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伊藤(達)
委員 石破幹事長に続いて質問させていただきます、
自民党の
伊藤達也でございます。
三年四カ月の浪人生活を経て、
安倍総理にこの
予算委員会で質問させていただくというのは、私にとりまして大変感無量のところがございます。
総理は、第一次
安倍内閣の後、いろいろな御批判を受けとめながら全国を歩き、そして現場のいろいろな意見を受けとめながら、傷ついた人たちの痛み、こうしたことを
理解できる
政治家として、この国をどうしたらいいのかと徹底的に悩み抜いて、その中で再び
政権を担うという重責を果たされようとしているわけであります。
私も、落選をして、
自分の地元だけではなくて、全国の中小企業の現場あるいは
地域を歩いてまいりました。先ほ
ども議論の中でありましたけれ
ども、被災地の
方々からは、役所の縦割りの中で
復興がなかなか進んでいかない、そうした声も聞いてまいりましたし、また、円高、
デフレ不況の中で
地域が本当に疲弊をしている、
地域の中で本当はあるべき商店やあるいは企業が消えてしまった、そういう姿も見てまいりました。
そして、私
自身、実は、浪人中は大学で教員をしながら若い
方々とも向き合ってきましたけれ
ども、今、若い
方々の失業率、何と八%を超えているんですね。この
状況を何としても打開していかなければいけない、そんな
思いの中でこの場に戻ってきたわけであります。だからこそ、
総理と
危機意識というものをしっかり共有して、
日本を
再生していくために
全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。
そうした中で、
安倍政権の最優先
課題は
経済再生だというふうに位置づけました。そして、
総理が基本方針を明確にして、第一の矢、第二の矢、これを放つことによって、もう既にこの効果が出てきているわけであります。先ほど来からも指摘がありましたように、行き過ぎた円高というものが是正をされて、そして株価が上昇をしている。私の地元に戻ってみても、ことしになって、
皆さんの表情というのは本当に明るくなってきたなということを実感いたしております。期待が先行しているのではないか、そんな声もありますけれ
ども、その期待を現実に変えていく、そのために
政策を果敢に実行していくことが極めて重要であります。
しかしながら、テレビを見ていると、
安倍政権の
経済対策に対して、いわゆるアベノミクスに対して、誤解に基づく発言というものも多く見られるな、そうだとするならば、限られた時間でありますけれ
ども、アベノミクスをめぐる誤解を解くということをテーマとして、
総理を中心としてぜひ議論をさせていただいて、
国民の
皆様方の
理解を深める、そういう
予算委員会の
質疑をさせていただきたいと
思いますので、どうかよろしくお願い申し上げたいと
思います。
まず第一の誤解は、アベノミクスあるいは
金融政策というものは中小企業の経営あるいはそこで働く人たちの給与には関係ないんだという誤解であります。
この誤解の背景の中には、
金融政策を実行しても、雇用がふえたり給与がふえたり、そういうことにはつながっていかないのではないか、特に中小企業はそうだ、そういう批判にもつながっているのではないかと
思います。
私
自身は、実は、家内と小さな飲食店を経営させていただきながら、国会に挑戦をさせていただきました。今も家内が小さな店を守っております。だからこそ、
政治家になって、中小企業
政策については特に問題意識を持って取り組んでまいりました。また、
金融担当の
大臣を経験させていただきましたので、中小企業の経営者の
方々とお話をさせていただくと、やはり資金繰りのことが話題になるんですよね。今振り返ってみると、
日本銀行の
金融政策を転換した後、中小企業の
方々とお話をすると、資金繰りが厳しくなった、経営が厳しくなった、そんな声を多く聞いてきたな、そんな実感があるところであります。
そうした中から、私も、この三年四カ月、本当に円高、
デフレ不況で苦しんでいる中小企業の姿を見てきましたから、
金融政策と中小企業の経営あるいはそこで働く人たちの関係、こうしたものをしっかり見てみよう、あるいは、そういうことについて問題意識を持っている研究者の
方々あるいは研究機関の
方々とも議論をしてまいりました。
そこで、実はフリップをつくらせていただいたところでございます。
このフリップは、いわゆる時間外手当を初めとした残業代と、そして、中小企業から見た金融機関の貸し出し態度の推移、それが
日本銀行の
政策転換によってどういう影響を与えたのかということをあらわしたグラフであります。
赤の実線というのは時間外手当を初めとした残業代の推移、そして、青の実線というのが中小企業から見た金融機関の貸し出し態度の推移であります。そして下の青の囲みが、いわゆる金融緩和の
政策を導入するなど、金融緩和の方向に向けて
日本銀行の
政策を転換したそのタイミング、上の黄色の囲みというのは、逆に金融を引き締める、金融緩和の
政策の導入を解除するなど、金融緩和から金融引き締めの方に
金融政策を転換したその時期を記載したものであります。
これを見ていただければおわかりのとおり、金融緩和に向けて
金融政策のあり方というものを変えてみると、実は残業代というのは上がっていくんですね。そして、中小企業から見ると、資金繰りが楽になっていくというのがわかります。
一方で、逆に金融が引き締めの方に
日本銀行の
政策の判断が変わっていくと、中小企業から見ると、資金繰りが非常に厳しくなって、そして、そこで働く人たちの残業代が低下をしていくという、その傾向が見てとれるわけであります。
テレビを見ていると、いや、企業にとって
日本銀行の
金融政策というのは関係ないよ、特に、給与の面について見ると
日本銀行の
政策というのは関係ないよ、こんな論調が見られるわけでありますが、これは大企業の論理であって、中小企業にとってみると、あるいはそこで働く人たちにとってみると、
金融政策というのはまさにストレートできいてくるわけであります。
私は、こうした認識の中で、
総理が、大胆な金融緩和をしていかなければいけない、そういう基本方針というものを定められたのではないかというふうに思っておりますけれ
ども、
総理のお
考えをまずお伺いさせていただきたいと
思います。