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2013-05-23 第183回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年五月二十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十一日     辞任         補欠選任      小川 敏夫君     金子 恵美君      熊谷  大君     山田 俊男君      長谷川 岳君     大江 康弘君  五月二十二日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     川合 孝典君      小見山幸治君     松浦 大悟君      大江 康弘君     長谷川 岳君      平山 幸司君    はた ともこ君      舟山 康江君     平山  誠君  五月二十三日     辞任         補欠選任      金子 恵美君     江崎  孝君      松浦 大悟君     大河原雅子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中谷 智司君     理 事                 郡司  彰君                 徳永 エリ君                 野村 哲郎君                 長谷川 岳君     委 員                 一川 保夫君                 岩本  司君                 江崎  孝君                 大河原雅子君                 川合 孝典君                 岡田 直樹君                 加治屋義人君                 福岡 資麿君                 山田 俊男君                 白浜 一良君                 横山 信一君                 山田 太郎君                はた ともこ君                 紙  智子君                 平山  誠君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        農林水産大臣  加治屋義人君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       稲津  久君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        林野庁長官    沼田 正俊君        経済産業大臣官        房審議官     中西 宏典君        環境大臣官房審        議官       三好 信俊君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○森林間伐等実施促進に関する特別措置法  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付)     ─────────────
  2. 中谷智司

    委員長中谷智司君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、小川敏夫君、熊谷大君、小見山幸治君、平山幸司君、舟山康江さん及び小川勝也君が委員辞任され、その補欠として金子恵美さん、山田俊男君、松浦大悟君、はたともこさん、平山誠君及び川合孝典君が選任されました。     ─────────────
  3. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事長谷川岳君を指名いたします。     ─────────────
  5. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  森林間伐等実施促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、林野庁長官沼田正俊君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 森林間伐等実施促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 一川保夫

    一川保夫君 民主党・新緑風会の一川でございます。  今回、法律一部改正の、俗に言う間伐特別措置法の一部改正に関する法律案に関して質問をさせていただきたいと思っております。  農林水産大臣、この二十五年度予算説明された五月九日ですかね、そのときにも、戦後に造成された約一千万ヘクタールの人工林資源として本格的に利用可能な時期を迎えておりますというようなことを冒頭にもお話されております。私自身も森林地帯に生活している人間でございますけれども、この国産材の今後の需給関係をどういうふうにとらまえて、それを森林関係者にしっかりと啓蒙していくかということが大変重要な問題であるというふうに思います。  私たちも、特に民有林中心とした地域方々といろんなお話をさせていただいても、現実問題、いろんなこういった木材価格低迷が長期化している中では所得に今すぐ跳ね返ってくるということが非常に少ないわけでございまして、そういう中で、この森林をしっかりと管理してもらうためにどういう説明をしたらいいかということは、地元地域でいろんな説明をされている森林組合の職員を始め、各市町村方々も含めてなかなか納得できるような説明をしていくというのが非常に難しい状況にあるというふうに私は思っております。  そういう中で、じゃ、現状の森林資源というものがこのままの状態で推移していった場合、もうあと数年間もすれば俗に言う高齢級森林資源というのが全体の六割を占めるというようなデータもございますけれども、じゃ、そういったものをどうやって利活用するかということが、ある程度見通しを持っておらないとなかなか収益所得につながっていかない。  そういうことと併せて、我が国森林資源をやはり更新しながら管理していくということでございますから、そういうことに対しても大変重要になってくるわけでございますけれども農林水産大臣としては、こういった基本的なこれからの我が国国産材利活用についての考え方をどのように認識し、どのような考え方を持っているかというところを確認したいわけでございますけれども、我々、政権当時も、森林林業基本計画というものを定めながら、国産材利用率自給率を五〇%の目標を掲げて、そういったところに持っていこうというような考え方も持っていたわけでございますけれども林大臣、その辺りのお考えをまずお聞かせ願いたいと、そのように思います。
  9. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 一川先生、お地元では大変、森林中心的な活躍をしていらっしゃるというふうに私も承知をしておりますが、実は私も地元森林組合の下っ端の一メンバーでございますが、メンバーでございます。名前が林だからということではなくて、しっかりとこの問題取り組んでいかなければならないと思っておりますが、おっしゃるとおり、近年、戦後造成された森林資源が本格的に利用可能な段階を迎えていると。  イメージが湧きやすいようにということで例えて言いますと、百メートル四方のところに一年で増える森林を積み上げていきますと、大体スカイツリー十六個分の高さになると。それぐらいはもう使っていけるし、使っていかないとその分がどんどん古くなっていくと。今先生がおっしゃったとおりでございまして、いろんな意味森林資源利活用していくということは、国土の保全地球温暖化の防止など森林多面的機能持続的発揮、それから山村地域雇用創出、こういうことのために非常に重要だと思っております。  したがって、まず、公共建築物木造化木材加工施設整備に対する支援、それから木材用途拡大のための技術開発、それから普及のための支援、そして木質バイオマス利用施設整備に対する支援、それからさらに今度新しく入りました木材利用ポイント制度実施と、こういうことをやってきておるところでございます。  公共建築物等木材利用促進法というのがございますが、これに基づきまして市町村木材利用方針を作ってもらうように働きかけること、そして木づかい運動等を通じた地域材利用促進に関する情報発信各種支援、こういうものにも併せて取り組んでおるところでございまして、一時一八%まで下がりました国産の比率が今二六ぐらいまで上がってきておりますので、更にこの国産材需要拡大に向けた施策を積極的に展開してまいりたいと思っておるところでございます。
  10. 一川保夫

    一川保夫君 基本的なお考えは理解いたしましたけれども国産材のこういった利活用の問題というのは、当然、今のお話のように、需要の喚起という面はある面では物すごく重要なことでございますし、一方では、それに対応しての供給体制をしっかりと整えていくということも非常に重要なことでございます。そのための施策も、この間伐関係のいろんな施策の中でも、路網整備だとかいろんな機械の導入等々を考えながらいろいろと取り組んできたことは現実、事実でございますし、今後、先ほどのお話のように、もう適期を迎えるような、そういう我が国産の木材をある程度安定的に供給するような体制をつくっていくということも非常に重要な課題であろうというふうに思います。  さて、今回、一部改正法律と言われている間伐特別措置法というこの法律平成二十年に制定された法律なんですけれども、私が現地でいろんな人たちお話を聞いても、この法律そのものに対する認識というのが非常に薄いような感じがするんです。これの法律に基づくいろんな実績データを見させてもらっても、ちょっとばらつきがあるんじゃないかなという感じがするわけですけれども、県によっては、相当いろんな面でこの法律に基づいた交付金制度だとか地方債制度活用しているところもありますけれども、余り活用していないところもあるわけでございまして、今の間伐特別措置法というこの法律、五年経過したわけでございますが、これがどれだけ地域にうまく活用されたかということに対しての認識というのはどのように考えていらっしゃいますか。それ、どなたでも結構ですけれども、何か御答弁いただければ有り難いと思いますが。
  11. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) 間伐特別措置法平成二十年に成立させていただきまして、それから五年間、いわゆる京都議定書の第一約束期間でございますけれども、こういった中で森林吸収量目標、全体の六%のうちの三・八でございますけれども、それを達成するために間伐年平均五十五万ヘクタールということで取り組まさせていただきました。  間伐特別措置法各種支援措置もございまして、平成二十年から、実績は二十三年までしか今ございませんけれども、二十四年もほぼ大丈夫だと思っておりますが、間伐も五十五万ヘクタール達成する見込みだろうというふうに思っておりまして、そういった意味で、この法律に基づく支援措置の結果、きちんとした成果が生じてきているのではないかなというふうに思っているところでございます。
  12. 一川保夫

    一川保夫君 今の御答弁は、間伐に対するトータルとしてのそういう現場での対応の数字というのはほぼそういうものだと思いますし、それはそれで理解できますけれども、この制度そのもの活用しての間伐のそういう対応というのは、私は非常にまだばらつきがあったというふうに思います。それは間伐に関する林野庁サイドのいろんな施策なり、またいろんな基金とかいったものが創設されながら、相当予算のいろんな枠としては充実してきたことは事実だと思うんです。  そういう中にあって、今ほど五十五万ヘクタールというような話もありましたけれども、一方においては、この法律そのもの活用というのは十分なされたのかどうかというところがちょっと気になるわけですけれども、そこは一つ課題としてまたこれから対応していけばいいと思いますけれども、ちゃんとしたその指導が、市町村等に対する指導が徹底していなかったんではないかなというちょっと心配をするものですから、そこのところはまた十分今後の課題として取り組んでいただきたいなというふうに思っております。  それから、今、木材価格の問題が長期的に低迷状態にあるのは御案内のとおりです。本当に、山を持っていらっしゃる森林所有者にとってはなかなかこれが収益につながらないということがずっと続いてきているわけでございますけれども、今日TPPの話題がいろいろとありますけれども、昭和三十九年当時、木材が自由化した折に、当時はまだまだ国産材に対する需要が非常に大きかったわけです。そういう中で、そういう十分な対策を取らなくても関係者は余りそう大きな異論はなかったのかもしれませんけれども、しかしその後、我が国国産材のそういう価格低迷というのがずっと続いてきているわけでございまして、そういう中では、今日我が国森林が一部荒廃しつつあるというのはそういうことに原因しているというふうに思いますので、この木材価格をこれからできるだけ上昇させるということも一つの大きなこれからの政治の世界での課題であるというふうに私は思っております。  先日、郡司さんの質問のときに、副大臣に対して質問をされたときに、副大臣も相当力強い御答弁をされていたと思います。要するに、こういう問題は与野党を超えてしっかりとした問題意識を持って長期的に取り組んでいく政策課題だというふうに私も思いますし、そういう面では副大臣考え方は全くそのとおりでございますし、これからの問題点としては、間伐促進した暁にはますます価格下落するんじゃないかという、そういう素朴なちょっと心配もあるわけです。  そういうことも含めて、この木材価格ということについて副大臣としてはどういうお考えをお持ちなのか、そこのところを御答弁願いたいと思いますけれども
  13. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 国産材丸太価格は、今お話しのとおりでございまして、昨年初めから下落傾向が見られました。昨年七月以降に緩やかな上昇傾向にありまして、今安定的に推移しているのではないかと考えております。  お話しのとおり、昨年の丸太価格下落背景ですが、木造住宅着工数は増加しているんですね。これは、被災地中心であったことであります。一方では、大手ハウスメーカーに比べますと国産材を比較的多用する大工さん、工務店の受注が順調ではなかったこと等による影響があると考えております。  このような状況を踏まえまして、農林水産省では、需要に応じた生産体制を構築するために、一つには供給側需要側情報交換の場の設定、それから二つ目には原木需給情報の共有・発信システム整備等を今進めているところでございます。  現在、最近の円安傾向背景に、外材に対する国産材価格面での競争力は高まってきておりますが、国産材がこれまでの外材需要に代わって需要を拡大していくためには、国産材安定供給体制整備が不可欠と考えております。  間伐については、利用できない小径木について、必ずしも搬出を要しないとの柔軟な対応を取っているところでございます。  さらに、国としましては、一つには公共建築物木造化木材加工施設整備に対する支援二つには木材用途拡大のための技術開発普及のための支援三つ目には木質バイオマス利用施設整備に対する支援、さらに、木材利用ポイント制度実施等措置を今講じているところでございます。これらの施策を通じて国産材需要を拡大し、木材価格の安定に努めていかなければいけないと、そういう考えでございます。
  14. 一川保夫

    一川保夫君 いろいろと幅広くいろんなことに今チャレンジしようとしているということは理解できましたけれども、基本的にはこの木材価格というものが余り低迷するような、そういうことがいろいろと報道されたり何かした場合に、先ほど言いましたように、森林所有者等にとっては非常に先行きが何となく暗くなってくるようなところもあり、意欲に影響するわけでございますので、我々も、当時も与野党一致して国産材公共建築物等利活用するという法律まで用意してきたわけでございます。  私も、実は昨日午後、石川県にある石川森林管理署というのがございますけれども、あそこへちょっと立ち寄ったときに、数年前にあの建物を造ったときに、木造建物でああいう国の出先機関建物を造っておりました。今回は数年ぶりに行ったわけでございますけれども、非常にやっぱり、ああいう役所の出先機関木造のものがあるということは非常に安心できる状態でございますし、特にそういう森林にかかわる部署ですから大いにああいうことを積極的に多用したらいいと思うし、また、庁舎の中の机なんかでもみんな木製のものを使っておりました。  これは、ある面では非常にぜいたくだなという感じもするわけですが、まあ非常にいいことであることは間違いないというふうに思いますので、農林水産省のいろんな建物たくさん全国にあると思いますが、これから増改築される折には、もう積極的に農林省が先頭を切ってそういうことを実施されたらどうかなということすら考えるわけでございますので、今、学校なんかでも、骨組みというか躯体は鉄筋コンクリートであろうと思いますけれども内装は木材を使うというケースも徐々に今増えてきておりますので、やはり大いに、その法律趣旨等に照らし合わせて、国産材を特に建築等活用するということが非常に大事ではないかなというふうに思いますし、一方では、民間の住宅なんかでも、私はやはり実際に住宅を設計する設計者とかそういうレベルの皆さん方にしっかりと啓蒙しておくということも一方では非常に重要なことだと。設計事務所なりコンサルタントなり、そういったところに、やはりこういう国産材活用というのは、これからの日本の将来にとって地域の活力を維持するためにも重要だということを理解させるということが非常に重要だと思うんです。大工さんとかそういう建築段階においてどれだけ啓蒙しても、もう図面ができ上がっておればどうしようもないわけでございますので、そういう面では、その前段でしっかりと啓蒙することが重要ではないかなというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それで、これからの計画的な山の管理をしていく上でなかなか間伐なり山の伐採が計画的に進まないというのは、先ほど言ったようないろんな問題を抱えているわけですけれども、それを放置すれば当然若い木も育ってこないわけですから、いろんな吸収森林に対する吸収量というものも当然低下してくるわけでございますので、これからやはり山の木を切る、そういうことに対する助成とか、あるいは再造林するためのいろんな支援策といったようなことも、その地域によって大分ちょっと特色があろうと思いますけれども、雪のたくさん降るところ、降らないところ、いろいろな差があると思いますけれども、そういうことに対するきめ細かな支援策というのは当然必要になってくるというふうに思いますけれども、その辺り農林省としてはどういう考え方で取り組んでいかれるか、お聞かせ願いたいと思います。
  15. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) 森林整備関係のいわゆる各種支援措置でございますけれども、私どもとしても、地域実情に応じた形でいろいろな支援制度というものを御用意させていただいているところでございます。  通常の、例えば造林でありますとか下草刈り間伐と、そういったところについても補助対象でもございますし、いわゆる間伐から更に、更新伐と申しますけれども、いろんな多様な森づくりを推進するという観点での、ある一定の小面積の伐採についても補助支援対象にさせていただいているところでございますので、そういったいろんな支援事業を使いながら、地域実情に応じた森林整備保全というものが図られるように私どもとしても取り組まさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  16. 一川保夫

