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2013-05-30 第183回国会 参議院 外交防衛委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年五月三十日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  五月二十八日     辞任         補欠選任         宇都 隆史君     佐藤 信秋君  五月二十九日     辞任         補欠選任         佐藤 信秋君     宇都 隆史君  五月三十日     辞任         補欠選任         荒木 清寛君     石川 博崇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         加藤 敏幸君     理 事                 大野 元裕君                 柳田  稔君                 宇都 隆史君                 末松 信介君                 荒木 清寛君     委 員                 北澤 俊美君                 広田  一君                 猪口 邦子君                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 松山 政司君                 若林 健太君                 石川 博崇君                 山本 香苗君                 小野 次郎君                 佐藤 公治君                 山内 徳信君                 舛添 要一君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     小野寺五典君    副大臣        外務大臣    松山 政司君        防衛大臣    江渡 聡徳君    大臣政務官        外務大臣政務官  若林 健太君        防衛大臣政務官  佐藤 正久君    事務局側        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君    政府参考人        外務省北米局長  伊原 純一君        防衛省地方協力        局長       山内 正和君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (外交基本方針に関する件)  (国の防衛基本方針に関する件) ○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員の給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事宇都隆史君を指名いたします。     ─────────────
  4. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務省北米局長伊原純一君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  外交基本方針及び国の防衛基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 広田一

    広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。  梅雨入りをいたしまして両大臣の所信を聞く、そして質疑を行うことになりました。これほど長い時間掛かってしまったこと、本当に遺憾に思いますし、残念でございます。その要因をつくられました衆議院外務委員長さんに対しましては、是非とも両大臣の方からもくれぐれもよろしくお伝えをいただきたいというふうに思いますし、特に岸田大臣は同じ広島でございますので、酒でも酌み交わしながら、よろしく御指導のほどお願いをしたいというふうに思います。  さて、自分のような野党の立場の人間がこう言うのもなんでございますけれども、私は、岸田大臣、また小野寺大臣につきましては、一日でも長くその職責を続けてもらいたい、このように思っているところでございます。  今、TPPも含め、国益という言葉がよく使われております。前の環境委員長さんも、国益と言われて議運の理事会委員長の許可なく渡航を続けられたわけでございますけれども、私は、外交安全保障上の国益というものを実現するためには、各国の外務防衛トップ同士人間関係信頼関係といったものが大変重要だというふうに思います。こちらに北澤防衛大臣いらっしゃいますけれどもゲーツ長官とたしか八回会談をされたというふうに聞いております。やはりそういったところで信頼関係があるからこそ、現場の皆さん、また事務方皆さんも、それぞれが国益を懸けてちょうちょうはっしの議論ができるのではないかなというふうに思っておりますので、両大臣とも、是非とも健康には御留意をされ、長く外務大臣防衛大臣を続けていただきたいと思います。たまには国会の健康センターにも行かれて体を鍛えていただければなというふうに思うところでございます。  そういったことを受けて、まず防衛大綱見直しについてお伺いをしたいと思っております。  その前に、ちょっと基本的な事柄について両大臣にも聞きたいと思うんですけれども、まず、この今の日本を取り巻く安全保障環境といったものは厳しさを増し、複雑化をしている、このように言われております。このことを踏まえて、基本的な情勢認識についてどう考えられているのか。  現行の大綱におきましては、大規模着上陸侵攻などの我が国存立を脅かすような本格的な侵略事態が生起する可能性は低いと、しかしながら、その一方で、先ほど言いましたように、我が国を取り巻く安全保障環境課題不安定要因は多様で、複雑かつ多層化しているというふうに今の情勢を見ているわけでございますけれども、両大臣はどのような基本的な情勢認識をお持ちなのでしょうか。
  8. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国を取り巻く安全保障環境ですが、厳しさますます増していると認識をしております。北朝鮮の核・ミサイル開発、あるいは中国の不透明な軍事力増強、あるいは積極的な海洋進出、こうした点を考えますときに、安全保障環境、ますます厳しくなってきていると強く感じております。  こうした環境に対して、まず我が国としましても、しっかりと防衛力強化等自ら努めることを進めていくことと併せて、日米安全保障体制に基づく日米同盟抑止力強化、維持、これも重要であると考えますし、そして、併せて我が国外交努力必要性も強く感じるところでございます。
  9. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 概観的に関しては、今概括的には岸田外務大臣からお話がありましたが、防衛省としましては、例えば北朝鮮による昨年二度にわたる人工衛星と称するミサイル発射事案がございましたし、今年二月、北朝鮮核実験がございました。累次の国連の決議に違反してこのような対応を取っている北朝鮮、そしてその後、度重なる威嚇的な発言も続いております。また、中国に関しては、特に南西海域をめぐる様々な今緊張感が高まっている状況が現在も続いているということですので、我が国を取り巻く安全保障環境、これは一層厳しさを増しているということが基本的な認識でございます。
  10. 広田一

    広田一君 それぞれの大臣から御答弁をちょうだいしましたけれども、その上で、ただ一方で、大規模着上陸侵攻などの我が国存立を脅かすような本格的な侵略事態が生起する可能性、これは低いというふうにお考えなんでしょうか。それとも、これは高まっているというふうに考えられているんでしょうか。
  11. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) これは、我が国のような島嶼国におきまして防衛体制を考える上において様々なことを想定して対応するということは、これは大切なことだと思っております。二二大綱議論の中でも恐らくこの問題についてはかなり議論されたと思いますが、今委員が御指摘問題認識については二二大綱以降も私ども変わっていないというふうに思っております。
  12. 広田一

    広田一君 今の小野寺大臣の御答弁で、現大綱と基本的な情勢認識は共有するということが確認をされたわけでございます。  次は、安全保障における基本理念ということでございますが、これにつきましても、民主党政権時代に私たちはその理念というものを示させていただいているところでございます。つまり、「我が国は、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、他国脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、文民統制を確保し、非核原則を守りつつ、節度ある防衛力整備する」と、この理念というものを掲げてやっていくということでございますけれども、両大臣はこの基本理念は引き続き守っていく考え方なんでしょうか。
  13. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 防衛のことに関しますので、初めにお答えさせていただきます。  今委員がおっしゃるように、我が国は、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、他国脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、文民統制を確保し、非核原則を守りつつ、節度ある防衛力整備することを我が国防衛基本方針としているということ、これは現時点においてこれを見直すということは考えておりませんので、引き続きこの方針を堅持していくということでございます。
  14. 広田一

    広田一君 この基本理念は、我が郷土の吉田茂先生保守本流ですね、の考え方に私は沿ったものだというふうに理解をいたしております。  現状自民党さんは、他党のことを言って申し訳ないんですけれども、この考え方、穏健な保守考え方が非常に存在感がなくなっているんじゃないか、そういったところを一つ懸念をするところでもあり、我々は、先ほど申し上げたような基本理念を持ってこの国の防衛基本方針を引き続き堅持をすると、このことも今防衛大臣確認をすることができましたので、よろしくお願いをしたいと思います。  その上で、防衛大綱についてお話をさせていただきたいと思うんですけれども防衛力整備というものは、言うまでもなく一朝一夕ではできません。長い年月を要するわけでございます。ですので、先ほどの基本的な情勢認識、また両大臣が言われたようなこの国を取り巻く安全保障環境の厳しさといったものを、おおよそ十年先を見据えて中長期的な取組をしていかなければ我が国防衛力の確立はできない、こういうことでございます。  そういう認識の下、防衛大綱というものは、防衛力の在り方と保有すべき防衛力の水準、すなわちストックの面を示して、それに対して中期防というものは、五か年間の経費の総額と主要装備整備数量というものを明示しているわけでございます。こういった観点に立ってずっと防衛大綱というものは考えられてきたわけでございますけれども、この認識について共有できるのかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。
  15. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 二二大綱議論の中でかなり深い検討をされたということは私どもも承知をしております。ですから、それ以降、実は、例えば先ほど来問題認識として答えさせていただきました北朝鮮の度重なる人工衛星と称するミサイル事案あるいは核実験がありました。それからまた、この南西海域をめぐる中国との様々な状況もあります。そして、何より私自身深く感じ入りますのは、一昨年の東日本大震災の折、これは北澤防衛大臣を始め大変皆さんにはお力をいただきました。その際にもやはり問題点となりましたのが、例えば統合的な運用をどう活用するかとか、あるいは部隊をどのように機動的に運用するかということ、そういう問題点も多分その中で浮き彫りになってきたんだと思います。  そのようなものも、今後検討する中で、新しい大綱中期防の中の議論をしていきたい、そのように考えております。
  16. 広田一

    広田一君 今、小野寺大臣は非常に重要な点のお話をされたんですけれども、私がお聞きしたかったのは、先ほど言ったような防衛大綱中期防役割、そしてそれは主に十年先の我が国安全保障環境というものを見据えた上で中長期的に取り組まなければ、ころころと変わってしまったらそれこそ大変な問題になるんじゃないか、そういう問題意識から質問をさせていただきました。  今回、自民党政府、公明党の皆さんもこの大綱を見直そうというふうな観点に立っているわけでございますけれども、そもそも防衛大綱といったものは一体どういうものなのか。これはやっぱり与野党でしっかり共有をしていかなければならないんじゃないかな、こういう思いからでございます。  そういった中で、非常に昨今大綱というものが短期間で見直されているようになっております。ですので、ちょっと確認なんですけれども、この五一大綱以降、現在の二二大綱まで何年間隔で見直されているのか、これは防衛省にお聞きをしたいと思います。
  17. 江渡聡徳

    ○副大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  防衛大綱はこれまで四度策定されておりまして、各大綱見直しまでの間隔につきましては、昭和五十二年度以降に係る防衛計画大綱、五一大綱ですけれども、これから平成八年度以降に係る防衛計画大綱、〇七大綱まで十九年、平成十七年度以降に係る防衛計画大綱、一六大綱までは九年、平成二十三年度以降に係る防衛計画大綱、二二大綱は六年となっておりまして、今回、この大綱見直しにつきましては本年度中にその結論を得るということにしておりますけれども、二二大綱策定後三年という形になろうかと思っております。
  18. 広田一

    広田一君 今副大臣の方から御答弁ございましたように、非常に大綱の寿命というものは短くなってきております。  お話があったように、三年で大綱が見直され、また中期防は既に廃止というふうになりますと、私、これは見直す以前の話として、そもそも策定する意味とか意義があるのかと、こう考えざるを得なくなってしまうんですけれども、この点についての御見解をお伺いします。
  19. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 御指摘のように、従前の大綱期間というのはかなり長い期間があったかと私も記憶をしております。ですが、これは委員問題認識が共有しておると思いますが、最近のこの東アジアをめぐる安全保障環境変化というのは、恐らく類を見ないほど大きな変化が起きているんだと思っております。  例えば、中国軍事費増強というのは、これは今まで経験したことのないような増強、増加だというふうに理解をしておりますし、また、私どもが予想していなかったようなサイバーや宇宙といった新しい要因も出てまいります。こういうことに対応するために、この大綱というものの見直しというのがかなり短い期間で行われるということ、これが今現実状況に合っているんだと思います。  ただ、そのようなかなり安全保障環境変化が早いということをもって大綱が必要かどうかという議論については、私どもとしては、やはり防衛装備を含めた体制整備するには一年、二年という短いスパンではなかなかできないということも現実でありますので、そこは大綱という中で位置付けていきたいとは思っております。  何分、やはり今の急激な安全保障環境に先を見通した形でしっかりとしたものをつくっていくこと、それが今大切なことだと思っております。
  20. 広田一

    広田一君 この点についてはまた後ほど議論をしたいというふうに思うんですけれども、私はやっぱりこの防衛大綱というものは、与党、野党を問わず、短期間安全保障の基本的なところが抜本的に変わるのは良くないというふうに思っております。現在の二二大綱を見ていただいても分かるように、この大綱というものは自民党政権時代継続性というもの、この観点を踏まえて策定をされているものでございます。そういった意味で私は極めて現実的な防衛大綱ではないかなと、このように思っております。  一六大綱から六年等で見直したというのも、この一六大綱事項で、五年を経過したらこの大綱見直しをしていくというふうな旨の趣旨がございます。ですから、民主党政権はそのことも踏まえて文字どおりその見直しを行ったということでは、大綱継続性というものを非常に重視をしているということ、このことを是非とも御理解をしていただきたいと思います。  ただ、そうでありながら、非常に重要な防衛大綱でありながら、この参議院におきましては本会議の報告、質疑さえされておりません。時の野党自民党皆さんが、この議論をすることについて非常に抵抗をされました。私は非常にけしからぬことだというふうに思っております。  そういう大綱というものの重要性を鑑みないような観点で今このような見直しがもしされているということであれば、私たちは徹底的に対峙していかなければならない。その一方で、真摯に今のこの安全保障環境に向かい合った中で見直すべきところは見直していく、そういうふうなところであれば自分たちも様々な提言等をしながら対応していかなければならない、このように思っているところでございます。  その中で、先ほど来段々とお話がございまして、どうして今この防衛大綱を見直すのか、その理由中国とか北朝鮮動向等を挙げられて、具体的に挙げられて御説明をしているわけでございますけれども、その観点と違う観点からお聞きをすれば、現在の大綱の一体どこが問題で見直さなければならないのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  21. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) まず、私は、やっぱり大綱を含めた防衛政策というのは政権が替わって大きく変わるということが通常あってはならないものだとも思っております。そういう中で、私の前任であります森本前大臣に関しては、数度にわたり引継ぎを、長時間にわたりお話をさせていただき、この問題について御示唆もいただいております。また、歴代の防衛大臣につきまして、これからお話伺いたい、そのように思っております。  その中で、二二大綱問題点というよりは、先ほど来お話をしておりますが、二二大綱以降起きてきた様々な事案、特にその当時、策定時点では想定もしていなかった内容について起きているんではないかということで、私ども見直しという中の検討の項目に入れていきたいというふうに思っておりますので、やはりこの数年の安全保障環境の急激な変化、そしてまた震災への対応の問題、こういうことは私ども直近課題として見直し検討事項の中に入れさせていただきたい、そのように考えております。
  22. 広田一

    広田一君 今御答弁がございました。一層厳しさを増している、これが見直す理由大綱そのものには問題はないんだということであります。これ非常に理解がなかなかしにくいところでございますけれども。  そこで、ちょっとお伺いをしたいんですが、一層厳しさを増しているというのは、これは具体的にどういうことなのか、定量的に示すことができるのか。二二大綱以降、どういう事案等を指してこのことを述べていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
  23. 江渡聡徳

    ○副大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  特に、先ほどから大臣等々からもお話があったわけでありますけれども北朝鮮の部分においては、大量破壊兵器とか弾道ミサイル開発配備等、あるいは拡散等継続ということがあるわけでありまして、そして特に、大規模特殊部隊というのを北朝鮮は保持しているほか、あるいは軍事的な挑発行為ということもかなり繰り返し行われているわけであります。このような軍事的な動き、これらに対して、我が国を含む地域安全保障における喫緊かつ重大な不安定要因だというふうに思っておりますし、また、国際的な拡散防止努力というのは今まで以上に私は厳しさが増してきているというふうに思っております。  また、大国として成長を続ける中国というのが、これはあくまでも世界地域のためには非常に重要な役割を持っておりますけれども他方、先ほど大臣の方からお話がありましたとおり、国防費というのは二十一年連続で二桁の伸びになっておりますし、また、過去二十五年間で三十三倍以上の国防費が増えていると。そしてまた、核・ミサイル戦力海空軍中心とした軍事力の広範かつ急速な近代化というのを進めております。また、戦力遠方に投射する能力強化に取り組んでいるほか、特にこの周辺海域南西方面でありますけれども、かなり活発に活動を行っておりまして、このような動向というのは、中国軍事安全保障に関する透明性不足と相まってこの地域国際環境懸念事項となっております。  特に、余り細かいことは省かせていただきたいと思いますけれども、昨年の尖閣の国有化以降、この地域における領海侵犯あるいは領空侵犯が度重なるような状況になっておりまして、補正予算等においても対応させていただいておるわけでありますけれども、今までそうなかったこの領空侵犯領海侵犯というのはかなり行われていると。具体的な数字は省かせていただきたいと思いますけれども、そのようなものに対して対応していくということに対して、やはりもう一度この辺のところをしっかりと見直しながら、より良い形のものに作り上げていくという私は必要があろうと、そのように考えております。
  24. 広田一

    広田一君 先ほどちょっと副大臣の方から最後の方で領空領海侵犯お話がございましたので、これはちょっとまた後で議論させていただきたいと思っております。  ただ、前段の言い方、言いぶりというものを更にちょっと確認をしたいんですけれども防衛省の方にこれは御答弁お願いしたいと思いますが、現大綱において今副大臣がおっしゃった北朝鮮中国についてどのような記述になっているんでしょうか。
  25. 江渡聡徳

