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2013-05-21 第183回国会 参議院 外交防衛委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年五月二十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任         小林 正夫君     風間 直樹君      水落 敏栄君     島尻安伊子君  五月二十日     辞任         補欠選任         榛葉賀津也君     那谷屋正義君      佐藤 公治君    はた ともこ君  五月二十一日     辞任         補欠選任         猪口 邦子君     中原 八一君     はた ともこ君     佐藤 公治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         加藤 敏幸君     理 事                 大野 元裕君                 柳田  稔君                 宇都 隆史君                 末松 信介君                 荒木 清寛君     委 員                 風間 直樹君                 北澤 俊美君                 那谷屋正義君                 広田  一君                 猪口 邦子君                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 中原 八一君                 松山 政司君                 若林 健太君                 山本 香苗君                 小野 次郎君                 佐藤 公治君                はた ともこ君                 山内 徳信君                 舛添 要一君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     小野寺五典君    大臣政務官        外務大臣政務官  若林 健太君        防衛大臣政務官  佐藤 正久君    事務局側        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       林   肇君        総務大臣官房審        議官       諸橋 省明君        法務大臣官房審        議官       萩本  修君        外務大臣官房長  越川 和彦君        外務大臣官房地        球規模課題審議        官        香川 剛廣君        外務大臣官房審        議官       山上 信吾君        外務大臣官房参        事官       金杉 憲治君        外務省総合外交        政策局長     平松 賢司君        外務省領事局長  上村  司君        防衛省防衛政策        局長       徳地 秀士君        防衛省運用企画        局長       黒江 哲郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○国際的な子の奪取民事上の側面に関する条約  の締結について承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、小林正夫君、水落敏栄君、佐藤公治君及び榛葉賀津也君委員辞任され、その補欠として風間直樹君、島尻安伊子君、はたともこ君及び那谷屋正義君が選任されました。     ─────────────
  3. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際的な子の奪取民事上の側面に関する条約締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官林肇君外十名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 国際的な子の奪取民事上の側面に関する条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 風間直樹

    風間直樹君 よろしくお願いします。  このハーグ条約締結に際しましては、この条約原則子供を元住んでいた国に返還すると定めていることから、懸念を示す声も出ております。  日本政府においては、二〇一〇年二月に、当時の鳩山総理岡田外相千葉法務大臣にこの条約締結に向けた検討を加速するよう指示しました。それ以来、政府内で本条約締結検討が開始されたわけであります。検討過程におきましては、この条約締結に賛成する当事者だけではなくて、締結に慎重な方々からも意見をきちんとお伺いをいたしました。その上で、二〇一一年の五月、当時の菅内閣が、子供福祉を最優先するという観点から総合的に判断し、この条約締結に向けた準備を進めることを閣議了解いたしました。  以下、順次お尋ねをいたしますが、それに先立って、私どうしても不思議でならないのは、民主党政権当時、この条約締結ストップを掛けていたのは自民党だったと理解をしております。なぜ当時、自民党ストップを掛けられたんでしょうか、その点お伺いしたいんですが。
  7. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) このハーグ条約に関する議論につきましては、昨年の国会等におきましても、様々な国会でのやり取りが行われました。  そもそも、この条約締結につきましては、今委員も御指摘になられましたような論点等、この条約に関して様々な関係者からいろいろな心配点指摘をされ、様々な議論が行われてきたところであります。こうした点に関して、それぞれの党におきまして議論が行われてきたところでありますし、それを踏まえて国会においてどのような取扱いが行われるのか、こうしたやり取りが行われてきました。結果として審議が進まなかったことについては、内容と併せて、当時の国会での議論の進め方、国会対策、様々な点が加わり、結果的に審議が進まなかったということでありました。  今、この条約重要性については改めて認識し、審議をお願いする立場からしまして、この前の国会等において審議が進まなかったことについては、立場を超えてじくじたる思いがありますが、改めて私の立場から、この国会に、この条約重要性に鑑み、審議の促進をお願い申し上げる次第でございます。何とぞ御理解いただきますようお願い申し上げます。
  8. 風間直樹

    風間直樹君 大臣、我々民主党は、この条約審議、いたずらに止める気ございません、毛頭。ただ、当時大臣はたしか自民党衆議院国対委員長をされていたのではないかと思うんですが、その当時、この条約審議国対委員長というお立場で、慎重というか、お止めになっていたその真意は何だったんでしょうか。
  9. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) このハーグ条約審議については、今申し上げたような様々な要素が絡んでおりました。ただ、当時の衆議院外務委員会始め、国会議論が進まなかったことについては、このハーグ条約議論そのものだけではなくして、それ以外の、例えば原子力協定等、様々な議論が行われてきました。その議論の中でこの委員会運営自体がなかなか進まなかった、こうした要素も多分に影響しておりました。こうした国会全体の動きの中で、結果としてこのハーグ条約についても審議が進まなかった、このように認識をしております。
  10. 風間直樹

    風間直樹君 いろいろな事情はあったんでしょうけれども、当時は進まなかった、そして今国会に持ち越されたと、こういう経緯でございます。  国内の諸法案につきましては、それぞれいろんな政党の立場もありますし、利害の対立もありますから、そこは慎重な審議をすることが必要な場合もありますが、私は、事条約外交関係については超党派で、やはりしかるべき審議をしっかりした上で採決をしていくと、こういう姿勢が不可欠だと思っています。そういう意味でこの委員会審議は臨みたいと思っていますので、大臣にもその点を改めて御理解いただきまして、御答弁いただきますようお願いいたします。  さて、このハーグ条約につきまして国内実施法案策定作業におきましては、子の返還拒否事由について特に多くの懸念が寄せられました。本条約の文言をそのまま国内法規定とする諸外国が多いんですが、そうした中で、チルドレンファーストを掲げる当時の民主党政権の下、子や配偶者へのDV、それから虐待被害に対してきちんと配慮しなければいけないと、こういう観点から、本条約規定を更に具体化した条文国内実施法案に盛り込みまして、裁判所による判断の基準をきちんと明確化したわけであります。  国内実施法案条文では、子の面前で配偶者に対して行われるDVについても、子への重大な危険に該当するものとして、返還拒否事由一つとして規定されています。しかし、配偶者へのDVは通常、子に見えないところで行われる、あるいは、DVを加える父親は大抵は外づらが良くて、裁判においては深い改心の念を示すものの、帰国後には再びDV被害が繰り返されることになるんじゃないかと、こういう不安の声も少なくありません。こうした不安に対して、国内実施法案上きちんと手当てがなされているということについて、当事者が安心できるような説明外務省にはまず求めたいと思います。  また、今回の国内実施法案返還拒否事由条文が本条約骨抜きにするものであるという批判も諸外国から聞かれるわけですが、本条約に整合的な範囲で書き下したにすぎないと考えております。我が国国内実施法案条文及びその運用が決して本条約を逸脱するものではないということを、本条約発効後においても、引き続きハーグ国際私法会議等の場で外務省は諸外国に対してきちんと説明していただく必要があると思いますが、大臣の所感をお伺いいたします。
  11. 若林健太

    大臣政務官若林健太君) 風間委員の御質問お答えさせていただきたいと思います。  外務大臣政務官としてこのハーグ条約についてずっと中心的にかかわってこられた風間先生でございますので、今の質疑の中でほぼ回答に近いお話があったように思いますが、改めてお答えをさせていただきたいと思います。  ハーグ条約の第十三条一項bは、返還することによって子が心身に害悪を受け、又は他の耐え難い状態に置かれることとなる重大な危険がある場合には当該子供返還を命ずる義務を負わないと、こういうふうに規定をしております。  この規定に基づいて、返還拒否事由を判断するための考慮事項について、御指摘DV虐待被害の場合を含め、条約実施法案第二十八条二項に規定をされているわけであります。法案のかかる規定は、裁判規範としての明確化を図り、当事者による予測可能性を確保する観点から、条約の各締結国の判例なども参考にしつつ、その典型例を確認的に例示をしたものというふうに承知をしております。したがって、この法案のかかる規定条約趣旨と合致するものでありまして、条約骨抜きにするといった批判には当たらないというふうに考えております。  こうした法案趣旨については、在京の各大使館に対してもこれまでも説明をしております。各国理解も得ているというふうに理解をしております。風間先生指摘のように、さらに、今後ハーグ国際私法会議の場でも、そういった場も活用しながら、引き続き各国理解を取っていくように努力をしていきたいというふうに思っております。
  12. 風間直樹

    風間直樹君 政務官、よろしくお願いします。  私も、このハーグ条約に該当する案件自身の問題として抱える女性の皆さんの声も聞いてみましたが、DV被害者というのは本当に気の毒なお立場に置かれているということを感じました。暴力からの逃げ場がない、離婚しても逃げられない、誰に相談してもなかなか解決への糸口が見えないと、そういう中で非常に絶望感に近いものを持って生活されている女性も多いと思います。こういった方々課題、問題、日常生活での悩みを解決、改善する上で、この条約我が国が付した様々な条件というのは非常に貴重だと思っておりますので、外務省からもこの点を諸外国に周知徹底するよう今後ともお願いしたいと思います。  続いて、児童権利条約などの国際人権条約との整合性についてお尋ねをいたします。  本条約については、児童権利条約に基づき設置されている国連児童権利に関する委員会から、以前より我が国に対して早期の締結が勧告されておりました。国内の一部からは、本条約により子が無理やり連れ戻されてしまうことは児童権利条約に反するものではないかと、こういう声も聞かれますが、児童権利条約第九条は子が双方の親と接触を維持する権利を定めております。基本的には、本条約児童権利条約の精神とも合致すると考えています。  他方で、国際人権法上認められた児童に関する人権に反する形で子が常居住地国返還されてしまうことはあってはなりません。子の監護権をどちらの親に帰属させればよいかという意味での子の福祉を考慮することは本条約を逸脱するものではないと考えますが、子の人権という観点から子の福祉を最優先して返還の是非を判断しなければならないことは当然です。  本条約児童権利条約整合性について、政府基本的見解伺いたいと思います。
  13. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) お答え申し上げます。  今御指摘がございました児童権利条約でございますけれども、児童権利条約は、児童権利の尊重及び確保の観点から必要となる詳細かつ具体的な事項を盛り込んだ条約でございます。同条約起草作業部会におきましては、子の不法な連れ去りにおける児童権利の保護についても議論が行われたわけでございます。その結果、同条約第十一条におきまして、児童が不法に国外へ移送されることを防止すること等について規定がなされております。  こうした作成過程を踏まえますならば、児童権利条約及びハーグ条約は、いずれも子の利益を重視するとの観点から、国境を越えた子の不法な連れ去り等の発生を防止するとともに、発生した事態に迅速に対応するとの共通の目的を持っているというふうに考えられると思います。
  14. 風間直樹

    風間直樹君 ありがとうございました。  そうした政府基本的見解、先ほど同様、諸外国に対しても十分な理解を求めるようにお願いをしたいと思います。  ハーグ条約に関する質疑はここで終えさせていただきます。  続きまして、対北朝鮮外交についてお尋ねをいたします。  さきに飯島元秘書官が訪朝して、北朝鮮の要人と会談を行いました。  まず岸田大臣にお伺いをしたいんですが、大臣は、この飯島さんが訪朝することは事前に御存じでしたでしょうか。
  15. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 飯島参与のこの訪朝につきましては、直前連絡を受けておりました。
  16. 風間直樹

    風間直樹君 それに対して大臣はどのような意見を、あるいはコメントをおっしゃったんでしょうか。
  17. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 飯島参与訪朝につきましては、直前連絡は受けましたが、その連絡を受けた中身ですとかやり取りにつきましては、事柄の性質上、お答えは控えさせていただきたいと思います。
  18. 風間直樹

    風間直樹君 私、昨日の決算委員会委員として出席をしておりまして、安倍総理がこの質問を受けて答弁されるその様子を間近で拝見をしておりました。総理表情とお言葉から非常に多くのものを示唆を受けました。特に私が強く感じたのは、我が国同盟国アメリカ、そして韓国との間にこの北朝鮮をめぐる政策をめぐって大きな摩擦が今起きているということです。このことは総理も昨日の答弁の中で一部示唆をし、一部認められました。  この摩擦、特に米国との摩擦について、アメリカからは今回の訪朝をめぐって、これはディザスターだと、災害だと、こういうコメントが寄せられたとの報道もありますが、大臣は、この米国との間に対北朝鮮政策をめぐって多くの摩擦が出ていることについてはどう認識をされていますか。
  19. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回の案件につきましては、米国に対しまして外交ルートを通じまして説明をさせていただいております。いずれにせよ、米国、さらには韓国、こうした北朝鮮問題に関して共通利益を有する国々との連携は大変重要だと認識をしております。  今後とも、こうした国々との連携、さらには中国、ロシアを始めとする関係国との連携、こうしたものはしっかり大事にしていかなければならないと考えています。こうした基本的な姿勢、方針においては我が国は従来と変わりがないと考えております。
  20. 風間直樹