    一川保夫君 それから、先ほど副大臣答弁の中に、いろんなこれから国産材利活用するという一つの中に、木質バイオマス利用促進のような話題一つありました。私もこのことはある面では非常に重要な問題だというふうに思いますので、間伐材でも利用されないまま放置されているケースというのは当然、それはある程度コスト面でわざとそうしているという面もあるわけですけれども、ある面では相当のボリュームですから、こういったものをうまく利活用しなきゃならぬというふうに私は思います。  それは、これからバイオマスのいろんな問題、課題を乗り切っていくためにも、この木質バイオマス発電施設での活用とか、こういうことも含めてもっと農水省としては積極的に対応した方がよろしいんじゃないかなというふうに思いますけれども、この辺りに対するもうちょっと具体的な取組方針ということをお聞かせ願いたいと思いますけれども
  17. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) お答え申し上げます。  我が国におきましては、マーケット、市場への国産材供給量丸太換算にしますと千九百万立方メートルというものがございますけれども、実は、間伐材等木質バイオマスでございますけれども運搬コストが高いとかいろんな問題がございまして、実は年間二千万立方ほどが森林の中、林地の中にそのまま放置されているという状況にあると思っております。  そういった意味で、木質バイオマスのいろんな利活用を進めていくということは、林業活性化雇用創出、あるいはエネルギーの安定供給と、こういった面から極めて重要な取組というふうに考えているところでございまして、私どもといたしましては、平成二十四年度の補正予算でございますが、木質バイオマス発電に関しまして、燃料調達のための合意形成をそれぞれの地域で図る必要があるんだろうと思っておりますが、そういった意味での地域協議会というものに対しまして、山元からの木材供給から木質バイオマス関連施設までのトータルな支援を行う、あるいは、木質バイオマス発電事業者の初期の段階の負担、いわゆる発電施設整備というものでございますが、これにかかわる資金を融通する、こういった形、あるいは、木質バイオマスでも発電だけじゃなくて熱供給というものもございますので、そういったボイラーでありますとかチップ、ペレットの製造施設整備に対して支援すると、こういったものを支援させていただいているところでもございますし、二十五年度予算でもいろんな技術開発関係サポート体制整備予算措置させていただいております。  私どもとしても、こういったいろんな支援メニュー、用意させていただいておりますので、そういったものを是非活用していただいて、木質バイオマス利活用というものがもっともっと積極的に進むということを私どもとしても大いに期待させていただいているところでございます。
  18. 一川保夫

    一川保夫君 今の木質バイオマスに対するいろんな支援策というのは非常に重要になってくるというふうに私も思いますので、積極的な対応をお願いするわけでございますが、それと併せまして、やはりこういう木質バイオマスにかかわるような作業にかかわる、そういう森林関係者所得につながる対応をしていただかないと意味がなくなってくる可能性もありますので、いろんな木材のそういったチップの生産なり、あるいは供給する場合、その林業関係者所得につながるというようなことをも含めて、大変、私はある面では森林地帯のそういう地域の経済に対する効果も相当大きいものが考えられますので、是非積極的な対応をお願いしたいというふうに思います。  このことに関連して、これ、ちょっと大臣に基本的にお伺いするわけですけれども山村地域の私は重要な雇用の場として、この高齢化社会にあってはなおさら、山間地域に、高齢化率が相当高くなってきておりますけれども、高齢者をできるだけ林業なり森林管理の分野で活用していくということを、私は、これはもう政府としても一つの大きな柱として取り組んでいくべき課題ではないかなというふうに思っております。  今、定年退職した方々でももう元気な人がたくさんおりますし、そういう人たちを、むしろ仕事を辞めた後、自分の山なり森林に入っていろいろと管理しようとする意気込みを持っている人も増えてきたような感じもいたしますし、そういう面では、逆に、高齢者をこういう森林林業の場で雇用していくというようなことをむしろ積極的に考えた方がよろしいんじゃないかなというふうに思いますけれども、そういったところに対する基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  19. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 緑の雇用事業というのがございまして、従来から人材確保をこの分野で図ってきたところでございます。  一般の会社員など、余り林業に今まで縁のなかったような方々が転職する場合も含めて、新規就業を促進もしてきておるところでございますし、また、今委員からお話がありました定年退職された方など、高齢者の方ですね、災害の発生リスク、いろいろ危険なこともありますから、これが少し高いということで安全面など配慮が必要であるということで、地域において、里山や里林というんですけれども、等の森林保全管理とか、未利用材の利用活動、それから森林環境教育等の、いわゆる木を切ることそのものに加えてこういう山村の活性化に資する活動、こういうものに参画をいただくということが考えられるんではないかというふうに思っておりまして、二十五年度は三十億円の予算を確保いたしましたが、この山村地域の住民等が主体となって行う森林保全管理森林資源利活用、こういう活動を支援する森林・山村多面的機能発揮対策、こういうことや、それからまた、森づくり活動等を行うNPO、ボランティア団体、こういうものを支援する事業、こういうのを活用して、やはり高齢者の方もせっかく戻ってきてやろうと、元気な方も多いんで切ってもらったっていいと思うんですけれども、それだけにとどまらず幅広く林野にかかわっていただく、こういう取組についても支援していきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  20. 一川保夫

    一川保夫君 我が国のこれからの森林林業の分野でのいろんな人材対策ということは非常に重要な課題であるということは以前から言われているわけでございますけれども、今大臣お話されましたことのほかに、今回、大臣予算説明の中にも林業の就業前の青年に対する給付金の創設等についても考えていきたいというような言い方もございました。  こういう人材を確保し、また育成していくということが重要な課題であることは間違いないわけでございますけれども、一方では、本当に小さい、若いときから森林のいろんな現場に、現場といいますか、森林地帯に入っていろいろと教育していくという場も非常に大事ではないかなというふうに思っております。これは、義務教育段階でも、あるいは農林・農業高校的なところ、あるいは大学、農学部等では一種の演習林的なものも抱えておるところがありますけれども、義務教育の段階なんかでも、やはり平地部の海岸近くのそういう児童等に対しても、極力やはり森林地帯に出入りしていただいてのいろんな教育というのは私はあっていいと思いますけれども、そういったことは文部科学省とのいろんな連携の中で対応するしかないと思いますが、そういうことも含めた幅広い施策というのは大事ではないかなと思いますけれども、何か所見がありましたら聞かせていただきたいと思いますけれども
  21. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) ただいま先生からお話があったわけでございますけれども、例えば小学校、中学校、高校でございますけれども、全国約三千ほどでございますが、学校林というものを持っております。そういった学校林の中では、子供たちだけではなくて保護者も含めて、森林林業体験活動の場として活用されているというふうに承知しているところでございますし、また、全国の大学でもいわゆる演習林というものがございまして、こういった学校林や演習林を活用した教育の推進というのは、将来の林業の担い手の確保にとっても極めて大切なことというふうに思っております。  私どもとしても、そういった活動を支援する意味でも、例えば地域森林管理局や地方自治体が連携しまして「学校林・遊々の森」全国子どもサミット、こういったものも毎年開催させていただいているところでございまして、学校林の活動を広げるべく努力させていただいているところでございます。  先ほど先生からお話がございましたように、二十五年度予算におきましては、林業大学校等において林業への就業に必要な知識習得を行う青年に対して給付金を給付する事業というものも始めさせていただいておりますし、いろいろな意味での将来の林業の担い手をつくっていく努力を私どもとしても重ねていきたいというふうに考えているところでございます。
  22. 一川保夫

    一川保夫君 次に、これは大臣にお聞きしたらいいと思いますけれども森林組合という組織がございます。私もこういった地元の組合の役員の一員を務めさせていただいておりますけれども、この森林組合という組織は今日のこの時代しっかりともう一回見直しを掛けて、こういった組織を私はうまく利活用する中で支援した方がよろしいんじゃないかなというふうに思っております。  といいますのは、山村地域というのは、御案内のとおり、もう過疎化現象が進み、高齢化率が非常に高いわけですよ。そういう中で、日本の人口全体が減ってきておりますけれども、そういう地域が、ますますそういう活力をなくしつつある地域が多いわけです。私は、そういったところの民有林をこれから善良に管理するためには、やはり森林組合という組織をうまく活用して、やはり森林所有者が、じゃ、森林組合に自分の山はちゃんと管理を委託しようというような体制にもっともっと持ち込んだらいいと思うんです。  そういう中で、先ほどのいろんな雇用の場の創出とか、そういうことも含めて森林組合中心に新しい施策にチャレンジした方が私はよろしいんじゃないかと思いますけれども、その森林組合というもののこれからの役割とか、森林組合に対するそういう支援策ということについて大臣は基本的にどういうお考えをお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  23. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 冒頭申し上げましたように、私も地元森林組合の一員でもございますので、この組合の重要性というのは認識しておるつもりでございますが、今先生がおっしゃっていただきましたように、山村において過疎化、高齢化が進んでいると。振興山村ということで見ましても、六十五歳人口がもう既に三一%、人口は昭和四十年の六百七十四万から、これ平成十七年でございますが四百三十二万まで減ってきていると、こういう状況でございますので、やはり森林組合がまさに中心になって地域森林施業の集約化とか森林管理、またもう集落の元気そのものも引っ張っていってもらわなければならないと、こういうふうに思っております。  先生の御地元のかが森林組合においては、これは注目すべきやり方だと思いますが、集落を代表する組合員がそれぞれの集落の森林所有者を取りまとめるといった林産組合長制度、こういうものをやっていただいていろんな集約化を進めていただいているというふうにも聞いておりますので、こういういろんな取組、これを支援をしていくために、まず森林の現況調査、それから境界確認、こういう活動をしていただいておりますので、これに対する助成をする。  それからまた、集約化に向けた合意形成、まさに先ほどのお地元の組合のような取組だと思いますが、その合意形成をしてもらわなきゃいけませんので、そういう中核を担う森林施業プランナー、こういう方々を育成していく森林施業プランナー実践力向上対策事業ということで、二十五年度、この予算では一億八千万ほど計上しておりますが、それから間伐や道づくり、これを効率的に行える技能者の育成、こういったことをやっておるわけでございます。  こういう支援策活用しながら、この森林施業の集約化、森林管理中心になってやっていただく森林組合を今後とも積極的に支援してまいりたいと思っておるところでございます。
  24. 一川保夫

    一川保夫君 是非、そういう基本的な方針で臨んでいただきたいというふうに思っております。  そこで、最後、最後というか、私の方で国有林野の事業についてちょっと大臣に確認しておきたいわけでございますけれども、先般、衆議院の農水委員会でもこの話題が出たというふうに聞いております。  そういう中で、この国有林野事業の今ちょうど新年度入ってから一つの過渡期にあるわけでございますけれども、国有林野事業は特別会計から一般会計へ移行になってきているという中で、その国有林野事業に携わっている職員のこれからの組織なり定員の在り方等も含めて、また処遇の問題も含めていろんな課題を抱えているというふうにお聞きしております。  先般、衆議院の農水委員会において質問が出た折に、大臣の方からも、職員がしっかりとやる気を持って働いていける環境の整備が必要だというようなお答えをされております。  じゃ、このことについてこれから具体的に、環境整備に向けた具体的な対応策としてはどういうことを考えているのかというところを、現段階でもし話ができれば、そこのところをちょっと説明していただければ有り難いと思っております。
  25. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 四月の四日だったと思いますが、衆議院の農林水産委員会で民主党の大串先生から御質問いただいて、今お話のあったところのやり取りをさせていただきました。  国有林野事業、この四月の一般会計への移行で公益重視の管理経営をより一層推進するということと、それから人材育成を始めとした民有林への指導、サポートなど我が国森林林業の再生に貢献していく必要があると、こういうふうに思っておりますが、この移行に際しましては、関係府省等と適切に連携をいたしまして、職責に応じた級別定数、それから勤務環境を踏まえた特殊勤務手当等の措置を講ずるということ、そして、平成二十五年度予算においても一人当たりの給与関係予算、これは昨年度と同水準を維持するということをさせていただいたところでございます。  また、従来、労働協約、これは協約締結権があったということでございますから、ここによって規律されていた職員の労働安全、例えば振動機械を操作をされます、こういう操作時間を含めた労働安全については、今度は通知という形でさせていただくということで必要な通知を発出を既にしておりますが、そういうことを通じて職員の勤務条件を整備をしたところでございます。  今触れていただきましたように、やはり現場の方が元気でしっかりと重要な役割を果たしていただくと、そのことがやはり国民等からも、関係者から評価をされるといういい循環をつくってもらえるような職場づくり、こういう職場づくりに向けた環境整備を今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  26. 一川保夫

    一川保夫君 今回、一般会計の方に移行したという一つの中には、やはりこれから国有林野事業に携わってきた皆さん方のいろんな経験を生かしながら、民有林等への指導なり支援、そういったことも含めて一体的な管理というのは非常に重要な時代でございますので、是非そういったことについて大臣の方からも皆さん方が安心して働けるような環境づくりになお一層御努力をお願いしたいというふうに思います。  では、最後にちょっと大臣にお聞きするわけでございますけれども、先日の報道でも安倍内閣として農林水産業・地域の活力創造本部といったものを設置したというような報道がございました。こういう本部を設置して、これからいろんな施策を打ち出すのであろうというふうに思いますけれども、特にこういう中で、この森林なり林業なりということについてこの本部の中でどういったところに重点を置いて取り組もうとしているのか、大臣の方からお答えを願いたいと思いますけれども
  27. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 五月の二十一日、おとついの火曜日でございますが、総理を本部長、それから官房長官と私を副本部長、それから関係閣僚、これをメンバーとした農林水産業・地域の活力創造本部、これを同日の閣議で設置をいたしまして、閣議後、第一回会合を開催させていただいたところでございます。  農林水産業、地域が厳しい状況にある中で、産業政策ということと、それからもう一つ地域政策ということで、今日大変いろんな御議論もいただきましたが、この両面から農林水産業、それから農山漁村地域の活力の向上を図るための政策、この方向性についてやはり政府一体となって検討を行うために設置をいたしました。  今日の御議論でも、例えば公共建築物に木を使ってもらうということになれば、国交省ですとか、学校をやっている文科省ですとか、そういうところとも連携を図っていかなければなりません。  したがって、こういう政府一体となって検討を行う場をつくって、今日の御議論でもいろいろありましたように、現場の声というのをきちっと聞いて、農林水産業・地域の活力創造プランとしてまとめ上げていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  28. 一川保夫

