とか、そういったものをしっかりとやはり守っていかなければいけないといいますか、民主党の六次産業化ビジョンでは、国内農林水産物をしっかり付加価値を付けて加工して、そして輸出していくということでございますので、まずはその資源、あるいは農産物をしっかり守っていかなければいけないという中で、先日、長谷川委員、それから横山委員からも質問がありましたけれども、北海道のえりも岬周辺で深刻な漁業被害を出しているゼニガタアザラシについてお伺いをしたいと思います。  環境省は、実施を計画していた捕殺による個体調整を、大変申し訳ありませんけれども、現場状況を実際に見たこともない、直接漁業者の方からどんなに大変か声も聞いておられない石原環境大臣の、言わば鶴の一声で今年度は見送ると方針転換をしてしまいました。どうも納得いかないんですね。どういう理由方針転換、捕殺をやめたのか、もう一度御説明をいただきたいと思います。
  23. 伊藤哲夫

    政府参考人伊藤哲夫君) 環境省では、ゼニガタアザラシによる漁業被害が深刻であることを受けて、昨年度より、絶滅危惧種ではあるものの、個体調整も視野に入れた総合的な対策を行うため、保護管理計画策定を進めていたところでございます。しかしながら、ゼニガタアザラシにつきましては、我が国における絶滅危惧種に選定された動物であり、個体調整は慎重に検討すべきこと、また、一定数捕獲したとしても被害が減少するかどうか明らかでないことから、当面、試験捕獲も含めて個体調整は行わないこととした次第でございます。  今後は、個体調整効果必要性についての科学的情報の収集と検討を更に行うとともに、漁業被害防止のための事業実施を中心として地元としっかり調整しながら保護管理計画の作成に引き続き取り組んでいく所存でございます。
  24. 徳永エリ

    徳永エリ君 今御説明していただいたことは、個体調整を決める、捕殺を決める前から十分に分かっていたことでありまして、方針転換理由には全くなっていないというふうに思います。  捕殺による個体調整被害が低減するのではないかということで、非常に捕殺ということには地元は期待をしておりました。専門家の方々もはっきり言っているんです。これ、個体調整をすれば被害は低減する、やるべきだというふうにおっしゃっています。  ゼニガタアザラシも自然な状態でいれば、どんどん頭数が増えていけば餌も足りなくなって自然淘汰されていくということも起きてバランスも取れるんでしょうけれども、えりものゼニガタアザラシは定置網の中に入っていって、それで魚を食べている。言わば餌付けされていることと同じなんですね。ですから、自然に淘汰されていかないんですよ。もうどんどん増えていくばっかりなんですね。だからこそ、捕殺をして個体調整をしなければいけないということだったんですね。  私は昨年、このえりもの漁協の皆さんが議員会館の私のお部屋に来ていただきまして、いろいろ皆さんからどんなに大変かというお話を伺って、すぐその週末、現場に飛びました。現場でまた更にいろんな方のお話を聞いて、現場も見せていただいて、これは何とかしなければいけないということで、当時、私の同期が環境委員会の筆頭理事でありまして、その筆頭理事にも声を掛け、環境省皆さんにも来ていただいて、何とか知恵を絞って考えようということで、えりもに限っては、ゼニガタアザラシ絶滅危惧種であるけれども、えりもに限っては増え過ぎていると、だから、個体管理をしなければいけないんだ、やりましょうということで答えを出していただいて、もう本当にこれは大きく動いたと、環境省も重い腰を上げてくれたということで、現場、えりもの方々も大変に喜んでおられたんです。今年は、海保やそれから警察とも打合せを済ませて五月上旬にも捕殺を実施するということで、まさによしというときに方針転換となったわけで、これは納得できるわけがないんですね。  それで、えりも岬のこのゼニガタアザラシ、どういう状況かよく御理解していただいていない議員の方もいらっしゃると思いますので、今日ちょっと資料を用意してみたんですけれども、これ、えりもに何度も入って調査をしている東京農大の小林万里准教授の資料であります。  とにかく被害の範囲もすごく広がっていますし、それからこのアザラシの数なんですけれども、三十年間でカウントされた上陸個体数は約五倍になっているんです。現在の推定生息個体数は七百七十七頭。被害量は三十年間で約十倍に増加しています。現在の被害量は漁獲高の一一・六%ということなんですね。被害範囲は、三十年間でえりもの岬の先端の五キロから庶野というところまで、十五キロまで拡大しているという状況であります。  もう本当に定置網の中は食い散らされたサケとかタコとか大変な状況でありまして、そして、ゼニガタアザラシはミズダコとかカジカとかカタクチイワシとかマダコ、スルメイカ、メバル、スケトウダラ、ホッケ、もう何でも食べちゃうんですね。これだけの量を食べるということで、一日に一トンから二トンぐらいの魚がゼニガタアザラシによって食べられているのではないかというふうに見られています。  そして、この被害額なんですけれども、えりもでは三千万と言われていますが、平成二十四年度のえりも漁協の資料によりますと、サケの定置漁業における被害では、被害金額は三千九百万円になっています。そして、タコのタコ網漁業における被害ですけれども、これは五百五十九万円となっておりまして、本当に地元では死活問題になっているんですね。  このまま方針を変えずにいますと、被害がますます拡大していってしまいます。もし方針を変えないのならば、漁業補償も含めて、今後どうしていくのか、水産庁との協力も視野に入れながら検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  25. 齋藤健

    大臣政務官(齋藤健君) 大変悩ましい問題であるわけでありますけれども、今のお尋ねの点について申し上げますと、野生鳥獣による漁業被害につきましては、残念ながら日本では過去に直接の被害補償を行った例はございませんので、申し上げにくいんですけど、大変難しい問題だろうと思っております。  一方、ゼニガタアザラシによる漁業被害の深刻さはもう長いこと議論してきておりますので、十分認識をしておりまして、今後も地元と丁寧に調整を図りながら、被害の防止対策の方にしっかり取り組んでいきたいと考えております。  具体的には、これまで漁業被害の防除に一定の効果があった音波発生装置によりましてゼニガタアザラシが網に入ることを何とか防止できないか、そういう手法、更にはそれに改良を加えて防除ができないか実証していきたいと考えております。  また、本年度から被害を防除するための新たな手法の開発を環境省の研究費においても進める予定でございます。
  26. 徳永エリ

    徳永エリ君 防除事業というのも今までいろいろ取り組んできたんです。一定の効果と言いましたけれども、ほとんど効果がないというのが現場の声であります。あるいは、定置網のところにウエットスーツを着たかかしを置いたりとか、もうとにかくありとあらゆることをやってきてどうにもならないので、それで捕殺、個体調整ということに大きな期待をしたわけで、そこをしっかりと受け止めていただきたい。環境大臣にもそのことをお伝えいただいて、とにかく漁業者の方と会っていただきたい、まあ現場に行けというのは、札幌から四時間半も掛かりますので、なかなかお忙しい中難しいかもしれませんけれども、本当は現場も見ていただきたいですし、少なくとも漁業者の方の声あるいは専門家の声はしっかりと聞いていただきたいというふうに思います。  そして、北海道では海獣被害は本当に大変で、ゼニガタアザラシだけではないんですね。トドやオットセイ、ゴマフアザラシの被害も大変に深刻であります。  例えばトドの被害平成四年度以降、毎年十億円超の漁業被害が出ています。二十三年度は約十五億円の被害がありました。オットセイは、二十三年度、四億六百万円の被害です。そして、ゴマフアザラシは約二億四千万円、更に先ほどのゼニガタアザラシ被害であります。もう本当にこれ何とかしなければ、北海道の漁業、大変なことになってしまいます。生態系のバランスにも影響すると思いますので、しっかりとやっていただきたいと思いますが、林大臣、今いろいろ聞いていただいて、大臣のお考えといいますか、いかがでしょうか。
  27. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 実は稲津政務官も同じ北海道でございまして、よくこのお話は聞いておりましたし、またこの委員会でも横山先生からも何度か御質問いただいて、私もその場で一度環境大臣にもお伝えしてという答弁もさせていただいておるところでございます。  そういうこともありまして、水産庁の長官から関連する情報の提供、この間も環境省の担当の局長さんにも伝えて、局長さんから先ほどお話がありまして、政務官からもお話がありましたが、大臣にも伝えていただいていると、こういうことでございます。たしか予算委員会でもこの御質問を、横山先生だったと思いますが、直接石原大臣にもいただいておりまして、そういう中で、先ほど環境政務官からお話がありましたように、一方で絶滅危惧種と指定それは環境省されて、これは保護をするという中でございますが、やはりその一方で、今お話しになったようなことになっておりますので、我々のところで、特に水産庁に蓄積した防除技術というものがございますので、しっかりと情報提供するということと、それから、やっぱり専門家に行っていただいて、どういうことをやったらいいのかということもしっかりと対応してまいりたいと、こういうふうに思います。  被害の補償ですが、これは今環境省の政務官からお話がありましたように、野生生物の被害対策全般に共通する課題ということですから、まずは被害の未然防止、これが第一でございますが、可能な限りの取組に努力するということが重要だと考えております。
  28. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  今大臣からもお話がありましたけれども、五月十三日の参議院の予算委員会で、横山委員質問に対して、様々な方と、専門家の方も交えて議論した結果、慎重に検討すべきであると判断した旨、石原環境大臣は御答弁されています。  しかし、昨年の二月に国が設置した学識経験者や地元漁業者等で構成されているゼニガタアザラシ保護管理検討会では、突然方針転換の結果を説明されただけで、それまでに相談もなければ何の議論もなかったというふうにおっしゃっているんですね。検討会は、五月にも実施を予定していた個体調整実施する際の捕殺の手法の確立と実証のための調査捕獲に向けて検討を重ねてまいりました。その検討会に何の相談もなかったということで、このメンバーの方々も本当に怒っておられるんですね。国の設置した検討会ですから、何のための検討会だったんだと、今までの議論は一体何なんだと、なぜ今こうなったんだということなんですね。  一度やはりこの検討会のメンバーにも早急にお会いになって、お話をすることがすごく必要だと思います。この検討会は、今後も防除事業という部分でもいろいろ御意見をいただきながら環境省とやり取りをしていかなきゃいけないと思うんですけれども、溝をつくったままではなかなかうまくいくものもいかなくなると思いますので、一日も早くしっかりと会って話をしていただきたいというふうに思いますし、しっかりと地元の声を反映させる形で対応していただきたいということを重ねてお願いさせていただきますが、いかがでございましょうか、政務官
  29. 齋藤健

    大臣政務官(齋藤健君) まず、先ほど大臣にお伝えをと言ったお話は本日直ちに大臣お話ししたいと申し上げますし、今の検討会の委員とのお話につきましてもきちんと対応させていただきたいと思っております。
  30. 徳永エリ

    徳永エリ君 よろしくお願いいたします。  さて、それでは農作物ということでTPPに少し触れさせていただきたいと思います。  様々な分野の研究者の方が約九百人でつくられたTPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会、五月の二十二日だったと思いますけれども、日本がTPPに参加した場合の影響について独自の試算を発表いたしました。このメンバーの方々、北海道にも入って調査をされているんですね。政府の試算と同様に、農産物十九品目、林水産物十四品目の関税を撤廃した場合、農林水産物と関連産業を合わせて生産額が約十兆五千四百億円減ると試算しました。農林水産業で百四十六万人、関連産業を合わせて百九十万人の雇用が失われ、GDPは約四兆八千億円落ち込むと発表したんです。これ大変な数字です。政府の試算を大きく上回ることになるわけですけれども、この試算について、恐らく新聞等で大臣も御覧になったと思いますが、この試算の結果をどのように受け止めておられるか、お伺いしたいと思います。
  31. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは我々が政府統一試算を出しました後、たしか北海道の道庁の方でも北海道独自の試算をされて、ベースをかなりそろえていただいておられましたが、ほかのところへどう影響するかという部分については独自に御試算されておられたというふうに記憶をしておりますし、今回また学者の皆さんがお集まりになって独自の試算をされたということで、これは、最初に我々試算を出すときにも申し上げてきたつもりですが、試算というのはあくまで前提をこういうふうに置きますとこういう数字が出るということでございますので、当然その試算の前提の置き方が変わりますと数字も変わってくるということでございまして、多分、今回研究者の皆様が集まって出されたやつもいろんなそういう前提を置かれておると。  ですから、その前提の置き方によって数字がいろいろ出てくるということですが、いずれにしても、我々の作った試算においても、関税が全て撤廃を即時されるということ、そしてそれに対して何の対策も行わない、かなり極端な前提を置いて試算をしたということでございますので、実際にはそういうことにならないようにしっかりと、ここで御決議をいただきましたことも踏まえて交渉をしてまいると、こういうことになろうかというふうに考えておるところでございます。
  32. 徳永エリ

