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2013-06-13 第183回国会 参議院 国土交通委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年六月十三日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  六月五日     辞任         補欠選任      上野 通子君     佐藤 信秋君  六月七日     辞任         補欠選任      田城  郁君     有田 芳生君  六月十日     辞任         補欠選任      有田 芳生君     大久保潔重君      羽田雄一郎君     牧山ひろえ君      藤巻 幸夫君     米長 晴信君  六月十一日     辞任         補欠選任      大久保潔重君     田城  郁君      牧山ひろえ君     羽田雄一郎君      米長 晴信君     藤巻 幸夫君      水戸 将史君     中山 恭子君  六月十二日     選任          山村 明嗣君  同日     辞任         補欠選任      佐藤 信秋君     上野 通子君      中山 恭子君     水戸 将史君  六月十三日     辞任         補欠選任      吉田 博美君     江島  潔君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石井 準一君     理 事                 田中 直紀君                 前田 武志君                 小泉 昭男君                 渡辺 猛之君                 西田 実仁君     委 員                 大河原雅子君                 輿石  東君                 田城  郁君                 羽田雄一郎君                 山村 明嗣君                 上野 通子君                 江島  潔君                 鶴保 庸介君                 松下 新平君                 山崎  力君                 秋野 公造君                 藤巻 幸夫君                 藤原 良信君                 吉田 忠智君                 水戸 将史君    国務大臣        国土交通大臣   太田 昭宏君    副大臣        国土交通大臣  梶山 弘志君        国土交通大臣  鶴保 庸介君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       松下 新平君        国土交通大臣政        務官       坂井  学君    事務局側        常任委員会専門        員        櫟原 利明君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   原  敏弘君        経済産業大臣官        房審議官     中山  亨君        国土交通省土地        ・建設産業局長  佐々木 基君        国土交通省都市        局長       川本正一郎君        国土交通省自動        車局長      武藤  浩君        国土交通省航空        局長       田村明比古君        国土交通省航空        局安全部長    高橋 和弘君        観光庁長官    井手 憲文君        運輸安全委員会        事務局長     玉木 良知君    参考人        公益財団法人航        空輸送技術研究        センター理事   伊藤 博行君        公益財団法人航        空輸送技術研究        センター理事   佐藤 信博君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (ボーイング787型機の運航再開及び安全確  保に関する件)  (セール期間統一等による訪日外国人旅行者  拡大の取組に関する件)  (タクシーの供給過剰対策の在り方に関する件  ) ○不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○民間の能力を活用した国管理空港等運営等に  関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 石井準一

    委員長石井準一君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  昨日、山村明嗣君が本委員会委員選任をされました。     ─────────────
  3. 石井準一

    委員長石井準一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長原敏弘君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石井準一

    委員長石井準一君) 御異議ないものと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 石井準一

    委員長石井準一君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会公益財団法人航空輸送技術研究センター理事伊藤博行君及び同センター理事佐藤信博君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 石井準一

    委員長石井準一君) 御異議ないものと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  7. 石井準一

    委員長石井準一君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 田中直紀

    田中直紀君 おはようございます。民主党の田中直紀でございます。  本日は、国土交通大臣始め、そしてまた参考人として公益財団法人航空輸送技術センター理事全日空伊藤博行社長さんにお出かけいただきまして、ありがとうございました。また、同センター日航佐藤信博専務にも御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。よろしくお願いをいたしたいと思います。  私は、時間を使いまして、ボーイング関係につきまして、原因究明あるいは安全保護、そしてまた運航再開と、こういう状況を経てきたわけでございますので、そしてまたせっかくの機会でありますので、航空会社としての取組といいますか、今期の決算は出たようでありますが、大変そういう面では順調に決算をされておると、こういうことでありますが、ボーイング事故の問題は非常に懸念されるわけでありますが、御活躍をお祈りをする次第でございます。  ボーイングの787型機のバッテリー事案に対する対応でありますが、一月の七日にボストン事案発生をいたしました。そしてまた、十六日には高松事案発生をいたしております。十七日にはFAA、アメリカのですね、米国連邦航空局耐空性改善命令を発行したと、こういうことでございます。  二月二十二日にボーイング社からFAAに対し是正措置案提出をされ、三月に適合性証明計画を承認すると、こういう手続が踏まれております。ボーイング社試験解析等実施をしたと、こういうことでありますし、十五日にはボーイング社社長、これは航空機の関係社長さんが東京で会見をし是正措置案公表をされたと。このときに、その前でしょうか、国土交通大臣にもお会いされておると、こういうふうに伺っております。  四月に適合性証明計画に基づく試験が完了し、FAA改修に関する設計変更を承認をしたと。二十三、二十四日に国家運輸安全委員会、NTSBの公聴会がありまして、四月の二十六日にFAA運航再開を認める耐空性改善命令を発行し、我が国の航空局も二十六日に運航再開を認める耐空性改善通報を発行するとともに、航空会社に対し、安全、安心を確保するための万全の措置を講ずるよう要請をしたと。こういうことで、航空会社皆さん方試験飛行等をやられながら六月一日から運航再開をされたと。  こういう経過を踏んできているわけでありますが、せっかくの機会でございます。全日空あるいは日本航空の、この事案に対して社内としては事故対策本部をつくられたんでしょうか。この経過の中でそれぞれどういう対策本部を立ち上げられたか、そしてまた、取り組んでこられた内容につきまして、冒頭、若干社内的なことがあるかもしれませんが、お触れいただける範囲で御説明をいただければと思います。
  9. 佐藤信博

    参考人佐藤信博君) 公益財団法人航空輸送技術研究センター理事を務めさせていただいております佐藤信博と申します。本日はよろしくお願いいたします。同時に、日本航空株式会社の方で整備を担当させていただいております。  お答えをさせていただく前に、一言皆様にお礼を申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。  ボーイング787に関しましては、本当に皆様に多大な御心配、御不安を与えることとなってしまいまして、大変申し訳なく考えております。おかげさまで六月一日をもちまして運航再開、これをさせていただくことができました。これもひとえに本日お集まりの議員の皆様あるいは国土交通省皆様の御協力のたまものというふうに考えております。運航再開をさせていただきましたので、これからはもっともっと国民の皆さんに安全、安心というものを感じていただける運航、これに邁進をしてまいりたいというふうに思います。ありがとうございます。  御質問のございました件につきまして御回答をさせていただきます。  運航停止を決断をいたしました一月の十六日以降、私どもとしましては、その日のうちに日本航空の中に対策本部、これを立ち上げさせていただきました。運航乗務員客室乗務員整備員、これらだけではなく、営業あるいは貨物と呼ばれる部門担当者全員を毎日朝招集をしまして、逐一進捗状況につきまして確認をさせていただくと同時に、社内的に検討させていただきましたアイテム、内容につきましては全て国土交通省の方と情報共有をさせていただきまして、進捗につきましても全日本空輸様と同時に物事を進めさせていただいております。  詳細につきましては割愛をさせていただきますが、とにかく全社員が本件の重大性、これを認識し、これに対する対策あるいは今後のお客様への方向性というものを期間中毎日のように連携をさせていただきまして、お客様対応させていただいている次第でございます。  以上、お答え申し上げます。
  10. 伊藤博行

    参考人伊藤博行君) 続きまして、同様の理事全日空では副社長をやっております伊藤でございます。  今申し上げていただきましたように、私どもも大変、六月一日より運航を開始することができ、有り難く思っております。  今御質問社内の、このバッテリーについての対応はどうであったかということでございますが、私どもも、いわゆる社長を筆頭とした経営、ここに対して、どうしてもその内容が技術的なところになりますけれども技術部門中心対策本部を立ち上げましたが、全体の会社経営に与える影響等も勘案する中で、やはり経営トップ中心といたしまして情報共有化、またボーイングに対しての我々の要求していく項目、また今もありましたが、日本航空とは情報共有を行って、対策改修、これを厳しく要求していくということをやってまいりました。  以上でございます。
  11. 田中直紀

    田中直紀君 どうもありがとうございました。大変日会社としては緊張感を持って対処されておること、大変理解をしてきておるところでございます。  六月一日以降、ちょっとこれは頭の痛い問題ということになるんだと思いますが、六月の二日に、JLの〇二一便ですからJALの関係だと思いますが、羽田発北京行きの787—8型機、機番JA827Jと、これは日本航空広報部から二日の日にいただいた資料でございますので、冒頭これを理解をさせていただいておりますが、出発前に点検をした、ところが、やはりバッテリーについて若干不安が、どういう内容なんでしょうか、点検が時間が掛かると、こういうことで767—300型機に変更をした、一時間五分遅れで北京に行く便が飛び立ったと、こういうことがございました。  大きな不具合ではないと、こういうふうな報告を受けておりますが、この状況の中で、どうもこれを改修をして、ボーイングがしたんでしょうか、それを、テープを剥がされていなかったからちょっと飛び立てなかったと、こういうことなんですが、結局改修をした後、試験飛行をしたのかどうか。逆に言えば、試験飛行をしていると、こういう状況の中で飛んでおったのかと。若干、この内容であれば、今までこの機番飛行機がどんな動きをしていたのかと、こういう感じがいたします。  それから、私も四月の中旬に萩・石見空港の方に往復してきましたけれども、羽田空港では787機が駐機しておられたというのを見ておりましたので、どこで改修されるのかな、あるいは、どういう運営、これは飛行場の中で、なかなかせわしい中での作業なので大変じゃないかなというようなものもありましたけれども、しかし、万全を期してやっておるということを役所の方にも言っておられるようなので、こういうちょっと信じられないようなことがどうして起こったのかなということを若干触れていただきたいと思います。
  12. 佐藤信博

    参考人佐藤信博君) お答えをさせていただきます。  六月の二日、北京に準備をしておりましたボーイング787、飛行前の点検におきまして、これは定められた点検要目でございますが、今回改修をさせていただきましたバッテリーシステムの中に、バッテリーケースの中の圧力とそれから機内圧力、こちらに差が生じますと赤いボタンが飛び出しまして、バッテリーケースの中に異常が起きていますよというふうなシステム改修で取り付けさせていただきましたが、こちらの赤いボタンが飛び出しているということを整備士が発見をいたしまして、こちらのボタンが飛び出している状況では、必要なテスト項目、これがございまして、北京行きの時間には間に合わないというふうに判断をさせていただきまして、機材ボーイング767型機に変更をさせていただきました。  こちらの原因につきましては、その後の調査で判明したことでございますが、ボーイング社による改修時の機能試験、これを実施する場合に、バッテリーを覆っておりますボックス、こちらにほんの小さな〇・八ミリほどの穴を二か所空けまして、機体の内外の圧力バッテリーボックスと、それから機体の中の圧力を徐々に徐々に均等にしていく、そのための小さな穴でございますが、こちらが機能試験の際にテープでふさがれておりました。このテープの剥がし忘れということがその後の私ども調査確認をされております。
  13. 田中直紀

    田中直紀君 原因報告いただいております。ですから、試験飛行をしていたのかどうか。そうすると、こういう状況の中で試験飛行したか、あるいは運航したかと。実際に六月一日の件もありますから、そういうちょっと問題の中で飛行したのかどうか。それとも、改修をして、その後見過ごしたんで、初めて行くときにここのチェックが入ったか。その辺、どちらなんでしょうかということなんです。
  14. 佐藤信博

    参考人佐藤信博君) 失礼しました。  当該機材改修、こちらを実施した後は、確認飛行と呼ばれます飛行と、それから慣熟飛行と呼ばれますパイロットの技量、これを維持するためのフライト、これを実施をさせていただいております。このときには点検をしておりますが、当該インジケーターといいますか、は飛び出しておりませんでした。この理由につきましては、確認飛行あるいは慣熟飛行は巡航高度が二万六千フィート程度でございまして、今回、北京便に使用する前の当該827Jと呼ばれる機体飛行高度、これはシンガポールから戻ってくるフライトでございましたが、四万フィート、こちらを飛行しております。  私ども技術解析をしましたが、二万六千フィートの状態では当該バッテリーボックス機内圧力、これが所要の圧力まで圧力差が出ませんので今回のインジケーターが飛び出すことはなかった、四万フィート以上の高度で巡航した後に初めてこのボタンが飛び出すというふうな技術解析をさせていただいております。
  15. 田中直紀

    田中直紀君 結局、点検を見落としたと、それで飛行していたと、こういう結果になっているわけですね。ですから、本当に緊張してやっていただいているわけですが、やはり見落としがないようにしていかなきゃいけませんし、大惨事にならないで済んだということは大変良かったと思いますが、私はもう少し総点検を、努力されているわけですが、なお総点検をしていただきたいというふうに思います。これは安全、安心が大事であるわけでありますので、結果的にその便に乗っていても安全だったということになるわけでありますが、しかし高度によってはということがあるのでしょうか、その辺は総点検を怠りなくやっていただければというふうに思います。  もう一つ、ちょっと苦情で大変申し訳ないんですが、運航再開に向けて訓練飛行中の全日空のB787で、五月の四日、電気系統配電盤の一部が熱で損傷するトラブルが起きていたという報道がございます。そのときに、全日空はその問題について五月の十六日になって公表をしたと、こういうふうに報道をされております。改修したバッテリーシステムとは無関係だということを説明をされておるようでありますが、この便が羽田—新千歳に向けて飛んだ便なんでしょうか、点検配電盤の端子とその周辺が黒く変色していたと、こういう報道もございます。  そういう面では、乗っていた方々に不安を残した報道ではないかと思いますが、どのような状況だったんでしょうか。
  16. 伊藤博行

    参考人伊藤博行君) お答えいたします。  この飛行では、いろいろなシステムの不具合を示すメッセージが出ております。油圧関係等、何個かのシステムの不具合を示すメッセージが出ております。乗員はそのまま千歳に到着いたしまして、その後、整備士にその状況を知らせました。整備士の方で、この不具合を探求するために再度電源を入れました。飛んでいる間はこのシステム保護回路が働いておりますので、ここの電源については遮断をされております。ですので、そのときにそういう今おっしゃられました黒い変色等はなかったというふうに判断しております。着いてから、整備士の不具合の探求のために電源を入れたときにそのような変色が行われたというふうに我々は判断しております。  これも、ボーイングの方の作業に起因するもの、電線を付けるところにうまくトルク、締め付けの力が加わっていなかったということでございます。ボーイングに対してきちっとやってほしいということで申入れをしております。  また、他機の同部分について同様の不具合がないか、これも全て点検をいたしまして、不具合がないことを確認しております。  以上でございます。
  17. 田中直紀

    田中直紀君 大事に至らなくてよかったわけでありますが、若干その公表が遅れたというような事情があるようですが、事故対策本部もつくっておられるわけでありますが、今後はそういうようなことがないようにやっていただければと思います。  これから全日空あるいは日航運航する路線というものが、特に双方大事な路線と伺っておりますが、大体、国内線、国際線、概略ですね、もう今月スタートしたわけでありますが、どんな運航になっているんでしょうか。ちょっと聞かせていただければと思います。
  18. 佐藤信博

    参考人佐藤信博君) お答えいたします。  日本航空としましては、当該ボーイング787型機につきましては国際線のみの運航ということにさせていただいております。今後ともこれを継続させていただきます。
  19. 伊藤博行

    参考人伊藤博行君) 私どもは、国内を中心に約七百便強の運航になっております。
  20. 田中直紀

    田中直紀君 国際線ということになれば、これは中型機相当遠距離まで行けると、こういう利点があって採用されていることでしょうから、大変これから重要な路線になるわけでありますが、一番遠くまで飛んでいく路線というのはどれになるんでしょうか。
  21. 佐藤信博

    参考人佐藤信博君) お答えいたします。  東京からボストンまでが現在の最長フライト距離ということになります。
  22. 伊藤博行

    参考人伊藤博行君) 私どもは、今、フランクフルトが最長路線になるかと思います。
  23. 田中直紀

    田中直紀君 ちょっとこれは記載が事実かどうか分かりませんが、元々ボーイングは、認可時にバッテリー事故は一千万フライトに一回というふうに説明していたと。だけれども、実際の今回の二回の事故は五万フライト以前だったわけですね。ですから、一千万フライトと五万フライトだというのは、そういう面ではとんでもない発表だった、事実であればですね、ということがありますから、これを見ても、ボーイングがどこまでこの事実をしっかりと運航会社説明しているかというのは、一つ今後の問題があるんだと思いますが。  そういう中にあって、二〇一二年五月から十二月に、合計七機で十回バッテリーANA交換をしていると。ANAの方が相当購入をたくさんされておるようでありますからその数字が出てきているんだと思いますが、その中には一週間で交換したものもあるし一か月で交換したものもある。それはメーンバッテリーかそれともサブバッテリーかちょっと書いてありませんが、こういう内容が、記述があるわけでありますが、これは相当その事実に近いんですか、これ。
  24. 伊藤博行

    参考人伊藤博行君) そのとおりでございます。バッテリー交換につきましては十件、それから台数については十二台というふうに報告を受けております。
  25. 田中直紀

    田中直紀君 そういうことからすると、急にこの事案が、事故発生したというよりは、この787機を納入をするという、そして運航するという中から頻繁にバッテリー問題というのは出てきておったと、社内的な対策本部があるんだと思いますが。  その辺は今後改修をすると、改修したと、こういうことでありますが、リチウムイオン電池がこのまま採用されていくということが本当に運航会社として自信を持っていけるか。これだけの事例があって今回の事故が起きたと、こういうことなので、是非、なかなかそれは、運航会社においては、もう購入したものだからこういうふうに使いなさいと、こういうことで来ているかもしれませんが、やはり社内として何かこれ工夫をされて提言をしていくと、こういうことは何かございませんでしょうか。
  26. 伊藤博行

    参考人伊藤博行君) バッテリー交換台数については今申し上げたとおりでございますが、これはバッテリーそのものに不具合があったかというようなところでいきますと、その中ではかなり少ないものになっております。システム全体の不具合を探求するときに、念のためにバッテリーも降ろして点検するというような事象も入ってございますので、バッテリーそのものに不具合があったということについては、全てのバッテリーがそうであったということではございません。  ただ、今回のバッテリー改修につきましては三重の対策を取っているということでございますので、私どもはこれで万全なバッテリーになったというふうに確信しております。  また、社内で、今回のこのバッテリー事象参考にしてどうやっていくのかというところにつきましては、例えば日本航空と協力して、バッテリーサンプリングチェック等を行う中でどのような変化がバッテリーにあるかというようなことを確認しながら、必要な対応については取っていきたいなというふうに思っております。
  27. 田中直紀

    田中直紀君 787の情報開示をということで、米ボーイング社が新鋭旅客機787のバッテリー改善策の具体的な内容航空会社と進めておられるわけですね。  しかし、これもうされたんであればそれで結構なんですが、航空各社のパイロットの人たちがつくられている日本乗員組合連絡会議が、徹底した情報開示や国際基準での再検証をボーイングに求める方針だと、こういうふうに言っておられます。改善策について、ボ社独自に推定したトラブル原因の詳細や試験飛行データの公表を求めるというような、検証方法ですかね、こういう内容。いわゆるパイロットの方々には、フランクフルトまで行く、あるいはボストンまで行くということに、どういう状況だというのは飛行機は、計器は分かるでしょうけど、情報がどんどん御社の方からパイロットに入ってきて、やっておるんでしょうか。パイロットの方々が心配しながら操縦されておったら非常に困るなと、こんな思いがあるんですが、いかがでしょうか。
  28. 佐藤信博

