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2013-02-28 第183回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年二月二十八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  二月二十七日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     難波 奨二君      松野 信夫君     田城  郁君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山谷えり子君     理 事                 石橋 通宏君                 大久保 勉君                 柳澤 光美君                 中村 博彦君                 水落 敏栄君                 山本 香苗君     委 員                 江崎  孝君                 小川 敏夫君                 田城  郁君                 津田弥太郎君                 難波 奨二君                 藤谷 光信君                 安井美沙子君                 赤石 清美君                 大家 敏志君                北川イッセイ君                 小泉 昭男君                 中原 八一君                 長谷川 岳君                 山本 順三君                 竹谷とし子君                 松田 公太君                 山田 太郎君                 森 ゆうこ君                 亀井亜紀子君                 吉田 忠智君                 浜田 和幸君                 舛添 要一君    事務局側        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君        常任委員会専門        員        工藤 政行君    参考人        一般財団法人国        際開発機構理事        長        杉下 恒夫君        独立行政法人日        本貿易振興機構        アジア経済研究        所国際交流・研        修室長開発ス        クール事務局長        ・教授      山形 辰史君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○政府開発援助等に関する調査  (派遣委員報告)  (国際開発協力課題我が国ODAに関す  る件)     ─────────────
  2. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、大塚耕平君及び松野信夫君が委員を辞任され、その補欠として難波奨二君及び田城郁君が選任されました。     ─────────────
  3. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会参考人として一般財団法人国際開発機構理事長杉下恒夫君及び独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所国際交流研修室長開発スクール事務局長教授山形辰史君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 政府開発援助等に関する調査を議題といたします。  先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。中村博彦君。
  6. 中村博彦

    中村博彦君 委員派遣について御報告を申し上げます。  本委員会山谷えり子委員長大塚耕平理事安井美沙子理事山本香苗理事江田五月委員津田弥太郎委員藤谷光信委員小泉昭男委員山本順三委員竹谷とし子委員亀井亜紀子委員及び私、中村博彦の十二名は、去る一月二十二日及び二十三日の二日間、独立行政法人国際協力機構JICA)の技術協力及び青年海外協力隊事業等に関する実情調査のため、福島県及び宮城県に派遣され、株式会社メディサンJICA二本松青年海外協力隊訓練所仙台市、東松島市、岩沼市を訪れ、関係者からの説明聴取関連施設の視察並びに意見交換を行いました。  以下に概要を御報告いたします。  第一日目は、まず、福島県郡山市に赴き、株式会社メディサンにおいて、JICA技術協力として医療機材の保守・管理を学んでいるアフリカ諸国からの技術研修員受入れ状況を視察しました。  次いで、福島二本松市に赴き、JICA二本松青年海外協力隊訓練所において、これから任地に赴く青年海外協力隊員候補者シニア海外ボランティア候補者意見交換を行うとともに、語学研修状況宿泊棟等施設を視察しました。続いて、JICAから、二本松訓練所沿革役割訓練内容意義国際協力理解促進に向けた地域に根ざし地域に開放された訓練施設としての取組東日本大震災における沿岸地域被災民受入れ支援状況等について説明を聴取しました。特に、本年度から取組の始まった民間連携ボランティア制度により、ボランティア事業への参加を通じて企業が求めるグローバル人材育成にも寄与できるとの説明があり、また、この制度による隊員候補者からは、協力隊経験企業海外展開にも資するとの発言がありました。  派遣委員からは、応募者減少傾向の見られる青年海外協力隊員の募集に関する現状と課題手当等を含む隊員の処遇や帰国隊員に対する就職キャリア形成支援の在り方、隊員日本文化への理解訓練の中で深めることの重要性等について質問意見が述べられました。  次いで、宮城仙台市に赴き、JICA東北支部から、東北支部沿革役割市民参加協力事業内容等について、外務省国際協力局から、ODAを活用した中小企業等海外展開支援事業概要等について説明を聴取しました。また、中小企業等からの提案に基づくODA事業への展開のための案件化調査に採択された入三機材株式会社から、ODA事業への期待と中小企業海外でのビジネス展開等について意見を聴取しました。  派遣委員からは、ODAを活用した中小企業等海外展開支援事業に関する広報の強化支援事業進め方途上国開発ニーズ我が国中小企業の製品や技術とのマッチングの重要性中小企業庁や日本貿易振興機構(JETRO)との連携必要性援助における官民連携重要性等について質問意見が述べられました。  第二日目は、宮城東松島市に赴き、東松島市役所において、東松島市及び東松島市の復興事業に携わっている一般社団法人東松島らいとし機構」から、東松島市の東日本大震災からの復旧復興状況復興支援事業におけるJICAとの連携等について、それぞれ説明を聴取しました。  派遣委員からは、「東松島らいとし機構」による再生可能エネルギー普及取組等について質問が行われました。その後、東松島市が取り組む災害廃棄物の処理やリサイクルの状況等を視察しました。  次に、東日本大震災で被災した東松島市の野蒜地区において、野蒜まちづくり協議会から、住民の高台移転に関する取組等について、また、地域復興推進員として活動している青年海外協力隊帰国隊員等から、活動状況等について、それぞれ説明を聴取しました。  派遣委員からは、JICAによる地域復興推進員の配置や活動等について質問が行われました。  最後に、宮城岩沼市に赴き、岩沼市から、岩沼市の東日本大震災からの復旧復興状況等について、青年海外協力隊経験者中心となって組織されている公益社団法人青年海外協力協会JOCA)」から、帰国隊員による被災地での復興支援活動等について説明を聴取し、また、岩沼市で生活支援員として活動している帰国隊員から、サポートセンター運営等支援活動状況について説明を聴取しました。  派遣委員からは、復興支援活動における青年海外協力隊としての経験意義生活支援員の今後の進路、生活支援員に対するJICAJOCAによる就職キャリア形成支援必要性JOCA国内協力隊としての活動等について質問意見が述べられました。  以上が今回の派遣概要であります。  今回の調査により、JICA技術協力青年海外協力隊事業が、シニア海外ボランティア活動とも併せて、途上国国造りを担う人作りに地道に貢献している事業であるとの認識を新たにしました。これらの事業は、我が国の「顔の見える援助」として高い評価を得ていますが、特に、青年海外協力隊事業に関しては、帰国隊員海外での経験を生かして、東日本大震災からの復興支援に真摯に取り組む姿を間近に伺い、我が国の将来を背負っていく人材育成にも貢献するものと実感いたしました。  他方、応募者数減少傾向にあることを踏まえ、帰国隊員就職キャリア形成支援の更なる強化はもとより、新たな応募者層の開拓など、二〇一五年の協力隊創設五十周年に向けて協力隊事業に係る施策の充実を図るべきであるとの思いを深めました。協力隊事業開発協力人材グローバル人材育成の基盤として評価を高め、ひいては企業海外展開にも寄与していくためにも、本年度から実施されている民間連携ボランティア制度認知度高まり参加者の増大に結び付くよう取組強化が進められることが重要であると認識しました。  ODAを活用した中小企業等海外展開支援については、我が国ODA途上国開発ニーズを満たしながら、我が国成長にも寄与し得る取組であると実感しました。厳しい経済財政状況や、東日本大震災からの復興取組の中で、ODAを持続的に推進していくためには、国民理解と支持が不可欠であります。途上国開発我が国経済活性化を結び付ける手立てとしてODAを用いたこのような取組や、ODAにおける官民連携取組を今後とも一段と充実させていくことが重要であるとの認識を新たにしました。  最後に、今回の派遣に際し、御対応いただいた関係者皆様方に対し深く感謝を申し上げるとともに、一日も早い被災地復興を心から祈念し、御報告といたします。
  7. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) ありがとうございました。  以上で派遣委員報告は終了いたしました。     ─────────────
  8. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 次に、国際開発協力課題我が国ODAに関する件について、参考人方々から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、一般財団法人国際開発機構理事長杉下恒夫君及び独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所国際交流研修室長開発スクール事務局長教授山形辰史君でございます。  この際、参考人方々に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  参考人方々から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  議事の進め方について申し上げます。  まず、杉下参考人山形参考人の順序でお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、杉下参考人からお願いいたします。杉下参考人
