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2013-05-09 第183回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年五月九日(木曜日)    午前十一時十二分開会     ─────────────    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      石橋 通宏君     小川 勝也君      那谷屋正義君     金子 恵美君      藤本 祐司君     松浦 大悟君      石井 浩郎君     岡田 直樹君      亀井亜紀子君     舟山 康江君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中谷 智司君     理 事                 郡司  彰君                 徳永 エリ君                 野村 哲郎君                 長谷川 岳君     委 員                 一川 保夫君                 岩本  司君                 小川 勝也君                 金子 恵美君                 松浦 大悟君                 岡田 直樹君                 加治屋義人君                 福岡 資麿君                 白浜 一良君                 横山 信一君                 山田 太郎君                 平山 幸司君                 紙  智子君                 舟山 康江君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        文部科学大臣  谷川 弥一君        農林水産大臣  加治屋義人君        環境大臣    田中 和徳君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       稲津  久君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        農林水産大臣官        房総括審議官   山下 正行君        農林水産省食料        産業局長     針原 寿朗君        農林水産省生産        局長       佐藤 一雄君        農林水産省経営        局長       奥原 正明君        農林水産省農村        振興局長     實重 重実君        農林水産技術会        議事務局長    小林 裕幸君        林野庁長官    沼田 正俊君        水産庁長官    本川 一善君        水産庁次長    宮原 正典君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成二十五年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、平成二十五年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、平成二十五年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (農林水産省所管)     ─────────────
  2. 中谷智司

    委員長中谷智司君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十六日、亀井亜紀子さん、那谷屋正義君、藤本祐司君、石橋通宏君及び石井浩郎君が委員を辞任され、その補欠として舟山康江さん、金子恵美さん、松浦大悟君、小川勝也君及び岡田直樹君が選任されました。     ─────────────
  3. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、農林水産大臣官房総括審議官山下正行君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 去る七日、予算委員会から、本日一日間、平成二十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  林農林水産大臣から説明を求めます。林農林水産大臣
  6. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 平成二十五年度農林水産予算概要を御説明申し上げます。  平成二十五年度における農林水産予算総額は、関係省計上分を含めて二兆二千九百七十六億円となっております。その内訳は、公共事業費が六千五百六億円、非公共事業費が一兆六千四百六十九億円となっております。農林水産予算の編成に当たっては、攻めの農林水産業展開に向けた第一歩とするため、農林水産基盤整備輸出拡大対策競争力強化対策経営所得安定対策等予算を重点的に措置したところです。  以下、予算重点事項について御説明いたします。  第一は、国土強靱化農林水産業競争力強化です。  老朽化した農業水利施設漁港施設等長寿命化耐震化対策山地災害対策等を進めるとともに、担い手への農地集積加速化農業の高付加価値化のための水田の大区画化汎用化畑地かんがい等を進めます。また、農畜水産物安定供給のための施設整備や、高性能林業機械整備等推進します。  第二は、経営所得安定対策等推進です。  農地農地として維持するための日本型直接支払や担い手総合支援制度検討に向けた必要な調査を進めるとともに、平成二十五年度は、農業者農業を継続できる環境を整え経営安定を図る対策について、経営所得安定対策として実施します。また、中山間地域において農業生産活動を継続して行うための支援地域共同による農地農業用水等管理等活動への支援等を進めます。  第三は、担い手農地総合対策です。  各地域において、人と農地の問題を解決し、安定的に農業を継続できる体制を構築するための人・農地プランの作成・実行を推進するとともに、就農前後の青年に対する給付金給付法人雇用を進めてまいります。また、農地規模拡大に対する支援農地集積に協力する人への協力金交付耕作放棄地対策を進めることにより、農地集積加速化してまいります。  第四は、国産農林水産物消費輸出対策です。  先般設立された農林漁業成長産業化支援機構活用農林漁業者と多様な事業者とのネットワークの構築等を進めることにより、生産流通加工等の異業種が連携した取組を拡大してまいります。  また、日本農林水産物・食品の輸出食文化食産業海外展開を進めるため、川上から川下に至る総合的なサポート体制を構築するとともに、現場発の発想で国産農林水産物消費拡大輸出促進等取組支援します。  第五は、生産振興対策です。  野菜、果樹・茶、畜産・酪農、甘味資源について、品目ごとの特性に応じた対策を講じるとともに、各地域で深刻化している野生鳥獣による農作物被害に対し、地域ぐるみ被害防止活動、都道府県が行う広域捕獲活動等取組支援します。  第六は、再生可能エネルギー展開です。  農山漁村には、土地、水、風、バイオマス等エネルギー資源が豊富に存在しています。こうした資源地域が主導して活用し、再生可能エネルギー発電事業による収入地域農林漁業の発展に活用する取組支援するとともに、地域バイオマス資源活用等を進めます。  第七は、食の安全・安心、都市農山漁村共生対流等取組推進です。  国産農畜水産物安全性の向上や、家畜の伝染病農作物の病害虫の発生予防蔓延防止のための取組支援するとともに、消費者農林水産業や食への理解を深めていただくため、食材提供の場を活用した実践的な取組等食料生産から消費にわたる各段階における食育を進めます。  また、農山漁村活性化に向け、都市農山漁村共生対流を進める取組農山漁村における定住等を促進するための取組支援するとともに、都市における市民農園整備防災農地保全等を進めます。  第八は、森林林業山村振興対策です。  戦後に造成された約一千万ヘクタールの人工林資源として本格的に利用可能な時期を迎えております。公共建築物等への地域材利用拡大を図るとともに、森林吸収量確保のための間伐や路網整備等森林施業を進めます。また、森林の有する多面的機能発揮山村地域活性化のための取組支援するとともに、林業への就業前の青年に対する給付金創設等による人材確保育成を進めます。  第九は、水産業漁村振興対策です。  計画的に資源管理に取り組む漁業者に対する収入安定対策を引き続き講じるとともに、漁業への就業前の青年に対する給付金創設等による人材確保育成を進めます。また、地球環境保全漁村文化継承等水産業漁村が有する多面的機能発揮のための取組支援するとともに、産地から消費地までの流通過程目詰まりを解消するため、販売ニーズ産地情報共有化等支援し、水産物消費拡大及び流通促進を進めます。  次に、特別会計については、食料安定供給特別会計等にそれぞれ所要の予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画については、株式会社農林漁業成長産業化支援機構への出資のほか、株式会社日本政策金融公庫による財政融資資金の借入れなど、総額二千二百五十六億円を予定しております。  以上で平成二十五年度農林水産予算概要説明を終わります。
  7. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 以上で予算説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 岩本司

    岩本司君 連日お疲れさまでございます。岩本司と申します。国民の皆様に分かりやすい質問をさせていただきますので、分かりやすい御答弁をよろしくお願いいたします。  日台漁業協定、明日施行と、スタートということでございますので、日台漁業協定、また日台漁業取決め関係水域について質問をさせていただきます。  まず、日台漁業委員会台北で初会合開かれたわけでございますけれども、その現場出席された水産庁の方に現場報告をこの本委員会でまず最初にしていただきたいと思います。
  9. 宮原正典

    政府参考人宮原正典君) お答えいたします。  日台漁業取決めに基づきます第一回の日台漁業委員会につきましては、一昨日の五月七日、台北において開催されました。日本側としましては、委員として、公益財団法人交流協会の二名の委員、そのほか特別委員として、私のほか政府関係者、さらには沖縄から、沖縄海区漁業調整委員会上原委員我如古顧問、それから中島顧問という直接漁業にかかわってもおられる沖縄関係者も含めて参加させていただいたところでございます。  委員会はこの一昨日、五月の七日九時半から開始されまして、休憩を挟みながら、歓談を取りながら夕方の五時過ぎまで実施されました。この会合の中では、沖縄漁業関係者、特にこの三名の漁業関係者方々から直接現場情報など御発言をいただきながら、取決め適用水域における操業在り方につきまして我が国の考え方を再三にわたり台湾側に主張してきたところでございます。  しかしながら、残念ながら結果がまだ出ていない状況でございまして、今後、この取決め水域での操業在り方を含めまして粘り強く協議してまいりたいというふうに考えております。この協議では、特に沖縄関係者意見が反映されるよう、また特段の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  10. 岩本司

    岩本司君 次長、今、円満な報告ですけれども現場では、やはり沖縄県の漁師皆さん意見がもう相当、何といいますか、怒りが爆発するというか、途中退席したりとか、このまま協定、明日からスタートして本当にいいのかと、逆に日台関係が悪化するんじゃないかという心配もされているわけでございますけれども現場に行って、このまま明日からスタートしていって、粘り強く台湾側に主張するといったって、これスタートしてしまったら、もうこれ元に戻らないんじゃないですか。  本当はそれ、もう大臣も御苦労されていると思いますけれども議論をして、その議論の中でこういう、今日資料としてお配りさせていただいておりますけれども、ここまでは入っていいけれどもここまでは入っていけない、あるいは、以前、私がそちらに座らせていただいているときに宮古島等現場に行ったときに、漁師さんの意見の中では、台湾の船が来なくなったのでサメが増え過ぎて、サメ被害も出ているという意見も確かにありましたし、これちゃんと議事録に載っているはずであります。台湾の船に入ってもらいたい、来てもらいたいという方もいらっしゃれば、いやいや、ちょっとそれは困るという意見があったり、漁協皆さん意見自体がもうまとまっていないように私は実は感じております。  しかしながら、今回の日台漁業協定に関しては困るということで意見がまとまりつつあるとも私は聞いてもおりますし、私も現場に行っておりますので感じてはおりますけれども長官、このままスタートして、本当にこれいいんでしょうか。どうですか。
  11. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 日台協定につきましては、ここは日本台湾が入り交じって操業しておる水域でございます。その水域について、一定操業ルールなりを作るといったようなことを目指しまして協議を行ってまいりました。その過程では、沖縄の方からも御意見を伺って、中国と同じような広大な水域を対象にするのではなく、先島の南側の水域除外するであるとか、あるいは北側水域につきましても一定水域除外をしていく、例えば宮古島北方水域にはパヤオという浮き魚礁が入っておりますので、そういう水域については除外をするといったようなことをやりながら交渉をした結果でございます。  このようなことをやることによりまして、今後そういうルールを話し合っていく場ができたと、日台漁業委員会という場ができたということは第一歩であろうと思っております。  残念ながら、先ほど話がありましたように、今の段階日台漁業委員会一定の合意を見るに至っておらないというのは事実でございますが、私どもとして粘り強く交渉していくといったようなことでございます。  それに加えて、こういう線が引かれたわけでございますので、その線の外縁部取締船重点配置をして、きちんと、そこからはみ出てくるものにつきましては拿捕を含め厳正な取締りを行うといったようなことを私どもとしては対応していきたいと考えております。  それから、ルールがない中での操業一定被害が出るといったようなことが生じ得ようと思います。そういう場合には、政府としてそういう漁具の復旧について最大限支援するといったようなことを考えておるところでございます。  引き続き、私どもとしては御意見を伺いながら理解を求め、安全操業確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  12. 岩本司

    岩本司君 先月末、私は石垣と与那国島に、現場に行ってまいりまして、現場に行ったときに、組合長始めもう漁に出ていますので、海に出ているのを呼び戻すわけにいかないので、私も港で待って、じゃ、次の日の朝一ということで八時半過ぎぐらいに漁協に行って意見交換させていただいたんですけれども。前日、ちょっと今日は岩本さん、無理よと、ちょっと外出ているからあしたの朝しようというときに、それ一回電話を切った後に組合長から電話がありました、私の携帯に。岩本さん、今もうここ、与那国の島の近くにもう台湾船が来ているのよと。私も船チャーターして行けませんしね、次の日、場所を細かく聞いたんですけど。  今日お配りしている資料の、これ、(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、(オ)と書いていますけれども、この(エ)って、アイウエオのエですね、この小さい点、これが与那国島でして、この与那国島の、この真ん中の小さい点ですけれども、ここまでもう台湾船が入ってきているんですよね。これ、どういうことかといいますと、元々台湾が求めていた暫定の執法線があるんですけど、更にもうその中に入ってきちゃっているんですよ。こういうことが起こっているんですよね。  ですから、さっき取締りを強化するとおっしゃっていますけれども、これ、強化するどころか、もう既に執法線を越えて入ってきていると。この件に関して、長官も二日の日ですか、宮古島与那国組合長とも意見交換されたはずです、現場で、私が行った後に現地に行かれて。そういう意見は出ていませんでしたか。
  13. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 私、一日、二日と沖縄へ伺いまして、先島には二日に行ったわけでございますけれども、それに先立って、やはり今おっしゃったような、中島組合長からお伺いいたしましたが、暫定執法線の東側、日本側水域において台湾漁船が確認をされたといったようなお話を伺いました。それから、(エ)と(オ)と(カ)というこの三角形の中にも、協定法的効力を持つ前に台湾漁船操業が確認されたと。これに対しましては、私ども取締船を急派いたしまして、そこに派遣いたしまして、台湾漁具を切断をして回収をして暫定執法線より北側水域台湾側に戻すといったような対応も、強硬措置もとったところでございます。  今後、十日以降は、この海域に十隻体制でそういう取締りを行いたいと考えております。常時この海域には、三年前は三隻でありましたが、一隻ずつ増やしまして五隻を配置するということにいたしております。それに加えまして、この五月、六月におきましては、水産庁四十一隻の取締船のうち十隻をこの海域に派遣をいたしまして、特に(ア)、(サ)、(コ)、(ク)、(カ)、(オ)、(エ)という外縁部において取締船洋上配置をして、そこからはみ出てくる台湾漁船についてきちんと取締りをしたいと思っておりますし、それから南の水域におきましても、重要な曽根、そういう魚が捕れるような保護区、そういったところできちんと配置をしていきたいと思っております。  ただ、十隻で全部できるのかというお話がございます。我々としては、漁業者の方にお願いをして、民間監視といいますか、そういうこともやっていただけるような形でお願いするような事業も検討していきたいと考えているところでございます。  いずれにしましても、御指摘のような漏れがないように、我々として可能な限りの努力をしていきたいと考えておるところでございます。
  14. 岩本司

    岩本司君 長官、私、現場から長官にお電話しましたですよね、組合長が前にいて、朝。あのときに私がなぜ電話したかというと、いや、どうせ、あさって長官来られるからそのときに平場で言うと言うけど、いや、そういう問題じゃないと。またあした来るかもしれないし、それがもう事実としてどんどんどんどん重ねられると、国益どころか日台関係がもう悪化していくわけですから、そういうことをさせないようにということで電話を替わらせていただいたんですけれども。そのときに、何度も水産庁電話をしたけれども来てくれなかったと、そういうことなんですよね。  ですから、今後はすぐに、もうこの委員会終わった後にでもすぐに、向こうの組合長だけじゃなくて、組合方々から水産庁電話が入ったらすぐ現場に急行できるような体制をもう急いでつくっていただきたいというふうに思います。日台関係、良かれと思ってやったことが悪化するようなことになったら、何のためにこれやっているかが分かりませんし、これにまた中国も便乗してきたり、またどんどんどんどんもつれていくと最悪の状況になりますので、これは急いで取組をしていただきたいと思います。  冒頭申し上げました宮古島サメでございますけれどもサメ駆除支援はどのようになっていますか。どなたでも結構ですから。
  15. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 沖縄県に実態を確認させていただいたところ、やはりおっしゃるように、宮古島漁業者の方が底魚のマチ類を釣り上げるときに、洋上に上げるまでの間にサメが寄ってきてその魚を食べてしまうと、せっかく釣った魚をですね、そのような被害があるということでございました。  沖縄県に対してその駆除の件について確認しましたところ、いわゆる離島漁業再生支援交付金といったようなものを活用して取り組んでおられるといったようなことでございまして、宮古島では池間地区で取り組んでおられます。これ以外にも、沖縄では四地区でそういう離島漁業再生支援交付金を使ってサメ駆除に取り組んでおられるといったようなことでございます。  ちなみに、二十三年度は全国で二十一億円の配賦がありましたけれども沖縄県では九千約二百万、そのうち宮古島では七百六十七万円、それから池間漁協には百七十六万円が交付されておりまして、こういうものを活用して取り組んでおられると。はえ縄を作って二十九匹のサメを捕獲されたといったような実績で取り組んでおられます。  いずれにしましても、こういう離島漁業再生交付金を使って取り組んでおられる事例がございますので、サメ被害に苦しんでおられるところに対しまして離島漁業再生支援交付金活用というものを働きかけてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  16. 岩本司