    ○副大臣江渡聡徳君) 二十二大綱におきましては以下のように記述されております。  「北朝鮮は、大量破壊兵器弾道ミサイル開発配備拡散等継続するとともに、大規模特殊部隊を保持しているほか、朝鮮半島において軍事的な挑発行動を繰り返している。北朝鮮のこのような軍事的な動きは、我が国を含む地域安全保障における喫緊かつ重大な不安定要因であるとともに、国際的な拡散防止努力に対する深刻な課題となっている。 大国として成長を続ける中国は、世界地域のために重要な役割を果たしつつある。他方で、中国国防費継続的に増加し、核・ミサイル戦力や海・空軍中心とした軍事力の広範かつ急速な近代化を進め、戦力遠方に投射する能力強化に取り組んでいるほか、周辺海域において活動拡大・活発化させており、このような動向は、中国軍事安全保障に関する透明性不足とあいまって、地域国際社会懸念事項となっている。」というところでございます。
  26. 広田一

    広田一君 済みません、御答弁をいただきましたけれども、つまり、お聞きになって分かるとおり、先ほどの副大臣の、現状のより一層厳しくなっているという認識と現大綱で書いている北朝鮮中国動向というものは全く同じなんです。つまり、現大綱は既に、北朝鮮は今後より一層軍事的な挑発活動を繰り返すだろうと、中国は今後より一層海洋活動拡大、活発化させるだろうと、そういうふうに既に想定をしているわけであります。  つまり、現大綱は、今後の我が国周辺安全保障は二二大綱を作った策定時から今後より一層厳しさを増すことを見通した上で策定をされておりますので、皆様方がるる言う北朝鮮中国のより一層厳しさを増したというのは現大綱でも想定済みなんです。よって、このことを今の大綱を見直す理由として挙げるのは今の御答弁の内容からして無理があるのではないでしょうか。
  27. 江渡聡徳

    ○副大臣江渡聡徳君) 基本的な認識としては、我々は同じように思っております。  ただ、委員も十分御承知なことだと思いますけれども大綱中期防大綱は十年間のことに対しての、そして中期防は五年間のことに対してのこれからの装備品その他のことを整備していくという形で我々は考えております。そのような形になりますと、状況変化によって即応的ないろんな形の見直しというのはなかなか思うような形がいかないということになります。そして、即応性をできるだけ目指して行おうということになりますと、ある程度この大綱見直しというものをやらないと、装備品の見直しその他というのはなかなか思うような形にいかないという部分が出てまいります。  ですからこそ、そこの部分で見直し、検証をさせていただいて、より良い形の方向性に持っていくということが今の我々の考え方でございます。
  28. 広田一

    広田一君 そういうふうな御答弁をされるんですが、じゃ、ちょっと違う観点からお聞きをしますと、今の二二大綱でも大綱見直しの留意事項というものを規定しているんですよね。そこに書いているのは、情勢に重大な変化が生じているというふうに規定をしているんです。だけど、皆さんは一層厳しさを増しているというふうな言い方なんですよね。これ、どう違うのか。  本来であれば、情勢に重大な変化が生じているというふうな認識を持った上で大綱を見直すというふうなことをしなければなりません。だけど、それは言っていないんですよね。にもかかわらず、北朝鮮とか中国状況を挙げて、副大臣がおっしゃったように、今のこの急激な変化に対して臨機応変に対応しなければいけないと、さはさりながら、装備をするためには長い年月掛かるんだというふうなことで大綱見直しというものをやっているんですけれども、そうなってくると、後段のところに力点を置いちゃうと、結果的に大綱というのは本当に一年、二年でころころ変わっても仕方がないというふうな状況にもやっぱりなりかねません。  ですから、そこに一定の歯止めというか、不断の検証というものはもちろんしていかなければなりませんけれども、ただ、大綱そのものを見直す場合には、情勢に重大な変化が生じているというふうな、この認識がなければならないんです。ここをしっかりと説明をしていかなければ今まで御答弁されていたことについての説得力がないんじゃないかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  29. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 二二大綱議論では相当様々な議論をされたんだと思います。ただ、恐らくそれ以降、これは、例えば北朝鮮ミサイル開発の中で、従来は人工衛星と称するミサイルということで、発射台がある程度特定をされ、どのエリアに、どの時間にというような予告があり、そしてそれに対しての対応ということで私ども対応されてきたと思います。  ただ、今回、北朝鮮が度重なる形での脅威の発言をしているのは、実際に可動式の装置で長距離を飛ぶ可能性が高い、しかも従前の実験からすると、これは精度も高くなっている、そのようなものがいつ、どこから、どこに向かって発射されるか分からない、このような状況が今後想定されるとすれば、それは、ここ数年で従前と違ってかなり大きな変化があったと考えるべきではないかというのが共通の認識ではないかと思っております。  また、今年二月に行われた北朝鮮の核の実験でありますが、これ三度目にたしかなったと思います。このペースでいきますと、私どもが心配します核の小型化ということ、これが実際に行われた場合に更に大きな脅威がもたらされるということも恐らく事実だと思っております。  また、周辺国を見れば、これは今回、米中で協議がなされると報道されておりますが、様々サイバーによる攻撃、ここまで大規模な攻撃が行われるということは、ここ数年で恐らく顕在化してきた事案ではないかというふうに私ども思っておりますし、何よりも、昨年十二月十二日に領空侵犯中国機に初めてされました。それ以降の我が国のスクランブルの対中国に対しての回数、それから尖閣周辺における中国公船による領海侵犯、この事案、様々な事案はここ数年でかつてないような変化があるということはこれは共通認識だと思っております。  ですから、大きな意味でのこの中国北朝鮮を含めた様々な懸念というのはこれは変わっていないかもしれませんが、そこに実際起きている、私どもが直面している今の安全保障環境の中では、例えば装備一つとっても、今様々な早期警戒の態勢を取っておりますし、あるいはミサイル防衛の態勢も取っておりますが、従前とは違った検討をこれは早急にしなければいけないという環境変化があるんではないか、そのようなことも踏まえながら私ども検討をさせていただきたい、そう思っております。
  30. 広田一

    広田一君 そうすると、この二、三年でより一層、先ほど来大臣が述べたような事象が発生をして、これに対応する装備を緊急に備えなければならないということでございましたら、じゃ、そうすると、今回の大綱においては別表を作るという、そういう理解でよろしいんでしょうか。一部報道では別表は作らないというふうなこともあるんですけれども、別表を作るという、じゃ理解でよろしいですね。
  31. 江渡聡徳

    ○副大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  この防衛計画大綱は、別表を含め、我が国安全保障及び防衛力の在り方を内外に示してきた重要な文書であるというふうに我々は認識しております。  御指摘大綱の別表というのは、昭和五十一年に策定された防衛大綱以来、過去四度策定された大綱におきまして、保有すべき防衛力の水準として重要な編成、あるいは装備品の具体的規模を内外に明らかにしてまいりました。  この大綱見直しの具体的内容につきましては、今後、政府全体として検討していくこととしており、現時点で何ら結論が出ているわけではありませんけれども防衛省としては、自衛隊に求められる役割に十分対応できるように、自衛隊の体制強化に取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
  32. 広田一

    広田一君 済みません、体制強化に取り組むのは至極当然のことでございまして、別表というものを作る作らないは確かにいろんな議論があろうかというふうに思いますが、一方で、まさしく中国に対して我々が批判をしている、透明性がないんじゃないかというふうなことに対して、我々は別表を持っているんだということを言っているわけでございます。  それと、あと、十年先を見据えて、どのような防衛力整備するのかというその水準等々を示していく責務も、これは国民に対してもあります。ということで別表というものが策定をされているんだろうというふうに思いますけれども、今のお話だと、まだちょっとどうなるか分からないというふうな言い方でございますが、それはそれとして理解はしますけれども防衛省としてはどうしたいのか、防衛省としてどういう問題意識を持っているのか、これはやはり明確にしてもらわなければならないと思います。つまり、防衛省としては別表は引き続き必要だというふうに考えているのか、そうではないと思っているのか、このことについて明らかにしてほしいと思います。
  33. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 別表というのは、防衛力整備について、これは透明性を確保するという意味、あるいは国民に説明をするという意味、これについては私ども必要なものだとは思っておりますが、ただ、この大綱につきましては、政府全体での議論ということになりますので、あくまでも最終的には政府全体での議論ということになると思います。  ただ、委員が御指摘されておりますように、過去、別表というのを付けてきた経緯というのは、今委員の御指摘があった経緯も踏まえてということになると思いますし、また、最終的には、大綱について、私ども、案がまとまった段階では、もちろん国会でも様々審議をいただくことになると思いますから、そのときにしっかり答えられるような大綱にすることも重要なことだと思っております。
  34. 広田一

    広田一君 そうすると、ちょっと作るか作らないか分からないような状況でございます。先ほど来、防衛力の水準をしっかり示していくというふうなお話をしておきながら、別表についてはよく分からないというふうなことは、これは非常に矛盾しているんじゃないかなというふうに思うわけでございますけれども、分かりました。  ちょっとこの別表絡みのことは、後でまた定数云々のことも踏まえてお聞きをしたいと思いますが、その前に、先ほど副大臣の方がおっしゃっておりました、領海侵入等々が国有化以降非常に増えているというふうなことでございますけれども、ちょっとその現状認識を更に共有化したいんですが、たしかあれ、四月二十三日だったと思います。中国の海監八隻が領海に侵入をいたしました。この状況についてどのようにそれでは評価をされているのか、ちょっと認識をお伺いしたいと思います。  私は、副大臣が、国有化以降の領海侵犯が頻発化しているので、これが非常に重要視しているということでありましたから、特に、たしか四月二十三日、海監八隻来たというのは、これは大きなニュースになったというふうに思っておりますので、どういう認識を持たれているのかなというふうに、そのことを踏まえて、ちょっと若干私の私見も踏まえてお話をさせていただきますと、これは、八隻が領海侵入をしたということも大変ゆゆしき問題であります。それ以上にこの侵入をした時間ですよね、これは恐らく十二時間以上いたのではないか。そして、そのうちの一隻は魚釣島の付近の約一キロまで来ているというふうな状況でございます。  第一義的には、これは海上保安庁が対応しなければならない問題であります。私はこの事態を見たときに、本当にこの尖閣周辺について有効に、実効的に支配をしているのかというふうなところにも疑問符が付いてしまうような状況ではないかなというふうに思っております。  こういった事態についてどのようにお考えでしょうか。
  35. 江渡聡徳

    ○副大臣江渡聡徳君) 今、広田委員から御指摘ありましたように、八隻の船が来られたとして、そしてまた長時間にわたっての領海侵犯が行われたと。我が国にとりましてはゆゆしき状況に陥ったわけでありますけれども、このことに対しての評価云々というのは、この場で私がお答えさせていただくことは控えさせていただきたいと思います。やはり、相手国とのこれからの交渉、様々な部分において、ここでお答えしますといろんな影響が出ようかと思っておりますので、お答えは控えさせていただきたいと思いますけれども、やはりこのような形が起こらないような態勢をどうこれからいかに築いていくか。そのためのお互いの共通な海上連絡メカニズムその他を早急に築き上げるために我々は頑張っていきたいというふうに思っております。  また、当時、防衛省といたしましては、P3C哨戒機等々を活用しながらしっかりと警戒監視を行っておりまして、これらのことに対しては、これからも我々は各省庁ともしっかりと連携を取りながらより良い監視活動を行っていきたいというふうに考えております。
  36. 広田一

    広田一君 副大臣防衛大綱を見直す理由を具体的に聞いたときに特出しで挙げられたのがこの領海侵入だったわけでございます。それへの、昨今の一番大きな出来事についての私なりの見解は言わさせていただきました。しかし、今回大綱を見直す大きな理由をこの領海侵入というところに見出しておきながら、それに対する評価をしないというのは、これはちょっと理解し難い話になってきます。  つまり、国民に対して、また国会に対して、こういった事象がどのような影響があって、そのために自衛隊としてどのような対処を今後より一層していかなければならないのか。P3Cでやっているのは、それはもう民主党政権時代、それ以前からやっている話であって、それをもってして対処しているということになると、それこそ大綱なんか見直す必要がないんじゃないかというふうな話になりますので、その点はちょっと整理をして御答弁をいただければと思います。
  37. 江渡聡徳

    ○副大臣江渡聡徳君) 我々、今現在、これらのいろんな様々な行動も含めて鋭意検証中でございまして、検討中でございます。ですから、それらがまとまった段階でしっかりとした形としてお示しができることだろうというふうに思っております。  ただ、やはり、先ほど委員の方から御質問があったわけでありまして、どのような大きな状況変化があったかということで御質問だったものですから、特に大きな変化としては、この領海侵犯あるいは領空侵犯というのがかなり頻度が高く行われるようになったというふうにお答えさせていただいたというところでございます。
  38. 広田一

    広田一君 その後、具体的な議論をするというところについては、それは防衛省内、また与党内で議論を深められること、これまた結構なことだというふうには思います。ただ、見直す理由、根拠というものを今は私は問いただしているのであって、そこに、先ほど来言っていますように、情勢に重大な変化が生じているということについてのやっぱり説明をする責任、見直す場合にはですね、私はあろうかというふうに思っておりますので、特出しでされた事柄につきましては是非とも説得力のあるお話をしていただきたいなというふうに思うところでございます。  そして、もう一点、大綱を見直す理由といたしまして、東日本大震災の教訓を挙げているところでございます。私はこの点については一定理解をするところもあります。防衛政務官時代も、この東日本大震災の発生によって一つの前提というものが変わる可能性があるという趣旨の答弁をさせていただきました。今後、原発事故等に対応する体制整備、これもしていかなければなりませんし、複合災害といったものも想定をした、これも体制づくりもしていかなければならない、こういうところについては問題意識を共有するところでございます。  ただ一方で、そこで懸念をするのが、今自衛隊が国際平和協力活動など非常にグローバルな活動に関与しております。これは世界でも高く評価をされているところでございますけれども、こういったものを縮小して、今後は国内における災害などへの対処に重点を置くべきじゃないか、こういった声も出てきております。私はそうなると逆に本末転倒になってしまうと思いますので、私は、やっぱり自衛隊がグローバルな安全保障に貢献をするということを、この覚悟と決意をしっかり持った上で、さらに、先ほど言ったように、東日本大震災のことに当たるというふうな考え方の整理をすべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  39. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 御指摘のとおり、今、国際協力活動は大変高い評価を受けております。今般一つの任務が終わったということで、幾つかの部隊については部隊の今活動が終了したという形を取らせていただいておりますが、現時点でも南スーダンあるいはジブチ海賊対処等で高い評価をいただいております。今回、先般内閣官房から発表させていただきましたが、ジュバにおいての活動については範囲を広げるという形を取らせていただきますし、私どもとしましては、各国からの要請、国際機関からの要請があれば、今後とも国際協力活動に私どもができる能力の中でしっかり対応させていただきたい、そのような方針は変わっていないところであります。
  40. 広田一

    広田一君 是非、しわ寄せが来ないように、是非ともお願いしたいと思います。その意味でも、やはり別表できっちり位置付けるものは位置付けるということは重要だろうというふうに思います。  そこで、大綱別表の推移について、陸上自衛隊の編成定数、これは五一大綱から一六大綱までどのようになったのか、これは防衛省にお伺いします。
  41. 江渡聡徳

    ○副大臣江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  お尋ねの陸上自衛隊の編成定数は、我が国の陸上防衛上の基本的な枠組みを人的勢力を通じて示しているものでございまして、昭和五十一年に策定されました防衛大綱におきましては、別表において編成定数を十八万人とすることとされました。平成七年に策定されました防衛大綱においては、東西冷戦の終結等を背景に、防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を進めるとともに、本格的な侵略等の事態に対処し得る防衛力整備するとの考え方に基づきまして、編成定数を十六万人とし、うち常備自衛官の定員は十四万五千人、即応予備自衛官は一万五千人とすることとされました。平成十六年に策定されました防衛大綱におきまして、我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下する一方、ゲリラや特殊部隊による攻撃、島嶼部への侵略、大規模特殊災害等の多様な事態への対応がより重要とされたことを受けまして、編成定数は十五万五千人とし、うち常備自衛官の定員は十四万八千人、即応予備自衛官は七千人とすることとなりました。続きまして、平成二十二年に策定されました防衛大綱におきましては、編成定数は十五万四千人とし、うち常備自衛官の定員は十四万七千人、即応予備自衛官は七千人とすることにいたしたわけであります。  陸上自衛隊の編成定数につきましては、防衛大綱見直しの中においてこれからしっかりと議論させていただきたいと思っております。
  42. 広田一

    広田一君 るるお話しのように、五一大綱から一六大綱まで陸上自衛隊の編成定数は二万五千人削減をされております。自民党政権であります。一六大綱から二二大綱までは千人です。二十五分の一なんです。つまり、厳しい財政状況はありましたけれども民主党政権のときにこの定数削減に歯止めを掛けたんです。これはすさまじい議論がありましたけれども、これを堅持しました。しかしながら、やっぱり野党時代の自民党さんは、これまで二万五千人も下げてきたことは棚に上げられて、この定数削減の法案には反対、審議さえしてくれなかったわけでございます。  そういった経緯等も考えれば、これから議論をするんだというふうなお話でございましたが、よもや今回の見直しで、定数について削減することや現状維持にとどまることはないだろうと思いますけれども、この点について確認をさせていただきます。これは、防衛大臣お願いします。
  43. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 二十五年度予算につきましては、現下の安全保障環境に鑑み、特に南西地域、情報収集、警戒監視ということを中心に必要だということで、陸自が九十四名、海自が九十六名、空自が九十七名の自衛官二百八十七名の増員ということで、実員については増やさせていただきました。  今後の新しい大綱、それから定員につきましては、今、江渡大臣中心として在り方検討会を計十六回今の段階では重ねております。この議論を踏まえ、政府として最終的な方向が決まるものと思いますので、今の時点で何か決まっているというところではございません。
  44. 広田一

