○石田祝稔君 私は、公明党を代表して、ただいま
議題となっております
平成二十五年度
一般会計予算、
平成二十五年度
特別会計予算、
平成二十五年度
政府関係機関予算、以上
政府三案に対し
賛成、
民主党の
撤回のうえ
編成替えを求めるの
動議並びに
日本維新の会、みんなの党の
共同提案の
修正案に反対の
立場から
討論を行います。(
拍手)
初めに、二年前の
東日本大震災は、
被災地のみならず
日本全国あるいは
世界に、地震・津波災害の恐ろしさと、その対応の重要性を再認識させました。
世界有数の地震大国
日本において、今回払った多大なる犠牲を将来の教訓として生かしていくことこそが、私たちに課せられた大きな課題であり、使命であると自戒しております。
震災の発生以来、公明党は、一貫して、被災者の側に立ち、被災者の声を聞き、それに応え続けてまいりました。しかし、その傷は、余りにも広く、深いと言わざるを得ないのが現状であります。
そうした中で、我々が行うべきは、まず、一刻も早く
被災地の
復興、福島の
再生を進めることであります。東北の
復興なくして
日本の
再生はありません。ここに重点を置くことが第一であります。そしてもう一つは、将来必ずや到来する巨大地震や災害に万全の対策を打つことです。
私の住む高知県、中でも黒潮町は、南海トラフ起因の巨大地震による津波が最大で三十四メートルに達すると想定されております。また、南海トラフ沿岸の各
自治体も、同じく、いずれ来るであろう災害に対する備えに奔走しております。
今回の
予算案は、こうした
国民の不安を安心に変えるための、国の姿勢、
責任、そして対策を具体化したものと、まず評価したいと思います。
以下、
政府三案に
賛成する主な
理由を申し述べます。
賛成する第一の
理由は、
平成二十四年度
補正予算と一体的な十五カ月
予算と位置づけ、
日本経済の
再生へ切れ目のない対策を実行する一方、
東日本大震災からの
復興と
防災・
減災対策を重点化するなど、我が党の主張を反映している点であります。
特に、被災者の安心を確かなものにするため、
平成二十七年度までに十九兆円と設定されていたこれまでの
復興予算の総枠が、六兆円上積みされ、二十五兆円に拡大されました。
大震災から二年が過ぎましたが、
被災地では、いまだに住宅再建や
除染は進んでいないのが
実態です。瓦れきこそ撤去されたものの、住宅の基礎部分がむき出しになったままで、
復興を実感するには余りにもほど遠いのが
実態です。住宅の再建や
生活の再建など、被災者の方々が
復興を実感できる成果を一日も早く出すために、
予算総枠の拡大は重要な
政策であります。
被災地の復旧
復興に当たっては、今回の
予算で、被災者支援として被災者
生活再建支援
補助金や
介護などのサポート拠点への支援、町の
再生として
復興交付金、産業の
復興や雇用の確保として津波・原子力
被災地域企業立地
補助金が盛り込まれているほか、原子力災害からの
復興再生として長期避難者
生活拠点形成
交付金、福島定住緊急支援
交付金なども計上されています。これらの
予算が有機的に機能することで、
復興を実感し、体感できる事業が進むものと考えます。
また、今回の
予算では、
社会インフラの老朽化対策などを集中的に支援する
防災・安全
交付金が計上されています。
公共事業はばらまきだと決めつける一方的な批判がありますが、先ほども申し述べたように、
防災・
減災対策は、
国民の命を守るということが最大の目的であり、従来の
公共事業とは全く発想が異なるものと考えております。
昨年末の中央自動車道笹子トンネルの天井板落下
事故で広く認識されましたが、老朽化したインフラの補修、修繕は、待ったなしの課題です。
我が国の
社会インフラの建設は高度
経済成長期に本格化しており、近い将来に耐用年数が限界に達する施設は膨大な量に上ります。こうした
社会インフラの維持や修繕を着実に
推進するための
交付金が設けられたことで、
地域住民の
生活と生命を守ることにつながるものと確信します。加えて、早期に修繕、補修を行うことで、将来のインフラ再構築にかかる莫大な費用を抑制する
効果も期待できます。
また、
防災・安全
交付金は、従前の
社会資本整備総合
交付金から支援対象メニューが大きく拡大されています。天井まで含めた非構造部材まで含めた住宅や建物の耐震化、既存のエレベーターの安全確保、宅地の液状化対策などに
交付金を充てることが可能となっており、実に幅広い目配りがなされている
交付金であると言えます。
復興を初め
防災・
減災対策の強化は、今回の
予算の際立った特徴であり、我が党の主張が大きく反映され、
国民の命を守る
政策が充実していると言えます。こうした
観点からも、今回の
予算を評価することができます。
賛成する第二の
理由は、厳しい
経済状況を突破し、
日本経済を守り、さらには、将来に向けた成長につながる施策に対しての
予算を重点化している点です。
長引くデフレの脱却に向け、公明党が主張したインフレターゲットを含む大胆な
金融政策、機動的な
財政運営、
民間投資を喚起する