    一川保夫君 今日、今のTPPの話題等が飛び交っている時期でもございますし、ある面では山村地域、農村地域はこれからの将来に向けて大変不安感が漂っております。  そういう中で、特に山村地域は先ほど来の議論のように高齢化が激しいと。いろんな面で条件不利地域でございますので、そういう中にあって日本の国土の相当の面積をカバーしていることは間違いないわけでございますし、国土保全の観点からも、またいろんな地域活性化という面からも、また環境面からも重要な地域であることは間違いないわけでございますので、現場の声をしっかりと受け止めて、間違いのないそういう方向で政策を展開していただきたいと思いますし、我々もこの委員会の場でしっかりと監視させていただきたいと、そのように思います。  以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  29. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  林大臣を始め政務三役の皆さん方には、農林水産業の振興に大変な御尽力をいただいておりますことをまずもって敬意を表したいと思います。特に、大臣は週末ごとにと言っていいほど各地に出向かれまして、農業や林業、水産業の現場を御覧いただき、そしてなおかつ意見交換をされたりということを伺っておりまして、大変そのことで政策に現場の声を反映していただいておりますことにつきましても心からの敬意を表したいと思います。  本日、森林間伐等実施促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、大変長い名称でありますが、この審議となっておりますけれども、法制度の当初の目的でありました地球温暖化防止のために二酸化炭素の森林吸収源対策として健全な森林を育成していくことについては大変重要な法案だというふうに思ってございますが、ただ、先ほど一川委員からもありましたように、この五年間を振り返ってみますと、いろんなまた問題もあるのではないかなというふうに思いますので、そのことを中心に御質問をさせていただきたいと思います。  この法案の趣旨につきましては、一昨日、林大臣の方から御説明がございました。今日は、私の郷土の大先輩であります加治屋副大臣にまず冒頭御質問をさせていただきたいと思います。  加治屋副大臣は、鹿児島県というよりも副大臣として日本の林業の振興に、あるいはまた山村の振興について大変御貢献をいただいております。また、私もいろんな御指導を賜ってきたところでありますが、ここでちょっと加治屋先生、加治屋副大臣のことに触れたいと思うんですが、市議、県議、そして国会議員と長い長い政治活動の中で、加治屋副大臣の政治信条は、まさしく甲子園球児でありましたので、直球勝負というのが政治信条でありました。真っすぐなお人柄でありますし、そのことを信条として今までずっと活動をされておられます。  したがいまして、今期で勇退されるというのは非常に私ども残念なことでありますけれども、今後、私ども残された政治家にとって、あるいはまた、これからの山林あるいはまた山村の振興について加治屋副大臣の思いがございましたならば、率直に私どもにそのことを求め、そしてまたそのことを御期待をいただければというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
  30. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) ありがとうございます。野村委員には、いろいろな場で森林林業について御提案とか御意見をいただいておりますことにお礼を申し上げたいと思っております。  戦後造成された森林資源、これが本格的に利用可能な段階を迎えている中で、森林資源活用我が国林業を振興していくことは、森林多面的機能持続的発揮山村地域の振興を図る上で最も重要だと考えております。このために、今後とも森林林業の再生、林業の成長産業化の実現に向けて、地域実情を踏まえながら、関係予算の確保に努めつつ、川上から川下に至る施策を総合的に推進していく必要があると思っております。  私の考え方をということでありますが、少々遠慮しながら直球で申し上げたいと思っておりますけれども、皆さんに真剣に議論をしていただいている農業の振興の問題、あるいは水産業振興の問題、これの原点は山にありと私は考えております。  一つには、今後はやはり山を増やしていく、すなわち現在の森林を維持するだけでなくて積極的に造林を進めていくことが今後大変大切だと、このことを思います。二つ目には、先般も申し上げましたけれども、環境税についてもしっかり議論するときではないかと、将来に向けて森林林業政策のための必要な予算を安定的に確保することが大切だと。三つ目に思いますのが、これは一川先生からもお話ありましたけれども地域森林施業の集約化や森林管理の推進に取り組む森林組合、事業体、この経営体質の強化やこれらに対する支援を図っていくことが最も大切だと思っております。  それから、少し余談になりますけれども一つ申し上げたいことがあります。  先般、宮城県で、全国、地方銀行の頭取さんたち、六十四行の頭取さんがみんなお集まりになって、森を守るサミットというのが開かれました。ここでその頭取さんたちが決議をされましたのが、各それぞれの地域で森をしっかり守っていこうよねと、そういう決議もなされました。私はその席で、もちろんお礼の挨拶もいたしました。お願いを一つさせていただきました。これは、一川先生お話しのとおり、国産材利用をどうするかということです。  我が国国産技術というのは、耐震性にしても耐火性にしても建築技術も、もう既に完成されたようなレベルにあるわけでして、頭取さんたちに、あなたたちの銀行を造るときには全て木材で造ってほしいと、そのお願いもさせていただきました。うなずいておられましたけれども、まだ注文待っているんですけれども、まだいただいておりません。これから期待をしたいと考えております。  以上でございます。
  31. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 長年、本当に政治活動の中でも山を愛し、山を守ってこられた加治屋副大臣の大変含蓄のある、また示唆に富んだお話をいただきました。本当にありがとうございました。  それで、早速法案の中身の審議をさせていただきたいと思いますが、これも先ほど一川委員の方からもありました。今回の法案の内容は、平成二十年、私もこの場で五年前もおりましたので、この法案ができるときの審議にも参加をさせていただきました。  それで、この特別措置法が三十二年まで今回は延長するというのが一つ、それからもう一つは、新たな種苗の母樹の増殖に関する支援措置を拡充するというのが大きな柱になっていると思うんですが。  当時三十五万ヘクタールの間伐を、この京都議定書の期間内で約束を、六%を、その吸収源対策として三・八%吸収源対策としてやるには、どうしても二十万ヘクタールを上乗せして五十五万ヘクタールの間伐を毎年やるんだということでのこの法案の目的だったというふうに思っております。そこで、その二十万ヘクタールの追加する起爆剤といいますか、誘導策として、市町村への交付金の交付、それから地方債の起債の特例措置、こういうのが設けられたというふうに理解をいたしております。  これも一川先生の方からありましたように、全国見てみますと大変なばらつきがあるというふうに思ってございます。特に、この起債が百七十億だというふうに伺っておりますけれども、ちょっとびっくりしたんですが、大臣の山口県、副大臣の鹿児島県、もう一人の副大臣の江藤副大臣の宮崎県、そしてなおかつ長島政務官の新潟県、起債ゼロであります。起債ゼロであります。ただ、稲津政務官のところは、これは七十五億。百七十億の中の七十五億ですから四四%。ほとんど稲津政務官のところを支援するための法案ではないのかなという大変気がして、ここは北海道の皆さんが大変多い委員会でありますので、北海道が悪いとは言いませんが、非常に偏っておりますので、そのことは大臣は御存じでしたか、山口県がゼロだったということは。
  32. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変不勉強で申し訳なかったです。今御指摘をいただいて、一部の都府県で特例措置活用していないと、こういうことなので、ああ、道は活用しているんだなということは分かっていたんですが、山口県については、まあいろんなほかの交付金等々も使ってしっかりやっているのかなというふうに思っておりますが、起債の特例ももし利用するニーズがあれば、しっかりと地元に帰った折にでも聞いてみたいと思っておるところでございます。
  33. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今のはちょっと余談でありますけれども、ただ、偶然と言えば偶然なんですけれども、三役のところがほとんど起債ゼロというのが、後でこれは長官の方にその原因をお伺いしたいと思っているんですが。  これは、交付金もそうでありますけれども、これのまず特措法の支援要件であります特定間伐促進計画の策定状況でいきますと、七〇%なんですね。ちょうど私の鹿児島県も七〇%なので、いろいろ調べてみますと、やはり杉とヒノキが対象になっているものですから、私どもの鹿児島は離島を抱えておりますと、離島には杉、ヒノキがありません。よって花粉症もありません。ですから、花粉症のひどい方は是非離島にお越しいただければ非常に安心して暮らせるんじゃないかと思いますが。  要は、こういう対象が制限されているということが一つあります。ただ、全国的に見て本当に、離島を抱えた私どもみたいなところだけとは限っておりませんが、七〇%が高いのか低いのか、そこのところがどういうような評価をされているのか。ただ、五十五万ヘクタールというのは毎年順調に計画どおり来ておりますので、そういう意味では効果は、相当成果は上がっているというふうに思っているんですが。これからの五年間、こういった、一川委員と同じように申し上げたいんですけれども、全国でこんなにもばらつきがある中で、今後またこの法案を延長してどういうような取組をされていくのか。  その前に、先ほど言いました起債等の発行がこんなにも各県によってばらばらだ、その原因は何だというふうに長官はお考えでしょうか。特に、長官も、申し添えておきますけれども、鹿児島出身でありますので鹿児島のこともよく御存じで、何でこんなに起債発行がないのかなというの不思議でならないんですが、どうぞお答えいただきたいと思います。
  34. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) 私も鹿児島なんでございますけれども、鹿児島県、実は二十四年度でございますが、起債を若干でございますけれども発行したということでございまして、要は、いろんな意味で私どものお知らせといいますか、こういった仕組みの周知徹底というものが十分ではなかった面は、それはもちろんあるんだろうなというふうには思っているところでございます。  ただ、こういった起債の措置でございますけれども、こういった措置、いわゆる都道府県なりそれぞれの市町村で起債をしていただくわけでございますけれども、その都道府県の状況によりましては、造林・間伐関係事業は今までどおり一般財源で使ったり、あるいは、今地方でいろいろな森林環境税的なものが、三十三県でございますけれども、できてきておりますけれども、そういったいろんなものを使いながら工夫を重ねていわゆる地方負担の額を捻出してきたのではないかなというふうに思っております。  私どもとしては、今回改正させていただきたいということで法案提出させていただいておりますけれども間伐特別措置法でございますが、平成二十年の段階でやはり京都議定書第一約束期間に入って、六%はきちんとやらなくちゃいけないと、そのうちの三・八は森林でしょっていると。その三・八をきちんと国としてバックアップしていく、そのためにはどうしても必要なんですということで申し上げさせていただいて、法案を成立させていただいたのでございますが、そういったお話をさせていただいて、間伐の重要性というものが全国に少なからず行き渡ったのではないかと、森林所有者もいろんな地方公共団体もある意味では認識していただいたのではないかなと。そうでないと、三十五万ヘクタールの間伐がすぐ五十五万なんてとてもできないと、実態的にですね。  それは、私どもとしてもかなり苦労といいますか、いろいろ地方を歩かせていただいて、地域を歩かせていただいて、いろいろお話をさせていただいたところでもございますし、そういった意味では、個別に見ますといろいろまだ足りないところはいっぱいあろうかというふうには思っておりますが、私どもとしてもこういった経験なりそういったいろいろな分析を踏まえて、もし八年延長させていただければ、その間はまた更にきちんとした対応を取らさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  35. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ちょうど五年前に私どもの牧野委員がこの法案審議のときに質問いたしました。今申し上げましたような、いろんな法案実施後に課題が出てくるのではないかというのを事前に危惧したところをお話があったんであります。  そのときに、牧野委員質問された中で、起債を認める要件が新たな取組対象としているが、今まで間伐に精いっぱい取り組んできた自治体、財政が厳しい自治体にとっては難しいのではないか、市町村と林野庁の現状認識が違うのではないかと、こういう質問をされております。  ですから、こうして五年間を振り返ってみますと、例えば私どもの鹿児島でいったときには、平成二十年度までは大体毎年八千五百から九千ヘクタールの切捨て間伐をしてまいりました。これがその後は切捨てではなくて搬出間伐になってきたために、搬出の手間が増えた分、面積が拡大できない、こんなことの理由でなかなかこの起債発行まで至っていないと、こういう問題が実はあるわけであります。  私は、牧野委員が非常に先見性があってこういう問題を指摘されたんだろうというふうに思いますので、是非とも、今後延長をするにしても、こういったいろんな各地区の課題があるということを是非とも長官、御認識いただいて、そして現場が使いやすいようにどうにかして、大臣にもお願いしておきますけれども、使いやすいやっぱり仕組みにしていただきたいということを申し上げたいと思います。  そして、もう一つ、先ほど長官からお話がありましたその延長の問題で、特に今回、増殖支援をやりますよということで、この林業木材産業改善資金の償還期間を十年から十二年、そして据置きを三年から五年と、こういうふうに延長されるというふうに聞いておりますけれども、また説明があったわけでありますが、ただ、この据置期間とそれから償還期間の延長自体は、非常にこれは言わばこの五年間見て、これだけではやっぱり不足していたんではないかという分析の結果、あるいは皆さん方が延長をお考えになったと思うんですけれども、じゃ、それだけで本当に十分かという疑問といいますか、思いがあります。  農水省の資料でも、母樹を増殖して種穂を販売するまで最短で五年程度が必要だと、ですから五年間ということでされたんで、このことについては評価しますけれども、この最短期間で本当に大丈夫なのかと、まだ延びるところもあるのではないかというのが一点。  二つ目は、苗木まで育成して販売する場合は更に三年かかるわけでありますから、その場合は未収入の期間というのが八年になるわけであります。ですから、五年間というのを延長されたのはいいんですけれども、この三年間、いわゆる苗木まで育成して販売するまでのあと三年間ということを考えますと、五年じゃなくて八年ではないのかなと、こんな気がしてならないんですけれども、この辺についてはどういう考え方でこの期間を設定されたのか、長官の方にお伺いしたいと思います。
  36. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) お答え申し上げます。  今お話がございましたように、特定増殖事業計画の認定を受けた方への支援策ということで、無利子の資金でございます林業木材産業改善資金の据置期間、通常三年以内でございますが、これを二年延長する、そういった特例措置を新設することとしております。  この特例は、特定増殖事業者の資金の負担を軽減するためということでございますけれども、母樹を増殖して、そしてその母樹から、例えば種だとか挿し木の、穂木と申しますが、そういった種穂の販売を開始するまでの期間というのは五年程度かかります。五年程度経過すると、その母樹から、種とかそれから挿し穂とか、そういったものが取れまして、それが販売できると。一般的な山行き用の苗木を生産する業者さんに売れるということが一つございます。  また、私ども今回いわゆる特定増殖の認定の事業者というものを考えておりますけれども、こういった方というのは今既に現在でも苗木生産にかかわっていらっしゃる既存の民間の事業者の方というものを想定しているわけでございまして、そういった意味で、一部、特定母樹の増殖をやっていただくということがあろうかと思っておりますが、ほかのかなりな部分というのは今までどおり既存の苗木生産を行って収益が見込めるのではないかというようなことを考えておりまして、そういった意味で据え置き五年というようなことが適当ではないかなというふうに考えているところでございます。
  37. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 専門の皆さん方が期間を設定するについては相当詰めた結果としてこの五年ということになったんだろうというふうに理解をいたしますので、もうこれ以上の御質問は控えたいと思います。  大臣にもお答えいただきたいと思って、準備はさせて通告もさせていただきましたけれども、もう時間が余りないようでありますので、最後に一つだけ。もう先ほど一川委員ともダブる面がありましたので、これはひとつ省略をさせていただきたいと思います。  私も先般、攻めの農林水産業ということで、安倍総理が五月の十七日に日本アカデメイアが主催する安倍総理との交流会で、アベノミクスの第三の矢である成長戦略の柱となります施策について講演されました。これも先ほどお話がありましたように、それを実現していくための本部も設置されました。  何を聞きたいかといいますと、成長戦略の柱の一つであります農林水産業では、この十年間で輸出倍増戦略として農林水合わせまして現行の四千五百億を一兆円にするんだと、こういうお話でありました。ただ、中身的には、当然、これは農産物、水産物が中心になってくるわけでありますけれども、その中でも、林業についても林産物の輸出戦略で現行の百二十三億、これを二百五十億にすると、こういったような考え方が出されております。  そのうち木材は九十三億ということになってございまして、これも韓国や中国を対象にして今後重点的に取り組んでいくんだと、こういうお話でありますが、ただ、考えてみますと、日本のこの木材の言わば認知度といいますか、そういった問題があったり、あるいは、先ほどの話とも重なるんですが、価格の問題があって、じゃ、どういう道筋でこの二百五十億あるいは九十三億のこの木材の輸出を伸ばそうとしているのか、まだ考え方が出されたばかりでありまして、これから詰めにお入りになるんだろうと思いますが、今の時点でお考えになっていることがあれば、そのことを御説明いただき、私の質問を終わらせたいと思います。
  38. 林芳正

    国務大臣林芳正君) さすが野村先生、それぞれお詳しい、ポイントを突いた御質問をいただいております。  最後の御質問ということで輸出のお話をいただきましたが、先週、農林水産省が、総理の発表後、公表させていただいておりますけれども、輸出戦略案、これで、木材を始めとする林産物、キノコも入った額で二〇一二年比で倍増を目標としようということにしたところでございます。  今お話があったように、中国、韓国に重点を置いて、まず日本式の工法の住宅普及、これ結構いいですよというようなことをまず通じてやっていくということ。  それから、そういうことを通じて、やはり米国、カナダ産に比べ知名度の低い日本産の木材、日本式の住宅造るんであれば日本産の木材ですよということで、これは日本食を売り込んで日本の食材を売り込むということと相似形だというふうに思っております。  そういうことのために、二十五年度の予算において、中国や韓国で開催される見本市、これに出展をする、また民間企業や団体等が行います市場開拓やPR活動、こういうものに対して支援をする予算を組んでおります。  また、もう一つ、我々がまさにやらなきゃいけないこととして、日本の建築基準法に相当する中国の木構造設計規範と、こういうものがあるのでございますが、ここに国産の、日本産の杉、ヒノキ、こういうものが位置付けられるように働きかけを行ってきておりまして、その結果、現在、実は中国ではこの木構造設計規範を、そういうものを入れ込むための改正をするということで、パブリックコメントが行われている段階まで来ている、こういうことでございますので、こういういろんな取組を通じて木材の輸出拡大、積極的に支援をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  39. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ありがとうございました。  以上で終わります。
  40. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  まず、森林間伐特措法に入る前に、昨日、福島県のいわき市に、小名浜に行ってまいりまして、県漁連の皆様とちょっとお話をしてまいりましたので、そこからちょっとまず質問させていただきたいと思うんですけれども、ニュース等でも既に話題になっておりますが、原発の地下水対策であります。  以前にもこの場をお借りして質問させていただきましたが、汚染水をためておくためには、地下水をくみ上げて、これ以上地下水が入らないような対策を取っていかなければいけないわけでありますけれども、そのくみ上げた地下水を放射線物質の検査をした上で海に放出をするということについて県漁連に対しての打診があったわけでありますが、組合長会議ではこれを延期をしたということで、結論先送りをしたという状況がございます。これは、汚染水と、それから汚染されていない地下水とを混同されている方がいらっしゃるということと、それから地下水を放出する、公表しないで放出するということに対しての世間に対しての評価という問題もありますし、何よりも東京電力に対しての不信感というのは非常に強いという状況がございます。そういう中で、県漁連としては、国がもっと表に出てしっかりと説明をしてもらいたいという、そういう要望があるわけであります。  現状では、五月の三十日にいわき市というふうにも聞いておりますし、また六月七日に相双地区で説明会があるというふうにも聞いておりますけれども、こうした国の方針としてしっかり説明をしてほしいという県漁連の要請に対して国はどうこたえるのか、まずこれをお聞きをいたします。
  41. 中西宏典