  9. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 山谷委員長委員皆様、今日は委員会にお招きいただきまして、どうもありがとうございます。所定の時間内で私の意見を述べさせていただきたいと思います。  私は、長いこと生きておりますせいか、たくさん、ジャーナリスト新聞記者大学教授、いろんな職業を経験しておりますが、ほとんど社会人としての三分の二ぐらいODA開発協力の問題をずっと専門に扱って、取材又は執筆又は研究してまいりました。  最近ちょっと残念に思っているのは、そのODAについて、善かれあしかれ、特に私の古巣でありますマスコミ等々で善きにつけあしきにつけ、余りODAのことが評価、話題にならないというのは寂しく思っておるところなんですが、今日、国会でこうやって、お忙しい中にこれほど多数の先生方が集まられてODA特別委員会等開催されているということに大変心強い思いをしております。やはり国会先生方の、日本の重要な外交政策でありますし、また国際貢献策であります開発協力というものに対して、こうやって先生方がたくさん御理解、また関心を持っていただいているということに、大変私は今日はうれしく思っております。  それでは、私の意見を簡単に所定の時間ということで申し上げます。  まず、ODAは、御承知のとおり、ずっと国の財政の問題、緊縮財政の中で長らく予算削減が続いております。しかし、この二、三年、特に来年度、一三年度予算では政府原案一般会計で〇・七%減というところにとどまってきている。この二、三年の傾向ODA削減というのに多少歯止めというか底を打っているんじゃないかなという感じがしております。これから、もちろん景気の動向を見ながら、ODA予算が国の規模にふさわしいODA執行ができるように、また皆様先生方の御助力をいただければ大変有り難いと思っております。  しかしながら、現在の状況で急にODA予算がかつてのようなトップドナーになるような拡大というのは望めないと思います。その場合どうすればいいのか。やはり、聞き飽きた言葉でもございますが、ODAの限られた予算内の中で選択集中をしていくこと、これがやはり我々の、日本ODAのより効果的な執行ではないかと思います。  私、たまたまついこの間、カナダのCIDAという援助を担当しているところの研究所長と話をして、カナダは、御承知のとおりODA規模日本よりも更に少ない、小さな規模ODAを実行しているところでございますが、カナダODAというのは、やはりその小さい予算の中でどうすればいいか、それはまさに今申し上げた選択集中、国の選択それからセクター選択、こういうものをやりながら執行していると。ただし、一旦選択した場合は非常に集中的に長いこと、まさに集中的にやって、その当初の目的を達成するまでやっていくんだと。  私もやはり、当面、日本ODAが現在の規模で実行されていく中で、やはりもちろん外交上余り実を言うと選択できない事情もあるかとも思います。つまり、簡単におたくはやめますよと言えないいろんな外交的事情もあることも私も存じ上げていますが、そういう中でやはり支障のない選択をしていく、国の選択地域選択、こういうものをやっていくことが重要かなと。  それは、当然、どういう選択をするかということは、我々の、日本安全保障また経済、そういったものに資する選択の仕方をしていっていいんではないかと。つまり、ばらまき型の援助国別地域ばらまきはもう我々の力としてできないことを考えながら、やはり我々の国益又は我々が国際社会でどういうことをやりたいか、そういう国際貢献策に合致するやり方で国なり地域選択をしていくべきではないかと。  それからもう一つは、今、先ほど申し上げたように、セクター選択だと思うんですね。セクター選択、どういうことになるかというと、やはりこれも、日本の今現在のこういう経済状況、今まさに立ち直らんとしているんですが、非常にまだ弱い流れの中で、やはりそれを支援していくようなODAというものが必要ではないかと。簡単に言いますと、成長戦略、それから資源外交とか、それからさっき申し上げたように安全保障に資する、そういうものを選んでやっていく。  どういうことかといいますと、大型インフラとかIT技術とか、そういったものに関連していくもの、そういったものに関連するODAというのをやっていけばいいか。資源なんかの場合でしたら、非常に豊かな国でありますサウジアラビアなんかに対する、今有償技協なんという聞いたことないスキームが動いていますけれども、やはりそういうこと。つまり、我々は、サウジアラビア資源、また安全保障の面、いろいろ考えて、こういったことも私たちはやっていっていいんではないかと。  これは私の個人的なアイデアですが、こういった有償技協的な、技術協力的なものをやっていく、つまり、OECD、DACの基準で、豊かな国に対してはやっちゃいけないみたいなものが大体ありますが、日本日本なりの考え方、日本の国、またこれが当然相手国にも役立つ、つまりこれはウイン・ウインの関係ですね。こういったものに対しては、我々はどんどん積極的に、前例がない、そういうことにこだわるのでなく、前例がなくてもお互いの国に利益のあるものだったら新たにどんどん展開していっていいんじゃないかと。  そういうことで、国においても、もうほとんど卒業しかかっているトルコとか、そういう国にやってもいいんじゃないかとか、もちろんベトナムとかミャンマーとか中央アジアとか、そういった国に対しても我々はどんどん援助をしていっていい、集中的な援助を図っていいんではないかというふうに思っております。  あと、日本の場合、ODAに対するその理解、これはさっき申し上げたのとちょっと逆になるかもしれませんが、よく聞いていると、やはりODAに対する理解というのは、国民理解というのは余り進んでいない、つまり、声が聞こえなくなった。つまり、ODAマスコミの立場からいいますと、たたく対象ではないほど小さくなってしまったということでたたかれないだけであって、じゃ、彼らがみんなそのODAに対して好意的、また理解しているのかというと、そういう部分じゃない部分も多々あります。これは、もう我々の仲間と話しているときでもODAに対して批判的なジャーナリストはたくさんおりまして、私が幾ら説明してもなかなか納得できない、しない。  そういう点、あるんですが、ODAがやはりマスコミ理解じゃなくて国民にどう理解してもらうか、これが、当然マスコミが仲介するわけですから、マスコミ理解がないとODA理解というのは進まないんですが、やはりODAに対するもうちょっと分かりやすい明確な理念、そういったものを是非国中心に、また政府と一緒にそういったものをもう一回つくり直した方がいいんじゃないか。どうしてもこれは、私さっき申し上げたように、もう長い間、三十年以上ODAのことを専門に書いたりしていますが、どうもODAのなぜ必要かというその理念があやふやなんです。  言うまでもなく、日本ODAというのは戦後の賠償から始まったようなあやふやな形でスタートしていますので、ODAに対するフィロソフィーというものがはっきりしていない。それで、国民も何となくODAというものが何だか怪しいと、その図がもう何十年続いているんですが、こういうものをきちっと国として、なぜODAをやるのかというものを明快なちゃんと方向付けをしていただきたいと。簡単に言うと、ODAというのは慈善活動ではなくて、国で税金使ってチャリティーやっている国はないわけでございまして、やはりそれが国民利益になる、国益につながる、国民利益につながる、こういったことがODAをやる意義であります。  ただし、これが相手国にも非常に大きな利益を生むということにおいてODAは特別な外交政策であると私は思っているわけでして、そういったことをもっと国民にはっきり分かってもらえる、国民は何かという、ODAってイコールチャリティーというイメージが強いので、ODAを使って国連の票で一票もらいに来ているとか、常任理事国になりたくて一票もらいたくてアフリカ援助しているとか、資源が欲しくて援助しているとか、そういうことに対して大変厳しい目があるんですが、これは当然であって、それが相手国にも役に立つ。  国連常任理事国になって何を日本がするか、これはちょっと話が飛んでしまうんですが、やはり国際平和のために我々は貢献しようと思って安保理常任理事国に入ろうという目的があるのなら、そういうことを明確にやっていくのが私はこれからの政府なり政治家の責任じゃないかなと思っております。  そんな中で一つ、私からのお願いですが、日本ODA理念というのは、国際的に広まっているのはODA大綱と言われるものですね。これは、一九九二年に第一回ができて、二〇〇三年に改定が行われています。ただし、私もこの間久しぶりにじっくり読み直したら、やはり時代錯誤、十年という、国際社会の十年というのは、もう先生方承知のとおり、全くもう別の世界が生まれています。それに合わせたODA大綱がいまだに日本ODAの骨格になっているということに、一つのやはり国民との又は国際社会との相互理解のネックになっているんじゃないかと。  これは、いとわずに、何も全部変えろというわけじゃないんですが、時代に合ったものに変えていくことが国民理解又は国際社会に対する理解を生む大きな要因になると思うので、日本にはODA基本法というものがございませんから、ODA大綱日本ODA基本法に値するものと私は理解していますので、それを、きちっと国会も関与して、そういったものに対する改定、そして時代に合ったもの、何もそんなに手間の掛かる仕事じゃないと思うので、それを是非やっていただきたいなと思っております。  それからもう一つは、ODAをやっていて、私の今預かっております財団はそういうことをやっている財団なんですが、よく言われるグローバル人材というものが、まさにこのグローバル化した社会で大変多くの若者が、私たち時代と違って隔世の感があるぐらい多くの若者が国際化して、大変大きな知識経験を生んでいる若者たちもたくさん増えております。  ただ、それはごく一部で、もっと必要。こういうグローバル化した社会には、こういった人材育成が今の何倍、数倍必要だと思います。日本国際社会の中で生きていくためには、やはりグローバル人材というものが育成していかなきゃならない。これは全分野に言えることなんですが、ODAに限って言っても同じことが言えると思います。  確かに、大変に有能な経験を持った多くの若者が今ODAのこの分野で働いております。ですから、国際機関人間たちに伍していける、負けないぐらい語学力経験知識を持っている若者はたくさんおります。しかし、まだ足りません。正直言って、絶対数が全く足りません。  ですから、こういう人材育成するためのやはり組織なり機関、そういったものを、やはり日本ODAを質の向上又は効果的、そして我々のプレゼンスを高めると、そういう大きな目的があるのなら、やはりそれを実行する人間育成がまず前提にあると思うんです。それが今我々には一番欠けていることで、今幾つかの大学院もできていますが、まだ足りません。我々の組織もそういうことをやっている組織なんですが、我々の組織は御承知のとおり行政刷新会議で大幅に規模削減されまして、十分な人材育成ということはできておりません。  ですから、こういった分野人材育成というのは非常に手間の掛かる、時間の掛かる、成果が見えるのが五年、十年と掛かってくる分野ですので、なかなかその反論もしにくいところがあるんですが、やはり五年後、十年後の日本を見据えた場合、国際社会世界人たちと互角にやれる人間、特に援助世界で、ますます私はこれから援助世界は厳しい競争の時代になっていくと思います。そういう点で是非グローバル人材、特に援助部分グローバル人材育成する手段というものを御考案いただければ有り難いと思います。  どうもありがとうございました。
  10. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) ありがとうございました。  次に、山形参考人にお願いいたします。山形参考人
  11. 山形辰史

