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太田国務大臣 前
政権で公共事業を削ったからメンテナンスがおろそかになったという
観点には私は立っておりません。
それは、前
政権のみならず、今までそうしたことについての重点的な整備という
観点がやはり薄かったということで、私は今メンテナンス元年と呼んでおりますけれども、
老朽化対策、防災・
減災、こういうことについて心しなくてはいけない。その原因は、大
地震が迫っている可能性があるということ、そして、高度成長
時代にできた
構造物が
経年劣化をしてきている、今しっかりやらなくてはならないという
観点です。
メンテナンスという場合に、打音検査というのは、横内正明さんが何を言ったか私は存じておりませんが、国交省の人、建設省出身の人はみんな正確だとは私は
考えておりません。私は技術屋の端くれでもありましたものですから、どうしてこんな原始的なという
言葉までは一緒でしょう。今これが有効なのかどうかということについては、普通の人はそう思うかもしれません。もっともなことだと思います、たたいて、ずっと、大丈夫か見ているなんというのはおかしいなと。
それ以前に、一番やらなくてはならないのは目視ということです。目で見て、メンテナンスというものについて、まず基本は目視、次に打音検査。打音というのは、その中に空洞ができているかできていないかということが一番よくわかる。たたくとキーンという音がするのは中身が詰まっている、低音で音がするのは中身が空洞であるというようなことで、これは本当に有効なんです。ただ、技術的なことで、熟練のということもございます。
ですから、この打音検査とか目視ということは、昔からやられてきて進歩がないと言うかもしれませんが、現実には極めて有効である。
さて、笹子トンネルです。
笹子トンネルのことは、中に空洞があったということと同時に、接着系のボルトが抜け落ちてきた。それは、
構造的な問題であるのか、あるいは、そこの中に入っている接着剤というものによるのか、あるいは、それが雑に突っ込まれていたのか。なおかつ、いろいろなことが今原因究明でされているということであります。
この接着系というものが全部かぶっていたとしても、これは打音検査で一発で全部わかるというような
状況ではなくて、打音検査で一番厄介なのは、接着剤が空洞の中にあるという
状況。これが打音検査では、引き抜き抵抗力の把握までは困難だというのが技術的な打音検査の実情でございます。
熟練した技術者が少なくなった、
高齢化した、力量によって精度が異なる、そして何よりも、接着系ボルトの引き抜き抵抗力の把握までは打音検査はなかなか難しいということがありましたものですから、なかなかこういう打音検査のことについて
答弁する機会がありませんでしたものですから、ちょっと長くて申しわけありませんが、申し上げました。
ただ、ここで、そうしたことの事態を受けて、赤外線を使うとか、電磁波を使うとか、超音波をやるとか、そうした検査というものの手法のあり方、いわゆる非破壊検査というものの手法について磨きをかけて、対象
構造物の弱点にそれが当たるというような調査、検査法の技術の革新というものが私は大事なことだと思っておりまして、メンテナンスをやる場合に、そうした技術力の開発ということと、それを地方自治体にまで提供できる、そうしたことが今大事なことだというふうに思っております。
笹子トンネルはそうした事態でありまして、そんな原始的なこととかいうよりも、私が残念だというふうに思っておりますのは、打音検査も含めて検査をやろうとした、天井板の上に乗って全部そういうことを調べようとしても、それをしようとしたり、ある理由があってやらなかったというのが三回ぐらい繰り返されていて、もう少し丁寧な検査をすればという思いがあるということは事実でございまして、私は、そういう意味で、そういう機会を逃したのは残念。
その責任は、打音検査ということが
効果を発揮しないということとはちょっと位相が異なるのではないかというふうに思っているのが現状でございます。