    風間直樹君 昨日の安倍総理答弁をちょっと私なりに決算委員会の場でメモを取っていたんですが、こういうことをおっしゃいました。  九三年以来、自分は対北朝鮮政策にかかわってきたと。その中で、度々北朝鮮にはだまされてきたと、そういう強い悔しさを総理はにじまされました。その上で、こうおっしゃいました。米国韓国との関係は別として、日本拉致被害者帰国という国益を追求すべきなんだと。常に同盟国みんなが一緒にやっていくわけではない、表では非難はしないけれども、同盟国との交渉の場では日本意見を言うと。私は、総理表情を拝見していて、安倍さんはアメリカに対して非常に強いいら立ちをお持ちなんだなというふうに実は感じたんです。強いいら立ちをお持ちなんだなと。私の主観としてそう受け止めました。  今回、北朝鮮問題をめぐる日米間の摩擦というのは、多分四月のこの十五日前のケリー国務長官の訪日時に顕在化したものだと思っています。当時の新聞記事をいろいろ読んでみましたが、朝日新聞の四月十五日の夕刊記事、あるいは四月十六日の朝刊記事が非常によくその辺の状況を映し出しています。  十六日の朝日の朝刊にはこういう見出しがあります。「対話・圧力 力点見極め」「日本 引けぬ政権強硬維持」「米国 高まる緊張 緩和優先」と。恐らく、この見出しが両国におかれた国益上の相違を明瞭に表現しているのではないかなと思います。  つまり、アメリカの場合は、この対北朝鮮政策をめぐって二つ懸念を持っていると。私の理解でありますが、一つ安保上のリスクですね。テポドンの改良型ですか、これは米国本土にも到達できる距離を持っていると言われています。同時に、シリア問題に代表される中東情勢に現時点では米国としてはできれば専念したい、ですからアジア情勢はできるだけ波風を立てたくない、抑えたいと、こういう心情があるのだろうと思います。  大臣は、この今申し上げた二点についてどのような認識を持っていらっしゃいますでしょうか。
  21. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、私自身、この日米外相会談出席をし、ケリー長官と直接話し合った当事者であります。そして、こうした日米外相会談を通じて感じておりますのは、基本的な部分において、こうしたケリー長官と私の間に大きな温度差相違点は感じていないということであります。北朝鮮に対して、これ以上挑発行為を行わないようにしっかりと求めていく、また非核化に向けて具体的な行動を起こすよう求めていく、こういった点においては一致をしておりますし、また、北朝鮮のこうした核開発等挑発的な言動を阻止するためには、日米、そして併せて韓、こうした三か国の連携が特に重要であるということについても一致をさせていただきました。こういった点においては認識を共有しております。  ですから、基本的な部分において、ケリー長官と私、アメリカ日本、この二か国の間に大きな温度差、違いはないと感じているのが私の認識であります。
  22. 風間直樹

    風間直樹君 大臣ケリー長官との会談温度差をお感じにならなかったのかもしれませんが、今私がお尋ねしたのは、日本の対北朝鮮上の国益米国のそれとの間には大きな相違があるのではありませんかという質問です。  米国国益というのは、対北朝鮮上では、一つはミサイルに関する安保上のリスク、もう一つシリア情勢に代表される中東問題にできればこの時期専念したいと、この二つだと思うんだけれども、大臣はその点についてどのように認識されていますかという質問です。お願いします。
  23. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 確かに米国日本国益というものが完全に一致するものではないと思います。それぞれの立場によって関心の度合いが違うという部分はあるのかもしれませんが、少なくともこ北朝鮮問題に関しては、日米間で先ほど申し上げました点において一致をした、共通認識を確認できたということは、この日米外相会談、意義があったというふうに思いますし、その範囲内において温度差は感じなかったというのが私の認識であります。
  24. 風間直樹

    風間直樹君 私、参議院議員になる前に新潟県の県会議員をしておりました。九九年の当選です。めぐみさんの拉致国内で公になったのが恐らく九九年か二〇〇〇年だったと思います。それ以降、新潟港に入ってくる万景峰号という北朝鮮の船の入港問題を始め拉致問題の解決にかかわってまいりました。現在新潟県にある拉致被害者を救出する議員の会は、私が事実上先輩とともに設立した会でございます。  国会に参りましてからもこの拉致問題にはずっと関心を持ってまいりましたけれども、私、この拉致問題、被害者帰国を実現する、このことを達成するためには幾つかの関数を解かなければいけないというふうにずっと思っています。一つ同盟国との関係という関数です。小泉訪朝時に特に明らかになりましたけれども、当時米国北朝鮮核開発事案をめぐってこの小泉訪朝に大きな懸念を示したと、こう報道されました。韓国日本北朝鮮との様々な交渉には大きな関心を持って注視しているわけであります。この同盟国がいかに納得する形で日本北朝鮮交渉を進めていくかというのが一つ関数だと思っています。  もう一つは、これがなかなか解決が容易ではない関数だと思うんですが、日朝平壌宣言、この中に、大臣御存じのように、国交正常化後の経済協力規定した部分がございます。金額は定かに記されてはおりません。ただ、恐らく日朝政府間の話合いの場では、先方から当然この部分についても強い要求、要請がこの十年間もあったんだろうと推察をしています。仮に、拉致被害者帰国が実現をして、我が国が掲げるようにその後国交正常化をし経済協力を行う段になったときに、じゃ、この経済協力国連経済制裁、現在行われている制裁とどう整合性を持って行われるのかと、これがもう一つの大きな関数だと思っているんです。  この二つ関数を解いたときに初めて拉致事件というのは解決する、被害者帰国できる、このように考えておりますが、大臣お尋ねいたします。被害者帰国後、そして日朝国交正常化後の経済協力国連の現在の経済制裁とどう整合するのか、その点についての大臣のお考えをお願いします。
  25. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、拉致問題に関しまして委員が今日まで大変な御努力を積み重ねてこられましたこと、このことについては改めて心から敬意を表し申し上げます。  そして、考え方として、今委員の方から二つ関数の掛け合いであるという御指摘がありました。基本的な考え方は私も共有するところであります。ただし、拉致問題解決後のこの部分につきましては、まずこの二つ関数がどのように動き出して、そして、具体的にどのように進んでどのように絡んでくるかによって様々なケースが考えられます。まずは、こうした議論が、その関数が進むために、まず北朝鮮側から非核化を前提とした真摯な具体的な態度が示されることが大前提だと考えます。こうしたことによって物事が動き出し、具体的にどのように推移するかによってこの先の話は変わってくるのではないかと思います。  是非こうした議論が前向きに進むように、まずはしっかりと国際社会と連携しながら、北朝鮮に対して、具体的な真摯な態度、こうした日朝平壌宣言あるいは国連安保理での決議、こうしたものに対してしっかりとした具体的な対応をするべく働きかけていくのが第一だと考えています。
  26. 風間直樹

    風間直樹君 小泉訪朝後、約十年にわたって拉致問題がほとんど動きませんでした。私は、常々、なぜ動かなかったんだろうと、十年間のこの結果が出なかったという意味での停滞の理由は何なんだろうということを考えてきたんですが、恐らくポイントは、今申し上げた関数を解くことができなかったと、日本始め関係国が解けなかったと、こういうことに尽きるのだろうと思っています。  この関数を解くには、一つは国際情勢の変化がなければなりません。大臣がおっしゃったのはまさにその部分だろうと思います。北朝鮮との交渉が非常に困難であることは私も理解をしておりますが、是非大臣には、外務省がこの拉致被害者帰国に関する案件一つの主体でありますので、適切な御判断を下していただくようにお願いをしたいと思っています。  私は、ちょっとこの問題の最後に一つ確認をしておきたいんですが、安倍政権は今非常に株価の上昇、景気の回復の兆しを背景に順調な運営をされていますけれども、もし綻びが出てくるとすれば、特に米国との間にそれが出るとすれば外交問題ではないかというふうに危惧をしています。特にこの北朝鮮問題、それから後ほど申し上げる歴史認識の問題。  大臣、十分御承知のこととは思いますけれども、先ほど来の、日本アメリカでは当然ながら国益が違うと。お互いその違う国益を抱えながら、この北東アジアにおける安全保障、その中での拉致被害者帰国という我が国の目標、さらに北朝鮮の核、ミサイル発射の抑制、この共通目標を実現していかなければいけない。そのときに、当然、我が国国益を追求する上での気迫は大事なんですが、同時に、同盟国に対する配慮、深慮もこれは欠かせないんだろうと思います。  その点について私はちょっと今危惧をしております。このことが現在の順調な政権運営の足かせにならなければいいなと、これが摩擦が更に亀裂に発展しなければいいなと、こういう危惧をしております。この点、大臣には重々また御認識をいただきまして臨んでいただきますようにお願いをしておきます。  さて、ちょっと、閑話休題ではないんですが、大臣の外遊日程について話題を移したいと思います。私、昨年、外務省政務官の役職を拝命しておりまして、政務三役の外遊、外交交渉会議への参加というものが非常に多くの制約の中で行われているということを改めて知りました。  それで、今日はちょっと外務省から資料を出していただいたものを配付しております。外務省にこの配付資料を基に簡単に御説明を願いたいんですが、まず配付資料の二枚目になるかと思いますが、我が国外務大臣の外遊日程は移動日を含めて年間何日あるのかと、この点、御説明をいただけますでしょうか。
  27. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) お答え申し上げます。  外務大臣の外遊日程についてのお尋ねでございますけれども、外遊日程につきましては、移動日も含めまして、暦年で申し上げれば、二〇一〇年は九十一日、二〇一一年は六十九日、二〇一二年は六十八日でございます。また、二〇一三年につきましては現在まで三十日というふうになってございます。
  28. 風間直樹

    風間直樹君 ありがとうございます。  この表に他の先進国の外務大臣の年間外遊日数も記されておりますが、同じ議会制民主主義の国であるイギリスの場合、二〇一〇年は六十六日、二〇一一年、八十七日、二〇一二年が百十五日、二〇一三年一月から四月末までが三十二日と、一般的に日本に比べると多いということが見て取れるかと思います。  続きまして、配付資料一枚目になりますが、国会審議を含めて国内日程との関連で外遊に充てられない日は年間何日あるかというお尋ねなんですが、外務大臣国会出席日数について簡潔に御説明いただけますでしょうか。
  29. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) 外務大臣国会出席した日数でございますけれども、年間で申し上げれば、二〇一〇年は計百十八日、二〇一一年は計百四十日、二〇一二年は計百二日でございます。
  30. 風間直樹

    風間直樹君 ありがとうございます。  これも、イギリスとの比較を配付資料の三枚目にとじたんですが、外務省の資料であります。イギリスの場合は、一番にありますように、海外渡航に当たって議会による事前承認を必要とする旨の規定はなく、事前承認の慣行についても確認されていないと。じゃ、外務大臣の年間の議会出席は何日かというと、一番下ですが、ヘーグ外相の場合、答弁のため年間二十日程度議会に出席していると、こういうことであります。  実は、この質問を私がなぜ今日するかといいますと、かつて自民党外務大臣経験者の方と親しくちょっと懇親をする機会がありまして、そのときに非常に興味深い話を聞いたのがきっかけであります。その方が外相当時、非常に国会出席の日数が多くて、たまたま出た国際会議の場で同じく来ていた他国の外相に、あなたはおたくの国の議会で何日年間出ているんですかと、こう聞かれたそうです。そうしましたら、当時の米国の国務長官は、ううんと言って、年間多分三日ぐらいかなと、オーストラリアの外相は、年間多分一週間から十日、あるいは二十日以内だと思うと、こういうふうに話されたと。  日本の場合、今御紹介いたしましたように、年間国会出席が百日を軽く超えるわけであります。これはそれが理由かどうか分かりませんが、私も外務省大臣の外遊のこの日程制約を拝見しておりまして、ほとんど歴代の外務大臣は週末、土日を利用して外遊に行かれると思うんですね。そうすると、どうしても体に負担が来ます。そのことが政治家としての体力に対する様々な影響として出てくる。これが歴代外務大臣の政治家としての御活動を拝見したときに明らかではないのかなというふうに私は考えております。  是非、我々民主党は野党になりましたが、これはこの場にお集まりの先生方の所属政党を含めて、これから将来、いつどの党が政権を担うか分かりません。ですので、殊にこの外務大臣の外遊日程については、私は、この外交防衛委員会の場で一つの慣例を確立し、それを国会政府で共有すべきではないかなと、こんなふうに考えておるところでございます。  大臣、御就任されてもう半年ぐらいになりますでしょうか、ちょっと感想をお尋ねしたいんですが、様々な日程制約の中で外遊をされていらっしゃると思いますけれども、日程制約上やはり厳しいとお感じになっていらっしゃいますでしょうか、それとも、いや、まだまだ自分の体力ではこれぐらい大丈夫だとお考えでしょうか。
  31. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 外務大臣として仕事をさせていただいて五か月ほどになりますが、その間、国会審議もある中、国会の御了解をいただき、海外に何度か行かせていただきました。こうした外国訪問ももちろんでありますし、また国内におりましても、この外務大臣というもの、電話会談一つにしましても時差との関係で不規則な時間にこうした電話会談に臨まなければいけない、また多くの海外からの来客の応対もしなければいけない等々、様々な外務大臣の仕事を振り返りますときに、私自身、感想としましては想像以上に多忙な業務の中にあるなと感じています。しかし、それだけに大きな今責任を感じ、しっかりと業務に臨まなければいけない、そうした思いも強くしておるところでございます。
  32. 風間直樹

    風間直樹君 我々国会の役割として、やはり大臣始め、これは外務省、防衛省いずれもですが、政務三役の皆さんができるだけ働いていただきやすい環境を整えるということも大事なことじゃないかと思います。  特に私が三役在任中に強く思ったのは、皆さん現在そうでいらっしゃいますけれども、日々読まれる資料の数が膨大ですよね。特に外務省の場合は世界各国の大使館、領事館から上がってくる公電も多数に上ります。こういったものを読むことがやはり三役としては非常に重要な仕事でもありますし、それを判断材料として日々の外交に生かしていただくことも必要であります。そのための時間をいかに確保するかということは、多分大臣も今、あるいは政務官も日々御苦労されているのじゃないのかなと、こう拝察するわけでありまして、そういう意味からも、是非これは超党派で、与野党超えてこの政務三役の外遊日程についてできるだけ環境を整える方向で今後議論をさせていただきたいと、このように思います。  あわせて、以前からちょっと不思議に思っていたんですが、外務大臣が外遊される場合に、大抵の場合商業便で渡航されます。昨年、玄葉大臣、当時、たしか北京だったと思いますが、チャーター機でやむを得ぬ理由で渡航されましたときに、この場で当時の野党の議員から厳しい指摘を受けたことがありました。今回、確認してみたんですが、政府専用機に外務大臣が国際会議や外交交渉のために乗ることができないのかと尋ねましたところ、利用は可能だと、こういう返答が政府から参りました。  現在、自衛隊法でこの政府専用機の運用規定されているわけでありますが、皇族それから総理だけではなく閣僚も利用できるということ、そして、じゃ、外務大臣が外遊するときに現在どういうこの自衛隊法に基づいて運用を行っているのか、その辺ちょっと簡単に御説明をいただきたいんですが。
  33. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) 今お尋ね外務大臣を含む国務大臣の防衛省・自衛隊による輸送ということでございますが、これは政令におきまして、「重要な用務の遂行のため特に必要があると認められる場合に限る。」という定めがございます。具体的に申し上げますと、国際会議など出張日程を変更することができない、極めて困難であると、そういう重要な用務に関して、民航の定期便がその当該目的地に運航していない、あるいはその民航の定期便が運航していない時間帯に出発して移動しないといけないと、そういったような理由から、民航の定期便あるいは民間のチャーター機による対応が困難であるというふうに判断される場合などに、これは外務大臣あるいは外務省に限ったことではないんですけれども、担当の省庁からの御依頼を受けまして実施をするという、そういう手続になってございます。
  34. 風間直樹

