○荒井
委員 この使用済み核燃料の話、民主党
政権の原発政策をゼロベースで見直すとおっしゃっておりますので、それが十年も続くというのは、私は、実際やらないのと一緒だというふうに思います。十年
たちますと、毎年一千トンずつの使用済み核燃料が発生するんです。今、
日本のプールにある全部の容量というのは二万トンぐらいしかないんですね。空き容量は三千トンから四千トンぐらいです。そのぐらいの緊迫をしているんですね、使用済み核燃料問題というのは。
一方、核燃料サイクル、今、
日本は高い技術を持っていると言っていますけれ
ども、一向に成功はしていない。先ほど、スリーマイル島事故を教訓としてアメリカは大きく原子力政策を変えたと言いましたけれ
ども、その最大の原子力政策の変換点がIAEA組織をつくったことなんです。つまり、プルトニウムの拡散をさせないという強い意思を持って
世界のIAEA
体制を、これはジミー・カーターがやったことですけれ
ども。ジミー・カーターは原子力の専門家でした。原子力潜水艦の原子炉の設計技師でありまして、そういうこともあって原子力については物すごい深い知識を持っており、その一九八〇年代の段階で、この核燃料サイクルという技術はもう無理だという判定を彼は下し、核燃料サイクルを諦めて直接処分ということに方針を転換したのがカーター大統領なんですね。
私も、恐らく最終的には
日本の核燃料サイクルもどこかで直接処分に切りかえないとだめだと、それは政治が決めない限り、今の、役人に決めさせているというのは、恐らくできないだろうというふうに思います。
そんな話は、またいつか時間があったときにぜひやりたいと思うんですけれ
ども、そのほかに原子力政策の大きな一翼を担っているのが文科省なんですね。文科省は原賠法という法律を所管しております。それから、CSCという国際条約も所管をしております。
そして、原賠法の改正というのは、実は原子力政策の根幹なんですね。原子力政策の全てのところは原賠法にたどり着くんです。一昨年、原子力
支援機構法という法律をつくったときに、附帯決議で、たしか一年をめどにだったかな、原賠法の改正をするということを決めたんですけれ
ども、民主党
政権では、残念ながら手をつけられませんでした。
私は、原賠法の改正というのは早急にやるべきだというふうに思います。と同時に、今の文科省では残念ながらできないのではないか、文科省の政務官がおられますけれ
ども、原子力にそれほどの熱意を持っているのかねという気がいたします。
そして、もう
一つ大きいのは、CSCという国際条約がございます。これは、アメリカが中心になって、アジアを対象とした原発事故が起きたときに、国際的な補償、賠償措置をしていこうということを取り決めている条約であります。
日本はなかなか批准しなかったんです。担当
省庁は文科省です。文科省はずっと、このCSCについてほとんど何もしなかったということがありました。
このCSCの条約がもしも成立をしていれば、先月だったでしょうか、トモダチ作戦で
支援活動をしていただいたアメリカの軍人が、原子力空母のロナルド・レーガンに乗っていた人だそうですけれ
ども、これは雑誌の記事ですけれ
ども、八人が東京電力に対して被害の訴訟を起こした、その賠償総額が八十億円とも二百億円とも言われています。わずか八人ですね。アメリカは訴訟
社会ですから、こういうことは当然起きるだろうというふうに思っておりました。ところが、これを扱う二国間の条約が現時点で存在していないということなんです。
CSCの条約は、もしもそういう
事態が生じたならば事故発生国で裁判を行うというのが主たる条約の内容であります。つまり、条約が結ばれていれば、
日本で訴訟、裁判が行われていて、ほかの被災者と共通のルールで、被災であるかどうかということも含めて、裁判が行われた
可能性があるんですけれ
ども、この条約が結ばれていないがためにアメリカで裁判が行われるという
可能性が否定できないという状況に今なっています。
私は、このCSCも含めて、先ほどの賠償も含めて、ぜひ早急に原子力
行政の全体の組み直しということをやるべきではないだろうかというふうに思います。これは
行政組織なので、菅
長官に答えていただきましょうかね。