    広田一君 決まってないのは私も理解しておりますけれども防衛大臣として、トップとして、これまでの経緯又は東日本大震災という教訓、また我が国を取り巻く安全保障環境がより一層厳しくなっている、だから防衛大綱をこんなに早く見直すんだというふうなもろもろの中で、この定数の確保について大臣としての決意がなければ、まさしく大綱を見直すことそのものの必要性がないんじゃないかなというふうに思ってしまいますけれども、ここについては、大臣問題意識、そして大臣が考える方向性、これは示していただきたいと思います。
  45. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 基本的には、これは私個人で決める話ではなくて、まず初めに防衛省として現在の評価をどう行うかということ、それを今副大臣中心として在り方の検討をしていただいております。  大切なのは、しっかりとした防衛体制整備していくということでありますので、それに何が必要かということを一つ一つ積み上げる中で議論をまとめていきたいと思っております。
  46. 広田一

    広田一君 そういう中で、そうすると、大臣としてはこの定数問題についての論点というものはどういうものがあるというふうに考えるんでしょうか。
  47. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 論点といいますか、基本的には、我が国が必要な今の安全保障環境対応した防衛力、その体制の中で、装備もあると思います、また定員もあると思います、そういうことを一つ一つ積み上げるということではないかと思っております。
  48. 広田一

    広田一君 そうすれば、これは別表には海と空の定数は書いてないんですけれども、ここについて充実強化をして、陸については違うまた考え方対応していくのか。つまり、先ほど冒頭で本格的な着上陸侵攻はないんだというふうな基本認識は共有をしたということであれば、陸自定数の削減傾向というものは今後とも続いていくというふうに大臣認識なのか。それとも、東日本大震災というものがあったので、先ほども述べたように複合事態に対応すること、あと、今回の東日本大震災の教訓としては、やっぱり継続性だというところもあろうかというふうに思います。これを維持するために実員を含めて充足率も高めていかなければいけないという論点もあります。  様々な論点の中で、大臣自身現状ではどのような整理をされてどういう方向性を持たれているのか、これをはっきりしていただかないと、まさしく、何で、じゃ大綱を見直すんですかという話になってしまうと思います。
  49. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 基本的には、今その在り方検討で様々な議論を積み上げていただいているということでありますが、今一点、広田委員からのお話の中で、共通認識の中で、例えば大規模な上陸等というお話があって、それは二二大綱議論から見ても、私どもそのような想定は同じような環境ではないかと思っておりますが、例えば島嶼防衛の問題あるいは南西地域の問題、こういうところの守りということは、これは更に充実強化が必要だということになれば、そこはそこでやはり陸自の役割というのも出てくるということだと思いますが、いずれにしても、私ども、様々なことの想定を積み上げてどのような防衛力が必要か、その中で装備そしてまた人員というのが最終的に積み上がるものだと思っております。
  50. 広田一

    広田一君 済みません、ちょっと委員長、繰り返しの答弁ばっかりでございまして、私は大臣問題意識というか、こういうふうな経緯で議論が進みますということをお聞きしたいのではなくて、この定数問題についてどうしていきたいのかと、政治家としての考え方、リーダーシップを発揮してどうしていきたいのかということを私は聞きたいのであって、今後、在り方検討で云々というのはそのとおりであろうと思います。副大臣がそれの取りまとめをされていることも承知をしております。また、自民党からの提言、提案も出てくるんだろうと思います。  そういったところを総合的に踏まえて最終的に結論を得るというのは、これはある意味当然だし、理解をすることができますが、その中で大臣としてどのようなお考え方を持ってこの大綱議論を引っ張っていくのかというところのポイントとしてこの問題は私はあろうかというふうに思っておりますので、そこはやっぱり逃げずに御答弁をいただきたいと思います。
  51. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 防衛大綱というのは政府全体で決めますし、そのためには、今どのような安全保障環境にあるかということをこれは議論をしながら積み上げ、防衛省全体として一つの方向を出していくということの作業は私はやるべき作業であって、その作業の状況、あるいは全体としての安全保障環境についての評価が出る前に、逆に私がこうだああだと言うことはむしろ決して好ましい方向ではないんだと思っております。  また、加えて言えば、今日こうして広田委員にも様々な議論をいただいております。大綱の別表についての様々な御示唆もいただいております。こういう様々な議論を私どもとしては真摯に伺いながら、しっかりとした体制をつくっていきたいということであります。
  52. 広田一

    広田一君 今大臣は、安全保障環境がどのように変わっているのかというのも議論をしてみたいな趣旨のお話がございましたけれども、それはちょっとおかしいんじゃないでしょうか。  つまり、防衛大綱を見直すというふうに決めたのが、段々のお話のように、北朝鮮中国の事例を出しながら、より一層安全保障環境厳しくなっているから見直すというふうに言っているわけでしょう。それなのに、今から見直し作業に入ってまたこの安全保障環境がどういうふうに変わっているのかということを議論をして、それを受けた上で物事を考えるというのは、それはもう議論の順番が全く逆になって、ちょっとこの見直しをする考え方とかやり方というのが、何かもう政権交代したから見直すんだというそのレベルの話であって、何か強い問題意識があってこの防衛大綱を見直すお気持ちではないんじゃないかなということを今のこの防衛大臣の御答弁を聞くと、私は非常に疑問に思ってしまいます。  でなくて、やっぱり、繰り返しになりますけれども情勢に重要な変化が生じたんだという、この大綱を見直す理由というものをしっかりと国民の皆さん説明をした上で、じゃ、そのことに対処するための防衛力の水準、在り方というものを議論をするということであれば私は非常に分かりますけれども、少し、少しというか全くその議論の組立て方、考え方があべこべになっているんじゃないかなというふうに思わざるを得ませんけれども、これまで答弁してきたことと今の御答弁はちょっと矛盾をすると思いますが、いかがでしょうか。
  53. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 私も今委員の質問がよく分かりません。  私は一貫してお話をさせていただいているのは、当然ここ何年かでの安全保障環境は大きく変化をしている、そしてそれに合わせてしっかりとした防衛体制を組んでくれというのはこれは国民全体としての要請だと私どもは感じております。  その中で、じゃ、今後を見据えた形でどのような整備をするかということをこれはやはりまず初めに防衛省として検証するべきではないか、で、在り方検討会ということを副大臣中心に今検討をしていただいている。その中で、私ども、今後必要な体制というものの一つの方向性が出てくるのを受け止めて、その中で様々な議論をしながら必要な防衛力整備をする、その中で、装備品そして人員、それが決まっていくという一つのプロセスの中で今進んでいる最中ですので、そのプロセスの途中で、例えば私はこう思っているとか、こうすべきだとかいうことを言う段階ではないんだと思いますので、そこはこのような議論を聞きながらまとめていくことをお願いしたいと思っております。
  54. 広田一

    広田一君 本当に今回の大綱は、政権交代を受けての見直しありきの作業ではないかなというふうに言わざるを得ません。  その一方で、やはり是非大臣におかれましては、そのお人柄と、そして今後この大綱見直しがより良いものになるように、これから非常に努力をしていただきたいなというふうに思っております。自分たち政権時代に作った大綱だから一言一句触れちゃいけないと、どこかの憲法みたいな話を私はするつもりはございませんけれども、しかしながら、事安全保障の話については、与野党が共有すべきところは共有しながら前に進めていくと。民主党が作った防衛大綱というところの考え方、評価というふうなところも踏まえて是非とも議論を進めていただきたいというふうに思います。  残り時間がわずかになりまして、あと、今問題になっております自衛隊法の改正の話とか聞きたいというふうに思っておりましたけれども、ちょっと時間がなくなりましたので、最後に防衛大綱に絡めて動的防衛力についてお伺いをしたいと思います。  この動的防衛力というものも、基盤的防衛力構想によらないというふうな言い方がされているので、何かこれまでのことを否定して抜本的に変えたというふうなイメージがありますけれども、決してそうではなくて、これまでの自民党政権時代が行ってきた様々な議論の積み重ねの中で、一六大綱の対処を重視をしたこの考え方というものを発展させたものが私は動的防衛力だというふうに思っております。  これについては、やっぱりアメリカの方も非常に高く評価をし、よって、動的防衛協力というふうな形で共同施設の使用とか共同訓練であるとか、こういうふうな、文字どおり運用することによって抑止力をこのアジア太平洋地域でも高めていこうというふうなことでございます。私はその方向性というのはこれからも続けていくべきだというふうに思っておりますけれども、動的防衛力についての小野寺大臣の評価をお聞きをしたいと思います。
  55. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 簡潔に答弁願います。
  56. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 基盤的防衛力から動的防衛力という形で検討された二二大綱議論というのは、私は大変重要な議論であったと思っております。それを受けて、いかにそれが実現性が更に増すか、あるいは今の危機に対応できるかということを真摯に検討していきたい、そのように思っております。
  57. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございました。     ─────────────
  58. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、荒木清寛君が委員辞任され、その補欠として石川博崇君が選任されました。     ─────────────
  59. 小野次郎

    ○小野次郎君 みんなの党の小野次郎です。  質問に入る前に、私の気付きの点を一点触れさせていただくと、どうしても防衛問題というのは専門的な用語が出てきますが、私個人はヒトロクだのフタフタだのという言い方は業界用語なんだろうと思っています。私自身も、だから、国会議員になる前の仕事も防衛関係のことを担当していましたから知らないわけじゃありませんけれども、やはりある種隠語に近いようなものをお互いに国会議員が使い合うというのは、やっぱり私は、シビリアンコントロールという言葉の中には、何か権力が、権限がという以前に、国民が分かる話をしようということなのであって、特定の人だけが分かる用語でやり合うというのは、どっちもちょっとやっぱり、つい言葉が出ちゃうのかもしれませんが、加減すべきじゃないかなという印象を持っています。  質問に入りますが、実は質問作り上げてから報道を見ていまして、防衛大臣がグアム島へ行っておられたんですね。その質問の方からちょっと入らせていただきますが、まず、なぜ今グアム視察だったのかということも含めて、グアム島でどういうところを視察されて、どういう印象をお持ちになったのか。一部報道には出ていますけれども、改めてお聞きしたいと思います。
  60. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 小野委員がおっしゃるように、私もこの仕事に就いて初めて、初めニジュウニ大綱と言ったらそれはフタフタだとか、戦車が、ジュウ戦車と言ったらヒトマル戦車だとか、そういう専門用語がある、そういう分野なんだなということだと認識をいたしました。なるべくこれからも、私ども広く国民の皆さんを含めて理解できるようなことに努力は必要だと思っております。  グアムについてなんですが、実は国会等でも様々、小野委員からも御指摘をいただいております沖縄の負担軽減の問題の中で、米軍の海兵隊のグアム移転というのが進んでいないのではないかという御指摘がございました。その指摘に、ある面で私どもしっかり、今グアムの移転がどのように動いているかということを見ていない状況もありましたので、昨日午前中、朝八時から視察をさせていただき、アメリカの移転先の一部であります海軍のフィネガヤン地区というところと、それから空軍のアンダーセン空軍基地に向かいまして、そこで具体的な今移転の事業について現地で説明をいただきました。  また、あわせて、ちょうどアンダーセン基地に今配備をされておりました無人偵察機のグローバルホーク、それからミサイル防衛に使いますTHAADというシステムの説明も受けてまいりました。
  61. 小野次郎

    ○小野次郎君 お話を聞いていて、一つだけ、このTHAADというやつはPAC3なんかとはどういう違いがあるシステムなんでしょうか。
  62. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 実は、THAADというのは新しいミサイル防衛体制だということで、今回米側としては初めての展開配備の装置だということで承ってまいりました。  私ども説明を受けましたのは、例えば北朝鮮ミサイル等に対してミサイル防衛をするシステムであり、従前のPAC3よりもかなり高い高度で、そして広い範囲を防御できるということの概括的な内容について説明を受けました。
  63. 小野次郎

    ○小野次郎君 大変興味がありますけど、その話は別の機会にまた教えていただくことにして、これまで我が方がこのグアム海兵隊の移転に関して負担してきた移転経費というのはどんなことに使われてきたんでしょうか。
  64. 山内正和

    政府参考人山内正和君) お答え申し上げます。  これまで在沖米海兵隊のグアム移転のため、我が国より約九百七億円を米側に提供し、このうち約二百十八億円相当の事業が米側において契約されているところでございます。  具体的には、先ほど大臣からも地名がございましたけれども、アンダーセン空軍基地あるいはアプラ地区を中心に、基盤整備事業などに係る工事や在沖米海兵隊の移転に必要な消防署などの施設整備のための設計ということに使わせていただいているというところでございます。
  65. 小野次郎

    ○小野次郎君 これに関しては二〇一二年に計画の見直しがされていますよね。現在の計画概要、あるいはどうして二〇一二年に計画が見直されたのか、途中変更の理由をお伺いしたいと思います。
  66. 山内正和

    政府参考人山内正和君) お答え申し上げます。  グアム移転につきましては、昨年四月の2プラス2の共同発表におきまして、グアムに移転する海兵隊の部隊構成や人数が見直されました。このことを受けまして、現在、米側におきまして補足的な環境影響評価を実施しており、これが完了するまでは一部を除いて事業の着手ができないという状況になっております。  他方、こういった補足的な環境影響評価の影響を受けない施設整備としてアンダーセン空軍基地あるいはアプラ地区というのがございますので、これらの地区を中心に現在は基盤整備事業などに係る工事が進められているという状況でございます。
  67. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうすると、二度の今の局長の御説明だと、既に使われた予算については有効に使われているという認識ですか。
  68. 山内正和

    政府参考人山内正和君) 現在、これまで計上してきた予算がございます。これらにつきましては、ちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、グアム移転事業を早期に推進するという観点から、現在見直しの影響を受けない範囲で事業を着実に進めるべく、日米間で協議の上、予算等の執行に努めておるという状況でございます。
  69. 小野次郎

    ○小野次郎君 でも、実際に予算の方は、平成二十一年度に三百四十六億円、二十二年度に四百六十八億円組んだのと比べると、二十三年度九十三億円、そしてついに二十五年度は二億円ということで、ほとんどこれやめるということじゃないですか。
  70. 山内正和

    政府参考人山内正和君) お答え申し上げます。  これは、決して私ども、日米両政府ともこのグアム移転事業をやめるということではございませんで、ある意味、着実に今後とも推進するということで予算の計上を行わせていただいているところでございます。  ただ、他方、先ほど来申し上げましたように、昨年四月にグアム移転事業の中身について見直しが行われ、これに基づきまして米側におきまして補足的な環境影響評価が行われるという現状にございますので、そういった意味で執行できる事業というものが限定されているというのが現状でございます。
  71. 小野次郎

    ○小野次郎君 たまたま大臣もおととい、昨日と現地を視察されてきたんですが、これは事務方でも結構ですけど、二十一年度に例えばこのフィネガヤン地区の消防署の設計をして、二十二年度には二十四億円もの工事費を支出していますよね。これ、消防署はでき上がったんですか。
  72. 山内正和

    政府参考人山内正和君) お答え申し上げます。  まず、私ども、現在米側に移転した資金のうち、契約がなされておりますのは、アンダーセン空軍基地あるいはアプラ地区におきます工事と、あと二十一年度に計上しました設計費、これにフィネガヤン地区の消防署の設計費も含まれておるわけでございます。  他方、今委員指摘平成二十二年度の工事費として計上しております、予定しておりますフィネガヤン地区の消防署の工事につきましては、まさにこのフィネガヤン地区に主たる宿営地を設けるということでこれまで事業を計画しておったわけでございますが、昨年四月の見直しにおきまして、このフィネガヤン地区を含めて、主たる宿営地について補足的な環境影響評価が行われているというのが現状でございますので、このフィネガヤン地区に係る消防署の工事費については未契約、契約されておらないという現状でございます。
  73. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうすると、この二十四億円はどこにどういう形で保存されているんですか。
  74. 山内正和

    政府参考人山内正和君) お答え申し上げます。  この二十二年度予算に係りますフィネガヤン地区の消防署を含む経費につきましては、平成二十二年九月に米側に資金移転がなされ、現在米側において管理されているという状況にございます。
  75. 小野次郎

    ○小野次郎君 じゃ、重ねて聞きますけれども、このアプラ地区というところにある司令部庁舎、診療所、これも、二十一年度に設計費をこちらで負担し、二十二年度には、司令部庁舎は二十三億円、診療所は九十億円、結構いい金額だと思いますが、負担しているんですが、この二件についてはどのようになっていますか。
  76. 山内正和