    徳永エリ君 さらに、超党派のTPPを考える国民会議、いろんなTPPに反対する団体の方も呼びかけ人になっているんですけれども、その国民会議の主催で、先般、国際シンポジウムを開かせていただきました。そこで、韓国それから米国、ニュージーランドの研究者の方々のTPPに関するお考えを聞かせていただきました。  皆さん共通しておっしゃっていることは、自民党の公約である六項目、そして農産物の重要五品目は守れないとおっしゃっています。守れないであろうということは、もう多くの方が薄々かなり気が付いているのではないかと思います。米だけは何とか守れるんじゃないかと思いながらも、米すら難しいということを今は北海道の農業の方々も考えているようであります。  自民党の参議院選の公約であります農業・農村の所得倍増目標十カ年戦略も、実はスローガンばかりで実効性がないのではないかということを御指摘させていただきたいと思います。  五月二十九日の衆議院農林水産委員会で、民主党の篠原孝委員質問に対しまして林大臣は、農家個人ではないと、所得倍増に関してですね、農業、農村全体の所得を倍増させる観点で、多様な地域状況を踏まえながら検討を行っていくというふうにおっしゃいました。  農水省から私たち説明を受けたんですけれども、現在三兆円の農業所得を十年で六兆円に倍増させることだというんですけれども、その内訳なんですが、農業所得今三兆円、それをまず一兆円プラスしようと。これは物価上昇分のみなんですね。毎年二%の物価上昇が十年続くと一兆円プラスになって、今の三兆円に一兆円プラスして約四兆円になります。  そして、六次産業化、これが占める輸出倍増ということもここに織り込まれているんですけれども、この中身も、実はブリ、サバ、ホタテ、あるいはみそ、しょうゆなどの缶詰とか加工食品ばかりなんですね。例えば、輸入大豆一〇〇%使用のみそやしょうゆの輸出が増えても、国内の農家、あるいは魚もそうですよね、輸入した魚で加工品作っても漁業者の所得には全くつながっていかないんですね。  農水省が増やすというメード・フロム・ジャパンやメード・バイ・ジャパンも、聞こえはいいですけれども、輸入食材の国内加工や日本企業による加工も含まれているということで、繰り返しになりますけれども、国内農家の所得が増えるわけではないということを申し上げておきたいと思います。しかも、TPPによって三兆円のマイナスがある。先ほどの試算ではもっとマイナスがある。このTPPの影響は全く考慮されていないということも分かりました。  ですから、この農業・農村所得倍増というのは実現性の不可能なスローガンであるというふうに私たちは受け止めておりますが、いかがでしょうか。
  33. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 篠原議員と衆議院でやったときの議事録だと思いますが、誤解があってはいけませんので、農業、農村の所得倍増ということで申し上げているという御説明をいたしまして、今お話しいただきましたように、農業所得に加えて六次産業化の市場規模、これは六次産業化の予算説明資料にもありますように、現在の一兆円から十兆円に増やしていこうと、こういうことをやっております。  その説明の中で多分お話をしてあるとは思いますが、この十兆円が全部還元されるということではなくて、当然、農業、農村の取り分というものは一定の割合だということでございますので、その一定の割合の中で更に還元される分が幾らになるかと、こういうようなマクロの考え方をして、そしてそれを全部足し上げた上でやっていこうと、こういうことであります。  また、生産額の増大の方も、単に物価の上昇ということではなくて、耕作放棄地をフル活用するですとか流通経費を縮減していく、それからまた農産物の高付加価値を図るということで、そういう質的な向上、量的な向上も図っていこうということも当然入っておりまして、それが両々相まってそういう倍増という目標を立てていこうということでございます。  したがって、これはいろんな施策をそこに集中することによって、やはり目標を立てることによってそこに必要な施策を集中的に投入していこうということでございますので、これに向けて、党の方の公約は党の方の公約で詰めていただきますが、我々としても、今度は官邸にも本部もできたところでございますので、そういう場を活用しながらしっかりとした施策をつくっていきたいと考えておるところでございます。
  34. 徳永エリ

    徳永エリ君 国民総所得、十年間で一人当たり百五十万円増と同じで、この農業、農村の所得倍増、今御説明ありましたけれども、現場皆さんは、農家の方々は自分の所得が倍増するんじゃないかというふうに誤解しておられる方も多いんですね。こういった紛らわしいスローガンといいますか、これはやはりよろしくないのではないかということを御指摘をさせていただきたいというふうに思います。  それから、先日、我が党は農業の戸別所得補償法案を提出させていただきました。社民党、生活の党と共同提案でありました。ポンチ絵をお配りいたしましたけれども、岩盤部分で恒常的な赤字を補填し、価格が下落した際には生産費と販売価格の差額を補填する、そのことによって農家所得が安定し、集落営農組織の数も増やしてきた、また、所得が増えたことによって後継者も戻ってきているということで、大変にこの戸別所得補償制度は現場から評判が良く、また、法制化を望まれているんですね。  別にそう考えていたわけでもないんですけれども、今自民党さんの方から具体的なTPP対策、納得のいくTPP対策が示されない中で、この戸別所得補償制度というのは、農家にとっては、価格は下落してもその下落した分は補償されるということでTPP対策にもなり得るのではないかということで、これ一つ安心の材料になると思うんですね。  これからいろいろと皆さんと話をしていかなければならないと思いますけれども、自民党さんの方も、農家の方々、影響のある地域安心ができるように一日も早く具体的なTPP対策というのを、しかも納得のいくものをお示しいただきたいということをお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  35. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 林農林水産大臣。申合せの時間を過ぎておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。
  36. 林芳正

    国務大臣林芳正君) はい。  TPP対策というのは、ここでも何度もお答えしているとおり、まだ交渉が今からということでございまして、TPP対策としてこういうことをやるということを申し上げますと、交渉ではその部分は譲るんだろうと、こういうことになってしまいます。したがって、先ほど申し上げた所得倍増もそうですし、攻めの農政もそうですが、TPPいかんにかかわらず、日本の農業を強くしていくということでやっていくというふうに考えておるところでございます。
  37. 徳永エリ

    徳永エリ君 どうもありがとうございました。  しっかりと、特に北海道は一番大きな影響が出ます、TPPによって犠牲になると言ってもいいと思っておりますので、しっかりと対応していただきたいと思いますので、大臣、くれぐれもよろしくお願い申し上げます。  質問を終わらせていただきます。
  38. 長谷川岳

    長谷川岳君 自由民主党、北海道の長谷川岳です。  このHACCP支援法について質問させていただきますが、平成十年の本法制定以降、五年ごとに法の有効の期限を延長する改正が行われてきましたが、今回の法改正ではその期限をやはり十年間延ばすということになっております。こういった法律というのは、現時点でのやり方、そういった方法論の見直しも含めて、通常はやはり五年置きの見直しというのが私は必要であるかというふうに思いますが、この十年延ばすことでの懸念について伺いたいと思います。
  39. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これまでは五年間ずつこの法律を延ばして有効期限ということでやってきたと、こういうことでありますが、先ほど徳永先生とのやり取りの中でもありましたように、なかなか特に中小企業で進みにくいと、こういうことでございまして、このHACCPに一気に取り組んでいただける手前の取組高度化基盤整備というふうに位置付けてありますが、これをやっていただくということとHACCP導入、両方についてやっていこう、こういうことに今回いたしましたので、同じように五年ということですと、なかなかこの五年間でそこまでたどり着けないな、こういうふうに思う方も多いと、こういうふうに考えまして、したがって、今回はその二段階ということも考えまして、五年を十年にして、前段階からの取組を当初五年程度で行っていただいた方が残りの期間で更に次のHACCPへ行けると、こういうことを可能になるようにしようということにしたところでございます。  こういう段階的な取組をこの十年間で重点的に取り組んでいきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  40. 長谷川岳

    長谷川岳君 特に、今大臣も言われたとおり、食品製造業界においては、本法による金融上の支援措置を講ずることによってHACCPによる高度な製造過程管理が着実に広まってきているというふうに認識しておりますが、大手企業HACCP導入率が七割に対して、食品製造業界の多くを占める中小企業事業者によるHACCP導入率は三割以下とお聞きしております。  この状況を打開していくために、今大臣が、最初の期間、高度化基盤整備に当てて、その後にHACCPに一直線に行くと、そのような形で十年、長いスパンでの戦略だという、そういう認識でよろしいでしょうか、大臣にもう一度確認をしたいと思います。
  41. 林芳正

    国務大臣林芳正君) そういう考え方でこの五年間今までやってきたものを、今度は高度化基盤整備というのを位置付けまして、それをまずやってもらって二段階にしていくと、こういうことで十年にした次第でございます。
  42. 長谷川岳

    長谷川岳君 その高度化基盤整備HACCP導入に至る前段階の衛生・品質管理の基盤となる施設や体制を整備するという部分では、HACCP導入に至るこういった、定義されておりますけれども、この高度化基盤整備については、HACCP導入を一気に目指すことが難しいような中小企業事業者が取り組むものであるために、分かりやすく、もう一つは使い勝手の良い内容として示していく必要があると、そのように考えます。  高度化基盤整備の内容として具体的にどのようなものが想定され、中小企業者にどのように示していこうと考えられているのか、確認をさせていただきたい、そのように思います。
  43. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) 高度化基盤整備でございますが、洗浄、殺菌などの製造環境の整備の仕方、あるいは衛生の確保など、HACCP導入に至る前段階、これは普通の食品メーカーが原則取り組まなければいけないものは最低限決まっておりますけれども、それよりも更に進んだところ、ただHACCPのところまで行かない、そういうような衛生・品質管理の基盤となる施設、それから人的体制を整備するというものでございます。このような取組を円滑にできるようなコンプライアンスの徹底従業員の衛生教育の在り方もその中に含まれるわけでございます。これをどのように分かりやすく進めていくか、理解していただくかというようなことが課題になっていくかと思います。  この法律成立した後は、今回の改正の趣旨、内容をまずブロック別、県別に事業者さんに説明していきたいと思います。また、業界ごとにも、それぞれの業界の実態に応じた取組の内容も説明していきたいと思います。その上で、国が定める基本方針、それから指定認定機関が定める高度化基準において更に具体的な内容を書き込む、明確化する、その上で、研修専門家による現場での指導、こういうものも重ね合わせて、縦横落ちのないように、中小の方にこういうことをまずやってくださいということを具体的に示していきたいと考えております。
  44. 長谷川岳

    長谷川岳君 分かりやすく使い勝手の良い内容としていただくようにお願いを申し上げたいというふうに思います。  さらに、この高度化基盤整備を行った事業者を今度はHACCPに更なる導入促進を図っていく必要があるということで、HACCPへの円滑な移行をどのように進めていくのか、更に質問をさせていただきたいと思います。
  45. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) 高度化基盤整備を行っていただいた事業者の方は、その以前に比べてまず従業員の意識がかなり進むだろうと思っております。また、HACCPに至る基礎的な工場の配置等々も整備されている、そういうようなところまでは来ておりますので、あと一押ししてその次の段階に進んでいただきたいわけでございます。  今度の、本年度の予算事業におきましても、そういう事業者に対しまして専門家指導、助言を行う予算あるいは研修会を開く予算を計上しております。そのような取組を進めることによって最後の一押しというのを進めていきたいと考えておる次第でございます。
  46. 長谷川岳

    長谷川岳君 HACCP導入促進に向けては、企業にとって取り組みやすい仕組みであるということが重要だというふうに考えます。設備投資計画の策定が公募締切りまでに間に合わずに、申請を見送った事業者も多数存在するというふうに、これは現場の声です、この部分でやはり手続の簡素化など、私は改善すべき点が多くあるというふうに思いますが、企業皆さんの申請を見送るようなことがないような方策というのを考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  47. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) 手続面での問題で申請を見送るということは今後あってはならない問題だろうと思います。早速、今までの手続も見直しながら、使い勝手のいい制度、理解しやすい制度を進めていきたいと考えております。
  48. 長谷川岳

    長谷川岳君 是非その点については現場徹底していただきたい、そのように思います。  また、導入を支援するために、衛生管理マニュアルの例あるいは記録簿様式を提示するなど、技術的な支援を実施をされているかどうか、そしてまた、更にプラスしてどのような技術的支援を実施される予定か、伺いたいと思います。
  49. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) 事業者がそのような取組をするときは、ある程度の専門的な知識は必要になります。その上で、手続の簡素化、それからマニュアルの策定で取り組みやすい環境を整備することが非常に重要だと思っております。  関係団体は、参加している、していないを問わず、業界ごとに講習会開いておりますので、この講習会に専門家を派遣する予算も取っております。  また、HACCPプランの作成に一定の科学的情報といいますか、サイエンスベースの情報が必要になりますので、そういう情報を書き込む際のデータベースの提供も行いながら、そのような技術的支援も併せて行い、取り組みやすい環境を整えていきたいと思っております。
  50. 長谷川岳

    長谷川岳君 北海道を始めとして兵庫県、茨城県などにおいては、中小企業皆さんにもHACCP認証を取得しやすいように独自の認証制度を設けています。こうした都道府県レベルでの取組を支援していくことも私は重要であると考えますが、いかがでしょうか。これは厚労省でしょうか。
  51. 新村和哉

    政府参考人新村和哉君) お答えいたします。  都道府県におきましても、HACCP導入を希望する事業者に対して助言を行う際に専門的な知識が必要となりますので、厚生労働省といたしましても、指導に当たる地方自治体の職員に対して研修会を行うなど技術的な支援を行ってきております。国立保健医療科学院での研修などを中心に行ってきております。  また、厚生労働省食品衛生法上の仕組みとして総合衛生管理製造過程というものがございますけれども、これにも地方自治体も関与しておりまして、地方厚生局と地方自治体の間で連絡会議の開催も行ったりしておりますし、立入調査をする際には合同で行うなど国と地方自治体で共同して行う、あるいは技術的な支援、専門的な知見の共有化などを図っているところでございます。
  52. 長谷川岳