    参考人山形辰史君) ただいま御紹介にあずかりました日本貿易振興機構アジア経済研究所の山形辰史と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  私は研究者でございまして、しばしば外務省からODA評価事業を担当するということを何度かいたしまして、そういったようなプロセスを経ましてODAに関して知識を得まして、そういったような経験を基にして、本日、お話をさせていただきたいと思っております。  本日、私が用意しましたテーマは、「トップ・ドナーからスマート・ドナーへ」というものでございまして、お手元に一枚紙が配られているかと思います。これに沿ってお話をさせていただきたいと思います。  まず一番目に、「トップ・ドナーでなくなった日本」。これはもう既に共通認識として皆様お持ちいただいているかと思いますけれども、一九九〇年代は先進国の中の一位であったわけですけれども、現在は五位になっていると。また、これはODA総額で比較した場合でございますけれども、これがこの比率となりますと、これが国民総所得で割った比率となりますと、先進二十三か国中二十一位になっていると。また、この国際協力ODA以外に貿易、投資、例えば、より低所得の国から貿易を受け入れているかどうかといったような基準でありますとか、難民、移民の受入れがあるかどうか、あるいは平和維持活動に協力しているかどうかといったような要素を勘案した指標を用いますと、これが二十七か国中、日本は二十六位になっているというようなことでございまして、先生方は、御出張、こちらの委員会のプロセスで調査にいらっしゃったりする機会が多いというふうに伺っておりますが、私自身も途上国に参りますと、まず、日本がこれまで行ってきましたODAに対して非常に温かい感謝の意を伝えられます。これはもうほとんど例外なくそうだと言ってよろしいかと思います。非常に感謝されている。これは事実なんですけれども、一方で、我々が認識しなければいけないのは、そういったような感謝は、そういった途上国からほかのドナーに対してもなされているということです。  例えば、中国の援助に関して、日本に対してはいろいろその短所ですとかを受入れ国が我々に伝えることがあったとしても、それはその被援助国が中国の援助を感謝していないという意味では全くありませんし、中国に対してその被援助国がどういうふうに気持ちを伝えているかというと、私たちに伝えているのと同じような感謝の気持ちを伝えているだろうという認識をまず私たちは持つ必要があります。  日本ODAの額としても減少しているわけですけれども、これは仮にかつての額を維持していたとしても、今現在はほかのドナーが増えていますので、中国のみならず中東諸国もそうですし、ラテンアメリカ諸国もそうですし、民間のフィランソロピーの資金もかなり増えている。ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ・ファウンデーションですとか、ヘルス、保健の分野ですとかなりの額を出している。そういう中で、相対的にどうしても日本の地位というのは下がらざるを得ない、そういう状況の中に我々今後も置かれるんだろうというふうに思っております。  日本もこれから非常にこのODAの額を増やしていくということは、恐らくどんどんとドラマチックに増やしていくということはできないというふうに考えるとしたならば、我々は、トップドナーであることから違うタイプの行動様式に転換しなければいけないというふうに思っておりまして、それを私は本日スマートドナーというふうに申し上げたいということでございます。  では、どういうスマートドナーになるべきなのかということですが、手本として私が考えますのがヨーロッパ諸国です。なぜかと申しますと、ヨーロッパ諸国は通常、多くの国が最初から小さいからです。小さい国がドナーとしてどういうふうに立ち働いたらいいか、行動したらいいかということを欧州諸国は知っている。そういう小さい諸国がどうやって大きいドナーと今まで対抗してきたのかということを申し上げますと、二点ございます。  一つは、量で勝負できなければアイデアで勝負するんだと。例えば、北欧のドナーは自負を持っている。それは、私たちは額ではかなわないけれども、人権という意味ではほかのドナーよりいい援助をやってきたんだという自負を持っておられるわけです。それが受入れ国にどういうふうに評価されるかというのは、いろいろなケースがあるかと思いますけれども。  また、フランスは国際連帯税ということで、国際協力のための財源を増やそうというふうに提案をして、一定程度実行しておられる。航空券に税金を掛けるですとか、それから金融取引に税金を掛けるといったような案が出ているということでございますし、イギリスはグレンイーグルス・サミットのころに債務免除、この二〇〇五年のころの債務免除は世界銀行ですとかIMFへの債務であったかと思いますけれども、そのほか、革新的資金調達ですとか一般財政支援といったような新しいアイデアをヨーロッパが出していくことによって、額で勝負するのではなくてアイデアで勝負しようという政策を取っているというふうに私は考えております。  次に、小さいドナーは、一か国では力が弱いということで協調行動を取る、それによって小さい貢献を大きく見せるという政策を取っていると思います。これは、そもそもEUという連合体をなぜヨーロッパがつくらなければならなかったかといえば、アメリカには小さい国だけでは対抗できなかったからということで、それがこの国際協力にも適用されているかと思います。したがって、EU自体も援助をしている、それからそれぞれの国も援助している、これを使い分けているということがヨーロッパの取っている政策の一つであるというふうに考えております。  具体的に申しますと、先ほど杉下先生が選択集中ということをおっしゃいました。私、ニカラグアのODA評価をいたしましたときに、スウェーデンが、二〇〇七年ごろだったと思いますけれども、ニカラグアから撤退するという判断をして、それをニカラグア政府に伝えるという時代ODA評価をしたことございますけれども、そのときにスウェーデンは、いろいろ政策に関してニカラグアに注文を付けると同時に、EUは残るんだと、スウェーデンは撤退するけれども、EUは残るから自分たちはEUを通じて今後も協力していきますという姿勢で、選択と協調の、実際のトランジションと申しますか、プロセスに足を踏み出すことができるということでございまして、この協調行動を選択集中のためにも用いているということを目にいたしました。  それでは、日本が他ドナーと協調して援助を行うということにどんなメリットがあるのか。私は、これから相対的な日本の地位が下がっていくとしましたら、ほかの国と協調せざるを得ないというふうに思っておるわけなんですけれども、これまた具体的に私が目にしました事例で申しますと、二〇〇六年に私はマダガスカルのODAの外務省さんの援助評価評価主任をいたしましたんですけれども、マダガスカルにおいて日本トップドナーではありません。トップドナー一つがフランスでありまして、一つここでちょっと記しましたアロウトラ湖という湖の周りでフランスが米の生産のプロジェクトをやっておりまして、その隣で日本は、フランスよりはちょっと規模の小さいプロジェクトを始めるところでございました。  そういったようなときに、私もそのODA、そのときの評価で提言し、それを採用されましたのは、これから日本が始めようとしている米のプロジェクトをマダガスカルの中で宣伝する際に、フランスと協力して、フランスのプロジェクトとペアにして宣伝すべきだと。なぜならば、フランスのプロジェクトは大きくて、既に一定程度の成果を上げており、日本はまだこれからという状況だったんです。そうしますと、フランスの、何といいますか、既に上がっている成果を日本がこれからやることの推定値と申しますか将来像として使うことができるというような形で、小さいドナーである方が援助協調をより有効に使えるということがございます。  また、より最近の例ですと、昨年十一月の釜山援助効果向上ハイレベルフォーラムがございましたけれども、その際に、これは私、非常にJICAあるいは外務省の皆さん偉いなと思いましたんですけれども、韓国がリーダーシップを取って行ったこのハイレベルフォーラムにおいてアジェンダを決める際に、日韓米の協力によって、このアジェンダに沿ったような本を出版し、それをこのフォーラムの際のロードマップにするといったような取組がありまして、実際、ヨーロッパが行っている援助協調、それに対して日本がくっついていくといったタイプの援助協調ではなく、むしろ日本側がより有効に日本の協力を使えるような援助協調というのが、今後のトップではなくなる日本の行動として意味があるのではないかというふうに思っております。  まとめさせていただきます。  スマートドナーを、今申し上げましたようなものを具体的にどういうふうに定義するかと申しますと、他ドナーと時には競争し、時には協力するというスマートな振る舞いをする。  以前は、日本トップドナーでありましたので単騎独行でよかったわけです。日本がまずは先導し、ほかの小さいドナーが日本を見ながら、じゃ、自分の国はどうしようかなというふうに考えるということでよかったわけですけれども、それがトップドナーではなくなったとすれば、周囲のドナーがどういう行動様式を取っているのか、どういう気持ちでいるのか、どういう状況にいるのかというのを敏感に察知しながら日本援助協調をする。この国に今この分野で協力を仕掛けるべきだというような取組をすべきだと。  これは、じゃ、難しいことなのかと申しますと、日本企業は通常海外でやっていることだろうというふうに思うわけです。日本企業が必要に応じて、現地の企業ですとかあるいは競争相手と時には提携するといったようなことは常々行われていることでございます。トップドナーでなくなる、これがもう致し方ない状況だとしたならば、また私としましては、日本が挑戦者的な新興ドナーとして、行動様式といいますか、心構えを変えてスマートに援助をしていくべきだというふうに考えております。  以上です。ありがとうございました。
  12. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  参考人に対する質疑を行う際は、御起立の上、御発言ください。  参考人方々の御答弁につきましては着席のままで結構でございます。  また、各委員発言時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 民主党の石橋通宏でございます。  杉下参考人山形参考人、今日は大変貴重な御示唆をいただきまして、本当にありがとうございました。  早速質問に入らせていただきます。たくさん質問したいんですけれども、時間が限られておりますので簡潔にやらせていただきますので、どうかよろしくお願いをいたします。  最初に、杉下参考人にお伺いをしたいと思います。  事前にいただいた資料の中で、アフリカにおける中国と、そして日本に対する評価の違いということについての資料をいただきまして、大変興味深く読ませていただきました。要旨は、中国は資金的には非常に大きな支援を今アフリカでやっているけれども、余り尊敬されていないのではないかと。一方で、日本支援というのはやはり非常に信頼され、評価をされているというような御趣旨であったと思いますが、その意味するところは、やはり、中国というのは自国の利益を最大限念頭に置いた支援をやっている。一方で、日本というのは先方の国々の国民のために支援をしているという趣旨であったかと思いますが。  今日いただいたお話を考えますと、どちらかというと、大変額が絞られている中で、より日本国益というものをしっかりと前面に出してやるべきではないかというような御趣旨の提案だったかなというふうに受け止めたんですけれども、そうすると、先ほど申し上げた、中国と日本の実際に支援の違いということから考えると、むしろ逆行するのではないかなという印象を私自身は持ってしまったんですが。  これは、改めて確認をさせていただきますけれども、これからの日本ODAのあるべき姿として、私はむしろ、よりアフリカの国々なり世界の国々、現地の国民の皆さんに本当に役に立つODA、そういうものがあるべきだと思っておりますが、改めてこの点を確認させていただけますでしょうか。
  14. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 済みません、言葉が足りなくて先生の誤解を生んでしまったようでございます。  日本援助というのは、もちろん日本のためになっていいと思うんですが、ただ、アフリカ諸国、又は日本、まあ中国を代表していますが、韓国なんかもそうだと思いますが、やはり自国の利益だけ、つまりすべてを剥がしていってしまうような援助、労働力も御承知のとおり、アフリカへ中国人を連れてきて自分たちで全部やっていってしまう。つまり、雇用の機会も生まれてこない、技術の移転も行われない。こういうことで、道路ができるという結果は利益かもしれませんが、他方、我が国援助は当然雇用機会もつくるし、技術の移転も行います。そういうことで、アフリカ方々にも何かのベネフィットが起きる。そういうことでウイン・ウインだと思うんですね。  当然、私は、日本の、できればタイドだっていいと思っているぐらいで、日本のゼネコンなり日本のそういった資材メーカーたち利益を生んでもいいと。それで、だから一方的にどちらかにゼロにせよということではございません。ただ、中国のように何も残さない援助じゃなく、我々の援助は我々にも相手側にも残す援助、これを目指していくのがいいんじゃないかということでございます。
  15. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ありがとうございます。  もう一点、そこで確認、今タイドでもいいのではないかと。結局、タイドを拡大していけば、当然その多くの利益日本企業利益に戻るわけで、結局その国民の中で循環をしていく。一番大事なのは、その当該国の国民の中で経済、お金が循環していく、技術も回る、人も育つということをよりやっていくことが本来あるべき姿ではないかなと。一方で、今、参考人、タイドでもいいのではないかと言われる。そこの整合性が付かないのではないかと思うんですが、もう一回確認させてください。
  16. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 済みません、度々ちょっと。  タイドといいましても、つまり、いわゆるLDCアンタイドみたいな、途上国にはオープンにして、相手国にはオープンにしておいて、日本企業のタイド。つまり、今の日本援助というのは、大きく中国や韓国やアメリカ、ブラジル、そういう国々に落とされて落札されている状況の中で、やはり当然相手国企業にはオープンにし、つまりこれはアンタイドで、そして我々の企業のタイド。  つまり、御承知のとおり、これは今国際社会日本がいきなりタイドにするということは許されない、駄目だと思うんです。だから、何々かのいろいろの方法をつくって、さっき言ったLDCアンタイドみたいなものをつくって、そういう中で国際社会も納得できる、我々も納得できるということで、ただし、先生、私また誤解があるといけませんが、途上国に資すること、利益になる、これは絶対の条件として私は考えております。
  17. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ありがとうございます。  それでは、山形参考人にお伺いしたいと思いますが、今日のお話でもまた事前の資料でも、とりわけ援助協調について特に触れておられました。  私も実は議員になる前に八年半ほど国連機関で実際に援助協調の枠組みで仕事をさせていただいておりました関係で申し上げますと、私の個人的な見解では、日本というのは援助協調に対しては非常に後ろ向きではないかと、余り積極的ではないのではないか、今なお、と思うんです。  参考人、そのことについてはどう今受け止めておられるのか。これからやはり日本はもっと援助協調に積極的に参加をしていくべきではないかと。とりわけ全体の額がこれだけ絞られてきている中で、今日スマートドナーというお話がありましたけれども、よりその援助協調の枠組みの中での役割というのをしっかりとやっていくべきなのではないかなと思っているんですが、その件について参考人のお考えをお伺いします。
  18. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 御質問どうもありがとうございます。  まず、私、本日お話ししました援助協調は、どちらかというと日本が仕掛けていくタイプの援助協調で、これはそんなに今まではやられていない援助協調だと思います。そして、通常、今まで国際協力の業界で議論されてきた援助協調は、既にでき上がっているパリ合意にどう日本が従っていくかという援助協調でした。そして、釜山ハイレベルフォーラムによって、それはかなりの程度難しいということが合意が得られたというふうに思っております。なぜ難しいかと申しますと、OECD、DAC以外のドナーが増えてきたからです。  私は、そういう意味で、DACの枠組みもこれから、グローバルパートナーシップだったかと思いますけれども、先進国のみならず、途上国側の代表も入れて合意を形成していく方向に今進んでいるというふうに聞いていますが、その援助協調に日本がかかわるとしましたら、幾つかのパターンがございます。本日私が申し上げておりますような日本側から仕掛けていくもの、それから既存の大きな枠組みに乗っていくもの。既存の大きな枠組みを無視するのは良くないと思います。ですから、何かをしなければいけない。  実際、釜山ハイレベルフォーラムのときには、そういう既存の枠組みに取り組みながら、それに対して一定の答えを出しながら、なおかつ自分たちの主張もしていくということが一定程度できたというふうに思っておりますので、済みません、お答えとしましては、既存の枠組みにかかわっていくタイプの援助協調と自分から仕掛ける援助協調、両方やるべきだというのが私の意見です。
  19. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 いろいろまだ聞きたいんですが、時間がなくなりましたので、最後山形参考人にもう一問だけ、スマートドナーという考えの中でNGOの役割というのをどうお考えになっておられるのか。  私は、やはり今日本一つの大きな課題は、民間のNGOがなかなか育っていないということ。だからこそ、日本の大きな支援のプロジェクトはあるんだけれども、それを本当に被援助国の皆さんの国民生活に密着したところまで浸透させていく力が非常に弱い。それはやっぱり民間のNGOのこれからもっともっと役割、力を拡大していかなければいけないのではないかと思っておりますが、最後にその点について、これからの民間NGOに対する期待なり、どう育成していくべきかという、ODA全体の中の役割についてお考えをお聞かせをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  20. 山形辰史