    参考人佐藤信博君) お答えいたします。  情報開示につきましては、私ども、ホームページの方で今回の改修内容あるいは確認飛行状況慣熟飛行状況、それから六月一日以降の運航再開後の機体状況、これにつきましては開示をさせていただいております。  それから、運航中のパイロットへの情報という面におきましては、私ども地上の方で運航中のバッテリー状況、これを随時モニターをさせていただいております。したがいまして、何か事象発生すれば地上からパイロットの方へ情報をお伝えすると、このような手当てができております。  お答えいたしました。
  29. 伊藤博行

    参考人伊藤博行君) 私どもANAといたしましても同様の対応を取っております。フライト中のバッテリー状況をモニターして、何かあれば乗員の方へ通報できる、そういう体制は取っております。
  30. 田中直紀

    田中直紀君 お手元に配付いたしましたのは、たしか二月の二十二日に国土交通省の方から御説明をいただいて、理事懇でしたけれども、がスタートでございまして、五月に入りまして、太田大臣からも発言をしていただいて、このボーイング問題についての行政としての対応についてお話をいただいたわけでございます。このときには、この一枚目の右の方に、全日空は十七機だったですね、運航状況として十七機、日本航空は七機と、こういうことで当時は伺っておったわけでありますが、ちょっと質問をしようということでこれを見ていたら、もう少し増えているみたいですね、全日空日本航空も。  これは何で、この事故対策をし、そして若干早く結論が出たというような状況がありますが、こういうまだ今、航空会社としての認識を伺いますが、いろいろな手は打って、三重の先ほどお話があって、航空の事故対策はやったということですが、しかしバッテリーが発火した、出火したという。その何が、それが原因でセルが熱暴走になったというその主たる原因はまだ確認されていないんですよね。それはそういう認識なんでしょうか、伺います。
  31. 伊藤博行

    参考人伊藤博行君) 原因の特定はされていないというふうには思っております。ただ、可能性のあるものについては全て対策は取っているというふうに確信しております。
  32. 田中直紀

    田中直紀君 いや、でも原因が確定をしていない航空機を、確かに契約という、契約内容がどういうふうになっておりますか、もう全部今まで契約したのはどんな状態でも買ってもらわなきゃいかぬというふうな契約なんでしょうか。これは事故原因が明確になっていない状況下で、まだその欠陥の飛行機を納入しているわけでしょう。それ、どういうあれでしょうかね。今はこの原因が分かっていないわけですよね。この原因を特定するために行政の方は今必死になって、運輸安全委員会も、そしてまたアメリカの委員会も必死になってやっているわけですが、それを信じてというわけにもいかないと思うんですよね、また違った結論が出るかもしれませんし。それを今の状態で何で納入再開するんですか、その欠陥の飛行機を。どうも企業として引きずられているような、買手なんでしょうから、そういうものを購入するというのは大変問題があると思うんですけれども、どうなんでしょうか。
  33. 佐藤信博

    参考人佐藤信博君) お答え申し上げます。  私どもは、先ほど全日空さんの方からもお答えがありましたように、今回の事象に関する原因、これにつきましては、ボーイング社あるいは私どもエアライン、これが一堂に集まりまして、いろんな考えられる、想定される要因を全て網羅できている対策、これで処置をさせて、改修をさせていただきました。  したがいまして、新しく納入した機材につきましても、ボーイング社の方で製造過程におきまして同様の改修、これがなされておりまして、飛行試験等々でその健全性が確認されております。  したがいまして、私どもは、多少スケジュールよりも遅れてはおりますが、当該航空機を受領した次第でございます。  ちなみに、私ども日本航空は現在八機保有をしております。
  34. 伊藤博行

    参考人伊藤博行君) 私どもも同様の考えでございます。  私どもは、今二機増えまして、十九機導入をさせていただいております。  以上でございます。
  35. 田中直紀

    田中直紀君 いや、そういうことを回答されると余計ちょっと言いたくなるんですが。ただ、そういうふうになっているからといったって、まだ結論が出ていないんでしょう、この飛行機の、そうした事故が。ボストン事故、そしてまた高松の事案も両方あるわけですね。  この間もちょっと国土交通大臣にもお伺いしたんですが、どっち側か一つぐらいまず原因がはっきりしないと運航再開はしない方がいいんだというようなことを、参事官でしたか、言っておられたのが、運航再開の方向が出たら、原因が分からないうちでも対策を打って運航したケースがあるんだから、今回は原因が分からなくても対策をしているから運航してもいいんだと、ころっと役所の方も発言が変わった向きがあって、この間、大臣にそれは統一見解ですかというような話はしましたけれども。  今の話でも、原因が特定されていない飛行機を皆さん方が保証するわけじゃないですよね。運航会社航空会社がギャランティーしているわけじゃないですわね。皆さん方が保証をして、そして我々が乗っていくんならあれですが、その欠陥の飛行機を購入しておいて、まあこれは直った直ったといって飛行するというのはちょっと行き過ぎじゃないでしょうか。確かに、決算が少し良くなってこられたということもあるのかもしれませんが、私は今も原因が明確になるまでやっぱり控えていくべきで、それもまた、運航の方に新しい納入した機種は予定されているんですか、運航する。
  36. 佐藤信博

    参考人佐藤信博君) お答えさせていただきます。  先ほども御答弁させていただきましたが、想定される不具合原因というものは、世界のバッテリーの権威と呼ばれる皆様方も集った中でのボーイングのプロジェクトチーム、私どももこちらのチームの方には多数提言をさせていただきまして、日本航空の技術としての立場もしっかりとお伝えをさせていただきまして、これらの全てのものが網羅された対策、これが改修という作業につながっております。私どもも自信を持ちまして本改修、多重の安全装置というふうな部分も含めまして、しっかりと運航に供せるというふうに判断をさせていただいております。
  37. 田中直紀

    田中直紀君 いや、そういうふうに言われるんであれば、ちょっと私も、まあ余り触れたくはなかったんですが。  一月の二十四日に、これはもうお二人御存じだと思いますよ。アメリカの国家運輸安全委員会のデボラ・ハースマン委員長は、このボストン事案あるいは高松の事案のトラブルについて初期段階の調査結果を発表したと、こういうふうに載っていますね。バッテリーとの関連系統としては、二つのケースに関与したリチウムイオン電池はジーエス・ユアサコーポレーション製、バッテリーには発火やショート、発熱が更なる発熱を招く現象、熱暴走、オーバーヒートの証拠が見付かったと。一つこれは原因、まず。どこがスタートかは分からないということなんでしょう。どの順番でそうした現象が起きたのか、若しくはどのように引き起こされたのかは不明だと、この辺ですね。だから原因が分からないとまだ言っているわけです。  それから、バッテリー収納部分二十インチにもダメージが見付かると。バッテリーは駐機中に電力を供給する補助動力装置、APU向けだと。バッテリーの八つのセル、リチウム電池単体が過充電されたことを示す証拠はないと。バッテリーの内部異常の可能性、若しくは英メギット傘下のセキュラプレーン・テクノロジーズ社が製造した充電装置を含む関連機器の問題である可能性を排除せずですよ。この会社がやった関連機器が問題である可能性は排除せずですから、ここの、英メギット傘下のこの会社の充電装置、載っているんじゃないですか、その飛行機には、購入した飛行機には。どうなんでしょうか。私はその専門的なことはよく分かりませんが。それから、充電ユニットと起動ユニットの双方で一つの問題を突き止めたが、バッテリーの発火との関連は不明だというところまでなんですね。  だけれども、アメリカのFAAボーイング公聴会、まあ公聴会、私も内容的にはまた分かりませんが、どうもそのバッテリーに問題がなかったという証拠についてはちょっと首をかしげる学者の皆さん方もいると、こういうことなんですが、しかし、大前提はこういう状況ですから、三重になりましたとか安全になりましたとかといっても、まだまだ問題が残っておるところですよ。だから、恐る恐る運航しているような向きもあるんじゃないですか。それは表現がちょっと不適切かどうか分かりませんが。  ですから、そういう面では、私は納入は今すべきではない。原因がはっきりして、そしてこれだけの項目、六項目ですよね、こういう問題が全部クリアされればと思うんですけれども、その辺は経営判断としてやっておられるのか。その辺、お伺いをしたいと思います。
  38. 伊藤博行

    参考人伊藤博行君) NTSBのそういう意見については承知しておりますが、私どもといたしましては、まず外部に何らかの異常があったというような証拠についてはないというふうに認識しております。これは、飛行機の状況をモニターいたしますそういう装置にそのような状況は残っていなかったということでございます。  ただ、ここについても、今回の改修の中では充電器の改修もいたしております。充電の電圧を余り波動の大きいものではなく幅を狭くしてバッテリーにストレスが掛からないようにというようなこともやっております。また、熱の伝播については絶縁体を入れてそれを防ぐというような対応もしております。  そういう部分では、私どもは、私ども自身としても、今回のバッテリー改修に対するボーイング説明、またその試験結果、これらを総合的に判断いたしまして、対策が十分に行われているというふうな結論に達しております。それをベースにいたしまして、納入の計画については、前年度私どもでは三機納入しなかった分も含めまして今年度については納入の計画を進めていきたいというふうに考えております。
  39. 田中直紀

    田中直紀君 今ある既に納入したものについては万全の対策をされるわけですね、会社として。そして、役所の皆さん方にも報告をしながらやっていくわけですが、納入するに当たっては、資金的な余裕があるということだけじゃなくて、安全かどうかというこの大前提がまだ明確になっていないんですよね。この正式なアメリカの調査委員会の中でも。これは関係があったよというのも出ていますよ、そういうものが。充電装置、これについては可能性を排除せずと。だから、これどうするかという問題は今後これはあるかもしれないですよね。それから、そのほかの問題についても指摘をされているわけですから、それを、そういうものをまた企業としてどんどんどんどん、三機は買うんだから、まだ買うものが残っているんだということじゃなくて、もっとボーイングと話をされたらよろしいんじゃないですか。  どういうボーイングとの航空会社としては話をされているんですか、今まで。これまでの事故、そしてまた運航開始、四か月ありましたでしょうか、こういう中でボーイングとどういう内容で対処してきているかと。また、航空会社としてどういう要望を出されて、それがどういうふうに満足に取り入れてもらったかというのはどうなんでしょうか、対策本部あるんでしょうから。  まずは、どういう認識を持ったか、あるいはボーイングに対してどういう要求をしたか。どれが実現されたかというようなことを、やってくれた、やってくれたじゃなくて、航空会社としてこういうことを要望して、そしてこれを対処してもらっているとかいうこともあるでしょうし、この問題について新しい機種はどう対処されているんでしょうか。
  40. 佐藤信博

    参考人佐藤信博君) お答えさせていただきます。  ボーイング社との関係につきましては、運航停止、いわゆる事象発生以降、毎朝の電話会議等で情報共有をさせていただいております。その中で、ボーイングとしてどのように考えているのか、運航会社としてJALあるいは全日空はどのように考えているのかというふうな意見を交換をさせていただいております。  具体的には、バッテリーの製造品質、こちらにつきましても私どもの方から、しっかりと再検証をしていただきたい、それから、御指摘のございましたバッテリーチャージャー、いわゆる充電器でございますが、こちらを含めてバッテリー以外のものから何らかの影響があったんではないかというふうな部分も私どもの方からボーイングの方にはお伝えをしていただいておりまして、全てボーイング社の方でその原因となるものが排除をされている。先ほど全日空さんの方からお答えのありましたように、バッテリーチャージャーの電圧、これもバッテリーに負荷の掛からない電圧に下げていただいておりますので、私どもとしましては、バッテリー全体の改修、それからバッテリーボックスの取付け、これらを含む三重の安全対策、それから外部の機器につきましてもしっかりと対策が、私どもの要望が込められまして対策として出されているというふうに理解をさせていただいております。
  41. 田中直紀

    田中直紀君 それは企業としていろいろそういう御発言になるのかもしれませんが、みんなで安全、安心飛行を確保しようということですから、そういう面では、冒頭申し上げましたけれども、残念ながら、何でしょうか、運航できなくて、それで点検に時間が掛かってしまった。いや、ボーイングは、それは改修した後ですね、それを、小さい穴でしょうけれども、ふさいであったのが剥がし忘れた。これなんか、綿密にボーイングとやっていますよといったって、作業の上でそういう不安なことになるような事象が出てきているわけですよ。  綿密にやっています、そして要望もしているんですといっても、残念ながらこういう、もう、すぐ六月の二日にはそういう事案が出ているということは、どこかにまた手抜かりがあるんじゃないか、そしてまた不備が起こるんではないかということでありますから。万全を尽くしています、あるいは連携を取っています、やるんだけど、こういう事故が起きていることについて、やっぱりなくしていただかなきゃいかぬわけですね。  そういうことからすれば、やはり独自に会社として万全の体制をやっていただく、そしてまた新しい機種はまずちょっと控えていただくのが私は妥当ではないか。そしてまた、今ある機種、ANAもそうでありますが、機数も多いわけでありますから、そういうことから考えれば総点検を常に、人の問題もあるんだと思いますが、国からも支援をしてもらって、この今ある飛行機については万全を期して、そして情報も公開するのが、事案が一週間も遅れて発表したなんというようなことであればこれは非常にまた問題になるわけでありますので、利用者の皆さん方の立場ということからすれば、会社も大事でありますが、やはり安全、安心飛行がもっと大事なわけでありますので、よく今日は国土交通大臣も御一緒でありますから私も陳情させていただいてですね。  やはり、成田や羽田で、実際に横で運航しておるという状況の中でこういう787型機を点検をする、改修をする、あるいはチェックをする。そしてまた、ボーイング社の技術の方々も来られているんでしょうか、そういうところにあるわけでありますから、常に現場で連携を取って、それで万全を期すというような体制をやはり成田、羽田で取っていただいて、そしてこの787の運航が本当に安心していけるような、そういう体制を考えていただければと思う次第でございます。  せっかくの機会でありますので、今日は社長さんにも、お二人にお目にかかれたから大変有り難かったと思いますが、日本航空社長さんは植木義晴社長さんですわね。パイロットから社長になられたと、こういうことでありますし、稲盛名誉会長と一緒にこの日本航空を立て直したという方でもあるわけでありますが、その中でこういう事案が出てきたということで、逆に言えば、社長さん、そういう面では、お話を聞いて、社長さんから、いや、パイロットからの情報もこういうふうに対処しているよと、あるいは今までの経験から相当しっかりと対処しているよというようなお話も伺えればよかったなと、こういうふうに思いますし、社長さんによろしくお伝えをいただいて、引き続き御努力をいただきたいと思っております。  また、全日空社長さんは最近新しくなられたんでしょうか。ちょっと調べましたら、篠辺修社長さんですか。そうですか。是非一度来ていただければと思ったんですが、非常にしっかりした皆さん方ですからいいお話が伺えたんだと思いますが。この方は、新しい社長さんですが、これは偶然なんでしょうか、787導入プロジェクト長だという。ですから、本当に適任な社長ですし、社長がこうしろ、こうやらなきゃいかぬぞということで、社長さんの信頼の下に、これ日本のプロジェクト長でいらっしゃったんでしょうか、この導入の。そういう方でありますから、そういう傘下で会社も大いにこの事態を乗り切っていただければと思いますし、よろしくお伝えをいただきたいと思います。  最後になりますけれども、この事案につきましては国土交通省と非常に連携を取ってやっていかれるということになると思います。そういう中で、万が一のことがあってはいけないということなんですが、アメリカの航空局が認可をした同日に運航再開は日本の方の国土交通省航空局も認可されたと、こういう何か、我々は日本航空もそしてまた全日空も信頼を置いているわけでありますが、どうも対米追随と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、やはり我が国の航空行政においても運輸安全委員会というのがあります。そういうことから考えれば、やはりもっと独自に、そしてまたしっかりと安全を確保していく必要があるのではないかと思います。  高松空港の件では、向こうの、アメリカの方の調査委員はこちらに来ましたよね。条約があるんでしょうか、そういう関係のある国は調査にすっと立ち会うということで、速やかにアメリカの方から来ましたですね。しかし、日本の方の運輸安全委員会の人は、ボストンには派遣されないというか行かないでアメリカの状況、まあ行っているんでしょうか、何か報道では、向こうのような形ですぐ、まあ目立ったのかもしれませんが、バッテリー持っていったとかなんとかと。  そういう連携をやるためには、国土交通省の外郭団体になるんでしょうか、運輸安全委員会の人手がどうも足りないのではないかと、そういうことも言われておるわけでありますが、最後にこの問題についての大臣の所見と、そしてまた、安全に対する、運輸安全委員会の充実に対して御意見を伺えればと思います。
  42. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) 冒頭の先生の発言のように、六月二日の〇・八ミリの穴をテープが覆っていたまま動くというようなことについては、これは本当に先生のおっしゃったように、ボーイング社も、またANAもJALもしっかりしなければいけないということについて、私は指示をさせていただいて、もう一度引き締めてということを言わせていただいて、共に力を合わせて、とにかく経営上の問題というよりも、またアメリカ主導ということではなく我々として責任持って、安全、安心ということが一番大事だということでこれまでもやってきたつもりでありますし、これからもそこについては、さらに今日質問をいただきましたものですからしっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。  また、アメリカの言いなりというようなことは絶対あってはならないと私も強く、一月八日の、日本時間、ボストン事案、そして一月十六日の高松事案の後に、直ちにFAA航空局、そしてNTSBと運輸安全委員会、向こうが調べてこちらに報告するという体制ではなくて、自分たちで乗り込んでいってしっかりやるという、一体化ということが大事だというふうに思って、そういう措置をとって今日まで来たという事態でございます。  先生御指摘のように、運輸安全委員会の体制ということで、二十数名がこれにかかわってきたということで、数が少ないと。本当に不眠不休というような形でやっていただいてきたわけでありますけれども運輸安全委員会全体からいきますと、いろんな鉄道の事故の問題とか、あるいはカヌーが千葉県で激流の中で倒れたりとか、一つ一つすぐ飛んでいって重大インシデントにつきましては対応するということで、運輸安全委員会の人たちは本当に不眠不休、この件もそうでありましたが、数の少ない中でやっているというような状況でございます。  よく現場の状況、また健康、体力、気力というものがなくてはなりませんので、この辺の体制については、責任持ってどうするかということについて考慮したいというふうに思っているところでございます。
  43. 田中直紀

    田中直紀君 両社の役員の皆さん方にお出かけをいただきまして、大変ありがとうございました。今後も会社の方で安全、安心のために運航していただければと思う次第でございます。  今日は本当にありがとうございました。終わります。
  44. 石井準一

    委員長石井準一君) 両参考人は御退席をいただいて結構でございます。本日は本当にありがとうございました。
  45. 藤巻幸夫

    藤巻幸夫君 みんなの党、藤巻でございます。  去る四月二十五日の予算委員会におきまして、クールジャパンの推進について実は取り上げさせていただきました。その際、ブランド力を高めるということにつきまして、実際はPRの在り方が重要であるとか、あるいは例として雑誌の「モノクル」という、こういった雑誌に鹿児島の特集を組んでもらったところ、鹿児島の外国人訪問者数が非常に増加したというようなことを予算委員会では紹介させていただきました。外国人が見た日本の魅力を外国人の言葉で発信してもらったり、あるいは非常に有力なコマーシャルを活用したり、PRをいわゆる戦略的に行ってビジットジャパンの目標を達成すべきだと申し上げました。太田大臣からも御答弁いただいたので御記憶のことと思います。  そこで、本日は、第二弾となる実はセール期間の統一について御提言をしたく、質疑をさせていただきたいと思います。  まず、観光庁にお伺いいたします。  資料一を御覧ください。この資料一、こちらにありますが、これは外国人観光客の増加とまさに地域経済活性化を目指した官民連携した関西メガセールという実は取組が行われております。実は、これにつきましてのまずは訪日外国人数へのプラスの効果が実際どうだったのか、御説明いただければと思います。
  46. 井手憲文