    長谷川岳君 HACCP導入を始め食品安全性向上させていく取組は一定のコストを伴うというものであります。しかしながら、そのコストというのは製品価格に転嫁しづらいというのが現状です。こうした中で事業者の負担感が更に増幅することになってHACCP導入が進まないという悪循環を、私たちはこれ避けなければなりません。  このような事態を避けるために、HACCP導入のコストを掛けても安全性向上に取り組む企業消費者がちゃんと評価をして購買につなげていくということが大事だと思いますが、消費者の理解促進に向けて、これはやっぱり農水省としてどのように取組をしていくかということをお尋ねしたいと思います。消費者側に対する理解を進める、こういった予算も含めて伺いたいと思います。
  53. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) HACCP導入効果として、事業者側は企業信用度イメージ向上というのは挙げられておりますが、その前提としてHACCPを知っていただくということが大前提になるわけでございます。したがいまして、消費者HACCPというものを、まずあるんだと、それから、これはしっかりした取組なんだということを理解していただかないと、せっかくの企業の努力が報われないということにもなりかねないわけでございます。  事業者の方も、この認証マークを名刺に貼ったり、工場に貼ったり、あるいは製品マークを付けたりしているわけでございますが、私どもこれまでセミナーを開いて消費者の方に理解を促すような取組もやっておりましたが、やはり対象が限られてしまうという問題がございます。そこは小売の現場に出て、そういうような取組をチラシで配るとか、不特定多数の消費者の方に理解していただく取組を行うことが必要だと思っております。今年度からはそのような取組も開始したいと思っております。
  54. 長谷川岳

    長谷川岳君 特に現場での啓発活動については力を入れていただきたい、そのように思いますが、よろしいでしょうか。
  55. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) 努力してまいります。
  56. 長谷川岳

    長谷川岳君 最後の質問になります。  現在、EU・HACCPの早期認証に向けた体制整備の様々な取組が進められていると承知しておりますが、やはりアメリカのHACCPよりもEU・HACCPの早期認証というのは非常に立ち遅れているという状況でございました。現在の進捗状況について、そしてどのような取組をしながらこのEU・HACCPの早期認証を目指すか、厚労省に伺いたいと思います。
  57. 新村和哉

    政府参考人新村和哉君) お答えいたします。  米国やEUに輸出される水産食品につきましては、HACCPによる衛生管理導入された認定施設で製造されることが要件となっております。  御指摘の対EU輸出認定施設数が少ない原因としましては、まず一つ目といたしまして、米国向け施設と比較しましてEU向け施設はより厳しい施設基準が求められるということがございまして、認定の際には施設の改修などが必要になることが多いということがあろうかと思います。なお、対米国は第三者認証が認められておりますけれども、EUの場合には法令によりまして輸出政府による認定が要件とされているため、第三者機関での対応は困難な情勢となっております。  このような状況を踏まえまして、これまでの取組をまず御紹介させていただきますけれども……
  58. 長谷川岳

    長谷川岳君 短めで結構です。
  59. 新村和哉

    政府参考人新村和哉君) はい。  地方自治体職員に対する研修会を開催するほか、地方自治体に対しても個別の事例の進捗状況の報告も求めることとしております。  また、最近の取組ですが、農林水産省と連携しまして、事業者も含めまして、また地方自治体も含めた連絡協議会をこの一月から開催をしております。現場の意見、要望などを把握しております。そして、認定のための分かりやすいマニュアルも作成し、ホームページを通じて公表をしているところでございます。  さらに、今後、認定の迅速化といった課題もございますので、地方自治体に対してこの迅速化の必要性についても再度周知をすることを考えております。
  60. 長谷川岳

    長谷川岳君 厚労省、特にこのEU向けのHACCP早期認証に向けて御努力をしていただきたい、そのように思います。  質問を終わります。
  61. 横山信一

    横山信一君 公明党の横山信一でございます。  HACCP支援法議論に入る前に、先日、林大臣が五月三十一日にオランダに行かれておりますので、そのことについてお伺いしたいと思います。  産業競争力会議では、農業貿易で最も黒字を出しているオランダ農業をモデルとして農業政策を進めるべきというふうに意見を出されております。そんな中で、大臣がオランダの先進的な施設園芸等を視察をされたということでございますけれども、オランダ農業が我が国の農業に対してどのような点で参考になったのか、お聞かせいただければと思います。
  62. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今お話をいただきましたように、産業競争力会議等々でも時々このオランダというのは話題になっておりまして、今回、パリでOECD閣僚理事会に出席するということがございましたので、ちょっと足を伸ばして見てこようと思って行ってまいりました。世界でも有数の高付加価値型農業ということで、グリーンポートですね、まさに施設園芸の団地、それからワーヘニンゲン大学、こういうところに行かせていただきました。  やはりオランダの施設園芸は生産から出荷まで一貫して、同じところで大規模に一気通貫ということで集積でやるということになっておりまして、それが規模が大変大きいということでございます。実際に入っていって見ましたが、高さがまず八メートルぐらいございまして、ハウスが何十連も連なって、一つのハウスで大体四ヘクタールぐらいあるんだと、こういうお話でございました。  また、ちょっとこれは日本では難しいかなと、台風があるんで、全部ビニールじゃなくてグラスですね、ガラスでやっているということで、これは日本でもあるんですが、ITを活用して湿度、温度等、それから日照なんかも全部制御をしているということと、それから、あわせまして、天然ガスを使って熱を利用していると同時に、天然ガスで発電したり熱を起こすとCO2が出るんですが、このCO2をグリーンハウスの中に入れて、かなり密集して光合成をやりますのでCO2が必要になるということで、このCO2も使っていると。さらには、足りないCO2は何かロッテルダム辺りからパイプで引いてきて買っていると、こういうようなこともお聞きをいたしました。  集配施設のところは、もう本当に自動化が進んでおりまして、かなり御高齢の方がもう数人でやっているということだけで物すごい量をさばいているというのも集積の効果かなと、こういうふうに思いました。  それから、ワーヘニンゲン大学というのは、研究センターがその近くにあったんですが、産官学の強力な連携で、テスト栽培といいますか、大体十メーター四方ぐらいのハウスみたいなちっちゃいところを幾つも持っていまして、いろんなことを試してみると。例えばランの栽培を三つのところでやって、照明をLEDと今までのやつとそれを組み合わせたやつと三つ、ほかの条件は全部一定にしてそれぞれ照明だけ変えてやってみると。どこがどういう影響が出るのかというのを緻密に全部測定をした上で、一番うまくいく組合せを多分実用化に持っていくと、こういうことだろうと思いますが、そういう現場を視察をさせていただきました。  既にこういうことも生かしてこの施設園芸の推進方向については検討を始めておるところでございますが、我が国になかなか直接持ってこられないところもあるわけでございますけれども、大いに参考になるところがございましたので、こういうことを生かして今後の検討を進めてまいりたいと思っております。
  63. 横山信一

    横山信一君 大変に有意義な御視察であったことが今の大臣の御発言でもよく分かります。  非土地利用型といいますか、我が国でも今、農地集積を進めているところでありますけれども、同時に、こうしたオランダの施設園芸等も非常に参考になるのではないかというふうに思っております。  一方で、千葉以北というか、東日本では施設園芸というのは比較的、西日本に比べてそういう拠点になるところが少ないという現状がございまして、一方で、被災地域を含め、北海道の中にも施設園芸に取り組もうとしている自治体あるいは農業団体というのは幾つもございます。そういう意味では、東日本に対しても、どちらかというとオランダに気候が近いというか、そういう意味ではそうした北の方でも、東日本の方でも施設園芸の取組なんかも是非お考えいただければというふうにも思っております。  質問変わりますけれども、六月九日付けの北海道新聞では、政府はTPP交渉で漁業補助金の原則禁止に反対を表明する方向で検討に入ったという報道がなされたんですね。実は、この報道、北海道新聞は北海道でも結構ポピュラーな新聞なものですから、浜では一気にこの漁業補助金に対しての関心が高まったと。ちょっと人騒がせな報道だったというふうにも思うわけでありますが。  WTOのルール交渉においては、我が国は、全ての漁業補助金が過剰漁獲につながるものではなく、適切な資源管理実施によりその影響は回避、軽減できると、また、真に過剰な漁獲につながるものに限定すべきだという、そういう主張を我が国はしております。  この新聞報道の真偽について、大臣に伺います。
  64. 林芳正

    国務大臣林芳正君) TPP交渉への対応につきましては、まさに今、七月末の正式参加に向けて現状どうなっているかと、この情報をしっかりと収集をして、そしてその情報を集めた上で準備を進めようと、こういう段階でございまして、TPP政府対策本部というのが政府にできておりますので、そこで統一的にやっていこうということを今しておるところでございます。  こういう情報を収集する中で、この得た情報の中で過剰漁獲を招く漁業補助金を禁止する提案があるようだという情報は得ているわけでございます。本件を取り扱う環境という分科会になるわけですが、その中ではまだ各国の間で対立がありましてまだ合意には至っていないと、こういう状況であるという情報も得ているわけでございます。  したがって、今委員もおっしゃっていただいたように、我が国の立場も明確でございまして、WTOで漁業補助金交渉というのがあるんですが、政策上必要な補助金は認められるべきであるということをかねてより主張してきておりますので、この立場でTPP交渉にも対応していくと、こういうことでございます。
  65. 横山信一

    横山信一君 ありがとうございます。  漁業用燃油緊急特別対策が発表されまして、ひとまずは浜の皆さん安心感が広がっているというふうに感じておりますが、これで漁業危機が回避できたというか、抜け出したという状況にあるわけではないというふうに思っております。現状のリッター八十円、A重油ベースですけれども、これで操業が実現できるような、そういう漁業経営を是非とも目指していきたいと、更なる努力をお願いしたいというふうに思います。  そういう中で、先日北海道の十勝地方を回っておりましたときに、この管内ではサケ・マスの漁船が結構あるんですけれども、二十トン以上のサケ・マス漁船の船主の方からこの燃油対策の話をいろいろ伺いました。出漁日数を減らしているとか、あるいは減速航行して経済走行しているとか、様々な燃油対策に苦労されているお話を伺いました。  その中で、経費をいろいろもう削減を続けておりまして、そもそもセーフティーネットに入るためにはそういう省エネ努力をしなくちゃ入れないということもありますけれども、そういう経営努力を続けていく中でいろんなところを削って、いよいよもう削るところがないという中で非常に目指すところがあると。それは何かというと、定期検査なんですね。五年ごとの定期検査、船の定期検査を、車でいう車検みたいなものですが、これを受けなきゃいけない。そのときにエンジンを分解しなくちゃいけないんですね。このエンジン分解に掛かる費用、この私が話した船主の方は二十五トンの方でしたけれども、八百万掛かるということでありまして、五年ごとにエンジンの分解だけで八百万掛かってしまうと、そういうお話でございました。  今、燃油高騰そして魚価安で漁業経営というのは非常に圧迫をされている、そういう中で様々な経費節減に努力をしていると。そういう状況の下で、エンジン分解というのは安全対策上必要なんだというふうに思いますけれども、検査項目の見直しなどを含めて、もう少しこの定期検査に掛かる費用の節減というのはできないものか、ここを海事局に伺います。
  66. 竹田浩三

    政府参考人(竹田浩三君) お答え申し上げます。  サケ・マス漁船につきましても、他の船舶と同様に、船舶安全法におきまして安全基準への適合性を確認するために定期的な検査というものを受検することが求められてございます。この定期的な検査の際に、エンジンの健全性を確認するためにエンジンを解放するということを必要としております。我が国におきまして、漁船の海難といいますのは全体の海難事故の三割を占めてございます。また、そのうちエンジン故障に起因するもの、これが約一割程度ございます。このエンジン故障といいますのは、エンジンがストップしますと船が止まってしまいますので、これは波を受けて転覆、こういった重大な結果につながりかねないということから、この定期的な検査の際のエンジンの解放検査というものは必要であるというふうに考えてございます。  しかしながら、一方で、先生がおっしゃいましたように、定期的な検査における船主さんの負担軽減という観点もございますので、この検査以外の時期に実施いたしましたエンジンの整備記録というものを活用しながらエンジンの解放検査を省略する制度がございます。これは機関検査合理化制度と呼んでおりますけれども、こういったものをもう既に導入しているところでございまして、先生がおっしゃったようなサケ・マス漁船につきましてはまだその活用が進んでいない状況にございますので、今後、この制度を御紹介しながら、本制度の利用、活用推進というものを図っていきたいと思っておりますし、また、あわせまして、船主の負担を軽減しながらも安全性を確保できるような方策について引き続き検討していきたいというふうに思っております。
  67. 横山信一