    参考人山形辰史君) ありがとうございます。  NGOには大きく分けて二つございます。日本のNGOと、それから海外のNGOが日本の支部になっているものです。率直に申しまして、今のところ、影響力としては海外のNGOの方が世界への影響力としては大きいというのが実情です。  ただ、一方で、イギリスではオックスファム、フランスでは国境なき医師団といったような国を象徴するNGOというようなものがあり、それらの活発な活動がその国の貢献というふうにみなされているということも事実です。そのことから申し上げますと、日本のNGOもそういうふうに育っていってほしいというふうに考えます。
  21. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 終わります。
  22. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) ありがとうございました。  続きまして、山本順三君。
  23. 山本順三

    山本順三君 おはようございます。自民党の山本順三と申します。  今日は、お二人の先生方、非常に貴重な御意見を聞かせていただきまして、大変ありがとうございました。  私もこの三月の八日から今の質問をされた石橋さん、それから津田さんと一緒にアフリカの方へODAの視察に参る、そういうこともございまして、理事からおまえも質問してから行けということで、今日はこの質問に立たせていただきました。  実は、七年ほど前でありましたが、私、初めてサブサハラの国々へ参りました。五か国をずっと回ってまいりました。そのときの印象とまた今の印象は大分変わってきているんだろうなということを楽しみにしていまして、途中一回ケニアも行ってまいりましたけれども、ODAの在り方というものをやはり真剣にこれ考え直していく時期が来たのかなと思いました。  というのも、南アフリカ企業方々と懇談する際に、当時いろんな問題があって、官と民の癒着ということに対しての批判が結構ある時期でありまして、外務省なり大使館なり、それぞれと企業家との接触というのが非常に少ないことに対しての不満というものも結構出ておりました。  今、杉下先生の方からODA理念ということについてのお話ありましたけれども、ただ単に慈善活動をするというのではなくて、やはりそこに出向いていった企業と連係プレーを取りながら、日本国益も考えるし、さらには、その国々の産業興しと言ったらいいんでしょうか、そういったことも併せてやっていかなければならないということをつくづくと感じていたわけでありますけれども、今流れが大分変わってまいりました。官民がしっかり連携をして、例えばこういうふうな資源開発に向けての新しい企業が進出しようとしていると、じゃ、港を造ろうじゃないか、ただ単に相手国からここの港、ここの道路というのではなくて、やっぱり日本の関与できるような、そういうインフラ整備というものをしっかりやっていこうというような、そんな流れが出てきたように思うんですね。  そこで、杉下参考人にお伺いしたいと思いますが、ODA大綱改定というお話がございました。その方向に向かっていろんなことを考えていかなければならないという御示唆があったんですけれども、今のODA大綱のどの辺りが問題で、どういうふうに切り替えていったらいいのかということについての、まあ全てのお話は無理でございましょうから、端的にこれとこれはこうだというようなお話があったらお聞かせいただければ有り難いと思います。
  24. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) お答えします。  まさにたくさんあるんでございますけど、ODA大綱というのは、時の、時々のその一番の外交問題、国際情勢を非常に反映しまして、できたときはちょうど冷戦構造が崩壊したときで、民主化支援、市場経済化、こういうものが大変高らかにうたわれております。  二〇〇三年のときは、そういう時代が終わりまして、どちらかというと、やはり日本経済停滞期に入って、日本経済というようなもの、又は多少国益に資するというような、まあ国益という言葉に近いものが入ってきて、今、なかなか先生のお話に、山本先生のお話のようなことは少し入っているんですが、今、山本先生のお話の中で一番入れなきゃいけないと思いますのは、官民連携みたいなものが今一番日本ODAでは非常に大きな分野になっているんですが、これに対する記述がほとんどない。つまり、官民が協力して途上国に貢献する、こういった分野の文言をやっぱり入れていかなきゃ、全てを変える必要はないんですが、入れていかなきゃならないと思うんですね。  それで、もう一つは、僕は、今、山本先生のお話の中で、是非国会に協力というか主導していただきたいのは、日本の場合、御承知のとおり、日本は欧米に比べて官民連携、PPPと言われているものが遅れております。これには、やはり何が一番遅れているかといいますと、制度づくり、ルール作りがないんですね。ですから、いわゆる簡単な言葉で言うと、一企業支援一つ企業だけ支援していいのかと、港湾を造るにしても、例えばあるゼネコンだけ支援していいのかみたいな声が出てくる。でも、アメリカ、ドイツや何かはそういうのはしっかりもうルール作りができていて、そういったものをやはりどこかできちっと作っていかないことには、このPPPというのは掛け声も理念もすばらしいんですが、ルールができていない限り、また日本の場合どこかで迷走してしまうんじゃないかと。  ということで、そういうことも、むしろODA大綱にでも、余りそこまで細則は入れる必要はないかもしれませんが、理念としてそういうものを入れていただければ、今後のそういうルール作りにもスムーズになるんじゃないかと、そういうふうに思います。
  25. 山本順三

    山本順三君 それに関連いたしまして、実は今、アフリカ諸国に対して我が総務省が一生懸命になっている案件がありまして、それは何かというと、地デジ化をアフリカでやっていこうと。御案内のとおり、欧州方式でやったりアメリカ方式でやったり日本方式でやったり、何とかこれ、各国に向けて日本方式の採用というものについて頑張っていこうと、それに関連した企業がたくさん今出ていっているんですね。ところが、各国の情報通信関係の大臣が来られていろいろ話をされておりますけれども、やっぱり金がないと、だから丸抱えでやってくれというような、そういう話すらある。  それは、なかなか今までのODAの中では対応しづらいんだろうと思うんですけれども、長期的なスパンで考えたときに、例えばアフリカ諸国の地デジ化を我が日本方式で採用していってもらう、順次採用していってもらうということに対しての国益をいろいろ考え、また企業利益を考えたときに、援助というところからいくとちょっとどうなのかなという気はするんですが、もう一挙に日本国が、例えばある国の地デジ化に向けてはもうほとんど対応しましょうと。で、長らくの間に徐々に徐々に返してくださいよと、円借になるのか何になるのか分かりませんが。そういった観点をそのODA大綱に入れていってもらったらもっと機動的に、流動的に、アフリカ諸国に対しての情報通信レベルの機能アップにつながっていく、そのことが我が国国益にもつながっていくというように思うのでありますが、その点どうお考えでございますか、杉下参考人
  26. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 先生がおっしゃるとおりだと思います。  ただ、ODA大綱というのは対外的な一つの看板ですので、余り露骨に書けないと。ですから、そういう枠をうまく入れていただいて動きやすい形に作っていただくのがいいんじゃないかと。  それと、まさに地デジ化するということは、欧米諸国が既にやっているように、ODAを使ってこういった民間、もちろんODAの資金だけではこんな大きな事業はできませんから、民間をうまく誘導していく、協力していく、官民連携でございますね。こういうのをやりながら、そして、アフリカ諸国のそういう通信の改善を図っていく、こういうやり方がやれるような枠ですね、これは先生がおっしゃるようにつくられる方が僕はいいと思います。
  27. 山本順三

    山本順三君 ありがとうございました。  山形参考人にお伺いしたいと思います。  私、この部屋に入ってきてびっくりしましてね、あれ、山中教授が来ているんではないだろうかと一瞬びっくりしたのでありますけれども。失礼いたしました。  そういったことで、今のスマートドナー、アイデアで勝負しましょうということを大変私も興味深くお伺いをいたしました。実は、連携して各国、二国間なり三国間なり、みんなで一緒に協力していこうということも大変すばらしいことだと思いますけれども、そういった流れの中で、今ちょっと石橋さんから話があったんですけれども、NGOとかNPO、これをどう活用するかというのもスマートという言葉の中には当然入ってくるんだろうと思うんです。  ちょっと愛媛のことを言って申し訳ないんですけれども、愛媛にえひめグローバルネットワークというNPOの組織がありまして、そこのメンバーが、もうはや十年、十五年、放置自転車を整備して、それをモザンビークに送って、そしてその送った自転車を地元の皆さんに差し上げる。ただし、それは、武器を供出しなさい、供出された武器を芸術品、アート作品にしていくという、そういう活動をずっとやっていらっしゃいます。民間でそこまでやっているのは本当に珍しいわけでありまして、モザンビークの大統領がTICADⅣのときに来られたときも、実はその後、愛媛にわざわざ来られて、愛媛で国家元首を迎えるのは空前絶後、初めてのことでありましたけれども、そういうふうな関係で更にその二国間関係を深めていくというようなことがありました。  そのときに私は思ったのでありますが、そういう日本のNPO、NGOをもっともっと育てていく必要があるんじゃないだろうかと。そして、例えば縫製品工場を相手国に造るとか農作業のためのレベルアップをしていくとかいうことで、機械とかそういったものは向こうへ供出できるんですけれども、後の対応というのはなかなかできない。私も過去に、大きな農機具があって、新品のまま倉庫にあるからどうしたのと言ったら、修理ができないからということがもうたくさんODAではあると思うんですね。そのときに相手国のNPOなりNGOと連係プレーが取れるようにしていったらもっともっときめの細かいことができるんだろうと思うんですけれども、若干、日本のNPOに対しての外務省なりなんなりの支援体制が私は遅れているんだろうと思うんですけれども、その辺についての印象をお聞かせいただきたいのと、どうあるべきかということも併せてお願いしたいと思います。
  28. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 時間が過ぎておりますので、恐縮ですが、お答えは簡潔にお願いいたします。
  29. 山形辰史