    政府参考人(中西宏典君) 今御指摘のとおりの、福島第一原子力発電所の方で問題になっております汚染水の問題でございますけれども、今般の地下水バイパスにつきまして、まさに先生御指摘のように、汚染水の増加要因となっておりますものを、山側の地下水の流入を抑制するということで、建屋の手前の方で井戸を掘りまして、その地下水をくみ上げて海に流すということでございます。そういった意味では、分かりやすい話をちょっとしなくちゃいけないのは、地下水と汚染水の違いといった話は確かに明確にした上で皆様に御説明をするというのが必要だというふうに認識してございます。  先般、五月の十三日の県漁連での会議での結果ということを踏まえまして、経済産業省といたしましても、積極的にこの地下水のバイパスの問題につきましては、その必要性であったりとか、地下水と汚染水の違いと、そういったものをしっかりと地元の皆様に御理解をいただくための、いろんな説明をするといったことも含めまして、国としても積極的な取組をしていきたいというふうな形を考えてございます。
  42. 横山信一

    ○横山信一君 報道ぶりを見ても、原発の汚染水放出みたいな見出しがぱっと掲げられた新聞もございましたし、そうした部分も含めて、これは地下水なんだということをちゃんと丁寧に説明をしていただきたいと思いますし、それは報道機関に対してもそうですから、これ以上風評被害を広げないように丁寧にやっていただきたいというふうに思います。  もう一つ、これは前回質問しようと思ってできなかったので先にちょっと質問させていただきたいんですけれども、大目流しのことでございます。  これはカジキ等流し網漁業というのがございまして、この操業条件というのは実は昭和四十八年に決められたもので、省令で定められているんですが、既に四十年を経過しているということで、地球温暖化ということもございますし、また種固有の様々な生物的な要素もございまして、回遊域も変化をしている、そういう中で漁場も変わってきていると。漁場が変わると、当然のことながら操業条件も、例えば操業時間帯とか、四十年前に定められた操業時間帯ではなかなか合わなくなっているという、そういった問題等もございましてこの操業条件の見直しというのが求められているんですけれども、これも、ずっとこの大中巻き網漁業と調整を図ってきたという経緯を分かっているんですが、なかなかこれが結論が出ないということになっております。  これについて、どうなっているのか、お伺いいたします。
  43. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) お答えいたします。  カジキ等流し網漁業、通称大目流し網漁業でございますけれども、これは数トンから十数トン以上の動力漁船によりまして、流し網を使用してカジキ、カツオ、それからマグロを捕ることを目的とする漁業でございますが、御指摘のこの操業区域等の制限についてですけれども、近海カツオ、マグロ漁業等のいわゆる競合する漁業との調整を踏まえて、今委員からお話のありましたように、昭和四十八年の八月にかじき等流し網漁の取締りに関する省令、これに基づいて措置をされたものということでございます。  このカジキ等流し網漁業に関する規定でございますが、御指摘のとおり、昭和四十八年から変わっていないということで、今現在、この当該漁業の操業実態を踏まえた管理の在り方について関係する道、県と協議をしていくということで、検討をしていくこととして、関係県とのヒアリング等を現在行っているところでございます。  いずれにしても、操業区域等の制限の見直しに当たっては関係漁業者間の調整が重要であると、このように考えているところでございます。
  44. 横山信一

    ○横山信一君 早くこれは進めてもらいたいと。漁業者任せにしてしまうとなかなか進んでいかないということもありますので、国がやはり調整役をしっかりやっていただいて、結論を導き出せるような形にしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、森林間伐特措法について伺ってまいりますが、これまで間伐材木材として利用していくということに関しては、やはり先ほど来の議論の中にもありますけれども外材に比べて高いということがやっぱり一つ大きなネックになっているわけであります。一方で、最近の円安によって外材の値段がどんどん上がっているという状況があります。外材の値段、価格が上がっているので、これが国産材価格を、競合できるような形になっていけるのかなというふうにも期待をするわけでありますが、今のこの状況をどのように見られるか、これは大臣にお伺いしたいと思います。
  45. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、横山先生がおっしゃっていただきましたように、最近の円安の傾向を背景外材価格は急騰しているということでございますが、それに比べて国産材価格は、上昇の兆しは見られるわけですが、比較的まだ安定して推移をしていると、こういう状況だというふうに見ております。  外材価格の上昇によりまして、まさに今委員がおっしゃっていただきましたように、国産材、比較的に安いということになりますから競争力が高まってくると、こういうことでございますが、これまでの外材需要国産材が置き換わっていく、そしてシェアを拡大していくためには、やはり木材安定供給それから品質の確保など、実需者のニーズに的確に対処していく必要があるというふうに思っております。  そういうことでございますので、これはある意味ではチャンスでありますから、しっかりと供給サイド、路網整備や高性能な林業機械の導入、それから木材の加工施設の整備、こういうものを更に進めまして品質の確かな国産材安定供給体制というものを一方で整備をしながら、今度は需要サイドにおきましても、先生方から既に御議論もありましたが、木質バイオマス利用促進、それからCLTというのがございまして、クロス・ラミネーテッド・ティンバーという十字を組み合わせて作る合板でございますが、こういう新しい木材製品の開発ということも併せ持って需要サイドの増大と、こういうものにも取り組んでいくと。供給サイドと需要サイド、両方併せて自給率の向上や、また産業関係者の皆様の経営安定につなげてまいりたいと思っておるところでございます。
  46. 横山信一

    ○横山信一君 温暖化対策として今後優良な種苗の普及ということが重要になってくると、エリートツリーというふうにも言われているようでありますけれども。そういう普及を目指して本法案の中では、改正案の中では、母樹を増殖する、そして種穂を販売する民間事業者を支援をするということが大きな内容の一つになっているわけであります。  従来、母樹増殖とかあるいは種穂、苗木を生育させるという、そういう部分までは国や県が担ってきたわけでありますけれども、そこの部分を民間事業者に任せて優良な種苗の確保ができるのかというところが懸念というか、大丈夫なんだろうかと素朴に思ってしまうわけでありますが、この点についてはどうでしょうか。
  47. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) お答えいたします。  民間事業者の取組についてのお尋ねでございますけれども、将来にわたって森林による二酸化炭素の吸収作用を保全、強化するためには、成長に優れた種苗の母樹を短期間でかつ集中的に増殖していく必要がございます。このために、本法案で、これまで種苗生産業者に苗木生産用の種穂を配布してきた都道府県の採種園、採穂園による取組に加えて、新たに民間事業者の参入を促進すると、このようにしております。  具体的には、都道府県知事の認定を受けた特定増殖事業計画に基づきまして、成長に優れた母樹の増殖の事業を行う民間事業者に対して、無利子の融資である林業木材産業改善資金の償還期間や据置期間の延長、それから、特定母樹を所有する独立行政法人森林総合研究所や都道府県の林業試験場等からの種穂の提供、そして、国、地方自治体、森林総合研究所等が相互に連携した技術的助言、指導等の支援を行っていく考えでございまして、今後、成長に優れた種苗が大量かつ安定的に生産できるように、本法の下に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  48. 横山信一

    ○横山信一君 木材自由化があって以来、国内の林業木材産業というのは非常に苦しい経営を強いられてきたという状況がございます。そういう中で、これからは、この改正案以降、民間事業者をしっかりと支えていこうという、その思いは分かるんですけれども、苦しい思いをしてきて、さあこれから頑張ろうって、大丈夫かなという、そういう不安もあるわけでありまして、そういう中ではしっかりと支えられるようなサポートをお願いしたいというふうに思うわけです。  ちょっと質問を変えますけれども、おととし、COP17のIPUに私行っておりまして、京都議定書第一約束期間が終わって、第二約束期間に入るというそのときに日本は参加をしないという表明をしたあのCOP17でありますけれども、そこに参加をしていたんですが、あのときの報道を覚えていられるかどうかですけれども、大変なジャパン・バッシングがございまして、IPUに派遣された超党派のメンバーであったんですが、もう本当に日本を守るために、まさに超党派で手を組んでしっかりと頑張り続けたと、そういう思い出があるんですけれども、その京都議定書第二約束期間我が国は参加をしていないわけであります。  そういう中で、引き続き、参加はしないけれども温暖化対策には日本はしっかり貢献をしていくということを表明をしたわけです。なかなかこれが理解されなかったんですけれども、そういうふうに表明をした。それ以降、日本はしっかりとその役割を果たし続けているわけでありますけれども、今回の改正も、京都議定書第二約束期間の、参加はしないけれども温暖化対策として我が国はしっかりとそれに貢献をしていくよという、その態度表明の表れでもあるわけですが、そうした我が国取組というのをどのようにアピールしていくのか、これは環境省にお聞きをしたいと思います。
  49. 三好信俊

    政府参考人(三好信俊君) お答え申し上げます。  先生御指摘いただきましたとおり、我が国京都議定書第二約束期間には参加しないということでございますけれども、気候変動枠組条約の下で全ての締約国が合意したいわゆるカンクン合意というものがございまして、これに基づきまして二〇二〇年までの取組を着実に推進していくということにしております。  具体的には、まず、先般改正法が成立いたしました地球温暖化対策推進法というのがございまして、これに基づきまして、今年の十一月にございます締約国会議、COP19までに定めることとしております新しい目標を含む地球温暖化対策計画というのを策定いたします。これに基づきまして、国内での対策、すなわち、排出の抑制や吸収作用の保全、強化というものをしっかりと進めていくということがまず重要であるというふうに考えております。  加えまして、温暖化対策、国際的に展開していくことが大事でございますので、まずは我が国の技術力を生かしまして、途上国での排出を削減するいわゆる二国間オフセット・クレジットというものを我が国は進めておりまして、これで海外での削減に貢献していくということ、あるいは、同じくカンクン合意に基づきまして、途上国への資金や技術の支援という仕組みがございますので、これに我が国が着実に対応していくということ、さらには、気候変動の影響に対応するいわゆる適応対策というものを推進していくことが必要だと思っております。  こういう我が国の具体的な内外の取組を、締約国会議での議論の場でございますとか、カンクン合意の中にはこういうものを国際的に報告して各国の取組を検証していくという仕組みがございますので、そういう中で我が国がしっかりやっているんだということを国際的にアピールしていく必要があるというふうに考えているところでございます。  また、これは二〇二〇年までの取組でございますので、今国際的には二〇二〇年以降の新しい枠組みについての議論が始まっております。これは我が国が目指しております、全ての国が参加する公平で実効性ある枠組みということでございますので、この交渉に当たりましても、具体的な提案を行いまして議論に貢献してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  50. 横山信一

    ○横山信一君 二〇二〇年に向けてという話がありましたけれども、世界の中で最も二酸化炭素排出量が多い中国やインドや、そしてまたアメリカが参加をしていないこの京都議定書第二約束期間という、それを我が国は、これはおかしいじゃないかという、そういうことを示したわけでありますけれども。そういうことを示しながら、同時に、今回の間伐をしながら森林吸収源対策をしっかりやっていくと、国内法も整備しながらやっていくという、こうしたまさに我が国がやっていることというのは世界の中で極めて優等生的な役割を果たしているというふうに思うわけでありますけれども、しっかりとこの部分を国際社会の中に対してもアピールをしていただきたいというふうに思います。  これまで、この森林間伐特措法の中で、先ほど野村先生からもお話がありましたけれども、六年間で年間三百三十万ヘクタールの間伐を目指してきたと。これまでの間伐というのは、言ってみれば間伐しやすい場所から間伐をしてきたというふうにも言えるわけであります。そういう意味では、これから先五年間というのは決して条件のいいところで間伐ができるわけでもないということが容易に想像できるわけでありまして、それでなくとも、今まで間伐をしてもなかなかそれは利用するのが難しくて、利用したくてもできないという現実があるわけでありますが、それをそのまま林地に置いてくるというか置き去りにするというか、そのままにしているというケースが多いわけであります。  そうしたものの奥に更に間伐を進めるということでもありますし、そういう意味では、今後の間伐するに当たって路網整備等も必要になってくると思いますが、森林整備をどう考えていくのか、伺います。
  51. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 先週改正法が成立した地球温暖化対策の推進に関する法律に基づいてこの森林吸収源対策に取り組んでいく必要があると、そのとおりだと思っております。  横山先生お話しのとおり、間伐の現場を見ての御質問ですが、私もしょっちゅう間伐の現場を見ておりまして、まさにそのとおりなんです。今まではやりやすいところからずっとやってきているんですね。残っているのは不便なところですよ。山のてっぺんとか道路がないところとか、そういうことをどうしていくのか、これから大きな課題だと思っておりますが、そのためにトラック等の走行する林道が必要ですし、林業の機械が走行する森林作業道を地域実情に合った取組をこれからしっかり取り組んでいきたいと思っております。
  52. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございます。  先ほど来お話をさせていただいておりますが、林業自由化によって林業木材産業というのは、余りいい表現ではないかもしれませんが、低迷を続けてきているわけであります。その分、間伐促進法によって間伐はやりやすいところから進められたとはいっても、やはり伐期を迎えたものも十分に伐採は進んでいないと。当然、伐採が進まなければそこに苗木も植えられないということになります。そういう意味では、苗木の需要も減少してきたというこれまでの経緯があるわけです。  そういう中で、今後、この改正案によって、脆弱化したと言っていいと思うんですけれども、苗木の生産体制、これをどのように立て直していくのか、伺います。
  53. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) お答えいたします。  御指摘ございましたように、近年のこの造林面積の減少によりまして、苗木の生産事業者数それから生産本数とも減少傾向にございます。一方で、これも御議論をいただいておりますけれども、御案内のとおり、我が国森林は本格的な利用段階を迎えておりまして、今後、伐採跡地への再造林を進めるために、優良な苗木を大量かつ安定的に生産、供給をしていく必要がございます。  このために、本法案によりまして、成長に優れた苗木の母樹の増殖を支援するとともに、平成二十五年度の予算におきまして、採種園、採穂園の整備、それから苗畑のトラクター、あるいは簡易な温室、かん水施設等の整備、これらの措置を講じるとしたところでございまして、今後成長に優れた苗木等の安定的な生産体制づくりに努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  54. 横山信一