    横山信一君 是非お願いしたいと思います。  それではHACCP支援法の方に入ってまいりますが、今回のその支援法の中に、先ほど来議論の中に出ておりますけれども、輸出促進という項目が、規定が入ったということで、国内で製造され、又は加工される食品輸出促進に資することとなるよう配慮して定めるという、初めてこうした規定が盛られたということでございます。  産業競争力会議では、二〇二〇年までに今の農林水産物、食品輸出額を四千五百億円から一兆円にと、そういう目標を立てているわけでありますが、輸出の観点で見ると、現状ではやはり水産物が多いと。その水産物輸出先というのはアメリカ、EUということになるわけですが、その中で対米HACCPという、その普及はずっと進んできた。先ほど議論の中にもありましたけれども、EU・HACCPは今これから取り組み始めているという、そういう状況にあるわけでありますけれども、このHACCP支援法というのがこのEU・HACCP取得に果たす役割というのはあるのか、そのことをお伺いいたします。
  68. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) お答えさせていただきます。  動物性食品我が国からEU域内に輸出するためには、製造施設がEU・HACCPに適合する施設であることについて我が国政府機関の認定を受けることが条件となっているところでございまして、この認定を受けようとする食品事業者HACCP導入のための施設整備を行う際にこのHACCP支援法による計画認定を受けた場合には、施設整備に必要な資金の長期低利融資を受けることが可能となっております。  さらに、今回のこの法改正の中では、HACCP導入輸出促進に資することとなるように国として取り組む方向性を法律上明記をしたと、それからHACCP導入の前段階となる基盤施設整備のみを行う場合でも融資の対象とすると、このようにしておりまして、これを踏まえて、EU・HACCPについてもその取得促進が図られるように法制度の適切な運用を図っていく考えでございます。  こうした取組を通じまして、HACCP支援法により認定取得等の取組を後押しをしっかりしていきたいと、このように考えておるところでございます。
  69. 横山信一

    横山信一君 現状の農水産物輸出というのは、加工食品というよりは、どちらかというとホタテとかナマコとか、あるいはリンゴの果実とか、あるいは切り花、花卉類ですね、あるいは牛肉という、どちらかというと加工する前の、高度な加工を施すよりも、どちらかというとそのまま輸出と。それもそれほど多くはないわけですけれども、そうした輸出品があったわけであります。  今回、農林水産物そして食品輸出、加工食品輸出というのを拡大していこうという流れの中でこのHACCP支援法がどのような役割を果たしていけるのか、お伺いいたします。
  70. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) お答えさせていただきます。  今、EUや米国に水産物などを輸出する場合など、このときに輸入食品についてHACCPを衛生基準として求める、こうした国際的動向があるのは御承知おきのとおりだと思います。  日本産の食品輸出環境の整備の一環として、輸出先の国が求めるHACCPにこの際対応していくことが一番重要なことであると。そうしたことから、今回の法改正では、このHACCP導入輸出促進に資すると、そういうことになるように方向性を法律上明確に位置付けたと。国際動向にも対応したHACCP導入促進する本法取組、これを通じまして、世界的に認められている日本食品、これの品質管理、それから安全性等についてその評価を更に高めて、政府として取り組んでいるオールジャパンの農林水産物、食品輸出拡大、この取組を推進していく考えでございます。
  71. 横山信一

    横山信一君 一次産品の輸出ということでいくと、円高のさなかでも水産物に関しては販路拡大をずっとやっていったと、そうした中で水産物輸出というのは今ある程度確保をされているんだというふうに思うんですね。  一方で、農産物に関しては、どちらかというと、高品質ではもちろんあるんですが、日本産の農産物は高品質ではあるんですが、それが圧倒的な高品質の果実類を除くとなかなか外に打って出られないと。それは、一方で水産物に比べて十分に海外に対しての販促がなされていなかったということもあろうかというふうに思うんですけれども、そうした状況の中で更に輸出をしていこうとする場合には、やはり高度な加工を施すということが重要だというふうに思っております。  では、その高度な加工という観点でいきますと、やはり六次産業化ということが重要になってくるんだと、農商工連携でももちろん結構なんですけれども、その六次産業化と、それからHACCP導入の推進というのをどのように進めていくのか、伺います。
  72. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) 今先生御指摘のとおり、六次産業化を進めて農産物の加工を高度化し、それを輸出に結び付けていく、これが一つ輸出戦略の方向でもあると考えております。  ただ、六次産業化を始める方々はこのHACCPをいきなりやるというのはなかなかハードルが高い、そういうような状態でございます。したがいまして、食品安全に関する基礎的な取組をまず始めていただく、そこから始める必要があるかと思います。  実は昨年、浅漬けの事件が起こった後、私ども、白菜の値がかなり下がってしまったということもあり、また、浅漬けに取り組む六次産業化の事業者も結構全国にいらっしゃる、非常に加工が簡単でございますので六次産業化の入口としても浅漬けというのが行われている、そういうことで、その取組を行う事業者の方々一軒一軒を回りました。というのは、白菜の値段にも関係あるし、六次産業化事業体が、万が一事故が起こった場合に、六次産業化の認定事業体全体に対する評価を下げることになるんじゃないかということで、出先機関を動員しまして、約三千の事業者に対してパンフレットを配るような取組をしました。  今後も、このような法律改正の趣旨を、同じように一軒一軒回って取り組むということが必要になっていくかなと思います。昨年三千回りましたが、そのうちの五百が六次産業化の認定事業体でございましたが、こういうことを継続的に行いながら、一旦一業者事故を起こすとみんなのレピュテーション、評価につながるということを徹底してまいりたいと思っております。
  73. 横山信一

    横山信一君 今局長からも話がありましたけれども、六次産業化からいきなりHACCPというのは非常にハードルが高いということでありますが、このHACCP支援法では、高度化基盤整備が融資対象に加えられて、その整備目標から次の段階としてはHACCPというふうに行くわけですけれども、どういうふうに移行を進めていくのか、そこの点も伺います。
  74. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) まず、高度化基盤整備を行っていただく、それによって従業員の意識を高め、ある程度工場施設高度化していただく。そうなった場合に、従業員間の意思疎通を必ず図るのが基本でございますので、その従業員同士がいろんな工夫を出し合うという環境が生まれます。  そういう中で、次はHACCP、いよいよやってみようじゃないかという声が従業員の中から出るようなことも我々は期待しているわけでございますが、それを更に後押しするために、そういう事業者の方に専門家指導、助言をするための予算を付けております。また、研修会なども開催して、そういう機運が盛り上がったところで、あと一押しということを進めて、高度化基盤整備から高度化整備に移るということを進めていきたいと考えております。
  75. 横山信一

    横山信一君 HACCPというのは単に品質管理とか衛生管理にとどまらずに、製造ロスを減らすとか、あるいは製品の高付加価値化ということも含まれているわけであります。そういう意味では、HACCP導入することによって経営環境が改善されていくということも期待される、ひいてはそれは雇用の拡大ということにもつながっていくんだろうというふうにも思うわけでありますが、その食品加工業というのは地域の中では基幹産業みたいなものでありまして、農村地域、漁村地域の中で主な産業というのは、生産を除くと、いわゆる食品加工が地域の基幹産業みたいなところがあります。  そういう意味では、農漁村の振興という観点からいくと、この食品加工業というのはなくてはならない、地域雇用の受皿になっているというふうに考えられるわけでありますが、このHACCP支援法を通じて食品製造業の振興を図ることで地域の雇用拡大につながるという、そういうことも重要だというふうに思うわけですけれども、大臣の御所見を伺います。
  76. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、横山先生からお話がありましたように、この食品産業は、全体の国内生産額は八十兆円ということでございまして、また、従業員数では約八百万人という規模でございますから、ほぼ我が国経済の一割を担っているということでございます。食品製造業は、特にお地元の北海道や、鹿児島、沖縄といった地方では、製品出荷額の三割、それから製造業従事者の過半、五〇%を超えるところを占めておりまして、地域経済には本当になくてはならない役割を果たしているということでございます。  こういった食品事業者の皆様がHACCP導入するということで、今御議論いただきましたように、その科学的根拠に基づいて継続的に工程管理をするということ、それは上から言われてやるだけじゃなくて、従業員、そこにいる人がそういう意識を持ってやるということで、食品事故、これは下手をすると企業の倒産にもつながりかねないということでございますから、こういうことから自らを守るということと、今おっしゃっていただいたように、企業価値向上、またイメージ向上、そういうことを通じて、この地域の経済の活性化、こういうことにつながっていくということでございます。  したがって、この支援法で、このような地域の雇用拡大にも効果があるHACCP導入ということの位置付けの中で食品製造業者が取り組むために必要な措置をやっていこうと、こういうことでございますので、この導入促進が今おっしゃっていただいたような地域の活性化、雇用拡大につながっていくように、しっかりとやってまいりたいと思っております。
  77. 横山信一

    横山信一君 どうぞよろしくお願いいたします。  以上で質問を終わります。
  78. 山田太郎

    山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。  先々週は、実は長岡の棚田の方に手植えを行っておりまして、泥んこになりながら田植させていただきました。先週は、逆に大規模集積農業ということで大潟村をつぶさに見させていただきまして、非常に棚田と大型集積の典型的な違いを勉強したということで、またこの辺の話もいつか質疑させていただきたいと思います。  今日は、HACCP支援法質疑ということで、少しまた数字で迫りながら、この法律の意義その他について少し議論していきたいと思っております。  今日はちょっと資料をたくさん用意しちゃったんですけれども、お手元の資料の一ページを見ていただきたいんですが、実はこれ、平成十年以降、去年度まで、HACCPの、この法律による融資実績をまとめたものです。特に注目していただきたいのは、例えば平成二十二年一件、二十三年二件、平成二十四年三件といったように、資料を取り寄せてびっくりしてしまったんですけれども、極めて少ないということなんですね。  一方で、この法律の制度の趣旨は、多分約五万社ぐらいある中小食品製造業HACCP促進しようと。しかも、その五〇%にHACCPを適用しようという中で、素朴な疑問として、一年に一件や二件しか使っていないこの融資制度でどうやって政策目標を達成するのか、正直さっぱり分からないといったことであります。  こんなところを素朴に農水省の担当の方に昨日以前含めて疑問をぶつけてみたんですけれども、担当者の方は、数は少ないけど、アナウンス効果というかPR効果というものが期待できるんですと、こういうお話でありました。  確かに、HACCP、幾つかのコアをつくってそれに融資をして、周りでこういうやり方でできますよということであれば、それはそうかなと思って、企業名等を含めてどんなところがやっているのかということをお伺いしましたら、それは公表できないということで、ぎりぎり公表していただいたのが実は次のページの、二ページ目の資料でありまして、この融資実績のケースということで、平成二十三年、平成二十四年のそれぞれA社、B社ということで資料を提出していただきました。  これまた見させていただいたらびっくりしたんでありますが、何とHACCPで二十億円の、対応工場建設に充てているんですが、事業費は二十五億九千九百万ということですから、二十六億の設備投資に対して何とこの融資を二十億円受けていると。本当にHACCP対応のために使っていたのか疑問でならないなと。  一方で、平成二十四年度のB社に関しても、総事業費三十一億円のうち二十億円。二十億というのは、実はこれはぎりぎりの融資の上限だということでありまして、それぞれもう一つ売上げを見ていただきたいんですけれども、A社の場合はこれ売上げが五十二億、B社の場合には売上げが百三十九億ということでありまして、元々この法律の趣旨は売上げ一億円から五十億円の会社のHACCPの振興を図るということであったにもかかわらず、これまた違うところに対して低利の融資を政策的にやっていると、こういうことなんですね。  そういうことを鑑みたときに、本当にこの制度そのものというのは何なのかなと、存続の意義というのは本当にあるのかということを、正直、これまでのこと、去年、おととしのことを見ていると考えてしまわざるを得ないんですけれども、是非、今後のこの特に融資制度の方だと思うんですけれども、存続の意義がどこにあるのか、大臣にお答えいただければと思います。
  79. 林芳正

    国務大臣林芳正君) お配りいただいた資料にもありますとおり、平成十年度に始まってから二桁のときもありましたが、直近では今お示しをいただいたような実績でございまして、トータルで百二十四件、総額五百二億円ということです。  中小事業者に限定をした平成二十年十月以降、やはり九件、六十八億円にとどまっているという状況がございます。中小事業者HACCP導入、伸び悩んでいる要因、今までも議論ございましたけれども、やはりどうしても、専門チームの編成をするとか、それから恒常的な監視体制の構築というのがなかなか難しいということと、それからその導入に至る前段階、衛生・品質管理の基盤となる施設や体制の整備、これがなかなかできないという中小事業者が多いということでありまして、したがって、なかなかこの中小事業者のところが広がっていかないということでございます。  したがって、このまま同じことではいけないということもあって、先ほど来御議論がありますように、前段階のところを高度化基盤整備ということで位置付けまして、これのみに取り組む場合についても本法の支援対象にしようということで、それをやっていただいて、その次の段階HACCPに行っていただくということもありますよということにいたしまして、先ほどもちょっとどなたかのときに御議論いたしましたが、有効期限も今まで五年単位で延長してきたものを十年間延長ということに変えた次第でございます。
  80. 山田太郎

