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篠原委員 なかなかそううまくいかないんじゃないかと
思います。
産業競争力
会議で急に
農業のことをやり出して、
農業の規模拡大、規模拡大。私は、何も規模拡大に反対しているわけじゃないんです。では、規模拡大して、十ヘクタール、さっき
小里さんの話の中にもありましたが、北海道でしかできないと
思いますけれ
ども、何十ヘクタールの
農家ができた。私のところなんか、野菜、果物ですから、全然違って、二ヘクタールあったら、二夫婦、じいちゃん、ばあちゃん、父ちゃん、母ちゃん、四人やっていたって三ヘクタールなんかできないんです。いろいろあるんです。
だけれ
ども、規模を拡大していったら、では
農業の雇用はどうなるか。できないことはないでしょう。
農業者は、十年後、ミツイ農産株式会社の非正規雇用労働者、あるいは、もっと言えば、季節労働者、日雇い労務者に成り下がっているかもしれないんです。これは違うんじゃないかと
思います。
その逆の生き方をしている優良県を御紹介いたしたいと
思います。少しは明るい話題も必要です。
長野県です。私が長野県で生まれて育って、長野県の典型的な悪い癖もいい癖も持っているんじゃないか。よくしゃべって我を通すというのが長野県の悪いところだそうでございます。だけれ
ども、真面目だというのもあるんです。麻生副
総理からそうやって褒められたこともあります。
見てください。五年ごとにやっている調査で平均寿命が男女とも一位になったので、僕はほっとしているんです。私の女房は長野県じゃないので嫌みを垂れていまして、封建的な長野県は、女性を虐げて男性だけが長生きしているとずっと言い続けられていたんですが、これで対等になったので、文句を言われなくなります。やはり、長寿国
日本というのは、世界から褒められている。長野県が、なぜかしら、よくわからないんですけれ
ども、ずっと一位なんです。
それで、では、ただただ長生きしているだけかというと、そうじゃないんです。下の、後期高齢者一人当たりの医療費、かつて一位だったんですけれ
ども、下の方から四番目か五番目なんです。一番低いのは岩手県で、これは七年前に小泉さんのときにやったので、麻生さん、また済みませんね。変わらないんです。福岡県は連続して一番高い医療費で、百十四万七千円なんです。幾らかかっているんですか。
長野県人は、病院にいる日数も一番低いんです。見てください。これは、山口県も結構成績がいいんです。私や
総理の方が、いつも健康に気をつけているということかもしれません。
それから、野菜の摂取量が一位なんです。草食型なんですね、健康にいいという。肉食は、ちょっと語弊があるのでやめました。
若月
俊一さんがいて、農村医療がきちんとしておる、空気もきれいだ、野菜も、食べ物もいいというのは、いろいろあるんだろうと
思います。だけれ
ども、よく働いているんですね。離婚とか生活保護の方、ちょっと時間がないのでやめますけれ
ども、これも、ちゃんとみんな一生懸命働いて、離婚もしていない、家庭も平和だ。
それで、物づくり。さっき
松本剛明さんが言っておりました物づくり。一次
産業、二次
産業と出てくるんですけれ
ども、本当に汗水垂らして働いて物をつくっているというのを見てください。第一次
産業足す第二次
産業、これが、五年前は確かに長野が一位なので、今は山形に抜かれているんですが、ともかく一生懸命働いているんですね、物をつくって。
そして大事なのは、上に戻って、「生活態度」ですね。高齢者就業率が断トツトップなんです。年をとっても働いている。おわかりになりますでしょう。これが大事なんです。
こういう県、こういう国を維持するのが、
国益、
国益と抽象的でわからないんですけれ
ども、長野県のような県がいいんじゃないかと思うんです。
最近、きずなというものが大事にされています。見てください。一万人当たり公民館数も六・四と、これは断トツトップなんです。全国平均一・二です、一万人当たり。公民館に行ってああでもないこうでもない、ああでもないこうでもないと言っては失礼ですが、いろいろな会合をして、社会性もあるということなんです。みずからを律し働いて、最も
日本人的な生活をしているのが長野県じゃないか。
問題は、一番下を見てください、「
TPPに対する態度」。この長野県人が、真面目な、私のような長野県人が
TPPについてどういうことを考えておるかというと、これは一年半ぐらい前ですけれ
ども、全国で千百六十七万人の反対署名が集まったんです。そのうち六十一万人、一番多かったんです、絶対数が。それからパーセントでも一番。福岡県の人もなかなか反対が多かったですね。
この
人たちは何で反対するか。
農業だけじゃないんです。
農業の就業者というのを見てください。第一次
産業割合や
農業の
農家戸数は五位で一四・八〇%ですから、
農家だけじゃないんです。
皆さんは余り御存じないかと
思いますが、セイコーエプソン、新光電気、軽薄短小の輸出型
産業もあるんです。この
人たちもあるんですが、この
人たちも老後は兼業
農家になるんです。
なぜ私がこれを強調するかというと、ちょっと私の拙い字で済みません、一番上を見てください。済みませんね、福岡県ばかりあれして。
福岡県と長野県の医療費の差は約四十万なんです、一年間。それで、七十五歳以上の後期高齢者は千四百七十万人いるんです。全員が福岡県人、全員が長野県人で、医療費の差が、どれだけ節約できるか。五・六兆円なんです。では、六十五歳以上は約三千万人いるんです。この計算はないんですけれ
ども、そうすると十二兆円も節約できるわけです、医療費。医療費がGDPの八%、三十四、五兆円かかっているわけですね。これが介護費用にもかかってくるわけです。
ですから、
国益とかいうことを考えた場合、私がぜひお願いしたいのは、こういう社会もあるんだということ、規模拡大とかなんとか、そういうことばかりじゃないような気がするんです。
総理は、美しい棚田に息をのむような感動を覚えたということを言っておられます。僕はそのとおり、油谷にもありますけれ
ども、長野にも田ごとの月の棚田があるんです。ああいうところを守らなくちゃならない。
これは全然
経済的なものじゃない。
農業の多面的機能というと、洪水防止機能それから水資源涵養機能と言われますけれ
ども、私は、何よりもこういう機能こそ、
安倍総理の価値観と同じ、
日本の伝統文化、
日本人の、
日本の文化を守ろう、
日本独自のことを支えていくんだ、これに通ずると思うんですが、この点についていかがでしょうか。