    政府参考人山内正和君) お答え申し上げます。  アプラ地区そのものは補足的な環境影響評価の影響を受けない地区ではございますが、他方で、この司令部庁舎等につきましては、今回グアム移転の人数等が変更があったということがございまして、現在この庁舎等、あるいは診療所については、整備計画について細部について米側と調整しているという段階でございます。
  77. 小野次郎

    ○小野次郎君 官僚答弁というけど、さっきフィネガヤン地区の話をしたら再評価中だと言って、じゃ、アプラ地区はと言うとやっぱりやっていないんじゃないですか。結局やっていないということじゃないですか、一言で言えば。
  78. 山内正和

    政府参考人山内正和君) お答え申し上げます。  そういう意味でも、ちょっと誤解を受けたとすれば誠に申し訳ございませんけれども、まずアプラ地区につきまして、例えば平成二十一年度に基盤整備事業ということでユーティリティー等の工事をやっております。これらにつきましては計画の見直しの影響を受けないということで、現在工事をやっておるというところでございます。  他方、アプラ地区におきます整備につきましては、基本的には影響を受けないところでございますけれども、人数等細部については調整があるということで、その部分についてはまだ契約を行っていないという現況にございます。
  79. 小野次郎

    ○小野次郎君 話を出発点に戻しますが、防衛大臣、この米軍再編の話なんですけれども、これは私の記憶に間違いなければ、二〇〇三年の十一月二十六日の米大統領の声明というのが大変反響を呼んだんですね。これが世界中において、冷戦が終わった後の安全保障環境に応じて米軍を再配置しますよということを関係国、同盟国にもそのことを相談しますからという声明が出ているんですね。それからもう十年たっているわけですよ。  これは大臣からでも事務方でも結構ですが、この十年間でいわゆる米軍再編によって世界中の米軍の配置というのは、概略で結構ですが、どんなふうに変更されたんでしょうか。
  80. 伊原純一

    政府参考人伊原純一君) 今委員指摘のとおり、米国の大統領は二〇〇三年の十一月に米軍の軍事体制見直しについて発表いたしまして、これは今御指摘があったとおり、九・一一の同時多発テロを受けまして、新しい戦略環境対応するために世界的な米軍の軍事体制を見直すということで、二〇〇三年の後半から二〇〇四年にかけて本格的にこの見直しは着手されております。  そして、現在に至るまでこれは続いておりまして、特に最近の傾向としましては、各地域ごとに、例えばヨーロッパであるとか太平洋地域であるとか、各地域ごとの安全保障環境に合わせて必要な調整を行いながら進めているということでございます。  大きなところで具体的に申し上げますと、冷戦後の戦略環境変化を受けて、冷戦期に欧州に相当大規模に展開しておりましたアメリカの陸軍の兵力、これを米本土に帰還させまして、同時にアメリカ軍の機動力を高めるということで、空軍とか海軍を中心に、機動力を高めるための軍事体制を実現するということで見直しをし、逐次実施をしてきているということでございます。  アジア太平洋地域におきましては、これもヨーロッパと同じように、在韓米陸軍について削減の対象となっておりますが、その一方で、海軍や空軍につきましてはむしろ戦力増強してきております。特にオバマ政権になりまして、アジア太平洋地域に重心を移すというリバランスの政策の下で、この地域におきましては、地理的に分散し、運用面でより抗堪性、レジリエンシーがあり、政治的により持続可能な米軍の体制を構築するということを目標に今進めておりまして、具体的には、海兵隊につきましては、この地域に展開している第三……
  81. 小野次郎

    ○小野次郎君 概略って言っているじゃないですか。具体的に聞いていません。概略って聞いているんです、さっきから質問は。
  82. 伊原純一

    政府参考人伊原純一君) 申し訳ありません。  海兵隊については、この地域にMAGTFという部隊を沖縄、グアム、ハワイ、豪州等に分散配置するということで進めていると承知しております。
  83. 小野次郎

    ○小野次郎君 質問よりも答弁がやたら長いのはちょっと御遠慮いただきたいと思うんですが、特に事務方の場合にはファクトを聞いているんであって、経緯だとか何かを聞いているわけじゃないわけですから、それは御理解いただきたいと思います。  さて、ドイツあるいは欧州、そしてまた韓国では大きな変化が起きたと、米軍の再配置について。それが概略だと思うんですよ。それに対して、二〇〇四年ころ、私の記憶では、九月二十二日に日米首脳会談となりました、二〇〇四年に。そのときに、日本の小泉総理大臣がアメリカの大統領に話したのは、抑止力の維持と並んで基地負担の軽減というのを二つの柱だというふうに言っているんですね、向こうに。  この基地負担の軽減というのは、後で沖縄のというふうに付きましたけど、元々は、我々の意思の中には、いや沖縄だけじゃない、神奈川だって青森県だって山口県にもあるじゃないかという話もあって、あえて沖縄とは限定しないで、基地負担の軽減というのが世界規模で米軍再配置が行われるのなら、抑止力を維持しながらも各地にある基地に伴う負担を幾らかでも軽くできないかという思いが我々にはあったはずなんです。  それで九年たちました。現在に至るまで、具体的に基地負担の軽減は図られたんですか。
  84. 伊原純一

    政府参考人伊原純一君) 申し訳ありません、短く答弁いたします。  今の二〇〇四年の小泉総理とブッシュ大統領の会談を受けまして、二〇〇六年に再編の実施のための日米ロードマップに合意いたしました。そのロードマップの実施として、例えば米軍機の訓練移転などを始め幾つかの具体的な進展がございます。  ただ、沖縄につきましては、その後、パッケージということで全体がなかなか動かない状況がございましたので、昨年四月の2プラス2の共同発表で、このパッケージを切り離してできるところから進めるということで対応を行い、今年の四月には嘉手納以南の土地の再編についての統合計画を公表し、今その実施をしているというところでございます。
  85. 小野次郎

    ○小野次郎君 ややもすると、この普天間の話にしても、一九九五年の婦女暴行事件が始まりであって、橋本内閣がとった措置から十八年とかよく言われますが、もう一つの大きな流れがあって、それは、二〇〇三年、二〇〇四年にこの米軍再編という問題が地球規模で行われるときに、日本としてもそれに協力すると同時にまた我々の思いを実現してほしいということで取組を始めたはずだったんだけれども、その取組が九年たって進まないで、結局、元に戻って、また平成七年の要するに婦女暴行から始まる話になると、また沖縄だけの話になるし、そのことについて地元の理解が得られるか得られないかという話にすごく極小化していくんですけれども。  是非、この十年間の動きというのは、確かに沖縄県を始めとする婦女暴行事件から始まった流れもあるんだけれども、しかし、もう一方で、ブッシュさんと小泉さんとの首脳会談での、米軍再編の中で日本の米軍基地の負担を軽減するんだという、両首脳のある種の共通理解があったわけですから、それを実現してほしいという、その流れもあるわけで、是非、政府にはそういう大きな視点、まさに歴史的な、若干歴史的な視点を持って引き続き取り組んでいただきたいと思います。  次の質問に移りますが、日米地位協定の見直しについて私は予算委員会でも度々取り上げてまいりましたが、端的に申し上げて、公務中などの理由で米側が第一次裁判権を有する事件、これは軍という組織の特殊性から、ある程度私は意義を認めないわけではないんですけれども、しかし、一般市民と同じような、強姦とか殺人とかそういうことについては、刑事手続の最初から、日本人や、あるいはたくさん日本に住んでおられる一般外国人と同じ取扱いをすべきじゃないかと。その意味で地位協定の見直しをすべきだと思いますけれども大臣の御認識をお伺いします。
  86. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日米地位協定ですが、地位協定第十七条5の(c)におきまして、米軍人等の身柄が米側の手中にある場合、日本側が起訴するときまで、米側が引き続き拘禁する旨を規定した規定ですが、この点については、NATO地位協定など他国の協定と同様ということになっています。  このため、この規定を前提として、我が国においてはこの運用の改善を図ってまいりました。一九九五年の日米合同委員会の合意によって、凶悪な犯罪について起訴前の拘禁移転を可能にする道を開きました。現状において、実際に起訴前に引渡しが行われている例は、米軍駐留国の中では日本だけであります。  こうした運用の改善によって様々な努力が積み重ねられているわけですが、是非現実的、具体的な結果を出すために、これからも運用改善において最大限努力していきたいというのが我が政府の考え方です。
  87. 小野次郎

    ○小野次郎君 私は、広い意味では、この地位協定というようなものも基地の存在に伴う負担、軽減してもらいたい負担の一つだと私は思うんですよ。  それで、今お話しになった九五年の話について言えば、九六年に適用されるかどうか分からない事件が佐世保というところで起きた。それは、米軍の特殊部隊に経験のある方が、真っ暗やみの中で、ハンドバッグを持って帰っている女性の、OLだったと思いますけれども、気管を切ってハンドバッグを取ったという事件があって、ただ、命は助かったんです。  そうしたら米側は何と言ったかといったら、これは殺人と強姦についてだけ引き渡すという合意であって、命が助かった以上、殺人じゃないんだから、この合意の対象じゃないんだと言った。でも、その使ったナイフだって、それは普通の人間が持っているナイフじゃなくて特殊部隊用のものであったし、気管を切断して物を奪うというのは、ジャングルなんかの戦闘のときに、ぎゃあって声が上げられないようにするための戦闘方法なわけですよ。  そういうやり方までされている事件が起きても、これが合意の対象かどうかが曖昧であって、殺人未遂だと言えば殺人じゃないかとなるけど、傷害だと言えばそれはならなくなるわけで、傷害と強盗だと分けてしまえば。そのときには物すごく国内世論が、去年あれだけ合意したはずなのにということで沸騰しました。結果、米側は引き渡してくれたと私は理解していますけれども、そういう問題がいつでも起きるんです。  強姦と強制わいせつ、これは余りこんなこと、口で言いにくい構成要件の違いですけれども、それだってあるんで、やっぱり凌辱されているということは同じであって、こっちは違いますよみたいなことにいつもなるんで、是非私は、運用の改善というような丸い表現じゃなくて、この見直しについては今後とも犯罪関係でも考えていただきたいということを申し上げておきます。  もう一点は、今度、同じ地位協定でも環境問題ですね。土だとか水だとか大気については、これはその施設の外にももちろん日本国土ですから影響及ぶわけだし、あるいは、いつかそれが返還されたというとき、施設が返還されたときにもいろんな環境上問題のあるものが残っているという話が前から出ているんですね。今は管理を米側がしていますからそれがはっきりと出てくることは少ないんですけれども。私は、一般的に日本の国内法令は尊重しますというふうに、十六条だったか何かでなっていますけど、尊重じゃ済まないと、環境に関してはきちっと米側が我が国法令の適用をするんだというようなぐらいの見直しを図っていただきたいと思うんですが、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  88. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 米軍施設・区域における活動において、環境問題、これは周辺住民にかかわる重大な問題だというように認識をしております。  そして、環境につきましては、この日米間、二〇〇〇年九月の2プラス2において環境原則に関する共同発表が発出され、環境保護の重要性が高まっているという認識確認をされております。そして、この発表を受けて在日米軍においては、環境保護の取組としまして、日米の関係法令のうち、より厳しい基準を選択するという基本的な考え方の下、日本環境管理基準、JEGSを作成するということになりました。二〇一二年版JEGS、公表をされております。  こうした環境問題に対する取組ですが、引き続きまして政府としましても、日米合同委員会、さらにはその下に設けられました環境分科委員会、こうした枠組みを通じて協議をしていきたいと考えております。環境につきましての問題意識、しっかり持ちながら対応していきたいと考えております。
  89. 小野次郎

    ○小野次郎君 米政府の誠実な考えというのを疑っているわけじゃないんですけど、しかし、これは犯罪の問題も環境の問題も、そうなっているかどうかって、隅々までそれが徹底されているかどうかが問題なんですね。犯罪に関する対応についても、綱紀の粛正だとか外出禁止だとかってその都度その都度出ているけど、現にやっぱり起きているわけで、環境の問題についても、今の大臣の御説明だと、そのとおりなっていれば問題ないんですけど、現実に地元の方からの報道なんかでも、環境問題について問題のある状況が施設内であるんじゃないかという指摘をされていることもあるので、今日私はそのことを申し上げました。  今度、思いやり予算についてお伺いしますが、思いやり予算というのは二〇〇六年、二〇一一年と見直しをしてきました。その都度、私の理解では、日本政府側から今度はこういうところ見直し掛けるんだというのが結構事前には出るんですね、大臣クラスだと思います、あるいは官邸かもしれませんが、出るんだけれども、実際に見直しの協議をしてみると、ほとんど見直されないということが続いてきました。  二〇〇六年のときは私はたしか衆議院にいて、その審議に加わったことありますけど、ボーリングというから掘る方のボーリングかと思ったら、ボウリング転がす人だとかバーテンダーだとか、そんな人の給料まで払っているんですよね、日本側で。普通に考えて自衛隊でもそういうことは税金でやらないんじゃないかということを、何で米軍だと税金でやるんだというのは誰でも思う疑問なので、この思いやり予算の見直しってまた二〇一六年に迫ってくるわけですが、これまでの具体的な見直しの成果、そしてこれから見直しの方向について大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  90. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 思いやり予算を使った職員に関しての役割について委員の御指摘がございましたが、今はそのような、例えばボウリングとかそういう業務に携わる方はそれは独自に米側のお金で雇っていただきたいということで対象にしていないというふうに私ども報告を受けております。  その中で、二十三年四月に発効した現行の協定でおきましては、日本側が負担する労働者の上限を二万三千五十五人から二万二千六百二十五人に段階的に削減していくということ、それから、光熱水料につきましては、二百四十九億円の上限を設定した上で、日本側の負担をこの協定中に七六%から七二%に削減していくということであります。  この協定は二十三年から二十七年の五年間ということになりますから、その後の見直し検討ということになると思います。これは、これから様々政府内でも議論をしながら米側と協議をしていきたい、そのように思っております。
  91. 小野次郎

    ○小野次郎君 これもやっぱり私は基地負担の軽減、そういう存在することに伴う、国民が税金で負担しているわけですから、負担の一つだと思うんです。さっきの地位協定の話もしました。いろんなまだ軽減してもらいたいところがあるので、是非政府には、政権が替わった直後でございますけれども、そういう視点で取り組んでいただきたいと思います。  最後に、時間が少しありますので、岸田大臣にお伺いしますが、核廃絶、唯一の被爆国であるわけですが、この先頭に立っていただきたいと私は思っています。この核軍縮や核不拡散についてどのように取り組む考えか、大臣認識をお伺いしたいと思います。
  92. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国は唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界に向けてしっかりと議論をリードし努力をしていく大変重要な責任を担っていると考えております。  そういった中にありまして、我が国としては、例えばNPDI、軍縮・不拡散イニシアチブ、非核兵器保有国が集まり、NPT準備会合等にも様々な提言を行っておりますが、こうした枠組み等を通じて具体的、現実的にこの大きな目標に向けて努力をしていかなければならないと考えています。  そして、先日、オランダ・ハーグで行われましたこのNPDIの外相会合、私も出席をさせていただきましたが、その場におきまして我が国考え方をしっかり表明すると同時に、例えばユース非核特使、若い世代にもこうした核の実相を世界にしっかりと訴えていただく。実際、被爆者の平均年齢、かなり高齢化しています。次の世代にもこうしたこの悲惨な実相をしっかりと引き継いでもらうための具体的な提言もさせていただきました。  引き続き、こうした場を通じまして我が国からしっかりと発信をしていかなければならないと思っていますが、このNPDIの外相会合は来年は我が国の広島で開催することがもう既に決まっております。是非、この広島で開催されますNPDI外相会談におきましても、多くの広島を訪れる各国の外務大臣にもこの被爆の実相に触れていただく、こうした機会を設けることによって、我が国のこうした発信をより具体的に、そして大きなものにしていきたいと考えております。こうした努力を積み重ねながら、先ほど申し上げました核兵器のない世界という大きな目標に向けてしっかりと努力をしていきたいと考えております。
  93. 小野次郎

    ○小野次郎君 核廃絶に向けた我が国の基本的姿勢を国際社会に発信することが大事だと思うんです。その、十か国だと聞いています、NPDI外相会議ですか、それも大事だと思いますが、例えばそういう機会にもっと多くの国から来ていただくような会議を企画するとか、あるいは毎年国連軍縮会議というのも各県で持ち回りでやっているのありますけれども是非、広島とか長崎とか、そういう来ていただいた方が改めてその問題の深さ、広さを分かるような場所を使って、日本の核廃絶に向けた基本姿勢を広く国際社会に発信する場を設けていただくように、その御検討をいただくよう政府にはお願い申し上げて、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
  94. 佐藤公治