    山田太郎君 それでは、特に融資部分が問題だと思うんですが、大臣としては、来年、再来年度、政策目標で結構なんですけれども、何社ぐらいにこの融資を広げていきたいというふうにお考えなのか、数字だけで結構ですので、お伺いさせていただければと思います。
  81. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 前回のこの法案審議のときに数字を答弁したという記録が残っております。前回たしか一億から五十億で五〇%にするというようなことを言っておりましたが、なかなかそうならなかったと、こういうことでございますので、今回はこういう制度を少し変えて二段階でやっていくということにいたしました。  したがって、数字で目標を何%とか何社ということではなくて、段階的に取組を、これをやるというのは初めてでございますので、まずは広げた上で基盤整備をしっかりとやっていくところに注力をしていきたいと思っておるところでございます。
  82. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つ、この法律の融資の前提となっております高度化計画認定というのは、実は民間団体の指定認定機関というのが国に代わってやっておりまして、この高度化計画認定には実は十万円とか二十万円というお金が手数料として掛かるんですね。  その認定機関を少し調べさせていただいたのがこの三ページにある資料の、関連になるんですけれども、どうもこの民間団体には農水省OBの天下りがたくさんいらっしゃるということであります。HACCP認定の請け負っている団体に農水省の天下りがいらっしゃるということはいろいろ誤解も受けざるを得ないなというふうに思っておりますが、今後、この辺の、認定機関への天下りは見直そうとされないのかどうか、その辺、是非、大臣の方にお伺いしたいと思います。
  83. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今御指摘があったところでございますが、これ、私もかつて党で行革をやっていたときに、こういう団体に結構行かれておられて、そしてこういう仕事を、まず認証制度をつくって、それで人が行くと、こういうパターンもあって、そういうことを順次直してきたところでございますが、今お示しいただいたやつはそうではなくて、元々そういう団体があって、それぞれそういう仕事をやっておられて、その後、平成十年からこういう仕組みを入れましたので、どこか適当なところはないかということでお願いしてきたという経緯がございます。  そういう意味では、二十二、指定認定機関というのがあるんですが、今お示しいただいたところで、総務省から公表済みの、農水省OB受け入れたところが四つということでございますし、それから高度化計画認定手数料の収入がそれぞれの機関の総収入の割合、すなわち、昔よくあったパターンでいいますと、その仕事が何かもう収入の何割かに上っていて、そこに行くということが見られたケースも昔はあったわけでございますが、今回の場合は、これ高度化計画認定の手数料の収入の割合は一番小さいところは〇・〇三%、一番多いところでも一・六五%、これは平成二十三年の数字でございますから、この仕事をやることによって天下り若しくはそういう団体をつくっていくということには当たらないのではないかと、こういうふうに考えております。
  84. 山田太郎

    山田太郎君 行革をやられてきた林大臣なんで、天下りしないと力強く言っていただければよかったと思うんですけれども、またそれを引き続き期待をして、次に移りたいと思います。  さて、長谷川議員の方からもありましたが、EUに対する水産物輸出に関して、このHACCPとの関係を私も少し質疑していきたいと思っております。  お手元の四ページ、五ページの資料をちょっと使いながら説明質問とをさせていただきたいと思うんですけれども、EUに関する諸外国のHACCP認定状況ということで、EUに対する各国の水産品輸出状況、それから日本からEUへの水産輸出状況をまとめたものがこの資料であります。  御案内のとおり、先ほどから出ていますが、EUに対してはHACCP認定というのが必要になってくるんですが、その施設を調べさせていただきましたところ、何と日本はたったの二十八か所ということでありまして、アメリカの九百九十、カナダ六百二十八、驚くべきことは中国で六百二十五、ベトナムで四百十五と。先ほどの農水省さんの答弁では、いわゆるEUは認定が厳しいからなかなか日本は進まないというようなことを言っていらっしゃいましたが、であれば、日本は中国、ベトナム以下なのかと、こういうふうにも疑ってしまうわけであります。  また、水産物輸出量を見てみましても、非常にやっぱり日本は少ない。これ、ページ五になりますけれども、要は中国の百六十八分の一、アメリカの八十分の一、何とベトナムの百分の一という、まあ悲惨というと怒られるんですけど、これは何とかしなきゃいかぬということだと思っております。  どうしてこんなに我が国は諸外国に対して後れを取ってしまったのかなということなんですけど、まずこの辺、簡単で結構なので、林大臣の方から御答弁いただければと思っています。
  85. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) HACCP認定施設等々については、今先生お述べになったとおりでございます。我が国で、例えば米国HACCP認定工場は二百五十四存在するのに対して、我が国のEU・HACCPは二十八ということでございます。  その要因として、我が国の主力輸出品であるサケ・マス、これは中国で加工された後にEUに輸出されることが多くて、EU向けの輸出金額は我が国水産物の全輸出金額の二・四%にとどまっていると、こういうことになっております。また、工場内の区域が壁等で遮断して区分しなければならないなど、EU・HACCP認定基準が大変厳しい点も認可が少ない要因となっていると、そういうことを今考えております。
  86. 山田太郎

    山田太郎君 私の方は、逆に言うと、厳しいんであれば、じゃ、中国とベトナムとモロッコ等が何でこんなに合格しているのかという話になりますので、余りお答えになっていないのかなというふうには思っています。  次に、厚労省の方にちょっとお伺いしたいんですが、このEUのHACCP認定に非常に時間が掛かり過ぎると、こういう指摘もあります。一件認定するのに半年から一年掛かる場合がほとんどだということであります。どうしてこんなに時間が掛かるのかといった辺りを、これも簡素にで結構なのでお答えいただければと思っています。
  87. とかしきなおみ

    大臣政務官(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。  委員指摘のとおり、過去三年間の実績を見ますと、二か月から一年程度の期間を要すると。認定に時間が掛かっております。  こんなに時間が掛かる理由は二つ考えられまして、まず一つ目は、加工施設を改修する等のときにそれに当然時間が掛かってしまうということが挙げられます。あと、二つ目に、こちらの施設として、認定に当たりましては、欧州委員会との協議結果に基づきまして、厚労省と地方自治体が審査及び現地調査等を行う必要がございます。ということで、当然、これは自治体とそして厚労省との連携をしなくてはいけないのですが、どうもここがうまくいかないということで時間を要してしまったという例が幾つか見られました。ということで、地方厚生局において随時自治体から進捗状況の報告を受けるようにということで、平成二十三年の三月の二日、これ事務連絡において改善を指示いたしまして、今取り組んでいる状況でございます。
  88. 山田太郎

    山田太郎君 今政務官の方からも少し答弁ありましたが、EUへの水産品輸出に必要なHACCP認定は厚労省、それから都道府県の衛生主管課ですか、それから保健所が行っているということであります。  食品衛生を管轄しているところが保健所というところもあって、いろいろHACCP認定ができないと輸出できないので、監督官庁というのがあるとは思うんですけれども、少しは、輸出のサービス機関というんですかね、そういった形で後押しをするということで、特に保健所の職員の方々には是非このところを迅速にやるとか、分かりやすく展開するとかということで、この期間を是非短くしていただきたいと思います。  先ほど積極的にという話はあったんですが、是非今日は、業務改善のための指示を地方自治体や保健所に通達していただいて、何としてでも体質を変えていただきたいと。そうでないと、今日の委員会で一生懸命予算を付けるだとか、いろんなHACCPの手前の仕組みをつくるとかといっても、その後押しをする認証のところの意識が変わらなければ、多分この数は増えない、そしてEU向けに対する輸出も増えないということになってしまいますので、是非その辺りを厚労省としても認識していただいて、すぐにでも業務改善の指示を通達していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  89. とかしきなおみ

    大臣政務官(とかしきなおみ君) ありがとうございます。  いい御指摘をいただきまして、地方自治体に対しましては認定の手続の迅速化を図るように、強い旨をしっかりと文書で周知していきたいと、このように考えております。
  90. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございます。  これでHACCPも本当に、まず輸出で必要なEUから、それからもちろん国内においても中小で進むことを期待します。  さて、厚労省が通知を出すということですから、農水大臣も、林大臣も是非厚労大臣とよく相談していただいて、このEU輸出に必要なHACCP認定がどんどん増えるということを目指していただきたいと思います。是非、大臣の方からもその辺の所見と決意のほどをいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
  91. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事なところを今日は御質問いただいて、また厚労省の方からも前向きな答弁いただいたと思っております。  やはりEU・HACCP、なかなか難しいということですが、今後はやっぱり取り組んでいかなければいけないということでございまして、実は、ただ単に厚生労働省から地元に行くという一方向、これも大事ですが、更に言うと、やっぱり実際に取られる方や地元の方も一緒になって、どうやったら行けるのかということも必要だということで、我が方から呼びかけをさせていただきまして、今年の一月と三月にHACCP認定を担当する厚労省と地方自治体と、それから関係業界による連絡協議会というのを開催いたしまして、問題点の解消を図るように取り組んできております。  例えば水産加工施設の場合は、その基礎となる、最初に岸壁に荷揚げをするところの衛生要件、こんなところもありまして、そういうところをどうするかとか、それから写真付きのマニュアルを作るとかいうようなこともしていただいておりまして、そういうことで、かゆいところに手が届くようにしっかりと支援をしてまいりたいというふうに思いますし、一方で輸出対応した水産物の供給体制の整備、これも併せてやっていかなければならないと思いますが、いずれにしても取組が緒に就いたところでありますので、今日は政務官お見えでございますが、田村大臣にも顔を合わせるたびにHACCPHACCPと私も言っているのですが、しっかりと一緒になって取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。
  92. 山田太郎

    山田太郎君 大臣から大変前向きな発言いただきました。先ほどの環境大臣との調整、それから厚労大臣との調整、農水大臣はたくさんやることがあると思っておりますけれども、我々国会の側も是非後押しをしてやっていきたいと思います。  いずれにしても、このHACCPHACCPのためのHACCPではなくて、産業振興と輸出につながるような、そして、もう難しいから展開しないという答弁は余りいただきたくないので、じゃ、どうすればいいのかといったことを含めて、融資がやれ一件だとか二件だとか、HACCPは五〇%も行っていませんということではない、来年、再来年にこの議論をしたら随分進んだなというところを期待しまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。     ─────────────
  93. 中谷智司

    委員長中谷智司君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、金子恵美さん及び一川保夫君が委員辞任され、その補欠として小川敏夫君及び広田一君が選任されました。     ─────────────
  94. 平山幸司

    ○平山幸司君 青森県選出の平山幸司です。よろしくお願いいたします。  今日は、食品製造過程管理高度化に関する臨時特別措置法ということで、これまで議論があったと思います。多少重なる部分もあるかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。  まず、今回の法案で、HACCP導入を一気に目指すことが困難な中小事業者導入に至る前段階の衛生・品質管理の基盤となる施設や体制の整備といった高度化基盤整備取組も支援の対象にするとされております。  そして、私の地元青森県八戸では、東日本大震災の津波被害を受け八戸市が復旧工事を進めてきた八戸港館鼻地区のHACCP対応型荷さばき施設が震災から一年半余りを経て完成をしました。これで、高度衛生管理機能を備えた閉鎖型の施設、サバなどの水揚げに対応し、十月から卸売業者の設備操作の習熟を兼ねた試験稼働を開始しております。二〇一三年から本格稼働を目指し、地元では期待も高まっているということでございます。  そこで、この法律案による支援が日本食品安全性向上並びに品質管理徹底にどのように効果を及ぼすことを期待されているのか、これまでも議論ありましたけれども、また農林水産業にどのような効果を及ぼすのか、まずは大臣にお伺いをしたいと思います。
  95. 林芳正

    国務大臣林芳正君) お地元でもHACCP取組が進んでいるということで、大変喜ばしいことだというふうに聞いていて思いましたけれども、まさにそういう取組を支援対象にしていこうという今まであった制度、これに加えて、先ほど来議論がありましたように、なかなか中小企業の方で一気にHACCPまでというのが難しいんだなというような方を対象に高度化基盤整備ということを新たにつくりまして、前段階、例えば洗浄ですとか殺菌等の衛生・品質管理の基盤となる施設や体制を整備する、これだけでも公庫資金の対象にするということを加えさせていただきました。  最初の五年ぐらいで高度化基盤整備の普及、定着を図る、それに続く期間でHACCPの更なる導入促進すると、こういう二段階あるということで、今まで五年ずつ延長してきたこの有効期限ですが、今回は十年延長するということで、こういう取組を後押ししようということでございます。したがって、将来的にこれを、HACCP導入する中小企業の方も増えてくる、で、業界全体の裾野が広がるということで、このHACCP導入促進していくということが期待をされるわけでございます。  何とかそういうことが広がることによって、先ほどの横山先生のときにもお話があったように、地域の経済の活性化、また輸出取組も踏まえた上での雇用の拡大と、こういうことにつなげていきたいと考えておるところでございます。
  96. 平山幸司

    ○平山幸司君 ありがとうございます。  業界全体の裾野を広げる、そしてまた地域の活性化につながるのではないかというお話でありました。特に八戸の方、地元ですので進んでいるということで、本当に地元では期待の声が上がっております。  一方で、青森県は三方海に囲まれておりまして、漁業者で期待感がある一方で、現在懸念される点も二つほど実はあります。  それに関連してちょっと大臣の方にお伺いしたいんですが、今、HACCPで期待がある一方で、漁業者が非常に心配若しくはもう既に影響が出ているということで、先ほど横山先生の方からもお話がありましたが、燃油の高騰、これはもう随分と前から、地元を歩いていますと非常に大変だという声をいただいておりました。燃油の高騰がありながら魚価は低い状況にある、そして漁業者は燃油対策でいろいろな取組をしていると、それでも本当に厳しいんだというお話をいただいております。  よって、まず懸念している点として、大臣に、この燃油高騰に対するやはり漁業者への対応、これはいろいろ対応策聞いてはおりますけれども、改めて、どういった漁業者に対する対応、対策をしているかというのをお伺いしたいと思います。
  97. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) 私の方からまずお答えをさせていただきたいと思います。  今後の燃油高騰対策ということについてのことになりますけれども、この委員会でもこの議題については何回か議論をして、先生からも様々な御提言もいただいたところでございます。本年の二月から検討を重ねてまいりまして、これまで政府・与党での議論も踏まえた上で、御案内かと思いますけれども、六月の五日に漁業用燃油緊急特別対策、これを決定をいたしました。    〔委員長退席、理事郡司彰君着席〕  若干説明になりますけれども、簡潔に申し上げたいと思いますが、この特別対策、これは漁業者の経営改善の取組を下支えをするということで、一つとして、漁業者と国が毎年度積立てを行い、原油価格が補填基準を超えた場合に上昇分の二分の一を国が負担をする現行の漁業経営セーフティーネット構築事業。これに加えまして、平成二十六年度末までの緊急措置として、現行制度の加入者に対して、原油価格が更に特別対策の補填ラインを超えた場合に、上昇分の四分の三を国が負担をすると、これが柱になっております。早速この特別対策の周知を開始したところでございますけれども、七月からの実行に移してしっかり取り組んでまいりたいと、このように考えています。  それから、この特別対策は、ベースとなる漁業経営セーフティーネット構築事業、これに加入をしていただくことが大前提でございますから、抜本的な加入促進対策として、平成二十五年十二月末までの加入者に限って、漁業者負担分の借入金を無利子化するという措置も講じるというふうにしているところでございまして、このことによりまして、今後更に高騰が生じても漁業者の経営安定対策をしっかり図っていくことができるものと、このように考えているところでございます。
  98. 平山幸司