    ○横山信一君 やっぱり苗木の生産体制を立て直すには今が、今がというか、この改正案以降ですね、やっぱりチャンスだというふうに思いますので、そこはしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。  次は大臣にお聞きをしたいわけでありますが、海外の林業と競争するということに当たっては、価格差ということももちろんありますけれども、今、この改正案等で進められていく新たな苗木といいますか、例えば成長速度が非常に今までよりも速いとか、あるいは、前回の委員会でも山田委員質問されておりましたけれども、花粉が少ない杉であるとか、そうした今までにない樹木を育てていこうという、品種改良というか、そういうことを進めようとしているわけでありますが、一方で、この品種改良ということでいうと、アメリカとかあるいは北欧というのは非常に技術が進んでいるというふうにも聞いているわけであります。  そういう海外との競合、競合というか競争を考えた場合、我が国の置かれている現状というのはどうなのか。これを、今回を契機に、攻めの農林水産業というその中で、この林業分野では成長産業にしていけるのかどうか、そこのところを伺いたいと思います。
  55. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この優れた種苗の開発というのは、普通の農作物と違いまして、木は世代が長いものですから、比較的長い時間掛けて取り組まなければいけない課題でございますが、我が国では昭和二十九年に、いわゆる国有林において精英樹、よく伸びるやつを選んで、こういうものを育てていこうということで、二十九年からこういう成長等に優れた種苗の開発を進めてきております。  今植林されている杉、ヒノキの苗木の大半はこの第一世代精英樹ということで、成長に優れた第一世代ということですが、今度はこれを、第一世代同士を人工的に交配することによって第二世代の種苗をつくっていくということで、第二世代精英樹ということでございますが、これについてはまだ開発がされたばかりという状況でございます。  今ちょっとお話がありましたように、この林木育種の先進国である米国、スウェーデン、既に第二世代の種苗が実用化をされて、植林を実際にされておるということでございまして、その次の段階の選抜世代ということでありますと、アメリカの南東部のテーダマツというのは第四世代まで既に行っていると。南部のスラッシュマツも、選抜世代、三世代目までということでございまして、これらの国と比べればやややっぱり遅れているということは認めざるを得ない状況でございます。  そういうこともありまして、この法案におきまして成長に優れた種苗の母樹の増殖を促進する措置を新たに付け加えまして加速していこうということでございまして、こういった支援措置活用しながら第二世代のまずは種苗の早急な普及を図ってまいりたいというふうに思っておりますし、また、遺伝子レベルでの形質判定なども活用して技術開発を進めていくと。今までは育ててみて大きいやつを抜いてきてやるということでございましたが、それに併せて遺伝子レベルでの形質判定なども活用して、第三世代以降の種苗も少し早期に開発してまいりたいと思っておるところでございます。
  56. 横山信一

    ○横山信一君 いろいろな可能性を秘めている改正案だというふうにも思っておりますので、しっかりとお願いしたいと思います。  以上で終わります。     ─────────────
  57. 中谷智司

    委員長中谷智司君) この際、林農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。林農林水産大臣
  58. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 私からちょっと一言おわびを申し上げさせていただきたいと思います。  二十一日の火曜日でございますが、山田先生から日中の暫定措置水域における漁獲量の実績の御質問をいただいたときに、私からは、二〇一一年の中国側の上限目標値が二百十三万トン、実績が百七十万トンで実績目標を下回っていると、こう答弁いたしましたが、正しくは、上限目標値が百七十一万一千トン、実績が百七十万九千トンで、実績目標を若干下回っているということでございました。  いずれにしても、日中漁業協定の暫定措置水域について、日本漁船の安定的な操業を確保できるように引き続き中国側と協議してまいる所存でございます。  以上です。     ─────────────
  59. 山田太郎

    山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。  大臣、御丁寧に調べていただいて、ありがとうございます。  さて、私も、この農水委員会に参加しましてはや五か月たちました。大臣ほどではないんですけれども、私も毎月現場の方にお伺いしておりまして、今週末も新潟の方に田植にうちの事務所全員で行くということで、現場の声を体をもって、身をもって伺ってこようと、こういうふうに思っております。  さて、今日は、国有林の活用と債務返済の問題について、少し関連ということでお伺いさせていただきたいと思っています。  今回の委員方々、皆さんベテランの方々が非常に多いので、この国有林の債務問題は御存じのことだと思います。私も、まだ五か月の身でありまして、この件についてはなかなか承知していないところもあるんでありますけれども、今日はちょっとそれを少しおさらいしながら、今後それをどうしていくのかということをきちっと数字でもって考えていきたいなと。私も民間で経営をやっておりましたので、数字でもってきちっと考えていきたいなと思っております。  国有林の債務の問題でありますけれども、いわゆる三K赤字として昔から問題になっておりまして、平成十年のときに国有林野の抜本改革というのが行われていまして、三・八兆円の累積債務のうち二・八兆円を一般会計で解決する、負担する、残りの一兆円は国有林事業で五十年掛けて返すと、こういうことになったのだと思います。  そこで、ちょっと疑問に思いますのは、どうして二・八兆円と一兆円に分けたのかなということなんですけれども、済みません、通告がないんですけれども、大きな問題ですので、大臣、お答えいただければと思います。
  60. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ちょっと御通告がなかったものですから、記憶が定かではありませんが、いろんな経緯を踏まえて、最終的には一般会計と特別会計、これ分けておりますが、全体の国の財政ということですから責任を持ってやるという中でいろんな議論を経てそういうふうに決まったということであろうかというふうに思いますが、しっかりとした経緯をもう一度調べて、先生のところに説明に行くなりしたいと思います。
  61. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございます。  多分、全部の三・八兆円はどうもこのままでは返せぬということで、国民に御負担をいただきながら何とか一兆円分の債務については返していこうということだったんだというふうに、当時少し調べてみていますので、その辺はちょっとまた教えていただければと。  ただ、これが現在はまた一兆三千億に膨らんでおりまして、どうしていくのかということだと思っております。さらに、この件に関しては昨年法律改正がございまして、本年の三月末で国有林野事業特別会計が廃止になっております。この一兆三千億円、膨れ上がった一兆三千億円なんですけれども、これについては四月から国有林野事業債務管理特別会計に引き継がれておりまして、元本は一般会計から移管された国有林の木材を売ってその収益で返していく、そして利子分は一般会計から補填するというスキームができているようであります。  ところで、この債務管理特別会計なんですが、元本の一兆三千億に関してはいろんな資料で出てくるんですけれども、どうも税金で負担するはずの利子補給の金額の総額が幾らになるのか、実はどこにも出ていないんですね。  そこでお伺いしたいんですけれども、一兆三千億円のほかに、一般会計から利子補給される金額は債務完済の平成六十年度までに総額幾らあるのか、教えていただきたいと思います。
  62. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 平成二十三年に林政審議会において一定の仮定を置いた試算を公表しておりまして、それによりますと、平成六十年までの利払い費の合計は二千六百億円となっております。しかしながら、利払い費は今後の市中金利に左右されることから、現時点で最終的な利払い費をお示しすることは困難だと思っております。
  63. 山田太郎

    山田太郎君 その当時の林政審議会の資料が、今日配付させていただきました資料一にございます。  右側の合計というのは、あえて後から配られた資料の中に出ておりまして、当時の資料にはなかったというものなんですが、この資料のように、毎年百億円以上の金額が積み上がっています。  非常に二千六百億というのは大きなお金だと思いますが、どうして昨年の制度改正のときに国会で明らかにされなかったのかなと。金利に関しては変動があるといっても、やっぱりこれは税金の方で賄っていくものですから、きちっと試算されるべきだと思っています。  そこのきちっと説明がないと、返済が遅れると国民負担が膨らんでしまうということを何かこうアピールしたくないから二千六百億という利子補給の部分を明らかにしなかったのか、又は、どうも官僚の方々は経済原理でいうところの利子に対する意識が薄いのかなと。元本に対しては返さなきゃいけないというのは分かっていても、ちょっとその辺に対しては、私も経営者なんで利子というのはすごく気になるんですけれども、その辺が希薄だったのかなというふうに思うんですけれども、一体どうしてだったんだということをお答えいただけると有り難いです。
  64. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 林政審議会において公表した試算は、五年刻みで年平均の利子補給額を算出することを目的としております。本来、足し合わせた合計額として支出をすることを予定していなかったためであります。御指摘の、隠した、隠さないという問題ではないことを御理解いただきたいと思います。
  65. 山田太郎

    山田太郎君 これは何とかして返していかなきゃいけないお金ということで決まっておりますので、そうしたら、じゃ、どうやって返すのかという話に少し移っていきたいと思っているんですけれども、まさにこの返済計画の検討ということでお伺いしたいと思っています。  これに関しては資料がございまして、これ資料二の方を見ていただきたいと思いますが、一般会計後の国有林野債務の返済試算というのが資料で出ています。  この返済に充てる財源なんですけれども、この二行目になると思いますが、林産物収入ということで、平成二十五年から二十九年度は平均二百三十億、平成三十年から三十四年までは三百十億円、それから平成五十五年から五十九年ですと五百四十億円に増えるということなんですね。これで一兆三千億円の債務は完済すると。  ただ、どうしてこんなに林産物収入が増えるのかということで、この資料三の方を見ていただきたいんですけれども、全国、全体の木材利用が増えて、国産材利用が増えると。それによって、参考のところのように、国有林からの木材供給が増えていくということで、この一兆三千億円の債務が二千六百億円の利子補給分も含めて完済できると、こういう実は御説明がされています。ということは、木材需要の見通しが債務返済計画の前提として大変重要だということは皆さんもお分かりいただけると思うんですね。  そこで、この木材需要の根拠というところがもう一つ大事で、今日の皆さんのお話の中にもその辺が出ていましたのでちょっと大切に見ていきたいと思いますが、例えば、製材用材なんですけれども平成二十一年の実績で二千六百万立米から平成三十二年の三千万立米に増えていると。どうしてこういうふうに需要が増えるのか教えてくださいということを実は林野庁の事務方の方にお伺いしましたら、林政の審議会の議事録に書いてあるのでそれ見てくれと、こう言われましたので、その議事録を原文のまま見たものを皆様に御説明しますと、製材用材については、建築用需要が大きなウエートを占めることから、新規着工戸数などに影響を受ける。その住宅着工戸数と増改築床面積は、建設経済研究所の予測だと減っていくと。これに関しては実は資料が出ておりまして、資料四のところを見ていただきたいんですけれども、相当、平均着工戸数と増築床面積というのは減っているんですね。こん包材用材に影響を与える貨物の輸送需要の見通しも経産省の見通しだと減っていくと、こういうふうに林政審の方では言っているわけです。  こうした見通しを踏まえますと、製材用材全体の見通しは長期的には減少傾向で推移されるものと考えられるがというのは、この審議会で語られているところで、議事録に書いてある話でありまして、じゃ、どこでこれを賄っていくかというと、一方で、公共建築物木造化木質化も見込まれるということで、平成三十二年の総需要は、現在平成二十一年の二千六百万立米から三千万立米へ増加するものと見込んでいると、こういうふうに結んでいるんですね。  ちょっと何を言っているかよく分からないんですが、この辺を大臣、是非、どういうことなのか教えていただけると有り難いんですが、よろしくお願いします。
  66. 林芳正

    国務大臣林芳正君) よく読み込んでいただいていると思いますが、やはり今ここに書いてあって、最後のところで、何か全部減っていくんだけど、これでぽろっとやって、そうしたら増えるみたいな、そういうふうにぱっと読むと見えるわけでございますが、逆に言うと、先ほど来から御議論がありますように、人口が今減ってきているということで、特に住宅は、例えば福田内閣のときでしたけれども、二百年住宅みたいなこともやっていこうということですから、やっぱり住宅そのものは趨勢としては減少していくということでありますので、トータルの住宅等が減っていく中で、住宅以外の建物ですとか、住宅も含めた全体の中でのやはり木材のシェアは上がっていくと、これをやるということが現実的なことであろうということで、こういう今先生が読んでいただいたような目標を立てたというか、見通しを立てていると、こういうことではないかというふうに思っております。  製材用材や合板用材については、建設経済研究所の住宅着工に関する中期予測で減っていくというのがございます。それから、このパルプ・チップ用材、熱エネルギーへの利用促進等により増加を見込む等、いろんなほかのところも併せてこの木材を使っていっていただくと。そのために、先ほど申し上げたCLTを例えば活用して、これ高層建築もできるようになるとか、そういうことを積極的に取り組んでいくと、こういうことではないかと思っております。
  67. 山田太郎

    山田太郎君 今せっかく大臣の方からCLTの話が出ましたので、この直交積層材方式なんですけれども、これ非常にヨーロッパでは有効だというふうに聞いておりまして、商業施設とか公共施設、集合住宅とか七階、八階建ての建物を全部木造の構造物で造っていくということなんですね。ただ、残念ながら日本国内では建築基準法の関係がございまして構造材として認められていないということがあって、なかなか普及しないということなんです。  是非、そういった意味で、私も文句ばっかり言ってもしようがないですから、何とか材木の、国内材の活用を増やすために是非この部分の見直しを働きかけていただきたいなというふうに思っていますが、是非大臣の御答弁をいただけますでしょうか。
  68. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事なところでございまして、今度、先ほど官邸に本部ができたというお話いたしましたが、先ほどもちょっと触れましたように、国交省、文科省にも参加をいただいております。  まさに今委員がおっしゃっていただいたように、先ほどどなたかのお話の中で、設計段階からやっぱり入っていかないと、その後設計が終わってもう建てるというときに、何とかこの木材をとお願いしても、と言ってもなかなかうまくいかない。まさにおっしゃっていただいたように、BMWホテルだったかと思いますが、ヨーロッパの方では八階建て、十階建て、CLTで造っております。したがって、構造建築上大丈夫かということと、もう一つ、消防の関係もございまして、そのクロス・ラミネーテッド・ティンバーの中に燃えにくくなるもののようなものも施したようなものも併せて、両面できちっと取り組んでいく。消防は総務省ということになりますから、そういうことも併せ持って、川上といいますか、設計段階からきちっと入っていけるような基準づくり、そしてその基準に合わせた製品開発というのをしっかり取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  69. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございます。  国有林の木材の売上げがまだまだどうなっていくか分からないと。努力はしていただきたいんですけれども、もしこれが不確実だったらば、民間は今度は経費を削減するというところを考えて、何とかしてこの負債を国民負担にならないように返していきたいと、こう考えるわけなんですけれども、例えば平成二十五年度の予算で国有林の木材の売上げが二百七十四億円を予定していると。ただ、販売コストとして二百十一億円が計上されておりまして、実はこの売上げの二百七十四億円で債務返済に回るのが何と六十億なんですね。二百十一億円の経費の内訳を見ますと、これはちょっと資料を取り寄せて中を読み込ませていただいたんですが、人件費のほかに雑役務費というのがございまして、これは九十億円もあるんですね。この九十億円の雑役務費の中身、積算内容を、昨晩、林野庁の事務方の方に尋ねましたら、事務方では答えられないので大臣質問してくださいということだったので、是非、大臣、これは一体何なのかということをお答えいただけますでしょうか。
  70. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 事務方で答えられないようなことかなと思いながら答弁させていただきますが、九十億円、これは丸太の伐採や運搬、それからこれらに付随する調査といった民間業者に請け負っていただいて行う経費を計上したものでございます。  その内訳は、主伐のための委託費など丸太の生産販売関連経費、それから丸太の集積場所等の整備管理、それから分収育林、林野売払い等に必要な経費と、こういうことになっております。  昨年度の予算額等を踏まえて今年も計上をしておりまして、こういう経費を活用して、この経費でいろんなことをやりながら林産物の収入等の確保を努めていくと、こういうことになろうかと思います。
  71. 山田太郎