    風間直樹君 昨年、玄葉大臣の北京外遊当時、あのときは中国の外相との会談が目的で行かれたと思うんですけれども、たしかチャーター機の利用代が、議事録に残っていると思いますが、一千二百万円程度だったかと記憶をしております。今の黒江さんの御答弁ですと、商業便の利用とそれからチャーター機の利用がなかなか都合が付かない場合政府専用機の利用を検討すると、こういうお話だと思うんですけれども、ちょっと立ち入ってお伺いしますが、政府専用機の利用というのはチャーター便に比べてコストの面ではどうなんでしょうか。
  35. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) コストについてのお尋ねでございますけれども、実際にその運航に要した経費について、そこだけちょっと御紹介をさせていただきますと、例えば、平成二十一年に鳩山総理がインドネシアのバリ島で行われましたフォーラムに参加する際に運航した場合は経費として約二千九百万円ほど掛かっておるということでございます。先生御指摘の北京への事例といったものについては、ちょっと私の方で今直ちにデータはないんですけれども、御参考までにそういったことを紹介させていただきます。
  36. 風間直樹

    風間直樹君 ありがとうございます。  事前にお尋ねしたところでは、過去、外務大臣のみが利用するということでこの政府専用機を使った例はたしか一例だけあるというふうに伺いました。いずれにしても、政府専用機の外相による利用というのは今はさほど容易ではないということだと思います。これは商業便でもチャーター便でも政府専用機でも、できるだけ外相を始め三役の皆さんの負担が軽減されるという方向でこれから国会でも議論を重ねていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次に、外務大臣の歴史認識についてお尋ねをしたいと思います。  さきに安倍総理国会における歴史認識答弁がいろいろ海外で波紋を呼びました。最近では橋下市長の発言が大きな波紋を呼んでいます。外務大臣は太平洋戦争は侵略戦争だったとお考えになっているのか否か、お尋ねをいたします。    〔委員長退席、理事柳田稔君着席〕
  37. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 私の歴史認識についてお尋ねをいただきましたが、私自身度々申し上げておりますように、我が国はかつて多くの国々、特にアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。この認識におきましては歴代の内閣の立場を引き継ぐものであります。歴史認識においては歴代内閣と私も同じくしております。
  38. 風間直樹

    風間直樹君 この歴代内閣の歴史認識、私も今回の安倍総理答弁を受けていろいろと調べてみたんですけれども、全く同一ではないんですよね。内閣としては同一の歴史認識を表明されていますけれども、個々の総理国会の場で答弁された内容を拝見しますと、それぞれ御自身の主観というものが当然ですが出ております。  そういう意味で、大臣、一くくりに歴代内閣の認識と一緒だというふうにおっしゃるのではなくて、太平洋戦争という戦争を政治家岸田はどう考えていらっしゃるのか。ここで、かつて日本軍が行った他国への行為をどのように認識されているのか、その点触れていただけますでしょうか。
  39. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 委員の方から先ほど侵略という点について御質問をいただきましたが、この侵略ということも含めて、歴代の内閣の歴史認識、これ全体を引き継ぐというのが私の立場であります。
  40. 風間直樹

    風間直樹君 それではお尋ねしますが、安倍総理はこうおっしゃっています。侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない、国と国との関係において、どちらから見るかにおいて違うと。外務大臣の侵略に関する認識総理と同じでしょうか。
  41. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 侵略の定義につきましては、国際法上、国連の場、また様々な会議の場、あるいは学界等におきまして様々な議論が行われております。しかしながら、様々な議論は行われていますが、侵略を否定したということは一度もないというのが私の立場であり、内閣の立場であり、そして総理立場だと認識をしております。    〔理事柳田稔君退席、委員長着席〕
  42. 風間直樹

    風間直樹君 ここが非常に微妙な波紋を国際社会、特に米国に対しては感じさせるのだろうと思います。侵略ということを一度も否定したことはないという文脈がどのように我が同盟国で受け取られるかと、この点を安倍内閣の皆様にはいま一度御認識をいただきたい。  多分この答弁資料は、総理のものも含めて外務省で作成をされているんだと思います。侵略を行ったということを一度も否定したことはないというのは、それはそのとおりであります。ただ、その文言がどういうメッセージを同盟国に対して、あるいはアジアの諸国に対して印象として投げかけているか。このことの意味について、今日は外務大臣始めちょっと外務省の皆さんに、いま一度今後の答弁のひとつ参考として考えていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  私、今回、一連の歴史認識に関する発言を聞いていて思ったんですが、我が国には我が国固有の歴史が当然あると、過去の歴史の中で様々な出来事があったと。現代、今日の基準に照らして、我が国の政治家がそれを対外的に発信する際に、恐らく非常に大事なポイントが一つあるのではないかなということを感じております。それは何かというと、国境を越えたコミュニケーションでは理念型の発信しか通用しないということです。国境を越えたコミュニケーションでは理念型の発信しか通用しないんだろうと、今回の様々な出来事を見て私は感じております。大臣にも、今後また公務に当たられる際、ひとつ慎重にお考えをいただきたくお願いをいたします。  それでは次に、防衛省、外務省お尋ねします。  尖閣をめぐる問題ですけれども、まず、中国公船による領海、それからEEZへの侵入についてお伺いをしたいと思います。  私、昨年の民主党政権当時から一つずっと感じてきたことがありました。それは何かというと、昨年の十二月五日、衆議院選挙の告示後、当時の安倍総裁の発言であります。これ、たしか時事通信の配信した記事だと思いますが、ちょっと読みます。自民党安倍晋三総裁は静岡県掛川市で街頭に立ち、沖縄県の尖閣諸島をめぐる野田政権姿勢に言及、中国の公船が何回も領海侵犯をする、こんなことはなかったと、まあ自民党政権当時はなかったという意味だと思います、民主党の外交敗北の結果だと語気を強めた。  私、当時外務省におりましたが、この発言を聞いて非常に強い違和感を感じました。総選挙中とはいえ、少し野党第一党の総裁としては踏み込み過ぎた発言ではないかと思いました。  そこでお尋ねしたいんですが、現在、政権交代して半年がたちましたが、自民党政権になっても中国による公船の侵入を止めることができていません。この点を外務大臣防衛大臣は、安倍総裁当時の発言を踏まえてどのようにお考えでしょうか。
  43. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この中国公船によります度重なる領海侵犯につきましては、誠に遺憾に感じております。こうした事態に対しましては、我が国としては事態を決してエスカレートさせることなく、冷静かつ毅然とした態度で臨んでいかなければならないと考えております。  こうした事態に対して冷静かつ毅然に対応すると同時に、国際社会との意思疎通、連携が重要だと考えております。こうした力による現状変更を決して許してはならない、法やルールによる秩序がしっかりと保たれなければならない、こうした認識についてしっかりと国際社会、東アジアを始め関係各国としっかりと意思疎通を図り共通認識を持つ、こういったことが重要かと思います。  こうした我が国としてこの尖閣諸島をめぐる事態に具体的にしっかりと毅然と対応する、あわせて、国際社会において関係国との間の連携を深めていく、このことによって中国に対してこれ以上事態をエスカレートさせないように働きかけていく、これが基本的な考え方であります。  今、引き続き領海侵犯が続いているわけですが、こういった事態に対して、今申し上げましたような考え方に基づいてしっかりと対応し、事態をエスカレートさせないように中国に働きかけていくことが重要だと考えております。
  44. 風間直樹

    風間直樹君 私、今の大臣の御答弁政府国会の場での共通答弁だと思うんですが、答弁されていることと、実際、今総理以下、対応されていることが違うんじゃないかという危惧を持っているんです。  それは、今日配付したこの産経新聞の記事なんですけれども、四月二十四日の記事、例の海自艦へのレーダー照射の記事ですね。「中国共産党が指示 「砲身向け威嚇」も許可」と、こういう見出しであります。  ここにちょっと気になる記述がありまして、中段ですが、関係筋によると、共産党中央が軍事委員会に対し、海上自衛艦への威嚇について検討するよう指示したのは一月十四日。これに先立つ一月五日、安倍晋三首相が尖閣諸島周辺での領域警備で対抗措置を強化するよう指示。具体的には、領空侵犯機が無線警告に従わない場合、空自戦闘機が曳光弾で警告射撃を行い、海軍艦艇が領海付近に進出してくれば、それまで二十八キロの距離を置いていた海自艦艇が三キロまで接近することに改めた。こうした日本政府の対応に中国側は強く反発。党中央が威嚇の検討を指示した十四日には、人民解放軍の機関紙解放軍報が、作戦立案を担う総参謀部が全軍に戦争の準備をせよとの指示を出していたと報じたと、こういう記述があります。  私が気になるのは、一月五日に安倍総理がここにある指示を出した後、民主党政権当時とはかなり異なる対応、指示なんですね。その後、一月十四日に党中央が軍事委員会に対して海上自衛艦への威嚇について検討しろという指示を出したという部分なんです。これは、今の大臣答弁とは随分そごがあるんですね。おっしゃっていることと、実際この記事が事実だとすれば、そごがあると国民は受け止めかねません。  ここは大臣伺いたいんですが、この記事に対して、岸田大臣はどう理解認識をされていらっしゃいますか。
  45. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、尖閣諸島につきましては、国際的、歴史的にも我が国固有の領土であり、我が国は実際有効支配をしておりますし、そもそも領土問題というものは存在しないというのが我が国の基本的な立場であります。この基本的な立場我が国が譲ることは決してありません。  しかしながら、こうした基本的な考え方、しっかり中国にも伝え、そして現場においても毅然とした態度を取りつつ、国際社会との連携も深め、力による現状変更は許さない、こうした国際的な世論をつくっていく、こうした考え方に立っております。  その中で、具体的にどう対応するのか。これは、それぞれの現場、あるいは大臣総理の判断かと思いますが、基本的な考え方については今申し上げたとおりであり、こうした基本的な考え方に基づいてしっかりと対応していきたいと思っています。
  46. 風間直樹

    風間直樹君 岸田大臣の御答弁は、極めて原則論、抽象論が多いんです。これ、外務大臣という立場上仕方がないかもしれませんが、私が聞いたことに対しては、なかなか応じた答弁が返ってきません。  そこで、小野寺大臣に同じお尋ねをいたしますが、この産経新聞に記されている内容を大臣としてはどう理解認識をされているか。同時に、先ほど私が指摘したように、ここにある概要と現在岸田大臣がおっしゃった政府共通答弁には大きなそごがあるけれども、その点についてはどう考えていらっしゃいますか。
  47. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 報道については私も承知をしておりますが、内容については、これは一般論として、正しいも正しくないも、そしてまた、どのような対応をしているかしていないかについても答弁できないということについては御了承いただきたいと思います。  その中で、確かに中国は海洋進出ということを最近強めています。これは、委員御存じのとおり、A2ADの考え方、あるいは台湾独立の抑止、阻止の問題、海洋権益の主張、そして海洋権益についての獲得、維持、保護、あるいは自国の海洋輸送の保護等があると思います。  そして、このような状況全般の中で私ども感じますのは、やはり中国は海洋進出をしたいという意図がある。その中で、例えば日米同盟のような強固な関係があれば、そこはその海洋進出について一定の考え方が中国側にはあるんではないかと、そのような問題意識を我が省としては持っておりますので、まずは自国でしっかりとした対応を取るということ、そして特に日米同盟の強化、これを更に進めていくことが大切だというふうに思っております。
  48. 風間直樹

    風間直樹君 中国公船による度重なる侵入には大きな目的があると思います。それは、この海域の実効支配、その既成事実を淡々と積み重ねていくということだと私は考えています。向こうが実効支配という既成事実を積み重ねようとしたときに、当然我が国がそれを海保を当たらせて抑える、抑止をしていくわけですが、問題は、その過程で偶発的な事故、あるいは紛争につながらないように双方の政府で水面下でのきちんとしたコミュニケーションを取るということだと思います。  私も外務省在任当時は、外務省の皆さんとその点についてはいろいろ意見交換をしましたが、外務省も現に日々コミュニケーションを取っていただいています。ただ、私が感じていますのは、中国とのコミュニケーションを取る場合、なかなか容易ではない、非常に難しい部分があります。特に、昨年、野田政権での尖閣の国有化をめぐる中国とのコミュニケーションでは、その難しさが浮き彫りになったと私は考えています。  是非、岸田大臣、小野寺大臣には、こうした事例が偶発的な衝突に至らないようにコミュニケーションを十分取っていただいて、双方慎重な対応を心掛けるよう、日本政府としてもお願いをしたいと。  以上で質問を終わります。
  49. 末松信介

    ○末松信介君 おはようございます。自民党の末松信介です。  先ほど、風間委員から大臣の海外出張についての疲労のお話がございました。私ちょっとお尋ねしたいんですけれども、前の野田総理、そして今の安倍総理、予算委員会の集中審議、もう連日行われておると。昼からはひどいときは五時間近く座り続けると。これって、十五分間ぐらい休憩を取った方が有り難いんじゃないか、効率的じゃないかと、人間、機械じゃないんで。この点について大臣のお考え、ちょっとお伺いしたいと思うんです。
  50. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 国会の運営につきましては国会でお決めいただくことかと存じますが、この国会議論、そして大臣答弁というものは大変重要なものであります。是非しっかりとした答弁をするためにも、体調管理も大事だというのは事実かと存じます。
  51. 末松信介