    佐藤公治君 生活の党、佐藤公治でございます。  まずは冒頭、一つの皆さんに御提案をさせていただきたいんですけれども外交防衛委員会、いつもこうやって質問をさせていただくと、これは誰も委員がお分かりのように、表で言えること、言えないこと、そういったことが数多くある。ほかの委員会と同じような形でこうやって委員会をやることが果たしていいのかどうか、私はいつも疑問に思っております。その意味では、まさに国会議員が与野党を超えた状況の中でのクローズな形でのコミュニケーションを常に取っていく、そういったことがあった上で、当然国民に開かれるべき我々国会、委員会が国民の皆さんにいろいろと状況や御説明をしていく、当然のことです。  しかし、この外交防衛委員会を非常に今やりづらいというかですね、今の状態でいくと。ここら辺を国会の中で与野党共にもう一回考え直して、やはり外交防衛委員会はちょっと特殊性が非常にあり、言えないことをみんな分かっている、でもそれがとても大事なこと。まさにそれは政治家がお互いが責任を持ってこの国のかじ取りをする上では、その国会の在り方、委員会の在り方、実はこういったことは前政権のときにも随分議論をしたんですが、それができずに、かなわず今日まで来ていることは私は残念に思っている部分があります。  どうかそういったことも踏まえて、外交防衛委員会の在り方というもの、国会での在り方というものを与野党における話合い、在り方、そういったものがあるからこそ外交防衛継続性というものが与野党共に取っていけるんではないかと思うと、その在り方を皆さん、もう一度考え直していただけることが有り難いかと思いますので、冒頭、まずそういった提案をさせていただきたいかと思います。  まず最初に、今日、質問の第一番目は、マスコミを大変騒がせているというか、報道が多くあります橋下大阪市長の一連の発言が日本の外交防衛にどのような影響を与えているのか、与えてしまっているのか。と同時に、それがプラスマイナスというものがあるんだとするんであれば、マイナス部分がどう皆様方の今後、何とかそれをリカバーするために作業をしていかなきゃいけないのか、そんなことも含めて、両大臣の御見解というか御意見をお聞かせ願えれば有り難いと思います。  まず、岸田外務大臣からお願いします。
  95. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、橋下大阪市長の発言ですが、基本的には、他党の党首の発言ですので、政府の立場からコメントするのは控えさせていただきたいと思いますが、ただ一つ、再三申し上げておりますように、この橋下市長の一連の発言、この安倍内閣の立場、また私の認識とは異なるということであります。  現内閣におきましても、これまで歴史の中で多くの戦争があり、その戦争の中で多くの女性の人権が侵害されてきました。二十一世紀は是非人権侵害のない世紀にしなければいけないということで、我が国としても外交努力を続けているわけであります。また、この慰安婦問題につきましても、筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々のことを思いますときに、誠に心が痛みます。こうした認識につきましても歴代内閣と同じくしているところであります。  こうした政府の認識につきまして、改めて、この橋下市長の発言が国際的にも大きな議論になっている現状ですので、我が国認識考え方、これをしっかりと伝えていく努力を様々なルートで行わなければならない、こうしたことを強く感じています。各国政府に対してしっかりと説明する、これは当然のことでありますが、各国の議会あるいはメディア、こういったルートを通じましてもしっかりと我が国の立場、考え方、示していかなければならないと考えております。  いずれにしましても、この問題、政治問題あるいは外交問題化させるべきではないというのが我々内閣の考え方であります。
  96. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 今、岸田大臣お話しされたように、これは他党の党首の個別の発言でございますので私の方からコメントすることはないと思いますが、政府の立場というのは岸田外務大臣がおっしゃったとおりでございます。  私ども、これから累次の機会を得て政府の立場というのをそれぞれの国に示すこと、理解を得ることも大切な役割かと思っております。明日から国会のお許しを得てシンガポール・シャングリラにおきまして東南アジアを中心とする防衛大臣会合がございます。その際にも、機会を見付けて私の方から日本政府の立場についてはこれらの国々に話もしていきたい、そのように思っております。
  97. 佐藤公治

    佐藤公治君 大阪市長というよりも党の代表と言うべきなのかもしれません。当然、その発言に対しての問題、又は我々政治家のまた再度やはり責任といったものを改めて考えなきゃいけない部分もあるかという部分もありますが、私がお聞きしたいことは、この一連のことで、具体的に言えばアメリカや韓国との外交関係、防衛関係に何か支障が具体的に出てきているか出てきていないか、その辺の辺りをお聞かせ願えれば有り難いというふうに思っております。両大臣お願いします。
  98. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この問題につきまして、各国政府関係者あるいはそれぞれの国の世論におきまして様々な発言があり、そして議論が行われているのは事実であります。是非、こうした状況の中で、我が国政府としましては、我が国政府のこの問題に関する立場、考え方、これをしっかりと説明することが求められていると考えています。そして、そのことによって逆に外交においてもこの問題が影響を及ぼすことがないようにしっかりと努めていかなければならないと考えています。
  99. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 二国間の安全保障環境あるいは多国間の安全保障環境というのは様々な要因が積み重なってでき上がっていくものだと思いますので、今回のことでどのような安全保障に影響があるかということについては私ども特にここで論評するような内容ではないかとは思っておりますが、いずれにしても、そのような影響が出ないようにするのが私ども役割だと思っておりますので、累次の機会を通じて、特にこれは対話の中で日本政府の姿勢というのを理解していただくことが大切だと思いますので、その努力を積み重ねていきたいと思っております。
  100. 佐藤公治

    佐藤公治君 また冒頭の話にも戻るんですけれども、私は今、影響が具体的にどう出ているのかということをお聞きしたんですが、なかなか答えづらいんだと思います。  何が言いたいのかというと、確かに与野党で、こうやって皆さん方とはある意味対決をした状態での委員会状況。しかし、この外交防衛関係というのは、交渉相手というのか、まあ敵という言い方、戦う相手という言い方はちょっと言い過ぎかもしれません、それは外にあるということですね。それを考えたときに、やはり国会において、また議員間においてのもうちょっと意思疎通なり考え方なり、そういったものを常日ごろからすり合わせておく必要があると。もうこれがないことには外交防衛は僕は成り立たないと思っています。その意味では、冒頭に話したようなこの国会や委員会の在り方、そして与野党における国会議員のやっぱりコミュニケーションといったものをより充実させていかなきゃいけないかと思っております。  では、本題にちょっと入らせていただきたいかと思いますけれども、まず最初に、マスコミ報道の話を前提に質問いたしますので、多少事実とは違っていたり、先ほど、お話を聞いていると数字が多少違う部分があるかもしれませんので、私の数字は約というふうに付けさせていただきたいかと思います。  まず最初に、自民党政権防衛費、定員に関して、先ほども質問が幾つかございましたけれども平成二十四年総選挙の自民党公約というか、内閣発足に当たる十二月二十六日、安倍総理の小野寺防衛大臣への指示ということで、二十五年度予算において防衛費を一千億円増やし、人員も千二百二十人削減計画を見直すと、こんな話があったというふうに承知しております。実際問題、この一千二百二十人削減計画を見直す、千人増強に相当というような意味合いというふうにとらえておりますけれども、結果としては約四百億円の増額と約二百七十人の増員となりました。この中で、陸上自衛隊が約九十四人の増員が認められていますが、既に看護学生七十人の非自衛官化の実員が減るために、実際は約二十四人の増員にしかすぎません。  政権を取った自民党の公約、総理大臣の強気の発言などによる防衛費の増額、自衛官の増員が、これは新聞や何かに書かれてありますことを見れば、財務省官僚、組織によって削減されたなんということが言われているわけですけれども、これでは政治家としての総理大臣の信頼度、極めて低くなってしまうようにも思いますが、総理を支える防衛大臣の政治手腕が問われていると思いますが、この点どうお考えでしょうか。  私は、その公約、言っていることができていないということへの批判もありますが、防衛省・自衛隊に対しての応援的な意味合いなり気持ちを持って質問しているということでお答え願えれば有り難いと思います。
  101. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 先生には、いつも温かい御支援、時々厳しい御指摘もいただいてありがとうございます。  先ほどお話がありました、昨年の内閣発足時で例えば予算のことが具体的に指示があったかというのはちょっと私も記憶にありませんが、いずれにしても、二十五年度予算の編成をするに当たって、私どもとしては今の防衛環境を含めてやはり増額をするということを要請をさせていただきました。  ただ、その中で大切なのは、やはり今財政状況も厳しいというところですので、削るところはしっかり削った上で、必要なものは必要だということで予算要求をさせていただくということで今回対応させていただいた中で、最終的には、私どもが必要な装備等検討させていただいた一千億の増加ということが要求の中で、ただ、その中で削れるものもあるでしょうということで削減の努力を六百億させていただきまして、都合合わせて四百億の増ということになりました。また、実員の増加につきましても、今回は過去しばらく実員の増というのがなかった中で増加をしていただきましたので、予算はたしか十一年ぶり、実員の増というのもかなり久方ぶりの増加だというふうに思っております。  私ども、財政状況厳しい中で今回このような予算をお認めいただいております。今日いらっしゃる委員の皆様含めて、防衛関係御支援していただける皆さんに感謝を申し上げたいと思います。
  102. 佐藤公治

    佐藤公治君 そうなんですけれども、ここが非常に大事なところにもなるかもしれませんが、二十五年度予算について、報道では十一年ぶりの防衛費増額などとされていますよね。自民党政権防衛に力を入れているような印象を与えていますが、これで防衛予算を減らし、人員も少なくしてきたのは、今まで自民党政権と言える部分もあるのではないかと思います。  今回の増額は、主に中国を意識した南西諸島防衛のための予算増額としていると思いますけれども、自衛隊全体に対する任務は、カンボジアPKO派遣以来、国際貢献を始め東日本大震災への十万人規模の派遣など、国内外の情勢に応じて、自衛官でなければできない任務が大きく増えるばかりだと思います。  しかしながら、防衛予算はずっと減額が続いてきましたし、また、任務遂行の基本となる人員も増員されていなかったと。任務遂行の基本となるのは私は人だと思いますので、特にその教育訓練を平時からしなければならず、もう言うべきこともございませんが、事あるときにきちっと任務が果たせるように、そうしないとなりません。任務量に応じて適切な防衛予算の増額と自衛官の増員を行い、適切な教育訓練を継続的に行うことが必要と考えますが、いかがでしょうか。  まさにこれは危機管理体制における、確かに近代的な装備等々も必要ですけれども、私はやっぱり人ということが大事であり、ここにお金を使っていくということがとても今後の防衛、自衛ということに関しては大事だと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  103. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 御指摘の今回の防衛装備体制の充実というのは、あくまでも我が国防衛ということで、特定の国を意識した形じゃないということを前提に今予算要求をさせていただいております。  その中で、特に今御指摘がありました部隊の練度向上を高めるための教育訓練の強化ということに関しては、今回の予算の中で五十四億円見させていただいておりまして、このような形で、少なくても隊員が日々しっかりと活躍できるような訓練環境を整えていきたい、そのように思っております。
  104. 佐藤公治

    佐藤公治君 是非ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  この後の質問、時間があればしたいこと幾つかあるんですけれども、まさに岸田大臣も広島ということで、広島の自衛官の方々を見ていると何とかしてあげたいと。これはただ、感情的に、情緒的に思ってはいけないこと。だけども、思いとしては何とかできることはしてあげたい、そういう思いで聞かせていただき、また応援もしていきたいというふうに思っております。  さて、先ほどの大綱に関してのお話が質問でもございました。民主党政権下で平成二十二年に新防衛大綱策定され、安倍総理はこの大綱の全面的な見直しを指示され、現在の防衛大綱を停止し、年内に新たな大綱策定する準備をされていると承知しております。  幾つか質問をまとめて聞かせていただきたいと思いますが、二二大綱と言うのか二十二大綱と言うのか、では動的防衛力ということが特徴的に取り上げられました。自民党での現在の検討、これは自民党の中の議論なんで、逆に宇都先生や何かに答えていただいた方がいいのかもしれませんけれども、その中で強靱な機動防衛力等の表現が盛り込まれているというふうに伺っております。  現在の防衛大綱で示されている動的防衛力防衛大臣はどのように理解されているのかと同時に、現在、自民党検討されている強靱な機動力とどう違うのか、その辺の辺りの御説明をいただけたら有り難いということとともに、動的であれ機動的であれ、根本的には本来必要な場所に必要な装備、人員を配備すべきところ、これができないために運用、すなわち機動とか動的に移動させてカバーしようとする考え方だと私は思いますが、抜本的に見直すのであれば、必要な場所に必要な装備、人員を配備するよう考える必要が、それは余裕があるなしの問題が、効率性もありますが、それがやはり基本だと思いますが、そういったことも含めて御説明を願えれば有り難いと思います。
  105. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 基本的に二二大綱の中で策定された防衛大綱、これは運用を重視した動的防衛力を構築するということなんだと私ども理解しておりますし、この方向というのは私どもも大きな違いはないんだと思っております。その中で、警戒監視等の平素からの活動の常時的な継続な実施、あるいは各種事態への迅速、シームレスな対応、国際協力への積極的な取組といった運用ということに焦点を当てた防衛力、これを更に推進するということが大切かと思っております。  今自民党の方で議論されているということは承知はしておりますが、まだ具体的な内容について政府の方に具体的に提案という形でいただいていないということでございますので、今後、そういうことも検討しながら私どもとして考えていくこと、そしてまた、現在は在り方検討会という中で副大臣中心に今議論を重ねていただいていることでもありますので、そのことを踏まえて今後の方向を考えていきたいと思っております。
  106. 佐藤公治

    佐藤公治君 またこれも冒頭の話に戻りますけれども、お互いが与野党共にそういったところをきちっとすり合わせながら基本方針を進めていけば、無駄とは言いません、妙な上っ面のぶつかり合いがないまま行けるんではないかと思いますので、その辺の辺りはよくよく考えて進めていただけたら有り難いかと思います。  質問はほかにも幾つかあるんですが、もう時間がなくなってきましたので、佐藤政務官がお座りになられているので少しその関係もお聞きできれば有り難いかと思うんですが、佐藤政務官は委員のときに随分お話しされていたこと、これに関して言う人がだんだんいなくなってしまったのか、私も、今までの議論とか、なぜできないのかという本質的な問題というのがございますけれども、自衛官の誇りや処遇改善といったことについて少し御質問をさせていただければ有り難いかと思います。  自衛官の誇りを保つことと処遇改善の方策はいろいろとあると思っておりますが、一つには、自衛官が望んでいると私は聞いておりますが、階級呼称の変更があり、昔までは船室や列車も一等、二等などの等級がありましたし、十五年までには勲章についても勲一等、勲二等などの呼称が用いられています。しかしながら、自衛官の階級呼称はいまだに一等、二等の等級が用いられております。  これに関しては、もうよくよく、佐藤政務官よく御存じのことだと思いますけれども、外国では自衛官も大佐、中佐、大尉、中尉などの呼称で英訳で呼ばれておりますが、こういったことを国際的な呼称と国内的な呼称、ダブルスタンダードを是正して普通の呼称にすべきという考え方もございます。ただ、これは安直、安易にできることではないとは思います。また、認証官ということもあり、これも安直、安易に私はできるということでは思っておりませんが、こういったことがなぜなかなか進まないのか、又はできないのか。  私は、実は防衛省のある程度答弁はもう見ております。そういうことも前提にして、もう本音で、少し佐藤政務官に、委員のときに随分おっしゃられていたことが、政府の中に入り、三役になり、どう今そういうことを思われているのか。又は、広島の自衛官を見ていれば、何遍も繰り返します、感情的に、情緒的にはしちゃいけない、ちゃんと整理するものをしないと、それは誤解を与えることにもなりかねなく、筋論を曲げることにもなる。そういうことはそういうこととして、佐藤政務官が政務三役になり、政府に入り、どういうふうにこういった自衛官の誇りや処遇改善といったものを考え、それに尽力しているのか、お聞かせ願えれば有り難いと思います。簡単にお願いいたします。
  107. 佐藤正久

    大臣政務官佐藤正久君) 委員にお答えいたします。非常に有り難い大事な指摘だと思っております。  今現在、私の下に自衛官の処遇改善ということを検討するチームをつくっており、各幕、そして内局一体となって、自衛隊としてできること、自衛隊以外の政府全体としてやることを含めて今精査をして、できれば予算要求や大綱、中期の方につなげていきたいという検討を今しております。  細部はまだ外に発表できる段階にはありませんが、ただ、一番大事なことは、今委員から御指摘がありましたように、自衛隊の一番の根幹は誇りです。名誉です。処遇の中で一番、これが一つかといったら、私は名誉とか誇りの部分だと思っています。その名誉と誇りの部分をどういう形で具体的な形でこれを見せることができるか。当然、それは今委員については、階級とかあるいは叙勲の問題、いろいろあると思いますけれども、非常に幅広く今検討しているという状況であります。
  108. 佐藤公治