成長戦略を三本の矢として取り組む
政府の姿勢に、
経済界や市場
関係者から高い評価を得られております。
また、一部ではありますが、その果実が大きくなる兆しが見えており、
経済界も積極的に賃金を上乗せする姿勢を示すなど、
景気回復への道のりが徐々に見えてまいりました。
この流れを確かなものとするには、一刻も早い
予算の成立と執行が必要であることは論をまちません。
今回の
予算案には、省エネ、再エネの研究
開発や、iPS細胞研究を含む
医療関連
分野の
イノベーション推進といった、
日本の産業を牽引する新たな
分野への
投資が充実していることが特色と言えます。
一方で、
日本の産業の屋台骨となっている中小企業のための技術
開発支援や、ITを
活用して百万社以上の中小企業、小
規模事業者と一万人以上の支援者をつなぎ、十五万社にビジネスプランの
提案などを行う専門家を派遣する経営支援策なども計上されており、中小企業を支える力強い
予算であると評価できます。
さらに、非正規雇用で働く若者の雇用安定化施策として、失業中もしくは正社員経験のない若者を雇って三カ月以上の職業訓練を行った企業に対し、一人当たり月十五万円の奨励金を最長二年間支給する
制度を創設し、正社員として定着した場合にも、採用後二年間で最大百万円を事業主に支払うこととされており、雇用
環境の
改善にも寄与するものと考えます。
このほか、厳しい
経済状況下にあって将来の
日本を担い立つ大学生らへの支援として、無利子奨学金の貸与者数の拡大のほか、現役大学生を主な対象とする新卒応援ハローワークブランチの設置で、若者の採用に意欲を示す中小企業への就職の促進、ハローワーク職員が学生にアドバイスする窓口の学内設置なども盛り込まれております。
一方で、共働き家庭への支援、少子化対策を
推進することで、
日本に活力を取り戻すことも重要であります。
待機児童対策では、保育所の受け入れを七万人拡大することや、保育ママを三千人増員し、延長保育や休日・夜間保育、病児・病後児保育などの充実が図られることとなっております。
深刻ないじめ対策では、心のケアを担うスクールカウンセラーを全ての公立中学校と公立小学校の七割に配置するいじめ対策等総合
推進事業が盛り込まれたほか、パソコンや携帯電話を使ったいじめなど、深刻な問題を抱えている学校に対しては、元教員や元警察官で構成される生徒指導
推進協力員や学校相談員の派遣も拡充されるなど、いずれも我が党の主張が大きく取り入れられたものと自負しております。
このほか、前政権下で大幅に
削減された農業農村
整備事業なども本
予算案で
復活しております。これらの事業は、農業生産力の向上や多面的機能の強化、
防災・
減災対策を促進する内容となっており、農業の持続的な発展に必要なものと認識しています。
賛成する第三の
理由は、
民主党政権下で三年間続いた、
新規国債発行額が
税収を上回るという極めて異常と言える状況を克服し、四年ぶりにこの逆転現象を正常化させて、
財政規律に配慮し、今後の
財政健全化への重要な一歩となる、バランスのとれた
予算案となったことです。
あらゆる
政策手段を機動的に行使し、
政策効果を引き出すためには、
財政再建を視野に入れた
予算であるかどうかの信認性が極めて重要であります。兆しの見えてきたデフレ脱却を確かなものとするためにも、今後の大きな課題である
財政の不確実性をどう解消していくかであります。
今月の月例
経済報告では、一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きが見られると、三カ月続いた上方修正を据え置いたものの、輸出の判断については十一カ月ぶりに上方修正するなど、
景気回復への期待が込められました。
十五日の
日本銀行の
地域経済報告でも、国内九
地域全ての
景気判断を一月の前回
報告から引き上げましたが、全
地域そろっての上方修正は九カ月ぶりであり、家計や企業のマインドが
改善していることを示しております。
経済の
再生なくして
財政再建はあり得ません。また、
財政再建を視野に入れずして
経済の
再生はあり得ません。
つまり、
自公政権による力強く機動的な
経済政策が内需を拡大し、大胆な
金融政策によって株価が上昇し、
景気が上向いているのは事実であり、今回の
予算案が、恒常的に
歳出を抑制、
削減しつつ、安定した
経済成長をなし遂げる方向を示し、市場もこれを信認していると考えるべきであります。その意味からも、
財政健全化への一里塚とも言える本
予算の早期成立を求めるものであります。
民主党提出の
組み替え動議、また、
維新、みんなの党提出の
修正案については、考えを異にしますので、反対でございます。
最後に、私
自身、今般の
政府・与党に対する
国民の期待の高まりの一方で、不安も募っていることも肌で感じております。
公明党は、その期待と不安を信頼に変えるべく、必ずや結果を出してまいる決意であると申し上げ、私の
賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)