○
政府参考人(
沼田正俊君)
沼田でございます。よろしくお願いいたします。座って
説明させていただきます。
お
手元の資料で、「
水源林の
状況及び保全策の
現状と
課題」ということで整理をさせていただいております。
一
ページを御覧いただきたいと存じます。
我が国の森林の現況でございますが、
左側の方にございますように、
国土の三分の二が森林でございます。所有者別で見ますと、国が三割、それから
都道府県、市町村等が一割、そして残る六割が私有林ということになっております。
森林には、
水源を涵養する、こういった機能のほかに、
災害でありますとか
地球温暖化の防止、あるいは木材生産、いろんな機能を持っておりますけれども、こういった多面にわたる機能の中で国民の皆様方がどういったものに期待するかということで世論
調査を行っております。左の下にございますけれども、その中でも
水源を涵養するという機能には高い期待が示されているという
状況でございます。
右側の方でございますけれども、
日本の
降水量、年間千七百ミリほどでございますけれども、季節によって偏ると。それから、急峻な地形で短時間で川を流れ下るというような
状況でございまして、そういった
意味で、森林による
水源の涵養というものは大事なことではないかと思っております。
二
ページでございます。
森林の
水源涵養機能を
説明させていただいている資料でございますけれども、先ほど急峻ということを申し上げましたけれども、
国土の三分の二が森林でございますので、そういった森林の中で優良な土壌が形成されて、いわゆる根によって維持されているということでございます。森林の土壌には、降った雨を土壌に浸透させて蓄えて、その後ゆっくりと下
流域に流すというようなことでございまして、何も植生がないところに比べても三倍
程度の浸透させる力があると。
また、下の図でございますけれども、森林がある場合とない場合を比較いたしますと、雨が降って一挙に流れ出てくる量があるんですけれども、そういったピークが、森林があると、ない場合に比べて十分の一ぐらいに抑えられるという観測結果があるということでございます。
次、三
ページでございます。
森林が
水源林としての役割を果たすために、私どもとしても、健全な森林を
整備保全していくということが極めて重要だというふうに考えておりまして、森林
整備事業、そして治山
事業といったような
事業を実施させていただいているところでございます。
内容的に申し上げますと、例えば人工林でありますと、いわゆる間伐を実施する、あるいは針葉樹と広葉樹が混在したような、針広混交林と申しますけれども、こういった多様な森づくりを進めるというようなことで取り組んでいるところでございます。
また、
大雨なんかで荒廃した森林、こういったものについては保全のための
施設を設置するというような治山
事業でございますけれども、こういった
事業に取り組んでいるところでございまして、
水源涵養を始めとした公益的機能、この維持増進に努めているところであります。
また、ここには書いてございませんけれども、海岸防災林を始めとして、
東日本大震災からの復旧復興と、こういったものにも努めさせていただいているところでございます。
次に、四
ページでございます。
ここでは、いわゆる
水源地域におきます森林の保全に関する
対策と
課題ということで整理をさせていただいております。私ども、
対策としては、森林法に基づきまして、まず保安林がございます、保安林におきまして伐採や開発の規制を行っております。また、保安林以外の森林でも、林地開発許可制度、それから伐採及び伐採後の造林の届出と、こういったものを措置させていただいているところでございまして、こういった制度につきましては所有者のいかんを問わずしっかりと運用していきたいというふうに考えておりますが、その
課題として森林所有者の的確な把握が重要であると、そういうふうに思っておりまして、実は
平成二十三年の森林法改正でございますけれども、森林の土地の所有者となった場合の届出と、こういったものが新たに措置されたところでございます。
実は、外国資本によります森林買収というものが話題になったかというふうに思っておりまして、その辺の関係、実態把握のための
調査を行っておりまして、結果をプレスリリースさせていただいております。公表資料につきましては、八
ページ以降、添付させていただいております。
その中で、二十三年、二十四年と行ったわけでございますけれども、九
ページの中ほど、これが暦年で
平成二十三年の実績でございますが、九
ページの
真ん中から上の方に、年間で十四件、百五十七ヘクタール、そして下の方に、これは私どもだけの方に
都道府県から報告があったものでございますが、六件、九ヘクタールというものがございます。
そして、十三
ページを御覧いただきたいと思います。十三
ページでございますが、これは
平成十八年から二十二年までの
事例をまとめたものでございまして、この十三
ページの下の方に、計四十件、森林面積六百二十ヘクタールというものがございます。先ほど、二十三年のものと加えますと、
平成十八年から二十三年までの六年間におきまして、六十件、七百八十五ヘクタールというものが
都道府県からの
調査で出てきているという
状況でございます。
元に返って恐縮でございますが、五
ページを御覧いただきたいと思います。
先ほど御
説明いたしました保安林制度、林地開発許可制度でございますけれども、保安林、森林面積にしますと千二百万ヘクタールほどが保安林に指定されておりまして、伐採でありますとか土地の形質変更を行う場合に制限を掛けているということでございます。その中でも四分の三が
水源涵養保安林ということでございます。
林地開発許可制度につきましては、一ヘクタールを超える民有林を対象にして許可制ということで実施をさせていただいているということでございます。
それから、六
ページを御覧いただきたいと思います。森林保全の
推進に関する制度ということで、これは実は
平成二十三年の森林法改正で措置、充実が図られたところでございまして、この改正法は全会一致で
平成二十三年の四月に成立したものでございます。
一点目、伐採及び伐採後の造林の届出制度の拡充ということでございまして、無届けによる伐採に対して、伐採の中止でありますとか造林の命令というものが発せられる仕組みとなっております。二つ目としては、面積にかかわらず、新たに森林の土地所有者となった者の市町村長への事後届出と、こういったものが義務付けられまして、三つ目に森林所有者情報の共有というものが措置をされているところでございます。
こういった規定は、先ほども申し上げましたけれども、いろんな新聞報道がございましたけれども、そういった問題を背景にして、森林法改正の国会審議におきましていわゆる閣法を修正するという形でこういった措置を盛り込んでいただいたということでございますので、私どもとしてもこういった仕組みを適切に運用して森林の
整備保全を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
参考までに、また七
ページでございますが、こういった中で、森林所有者情報の共有ということで、実はこのポンチ絵の
真ん中辺に市町村、
都道府県の林務担当というボックスがございますけれども、従来はここのボックスだけで森林所有者の情報というものが共有されていたということでございますが、新たに、
一つは固定資産課税台帳からも情報をいただけると、台帳上で所有者が替わったものを依頼に基づいて情報提供していただくということになっておりますし、もう
一つは登記所の方から地番ごとではなく大字単位でデータによる入手が可能といったような
状況になっておりますので、こういった各所の方々と連携させていただきながら森林所有者情報の共有、こういったものを通じて森林
整備保全というものを図ってまいりたいと思っています。
以上でございます。