    佐藤公治君 国際基準に合わせたまさに呼称ということ、これができづらい、しづらいということであるのであれば、私は逆に、一等陸佐、これは英語の辞書を引くとキャプテンとか、もう御存じだと思いますが、向こうで呼ぶ訳の部分ですね、そこにちゃんと辞書に一等陸佐とか海佐とか、そういう部分が私の調べている範囲では訳の中に入っていないんですね。そういう逆の発想において徹底し、ちゃんと自衛官の皆様方の立場や階級といったものを国民の皆様方によりきちっと理解していただくこと、逆のやり方もあるのではないかなと、そういうのを周知徹底させること。  それと、今先ほど佐藤政務官がおっしゃられた叙勲の件ですね。これに関しては、現在、自衛官は最高位が、私が聞いているところによりますと、統合幕僚長で自衛官としての叙勲は最高位の勲二等旭日章というふうに聞いております。現在の叙勲体系からは瑞宝章となりますが、瑞宝重光章が最高となるということですね。一方、在日米軍司令官などは、一年か二年の日本勤務で通常、旭日大綬章が贈られます。これは、外交儀礼、致し方がないことかもしれませんが、三十数年国家に奉職して自衛官の最高位に就いた者が叙勲されるのが瑞宝重光章というのはいかがなものかと私は思います。これは本当に、旭日重光章は、在日米軍副司令官で、少将にも贈られていると聞いているんですね。  やっぱりこういうところが、ささいかもしれません、でも、先ほどお話しされた名誉や誇りということであると、とても私は大事なことであり、統合幕僚長、陸海空各幕僚長は大将に相当しますので、今言いました在日米軍副司令官に対する叙勲と比較するといかにも不適切に思えるところがあり、この件に関しては是非防衛大臣、ちょっとそこら辺の辺りを、御見解というか、今後その辺の辺りをどう考えていくのか、少しお聞かせ願えれば有り難いと思います。
  109. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) いずれにしても、大切なことは、私ども防衛省・自衛隊が国民にしっかりと信頼され、その役割を果たすということ、そしてその役割を果たす過程において、やはり、今叙勲のお話がありましたが、隊員の処遇についてはしっかりとした処遇をしていただきたいということが国民世論の中でしっかり前に進むことが大切だと思います。  佐藤委員には本当に大事な指摘をいただきました。感謝を申し上げます。
  110. 佐藤公治

    佐藤公治君 是非とも皆さん方々には、与野党、また基本的な考え方、やり方は違うにしても、やはりこの国を思い、自衛隊の皆さん方々に敬意と感謝を持つ気持ちは同じだと思いますので、そこら辺は共通した思いでお願いができれば有り難いかと思います。  もう時間がないので、済みません、岸田大臣、お待たせしました。もうまとめて全部聞きますので、まとめて答えていただけたら有り難いかと思います。  国連での日本の現状について少し具体的な質問をさせていただきますが、二〇〇〇年には二〇%を超えていた我が国の国連分担金は、アメリカに次ぐ二位を維持しているとはいえ、一〇%台まで低下して、一方では中国などの新興国の分担金は上昇し、世界経済の構造変化を表しているのだと思います。我が国は、安保理改革や常任理事国入りを訴える際、これにもいろいろと議論、問題はあります、国連財政の貢献をその材料の一つとしてきたが、その比重は低下しております。  今後の国連外交には、他の加盟国を動かす理念他国と個々の課題ごとに行う連携、協調が一層求められているというのは御存じなとおりでございます。こういったことを政府はどのように取り組んでいくのかということも含めて、私は質問で投げさせていただいておりますけれども、この旧敵国条項というのがずっと引っかかっております。いいときはいいんですけれども、悪くなったときにこれが大変な我々にとって足かせ、手かせになり得る。  死文化されているとはいうものの、国連憲章は、第二次世界大戦の連合国と戦った我が国やドイツ等を対象とする旧敵国条項が今なお存在をし、一九九五年の国連総会決議により規定の死文化が明記されております。条項を削除する憲章改正はいまだ行われてなく、旧敵国は国連に加盟した後も、旧敵国に対する戦後措置百七条や旧敵国の再侵略に備える強制行動という五十三条の対象であり続ける。  我が国は、安保理改革や常任理事国入りを訴える際、国際の平和と安全にグローバルな役割を果たすという意思、能力がある国としての主張を展開してきたと思います。旧敵国条項の問題にも向き合うべきと同時に、この削除をやっぱりスピーディーに、粘り強くやって早く取り除かなければ、私は領土問題をめぐるこういった問題において、日米安保条約の発動を旧敵国条項を用いて無効化しようとする指摘すらもあるというふうに言う有識者の中でおります。これは法律上、私はあり得ることだという危険を持っている。だからこそ、もうこれはいいというのではなく、やはり国連においての今までの活動も含めて、これを粘り強く、そしてやはり各国との、今ODA含めて我が国が貢献していることとひとつ、まあ交換条件ということは言い過ぎ、いやいや、そんなことはない、僕は、交換条件としてもいいぐらい、やはりきちっと各国に了解をいただいて、即座にこの削除を願うべきだと思いますが。  外務大臣の、今もう全部まとめて質問してしまいました、そういうことを含めての御見解と、これからのお気持ち、姿勢を聞かせていただけたら有り難いと思います。
  111. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 簡潔に願います。
  112. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、国連における分担金と存在感について御質問がございました。  まずもって、我が国、今経済の再生に取り組み、また安全保障を始め様々な分野において国際的な存在感をしっかりと示していこうと努力をしております。国連における存在感につきましても、こうした基本的な我が国国際社会における存在感がまず求められると考えております。あわせて、国連におきましては、幹部職員の増員等、様々な努力を積み重ねていく。そのために人材育成のための裾野を広げていかなければいけない等々、様々な工夫をしていかなければいけないと考えております。是非、国連における我が国存在感、しっかり示せるようにしっかりと努力をしなければいけないと考えています。  そして、あわせて、敵国条項について御質問がありました。  国連憲章におけるいわゆる旧敵国条項につきましては、私も委員と同様、大きな関心を持っております。この旧敵国条項につきましては、一九九五年に国連総会で既に死文化しているとの認識を示す決議が採択をされています。また、二〇〇五年には、国連首脳会合でこの国連憲章上の関連する条項における敵国への言及を削除するとの加盟国の決意を示す成果文書が採択をされています。ただし、死文化したとはいえ、日本として引き続き敵国条項の削除、求めていくのは当然だと思っています。  ただ、その際に一つ考えなければいけないのは、旧敵国条項削除に当たっては国連憲章の改正が必要になってきます。大変高いハードルがあります。加盟国の三分の二の賛成、そして安保理の全ての常任理事国を含む加盟国三分の二による批准、こうした高いハードルがあります。ですから、同じく国連憲章の改正が必要となる安保理改革、こうした課題議論、我々はこの安保理改革につきましても今前向きにしっかりと進めなければいけない。この努力をしているわけですが、こうした国連憲章改正を必要とする他のテーマの議論の行方等、こういったところも十分留意しつつ、具体的に旧敵国条項についてもどのように削除していくことが現実的なのか、これをしっかり考えていかなければいけない、このように思っております。
  113. 佐藤公治

    佐藤公治君 是非お願いいたします。  僕はこの問題は、子や孫の次の世代には残すべきではない、それを我々が解決する責務、責任があると思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  114. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  115. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査を議題とし、外交基本方針及び国の防衛基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  116. 山内徳信

    山内徳信君 安倍首相は、四月の参議院予算委員会での答弁の中で、侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない、国と国との関係で、どちらから見るかで違うと答弁されました。これは間違った答弁だと私は思いました。そこで、国際社会から日本の安倍首相の見識が問われる重大な問題だと思っております。したがいまして、改めてこの場で侵略問題を明確にしておく必要があると思いまして、質問いたします。  質問の一つは、一九七四年十二月十四日、国際連合第二十九回総会で侵略の定義に関する決議が採択されております。外務大臣防衛大臣は御存じと思いますが、いかがですか。御存じですか。
  117. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、国連総会におきましてはこの侵略の定義に関する決議というものが採択をされています。この決議につきましては、安保理が侵略行為の存在を決定するための指針ということで定められたと承知をしております。
  118. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 国連総会決議三三一四号ということで存じております。
  119. 山内徳信

    山内徳信君 その決議の第一条は侵略の定義、第二条は武力の最初の使用、第三条は侵略行為がそれぞれ規定をされております。  したがいまして、安倍総理の先般のこの答弁は間違った答弁だと思います。是非、両大臣を通して官邸を始め首相にもお伝えをして、以後このような間違い答弁がないようにしていただきたいと、そういうことを要望しておきます。どうぞ。
  120. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の国連でのこの決議ですが、先ほども申し上げましたが、安保理が自ら侵略行為の存在を決定するための指針というふうに位置付けられております。そして、この決議の中、見ていきますと、この定義のいかなる規定も国連、国際連合の諸機関の任務と権限に関する憲章の規定の範囲に影響を及ぼすものと解してはならないというような記述、そして、この侵略行為が行われたかどうかという問題は、各特定の事例の全ての事情に照らして考察されなければならない、こうした記述となっております。  この決議に……
  121. 山内徳信

    山内徳信君 長い答弁は求めていません。
  122. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ですが、この決議はあくまでも安保理の指針を定めたものであります。  この決議も含めて、国際法上、侵略の定義につきましては国連等で様々な議論が行われております。しかし、その中で、我が内閣としてこの侵略の決議を否定したということは一度もないということも御理解いただきたいと存じます。
  123. 山内徳信

    山内徳信君 これは、国連で七か年掛けていろんな立場、いろんな角度から検討した結果がこの侵略に関する決議でございます。そして、これは一九七四年でございますから、既に日本は国際社会に復帰をして相当の時間がたっておるわけです。  こういう国際連合の中で決議されたことを真面目に真摯に、やはり日本政府は国連の立場に立って対外的にも、あるいは国会への答弁もそういう答弁をしていただきませんと、そのことがその後アジアの国々にどのような影響を与えたかはあえてここでは申し上げません。皆さん、両大臣が、御承知のとおり、そういう発言が近隣アジアの国々との関係を決していい方向には持っていっていないと、こういうことは謙虚に反省をすべきだと思います。是非外務大臣防衛大臣からそのことを官邸の方にも伝えていただきたいと思います。伝えていただけますね、防衛大臣
  124. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 今外務大臣からお話がありました侵略の定義につきましては、国連の場において様々な議論がなされているということは承知をしております。  我が国としまして、私どもとしまして侵略の事実を否定したことは一度もないということ、これは一貫した総理のお立場でもあると思いますので、私はそのような姿勢を共にしているということであります。
  125. 山内徳信

    山内徳信君 歴史的な、何といいますか、侵略について否定したことはないということは、言葉を逆に言えば、過去のアジア太平洋戦争の中では侵略行為もあったと、こういうふうに認めたということになるわけでございます。  それでは次、二番目に進めていきます。これは主として防衛大臣にお伺いしたいと思います。  実は、読谷村内にトリイ・ステーションという在沖米軍、在沖陸軍の通信施設がございます。その通信施設に今回の再編統合計画で嘉手納以南の基地にある大型倉庫群だとか普天間の通信施設の司令部機能等々を移していくという話でございますが、それは経過を今日は少し申し上げて御理解をいただきたいと思っておるんです。  現在のトリイ・ステーションの面積は百九十四ヘクタールです、現在のものは。ところが、戦後接収されたトリイ・ステーションは三百二十八ヘクタールです。そのことについて少し申し上げますが、この接収が始まりましたとき、私は読谷高校の一年生です。二年生のときには例の四・二八の対日講和条約が結ばれたわけですね。どういう状況かというと、五〇年代の初頭は朝鮮戦争が始まったわけですね。日本は独立をした、そのことによって、本土にいっぱいおりました米軍、在日米軍、とりわけ海兵隊とかいろんな部隊が沖縄に移っていく。日本は独立しますから、基地の自由使用のできる沖縄をアメリカ軍は確保しておきたかったわけです。そういうふうにしてどんどんどんどん沖縄に本土から米軍が移ってくる。読谷村や、今の宜野湾市、那覇市、あるいは久志、今の名護市、あるいは伊江島、これを総称して申し上げますと、銃剣とブルドーザーで米軍は県民の意思を全く無視して接収をしていったということでございます。  そこで、この占領軍は強権的に、読谷村の字楚辺、字渡具知、字古堅、字大木というこの四つの、この大木は一部でございます、ここに強制立ち退きの命令が出てきたわけですね。その場所から即刻立ち退けと。  これは戦後、戦争終わって五年ぐらいしかたっていませんから、やっと沖縄の人々、読谷の人々は復興再建に立ち上がろうとしたやさきなんですね。まだ収容所から完全に移ってこれない人々もいたわけですが、戦争が終わって再び自分のふるさと、生まれ故郷の集落再建に立ち上がろうというそのときでした。それは、一九五〇年、五一、五二年というように続いていくわけですが、戦争によって追われた人々が再び自分のふるさとに戻ってきて再建しようとしたそのやさきに、再び生まれ故郷を追われていくわけです。  そして、そこにできたのがトリイ・ステーションという米軍の基地でございます。どういうふうにして、米軍の基地であるのに何々ベースと言わぬで、なぜトリイなのかと。私は何度もトリイ・ステーションの隊長たちと話合いもしてきましたが、なぜなんだと。鳥居には、やはり、少なくともこういう激しい沖縄戦のあったところに基地を造っていくから、少し日本への親近感を表す必要があるんだろうと彼らは思ったわけですね。ですから、鳥居というのは日本にあるわけです。そういうふうな思いを込めて造ったんだろうというふうに、一九七〇年から八〇年代のそこの司令官たちは、彼らもよく知らないが、そんなものだったんだろうと、こういうふうな言い方をしていたわけですね。  ところが、そういう強制命令があっても、生きていくための家屋敷も、あるいは生産をしていく食料生産の土地も全部アメリカ軍が接収をしていくわけです。私たち高校生まで動員が掛かりました。その楚辺、古堅、渡具知から強制的に排除されていくわけですね。すると、移転先を最初に決めぬといかぬのです。ところが、そこは家屋敷の準備がされているところでございませんから、荒地でございますから、そういうところを高校生たちはつるはしやショベルを担いで学校に行って、学校に集まって整地作業に動員を掛けられていったわけです。そういうふうな状況でございました。  したがいまして、これから一体どうすれば生きていけるんだろう、そういう生きる手段としての土地は接収されていく、家屋敷は全部潰されていく、そういう農民たちの不安と動揺は、それは深刻でございました。そして、農民たち中心に、多くの関係者が必死に占領軍と交渉をしました。彼らと交渉する以外ないわけです。日本政府が沖縄にあるわけじゃないんですね。  そして、私は何度か字楚辺を訪ねまして、当時の陳情書なのか要請書なのか、それを見ておきたいと思って、読谷村長のときに、行きましたら、そういう普通の表題じゃないんです、嘆願書なんですね。嘆願書がございました。それはもう深刻な訴えでございましたね。  そして、農民たち中心とした関係者の必死の訴えと交渉、あるいは、その嘆願書は米軍の当時の最高司令官のところまでも行ったんだろうと思います。その結果、兵舎とその他必要な建物が建つわけです。施設が建つわけですね。当時の通信所でございますから、三名でしか抱きかかえることのできないほどの大きな電信柱があっちこっちに立つんです。それが通信トリイでした。  そして、交渉の結果、必死の訴えの結果は、分かったということになるわけです。要するに、黙認耕作を認めようと。そうしなければ、敗戦後のああいう読谷で、聞いておいてくださいよ、対日講和条約が結ばれたときの読谷の総面積の八五%は米軍基地でした。米軍基地ですよ。そういう状況の中でこういうふうな接収が続いていくわけですね。そして、そういう黙認耕作を認めてくれ、あるいは認めようと、そういう条件を踏まえて私たちはかの地に移っていきましょうということになって、今のトリイ・ステーションはでき上がったということであります。  その陰には必死に動いてくださった人々がおるんです。当時、読谷村出身で沖縄一の英語マンと言われた比嘉秀平という、戦前、早稲田大学を出て、ハワイ大学へ行って勉強されてきた人ですね。アメリカは、沖縄にどういう人々がおるかを沖縄戦に入る前ちゃんと調べ上げておるんですね。そういう比嘉秀平先生が初の任命主席です。選挙なんてあるんじゃないんです。この比嘉秀平主席や、当時、読谷の村長は伊波俊昭さんでございました。私も今もよく覚えております。そして、当時の議員さんは今のような議員の体制じゃないんです。学校の校長先生とか教頭先生とか、そういう役付きの方々を十五、六名ぐらいに暫定的な議員として発足をしておるわけですね。そして、最初の村長もアメリカ軍が任命したわけです。読谷をまとめろと、嘉手納町をまとめろとか、こんなふうなんですね。そして、各字には区長さんというのがいらっしゃいますから、そういう区長など責任ある人々が血のにじむような問題解決の努力があったということです。それがトリイ・ステーションの現在の黙認耕作地だということです。防衛大臣、しっかり頭の中に入れておいてくださいよ。  そして、私は高校生でしたから、そういう立ち退き命令を受けた人々と一緒に高校生たちは、次、移転先の整地作業に動員が掛けられていくと。まさにこの姿は、戦前の、戦争直前の中学生以外、師範の学生と同じように戦争に駆り立てられていったのと同じような感じをいたしました。  そして、占領軍と敗戦国の読谷村民との間にできた、ここが大事なんです、人間的な理解が、戦勝国民、敗戦国民であっても必死に訴えていったことによって人間的な理解と、そして和解の成果、和解の成果というのが、あの黙認耕作は認めていくぞと、認めましょうという和解の条件なんです。これも是非記憶に残しておいていただきたいと思います。  こういうふうにして一九五〇年代の初めから黙認耕作は、基地ができても黙認耕作はアメリカ軍が認めてきたわけです。あれから六十二年ぐらいたっていますよ。六十二年たった今日、日米が沖縄の嘉手納以南の基地の返還、負担軽減の名の下にやることによって、嘉手納以北の基地、トリイ・ステーションとかキャンプ・キンザーとかキャンプ・シュワブとか、そういう嘉手納基地以北にある基地が今申し上げましたように新たな問題になっておるということであります。  トリイ・ステーションという米軍基地の中に黙認耕作地という土地空間があるからと、今の日本政府も在沖米軍も考えておるんだと思いますよ。トリイ・ステーションには土地空間があるから、そして、そこをグリーンベレーの拠点にするとか、話、情報は入っていますか、グリーンベレーの拠点。そしてさらに、普天間地域にある通信施設の司令部機能をトリイ・ステーションに移そうと。キャンプ・キンザーを返還するから、そこにある倉庫群、これをトリイ・ステーションに移そうと。  大臣、キャンプ・キンザーという基地は、御承知のとおり、五十八号線から西の方にあるところですね。朝鮮戦争、ベトナム戦争のときにどういう基地だったかは少しだけ申し上げますと、そこはベトナムで犠牲になった兵士たちをそのまま運んできて、キャンプ・キンザーで、汚れた、血に染まったその体を立派に洗う。そして、ジュラルミンに入れてアメリカに送る。トラックや戦車、傷ついた戦車、泥にまみれたトラック、そういうのを全部洗浄していったところがこのキャンプ・キンザーです。ベトナム戦争の後方支援最大の兵たん基地として使われたのがキャンプ・キンザーですよ。そこの倉庫群は、五十八号線と同じように大きな倉庫がありますね。五十八号線からよく見えますよ。それが読谷のトリイ・ステーションに移るということになったらどうなるかというと、読谷はパニックに陥りますよ。  これから状況をもう少し説明してまいりますが、そういうふうに土地空間があるから大型の倉庫群も移そうとか、そのために黙認耕作をしておる人々に黙認耕作地の明渡しをやるということはどういうことなんですか、これは。敗戦後、トリイ・ステーションができたときでさえ、多くの関係者が必死に話合いをした結果、黙認耕作という条件が付いてきたわけです。それを六十二年後の今日のアメリカ兵も防衛省皆さん方も一緒になって、向こうは土地が空いているから向こうに造ろうなんというのは、それは経過を全く知らない人の判断なんです。  したがいまして、こういう計画を、黙認耕作者を追い出していくような計画は、これは読谷村としてもそして地域としても認めるわけにはいかないということで、既に村長や議会の皆さん方、地域の関係者は沖縄防衛局その他に要請は終わっております。そのことは報告として上がっておるのかもしれませんが、私は、第一の今日の質問の結論は、黙認耕作地を明け渡すことはできませんと、こういうことをお伝えをしておかなければいかぬのです。  そして、占領軍との間に必死に交わしたこの和解の成果たるものを今の人々がずたずたに切り裂いてはいかぬのです。黙認耕作地というのは、皆さんは軍用地料を払っているじゃないかとおっしゃるのかもしれません。農民はこの土地が生産の基盤であるし、生きていくすべなんです。そういうことをしっかりと頭の中に置いていただきたいと思います。  したがいまして、新しい犠牲者を出すようなそういう移転、統合計画は、これは認められない計画でございますから、そして同時に、農民の立場から見ると、黙認耕作者の生存権も人権も何も認めていない、そういう生存権さえ奪うのが黙認耕作地の明渡しということになるわけでございます。このことは外務大臣もしっかり頭の中に入れておいて、日米合同委員会のときにはきちっと物を言っていただかなければいかぬと思います。  そこで、在沖米軍を始め在日米軍と防衛大臣は即刻交渉に入ってほしい。黙認耕作に新たな施設を移していくと新たな問題が起こる、こういうことで、これは中止をしよう、変更しようと、こういう対米交渉に入っていただきたいと思います。いかがですか。
  126. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 戦後の読谷村を含め、様々な歴史について今御示唆をいただいたことだとは思います。  ですが、今回、私ども日米で取り結びました嘉手納以南の再編計画の中には、トリイ通信施設のマスタープランの内容にもよりますが、陸軍倉庫の移設先ということ、そしてそこに御指摘の黙認耕作地があるということ、その場合にはその環境整備等が必要だということになります。  この黙認耕作地ですが、これはトリイ通信施設を含め沖縄にあり、そしてまた、本土復帰前の米軍施政下におきまして、賃借権の取得についてということで、昭和三十四年、高等弁務官布令第二十号に基づき、合衆国に緊急な必要がないこと、琉球経済の最上の利益に合致すること、合衆国がその自由裁量によりいつでもこの特権を取り消すことができることを条件に米軍から市町村長を通じて土地所有者等に許可証を交付をして、そして耕作を許可するということができたということでありまして、この譲渡の中で、取消しに伴う損失補償の義務はないということを明らかにしているところであります。
  127. 山内徳信

