○若井康彦君
民主党の若井康彦です。
私は、
民主党・
無所属クラブを代表して、ただいま
議題となりました
社会保障・税
番号制度、いわゆるマイナンバー関連四法案について質問いたします。(
拍手)
民主党政権で取りまとめた
社会保障と税の一体
改革大綱では、「
社会保障給付や
負担の公正性、明確性を確保するためのインフラとして、
社会保障・税
番号制度の早期導入を図っていかなければならない」としております。
野田
政権下で、昨年の通常
国会に
社会保障・税
番号関連法案を提出いたしましたが、
野党の協力が得られず、衆議院解散とともに、
審議未了で廃案となってしまいました。これにより
制度導入のスケジュールが一年おくれていることを大変残念に思っております。
今回
安倍政権が提出した法案は、
番号制度の
基本理念、国、
地方公共団体の責務、
事業者の努力
規定、
個人番号カードの利用、情報提供ネットワークシステム等の安全性の確保について、昨年の法案を補強したと聞いております。
私
たちは、それらの
内容について、
民主党政権が目指していたマイナンバー
制度の
趣旨に合致しているかを確認し、
国民の皆様の御理解、御納得が得られるような
国会審議を展開していきたいと考えております。
初めに、所得把握についてお伺いします。
マイナンバー
制度のメリットとして、今までは各行政機関が
ばらばらに保有をしておりました所得情報を照合することにより、所得を把握しやすくなり、税の公平性を向上できると期待されています。マイナンバー
制度により、税務当局が保有する各種所得情報を正確かつ効率的に名寄せ、突合することにより、所得の過少申告や税の不正還付等を効率的に防止、是正できるとされております。また、法人にも
番号をつけることになっています。
一方で、マイナンバーを導入したからといって、全ての商取引、金銭授受について、完全に把握することはできないというのも確かであります。
マイナンバー
制度によって、現在に比べて、どのような過少申告、不正還付や所得隠しができなくなるのか、また、それにより税収にどれぐらいの影響があると見込んでいるのか、麻生
大臣にお伺いをいたします。
次に、
我が国が人口減少、高齢化に直面する中で、今まで培ってきた
社会保障制度を維持していくためには、
国民に税や
社会保障の
負担増をお願いすることは避けて通れません。そうした中で、マイナンバー
制度が、低所得者の
負担を軽減することにより所得再
配分機能を強化し、格差を是正するために役に立つものと期待しています。
民主党は、真に必要な世帯に支援がしっかり行き渡る給付つき税額控除の方が望ましいと考えておりますが、マイナンバー
制度の導入により、そのことがより正確に運営できると考えております。
消費税引き上げの時期が一年後に迫っている今、せめて八%では簡素な給付
措置での
対応が現実的という判断から、衆議院に、ただいま、
消費税影響緩和法案を提出いたしました。与党が
実施を検討しておられる複数税率は、高額所得者ほど
負担軽減率が大きくなる、対象品目の選定が利権に結びつきやすいので、簡素な給付
措置、給付つき税額控除の方がすぐれていると考えております。
政府は、逆進性対策についていつまでに決めようとしているのか、どうして給付つき税額控除が受け入れられないのか、
国民の意見をどのように酌み取って検討を進めていかれようとしているのか、甘利担当
大臣にお伺いをいたします。
次に、
社会保障負担の軽減について伺います。
一世帯で
医療、介護、保育費などの
負担が積み上がっていても、
制度が縦割りであるため、全体の
負担を把握するのは大変に困難であります。しかし、マイナンバー
制度の導入によって、それぞれの保険者、運用単位ではなく、家計全体をトータルに捉えて、自己
負担の合計額に上限を設定する総合合算
制度を運営する環境が整うと考えております。
このように、マイナンバー
制度を活用して、
社会保障に係る
負担を軽減することをいつごろから始められるのか、甘利
大臣にお尋ねをいたします。
次に、プライバシー権について伺います。
マイナンバー
制度により、全ての
国民と、日本で中長期的に暮らす外国人に
番号がつけられ、行政機関によって一元管理されるようになります。それにより、プライバシー権あるいは自己情報コントロール権が侵害されるのではないかと懸念する声があります。
個人情報の集積と利用には本人から事前の同意が必要とされていますが、マイナンバー
制度ではどのような仕組みによってプライバシー権が保護されるのか、甘利
大臣に
説明をお願いいたします。
次に、先ほど御
説明のありました、
特定個人情報保護
委員会についてお伺いします。
プライバシー権についての懸念を踏まえ、
国民の
特定個人情報が適切に取り扱われる、安心で信頼できる
番号制度の構築のためには、
特定個人情報ファイルが取り扱われる前に、
個人のプライバシー等に与える影響を予測し、評価し、かかる影響を軽減する