    参考人山形辰史君) はい、承知しました。  私は、今のお話を伺いまして、その愛媛のNGO、NPOもさることながら、モザンビークとその愛媛のNPO、NGOをつないだ方、この方が非常にイノベーティブですばらしいつなぎ役を果たしてくださったんだなというふうに思いまして、そういう仕事を増やさなければいけないというふうに感じた次第です。  ありがとうございます。
  30. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子でございます。  両参考人の先生、本日は貴重なお話をいただきまして、誠にありがとうございます。意見を述べてくださった順番に、まずは杉下参考人にお伺いしたいと思います。  杉下参考人からは、ODA国益となることをしっかりと国民理解してもらうことが大切であると、目的を明確にするべきであるという、そういう御発言がありました。私もそれにもう全く賛同をいたします。この成長戦略資源外交安全保障という日本国益ODAからもたらされるという、発言のレジュメの中にも明確に書いてくださっておりますけれども、この成長戦略、非常に今重要であるというふうに思います。  この中で、先ほど石橋委員の方からもタイド、アンタイドのお話がありました。日本はタイドローンがなかなか難しい立場にありますので、日本がお金を貸しても、それによって事業が行われる場合にもほかの国に行ってしまうというようなことが散見されているわけでありますけれども、先ほど、杉下参考人からの御提案は、全部アンタイドにするのではなくて、援助相手国に対してはオープンだけれども、それ以外の国に対してはタイドにするという、そういう御示唆がありました。  それは現実的には可能なのでしょうか。それを実現するためにはステップが必要なのではないかというふうに思うんですが、具体的にどのようにしていけばそれを実現に持っていけるというふうにお考えになっているか、教えていただきたいというふうに思います。
  31. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 今御質問にあったような形は既にもうやっておりまして、さっきちょっと申し上げたLDCアンタイドという形で実行されております。  当然、しかし、これをやっておりますとほかのドナーから厳しい目が来ますので、余り露骨にできないという事情はあるんですが、最近は日本のやはり経済のこの窮状をほかの大きなドナーも認めていますので、多少前よりはお叱りが声が小さくなっている。ですから、やはり日本経済というのがいつまでも停滞しているということは世界経済に影響を及ぼすということはアメリカ、欧州諸国も理解してもらっているので、多少こういったイリーガルな形、本当はアンタイドにしなきゃならないんでしょうけど、こういったものも認められている。ですから、既にやっておりますし、ここを徐々に国際批判を浴びないようにやっていくのがいいんじゃないか。  さっき申し上げた、もう既に欧米がやっているように、PPPなんというのはほとんどその形になって、ODAが先行、道を付けてそこに企業が入っていくということですので、アンタイドとはもちろん違うんですが、そういった企業ODA連携というのは国際社会の趨勢になっておりますので、それほど私は難しい問題じゃなくて、もうちょっと、遠慮をしながらやってもいいんじゃないかなと思っています。
  32. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございます。  遠慮をしながらも着々と実行していくという、そういう御示唆かなというふうに思いましたけれども、そういったやり方というのは、今、日本、真面目にやり過ぎているようなところもあったかというふうに私も思います。貴重な御意見であるというふうに思いました。  今も御発言ありましたが、PPPについて、日本の大綱の中では記述がはっきりしていないというお話ありました。今まで日本がやっている事業の中で、お金を支援国に貸して、そして支援国の中でPPPで事業を起こすというようなことはあったと思いますけれども、他国がやっているように、日本国と日本の中にある企業役割分担をしてPPPをやっていくべきであるという御意見であったというふうに思いますけれども、この役割分担、大まかにどのように国と企業で分けるべきであるとお考えになっているか、お聞かせいただければと思います。
  33. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) これは御承知のとおりだと思います。つまり、採算性の悪い部分ODAでやって、そして採算が取れる部分を民間企業でやってもらう、もちろん技術を持って。  簡単に言いますと、よく成功例として、先生方も御存じのあのスターバックスとアメリカのUSAIDが組んでアフリカでコーヒー豆を作る。そして、作らせることによって相手国の雇用機会を生み、同時に技術移転ができる。そして、スターバックスも安定したコーヒー豆の供給を受けることができる。その間、しかし、それだけではスターバックスはお金にならないから、その間の、港に積み出す道路とか港湾整備、こういうものをアメリカのODAでやっていく。私は、そういうすみ分けだと思うんですね。  当然、ですからODAは採算性の悪い部分、しかし全部はやらない。そして、それによって相手国にもアメリカの企業にもアメリカ国にも利益になるということだと思います。
  34. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございます。  非常に興味深い御示唆かと思います。時間があれば、日本の中で今の事例のような形がどんなふうにできるかということもお聞きしたいところではありましたけれども、今日は時間の制約がありますので、杉下参考人への御質問はこれで終わらせていただきます。  続きまして、山形参考人に伺いたいと思います。  「トップ・ドナーでなくなった日本」ということで、国民総所得との比較におけるODA額は、先進国中、二十三か国の中で二十一位と、このような状況の中で、量で勝負できない、トップドナーからこれからはスマートドナーへ変わっていくべきだということで、いま一度新興国に、挑戦者になったつもりでほかのドナーから学んで、ビジネスライクに関係を構築する謙虚さが必要であるということで最後締めくくられたというふうに思いますけれども、まさにそのとおりであると思います。  ドナーとして日本を代表してODA活動を行う主体が、外務省、JICA、JBIC、またODAのコンサルタントなどODAに携わってくださる民間の方々だと思いますけれども、外務省やJICA、JBIC、公的な立場にある方々がビジネスライクに関係を構築する謙虚さ、これを身に付けていくというか、これを体現していくためにはどのように具体的にやっていけば変わるというふうにお考えになっているか、御意見をお聞かせいただければと思います。
  35. 山形辰史

    参考人山形辰史君) どうもありがとうございます。  まず、昨今、外務省さんにしてもJICAさんにしても、社会人採用ですとかあるいは人事交流のような形でかなり民間企業の方がいらっしゃいますというのが第一点です。それから、外務省の方にしてもJICAの方にしても留学をなさる機会がありまして、MBAですとかあるいは行政学、パブリックアドミニストレーションといったようなところで学ぶ方もいらっしゃいますので、何といいますか、民間とかなり懸け離れているとまでは言えないだろうというふうに思うというのが第一点です。  第二点、私が考えますのは、私、バングラデシュに一年おりましたので、そのときに見聞きする機会ございましたが、外務省の若手官僚、若手外交官の方が、彼らが外交をする機会がないということなんです。当然、そのトップでは外交、外交といいますか、ほかの大使館であるとかとお付き合いなさっていますけれども、その下の方は大体、対日本対応、日系企業対応をなさっていて、彼ら自身が、ほかの在外公館ですとか、自分たちのイニシアチブで情報交換をしたり交わる機会を余り持っていないというふうに思いまして、これは逆に言いますと、そのトップの方々がその度量を持ってなければならない。これは国会議員の方々にも当てはまるかと思うんですが、外務省の外交官一人一人がいろんなところに出かけていって、情報を取ったり発言をしたりということを許さないといけない。それによって彼らも意識も高まります。モチベーションも上がりますし、ノウハウもネットワークもできる、そういうふうにしていかなければいけないというふうに考えております。
  36. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございます。  若手外交官の方も、意識がある方は積極的に自分のできる範囲でやっていらっしゃる場合もあるのではないかというふうに私は思うんですけれども、山形先生が御指摘になられたように、やはりトップがそれを許さなければ、その度量がなければ動きにくいのではないかというふうに、これは民間でもそうですし、国であれば、国の機関であればなおさらそうなるのではないかと思います。やはり、若手外交官の方始め、外交の立場にある方がもっと萎縮しないで自分の判断で、もちろん国益に損ねるようなことはあってはいけませんけれども、創造的に活動していけるように理解をつくっていく、また制度に問題があれば制度を変えていくということも必要なのではないかというふうに、今お話を伺いまして思いました。  両参考人、本日は貴重な御意見をいただきました。大変にありがとうございました。  終わります。
  37. 山田太郎

    ○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。  本日は、杉下参考人山形参考人、いろんな貴重な意見、ありがとうございました。  私は、実は昨年まで民間企業におりまして、仕事で実はこれまで五十か国、地球三周ぐらいしまして、特に先々月まではASEANとかミャンマー含めて毎月行っていたような人間であります。ちょっとそんな観点から、少しODAに関して気付くことと、参考人はどういうふうに考えられるかということで、まず杉下参考人にお話しいただきたい点があるんですが、先ほど杉下さんの方は、選択集中ということで、特にITとインフラだというような話をされました。  実は、私はもうちょっと踏み込んで、ソフトと技術じゃないかなと実は思っているところがありまして、具体的な話をちょっとだけさせていただきますと、例えばミャンマーにもう毎月のように行っていたんですけれども、韓国の入り方がすごくて、どういうすごさかといいますと、テレビで、それこそチッチッチーでチャッチャッチャーで、全部韓国ドラマなんですね。これをやられますと、何でも韓国製品が売れちゃうということで、どんなに日本ODAを出そうと橋を造ろうと、認識はみんな韓国と。将来、ミャンマーの若者は、どうなりたいのと言うと、韓国人みたいになりたいと、こう言っちゃっているわけなんですよね。  そういう意味で、確かに選択集中といった場合に、橋とかインフラというのも、あるいはITというのも非常に重要だと思いますけれども、やっぱりここで、本当の国益というか、もっと精緻な戦略というんですか、こういうものをどうつくっていくかということが非常に重要だと思っています。  そんな中で、じゃ、その国益と対外戦略というのを、ODA絡めて誰がつくっていけばいいのかと。今の外務省なのか、JICAさんなのか、もしかしたら国会議員なのか、なかなかODAの議論をしているとアバウトな話がすごく多くて、具体的な組立てというんですか、その辺の現地のニーズとか状況を誰が収集して組み立てていけばいいのか、特にその辺りのお話を聞きたいと思っています。  杉下参考人、是非。
  38. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 今の山田先生のお話は、もう私もごもっともというか、全て納得している話でございまして、特に、私言い足りなかったかもしれませんが、まあいわゆるソフトという意味では、いわゆるパブリックディプロマシーの問題ですね。日本では、やっぱりそのパブリックディプロマシーという分野理解ができていないし、戦略的に弱い。せいぜいやっているのは、カワイイ大使とか、そういったアニメとか、ああいったものがせめて日本のパブリックディプロマシーのツールであって、そういうことで、もちろん韓国もそういうことを使って、今先生がおっしゃるように大きな成果を上げているわけです。  ですから、ODAも、やはりこういったパブリックディプロマシーに役立つ、組み込んでいく。つまり、ドラマとか音楽とか、そういったところの部分まで私はもっと踏み込んでもいいかなと。それはどういうふうに結び付けるのか、なかなか今の日本人の、日本におけるODAの概念からいくと、そういうJポップみたいなものはなかなか結び付かないかもしれませんが、確かにおっしゃるとおり、大変大きな効果を生んでいるのを私も海外で見ておりますので、日本のカワイイ大使みたいなやつが、私ども老人から見ると全く信じられない話なんですが、あんなものが大変効果がある。  ですから、そういう視点、私非常に結構だと思います。是非ODAの中にもそういったものをツールとして組み込んでいくという形は、私はとても大賛成でございます。
  39. 山田太郎

    ○山田太郎君 今のをもうちょっと踏み込んで質問をしたいんですが、つまり、誰がそれを決めていくのが一番いいのかという、誰かが決めないといけないですし、そういった戦略を誰が考えていくかということによって、もう決定的になってしまうと思うんですね。多分、日本の現地におけるそういった情報力というんですかね、そういったこともなかなか、誰がやっていけばいいのか。それが決まらないと、最終的にODAを組み合わせたときに戦略的に使われないんではないかということで、人の問題だと思うんですが、その辺、いかがなんですかね。
  40. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) お答えします。  おっしゃるとおりで、そういうのはなかなか、日本において、いわゆるサブカルチャーというかローカルチャーと言われるものがどうしてもやっぱりローという扱いになって、政府なり政治家先生方にもなかなか扱いにくいテーマなんじゃないかと思うんですが、現実はもうローカルチャーでも何でもなくて、ハイカルチャーと同じ。そういったものの認識の差、まあ山田先生のようにお若い政治家なんかはすぐに理解されるんでしょうけれども、なかなかその辺がうまく組み込まれていない。ただし、おっしゃるとおり、緊急にそういうシステムというものをつくっていかなきゃならないし、幸い外務省の中にもそういったものに対する理解の高い人がかなりいますので、そういう人と行かないかぬと。  ただ、これを組み込んでいくには、相当の誰かが、やはり強力な穴を空けてくれる方がいないと駄目だと思うんですね。現状のストラテジー、現状を追行されているのが日本ODA一つの欠点でもあるので、過去のディスバースメントだけというか、そういうものだけじゃなくて、新たに穴を空けていかなきゃならない。それはやはり政治家先生方の声とか、まああるいはマスコミなんかも一つ必要かもしれませんが、やはりおっしゃるとおり空けていかなきゃならない。そのとき誰がリーダーになるか。僕は、人材としてはリーダーはかなりいると思っています。
  41. 山田太郎

    ○山田太郎君 ありがとうございました。  次に、山形参考人に是非お伺いしたいと思っております。  トップドナーからスマートドナーということで、大変参考になるお話をいただきました。私も協調ということは目からうろこでありまして、なるほどなというふうに思ったんですが。  実は、そんな中で、先ほどのちょっと話にも関連してくるんですが、私もアフリカに対する展開というのは非常に興味があります。実は、先ほどASEANの仕事をしているというふうに言いましたけれども、ミャンマーなんかはすごく、中国大陸からミャンマー、それからアンダマン経由でダルエスサラームに入ってタンザン鉄道に乗っかってアンゴラというルートが築かれておりまして、これはすごいんですね。そういうことを考えたときに、日本はどちらかというとミャンマーだけ支援をするような、ティラワの工業団地なんという話もやっているようですけれども、そういったロジスティックの全体のルートみたいなものを考えたときに、到底、特にアフリカくんだりまで行って、日本が単独で情報を先ほどの話じゃないですけれども持って勝っていけるかと、難しいと思っています。  そうなると、例えば小さな貢献だけじゃなくて、私は不慣れな地域ということに対しては、どこかの例えば国、それが政府なのかNGOなのかということもあるかもしれませんけれども、組んでやっていくことが、なるほどもしかしたら一つの解決策かもしれない、特にアフリカ政策に関してODAを組む場合には、多分、日本単独だけでは情報も非常に限られているんではないかなと、そんなふうに考えておりまして、その場合、どういう相手と、誰と組むのが、特にちょっとアフリカについてお伺いしたかったんですけれども、いいのか。一つは、旧宗主国みたいな国々もあります。片や、もはや中国とある意味で組んでいくというのも戦略的なのかなというふうにも思ってはいるんですけれども、何かその辺、御意見いただければなと思って、質問させていただきたいと思います。
  42. 山形辰史