    山田太郎君 多分、いろいろ外注等に当たっている感じの内容だと思うのですが、是非、林野庁の方にも努力していただいて、その時間のやりくりの中で何とか、予算があるから使うというよりも、トータルでこの費用の削減といったところも併せてやっていただきたいと思っております。  最後になりますけれども、冒頭にも申し上げましたように、国有林の債務の一兆三千億の返済というのは国民負担の膨らみにつながってくると。これ、一兆三千億円を一年ほっておくと、今金利が〇・七八で計算されているそうでありまして、百一億円増えるんですね。前回、私も問題にさせていただきました例の米債権で利子百四十四億円でしたっけ、あれなんか二年で吹っ飛んじゃう額のお金が、手を打つのが遅れれば遅れるほど利子としてたまっていくということであります。しかも、今回もアベノミクスということもありまして、もし金利が上がるとこれがもっと加速度的に上がるということが考えられるわけなんですね。  そういった意味で、是非、この問題、もう抜本的に債務返済計画を見直すとか、もっともっとその経費の削減ということに手を着けていくと。もちろん環境保全にも配慮しなきゃいけませんけれども、やっぱり国民負担との見合いで国有林の売却とかも、ここは聖域なきで積極的に考えざるを得ないんではないかと、こんなふうにも思っておりますが、今後の方針、見通しを是非、国民の負担という視点から御答弁いただければ幸いであります。よろしくお願いします。
  72. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今お話がありましたように、この国有林野管理経営等改正法でこの特会を廃止したわけでございます。事業自体は一般会計に戻るということですが、したがって、特会やめて事業も会計も全部一般会計に入りますと、非常に見えにくくなると。こういうこともあって、やはり既存債務、今言っていただいた一兆二千七百六十二億円の方でございますが、これは何とか林産物収入の方で返済しようということで、特別会計をこの債務管理のところだけを残して、これちょっと国鉄のときと多分似ていると思うのですが、JRを再建して残りの債務の方をきちっと見える化したと。したがって、ここは収支相償うようにまさにやっていこうと。こうしたから、今のように、先生のようにちゃんと見ていただいて、ここをもう少しやったらいいんじゃないかという議論がやりやすくなっていると、こういうことではないかというふうに思っております。  したがって、一般会計から利子補給を幾ら受けているかということもその結果見えることになっているわけでございまして、一般会計からこの債務管理特別会計に繰り入れるという形で見える化を図っているということでありますから、今お話がありましたように、その一般的な金利がどうなるのかというのは、いろんなほかの要因もあるわけでございますけれども、まさにこの債務管理特別会計の中でどうやってコストを下げて収入を上げていくか、今日、両方から御質問いただきましたけれども、そこを両方やっていくというのはまさに経営と同じ考え方で、コストをできるだけ削減して、ただ、コストを削減するだけを目標にしますと、今度は収入の方が減ってはいけませんから、そこのあんばいをよく考えながら、しっかりと国民負担を最小限にとどめていくように努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  73. 山田太郎

    山田太郎君 最後になりますけれども、もう林大臣の御決断だと思います。決断と行動が遅れれば、もろこの百億円を預かっているというふうに思っていただいて、是非、国の債務のいわゆる三K赤字の一つがもうここで残っています、これを片付けた名大臣だったというふうに名前も残していただくということで期待しまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  74. はたともこ

    ○はたともこ君 生活の党のはたともこでございます。  我が党は、森林間伐等実施促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成でございます。また、本日決議予定の附帯決議についても、共同提案に加わらせていただき、賛成をいたします。  私は全国比例区の選出ですが、出身地は広島県、実家は駅伝で有名な世羅高校のある世羅郡世羅町、いわゆる典型的な中山間地域でございます。森林地もあり、私の父も、小規模ですが森林を所有をいたしております。  先日、世羅郡森林組合の役員の方々お話をした際に、幾つかの真剣な御要請をいただきました。主に森林組合の将来像についてでございました。  そこで、本日は、日本の民有林間伐や造林の主たる担い手である森林組合について質問をさせていただきたいと思います。林野庁長官に順次伺いたいと思います。  まず、我が国森林組合の現状について、組合、組合員、専従職員の数、法人としての基本的な性格について説明をしていただきたいと思います。
  75. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) お答え申し上げます。  森林組合は、森林組合法に基づきまして組合員たる森林所有者林業経営のために共同利用事業を行う協同組合という性格を持っております。森林所有者の経済的社会的地位の向上並びに森林生産力の増進、森林の保続培養と、こういったことを目的として設立されるものでございます。  森林組合は、平成二十二年度末現在でございますけれども、組合の数が六百七十九でございます。組合員数が百五十七万人、専従職員数が七千百九十人ということでございまして、組合員所有森林面積一千九十五万ヘクタールでございますけれども、これは都道府県有林を除きます民有林面積の約七割ということでございます。  森林組合は、地域森林施業の集約化でありますとか森林管理の推進におきまして中核的な役割を担っていくということが期待されるというふうに考えているところでございます。
  76. はたともこ

    ○はたともこ君 では、我が国間伐と造林などはそれぞれどの程度森林組合によって担われているのか、また、森林組合の意義、重要性について説明をしていただきたいと思います。
  77. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) 本日、法案の審議をいただいているということでございますけれども間伐等に要する経費に対する支援措置につきまして平成三十二年度まで延長するということでございまして、森林吸収源対策として森林間伐等実施促進するということにしておりますが、そういった中で、森林組合といいますのは我が国森林施業の中核的な担い手ということでございまして、森林間伐等実施する上で大きな役割を担っているというふうに考えております。  ちなみに、造林、下刈り、間伐と、こういった造林から間伐までの作業の中でございますが、全国の受託面積のおおよそまあまあ半分以上ということが森林組合に受託されているというふうに考えているところでございます。
  78. はたともこ

    ○はたともこ君 では、TPPの林産物への影響について伺います。  政府統一試算では、農林水産物の減少額全体、約三兆円程度のうち林産物への影響は二%、金額にして五百億円ということになっております。この五百億円の影響の具体的な内容はどういうものなのか、森林組合の立場から見るとどのような影響があり、また全国の森林組合の総収入額の何%、金額で幾らくらいの減少の可能性があるのか、教えてください。
  79. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) 木材の関税でございますけれども、合板が六%から一〇%という幅で税率が掛かっておりまして、基本的にはいわゆる加工度の高い製品を中心に関税が掛かっております。  今年の三月に公表させていただきました政府の統一試算では、こういった合板等を対象として関税相当分の価格低下による生産減少額ということで五百億円ということで公表させていただいておりますが、関税が撤廃されること、例えばですね、仮定の話でございますけれども、そういった関税の問題、低下するということになりますと輸入が増加しまして、例えば、今せっかく合板につきまして国産材が使われるようになってきたということがございますので、そういった合板向けの国産材需要が減少すると、こういったおそれもかなり出てくるのではないかなというふうに思っております。  そういった意味で、国内の林業木材産業、それから、こういったものの重要な一翼を担っております森林組合にも少なからず影響が出てくるのではないかなというふうに考えているところでございます。
  80. はたともこ

    ○はたともこ君 森林組合が受けるTPPの影響について、政府としてどのような対策、支援策があるのか、教えていただきたいと思います。
  81. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) お答え申し上げます。  現在、TPP交渉につきまして、いわゆる途中段階ということでございまして、交渉の結果を前提とした国内対策の議論というのは時期尚早ではないかなというふうに思っておりますが、私どもとしては、そういったTPP交渉いかんにかかわらず、やはり森林林業活性化というものを図っていくというのは重要な課題だというふうに認識しております。  先ほど来お話が出ておりますように、我が国森林林業森林資源がようやく利用可能な段階ということでございまして、その資源活用して林業の振興、山村の活性化というものを図っていくためには、いわゆる供給サイド、需要サイドの両面で戦略的な政策展開というものが必要だというふうに思っているところでございますので、国産材安定供給体制整備、そして先ほどお話が出ましたCLTを始めといたしましたいろんな木材製品の開発、そして公共建築物木質バイオマスについての木材利用促進というものを積極的に展開することによりまして、私どもとしては、森林林業というものを新たな成長産業というものにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  82. はたともこ

    ○はたともこ君 次に、福島第一原発過酷事故による放射能の影響について伺います。  放射能による森林の汚染実態はどのようなものなのか、放射能被害を受けた十七都県の森林組合の数は幾つあるのか、また、被害、損害の補償、賠償はどうなっているのか、教えていただきたいと思います。
  83. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) 一部ちょっと手元に資料が、持っておりませんで、大変恐縮でございますが、お答え申し上げます。  福島の原発事故に伴う放射性物質による森林汚染でございますけれども、これは文科省によります航空機モニタリングによると福島を中心に東日本全域と、かなりな地域に及んでいるところでございます。  そのうち、放射性物質汚染対処特措法に基づきまして除染特別地域に指定されておりますのが福島県内十一市町村ございます。それから、汚染状況重点調査地域に指定されておりますのが八県百一市町村というものがございまして、毎時いわゆる〇・二三マイクロシーベルト以上というものの森林というものでございますが、そういった森林が含まれているというふうに考えているところでございます。  私どもとしては、そういった森林につきましてやはりモニタリングをきちんとやっていかなければいけないというふうに思っておりまして、福島県内の川内村、大玉村、そして只見町でございますけれども、こういった三町村五か所で空間線量率でありますとか森林の土壌とか落葉層とか、そういったそれぞれの森林の中での部位、それぞれの場所での放射性セシウム濃度というもの、それからその蓄積量というものを継続的に調査をさせていただいているところでございまして、その結果、森林内の空間線量率でございますけれども平成二十四年九月時点でございますけれども、原発に割と近い川内村でございますが、毎時三マイクロシーベルトでありますとか、会津の方の只見になりますとこれが〇・一二マイクロシーベルトというような状況になっておりまして、そういった状況になっておりますが、私どもとしても森林組合の活動でもいろんな影響が出てくるかというふうに思っておりますので、その辺モニタリングをしながら、なおかつ地元森林組合方々状況もよく伺いながら対応させていただきたいというふうに考えているところでございます。
  84. はたともこ

    ○はたともこ君 では、補償、賠償の関係についてはまた後ほど教えていただきたいと思います。  改めて、森林の放射能汚染対策について林野庁としてどのように取り組んでいくのか、風評被害も含めて被害を受けた森林組合に対してどのような対策、支援があるのかを説明していただきたいと思います。
  85. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) お答え申し上げます。  森林、特に福島周辺で森林について放射性物質が存在するというような状況になっておりまして、そういった放射性物質の拡散防止、低減といったものを図っていくというのは重要な課題でございます。現在、居住地周辺の森林について森林組合が主な担い手となりまして除染作業が進められております。また、拡散防止に向けて技術実証と、こういったものも進めさせていただいているところでございます。  ただ、福島県内でございますけれども、警戒区域の中に存在する森林組合というのが、例えば飯舘村でありますとか双葉地区の森林組合がございまして、まだ避難中でございまして、運営自体、非常に御苦労されているというふうに思っております。また、避難指示区域に含まれる森林組合というものはなかなか施業の実施が困難ということでございますし、また全体としても、森林経営意欲の低下でありますとか被曝への不安といったものがあろうかと思っております。  そういった意味で、私どもとしても、こういった課題対応して今取り組んでおりますのは、放射性物質の影響により整備が進み難い福島県内の人工林、こういったものを公的主体による間伐と併せて枝葉の減容化等の放射性物質対策というのを一体的に進めると、こういった取組を今年から始め、まさに着手し始めたところでございまして、今、県、市町村との間で最終的な調整をさせていただいているところでございますし、また、こういった作業を行う場合、特に森林組合方々がいろんな安全管理の面でも気を付けなければいけないというようなこともございますので、そういった意味でも様々な支援をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  86. はたともこ

    ○はたともこ君 次に、森林組合の将来像について伺います。  平成二十五年四月、林野庁作成、森林林業木材産業の現状と課題という資料の中にも大きく取り上げられておりますバイオマス発電について、バイオマス発電の将来性、全国の森林組合の中でバイオマス発電に直接取り組んでいる事例、あるいは、直接取り組んでいなくても森林組合の中で連携をしてバイオマス発電事業をしている事例などがあるのか。森林組合にとってのバイオマス発電事業の将来性、意義について、また、あわせて、全国の森林組合バイオマス発電事業に取り組む場合、政府としてどのような支援策、助成策があるのかを教えてください。
  87. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) お答え申し上げます。  バイオマス発電につきましては、いわゆるFIT、固定価格買取り制度がございまして、そういった設備認定を受けまして現在運転している木質バイオマス発電施設は三月末現在で三十五件ということでございまして、この中で未利用間伐材を主な原料として発電いたしますのは一件ということでございます、福島県の会津でございますけれども。ただ、この会津のバイオマス発電所についても、近隣の八つの森林組合が原料を供給しているという状況でございます。  バイオマス発電所につきましては、現時点で具体的に計画中のものが全国で三十か所程度ある、それから構想段階のもので五十ないし六十あるというふうに私ども把握しているところでございますが、この中には森林組合発電事業の実施主体の一つとなるというものが数例あるというふうに承知をしているところでございます。  計画中の木質バイオマス発電所の原料供給ではやはりどうしても森林組合が大きな役割を果たしていくというふうに思っておりますので、そういった意味で、二十四年度の補正予算等を活用しながら、こういった森林組合の様々な木質バイオマス関連事業への取組が進むように努力させていただきたいというふうに考えているところでございます。
  88. はたともこ

    ○はたともこ君 私は薬剤師でございますが、漢方薬・生薬認定薬剤師の資格も持っておりまして、日本で独自に発展をした伝統医学である漢方医学や漢方薬を西洋医学、西洋薬とともに車の両輪として日本及び世界に普及、展開をしていきたいと現在活動をしているところでございます。私は、日本の漢方はクールジャパンそのものであり、成長戦略そして国家戦略に位置付けるべきものであると考えております。  日本の漢方にとって現在大きな課題といたしまして、漢方薬の原料である生薬の国内栽培の問題がございます。生薬は八〇%以上を中国からの輸入に頼っておりまして、昨今の日中関係、また中国が生薬を戦略物資化してきていること、中国産生薬の価格の高騰、質の低下などの問題から、生薬の国内栽培が喫緊の課題となっているわけでございます。  私はこの間ずっと生薬の国内栽培の推進を訴えてまいりましたが、最近ではその機運も高まってまいりまして、私の経済産業委員会などの質疑も通しまして、農林水産省でもTPPに負けない、強い農業づくりの一環として取り組んでいただけるものと期待をしているところでございます。  そこで、本日の質問テーマでございます森林組合との関係でございますが、漢方薬の原料である生薬には多くの薬草とともにキハダ、コウボク、ビワ、メグスリノキなど、樹木、樹皮に由来するものも数多く存在をいたします。私は、森林組合の将来像として生薬の国内栽培の一翼を担っていただくということもあるのではないかと考えております。林野庁、この点についての御見解と、既に森林組合などで取り組んでいる事例があれば教えていただきたいと思います。
  89. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) 日本国内におきます生薬の原料となります主な樹木、いろんな種類があろうかと思っておりますが、例えばキハダの皮ですと生産量が五・九トンございます。それから、クロモジでございますけれども、去たんとかそういったところに役立つと聞いておりますけれども、そういったクロモジの生産量六十四・八トンということになっておりまして、こういったものは、例えば島根県でありますとか岩手県の森林組合が樹木から生薬の原料の採取を行っているというふうに承知しているところでございます。  私どもとしても、こういった生薬の原料の生産というのは大切なことだと思っておりまして、実は、森林内での生薬原料の生産を推進するということ、それに貢献するために、需要側の団体、漢方薬の関係する協会でございますけれども、そういった方々との情報交換、意見交換を実は四月中旬にやったばかりということでございまして、そういった意味で、そういったいろんな意見交換を通じて、こういった生薬の採取が森林組合にとっても事業活動として有効なものというふうになるように、また、山村振興の選択肢にもなるように、こういった生薬の原料となる樹木の栽培と、こういったものを支援するように努力していきたいと考えているところでございます。
  90. はたともこ

