○鷲尾
委員 思いが伝わりました。ありがとうございます。
それで、これは一般的に流布されているイメージですけれ
ども、
産業界といわゆる
農林水産業との対立の構図、時として
政治もそれをあおったりするわけでありますけれ
ども、一般的に申し上げますと、国内でかなり予算の分捕り合いをしている、その中で、
産業界から、
農林水産業はお金が、要するに過保護だ、保護され過ぎていると。つまり、言葉をかえれば、予算をかけ過ぎているんじゃないかという言い方をされることがよくあります。
よくある一例として、余り言いたくはないですが、私も当時、与党にいたときに、かなり心中複雑な
思いがありましたので。たしか、ある議員の方から、
農林水産業がGDPに占める割合というのは大体一・五%そこそこで、九八・五%の相当の
部分が犠牲になっているよという発言があったんです。
相当いろいろな
思いが私もありまして、調べました。きょう、その
資料を
皆さんにお配りをしております。ちょっとごらんになっていただきたいんですけれ
ども、一枚目、
農業の経済的位置づけに関する国際比較ということで、これはたしか二〇一〇年と一一年、そこら辺のデータだと
思いますけれ
ども、名目GDPに占める
農林水産業総
生産額の割合で見ますと、そんなに日本が突出して低いわけじゃないよねというのがわかると思うんですよ。
その次の段ですけれ
ども、国家予算に占める
農業関係予算の割合。これはどうしてこういうことを調べたかというと、要するに、この図でいきますと、一・二%の日本の
農林水産業に対してどれだけ予算をかけているのかということなんです。ですから、日本の場合は、
農業関係予算が二・〇%ですから、一・二%に対して二・〇%の予算をかけているということであります。
ちょっと韓国をごらんになっていただきたいんです。そうしますと、韓国は、二・三%ですから約二倍なんですね。それに対して、
農業予算でいきますと、日本に比べると約三倍なんです。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、わかりますかね。
つまり、韓国は、どっちかというと、自由貿易協定もかなり、アメリカやそれからヨーロッパとも結んでいますから、非常に貿易立国であるがゆえに
農林水産業は犠牲になっているというイメージで捉えられている向きが多いと
思います。ところが、割合で見ると、日本の約三倍の
農業関係予算を組んでいるわけであります。もちろん、そのもととなる
農林水産業の占める割合でいくと日本の二倍なわけですから、常識的に考えると、韓国の方がやはり予算をとっていると言えますよね。
これを見て、えっと
思いまして、二枚目以降をごらんになっていただくと、これはどれぐらいのトレンドがあるんだろうと
思いまして時系列でこれも調べてもらったんですけれ
ども、日本はどんどん下がっているわけですね。大体そんなところです。ちょっと飛ばしますけれ
ども、最後のページが韓国になっているんですけれ
ども、韓国も同様に若干下がっていますけれ
ども、やはりかなりの程度の予算を組んでいる、少なくとも日本よりは多いんじゃないかな。
これは、一般に広がっているイメージ、あるいは、いろいろな場所で言われる、いや、農家は保護され過ぎだというイメージとは少し、データとしては異なっていると思うんです。保護され過ぎだという言い方が、もし国内の予算の分捕り合いの中で言うならばそうかもしれません。それは経済
産業省の予算と
農林水産省の予算を比べてみれば一目瞭然ですから、どっちがお金をかけていますかと国内で見るならば、それは
農林水産省の方がお金をとっているわけでしょう。ただ、それは国内の予算の分捕り合いで済む話なんですかと。
これから、例えばTPPに条件交渉、参加して、さまざま交渉して、私は個人的には、当然、国益の確保が大前提ですから、不利な条件であれば毅然として席を立ってもらいたいという
思いはありますけれ
ども、何にせよ、
農林水産業に対していろいろな影響があることは不可避だと
思います。
そういう中にあって、ある
意味、これは俗っぽい言い方をすれば、グローバルスタンダードで日本も、それは三本の矢というか成長戦略というかわかりませんけれ
ども、グローバルスタンダードに合わせながらより成長力を高めていきましょうということなのかもしれない。グローバルスタンダードに合わせていくということなんでしょう。であるならば、日本国内で予算の分捕り合いをしている場合かと私は申し上げたいわけです。もし、貿易でグローバルスタンダードに合わせるということをさらに推し進めていくならば、
農林水産業に対する目線も世界基準でやってもらわなければ困ります。その世界基準というのが、まさしくこの表に示した観点ではないかと思うわけです。
ですから、
農業は保護され過ぎだよと言うのはいいけれ
ども、それはね、国内の予算の分捕り合いでそんなことをずっと言っていないでくださいよ、世界に貿易立国でやっていくんでしょう、もっと成長するためにグローバルスタンダードに合わせる
方向性を言っているわけでしょう、だったら、
農林水産業に対する目線もグローバルスタンダードで見てください、そんな御都合主義はだめですよと私は申し上げたいんです。
ということで、でも、これは
農林水産省につくってもらった
資料なんです。これは我々もTPPの議論でさんざん議論しましたけれ
ども、これは内閣府が出した
資料なのか、経産省が出した
資料なのか、
農水省が出した
資料なのかで全然試算結果が違う、全然
資料のつくり方が違うという話が出るわけですよ。
今までの話も踏まえた上で、平政務官、どうでしょうかね、経産省でちょっと
資料をつくって、こういった議論をしたらどうでしょうかね。