    政府参考人(井手憲文君) お答え申し上げます。  御質問をいただきました関西メガセールでございますが、配付していただいておりますこの資料にございますように、昨年の十二月から今年の二月まで関西地区で実施をされました。関係する自治体そして関係する民間の企業の方々が全部で、ここに資料でいただいていますように、約六千店舗で展開いただいたメガセールでございます。  私どもの方もこのメガセールと連携いたしまして、このメガセールに合わせて外国のメディアの方々をお呼びするというふうなこともやりましたし、またこのメガセールをウエブを通じて海外の消費者あるいは旅行者の方に直接発信をするというふうなこともいたしました。  そしてまた、これに合わせて関西空港でウエルカムイベントを開くというふうなことで連携をしていきました結果、この地域で大変多くの方が来ていただいたということで、ちょっと数字は、各地域で具体的な数字は把握できておりませんが、大変なにぎわいを見せたというふうな報告を受けております。
  47. 藤巻幸夫

    藤巻幸夫君 まさに長官お答えいただいたとおり、この関西メガセールはとても私はいい取組だと評価しております。  そして、資料を是非、今度、二を御覧いただきたいんですが、まさに六月の五日に政府より成長戦略の素案が示されております。その中にまさに、急速に成長するアジアを始めとする世界の観光需要を取り込むことにより、地域経済の活性化、雇用機会の増大などにつなげていくとあります。この観光需要を取り込むには、是非この関西メガセールを超えたような取組を官民連携してオールジャパンで実施していただければと思うんですが。  そこで、次の質問に移らさせていただきます。今度は経済産業省さんにお伺いしたく思います。  資料三を是非御覧ください。資料三にはまさに、ちょっと小さくて見にくいんですが、私もちょっと目が悪いのでこれ虫眼鏡しないとよく見れないんですが、実は、このクールジャパン推進会議において基本的な考え方とアクションプランが、実際、経産省の方からすばらしい提案が出ております。このアクションプランの実施カレンダーにはイベント名が多く記載されており、例えば、これを拝見させていただきましたら、七月の中で、実は観光庁が計画するビジット・ジャパン個人旅行フェア、これはどうもタイに売っているようですが、タイや、あるいは、経済産業省を始め関連府省が関係するマレーシアン・インターナショナル・トラベル・マート二〇一三、これはマレーシアとなっています。又は、八月のシンガポールにおける旅行フェアなどのイベントが予定されております。これはまさに政府素案に出されております。  そこで、私思ったんですが、このようなイベントを行う際に、各府省が連携して実は関西メガセールを大きく上回るようなセールをアピールしてもどうなんだろうかと。この時期は日本も多くの夏物がセールになります。是非、その中で私は思ったのが、非常にこのセールというのはコンテンツだと思っています。コンテンツは非常に重要です。風光明媚や美酒佳肴、こういったものを強調するだけでは少し足りないんじゃないかと思います。  日本の魅力をアピールすると同時に、日本でのセールをアピールし、このセールは、クールジャパンでは日本の名産品や加工品いろんなものがありますが、こういったものをアピールして、是非訪日を考えている方々に日本の買物が実際お得だと実利に訴えるということもあるんでしょうか。イベントの際にセールをアピールすることの効果について、小売業や通商政策を所管する実は経済産業省の意見を賜りたく存じます。よろしくお願いします。
  48. 中山亨

    政府参考人中山亨君) お答えいたします。  議員御指摘のとおりでございまして、クールジャパン推進会議のこの実施カレンダーにあるイベントを海外にアピールしていくことは、観光客の誘致ということのみならず、我々の立場からいたしましても、輸出拡大、外貨獲得といった意味でも、通商政策上、大変意味大きゅうございますし、また、町おこしというような意味からも商業政策の観点からも大変に意味の深いものだというふうに考えております。  例えば、このカレンダー、残念ながら八月までしかなくて切れちゃっているんですけれども、九月のところには、ファッションイベントや映画、音楽、アニメ、ゲームなど、まさに御指摘のコンテンツの国際見本市を含みます国際コンテンツフェスティバルなども記載されてございます。この国際コンテンツフェスティバルでは、コンテンツを通じて日本の魅力を発信すると同時に、海外からもバイヤーの方々を積極的に招聘しているところでございます。ちなみに、昨年の実績は、このコンテンツフェスティバルに二百三十万人の来客者に来ていただきまして、世界でも最大級の国際見本市になりました。  また、そのほかにも、関係の省庁、それから商店街、百貨店、ディベロッパー、大学、関係イベント主催者、さらにはNPOの方々などとも連携いたしまして、町を挙げた取組として、海外への情報発信、観光客の誘致、さらには町の消費活動活性化というようなことを目指して、クリエーティブ東京、これは関東でございますが、こういう取組も企画しているところでございます。  いずれにいたしましても、こういったイベントを海外にアピールし、同時に積極的に商業的な取組も推進していくということは我が国の経済に対して大変有効なことだと思いますので、大変いい提案をいただいたというふうに認識しております。
  49. 藤巻幸夫

    藤巻幸夫君 まさにクールジャパンという言葉が全国に普及し、国民は大きな期待をしていると思います。  そこで私が是非今日申し上げたいのは、ここで質問に移りますが、セールをアピールするからには、是非期間を統一し大々的に行うことで効果がより高まると思います。そこで御質問したいんですが、事業者団体がセール期間を統一するということは独占禁止法上問題があるのでしょうか。お答えいただければと思います。
  50. 原敏弘

    政府参考人(原敏弘君) お答えいたします。  小売業者にとりまして、いつセールを行うかどうかということにつきましては重要な競争手段の一つでございます。例えば、百貨店等の小売業者で構成される事業者団体がセール期間を統一するということはこのような競争手段を制限するということになりますので、独占禁止法上の問題が生じます。  しかしながら、先ほど御指摘等々しているようなイベント等、国等が観光政策の一環として企画をして当該イベントの期間におきましてセールを行うというようなことにつきましては、それぞれの小売事業者が当該イベント等々の企画に協力をするということで、結果として当該期間に多くの小売業者が一斉にセールを行うというような結果となったとしましても、独占禁止法上の問題はございません。
  51. 藤巻幸夫

    藤巻幸夫君 ありがとうございます。  まさに、実は今年のお正月は元旦からセールを行う百貨店、業者、四日からやる業者あるいは二十日からやる業者ということで、私は消費者の観点、消費者の視点からいくと、いつ本当に商品を買ったらいいのか、いつが適正価格なのかというのが非常に分かりにくく、やはり混乱していますし、私も長く小売業に勤めておりまして、例えば一日から働くとなると、やっぱり正月らしい生活を送るとかいわゆる個々人の豊かな生活を保障するという面でも非常に厳しいかと思います。  私は、是非、ここで思うんですが、やはりセールの期間の統一ということは、期間の統一は決定しますが、セールを行うか否かはまさに個々の事業者の私は判断だと思います。当然、それぞれの事業者はお客様獲得のために競争することにより値下げ幅や価格を統一するわけではないです。このセールを統一するということの利点は、直接売上げが伸びる百貨店だけではなく、鉄道やホテル、お土産物屋など、あるいは本当に全国で苦しくなっていますいわゆる商店街、こういったことの活性化やいわゆる幅広い本当の波及効果が生まれるかと思います。そういったことをやれれば、まさに行政費用を、特別に掛かるということもないような気がしております。独占禁止法上問題が本当にないというのであれば、是非政府が主導してセールの企画立案をしてみてはいかがなものかと思います。  その企画に実は賛同する事業者だけは参加することにして、政府というのはこういった企画立案と対外的なPRを、今経産省の方からもPRという言葉をいただきましてほっとしておりますが、是非企画立案と対外的なPRというものを政府はきっちりやるということで行ったらどうかと私は思います。そのため、まずはセール期間の統一について観光庁、そして経済産業省、公正取引委員会がまさに連携して、省庁横断でメリット、デメリットを検討されてはどうかと私は提案させていただければと思います。  そこで、ビジットジャパンの私は一つの実現に向けた政策になるかというふうに思います。今のこの意見につきまして、太田大臣、是非御所見いただければと思います。よろしくお願いします。
  52. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) 関西メガセールを始めとして、人が集まるということをやっていかなくてはいけないというふうに思っておりますし、同時に、そこが公取が入るというようなことであってはならないんですが、これは地域とか国とか地方自治体が乗り込んでそういうことを企画する場合には公取としても何ら問題はないということですから、私はそこを進めていく必要があると思います。  人が集まるには楽しいとか元気だとかわくわく感があるとか面白いというようなことが人が集まるんだというふうに思います。そういう意味では、そうした期間の統一を始めとして地域全体が盛り上がっていくと、面的に展開する必要があると思います。  また、個別には熱海を始めとしてそうしたところが、もう一遍興そうというときには、昔は旅館ごとでやっていたというのをむしろみんながそのまま浴衣姿で町を歩いてあちらこちらに寄るという、町全体、面的に盛り上げていくというようなものがすごく大事で、先生も指摘されているように、よそ者とばか者と若者と三者がわくわくするような、そうしたことをやるにはやはり統一した期間でイベント的に打っていくということが必要なので、国交省を始め地方自治体そして各事業者が面的に連携するということを努めていくということで大いに盛り上げていかなくちゃいけないと、観光庁を中心にしてそうした試みをやるということをやりたいというふうに思っているところです。
  53. 藤巻幸夫

    藤巻幸夫君 力強い大臣からのお言葉、誠にありがとうございます。  まさに、私、今この民間の三十年の経験の中で、特にこの五年、地域をいろいろ歩いてまいりました。本当に疲弊した地域を活性化するにはいろんな手法があると思いますが、やはり今おっしゃったように、人がいかに集まる仕掛けを行うか。やはりブランドというのは売れる状況をつくること。状況をつくるには、各個人個人ではやっぱりパワー不足だと思います。やっぱり、いいところに政府が力を貸し、民間の活力を引っ張り出す、これが私はこういった国土交通、観光庁の一つの役割かなと思いまして、提言を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  54. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  先ほどは、ボーイングの787について、JAL、ANAの幹部に対する参考人質疑が行われましたし、そのことを踏まえて太田大臣からも答弁がなされましたけれども、私もボーイング787の問題について大臣並びに航空局長に質問をさせていただきたいと思います。  米国国家運輸安全委員会ボストン事案について、日本の運輸安全委員会高松事案について調査を継続しており、いまだ事故原因が明らかになっておりません。異例の早期の運航再開に関して、安全運航を存立基盤とする航空会社、安全を最優先とすべき航空行政に対し、多くの国民が不信、不安を感じております。  今回の運航再開の背景には、アメリカの主力航空機製造会社であるボーイング社、また部品の三割以上を供給している日本企業に対する政治的配慮があったと言われております。  また、JALは787を、先ほどの参考人質疑で八機になったと聞きましたが、八機保有、ANAは十九機を保有し、より損失が多いANAは早期の運航再開を強く求めてまいりました。JALが民主党政権下で公的支援を得て再建されたこと、それをANAと自民党が公正な競争をゆがめるとして批判してきたことで国内航空二社の政治的色分けができたことが背景にあるのではないかと指摘する声もあります。  そこで、大臣、お尋ねしますが、異例の早期の運航再開には政治的圧力、政治的配慮があったのではありませんか。見解を伺います。
  55. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) そうしたことはないということを申し上げたいと思います。  どこまでも、政治的圧力とか政治的配慮とか、また経営上というものを優先するというようなことはあってはならないということで、どこまでも安全確保、安全、安心ということの確保というものについて一月の事案発生以来ずっとやってきたところであります。どこまでも安全確保を最優先に慎重に対応してきた結果、是正措置によって万全の再発防止が図られるものと考えて運航再開をしたと、この姿勢はいささかも変わるものではございません。
  56. 吉田忠智

    吉田忠智君 そもそも、問題になっておりますリチウムイオン電池は、熱暴走、自然発火の危険性があることから、国際民間航空機関技術指針や国際航空運送協会危険物規則においても特別の取扱いがなされています。これらの国際規則に基づいて、ANA、JALなど民間航空会社リチウムイオン電池の荷物預け入れを禁止しています。  航空局長、ボーイング787のリチウムイオンバッテリーについて、他の形式への変更が必要ではないかと考えますが、いかがですか。
  57. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 御質問のリチウムイオンバッテリーでございますけれども、航空機によって貨物として輸送する場合におきましては、そのICAOの技術指針に基づきまして一定の安全措置を講ずることによって安全に輸送するということが可能となっているところでございます。  一方で、その787型機に装備品として搭載されているリチウムイオンバッテリー、これにつきましては、今回の是正措置によりまして、想定される全ての原因、これに対応できるものとなっております。万一バッテリーの不具合が発生した場合においても、他のセルへの熱の伝播、あるいは火災等の発生を防ぐために三重の対策を講ずる内容となっているところでございまして、国土交通省といたしましては、この是正措置によりまして万全の再発防止が図られて、787型機の運航の安全は確保できるものと考えているところでございます。  以上でございます。
  58. 吉田忠智

    吉田忠智君 エアバスやセスナなどもリチウムイオンをニッケルカドミウムバッテリー設計変更していますよ。安全に万全を期すのであればバッテリー設計変更を求めるべきですよ。航空機の製造工程は御案内のとおりモジュール化されておりまして、多数の部品を組み合わせていくすり合わせの技術によっております。  すり合わせは、元来、日本の製造業が得意とするところでありますが、六月二日に、もう先ほど参考人質疑でもありましたけれども、JAL機のバッテリー収納容器のテープボーイング社改修の過程で剥がし忘れたミス、また十日にもANA機のセンサーが左エンジンの不具合を示し欠航した、また十一日、十二日にもJAL、ANA機がエンジンの不具合で欠航するなど、製品化に当たり最終的責任を負うボーイング社の技術水準には依然疑問符が付いているわけであります。  再開前の787では、航空機の安全確保のために、緊急時にエンジン一基のみでの飛行をする場合、緊急着陸する空港までの飛行可能な時間を定めたETOPS規則は百八十分とされ、そのような航空路でのみ飛行が許されておりました。運航停止中にFAAがETOPSの短縮などの制限を検討しているとの報道もありましたが、結局、FAAによるETOPSの規制強化はありませんでした。  航空局長、安全、安心を確保するための万全の措置をとるというのであれば、国際線の洋上など、想定外の事態に備えてこのETOPSを大幅に短縮して運航すべきではありませんか。
  59. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 御質問の長距離洋上飛行、いわゆるETOPSの問題でございますけど、そもそも787型機の電力というのは通常各エンジンに装備されております複数台の発電機から供給されるものでございまして、バッテリーは地上の電源あるいは非常時のバックアップなどとして非常に限定的に使用されるものでございます。  また、今回の是正措置、先ほども申し上げましたけれども、想定される全ての原因対応できるものとなっているところでございます。航空機全体の設計というのはそもそも何重もの防御措置が講じられているところでございますけれども、今回の是正措置というのはバッテリー不具合に対しましても更に三重の対策を講ずる内容となっているところでございます。したがいまして、仮にバッテリーに不具合が発生した場合にありましても、航空機の他のシステムに影響を与えることなく運航を継続することが可能となっております。  したがいまして、787型機について長距離洋上飛行の制限というものを今以上に厳しくする必要はないというふうに考えております。
  60. 吉田忠智

    吉田忠智君 平行議論なんですけど、航空局長、そういう答弁をされますけど、なかなか納得できません。これだけトラブルが発生をして、そして運航停止という状況が今なお続いているわけであります。やっぱり国民の不安を、安全に対する不安や不信を払拭をするのが私は航空行政の最大の責任だと、そのように思います。  百歩譲って、例えば、事故原因が究明されるまでボーイング787は避けたいという消費者、利用者の声も聞かれるわけでありますから、少なくとも、例えば安全への権利、あるいは情報を与えられる権利、選択をする権利というものは消費者の権利の中心概念ですよ。  ですから、これらを、そういう権利の保障をするという観点から、例えば時刻表の表記をより分かりやすく目立たせるように改良するとか、また旅行会社にも利用航空機を分かりやすく表示させるなど、ボーイング787を隠すんじゃなくて、やっぱりこれはボーイング787型機ですよと一目で判別できるように私はすべきだと思うんですよ。その点、いかがですか。これは大臣
  61. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) そのとおりだというふうに思います。  そこで、先生御指摘の時刻表での表示ということを始めとして、そうしたことをやりなさいということを国土交通省としても航空会社に指示をしまして、現実には、時刻表を見ますと、787というのが色がホームページ等でも変わって、しっかり分かるようになっているという状況でもありますし、専用問合せ窓口を設置するとか、ホームページ上での787型機か否かの確認方法の説明であるとか、利用者への情報提供を旅行会社に対して要請する、あるいは787型機からの変更を希望する利用者への、これはもう当然、変えるというならば変えるという対応、こうしたことをやるようにということを指示し、そして対応を今しているところでございます。  引き続いて、航空会社が利用者の安全、安心を確保できるように、国交省としてはしっかり指導していきたいというふうに思っているところです。
  62. 吉田忠智

    吉田忠智君 やはり先ほど来、田中委員からも、大変心配をされて、航空会社に対して直接に意見を聞いたわけでありますけれども航空会社はやはりこれだけの機器を、JALであれば八機、ANAであれば十九機も購入して、これを使わなければやっぱり経営に影響するわけですから、何とか動かしたいと思うのは当然ですけれども、しかし、これだけ国民の皆さんの不安や不満がある中で、やっぱり本当にそれでいいのかということを考えるのが私は航空行政の責任だろうと思います。  改めて、大臣、そういう不満や不安や不信を払拭するためにこれからどうされますか、国交省として。
  63. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) 幾つかの具体的に不具合ということが出てくるということについて、こういうことはよくあるんだみたいな話では絶対にあってはならないと思っておりまして、一つ一つのことについて航空会社以上に国交省がその原因とか内容というものを詰めて、とにかく安全、安心ということに努めていくというのが国交省としての役割だというふうに思っています。
  64. 吉田忠智

    吉田忠智君 委員長にお願いをしますが、このボーイング787の問題については、節目節目でこの委員会の場でも御報告をいただきたいと思います。
  65. 石井準一

    委員長石井準一君) 後刻理事会において協議をさせていただきます。
  66. 吉田忠智

    吉田忠智君 また状況を逐次見ながら質問をさせていただきます。是非、何度も申し上げますが、国民の不安や不信を払拭するために万全の体制を取っていただきますように強く要請をしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  67. 水戸将史