    山内徳信君 その答弁書は誰が書きましたか。後ろに座っている皆さんか。昨日、八名ぐらい来ていましたよ、私の部屋に。私は親切に教えてやりました。銃剣を突き付けてきた占領軍と必死に人間的な交渉をしたのが黙認耕作という、それを認めるという条件だと。これはすごい人間的な、寛容とか和解のたまものだと。  もう一つ言っておきますが、大臣、あなたのために言っておきますよ。読谷村には、チビチリガマでいわゆる集団自決をした八十三名の人が死にましたよ。そこには、かつて中国戦線に行って日本軍のやったことを知っておる人々がいて、アメリカ軍に捕虜になったらどういうことになるか、大変だと言って、みんなで死のうという雰囲気ができていったんです。  もう一つは、シムクガマというのがありますよ。そこは何百名という人が入っていた。一つの集落の半分ぐらい入っていた。数えると千名近くも入っていたんじゃないかと言われているんです。そこにアメリカ帰りの比嘉さんというおじさんたちが二人いた。彼らはどういうふうに洞窟の中に潜っておる人を説得したかといったら、アメリカ軍はまず民間人は殺さぬだろうと、自分たちは若いときにアメリカ行って、ハワイも本国も行ってアメリカのデモクラシーも聞いてきた、だからここで静かにしておけと、私たち二人が、英語を片言話せる私たちが出ていって、ここには軍隊、日本兵はいないと、全部民間人だと、どうするのかと聞いたら、みんな出しなさいと、そして近くの収容所にみんなで歩いて行こうと。こういうふうにして一人の死者も出さずに生き残った、そういうシムクガマがあるんです。  悲しいことには、今の防衛大臣は読み上げていらっしゃるから、昨日の若造たちが書いたのを読み上げておるだけなのよ。私はいつも言うんです、あなたの生の言葉が聞きたい、心の中からの訴えを聞きたいと。お二人にこの前はアバクロンビーさんの写真もあげたじゃない。アメリカの下院議員だよ。彼らが必死に沖縄の抱えている問題解決のために頑張ってくれた、そのことも申し上げたでしょう。あなた方二人は、日本の外務防衛大臣だよ。  戦後接収され、再建にいそしみ始めたときに、また立ち退き命令が出た。高校生まで動員掛けて移転先の整地をさせなければいけなかった。必死に比嘉秀平主席は、伊波俊昭村長たちは、議員たちは必死に米軍と交渉したんだよ。  それを、形式的なことを読み上げて、事務方はそのぐらいしか分からぬのよ。そこを責めるわけにもいかぬが、こういうときの答弁は職員が書いた紙を読むんじゃないんですよ。分かったと、私に引き取らせてくれと、在日米軍と交渉してみたい、在沖と交渉してみたいと、そのぐらいできなければ防衛大臣の価値はありませんよ。  こういうふうに六十二年間も円満な形で来た。私がどれほど、防衛施設局の笠原部長と一緒に、施設部長と、何度か基地内で問題が起ころうとしたときに、そこの副司令官を中心として、詰めに詰めて問題にならないように全部調整調整しながら今日までやってきた。  読谷村民は、一番北にあった残波岬の近くに瀬名波通信所というのがありましたでしょう、まあ知らぬでしょうな。復帰まではFBISと言ったところなんです。そこは、行政も議会も地域の人も、みんなコンセンサスができ上がった。このFBISという通信施設は、楚辺のトリイ・ステーションに移すことによって二つあった通信施設が一つになるんだから、これは返還してもらえるんだから、それはみんなで理解し合おうやと言って、瀬名波通信施設はトリイに移してもらったんですよ。みんな陰で苦労して苦労してそういうふうにまとめ上げておるのに、日米合同委員会で日米でこう決めたから聞けなんということをこの場で防衛大臣が言うことに対して私は承服できぬのです。  外務大臣も一緒になって、基地問題は日米関係の問題ですから、是非、トリイ・ステーションはトリイ・ステーションとしての、最初からの通信施設としての、そういう基地として地域と密着をしながら、私たちがどんなに苦労しているか、時間もないから多くは言いませんがね、絶えず善良な関係をつくろうと、いろんな行事にも来てもらう、私たちも行って、私は講演にも呼ばれていくんです。そこの若いアメリカ兵が、そして戦中の話、ベトナム戦争、朝鮮戦争の話をやる、絶対に悪いことをしたらいかぬぞと、スピード違反を出したらいかぬぞと。ところが、少女をいじめる事件も起こった。銃を突き付けて弾を撃ち込むようなこともあった。私は夜中から起きていって、そのトリイ・ステーションの近くの住民から、どんちゃん騒ぎを夕方からやっている、村長出てきてどうにかやれと言うから、私はすぐそのままゲートに入っていったんです。そこの係を呼んで、あのどんちゃん騒ぎを静めよと。  今度、防衛大臣が行かれたアンダーセン基地の近くにはグアムの人々は住んでいなかったでしょう、違いますか、違いませんでしょう。軍民は分離が原則なんです。軍民は分離が原則なんです、だから、アメリカの基地もアンダーセンの基地も。ところが、沖縄の普天間見てごらん、嘉手納見てごらん、軍民が混在しておるような状況じゃないですか。それを何年間も何十年間も放置してきたのは日本政府じゃないのかと、遡って言えば。いつまでも頭越しに押し付けたりやったらいかぬですよ。  私は今日は厳しいことを言っていますが、私にも良心がある、私にも知性がある。民主主義の社会ということも知っておるから厳しく言うんです、厳しく言わなければあなた方は分からぬから。  是非、両大臣お願いしたい。在日米軍と在沖米軍と交渉して、トリイ・ステーションへの、嘉手納以南の基地の返還のために、その基地にあった初期の倉庫群がトリイ・ステーションに移ってこないように全力を尽くして交渉をしていただきたい。やってみる決意ぐらいはどうですか、防衛大臣
  128. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 身につまされる思いで聞かせていただきました。  今ここでどのようなことがお答えできるか分かりませんが、負担軽減のために努力していきたいと思っています。
  129. 山内徳信

    山内徳信君 私は、皆さんがやらなければ、アメリカ領事館からアメリカ大使館にこのことを伝えます。そして、トリイ・ステーションの隊長たちとはいつでも会えますから、あなた方さえ、あなた方もここにはおれなくなるよと、こう言いますよ。そこまで、私なんかが出かけていかぬでも、そのために外務防衛省はあるわけですよ。出先もあるわけですよ。皆さんがやれぬと言うんだったら、私は読谷の村長や議員たちと一緒に動きますよ。  何度言っても聞かなかったから、私はダニエルさんだとか、アメリカの上院の、ニール・アバクロンビーさんやその他と交渉しながら、ついに事故、事件の絶えなかった読谷飛行場を返してもらったんですよ。最後に返そうと言ったのは、ハワイの海兵隊付司令官のスタックポールさんが私に二か年間時間をくれ、この危険な読谷飛行場の訓練場になっている基地は返します、返す方向で日本政府に接触をしていきたいと。そして、返してもらったんですよ。どうして日本の大臣がこのぐらいのことも引き取れぬの。是非引き取って交渉に入ってほしい、そのことをお願いをします。重ねてお願いをして、今日は終わります。ありがとうございました。
  130. 舛添要一

    ○舛添要一君 今日は外務大臣防衛大臣に、とりわけ中国との関係についてお尋ねを申し上げたいと思います。  残念ながら、尖閣諸島の国有化以来、日中関係が大変悪くなっております。私、四月に中国に行きまして、要人と会談したり中国の大学で講演したりしながらひしひしとそういう厳しい現状というのを感じてまいりましたけれども。  まず、外務大臣、日中関係の現状をどういうふうに認識されているか、お答えください。
  131. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、日中関係は、我が国にとりまして最も大切な二国間関係のうちの一つであります。また、日本と中国世界第二の経済大国世界第三の経済大国の関係が安定していることは、両国国民の利益であるばかりではなくして、この地域における平和や繁栄に大きな影響のある事柄であり、日中両国がこの地域の平和や繁栄にも大きな責任を担っていると考えています。  御指摘のように、日中関係、現状、大変厳しい状況にあると考えています。しかしながら、こうした個別の問題を日中関係全体に影響を及ぼさないようにしっかりとコントロールしていく、戦略的互恵関係の原点に戻って冷静かつ毅然と対応していく、こうした姿勢が重要だと考えております。そうしたことのために、まずは対話というものが大切だと思っておりますが、現状、残念ながら政治レベルの対話がなかなか難しい状況にあります。個別のテーマ、環境ですとか防衛ですとか、あるいは日中韓FTAですとか、こうした具体的なテーマにおいて対話を今積み重ねている、こういった状況にあります。
  132. 舛添要一

    ○舛添要一君 今、防衛ということをおっしゃいましたけれども岸田大臣、今のこの厳しい現状、悪化していると、日中関係、その認識は同じだと思います。何が最大の原因だというふうに大臣はお考えですか。
  133. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日中間には尖閣をめぐる事態を始め様々な課題が存在します。今、現状については、そうした様々な事柄が積み重なり、そしてそれぞれ関係し合いながらこの現状につながったと考えています。こうした様々な事柄の積み重ねによって現状があるわけではありますが、逆に、具体的な事柄を積み重ねることによって全体の改善につなげていく、こうした一つ一つの努力が大切になってくると考えています。
  134. 舛添要一

