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谷垣国務大臣 今
委員が御
指摘の件は、非常に大事なポイントだと思います。
そこで、まず、この
法律の
政令で定める
病気ということについてもう少し申し上げますと、正常な
運転に
支障が生じるおそれがある状態というのは、正常な
運転が困難な状態、これは二条一項の
規定でございますが、つまり、道路、交通の
状況に応じた
運転操作を行うことが困難な心身の状態、そこまでは至らないけれども、
自動車を
運転するのに必要な
注意力あるいは判断能力、操作能力がそうでないときの状態に比べて
相当程度減退している、そうした危険性のある
状況をいう、一応こういうふうに定義ができると思います。
そこで、発作によって意識喪失に陥る場合を例にとりますと、現に正常な
運転に
支障を生じている状態に限らず、将来の走行中のある時点で発作による意識喪失に陥る具体的なおそれがある場合。例えば、薬を飲む、服薬によって発作を抑えることによって
運転が可能だという方はたくさんいらっしゃいます。事実、
免許を取って
運転しておられます。ところが、その薬を飲むということを、あえて飲まないというような
状況は、客観的に走行中に正常な
運転に
支障が生じるおそれがある状態に当たると解されて、その認識も必要となるわけでありますから、そういう意味では、
対象範囲をそういうような考え方できちっと限定していく必要があるわけですね。
それから、医学的な判断ということになるわけですが、
自動車の
運転に
支障を及ぼすおそれがある
病気について
政令を定めるに当たりましては、先ほども申し上げたことでありますが、
専門家の方々から、
対象とする
病気やその
症状などについて専門的な
意見もよく伺った上で決めていくということでございます。
その上で、患者団体などが大変御
懸念をお持ちのことは私もよく承知をしております。それで、繰り返しになりますが、要するに、
病気だけではなしに、先ほどのような、服薬をするかしないか、
症状があらわれて服薬をしているかしていないか、そういう具体的な
症状に着目しなければならない、こういうことであって、特定の
病気、病名だけで一律に判断していく、そういう
仕組みにはなっておりませんし、厳にそれは避けなければいけないことだと考えております。
それで、この第三条第二項は、
政令で定める
一定の
病気の影響によって正常な
運転に
支障が生じるおそれがあるという危険性がある
状況で、かつ、そのことを認識しながら
運転して、その危険性がいわば顕在化してくる、そして正常な
運転ができなくなって人を死傷に陥れたという
観点、その危険性あるいは悪質性という
観点から、相応の
処罰を可能にすることが必要だという
観点からこういう罰則が設けられたわけであります。
ですから、そういう極めて限定された
症状に着目し、限定された構成要件になっているわけでございますが、その上で、今のような
趣旨、特定の病名に着目しているのではないんだ、
症状に着目しているんだということは正しく理解していただく必要がある。ですから、この運用に当たっては、まず周知、啓発という点が極めて重要なのではないかと考えております。
今後、
政令で具体的に定めていくに当たりましては、こういう考え方を基本に、先ほど申し上げたように、
専門家の御
意見も十分に伺いながら、
対象とする
病気やその
症状などの学問的な
観点もよく伺いながら、関係機関とも相談しながら決めていく、そういう慎重な手続をとりたいと思っております。