    参考人山形辰史君) ありがとうございます。  アフリカ進出するのに当たって、パートナーとしてどういう主体が有効かという御質問だったかと思います。  まず、日本企業は一九六〇年、まあ五〇年代からかもしれませんけれども、アフリカ独立が多かったのが六〇年からですから六〇年代だったと思うんですが、直接投資を一旦かなりやっています、特に人口の大きい国ですね、ナイジェリアとか。ですから、まずはそういった経験がある企業、商社さんもいらっしゃいます。それが第一点でありますし、それから、企業のパートナーとしては、南アフリカ企業がかなりの程度サハラ以南アフリカ展開しているという研究結果も私も見ることがございますので、南アフリカ企業というのは既にほかのアフリカ諸国への展開を既に持っていると、企業に関してはそういうことですね。  ドナーとしては、おっしゃるとおり旧宗主国というのは非常に深く広い食い込み方をしておられますから、そのネットワークは大事にすべきだろうというお答えにさせていただきます。
  43. 山田太郎

    ○山田太郎君 どうもありがとうございました。
  44. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 生活の党の森ゆうこでございます。  両先生方におかれましては、貴重なお話、ありがとうございます。  お二人とも、選択集中、そして戦略的に、スマートドナーへということで、大きな方向性については同じような御示唆をいただいたのではないかなというふうに思っております。  今ほどミャンマーのお話ありましたけれども、私もミャンマーについて聞きたいと思っておりまして、今おっしゃったスマートドナー、あるいはその戦略的なという中で、ミャンマーを例に取って具体的な御提言があればというふうに思っておりました。  御存じのように、民主化支援ということでミャンマーに対して、私の方から見ますと集中的に日本政府は今援助を始めたというふうに認識をいたしております。一昨日成立いたしました補正予算の中にも、ODA支援、ミャンマー向けが入っておりましたし、この一三年度予算にも入っております。  また、御案内のように、約合計五千億ありましたミャンマーの延滞債務についても解消するということが決定され、新たな資金供与というものが行われるということで、私はこれについては非常に時宜を得たものであるというふうに思ってはおるんですけれども、しかし、資金のない中でその選択集中、そしてスマートドナーという観点から考えてみますと、かなり集中的にここにお金を投資していくのかなというふうに思いますけれども、現時点においても既に、何かもっと、もう少しスマートに、もう少し戦略的にというふうな見える部分がございましたら、是非御提示をいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。両参考人に。
  45. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) ミャンマーのことはもう森先生の方がお詳しいかもしれないんですが、全体のODA、ミャンマーの政治情勢、そういうようなものをずっと見ておりまして、当然、日本の今援助なり民間企業が熱い目を注ぐのは、それだけのキャパシティーを持った国でありますから当然のことだとは思うんですね。  どういうふうにこれからミャンマーと付き合っていくか。それは、当然、国際社会で容認できない少数民族に対するそういった不公平な待遇とか、それから、当然、軍部が握っている議会のある一定の議席数、こういったものに対して我々は配慮しながらやっていかなきゃならないんですが、教条的に私は対応するのは、やっぱり国際社会において日本がそういう教条的に対応する、つまり、軍部の定数がある程度国会議員の中にいるというような話で、我々がミャンマーに対する圧力を掛けていくというのは私は余り得策じゃないと。  つまり、御承知のとおり、ミャンマーというのは軍事独裁政権が長く続いたので、優秀な人材が軍部に集中しているわけですね。そこから更に優秀な人が国会議員として今いるわけで、こういう人たちを排除するということはミャンマーの国づくりに対して必ずしも得策ではないと。つまり、人材集中している分野を、やはり我々はそれを生かしていって、彼らが民主化のむしろリーダーに持っていく、そういう形でやっていった方がいいんじゃないか。  それから、少数民族の問題についても、やはり余り教条的に私は対応するべきではないと。やはり、もちろん少数民族の利益というものを我々は考慮して対応していかなきゃなりませんが、そういうことに対して一つのことに縛られてしまう、例えばロヒンギャへの対応が悪いからって、一つの民族のためだけに全てを、対ミャンマー政策を私は停滞してはいけない。  それから、これは個人的意見で申し訳ないんですが、近々日本にやってこられる予定であるらしいアウン・サン・スー・チーさんのように、彼女の考え方を全てのものという考え方ではなくて、やはり彼女もミャンマーの一つの考え方というぐらいの考え方で私はミャンマーに対応していくべきであるということで、今ネックになるものは私はそんなにないと思います。
  46. 山形辰史

    参考人山形辰史君) ありがとうございます。  先ほど来、官民連携のお話がございまして、特にミャンマーに関しては、既に日本企業が非常に強い関心を示していると。もう環境が整えば整うほどどんどん進出していくだろうという意味で、既に日本全体としての貢献の強みが民間部門にあることが明らかであろうとは思います。  一方、例えばファイナンシャル・タイムズですとかエコノミストといった、そういう国際的な新聞、ジャーナルで、日本が中国と似ているですとか中国のまねをしているというような書かれ方をされることがあります。要するに、自国の利益への強点の置き方が強過ぎるという形で報道されることもあります。  したがって、ミャンマーに関して、当然、民間が強くなるでしょうから、逆に言いますと、それをしつつ、社会開発に関して日本が何をするのかということもはっきり明記して、人権についてもそうですけれども、明記をして、もしかしたら、どんどん投資する企業さんの一部には社会開発、人権にも貢献してもらうといったような配慮が必要ではないかというふうに考えます。
  47. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございます。  私も、印象として、今先生がおっしゃったような、かつての、何というんでしょうかね、量的にどっと行って日本国益ばかりが先に出てしまうようなことは、先ほどのおっしゃったようなスマートドナーというところからちょっと違う方向にならなければいいなという懸念をいたしておりました。そういう意味で、国際社会に対して、もちろん日本国民に対しても、このODA、何の目的で、どういう理念でやるのかということをもっと日本政府はしっかりと説明をする、それも、より国際社会に訴えかけるような方法でやるべきだというふうに私も思います。  グローバル人材について最後、お聞きしたいと思います。  民主党政権の成果として、私は、グローバル人材育成ということについて政府が本格的に取り組むということで、会議もつくり、そして予算面、いろんな政策面でもかなり積極的に人に、それこそ若い人に、グローバル人材を育てるというところにお金を投資してやるんだという明確な姿勢がございました。  まだ安倍政権に対して私はこの件については質問しておりませんので、今後グローバル人材育成について自民党政権、自公政権、安倍政権がどう考えるのかということについてはまだ確認していないんですけれども、そういう意味で、民主党政権でしっかりと会議もつくり、また様々、政策を、予算措置等をしてきたわけですけれども、更にこういうことをということがもし具体的にございましたら、先ほど少しお話がございましたけれども、もう少しございましたら、是非、杉下参考人にお答えいただければと思います。
  48. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 今までもやられていること、私もよく理解していますが、本当に日本がこれから生き残る一つの道は、全てではございません、一つの道は、やはりグローバル人材人間育成、要するに能力を高めていくしかないと思うんです。  そういう点で今の方針は僕は全く賛成なんですが、何が、じゃ、足らないかといいますと、理念はしっかりしているんだけど、つくる組織がない。つまり、大学教育、これももちろん教育の問題もあると思いますが、大学教育においてもグローバル人材育成できるようなシステムを持っている学校は少ない。それから、我々の組織のような、人材育成目的とした団体が必ずしも十分な環境の中にない。  ですから、能力のある人間はいると思います。それから、そういう理念日本人は皆、共有できるようになっていると思います。ただし、それを育てるものがない、そこを是非整備していただきたいと。さらに、民主党で進めたものを更に進めていかれると私は有り難いと思います。
  49. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございました。
  50. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 みどりの風の亀井亜紀子でございます。  まず初めに、杉下参考人にお伺いしたいと思います。グローバル人材育成についてでございます。  実は、私は二十代のころにFASIDに数か月勤めたことがございます。国際会議の事務局におりまして、翻訳などを担当いたしておりました。当時のFASIDは国際開発機構ではなくて、たしか高等教育という言葉が入っていたと思います。FASIDのASはアドバンスト・スタディーズだと記憶をしております。当時から、日本の大学では国際開発にかかわる高等教育のカリキュラムがない、だから大学院でそのようなカリキュラムを作って人材育成すべきであると、そのような活動をされていたと思います。現在もそのようなことを仕事の一部とされているのかと思いますけれども。  私も、思いますに、このODA予算が減ってくる中で、いわゆる日本人材が現場の前線に見えることが大事なんだろうと思います。つまり、海外青年協力隊が二年、三年行くということも大事ですけれども、その上のレベルの人間、国際のプロジェクトでコーディネートができる人たち、お金が他国から出ていても、あるいは国際機関から出ていても。つまり、日本としては余りお金が掛からない、けれども、現場においてその要となる人材が、コーディネーターが日本人であるということだけで、その国の人にとっては、あの日本人に助けられたという印象がかなり広まるわけですから、そこの要に来る人材を育てることが大事だと思うんですけれども、今、日本に何が欠けているのでしょうか。また、このポジションに上がっていくにはどうしても、教育も海外で受ける人もちろん多いですし、英語を堪能に使うためには海外での生活がどうしても長くなるので、なかなか日本からキャリアをスタートできないということがあるんですけれども、その問題ですとか、この人材日本に帰ってきて将来できることがあるのかどうかということも伺いたいと思います。  まず、杉下参考人にお伺いいたします。
  51. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 亀井先生の方が私よりもFASIDのことはお詳しいんじゃないかと思うんですが、おっしゃるとおりだと思います。で、何が足らないかというと、やはり今おっしゃるとおり、プロジェクトのコーディネーターとかマネジメントができる、国際組織の中でのマネジメントまでできる人、それがなかなか今、日本に欠けているんじゃないか。つまり、そういう教育が行われていないということですね。英語まで勉強する、いろんな知識は勉強するけど、その上のマネジメントまでできる人、そういう人が日本の場合、まだなかなかそういう教育機関がない。  ですから、今もし先生の御質問に対するお答えとして私が考えるのは、つまり社会人の再教育とか、これは非常に重要なんですね。要するに、ビジネスをやった方をもう一回国際社会の中で使えるような、これは元々素養がありますから、単なる語学力とか、それからそういった国際社会の慣習みたいなものを身にさえ付けてもらえれば、この人たちは即戦力になると思いますね。だから、こういう社会人の再教育。それから、海外や留学から帰ってきた人たち、これはなかなか今、ポスドクみたいなところがございまして、なかなか仕事がない人がいますね。こういう人たちをもう一回再教育することによって日本の戦力となる。もう一回再教育、このままじゃ使えない人も多いと思う。こういう人たちの再教育。  ですから、私は、我々の組織がこれからやりたいと思うのは、そういう再教育をやって、もう一回ワンランク上の人間をつくっていく。そして初めて先生がおっしゃるような仕事に就ける人間ができるんじゃないかなと思っています。
  52. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 ありがとうございます。  今の質問は、この委員会でも取り組んでいることですが、青年海外協力隊の希望者が少ないというのは、戻ってきたときに就職に有利にならないので希望者が少ないのではないかというような視点がございまして、やはりその人材の活用ということを視点に置いております。その中で、もっと高いレベルの人材日本に戻ってきたときに、どういうふうに社会に入っていったらいいのかということを考えておりました。  山形参考人にもお伺いしたいんですけれども、これは今度、協力の仕方、二国間と、また国際機関に対する援助との比率の問題なんですけれども、やはり予算がふんだんにありませんので、今までのように二国間でばらまきというのは難しいので、先に入っている国と協力をする協調した援助という方向に行くことで、多少は日本援助の額というのは減らすことができるんでしょうし、その分を国際機関に振り分けていくというような、そのようなことを提唱していらっしゃるんでしょうか。  そしてもう一つは、二国間の援助について、なかなか今までの関係は切れないわけですけれども、先に援助をしている国があるところに協力して入っていくことが正しいのか、また、余り、例えば中国ですとか、ほかの国が入っていないところに進んで入っていって、そこは日本の影響を強めようと考えるのか、いろいろな視点がございますが、どのような組合せがよろしいでしょうか。
  53. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 御質問ありがとうございます。  非常に難しい質問なんですが、一つ例を申し上げますと、国連ですとか世界銀行に出しております人間安全保障基金というものがございまして、これはマルチで出しているわけですが、国連機関世界銀行の方にかなり高く評価されているような、そういうお話を伺うことがあります。日本がマルチのドナーに対して出すことによって、二国間で出すときよりも色は薄まるわけですけれども、それでも強い効果を持ち得る例かなというふうに思います。  それで、新しい国、新しい国といいますか、日本が今まで支援していない国に入っていくときにどうするかという御質問だったかと思いますが、これは撤退、卒業する、させるということと裏腹の話かと思います。一つあり得るのは、中米のケースですけれども、ニカラグアを含む数か国に対して算数の教科書を、数か国に共通の算数の教科書を作って支援するというようなものがありまして、これは受け手側が複数になっている例なんです。  新しい支援をしていくというときに、二国間でやるのが難しいというときに、先方の地域共同体等を活用して支援するという手もあるかなというふうに今ちょっと考えた次第ですが。
  54. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 時間が迫っておりますので一言だけお伺いしたいんですが、日本の特徴、強みというのは何でしょうか。つまり、北欧は人権ですとかありますけれども、客観的に見て日本というのはどのように見えているのでしょうか。それをお二方に、もし一言ございましたらお願いいたします。
  55. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 一言で言うと、私は長年見ていて、やはり日本の場合は粘り強さというか、忍耐、我慢強さだと思います。
  56. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 私、バングラデシュで二〇〇〇年代に見てきて感じたことですけど、一言で言いますと雑巾掛け。  といいますのは、今のその粘り強さに近いかと思うんですけれども、これはバングラデシュの協調ですね、四ドナー、DFID、日本、世銀、ADBといったような協調がありましたときに、日本側は参事官レベルの方が担当しておられて、ほかは大使レベルの方が出ておられたんですけど、その参事官の方が本当に汚れ仕事全部やりますというような感じで援助協調の中で役割を果たしておられて、これ日本は得意かなというふうに思ったことがございます。
  57. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 ありがとうございました。
  58. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  本日は、貴重な御意見、ありがとうございます。  考えておりました質問がどんどん出るものですから、次々に切り替えてやらなければいけませんけれども。  まず、杉下参考人にお伺いしたいと思いますが、お話になかったんですけど、レジュメの五番目にある人件費の削減、これは一面大事なことでもありますが、一方で、単価を下げることとか、あるいはそこに従事しておられる方の処遇を引き下げることにつながらないかということ、また、質の問題でもそういうことも留意しなければならないと思いますけれども、その人件費の削減についてちょっと御意見をお願いします、まず。
  59. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) これは非常に誤解を生みやすいことだったので今回避けたんですが。つまり、人件費の削減というのは当然、例えばJICAなどの場合にはもう人件費というのは国家公務員に準じて相当下げられていますし、そういう問題を言っているのではなくて、私は、これも実は選択集中で、本当に必要な人材が、人がいるのか、そこにいないのか、配置の問題なんですね。つまり、要らないところにたくさんいたり、要るところに全然人がいない、こういう配置が散見されるものですから、そういう意味で。  それから、単価の問題についても、有能な人には私はもうどんどん払ってもいいと思う。つまり、これは職員じゃなくて、専門家とか、そう言われる外部の人材ですね、こういう人に対してはどんどん力に相応した対価を払っていいと思う。ただ、そうでもない人もいるんではないかと。  そういうことでこれを書いたわけでして、やはりもう情で流れているような、又は、何というか、慣例で流れているようなものをもう一回見直して、必要なところに必要な人を配置する、要らないところは出てもらう、こういうことをこの人件費ということで、トータルで書いたことでございます。
  60. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ありがとうございました。  続きまして、山形参考人にお伺いをしたいと思いますが、この資料の中に開発貢献度指数ということの御説明がありまして、二十七か国中二十六位と。供与額としては五番目でありますけれども、率直に申し上げて、日本ODAや国際貢献は評価されていないということになっているわけでありますが、このことについて、具体的な提案としてトップドナーからスマートドナーへというような御示唆もあったわけでありますけれども、改めてこの国際貢献度指数についての先生のお考えと、トータルで日本はどうしたらいいのかということについてお聞かせいただきたいと思います。
  61. 山形辰史