    ○末松信介君 新しく当選された江島さんという議員と話していたら、地方議会でもやはり休憩取るんですよね。私は、議運の場でまた改めてそういった議論をしたいと思います。横道にそれました。  ハーグ条約の子奪取案が質疑されて、本日採決ということになったわけでありますけれども、代表的な事件であるサボイ事件、これはもう大臣もよく御存じのとおりでありますけれども、米国では元妻による拉致事件、国外移送、これ略取事件ということで地元警察も元妻の逮捕状を取ったと。今度は、奪い返そうとしたこの子のお父さんが福岡県の方で未成年者略取の容疑で逮捕されるという、これ大変つらい話であったと思うんですけれども、こうした問題が解決できればなということを思うんですけれども。  今年の二月の日米首脳会談安倍総理も、このハーグ子奪取条約については加盟をしたいということをオバマ大統領に約束をされたわけでありまして、我々も大きな期待を寄せているところでございます。今G8で、この主要八か国で加入していないのは日本だけになってしまったということでございます。  それで、私、要望なんですけれども、これは過去、ほかの先生方も御質問されたと思います。TPPとかRCEPとかFTAAP、非常にアジアとのかかわり合いが深くなってくると。アジアとのかかわり合いが深くなるということはアジアの女性との国際結婚も増える。結婚が増えるということは離婚も増えるということなんですけれども。特に日本人男性は中国とフィリピンの女性で七割近い方々が結婚されておると。そして、離婚も七割は中国とフィリピンの方であると。だから、こうした国々方々が、当然フィリピン、中国がハーグ条約に加盟をしてもらわないと、今後を見通した場合には私は大きな意義を見出せないと思うので、その努力を是非お願いをしたいということを思います。  この法案の中身はもうあえて申し上げませんけれども、欧米では共同親権が一応一つの理論になっています。日本では単独親権ということでありますから、日本では子供を一旦手放したら二度と会えないという、そういう考え方が大変強かったと思うんですけれども、日本は独自の家庭観と、これは文化のそういった意識があろうかと思うんですけれども。それで、欧米の価値観を基準としたこのハーグ条約とは相入れないんじゃないかという、そういうことをおっしゃる方も多いわけなんですけれども、この点について一体どうこたえていくのかということにつきまして、大臣考え方伺います。
  52. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、国境を越えた人の往来が飛躍的に増加し、そして日本人の国際結婚及びその破綻も増加しております。こうしたことから、諸外国との間で子の連れ去り等をめぐる問題、顕在化しております。そうした中で、我が国だけG8諸国の中でハーグ条約締結しないという状況にあるわけですが、国境を越えた不法な子の連れ去りによる一番の被害者子供自身であり、子の利益を保護するという見地からも、ハーグ条約を早期に締結すること、極めて重要だと考えております。  そして、先ほどアジア諸国との関係を御指摘がありました。こうしたハーグ条約ですが、子の利益を保護するためにはやはり国際的なネットワークをしっかりと構築するということ、これが大変重要であります。アジア諸国においてはまだこのハーグ条約締結していない国がかなり多いわけですが、こうしたネットワーク構築ということを考えますときに、我が国としては、今後、子の連れ去り等をめぐる問題が生じる可能性が潜在的に高いと考えられるアジアの国々、こうした国々に対してしっかりと締結重要性について協議を行っていく、働きかけを行っていく、こういった点は重要だと存じます。  そして、あわせて、価値観の違いについて御指摘をいただきました。今申し上げましたように、ハーグ条約自体は子の利益を保護するという見地に立っております。このハーグ条約というのは、一方の親の都合によって不法に子が連れ去られることは、ある日突然に生活基盤が崩れ、他方の親との接触が切断され、異なる言語、異なる文化環境での生活を余儀なくされるといった有害な影響を子に与えるという認識に立っております。  ですから、特定の国や地域の習慣とか文化あるいは価値観に立脚するものではないと考えられます。こうしたことですので、こうした考え方自身は国際社会で共有されていると考えております。よって、我が国の習慣、文化、価値観等になじまないということになるのではないかという心配は当たらないのではないかと考えます。
  53. 末松信介

    ○末松信介君 調査室からいただいた資料では、条約締結すべき意見例として積極的な意見と慎重な意見があって、そういう書き方をすると。日本人、そういう分析の仕方をよくするわけなんですけれども、今の大臣のお話は一応理解はしました。  それで、二〇一一年の五月に、民法中の七百六十六条に離婚後の父母の面会交流は規定がされております、これにつきましては。それまでも、家庭裁判所も、実務で面会交流、子の監護に関する処分に位置付けましてこれを認めてきた実は経緯があるわけなんですよね。ある面では日本も共同親権的な思想は少し入ってきているということは確かなんですよ。だって、私の知り合いの子供さんが離婚しましたけれども、やっぱり、夏休みの間、何日か会って生活をしなさいと、それで、何週間に一回は必ず会いなさいということが協議離婚の中で条件がうたわれている、そういう話を私も聞いているわけなんですけれども。  それで、いずれこのハーグ条約に加盟するということは、共同親権の問題とは一旦向き合う時期がやってくるんじゃないかという、そういうことを私は個人的には思っているんです。どうなるか分かりませんが。それで、他方、見方としては、離婚後、共同親権を認めるならば、これは簡単に離婚に踏み切ることはないという考え方もあることは確かなんですよね。異なった二つの見方が、確かにそのことが言われております。  そのことは横に置いておきましても、私は慎重な意見の中で一番気になることを申し上げたいと思うんですが、先ほど風間委員指摘をされました。それはどういうことかといいましたら、家庭内の暴力があって、ひどく命に危険があるということですね。そういったDV被害に遭っている方にとっては、もう時間の掛かる保護手続を待っていたら我が身が危ないと。とにかくその危険から自分の身を守らなきゃならないという、そのことで母国に帰ってきていると。子供は海外に置いておくわけにはいかないので連れて帰ってくるという、ある面でこれは言わば緊急避難的なやむを得ざる措置だと思うんですよね。  それを簡単に、このハーグ条約ということで、まあ原則としては元の居住地国に戻さなきゃならぬわけですけれども、戻っているわけなんですけれども、割り切れるということ、簡単に割り切っていいのかどうかということ、見解の相違であるということで割り切っていいのか、私は少し考える余地がまだあるのかなということを思うんですけれども、岸田大臣の御見解を伺いたいと思います。担当局長でも結構ですよ。
  54. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) お答え申し上げます。  確かに、いわゆる家庭内暴力の件というのは非常に重要な問題だと承知しております。確かに、いわゆる自力救済と申しますか、やむを得ない事情の下に子供を連れ帰るという事態もあろうかと思いますけれども、もしそれが相手の親の監護の権利を侵害するというふうな形で行われる場合は、それはハーグ条約上の不法な連れ去りということにならざるを得ません。  他方、事案によっては、今委員の御指摘のとおり、DV被害等によりやむを得ず我が国に子を連れ帰るという場合も確かにあろうかと思います。この場合は、相手国の相手の親の監護の権利を侵害したということであれば確かに不法な連れ去りには該当いたしますけれども、この中で、これも条約あるいは法律の中で定められておりますけれども、返還拒否事由というのがございます。それに認められると、そういう返還拒否事由であるということを認定されれば子を返還する義務はございません。  条約実施法案におきましても、DV被害によりやむを得ず子を連れ帰ったというケースに関連いたしまして、かかる拒否事由の存否を判断する上で考慮すべき事由が規定されておりまして、こういった事由に基づきまして我が国裁判手続においてこれが適切に配慮されるということになると思います。
  55. 末松信介

    ○末松信介君 局長のおっしゃることは分かるんです。しかし、立証事由も当然、子供を連れてきた母が自分でこれ立証しなきゃいかぬわけですよね、こういうことがあったと。場合によっては、外国において日本のそういった大使館なりにも一応こういうことがありますということを伝達していくということで、極めて難しい作業をやっぱり求められているということは確かだと思うんです。  それと、このハーグ子奪取条約が成立したときには、DVというのは余り想定されていなかったはずなんですよ。と同時に、子供を連れ去るのは父親であって、母親が連れ去るケースというのは余り想定されていなかったということはいろんな文献から明らかになっているわけなんで、そういう点も、私は、少しこのハーグ条約ということについては引き続きしっかり注視をしていくと、この条約加盟しましても、そのことを強く求めておきたいと思うんです。  与えられた時間が大変短いので次に進みますけれども、この子の連れ去り問題にはいろんなケースがございます。これは調査室にいただいた資料、加地君が作ってくれた資料も見たら大変詳しく出ておるわけなんですけれども、私は、代表的な話を言いましたら、一昨年の原発事故を理由に、日本人と結婚した外国人が子供を連れて母国に帰るケースが出始めておるということなんです。日本子供を連れ戻すのに有効なハーグ条約に加盟していないため、子供を奪われて途方に暮れている親がおられます。アメリカ人と結婚したある日本人の女性の話なんです。  一昨年の三月に、夫が子供を連れて一か月の予定でアメリカへ里帰りしたと。その間に福島の原発の事故が起きてしまったと。それで、夫は原発事故の影響を恐れて、いまだアメリカを離れようとしていないんです。女性帰国を促すと、子供を放射能の危険にさらすのかと拒んだそうなんです。アメリカでは、震災後、津波や放射能のことが連日報道され続けました。夫は当初、原発の事故が安定したら戻ると約束していたんですけれども、その約束が守られることなく、昨年の十一月に一方的にアメリカで離婚を求める訴訟を起こされてしまったそうです。あの東日本大震災がなければ、今ごろは家族そろって幸せに暮らしていることだと思うんです。  それで、女性アメリカで安定した職を見付けられる保証はなくて、この状態で離婚となれば親権が認められる可能性も低いということを考えておられます。アメリカ政府子供連れ去り窓口に相談しましても、日本ハーグ条約に加盟していません、子供を元の居住地に戻す義務はない、子供は保護の対象になりませんと。それと、アメリカで訴訟した場合、これもう何百万円という訴訟費用が掛かるということが一般的に言われております。それと同時に、ハーグ条約に加盟しましても、過去の事例には遡及されないということが明記されていますよね、条文にも書いているということなんですよ。  それで、この女性は泣き寝入りをしたままなんですけれども、こういう連れ去り問題に対処できないのかどうかと。これはやはり、こういった問題をどう解決していくかということを、政府はすき間の問題をきちっとどう対処するかということを考えておかなければ、私は、ハーグ条約に加盟した加盟したということで手放しで喜べないと思うんですよ。  ですから、この場合、二国間協定を結ぶとか、あるいは欧州評議会でも、こうした評議会をつくって話合いのできる場なんかを設けているはずなんですよ。多少私もこの関係する本を読みましたけど、そういうことを日本政府は考えていないのかどうか。このケースを想定して、この問題を解決するために日本政府は何ができるかということをお答えいただきたいと思うんです。担当の局長で結構です。
  56. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、ハーグ条約の効力発生前においては、あるいは子の不法な連れ去り、留置に対しては条約の適用がないというのは御指摘のとおりでございます。したがいまして、今ある案件、既存案件についてハーグ条約をそのまま適用することはできないということは御理解いただきたいと思いますが、確かに今委員指摘のように、いろいろ難しい案件、気の毒な案件があるということは我々十分把握あるいは認識しておりますので、そういったものについてもこれからも丁寧な対応をしていかなきゃいけないというふうに考えております。政府としても、これまでの国内法令等に従いまして、できるだけ可能な範囲で支援を行っていくということを考えております。  今御指摘がございましたようなことで、例えば情報共有を目的とする二国間の連絡協議会というものも既にございますし、そういったものを通じた対応をする、あるいは、現行の制度、それぞれ国によってございますので、そういった制度を活用する、あるいは、親と子が会えない場合に領事が子と面会し、状況を確認する領事面会というのを外務省として支援するなど、いろんな可能な支援をやっていきたいというふうに思っております。  今御指摘がございました二国間条約締結でございますけれども、これは、主要国の例におきましても、二国間条約締結によってハーグ条約の効力発生前の案件を処理するという例はございません。したがいまして、今のところ、今のような御指摘の遡及適用を認める二国間条約締結ということは考えておりませんけれども、今私が申し上げたような幾つかの手段を通じまして、できるだけきめ細かい対応をしたいと思っております。  更に申し上げれば、ハーグ条約発効前に発生した連れ去り事案に関しましても、いわゆる面会交流の権利が侵害されたという場合は、面会交流に関してハーグ条約に基づく支援を受けることは可能でございますので、そういった面会交流という手段を通じても、今ある案件についてできる限りの手当てをするということは可能ではないかというふうに考えてございます。
  57. 末松信介

    ○末松信介君 一応、新たな制度設計をしなくても、既存の仕組みを使って丁寧に対応していって困った人を助けてあげると、こういうケースもそういう努力をしたいということだと思うんですけれども、私は代表的な事件としてこの問題を取り上げただけなんですけれども、もうこれ以上はお話し申し上げませんけれども、欧州評議会では、子の監護及び子の監護の回復に関する決定の承認及び執行に関する欧州条約ということで、締約国三十七か国が加入されているんですけれども、ここでもってもこうした問題は解決されるというか、ここの条約でもって解決されるわけじゃないんですね、それじゃ。ちょっと確認をさせてください。
  58. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) あくまでも子の連れ去り事案につきましては国際的な約束としてハーグ条約がございますので、あくまでもハーグ条約の枠内で何ができるかということが国際的なルールではございます。  他方、それぞれの個別案件について、それぞれの国ができるだけ丁寧な対応をするということは当然あろうかと思いますので、今私が申し上げたような形で、既存のいろんな仕組みを使いながらできるだけ丁寧に対応するということは今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。
  59. 末松信介

