○武見敬三君 是非前向きに
検討していただきたいと思います。
この予防接種にかかわる
課題、これ非常に副反応の問題が常に出てくることはもう必至です。どんなワクチンだって必ず副反応が出るんですよ。しかし、ワクチンの副反応というのは、疫学的な
調査を通じて、科学的なエビデンスに基づいてその因果関係を証明するのに時間が掛かるんですよ。したがって、その間にその副反応で深刻な事態に陥ったと思われるそういう患者さんや家族の
方々というのは、極めて大きく問題を提起されて、それがまた大きな声にもなってきます。
こういう中で、改めて、こうしたグレーゾーンであったとしても副反応に対するしっかりとした
対応措置ができるような施策も私は必要だと思いますし、開発メーカーもそれに積極的に参加できるような
仕組みも私はつくらなきゃいけないだろうと思っております。
この点に関しては、他の先進国の事例で、私いいのがあるなと思うのは、官民共通の大きな基金、ファンドをつくって、そのファンドによって、そうした副反応と思われるそうした病態の方も含めて、か
なり早い時期から救済
措置としてその
治療を受けたときの経済コストを
負担しないで済むようにするとか、それから、実際にその補償ということになるとその基金から拠出をするとか、そういう
仕組みで副反応にかかわる
体制をか
なり早い時期からできるような
財源措置を講ずるんですよ。
それと同時に、こうした基金にか
なりの額拠出する開発企業に対しては、そのワクチンを開発したときの訴訟対象から除外すると。したがって、結果としてこれらのメーカーは積極的にこういう因果関係を証明しようとするときに協力するんですよ。要は、今の我が国の
法律だと、一生懸命因果関係証明しようとすると、各企業は結果として訴訟されて賠償される
自分たちの立場を自ら開拓するような話になっちゃう。
だから、こういう問題をやはりきちんと政治の力で解決する基金をつくって、そしてこういう我が国の予防接種にかかわる
行政というものを医学、
医療の進歩に合わせて発展させていくという
仕組みを是非私はつくっていただきたいと思いますよ。
今、我が国の中で実質ワクチンを開発してきている事業というのは、中小企業四社だけですよ。しかも、いまだ有精卵使って開発しているんですからね。今、他のところは、細胞工学でバイオテクノロジーで開発するという大きな時代に入っているときに、一世代遅れちゃっている。だから、こういう流れを何とかして解決していっていただきたいということをお願いしたいと思います。
そして、もう
一つ申し上げておきたいのは、
市町村ごとにこうした
保険者を整理統合していくということがあるとすれば、その持つ
意味というのは
保険者機能という
観点だけじゃないんですよ。実は、その
都道府県ごとの首長が現状においても
地域医療計画を策定するその責任者になっているんですよね。したがって、要は、
医療の提供
体制と、それからそれをファイナンスする
保険者機能というものを両方組み合わせた形で管理運営できるガバナンス強化になるんですよ。これによって、より効率的で質の高い
医療保険制度に各
都道府県ごとに組み替えていく政治的努力、
動機付けというものが働きます。
私は、そういう
意味では、
診療報酬制度そのものも決してその例外ではないと思いますよ。今は、我が国の
診療報酬制度というのは統一されて給付の平等性、公平性は確保されています。しかし、場合によっては、こうした
都道府県にそれぞれ
保険者機能を持ってもらって、そしてその
医療提供
体制を整備する
地域医療計画策定の責任者になってもらって、同時に、その中で一定程度の範囲で、こうした
診療報酬制度についても一定の裁量権を持ち得るような形に整えていくことも将来的には考えなきゃいけないことになるだろうと思いますよ。
こういうふうなことはか
なり抜本的な改革になるものですから、是非そういう大きな政治的リーダーシップを
大臣には発揮していただきたいというエールを送っておきたいと思いますので、よろしくどうぞお願いを申し上げます。
その上で、最後の
質問に
なりますけれども、これは安倍総理にもお尋ねしたことがございます。これは昨日、決算
委員会でも
質問させていただいた
課題なんですけれども、やはりアベノミクスという形で経済を成長せしめ、そしてまた、更に
所得の増加を図り、そして消費性向の強化を図って好循環の新しい経済の発展を組み立てていくというのは、私は基本的に極めて正しいと思う。
しかし、その成果の果実というものをどのように
社会保障制度を通じて健康保障につなげるか、あるいは年金を通じて
所得保障制度につなげるか、あるいは介護その他様々な
社会保障制度につなげて、そして、安心できる、そうした
社会に再
構築していくかという大きな全体像というものがこの
高齢化社会の中で求められているんですよ。
そういうときに、
経済政策もそれから
社会保障政策もパッケージで、一体どんな
社会を我が国は今求めているのかということを考えたときに、私はもう明らかに活力ある健康長寿
社会だと思いますよ。
かつて我が国は、いわゆる健康で教育レベルの高い中産階級
社会をつくるんだというので、か
なり各省庁共に
連携して制度設計してきましたよ。その制度が今の我が国の制度ですよ。しかし、もう耐用年数過ぎている。確実に今後は、そういう大きな視点から活力ある健康長寿
社会をつくらなければならない。その場合には、いわゆる保健
医療、この分野というものは重要な
役割を果たすことはもう明確なんですけれども、同時に、WHOが指摘しているように、健康の
社会的要因というのはこういう場合非常に重要に
なります。なぜならば、健康寿命に大きく影響するからなんですよ。
我が国の場合には、この平均寿命と健康寿命の延び率をこの十年間比較してみると、明らかに平均寿命の方がより高く延びてきちゃっていて、健康寿命の延びは一歳弱、平均寿命は一・五と、こんな感じになっていますよね。そのギャップが今残念なことに広がろうとしている。これでは活力ある健康長寿
社会にならないんですよ。
したがって、どうやってこの健康寿命を押し上げてギャップを縮小するかという大きな考え方を健康の
社会的要因というものと含めて考えたときに、実は
厚生労働省というのは雇用政策であるとか全て
社会的要因と関係の深い
部分の政策も所轄しておられますので、是非
厚生労働省で、こういう活力ある健康長寿
社会をつくる大きな目標の中で、各局が
連携して同じ方向に向かった政策を組み立てられるような
仕組みを是非
厚生労働省の中につくっていただいて、それを大きな
意味でのアベノミクスと
連携した形での
社会保障政策として位置付けてそして実行していっていただきたいと思うんでありますけれども、
大臣の御所見を伺っておきたいと思います。