    岩本司君 サメが魚だけに食らい付くわけじゃないんですよ。漁師さんやサーファーですか、ダイバーですか、もう既に被害を受けているんですよね。  そこで、冒頭申し上げましたけれども、今は日台漁業協定に対してもう怒りでまとまっております、意見は。しかし、当時、この漁業協定の前の段階では、先ほど申し上げましたけれども台湾船サメ漁で来られなくなってからサメが増え過ぎたという意見、これ議事録にも、水産庁、保管していると思いますよ、私聞いていますから、現場で。職員も同行させておりますので。そこでそういう意見もあったわけですね。やはり世の中で一番、世の中というか、一番大切なのはお金じゃなくて命ですから。まあその次はお金でしょう。お金があれば命をつなぐこともできるし、守ることもできる。この命を守るために、サメに対して、サメ漁のために漁を休んで一定期間サメ漁をして、さらにそのサメを陸揚げしても、処分する施設もないわけですよ。  そこで、予算がどのように今回付けられているのか。具体的にお金は幾ら付けていますじゃなくて、この予算製氷といいますか、氷の施設、当時、これ、水産庁というか農林水産省予算じゃなくて、その箱物防衛省予算で造られているんですね。しかし、それはもう終わった話かもしれません、今は予算付けられますから。それを、製氷の、氷の、何というんですか、施設や、あるいはサメ駆除したときの処理施設が今回の予算でそれ箱物としてできるのかどうか、お答えいただけませんか。
  17. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 漁獲したサメについて加工しようとする場合に、その加工処理施設整備につきましては、強い水産業づくり交付金というものの活用が可能だと思っております。  御指摘の例えば池間漁協製氷冷蔵施設につきましては、これは防衛省支援金の方で整備されたようでございますが、私どもの方でもそういう箱物、いわゆる施設を造る補助金がございますので、そういうものの御活用を御助言してまいりたいというふうに考えております。
  18. 岩本司

    岩本司君 過去の経緯があって防衛省予算というのは、それはもう昔の話で、今はもうしっかり水産庁で対応していただきたいというふうに思います。  それと、つい最近まで、台湾漁師さんと沖縄漁師さんは海の上でお互いの国のたばこや雑誌や、そういうのを交換したり、いいコミュニケーションを取っていたんですね。魚が捕れないときは逆に多く捕れた魚を相手に渡して帰らせたり、それはお互いさま、海の上、みんなの海だということで仲よくやっていたんですね。しかし、今もうこういう状況になって、けんかどころか、もう憎しみ合うような、そういう海に変わりつつあるわけです。これをやはりまた元に戻すといいますか、台湾と仲よく漁をし合う、そういう環境にしていかなきゃいけないわけでありますけれども。  私は、こちらの言い分だけじゃなくて、台湾台湾の言い分があるんですね。ですから、台湾の言い分もしっかり聞きながら、こっちの主張ももちろん、譲れないところは譲れない、しかし、そこの折り合いといいますか、さっきの申し上げた、サメは捕ってもらいたいという意見はあったわけですから、じゃ、台湾皆さんサメをもうちょっと、これだけ捕獲してもらえませんかとか、そういう交渉は、宮原次長現場で今度やってもらえないですかね、行って、そういう交渉を。
  19. 宮原正典

    政府参考人宮原正典君) 日台漁業委員会の中では、日本ばかりでなく台湾側漁業関係者が出ております。そういう現場皆さん意見を聞きながら、実態に合ったルール作りに努めてまいりたいというふうに考えております。
  20. 岩本司

    岩本司君 元々これは操業ルールを決めた後にこの線引きの交渉もすべきというか、何かこれ逆だったというか、今回の流れが、そう痛感しておるわけでありますけれども。  沖縄漁師さんたちはもうこれじゃ納得いかないと思うんですけれども、唯一、私が現場へ行ったときに助け船もいただきました、水産庁長官にもアドバイスいただいたと思います。この今日お配りした地理的中間線、ここだけは守ってもらいたいという意見であります。ここをほったらかしにして、なぜ漁業協定を結んだのかということなんですよね。ここをはっきりしておかないと、結局、漁業協定、明日からスタートされて、ここはまた一からやり直すんじゃなくて、鉄は熱いうちに打てじゃないですけれども、今回、何とかこの地理的中間線、ここの交渉を追加的にというか、何といいますか、盛り込むことというのは今からもう遅いですか。  これは、現場漁師さんたちの本当の願いで、ここだけ守ってくれるんだったら、もうあとはのもうと言っていただいているんですよね。ここを何とか死守すれば収まる可能性が私は見えてくると感じているんですけど、いかがですか。
  21. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 多少、交渉の経緯になりますけれども日本は国連海洋法条約に入っておりますので、この二百海里、距岸から二百海里というのを排他的経済水域として主張しております。それが、このまさに地理的中間線という非常に太い線でございます。一方、台湾は国連海洋法条約に入っておりませんので、歴史的に自分たちが使用してきた海域について排他的経済水域だという主張をしておられます。それが、この海域では、台湾の主張と我々の主張が重なっておるという実態にあったわけであります。そこを整理すべく、過去十六回にわたって調整をして、協議をしてきたというのがこれまでの経緯でございます。  今回、例えば南側の水域、先島から南側の水域については協定の対象にしておりませんので、ここについては地理的中間線を守って、これよりも東側に入ってくる台湾漁船については拿捕を含む厳正な取締りを行いたいと考えております。  一方、先島諸島の北側水域につきましては、地理的中間線を含んでこういう法令適用除外水域なりを設定をするということになりましたので、この水域については法令適用除外水域というものが存在をし、その外縁からはみ出てくるものについて、私どもとしては拿捕を含む厳正な取締りを行うといったようなことで対応していきたいと考えているところでございます。  南については、いずれにしましても、地理的中間線をきちんと守って対応していくということでございます。
  22. 岩本司

    岩本司君 よろしくお願いします。  それと、具体的にさっき宮古島と申し上げましたけれども、この宮古島というのは、この(カ)、(キ)、(ク)、(ケ)、(コ)の(ク)の下の島ですね。沖縄の本島に一番近い島、ここの近くまで、当時、私、視察行ったとき、現場に行ったときに、組合長さんたちの意見は、サメ漁としてだったら台湾船入ってきてもいい、逆に入ってもらいたいみたいな意見があったわけですよね。  こういうことも交渉の中に入れて、地理的中間線は守るけれども、逆に、宮古島漁師さんたちにも喜ばれ、台湾皆さんにも喜ばれるんであれば、ここもまた議論の中に盛り込むというのか、それはどうですか、意見として。
  23. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 一つのアイデアであろうというふうには思うわけでございますが、ただ、台湾の漁船がどのような形でサメを捕っているかといいますと、マグロと同じようにはえ縄を使ってサメを漁獲しておられるというふうに聞いております。マグロの場合には三十キロ、四十キロというはえ縄を流して、それに針をぶら下げて漁獲をするという漁業でございますので、例えば宮古島近辺までそういう三十キロ、四十キロというはえ縄を流す船が来てサメを捕るということになりますと、これはやはりいろいろな問題が出てくる。例えば、浮いているパヤオに縄が絡まったりしてパヤオ自体が流れてしまうとか、そういった問題が想定をされます。その辺も含めて業者の方と意見交換をしながら、宮原次長に対応していただきたいというふうに考えております。
  24. 岩本司

    岩本司君 それはもうしっかり意見交換されてください。  というのは、以前はサメ漁台湾船がどんどん入ってきたからサメがいなくて安全だったという意見が事実あったわけですから、これ、議事録に載っていますからね。だから、そこのところを本当に何度も何度も、もう今も長官は足運んでいらっしゃると思いますけれども、足を運んで漁師さんたちの意見を聞いて、あと台湾側との交渉も、その意見を十分取り入れて、さらに相手にも喜ばれるような、両方喜ばれるのが一番いいわけですから、その接点を見出す努力を重ねていただきたいというふうに思っております。  この議論を、大臣、聞かれていると思いますけれども大臣からこの件に関して御所見をいただきたいと思います。
  25. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、岩本委員からは、こちら側におられたときの話も含めて大変貴重なお話をいただいたと、こういうふうに思っております。  私も何回も漁業関係者の方も含めて来られたときにいろんなお話をお聞きをする機会がございました。  沖縄からの御要望の中で、相手との話の場に是非現場漁業者を直接やっぱり出してもらいたいという強い御要望がありまして、これは我々はかなり強くプッシュをしていただいた結果、先ほど次長からお話があったように、その場に出ていただいて、向こうからも来ていたということでございます。  こういう場でございますから、先生がおっしゃったように、その場でたばこを交換するというような雰囲気ではなかったかもしれませんけれども、やっぱりいろんなきちっとした仕組みをつくっていく中で、今までは全くこういうことがなくて、したがって操業ルール、最初に操業ルールを決められれば一番いいのかもしれませんが、それをどこで話し合うかという場すらなかったということでございまして、今回、この委員会を設置して、そこに現場の人が出ていって話して、そこで話し合って、もしそこで決まればこれがきちっとしたものになるという仕組みを第一歩としてつくったということでございますから、今先生がおっしゃったようなことも含めて、よくよく、まずは我々、特に水産庁沖縄皆さん現場漁業をやっていらっしゃる皆さんと一体となってその意見を呈して、そして最終的には、大変いいことを今おっしゃっていただいたと思っておりますが、相手もやっぱり良かったなというふうに最終的には思ってもらえるようなウイン・ウインの形になるようにしっかりと努力をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  26. 岩本司

    岩本司君 この台湾日本関係もそうですけれども大臣の御地元の山口県、私の地元の福岡県、山口県の漁師さんも福岡県の漁師さんも、今度は台湾じゃなくて、中国台湾じゃなくて韓国との海域で、小競り合いどころか、正直言って二日、三日、四日掛けて国境のそばまで行って、福岡にしても山口にしても漁師さんたちが行って、行ったところでもう既に韓国の漁船が入っていて、一日、二日だったら海の上で待てるんですよ。しかし、四日も五日も待たされると、何も漁もできずに、ガソリン、油代を払ってまた戻ってくると、泣き寝入りで。それはなぜ戻ってくるかというと、それは国益のことも漁師さんたちは考えてくれているんですよね。自分たちのことを考えたら、もう韓国の漁船に対して、あなたたち、いいかげんにしなさいと、私たちを三日も四日も待たせて、今度私たちに捕らせてくれよという交渉もしたいけれども、波風が立って両国の関係が悪くなっちゃいけないというそういう思いで、もう泣き寝入りといいますか、泣く泣くまた帰ってきていらっしゃるんですよ。  これは韓国と福岡、山口の漁師さんたちの間でもそうですけれども、これは沖縄漁師さんたちもそうなんですよね。本当は自分たちはどかしてでも中に入って捕りたいと、いいかげん、三日も四日も待たされているんだから。しかし、両国間の友好関係を考えながら泣く泣く帰ってくると。そこの補償もないということであります。  この補償について、大臣、これ私、通告しておりませんけれども、今後何らかの手当てを、こういう、本当に行って、三日、四日掛けて行って現場で漁もできなくて泣く泣く帰ってきた場合、これ事実として行って帰ってきたという、うそじゃなくて事実がある場合は、何らかの手当てといいますか、思いやりといいますか、何か考えてあげるべきだと思います、今後。御所見をお願いします。
  27. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに地元の福岡県や私のところの日本海側、山口県ですが、韓国、それからいっとき中国との間もいろいろございました。向こうからのごみも流れてくるようなことも含めていろいろなことがありましたので、本当に委員のおっしゃるお話、私も地元でいつも漁業者の方と膝を交えて話すと出てくるんですが、本当に今おっしゃったように、やはり最終的には国に迷惑を掛けられないなというようなことをおっしゃるんです。本当に胸に刺さるような気持ちでございますが。  そういった意味で、今回の話も、今双方が向かい合うところまで、同じ委員会のところで、ちゃんと漁業者が向こうからも来て話合いができている状況でございますから、これを継続して、なるべく早く安定的な操業秩序を確立していかなきゃいけないと、こう思っております。  したがって、そういうふうになるまでの間、例えば、残念ながら、先ほどちょっと長官からもありましたけれども、例えば漁具被害というものが出た場合にこれを復旧していくということ、こういうことにはしっかりと支援をしてまいりたいと、こう思っております。  やっぱり、やる気というんですかね、浜の人が元気で、燃料代掛けても出ていってやってくるぞと、やっぱりこういうふうに思っていただくことが大事でございまして、漁具被害にとどまらず、今後も緊密に、先ほども申し上げたように、沖縄現場の方と連携を取って、総合的にどういう漁業の振興対策ができるのかという大きな視点でしっかりと検討してまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  28. 岩本司

    岩本司君 あと、長官にお願いしたいんですけれども沖縄県も福岡県も、山口県もそうですけれども、国境すれすれまで行って、まあ北海道もそうでしょうけれども、漁をされている方々、本当に板一枚、海の上で体張ってみんな頑張っているんですよね。そういう方々が漁に出るときに、ある程度情報交換しながら、あわせて、私は水産庁取締船を出す必要が、連携しながら、あろうかと思うんですよ。  漁に行って、現場台湾やら韓国の船と遭って小競り合いして、連絡したときにはもう相手国の船がいなかったり、あるいは三日、四日、海の上でずっともう待っていても水産庁の船も応援にも来てくれないようなこの現状を、これをやっぱり変えなきゃいけないと思います。漁師さんたちがいつごろ漁に行く、また戻ってくるとか、そういうところの情報を的確にキャッチしながら、漁に行かないときにそんなもう、別に水産庁の船飛ばして行かせたって、もちろんそれはそれで重要ですけれども、それよりも、漁に行ったときに合わせて水産庁の船で守ってあげるというか、そういう取組をする必要があると思うんですけれども長官、どうですか。ちゃんと現場に指示してもらえないですか。
  29. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 先ほど御指摘があった日本水域につきましては、私ども、その盛漁期、まあ冬の時期でございますけれども、その時期には取締船をここと同じように、沖縄水域と同じように重点的な配備をいたしまして、私どもの船の特徴は、洋上でとどまって、境界線を越えてくる相手国漁船を見ながら、レーダーで見ながら監視、取締りをしていくといったようなことをするということが特徴でございます。  この沖縄水域におきましても、先ほど申し上げたような、この取決め適用水域外縁部におきまして、そこに船を常駐させて、とどまらせて、洋上にとどまらせて、そこでレーダーを見ながら、はみ出てくる船がいないか、漁具がないかといったようなことを取り締まっていくということでございます。  したがって、盛漁期にはこの水域に必ず水産庁の船が何隻か洋上におりますので、そういう意味では、御一報いただければ那覇で、事務所できちんと受ける人間がおりますので、そこに一報いただければ水産庁の船がそこに急行するといったような体制を整えておりますので、そのような形できちんと運用していきたいと考えておるところでございます。
  30. 岩本司

    岩本司君 だから、長官、さっき、冒頭申し上げたじゃないですか。現場から電話で替わってもらったでしょう、与那国中島組合長と。中島組合長現場に、その与那国島の、もうこの(エ)って書いている暫定執法線を越えた中にまで、もう島のそばまで来ているのに、水産庁に何度も何度も電話したけれども連絡も付かないし来なかったと、それで私のところに電話掛かってきたわけですから。ですから、連絡があってもなかなか来てくれてないので、今後、それはやっていますと言うのは、それは指示していますけれども、指示はしていても現場は言うこと聞いていないわけですから、すぐ急行できるような体制を取ってくださいと申し上げているんですから。
  31. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 沖縄総合事務局に上席漁業監督指導官で島尻というのがおります。彼の電話に一元的には集中するようにしておりますので、私参ったときに、(エ)、(オ)、(カ)にはみ出てきた船があった、そのときからそのような体制を取るように指示をしておりますので、これまでやってきたということではなくて、これからそういう体制を取るということで申し上げたところでございます。
  32. 岩本司

    岩本司君 よろしくお願いします。  終わります。
  33. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  34. 中谷智司

    委員長中谷智司君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  35. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 自由民主党、北海道の長谷川岳です。  農林水産業全般について質問をさせていただきたいと思います。多くの皆様に御出席をいただいたことを感謝申し上げます。  まず最初に、野村筆頭と併せまして、現在、TPPの対策委員会第四グループの副主査として、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物等の農林水産物の重要品目が引き続き再生可能となるように除外又は再協議の対象となることを求めてまいりました。  今回、このTPPの交渉参加を安倍総理、表明されましたが、私たちは農林水産分野におけるコアとなる主張が受け入れられない場合はTPP交渉からの脱退も辞さないというふうに考えておりますが、大臣、再度お考えを確認させていただきたいと思います。
  36. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今委員からお話がありましたように、参議院のこの委員会で四月十八日、また農林水産委員会、衆議院の方でも翌日十九日に同様の決議がなされておりまして、そこで「農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること。」ということが明記をされております。したがって、これはあってはならないことですが、仮にそういう場合には、この委員会の決議を踏まえながら判断をすると、こういうことになろうかと思います。  なお、これは何回か私も申し上げているんですが、現時点でどのような場合に交渉から脱退すべきかということは手のうちを明かすということにもなってしまうこともございますので、そういうことは今申し上げることは適当ではないというふうに考えております。
  37. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 TPP交渉に当たっては、農林水産省を始め多くの省庁がかかわっておりますが、やはり気になるのが各省庁間の情報共有、連携という部分について私は大変、確認をさせていただきたいんですが、いかがでしょうか、政府に。
  38. 山下正行