    ○末松信介君 時間があと二分になりましたので、最後の質問で終えたいと思います。  三十年前に既に、グローバル化が進んで国際結婚が増加をする、日本政府にとってこの条約が将来必要となることが推測できなかったというのは政府の責任でもあり、政治家の我々の責任でもあると思うんですけれども、ちょっとお聞きしたいのは、ハーグ条約というのは、これハーグ子奪取条約ですけれども、それ以外にもいろんな種類の条約がございます。  それで、このハーグ親責任条約という条約は何かということをお尋ねしたいということ、もう一つは、ハーグ国際養子縁組条約に加盟する気はないのか。このハーグ国際縁組条約というのは、子供外国に養子に出すときに人身売買とならないように監視し、中央当局間で協力しようという枠組みを定めた条約なんです。これにも日本はまだ加盟していないと。なぜ加盟していないのか、この点をお聞きして質問を終わります。
  60. 山上信吾

    政府参考人(山上信吾君) お答え申し上げます。  ただいま委員から御指摘がございましたように、ハーグ国際私法会議で採択された条約のうち、子の利益を重視するという観点からいえば、今回お諮りしております子の奪取に関するハーグ条約のほかに、今委員から御指摘がございましたいわゆる親責任条約、それから国際養子縁組条約といった条約がございます。  まず、前者でございますが、これは九六年に採択されまして、正式名称は親等の責任及び子の保護措置に関する管轄権、準拠法、承認、執行及び協力に関する条約と言われておりまして、国際裁判の管轄や準拠法等を含めまして、保護を要する子に対します保護に当たって国際的な協力体制を確立すること等を目的としております。  それから、お尋ねの国際養子縁組条約でございますが、こちらの方は国際養子縁組に関する国際的な協力体制を確立すること等を目的としており、現時点での締約国数は九十か国に達し、国際的に重要な条約となっております。この条約締結するためには、養子縁組を承認するなどの権限を行使する中央当局の指定を含めまして、養子縁組をする子の最善の利益を確保するとともに、不適切な養子縁組のあっせん等を防止する観点から、関係省庁間の協力体制を整備するなどの必要がございます。  この条約につきましては、国際的な養子縁組に関しまして、当事者である子の基本的権利を尊重し、その最善の利益を確保するとの意義も考え、外務省としても、締結の実現可能性について関係省庁と連絡を取りつつ更に検討をしていく考えでございます。
  61. 末松信介

    ○末松信介君 よろしく御対応のほどお願い申し上げます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  62. 山本香苗

    ○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。  まず最初に、条約の第七条の子の所在の特定のことについてお伺いいたしますが、衆議院審議におきまして外務大臣は、DV等により民間シェルターに保護されている親子の所在特定に当たっては、民間シェルターに直接連絡するのではなくて、まずは配偶者暴力相談支援センター、すなわち配暴センターに対して情報を求めて、同センターを通じて情報が得られない場合には、今度は民間シェルターの団体であるシェルターネットから情報提供を求める、このように御答弁されておりましたが、配暴センターやシェルターネットからどういう回答を求めることを想定されていますか。
  63. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) 山本委員お答えいたします。  ハーグ条約上、子の所在の特定のために全ての適当な措置をとるということが明記されております。これが中央当局の任務でございます。かかる条約上の義務を履行するために、条約実施法案において、中央当局は子の所在特定のために国内関係機関が有する必要な情報の提供を求めることができるとされております。したがいまして、中央当局は、これらの機関から子及び子と同居している者の氏名又は住所若しくは居所に関する情報について回答を得るということが想定されているわけでございます。  特に、今、山本委員が御指摘ありましたDV関係につきましては、先日来お答え申し上げているとおり、プライバシー等の観点で非常に懸念があるということは十分理解しておりますので、所在特定の対象となる子がDVシェルターに滞在している可能性がある場合につきましては、まずは配暴センターに対して情報の提供を求め、同センターを通じて情報が得られない場合に限り、民間シェルターのネットワーク団体を通じて民間シェルターに情報提供を求めるということを検討しているわけでございます。  求める情報については、今申し上げたとおり、我々が想定しておりますのは、氏名、住所若しくは居所に関する情報について回答を得るということが想定されております。
  64. 山本香苗

    ○山本香苗君 今おっしゃったように、配暴センターが一時保護委託先の民間シェルターの場所を回答してしまいますと、結局、配暴センターやシェルターネットが間に入っている意味がなくなってしまうんです。ですから、局長がおっしゃったように、条約上も、中央当局は直接又は仲介者を通じて適切な措置をとることができるとなっておりますので、ここでの回答については、当該センターが一時保護委託している、そこが実施しているんだということにしていただいて、そこの回答にとどめていただいて、直接民間シェルターと連携を取るということは極力避けていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  65. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) そういうやり方も含めて、まさに配暴センターあるいはネットワーク団体がいかなる形で我々に対して御協力いただくかということについてはこれからよく相談をさせていただきたいというふうに思います。  子の特定については、まずは今申し上げた同センター、ネットワークと十分協議をさせていただいて、その協議の結果を踏まえまして、いかなる情報提供が必要か、あるいはどこまでお願いするかということについては検討させていただきたいと思っております。
  66. 山本香苗

    ○山本香苗君 本当は、検討じゃなくて、この場できちんと答弁していただきたかったわけでございますが、返還手続が始まった際の裁判所からの送達先も配暴センターやシェルターネットが担うと、そういう理解でよろしいですね。
  67. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) 御指摘の件も含めましてよく検討したいというふうに思っております。  まさに、そういう裁判関係の書類の送付先でございますけれども、そういったかかる裁判所の情報開示の後に、配暴センターあるいは全国女性シェルターネットの協力が得られるということを前提といたしまして、裁判関係書類の送達についてどのような方法が可能かということをよく考えていきたいというふうに思っております。  いずれにしても、情報管理が非常に重要でございますし、特にこういういわゆるDV被害に遭っている方についての情報管理、その情報が外に漏れないということが非常に重要でございますので、そういった観点も含めまして、先生御指摘のございました裁判関係書類の送付先にどこをするか、あるいは配暴センター、シェルターネットがそういう送達先になるかどうかということも含めまして、よく関係先と検討していきたいというふうに思っております。
  68. 山本香苗

    ○山本香苗君 やる方向で検討していただけますね。
  69. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) あくまでもシェルターネットワークがどういうふうに御協力いただけるかということが前提ではございますけれども、そういう御協力が得られるということであれば、それも踏まえまして、これは裁判制度にかかわる問題でもございますので、裁判所等ともよく相談し、あるいは法務省ともよく相談いたしまして、そういうことが可能かどうかできるだけ検討してみたいというふうに思っております。
  70. 山本香苗

    ○山本香苗君 早急に結果を出していただきたいと思いますが、DV被害者等がシェルターにいるとは限りません。国内担保法上におきましては、子の所在の特定におきまして住基台帳の活用といったことも規定されておりますので、総務省に確認をさせていただきたいと思います。  DV被害者等を保護するために住民票等の閲覧、交付の制限をする支援措置がございますが、外国からDV等で逃げて帰ってきた場合の親子も対象になりますか。
  71. 諸橋省明

    政府参考人(諸橋省明君) お答え申し上げます。  住民基本台帳事務におけます支援措置といたしまして、DV等の被害者から申出がございましたら、市町村長の判断で加害者等への住民基本台帳の一部の写しの閲覧や住民票の写しの交付等を制限できるというふうになっておるところでございます。  この支援措置は、国内で発生をした事案にかかわりませず、帰国後、転入の届出を行いまして住民基本台帳に記録された方であって、外国でのDV等により日本国内における住所を秘匿する必要性があると市町村長が認めた方については対象となり得るものでございます。
  72. 山本香苗

    ○山本香苗君 対象となるということなんですが、今日お配りさせていただいております支援措置の申出書を見ていただくと、そこには添付しなくちゃいけないんです、書類を。先ほど末松理事の方からもありましたけれども、いわゆる証拠みたいなものを出さなきゃいけないわけでありますが、この場合は何を添付すればよろしいですか。
  73. 諸橋省明

    政府参考人(諸橋省明君) DV等の被害者が市町村に支援措置を申し出る場合には、一般論で申し上げますと、いわゆるDV法に基づく裁判所の発行する保護命令決定書の写し、又はいわゆるストーカー規制法に基づく警告等実施書面等を申出書の様式に添付をして支援措置を求めることになります。  ただ、このような書類を有しておられない方もおられるかと思いますけれども、そういった場合には、申出の事実に関する相談記録等があればそれを添付していただきまして、市町村長は必要に応じて相談機関への意見を聴取した上で支援の必要性を確認することとなります。
  74. 山本香苗

    ○山本香苗君 今回、在外公館におけます相談内容の記録というものを裁判にも使えるような形で今外務省で調整していただいておりますが、では、今回のこの支援措置を受けるに当たっての相談内容記録を添付すれば支援措置が受けられると、そういうことでよろしいでしょうか。
  75. 諸橋省明

    政府参考人(諸橋省明君) 記録の内容、先ほども申し上げましたように、この支援措置と申しますのは、市町村長が相談機関への意見聴取を、相談記録等を徴しまして、相談機関の意見なんかも聞きましてこういった支援の必要性を判断するということとなっておりますので、そういった判断ができるような情報をいただいた中で対応していくこととなろうかと思います。
  76. 山本香苗

    ○山本香苗君 外務省としては、今言ったような支援措置が受けられるような相談内容記録というのを提出していただけるんでしょうか。
  77. 上村司

    政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。  在外公館がいわゆるDV等の家族問題に関しまして様々な相談を受けた際に作成しました相談記録につきましては、従来から被害者本人からの請求があれば本人に当該記録の写しを提供しているところでございます。今お尋ねの、国内での住民票のDVブロック措置の申請書類に添付する目的で被害者本人からの請求がある場合におきましても、同様に在外公館作成の相談記録の写しを本人に提供することは当然可能でございます。  もとより、実際にDVブロック措置がとられるかどうかということにつきましては、これは今総務省から答弁ありましたように、最終的に各地方公共団体の御判断によるものでございますけれども、DV被害者に対する支援の観点から、外務省としましても、在外公館におけるこのような相談対応業務につきまして、我々もしかるべく担当官を教育しますし、それから広報もしていきたいと思っております。
  78. 山本香苗

    ○山本香苗君 それで、付随して総務省にお願いしたいんですが、この支援措置は一年なんです。延長しようとした場合に、かなり自治体によって差がございます。といいますのも、支援措置をとっているから、一年間何も連絡がなかったにもかかわらず、何もなかったから結局延長しなくていいよというような形が取られておりますので、是非これを機会に改善を促していただけないでしょうか。
  79. 諸橋省明

    政府参考人(諸橋省明君) お答え申し上げます。  住民基本台帳事務におけます支援措置は、申出者の状況の変化の有無を市町村長が確認をいたしまして、それで決定をしていくという制度になっておりまして、それで実際の支援措置の期間は一年といたしておりまして、支援措置を継続する必要があると認められる場合には更新を決定すると、こういったことになってございます。  住民票の写しの交付等の制限につきましては、住民基本台帳法上、先生御指摘のとおり、最終的には各市町村長が判断するものではありますが、支援措置を必要とする方が円滑に支援を受けることができるよう適切に運用する必要があろうかと考えております。  総務省といたしましては、現場の市町村の意見ですとか、あるいは専門機関の関係省庁の意見ですとか、十分その辺りを関係省庁とも連携をしながら適切な運用が行われるように努めてまいりたいと考えております。
  80. 山本香苗

    ○山本香苗君 このいわゆる支援措置をとっているという親子に対して、中央当局としてハーグ事案においてはどういう対応をなされますか。
  81. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) まず、DV被害者の保護に関しまして、外務省としても、DV加害者にその所在を知られることのないよう情報管理に十分配慮するということがまず前提ではございます。  そういったことがあった場合は、中央当局が市町村におけるDV被害者支援措置の実施状況を把握し、これらの情報をより厳格に管理することはDV防止法の定める国及び地方公共団体の責務にかなうものであるというふうに考えております。これは、政策評価の勧告の趣旨にものっとったものだと思います。  外務省といたしましては、関係省庁と緊密に連絡いたしまして、市町村からまず確実にDV被害者等の支援措置の実施状況について通知される体制を整備いたしまして、DV被害者との連絡におきまして適切な配慮に基づく丁寧な対応を行っていくというふうに思っております。あわせて、情報管理にも格別の配慮を行ってまいります。  具体的には、DV被害者、被害を受けている当事者に対しましては、中央当局に配置することを予定しております弁護士等の専門家によるサポートを行うということもございますし、最大限の配慮を行っていきたいと思っております。  より具体的には、中央当局職員としてソーシャルワーカー、弁護士といった専門家を採用いたしますし、そういったDV被害者やあるいは児童虐待被害者の支援業務に携わる人材というのも採用する予定でございますので、こういった人を使いまして、DV被害者連絡に当たって、こうした専門家よる被害者の心情等に配慮した丁寧な対応を行っていきたいというふうに考えております。
  82. 山本香苗

    ○山本香苗君 ここの対応が誤りますと、住民登録しないままに、学校にも子供を行かせないで、受けるべき保護も受けないで、とにかく一年間逃げ通そうと、そういう形も考えられるわけです。そうなった場合に子供利益は大きく損なわれてしまいます。このような事態は絶対に避けなくてはならない。もう現実にそういうことが起きるんじゃないかという懸念の声が上がっているわけです。  支援措置がとられている場合は、今局長がおっしゃっていただいたようにDV被害者等であるということが分かっているわけですから、そのアプローチの仕方には非常にきめの細かい対応を取っていただきたいと。いきなり中央当局からばんと行くんじゃなくて、市町村をまず通じてしっかりと連絡を取っていただいて、その上で、先ほど来よりいろんな制度の説明ございますが、例外事由にある場合にはこういった返還拒否ができることなど、きめ細やかに説明をしていただいて国内の必要な支援にもつないでいくと、そういったところまで特別な配慮を是非していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  大臣、先ほど来よりいろいろ細かいこと聞いておりますが、細かいことかもしれないんですが、しっかりやっておかないと大変なことになるんです。ですから、この所在の特定に当たってガイドラインを策定していただくということは、何度も御答弁していただいておりますけれども、この中には内閣府の男女局の方々の力は絶対に必要です。法務省よりもそちらの方が必要です。その上、先ほど来より何度も出ておりますが、実際の被害者の支援に当たっていらっしゃる、実務に当たっていらっしゃる方々の協力も絶対に不可欠です。是非、ガイドラインを策定するに当たっては、ただ単にそういった団体の意見を聞いたじゃなくて、きちんとした協議の場を持っていただいて、そこで策定をしていただきたいと、お約束していただけますか。
  83. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、関係各府省庁と協議の上、このガイドラインを作成し、その運用が適切に行われるよう準備をしていきたいと存じます。  そして、このガイドライン策定に当たりましては、特別な組織を立ち上げるということは予定はしておりませんが、この策定に当たって、御指摘のように、男女共同参画局あるいは全国女性シェルターネット、こうした関係者との連携は重要であります。意見交換ももちろん大切なことだと思っています。ですから、特定な組織は予定しておりませんが、そうした意見交換、そしてこの連携を図るために具体的にどうしたらいいのか、これは工夫をしていきたいと考えます。
  84. 山本香苗