    水戸将史君 日本維新の会の水戸将史でございます。  最後になりましたけれども、限られた時間でありますので、タクシーにつきまして、規制緩和、行き過ぎた規制緩和ということで非常に台数が増えてしまったと、そういう形で供給過剰に陥りまして、非常に社会的な問題になったということが以前も報道されておりました。あれ以来、議員として、議員立法としてやっていこうという動きもありまして、私も昨年そういう形で議員連盟にも入ってやってきた経過がありましたが、いずれにいたしましても、そういう流れが今あるように伺っております。  その前に、今の制度として、国交省の対応についてちょっとお伺いしたいなと思っております。  まず、大臣、いわゆる平成二十一年から特定地域タクシー特措法ですか、これが制定をされまして、非常に供給過剰に陥っている地域を特定地域として指定をして、タクシーの事業者間においてのいろんな形で協議によって減車もしていこうということをしてきた経過があるわけでありますが、今のタクシーの業界の現状についてどういう大臣自身は御認識でしょうか。
  68. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) 規制緩和をしまして、冬柴大臣のときだったと思いますけれども、そこについて手を打って、そして平成二十一年に特定地域タクシー特措法という形で経過をしたと思います。  規制緩和をしますと、規制緩和がいいということで、何を絞るとか、減車するというのはどうなんだというような根本的な議論がありますけれども、規制緩和をしますとサービスが多様化しまして利用者利便が向上して運賃が下がる、そしてその結果、利用者が増えて需要が増加するという好循環が始まるということが規制緩和論だと思いますが、このタクシー事業につきましてはなかなかそうなりませんで、十四年の規制緩和によって参入や車両の増加は自由化されたものの、多くの地域で期待どおりには需要は増加しない、好循環に至らないと。それは、タクシー事業が費用に占める人件費の割合が高くて、かつ運転者の賃金が歩合制となっているというようなことがありまして、需要の減少に際して車両数を増やして売上げを確保しようとする結果、逆に供給過剰になるというような事態だと思います。  そこで、二十一年に特措法ができたわけでございますけれども、現在これによって供給過剰が若干解消してきたというふうに思いますけれども、協力してくれるそうした事業者と、協力をしないという事業者もいたりということもありまして、我々としてはこの全てが協力をしていただけるように、そしてこの法律の趣旨というものが実現するようにということで、この供給過剰の問題の解決を進めていくというのが我々の基本的考えでございます。
  69. 水戸将史

    水戸将史君 ありがとうございました。  その見方は非常に正しいと思いますし、またこれからもということになると思いますが、具体的に言えば、この三年間ぐらい、この特措法が施行されて約一二・六%ぐらいの減車が進んでいるというふうに伺っているんですけれども、国交省といたしましてはこれをどう評価されているのか。また、もっともっとこれを進めて、この特定地域、今指定していますけれども、どの程度減車をすればこの特定地域というものが解除できるというこれからの見通しというのは、どういう形で見受けられていらっしゃいますか。
  70. 武藤浩

    政府参考人(武藤浩君) まず、委員御指摘のように、現在特措法に基づきまして特定地域における様々な取組をやっております。  基本的な構図を申し上げますと、まず特定地域の地域ごとに管轄の地方運輸局長、それから地方公共団体の長、それからタクシー事業者や運転者の労働組合などで構成される協議会を設置をいたしまして、その協議会で作成した計画に基づいて事業者などが車両の削減、あるいは一方で需要の掘り起こしということを進めていくことにしておりまして、国交省においてはこれらの取組の促進に努めているというところでございます。  具体的には、その各協議会に対して国交省からその地域において適正と考えられる車両数をお示しをしまして、そこで地域ごとの計画作りに活用されるようにしているほか、あと、その協議会の運営全般について、国交省が事務局となって積極的に指導とか助言を行っているというところでございます。  このような取組の結果、委員御指摘のように、三年間で一二・六%、若干上増しをして三年半で今一三・〇%削減と、そういう数字になっておりますけれども、その結果、運転者の賃金ですとか、あるいは車両一台当たりの収入が上昇に転じるなど、一定の成果は出ているというふうに考えております。  しかしながら、車両台数は規制緩和の前と比べると今五・六%減少ということと、それから一方で、景気低迷によって需要がそれほど増えないどころか今二一・二%減少していると、こういうことで、車両台数が減少してもなお供給過剰が解消していないというのが今の現状でございます。  そういう認識に基づきまして、引き続きこの特措法を適切に運用をするということで、輸送の安全性、利便性の確保を図っていきたいというふうに考えております。
  71. 水戸将史

    水戸将史君 確かに、いろんな需給のバランスですよね。なかなかこの経済状況の低迷も受けまして利用数が全体的にも増えていないということは非常に残念なことなんですけれども、いわゆるそういう中において全体的に供給過剰になったからこそ特定地域の協議会を設けると。しかし、あくまでもこれは自発的にやるような組織でございますものですから、どうしても協議会に参加する企業、参加しない企業、言うことを聞く企業、聞かない企業というので、不公平感は当然これはあるわけですね、地域間の中において。この不公平感については、それを解消に向けて行政としてどういう働きかけをすることが好ましいと思われますか。
  72. 武藤浩

    政府参考人(武藤浩君) 今御指摘のように、先ほども申し上げましたように、まず国交省からその適正な車両数というものを提示をさせていただいて、その計画に基づいて、減車については各事業者の自主的な判断ということで今実施をしているところでございます。ということは、減車に協力しない事業者もおられるという現状でございます。  しかし、供給過剰の解消を効果的に進める上では、地域の事業者が一体となって車両を削減することが必要であります。かつ、法律が可決された際の国会における附帯決議におきましても、減車等に協力しない事業者に対しては、経営状況を十分に確認するなどにより、タクシー事業の適正化、活性化を推進する観点から必要な措置を講じなさいということが盛り込まれております。  これを受けまして、国土交通省におきましては、平成二十三年の四月以降、減車に協力をしていただけない事業者を対象に経営状況調査をきめ細かく実施をして、必要に応じて助言を行うなどの取組を進めてきております。その結果、協議会に参加しない法人事業者の数が全特定地域の合計で平成二十三年の四月の時点で百社ございましたけれども、これは現時点では四十九社に今減少しているところでございます。かつ、この期間に全体で三千二百両ほどの追加の減車が行われることになりました。  今後とも、このような取組を通じて車両削減が幅広く実施されるように努めていきたいというふうに考えております。
  73. 水戸将史

    水戸将史君 今のお話しいただきました、一昨年になりますよね、平成二十三年の四月の通達ですよね、今のお話は。そういう中で、積極的に関与していただいて百社から四十九社に減ってきたと、いわゆる不参加というか非協力的な会社ですね。そういう形で、強制力はなかなか、これ絶対という話ではないかもしれませんけれども、自主的な規制ということもあるかもしれませんが、やはりある程度一元化して、うまい具合に供給過剰をうまくやっていくということは今の社会でも一応必要な部分かなという気がしています。一方ではもちろん競争原理もありますので、余り、そういう形でバランスを取る必要があると思うんですけれども、やっぱり的確な僕は行政の指導というのはあってしかるべきだと思っております。  それで、公取委員会の話も若干あるんですけれども、この新潟のタクシー業界、もうこれ二年ぐらい前になるんですかね、そういう独占禁止法、公取委員会から指摘をされて、排除措置命令等を受けて不服審判になっているというのがありました。これ、減車だけじゃなくて、運賃もある程度同一化しようみたいな話になって、ちょっと行き過ぎた部分もあるかなという気もするんですが、それを公正取引委員会がとらえまして、独占禁止法だという形で今不服審判に至っているわけでありますけれども、今後、厚生労働省として、いわゆる余り自主的な取組を萎縮させないということを前提としまして、この減車に対する、先ほども若干話もありましたけれども、適用除外ということを含めてなんですが、この独禁法の適用をされちゃうと非常に業界も萎縮してしまうというふうになっていきますので、とりわけ減車等に関しましては適用除外も、これもしていくということも含めて検討した方がいいんじゃないかなという話もあるように聞いているんですが、こういうことに関して国交省はどういうようなお考えでしょうか。
  74. 武藤浩

    政府参考人(武藤浩君) まず、委員御指摘の公正取引委員会について出されましたその課徴金の納付命令、これは平成二十三年の十二月でございます。これは運賃に関する共同行為が論点になっているところでございます。  一方、タクシー適正化・活性化特措法に基づきます車両の削減の各事業者の取組につきましては、先ほど申し上げたように、国交省が適正車両数をお示しをして、その上で各事業者が自主的に削減をしていただくと、こういう仕組みになっておりますので、公正取引委員会においても独占禁止法に抵触するものではないと、そういう認識をされているというふうに承知をしております。  今後とも、国交省としても、公正取引委員会と十分に連携をしながらこの特措法の運用に努力をしていきたいというふうに思います。
  75. 水戸将史

    水戸将史君 最後また大臣に、今までの話を受けていただいて最後にコメントをいただきたいんですけれども、先ほど若干お触れになりましたいわゆる附則第三項ですね、このタクシー特措法の。ここにおきましては、「一般乗用旅客自動車運送事業に係る道路運送法に基づく制度の在り方について早急に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」というのがこれ結びにあるんですね。附則第三項にはこの結びでこういうふうに、文言で締めくくられているんですけれども。  こういうことに関して、やはりこの特定地域タクシー特措法の今後の在り方について大臣はどのような御見解を、御認識をお持ちなのか、最後に大臣の御答弁をよろしくお願いします。
  76. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) 冒頭申し上げましたが、特措法から三年半が経過いたしまして一定の成果が出ているものだというふうに思っております。先ほども百社が四十九社になったということでありますが、私としましては、景気にもかかわることでありますけれども、供給過剰は依然として解消されていないという状況の中で、まずはこの特措法の適切な運用というものに努めるというのが私たちの立場でございます。  また、現場の状況をより連携を取って聞きながら、特措法の運用と同時に、これからどうするかということも含めて考えていく必要があるのかなというふうに思っておるところでございます。
  77. 水戸将史

    水戸将史君 よろしくお願いします。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  78. 石井準一

    委員長石井準一君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  79. 石井準一

    委員長石井準一君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  委員異動について御報告をいたします。  本日、吉田博美君が委員辞任され、その補欠として江島潔君が選任をされました。     ─────────────
  80. 石井準一

    委員長石井準一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、国土交通省土地建設産業局長佐々木基君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 石井準一

    委員長石井準一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  82. 石井準一

    委員長石井準一君) 不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。太田国土交通大臣
  83. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) ただいま議題となりました不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  建築物の耐震化等を通じて都市機能の向上を図り、我が国経済を活性化させるために、民間の資金や創意工夫を最大限活用することが求められております。  民間資金を活用した都市機能の向上や不動産市場の活性化を図るためには、投資家からの出資を受けて不動産の開発、賃貸等を行い、その収益の分配を行う不動産特定共同事業の活用が極めて有効であり、その一層の活用を推進するための措置を講ずる必要があります。  このような趣旨から、この度この法律案を提案することとした次第です。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、不動産特定共同事業を専ら行うことを目的とするなど一定の要件を満たす特別目的会社が不動産特定共同事業を営もうとする場合には、届出をしなければならないこととするとともに、届出をした特別目的会社に対する立入検査等、所要の監督規定を設けることとしております。  第二に、届出をした特別目的会社から委託を受ける不動産特定共同事業者について、自己取引等の禁止、委託された業務の再委託の禁止等、その業務についての所要の規制を措置することとしております。  第三に、不動産特定共同事業者の業務の適正な運営を確保するため、事業者から業務委託を受けた者等を立入検査の対象に追加する等の措置を講ずるとともに、罰則の強化を図ることとしております。  その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
  84. 石井準一

    委員長石井準一君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  85. 前田武志

    ○前田武志君 民主党の前田武志でございます。  今、太田国交大臣から提案理由の御説明がございました。本法改正の趣旨というのはこういうことだろうと思いますが、もう少しまちづくり、都市の再生、例えば東京の都心なんかはまさしく最新の最先端の機能を持つような都市にどんどん生まれ変わっていきます。あるいは、大阪だって北ヤードだとか、どんどん新しい開発がなされております。  しかし、一般に地方都市というのはなかなかそういうわけにいきませんでして、この超少子高齢化の中で人口も減少していくという中で、停滞どころか、どうも、言わば住宅なんかを中心に、あるいは駅前の商店街がシャッター通りだとか、そういった歯抜け状況のような感じになってきております。これは、単に地方都市のみならず、東京においても、あるいは大阪、大都市圏においてもそういう地区が多いわけでございます。そういったところの都市の再生、都市の機能アップという観点でこの法案を提案されたかなと、こう思います。  そういう意味では趣旨に賛同するわけですが、言ってみればまちづくり、そしてこの不動産というのは、単に経済行為というよりも、我がふるさと、我が町ということで、そこにかかわる方々の気持ち、熱意、そういったものをどういうふうに生かして、いいまちづくりをやっていくかということに尽きると思いますが、その辺のところも含めて、大臣のこの法案に懸ける問題意識、そしてこの法律改正によってどういうような政策課題が解決されるのか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
  86. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) 全く同じ考えなんですが、東京都を始めとして都心部の開発というのは、今も虎ノ門ヒルズというのを造って、五十二階がほぼ完成して、内装や、そういうことになっているんですが、マッカーサー道路という昭和二十一年に都市計画されたものが依然として放置されているということもありまして、一体的にということで、道路の上にそのまま、ビルというよりは都市であるというものをつくり上げていくというような、いろんな試みが始まったところでありますが。特に地方における、駅前を始めとして、あるデパートがあったけれどもそれが撤退したとか、様々なことがある上に高齢化が進んだりして、もう一度、モータリゼーションの中で都市を再び構築していかなくてはならないという課題になっていると思います。  コンパクトシティーというようなことが一つ志向されるわけですが、そこでもプロジェクトの中心となる、そうしたビルであるとか、プロジェクト自体が核となる事業が必要だというふうに思っておりまして、そういう中では、民間資金を導入して、不動産の再生に、遊休地の有効活用や老朽化した建物というものの再生を促進するということをもって更にその地域全体の経済の活性化を行う、そして資産デフレからの脱却を図る、そしてその地域の全体の活性化というものをもう一度もたらすというような意味で、今回の法律は非常に大事な種といいますか、シーズを与えるものになるんだというふうに思っております。  不動産の再生に伴う改修、建て替え工事には多額の資金が必要になるわけでありまして、ぴかぴかの最初からビル等はREIT等でできるんですけれども、老朽化したものを建て替えたりとか、そういうことはなかなかできない。そういうことで、今回、投資家から出資を受けて不動産の運用を行って、そして収益の分配を行う不動産証券化手法の活用という形で今回の法律案を出させていただいたところでございます。  前田先生おっしゃるとおり、これからの地域再生、まちづくり、またその再びの構築ということに一つの手だてを与えるものではないかというふうに思っておりまして、御協力いただいて成立させていただく。そして、させていただいたならば、これから課題ということを先生はおっしゃいましたが、本当に駅前をどう活性化するというのは簡単なことじゃありませんし、高齢者に対応するそうした住居とか、そういうもののまちづくりということも併せてということは相当知恵が非常に必要だというふうに思っておりますので、我々としては、法律を成立させていただいた上で、むしろ各地方に出かけていって具体的なそれが展開がされるようにという努力をしていかなくてはいけないと、このように思っております。
  87. 前田武志

    ○前田武志君 今、大臣のお話の中にも、大都市のREITというようなお話もございました。そこで、ちょっと整理として、もちろん都市開発の手法というのは、都市再開発の手法はいろいろございます。しかし、そこに資金とそして知恵を導入していく証券化手法として、REITもあれば、この不動産特定共同事業法もその一つだろうと思うんですが、どういう類型があり、どういう特徴があり、そしてなぜこの不動産特定共同事業法というのが、そういう老朽化した施設あるいは町の再生等にこの改正を通じて使いやすいツールになるのか、その辺を局長さんの方から御説明願います。
  88. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  ただいまお話がありましたように、不動産証券化手法は幾つかございまして、それぞれの特徴に応じまして活用されているところではございますけれども、いざ、これからの課題でございますその不動産の再生ということで活用しようと思いますとそれぞれ課題があると、こういうものでございます。  一つには、合同会社・匿名組合、こういったものを使う仕組みがございます。これは現物不動産ではなくて信託受益権を対象とすると、こういうものでございますので、老朽不動産のようなリスクの高い資産、こういったものはなかなかその信託の対象となり得ないと、こういうものでございます。  それから二つ目には、資産流動化法に基づく特定目的会社を使いましたスキーム、これがございます。これにつきましては、事業内容とか資金調達方法などにつきまして詳細にその計画を作りまして国に届け出ると、こういうものでございまして、初期の設立コストが極めて高いと、こういう課題があるわけでございます。  さらに、よく知られておりますJ—REITでございますけれども、これは不特定多数の一般の投資家から資金を集めると、こういうものでございますので、投資家保護という観点からいたしましても、テナントの退去を伴うようなリスクのある不動産の大規模な改修等はなかなかその対象にならないというものでございます。  そこで、この不動産特定共同事業でございますけれども、これは不動産業の、不動産の再生に活用が期待できるわけでございますけれども、ただ、残念ながら、現行の仕組みといいますのは、投資家の収益が、投資対象不動産のみならず、他の事業の失敗、こういったものからも影響を受けると、こういうものでございますので、投資家にとって非常に使いづらいと、こういうものになっているわけでございます。  そこで、今回、いわゆるSPCというものを使いまして、投資家がこのSPCに投資することによりまして、ほかの事業の失敗の影響、こういったものから隔離されるといいますか、排除すると、こういうことを考えた次第でございます。
  89. 前田武志

    ○前田武志君 そこで、町の再生、地域の再生といいますが、要は日常生活圏みたいなものがあって、それはもう都市によって随分違うんだろうと思います。地域によって随分違うと思いますが、基本的には住宅があって、商店があって、学校があって、役場やそういう公共施設があって、病院もあって、さらには地域包括ケアなんというのも、中学校単位ぐらいでしょうか、そういうような施策も今打ちつつあるわけですね。そこに公共交通というものが、できれば歩いて用が足せるというぐらいのまちづくり、そして公共交通がそろっておればいい、そういうものがそろって一つの生活圏、コミュニティーができています。  便利なところ、大都会、例えば東京なんかは本質的には車なんか要らないんですよね。それに比べて地方なんというのは、地方都市なんかで生活、経済活動をやっている方々というのは、家族の数だけ車を持っていないと日常生活すらできないと。しかも、そこが、どんどんどんどん住宅も空き家が増えてくる、商店街はシャッター通りになってくるというような惨状になってきた。  このような地域をもう一度再構築していこうと、そのためのツールとしてこういう不動産特定共同事業法。したがって、老朽化施設であったり、あるいは耐震がまだなされていないというような既存不適格の建物なんかを耐震改修やっていこう、大きな旅館なんかも、ひょっとして診断してみると耐震の安心度がまだ足らないよというようなものもあるわけです。恐らくそういうのは地域の観光、経済拠点であって、そこが安全な再整備をされないことには地域の経済も社会もなかなか発展しないというわけでありますから、そういったものにこのツールを使いたいという趣旨はよく分かるんですね。よく分かるんですが、ということは、地域のコミュニティーの、地場にいる、まちづくりにかかわるプレーヤーの方々がどういうふうにそこに入ってこれるのかということを常に考えてやっていただかなければならないなと、こう思います。もちろん、そういう意図を持っておいででしょう。  しかし、一方で、不動産という、一般に言うとちょっと危ないねというような感じなんですね、バブルもあって。特に証券化なんて言われると、何か危なっかしいというような印象があるんですよ。したがって、これを扱う不動産特定共同事業者というものには厳密な制限を加えておりますし、そして、先ほど局長の御説明では、何か駅前のひとつ活性化のために地元も全部協力し合って一つの大きな再開発ビルを造る、建てる、そのディベロッパー、そしてそこに資金を提供するのにこの手法を使うということもあり得るのだろうと思うんですね。  この不特事業で集めた資金で再開発をやろうとするときに、地元のそういう方々がどの程度入ってこれるかなというと、この制度の仕組みが今申し上げたようにかなりリスクが大きいと思われるものですから、そこに入ってくるプレーヤーというのは、プレーヤーというよりも実際にこの事業をやる不動産特定共同事業者ですね。ここは厳密にその中身の、プロフェッショナルがそろっていて、そして財務的にもしっかりしていてというようないろんな条件を加えるのはいいわけなんですが、SPC、ちょっとこれ難しいですね。なかなかうまく、特別目的会社と言われたって何のことかよく分からぬという感じですが、その開発ビルを受皿として、開発ビルに投資をする人たちなんでしょう。そこに加わる投資家まで、非常に厳しい、事業をやるのと同じぐらいの厳しさをどうもこの法律を見ていると課しているわけですね。  そうすると、趣旨はいいし、是非、都市の再生、地方都市なんかの再生なんかに使える資金も提供して、知恵も提供して使えるようにしていきたいわけなんですが、一方で、非常に厳しい条件を課すものですから、どうも地元の不動産屋さんだとか、このまちづくりしっかりやりたいなというNPO的な社会起業家なんかもいるんだろうと思うんですが、あるいは地元の建築家、デザイナー、そういった方々がなかなか入りづらいんじゃないかと。その乖離をどう埋めていくか、そこをどう乗り越えて、本当に地元参加のまちづくりにこの不動産特定共同事業法が使えるようになるかということが一番重要だと思います。  そんな観点から、国交省としてはどういうふうに考えておられるか、是非お聞かせいただきたい。
  90. 松下新平