    政府参考人山下正行君) TPP交渉協議に関する各省間の情報共有に関するお尋ねでございますけれども、先月五日、閣議決定によりまして、TPPに関する主要閣僚会議の下に甘利経済再生担当大臣を本部長とするTPP政府対策本部が設置されたところでございます。  その中で、国内総合調整を担当する国内調整総括官と交渉を担当する首席交渉官を設置することなどによりまして、複数の分野にわたって交渉に関係する各省が情報を共有しながら一体的に対応できる体制整備されたと理解しております。実際、政府対策本部の体制整備されて情報の共有が図られていると理解しております。
  39. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 連携、情報共有をしっかりとしていただきたい、そのように思います。  次に、先月、安倍総理、ロシアを訪問されまして、プーチン大統領と農業分野における協力を推進することで一致しましたが、政府としてどのような後押しをされるのか、これ、大臣に直接伺いたいと思います。
  40. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 実はロシア側からは、かねてより日本からの農業協力と、これに対する期待が大変高くあったわけでございまして、総理が訪ロをされまして、首脳会談においてもプーチン大統領の方からの発言もございまして、両首脳の間で、農業、食品の分野で日ロ協力の推進について一致したところでございます。  ロシアに対する農業協力に当たっては、民間企業が中心となって、その有する資金を活用した農業投資を行うと。民間が持っております寒冷地農業の技術、それから近代的な農業施設の導入ということを進めることによって、ロシアにおいて持続可能な農業生産の向上を期待していこうと、こういうことでございます。  日本農業設備や資材の輸出、それから食文化の発信、こういうことと相まって高品質な日本の農産品への関心を高めて、国産農産物の輸出拡大にもつなげていきたいと思っております。  こうした観点で、北海道銀行とアムール州との間での協力はロシアへの農業投資のこれは先行事例といいますか、パイロットケースとして非常に重要だと、こういうふうに考えておりまして、我々政府としてもロシア政府と協力しながらこの民間の投資を後押ししてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  41. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 確認ですが、農水省としてはこのような動きをオフィシャルに支援されるという認識でよろしいでしょうか。
  42. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変意義があることでございますので、しっかりと後押しをしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  43. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 次に、円安対策についてお尋ねいたします。  安倍政権前から円安傾向が進んでおりますけれども、円安は原油などの輸入品の高騰をもたらします。漁業用の燃油は漁業活動に不可欠で、経営コストに占める割合は非常に大きく、燃油価格の高騰というのは漁業経営に大きな影響を及ぼします。  水産物消費者物価は二〇〇七年からずっと下がり続けておりまして、特にここに来て燃料費の異常な高騰でありますから、やはり燃料費の異常高騰に対する緊急措置というのは私は必ずとるべきである、そのように思いますが、いかがでしょうか。
  44. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) お答えいたします。  この円安、原油価格の高騰の影響を受けまして、漁業の燃油の高騰、大変厳しゅうございます。速やかな対策等求められるところでございますけれども、この燃油価格の高騰が漁業経営に与える影響を緩和するために、漁業者と国が毎年度積立てを行いまして、価格が高騰したときに補填する、いわゆる漁業経営セーフティーネット構築事業、これを実施しているところでございまして、このような現行の事業の適切な運用がまず基本であると、このように考えております。  なお、今御質問の予期しないような異常高騰の場合に、この異常高騰分についてどのような対応を行うことができるのか、このことについて六月中にも一定の方向を得られるように今後検討していきたいと、このように考えているところでございます。
  45. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 異常高騰こそできるだけ早急な対応をしていただきたい。まあ六月中旬というふうに見立てもいただきましたので、しっかりとした対応をお願いしたいというふうに思います。  さらに、漁業共済制度につきましては、漁業の安定対策として漁業共済制度を設けられておりますが、基準金額、過去五年中の五中三になっておるために漁業収入の減少が継続した場合は補償水準が低下して、経営安定対策として有効に機能しないおそれがあると。今、こういう魚価も下がっている状況でございます。  したがいまして、漁業収入の減少が継続した場合に漁業共済制度における補償水準の見直し等をする必要があるというふうに思いますが、いかがお考えか、お聞かせをいただきたい。
  46. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 御指摘のように、漁業共済制度については、次年度以降の漁業経営の継続のために必要な経費について補填をするという観点から、直近五年間の収入のうち最大値と最小値を除いた中庸三か年の平均、いわゆる五中三方式を補償水準として採用しております。  御指摘のような大きく下がっていくような状況ではこれがどんどん下がっていくという心配がございますので、私どもとして、四年を一セットとする長期継続契約、こういうのを行った場合には、漁獲金額が減少を大幅にしたとしても、補償水準を九割の下限まで切り上げるという措置をとっております。これは資源管理収入安定対策、いわゆる積立ぷらすにおいても同じような補償水準を取っているということでございまして、今ほとんどの漁業者の方がこの長期継続契約に入っていただいておりますので、こういうようなものを活用して漁業経営の安定対策として有効に機能するように運用してまいりたいと考えているところでございます。
  47. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 次に、近年、トド、オットセイ、ゼニガタアザラシによる漁業被害漁業経営に深刻な影響を及ぼしております。  今日、一つの今回の委員会質問の山でもあるんですが、トド、ゼニガタアザラシ採捕枠の拡大並びに駆除、追い払いなど、漁業被害防止対策の充実強化を図るべきだというふうに思います。  中国は中華人民共和国野生動物保護法というのがありまして、重要保護野生動物を保護することによって農作物その他の損失が発生した場合は、現地政府により補償されるという制度があります。日本でも、私は、やはりゼニガタアザラシなどの絶滅危惧種あるいはトドなどの準絶滅危惧種等の保護動物による被害に対しては国がやっぱり責任を持って補償する、やはり保護と補償というのはセットであるべきだというふうに思いますが、農水省としてはどのようにお考えか、お聞かせをいただきたい。大臣にお願いしたいと思います。
  48. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、トドによる漁業被害ということでございますが、食害ですね、これは食べる、それから漁具の損壊、これをやはり防止をするということが基本であろうというふうに考えておりまして、駆除に加えて、追い払ったり、改良漁具の開発をしたりということを実施してきております。  捕獲頭数枠をやはり順次拡大していくということ、これは科学的根拠に基づくということでございますが、それからトドの逃げ場所を与えない一斉駆除の導入、それから光や音の追い払いの導入ということで、実績も、平成二十二年度百五十七から平成二十四年度二百五十七ということで上がってきておるところでございます。また、定置網の中で強化網の導入を支援するということと、それから強化刺し網の開発をやると、こういうことをやってきたところでございます。  さらに、収入安定対策事業というのがございまして、ここで不漁や自然災害のほか、トド被害による生産金額の減少も含めて、漁業者収入の減少を補填しているという仕組みがございますので、今後も漁業者皆さんの要望を踏まえながら、まず捕獲枠を拡大するという先ほど申し上げたことや、被害防止対策の充実強化、しっかりとやってまいりたいと思っております。
  49. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 今日は環境大臣の田中副大臣にもお越しいただいておりまして、大変環境行政では見識のある副大臣だという認識をさせていただいておりますが、やはり中国のこのような法律によって保護と補償が一緒になっているというのは私は大事だと思います。環境行政では進んでいるはずの日本が、やはり中国のこのような制度をまさか見逃しているはずはないと、そのように思っておりますけれども、副大臣、この点について農水省としっかり協議をしていただきまして、やはりセットで、保護と補償というのをセットで考えていただかないと、やはり一次産業の被害はこれからますます進むだろうと、その観点でお答えをいただきたいと思います。
  50. 田中和徳

    ○副大臣(田中和徳君) 長谷川先生のもう度々のお話でございますし、北海道の地元の皆さんからも環境省の方にも御要請に何度もお運びをいただいて、私も被害状況についても十分把握しているつもりでございます。  ゼニガタアザラシについては絶滅危惧種であるということで、音波だとか、網への侵入回避ということで音波なんかを使っているわけですが、被害防除を中心として総合的な保護管理対策の検討を行っています。  野生鳥獣による漁業被害については、日本では過去に被害補償を行った例がないわけですね。ですから、難しい面もありますけれど、ゼニガタアザラシと漁業の共存を目指して、農水省とも十分協議をしながら、また何か新しい方法なども検討させていただければと、こう思っております。
  51. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 ありがとうございます。  林大臣、しぶとく聞かせていただくようですが、協議をしていただけるということでよろしいでしょうか。環境省との協議についてお答えをいただきたいと思います。
  52. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、環境大臣から前向きなお話があったところでございますので、我々もしっかりと相談をしてまいりたいと思っております。
  53. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 ありがとうございます。  次に、近年、農家戸数の減少、高齢化が進行する中で、農業の持続的な発展を図るためには、新規就農者の育成確保担い手の所得の確保と経営の安定など、担い手対策の充実強化が重要な課題です。こうした担い手の所得を確保する経営所得安定対策生産性が高く、専業的な農業経営の努力がより報われる制度が必要と考えておりますが、今後どのような対策をお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  54. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 戸別補償制度については前にも御議論をいただいたところでございます。  平成二十五年度は名称を経営所得安定対策に変更した上で、平成二十四年度と基本的には同様の仕組みで実施することとしております。本格的な見直しは平成二十六年度に向けて行っていく計画であります。  なお、平成二十六年度に向けては、これまでの制度の実施状況を検証し、農業者や地方公共団体等の生産現場の意向をよく把握しながら与党と十分に検討して進めてまいりたいと思っております。
  55. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 農業の発展の基礎となる品種開発に係る研究予算について伺いたいと思いますが、国の支援額が大幅に減少していると。バレイショなどは病害が問題となっており、病害に強い品種の開発等が求められております。  そこで、やはり、このバレイショのみならず、継続的に優良品種を開発していくためには、交配の段階から開発普及に至るまでの研究予算、これはやはり安定的に確保していくことが必要だというふうに思いますが、国の支援額を増やすお考えはございますでしょうか、お聞かせをいただきたい。
  56. 小林裕幸

    政府参考人(小林裕幸君) 先生御指摘いただきました品種開発の件でございますけれども、他の農業技術と比べましても、もしいい品種ができますと、生産者にとって導入コストが小さいにもかかわらず広く普及すれば経済効果が大きいという特徴を持っております。その一方で、御指摘いただきましたように、品種開発には多大な時間と手間とお金が掛かります。したがって、計画的、継続的に品種開発を進めることが何よりも重要であろうというふうに思っております。今お話しいただきましたバレイショの病害虫につきましても、大変これは大きな問題でございますので、現在も病害虫に強い抵抗性品種の育成というものに取り組んでおります。過去五年間で六品種、そういう強い品種も育成しております。  今後とも、引き続きこういった品種開発について計画的、継続的に取り組めるよう、予算措置も含め、精いっぱい頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  57. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 次に、酪農経営について伺いたいと思います。  やはり労働時間が非常に長いと。我々の同じ年代の酪農経営者というのは、やはり休みが一日でも週に取れればというような思いを持ったメンバーも多くおります。やはり酪農家がこういったゆとりある経営や生活を実現するとともに、傷病時においても安定的に経営継続していくためには、酪農ヘルパー組織というのが円滑に機能する必要があると思います。しかし、その酪農ヘルパー利用組合事業運営基盤、非常に脆弱でありますし、その基盤強化、この円滑な運営に対してやはり支援が必要であると、そのように考えますが、どのようにお考えかを伺いたいと思います。
  58. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 長谷川先生の御質問にお答えします。  今先生まさにおっしゃっていただいたように、非常に酪農経営におきまして休日がないといったような声が多く寄せられているところでございまして、この休日の確保あるいは疾病のときの経営の継続を図るという中で、この酪農ヘルパー制度というのは非常に重要なものだと思っております。  このため、先ほど先生の方からもお話にございましたが、平成二年度から五年度にかけまして四十六の都道府県で基金を、地方基金を造成いたしまして、酪農ヘルパー事業円滑化対策事業と呼んでいるんですが、この地方基金によりまして酪農ヘルパー利用組合の運営経費等について助成しているところでございまして、この地方基金による助成は平成二十五年度までというふうになっているところでございます。  この地方基金につきましては、平成十六年度に十年間で利用組合を自立させるということを前提として取り崩して使用していくといったような形態としているため、単純に継続することは困難というふうに考えております。  ただ、今年の平成二十五年度の畜産物価格のときに、先生を始め関係者皆さん方からの意見を踏まえまして、別途、毎年措置しております酪農経営安定化支援ヘルパー事業という事業を拡充しまして、ヘルパーを活用した生産基盤の強化ということで研修あるいはヘルパー利用組合の強化ということで経営改善のための経営診断と、こういった自主的な、地域の自主的な取組支援するということを開始したところでございます。  二十六年度以降の酪農経営安定化支援ヘルパー事業在り方については、この二十五年度の実施状況も踏まえつつ、さらに関係者意見もよく聞きながら検討していきたいと、かように考えているところでございます。
  59. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 是非現場の実情を踏まえた運用をしていただきたい、そのように思います。  あともう一つ、砂糖の原料であるビートの作付面積、北海道では減少傾向にあります。畑作の輪作体系を維持するためには作付けの面積の維持増大が課題でありますが、コスト、手間が掛かる、機械に老朽化が見られるというのが減少の理由であります。  そこで、農業支援組織の育成、共同育苗施設整備、高性能農業機械導入を進めることが必要というふうに考えますが、いかがお考えか、お聞かせいただきたい。
  60. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 先生の今御質問のてん菜の関係でございますが、今先生の方からお話ありましたように、てん菜の栽培につきましては非常に労働時間が長いといったような特徴がございます。こうした状況の中でてん菜の生産確保していくといったことが必要になるわけでございますが、やはり農作業の受委託の推進等を通じて農作業の労働力不足に対応していく必要があると考えているところでございます。  このため、平成二十四年度の補正予算で二百十五億円、今回の二十五年度の当初予算で二百四十四億円を計上させていただいておりまして、いわゆる強い農業づくり交付金におきまして共同育苗施設整備、これをしっかりやっていきたいというふうに思っております。  また、これに先立ちまして、二十四年度補正でございますが、このてん菜の生産確保するということで、直播機あるいは移植機、収穫機などの共同利用機械施設、こうしたものに対する支援措置を二十四年度の補正で合計で六十五億でございますが、こうしたものを講じているところでございまして、これらの事業活用しながら、引き続き、てん菜の生産確保、北海道畑作の輪作体系の維持に努めていきたいと、かように考えているところでございます。
  61. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 輪作体系の維持のためにしっかりとした対策をお願いしたいと思います。  林業を一問だけ質問させていただきます。  需要の創出、拡大などの川下対策が必要でありますが、市町村は木造公共施設整備に取り組んでおるんですが、財政状況が非常に厳しいということで、なかなか森林資源の循環利用というのが進んでいないというのが私は現状だというふうに思います。市町村の負担を軽減する施策が必要ではあると思いますが、いかがでしょうか。
  62. 沼田正俊