    ○山本香苗君 いや、意見交換で終わっていただきたくないので、しっかりとしたそういう受皿つくっていただいて、ちゃんとガイドライン策定の協議の場を持っていただきたいわけなんです。
  85. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘を踏まえて検討したいと存じます。
  86. 山本香苗

    ○山本香苗君 ありがとうございます。  それで、先ほど、条約加盟前に帰国している場合は条約返還対象となりませんと、これは条約上書いてあります。なんですが、今、条約に加盟すると、やっぱり元夫が子供返還を主張してくるんじゃないかといった懸念の声は大変根強くございます。中でも、不法な留置というのがいつスタートしたのかということをめぐって、連れ去られた親が条約加盟後だと主張して、また連れ去った親は条約加盟前だと主張して、裁判で決着を付けなくてはならないケースというのが出てくる可能性がありますが、不法な留置というものは何をもって開始をしたと判断するんでしょうか。
  87. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) これも、今までのいろんな各国運用によって定められているといいますか、ある程度決まってくるものでございますけれども、不法な留置の起算点というのは、子が監護権者に返還されるべき時点、又は監護権者が滞在期間の延長に同意することを拒否した時点であるというのが一般的な解釈とされております。  より具体的に申し上げれば、例えば、一定期間経過後に子を元々居住した国に帰国させるということを条件に子を連れて出国したケースがございますけれども、その期間を経過しても子を帰国させない場合は、右期間を経過した時点で不法な留置が始まるというふうに理解されると思います。
  88. 山本香苗

    ○山本香苗君 一般的にはそうなんですが、例えば、子供を連れて日本帰国するときは別に問題なく同意をしていたにもかかわらず、条約加盟後に片方の親が一方的に、恣意的にその同意を撤回してしまって、破棄してしまって、監護権が侵害されたとして子の返還を求める場合があると。この場合は不法な留置には該当しないと考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  89. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) なかなか一概に申し上げることは難しいかもしれませんけれども、いかなる形でその監護権を侵害したかというのが不法な留置の決め手でございますので、それをどう判断するかということになろうかと思います。  ただし、今、山本委員がおっしゃったように、明らかに当事者の間で合意があって片親が子を連れて帰国した場合において、それを申請者が一方的にその合意をほごにして一方的な主張を行うというケースにつきましては、これをもって不法な留置が生じているという判断をするのはなかなか困難ではないかというふうに思いますので、そこはまさに、それぞれの申立人が中央当局に申請をする場合にそういったことをしっかり書いて、それを我々が判断するというふうになるんだと思います。
  90. 山本香苗

    ○山本香苗君 今おっしゃっていただいたように、明らかに不法な留置ではないにもかかわらず強硬に返還を求めてくるケースというものが出てくるんじゃないかということが大変懸念をされているわけです。明らかに不法な留置に当たらないケースについては、なるべく裁判に至る前に解決できるように中央当局はしっかり頑張っていただかなくてはならないと思います。ですから、中央当局の役割は本当に重要でございます。  衆議院外務委員会では、もう外務省はそんな一件一件できないんだから法務省にやらせておけみたいなことを民主党の元副大臣の方がおっしゃっていらっしゃって大変残念な思いがいたしましたが、中央当局は十名程度で発足するという中で、ここを、十名だけれども必ず、先ほどおっしゃっていただいたように、支援実務にかかわっていらっしゃった人材を入れていただきたいわけです。  大臣答弁では、公募を検討しているというふうな御答弁でございましたが、検討ではなくて必ず入れていただきたいんですが、大臣、どうでしょうか。
  91. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、専門的な知見、重要でありますし、支援業務にかかわる人材、大変重要であります。公募を通じて中央当局に採用をしたいと存じます。
  92. 山本香苗

    ○山本香苗君 ありがとうございます。  最後に、在外公館の役割について伺いますが、実際、在外公館が積極的に支援していただかなくてはこれは大変なことになります。ハーグ条約締約国の中で、現地の支援団体などに業務委託をしたり、被害者が在外公館に支援を求めてきた場合に必要な支援が受けられる体制が整っている国は具体的にどこなのか、逆に必要な支援が受けられない国はどこなのか、どの国でどの程度の支援が受けられるのかといった状況を各国別にリストにして公表していただきたいと思いますが、やっていただけますでしょうか。
  93. 上村司

    政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。  現在、外務省としては、我が国の在外公館を通じまして、今御指摘のようなDV被害への支援、緊急用シェルターの運営、カウンセリング、法律相談、裁判支援等、あるいはそういうことを行っている現地の関係団体、専門家等、これと連携いたしまして、日本人向けの支援活動を強化する方策を全ての公館で取っております。  ただ、これには手厚いところとまだ若干遅れているところとございます。特に北米の在外公館におきましては、今申し上げましたような現地の体制というのがかなり手厚く整備をされつつございます。例えば、ニューヨークの総領事館あるいはロサンゼルスの総領事館におきましては、現地の団体に業務委託契約をいたしまして支援を行って、そういうことも公表しておるところでございます。これは、今年度中には更に四公館、さらに来年度も予算措置をしてやっていきたいと思います。それから、各国のホームページで、どういうサービスができるのかということにつきましても、特に北米公館で手厚くやっております。  今後、他の地域に所在する在外公館におきまして、同様の制度あるいは支援団体に対する情報を調査して、そしてその結果を公表するようにしていきたいと思っております。
  94. 山本香苗

    ○山本香苗君 やっていただくという答弁と解釈して、最後に一問だけ。  衆議院の法務委員会の附帯決議で、運用実態をちゃんと調査し検証することになっています。この運用実態については、当然のことながら、子の返還後のフォローアップも含まれていると認識しておりますが、外務省の資料によりますと、ハーグ条約に基づく子の返還後のフォローアップについては、必要に応じ、返還された日本人の子や子とともに戻った親のフォローアップをするとあるんですが、年間数十件です。国会に報告、公表するということになるんでありますから、必要に応じじゃなくて、全てやっていただけますでしょうか。
  95. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) 委員指摘でございますので、もちろん在外公館において相談、対応するというのは当然でございますし、今後、それぞれの地に帰られた方が今後どういう形で生活をされるかということについて十分支援をしていかなくてはいけないというのは当然だと思いますけれども、まさにそれがどういうふうに、今後どういう生活をされていくかについて、できる限り実態調査、検証に励んでいきたいというように思っております。
  96. 山本香苗

    ○山本香苗君 終わります。     ─────────────
  97. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、猪口邦子君が委員辞任され、その補欠として中原八一君が選任されました。     ─────────────
  98. 小野次郎

    ○小野次郎君 みんなの党の小野次郎です。  早速このハーグ条約についての質問に入らせていただきますが、そもそも、両親が破綻して、子の連れ去りあるいはそれに対する返還の訴えというのは、国際間の場合と国内の場合でもあるんだと思うんですね。このハーグ条約入った場合の、ハーグ条約規定する国際間の場合と、国内で同じように両親が破綻して一方が連れ去った、一方が返してくれという訴えをした場合とで司法判断の目的なり手続なりどこが違うのか、御説明いただきたいと思います。
  99. 萩本修

    政府参考人(萩本修君) ハーグ条約は、国境をまたぐ子の不法な連れ去り又は留置があった場合に、原則としてその子を常居所地国に返還することとして、その手続等を定めるものでして、子の親権や監護権に関する紛争は、子が返還された後に常居所地国においてその国の法制に従って解決されることが想定されております。  したがいまして、ハーグ条約に基づく子の返還手続においては、実施法案条約に則して定めている返還事由の有無、返還拒否事由の有無が審理の対象となり、どちらの親に子を監護させるのが相当かについての判断がされることはございません。これに対し、国内において婚姻関係が破綻した後に、一方の親が他方の親の同意なく子を連れ去り、子を連れ去られた親が子の返還を求める場合には、それまでの監護状況、現在の監護者が監護を開始するに至った経緯、父母の養育能力、子の年齢等の諸般の事情を総合的に考慮し、どちらの親が子を監護するのが相当かが判断されることになります。  このように、ハーグ条約に基づく子の返還手続と国内の子の連れ去り事案を解決するための手続とでは、子の監護に関する実体的な判断、いわゆる本案の判断をするか否かという点に最も本質的な違いがございます。
  100. 小野次郎

    ○小野次郎君 ちょっと質問の順番を変えますけれども、外務省にお伺いしたいと思うんですが、連れ帰った子が日本国籍で常居所国籍ではない場合に、この条約ではどんな取扱いになるんでしょうか。
  101. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) ハーグ条約には当事者の国籍に係る規定はございません。したがいまして、対象となる子が元々居住していた国及び連れ去り先の国の双方が条約締約国であれば、当該子について、その国籍にかかわらず本条約が適用されるわけでございまして、取扱いに差はございません。
  102. 小野次郎

    ○小野次郎君 国際法は、それは外務省の方の方が詳しいと思いますけれども、一般的に慣習法でも、国籍国というのは自国民を保護する責任が常にあるんじゃないですか。ほかの分野でもそういうのありますね、自国民は引き渡しませんと書いた分野もありますけれども。日本国籍だといってもう渡しちゃって、両親の保護の責任はもちろんあるわけですけれども、二次的には国籍国の保護の責任もあると思うんですけれども、それを放棄したというふうにはならないんですかね。
  103. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) あくまでもこの条約上の、ある意味で手続を定めたものでございまして、その手続というのは、子供が不法に連れ去られた場合に一旦元のところに戻すということでございますので、その手続を取るに当たって国籍について特に差異を設けないと、こういう趣旨でございます。
  104. 小野次郎

    ○小野次郎君 次に、子の返還の判断をする際に、請求者によるDVの問題、もう既にいろんな方から質問出ていますが、さらに私からは、まずチャイルドアビューズだとかネグレクトだとか、子供さんに直接危害なり被害が及ぶような場合については拒否理由になると理解してよろしいですか。
  105. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) もちろん、子に対してDVがある、あるいはそのおそれがあるという場合には拒否事由になります。
  106. 小野次郎

    ○小野次郎君 育児を放棄しているなんというふうになると、外形上見て分かる、なかなか証拠なんかを提示するのは難しい場合もあると思うんですが、さらに私が踏み込んでお伺いしたいのは、子供さんに直接危害が加えられるとかということはないんだけれども、アルコール中毒であるとか薬物中毒だと、その請求している方がそう言っている場合とか、あるいは生活能力が全くない人だというような場合、連れて帰った後その子を育てることができないだろうというような、親の方に対する特殊な事由がある場合には、どうやってその請求者側の事情を日本の引き渡すかどうかの判断の際に精査できるのか、どういう手続でやるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  107. 萩本修

    政府参考人(萩本修君) ハーグ条約実施法案におきましては、当事者双方がそれぞれ自らの主張や反論を述べる機会、また自らの主張や反論を裏付ける裁判資料を提出する機会が十分に付与されております。このほか、裁判所も中央当局に対する調査の嘱託や家庭裁判所調査官による調査などを活用し、職権で必要な調査を行うことができるものとされております。  このように、子の返還申立て事件の手続におきましては、裁判所による適切な事実認定を担保する制度設計がされておりまして、委員指摘のような請求者側の様々な事情、これにつきましても十分に精査されることになると考えております。
  108. 小野次郎

    ○小野次郎君 次は外務省になるんでしょうか、お伺いしますけれども、我が国条約上の中央当局が外務省だとなっていますが、まず外務省のどこの局になるんですか。
  109. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) 今、外務省総合外交政策局の中にハーグ条約室というのがございます。そこで今まさにハーグ条約の御審議をいただき、いろんな問題等について対応してございます。そこを一つの中心といたしまして、今後中央当局にしていくということを考えております。
  110. 小野次郎

    ○小野次郎君 私が聞きたいのは、総合外交政策やられるところじゃない方がいいんじゃないかなと思うんですね。というのは、条約入れという話もえらく政治的に、よその国のかなり偉い方が、大使だとか首脳クラスまで言ってくるような状態になっているわけですが、心配される側の気持ちとしては、相手国との外交上の配慮なんかがその判断に加えられたらたまらないなと思う方も多いと思うんですね。  この子供返還請求に関する司法判断に相手国との外交上の配慮が加えられる可能性というのはあるんでしょうか。
  111. 萩本修

    政府参考人(萩本修君) ハーグ条約に基づく子の返還手続におきましては、裁判所が法を解釈、適用する立場から、返還事由の有無、返還拒否事由の有無を実施法案が定めるところにのっとって審理、判断することになります。その実施法案返還事由、返還拒否事由に外交上の配慮というのは掲げられておりません。  また、その返還拒否事由につきましては、裁判に表れた一切の事情を総合的に考慮して判断するという場面がございますけれども、ハーグ条約に基づく子の返還手続はそもそも子の利益に資することを目的とするものでありますし、返還拒否事由も個別具体的な事情によっては子の返還を拒否することが子の利益に資することがあり得ることから定められたものでございまして、その判断に当たって一切の事情を考慮するといいましても、それはあくまで個別の事案において子の利益観点からしんしゃくされるものでございます。  したがいまして、子の返還の当否を判断するに当たり、相手国との外交上の配慮を考慮することは想定されておりません。
  112. 小野次郎