    ○舛添要一君 はっきりおっしゃらないんですけれども、これは尖閣の国有化を発端とする。それがいい悪いということじゃないんです。野田政権のときに胡錦濤さんと野田首相は立ち話をしたと思いますけれども、要するに、ここから先は触れちゃならないよという線に対してのコミュニケーションギャップがあったんだと思うんですね。尖閣諸島を全部国有化していませんよ、私有のところもありますよ。  だから、そういうことに対して、余りにも今までの積み重ねをゼロにするようなことが民主党政権下であったので、それならば、これをきちんと新しい政権がやっていかないといけない。しかし、昨日もインドのシン首相が来て日印首脳会談で様々なことが話されましたけれども、お隣の韓国それから中国との関係が極めて悪くなっている。これは、やはり外務大臣としてどうするのかということを真剣に考えないといけない。  それから、ただ単に尖閣の問題というのは、中国にとって対日関係、日中関係の話だけじゃなくて、習近平体制の確立をめぐる中国の中の権力闘争なんですよ。江沢民派が胡錦濤をたたくということの大きな目的もそこにあるわけですから、どうもそういうことのきちんとした情報の集積がないということが非常に困ったことだというふうに思っております。  ですから、外相会談や首脳会談を急ぐ必要はないので、今おっしゃったように周辺からきちっと固めていく、できることから固めていくということが必要だというふうに思います。  終わったことですけれども、一言、政府・与党の皆さん方に苦言を呈しておきたいのは、要するに、川口前環境委員長がああいう態度をお取りになったことは、御本人は大きな国益を守ったと言うけれども、私に言わせれば大きな国益を損ねた。つまり、ちょっと考えれば分かるんですけれども岸田外務大臣が、私に会いたいなら、あなた国会日程なんてどうでもいいから一日滞日延ばしなさいといって、はい、そうですかと、のこのこ残るような国の国会議員を信用しますか。朝貢外交ですよ、こういうことは。対等な国なんですから、そういうことをやっちゃいけない。  それから、バイできちんと私は要人と会談をしてきましたよ。バイの会談じゃなくて二十人近くで表敬することが自分が招集した国会の委員会を潰してまでやっていいことなんですか。  ですから、私は、外務大臣松山さんも若林さんも、特に二人、参議院議員だから、副大臣とか政務官とか外務大臣とか、防衛省も同じですよ。国益を守り、日本の国民の生命と財産を守るためにそこで仕事をしているんだから、参議院自民党を守るためにいるわけじゃないんですよ。そこを基本的にしっかりやっていただいて、同じ与党の中でも問題があれば、きちんとそれは一喝して駄目だと、そういうことは、国益外務大臣がしっかり守るんだということを言わないとおかしい。  それから、マスコミもおかしいですよ。重要な会談に出るのに何で行かせないんだと書く。私ははっきり申し上げますよ。重要な会談なら、なぜ各新聞社の北京特派員が一行も報道しないんですか。だから、論説を書く人も、北京特派員何していたのと、川口さん、こんな重要な会談やっているよと、自分のところの特派員を怒らないといけないですよ。いつからそういう主要な新聞が自民党の機関紙になったんですか。  こういうことについて、大臣、副大臣、政務官というのは、自分の党がおかしければおかしいということをはっきり言うぐらいの理性がなければ、力がなければ、私は国益を守れないし、もっと言うと自民党の評価だって下がると、そういうふうに思いますから、是非、私は予算委員会でも、ですから外務省に資料出しなさいと言った。外務大臣、資料見たら分かるでしょう。重要な会談で一つも公電が来ていない、中身について。ですから、是非そういう非常識なことで朝貢外交、つまり中国はほくそ笑んでいると思いますよ。自分たち、俺に会いたけりゃ一日延ばせよと言ったらさっと延ばすような、そういう議員がいる国を尊敬しますか。対等な国ですから、日本の国益を守るためにはきちんと日本の国益を守るべきことをやらないといけない。  さあそこで、今戦略的互恵関係という言葉をおっしゃったし、大臣の所信にそのこととともに日韓関係について未来志向の日韓関係と書いている。もう何十回この言葉を聞いているか分からないですよ。毎回同じことを言っている。だから、それは外交交渉をやっていて大変苦労して共同声明まとめたりすると、そのときに何かいい言葉がないかというのは考えるんです。ないよりあった方がいいに決まっているんです。だけど、その言葉言ってお互いに終わりだと、戦略的互恵関係守りましょう。じゃ、どうするんですか。未来志向の日韓関係、お互いにそう言っていて何もしないというのが続いているんではないですかと。だからもう、ちょっときれいな言葉だけ作ってやるような外交はやめましょうと。あってもいいんだけれども、じゃ、どうすれば戦略的互恵関係が築けるのか。今日は韓国の話はしないですけど、どうすれば未来志向の日韓関係が築けるのか。そういうことについて具体的に何かあればおっしゃってください。
  135. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、戦略的互恵関係について触れられましたが、この戦略的互恵関係、日中両国が将来にわたって二国間、地域国際社会等様々なレベルで互恵協力を全面的に発展させ、世界やアジアに貢献する中で、共通の利益を拡大して両国関係を新たな高みに発展させる、こうした関係とされているわけですが、これはまさに先ほど申し上げましたように、個別の問題を全体に及ぼさないようにコントロールしていく、この姿勢に通ずる言葉だと思っています。  戦略的互恵関係の原点に戻ってというのはそういう趣旨でありまして、こうした戦略的互恵関係の趣旨をしっかり踏まえて、こうした個別の問題、確かに隣国間の間には難しい問題が存在いたしますが、こうした一つ一つの問題で全体を損ねては戦略的互恵関係の精神にもとるということをしっかりと訴えていかなければいけないと存じます。  そして、そのために一つ一つの積み上げが大事だと先ほども申し上げたわけでありますが、この具体的なテーマ、三月には日中韓FTAの実務者の協議がスタートしております。五月には日中韓の環境大臣会合も行われました。先日も東アジア低炭素パートナーシップ対話、これが東京で開催されまして、韓国も、そして中国からも出席がありました。そして、防衛当局においても今様々な意思疎通が図られているわけです。  こうした具体的なテーマにおける意思疎通、対話をしっかり積み重ね、そしてその上に政治レベルでの対話をしっかり実現していく、こうした方向性で一つ一つ努力を積み重ねていきたいと考えております。
  136. 舛添要一

    ○舛添要一君 そこで、一つ御提案を申し上げたいんですが、先般、北京でいろんな要人と議論をしたときも感じて、毎回感じるんですけれども、いわゆる日中間には一九七二年の平和条約含め、基本的な文書が四つぐらいある。今の戦略的互恵関係は、これは二〇〇八年に戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明ということが胡錦濤さんと福田康夫さんの間で発出されているわけですけれども、恐らく今、日中間で新たな共同声明を作れるところまで行くとするとかなり違ったものになると思うんですが、そこまで行く前に、相手は必ずこの四つの契約書を持ってくる、私たち是非、特にこれから外相会談なんか岸田さんおやりになるときにはこういう、例えば一九七二年の平和友好条約はこう書いてあるじゃないかと、もうそらんじてやるぐらいで交渉しないと、向こうはそらんじてやっています。  例えば、今の戦略的互恵関係についての二〇〇八年の共同声明ではこういう文章があるんですね。共に努力して、東シナ海を平和、協力、友好の海とすると書いてある。そうしておきながらなぜ中国領海侵犯するんだと、書いてあるじゃないですかということをこっち側も言っていいので、私は、契約の民の概念が日本人は少ないのかもしれないけど、基本的にそれは体制が違うところで、七二年、大変な努力で平和条約結んだと思いますよ。それから、その後もいろんな問題が起こったときに、例えば小泉さんで、靖国参拝で悪化したらどうするかと、それを乗り越えてここまで来たわけですから、今乗り越えないといけない。そのときに、この基本的な四つの文書というのをもっと活用していただきたいということを御提言申し上げておきたいと思います。  そして、二〇〇八年と違うものを恐らく書くことになるだろうと申し上げたのは、二〇〇八年から今日までの五年間ぐらいの間に何が一番変わったかといったら、まさに安全保障と。尖閣をめぐってもそうです。安全保障が大変大きなイシューとして日中間に浮かび上がってきたということが今までと違うことだというふうに思っております。  さあ、そこで次は、防衛大臣に日中間の安全保障問題を含め、北朝鮮を含めて防衛問題についてお伺い申し上げたいと思います。  今朝、広田委員から、また佐藤委員からも御指摘ありましたように、私はやっぱり防衛戦略とか防衛構想は政権交代があったから右から左に動くというようなものではないと、これは先ほど大臣もおっしゃっておりました。だけど、これは民主党政権のときに何度も質問したんですけど、動的防衛力って大体何ですかと。大体、防衛力というのは動的であるのは当たり前なわけで。じゃ、そこで政権交代があったから違う色を出そうって機動的であったり強靱なというのは出しているけれども、何度も言うけど形容詞とか言葉の遊びをやっているような余裕のある時代じゃないんです。  ですから、どういう防衛構想を、これはむしろ自民党の国防部会に聞いた方がいいかもしれないんですけれども、どういう防衛構想を今、現状認識の下において防衛大臣はお持ちになっているのか、お答えください。
  137. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 私ども、この国の領土、領海、領空をしっかり守るという中で、ここ数年のうちに様々な安全保障環境変化をいたしました。今、舛添委員がおっしゃるように、例えば中国との問題ですが、その背景には中国軍事的な増強、かなりのスピードで拡充をされている。あるいは、北朝鮮ミサイル能力の向上含めて、このようなものも背景にあると思います。  私どもとしては、こういう個別の事案想定というわけではありませんが、少なくても我が国周辺安全保障環境をしっかり警戒監視ができる、そしてまた様々な脅威に対して直接防御ができるような、そのような整備が必要だということ、それを積み上げていく中で防衛大綱を含めた安全保障政策の考え方が出てくるんだと思っております。
  138. 舛添要一

    ○舛添要一君 その安全保障環境の一つ、二つ聞きたいと思いますけれども北朝鮮、これは本当に中国自身ももう困ったなという感じで見ているので、先ほど外務大臣はおっしゃいませんでしたけど、私は北朝鮮をどう牽制するかという点について日中が協力するということも戦略的互恵関係の重要な一つになると思います。  そこで、北朝鮮、これはやっぱり、何度言ってもミサイル発射をやめない、核実験やめないというようなことを繰り返しているわけですから、私は日本の防衛構想を考えるときに、敵の基地、明確に日本に向かって弾道ミサイルを発射するということは、これは様々なインテリジェンスで分かるわけですから、そういうときにはその敵の基地を攻撃する能力は当然持つべきだと思いますが、それはどういうふうに防衛省としてはお考えですか。
  139. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 策源地の攻撃能力については、これは我が国の法体系の中でもその事情、状況によって可能な内容だとは思っておりますが、従前からその能力は保有しないということを今まで継続して続けてきておりました。今回、この能力についての検討も含めて防衛省内で議論もする必要があると思っておりますし、また最終的には政府内での検討が行われることだと思っております。
  140. 舛添要一

    ○舛添要一君 そこで、次に中国の戦略について申し上げますと、いわゆるアンチアクセスというA2、それからエリアディナイアル、ADと、こういう戦略をやっている。その第一列島線、第二列島線、これを考えているときに、まさに沖縄には、先ほどの山内先生の御議論じゃないですけど、米軍基地がいっぱいある。尖閣、これを確保できれば今言った大きな中国の戦略が実ってくるわけですから、そういう意味でも中国の海洋戦略という観点から見たときにまた尖閣の意味が違ってくると思いますが、防衛大臣としてはこのA2AD戦略に対してどういう対抗措置をとろうとしているのか、お話ししてください。
  141. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 私ども、特定の国ということでの対応ではありませんが、少なくても、最近、我が国周辺の海洋域を中国の艦船、特に軍艦も含めて通過するという特異的な事例については公表をさせていただいております。このような中国の意図については、今、舛添委員がおっしゃった戦略があると承知をしております。このことに対応するためには、もちろん我が国の様々な装備の充実も重要でありますが、これは国際社会全体でこの地域の秩序を守るという意味も大変重要だと思っております。  あしたからのシンガポールで行われます国際会議の中では、様々な国とこの地域安全保障環境について議論を行う中でそれぞれその国が持っている問題意識が提示されると思いますし、私どもも、例えば日米豪の議論の中でもこの問題についてそれぞれ議論をしていくことも大切だと思っております。
  142. 舛添要一

    ○舛添要一君 それから、島嶼防衛ということは尖閣を念頭に置いて考えないといけませんし、それは防衛省、政府もしっかり考えると思いますが、それから、先般、アルジェリアでああいう悲劇的なテロの被害者となった日本人がおられた。そうすると、これは自衛隊法改正案が提案されると思いますが、邦人の救出、こういうことを考えないといけない。  そのときに、私が知っている限りで自衛隊の諸君も一生懸命頑張っておられますけど、やっぱり何が欠けているんだろうなと思ったときに、海兵隊的な機能、それは陸と海と空が一緒になってやればいいのかもしれないんですけれども、訓練の仕方一つ見てもちょっと違うんじゃないかなと。現実に、何度かアメリカの海兵隊の訓練を見てきましたけれども、ああいうような形の訓練をして現実に島を守っていく。  それから、じゃ、仮にアルジェリアで起こったようなことが起こったときに、陸上部隊が行ってどういうふうにして邦人を救出して輸送するのか、そういうシミュレーションをしっかりやっておかないといけない。  そうすると、どうしても防衛省の背広組の間での机上の空論になる危険性があるんですね。当然、それは制服組の現場をよく知っている人たちの意見も聞いて政策は立案すると思うんですけれども是非、海兵隊的な機能をきちんと持たないと、口で島嶼防衛とか在外邦人の救出と言ったって無理だという感じを私は持っていますので、その点はいかがお考えか、お伺いします。
  143. 小野寺五典

    国務大臣小野寺五典君) 様々な防衛省・自衛隊の任務を遂行するための能力訓練というのは日々行わせていただいております。その中で、例えば島嶼防衛等対応をするための西方普通科連隊というのが現在ありまして、この二十五年度予算、審議をいただいて成立させていただきましたが、ここでも水陸両用車の参考品の購入ということが今行われることができるようになりました。  具体的にこれからやはりこのような能力遂行の技能の向上のための研修というのは大切だと思っていますし、現在も米海兵隊を含め日米協力して我が国自衛隊の能力向上について研さんを積ませていただいているところであります。
  144. 舛添要一

    ○舛添要一君 それから、これは防衛大臣に一つ御提案なんですけれども、例えば中国の海軍力でもいいです、軍事力、どれぐらい本当に強いのかといったときに、諸説たくさんあるわけですよ。だから、例えば空母を持ちますよ、持ちましたよと、しかし、ハードだけあってもどうしようもないんで、ちゃんと空母の甲板から飛行機飛ばせるんですかと、帰ってこらせることができるのですか、じゃその訓練がどこまでいっているんですかと、こういうことについて、こちらの分析・解析能力を敵に知らせないから言わないということも一つあるんですけれども、余りにも国民の間で、例えば評論家の間でもいいですよ、評価が分かれてしまっている。そうすると、中国軍事力脅威ですよといったって、いや、そんなものは張り子の虎だというのがいたら本当に真剣に心配しないわけですよ。  ですから、きちんとその中国軍事力について査定をして、日本政府としてはこういうふうに見ているという、それが無理なら、特定のグループでもいいんですけれども、信用あるグループ、私はかつて平和・安全保障研究所というところでリサーチやっていたことがあります。あれは毎回IISSのアジア版のような戦略の本をアジアの地域について出していますけれども、そういうところでもいいんで、ただ、こういう出した出版物がみんなに読まれているかというのは、そうでもないんです。  ですから、是非いろんな機会に、大臣、副大臣、政務官、特に佐藤政務官は制服の出身でもありますから、こうだということを差し支えない範囲でもっと言っていただくということが非常に国民啓発のためにも重要だと思っています。それなくて、相手の戦力がなくて、それでこちらの防衛戦略の構想も何もあり得ないわけです。  今日、北澤大臣おられないんですけれども、前回の民主党が出された、民主党政権のときの防衛白書で私がいつか国会で問題にしたのは、小さなコラムの中に、脅威について、向こうの能力だけじゃなくて意図もと書いてあるんです。でも、私は基本的には、相手の意図が何か分からないんで、今言ったように、空母を持っていてこれだけ攻撃能力はある、弾道ミサイル、どれだけの距離を持っていて、どれぐらいの攻撃能力はあるということがまず基本であって、意図なんて分からないわけですから、そこをただすことがまず大事だというふうに思っているので、これは是非見られたら、そのコラムがありますので、そういうことも御指摘をしておきたいというふうに思います。  そこで、もう時間があと三分だということなんでまとめますけれども、これまでの日中関係と違うのは、安全保障の問題がここまで大きくなってきたと。しかも、二国間関係での安全保障の問題が尖閣をめぐって大きくなった。今までの四つの基本的な文書というのは、それはお互いに内政干渉しませんというようなことを書いてあるんだけど、アジア太平洋地域について、ないしは国際社会については日中共同で責任を持ちましょうという、はっきり言ってそういうことが書いてあるんです。だけど、日中間で防衛安全保障であつれきがあるときにどうするかというのは実は書いてないんですね。だから、私が言うことは矛盾しているようであるけれども、活用しなさいと言って、書いてなきゃどうしようもないじゃないかということがあるんです。  だから、新しい共同宣言なり共同声明なりを作る必要が来ているので、是非今から、参議院選挙もありますけれども、選挙終わってどういう政権になるか分かりません。しかし、ここまで悪くなった日中関係を修復して少しまともな感じの関係をつくり、構築し直して、そして安全保障環境を含めてもっとこのアジア太平洋を安定的にするということが、今の外務大臣防衛大臣は大きな責任を持っていると思いますので、是非そういう観点から積み重ねていく。一人の議員がスタンドプレーをやって日中関係が良くなるほど簡単じゃありません。  はっきり申し上げますと、外務大臣、今日本の有力な政治家が行って誰か向こうの要人と会ったとしますね、現職の、習近平体制の。逆に、習近平体制の要人が日本の有力な政治家に会ったということが分かるだけで彼が失脚すると。それぐらいの雰囲気なんです。ですから、本当の議論をするときは全部非公表で、誰と会ったか、誰とどこで会ったかも一切言いません。楊潔チさんと会うから環境委員会サボってでも国会延ばしましょうなんて、そんな、相手の名前が分かって公表も非公表もありませんから、ということは重要じゃないということなんです。ですから、私は、外務大臣、焦る必要ないんです。今、あなたに誰か要人会ったら失脚しますよというぐらいに、だから当然、王毅さんも会いませんよ。こちらの外交部長です。  ですから、そういう状況を改善していかないといけないので、外交は政府専管でやるものだと、外務大臣、副大臣、政務官、しっかりやるものだということを念頭に置いて、そして日本国の生命、財産は、防衛大臣以下、江渡さんや佐藤さんもしっかり守るんだと。国益優先です。まさに国益優先。国会対策とか自民党がどうだとか、そんなことを念頭に少しでも置いたら国を誤りますから、是非そういう思いで日本国民の方を向いてしっかり仕事をしていただきたいということを申し上げて、終わります。ありがとうございました。
  145. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  146. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。岸田外務大臣
  147. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明いたします。  改正の第一は、ブラジルにある在ベレン日本国総領事館の廃止を行うことであります。  改正の第二は、在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定することであります。  以上の改正内容のうち、在勤基本手当の基準額の改定については、平成二十五年度予算の適正な執行の観点からできる限り速やかに実施する必要があります。  以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  148. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十四分散会