    政府参考人(沼田正俊君) お答え申し上げます。  公共建築物の木造化でございますけれども、こういった公共建築物の木材利用促進法に基づきまして、木材利用の促進に関する方針づくりを進めておりまして、そういった意味で、市町村でも現在、千百十四策定していただいているところでございます。  こういった木造公共施設等の整備における市町村の負担を軽減ということでございますけれども平成二十四年度の補正予算におきまして木造公共施設整備支援を措置しております。そして、二十五年度の当初予算案でございますけれども、ここの中でも同様な措置、そして木造公共建築物の設計段階からの技術支援を措置させていただいているところでございます。  さらに、市町村が木造公共建築物を整備する場合に、例えば地域活性化事業債を始めといたしました地方債の起債、そして交付税措置といった地方財政措置も用意されているところでございますので、こういったあらゆる施策を動員して対応させていただきたいというふうに考えているところでございます。
  63. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 進んでいないという実態をやっぱりしっかりとらえていただいて、政策を進めていただきたいというふうに思います。  最後に、攻めの農林水産業について二点質問させていただきます。  私は、やはり農地農地として維持しながら、一次産業の皆さんのそのエネルギー、再生可能エネルギー、エネルギー自給率を高めていくというのは、食料自給率と同じぐらい大切なことだというふうに思っております。  しかしながら、残念なことに、今現在、昨年七月から固定価格買取り制度が始まっておりますが、様々な各地で取組がありますが、農業協同組合漁業協同組合、自ら参画をした再生可能エネルギー発電の取組事例というのはやはり限られているというのが実情であろうというふうに思います。  農林漁業者取組推進していくために、あくまでも農地農地として維持しながら、やはり漁協、農協が自らこの取組を進んで推進していくために農水省としてどのような支援策を講じているか、短めにお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  64. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) お答えをさせていただきます。  農山漁村に豊富に存在しますバイオマス、水、土地等の資源、これを活用して再生可能エネルギーの導入を促進する、これが結果として地域活性化につながると、大変重要な取組であると、このように考えています。  このため、農林水産省では、攻めの農林水産業の施策の一環といたしまして、平成二十四年度の補正予算における農林漁業者が参画して行う再生可能エネルギー発電事業収入を、これを地域農林漁業の発展に活用する取組、それから地域材の利用促進のための木質バイオマスの利用施設整備、こうした予算を盛り込み、さらに、二十五年度の予算におきましては地域のバイオマスを活用した産業化等に必要な施設整備、あるいは小水力発電に係る調査設計等につきまして予算を計上しているところでございます。  このような支援措置を始めとして、地域農林漁業の発展や農山漁村活性化に資する再生可能エネルギーの導入を積極的に推進をしていく、このように考えているところでございます。
  65. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 最後の質問ですが、攻めの農林水産業。  二〇〇一年にベンチャー農業大学というのが韓国にできました。これは、生産技術というよりもマーケティング中心の授業を行って、経営感覚を持って消費者が好むような農作物を作るというという人材育成をしておりまして、やはり私はこれから、地域の女子大学あるいは中核の大学に農業のマーケティング部というのはなかなかありません。農学部ということではなくて、マーケティング中心の農業研修というのがやはり私は農林水産省との連携の中で必要ではないかと。特にこれからは女性の能力、感性というのが新たなビジネスを生む時代が到来しておりまして、そういった女性の感覚、マーケティング中心のこの授業、連携というものが、私は、農林水産省として是非後押しをしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。最後の質問です。
  66. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) お答えいたします。  人材育成関係でございます。  農業圏を発展させていくためには、生産のノウハウだけではなくてマーケティング等の経営ノウハウ、こういったものが極めて重要でありまして、農業経営者教育、これに力を入れていかなければいけないというふうに考えてございます。それから、特に女性の場合ですけれども、女性の場合には、統計データから見ましても、女性が参画をしている経営体ほど販売金額が大きいですとか、それから六次産業化への多角化への取組も進んでいる、あるいは、女性の役員、管理職がいる場合には売上げですとか収益力が向上すると、こういった傾向がございます。こういった意味で、経営者教育に力を入れ、更に女性を活用していくということが極めて重要というふうに思っております。  この関係で、昨年二月に農業界と経済界の連携によりまして一般社団法人のアグリフューチャージャパンというところができておりまして、二十四年度から各県の農業大学校の学生ですとか就農希望者等を対象にいたしまして経営者の、トップ経営者、こういった者による経営教育のセミナーを実施をしているところでございます。これにつきましては農林水産省の補助事業活用されているということでございまして、二十四年度のセミナーの実績は合計で七回、合計三百七十名が参加をしているといった状況でございます。  これからも農林省といたしましてはこういったところと十分連携を取りながら、経営マインドを持った人材の育成、特に女性の活用にも十分意を用いてまいりたいというふうに考えてございます。
  67. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 地方大学、女子大学との連携もお願いしたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  68. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  最初に、日ロのサケ・マス交渉についてお伺いいたします。  日ロのサケ・マス交渉は、日本二百海里内とそれからロシア二百海里内と二つあるわけでありますけれども日本二百海里内の日ロサケ・マス漁業交渉は妥結をいたしまして、我が国の、我が国漁船の操業条件が合意をされました。本年はロシア系サケ・マスの漁獲量に上限を設定しないという、そういうことになりまして、これは一九八五年の日ソ漁業協力協定以来初めてというか、今までにない操業条件を勝ち取ったということで、漁業関係者からは評価を、評価の声が大きいというふうに聞いております。  一方で、ロシア二百海里内のサケ・マス交渉の方はどうかといいますと、これは現在、日本側交渉団が帰国をしているという状況でございます。日本、ゴールデンウイーク終わりましたけれども、これからロシアが連休があるというふうにも聞いておりますが、交渉が長期化をいたしますと、今我が国漁業が置かれている燃油高騰あるいは資材高騰という、そうした状況の中で乗組員も確保しておかなければいけませんから、そうした乗組員の給与を含めて様々な影響が出てまいります。また、サケ・マスの加工流通関係の業者にも影響が出てくるということであります。  このロシアの二百海里内での早期交渉合意というのが今求められているわけでありますが、両水域内の日ロのこの交渉結果あるいは交渉状況について大臣の見解を伺いたいと思います。
  69. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まず、日本の方の二百海里水域のロシア系サケ・マスの漁獲量、これは今委員からお話がありましたように、三月十五日に、これまで設定されていた漁獲量の上限を設定しないということで合意をしたところでございまして、この上限撤廃によりまして操業を希望する全船の操業機会が確保されたと、こういうふうに考えております。  一方、ロシア二百海里水域における協議は四月八日から十九日にかけて協議を行いましたが、入漁料についてまだ妥結に至らないということで協議継続になっておりまして、我が方、それから向こうの休日を挟んで、今後は協議再開に向けて、今委員がおっしゃったように時期がどんどんどんどん迫ってきておりますので、早期に交渉が妥結するように、まずは日程の調整を行ってしっかりと詰めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  70. 横山信一

    ○横山信一君 日本二百海里内のロシア系サケ・マスで勝ち取ったような交渉力で是非ともロシア二百海里内での日本の有利な交渉を進めていただきたい、また、早期の交渉妥結を是非とも勝ち取っていただきたいというふうに思います。  ロシアの話が出ましたので、根室海域のロシア・トロールの問題について触れたいと思います。  資料が配られているかというふうに思いますけれども、この資料は先日、北海道の羅臼町、標津町、別海町の三町の漁業関係者、自治体関係者の皆様が要請に来られたその要請文に添付をされていた写真でございますが、これは羅臼町から撮影したものでありますけれども、現地に行かれた方はよく分かるんでありますが、国後島が目の前に広がる、そうした海でございます。本当にこれが我が国の領土ではあるわけでありますが、事実上ロシアに占拠をされていると。本当に目の前にロシアに占拠された島があるわけでありますが、日本側の知床半島と国後島の間で、まさにこの写真にあるように我が国のスケトウダラ漁船が操業するその奥にとてつもなく大きい船が、これがロシアのトロール船でありますけれども操業しているという、そういう状況がございます。  そのロシア・トロール漁船というのは、いわゆる中間ラインという安全操業のために日ロで決めているものがありますけれども、その中間ラインを越えて日本側に入ってくるということはないようでありますが、捕っている魚は日ロ双方とも同じ漁業資源でございまして、これはもうこの写真見ても分かるように、ロシアはトロールで根こそぎ捕っていくという、そういう漁法でございますし、我が国の方は刺し網で少しずつ資源を大事にしながら捕っているという、そういうことでありまして、しかも、そういう我が国が大事にしながら捕っていながら、同じ漁業資源というか、生物資源は同じ単位のものを捕っているということでありまして、どう見てもロシアはやり過ぎだというふうに見えるわけであります。  また、毎年この海域では日本漁船の、刺し網というのは網を固定しますから、その固定している網のところをロシア・トロール船が引いてしまうこともあるわけですね。そういう意味では漁具被害も発生をするということでございまして非常に危険だと、安全操業上も危険だということで、今回、この三町合同でロシア・トロール漁船、操業を停止してくれと、それを申し入れてくれという、そういう要請がございました。  このロシア・トロール漁船による操業停止ということについて、大臣、どうお考えになるか、伺います。
  71. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) これは私の方から答弁をさせていただきます。  実は、私も先般、議員から今お話のありました北海道の羅臼、標津そして別海から、町並びに漁業関係者から同様の要請をいただいたところでございまして、この根室海峡の北方四島の周辺水域、これは例年十一月から翌年の二月にかけて、羅臼の小型漁船のほかに、今お話のあったとおりロシアの方が大型のトロール漁船、これが、主にスケソウダラですけれども、これを捕りに操業を行っているという状況ですが、ロシア側はこの水域のスケソウダラ資源というのは悪化していないと言っておりますが、先ほど議員からも資料説明がございましたが、近年このロシアのトロール漁船が活発に操業していると。地元の漁業者方々はまさに資源への悪影響を非常に懸念をしているということでございまして、あわせて漁具被害も発生しているということを承知をしております。  本件についてロシア側に対して、これまでも毎年のこの操業条件を協議する場などにおきまして、一つは航海中の安全の確認、それから漁具被害防止について周知の徹底を図ること、それからもう一点は、洋上において我が国の漁船が設置をした漁具を認めた際には、当該の漁具から十分距離を取って航行、操業することなどについて、ロシアに対してこの漁船の関係者に指導するよう申入れを行っているところでございます。  それから、日ロ双方の漁業者同士がこれは直接協議をする場を設置をしたらどうかということで、やはり現場の、実際の操業している日本側漁業者の声をしっかり向こうに届けることも非常に重要と思っておりまして、こういった場の設置をロシア側に今提案をさせていただいているところでございます。  議員御指摘のことも踏まえまして、今後とも、外務省と連携して、様々な機会をとらえましてロシア側に対して働きかけを行っていく考えでございます。
  72. 横山信一

    ○横山信一君 領土問題が絡むわけでありますから、単に漁業上の問題だけではない複雑な問題が様々あるということは承知をしておりますけれども、その上で、やはり安全操業確保するということが第一でありますので、是非とも取組を進めていただきたいと思います。  最後に触れていただいた日ロ双方の漁業者による協議の場、これは初めて提案をするというふうにも聞いておりますので、是非ともこれ実現するように頑張っていただきたいというふうに思います。  農業の方に話を移らせていただきます。  認定農業者制度について伺いますが、この制度は基盤強化法に基づいて創設をされた制度でございます。地域農業担い手や目標を市町村が地域の特性を考慮して定めるということになっておりまして、地方の裁量が尊重されている制度になっております。  こうした背景があって、制度発足以来、認定農業者数は順調に増加をしてまいりました。五年ごとの農業経営改善計画の作成もあるわけでありますが、こんな中で、やはり高齢になってくると作成を控えるという、そういう人たちも出てくるということもございまして、今後この認定農業者制度をどのように推進をしていくのかについて伺います。
  73. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 認定農業者制度でございます。御指摘ございましたように、平成六年度から農業経営基盤強化促進法に基づきまして実施をしている制度でございます。効率的かつ安定的な農業経営をすることを目指しまして、五年以内の経営改善計画を作成をして経営発展を図ろう、こういう農業者の方を市町村が認定をすると、こういう制度でございます。この認定農業者に対しましては、日本政策金融公庫のスーパーL資金の融資ですとか、あるいは税制等の施策を重点的に実施をするということで育成を図っていると、こういう制度でございます。  この認定農業者の数でございますけれども平成二十一年度までは一貫して増加をしてまいりましたが、二十二年度からは、高齢化等のために、この経過期間終了後、五年たった後でもう一回の再認定の申請を行わないという方が増加をしてまいりまして、その結果減少傾向となりまして、二十四年の三月には二十三万八千人ということになっております。  しかしながら、この認定農業者のうち法人の数でございますけれども、これは一貫して増加をしておりまして、本制度は担い手育成確保のための最も重要な制度というふうに我々は考えておるところでございます。  現在、この人・農地プラン地域で農家の方に話し合っていただく、それで中心的な経営体を決めるという制度を進めておりますけれども、この人・農地プラン作成におきましても認定農業者はこの中心経営体となることが基本であるというふうに我々考えておりまして、この認定農業者を軸にいたしまして、既に効率的、安定的な経営体になっている方、あるいは新規就農の方、こういった方を含めて中心経営体ができていくということが望ましいというふうに考えております。  それから、この認定農業者の方の経営の質の向上、これも重要でございますので、認定農業者の方が自らの経営改善に取り組むためのツールといたしまして、自分の経営改善のためのチェックリスト、こういったものを作りました経営指標、これを公表しておりまして、これに即して自己点検をしていただくということも促しているところでございます。
  74. 横山信一

    ○横山信一君 人・農地プラン、後ほど質問させていただきますけれども、人・農地プランの中にもこの認定農業者がしっかり位置付けられているという部分におきましては、二回の政権交代、近年あったわけでありますが、その中でも一貫してこの農地集積と、そしてまた担い手対策の中にあって、この目指している方向性というのは同じでありますし、そこをしっかり尊重しながら更に加速をしていくという、その方向で是非とも取組を進めていただきたいというふうに思うわけであります。  産業競争力会議におきまして、分散した農地を集約化するための中間管理機構を都道府県レベルで整備をするという方針が示されました。この組織は従来の都道府県農業公社を活用するというふうにも聞いておりますが、新たに中間管理機構を整備するに至った背景を伺いたいと思います。  また、市町村公社等の農地利用集積円滑化団体との役割分担というのはどうなるのか、これも併せて伺います。
  75. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) お答えをいたします。  現在の我が国の農業構造、これを見てみますと、いわゆる担い手の利用面積、これが農地面積全体の約五割になっております。それから、二十ヘクタール以上の経営体が耕作をする面積、これは土地利用型農業全体の面積の約三割ということで、かなりな変化が進んでいるわけでございますが、農業生産性を高めていくためには、この担い手への農地の集積ですとか、それから担い手ごとの農地の集約化、こういったことを加速化していく必要があるというふうに考えてございます。一方で、耕作放棄地の方も増加が続いておりまして、その発生防止あるいは解消といったことが重要な課題となっております。  今回、この担い手への農地の集積、集約化や、あるいは耕作放棄地の解消を更に進めるという観点で、県段階農地の中間的な受皿といたしまして農地中間管理機構、仮称でございますが、これを本格的に整備をして活用することを考えております。具体的には、地域の中の分散し錯綜した農地利用を整理をして担い手ごとに集約化する必要がある場合ですとか、それから受け手がすぐには見付からないと、こういった場合にこの農地中間管理機構が借り受けて、必要な場合には機構の負担で基盤整備等も行った上で、法人経営体ですとか大規模な経営体あるいは企業などに、こういった担い手に集約化した農地を貸し付けると、こういったスキームを整備したいと考えておりまして、今後、構想の具体化を図っていくことにしております。  一方で、昭和四十五年から各県段階農地保有合理化法人、これは県の農業公社と呼ばれておりますが、これが置かれております。ここは農地の売買を中心に活動してきたということがございまして、農業者の方はやはり農地を手放す、所有権を放すことに抵抗感がありますのと、この合理化法人自体も、やはり買うということになりますと多大な購入資金が必要になりますし、それが売却できなかった場合には不良在庫を抱えてしまうということもございまして、合理化法人自体も活動には余り積極的ではなかったといった問題もございます。  このために、今回整備をする農地の中間管理機構につきましては、リースを中心といたしますとともに、法制度の整備予算措置、それからこの地域農業者の話合い、これをセットにいたしまして、本格的に機能するものにしたいというふうに考えております。  この農地の中間管理機構の業務につきましては、市町村公社等いろいろなところに委託をしてやっていこうというふうに考えておりまして、関係者の総力で農地の集積や耕作放棄地の解消を推進できるようにしたいと、こういうふうに思っております。したがいまして、農地利用集積円滑化団体となっております市町村公社等の能力もその中で十分に活用したいと、こういうふうに考えております。
  76. 横山信一

    ○横山信一君 丁寧にお答えをいただきまして、ありがとうございます。  農地、そして人という、流動化を進めるということで、そこで農地の集積、集約というのを進めていくわけですが、一方で、こうした農地集積を進めていくと何が起きるかというと、世代交代が早まっていくということが当然あります。そうすると、それは一面的に言えば高齢者に離農していただくということにもなるわけであります。また、兼業農家の方も兼業をやめていただくということにもなっていくと。それは、一方では農村集落が縮小していくということにもなりかねないという、そういう背景を秘めているわけでありまして、その農地の集積とそれから農村の集落機能の維持というのを今後どうしていくのかを伺います。
  77. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 現在、この人・農地プランを進めておりますが、これは地域農業者の徹底した話合いで地域の人と農地の問題を解決しようと、こういうことでございます。  このプランの中身でございますけれども、その中では、今後の地域の中心となる経営体が一体どこなのか、これは個人であったり法人であったり集落営農であったりいたしますが、この中心経営体がどこなのかと、それからその中心経営体にどうやって農地を集めていくのかと、これを明確にしていただくということにしておりますが、それだけではなくて、この中心経営体とそれ以外の農家、具体的には兼業農家ですとか自給的な農家、これを含めました地域農業在り方、これについても議論をしてその方向性を明確にしていただこうと、こういうことをやっております。  それから、農地の出し手につきましては農地集積協力金という補助金を出しておりますけれども、これも必ずしも農業からリタイアするというケースだけではなくて、土地利用型農業から経営転換をして野菜生産等に特化をするといった場合も含めて助成対象にしているところでございます。  したがいまして、農村集落をできるだけ維持をしながら、人と農地の問題の解決、それから農地の集積、集約化を進めていくということが望ましいというふうに我々は考えております。特に、農業経営からはリタイアするということになったといたしましても、長年にわたって培ってまいりました農業生産のノウハウ、こういったものがいろいろお持ちでございますので、これを活用する観点から、新規就農者等への技術指導、こういったことを行ったり、あるいは法人経営ですとか大規模な家族経営の従業員として農業に従事をしていただくと、こういったことも十分あり得ることでございますので、地域農業発展のためにそういった貢献をしていただきたいというふうに考えているところでございます。
  78. 横山信一