    ○小野次郎君 私が聞いているのは、外務省の方に聞いているんですね。  これ、裁判官と検察官じゃ違うけど、二年半前の中国の体当たり船長の事件のときなんかは、釈放するかどうかのときに、相手国との外交関係、国際関係考えて出しちゃっているという事例もあるので、あの方だって一応司法官ではあるんだけれども、そういう配慮はしているわけですから、むしろ裁判官がそうおっしゃるのは、そういう姿勢だというのは分かりますけど。  外務省の方に、例えば、子の返還に熱心な国がいろいろ外交ルートで返せ返せと言ってきているなんということがこの司法判断に影響を与えちゃいけないだろうと僕は思うんで、外務省がむしろ外交上の配慮を加えることはありませんということを是非お答えいただきたいと思います。
  113. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) 返還の適否の判断というのは、あくまでも条約のルールに基づいて実施されるものでございます。したがいまして、外交的配慮を挟む余地はございませんので、外務省からそのような要請を行うことは想定されておりません。
  114. 小野次郎

    ○小野次郎君 次に、中央当局による子供の所在調査ということなんですけれども、これ条文だけ見るとスーパーパワーみたいになっていますが、いろんな日本には役所が調査するという機能を書いたのがありますけど、本当にこれあらゆる省庁に対して、あらゆる団体に対して調べることができるようになっているんで、スーパーパワーでもあると思うんですが、問題は、それが請求者の、例えば自力執行というんですか、手続を経ないで、所在が分かったからそこへぱっと行くみたいなことに使われたらいけないだろうと思うんで、中央当局が入手した子の所在情報がそういった請求者が一方的にすぐ活用してしまうみたいなことがないような仕組み、防止する仕組みをお話しいただきたいと思います。
  115. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) これは条約実施法案でございますけれども、中央当局であります外務大臣は、残された親の側から子の返還を実現するための援助の申請があった場合、必要と認めるときは関係機関や団体に対し子の所在の特定のための情報の提供を求めることができる旨規定しております。それは今委員の御指摘があったとおりでございます。  他方、この規定に基づき提供された情報につきましては、裁判所が手続を行うときに住所が必要な場合等、限定された場合を除いて中央当局は原則として開示してはならないということになっております。これにより、返還請求に係る子、同居している者のプライバシーが守られる仕組みになっております。  特に、今まで御議論いただきました、これらの者がDV被害を受けている可能性がある場合等につきましては、プライバシー保護に関しまして懸念があるということは当然承知しておりますので、こうした場合に返還申請者、申立人にその所在を知られることがないよう中央当局として情報管理に十分配慮してまいります。当然、いろんなファイルの管理だとか、あるいはそのものを扱う者の数を減らすだとか、あるいはそういった者に対して十分な教育をするとか、そういうことによって情報の十分な管理をしていきたいと、そういうふうに考えております。
  116. 小野次郎

    ○小野次郎君 さっき、この中央当局が、総合外交政策局みたいな外交政策を考えるところよりは、私は例えば領事局みたいな、人に関することを扱うところの方がいいんじゃないかなと思いますけれども、この点でも、例えば内部から何か出てしまうということを心配しているんじゃなくて、私は、例えば請求者側の関係者、例えば弁護士なんかが中央当局にいろいろ聞いてくると思うんですよ。そういうことについてのファイアウオールというか、まあ会わないわけにはいかないんでしょうけれども、その辺について、コンタクトについて何か規制、お考えですか。
  117. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) 当然、弁護士についてはそういった守秘の義務があると思いますし、外務省の職員も当然守秘の義務が掛かっているということでございますので、今申し上げたとおり、この情報が間違っても例えば申立人等に渡ってはいけないということでございますので、今具体的に、先生がおっしゃったような形でどういうふうにファイアウオールを設けるかということについて具体的にまだ制度設計をしているわけではございませんけれども、間違ってもそういうことがならないように十分配慮していきたいというふうに思っております。
  118. 小野次郎

    ○小野次郎君 今私が申し上げた弁護士というのは請求者側の弁護士ですから、守秘義務はないですよ、頼まれた依頼者のために情報が分かったらすぐ教えるのは当然ですから。もう一遍、ちょっと答弁を。
  119. 平松賢司

    政府参考人平松賢司君) 済みません、ちょっと誤解したかもしれません。  まさにそういうケースも含めて、今申し上げたとおりプライバシーの保護ということが重要でございますし、特に返還の申請者がDVとの関係があるということであればそういうふうにならないように万全の措置をとらなきゃいけないと思いますので、今委員が御指摘になったことも含めてよく検討したいと思っております。
  120. 小野次郎

    ○小野次郎君 外務省がこういう事務をするということは余りほかには例がないのかもしれませんけれども、一方で機能を発揮してほしいという思いと、もう一つは、ほかの委員も多分お持ちだと思いますが、そこから何か逆にハレーションが起きて、請求者側、あるいは逆に、今子供を現に管理されている方、保護されている方の方から大きなクレームが来るというのも問題でしょうから、是非その実施に入る前には十分に今私が申し上げたような視点についても御検討いただいて、支障のないというか、問題が起きないように仕組みを考えていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  121. はたともこ

    ○はたともこ君 生活の党のはたともこでございます。  我が党は、国際的な子の奪取民事上の側面に関する条約ハーグ条約承認について賛成をいたします。ただ、懸念事項もございますので、確認をしたいと思います。  条約が発効すれば、特に、国外においてDVなどにより国際結婚が破綻した日本女性子供を連れて日本に帰ることができなくなる、あるいは連れて帰った場合、子供が連れ戻される、あるいは日本女性が犯罪者となってしまう場合などが考えられ、特に心配でございます。これらに対しては、国内外での相談窓口が整備され、適切かつ効果的なアドバイスを受ける体制が不可欠でございます。  外務省条約発効までの間に、国外においては大使館、領事館などの相談窓口、国内においては外務省の中央当局の相談窓口ができるということですが、それはもうできているのか、全世界で整備されるのか、国内外務省の相談窓口はいつできるのか、そこでは弁護士などの専門家のアドバイスも受けることができるのか、その相談窓口のPRはどのように行って周知徹底をしていくのか、説明をしてください。
  122. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のような、相談について適切に対応することは大変重要な点だと認識をしております。ハーグ条約締結後、国内においては外務省我が国の中央当局として同条約に基づく申請を受け付けるとともに、同条約及び条約実施法の制度や手続について相談や広報をしかるべく行っていきます。また、必要に応じて国内で受けることができるDV被害者支援制度に関する情報提供等を行っていくことになりますが、国内については今これから制度を整備しつつある、こういった状況にあります。  一方、国外の方ですが、在外公館において現在も様々な支援を行っております。具体例としましては、まず、家族問題について相談を受けた際、相談記録を作成し、相談者本人が希望する場合には当該相談記録を提供しております。また、家庭内暴力や離婚等、家庭問題の相談に対して、任国の保護、救済制度を説明し、弁護士や福祉専門家、シェルターの紹介を行うなど、解決に向けた支援を行っております。さらに、離婚や親権をめぐる裁判のために相談者が当該国に滞在する必要がある場合には、当該国の査証や滞在許可の制度に関する情報を提供しております。これらは既に実施を行っているところであります。  このように、国内外において相談体制、適切に対応していきたいと考えております。
  123. はたともこ

    ○はたともこ君 外務省、このハーグ条約については特にアメリカから非常に強烈なプレッシャーがあったようですが、その一方で、生物多様性条約については、主要国の中でアメリカだけが署名はしたが承認はしていません。この点についての経緯、アメリカはなぜ承認しないのか、承認する可能性はあるのか、日本は他の国々とも連携してアメリカ承認を強く求めるべきだと私は思いますが、外務省、いかがでしょうか。
  124. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) お答え申し上げます。  米国は一九九三年に生物多様性条約に署名しておりますけれども、米国議会からそれ以降、承認を得られておりません。締結の見通しも立っていないというふうに承知しております。  我が国といたしまして、米国の参加がこのような多国間の条約においては非常に重要だというふうに考えておりますし、早期の締結を今後とも働きかけていきたいというふうに考えております。
  125. はたともこ

    ○はたともこ君 外務省日本が参加するしないにかかわらず、TPP交渉でも大きな問題とされるべきですし、当然、日本が参加するRCEP、東アジア地域包括的経済連携や将来のFTAAP、アジア太平洋自由貿易圏でも重大な論点となるのが遺伝子組換え技術を駆使した米国モンサント社のアグリビジネスモデルだと思います。除草剤ラウンドアップで在来植物を絶滅させ、ラウンドアップに耐える性質を遺伝子組換え技術で与えられた種子だけを生き残らせるようなモンサント社のビジネスモデルは、私は生物多様性条約違反だと思います。  外務省、一般論で結構です。遺伝子組換え技術で耐性を持つ種子を生き残らせ、在来植物を絶滅させる行為は生物多様性条約違反だと私は思いますが、いかがでしょうか。
  126. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) 生物多様性条約におきましては、各締約国は、できる限りかつ適当な場合に、持続可能な種の個体群の自然の生息環境における維持を促進することとなっております。  今先生が御説明されたような事例でございますけれども、一般論とおっしゃいましたけれども、こうした生物多様性条約に違反するかどうかということに関しましては、特定の事案について個別具体的に判断されるものと考えておりまして、一般論としてどういう形で違反になるかということについてはなかなか難しいというふうに思います。  我が国としては、いずれにしても、条約の締約国として適切に判断をしてまいりたいというふうに思います。
  127. はたともこ

    ○はたともこ君 次に、尖閣諸島問題について外務省伺います。  私は、全国比例区の選出ですが、地元は岸田外務大臣と同じ広島県でございます。地元広島県に高橋さんという人生の大先輩がおられまして、本委員会の我が党の本来の委員である佐藤公治議員共々、私もこの高橋さんを大変尊敬しているわけでございます。この方が尖閣諸島問題についての日本の領有権の根拠として、一八九五年の日本領土への編入以降、明治から大正、昭和と、古賀辰四郎さんという民間人の方が尖閣諸島においてかつおぶしの製造、鳥の毛の採集、サンゴの採集等々の経済活動、事業活動を行い、そこに人々の生活があったことが最重要の領有権の根拠となるということを長年にわたって主張をされていらっしゃいます。  そこで、外務省、この古賀辰四郎さんの尖閣諸島での経済活動、事業活動等の経緯と、日本の領有権の根拠としての重要性について説明をしてください。
  128. 金杉憲治

    政府参考人(金杉憲治君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、尖閣諸島は、一八九五年の一月に閣議決定を行いまして正式に日本の領土に編入されております。  一方で、一八八四年ごろから尖閣諸島で漁業などに従事しておられた沖縄県在住の古賀辰四郎氏から一八九五年六月に借用願が出されたことを受けまして、一八九六年九月に明治政府は古賀氏に対して魚釣島、久場島、南小島、北小島の四島を無償貸与するとの許可を与えております。古賀氏は、この政府の許可に基づきまして、尖閣諸島に労働者を派遣し、鳥毛の採集、かつおぶしの製造、サンゴの採集等の事業を経営していたというふうに私ども承知しております。  その上で、先生御指摘のとおり、明治政府が尖閣諸島の利用について古賀氏のような民間の方に許可を与え、許可を受けた方がそれに基づいて尖閣諸島において公然と事業活動を行うことができたという事実は、尖閣諸島に対する日本の有効な支配を表す一例であるというふうに考えております。  以上でございます。
  129. はたともこ

    ○はたともこ君 外務省のホームページには、尖閣諸島の領有権について多くの資料が掲載をされております。特に冒頭には、この古賀辰四郎さんのかつおぶし工場の写真が三枚掲載されており、それは非常に結構なことだと思いますが、同じサイト、ホームページにある、二〇一三年三月、外務省作成の「尖閣諸島について」という十八枚の資料には、驚くべきことにこの古賀辰四郎さんたち民間人の経済活動、事業活動や生活が全く記述をされておりません。また、尖閣諸島に関するQアンドAでも、領有権の根拠のところには記述はなく、次の有効支配の具体例のところで民間人の具体的な記述はありますが、この古賀辰四郎さんの名前はなく、冷たい感じで人間らしさやリアリティーに欠ける気がいたします。  これらの記述について、古賀辰四郎さんたち民間人の経済活動、事業活動や生活をきちんと書き込む方向で修正をしていただきたいと思いますが、外務省、いかがでしょうか。
  130. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、尖閣諸島に関しましては、外務省として様々な手段を通じて積極的かつ効果的に我が国立場をしっかり示していかなければならないと考えております。そして、平成二十五年度の予算の中にもそのための予算を確保して、この領土保全に関する発信資料としてパンフレットや動画を英語その他の言語にて作成するとともに、インターネットを活用した対外広報についても積極的に実施していく予定にあります。  そして、御指摘のこの外務省のホームページですが、おっしゃるように、魚釣島における邦人による事業経営事実について、資料とともにこの写真、掲載させていただいておりますが、御指摘を踏まえまして、引き続き適切に対応するよう努めたいと存じます。
  131. はたともこ

    ○はたともこ君 では、内閣官房に伺います。  今大臣からも御答弁をいただきました。外務省ではパンフレット、動画等、予算を付けて今後も頑張っていただくということでございますが、内閣官房、この古賀辰四郎さんたちの経済活動、事業活動や生活について、日本人にも世界の人々にもまだほとんど知られていないのでないかと私は思っているわけでございます。内閣官房としても、パンフレットを作る、あるいはDVDの映像、また、二、三分の映像、短い動画にしてインターネットサイトにアップをするなど、様々な工夫をして日本と世界に広く伝えていくことが必要だと思いますが、領土・主権対策企画調整室、いかがでございましょうか。
  132. 林肇