    大臣政務官松下新平君) 先生御指摘のとおり、まちづくり、そして地方都市の再生をどうしていくかということは重要な御指摘でありまして、また課題だというふうに認識しております。  これまでも、長野市や北海道岩見沢市、岡山市等では、不動産証券化手法の活用によりまして地元の企業や金融機関、地域住民などの資金を調達いたしまして地元の方々が中心となって事業を行うなど、地域の関係者が連携したまちづくりが進められているところでございます。  今回の改正はこのような取組を更に容易にするものでありまして、新たな仕組みを活用することにより、自社の信用力だけでは資金調達の難しい場合が多い、先生御指摘がありました地方の中小ディベロッパーが事業を行いやすくなるとともに、地域の金融機関や投資家も資金を出しやすくなると考えております。  また、御指摘のとおり地域の事業者や投資家の参画が極めて重要と考えておりまして、地方公共団体や地域の産業界などによって、地域の再生のために各地でつくられているいわゆる地域活性化ファンドや地元商工会、地元の中小ディベロッパーや建設業者、地域の金融機関、地方公共団体等、地域が主体となった、まさに先生が言われたプレーヤーですね、が事業が進められるよう、これらのものを中心とした、主体とした不動産再生事業に関するケーススタディーの実施やセミナーの開催等により積極的に支援してまいりたいと思います。  御指摘がありましたように、リスクが多いし、そして地元のプレーヤーが中心とならなきゃいけないということは私たちも認識しておりまして、これまで全国には、地域で活躍するまちづくりに関するNPO法人など、地域においてまちづくりのコーディネーターを担っていらっしゃる個人や団体も多数ございますので、このような団体の活用等も有用であると考えております。  以上です。
  91. 前田武志

    ○前田武志君 そのような形で再開発をやり、町の活性化をやっていく。そこに住んでいる方々、先ほどプレーヤーという御紹介ありましたが、やはり不動産というのは単なる金融商品と違って、そこのコミュニティーをいかに良くしていくか、自分たちも参画して良くしていくかという、そういう思いがこもる対象なんですよね。その思いをいかにうまく引き出して、それを本当に結集して組織化してやっていけばいいまちづくりになると思うんです。  日本は、今はこういう状況になってまいりましたが、それまでの成長過程では余りこういった沈滞した、衰退した町の再開発というようなことについてはそれほど大々的、組織的に大きなものは、もちろん再開発という意味ではどんどんやってきたわけですが、それは効率化ということで、増えるキャパシティーをどう受け止めていくかという方向だったと思うんですね。  その点、海外には、これはアメリカでさえ、むしろダウンサイジングしていって町を再生させていく、そういうようなケースがあります。ヨーロッパもそうです。例えばドイツだって、東西ドイツが合併した後、東ドイツなんかが随分と衰退して住宅なんかもどんどん空き家が出てくる、それを再生させていくいろんな手法を開発しております。イギリスも、これはロンドンのケースでちょっと聞いたのが、ディベロップメントトラストといいますから開発信託会社なんでしょうかな、何かそういう制度で見事にある下町を再活性させたというように聞いていますが、ちょっとこのイメージを湧かすために、佐々木局長の方から、このロンドンといいますか、イギリスのケースについて御紹介いただければいいかなと思いますが。
  92. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  ディベロップメントトラストについてちょっと勉強させていただきました。イギリスにおきまして、地域住民の方々が自らコミュニティーの課題に取り組むというために設けられる非営利組織というふうに聞いておりまして、一九七〇年ごろに登場いたしまして、二〇〇五年十月現在で三百三十五団体ほど存在していると聞いているところでございます。  このトラストは、土地や建物の所有権又は賃借権を取得いたしまして、そこに施設を建設し、その賃貸料、利用料などを収益として活動を行い、地域再生に取り組んでいると、そういうようなまさにまちづくりの活動を住民が行っている、そういう組織であると認識しているところでございます。
  93. 前田武志

    ○前田武志君 今の問題、大都市であろうと地方都市であろうと共通の課題ではあるんですが、大都市部というのは比較的そういう専門家も周りに得やすい環境にあります。しかし、地方都市になるとなかなかそうはいきません。専門家もいない。恐らく証券化手法なんていったって、不動産特定共同事業法といったって、地方で経験しているそういうディベロッパーなり専門機関、信託銀行なんかも含めてでしょうが、そんなに多くはないと思うんですね。しかも、このリスクをなるべく遮断するために非常に厳しい制限を付けてくると、こういうことになると、狙いは非常にいいわけなんですけれど、結果、どうも地元が入れない、参加できないということになると、地元の方々が入れないような再開発なんというのは、これは魂がなかなか入らない、思いが伝わらないということになるものですから、ここが一番重要で、松下務官が御指摘のような幾つかの成功例もあるようなんで、是非そういったことを広げてやっていただきたい。  今、佐々木局長から御紹介がありましたが、このディベロップメントトラストというのはやっぱりちゃんと収益を上げているわけですよね。そうかといって、もうけるための、不動産からとにかく利益を得ればいいという、そういうものではなしに、地域をいかに活性化させるかということで、私もちょっと調べてみますと、何か高速道路ができたと、その高速道路の地域というのは非常に衰退していて、再開発をどうするかというのがテーマだったんですが、その下の土地を百二十年のリースを地域が受けて、そこには自治体も、いろんなものが関与してきて、このディベロップメントトラストですか、DTというのが百二十年のリースを受けて、そして地域のためにいろんな開発事業をやって、そこから賃貸収入を得る。その活動の中には、半分、地域の発展のための公益的なもの、地域の運動場であったりテニス場であったり、あるいは福祉施設なんかもあるんでしょうね。一方で商店街みたいなものもつくるというようなことで、見事にその役割を発揮しているんですね。  ある意味では、不動産特定共同事業と、SPCを含めて、この事業と何か親和性があるような感じがするんですね。今のこの法律ではちょっと無理なんでしょうけれど、私は日本流のいろんな装置というものができ得ると思うんです。そういうことを通じて、おらが町の不動産屋さんであったり建築士であったり、あるいは流通の担い手の方々であったり、そういったいろんな方々が参加できるような、そういうふうな運用、あるいは行く行くは改正というふうに持っていっていただきたいなと、このように思う次第でございます。  そこで、今、日本の国の不動産の、不動産というとどうも響きがもう一つぴんとこないかも分かりませんが、申し上げたようなコミュニティーですね、そういう町の実態というのは、住宅でありオフィスであり、あるいはいろんな公共的な建物であったり流通関係のものであったり、商店であったり病院であったり、建物、建築不動産というのが実態ですよね。そういった諸活動、生活、経済、社会の活動が行われる拠点となっているその不動産というものの累計が、今、日本の場合、ざっくり分けてどういうふうになっているのか、お答えをいただきます。
  94. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  我が国の不動産ストックの内訳ということでございますけれども、資産価値が総計で約二千五百兆円と言われているわけでございますけれども、その内訳につきましては、住宅及び宅地、これが約千三百兆円、それから、オフィスビル等の建物が約二百兆円、インフラ施設等の構築物が約七百兆円と、大ざっぱに言いますとこういう仕分になっているわけでございます。
  95. 前田武志

    ○前田武志君 住宅建物が千八百兆円と言われましたかな。
  96. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) 千三百。
  97. 前田武志

    ○前田武志君 千三百。これはいろんな施設等も含めてで、多分住宅というのはそのうちの三百五十兆円とかそのぐらいだと、三百いっているんでしょうかな、三百兆円前後だろうと、こういうふうに聞いております。  今からもうかなり前なんですけれども、五、六年前でしょうか、リチャード・クーさんという、これは野村総研のなかなか有名な方ですが、この方が一遍お話しに来られまして、いや、実は日本の住宅のストックの現在価値は、そのとき約五千万戸という住宅を対象にしておられましたが、現在価値が二百三十兆円だと言うんですね。それを節々、五年なり十年ごとに水回りを改修するだとか断熱を施すだとか、いろんな改修を加えていくと住宅の寿命が延びて、そして流通もちゃんとセットでやっていきますと、日本のこの二百三十兆円、当時の価値が九百兆円になると、こう言われるわけですよ。だから、そのとき言われたのが、日本の住宅というのは、平均するとその当時、二十五年の寿命だと、二十五年たつと産業廃棄物になるんだと。  アメリカという例を出したのは、アメリカも大体木造住宅が多いんですよね、もちろんマンション等も多いでしょうが。そのぐらいの寿命というのは当然確保できるわけです、丁寧な維持管理、修繕をやっていけば。私は大和でございまして、法隆寺は千四百年でございますから、木の文化というのはそういうものであります。  それは余談として、日本の場合には流通が伴わないものですから、すばらしい住宅地に宅地を取得して、自分の思いのこもった住宅を建てて、そして子育てをやって、やがて子供が卒業してまたどこか都会に出ていく。そして、定年を迎えて、熟年夫婦が子育てをやったこのすばらしい庭付きの二階建ての家で、まあメンテナンス大変ねと言いながら草抜きで追われている、二階は子供たちの思い出グッズがいっぱい詰まった部屋があって、夫婦はせいぜいリビングルームと寝室だけで過ごしておると。ローンを払い終えたんだけれども、全然これは土地の底値の値段しかないし、やがて産業廃棄物になると。  こういうことじゃ町の再生なんていうのはあり得ないわけで、ということは、何を言いたいかというと、そこはしっかりとしたメンテナンスと流通というものが伴っていかなければならないと思うんですね。流通というのは何かというと、そういう子育てに最も適した住宅地なんていうのは、それまでその市にとっては、働き盛りの活力のある人たちが集って、子供もいて、購買力もあって、税金も落としてくれてと、その町が今やゴーストタウンに近くなって、むしろ負担の方が大きくなっている。  現実に、私の地元のことを言うのもなんなんですが、奈良県なんていうのはまさしくそういう形で人口七十万台から百四十万台まで発展した。一人当たりの生産額といいますか、所得、相当高かったんですが、今や、高齢化したものですから、今言ったようなプロセスを経て一人当たりの所得というのは物すごく落ちてしまっているんですね。  だから、これは全国似たようなケースであって、やはり町の再生というものはもう喫緊の課題。恐らく、団塊の世代が活力を持っている時代に何とか、地方都市の再生、コンパクト化、そして省エネ化、耐震化、ここは公共でバックアップできるわけですから、そういったことを是非やっていただきたいなと思うわけでございます。  ということで、とにかくそういう住宅地に子育て世代がまた戻ってくるような、これは世代循環ですから、流通になってまいります。広くとらえると、その流通の先端みたいなものをこの不特事業というものは担い得る要素を持っているのではないかという期待も掛けるわけですね。そんな意味において、不特法と流通、ストックの改修、価値向上、流通等について、どのように関連付けてお考えか、お答えをください。
  98. 鶴保庸介

    ○副大臣鶴保庸介君) 委員の問題意識、全くそのとおりだというふうに思います。  特に住宅につきましては、私も就任早々、中古住宅の流通活性化について再検討、そして促進をするよう指示をさせていただき、そのための勉強会等々を開催させていただきました。その中で、前田元大臣の御実績についても、大変けいがいに触れ、感心をしておったところでございます。  これをパワーアップするためにも、築年数で一律に減価しております現在の手法を改める形での評価方法の抜本的改善、また、住宅の質に関する情報提供の充実など市場環境の整備、高齢者等の住宅資産活用のためのリバースモーゲージ等、住宅金融に関する検討を加味しながら、更なる市場活性化策について今月中に取りまとめをさせていただきたいというふうに考えております。  また、それ以外にも、法人所有の不動産あるいは公共主体の不動産等々もございますが、これらについても民間資金を誘導する取組を必要不可欠といたしまして、御指摘のとおり、この不動産特定事業法が寄与するものと考えております。  特に法人所有の不動産につきましては、平成二十四年度補正予算において、既存のオフィスビル等を耐震性や環境性能に優れた建物に改修、建て替えをするファンド事業を創設をさせていただきました。これらも共々、あわせて御指摘の不動産のストックの価値の向上に向け全力で取り組んでいく所存でございます。
  99. 前田武志

    ○前田武志君 リバースモーゲージのお話もありました。そういったものが可能になるということは、その建物が価値がバリューアップして、その価値を担保にして多分リバースモーゲージということになるのかなと思うんですね。したがって、何といっても再生、そういったものが、都市再生という、あるいは地域の再生というものが進まないとなかなか実現しないんだろうと、こう思います。  今までの議論の専門家、参考人として来ていただいているのは土地・建設産業局長さんなんですね。しかし、今のまちづくりというのは本当に幅広くて、ここに関与する行政の専門部局だって、国交省でいえば、このほか、都市局であったり建物、住宅関係の住宅局であったり、あるいは総合政策局があるでしょう。更にいえば、リバースモーゲージだとどうでしょう、金融庁なんかも関係するんでしょうかね。あるいは、地域包括ケアというと厚生労働省、あるいはゼロエネルギーまちづくり、環境未来都市なんというと環境省や経産省ということにもなって、非常に専門分野が多岐にわたるだけに、よほどの統合力を持った進め方をしないとなかなか前へ向いて進まないということになるかと思います。  そういう意味では、統合力を腕力も含めてお持ちの太田大臣に最後にひとつ御所見をお聞きして、終わりたいと思います。
  100. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) 市街地の活性化とかまちづくりといいますと、経済産業省でかつてはまちづくり三法の議論があったり、また税制で優遇措置をとるとかいろんなことがありまして、政府挙げて対応をしないと、特に地方の高齢化した、そしてまた人口減少の中で町を活性化するということはなかなか至難の業であるというふうに思っています。  そういう意味では、また耐震ということを取りましても、耐震改修促進法を先般成立させていただいたんですが、今回の税制改正等も含めて、それぞれの一般の住宅での耐震化ということの措置もとらせていただいたりするんですが、いろんな制度をいっぱいつくっているんですが、各省庁にまたがっていたり、なかなか、それらをまとめてまちづくりという形で展開するという、そうした作業が大事で、そこにはまたそういうことが分かる人材が地方にきちっと配置をされていかなくてはならないと、こういうことだと思います。  先生御指摘のように、腕力はあるかもしれませんが、知力はちょっと足りないかもしれませんが、一生懸命、そういうことのまとめ役は、各省庁にまたがっているというよりは、これは国交省の役割であるという自覚の下で、何とか、地方のまちづくりということを始めとして、この法案というものを一つのきっかけとして努めたいというふうに思っているところでございます。
  101. 前田武志