    ○はたともこ君 是非よろしくお願いをいたします。  では、最後に、林農林水産大臣に伺いたいと思います。  我が国森林政策において、森林組合の担う役割の意義、重要性について、バイオマス発電、生薬の国内栽培、その他の新しい取組ども含めまして、政府の支援体制などについて大臣の御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  91. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 山村におきましては過疎化、高齢化が進んでおりまして、森林組合がその中で森林施業の集約化や林業の担い手そのものとしてやはり中心的な役割を担っていくということが大事であると思っております。  予算におきましても、こういった取組支援するために、現況調査や境界確認、こうした活動に対する助成、それから施業を集約化するために、合意形成の中核を担っていただく森林施業プランナーの育成、それから間伐や道づくりを効率的に行える現場技能者、これも段階的に何年も掛けて育成していくと、こういうことをやっておるところでございます。  また、今、先生は資格も持っていらっしゃって、御専門ということですが、生薬というのも大変注目をしておりまして、医食農連携と呼んでおりますが、こういうほかのところと連携強化して、薬用作物の国産化、取り組んでいかなければならないと思っております。  中国は非常に多くて、まだまだ、契約栽培ですから、そう簡単に市場でだあっと増えるというわけにいかないかもしれませんけれども、まさにこういう森林組合、いろんな組合が、例えば島根の邑智郡というところは先ほど言っていただいたキハダを作っておりますし、それから岩手の田野畑村でございましょうか、クロモジをやっぱり組合として作っていると、こういうことでございますから、こういった取組を広げていただくように積極的に支援してまいりたいと思っております。
  92. はたともこ

    ○はたともこ君 大臣のリーダーシップを期待をいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  93. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今回の改正案は、間伐延長に加えて、特定増殖事業という事項が追加されています。間伐促進の延長については、林業木材産業振興の一環として期待が強いと。諸団体から要望をいただいてきましたが、特定増殖事業は特に聞いておりませんでしたが、林野庁によりますと、戦後の造林地が主伐期を迎えていると。木材自給率が五〇%の目標があるので、今後、林業用種苗の需要の増加に対応できるよう供給体制を強化するということです。現場では、経営意欲の減退あるいは木材価格低迷で種苗も需要拡大が見えないという状況の中で、需要増への対策が求められています。  林野庁は、既にこの法案の基本指針案を公表し、パブリックコメントを募集しています。そこでは、今年度から二〇二〇年度までの八年間で、杉、ヒノキ、カラマツ、三樹種について成長が特に優れた特定母樹の増殖の実施促進をし、全国的に特定母樹の種穂の採取源を整備することを目標とすると。その後十年間以内で、将来の人工造林の種苗は、特定母樹の種穂では生産できない地域特有のニーズ等に応じたものを除き、原則として全て特定母樹の種穂から生産される種苗とするというふうにあります。  伐採後の造林は三種類のこの特定母樹に限定されていく方向なのかということ、それから杉、ヒノキ、カラマツの不適地や、国有林、水源林の広葉樹など、広葉樹林も伐採後は特定母樹に転換することになるのかということ、さらに、森林所有者の意思は尊重されるのかということについてお答えを願います。
  94. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) お答え申し上げます。  造林の件でございますけれども、造林におきましては基本的にもう適地適木というものが原則でございまして、私どもとしては、特定母樹から生産される種苗につきまして、その造林に適さない土地への植栽でありますとか、森林所有者等の意向に反した植栽と、こういったものを求める意図はございません。  ただいまお話がございました国有林や水源林造成でございますけれども森林の公益的機能の発揮という観点から、針広混交林を始めとした多様な森林整備というものを進めていく中で、地域実情も勘案しながら、特定母樹から生産された種苗、こういったものの植栽が適した場所についてはその利用に努めていくということになろうかというふうに考えているところでございます。    〔委員長退席、理事郡司彰君着席〕
  95. 紙智子

    ○紙智子君 北海道で、トドマツ、エゾマツなどの伐採後、またそれらを造林できるかということ。それからまた、トドマツ、エゾマツ、クロマツ、アカマツ、グイマツというのもあるんですけど、北海道の林種も今後特定母樹に指定されるでしょうか。
  96. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) 北海道の件でございますけれども、やはり北海道の気候条件等に適した樹種というものが大切だと思っておりまして、やはりトドマツでありますとかエゾマツ、そういったものを今後も北海道における主要な造林樹種というふうに考えているところでございます。  現在のところ、特定母樹に指定する樹種というのは、成長に優れたものが既に開発されております杉とかヒノキ、カラマツといってもグイマツとカラマツの交配したものでございまして、クリーンラーチと呼んでいるものがございますけれども、そういったものが中心になろうかと思っておりまして、そういった意味で、北海道の場合はクリーンラーチというものはあるのかなというふうに思っておりますが、それ以外、なかなか杉、ヒノキは難しいと思っておりますので、トドマツやエゾマツの適地で森林所有者がそういったエゾマツ、トドマツを植栽するということにつきましては私どもとしても何ら問題はないというふうに思っているところでございます。
  97. 紙智子

    ○紙智子君 母樹の多様性は非常に重要なわけですけれども、杉、ヒノキ、カラマツの特定母樹は何クローンあるのか、遺伝的多様性は保たれるのかということについてもお答え願います。
  98. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) 特定母樹につきましては、地域の環境条件への適合でありますとか、採種園造成に必要な遺伝形質の異なる母樹数の確保、いわゆる近親交配を防止するという意味でございますけれども、そういったものを考慮して、計画的に必要な種類の特定母樹を指定したいというふうに考えているところでございます。  特定母樹の指定に当たりましては、気象条件等が比較的似通った地域内で樹種ごとにそれぞれ遺伝形質の異なる特定母樹というものを十五ないし三十種類程度は指定していくということが望ましいと考えておりまして、現時点では、杉、ヒノキ、クリーンラーチと、そういった合計で数年後には少なくとも二百以上の遺伝形質の異なる種類を指定していきたいというふうに考えているところでございます。    〔理事郡司彰君退席、委員長着席〕  こういったことにつきましては、私どもとしては森林総合研究所の研究者と打合せを重ねた上で検討してきているところでございまして、造林用の種苗、苗木でございますけれども、を生産する上での遺伝的な多様性というものは確保できるんではないかというふうに考えているところでございます。
  99. 紙智子

    ○紙智子君 林木育種は、高速、速くやる育種ですね、今回の、に対し集団選抜法もあって、これからも注目をしていきたいというふうに思います。  それで、成長が早いエリートツリーが、これ五十年後どう育つのか、条件が悪い林地でも育つのかと。先のことってなかなか読めないわけですけれども森林所有者は良い木を植えたいというふうに願っているわけです。それで、実証的な長期的なデータを求めているわけですね。所有者が優良な苗木を選択できるように、林野庁は県を応援をして様々な条件の土地でのデータを収集すべきではないかというふうに思うわけです。様々な研究データを今後も集積して情報提供していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  100. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) お答え申し上げます。  こういった森林所有者なり苗木生産業者に対しても、そういった情報の開示というのは大事なことだというふうに思っているところでございます。  現在行っている主な種苗でございますけれども、いわゆる第一世代の精英樹でございます。そういったスギ、ヒノキ、カラマツ等の特性に関するデータにつきましては、森林総合研究所の林木育種センターのホームページ等で既に公表したり、あるいはパンフレット等を配布させていただいているというような、現在でも既にそういうことは行っているということでございます。  今後、特定母樹として指定される樹種に関するデータにつきましても、林野庁のホームページ等でその特性に関する情報を公開することによりまして、森林所有者、それから事業者等に適切な情報が提供されるように努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  101. 紙智子

    ○紙智子君 多面的で長期的なデータを是非提供していただきたいと思います。  今までの答弁の中で、森林所有者の意思の尊重や広葉樹林を増やすという話もあったと思います。しかし、出されている指針案では、原則として全て特定母樹とし、所有者等への種苗の普及に努めるというふうになっております。  ここで、大臣になんですけれども、生物多様性の保全の立場、それから所有者の意思尊重の立場でこれ再構成する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  102. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、委員林野庁長官やり取りしていただいたように、原則はあくまで適地適木ということでございまして、特定母樹の種穂では生産ができない地域、樹種等については、この特定母樹から生産された種苗の提供は要しないということでございます。  また、先生のお地元でもあられますが、北海道なんかを見ますと、エゾマツやトドマツ、こういうものが気候等に適していくというふうに思いますし、一方で、日本全体ということでありましょうが、広葉樹の種苗の確保ということも重要だと、こういうふうに思っておりますので、そういうことを基本方針案には明記をさせていただいているということでございます。  したがって、今、この基本方針案でございますが、六月五日までの意見受付期限ということにしまして、パブリックコメントを今やっておりますので、いろんな方々から意見が出てくると思いますので、それを踏まえて、現在の案について見直すべきところがないか検証してまいりたいと思っておるところでございます。
  103. 紙智子

    ○紙智子君 単一の樹種の造林というのは病害虫の耐性も弱いということで、林野庁も単層林を減らす方向であれば、この特定増殖事業においても生物多様性の保全を位置付けていただきたいというふうに思います。  さて、エリートツリーについてですけれども、大手企業が強い関心を示していて、特定増殖事業への参入もあり得るということで林野庁もおっしゃっています。広大な社有林と資本力を持った大手がエリートツリーの増殖から造林まで一貫して取り組むことになれば、採穂、種苗業はもちろんですけれども、山元への影響は様々予想されると思うんですね。  この間、大手の木質バイオマス発電への参入が報道されていますけれども、例えば北海道の紋別市に約一万五千ヘクタールの社有林を持っている住友林業は、これを活用して、国内最大級となる五万キロワットのバイオマス発電を行う計画ということになっています。この規模というのは、実は北海道の森林組合連合会の年間の取扱量が八十万立方なんですけれども、はるかに上回る原料を必要とします。  道内に社有林を持っている日本製紙のほか王子製紙、三井物産も続々と今取り組むということになってきていて、これら大手が乗り出してきますと間伐では足りないで、大量の主伐が必要になるんじゃないかと。これについては、環境への影響も抑えるために、大面積皆伐ではなくて、やっぱり小面積で適切な規模で行う必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  104. 沼田正俊

    政府参考人沼田正俊君) お答え申し上げます。  森林伐採でございますけれども、そういった際には、森林多面的機能が適切に発揮されるように、その方法について、森林法に基づく保安林制度それから森林計画制度がございますけれども、そういったものによって規律しているところでございます。  特に、公益的機能の発揮を特に重視すべき森林というものにつきましては、保安林に指定したり、あるいは市町村森林整備計画におきます公益的機能別施業森林と、こういったものに指定いたしまして、その森林に期待されている役割でありますとか、いろんな自然的、社会的条件と、こういったものに応じて主伐の方法を例えば択伐あるいは禁伐、そういったように定めて皆伐ができないように制限しているところでございます。  また、皆伐が可能というふうになっている森林につきましても、市町村森林整備計画におきまして皆伐の方法について、例えば地域実情に応じて上限面積を定めると、こういったことによって適切な伐採がなされるように措置しているところでございまして、こういった制度の的確な運用と、こういうものに努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  105. 紙智子

    ○紙智子君 業界の関係者からも、一ヘクタールでモザイク状などが必要だというような指摘もあります。大面積皆伐は厳しく規制すべきだという声があります。  それから、住友林業だけでも実はこれ北海道、四国、九州に総計で約四万二千ヘクタールの森林を所有しています。一方、公営の採種園、採穂園は合わせて全国で九百五十ヘクタールです。林業団体からは、公営の採種園の整備というのが要望されています。北海道の林業木材産業の関連団体の要請書でも、優良林業用種子の安定確保のために必要だというふうになっています。  しかし、都道府県の採種園、採穂園の国の補助実績ということで見ますと、二〇〇八年、九件で計一千万円という少なさなんですけれども、二〇一一年は更に半減して五件に対して僅か四百三十万円と、非常に減っているんですね。  財政事情からこの公営採種園が縮小されているということは、これは林野庁も把握しているわけですから、これ公営の整備、機能強化、そして育種対象木の次世代化への助成を、強化のために抜本的に予算を増額すべきではないかと思いますが、これについては、大臣、お願いいたします。
  106. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 現在の採種園、採穂園、これは都道府県の林業試験場が整備管理をいたしまして、地域内の需給情勢に応じて種苗生産業者に苗木生産用の種穂を配布してきたわけでございます。  今後、二酸化炭素の吸収作用、これを保全、強化していくということが大変重要でございますので、この法律改正を機に都道府県の採種園、採穂園と民間事業者の二本立てで成長に優れた種苗の増殖を推進していこうと、こういうことにしておるわけでございます。  二十五年度予算においても、ミニチュア採種園等の整備に対して補助する事業、こういうものもございますので、こういうものを活用して都道府県や民間事業者の採種園、採穂園の造成等に対してしっかりと支援を行ってまいりたいと思っております。
  107. 紙智子

    ○紙智子君 特定の母樹だけでなくて、やっぱり地方の育種の次世代化ということに対しての支援もお願いをしたいと思います。  それで、この種苗生産についてなんですけれども、これは気候風土に密着した業であると。北海道で生産された種苗で見ても、例えば道東の厚岸というところがありますけれども、厚岸で育てられた種は道北の美深というところでは育ちにくいと。それから、道南の函館で育てられた種も道北では育たないと。近くにある種でやっぱり苗にするのがよいということが分かっているわけです。種苗生産はやっぱり土地土地に合ったものを地域で配布していくというのが自然に適合する方法じゃないかと。  それで、種苗業者は今減少を続けていて、高齢化をしています。現在、約一千事業者のうちの八五%が一ヘクタール未満の小規模な事業者で、これは地域生産を今担って支えているわけです。もし大手が特定増殖事業者となった場合の地域の小規模事業者への配慮ですね、なった場合、その地域の小規模の事業者への配慮、それから山村振興に社会的な責任を果たさせていくということも大事だというふうに思いまして、この点での指導をきちっとしていただきたいということを最後に質問して、答弁を聞きたいと思います。
  108. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) お答えいたします。  今回の法改正によりまして、成長に優れた種苗の母樹の増殖事業に民間の苗木生産事業者が組織する団体それから組合の参入を促進しているところでございますが、従来から事業を実施してきた都道府県も引き続き種穂の提供を行うということを予定をしております。このために、苗木の生産事業者、小規模な業者も含めて、新たに参入した民間事業者だけではなくて、従来どおり都道府県から種穂の提供を受けることが可能であると、このようにされております。  それから、新たに特定母樹の増殖を行う民間事業者に対して特定母樹から採取される種穂の配布に当たっては、地域の種苗生産事業者が広く利用できるように都道府県を通じて指導してまいりたいと考えております。
  109. 紙智子

    ○紙智子君 じゃ、質問を終わります。ありがとうございました。     ─────────────
  110. 中谷智司

    委員長中谷智司君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、松浦大悟君及び金子恵美さんが委員辞任され、その補欠として大河原雅子さん及び江崎孝君が選任されました。     ─────────────
  111. 平山誠