    政府参考人(林肇君) お答え申し上げます。  内閣官房におきましては、本年二月に山本領土担当大臣の下に領土・主権対策企画調整室というものを設置いたしまして、外交政策などとの整合性を十分確保した上で、領土、主権に関します国民世論の啓発、内外発信等に係る企画立案、総合調整に関する事務を進めているところでございます。  具体的に申し上げますと、今御指摘がございました我が国立場に関する正確な理解国内及び国外に一層広く浸透していきますよう内外発信の強化に取り組みたいと考えているところでございます。このために有識者の知見をお借りするということが非常に重要であると考えまして、領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会というものを設けまして、現在我が国としてより良い効果的な内外発信を推進する上での課題や方策等について議論していただいているところでございます。今後、七月上旬までに報告書を取りまとめていただきまして、外務省を含む関係省庁と共有した上で、適切に判断して、政府全体としてフォローアップしていきたいというふうに考えております。  御質問ちょうだいいたしました尖閣諸島をめぐる情勢に関します内外発信の強化の具体的方策につきましては、こうした取り進めております作業を通じまして、ただいま外務大臣から御答弁された内容あるいは議員の御指摘の内容を踏まえながら、外務省を始めといたします関係省庁と十分協議した上で適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  133. はたともこ

    ○はたともこ君 では、最後に外務大臣に改めて伺います。  外務省としても、古賀辰四郎さんたちの尖閣諸島における経済活動、事業活動や生活を日本と世界の人々に広く知っていただくための活動に力を、更に力を入れていただきたいと思いますが、最後、大臣の御決意を伺いたいと思います。
  134. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の古賀辰四郎氏を始め関係者方々の歴史については、しっかりと外務省としても認識をし、そして世界に広報していくべく努力をしなければならないと存じます。そして、そのことによって我が国のこの尖閣諸島における基本的な立場を国際社会においてしっかりと理解していただく、こういった結果につなげていきたいと考えています。
  135. はたともこ

    ○はたともこ君 では、終わります。ありがとうございます。
  136. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、アメリカとの関係も大事ですが、第二次安倍内閣ができてから、近いはずのアジアの国々が遠い国になっていくような感じがしております。したがいまして、あの戦争の時代にまいた種はきちっと早い時期に刈り取って正常な関係をつくらなければ将来に禍根を残しますよと私は一九七〇年代からずっと言い続けてまいりました。私たちは、近い国々を遠い国にしてはいかぬのです。そういう意味で、特に外交の責任者である外務大臣お尋ねしたいんですが。  お手元に届いておりますでしょうかね、この新聞資料でございます。これも建設的な意味で私は申し上げるんですが、私は十九日に沖縄における五・一五平和とくらしを守る県民大会に参加をいたしました。そこの場所に、この黄色いのを着ていらっしゃいますね、この方の名前は金福童、八十七歳のおばあさんでございました。  そのお話を聞いておりますと、戦前、日本軍に強制的に日本に引っ張られていったと、軍服を作る、そういう仕事があるから日本に行こうということで日本に引っ張られてきたが、来てみたら実際はそうではなかったと、八年間にわたって毎日何時間も性奴隷のそういう痛みを受けてきましたと、こういうお話でございました。そして、国家に人権を踏みにじられたと。日本の方には政治家の中にも、そういうことはなかったとか記録がないとか、こういうふうにおっしゃる人がおるが、私が存在しておるということ、私が生きておるということは旧日本軍による従軍慰安婦があったという、そういう証拠ですよと。私は大阪の橋下徹市長と面会をすることになっておりますと、こういうお話を皆さんの前でなさっておりました。  私は、そこで、外務大臣防衛大臣にも、お二人とも戦後世代だと思います。私と私の左隣にいらっしゃる舛添先生は少し戦前の世代なんです。先生、そうでしたね。(発言する者あり)ああ、そうですか。向こうに、北澤元防衛大臣は戦前の世代でした。舛添先生は頭が随分はげていらっしゃるから私に近いかなと思っていたんですが。  私は、こういうふうなこと、いわゆる戦中の日本軍のやった行為は、何回でもいいから、やはり村山談話の精神、河野談話の精神をそれを大事にして、アジアにおける日本の存在価値を高めるには、そういうアジアの国々との関係をいい関係につくり上げていくことが日本外交の大きな使命でもあると思っております。  そして、いずれ世界の中心はアジアに回ってくるわけです。もうアジアに向かっておるわけです。そういうときに日本が国家間の中で後ろにいたらいかぬのです。適当ないい地位に位置するためにはそういう戦後の災いの問題を一日も早く良くして、そして人権外交、平和外交、外務大臣一つぐらいはジミー・カーターと同じように、ジミー・カーターが世界に向かって言ったのは、私は人権外交に徹すると言ったんです。日本の若い外務大臣としてそういう決意を内外に表明することも私はいいことだろうと思っております。  そこで、一言伺っておきたいのは、そういう従軍慰安婦という、そういう不幸な時代がありましたが、既に先ほどの答弁でもお気持ちは理解できておるつもりでございますが、改めてそういうことがあったということを認められる立場なのか、いや、認めないという立場なのかを簡単にお答えをいただけたら有り難いと思います。
  137. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、これまで歴史の中で多くの戦争があり、その中で多くの女性人権が侵害されてきました。二十一世紀こそは人権侵害のない世紀にすることが大切であり、日本としても、そして日本外交としましても全力を尽くしていく考えであります。  そして、その上でこの慰安婦問題についてですが、筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々のことを思い、私も非常に心が痛む思いであります。この点につきましては歴代内閣と同様の思いでおります。歴代内閣もこうした認識であると理解しておりますし、私自身もその思いを持ちながら外交の仕事に携わっております。
  138. 山内徳信

    ○山内徳信君 ありがとうございます。  防衛大臣も、外務大臣への質問でございましたが、非常に重要な歴史認識を確認をしておきたいと思いまして、あえて防衛大臣のお気持ちも伺っておきたいと思います。
  139. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) この事案に関しては、たとえそれが強制性があったかもしれない、ないかもしれない、そのような議論が行われることがあったとしても、いずれにしてもあってはいけないことだと思っております。このようなことが議論されること自体、これは決して外交上日本が好ましい立場にあるとは思えないと考えております。
  140. 山内徳信

    ○山内徳信君 そういう認識を持って、私も一緒に、いい日本の外交、いい日本がアジア、世界の中で位置していけるようなことを毎日毎日願っておるところでございます。そうしませんと、先ほど尖閣列島のお話、質問もございました。そういうふうな歴史上の、かつおぶし工場を造ってあの小さい島で必死に頑張っていた、そしてそういうことが歴史にきちっと残るようにと、私も同じ思いでございます。  それから、これは指摘だけにとどめておきますが、日本と台湾との漁業協定は沖縄の関係者の頭越しにはそういう協定は結ばないと言っておりながら、結果的には、台湾を日本の味方に引き入れんがために拙速にそして十分議論を尽くさないままに締結された結果になっておりまして、今沖縄の漁民たち、県民はこの問題でもすごく怒っております。そういうふうなことがあってはいかぬのです。  そういうことを申し上げて質問に入りますが、質問通告の一番の問題でございます。  私は、ハーグ条約締結に伴いまして、今、国内法の整備に向けての審議でございます。子供返還の判断を家庭裁判所が行うということになるわけでございますが、その管轄裁判所を東京家裁と大阪家裁の二庁に集中させる内容になっております。そこで、予想される対象者の件数が概算としてもし資料がまとまっておるんでしたら伺っておきたいんですが、東京家庭裁判所はおよそ何件ぐらいを想定していらっしゃるのか、大阪家庭裁判所はおよそ何件ぐらいを予想していらっしゃるのか。  そして、アメリカ軍との関係の、戦後非常にいろんな問題を起こしておりますが、この沖縄における家庭裁判所における件数も想定されていなければいかぬと思いますが、その数字がもし資料としてできておるんでしたら伺っておきたいと思います。
  141. 萩本修

    政府参考人(萩本修君) 子の返還申立て事件の事件数ですけれども、全国で年間数十件程度になるのではないかと見込んでおります。それらを東京家庭裁判所と大阪家庭裁判所のどちらが管轄するかは、返還を求められる子の所在地によって決まることになりますので、裁判所ごとの事件数までは予測できておりません。  また、沖縄における渉外婚姻関係事件の数というものは全国の家庭裁判所の中で二%程度にとどまっておりますので、これに照らしますと、沖縄に居住する方が当事者となる子の返還申立て事件が全国の中で突出して多くなることにはならないのではないかと考えているところでございます。
  142. 山内徳信

    ○山内徳信君 数字的には今の説明理解できましたが、私の質問は、米軍基地が集中し国際結婚の多い沖縄など、遠隔地の人が当事者になる可能性は大きいわけであります。高裁所在地の家庭裁判所八庁、八か所ですね、八庁に沖縄那覇家庭裁判所を加えて九庁、九か所で対応すべきではないのかと。今の皆さん方の考えですと、東京を中心として、あるいは大阪家庭裁判所という考えのようでございますが、全国にある全ての家庭裁判所にそういう窓口ができますと、わざわざ遠隔地から東京や大阪まで行く必要はないということになるわけです。件数が少なければ全国の家庭裁判所における負担もそれほど大きい負担にはならない。是非そういう方向付けをしていただきたいということを私はこの場で要求をしたいんですが、お気持ちを伺っておきましょう。
  143. 萩本修

    政府参考人(萩本修君) 重要な指摘をいただいていると認識しております。  前提としまして、東京と大阪の二庁に限定した理由をまず御説明させていただきたいと思いますけれども……
  144. 山内徳信

    ○山内徳信君 いや、それはいい。
  145. 萩本修

    政府参考人(萩本修君) そうですか。  その意味では、現在二庁ということで法案を提出させていただいておりますけれども、今後、事件の推移などを見て、しっかり対応してまいりたいと考えております。
  146. 山内徳信

    ○山内徳信君 日本の憲法は法の下に平等とうたっておるんです。それを件数が少ないから東京、大阪という発想は、この憲法の平等の精神に反するんです。したがって、是非全国の家庭裁判所にそういう窓口をつくっていただくと、わざわざ東京から沖縄や北海道やあるいは長崎、九州、四国辺りに出張して裁判官を送る必要はないということになるんです。そういうふうに是非していただきたいと思います。改めて回答を求めたいんですが。  はいとおっしゃったら終わります。
  147. 萩本修

    政府参考人(萩本修君) いろいろ検討した結果、二庁で、ちょっとその理由を御説明したいところですが、要らないと指摘されてしまいましたので省略いたしますが、当面はこの東京、大阪と、二庁ということで実施をさせていただきまして、その施行後、事件の動向、あるいはその運用状況を見守った上で、必要に応じて適切に判断してまいりたいと考えております。
  148. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は異議あるんです。もう少し積極的にできるものでもやってもらわぬといかないという、そういう気持ちでおるんです。是非、後日検討をしていただきたいと思います。  それでは、次に進めてまいります。  私は、日米合同委員会で嘉手納以南の施設の返還について予算委員会でも質問いたしましたが、今日は最初に、その日米合同委員会で決めたのは、正式な名称は何なのか。どうもいろいろ調べておると、一つは隠されておるなという私は不信感があるんです。嘉手納以南の基地の返還、これはもう大々的にテレビや新聞その他を通して機会あるたびに沖縄の基地負担の軽減、軽減と総理大臣を始め皆さんおっしゃってきたんですね。その正式名称をちょっと伺っておきたいんです。
  149. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 正式名称は、沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画ということになります。
  150. 山内徳信

    ○山内徳信君 これは統合計画ですね。その統合計画がどうして基地の返還返還という、そういう言葉を強調されるのか。どういうことですか。
  151. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) 統合計画の目的というのは、少しでも沖縄にあります米軍基地の返還、それにつながるように、その縮小につながるように既存の施設を統合するということが本来の目的でありますので、その目的に合わせて返還ということの言葉を使わせていただいております。
  152. 山内徳信

    ○山内徳信君 統合するときに、例えばキャンプ・キンザーとかキャンプ瑞慶覧は返しますよと、そして、今キャンプ・キンザーにある、瑞慶覧にあるものをどこに移していくかということも、大々的に、これは表と裏の関係でしょう、移設をするというんだから統合していく、その統合されていく部分、移設先のことが県民にはほとんど知らされていない、そういう状況があるんです。それでいいのかと。それは良くないんです。どうですか。
  153. 小野寺五典

    国務大臣(小野寺五典君) この沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画が日米合意でまとまった翌日だと思いますが、私は沖縄に参りまして、そこで関係する自治体の首長さんに直接お話をさせていただき、そしてまた、山内委員が恐らく御懸念されるような、この統合案では基地負担が軽くなる自治体もあれば、逆に言えば、統合という形で新たに倉庫等が移ってくるという地域もあるということで、その指摘を直接自治体の皆さんから承りましたし、このことはその後の記者会見等で記者の皆さんからも質問され、私どもとしては正確に誠意を持ってお答えをさせていただいたつもりであります。
  154. 山内徳信

    ○山内徳信君 今日は時間ですからこれ以上は続けませんが、私が指摘をしておきたいのは、移設先の社会的な地域的ないろんな実態を全く勘案をせずに、配慮もせずに、キャンプ・キンザーのものは、あの倉庫群ですね、ベトナム戦争に使った、威力を発揮したキャンプ・キンザーのものがトリイ・ステーションの方に移っていく、瑞慶覧の倉庫群もトリイ・ステーションに移っていくと。それは袋小路なんです、あの基地は、トリイ・ステーションは。そこにどんどん入れたときにすぐパニックが起こりますよ。第一ゲートも第二ゲートも身動き取れなくなりますよ。そういうことがあってはいけないから、読谷村は、あの読谷から嘉手納町の東に抜ける弾薬庫の中から一つ道を造らせと、万一何か起こったときに、米軍も村民も一緒にそこで大変な事態が起こりますよということであの道路はできていくんですね。  今日は終わりますが、改めて防衛関係者とはこのことについてはじっくり詰めていきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。     ─────────────
  155. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、はたともこ君が委員辞任され、その補欠として佐藤公治君が選任されました。     ─────────────
  156. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国際的な子の奪取民事上の側面に関する条約締結について承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  157. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 加藤敏幸

    委員長加藤敏幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十分散会