○高橋みほ君 北海道選出、
日本維新の会の高橋みほでございます。
災害対策基本法等の一部を
改正する
法律案に関しまして、
日本維新の会を代表いたしまして
質問いたします。(
拍手)
私は、十八年前、勉学のため神戸に住んでおり、阪神・淡路大震災に遭遇いたしました。そのときの恐ろしかった思いは、今も消えることはございません。
揺れたとき、机の下に潜ろうとしましたが、余りにも大きな揺れのため、姿勢を維持できず、吹っ飛ばされ、気を失っておりました。しばらくして気がつき、外に出てみますと、左隣の家は一階が潰れ、右隣の家は道路にはみ出し、近くを走る鉄道は橋桁が垂れ下がっておりました。加えて、近隣で出火しておりましたが、その火を消す消防車は来ず、火は自然鎮火に任せるしかありませんでした。
震災時、私は、多くのことを感じました。
まず第一は、
地震が起きたときに、小学校などでたたき込まれた、
地震が起きたらどうすべきかということは、大人になってもかなり役に立つことが多いということでした。机の下にすぐ潜ろうとしたのは、そのあらわれだと思っております。
第二に感じたのは、大震災のような未曽有の
災害のときには、通常行われるであろうと思っていること、すなわち、火事が起これば消防車が来るというような常識は通らないということでした。したがって、今では、
想定外のことが起こるのが常識だと考えるようになっております。
第三に、命を守るには、最低限、耐震性のある住居に住むべきであること。
第四に、家が倒壊してしまったような場合は食料を取り出すことはできないので、備蓄などの自助にはある程度限界があり、交通網などを一刻も早く
復旧させ、ほかからの
物資の供給等が必要であるということです。
東日本大震災では
地震に加えて
津波の影響がありましたので、私が感じたこと以上に、考えなければならないことは多いかと思いますが、大事なのは、経験と想像力をフルに働かせた
事前の
対策をとっておくこと、そして、あとは、臨機応変に現場の判断を尊重して事に当たることだと考えております。
このような観点から今回の
法改正を検討しますと、現時点で考え得ることはかなり網羅されているのではないかという印象を受けました。しかし、幾つかの点では、物足りない点があります。
そこで、以下、
質問をしていきたいと思います。
まず、本
改正では、国や
市町村など各主体の役割の明確化を図りながら、平素からの
防災への
取り組みの
強化を提唱しております。
平素からの
防災への
取り組みは大変大事な点であり、
法案の七条三項で、
住民は、
基本理念にのっとり、食料、飲料水その他の
生活必需物資の備蓄その他のみずから
災害に備えるための
手段を講ずることなどに努めなければならないとされていることは、もっともではありますが、先ほど述べましたように、家が倒壊したり、流されたりした場合を考えますと、
個人で
物資を保管していても、
一定の限界がございます。
とするならば、国や
地方公共団体などで必要数を
確保するか、そうでなければ、
民間事業者などと協定を
締結し、必要数を
確保する必要があるかと思います。
今回の
法案では、四十九条の三によって、
災害予防責任者は、
物資供給
事業者との協定
締結など、必要な
措置を講ずるよう努めなければならないとされていますが、では、現在、これらの協定などはどのくらい結ばれているのでしょうか。それは、
一定の必要量を賄う程度のものなのでしょうか。これら協定の
締結はかなり以前から存在がクローズアップされておりますが、もし、余り協定の
締結等が進んでいない、進みそうではない場合は、その
理由はどこにあり、どう改善していけばいいと考えていらっしゃるのでしょうか。お答えください。
さらに、五条の三で、国及び
地方公共団体はボランティアとの
連携に努めなければならないとされております。
では、現在、どれほどのボランティアと協定などが結ばれているのか、把握されていらっしゃるでしょうか。これら
連携によって、どのくらいの人数のボランティアを動員できる見込みなのでしょうか。さらには、ボランティアの
意見などを取り入れる
仕組みなどができているのか、お尋ねいたします。
震災時、心温まるものとして、海外からのボランティアや、海外
政府の
災害救助として来ていただける人たちの存在があるかと思います。よく
災害救助犬などが話題になりますが、実際には、
援助を断ったり、断られたりすることも多いと聞いております。
そこで、海外からのボランティアなどの受け入れの可否の判断や、個別具体的にどこに入ってもらい、どのような活動をしていただくのかの判断などについて、一元化して、わかりやすく、迅速化する必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。
次に、本
法案では、
市町村長は、
高齢者、
障害者などの
災害時の
避難に特に配慮を要する者について
名簿を
作成し、原則として、
本人からの同意を得れば、
消防機関や
民生委員等の
関係者に対して、必要な限度で、あらかじめ
情報提供するものとされています。
私は、
高齢者や
障害者など
避難が困難とされる方たちの
名簿をつくり、それをもとに
避難確認をすることは大事なことだと思っております。ただ、
避難行動要
支援者名簿をつくっただけでは余り意味をなさず、これらの方たちを実際にどう
避難させるのかの方がもっと重要だと考えます。
ですから、
名簿をつくって、
名簿に記載された要
支援者をどのように
支援していくことが可能と考えているのか、どのような体制をとっていく予定なのか、お答えください。
次に、
市町村長の
名簿提供に際しては、
名簿情報の提供を受ける者に対して
名簿情報の漏えいの防止のために必要な
措置を講ずるよう求めることができると
規定されておりますが、これは、実際にはどのような
措置を予定しているのでしょうか。漏えいされると、
個人のプライバシーの観点から問題がある上に、