    ○横山信一君 ここは非常に懸念されているところでもありますし、地域の方たちからすると、この不安が解消されない限りなかなか農地集積は進まないという部分でもあろうかと思いますので、丁寧にやっていただきたいというふうに思うわけです。  これから六次産業化がどんどん進展していく、また、認定農業者も先ほど個人というより法人が多くなってきているという、そういう背景を考えますと、この人・農地プランの中で制度の枠の中に収まらない、そういう人たちが出てくる。いわゆる自治体の枠を超えた法人とか、輸出を専門に考えている、そういう農業者が出てきたりとか、そういう人たちは自治体を飛び越えていく、あるいは県を飛び越えて生産をしていくという人も出てくるというふうに思うわけでありますけれども、そうした地域の枠を超えて経営を目指す法人等に対応した制度も必要ではないかというふうに思うわけですが、この点についてはいかがですか。
  79. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 私の方からお答えしたいと思います。  経営規模の拡大によって農業を営むエリアが拡大をして、市町村をまたぎ、あるいは都道府県をまたぐというケースも増加してきている実態は委員指摘のとおりであります。  平成二十四年度から実施している人・農地プランの作成に当たりましては、このような事例が見られる実態を踏まえまして、こうした場合は、隣接する市町村や都道府県の連携によって双方の人・農地プランに中心経営体として位置付けるなどの適切な対応をするよう要請をいたしております。特に、経営の範囲が市町村をまたぐケースはかなりあると考えられますので、今回、農地の中間的受皿として整備しようとしている、先ほど局長から答弁ありましたけれども農地中間管理機構、仮称、を都道府県段階にしっかり整備することを今考えているところでございます。
  80. 横山信一

    ○横山信一君 今後の進展次第だというふうにも思いますけれども、ここはスムーズにいくように是非取り計らっていただきたいというふうに思います。  攻めの農林水産業について伺いますが、水産物は割と関税が低いということもあって自由化が進んでいるわけでありますけれども、農産物に関しては、一部で輸出が盛んなものもありますが、農産物に関しては、日本の農産物というのは非常に高い安全性と、そしてまた高品質な、世界に類を見ない高品質な農作物を作っているということで、今様々な論評を目にしますけれども、攻めの農林水産業政府が掲げたということもあろうかと思いますが、農業が外に打って出るチャンスだというふうに、そういうふうに訴える論評が多いというふうにも思います。  しかし、こうした外に打って出るべきだという主張の中で、私はよく読むんですけれども、その中に、多くの場合決定的に欠けているところがあって、それは内外価格差を考えていないということであります。どんなに高品質なものを作っても、やはり価格差を埋める努力がなければ、それで生き残っていけるものはやはり少数でしかないというふうに思っております。  もちろん、内外価格差ということの中にはいろんな背景があるということは承知をしているわけでありますけれども、農産物の競争力の強化を図るという意味ではこの内外価格差をどうやって埋めていくのかということを考えていかなくてはいけないというふうに思うわけですが、この点について見解を伺います。
  81. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) まさにおっしゃるとおりでございまして、我が国の農林水産業については、国内生産者の経営努力では埋められ難い内外の競争条件の格差があります。こうした事実も十分に踏まえた政策展開を行う必要があると考えております。  このため、一つには、人・農地プランを通した農地集積の更なる加速化生産基盤や生産施設整備等を通じて引き続き生産コストの削減に努めて、内外価格差の縮小に取り組んでまいります。二つ目に、農林漁業成長産業化ファンド、これを本格的に展開をしまして、新品種、新技術の開発、保護、普及方針の策定等を通して、農林水産物の高付加価値化等を積極的に展開をしてまいりたいと思っております。  農林水産業の競争力の強化をしっかりやらなければいけないと考えているところでございます。
  82. 横山信一

    ○横山信一君 時間がなくなってまいりましたので、漁業多面的機能発揮対策のことについて伺いますが、従来、いわゆる藻場、干潟と、それから条件不利地域対策であった離島交付金という二つの似たようなものがあったわけでありますけれども、今回、多面的機能発揮対策というふうにまとめられまして、国民の生命、財産の保全、そして地球環境保全、あるいはまた漁村文化の伝承という三つのカテゴリーにまとめていただいたと、その中で実施をすることになったわけであります。  活用の幅が従来からずっと広がったということで、私はこれを非常に歓迎をしているし評価をしているところでありまして、評価をしているんですけれども。  先日、根室、釧路に伺ったときに、ここは、いわゆる藻場、干潟という事業の中で雑海藻駆除というのをやっておりました。これ、雑海藻駆除とは何かというと、この地域というのは流氷が来たり来なかったりするんですね。流氷が来ると岩盤が流氷に削られて、そこに生えている海藻が全部取られていくと。そうすると、その海藻がクリーンになったところに長昆布という、漁業者操業対象にしている長昆布が生えてくるということで、流氷によって掃除をされている。ところが、流氷が来ないと掃除されないので人為的に掃除をするようになったと。今や長昆布の生産にこの雑海藻駆除というのは欠かせないものに既になっておりまして、これが従来のこの藻場、干潟事業の中でなされていたということであります。  今回、この多面的機能発揮対策で大きく幅が広がりましたから、そうすると、従来のように活動ができなくなるんではないかという、そうした不安があるということであります。端的に言うと予算が減るんじゃないかということなんですけれども活用の幅、やっていることは地球の環境保全とそれから採藻業とが非常に密接に結び付いたものであるんですけれども、こうしたその取組活動が縮小しないようにしていただきたいということでありますけれども、この点について見解を伺います。
  83. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) お答えいたします。  これは平成二十五年度の新規事業でございますけれども、水産多面的機能発揮対策事業ということで、今議員からも御指摘ありましたが、対象事業を拡大していくということはございますけれども、従来の環境生態系保全対策と比べてどうなのかという御意見もあると伺っておりますが、こうした従来の対策に取り組んできたグループの皆さんが引き続き活動できるよう予算額の確保には努めてきたところでございます。  具体的には、雑海藻の駆除等の藻場の保全に資する活動への国の交付単価、これは変えておりません。同じ活動に対して昨年と同じ水準の支援ができるよう措置をしてまいります。
  84. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございます。安心をいたしました。  最後の質問になりますけれども、この多面的機能発揮対策でありますが、昨年、衆議院解散のときに廃案になってしまった法案があります。それは、農業等の有する多面的機能発揮を図るための交付金の交付に関する法律案とあったんですが、この中にも漁業のことが入っておりまして、沿岸地域環境との調和に配慮した漁業活動交付金を交付すると。  そうした具体的な形が今回の多面的機能発揮対策に結び付いているものというふうにも理解をしておりますが、我が国の水産業あるいは漁村が持続的に発展していく上で、あるいは攻めの水産業を進めていく上で、その基盤としてこの多面的機能発揮対策は非常に重要な役割を担うというふうに私はとらえております。  そういう意味で、この多面的機能発揮を今後どのように推進をしていくのか、伺います。
  85. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、横山先生からお話がありましたように、国民の生命、財産の保全、それから地球環境保全漁村文化の継承と、こういう多面的機能をはっきりと文章で確認をしたと。こういうことがあるなというのは、我々、浜の人と話していると分かるんですが、これをきちっとしたということが、今御指摘いただいたように、大変意味のあることであったというふうに思っております。  ただ、漁業者が高齢化されたり、それから漁村人口が少し減っていくという中で、どうしてもこういう機能が低下をしてきているということも忘れてはならないところでございまして、したがって、今、法案にもお触れになられましたけれども、二十五年度の予算で、この発揮対策事業ということで三十五億円ですが計上いたしまして、こういう漁業者等が行う多面的機能発揮に資する活動支援しようと、こういうことにいたしたわけでございまして、こういう取組によりまして多面的機能が効果的に発揮されて、ひいてはそれが水産業漁村活性化につながっていくと、こういういい循環をつくっていくように頑張ってまいりたいと思っております。
  86. 横山信一

    ○横山信一君 来年のことを言うと鬼が笑うかもしれませんが、こうした多面的機能発揮対策が是非拡充をしていくように、よろしくお願いをしたいと思います。  以上で終わります。
  87. 山田太郎

    ○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。  本日の質疑の内容は、国民病とも言われております花粉症についてお伺いしたいなと思っています。政治の力でこのうっとうしい病気、症状を何とかできないだろうかということで質疑させていただきたいと思います。  実は、過去、当委員会議事録を拝見させていただいたところ、林大臣の奥様が随分花粉症で苦しまれていたということなんですけれども、今もまだ大変な状況でおられるんでしょうか。
  88. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 余り、うちの中のことでございますが。  この間申し上げたときも、たしかその前に、和歌山の方で飛び地の村がありまして、そこで「じゃばらじゃばら」という、かんきつが取れるんですね。これが効くんだと言われてそれをいただきまして、私も朝飲んでいるというような話をしたんですが、その中でそういう話を申し上げたかもしれませんが、やはりなかなか一杯飲んだら治るという状況でもないようでございまして、引き続きまだ患っておると、こういうような状況でございます。
  89. 山田太郎

    ○山田太郎君 奥様、大変気の毒なんですけれども、実は私の妻もひどい花粉症状態でございまして、いつもこの時期はいらいらして、我が家も大変な状況でございます。そういう意味で大臣と私と問題を共有できるかなと思っておるんですが、実は一昨年の予算委員会で、参議院予算委員会の方で、民主党内閣が百億円から二億円に予算を減らすと、こういうことで、随分この件に関しては林大臣の方が当時の菅総理に花粉症対策をもっと重要視してやるべきだと、こういうことをおっしゃられていたと思います。  まさにこの花粉症の実態は、厚労省からも実は今回資料をいただいたんですが、有病率でいきますと平成十年が二〇%から何と平成二十年には三〇%になっておりまして、それから花粉症に関する医療費は、簡易ではございますが、一千六百億円掛かっていると、こういうデータもございます。まさに国民的な非常に深刻な状態だと、こう言えると思うんですね。しかし、残念ながら、一千二百億円もの森林整備事業をして有花粉杉を植えているという実態もございまして、じゃ、この花粉症対策予算はどれぐらいかといいますと、非常に少ないということであります。  そこで、まず少花粉杉の育成ということについて少しお話ししていきたいと思うんですが、最近少花粉杉が開発されておりまして、植林も進んでいるということです。そこで、一年に植えられるこの杉の苗がどれぐらいで、そのうち少花粉杉の割合はどれぐらいなのか、基本的な数字で恐縮でございますけれども大臣、お答えください。
  90. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この少花粉杉でございますが、苗木の生産、これが、生産が始まった平成十一年度約三万本から、平成二十三年度には百四十二万本とかなり増えてきております。それから、この供給量ということだと思いますが、例えば首都圏で強い影響を与えている杉林、これ五・五万ヘクタールと推定しておりますが、この中で少花粉杉の供給量を増大させるために、平成二十九年度には年間供給量の三分の二に当たる一千万本の供給を目指しております。  実際にどれだけ植えているかというのはなかなかイグザクトな数字はないわけでございますけれども、新たに植栽される杉の苗木は全て少花粉杉ということでございますけれども、植林の面積の方が大体年間三百ヘクタールというようなことになっておりますので、そういう数字で植え替わっていると、こういうことでございます。
  91. 山田太郎

    ○山田太郎君 今のを事前にデータをいただいていましたので、計算しますと、今植えている杉の約一〇%弱が少花粉杉でありまして、いまだに九〇%は杉花粉をまき散らす杉の苗ということなんですね。  今大臣おっしゃられましたが、年間一千万本の少花粉杉を植えると。大変林野庁さんとしても努力されているというのは理解できるんですが、首都圏の、仮に一千万本をやっているということで、今のペースでもし全て入れ替えていくということになったらば、仮説になるかもしれませんが、どれぐらい掛かるのか、試算いただけますでしょうか。
  92. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、したがって、現在の状況が継続されたと、こういうふうに仮定をいたしますと、全てこの杉が少花粉杉に転換するには百年以上を要すると、こういう計算になるわけでございまして、関係都府県の協力を得ながら、少花粉杉や広葉樹といったものなど花粉の少ない森林への転換を加速していきたいと、こういうふうに考えております。
  93. 山田太郎

    ○山田太郎君 まさにこのペースじゃ全然我々が生きている間に花粉症というのは治らない、なくならないということだと思っています。そこで、対策について考えていくということだと思うんですが、もっと少花粉杉の苗を増やす、まさに少花粉杉をつくるという入口の戦略が重要だというふうに考えています。  最近、これ林野庁にお伺いしたんですが、少花粉杉の種が取れる親木が少ないということで、注目されていますのがミニチュア採種園というもので、そのミニチュア採種園の中に、ジベレリンという成長ホルモンを入れまして一気に成長させる、通常十三年掛かるものを四年に短縮するということだそうです。まさにこれは、少花粉杉対策でたくさん苗を作って、一千万本どころかもっと桁を変えて対応していく取っかかりになるのではないかと思います。  ただ、残念なのは予算の件なんですが、この事業が国費で僅か一千四百八十五万円ということなんですね。林大臣が菅総理とお話ししたときは百億が二億だったんですが、二億が一千四百八十五万ということですので、非常に少ないんではないかと。この予算がどうして少ないのかということを今度逆にまた林野庁に聞きましたらば、いや、そうじゃなくて先方からの要望が少ないということでありまして、都道府県からの要望に応じて作っているというのが現状だということであります。  それでは大臣、是非、要望がないんではなくて、こういうことこそ国民のためにやらなきゃいかぬということで都道府県に対する働きかけを積極的にやっていただきたいなと、こう思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。
  94. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 私が野党時代にやったやつはこういうことも全部含めた予算のたしか全体像であったと、こういうふうに記憶しておりますので、このミニチュア採種園の予算ではなかったかとは思いますが、今委員がおっしゃるように、これ大変苗木の生産を促進するために早期に採種できる、これ非常にいい取組だと、こういうふうに思っております。  特に茨城とか栃木、群馬、やはり首都圏を中心なんですね、この少花粉杉のミニチュア採種園の整備が進んでいるということでございまして、先ほど申し上げましたように、こういうこともあって苗木の生産量というのは約十二年間で四十七倍と、こういうことでございまして、逆に余り予算を消化できない場合はまた後でお叱りも受けるというところもございますから、そこはバランスはいろいろあると思いますけれども、今回、この予算を計上させていただきましたので、しっかりとミニチュア採種園等の整備の拡大を図っていって、こういうことがありますよということを更に広めることによってもっといろんなところから要望が出てくるように、そういう運用を心掛けてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  95. 山田太郎

    ○山田太郎君 まさに叱られないように、多分出口の戦略というのが重要でありまして、この少花粉杉の苗を植えるには今の花粉杉を伐採せないかぬと、植え替えるということになってくるかと思います。そうなってくると、この切った木が売れるようにするということが非常に重要だと思っておりまして、まさにこれが出口側の戦略だというふうに考えております。  先ほど長谷川議員の方からも似た質問があったんですが、地方自治体の公共建築物木材利用促進法というのがあって、ひとつ努力されていると思うんですが、私の手元のデータによりますと、地方自治体としては、全体で一千七百四十二の市町村に対して百十四ということで、六四%にとどまっている。特にひどいのが、東京が六%、神奈川一五%、大阪二八%とした具合なんですね。まさに首都圏で非常に花粉症が騒がれているにもかかわらずなかなか進んでいないという状況だと思っております。そういった意味で、この部分を是非強化していくと。先ほど、説明では頑張ってやっているよということだったんですけれども、強化していくということが必要だと思っています。  そこで、今回、文科省にも来ていただいておりまして、その一つの、もう一つの手だてとして、公共施設の中、特に学校なんですけれども、公立の学校の施設が大口の木材利用先として期待できると思います。今日は文科副大臣も来ていただいておりますので、副大臣の方から、公立学校施設等における木材利用促進の取組について、是非教えていただければと思います。
  96. 谷川弥一

    ○副大臣(谷川弥一君) 木材は柔らかで温かみのある手触りと吸湿性が高いために教育環境に優れ、また、ほかの材料に比べて二酸化炭素の排出量が少ないので地球温暖化防止に大変役に立っていると思っております。  それと、平成二十二年に施行された公共建築物等における木材利用の促進に関する法律第四条により、地方公共団体は、学校施設整備に当たり、木材の利用に努めなければならないとされています。  文部科学省では、校舎の木造化を始め、学校施設への木材利用を推進するため、木造校舎の整備に対して国庫補助を行う際に補助単価をかさ上げするとともに、学校施設への木材利用のための手引書や事例集の作成、講習会の開催を通じて地方公共団体への支援に努めています。  今後とも、林野庁などの関係省庁と連携して、地方公共団体が学校施設への木材利用に積極的に取り組めるよう、支援に努めてまいりたいと思っております。
  97. 山田太郎