措置をあらかじめ講じるよう、第三者機関となる
特定個人情報保護
委員会が情報保護評価を
実施することになっております。
この
委員会は、どのような専門性を有するメンバーで構成されるのか、国の行政機関や
地方公共団体等に対してどのような権限を持つのか、甘利
大臣に伺います。
さらに、情報管理の安全性についてお伺いいたします。
マイナンバー
制度について
国民の皆さんが今一番不安を感じているのは、
個人情報の漏えい、他人によるマイナンバーの不正利用など、情報の安全管理が万全かどうかという点ではないでしょうか。
日本では、社会保険庁によるずさんな
年金記録の管理により
年金記録が消失をしたり、あるいは、
住民情報を管理する
公務員からDV
被害者で配偶者から身を隠している方の所在に関する情報が過って漏えいされるなどの不祥事もあり、行政の情報管理に対する不信感がございます。
また、
政府の情報システムへ外部から不正にアクセスされる事案が次々と起きており、IT技術が日進月歩を遂げる中、情報を管理する側がハッカーから情報を守り切れるかどうか、懸念を持つのも無理がございません。
こうした
国民の不安を払拭するには、
政府が、
国民が安心できるレベルのセキュリティー体制を整えることだと思います。
そこで、どのような情報保護体制にするのか、
政府内に情報管理を行う部署をつくるのか、民間に委託する部分があるのか、あるとすればどういうことを委託するのか、甘利
大臣に伺います。
関連して、万が一、故意でなくても、情報漏えいが起きた場合は、一体誰の
責任になるのでしょうか。そして、情報漏えいが原因で
被害、損害が生じた場合に、国あるいは
地方公共団体が損害賠償を行うのでしょうか。あわせて、甘利
大臣にお伺いをいたします。
次に、
個人番号カードについて伺います。
マイナンバーは二〇一六年一月から使い始めるということでありますが、二〇一五年中に
個人番号を通知する紙のカードが届く。
個人番号カードは希望者だけに配付されるとのことであります。
通知カードは、免許証やパスポートと一緒に提示することにより
個人番号カードと同じように使えるとのことでありますが、利用に当たって、全く違いがないのでしょうか。甘利
大臣にお尋ねいたします。
また、
個人番号カードの発行を有料とする理由、全国一律の手数料にするのかどうか、あわせてお尋ねをいたします。
次に、マイナンバーの民間利用について伺います。
例えば、引っ越しの際、役所の届け出や電気、ガス、水道などの
手続をそれぞれ別個にしなくてはならず、大変煩雑になっております。しかし、マイナンバー
制度の対象を民間にも広げれば、手間がぐんと減ってまいります。
個人番号の利用範囲の拡大については、法施行後三年をめどとして検討することになっておりますが、民間利用を解禁するには、どのような条件が必要だと考えますか。甘利
大臣、お尋ね申し上げます。
次に、
政府CIOについて伺います。
我が国の電子行政に関する戦略の企画立案、
推進は、IT戦略本部と、そのもとに置かれたCIO連絡
会議等が担ってきましたが、
政府として、府省横断的な取り組みを明確かつ迅速な決定と
責任のもとに進めていくための統率力、調整力は必ずしも十分に備わっていないとの
批判がございました。
今回、
政府CIO法案によって内閣情報通信政策監が法定化されますが、今までに比べて、どのように権限や体制が強化されるのか、また、人員
削減等、行政
改革に資するのか、山本
大臣にお尋ねをいたします。
最後に、安倍総理、総理は、先般、TPPの交渉参加を表明されました。
選挙前の公約では、聖域なき関税撤廃を
前提とする限り交渉参加には
反対するとしていたにもかかわらず、
選挙が終わるや否や、日米間において何ら具体的な確認もないまま交渉参加を既成事実化してしまったことは、甚だ遺憾であります。
これに対して各方面から多くの不安と疑念の声が上がっているのは事実であります。
例えば、JA全中は、強い怒りをもって抗議し、国益が守られないと判断した場合には、即刻、交渉から脱退すること、
政府として明確に
国民に確約すべきであると、抗議声明を出しています。ほかならぬ
自民党からも、農林水産重要五品目や
国民皆保険
制度などの聖域の確保ができない場合は脱退も辞さないとの
決議も出されているわけですが、総理はどのようにお考えでしょうか。
交渉力とは、いざとなれば拒否する力を持っている、そのことに尽きるわけでございます。安倍総理、国益が守れない場合には、約束どおり交渉から脱退する、その覚悟のほどを、ぜひここで全ての
国民に明言していただきたいと思います。
以上、マイナンバー
制度の導入と円滑な運用こそ、
社会保障と税の一体
改革の成否を決める鍵であると言っても過言ではありません。
国民の安心と納得が得られる
制度となるよう着実に準備を進め、それについて丁寧に
説明していくよう
政府に求め、私の質問を終わります。(
拍手)
〔内閣総理
大臣安倍晋三君
登壇〕