    ○前田武志君 これで終わります。
  102. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 前田先生の広範にわたる大所高所からのお話、大変勉強もさせていただきまして、私もまた違った観点から数点お伺いさせていただきたいと思いますが。  今回、この法案の中で、投資家を募る不動産証券化、本格的に始まったのは昭和六十二年からと聞いておりまして、その当時、考えてみますとバブル期でございますから、今と全く状況が違うわけでありまして、バブル期でありましたから、値上がり、物件のまた様々値上がりを見越してのスタートだったというふうに思うんですが、変化を迎えた今日でありますので、この時代に合った法改正、私はどんどん進めるべきだと、こういうふうに思っておりますので、この法改正については期待をしております。  ただ、今回の法改正のポイントでございますけれども、不動産再生を進めていくために、SPC、先ほどもお話出ていましたが、これを活用を認めていくということでございますけれども、なぜこのSPCが必要なのか、原点に返りましてこのお考えを伺いたいと思いますし、また、この法律の制定時、もう何年もたっておりますけれども、その当時、なぜもし必要であるということであればこのSPCの考え方を盛り込まなかったのか、この点についてまず伺っておきたいと思います。
  103. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  この法律ができたのは平成六年でございまして、若干その経緯を振り返ってみますと、平成六年以前には、投資家から出資を受けて不動産の取引を行ってその収益を投資家に分配する、こういう事業はあったわけでございますけれども、特段の規制はございませんで、その結果、経営基盤の脆弱な事業者が倒産して投資家がその資金を回収できなくなると、こういうような深刻な投資家被害が生じたわけでございます。そこで、このような事業を行う事業者に対しましては許可制を導入し、不当勧誘の禁止などの行為規制を課すために不動産特定共同事業法が平成六年に制定されたと、こういうことでございます。  このように、元々その事業者を規制するということで発足したという経緯に加えまして、当時、我が国におきましては、いわゆるSPCを設置して倒産隔離を行うというような考え方がほとんど普及していなかったと、こういう状況でございまして、そのために、投資家から出資を受けることと、それから不動産の取引を行うことが一体としてディベロッパーが行っている、そのディベロッパーに対して許可が行われ、結果として本業と他の事業が区別することなく事業が行われてきたと、こういうことでございます。  しかしながら、この方法によりますと、投資対象となっている事業以外でディベロッパーの行っている事業が破綻した場合には、その影響を受けて投資家が投資を回収できないと、こういう事態になってしまうものですから、そうしますと、投資家からお金を集められない、建物が改築できないというような状況になりまして、今回その改正を考えるに至った次第でございます。
  104. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 様々問題があったんだろうなと、こういうふうに思います。平成六年といいますと、引き算しますと十九年前ですからね、このときにどういうことがあったか私にはちょっと想像の限界を超えていまして、大変なことが起きていたんだと、こういうふうに思います。その反省の下に今回このような法案をお考えになったんだと、こういうふうに思っておりますが。  このSPC、これは一つの物件といいますと、建物一つではなく例えばエリアだとか、そういうことになろうかと思いますけれども、物件一つに対して一つずつつくっていくイメージでよろしいんでしょうか。それとまた、SPCと不動産特定共同事業法の事業者の関係、これもどうなるのか。そして、これはみんなちょっと興味があるところだと思うんですが、プロジェクトが終了した場合、SPCというのはどういう形になるのか、これちょっと御説明いただきたいと思います。
  105. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  SPCというのは、投資家から資金を受け入れて運用対象となる資産を保有するために設立される言わば器のような存在でございまして、このSPCが実際に投資家を勧誘したり、あるいは不動産の売買等の取引を行うということはございません。そういった事業につきましては、このSPCから委託を受けた不動産特定共同事業者が行うと、こういう仕組みになっているわけでございます。  そこで、このSPCでございますけれども、原則は一つのSPCで一つの物件を所有するということでございます。まれには、規模が小さい等のことがございますれば、一つのSPCで複数の物件を所有するということもあるわけでございますけれども、投資家が投資判断を行うに際しましてはその投資対象が明確になっていた方がいいということでございまして、原則として一つのSPCが一つの物件を保有するということが原則になっているわけでございます。  それで、そのSPCの最終局面でございますけれども、SPCといいますのは不動産の保有のみを目的とする会社でございますので、その目的が達した暁には、例えば五年ないし七年ぐらい掛かりましてその事業が終わった暁には、基本的にはその売却を行いまして、その収益を投資家に還元した上で解散すると、こういうのが一般的だろうと思っております。
  106. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 大体、大方のお考え分かりましたけれども、先ほどもお話出ていましたけど、不動産証券化とかというこの呼び名というのは随分心配にもなるし、また自らの考え方の範囲よりも超えているんじゃないかと、こういう不安も付きまとうわけでありますが、これは理解のある投資家から直接集めた資金を使って不動産を取得する、こういうことだと思うんですね。  投資家側に回って考えてみますと、先ほども答弁で出ていましたけれども、投資することはオーケーなんだけれども、ディベロッパーに金出すの嫌だと、過去の失敗例もあるようでございますから、そういう投資家がいることも考えられるわけでありまして、これまで各地で生じている老朽・遊休不動産再生、これを図ることは大前提でありますけれども、これが今まで進んでこなかった理由というのは何なんでしょう。
  107. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答え申し上げます。  不動産の証券化につきましては幾つか手法があるわけでございまして、いろんな局面で実際に活用されてはいるわけでございますけれども、なかなか老朽化した不動産を再生するということにつきましては、いずれの証券化手法をもちましてもなかなか使いづらいという、そういう側面がございました。  先ほども若干触れさせていただきましたけれども、あるものにつきましては現物の不動産ではなくて信託受益権を対象としていると、こういうものがございますので、そうしますと、どうしても信託されるものというものはかなりしっかりしたものが必要なわけでございまして、なかなか老朽化したようなものは対象にしてもらえないと、そういうこともございますし、それからまた、あるものにつきましては非常に手続が煩雑でかつコストも掛かると、こういったことで、特に、非常に大きな案件についてはいいんでしょうけれども、比較的規模が小さいものについてはなかなか投資家が手を出しにくいもの、こういうものもございました。  それから、J—REITにつきましては、これは、一般投資家の保護ということを考えますと老朽化したものについて手を出すことはなかなかできないと、こういうこともございまして、このもろもろの状況でなかなか不動産再生にぴったりと使えるような不動産証券化手法がなかった、こういう状況でございます。
  108. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 大分これから研究、工夫しなきゃいけない余地もあるんだということを思いました。  この法改正、不動産の再生プロジェクト、これからどのような形で可能になっていくのか、これはお考えを伺っておきたいと思いますが、当然のことでございますけれども、投資家としては、不動産の再生後、ここにテナントが引き続き入ってもらっていないと採算合わないわけですね、メリットもないし。さらに、容積率、建蔽率の問題が、余裕があるところも出てくるんだと思うんですね。そういうところは、例えば五階建ての上に三階乗せられるのか、また床面積を広げられるのか、そういうことになってきたりしますと、これはそのところにもしっかりとしたテナントを入れていかなくちゃいけない。また、場合によったら自分の持ち物にするのか別として、これは地方と都市部では全く環境が違ってくると思うんですね。  さらには、これは私どもの住んでいる地域でもそうなんですが、駅からちょっと離れただけでも不動産の動きは全く違うと。例えて言いますと、商業施設がある方、そちらは空きが出てもすぐにテナントが埋まる、どんな建物も建てやすいと。しかし、反対側のところは百メートル行くともうテナントが空きが出てくると、こういう現実もあるようでございまして、これからそういう条件が大きく異なる状況の中でこの再生プロジェクトをやっていかなくちゃいけない。  この中で、私、常々思っているんですけれども、日本の総住宅戸数、これ約五千七百万戸を超えているということを聞いていますけれども、空き家がかなり多いんですね。最近どんどん増えて、賃貸住宅でも大分空き家が増えているということを聞いています。七百五十七万戸と最近の数字は聞いていますが、これは全部の住宅の戸数の一三%を超えるまでに至っているんですね。  これについて、やはり今回の法改正でこういう対策も考えていかなきゃ、この空き家的なものが増えていく要因の中に、やはり単身世帯が増えているというのも原因一つだと聞いていますけれども、様々なことを考えまして、というのは、先ほど前田委員からもお話ありましたけれども、町全体のつくり、それからまた国をどうしていくか、これまで発展していく問題だと思いますね。  こういう意味で、町全体、商業施設、その地域全体を含めて、SPCで更に付加価値を高める、そして投資家もオーナーも全てプラスになっていくような、こういうふうなことも工夫次第で可能だと思いますが、この点についてはお考えを伺いたいと思いますが、お願いします。
  109. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  例えば、地方の本当に駅前でございますとか中心市街地、こういった非常に立地のいいところにつきましては、老朽不動産であっても今回の改正によって収益性の高い不動産に再生されるということを期待しているわけでございます。  一方、今お話ありましたように、例えばちょっと駅から離れているとか、あるいは散見されるような空き家の存在、こういったものをどう再生していくかということでございますけれども、これは余り高い収益性を求めると恐らくなかなかうまくいかないだろうなというふうに思っておりまして、収益性はそれほど高くない案件であっても、本当に地域がそこに再生することが必要であるという御認識の下で、例えば地域活性化ファンドでございますとか、あるいは地元の商工会の方、あるいは金融機関の方々、あるいは行政の方々、こういった方が様々な例えば資金的な支援でございますとか、そういうことを行うことによって、それほど収益性は高くなくてもそこそこ採算性が取れると、そういったような工夫はできるのではないかというふうに思っておりまして、私どもも、これからこの法案を通していただいた暁には、そういった知恵が各地で出るようなうまい活動をしていかなければならないだろうというように思っているところでございます。
  110. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 様々な知恵を絞っていただいて、この新しく法改正が実現した場合には、これはやはり、ああ、あのときにこういうことをやってくれたから今の日本があるんだなというような、そういう機動力のある振興の仕方を進めていただきたいと思いますが。  改めて、不動産の証券化、これは本当に専門的な分野でありますから、これを実際活用して不動産の投資運用等をやっていく場合には、これ一般の投資家だけの知恵ではかなり厳しいわけですね。そういう意味で、この難しい作業に当然精通した人材が必要でありますから、特に地方を考えてみますと、やはり都市部よりも地方の方がどうしても優秀な人材を集めにくいという環境もあるようでございますので、こういう場合に、銀行なども含めまして、これ人材対応を総力を挙げてやっていかなくちゃいけない、こういうふうに思うんですが、この人材育成、それから制度普及啓発、こういうふうなことも含めて、再度お考えを伺っておきたいと思います。
  111. 鶴保庸介

    ○副大臣鶴保庸介君) 御指摘のとおり、人材の育成、活用については大変重要な問題であろうと思います。  専門的でございますので、不動産証券化にノウハウを有する人材を交えて不動産再生事業に関するケーススタディーを実施したり、また先導的なモデルケースを示すとともに、金融に明るく企画ができる人材の発掘も併せて行っていく必要があると考えております。  また、この制度の普及啓発も併せて重要であると考えておりまして、地方整備局や関係団体の協力により、全国各地で地元自治体、地元の中小ディベロッパー、建設業者、金融機関などを対象とする説明会を開催し、広報に努めるほか、例えばこれらの事業への参加が不可欠な地域の金融機関と情報交換や案件の発掘等について協力して取り組むなど、金融庁を始めとする関係省庁とも協力をしつつ、効果的な方法で進めてまいりたいと考えております。
  112. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 そのようにしっかりと運んでいただきたい、こういうように思います。  最後に、大臣に、通告しておりませんけれども、お考えだけ伺わさせていただきます。  一九八六年から一九九一年二月まで、すごい土地バブルでしたね、あのときは。もう不動産屋さんが一時間に六千万もうかったという話は町の不動産屋でざらでしたから。そんな時代がありました。そのころを考えてみますと、実体経済からも特に乖離していたんですが、考えて言った言葉かどうか分かりませんけれども、日本を売ればアメリカが買えるなんて言った人がいたんです。こんな話が出るぐらい大変な土地バブルの時代がありました。その後に二〇〇八年のリーマン・ショックがありまして、これから本当に、アベノミクス、三本矢放たれましたので、これからしっかりとした経済対策、国づくり、これを総力を挙げて超党派でやっていかなきゃいけないと思うんです。  この点について、これから大臣が目指す国づくり、これ、大臣の抱負を語っていただければ有り難いと思います。よろしくお願いいたします。
  113. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) いろんな条件の変更があったと思います。国土の均衡ある発展ということで、共通してこの二十年ぐらいはやってきたと思います。しかし、メッシュで一平方キロで切りますと、三十八万平方キロの日本ですが、何と六六%が二〇五〇年という年には人口が半減するというデータが出ているということからいきますと、何か経済成長を全国一律に発展させるというような事態はもうないと。高齢化がしかも進んでいる。そして、人口減少の地域が全国では多い。そして、地方分権とか道州制ということをある程度にらんでいかなくてはいけない。世界のグローバリゼーションの中で、都市間競争が激しくなって、日本はかなり、ハブ空港、ハブ港湾を始めとしてしっかりした都市間競争に勝てるという大都市圏をつくっていかなくてはいけない。いろんな課題があろうというふうに思います。  総括的に申し上げれば、都市間競争に勝っていけるような大都市、そして道州制に一個というような、そこでの経済の牽引力になるような中核。仙台というのは例えばそうでありましょう。各県の都市ということについては、これはコンパクトシティーということでかなり集約して、そこに医療も含めて、災害ということも含めてコンパクトシティーというのをつくっていかなくてはならない。大都市部分では、省エネやバリアフリーを含めた、そうした電力を生み出すというスマート住宅、スマートウエルネス住宅というものを連結させたスマートウエルネスシティーというのをつくっていかなくてはいけない。こうした、いろんな意味でめり張りを付けた国づくりというものをしていくというスタートに立っていると思います。  老朽化ということを施しながら、より価値を生んでいくと。藤巻先生よくおっしゃるんですが、安全、安心というだけでなくて、私は、言葉を借りればデザインをしていくというようなことが非常に大事で、これから老朽化対策、更新を施しながらも、デザインや景観ということも踏まえた価値のあるそうした都市をつくっていかなくてはいけないと思っております。
  114. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 終わります。
  115. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  時間に限りがございますので、早速御質問をさせていただきたいと思いますが、まず、現状認識ということでお伺いしたいと思います。  今、政権において一番大事なことは、日本にとってでありますけれども、大事なことはデフレからいかに脱却するかということだというふうに思います。デフレの原因というのは幾つかあるかと思いますけれども、デフレから脱却するにはやはり不動産価格の適正化ということは避けて通れないというふうに思うわけでございまして、まず現状認識として、現在の首都である東京の地価というのが、世界的な国際都市と言われるロンドンとか、あるいはパリ、あるいはニューヨークなどに比べてどのぐらいの水準にあるのか、まず、現状をお聞きしたいと思います。
  116. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  世界の地価を比較できる調査といたしましては、日本不動産鑑定士協会連合会が行っている世界地価等調査というものがございます。その平成二十三年の調査によりますと、OECD加盟国の主な都市の標準的な地点について、当時の為替レートで単純換算いたしまして比較してみますと、まず、土地、建物を含む戸建て住宅地の価格でございますけれども東京は十三都市中二位で、東京を一〇〇といたしますと、ロンドンが一二五・六で一位、ニューヨークが三三・四で十位ということになっております。なお、パリについてはデータはございませんでした。  同様に、集合住宅地の価格について見てみますと、東京は十四都市中八位でございまして、東京を一〇〇といたしますと、ニューヨークが三五一・一で一位、パリが二五一・九で二位、ロンドンが二三八・六で四位ということになっております。  また、高度商業地の賃料について見てみますと、東京は十四都市中二位でございまして、東京を一〇〇といたしますと、ロンドンが一四九・〇で一位、ニューヨークが六九・〇で三位、パリが六三・八で四位と、こういう結果でございました。
  117. 西田実仁

    ○西田実仁君 様々な指標によって比較いただきまして、ありがとうございます。全体的に、先ほど話がございました、バブルの時代があって不動産価格が高騰して、それが暴落する中でまた逆に行き過ぎてしまってデフレの大変な要因になっている、そこからどう脱却するかという適正化が今求められているんだと思います。  今日はお手元に、世界の都市力比較ということで、世界的な会計事務所でありますプライスウォーターハウスクーパースが出しております、二〇一一年に出された資料でございます。第四回の共同分析ということで、世界二十六の国際都市を比較しておりまして、十の領域、また六十六の変数を用いて分析をしている、そういういわゆるランキングでございます。この中で東京は、二十六の国際都市の中では総合スコアは第十四位ということで、一位のものもございます。例えばソフトウエア・デザイン、あるいは研究開発、交通・インフラ、高層ビル建築等については一桁台という、そういう分析になっているわけでございますが。  ここで注目していただきたいのは一番最後の自然災害リスクというところでございまして、この自然災害リスクは二十六の国際都市の中で第二十六位、最下位であるという、こういうことでございます。しかも、大事なことは、この調査が実は二〇一一年の三・一一の前に行われて発表されているということでございまして、自然災害、防災・減災ということがいかにその都市の国際競争力、先ほど都市間競争というお話も大臣からございましたけれども、それがいかに大事であるか。これは東京に限りません。当然、地方都市におきましても、防災・減災を基盤といたしまして都市の競争力を強化していくということを国家挙げてやはり今こそやらなければならないのではないかと思っております。  今日審議にかかっておりますこの改正法案、これが成立した後には、まさに都市力をいかに向上させていくのかということにも大いに資すると思っておりますけれども、都市力の向上に懸ける大臣の思いをお聞かせいただきたいと思います。
  118. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) プライスウォーターハウスクーパースの取材も四月に私は受けまして、発言が最近載っております。  日本は災害リスクというのがあると。しかし、そこで災害を抑えるという、建物でいえば免震とか制震ということでしっかりしたものが造られれば、それだけ技術力というものが評価されてくるというふうに私は思っています。そういう点では、よくぞ脆弱国土日本の都市がこれほど強靱なものにできたものだといったそのシビルエンジニアリングというのは、土木工学はシビルエンジニアリングというんですが、メンテナンスエンジニアリングという新しい学問が樹立されるぐらい、このメンテナンス元年はそこにスタートを切るということが私は大事なことだというふうに思っております。  それから、デフレ脱却、成長、都市力ということからいえば、このプライスウォーターハウスクーパースの指摘は極めて重要で、もう二十六の中の二十六位というのが今災害等でありましたが、健康・安全・治安という部分で、その中でも病院、外国人が医療を受けることができる病院が余りにも少ないというのが二十四位であったり、オフィスの賃貸料が高い二十六位、家賃が高い二十一位、消費者物価指数が二十六位、こういうように、災害リスクとともに、これが遅れているという面が外国人から見ますとありますから、その辺を強化をしていくということだと思います。  今、この法律は、大都市というだけでなく、地方都市ということの都市力ということを再構築するということのシーズになるというふうに私は思っているところでありますけれども、前田先生始めとして、小泉先生御指摘のように、この仕組み、法律を一つのシーズにしていろんな手だてというものを集合させて、それで知恵の結集の中でまちづくりがされていくということのこれは一つの機縁にするものだというふうに思っております。
  119. 西田実仁

    ○西田実仁君 ありがとうございます。  具体的な法改正の中身でちょっと確認をしたいと思いますが、今回の法改正によって金融資産を不動産市場に呼び入れると、そのパイプになることが期待されているわけでございます。そこでは投資家保護というのは当然大事なんですけれども、あわせて事業者にとっても使い勝手の良いものにしなければならないというふうに思っております。  この法第二条の六項の第四号になりますが、事業参加をするいわゆるプロ投資家と言われている特例投資家、これが何に当たるのかということは、ここには法案成立後の政省令を待たなければ分からないというふうになっているわけであります。  これまでの法律からすれば大体の想像は付くわけでありますけれども、もう時間もないのでちょっとはしょりますけれども、国交省が主催しました投資家に信頼される不動産投資市場確立フォーラムというところにおきましては、いわゆるこのプロ投資家の範囲については、経済情勢の変化や実務の需要に応じて適切に見直すというふうにされてございます。  特に、地方において資金をなかなか集めにくいというケース、先ほど来、衆議院でも、この参議院でも地域活性化ファンドなどはその対象になり得るという御答弁があるわけでございますけれども、今後の課題かもしれませんが、一部の富裕投資家あるいは不動産の原所有者等はこのプロ投資家にはならないという、そんな政省令をお考えなんでしょうか、確認したいと思います。
  120. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  このプロ投資家の範囲をどうするかということでございますけれども、今回の法改正の大きな目的の一つが地域経済の活性化と、こういうことでございます。そういう観点からいたしますと、地域におけるまちづくりの貢献が期待されるような投資家がなるべく多く参画できるようにしたいという、そういう基本的な考え方がございます。  ただ、一方で、今回のスキームは、特にリスク判断の難しい耐震改修、建て替え、開発事業、こういったものに活用されることが想定されるものですから、投資家保護の観点からも十分に検討しなければいけないというふうに考えておりまして、今お話しのありましたような、その地域を支え、担っているような個人の方も含めて、今後、投資家としてどうするかということにつきましては、こういったその両面の要請についてしっかり検討していきたいというふうに思っております。
  121. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非御検討をお願いしたいと思います。  第二十六条の二におきましては自己取引等の禁止を定めておりまして、不動産特定共同事業者におきましては、当該不動産共同事業者に業務を委託した特例事業者との間において不動産取引を行うことは禁止しております。ただし、事業参加者の保護に欠けるおそれのない場合には、主務省令で定める場合、この限りではないとして適用除外を設けているわけでありますが、どのような場合に不動産特定共同事業者は特例投資家になれるのでしょうか。
  122. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  改正法の仕組みにおきましては、不動産特定共同事業者とSPCの間で不当な価額で対象不動産の売買を行うと、こういうことになりますと、投資家に損害を与えるということになりますので、SPCとその業務委託を受けた不動産特定共同事業者との間の不動産取引については禁止するということにしているところでございます。  しかしながら、ただいま先生がおっしゃいました例外の件でございますけれども、例えば市況が著しく悪化していると、こういう状況でございますと、SPCが不動産特定共同事業者以外の第三者に対象不動産を売却するということをいたしますと、損失が発生いたしまして投資家に損害が及ぶと、こういうことがあり得るわけでございまして、そうした場合には不動産特定共同事業者がこの不動産を取得した方が投資家にとってかえって有利であると。そういった場合には、投資家の全員同意ということを条件といたしまして、この自己取引の禁止についての例外ということにする余地があるのではないかというふうに思っているところでございます。
  123. 西田実仁