    ○山田太郎君 ただ、まだ残念なのは、新しく建てましたこの校舎の木材が、平成二十三年度でいいますと一五%と。一定の評価をしたいと思いますが、実は公立学校全体の施設で見ますと一〇%で、直近三年間ではこの比率が下がってしまっているんですね。  更に対策を進めていただきたいと思うんですけれども、どんなところに問題があるのかという辺り、それから今後の取組をもうちょっと突っ込んで、是非、大事な問題ですので教えていただければと思います。
  98. 谷川弥一

    ○副大臣(谷川弥一君) 地方公共団体へのアンケート調査によれば、学校施設への木材利用にかかわる課題として、腐朽やシロアリ対策のために維持管理に手間が掛かること、計画、設計内容により建築費が割増しになる場合があること、防火上の制限への対応が必要であることなどが上げられていますが、それぞれについて今後とも関係省庁、協議しながら、もっと力強く対策を打たなきゃならぬと思っております。
  99. 山田太郎

    ○山田太郎君 ありがとうございます。公立学校の木造化は花粉対策の大きな出口戦略になると思っていますので、これからもよろしくお願いします。  さて、もう一つ、この花粉症を除去するというか、対処する決定打として、菌類の利用というのがあります。少花粉杉の出口と入口に関して即効性がある対策として、杉やヒノキの雄しべに菌類を付着させて花粉を出さないようにさせようと、こういうものがあるんですね。これは森林総合研究所が今開発中ということで、これがほぼできたということを実はお伺いしております。  この森林総合研究所は農林水産省所管の独立行政法人でありますが、ここのすばらしい技術に対する予算、どれぐらい付いているのかなということを調べましたらば、農林水産技術会議という農水省さんの中の省内の組織から、今応募をして三千万ぐらいの予算を取ろうと、こういうふうにしているそうです。この審査が通らないと予算も付かないということなんだそうです。  そこで、他の独法が一千億近く予算を取っていろいろ努力したりするわけですから、是非ここを、桁違いでもありますし、国民的な病気でもありますから、ここにしっかり予算を充てていただいて、この審査をスムーズに通していただけないかなと。これも林野庁の方にお伺いしましたら、審査も本件認可のために二年ぐらいは普通掛かってしまうということですので、ここは、大臣来ていらっしゃいますので、ひとつ大臣の政治判断、それから問題意識というところで進めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  100. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 山田先生からこの質問があったので、私も改めて聞いてみたんですが、非常にすばらしい技術だなと、こう思いました。既に、実験レベルでの試験なんですが、成熟した雄の花ですね、これに処理液を一回だけスプレーすることで八〇%以上、雄花、雄の花が枯れてしまうと、こういうことでございまして、シドウイア・ジャポニカとかいうカビの一種らしいんですが、これを添加した処理液を用いてそういうことをやるのを昨年度開発したと、こういうことでございます。  今後、実はこの技術に関する詳細な薬効試験、それから環境影響調査、人や動物への影響調査等の実施、それから効果的な散布技術の開発ということで、本技術の実用化に向けた研究を進めたいと、こう思っております。それは、本当にこれでまくことになると、今の杉雄花は枯死しましたと、しかしその周りにも飛び散りますから、そこで何かほかのことがいろいろ起こってしまうということも困るわけでございまして、そういうことをきちっと詰めて、そしてこの研究を進めるということがあると思いますので、農林水産省として、うちの奥さんのためということではなくて、花粉発生源対策の一環として、このような杉花粉飛散抑止技術の実用化に向けた研究を支援していきたいと、こういうふうに思っております。
  101. 山田太郎

    ○山田太郎君 ありがとうございます。本当に、私もうちの奥さんのためじゃなくて、国民のために是非というふうに思っておりますので、よろしくお願いします。  最後になりますけれども、今回、本件に関して相当林野庁の方には協力をいただいて、いろいろな資料も用意していただいています。ただ、今、花粉症のこの対策プロジェクトチームが複数の省庁にまたがっていたりとか、特に林野庁又は農林水産省の中に対策室というのはないそうです。是非ここは、これだけの国民的な病気ですし、本当に大きなお金が掛かっている、悩んでいらっしゃる方もたくさんいるわけですから、杉花粉対策室等の対策室をしっかり省庁の中につくって大臣が力強く進めていただきたいと、多くの国民は大変喜ぶと思っておりますのでよろしくお願いしたいと思っているんですけれども、最後にお考えをいただければと思っております。
  102. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさにおっしゃるように、私がちょうど初当選したぐらいから自民党の中にハクション議連というのができて、実はその花粉症対策について議員連盟をつくって取り組んでいこうと、もうそんな前からあった話でございます。  今まさに委員がおっしゃっていただいたように、我が省に室をつくるということもあるのかもしれませんが、今文科省来ていただいていますし、厚労省、それからほかの省にもかかわるところでございまして、やはり一丸となって取り組んでいかなければならないということで、厚労省、環境省、それから文科省、それから気象庁ですね、ここの関係五省庁で花粉症に関する関係省庁の担当者連絡会議、これを設置しております。この連絡会議で連携を図りながら、先ほど御指摘いただいた少花粉杉の苗木の生産、供給の拡大とか、それからまさに御指摘いただいた国産材の需要拡大、それから技術の開発ということで、川上から川下まで対策に取り組むということと、もう一つ、少しPRになりますが、花粉症治療米というものもございまして、この研究も進めていかなければならないと、こういうふうに思っておりまして、この担当者連絡会議を軸に関係省庁が一丸となって花粉症対策を総合的に推進してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  103. 山田太郎

    ○山田太郎君 今日は大変、大臣、花粉症対策について力強い発言と前向きな御答弁、具体的な内容を伺えました。私も初当選で花粉症の話をさせていただきましたので、ハクション議連があれば是非入らせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。  本日はありがとうございました。
  104. 平山幸司

    ○平山幸司君 青森県選出の平山幸司です。  今日は平成二十五年度の農林水産予算の、関連した質疑ということでございますので、大臣の方に、冒頭、今回の予算の中に、民主党政権時代につくりました農業者戸別所得補償、この関連の予算というのが盛り込まれているかどうか、ちょっとお伺いしたいんですが。
  105. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 御案内のように、平成二十五年度のこの御審議いただいている予算は、名称を経営所得安定対策というものに変更した上で、平成二十四年と基本的に同様の仕組みで実施していくということといたしておりますので、その所要の予算を計上しておるところでございます。
  106. 平山幸司

    ○平山幸司君 名称を変えてということですけれども、中身は一緒という理解でよろしいですか。その制度の中身自体は一緒という理解でよろしいでしょうか。
  107. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 細かいところ、後で必要があれば事務方から資料を届けさせますが、基本的には同じだと考えていただいて結構でございます。
  108. 平山幸司

    ○平山幸司君 それでは、大臣に、今年度も継続しているということでございますので、この民主党政権時代に成立した、まあ名前が変わっているということでありますが、制度はほぼ一緒ということでございますこの所得補償制度に関して、大臣の評価というものをちょっとお伺いしたいと思います。
  109. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは我々が野党のときに随分与野党協議ということでやらしていただいて、多分、郡司委員もそのメンバーにおられたんではないかなと、こういうふうに思いますが、そこでいろんなやり取りをさしていただきながら今日ここに至っているということが一つでございます。それからもう一つは、自民党が出した野党時代の議員立法ということが二つございました。それからもう一つは、それをベースにして公約を出さしていただいているということが今までございます。  そういう方向で我々はやっていこうということなんでございますが、衆議院の方でも、これ農水委員会だったと思いますが、玉木委員とのやり取りの中で、民主党時代にも徐々にいろいろ変遷を経ながらここに至っているというやり取りもさしていただいたところでございまして、基本的に大事なことは、まず名前を変えて今年は大宗を変えないと言ったのは、時間的な制約もあって、急に変えると現場は混乱すると。ですから、現場の方が困らないようにするということが大事でございまして、そういう意味で、二十六年度に向けて、現場の意向をよく把握しながら与党と十分に協議をして検討を進めていきたいと、こういうふうに考えております。
  110. 平山幸司

    ○平山幸司君 ありがとうございます。  現場が急激に変わっては困るということでございまして、これ、地元でもいろんな地域で聞いても、この制度は非常に評価があるものだと私は理解しております。そういった意味で、農政の抜本改革と将来の自由貿易に十分に対応し、食料自給率を高めるという観点からも、私は、日本にとって必要不可欠なこの農業者戸別所得補償制度、名前は変わりましたけれども、民主党政権時代に制度の確立に向けて、そちらにお座りになっている先輩方、同僚議員の皆さんと全力でこれを実現するということで取り組んできた経緯もあります。また、この制度は、先ほども評価を受けているという理解ですけれども、農家にとっても画期的な制度として、食料安全保障という面からも高い評価を受けていると私は確信します。  しかし、総理が四月の二十五日の予算委員会にて、これ、子ども手当や高校無償化と同様にこの戸別所得補償に関しても、ばらまきと批判してきた制度を見直しを検討すると、こう表明したわけであります。  TPPで安い米や農畜産物が入ってくるのではないかという脅威の中で、日本の国内生産を維持発展させるための制度設計は現在でも全く見えません、このTPPに関しましては。その中で、戸別所得補償は唯一、やり方によってはこの農林水産物を守るという、TPPにも対応でき得る制度ではないかなとも感じているわけであります。食料安全保障という意味で主要各国も、中身少し違うかもしれませんが、こういった政策を導入していると。  この制度をなぜ見直しを検討するというふうに総理が言ったのか、私にはちょっと理解ができませんが、今年度はあるということでありますけれども、将来的にもこの制度は続けるという考えを大臣はお持ちでしょうか。
  111. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今申し上げましたように、選挙の公約で、それまで出した議員立法等々も踏まえて、これはJ—ファイルという総合政策集の方でございますが、まず、農林水産業多面的機能を評価した日本型直接支払の創設ということ、それからもう一つは担い手総合支援新法の制定と、こういうことで公約をしております。例えば、戸別所得補償に関連するところでは、全国一律ではなく、名称も変え、地域の自主的な努力も踏まえ云々ということで、ここに書き込んでございます。  したがって、こういう公約を掲げて選挙を戦ってきたと、こういうことでございますので、この公約を踏まえて今検討を二十六年度に向けてやっていくとこういう段階にあるということでございます。
  112. 平山幸司

    ○平山幸司君 その日本型直接支払という制度、私も勉強不足で大変恐縮ですけれども、それと戸別所得補償と大きな違いというものはあるんでしょうか。
  113. 林芳正

    国務大臣林芳正君) こちらの方は、公約は、多面的機能新法というようなものを作って、国土保全や集落機能の維持など農林水産業農山漁村のコミュニティーが果たしている多面的機能を正当に評価し、水田のみならず、畑地も含め、農地農地として維持することに対価を支払うと、こういう言い方をしておりますので、今の仕組みとやはり少し、全く一緒ということにはならないのではないかなと、こういうふうに思っておりますが。  要は、大事なことは、現場の方が混乱をしないということ、そして、この公約に従って制度をきちっと現場の意向を踏まえながらつくっていくということで、今御審議をいただいている二十五年度予算においてはこの新たな制度設計に向けた調査費を計上させていただいたと、こういうことでございます。
  114. 平山幸司

    ○平山幸司君 多面的機能を更に加えていったということで、大臣、これは所得補償制度を更に維持発展させていったものであると、進化型であるという理解でよろしいですか。
  115. 林芳正

    国務大臣林芳正君) その辺になってきますと、もう言葉の使い方ということもございますので、そういうふうに見ればそういうふうに見えないことはないのかなというふうに思いますし、違いを強調すれば変えるんだということになりますし、共通部分を強調すればこれは発展型だと、こういうことになろうかと思いますが、いずれにしても、どういうことにしていくかというのはまだ検討段階ということでございますので、今の段階では、これがこういうもの、だからこういう言葉の使い方をしますというところまでまだ至らないという状況だというふうに思います。
  116. 平山幸司

    ○平山幸司君 大臣の方から、明らかにそれとは違うんだというお話はありませんでしたので、なぜこのことを言ったかといいますと、総理が見直しを検討するということで、その中で話になったのが、自民党は、これまでばらまきとこの制度を批判をしてきたわけでありますけれども、私は、民主党政権がやったものだからけしからぬということでただ名前を変えるとかというのは、国民目線の政治ではなく、何となく自民党のためだけの政治であるなと、こう感じるわけでありまして、やはりいいものは、これは政党の枠を超えて良いものは良いと認めて、更に制度を維持発展していくこと、これが重要だと考えているため質問をいたしました。  私は、政党のメンツや政局のための政治ではなく、まず政治家として、大臣は同じ参議院に所属して、政策通でもあり、政党の枠を超えて私は日本の若手のリーダーとして尊敬もしております。よって、決して党利党略で物事を考えず、政権が替わっても、この所得補償制度を更に進化させた形で農林漁業者に希望を与えるという成長戦略の柱に是非していただきたいと思いますけれども大臣の考えをお聞かせ願います。
  117. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ちょっとお褒めにあずかって何か恐縮でございますが。  今からいろいろと検討していきますので、現場を大切にしていくということを改めて強調させていただきたいと、こういうふうに思いますし、与野党で、当時、我々野党のときに三党でやったときも、それほど全部ひっくり返してやるという話合いではなかったというふうに、そのときのいろんな議事録、文書等を拝見をしておりますと、そういうふうに読ませていただいておりますが、ただ、やはり今の実施状況というのを見ますと、この交付金の六割、これは加入者の一割に当たる二ヘクタール以上の層に交付されている一方で、残りの四割が加入者の九割に当たる二ヘクタール未満の層に交付されていると、こういうこともございます。したがって、こうしたことも含めて検討していかなければいけないというふうには申し上げておきたいと思います。
  118. 平山幸司

    ○平山幸司君 この戸別所得補償に関しては、私は非常に良い制度だと、地元を歩いても評価をいただいておりますので、是非、発展型の制度に更にしていただきたいと、こうお願いをさせていただきます。  TPPに関しまして、大臣とこの委員会で何度となく議論をさせていただいております。また、TPPに関してですが、このTPP参加に対する不安は地方において非常に強いものがあると思います。これは、農林水産業地域経済の中心になっている地域が多いこともあると思いますけれども都市部と比べてそれ以外の仕事が少ない、選択肢が少ないということがあるのかもしれません。  私も、青森県におっても、東北地方においても非常にこのTPPに関する不安、危機感というものを強く感じております。とりわけ東日本大震災の被災地においては地域的にも農林水産業が復興の中心にならざるを得ないわけですけれども、このTPP参加に対する不安は被災地の復興にも目に見えない影響を及ぼしていると懸念しております。  このTPPが被災地である東北地方の農林水産業若しくは地域経済、復興に及ぼす影響について大臣はどのように考えておるか、お伺いしたいと思います。
  119. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど、先ほどというか三月だったと思いますが統一試算を出させていただきまして、これは全て関税を撤廃して何の対策も打たないということですが、国全体で三兆円ということでございます。  それで、地域別の話は、昨日かおとつい、先生が予算委員会でやっておられるのを私も聞いておりましたが、今先生がおっしゃられるように、基幹産業が農林水産業である地域、私の山口県でも瀬戸内側と日本海側とあるんですが、やっぱり日本海側の方というふうに考えますと非常にイメージがしやすいわけですが、より大きな影響が出るであろうと、こういうふうに考えております。  したがって、農業従事者が例えば減少するとか高齢化するとか耕作放棄地が増えるといった、このTPPがあろうがなかろうが起こっている問題、こういうことがあるわけでございます。したがって、今私がやはりやるべきだというふうに強く思っておりますのは、このTPPの交渉というのは九十日ルールがありますから、その九十日が過ぎ去った後に入っていく、こういうことで交渉は始まっていくわけですが、その間も待ったなしの課題としてこういう岐路に立った日本農業を強くしていくための政策というものをやっていく必要があると、こういうふうに思っております。  そのときに、私も現場に行きますと、やはり攻めの農林水産業といいますと、何となく多面的機能とか、小規模で頑張っておられる方が何かこう置き去りにされるのではないかと、こういうような印象をあるいはお持ちになっているのかなということを感じることもございますので、そういうことではなくて、やはり例えば法人化して農場なんかの経営をすると農村集落自体が活性化をして、そこでいろんな働き方、かかわり方が出てくると、こういうふうに思っておりますので、攻めというのは大きく強くしていくというだけではなくて、そういう多面的機能や棚田のような美しい風景といったものもきちっと守っていくという包括的な攻めの農林水産業であるということを一生懸命発信をしてまいらなければいけないと、こういうふうに思っております。
  120. 平山幸司

