○石井
浩郎君 本
調査会は、「
地域活力の
向上と
共生社会の
実現」を三年間のテーマとして掲げ、最終年の本年におきましては「
次世代へつなげる活力ある
地域社会」について広範な
調査を行ってまいりました。これまでの
調査を踏まえ、
意見を述べさせていただきたいと思います。
初めに、
共生社会を
実現する上で重要となることは、多様な主体が社会に参加し、それぞれの役割を果たすことができるようにするということであります。こうした
観点から女性の社会進出を考えると、その活躍は目覚ましいものとなっている一方で、女性の就労環境は今後もなお
支援を強化していく必要があると考えます。中でも、子育て中の母親への
支援が求められており、再就職に積極的に取り組んでいる
企業に対してはこれまで以上に
支援を行うなど、女性が継続して働くことのできる環境を整えていくことが必要であると思います。
加えて、
参考人の指摘にあるとおり、女性は
地域社会の課題を見付け出す目と解決に向けて力を合わせるネットワークを持っています。これらを生かした女性の起業を
支援していくことが重要であると考えております。
障害者の社会参加も重要なことであります。障害の有無にかかわらず、
国民の誰もが相互に人格と個性を尊重し合える社会を
実現していかなければなりません。そのためには国や
地方公共団体は、適切な役割分担の下、
地域の実情を踏まえながら、重い障害のある人たちであっても自立した生活ができるよう、早期の療育、社会生活訓練を実践していける
基盤の
整備を進めることが重要であると考えております。
また、
高齢者が
地域で安心して暮らしていけるまちづくりが求められております。課題の
一つに孤立の問題があります。単身生活者の数は年々増加しており、孤独死を防止することが急務であります。そのためには、立川市の大山
自治会のように、
住民同士が支え合い、隣近所を見守っていく仕組みづくりが必要であります。こうした
取組が
全国に普及していくことが重要であり、また、老後の収入や貯蓄にゆとりのない人たちも多いことから、働く意欲、
個人の能力、経験を生かし、生涯現役として働きやすい環境を
整備していくことも重要な課題であると考えております。
続いて、
地域の
活性化については、今後、人口の減少、高齢化が進展していく中、ますます避けては通れない課題となってくると考えております。こうした
観点から、人間
関係が希薄化している
地域社会において
地域コミュニティーを再生することが必要であります。そのため、人と人とを結ぶ
NPO等の
取組が重要となります。今後、公民館や民間施設も活用しながらコミュニティー
活動の拠点を
確保し、人々が交流できるまちづくりを行っていくことが重要であると考えております。
また、
地域経済を支える商店街では後継者不足の問題が深刻となっております。いわゆる買物難民の問題等を背景に、
地域住民から商店街に寄せられる期待はこれまで以上に高まっております。空き店舗の有効活用、交通機関の
整備、駐車場の設置など、駅前や中心市街地等のにぎわいを取り戻すことによって、
地域経済を再生するだけでなく、
高齢者の
方々にとっても安心して暮らしていける町であることが求められております。
さらに、商店街の再生については、ひたちなか海浜鉄道のように、
行政、
地域住民、
地域交通機関の事業者が
協働して鉄道と沿線の商店街を一体的に維持発展させていく
取組についても大いに
参考になると考えております。
過疎
地域においては、若い人材が都市部へ流出し、人々が互いに支え合い、見守り合うという
関係の維持が厳しい
状況となってきております。これまで過疎地が果たしてきた機能を守っていくことが重要であり、そのための仕組みづくりが求められております。
地域の実情を踏まえ、専門知識や経験を有する人材を派遣して
地域づくりを
支援していくことが重要であります。特に、医師等の保健、
医療、福祉
分野の人材の
確保やコミュニティーバスの交通手段の
確保など、過疎地の実情に即した
対策が講じられることが重要であると考えております。
被災地におきましては、発災から二年以上が経過したにもかかわらず、被災者の生活
支援、
地域産業の
復興、コミュニティーの再生など、課題が山積しております。今後の
復興においては、
高齢者、女性、若者、
障害者など、様々な人々がそれぞれの経験、知恵、発想、意欲等を生かし、新しい
地域社会の担い手として創意工夫のまちづくりを行っていくことが重要であると考えております。
さらに、
福島県においては、こうした課題に加え、原子力
災害のため今なお避難生活を余儀なくされている
方々が大勢おられます。住み慣れたふるさとの
復興と
帰還できるまでの生活の安定のための
取組の充実が必要であると考えております。
最後に、次の世代を視野に入れた
地域づくりを行っていくためには、様々な人たちによる柔軟な発想を生かしながら
地域の
活性化に取り組んでいくことが必要であると考えております。こうした
観点から、
次世代を担う子供や若者の
意見を政策に反映していくことが重要となります。
参考人からは、子どもセンターを建設して子供の声を聞くことの重要性、若者が
地域の将来に希望や誇りが持てるよう取り組むことの意義、若者が様々な
産業をつなげ、
地域全体を
活性化していく必要性などが指摘されております。今後、こうした声を自治体によるワークショップ、子ども国会などを通じて広く社会に伝える機会をつくることが必要であり、同時に、こうした機会が子供や若者を育て、その力を引き出すことになると思います。
さらに、今後の
地域づくりに当たっては、従来の
考え方にとらわれず、新しい発想を取り入れていくことが必要ではないかと思っております。例えば、島根県の海士町においては、まちづくりの専門家が
地域に入り、
住民参加による総合
計画を
作成し、提案した
住民がその
実現に向けて取り組んでおられます。今後の
地域活性化のためには、こうした専門家を活用する
取組を
支援していくことが必要であると考えております。
いずれの
参考人からも指摘があったのは、
住民や
地域がまず自分たちでできることに取り組むことの重要性でした。国や
地方公共団体は、
地域の
住民による
取組の自主性を尊重しながらその
取組をしっかりと
支援していくことが求められます。
以上のことを踏まえ、こうした
取組が着実に実施され、
次世代へつなげる活力ある
地域社会が構築されますことを期待して、私の
意見表明といたします。
ありがとうございました。