    ○西田実仁君 SPC、特別目的会社の財務情報の開示についてお聞きしたいと思います。  不動産特定共同事業者に関しては、既に法律の中に定められておりますけれども、法二十九条に、特例事業者の財産状況について、不動産特定共同事業者が閲覧できるような形で開示をするという書きぶりになってございますが、ここで言うところの財産の状況はどのような財務諸表を考えていらっしゃるんでしょうか。
  124. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) 法二十九条に規定しております財産の状況を記載した書類についてでございますけれども、これは事業者の財産の状況を把握できるものとして、不動産特定共同事業法施行規則第二十四条におきまして、比較貸借対照表、比較損益計算書、株主資本等変動計算書等が定められているところでございます。
  125. 西田実仁

    ○西田実仁君 今回の法改正は倒産隔離ができるということに最大の特徴があるわけでありますけれども、本当にというか、一〇〇%、全く倒産隔離が本当にできるのかどうか、隔離できないリスクというのはこの法律を作ってもなおあるんでしょうか、お聞きしたいと思います。
  126. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  今回は、SPCの制度を使いまして、ほかの事業の影響を受けないように隔離することで、事業者が破綻したといたしましても、その影響により投資家が本来の利益配分や元利金の償還を受けられなくなるといったおそれがなくなり投資家の利益が保護されると、こういうことを考えたわけでございますけれども、しかしながら、例えばテナントが確保できなかったり、あるいはテナントが退去してしまう、あるいは管理会社が管理を怠ったために建物の価値が下がってしまう、あるいは地震等の天災、こういったリスクにつきましてはこれは投資対象となっている不動産固有のリスクでございますので、こういったものはこのSPCを使った倒産隔離の仕組みをもってしても遮断されるものではありません。
  127. 西田実仁

    ○西田実仁君 最後に、中心市街地の再活性化ということにも資する法改正であるという観点からお聞きしたいと思います。  我が党では、中心市街地の再活性化への新たな支援スキームの一つとして防災城下町構想というのを先日発表させていただきました。中心市街地には商機能、医療機能等がありますし、また災害時には食料品や医療サービスを迅速に提供できるなど、言わば防災拠点としての役割という潜在力は持っているんだろうと思いますし、また帰宅困難者への支援ということも十分に行えるんだろうと思っております。  また、先ほど大臣からお話がございました、省庁横断的にまとめ役としての国交省という役割もありましたし、その観点から我が党が提案したものを御紹介させていただきますと、いわゆる、これは経産省が所管しているSBIRという、中小企業技術革新制度というのがございますが、中心市街地という場に着目して、いろんな省庁がそこで支援をしておりますけれども、それを一定程度きちんと予算を確保して、中心市街地の再活性化という同じ土俵にいろんな省庁が支援をより重点的に行っていくという仕組みが必要ではないかという考え方でございます。  今日お見えいただきました川本局長も衆議院では、都市構造を変えて、中心部に人と産業をもう一度誘導し直すような仕組みが必要というふうに発言もされておられます。この点は我が党と同じ考えではないかと思うわけであります。もちろん、国交省では別途、中心市街地に限らず人口減少時代の都市の在り方ということについて検討されているというふうに聞いてございますけれども、こうした我が党の提言、またさらには中心市街地の再活性化に懸ける思いについて、大臣にお聞きしたいと思います。
  128. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) 中心市街地を活性化しようということで、十数年前から中心市街地活性化法、大店立地法、そして都市計画法というまちづくり三法というのを一生懸命議論をしてやった時代がありますが、もう何をやってもずっとうまくいっていないというのが現状だと思います。  冒頭、前田先生からもお話がありましたが、ものをつくり上げていくということでは総動員するんですが、ある意味では、衰退していく、そして老朽化してしまう、手直しをしなくちゃならないということを、反転攻勢でマイナスからゼロ、そしてプラスに持っていくという、そうした仕組みというのは今までなかなかなかったと思いますから、その点ではこの法律は非常に大事ないいきっかけをつくれるというふうに持っていかなくてはならない法律であるというふうに思っています。  公明党が提言して、最近私も公明党の会合に行っておりませんのでよく知らなかったんですが、防災城下町ということは、全てのものに集約して、そして防災拠点という、防災の角度を入れるということは物すごく大事で、そして、それがばらばらになっているわけでありますけれども、私はそこに、津波だったら高いところに逃げ込めばというと同じように、地盤が安定して、人もいて、そして医療とかいろんなものが全部そろうというような、あそこに逃げ込めば我が町は大丈夫だというゾーンとしてのそうした拠点をつくり上げるということは物すごく大事なことだというふうに思っています。  そういう点では、今日、一番冒頭に虎ノ門ヒルズの話をしましたけれども、免震ががっちりしていて、この辺りというのは、議員会館もそうでありましょう、いろんなところで、あそこに行けばどんな災害があっても大丈夫だということを、ビルであれあるいはゾーンであれつくり上げていくということが私は極めて大事なことだと思っておりまして、ちょっと公明党の勉強しておりません、申し訳ないんですけれども、よく連携取らせていただきたいというふうに思っているところでございます。
  129. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。
  130. 藤巻幸夫

    藤巻幸夫君 みんなの党、藤巻でございます。  まさに、建築物の耐震化、本当に今回の規制緩和は、建築物の耐震化や老朽不動産の再生への民間資金の導入促進を通じ、まさに地域の活性化や資産デフレからの脱却を図ると、こうされております。  今回、実は質問に関連しまして、実際、地域活性化の先駆者というか、地域再生のためにまさに地域の住民の方、地域の資源、そして地域の銀行、そして自治体と一緒になって取り組んだ成功事例及び実際都会でもこういうことをやっている事例を幾つか紹介させていただきたいと思います。  まず、資料一を御覧いただければと思います。  これは、実は愛媛県の宇和島にある、こちらにあります、木屋旅館という旅館でございます。司馬遼太郎先生など名立たる著名人が愛され、明治四十四年から続く老舗旅館を実は再興した例であります。地域文化の継承を図り、場所文化としての交流拠点として、宇和島市の実は中心市街地活性化プロジェクトとして成功しています。この六月末には一周年ということで大きなイベントもありまして、ちょっと私も見てこようと思っています。  実際、この宇和島というのは、実は真珠の養殖や段畑、そして非常に大きな商店があって、今まではほとんど本当に厳しい町でありました。しかし、これ左と右をちょっと見ていただきたいんですけど、絵の方なんですけど、左がビフォー、右がアフターということで、いわゆる本当にぼろぼろの家屋を、実は永山祐子さんという若手の女性の建築家、この方は老朽の建物を再興したという、東京の下町のある喫茶店を改良したということで目を付けまして、いわゆるプロデューサーとして、トランジットジェネラルオフィスという会社がありまして、そのトランジットジェネラルオフィスがプロデューサーとしていろんな優秀なデザイナー、クリエーターを擁しまして再生した例であります。  まさにこれ、左右がビフォー、アフターなんですけど、相当ぼろぼろだった入口をかなりおしゃれなたたずまい、いわゆる京都の老舗旅館のようなイメージにしたりとか、いわゆる居間、リビングのところも相当工夫を凝らして、それほどお金を掛けることなく行いました。実際、私も見てまいりましたが、驚くほどすばらしい再生をしています。これによって地域の住民たちが本当にやる気になって、人を呼ぼうということで、今まさにこの六月末、行ったときにはまた皆様にレポートしたいと思うんですが、このような非常に成功した例もあります。  最初にこれを発見した人は、元日銀にいた吉澤保幸さんという方が実際私が民間にいるときに相談が来まして、こういうことを再興したいんだけどということで、いわゆる、そのとき私はちょっとこちらの仕組みの方は得意ではないんですが、こういう得意な、仕組みを分かった方たちが技術を使って再生させた例ということで、やっぱりこうやっていわゆる地域住民とプロの方たちがやることによって非常に成功しました。実際、この新しい今回の規制緩和におきまして、こういう事例が本当にできることを願っております。  もう一つは、実は、資料二を御覧いただきたいんですけど、これは十年前の日経MJから引き出してまいりました。これは、実は東京の目黒、目黒通りにあります。元々は、これも相当前の、写真はないんですが、ホテルニューメグロという、そう言ってはいけないんですけど、相当あり得ないようなとんでもないホテルだったんですが、クラスカという名前に変えました。これもプロデューサーが入りまして、なぜクラスカというと、どう人々が暮らすかということをこういうロゴ体にしまして、そしてデザイン界のスターを結集させましてやりました。これによって、実は目黒というのは東京の中でもそれほど中心的な商業地ではありませんが、今この目黒通りにおきましては年に二回、デザインウイークとかデザインフェスティバルとかというようなことも行いまして、いわゆる集客もしているような例がございます。  まさに、今このような具体的な例があるように、いわゆる今回の本当に法案をいかに大切にするかとともに、まさに先ほど大臣もおっしゃっていただきましたけど、やはりこの魅力ある物件をつくる仕組みはもちろん大事です。どういうお金を集め、どういう仕組みでやるかというプラットホームをつくるとともに、やはりソフトの力と私は申しますが、本当にデザインの力が大事かなということで、この委員会におきまして私もデザインの重要性を説いてまいりました。  まさに、本当にこの宇和島の木屋旅館の成功も、クラスカのこの人気も、そして、この日経MJの記事は二〇〇三年でございますが、今年は二〇一三年ということで十年たちまして、いまだに人気がありまして、目黒の住民たちには大変もう有名な、目黒のあの通り辺りの一つの中核のへそになっていると聞いています。そして、今そのクラスカということ自身が実はブランドになりまして、いわゆる東急電鉄さんがたしかこの一年前に渋谷に開発しましたヒカリエという建物がありますが、その中でショップを構えたりすることまで広がりまして、まさにブランディングの成功の例かなと思っています。  これは決して東京だけではなく、先ほど前田先生や小泉先生もずっとお話をされていましたが、やっぱり地域にもこういうデザイナーの方やプロデューサーの方がいます。こういう方たちをやっぱり国として結集してこの規制緩和をうまく使っていけば、本当に全国四十七都道府県にかなり大きな私は可能性を秘めた一つの例として申し上げさせていただきました。  そして、いつもこれもまた委員会で言うことなんですけど、せっかくこのすばらしい規制緩和をやはり一部の人たちだけが所有してはいけないと思いまして、今もちろん、名前はちょっとあえて言いませんが、大手ディベロッパーは各都心圏で成功しております。私も、森ビルさんや三井不動産や三菱地所さんそれぞれにトップの方ともお付き合いございますが、やっぱり地域に、中堅にこういうことを取り組もうとする人がいますが、なかなかそういう方たちに情報が行き渡らないことが私は非常に多いんじゃないかなといつも思っております。  いつも言うんですが、これの法案をいかに、もう本当にいつも言います、しつこく、政府ホームページではなくいかにPRしていくか、この意気込みについて是非お答えいただければと思います。
  131. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  本当にPRというのは重要だと思っておりまして、まず制度がなかなか一般の方になじみがないというものでございますので、この制度改正を認めていただきました暁には、その制度の普及啓発を努めると、また併せまして、人材の育成、活用ということに精力的に取り組まなければいけないだろうというふうに思っているところでございます。  制度の普及啓発につきましては、私ども地方整備局ございますが、こういったところでございますとか、あるいは関係団体の協力を得まして、全国各地で地元の自治体でございますとか地元の中小のディベロッパーでございますとか、建設業者でございますとか金融機関、こういった方々に集まっていただきまして、説明会とか勉強会、こういったものを開催したいというふうに思っておりますし、また人材の育成、活用ということにつきましては、何とかいろんなチャンネルを活用いたしまして、金融関係とかこの不動産証券化関係についてノウハウを有する人材の方を発掘いたしまして、そういった方々を交えたケーススタディーを実施したりいたしまして取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
  132. 藤巻幸夫

    藤巻幸夫君 ありがとうございます。すばらしい答弁で、ありがとうございます。  本当に私は魅力ある法改正だと思っておりますので、やはり東京だけではなく、私は今実際東京に住んでおりますが、地方に行くことも多く、やっぱり地域の疲労は本当に激しく感じます。  是非こういう機会が広く行き渡り、先ほど先生の方から実はデザインが東京は一番とありました。確かに東京はまだまだ、私はまだまだと思いますけれども、結構魅力的なものは増えてきていると思いますから、地域と東京の格差は非常に激しいと思います。ですけど、この木屋旅館のようなこういう事例ができれば、かなり大きな考え方で日本が変えられるんじゃないかなというふうに思います。  最後になんですけれども、こういったデザイン行政を国主導で是非行っていただきたいという、もう一度、太田大臣に最後、御答弁をお願いしたく存じ上げます。よろしくお願いします。
  133. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) 私の地元に橋が架かりまして、非常にきれいな橋だと思っておりましたら、田中賞という有名な賞を得ているということでありました。そうした、同じ橋を架けるにも、そして地域の活性化という、いろんなものをつくるにしても、この辺はセンスというのが非常に微妙でなかなか分からないところもあるかもしれませんが、本当に洗練された、そして地元に即した、根付いたデザインということがクオリティーを増していくということは物すごく大事なことだというふうに思っています。  そうした地域の魅力あるいはブランドをつくるといっても、その中にはデザインというのは不可欠なものだというふうに思っておりまして、このデザインということでわくわく感が出るような、魅力があるという、そういうものをつくっていくことが実は大事な、これから都市の活性化や人々の心というものにとっても大事なことだというふうに思っております。
  134. 藤巻幸夫

    藤巻幸夫君 どうもありがとうございました。終わらさせていただきます。
  135. 藤原良信

    ○藤原良信君 藤原良信でございます。よろしくお願いいたしたいと思います。  太田大臣、それから皆さん、本当にこの法律を早く早くと待ち望んでいた一人でございまして、良かったと思います。これ、一日でも早く成立をさせて実行に移すことは極めて大事な国益につながると、そう思っております。そういう意味で良かったと思います。  私、今も御審議がございましたけれども、建築物の耐震化、これは進める必要があることはみんな同意見だと思いますし、そして老朽不動産の再生に民間資金の導入促進をさせるんだと、それに即した法律であることは十分分かります。  結果といたしまして建物が良くなっていくわけでありますから、この法律を施行することによりまして、建物が良くなれば、土地が価格が上がり、そして建物の耐久性の向上あるいはエコを備えた建物が出てくるということになることは、ひいては地域の資産価値が上昇するということにつながるだろうと思います。地域の活性化に大きくつながることが期待をされております。そういう意味で、私はこの必要性をということで前段で申し上げたわけでございます。  特に不動産業者のことになりますと、不動産業者は、購入した物件につきましては付加価値を付けて販売するというのは常でしょう。中小の業者は資金調達がなかなか難しいわけでありますから、投資家から資金を募って物件を購入し、建て替えて売却をし、あるいは賃貸に出して投資家に返済するということになっていくわけでありますけれども、しかしながら、中小の業者は信用力が低いということは懸念をされる材料でございますが、そうすると資金提供がなかなかやりにくいということもあるでしょう。そういう意味では、この法律は有効に生かせるのじゃないかというふうに私は思っている一人でございます。  今も御審議がございましたけど、REITのことを言われました。REITには似ているんですが、REITは優良物件しかこれは取り扱わないわけであります。地方の非優良物件につきましては不動産の流動性が低い状況になっておりますから、そういう意味では非常にこれ、この法律が適用されるということは待たれることだと思います。  そこでなんですが、今申し上げましたREITなどとほかの不動産証券化のスキームがある中で、今回の法改正につきましてはどのような、改めてですが、意義があるのかということ。そして、内需拡大の話も随分出ておりました。私は、建物が一番経済波及効果があると思いますね。これ裾野が広いんです。私は、そういう意味からもお尋ねするんですけれども、建設技能労働者のことをずっと心配をしてきました。こういう法律を施行することによっていわゆる老朽化したビルを建て直すということになると、仕事が出てくるんですよ、今経済波及効果のことを申し上げましたけれども。そうすると、建設技能労働者の方々のそういう対象にもなってくるでしょう。  そういう意味でも、私は、いろんな意味でこれ波及効果があるというふうに期待をされるんですが、内需拡大について試算を出されておりましたけれども、八兆円の生産波及効果、あるいは四十四万人の雇用誘発効果が見込まれますよということは、これは国交省の資料でございますが、これを含めて、改めて、局長さんで結構ですが、お示しください、どんな波及効果があるのか。どんなことが意義あるのかということを含めて、よろしくどうぞ。
  136. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  御指摘のように、不動産を再生していくということになりますと資金が必要なわけでございまして、特に、地方の中小の事業者ではなかなかそういった資金が集められないと、こういう状況でございまして、したがって、証券化手法というものは非常に有効だと思っているわけでございますけれども、今お話ありましたように、現在行われております不動産証券化手法につきましてはそれぞれいろいろ課題がございまして、なかなか老朽不動産を再生するということについて使いづらいという状況にございます。  合同会社・匿名組合という方式もございますけれども、これも現物不動産を扱っていないというようなことでなかなか難しいということでございますし、また、いわゆる特定目的会社、こういったものを使うものにつきましては非常にコストが掛かると、それからJ—REITにつきましては、ただいま御指摘ありましたように、なかなか古い建物については使いづらいと、こういうことでございます。  そういうことを踏まえまして、今回、現物不動産を対象として、その再生するのに最も使い勝手がいいだろうと思われますこの不動産特定共同事業につきまして、SPCという手法を用いまして投資家からの投資を推進するように考えた次第でございます。  そこで、これに伴う経済効果でございます。これもただいま御指摘ありましたけれども、経済効果と雇用と両面の効果があるわけでございますけれども、これ、実は不動産証券化につきましてはリーマン・ショックで相当落ち込んでおりますので、これがリーマン・ショック前の水準並みに回復するということを見込みますと、今回の法改正による新たなスキームによって十年間で五兆円、全体としては十年間で七兆円という投資が行われると推定しておりますし、また、先ほど技能労働者の話がありましたけれども、雇用の誘発効果、雇用表によりまして約四十四万人という推計をさせていただいているところでございます。
  137. 藤原良信

    ○藤原良信君 今お話しのように、SPCを設立をできるようにするということでございまして、これは有効性があると思います。ある意味では、物件を取り扱った業者が倒産をするようなことがあったとしても会社経営に対する責任は投資家には及ばないということが、これはそこにあると思いますね。したがって、資金が集まりやすいというメリットが出てくると思います。こういう有効性を生かしていっていただきたいと思いますね、改めて。  今回の、大臣、法改正を活用を是非していただいて、まちづくりを進めていただきたいと思います。このまちづくりに関するそのほかの施策がいろいろございますね。昨年、民都機構のメザニン支援などをもうこれは視野に入れていく必要があると思いますけれども、こういう連携というのをどうお考えでございますか。これは、この法改正も活用しながらほかの施策との連携ということで、日本全国の各地方の都市のそれぞれの魅力あるまちづくりといいますか、機能的なまちづくりといいますか、そういう方向付けに是非つなげていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  138. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) まちづくりに関するほかの施策との連携は極めて重要なことだというふうに思います。  御指摘のありました民都機構のメザニン、これを使うという、このSPCに対して出資や融資による支援を民都機構からやるということは大事なことだというふうに思いますし、いわゆる今年の補正予算で決めました官民ファンドとの連携、あるいは地方自治体の様々なファンドを通じての連携、こうしたことをやる中で、こうした法改正というのが具体的に面として展開されていくということが極めて大事で、連携を本当にできるようにということで、法案を成立させていただいた後に我々は、産んで産みっ放しというんじゃなくて、現地に行って具体的に推進できるように動きたいというふうに思っております。
  139. 藤原良信