名簿が悪用されるなど、問題点が多いと考えますので、お尋ねいたします。
次に、今回の
改正では、
国民に対して、
生活必需品をみだりに購入しないよう求めるなど、
協力を要請できるとされています。しかし、
東日本大震災においても、
政府が呼びかけたにもかかわらず、買い占めなどはなくなりませんでした。
災害は、物流網を寸断させ、停電や断水を生じさせるなど、普通に暮らしていた日常
生活を一変させてしまうものです。今まで自由に買えたものが突然買うことができなくなる、あした買おうと思っていたものが突然買うことができなくなる、当然、誰もが不安に襲われるかと思います。子を持つ親や、孫を預かった祖父母などは、自分は我慢できるけれども、この子だけはと思うでしょう。また、経済的
理由などで備蓄できなかった家庭は、より焦りが高まり、買い占めに走ってしまうのは、無理のないことかもしれません。
とするならば、
被災地で必要とされている
物資を
確保するためには、買い占めなどをしないように要請するだけでは実効性が薄いのではないかと考えます。その点、いかがお考えでしょうか。
私は、物を欲しいと考える人たちに
協力を求めるのではなく、これら
物資を生産あるいは販売する
事業者に対して、売り惜しみをしないように指導したり、
協力を義務づける方が現実的ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
次に、今回の
法案では、
災害緊急事態布告の要件に、国の経済の秩序を維持し、その他当該
災害に係る重要な課題に
対応するため特別の必要があると認めるときが追加されるとのことですが、これはどういった
趣旨でしょうか。
布告がなされたときには、
対処基本方針が
作成されますが、それは強奪や暴動などが生じた場合などを想定されているのでしょうか。そうでありましたら、そのような場合に具体的にはどのような対処を検討されるのか、お尋ねいたします。
今回の
法律案では、
市町村長は、学校などの
一定期間
滞在するための
避難所と区別して、安全性などの
一定の
基準を満たす
施設または
場所を緊急時の
避難場所としてあらかじめ
指定することとされています。
確かに、緊急
避難的に
滞在する
場所と、
一定期間
滞在するための
避難場所を区別する必要はあると思います。ただ、多くの
避難者の方は、一時的にでも一つのところに
避難すると、そこから動きたくない、動くなら自宅へ戻るときだと考えている方も多いかと思います。
ですから、
指定緊急避難場所から、長期にわたって居住空間を提供する
避難場所へスムーズに移転してもらうためには、
事前の周知など、行わなければならないことが多いかと思います。その点、どうお考えか、移転を嫌がる
避難者の方たちがいらっしゃった場合の
対応など、どうされるのか、お尋ねいたします。
この緊急
避難場所に
指定された
場所が民間人の所有だった場合、かなり問題が生じる可能性があるかと思います。例えば、ビルに一時的に
避難することを認めたとしても、天井が崩落して
避難された方がけがをするなど、
避難者の
滞在中に問題が生じた場合、民間人が全て責任をとらなければならないとしたならば、ビルなどを提供するのをちゅうちょしてしまうかとも思われます。その点につきまして、どのような
仕組みを考えているのか、お答えください。
次に、
避難場所について
質問いたします。
よく
災害のときに、体育館にシートを敷いて、簡単な間仕切りでごろ寝をしている姿がテレビなどで放映されます。二、三日ならそれでもいいのですが、それが例えば一週間以上になったら、ストレスがかなりたまるかと思います。できたら、旅館などにすぐに
避難する環境をつくれないのでしょうか。予算の問題があるかと思いますが、体育館での
避難生活は御
高齢者や女性にはかなりつらい環境であることから、お尋ねいたします。
次に、
災害で直接亡くなった方以外にも、震災と関連して体調を壊され、亡くなったり、病気になったりする方が大変多くいらっしゃいます。
東日本大震災でも、震災関連死とされた方は、二十四年九月三十日現在で全国で二千三百三人いらっしゃいました。
避難所などにおける
生活の肉体、精神的疲労や、
避難所などへの移動中の肉体、精神的疲労などが原因とされているようです。
生活環境の
整備という観点では、本
法案の八十六条の六で、「
災害応急対策責任者は、
災害が
発生したときは、法令又は
防災計画の定めるところにより、遅滞なく、
避難所を供与するとともに、当該
避難所に係る必要な安全性及び良好な居住性の
確保、当該
避難所における食糧、衣料、医薬品その他の
生活関連
物資の配布及び保健医療サービスの提供その他
避難所に
滞在する
被災者の
生活環境の
整備に必要な
措置を講ずるよう努めなければならない」という条文と、八十六条の七で、「
避難所以外の
場所に
滞在する
被災者についての配慮」という条文があるだけです。
この点は、福祉の問題であるとも言えますが、震災関連死を防ぐような手だてをとるために、
災害応急対策責任者がもっとなすべきことがあるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
最後に、
災害は、いかに
対策を立てても、予想を超えて起こるものであると考えます。とはいうものの、少しでも
被害を少なくするためには、今までの経験を生かした上で、できる限りの想像力を働かせて、もしもの場合の
対策をとっていく必要があるかと思います。そして、できる限りの策を立てた上で、現場での判断を尊重していくのがベストの方法だと考えます。現場にいる人たちが、
法律の壁によって現実的な
対応ができずに苦労することがないよう、臨機応変に活動できるように制度の
仕組みを考えていかねばならないと思っております。
以上で
質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣古屋圭司君
登壇〕