    ○平山幸司君 二月から検討を始めているというお話でございました。そして、経営安定に対して加入者に限定しているというお話ですけれども、もう既にその影響が出ているこれまでの分、今六月ですので、二月から検討を始めているということですが、これから七月からその対応をしていくというお話でありましたけれども、これまでの分に関してはどのような考えになっているんでしょうか。
  99. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) お答えさせていただきます。  まず、現状、大変燃油の高騰というのは厳しい状況にあるということは踏まえた上での答弁になりますけれども、この現行の漁業経営セーフティーネット構築事業と今回のこの漁業用燃油緊急特別対策、これを一体として実施をすると。そのことによって高騰に備えるということが重要であると認識しておりまして、この特別対策につきましては、今御指摘のとおり本年七月から募集を開始して、加入した方については七月から九月期以降の補填金の支払から対象にすると、こういうふうにしています。    〔理事郡司彰君退席、委員長着席〕  今、遡って、言うならば、これまでの二月からの分について高騰分をどうするのかという話でございましたけれども、この補填金の支払というのは、先ほど私、先に答弁させていただきましたように、本事業の加入が大前提になっているということでございまして、加入する前の過去の高騰時に遡って補填金を支払うことは、これはできないということを改めて御答弁させていただきます。
  100. 平山幸司

    ○平山幸司君 事業への加入が原則ということで、これまでの苦しんできた分に関してはそれは政府としての対応は特にないということの認識ということなんだと思いますけれども、やっぱり漁業者は本当にずっと、最近、ここ円安で苦しんできているということはしっかり受け止めていただきまして、七月から対応していくということでありますけれども、十分にこれまでの分も超えられるような対応というものをやっぱりしていかなければいけないのではないかと、このように感じておりますので、よろしくお願いいたします。  もう一点、漁業者が今非常に心配をしている部分がございます。ちょっと新聞記事を読ませていただきますが、これは六月の九日、地元の新聞に載っていたものです。TPP交渉、TPPの件はこの委員会でもずっとやらせていただきましたけれども、政府が検討ということで、漁業補助禁止に関しての報道であります。  「政府は八日、環太平洋連携協定(TPP)交渉で、米国など一部の国が提案した漁業補助金の原則禁止に反対を表明する方向で検討に入った。魚の消費量が減少を続ける中、日本の水産業を維持するには補助金が不可欠だと判断した。」。  ここまでは非常に当然だという感じを受けるんですが、この後に、「禁止が回避できない場合でも、漁業資源の乱獲につながることが明らかな補助金に対象を限るべきだと訴える案を軸に調整している。」という形で、その後ずっとちょっと続いているんですけれども、これまでの議論の中で余り、農作物に関してはいろいろとTPPに関しても議論があったんですが、漁業に対しての心配するところ、特にこれは新しく出てきているなと感じ、地元でも、これは全国日本は海に囲まれておりますので、漁業者が非常に心配しているところではないかなと思うんですが、この点、大臣は聞いているか、そして大臣はどのようなこれに対しての対応を考えているか、お伺いいたします。
  101. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほどもお答えしたとおり、実はこの報道がありました後、記者会見でこの報道について聞かれたものですから、私が今までと同じことを申し上げたんですが、それがまた日経の夕刊か何かに後で出たと、こういう経緯であろうというふうに考えておりますが、先ほど申し上げたように、今一生懸命情報を収集して、今現状どうなっているかということをTPPの政府対策本部の下で政府全体として進めておるところでございます。  この中には、これはもう既に、昨年の三月ですからまだ民主党政権の時代ですが、公表を既にしておりますが、政府が収集した情報ということで、過剰漁獲を招く漁業補助金を禁止するという提案があるということは情報が取れているところでございます。また、この環境という分科会で、二十一分野があると言われておりますが、その中の環境という分野でこれを取り扱うということなんですが、この分野についてはまだ各国の間で対立があって合意には至っていないというところも情報が取れているということでございます。  したがって、私が会見でも申し上げたんですが、これはWTOの漁業補助金交渉で政策上必要な補助金は認められるべきと、かねてより我が国はそういうスタンスでずっとその主張を言ってきておりますので、こういう立場でTPPにおいても対応していく必要があると、こういうふうに申し上げておるところでございます。
  102. 平山幸司

    ○平山幸司君 大臣の記者会見の後のその記事も手元にあります。情報収集を行っているということで、WTOでもこの漁業補助金に対して、必要な補助金は認められるべきだと、こう主張しているということでございます。  しかし、今回のTPPは、WTOに比べてももう明らかに高いレベルでのいろいろなことをやっていこうというのがTPPの本質でありますので、それを幾ら日本が主張したところで、今これはこの補助金を、この七月の十五日から二十五日でマレーシアで開かれる会議があるわけですけれども、それまでは漁業補助金に関するルールの条文も恐らく見ることはできないんだろうと、こう思うんですが、これを提示された場合、日本が幾らこれまで主張してきたからといって日本の主張を言ったとしても、やはり交渉ですので、そこを押されっ放しになった場合にこれを受け入れざるを得ないという状況になりかねないとも言えないわけでありまして、そういった場合は、漁業者はこれはとてもやっていけない状況にまたなってしまうと思うんです。  そして、これまでも、自民党が約束した六項目、このTPPに関してありますけれども、その中にも、こういった漁業に対するものは特段約束事はないように思いますので、大臣に改めて、漁業もやっぱりしっかり守るんだということ、これを約束していただきたいんですね。それによって漁業者は、これは絶対に入らないんだということ、入らないというか、この補助金がなくなるということにはならないんだ、やっぱり日本の漁業は大切ですので、そこの部分を大臣に是非お話しいただきたいと思います。
  103. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほどちょっと情報の話をしましたが、環境の分野についてはまだ合意が得られていないということですから、まだそういうテキストもないんだろうというふうに推測はしておりますが、いずれにしても、我が国の立場も終始一貫しておりまして、政策上必要な補助金は認められるべきだということでございますので、しっかりとこれを踏まえてやっていきたいと思いますし、あの六項目の中には書いておりませんが、この間党で御決議を新たにいただいた中には、特に農林水の第四グループの中にはしっかりとそのことを書いておりまして、この決議の中にはこれも含まれておりますので、これも踏まえてしっかりと我が国の従来からWTOで主張してきた立場を守っていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  104. 平山幸司

    ○平山幸司君 大臣、済みません。ちょっと自分勉強不足なんで、その決議の中に今の部分が含まれているというお話でしたね。どういう内容かをちょっとお話しいただければと思います。
  105. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  これは全体のTPPの党の委員会をつくりまして、そこで幾つか分科会をつくってまとめたものでございます。全体のもののベースで、多分ここで御決議いただいたものと近いというか、ほぼ同趣旨の内容を決めていただいておりますが、その中で漁業補助金については、「漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること。」と。後でよろしければコピーも差し上げられると思いますが、「仮に漁業補助金につき規律が設けられるとしても、過剰漁獲を招くものに限定し、漁港整備や所得支援など、持続的漁業の発展や多面的機能の発揮、更には震災復興に必要なものが確保されるようにすること。」と、こういうふうに明記をしておるところでございます。
  106. 平山幸司

    ○平山幸司君 ありがとうございます。  今大臣の方から、自分勉強不足で大変恐縮ですが、お話しいただきました。漁業に関して国の決定権は維持するということでございますので、最後に、時間になりましたので、これらが守られないことがあれば当然脱退するという私は認識に立って、強くこの部分に対しても、国を守る、漁業を守るという立場に立ってこれからもしっかりと対応していただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  107. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  まず、法案の質問に先立ってTPP問題ですけれども、十七日、政府のTPP交渉に関する業界団体への説明会が非公開で開かれることが報道されておりますけれども、これは一般国民向けの説明会はないと、パブリックコメントも予定されていないということで、なぜ非公開なのか、そしてこういうパブリックコメント、国民への説明というのは当然やるべきだと思いますけれども、まずこの点について農水大臣に伺います。
  108. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、先ほど平山先生のときに少し触れました、TPP政府対策本部というところがございます。ここで説明会をやると、こういうことでございます。  各分野に関心、利害、知見を有する関係団体を対象に説明を行って意見を言っていただくということで、今お話があったように情報提供ということが大事でございますので、この説明会で政府が使用する説明資料等は広く国民に情報提供するために対策本部のホームページに掲載をする予定にしております。また、別途ほかの団体等からも意見を聞くことも検討されているということを聞いておりますので、我々といたしましても、しっかりとこの農業者、農業者団体等々、また水産、林野の関係の方にも丁寧な説明それから情報提供を行っていきたいと考えておるところでございます。
  109. 紙智子

    ○紙智子君 そういう説明会は非公開じゃないんでしょうか。広く一般の国民も含めて参加できる、要請があれば参加できるようになっているんでしょうか。そこのところを今お聞きしたんですが。
  110. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、申し上げましたように、関心や利害を有していらっしゃる関係団体を対象に説明を行って、説明する方は、どなたでも見られるように掲載をするということでございます。今度は、その団体の御意見を聞くというところは、こういう説明会でじっくりやるということで、こういうふうにしておられるんだろうと、こういうふうに思いますが、いずれにしても、対策本部の方でおやりになるということで、詳細は対策本部の方にお聞きいただければと思います。
  111. 紙智子

    ○紙智子君 業界団体でそのやり取りする場面というのは当然必要ですけれども、一般の国民の皆さんも含めて説明の場所をつくるべきだし、野田内閣のときにも、情報公開がされていない、国民に納得いくようなことがされていないということで批判があったわけですし、やっぱり当時は野党だった自民党さんからもそのことに対する批判も多く出されていたと思うんですよ。  それで、やっぱり徹底して国民に説明する機会と意見やり取りできる場所を設けるべきだし、民主党政権のときにもやったその説明会というのは、農水省の側から、政府の側からの説明が一方的であって、疑問とか質問出されてもちょっとしか時間が取れなくて相当批判もあったわけで、そこはこの先随時やっぱりやっていく、説明の会を設けていくということを是非おやりいただきたいということを申し上げたいと思います。ちょっとこれに対しても一言お願いします。
  112. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大事なことでございますので、政府対策本部の中でどういうことができるのか、情報提供の観点からしっかりと検討してまいりたいと思います。
  113. 紙智子

    ○紙智子君 それでは、HACCP法案について質問します。  厚生労働省に、この間、HACCPを採用している企業の過去十年間の食中毒事件について報告を求めたところ、ありませんでしたということだったんですね。しかし、二〇〇八年に大手食品企業伊藤ハムの東京工場でウインナー製造に使われる地下水からシアン化合物が検出されて、それでも一か月間製造を続けた事件が起こりました。  HACCPシステムでは、食品加工に使われる水というのは重要な監視ポイントになって、その監視ポイントに異常が見付かれば直ちに食品製造を中止するということがこれHACCPシステムの大原則です。ですから、伊藤ハムという大手企業HACCPシステムの基本原則を理解していなかったということなんですね。  HACCPシステムというのは、衛生設備を導入してシステムをつくれば終わりということではないわけです。絶えざる点検と検証が不可欠なわけで、果たしてどれだけそのことを理解してもらえているのかというふうに思うわけですね。  このシステム導入企業に対する指導体制がどうなっているのか、最初にちょっと厚生労働省と農水省、それぞれ簡潔でいいですからお答えください。
  114. 新村和哉

    政府参考人新村和哉君) お答えいたします。  HACCP導入いたしました食品衛生法上の総合衛生管理製造過程の承認施設に対する監視指導でございますが、国の地方厚生局の方では三年ごとの更新時は必ず、また必要に応じてその間も立入調査を行っております。  また、施設を管轄する都道府県におきましても、毎年度、監視指導計画を策定して立入調査を行っておりますが、この総合衛生管理製造過程実施している施設に立ち入る場合には、それが確実に実施されているということを確認することとしております。  今後とも適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
  115. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) HACCPは、食品製造工程において継続的に監視、記録を実践することが最も重要であります。施設や体制を整備するだけでその目的が達成されるものではありません。取組状況のフォローアップが必要であることは紙先生御指摘のとおりでございます。  これまでも研修等を通じて日々の取組の重要性の周知を図ってきましたけれども、反省を踏まえまして、今年度から専門家を派遣し、HACCP導入状況のフォローアップを行い、改善点の指導等を行う取組に対して支援を行うこととしたところでございます。
  116. 紙智子