    ○平山幸司君 ありがとうございます。  最後の質問になりますけれども大臣の方から今お話があったのが、例えばやっぱり新規の就農ですね、若しくは多面的機能、緑の雇用とか漁業後継者対策などなども含めて農山漁村の恐らく人口を確保していかなければいけないと。非常に地方にとっては厳しい状況になるというのは、これTPPに参加、不参加にかかわらずあると。  しかし、TPP参加後の農林漁業の行き先が今は見えない段階で、どれだけの人が将来希望を持ってやってやろうという就業に意欲を示すかと。これは、これまでも農業の後継者不足が続いてきたわけですから、仮にTPPに参加しても日本農林水産業は、林大臣は、大丈夫です、心配せずに就業してくださいと本当に若い人たちに言えるかどうかというところが非常に重要でありまして、その根拠も示していかなければいけないと思うんです。  TPPに関して言えば、私はどうも今の内閣はともかく入らなければいけないんだという感じをもう強く受けてならないわけでありますけれども、TPPに入ってからの具体的な成長戦略も見えないままで、今の形では到底、地方の立場からはTPP参加には反対とせざるを得ないわけであります。  よって、大臣に改めて、日本の地方を支える農林漁業の将来像をどう考えているか、その点を少しお話しいただければと思います。
  121. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変に大事な御指摘ではないかというふうに思います。  多面的機能お話を先ほど申し上げましたけれども、総理も実は同じ山口の出身で、特に山口四区というのは日本海側にずっと延びていくところでございまして、山口型放牧というものの発祥の地と言われております棚田地区もそこにあるわけでございますので、こういったその多面的な機能。  例えば、その山口型放牧で棚田にそういう活用をするというのもあるんですが、実際に棚田で厳しい条件、水が少し冷たいわけですね、山に近いので。そういうところであるからこそ、いいお米が取れるということも聞いたことがございます。多分、魚沼なんというのはそういうところではないかなと、こういうふうに思っておりますので、いろんなやり方がそれぞれに応じてあるんではないかなと、こういうふうに思っておりまして、例えば規模の小さい農家がお集まりになって集落の営農を組織していただく、それがまた法人になっていくというようなやり方もあると、こういうふうに思いますし、例えば私の地元で申し上げますと、今、日本海側の萩市と山口市の辺りの中間のところなんでございますが、大きな農場をつくられて、この方は法人協会の初代の会長にもなられた方なんでございますが、そういう展開ということがございます。  したがって、先ほどちょっと花粉症のところで新しい技術とか新しいお米の話もしましたが、こういうことをやるとか六次産業化するとか、どうやったらやっぱり付加価値を付けていけるかということをやりながら選択肢を増やすということが非常に大事だと、こういうふうに思っております。  北海道のような広いところでやることと、例えば私のところの山口でやるようなことを一緒の政策でやってもなかなか難しいだろうと、こういうふうに思いまして、そういう選択肢を増やしていって、そして横展開と言っておりますが、既に先駆的な事例に取り組まれて、そこそこ成功されていらっしゃる方もいらっしゃいます。  したがって、それを全く同じことをコピーするというよりも、同じようなノウハウを少し変えながら横展開をしていくということでこの活路を見出していくと、こういうことを考えておりまして、今、六月の取りまとめに向けて、この攻めの農林水産業の政策を取りまとめを急いでおるところでございますので、こういうことを出していって、特に若い人が農林水でやっていこうと元気が出るような政策を出していきたいと、こういうふうに思っております。
  122. 平山幸司

    ○平山幸司君 時間になりましたので。  大臣から将来像のお話もいただきました。TPPの件に関しても引き続き委員会質疑させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  123. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今日は、まず福島原発事故で大きな被害を受けた原木シイタケの問題について質問をいたします。  岩手県から鳥取県まで二十都府県で百八十九万本のシイタケ原木が不足しています。私は先日、シイタケの出荷量が全国五位の栃木県、栃木に行って話を聞きました。放射能汚染でもう現在もこの原木シイタケの出荷制限が続いています。栃木では、放射能汚染で使える原木は一部にとどまっていて、七十五万本を確保する必要があると。それで、汚染されていない原木を鹿児島県、宮崎、大分、愛媛などから調達をして何とか四十五万本まで確保できたということでした。調達したから生産できるかというと簡単ではなくて、東日本はコナラなんだそうですね。西日本はクヌギを使うということで、栽培技術を習得するということも必要なんだという話です。それから、ほだ木の長さが西日本と違うために、東日本の長さに合わせる必要があるということもお聞きしました。  そこでまず、東日本支援するために増産している西日本についてなんですけれども、西日本では山に道を入れて労働力を回して増産に取り組んでいると。林野庁はキノコ原木の増産対策というのをやっておられますよね。こういう対策はもちろん必要なんですけれども、原発事故がなければこれ必要なかったものです。この費用は当然東電に賠償を求めるんでしょうか。
  124. 沼田正俊

    政府参考人(沼田正俊君) 委員指摘のように、いわゆるシイタケの生産というのは農山村地域で非常に重要な課題でございますので、私どもとしてもこういったシイタケの原木の確保に努めさせていただいているところでございます。こういった意味で、今現在、キノコ原木の伐採なり搬出、運搬に必要な例えば作業道の整備でありますとか、あるいはキノコ原木を造材する場合の経費、そういったものを定額で支援させていただいているところでございます。    〔委員長退席、理事郡司彰君着席〕  こういった経費でございますけれども、こういった原木の確保に必要な経費でございますけれども、こういったものについては基本的にいわゆる賠償の対象となるというふうには考えておりますけれども、こういった場合のいわゆる原木の購入者の方々に対しても、シイタケの生産の継続を早急に支援する必要があるということで一部助成させていただいておりますけれども、基本的には賠償ということでお願いしたいというふうに考えているところでございます。
  125. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと、もう一回確認します。そうすると、賠償としてそれに掛かる経費は東電に求めるというふうに今おっしゃったんでしょうか。
  126. 沼田正俊

    政府参考人(沼田正俊君) いわゆるキノコ原木の生産サイドの方は通常の生産活動において出されるものでございますし、また、そういったキノコ原木の取引に伴いますものということで収益は出てくるかと思っておりますが、損をすることはないと思っておりますので、そういった意味で西日本の方のそういった経費については対象にならないというふうに考えておりますが、ただ、東日本の方で原木を購入される方がいわゆる原木価格が高くなるということによって生じた掛かり増しの経費につきましては基本的には賠償の対象ということで考えているところでございますが、シイタケの生産の継続が、早急にそういったものについて支援する必要があるという考え方の下に私どもとしても二分の一の助成をさせていただいているというところでございます。    〔理事郡司彰君退席、委員長着席〕
  127. 紙智子

    ○紙智子君 原発事故によって必要となった、生産について言っても必要となった対策だったら、これはやっぱり税で全額する必要というのはないんじゃないか、やっぱりちゃんと賠償を求めていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思うわけですね。  それで、このキノコ原木の増産対策の補助率というのは、これは定額となっていますけれども、これは自己負担なしで行っているんでしょうか。
  128. 沼田正俊

    政府参考人(沼田正俊君) キノコ原木のこういった伐採でありますとか搬出等におきます例えば作業道の整備に対しましては、一メートル当たり二千円の定額ということで用意させていただいております。また、キノコ原木を造材する場合に掛かる経費、これは一立方メートル当たり二千円というものを定額で支援させていただいているところでございますので、そういった場合、いわゆる原木の生産者の方がそういった費用の中でやっていただければ特段の新たな負担は生じないというふうに考えているところでございます。
  129. 紙智子

    ○紙智子君 それで、栃木県の話に戻しますけれども、西日本からシイタケ原木を調達するには掛かり増し経費が発生すると。それで、生産拡大に伴う価格の高騰分、それから輸送費ですね、原木を傷つけないように運ぶために枠を作らなきゃいけない、それからトラックターミナルなどの場所代ですね、森林組合が調整、調達をこれは行っているわけですけれども生産者の庭先まで運んでいるわけです。原木の価格ですけれども、通常は一本二百五十円から三百円ですか、コストが上乗せされると、そうすると四倍から五倍になるというふうに言われています。  林野庁はキノコ原木の購入支援ということで行っていると思うんですけれども、掛かり増し経費の半分を国が持つ、半分を東電に請求するというふうになっています。ところが、東電に請求しても、これ、すぐに賠償金が出ないケースが続出しているんですよね。結局、なぜ、農家にとってみれば、何で余計な作業を自分たちがやらなきゃいけないのかという声が出されているわけです。そういう声が出るのも当然だと思うんですね。請求してもすぐ出ないと、結局自分たちがその分まずは担わなきゃいけないということになるわけですよ。  こういう声が出ていることに対してどのようにお考えですか。これ、ちょっと、じゃ大臣、いかがですか。
  130. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) お答えさせていただきます。  実は、私も四月の中旬に福島県のこの生産者団体から要請をいただきまして、様々意見交換をさせていただきました。その折にも、様々な御意見の中で、まず一つはこのキノコ原木の購入支援について、先ほどから御説明させていただいていますけれども、いわゆる生産継続、これをしていくために掛かり増しの経費の二分の一の助成をしているということ。  それから、議員お尋ねのことなんですけれども、東電への賠償請求、これが一部遅れているのではないかという、そういったお話もありまして、ただ、このことについては、例えば請求様式の確定が平成二十四年の七月以降になったということ、それから、JAの協議会の請求というのが、請求者全員書類が整った段階で請求をするということになりまして請求までに時間を要したということもございます。  農水省としてはこれまで、東京電力への直接の要請、それから生産者と東京電力の賠償交渉の場への担当官の派遣ですとか、それから生産者向けにこうした問題についてのQアンドAの作成を行いまして情報提供などに努めてきたところでございます。今後とも、生産者の皆様の損害が早期にかつ適切に賠償されるよう東京電力に強力に要請をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  131. 紙智子

    ○紙智子君 農家の皆さんは放射能の被害に苦しんで、生産を続けるかどうかということも迷っておられるわけですよね。  半額は東電に賠償を求めればいいという話なんだけれども、東電は、取引が終わった後に請求書に基づいてやるというふうに言っているわけですよ。だから、もうとにかく出して、それでその費用も出して、後で請求書を出せというわけですよね。だけど、請求したその金額が全部賠償されるかというと、そうとも限らないんですよ、これは。それを見た上で出すものを判断するというふうに言っているわけですよ。だから、本当に負担感が高いんですね。  農家が安心してやっぱり生産できるようにするためには、掛かった経費は一旦これ国が全額農家に渡して、東電との関係は国がその後対応していくということにするべきじゃないかと思うんですよ。そういうふうにすれば、農家も安心して生産が続けられると。  大臣、補助事業だからということではなくて、やっぱり従来にない枠組みをつくるべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
  132. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、稲津政務官からお答えさせていただきましたけれども、これは、先ほど委員から御指摘があったように、本来、本来賠償されるべきものなわけでございまして、その掛かり増し経費はですね。したがって、ただ、今おっしゃられたように東電もいろいろ手続が面倒くさいとか遅れるとかということがあって、その本来賠償すべきところを二分の一はまず助成をしようと、こういうふうに考えて、まさに今おっしゃっていただいたように、これはなぜやるかといえば、シイタケ生産の継続と、これを支援する必要があるということでやってきたところでございます。  したがって、こういう各種支援と併せて、先ほどからございましたように東京電力へ要請を行って、しっかりと生産者が、要するに生産を継続していこうというふうになってもらうことが大事でございますので、この今の仕組みをフル活用してしっかりと取り組んでまいりたいと、こういうふうに思っております。
  133. 紙智子

    ○紙智子君 今の仕組みでフル活用というふうに言うと、結局は二分の一は国が出すけどあとはというふうになっちゃうんじゃないのかと。やっぱり生産者の苦境を本当に真剣に考えれば、やめるかどうかと悩んでいるわけですからね、続けてもらうためにはこれまでの従来の枠を超えた対策が必要だということで是非検討いただきたいんです。国が一旦やって、そして東電との関係で決着付けるということで是非やっていただきたい。  それから、加えて、農家の経営を守るために必死になってこの原木を調達している森林組合支援なんですよ。原木を調達したりトラックターミナルを借りたり、農家の庭先までこれを運んだりということで数億円掛かるというんですね。この掛かり増し経費を森林組合が調達していると。森林組合任せにせずにこれも支援すべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか、大臣
  134. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 原木林の再生ということで、昨年度から福島県と連携をいたしまして、伐採後、まず切るわけですね、そうすると生えてくると。で、この生えてくる、新しく生えてくる樹木への放射性物質の移行状況のモニタリング、こういうものを実施をして知見の集積を図るということで、どういう地域でどういう方法で再生したらいいかということをしっかりと対策を講じてまいらなければならないと、こういうふうに思っておりまして、そういういろんな施策を総合的にやはり展開をして、再生についてもしっかりと支援をしてまいりたいと思っております。
  135. 紙智子

    ○紙智子君 農家の原木を届けるまで先行投資が要るということで、森林組合皆さんもいろいろ努力されているので、是非、よく要望を聞いていただきたいというふうに求めたいと思います。  それから、シイタケ山をどう再生するかというのも大変重要な問題だと思うんですが、現在のままほうっておくと森林は荒廃してしまうと。早く循環林にする必要があるんですけれども、シイタケ山を再生するには十五年から二十年掛かるというふうに聞いています。その間、他県からシイタケ原木を調達しながら早く安全な原木林を再生する必要があるんですけれども、この放射能の被害で鹿とかイノシシが食用に使えないということもあって頭数が増えてきているわけですね。それでその苗木を食べてしまうと、こういう被害も増えているというふうに聞きます。  大臣、この獣の被害対策を含めて、シイタケ山の再生をどう進めるのかということでの御認識と対策について、ちょっと見解をお聞きしたいと思います。
  136. 林芳正

    国務大臣林芳正君) シイタケの方も、今お話があったように、原木林が再生するまでの間生産を継続すると、山の方のことで、供給の掘り起こしをするですとか、マッチングの推進をする、それから原木や洗浄機械の購入費用の支援ということで、このシイタケの原木の安全なものを確保するということの支援を実施してまいりたいと、こういうふうに思っております。  また、鳥獣害といいますか、そういうものが出てきて食べてしまうというところに関してはなかなか、一般的な鳥獣害対策ですと、まあトラップを掛けてとか猟友会にお願いしてと、いろんなことがあって、これもなかなか苦労しているところもあるんですが、このエリア的に言ってなかなかそういうことができないところというのはなかなか悩ましいところでもございますので、ただ、せっかく頑張ってやったものがむしゃくしゃ食べられちゃったと、こういうことではやる気も萎えてきてしまいますので、何ができるか、これは我が省のみならずいろんな省庁とも知見を共有しながら考えてまいらなければならないと、こういうふうに思っております。
  137. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ、最後に、漁業の燃油高騰問題についてお聞きします。  いわゆるアベノミクスで円安が進行して、燃油価格等の急激な上昇でもって漁業経営が危機に直面していると。漁業経営セーフティーネット構築事業では補填されてはいるんですが、この制度だけでは救済されない状況だと。それで、大臣は我が党の山下芳生議員が先日新たな対応を求めたのに対して、御指摘があったように、異常高騰の場合に異常高騰分について特別な対応を行うように検討を開始しているという御答弁がありましたけれども、既に一斉休漁が、先日、イカですか、行われていますけれども、特別な対策については、いつこれはお示しになるんでしょうか。
  138. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この間、予算委員会だったと思いますが、山下先生とやり取りをさせていただきました。浜の方が大変に御苦労されておられるという思いを山下先生とも共有できたんではないかと、こういうふうに思っておりますが。  今お話がありましたように、今の制度で、積み立ててそして補填をすると、こういう仕組みで、国費分の残高百億円になる見込みでございます、二十五年度の予算が入ったという前提でですね。したがって、一定の対応は可能であるというふうに思いますが、さらに予期し得ない異常高騰ということについてどういう対応を行うかということで、この間も少し申し上げましたけれども、この異常高騰分を、対応を六月中にも考えたいと、こういうふうに思っております。  先ほど、一斉休漁のお話もありましたし、それから、五月の二十九日に燃油高騰対策の実現に向けた全国集会と、これを漁業者の団体の方がおやりになるということですから、こういうところでどういう御意見が出されるかということも踏まえながら、一定の方向を六月中には得ていきたいと、こういうふうに思っております。
  139. 紙智子

    ○紙智子君 全漁連や水産団体は、セーフティーネット構築事業の制度拡充、それから来年度予算での対応では今の異常高騰に対応できないというふうに言っているわけですね。迅速な対応が求められているわけです。これは、アベノミクスということで、経済政策によって急速にそういう事態が生まれたという問題でありながら、予算上はセーフティーネット構築事業があるということで素通りしていいのかということでもあるわけです。  今日は予算委嘱審査ということでありますから、是非迅速に対応することが求められていますし、今大臣もおっしゃいましたように五月二十九日に集会も開くということでもありますから、是非漁業者が安心できるメッセージを発していただきたいと。最後に一言、そのこと、決意をお聞きして終わりたいと思います。
  140. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  私も元々は下関の地元でございまして、浜という言葉をよく使うんですが、やっぱり浜の皆さんの勢いというか気持ちと、これが非常に大事でございますので、しっかりと浜の皆さんの元気が出るような対応を検討してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  141. 紙智子