    参考人山形辰史君) どうもありがとうございます。  この開発貢献度指数でございますけれども、援助、貿易、投資、それから、移民受入れ、環境、安全保障技術といったような項目がございまして、それぞれの分野で改善をしなければいけないことになります。  例えば、貿易についてはLDCからの輸入が少ないということが今まで問題になっていたわけですが、これは日本の地理的位置でいいますと、周辺国が発展したので周りにLDCがいなくなっているわけですね。したがって、致し方ない部分もあるかなと思う一方、昨今、衣類等がバングラデシュやカンボジアで生産されている、あるいはもうマダガスカルでも本当は輸出が増えていた時期がございますけれども、そういったようなところからの輸入が増え始めている。それには実は政策的な支援もあったわけです。といいますのは、日本の一般特恵関税の原産地規則を緩めた、それによってバングラデシュやカンボジアからの衣類の輸入がより容易になったという経緯がございますので、貿易に関してはそういうことでございますし、このエイドの指標もどの国に出すのかによってポイントが変わってきます。  ですから、サハラ以南アフリカのLDCに増えてきますと、このポイントも上がってくるということでございますし、この移民、外国人労働者の受入れにつきましても、昨今、私は介護士、看護師の方々がかなりこの受入れの環境ができてきたように思いまして、個人的にうれしく思っているわけですけれども、どんどん外国人の方といい関係をつくって日本で共存できるようにというふうに、そういう一つ一つの解決が必要だというふうに考えております。
  62. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ありがとうございました。  続いて、お二人の先生にお伺いしたいんですが、原子力発電の輸出についてであります。  緒方貞子前JICA理事長は、あのような事故を起こして、日本が制御できないものを輸出するべきではないという御意見をこの委員会の場でもいただきましたが、私も同意見であります。  両参考人、原子力発電の輸出についてどのようなお考えをお持ちか、お聞かせください。
  63. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 現状において、ODAを使ったことは、これはできませんが、それ以外のことで考えますと、私は、もちろんおっしゃるとおり、人間が、人類がコントロールできないエネルギーというものは将来的にはなくすべきだと思っていますが、現状において、経済及びいろんな環境問題等々配慮しまして、即なくすということは私は反対でありまして、同時に、輸出についても、我々が持ったそういういろんな技術が安全性を十分に確保しながら続けていくのは、私は原発輸出については特に反対しておりません。
  64. 山形辰史

    参考人山形辰史君) どうもありがとうございます。  私、バングラデシュをウオッチしていますので、バングラデシュですと、実際ロシアからその原子力発電の技術でしたか投資でしたかが進むというような話がございまして、一般論としてバングラデシュを見ていますと、まあ、大丈夫かなと、かなり不安に思うことがございますので、日本でもなかなか難しかったものを他国に持っていくということになりますと、かなりの慎重さが要求されると思っております。
  65. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 最後に、お二人の先生にまたお伺いしたいと思いますが、この参議院のODA特別委員会というのは、ODA特別委員会は衆議院にはございません。参議院の独自に取り組んでいる持ち味でもあるわけでありますが、この参議院のODA特別委員会に対する期待がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  66. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 私、最初に冒頭申し上げたように、こういう会があることを私は大変心強く思っております。我々は、また一緒に、皆さんにお願いしたい、頼って生きていこうと思っていますし、やはりODA国会が、政治家がもっと身近にというか日常的にこのように話し合い、またいろんなことを論議していただく、こういう場があることを私は大変心強く思っておりますので、私はこの委員会、大変有り難いと思います。
  67. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 私、自分の反省として、途上国に私ども研究所の人間参りますんですけれども、そこで得る共感ですとか、それから、何といいますか、途上国開発にかかわる喜びといったようなものをどうやって日本社会に持ってきたらいいんだろうかというふうに悩んでおりまして、私どももいろんな形で発言したりはするわけですけれども、当然、その日本国民の意思としてそれを伝えて皆さんに考えていただくというのは、代表していただいているのは国会議員の皆さんですので、今日のような形で私どもお役に立てるようでしたら、是非させていただきたいと思っております。
  68. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 貴重な御意見をありがとうございました。
  69. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 国民新党の浜田和幸でございます。  お二人から大変貴重な御提言をいただいたと思っております。  まず、杉下参考人に二点お伺いしたいと思います。  まず第一点は、この三番目のポイントの一番最後に、「「自由と繁栄の弧」を構築する安全保障上の効果も期待できる。」と。これはこの三本の柱、成長戦略資源外交安全保障、私は、これはとても重要な日本の外交にとっては要素だと思っています。とはいえ、具体的に例えば中国の海軍力、それに対する対抗措置の一環として、ODAの流れの中で、この周辺国に対して日本が例えば海上監視能力を強化するために監視船を出すとか、それはかえって中国側の反発を招くという状況も生んでいるように思われます。  そういう意味で、この「自由と繁栄の弧」の安全保障上の要素、これをODAの中にどういう具合に組み込んでいくのか。また、関係する国々がこういうことに対して日本の、言ってみれば相当新しい右傾化ということで警戒心を抱かせている面もあると思うんですけれども、その点をどう乗り越えていくのがいいのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
  70. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 「自由と繁栄の弧」というのは大分前の言葉になっちゃって、現在余り聞かれなくなっちゃった言葉を出して申し訳ございません。  確かに浜田先生がおっしゃるように、そういう言葉を使うと大変右傾化とか軍事対決みたいなイメージがあると思うんですが、私の言っているのは、最近の言葉で言うと、普遍的価値を持った国の共有、つまり、中国に対抗する軍事対決じゃなくて、やはり民主主義とは、要するに世界の普遍的価値を共有できる国々をつくっていく。ですから、これは中国を封じ込めるとかそういう意味ではなくて、そういう国をたくさん増やすことによって中国などの異常な行動というものが制御できるんじゃないか。  そういう意味で、ですから、言葉は、「自由と繁栄の弧」ではなくて普遍的価値を共有した国々をたくさんつくっていく。これは別に取り囲まなくたっていいと思うんですが、それによってやっぱり中国のああいったちょっと常識から外れた行動を制御できるんじゃないかと。そういう意味で、ODAを使って普遍的価値観を共有できる国々をつくっていくということに改めさせていただきたいと思います。
  71. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございます。  外交上の配慮も、やっぱり微妙な時期ですから大変必要だと思います。とはいえ、シーレーンに対する脅威が現前にあるわけですし、海賊の問題ですとか、そういう意味で日本ODAの意味合いというものをかなり高めていく、広めていくということもこれからは日本課題だと思います。引き続きいろいろと御示唆をいただきたいと思います。  二点目は、同じく三番目のところに、ベトナム、トルコ、サウジアラビア、ミャンマー、中央アジア諸国と出ていますよね。特にサウジアラビア、もうG20に入るような大変強力な経済力、資源をバックにして、そういう国との、例えば日本からのODAといっても、これはやはり相当質の違うODA展開しなければならないと思います。  先週、私、サウジアラビアに行っておりまして、そのとき話題になりましたのは、日本サウジアラビアが協力して、チャイナ・プラス・ワンのベトナムに対する様々なインフラ協力は日本とサウジで協力してやろうじゃないかと、こういう提案もサウジの側は考えておるようでございます。  そういう観点で、やはりちょっと一把一からげにODAの対象国といってもいろんな違いがあると思うので、その中で、例えば具体的な、今まで御覧になった中で、こういって今挙げられている国々の中で、どういうような、日本がパートナーシップを組む、その中で新しいODAを考えたときに、何か具体的に今進行中、あるいはこれから日本政府がバックアップしていけば新しいODAのモデルになるような、そういう案件として何か御提案があればお聞かせいただきたいと思います。
  72. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) サウジについては、もうおっしゃるとおり、我が国よりも豊かな国に対して援助をする。ただしこれは、技術協力は向こうから求めてきているものでございまして、ただし、技術協力はしてあげるけど、技術協力って通常無償でございますが、お金持ちの国ですから、お金を取って教えているということでございまして、私は、今後こういう、つまり、日本の、今さっきいろいろと山形先生のお話の中にもあったように、日本ODAの順番とかそういう数々の指標というのは、OECDのDACというところが出している指標を主に使われるわけですけど、私は別にこのヨーロッパ人が考えている基準に合わせることはないと思っていまして、例えば日本の対サウジ、援助というか経済協力がDACのカウントにならなくたって別にいいわけですし、また卒業した国に対してどんどん出してもいい。つまりこれは、双方が求めているものなら新しい形で、だから有償で技術をトランスファーする、そういった問題は幾らあってもいいかなと思っています。  そして、新たな形というのは、やはり結局は、今先生もおっしゃったような三角協力の形で、日本サウジアラビア、そしてほかの国という形。今、御承知のように、今度皆さん、先生方が行かれるモザンビークでやっているプロ、何て言ったっけな、プロアフリカ、モザンビークかな、何かそういうアフリカの、ブラジルで成功した、セラードというところで成功した大規模農業開発プロジェクトをブラジルと日本とモザンビークでやる、こういう形。これは、だから山形先生のお話にもあるようにまだ援助協調みたいなところもあるし、日本の持っている技術と相手の持っている技術、それをそれにふさわしいところに移転していく、こういうことがいろいろと起きてくる。つまり、新しい新興国、BRICS諸国との協力で新たなそれ以外の遅れている国に協力していくやり方、こういうものがこれからたくさん模索されるんじゃないかと思います。
  73. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。  次に、山形参考人にお伺いしたいと思います。  この二番目の柱の①のその他のところに革新的資金調達という言及があるんですけれども、これは具体的にどういうような点が革新的で、ちょっと事例を紹介していただければと思いますが。
  74. 山形辰史