    ○紙智子君 この伊藤ハムの役員からの聞き取りで明らかになったもう一つの問題点というのがあって、HACCPマークがないと営業ができない、あるいは作っても業務用にしか売れないという、営業部門からそう言われるんだという認識があったわけです。結局、売上げを上げる活動の道具としてHACCPが扱われるという現実があると。食品産業センターでも、対外的に認証取得をPRしたいという理由だけでHACCPの認証を目指すというのは、これはかえって自社を危険にさらすことになりかねないんだということも言っているわけです。  それで、農水省として、こういうHACCPの取扱いがなされないように対策を取っているかということについてもちょっと一言お願いします。
  117. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) お答えいたします。  このHACCPの認証取得が具体的にどういう影響があるかということについての中で、議員から今御指摘の、PRに利用されるだけじゃないか、そういう側面がないかという御質問でございますけれども、これは農水省が実施しました調査のことを一つ例に取って御紹介させていただきたいと思うんですけれども、この調査によりますと、HACCP導入企業のほとんどがHACCP導入効果として、品質安全性向上、それから従業員の意識の向上、これは非常に高く、九五%また七八%と回答いただいております。  こうした結果から見ても、HACCP導入した企業、これが、食品安全性向上、衛生それから品質管理徹底、こういったことで、HACCP本来の目的を実現できるようにHACCPに取り組んでいただいているものと、このように認識しているところでございます。  それで、その上で農水省としての取組のことについて簡潔に申し上げたいと思いますけれども、このHACCP本来の目的をやはり実現するということが一番大事なことでございまして、そのために、高度化基盤整備の具体的内容を有識者また業界関係者にも、交えて検討した上でその普及を図る、それから一番大事なポイントとして人材の育成研修、それから専門家を製造現場へ派遣する、こうしたソフト面での支援もしっかりやっていくと、このようにしているところでございます。
  118. 紙智子

    ○紙智子君 HACCP導入が、先ほども議論になっていましたけれども、中小企業に進まないというのはある意味当然とも言えるわけです。  なぜかといえば、本来、このHACCPというのは衛生設備の問題ではないわけですよね。衛生設備の問題ではないのに、それがセットになっていると。それから、システムについても当然監視要員が必要になるので人件費が掛かると。別にHACCP導入しなくても、食品衛生法上は何ら問題はないと。  本来、HACCP導入するかどうかということではなくて、大事なことは、食品衛生基準をどうきちんと守るかということがすごく大事なことで、それをきちんと守っている企業が更に衛生水準を上げたいと、あるいは、輸出する際に相手国がHACCP対応じゃなきゃいけないという場合にそれを導入するということになるわけで、とにかくもうしゃにむに自己目的化して、それやらなきゃいけないということではないと思うんですよね。その点ちょっと、厚生労働省、いかがでしょうか。
  119. 新村和哉

    政府参考人新村和哉君) 御指摘ございましたとおり、食品安全性につきましては、現行の食品衛生法に基づく規制によって基本的には確保されているというふうに考えております。  一方、HACCPという手法ですが、これは国際的にも食品衛生管理の手法として推奨されているものでございまして、欧米を始め各国で義務化しているところもあり、また導入が推進されていると承知しております。  厚生労働省といたしましても、HACCP食品製造施設等における衛生管理の手法として有効と考えておりますので、総合衛生管理製造過程の承認制度を設けておりますほか、監視指導の上でも、食品衛生に関する監視指導実施に関する指針といったものを設けて、この中で講習会の実施など導入推進を図ってきたところでございます。  ただ、中小企業におきましては、御指摘もありましたように、人材の確保とか施設整備とか、困難な面があるということも承知しているところでございます。こういった中小企業も含めまして、HACCPといった手法について事業者に分かりやすいガイドラインを作成して周知していくといった取組も考えておりますので、中小企業の中でも導入可能な施設からHACCPが普及されていくということを期待しているところでございます。
  120. 紙智子

    ○紙智子君 自己目的化すべきでないというふうに今言いましたけれども、それで、最後、大臣にこの問題で、法律があるからといって、自己目的にHACCP導入中小企業に押し付けるべきではないというふうに思うんですが、企業の自主的取組の中でやっぱり当該企業が必要だと判断したときに支援をするというスタンスを保つべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  121. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、厚労省からも答弁がありましたように、その段階的にできるところからやっぱりやっていくということが大事でございます。  HACCP自体は非常に有意義なものであるということは共通認識でありますが、しかし、これを目的化して、とにかくこれ取ることが目的になるということではなくて、あくまで手段であるということはまず基本的に押さえた上で、なるべく過去の今までの実績、先ほど山田委員のときにも議論になりましたが、こういう実績ですから、やはりそれを今回は二段階ということでやることによって、一段階目をやっていただくと更にそういう意識も高まってきて、じゃ、やろうかと、こういうような段階的な取組をやっていくということによって自主的な取組を促していきたいと考えておるところでございます。
  122. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございます。  それでは、次、燃油の問題について質問をいたします。  それで、先ほどもちょっとこれも話ありましたけれども、アベノミクスで円安が進んで燃油価格が高騰したと。水産庁として六月五日に対策を出して、漁業用燃油緊急特別対策ということで発表されたわけです。それで、特別発動ラインを設定して支援を行うということで、発動ラインが燃油価格で一キロリットル当たり九万五千円と。この水準を超えた燃油代の四分の三を国が負担するというのが特別対策の柱になっていると。  緊急支援を求めて五月二十九日に中央でも集会ありましたし、その前日は北海道でも集会あって、そこに私も行ってきたんですけれども、それで、集会決議で、急激な円安による燃油等の高騰が漁業経営を襲い、自らの経営、存続努力の域を超えて、出漁の断念のみならず廃業にまで追い込まれる経営体も出現していると。今を、今を乗り越えていかなければ将来はないというふうに言っていて、求められているのは今を乗り切るという対策なんですよね。  そこで、ちょっとお聞きするんですけれども、この特別対策の発動ラインがなぜ一キロリットル当たり九万五千円なのか。なぜ、例えばもうちょっと低い八万とか九万にならなかったのかということについて、大臣にお聞きします。
  123. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 先ほども平山先生の方から質問がありました。  漁業用燃油緊急特別対策の発動ラインについて、現行の漁業経営セーフティーネット構築事業の半数の加入者の積立金が平成二十六年三月末に払底する価格水準、いわゆるA重油のリッター当たり九十五円としたものであります。これらを踏まえまして、この特別対策は、平成二十六年度末までの緊急対策として、現行制度に加え、特別対策発動ラインを超えた場合には、現行制度の加入者に対し上昇分の四分の三を国が負担すると、このことが柱となっているところでございます。  今どうするんだという話が先ほどありましたけれども、先ほど稲津政務官から話ありましたので省略させていただきます。
  124. 紙智子

    ○紙智子君 漁業者は、現在の発動ライン、一キロリットル当たり八万円でも経営が苦しいっていうふうに言っているんですよね。それで、八万円から九万五千円の間でもしこの価格が推移した場合に、漁業者への新たな支援があるのかって聞いたら、これ現行制度で行うっていう答弁になるんですけれども、これではやっぱり足りない。現行制度だと結局、国と漁業者一対一なんですよ、ですよね。これでは足りないと。それで、やっぱり漁業者は今を乗り切る対策を求めているわけです。今の、今回の対策でいうと、そういう意味ではまだ十分とは言えないということなんですね。燃油の限界でいうと、一キロリットル当たり六万円でももう本当に厳しいっていうふうに言われていて、漁業によってコストはもちろん違うんですけれども、現行の八万円台でも大変だと。  それで、アベノミクスの円安によって生まれているこの燃油高ということですから、やっぱり国がそこは本当に責任持って今を乗り切れるように更に引き上げていくというふうにするべきではないかと思いますけれども、これについて、大臣、いかがでしょう。
  125. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今お話がありましたように、上昇分の二分の一のところが現行の制度でございまして、八十円という今のライン、補填基準が七中五ですからそうなっておりますが、今回は九十五円に設定させていただいたと。  私、かねがね異常高騰分についてということを申し上げてきておりました。それは、やはりこういうものは一対一にしても三対一にしても積立てをしていただく、これに加入していただくということがベースでございます。それを根底から変えますと、今実際に積立金を払って加入されている方との公平性ということがどうしても議論になってくるわけでございまして、したがって異常高騰分を先ほど副大臣からお答えさせていただいたようなところに設定するとともに、なるべく入っていただくと。これ単協によってかなり入っていただいているところとまだそうでないところと様々な現場状況もございますので、先ほど御議論があったように、年度途中でいつでも加入して四半期ごとにプログラムに入っていけるようにするですとか、それから初年度の積立金は全額利子を負担、無利子にして借入れできる、こういうようにしてなるべく入っていただくと、こういうことを併せてやっておるところでございます。
  126. 紙智子

    ○紙智子君 もちろん入ってもらうようにするというのはそうだと思うんですけれども、今現状では、乗り切るのが大変だっていう現状があるので、そこは、たしか自民党さんの中でもまだこれでも不足だからもっと上げようっていう話が議論されているというふうに聞いていますけれども、是非そこは現場皆さんの声をしっかり受け取っていただいて、更なる検討を、上増しをお願いしたいと思います。  ちょっと時間なくなりますので、最後に遺伝子組換え問題でお聞きします。  未承認の遺伝子組換えの小麦の問題なんですけれども、米国のオレゴン州で未承認の遺伝子組換えの小麦が作付け地帯で自生していることが判明して大問題になっていて、これについてのまず経緯についてお聞きしたいのと、ちょっと時間ないのでまとめて二つ併せて言っちゃいますけれども、それは農水省に聞きます、その経緯についてですね。  それからもう一つ、併せてですけれども、厚生労働省に、本来はこれ未承認遺伝子組換え作物が実験施設から一般圃場に流出するということ自体決してあってはならないことなんですね。ですから、モンサントがいかにずさんなことをやっているかということなんですけれども、それが現にあったということは、大量に遺伝子組換え作物を輸入に依存している日本にとってもこれ重大なことでありまして、あり得ないことがあったわけですから、これまでの監視体制を抜本的に見直すべきではないかと思うんですね。  この点について、農水省と厚生労働省、それぞれお願いします。
  127. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) まず、これまでの経緯について私の方から説明させていただきます。  アメリカの農務省が、アメリカの現地時間の五月二十九日ですか、にオレゴン州の小麦農家の圃場で米国や我が国で未承認となっている遺伝子組換え小麦の植物が確認されたこと、それから、米国その他のいかなる地域においても販売や商業栽培が認められている遺伝子組換え小麦品種は存在しないこと、これを公表したわけでございます。これに対して、当省からはアメリカの政府に対してより詳細な情報の提供を求めるところでございますけれども、現時点において追加的な情報の提供はまだ得ていないところでございます。  このような状況の中で、農林水産省として念のため、オレゴン州で生産される小麦で我が国輸入される可能性が高い、いわゆるアメリカ産のウエスタン・ホワイト及び飼料用小麦の入札、これを五月三十日から暫定的に止めているということでございまして、売渡しを停止したところでございます。
  128. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 新村食品安全部長。答弁は簡潔にお願いします。
  129. 新村和哉

    政府参考人新村和哉君) はい。  我が国安全性審査が終了していないこういった遺伝子組換え食品輸入防止は、まず輸出国におきましてきちんと栽培管理が行われることが適切と考えます。  その上で、厚生労働省といたしましても国内外の関係情報を収集しておりまして、このような安全性審査が終了していないものが混入が発見された場合には、詳細な情報を当然収集いたしますし、その上で検査方法を策定し、必要に応じて輸入時の検査体制を確保するなど、我が国輸入されることのないように迅速かつ適切に対応することとしておりまして、今回の問題につきましても、農林水産省と連携し、米国における調査結果も踏まえまして、必要な適切な対応を取ってまいりたいと考えております。
  130. 紙智子