    平山誠君 みどりの風、平山誠です。  本来は、同僚の農水のエキスパート、舟山康江さんが質問するべきでありますが、本日は私が質問させていただきます。  それはなぜかといいますと、これはちょっと質問と違うんですが、大臣、これは私の明治四十三年のおやじが身に付けておりました、昔で言えば印ばんてんという。一九七〇年代にちょっとお店は、大臣が農水大臣をやっていてくれれば私の家のようにはならなかったんですが、一九七〇年代に店をちょっと畳まざるを得なくなりました。そのこともありまして、私、今みどりの風ということで、その緑、そして父のなりわいということで、何かのえにしを感じながら質問をさせていただきます。  私は、林業の在り方について一つ、私はこの法案を是非ともより良い方法で進めていきたいと賛成の立場で先に質問をさせていただくことを言っておきますが、私は、未来に負の遺産を残さないというのが私の政治的なポリシーであります。そして、このような間伐が必要な山、なぜ必要になってしまったのかというと、大臣御存じのとおり、戦後の復興ということで木材が大量に使われ、美しい山々から日本復興のために木材を切り出しました。そして、その後に商売を目的とした植林、要するに針葉樹をやったために、現在一千万ヘクタールという山々が材木として利用なったにもかかわらず、今度は逆に木材価格低迷でなかなかやっていけない状況になりました。  そして、政府は、平成二十三年の七月に林業の基本計画が決定して、また本年度の予算も二千九百億というようなことを付けていただいていますけれども、果たして植林というのが、今針葉樹の植林をしていたら、これはまた次の世代、次の世代と無理な間伐をしていかなきゃならないということで、私が思っていますのは、やはり間伐の要らない山も必要ではないかということであります。  例えば、間伐によって多額のお金を掛けるよりも、林業として現在営んでいない方、そして今後も営む意思がない方から山を林家の方に受け渡したり、例えば国が買い取ったりということが必要なんじゃないでしょうか。そして、地球生命体というか、大きなことになりますけれども、CO2と酸素を交換してくれる山々、それは材木として利用しない山々も残しておいて酸素を排出していくという、山は山であり、そして利用する材木は材木でありというようなことが必要ではないかと思っています。  そのために、今回の大切な法で改正されたこと、そして平成二十五年度については、この予算も適正に使っていく。また、ニュースでもありますように、復興税を使った、九州の方に材木が必要だからといって林道を復興税の中から使うといったような無理な山林の在り方というものを考え直したらいいんじゃないかと私は思っております。  そのようなこと、間伐考えない森林林業の在り方というようなことを私は思っているんですが、大臣はどのような。
  112. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まず、平山先生、貴重な、はんてんというんですか……(発言する者あり)印ばんてん、成木屋ですかね、非常に、何か鑑定団に出したら物すごく高く売れそうなものを持ってきていただきまして。実は私のところも、ちょっと余談になりますが、私が継いでおれば八代目のしょうゆ屋でございまして、やっぱりそういうのがあって、大津屋というんですが。  まあそれはそれとして、今、大変深いお話をいただいたというふうに思っております。戦後やはり、はげ山という写真をよく我々も見ることがあるんですが、大変に荒廃、森林がしてしまいました。焼け野原とか、そういう言葉があるわけでございますが、そういう中で先輩たちが、杉、ヒノキ、カラマツなど針葉樹を中心であったと思いますけれども、一千万ヘクタールの人工林を造ってきたということで、利用可能な段階にやっと今来ているということで、森林林業再生のチャンスではないかというふうに思っております。  一方で、今委員がおっしゃっていただいたように、木を植えて育てて切って売るというだけかなということを考えますと、水源の涵養ですとか、やっぱり国土の保全、それから、先ほど紙先生からもお話がありましたように、生物多様性の保全、これは森林にとどまらず、その森林に生きているものということも当然あると思います。こういうものに対する、国民の森林に対する期待というものはやはり多様化しておると、こういうふうに思いますので、この間伐等の適切な森林整備は進めなければなりませんけれども、逆に急傾斜地の森林などは針葉樹と広葉樹が混在した針広混交林、針と広の混ざった交ですね、交わるという、全部、コウコウと続くんですが、針広混交林にするという、立地条件に応じた多様で健全な森林づくりを進めていくということが重要な課題だろうと思っております。  二十三年の七月に、今触れていただいた森林林業基本計画ですが、閣議決定しておりますけれども我が国森林の将来の姿としては、やはり希少な生態系と保全すべき森林はしっかり保全すると。人工林については、その一部を現地の立地条件に応じて針広混交林等の多様な森林へ誘導すると。また、木材生産機能を高度に発揮させるべき森林については、効率的に循環利用を図り、このために林業の産業としての発展を促すということで書き分けさせていただいているところでございますので、やはり多様で健全な森林づくり、これをしっかりと進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  113. 平山誠

    平山誠君 ただいま答弁いただいたことのように、生物多様性とか地球温暖化に寄与する森林という部分も商品と違いがあるんですが、やっぱり材木というのは日本の文化、やっぱり木の家、私も幼いころから山に入り、そして私の家のメーンエネルギーはまきというものでございましたので木とかかわり合いが多かったんですが、要するに、日本の文化、今大臣がおっしゃったように、やっぱり山が弱くなったというのは、広葉樹、ドングリや、ドングリというか、ナラやシイの実が落ちるようなもので、またその生物多様性で、その中に動物が生きている。そのふんを食べ、また、そのふんの中からまた菌が生まれるとか、いろいろ生まれ変わっているわけです。だから、日本の文化というものがやっぱり山には必要なんですよ。  僕が一つ思うのは、外国の樹木、先ほど来出ていますけれども、外国の樹木を持ってきちゃ駄目なんですよ。あと、やっぱり母樹というのは大切にしなきゃ駄目なんですよ。やはり、大きくなればいい、早く育てばいい、商売になるような真っすぐな木がいい、これでは山は死んでしまうんですよ。ですから、商売用の山と、そして大切に日本の文化を受け継いでいく山を分けていく、そのためにはやはり大きな補償をしてあげ、やはり林業で成り立たない方々は卒業していただく、そのくらいの大臣の要するに決定力で日本の山は生き返ると思いますが、その辺、大臣、どうでしょうかね。
  114. 林芳正

    国務大臣林芳正君) どういう方に卒業していただくかというのはなかなか難しい問題かもしれませんが、今委員おっしゃっていただいたように、委員お話を聞いておりまして、私も小学校ぐらいだったと思いますが、山に行って、虫を捕りに行くんですね。やっぱり子供ながらに、クワガタムシとかカブトムシというものを捕る、そのすんでいる木というのは分かっていまして、クヌギの木というのがあるんですが、クヌギの木と似た格好をしたハゼというのに近づくと、この辺に荒れちゃったりとか、いろんなことがありましたので。  やはり今、先ほど申し上げましたように、商売として生産機能を高度にやるところと、そうじゃないところというのをしっかりと、両方あり得るということをしっかりと基本計画にも書いてありますし、そのことをもう一度いろんな方に分かっていただいて、例えばNPOみたいなところの取組で、それはもう少し里に近くなると里山ということになるかもしれませんが、多面的なやはり取組をやっぱりやっていくということが大変大事だと思っております。
  115. 平山誠

    平山誠君 いろいろとよく御存じで、ありがとうございます。  私は、政治の中で一つ言っているのが、三業革命と言っているんですよ。それは、農業、林業、漁業、この業、なりわいですね。要するに、なりわい、要するに商売につなげていく、要するに米を食べたりなんなり、肉を食べたり、そのためにはお金が必要、そのなりわいというものは、三業革命で農業、林業、漁業でなりわいになっていくために稼ぐ、そしてまた使えるといったようなことを考えて、政治の中で生かしていこうと思っているんですけれども。  今、間伐する山と山じゃないということも申し上げましたが、先ほどから言われている建物チップ材を使うとか、新しい、大臣がおっしゃった、何か組み重ねて使うところがあると言いますけど、私の願いでありますが、この林業というなりわいをするためには、山だけでは駄目なわけですよ。  私も小さいころからおやじに付いてよく回らせていただきましたけれども、江東区の市場だけじゃなくて、新宿、千代田区、渋谷の恵比寿なんかにもたくさんの材木市場があったんですよ。そのためには、やっぱり林業、山主さんだけがもうかっては駄目なんですよ。山主さん、そして私のおやじがなりわいとしていた製材業、山から木を切り出してきたら、それを商品に換えて、板に換えるという職業、そしてその材木を売るという流通にかける職業、そして市場、それとか銘木業、きれいな、こういう節のある木たちをやる職業、そして先ほどから出ている設計、そして大工さん、この一括とした補助、これはだから経済産業省とかいろいろとあると思いますけれども林大臣大臣のうちに横のつながりを持って、せっかく間伐でいい材木を作っていくという部分におきましたら、やっぱり横のつながりを持って全体をバックアップしていくというシステムをこの法案の中にも生かしていきたいと思いますが、その辺はいかがでございましょうか。
  116. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに委員おっしゃるように、森林関係の実はシンポジウムがあったときにも、我々子供のころには、材木市場があって、それから家のすぐ近くに材木屋さんがあって木がこう立てかけてあって、それを買ってきて家を造る現場というのも外から見えていて、大工さんがかんなで削っているという風景があったわけですが、これが随分やはり変わってきてしまっているなということでございますが。  一方で、やはり国産材利用を推進するために、委員がおっしゃっていることと多少、同じかどうか分かりませんが、無垢の柱材みたいなものですね、節目が入っていないものをきちっときれいにするというよりも、そもそものものをそのまま使うというようなことが、実際、今からはクールといいますかおしゃれといいますか、そういうふうにもなっていくんではないかなということで、こういう柱材、内装材としての利用を拡大していこうということで、平成二十四年度の補正予算でこの公共木造建築物の整備に対する支援木材利用ポイントということをやらせていただきました。  もう一つは、木の家の良さをやはり知ってもらうということで、森林を持っている方、それから素材の生産者、製材工場、住宅生産者、一堂に会して、やはり地域の特色、それから木材化した住宅造り、その地域でできた木を使うということがやはり、その地域で育った木ですからその地域の天候に合っているということも聞いたことがございますが、そうしたグループを全国でどういうふうにやっていらっしゃるか、横をつながってもらってやるということで、顔の見える木材での家造りということを推進していこうということをやっております。  それから、先ほど申し上げたのはクロス・ラミネーテッド・ティンバーといってヨーロッパでやっているやつですが、合板の向きを十字に組み合わせることによって強度を増すと、こういうような新製品、新技術の開発普及にも取り組んでいかなければならないと思っておりまして、いろんなものを総合的に積極的に推進してまいりたいと思います。
  117. 平山誠

    平山誠君 なるべく合板よりも製材を使っていただくように、よろしくお願いします。  枝打ちなんかもして木を育てるのはもちろん必要ですけれども、私のおやじがよく言っていましたのは、無為にして治むる、何かこれは論語の、老子の言葉らしいんですけど、一番手を掛けないものが一番いいんだと。国も一番手を掛けないものが一番いいんだと思いますので、その辺、よろしくお願いします。  そして、最後に、ちょっと時間がないんですが、もう一つ今のことで質問しますが、大臣バイオマス発電というのはどういうものでございましょうかね。
  118. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 一般にバイオマス発電と言われているものは、木材が最後の段階で出てきて、それをそのまま燃やすか、ほかのものと一緒に混焼するか、最後は燃やして発電の用に供すると、こういうものだと思います。
  119. 平山誠

    平山誠君 要するに、先ほども質問があり、そして今大臣からも、山は、材木とかは、伐採した樹木たちはそんなには移動できません。ここで一番怖いのは、今新聞等にも載っていますが、福島県の塙町とか鮫川村にバイオマス発電と言われるような焼却場的発電設備を造っております。これは、元々農地だったところにいきなり焼却場というのを建ててバイオマス発電をするんだというようなことが新聞に載っていたりします。これは、先ほどから言っていますとおり、三・一二のあの爆発により、三・一四の三号機の爆発により放射能汚染された森林伐採され、燃やされる可能性があります。  この辺を、大臣、どうお考えでしょうか。
  120. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 今御指摘の、木材資源をできるだけ有効しようじゃないかと、これはもうおっしゃるとおりでございまして、そのように私も大切なことだと思っております。  そのために、一つには、まず住宅の柱……
  121. 平山誠

    平山誠君 ちょっと違うんで、意味の内容が違うんで、ちょっと済みません。
  122. 林芳正

    国務大臣林芳正君) じゃ、私から。
  123. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) あっ、それじゃ。ごめんなさい。
  124. 平山誠

    平山誠君 ごめんなさい。済みません。
  125. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今お示しいただいたものはちょっとまだ私承知しておりませんでしたので、もう少ししっかり読ませていただきたいと思いますが、やはり、我々の分野でバイオマスというと木材チップを燃やすということですが、それ以外にもいろんな廃棄物等々、バイオマス全体はあると思いますが、しっかりと、我が省というよりも、今のお話ですと環境省とか経産省、いろんなところがかかわってくると思いますけれども、きちっとした遵法精神でもってそういうことは丁寧にやっていく必要があると考えております。
  126. 平山誠

    平山誠君 大体今までの経験を見ると、バイオマス発電ってほとんど九〇%が全部失敗しているんですよ。要するに、それはなぜかというと、水をくみ上げて、農地から、周りの農地の水がなくなったりですね。今回のものは、要するに被災地域の森林伐採したもの、多いものでは三百ベクレルというような値があるものを、まあ除染という形で伐採したりする部分を一緒に混合して燃やされたりすると、また灰によって飛散する、そしてバグフィルターというようなものなんかも余り設置していませんので、空気によって広がってしまうというようなこともございます。  その辺をよく、副大臣のおっしゃりたかったことはよく分かります。要するに、材木を使って、エネルギーの少ない日本ですからエネルギーとして有効利用していただきたいということもありますけれども、福島の地のそういうものに限っては、大臣、重複しますけれども、経済産業省、環境省とも合わせて、横のつながりを持って、また、農地だったところにバイオマス発電所、焼却場を造るということですから、大臣のお力をもってよく規制していただきますように、よろしくお願い申し上げます。  これで質問を終わります。
  127. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  森林間伐等実施促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  128. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、徳永さんから発言を求められておりますので、これを許します。徳永エリさん。
  129. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 皆様、お疲れさまでございました。民主党・新緑風会の徳永エリでございます。  私は、ただいま可決されました森林間伐等実施促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党、公明党、みんなの党、生活の党、日本共産党及びみどりの風の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     森林間伐等実施促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   地球温暖化防止は、国際社会にとり重要かつ喫緊の課題となっており、我が国においては森林の有する二酸化炭素吸収機能を十分に発揮させることが求められている。このため、適切な間伐等による森林整備を進めることが必要であるが、木材価格低迷による林業経営の採算低下や地方公共団体の厳しい財政事情等により、整備の必要な森林が残されている。   森林は、国土の保全、水源のかん養、生物多様性の保全及びレクリエーションの場の提供など、豊かで安全な国民生活を送る上で重要な役割を果たしている。その恩恵を将来にわたり享受するには、森林を健全な状態に維持していくことが必要である。  よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 間伐等森林吸収源対策を引き続き着実に進めるため、国の財政措置を拡充するとともに、森林吸収源対策の実行に必要な新たな財源の確保を図ること。  二 木材自給率五〇%達成に向けて、木材利用地球温暖化防止等に果たす役割についての国民への啓発を促進しつつ、公共建築物への国産材利用の拡大、木質バイオマス利用促進国産材の輸出促進等により間伐材を含む木材需要拡大を図ること。  三 成長に優れた苗木の生産拡大に当たっては、生物多様性の保全に配慮しつつ、少花粉スギ等の花粉発生量が少ない品種の開発を更に進めるとともに、既存のスギ林の植え替えなど花粉発生源対策を一層推進すること。  四 間伐等森林整備を一層推進するため、人材育成の充実・強化、農業と林業が連携した鳥獣害対策、地籍調査の加速化や森林情報の共有、公的森林整備の推進、山村活性化への取組等の更なる充実を図ること。    また、都道府県林業公社について、一層効率的かつ効果的な森林経営の推進に必要な対策を講ずること。  五 国有林においても間伐等森林整備民有林との一体的な整備及び保全等が着実に推進されるよう、適正な人員等の確保、人材の育成、技術の継承等に努めること。  六 放射性物質に汚染された森林の経営・施業、原木しいたけ等の生産への支援、海岸防災林の着実な復旧・整備等を進めること。また、震災復興住宅など被災地復興に当たって国産材利用を図ること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  130. 中谷智司

    委員長中谷智司君) ただいま徳永さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  131. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 全会一致と認めます。よって、徳永さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、林農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林農林水産大臣
  132. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ただいま法案を可決いただきましてありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、関係省庁とも連携を図りつつ、適切に対処してまいりたいと存じます。
  133. 中谷智司

    委員長中谷智司君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会