    ○藤原良信君 ありがとうございました。いずれにしろ、有効性のある法律だと思いますので、大いにこれを活用していただくということでございます。  あわせてなんですが、これ期待をされております。先ほど申し上げましたように、各地方都市もそうでありますけれども、裾野が広いです。ですから、技能労働者の話も申し上げましたけれども、新たな仕事が増えてくるということにもつながりますので、大いにそういう目線もどうぞ見失わないで、よろしくお願いしたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  140. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  改正案では、倒産隔離型の不動産特定共同事業を可能とするため、届出によるSPCの創設を認め、不動産投資の専門知識を有するプロ投資家が、不動産特定共同事業者の信用力ではなく不動産の収益性に着目して投資することが期待をされているわけであります。  アベノミクス、異次元の金融緩和によって金余りが生じ、一部は不動産市場に流れ込んでバブル的な価格上昇も報告され始めています。株式等のバブルがはじけ、金融市場が不安定性を増せば、余った金はますます不動産に向かい、不動産バブルを招くことになりかねません。不動産バブルはごく一部の大企業、富裕層に利益をもたらす一方、都市生活者の暮らしを破壊し、立地する中小企業の経営にも悪影響を及ぼすというのが、九〇年ごろのバブルから崩壊までの過程での貴重な教訓であったはずであります。  本法改正は資産デフレからの脱却、不動産取引の活発化をうたっておりますが、バブルを招く懸念はないのでしょうか。不動産特定共同事業法の十四条二項に、不動産特定共同事業者の投機的取引の抑制の配慮義務が定められているだけであります。  佐々木局長、お尋ねしますが、実効性のある投機的取引の防止措置があるのでしょうか。
  141. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  まず、不動産バブルでございますけれども、これは実際の不動産の価値にかかわらず、不動産の売却益のみを狙った投機的取引によって資産価格が実体経済以上に高騰してしまうと、こういう状態であると認識しているところでございます。  本改正につきましては、遊休地の有効活用でございますとか老朽化した建築物の再生を促進することによりまして、建築物の耐震化、老朽化対策や都市の再生、地域活性化などを図ろうというものでございまして、これにより、実際に不動産の収益性を向上させ、それに見合う不動産の価値の向上分を投資家に配分していくと、こういう仕組みでございまして、したがいまして、実体経済を反映した資産価格が実現できるものと考えているところでございます。このことから、今回の改正によって不動産バブルを生ずる、その引き金となるということではないのではないかと考えているところでございます。  また、今お話がありましたように、不動産特定共同事業法におきましては投機的取引の抑制に配慮する義務が課せられておりまして、これ、実際にSPCとかあるいは不動産特定共同事業者に対して立入検査という規定もございますので、こういった規定を活用しながら不動産取引の状況をしっかり確認すると、こういうことをやっていきたいと思っております。
  142. 吉田忠智

    吉田忠智君 立入検査のお話が今ありましたが、四十条の立入検査はこれまで数件しか行われておりませんし、投機的取引の防止を目的としたものではありません。現状の措置は極めて不十分であると言わざるを得ません。  法改正により、地方都市の建築物等の再生事業が活発になり、地方経済の活性化につながるとされております。しかし、あくまで投資ですから、収益性を基準に経済合理的な判断で投資がなされる以上、より収益性の高い都市部の再開発に投資が集中することが十分に予想されるわけであります。収益性のより低い、ないし収益性を見込めない地方への投資がなされない、あるいは社会的なニーズは高くとも収益性に劣る介護施設や保育施設等への建て替えなどに投資が流れていかないといった事態が生ずるのではないでしょうか。  法改正により、投資の大都市への集中を防ぐこと、あるいは地方への着実な投資、社会的なニーズの高い施設の建て替えなどへの投資をどのように確保していくのでしょうか。
  143. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  不動産証券化事業を用いまして地方の都市の再生を試みている例は幾つかあるわけでございまして、これは不動産特定共同事業ではございませんけれども、例えば、長野市ではオフィスの跡地に店舗やマンションを建設する事業をやっておりますし、また、愛媛の松山市におきましては、地元商店街と協力して立体駐車場ビルを建設する、こういった事業も行っているところでございます。こういった事業はいずれも比較的大型のものでございますけれども、今回の法改正が認められた暁には、比較的小規模な事業も地域で実施できるのではないかというふうに考えているところでございます。  また、収益性が高くない案件でございましても、それがその地方にとって不可欠な施設の再生だということになりますと、これ、地方公共団体でございますとか地域の産業界、あるいはその地域のファンド、地域の金融機関、こういった方々がお集まりいただきまして連携を取っていただきまして、それぞれに資金調達の工夫等を行っていただいたり、あるいは人材を供給していただくということによりまして、収益性がそれほど高くない案件につきましてもこの制度を使っていただきたいということで期待しているものでございます。
  144. 吉田忠智

    吉田忠智君 期待は期待としてあるわけでありますが、結局、経済合理性だけでは、大都市の再生にはつながっても、地方の暮らしを支える施設の再生だとかまちづくりにはつながってこないわけで、それがこれまでの経験にもあるわけであります。まちづくりには公的な関与が不可欠だと考えます。  大臣、地方への着実な投資の確保をどう図っていかれるのか、この法改正のスキームに限らず、今後、地方の住人の社会的なニーズにどのようにこたえていかれるのか、大臣の思いも含めてお聞かせをいただきたいと思います。
  145. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) 先生おっしゃるように、私は、これはバブルを生じるというよりは、本当にこうした具体的な例が生み出されていくかどうかということが結構大変なものだというふうに思っておりまして、その中には、先生がおっしゃるとおり、高齢社会になった、あるいは保育所というようなことをその中に入れる、また図書館のような、最近、図書館にかなり人が集まっているというようなことがあったりいたします。私と同年代の人たち、同級生なんかに会いますと、よく図書館に行っているというようなことがあったりして、これからどういうふうに高齢社会、そして医療施設も近くにあってというようなものを、同じビルの中に入れるということもあるでしょう。また、そういうコンパクトな町をもう一遍つくると。  非常に忙しくて元気いっぱいでというよりも、少しゆったりして人と会話が交わされるというような、そうしたまちづくりということも私は大事なことだと思っておりまして、それは物すごく収益が上がるということではないと思いますけれども、そうしたことのまちづくりをしていこうという合意を形成して、まさにまちづくりと一体化して、これが一つのベースとなってプラットホームをつくっていくような形になればというふうに思っているところで、これから更に知恵を出して、また具体的に成功例を生み出して、それを全国に示していくということが大事なんではないかというふうに思います。
  146. 吉田忠智

    吉田忠智君 法案そのものには賛成をいたしかねるわけでありますが、是非この運用に当たってバブルの防止と地方再生の投資に特段の配慮を求めて、質問を終わらせていただきます。
  147. 水戸将史

    水戸将史君 日本維新の会の水戸将史でございます。  今回の改正法に関してはもういろいろと議論が出尽くしているような感じでございますので、また重複になるところもあるかもしれませんけれども、基本的な話を含めて何点かお伺いさせていただきたいと思っております。  現行の不動産特定共同事業に関しましては投資の対象者を限定していませんけれども、今回は、新たに設けるこの改正法では、特例事業者は投資対象者を年金とか生命保険会社、損害保険会社等の多額の資金を保有する機関投資家に限定をしておりますが、そもそもこの趣旨というのはどういうことなんでしょうか。
  148. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  今回の改正は、建物の再生等に投資家からの資金を活用しやすくしようとするものでございます。投資家は、投資した物件の建て替えや耐震改修等によりまして価値が向上して収益を上げると、こういうことに着目して投資判断を行うことになるわけでございます。つまり、その投資判断に当たりましては、建て替えや耐震改修等によりましてどのくらい価値が上がるか、あるいはどのくらいリスクがあるかと、そういう判断が必要となるわけでございまして、そういう意味で、不動産投資に係る専門的な知識あるいは経験を有すると認められるいわゆるプロ投資家に限定した方がよろしいのではないかという判断をしたところでございます。
  149. 水戸将史

    水戸将史君 そう言われると、現行よりも改正法というのは、結構そういうある程度専門的な知識というか経験があるということで、ある意味リスクもあるというのはそういうイメージですか。
  150. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) 今までの不動産特定共同事業につきましては、いわゆるディベロッパーの信頼性、これに着目して投資を集めていたと、こういうものでございますが、今考えております今回の改正案は、それに加えまして事業の収益性、これに着目して投資家からお金を集めようというものでございますので、その事業の収益性というものをどう判断するかということが今までに増して非常に重要な要素になってくるというふうに思っているところでございます。
  151. 水戸将史

    水戸将史君 また、そういうことですと、やはりそういう人は専門的なある程度ノウハウ、知識を持っている方がいいというようなことなんでしょうかね、今のお話でいきますと。  先ほど藤原先生からも話が若干出ておりましたが、結局、今回の法改正の目的の中で、都市機能の更新とか不動産投資市場の活性化ということを図っていくんだということが目的にありますが、結局、現行でも他の不動産証券化スキームであるJ—REITとか資産流動化法に基づく特定目的会社等々、いわゆる結局これから進めようとする機関投資家に限定するのではなく、もっと幅広く資金を集めることができるような仕組みをつくっていくべきじゃないかと私は思っているんですけれども、こういうことに関してはいかがでしょうか。
  152. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  現行の不動産特定共同事業以外の不動産証券化事業のスキームでも、例えば資産流動化法に基づく特定目的会社を使って実際に地域再生事業を行っているという例もございます。そういう意味ではもちろん可能性はあるわけでございますけれども、ただ、これから地方都市で特に必要とされる比較的規模の小さいような事業を行おうとした場合にはどうしても既存の制度では不十分なところがあるということで、それを考えますと、不動産特定事業法を今回改正させていただければ、まさに地方の中小の事業に対して極めて親和性があるといいますか、使えるようなものになるのではないかと考えたところでございます。
  153. 水戸将史

    水戸将史君 これもちょっと先ほどの質問にも出ておりましたが、結局、投資家と不動産特定共同事業者の間にSPCをかませるんですね。ここに入らせるということになると、投資家から見た場合には非常に契約、責任関係が複雑で分かりにくくなる、そうした問題もある程度また発生してくるのかなということが考えられます。  そういう中で、先ほどの御答弁にもありました、投資家の保護策とかどういう責任体制をしていくのかという話は先ほどの御答弁にもありましたので、これはあえて重複してお聞きはしませんけれども、これ大臣、今後この新しいスキームが導入されるということになるわけでありますが、この新しいスキームが活用されるかどうかということは、様々な支援策もあるでしょうけれども、やっぱり我が国の実体経済が本格的に軌道に乗って積極的に投資が促進される環境が形成されなければこれは事足りないわけでありますので、昨今のこうした、安倍政権発足後、いろんな形でまだ不安定な株の変動とか為替のレートの変動もありますが、やっぱりこういう中において非常にまだまだ不透明な感は拭えません。  そういう中で、今後、地方都市における再開発とか老朽建築物の再生などに投資した場合、やっぱり収益の回収までには時間が掛かると思うんですけれども、やっぱりこういうことに関して、今後不動産投資市場について、国交省としては、もちろん経済の状況も踏まえてなんでしょうけれども、どのような見通しを大臣もお持ちなんでしょうか。
  154. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) アベノミクスが、いわゆる金融政策だけでなく財政政策、成長戦略というものが起動して、まさに三本の矢というのがそのまま遂行されると、今市場はそうした金融政策後の動きを見ているということがあると思います。そうしたことからいきますと、我々としては着実にそうしたことを具体的に進めていくという手だてを示していくということが私は大事なことだと思いますし、一方、地方都市のコンパクトシティーへの再結集ということも喫緊の課題であるというふうに思っています。  不動産市場は、平成十九年度には年間の不動産証券化実績が八・九兆と過去最高であったんですが、リーマン・ショック後どんと減りまして、大体三兆円ぐらいになってしまいました。今、大体四兆円近くというところまでやっと行っているというところでありますけれども、これから徐々に私は上がっていくというふうに思っていますが。今回の法案などによりまして、老朽化、遊休化した不動産のバリューアップが図られて、そして耐震とか環境性能という良質なものが地元にマッチした形で得られていくならば、それが各地でそうした展開がなされていけば、不動産投資市場の拡大ということにつながるのではないかというふうに思っておりますが、ここはそういうふうにつながるように持っていかなくちゃならないというのが半分ぐらいあるということを御報告したいと思います。
  155. 水戸将史

    水戸将史君 私も、これからの不動産投資の在り方、やっぱり今の大臣おっしゃっていたとおり、なかなか大きな収益は期待をできないということで積極的な投資につながらなかったという側面があると私も思っております。  今回、法改正において、このSPCを含む不動産特定共同事業において、この取得する不動産に関しましてはやはり登録免許税や不動産取得税の特例措置が設けられております。ですから、今後、いわゆる積極的に投資が進むような環境をつくるために、やっぱり地方都市向けの物件を対象にした税制上の、財政上の優遇措置を設ける必要があると思うんですけれども、こういうことについてはどのような形で取り組まれる予定でございますか。
  156. 佐々木基

    政府参考人(佐々木基君) お答えいたします。  今お話ありましたように、今年度の税制改正ということで税の特例措置が設けられているわけでございますけれども、これは全国を対象としたものということでございますけれども、地方都市においてこの事業をこれから適用していくということを考えますと、そこにはいろんなプレーヤー、例えば地元の商工会でございますとか地元の金融機関でございますとか地方公共団体、こういった方々が恐らく関与してくるだろうと思っております。  したがいまして、そのプロジェクトの重要性等に鑑みまして、そういったプレーヤーの方々がいろいろなやり方で、金融的な支援、財政的な支援、あるいは人材的な支援、こういったことをやっていただくことでそのプロジェクトを成功させていくということが大事であろうと考えておりまして、そのお手伝いを私どももできるだけさせていただきたいと思っております。
  157. 水戸将史

    水戸将史君 終わります。よろしくお願いします。
  158. 石井準一

    委員長石井準一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  159. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党・護憲連合を代表して、不動産特定共同事業法改正案に反対の立場で討論を行います。  本改正案は、倒産隔離型の不動産特定共同事業を可能とすることにより、大都市部での都市再生に投資を呼び込もうとするもので、大手不動産会社、ディベロッパー、ゼネコン、銀行、証券業界などが求めていたものであります。  いわゆるアベノミクスによる金融緩和で、余った金は実体経済に向かわず、投機的な不動産取引、いわゆる不動産バブルが再燃しつつあります。不動産特定共同事業法は、投機的な不動産取引を防止する実効的な措置を欠くばかりか、新たなスキームにより更にバブルへの流れを助長することになりかねません。不動産バブルが都市生活者の暮らしを破壊し、立地する中小企業の経営にも悪影響を及ぼしたという九〇年代バブルの教訓から学ばなければなりません。  また、改正案は、地方都市の再生、地方経済の活性化をうたっておりますが、収益性を判断基準とする以上、より収益性の高い都市部の再開発へと投資が集中し、より収益性の低い地方への投資や、社会的なニーズは高くても収益性に劣る介護施設や保育施設等への建て替え等に投資が流れていかない事態が予想されます。法改正が地方の活性化につながる制度的な保障はありません。  改正案は、大都市が活性化をすれば地方にも恩恵が行き渡るであろうとする、言わばトリクルダウン理論の国土開発版ともいうべき大都市再生、大都市の国際競争力強化を目指すものです。経済合理性のみの投資では、大都市と地方との格差は広がるばかりです。少子高齢化が進む今こそ、まちづくりにおける公的責任を改めて確認し、ナショナルミニマムを保障すべく、地方の暮らしを支えるまちづくりを真剣に再検討しなければなりません。  以上申し上げ、反対の討論といたします。
  160. 石井準一

    委員長石井準一君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  161. 石井準一

    委員長石井準一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  この際、田城君から発言を求められておりますので、これを許します。田城郁君。
  162. 田城郁

    田城郁君 私は、ただいま可決されました不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党、公明党、みんなの党、生活の党、社会民主党・護憲連合及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 まちの低炭素化、建築物の耐震化や高齢化への対応が喫緊の課題であることを踏まえ、本法により創設される特例事業がこれらの課題の解決に向けた建築物等の再生事業に有効に活用されるよう、ガイドラインの作成等の情報提供に努めるとともに、民間投資が促されるよう支援の実施に努めること。  二 本法により創設される特例事業により地方都市の建築物等の再生事業等を通じて地域経済の活性化を着実に図ること。そのため、地域の金融機関を始めまちづくりに関係する事業者等が積極的に事業参加し、有効な不動産ストックの形成に資することとなるよう、制度について周知するとともに、地域の不動産投資市場を担う専門知識を持った人材の育成に努めること。  三 不動産特定共同事業者の増加が見込まれることに鑑み、その質や信用が低下することがないよう、また、本法により創設される特例事業の事業参加者となる投資家が、特例事業者の倒産リスク等の特例事業に係るリスクを過度に負うこととならないよう、不動産特定共同事業者及び特例事業者について、事業全般にわたり透明性を確保するとともに、金融庁等の関係省庁と連携し監督に万全を期すこと。また、不動産取引の活性化により、投機的取引を招かないよう不動産市場の動向に注意を払うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いをいたします。
  163. 石井準一

    委員長石井準一君) ただいま田城君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  164. 石井準一

    委員長石井準一君) 全会一致と認めます。よって、田城提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、太田国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。太田国土交通大臣
  165. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) 不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長を始め理事皆様、また委員皆様の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。  誠にありがとうございました。
  166. 石井準一

    委員長石井準一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 石井準一

    委員長石井準一君) 御異議ないものと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  168. 石井準一

    委員長石井準一君) 次に、民間の能力を活用した国管理空港等運営等に関する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。太田国土交通大臣
  169. 太田昭宏

    ○国務大臣(太田昭宏君) ただいま議題となりました民間の能力を活用した国管理空港等運営等に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  空港は、国際・国内の航空ネットワークを構成する極めて重要な公共インフラであり、我が国経済社会の発展や地域の活性化に大きな役割を果たしております。  こうした空港の持つ役割を最大限に発揮させるためには、航空会社等の利用者ニーズを踏まえた機動的な着陸料等の設定、空港ターミナルビル等との一体経営を通じた空港運営の効率化、航空会社の積極的な誘致等による就航路線や便数の拡大等を図っていく必要があります。  その前提として空港の運営に民間のノウハウを取り入れていくことが有効であり、空港を地域振興のために活用したいという意欲ある地方公共団体からも、その実現に向けた御要望が寄せられているところであります。  このため、平成二十三年の民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法の改正により創設された公共施設等運営権制度を活用し、空港の所有権を国等が保有しつつ、その運営等を民間事業者に委託することを可能とするための関係法律の整備を行う必要があります。  このような趣旨から、この度この法律案を提案することとした次第です。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、国土交通大臣は、地域の実情を踏まえ、関係者の相互の密接な連携及び協力の下に、地域の活力の向上が図られるべきことを基本理念として民間の能力を活用した国管理空港等運営等に関する基本方針を定めることとしております。  第二に、国管理空港の運営等を民間事業者に委託する場合において、対象空港や民間事業者等の選定の際には、国土交通大臣は、関係地方公共団体等から成る協議会の意見を聴くこととするとともに、安全及び利用者利便を確保するために必要な航空法や空港法の特例等について定めることとしております。  第三に、地方管理空港についても、管理者である地方公共団体の判断により運営等を民間事業者に委託する場合における必要な措置について定めることとしております。  その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
  170. 石井準一

    委員長石井準一君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十二分散会