    参考人山形辰史君) ありがとうございます。  これは、例を挙げますと、ワクチンを途上国で普及させるに際して債券を発行し、例えば日本の証券会社さんも数社参画しておられますし、ワクチンですとかマイクロファイナンス債券ですとか、そういったような、目的開発に近いものに限定した債券という発行もございますし、ここで言います国際連帯税もその広い意味では革新的資金調達に入ります。  また、先ほど申し上げましたワクチンの例は普及の方ですけれども、全くこれまで存在していないワクチンを開発するためのこういう革新的資金調達の枠組みもございまして、それは、病原体を固定しまして、これのワクチンができたら、それを途上国が購入するための資金をドナーが出すことを最初からコミットするといったような取組もございます。
  75. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 それに関連すると、例えば先ほどおっしゃったメリンダ・アンド・ビル・ゲイツ財団、まさにこういうワクチンを広く途上国に提供する、そのための、言ってみれば資金調達ということでは大変幅広い活動をされていますよね。そういうための必要な資金を得るためであれば、様々な投資あるいはビジネスというところから資金を調達していく。そういう意味で、政府と民間の、言ってみれば役割分担あるいは連携ということでは、日本がもしこういうことに更に今後加わっていくという場合には、どういうような形が一番望ましいのか。  また一方では、ジョージ・ソロスさんのような希代の投資家、彼もムーブオンのような人権ですとか民主化、様々な農業の問題を含めて世界的に支援活動をしていますよね。その出どころの資金について様々な憶測が巻き起こっているんですけれども、そういった大きな仕掛けとしては、基本的な理念ODAと共通する部分もあると思うんですが、資金を調達する方法ですとか、その資金の意味合い、色合いについてある程度我々もきちんと情報をつかんでおかないと、その最後目的がどういうことになるのか。手段は同じように見えても、ワクチンを通じて病原菌を撲滅するとか、しかし、その最終ゴールが若干違うようなケースもあり得ると思うんですけれども、その辺りの御認識はいかがでしょうか。
  76. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 時間を過ぎておりますので、恐縮ですが、お答えは簡潔にお願いいたします。
  77. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 当然のことながら、民間企業利益も視野に入れて協力しておりますので、それを織り込んで、なおかつ社会的に意味のあるプログラムにしていかなければいけないということであり、実際そういうことはかなり行われていると思います。日本もビル・アンド・メリンダ・ゲイツ・ファウンデーションとの協力でパキスタンのポリオに円借款を出すということを始めています。
  78. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。
  79. 舛添要一

    ○舛添要一君 両先生、ありがとうございました。  舛添要一でございます。  まず、山形先生の方にですが、お書きになったものの中で、バングラの例で、余り顔の見える援助というようなことではなくて、そんなお礼を強要するような感じはどうかと。今まで顔が見えないんで顔の見える援助をと言われてきていた面があるんですけれども、私は、量的にこの援助を増やすことができないなら、どういうふうに質的な変換を図るかというものが重要だと思っているんです。  昔、カンボジアで日本橋造ったときに、あれがカンボジアの紙幣に印刷されたというのでみんな喜んで、こういうことがモデルだみたいなことがありましたですね。だけど、ちょっと違うんじゃないかなと。もうこの期に及んでは、山形参考人おっしゃるように、少し量から質へというか、ハードからソフトへという、そういう方向に変えた方がいいんではないかなというふうに思っているんです。いろんなところへ私も行きましたけれども、建物は、これは日本援助で造られたものですというのを書かれて、それは見るとうれしいんですけど、時間来ればこれは壊れていったり古くなったりするので、やっぱりだから向こうの人材育成とか、ハードよりむしろソフトだろうというふうに思っていますので、そこは非常に欠けているような感じがします。  例えば、いい例かどうか分かりませんが、ミャンマーに行きますと、昔、もう今は既にお亡くなりになっているような御高齢の方が、日本で教育を受けられたと。そうすると、日本に来てみて余りに礼儀作法を知らない日本人の若者が増えていて、もう愕然としたと、我々が教えてやろうかと。つまり、非常に日本的価値観のいい面を体現した方々がいて、ああ、まさにこういうことが教育の効果だなというようなことも感じているわけでありますので、ちょっと先ほどの山形先生の御報告ですと、要するに、量で勝負できなければどうするかというときの、そこのそういう意味での日本的価値観とか質の面での転換というのがちょっと余り聞き取れなかったものですから、補っていただければと思います。
  80. 山形辰史

    参考人山形辰史君) ありがとうございます。  二つ論点があるかと思います。ハードとソフトのバランスということと、それから、あげるだけではなくもらうという点かと思います。  後者の方からお話しいたしますと、東日本大震災で多くの国から日本支援をいただいたわけですけれど、それを素直に感謝をしたときに、相手側が、何といいますか、日本への協力関係をより強く感じるというんでしょうか、そういう印象を持っております。  もらっているだけですと、向こうからすると上下関係のように受け取るものを、私たちがたまには協力もしてもらい、それで素直にありがとうと言うことで関係がより並行的になり、何といいますか、関係が密になるような印象がございますので、ソフトあるいはメンタルなところでいいますと、私、参考資料に出しましたものはその点を書かせていただきました。  それで、ハードからソフトへの転換のところですが、ソフトの重要性は否定しませんが、やはりハードも必要だというふうに思っておりまして、ハードだけではいけないというのは全くそのとおりでございますし、日本はやはり以前貯蓄が多かったので、それで借款でインフラを建てるということに優位性があり、今でもその優位性はあるかと思いますので、どうしても先方も日本に期待するものとしてハードが多い。それにこたえることも重要だというふうに思いますので、それにソフトもくっついていてほしいという意味で、今、舛添先生がおっしゃったように、ソフトへの転換というのには同意いたします。
  81. 舛添要一

    ○舛添要一君 杉下理事長に御質問いたします。  今の質問との関連で、どういうふうにODAの質を高めていくかと。  私はいろんな発展途上国を含めて外国へ行っていて、やっぱり分野として、少し教育の分野で、つまり、向こうに行って教えることができる人材をもっともっと増やさないといけないと。それから、国が発展していくときに、どうしても法制度、商法であるとか、特に商法とか無体財産法であるとか、そういう新しい時代に即した法律体系がない。これは、例えばベトナムなんかでも、フランスの植民地でしたからフランス法の伝統はありますけれども、無体財産法的なものは新しい時代の法律ですから、そういうものに対するニーズが非常に多いと。  それから、もう一つはやっぱり医療の分野。非常に日本の医療の水準は高いですから、これはむしろハードもソフトも含めて、こういう分野での希望が非常に多いと思いますので、そういう点について何かお考えがございましたら、こういうアイデアでやればどうだろうかというのがございましたら、お伺いしたいと思います。
  82. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 先生のおっしゃること、ごもっともだと思います。  ただ、正直言いますと、法律、確かに商法、民法等々、それから医療、出る人材がいないんですよね。立派な法律家の方たちは余り出ていかない。医療は、ましてやはり技術の問題とかありまして、なかなか途上国に出ていただけない。  ですから、これをどう解消するか。これは、日本国内でそういった大学の法律の先生とか弁護士の先生とかに対してそれなりの出ていきやすい環境をつくっていただかないことには出ていけないと思う。ニーズは、おっしゃるとおりたくさんあります。ところが、それにこたえる人材がいないということですね、二つとも。二つともあるのにない。  これは何とかならないかなということでございまして、これは私たちが幾ら言っても、やはり御当人たちの生活と将来に懸かった話ですので、なかなか強制できない。それもなかなか悩ましい問題だと思います。
  83. 舛添要一

    ○舛添要一君 私の経験というか、私自身は、フランスと組んで、フランスで勉強していたものですから、特に北アフリカ、ベトナム、そういうところはお金はむしろフランスの政府からもらって行っていたことがあるので、先ほど山形先生でしたか、それから同僚議員からありました、旧宗主国という話がありましたけど、ちょっとそういう面での国際的な協力というのも我々も模索していきたいと思いますので、是非先生方の方でもそういう御努力をしていただければと思いまして、もう時間があと一、二分ですので、一言ずつ山形参考人杉下参考人に締めくくりのお言葉をいただきたいと思います。
  84. 山形辰史

    参考人山形辰史君) 本日はどうもありがとうございました。済みません、それ以上の締めくくりの言葉が見付かりませんで、どうもありがとうございます。
  85. 杉下恒夫

    参考人杉下恒夫君) 一言。  さっき私、プロモザンビークと申しましたが、あれはプロサバンナの間違いでございます。訂正いたします。  それで、今日、私こうやって、こういう場をつくっていただいて、本当にありがとうございます。これからも皆様ODAに対して深い関心を持っていただいて、更に効率のいい、また、役に立つODA推進のために御助力いただければ国民の一人として有り難いと思います。よろしくお願いいたします。
  86. 舛添要一

    ○舛添要一君 終わります。ありがとうございました。
  87. 山谷えり子

    委員長山谷えり子君) 以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  参考人方々に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時十三分散会