    ○紙智子君 終わります。
  142. 舟山康江

    舟山康江君 みどりの風の舟山康江でございます。  今日は、今後の農政の方向性についてどのようにお考えなのかを中心にお聞きしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず一点目でありますけれども食料農業・農村基本計画でも自給率向上を目指しております。自民党の今後の計画の中では自給力という言葉も使っておりますけれども、いずれにしてもやはり生産を拡大していくと、担い手確保していくという方向性には違いがないんだと思っております。  そういう中で、残念ながら自給率は低下の一途をたどっていて、最近少し歯止めが掛かっておりますけれども平成三十二年に五〇%という目標にはなかなかまだまだ程遠いような状況だと思っております。  とりわけ私気になっておりますのが、麦の生産がやはり伸び悩んでいるなということが大変気になっております。目標では、平成三十二年、これ今から七年後でありますけれども、小麦の生産を百八十万トン、国産ですね、国産小麦を百八十万トンまで増やそうという計画があるわけでありますけれども、二十四年度の見込みで八十一万トン、二十五年度の見通しでは七十五万トンと、これ減少に転じているという状況であります。これではなかなか自給率向上にも結び付きませんし、目標達成というのは大変程遠いんではないかと思っております。  なぜ、この直近の数字でありますけれども、二十五年度でこういった減少に転じてしまったのか、今後、小麦の生産確保についてどのような計画を立てていらっしゃるのか、これは需要面での問題なのか、また生産体制の問題なのか、その辺の原因等も含めてお答えいただければと思います。
  143. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) 食料自給率の向上に関して、麦の生産体制等についての御質問をいただきました。  議員御指摘のとおり、例えば小麦でいいますと、平成三十二年の目標が百八十万トンであるにもかかわらず、近年大体八十万トンぐらいで推移をしている。それで、特に年度別で見ますと、極端に落ちている年もございます。当然、これは気候の問題があったりとか、いろいろ、状況によっては不作の年もあると。  その主な原因がどこにあるかということになってくるんですけれども、これはいろんな見方があるんですけれども、例えば水田の転作の地域では湿害によるとか、そういったものもあると思います。さらに、今後、そうしたものについて精査を加えながら適切に対応していきたいと、このように考えております。
  144. 舟山康江

    舟山康江君 今お話しいただいたように、単収の乱高下によって生産量が変動しているということもありますけれども、やはり絶対量、絶対値として面積もなかなか増えていないという現状があると思います。やはり今後、数値目標を持って食料農業・農村基本計画を、これは計画だけで、絵にかいたもちではなくて、実現に向けてどうやっていくのかということを具体的に考えていかなきゃいけないんだと思います。  ですから、やはり中間年にどのぐらいに持っていくとか、やはり具体的な数値目標を掲げながら、これは小麦だけの問題ではないと思います。例えば、大豆も思うように増えておりませんし、飼料用米は大分増えてはきておりますけれども、米粉用米も、これは需要の面での制約もあるのかもしれませんけれども、なかなか増えていないという状況があります。是非、具体的に数値目標を持って、いつまでにどうしていくんだと、そして具体的にどうするんだという目標が必要ではないかと思っておりますけれども、そこはいかがでしょうか。
  145. 稲津久

    大臣政務官(稲津久君) 御指摘のとおり、例えば小麦ですと、作付けの面積自体がなかなか伸びていない、大体二十一万ヘクタールぐらいでずっと推移しておりまして、これも先ほどの百八十万トンの生産目標でいくと、少なくとも四十万ヘクタールぐらいはということでございまして、ここをどういうふうにするか非常に悩ましい問題なんですけれども、一つの大きな要因としては、いわゆる通年による不作地がかなりあるということ、ここをどうしていくかということがかなり大事な問題であると思っています。  したがいまして、議員から今御指摘ございましたけれども、そうしたものについての今後工程表みたいなものをどんなふうに組み上げていくのか、これはこれからいろいろ検討しなければいけないことであると、このように考えております。
  146. 舟山康江

    舟山康江君 品目ごとの、私、今政務官からお話ありました工程表作りというのは大変これから大事になっていくんではないかと思っております。今後、どのような農業政策によってそれを実現していくのか、これを考える上でも大変大事だと思っておりますので、是非早急に取り組んでいただきたいと思います。  今の指摘とも関連するんですけれども、民主党政権になりまして戸別所得補償制度が創設されました。その前は品目横断経営安定対策事業、水田・畑作経営所得安定対策という形でありましたけれども、戸別所得補償制度の中で、やはり作ることを支援していこうと、米を作るのと同じぐらいの所得を得られるように麦、大豆、ほかの転作作物についても応援していこうという趣旨で導入されたわけでありますけれども、今の結果を見ますと、やはりここも単価が低くてなかなかうまくいかないのか、こういった分析も必要ではないかと思っております。  そういった問題はあるにしても、私は、戸別所得補償制度、これは先ほど平山議員からも指摘ありましたけれども、かなり現場には定着をし、また一定の評価をいただいているんではないかと思っています。私が全国を回っている中で、戸別所得補償制度に対して当初大変誤解もありまして、この制度ができれば米価が下がるんではないかという誤解の中でいろんな御批判もいただきました。ただ、三年たった今、私の知る限り、この制度に対して批判の声というのは聞こえてきておりません。やはり実際に農家の所得が向上しているという、こういった実績もあると思いますし、とにかく米を作らないための支援ではなくて作物を作ることを支援していこうという、この発想というのは大きな発想の転換でもありましたし、大変意義があったんではないかと思っています。  更に言えば、残念ながら水田・畑作経営所得安定対策ではその支援対象を一定規模以上と限定を掛けて、言わば足切りのような形のものも行ったと。これもやはり差別ではないか、小農切捨てだというような批判があった。これに対して戸別所得補償制度では、小規模、零細、兼業、高齢、こういったことにかかわりなく意欲ある全ての農業者を対象に支援をしたというのも、これも非常に一定の評価があるんではないかと思っております。  今、日本型直接支払制度というものの検討をしているというようなことが聞こえてまいりますけれども、私は、この戸別所得補償制度もある意味では日本型直接支払制度の入口の形であると思っております。元々、制度を作ったその趣旨というのは、表面的には販売価格と生産費の差額を補填するというものでありますけれども、そこに込められた意味、理念というのは、価格に織り込まれない多面的な役割、農村で農業を営むことによって発揮される様々な役割を生産物の価格に代わって国が直接補填をするという考え方、まさに直接支払の基本的な考え方だと思っております。  そして、やはりこういった考え方、EUの農業政策でも、元々、直接支払の入口というのはこのような言わば不足払い的なことから始まって、それを生産から少しずつ切り離していわゆる環境支払に変えて、多面的支払に変えていくという、こういった変遷をたどっているんではないかと思っております。  そういう中で、私は、今後、この戸別所得補償制度をベースにこういった多面的機能を評価する部分を少し、そちらにウエートを重くしていくというような、そういう方向を追加していくという、そういった考え方が現場にもなじむし、この制度の継続性にもつながっていくんだと思いますけれども大臣はいかがお考えでしょうか。
  147. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、舟山先生から大変本質的な御議論があったというふうに思っております。  民主党時代の戸別所得補償制度は、名前が所得補償制度というふうになっておりますが、まさに今委員が御指摘になったように、生産とリンクして支持価格的にやっていくということがあったということでございまして、まさに与野党で、我々が野党のときに議論していたときもそういうやり取りもあったんではないかと、こう思っておりますが。  したがって、経営所得安定対策という名前に変更したということと、それから公約に、先ほど平山先生との間でお話をさせていただきましたように、直接支払ということで、繰り返しになりますが、畑地も含めて農地農地として維持することに対価を支払うということを書かせていただいたという意味では、今おっしゃられたこととそれほど大きな、北極と南極ほどの違いはないのではないかなというふうに聞かせていただきましたが、いずれにしても、この二つの議員立法、それから公約というものをベースに、もう一つ大事なことは、繰り返しになりますけれども現場が混乱しないということでありまして、現場の方の意見をよく踏まえてそういう方向性で検討をしてまいりたい、そのために今年度は調査費の計上をしたと、こういうことでございます。
  148. 舟山康江

    舟山康江君 私は、名前でいえば、今、今年度では経営所得安定対策事業となっておりますけれども、それと別枠に日本型直接支払ということではなくて、やはり一つのベース、私はあえて戸別所得補償制度と申し上げますけれども、これを拡充していくという考え方の方がやはり、農村で農業を営む、ただ農地を持っているだけではなくて、農業を営む、生産活動をする、そのことによって様々な多面的な役割が発揮されるんだと思います。例えば、水を張ることによって水源涵養という機能があったり、またそこで、農村で農業を営む農家が集落を形成していろんな地域の伝統文化を支えるという、これも多面的な役割だと思います。  農村で農業を営むことによって発揮される価値を支えるという意味では、やはり私は、こういった戸別所得補償制度に上乗せをする、拡充をする、そういった方向で是非御検討いただきたいと思いますし、先ほども少し言及いたしましたけれども、これEUの共通農業政策もそういった方向で今進んできているんだと私は理解しております。  当初は、生産に言わば完全にリンクした形で、不足払い的な形で直接支払が始まりました。そこから、生産から切り離して環境支払に行ったわけですけれども、一時期それが行き過ぎて生産と完全に切り離した。そうすると、生産活動もしないのに、ただ農地があるだけで支払がされるということで批判も大きくなった。そしてまた、生産リンクということに少し戻ってきております。  来年度、若しくは再来年度に延びたかもしれませんけれども、新しい共通農業政策が始まると思いますけれども、やはりこういった議論も参考に、単に価格ではなかなか反映できないそういった役割に代わって行政が財政的に支援をするという、こういった考え方はこれからも必要だと思っておりますので、是非しっかりと御検討をし、伸ばしていただきたいなと思っております。  そして、今後そういう中で、やはり担い手育成農地集積という形については、私も一定の方向性については否定はいたしません。そういう中で、先日の産業競争力会議でも出てまいりました、農地の中間管理機構というものをつくっていこうという、そういった方向になっていると思いますけれども、まず一点お聞きしたいんですけれども、今までも農地の中間管理ということで、例えば農地保有合理化法人があったり、また農地利用集積円滑化団体があったりということで、取り組んできたと思っております。こういったものと今回の中間管理機構というものはどのように役割が違うんでしょうか。
  149. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 委員もよく御案内のように、今までも、市町村の段階、それから県の段階にこういうものがあって、県のものは公社というふうに名前が付いているものが多かったと、こういうふうに思いますが。  基本的には売買というものを前提にやっていたということもあって、なかなか農業者が、先祖代々の土地だと、こういう意識の中で農地を売ってしまう、手放すということには抵抗感があると、こういうことと、それから公社の方も、売り買いをするということになりますと購入資金が必要になります。買って、そして売れない場合はこれ在庫ということになっていきますから、なかなか活動が活発化しなかったと、こういうことがあったのではないかと、こういうふうに思っておりまして、日本全国で四十七都道府県がございますが、全体で十二億しか予算がなかったわけですね。  したがって、今回の、今考えております、仮称ですが、農地中間管理機構なるものを少しグレードアップしまして、リースを中心にやっていこうと。できれば法律も整備をいたしまして、地域農業者の話合いをセットにしながら、人と農地プランみたいなものをきちっとやって、誰にどういうふうに集めていくかということを頭に入れながら、そういう法制度、予算を背景にこれをまとめていくと。  例えば、いろんな分散、錯綜しているものを一つずつそこに入れていって、そこをパッケージにして、更に言えば土地改良までやって大きなものにしてから今度は受け手の方に出していくと、こういうことができないのかなということを考えておりまして、こういうことをやることによって集積化を進めるということと耕作放棄地の解消と、こういうものにつなげていきたいというふうに考えて、今その検討を急いでおるというところでございます。
  150. 舟山康江

    舟山康江君 やろうとしている方向性はよく分かる部分もあります。ただ、私、実は今の農地法の体系の中では、そもそも農地は耕作する者が自らが所有するということで、耕作者主義はまだそのまま残っていると思います。そういった意味もあって、私はそもそも所有者の義務としてちゃんと耕作をするということ、これは忘れてはいけないんだと思います。  ですから、耕作ができないんであれば、やはり本来は所有権も移転するという方向に促すというのが、私はある意味では、私有財産なので強制はできないのは重々分かっておりますけれども、本来の姿はやはり耕作者がきちんと所有をするんだ、耕作できなければ誰かに売るなりなんなりということで、所有権の移転も含めた対応というのが本来あるべき姿だということ、これは念頭に置いて今後対応をしていかなければいけないんだと思います。そうでなければどんどんと、所有者と耕作者、利用者というのがどんどん離れていって、今はまだいいかもしれませんけれども、これから時間がたてばたつほど全く権利関係が非常に分からなくなってくるということにもなりかねないと思います。  是非その基本をしっかりと押さえた上で、こういった農地の利用集積、流動化の対策をしていただきたい。あくまでも私はやはり耕作者主義ということで、しっかりと耕作者の義務として、数年前の農地法の改正でもある意味では耕作者の義務は強化された方向になっていると思います。ですから、そこはしっかりと念頭に置いて取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  151. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、舟山先生おっしゃいましたように、この二十一年の農地法改正のときに、農地の所有者にまずは適正、効率的な利用の責務ということを法律で義務付けておりますので、原則はそういうことでございます。  その原則に立った上で、ただ、なかなか、先ほども申し上げたように、現場へ行きますと、この所有権、おじいちゃんが持っていたものが兄弟の間で分割されて、また孫の代になりますとということで、昔の人はそういうことをたわけ者と言ったということだと思いますけれども、そういう状況になってきて、そのうちの、お孫さん十人いたとすると何人かはもう都会の方におられて、なかなか捜し当てるのが大変だというような現状も行くと聞くようなこともございますので、逆に言えば、その責務ということを果たしていないということであれば、例えば公告をして一定の期間内にきちっと手続を取ってくださいということをお願いした上で、そういうことがない場合には権利を設定していくと、こういうこともやらなければいけないのかなと、こういうふうに思っておりまして、そういう意味で、先ほどちょっと法制にも触れましたけれども、そういうことも含めて包括的にやってまいりたいと思っております。
  152. 舟山康江

    舟山康江君 一方で、この規模拡大の方向、先ほど申しましたとおり、私それ自体否定しませんけれども、産業競争力会議では国際競争力の強化をうたっており、大規模化を更に推進、促進しようという、そういった方向も打ち出しております。そういう中で、誰にどのような形で集めるのか、そういった議論の中で、安易な株式会社、企業の農地取得につながらないか大変懸念する声もありますし、私もそう思っております。  そもそも、なぜ今までこういった流動化が進まなかったかというと、やはり所得がなかなか上がらないということだと思います。そういう中で、先ほど触れましたやはり一定の経営支援多面的機能の評価も含めた経営支援をしっかりと抱き合わせながらこういった対策をしていくと。そして、この株式会社の農地取得ということに対しては、私はやはりあくまで慎重であるべきだと思っておりますけれども、それに対して大臣の見解はいかがでしょうか。
  153. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 一般の株式会社による農地の所有権の取得ということは、例えば、入ってこられてやり始めたんだけれども、一年たってやっぱり大変だったからということで耕作放棄地になってしまった場合に、なかなか所有権が移転してしまっておりますのでこういった措置がとれないということであります。一方、リースであればリース契約を解除と、こういうことになって、元に戻るということが容易であるのでございますが、したがって、余りこういう例がたくさんあると申し上げるつもりはないんですが、産廃置場みたいなものになってしまって、集落の中のそこだけがそういうことになってしまっているということもあるという話も聞くわけでございます。  したがって、今産業競争力会議にもお触れいただきましたけれども農業界とそれから経済界の皆様といろんな話をする中で、リース方式の参入というものを前向きに推進していこうというような状況になってきておりまして、こういう方式でこの改革を推進していきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  154. 舟山康江

    舟山康江君 この農地の所有、利用の問題はいろんな懸念もたくさんあると思いますので、しっかりとこの委員会でも議論をしていきたいと思います。  最後に、是非委員長にお願いがございます。  先日、この委員会でもTPP交渉参加に当たっての決議を採択いたしました。やはりこれは、単に決議をするだけではなくて守ってもらわなければいけない、そして更に言えば、やはり交渉相手国にこの日本の声をしっかりと伝えなければいけないと思います。そういう中で、例えばこの決議を英訳をしてアメリカの、これからアメリカで日本の参加を議論する、が始まりましたけれども、アメリカの議員に送る、こういった行動もしていく必要があると思いますので、是非委員会で検討いただきたいと思います。  あわせて、場合によってはこの委員会でやはりアメリカに対する調査というものも必要ではないかとも思っておりますので、御検討いただければと思います。  以上で終わります。
  155. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 今の御発言に関しましては、委員長といたしましては、各党の御意見をよく承って対処してまいりたいと存じます。  以上をもちまして、平成二十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十二分散会