    ○紙智子君 終わります。
  131. 舟山康江

    ○舟山康江君 みどりの風の舟山康江でございます。  冒頭、四月十八日に当委員会で採択されましたTPP協定交渉参加に関する決議について発言をさせていただきたいと思います。  委員会として決議を出すべきとの提案に対しまして、四月十八日、TPP協定交渉参加に関する決議が提出され、多数をもって採択されました。その後、私の方から、やはりこれは決議をしただけではなくて、この日本のスタンスというものをしっかりと外国に、とりわけ今一番日本との二国間協議を進めているアメリカに対してしっかりとこの日本のスタンスを示すべきではないか、とりわけアメリカにおいては、日本はもう全ての品目の自由化を決断したというふうにとらえられているという、こういった現状からして、やはり日本はそうではなくて、かなり守るべきものは守るという強い思いを持って交渉に臨んでいるんだということをやはり示すべきではないかと、そういった提案を理事懇談会、理事会、そしてこの委員会でも申し上げました。  その中で、それを受けて、委員長また両筆頭の御尽力によりましてこれがしっかりと英訳をされ、カバーレターを付けて、この度、アメリカの通商代表部と、それから交渉を担当する、協議を担当する上下両院の委員会委員の皆様に送付をされるとなったということは大変有り難いなと思っておりますし、このことは、私はTPPに反対の立場でありますけれども、これは賛成の立場に立つにしても、やはり日本の今の交渉スタンスをきちんと外国に伝えるということは大変重要ではないかと思っておりますので、本当に有り難いなと思っております。ありがとうございました。  TPPに関して、通告はしておりませんけれども、一点だけ私からも確認をしたいことがありますので、よろしくお願いいたします。  今、紙委員からも触れていただきましたけれども、十七日に業界団体への説明会が東京で行われるということでありました。考えてみれば、今の政府・与党も野党時代には、とにかく情報が足りない、ちゃんと情報開示をして国民的議論をしてからこの参加の是非を決めるべきだということを再三言っておったわけでありますけれども、そういった国民的な議論がないままに、残念ながら三月十五日に交渉参加を決定したということであります。  今回、この十七日の説明会というのも、実はこれ一般国民向けではなくて業界団体向けというふうになっておりますけれども、情報が足りない足りないと言われていた前政権でさえも、一般国民が参加できる地域シンポジウムを全国九か所で開催したほか、二十四都道府県が主催した説明会にも政府から説明に出向いておりますが、残念ながら、安倍政権に替わってから一般国民向けの説明会は一度も開かれておりませんし、今後も予定はされていないと聞いておりますけれども。  これにつきまして、TPP政府対策本部の一員であります林大臣に、やはり私はこの国民への説明というのは絶対に必要だと思っておりますけれども、これを開催する予定、それからこれを働きかける予定についてどうお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  132. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど紙委員にもお答えをしたとおり、まずはこの今回のものは、政府の対策本部の下で利害、関心、知見を有する関係団体を対象にまず行うということと、意見を聴取するということですが、説明資料についてはホームページで公開をする、こういうふうにするということと、それからもう一つ、ほかの団体等からも意見を聞くということも検討されているというふうに聞いておりますので、更に広く情報提供をするために何ができるのかということをしっかりと検討してまいりたいと思っております。
  133. 舟山康江

    ○舟山康江君 説明資料の公表だけではなくて、やはり会議そのものを非公開ではなく公開にして、国民にきちんと開示をしていくということ、これは最低限必要ではないかと思っておりますし、やはり一般国民がきちんと参加をできる説明会というのは、繰り返しになりますけれども、前政権でもやっていました。今の政権でもしっかりとやっていただかなければ、まさに今、交渉参加を決断して、まさに今ここに迫る危機というんでしょうか、喫緊、緊急性というのは、以前よりも今の方がもうずっと高いんだと思います。そういう中で、しっかりとその説明会の開催を、是非、本部の一員として大臣から働きかけていただきたいということを再度お願いしたいと思います。  さて、今日のHACCP支援法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。  これは、平成十年に法律ができまして何度かの延長をしておりますけれども、前回平成二十年に改正されております。これ、平成二十年に改正されて以降、まあこれは基本的には臨時措置法ですので、政策効果が上がればもう終わるという、そういった位置付けだと思いますけれども、いまだに続いているということは、なかなか政策効果がきちんと実現できていないということなのかなとも思っております。  前回平成二十年の改正による政策効果はどのぐらい上がったのか。そして、この融資実績なんかを見ますと、先ほど山田委員の資料にもありましたけれども、相当、融資件数も融資額も大変低水準にとどまっているのではないのかなと思っています。なぜなのか、この辺についての基本認識をお聞かせいただきたいと思います。
  134. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) この五年間の実績といいますか、それに関する御質問でございますが、五年前の数字というのは平成十八年の数字がございます。その際には、販売額が一億から五十億におけるHACCP導入率は一六%でございました。五年後、平成二十三年度の実績は二七%でございます。目標の五割ということを前回延長のときには答弁申し上げたわけでございますが、それには至っておりません。  その問題点、いろいろ、この国会に延長をお願いする際に、私どももヒアリングをしたりしております。HACCP導入における特に中小皆さん課題ですが、設備に多額の資金が必要だということはあるわけですが、そのほかにも、導入後の運用コストが大きい、従業員研修の余裕がない、指導できる人材がいないという人材面、ソフト面の理由を挙げておられる事業者が相当おられました。  そういうことも踏まえて、今回の延長に当たりましては、まず裾野を広げるということで高度化基盤整備、前段階取組を単独で融資対象にしながら、延長の期間も五年ではなく十年間をお願いし、今度は着実に、確実にこのHACCPの拡大が実現できるように努力していきたいと考えているところでございます。
  135. 舟山康江

    ○舟山康江君 ちょっと確認なんですけれども、この高度化基盤整備計画だけで終わってしまってもこれは問題ないんでしょうか。
  136. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) この高度化基盤整備の後に是非HACCP取組をしていただきたいと私ども考えております。したがいまして、高度化基盤整備でいいですからまずやってくださいということはなかなかこの法律の目的からして言えないわけでございますが、ただ、結果として、高度化基盤整備をやった後、最終的にHACCPまで十年間の間には至らなかったという場合にも、一定の政策効果が上がったものということで考えていく方が適切かと考えております。
  137. 舟山康江

    ○舟山康江君 その際に、その部分だけの計画でも融資対象というふうに一応この説明を見るとなっていますけれども、何かその次に、きちんとその次の段階でのHACCP導入ということの担保なり何か方向性なりがこの計画の中に必要なんでしょうか。
  138. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) 高度化基盤整備の申請を出していただくときに、将来はHACCPをやっぱり目指しますということは、意思表示はしていただきたいと思っております。ただ、結果としてそれまで至らなかった場合に何か罰則があるとか不利な扱いを受けると、そういうところまですると結局また二の足を踏む方々がいるということで、裾野を広げるというところまで行かないんじゃないかということで、まずはそういう意思表示をしていただいて、積極的に取り組む意欲を見せていただきたいということ、そういう指導をしようと考えているところでございます。
  139. 舟山康江

    ○舟山康江君 やはり法律を作ってある政策目的を達成、この法律というのはある政策目的を達成するために融資制度もつくって進めていくわけですから、やはりその目的がどこにあるのか、第一段目の高度化計画だけ、基盤整備だけでいいということにするのか、そうではなくてやはりHACCP導入ということに置くのかというところで、私はやはりその指導というか、これからの、何というんでしょうか、取組の方向というのは変わっていくんだと思います。そこは是非しっかりと詰めた上で取り組んでいただきたいなと思っています。  そういう中で、この高度化計画認定というのが融資を受ける際の前提条件になっておりますけれども、この計画の認定に際しては、指定認定機関の審査を経て、そこでの承認を得て初めてこの事業に着手できるとなっておりますけれども、この指定認定機関というのはそれぞれの事業、その業種の中での事業者団体から選ばれていると。さっき二十二機関あると言っておりましたけれども、多分そのHACCP導入したい、こういったものをやりたいという事業者の中にはこういった事業者団体に加入していない方もおられるんではないかと思います。そういう人たちからの申請についてもそこの指定認定機関の審査を受ける必要があるのかどうか。そして、そういった場合には、事業者団体に加入していないという理由で不利になるという懸念はないんでしょうか。
  140. 針原寿朗

    政府参考人針原寿朗君) まず、HACCPのどのような具体的な取決めをするかというのは業界ごとにそれぞれ違った対応がありますので、その業界を代表する団体が認定団体になることにより、それぞれの加工の特性によって特色のあるHACCPの運営なり構えができるものと考えております。  しからば、その業界の未加入者が不利益に取り扱われることになっては、これはもう非常に問題でございますので、指定認定機関として認定する際には公平性というのは当然問われるわけでございます。  実際の運営におきまして、例えば炊飯協会という団体がございます。この日本炊飯協会は八十二件の認定を行っておりますが、会員外企業は二十五件ございます。また、日本給食サービス協会でございますが、これは何と二十二件のうち会員外が二十件ということで、会員内の方が少ない、ごく少ない、そういうようなことでございます。  この指定認定機関では、技術的知見を有する専門家を構成員とする認定審査会を設置して、その審査会による書類審査を行い、必要に応じて専門家が実地審査を行って認定の可否を決定するということでございます。これからもこのような公平性の確保というのは十分気を付けながら運営を図っていきたいと考えております。
  141. 舟山康江

    ○舟山康江君 先ほどの山田委員質問にもありましたけれども、この指定認定機関にはいわゆる天下りがいたりとか、やはり業界団体の中でのいわゆるなれ合いという存在も否定できない部分があるんではないかと思っております。  この認定に当たっての事例ではありませんけれども、私が以前地元事業者にお聞きしたところ、ある商品の表示を独自に考えて、消費者の利便性にこたえるように、消費者のニーズにこたえるようにと表示したその表示が業界団体からの指導で禁止をされたといった、そういう事例がありました。  具体名は申し上げませんけれども、例えばこういった形で、業界の内部の利益のために、個々の、何というんでしょう、取組を否定するかのような、そういう事例というのもこれは残念ながら存在するということ、これも頭に入れていただいて、是非、いわゆるなれ合いなりそういったことのないように、しっかりと公平性が保たれるように、そして何よりも、消費者のニーズなり事業者の利益になるようにきちんと対応していただきたいということを、再度この点に関してお願いしたいと思います。  そして、今回の法律は、いわゆるHACCPの支援のための後押しの措置ということでありますけれども、このHACCP支援というのと、その支援を受けてHACCP導入した場合の認証制度というのはこれ別物だということですよね。認証制度そのものはこれ厚生労働省の方で、食品衛生法の方でしょうか、そちらの方で規定されていると思いますけれども、またこの認証制度というのが非常に複雑でたくさんあります。国の認定である総合衛生管理製造過程承認制度というものもありますし、自治体ごとに様々な認証制度を持っている。そして、民間でもそういったものがあると。そういったもので、非常にこれHACCPが浸透しない理由一つはこの複雑さにあるんではないかとも思いますし、なかなか認知が進んでいないというところもあると思います。  そういう中で、この複数存在するそれぞれの認証制度というのはどのように役割分担をしているのか。そういう中で、もうどうせなら地域に任せていいではないかという議論もあると思います。あえて国の認定を定めている必要性というのはどこにあるのか。その二点について厚労省にお聞きしたいと思います。
  142. 新村和哉

    政府参考人新村和哉君) 厚生労働省といたしましては、基本的な食品安全性食品衛生法で保たれていると考えておりますが、国際的な潮流等もあり、より高度な衛生管理の普及を目指すという観点で、総合衛生管理製造過程の承認制度というものを食品衛生法の上で設けております。  この制度の場合は、実は食品衛生法に基づく製造基準によらずに業者は製造、加工できると、そういうメリットもあるものでございます。一方で、自治体の場合には地域食品製造業衛生管理向上や振興という観点からいろいろな仕組みがあると思いますし、民間の取組としても海外企業との取引という観点で必要とされるということもあり、それぞれ認証制度を運用しているという面があると聞いております。こういった自治体や民間の認証制度につきましても、HACCPが幅広い事業者に活用されて衛生管理向上が期待されると、そして食品安全の確保という点では望ましいものと考えております。  いずれにしましても、この制度の基としてHACCPの考え方を普及させていくということが大事だと考えておりますので、その分かりやすいガイドラインの周知、マニュアルの作成なども含めて、厚生労働省としても対応してまいりたいと考えております。
  143. 舟山康江

    ○舟山康江君 これ、それぞれの認証制度によって基準にばらつきはないんでしょうか。そこの統一というのは取れているんでしょうか。
  144. 新村和哉

    政府参考人新村和哉君) 詳細は承知しておりませんけれども、自治体の取組はそれぞれ自治体によって様々なものがあると思いますし、一つの自治体でも、レベルの高いものから比較的導入しやすいレベルのものまで幾つかの段階を設けているようなものもあると考えております。
  145. 舟山康江

    ○舟山康江君 これ、進めている厚生労働省が詳細を知らないというのは大問題ではないかと思います。どういう基準でそれぞれが、業界団体、自治体、どういうものを今持っているのか、今この日本に存在しているそのHACCPの認証制度が幾つあるのか、それはやはりきちんと認識する責任があるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  146. 新村和哉

    政府参考人新村和哉君) 申し訳ございません。自治体におけるHACCPのそれぞれの制度につきましては私どもも情報は得ております、ちょっと今手元に詳細な情報がないのでそのように申し上げましたけれども。  それから、民間の制度につきましても、ISOに基づく制度、これはHACCPだけではありませんけれども、そういった食品安全に関するマネジメントのプログラムを含めた制度というものが広がりつつありますので、その辺についてもしっかり今後とも情報収集して把握した上で対応を検討してまいりたいと思います。
  147. 舟山康江

    ○舟山康江君 このばらばらにたくさん認証制度があるという問題は、実は五年前の審議のときにも指摘をされているはずです。私はそのような記憶があります。そういう中で、やはりこの認証制度を普及するためにはやはり今何があるのか、そしてもし仮に自治体によってばらつきがあるとすれば、そこをどう統一的な基準を作っていくのか、このことも併せて取り組んでいかなければ、まさにこのHACCP認知度も低いままですし、メリットも実感できない、そうすれば取組も進まないという悪循環になっていくんだと思います。是非、この点をしっかりと、農水省、厚労省、連携をしてお願いをしたいと思います。  また、輸出促進の話が今日随分出ましたけれども、やはり農業、農村の現場にプラスにならなければ私は余り意味がないのかなと思うんですね。とりわけこれ農水省の支援措置としてこの制度を導入するわけですから、やはり地場のもの、国産のものをどうきちんと使って、そして安心、安全の食材を作ってそれを輸出していくかという、こういった観点での取組というのもなお一層進めていただくことをお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  148. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  食品製造過程管理高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  149. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会