○伊東(信)
委員 おっしゃることはごもっともなんです。
それで、病院の中で治療することが果たして患者さんにとっていいことなのか、悪いことなのかということは、治すということをまず医者は
考えるわけなんですけれども、それが治せるかどうかということも問題になっていくわけなんです。
厚労省の方の資料なんですけれども、「
精神保健医療福祉の現状及び課題について」で、精神病院入院患者の疾病別の内訳で、統合失調症がかなり多いわけなんですけれども、その中に、てんかんであるだとか、アルツハイマー、薬物の話、うつ、そして知的
障害であるとか、かなり多岐にわたっているわけなんですね。
次のページの、
精神保健福祉士の国家試験の問題九に、問題の解説とかそういうのはしませんので、問題九のうち、うつ病の患者さんが、「「
職場が原因なのですぐに退職したい」と相談に来たときに、
精神保健福祉士がまず行うべき
対応として、正しいものを
一つ」ということで、正しくないものが四つあるわけなんですね。
一
職場の配置換えの交渉を促す。
二 気晴らしに一人旅をするように勧める。
三 気持ちをしっかりと持つように励ます。
四 退職の意志を
確認した上で退職を勧める。
五 症状が改善するまでは決めないように勧める。
ということなんです。
答えは五番なんですけれども、解説していますね、これは、なぜこの問題を出したかというと、インフォームド・コンセントに
関係してくるからなんですね。
つまりは、三番の、気持ちをしっかり、励ますというのは、うつ病の患者さんを元気になっているときに励ますと、かえって自殺企図をするからいけない、そういう
意味なんです。
四番、「退職の意志を
確認した上で」ということは、退職を勧めるというのが
社会的にどうなのかということもあるんですけれども、退職の意志を
確認するのはやはり困難だという判断に基づいてのこの問題なんです。
五番目、「症状が改善するまでは決めないように勧める。」これが答えなんですね。つまりは、どうしても判断のできない患者さん、これが精神
障害の根本であるわけです。
次のページの一番の問題を見ていただいたら、患者の訴えと症状に関する組み合わせのうち正しいものと書いていますけれども、これは実際に患者さんが普通に口に出す
言葉なんですね。
一番、「私の脳が腐って動いている」。そして三番、「暗い所で白衣が幽霊に見える」。これは私が幽霊に見えるのかどうかわかりませんが、そういったこともおっしゃるわけですね。四番、「周りが生き生きと感じられない」。これはうつ病の患者さんとかの話なんですけれども、統合失調症の患者さんにも、こういった、うつ病と区別のつかないことが出ています。
だけれども、一般的に、私の脳が腐っている、そしてそれが浮かんで見えると言われると、これはもう完全に病識が客観的にはわかりますよね。しかし、さっきの、私が気分が晴れないのは
職場のせいだというと、悩んでいるからだということで済むわけですよね。このあたりの区別というのが、診断というのが非常に難しいわけです。
そんな中で、今回、
法律の
改正、保護者の同意要件を外し、
家族等のうちのいずれかの者の同意を要件とする。配偶者、親権者と並んでいって、最後、市町村長が同意の判断を行うということなんですけれども、保護者
制度というのを廃止したにもかかわらず、
家族の同意を残すということは、いわゆる強制入院、例えばうつ病の患者さんで、気分がすぐれないという方に強制入院をするというのは、やはり
社会的にどうかなというのはわかるんですけれども、脳が腐って浮かんでいるという患者さんに対して、これはまずカウンセリングの範囲で済むのだろうかというのは、なかなか専門性を要すると思うんですね。この場合、強制力というのは、残念ながら必要である場合があるんです。
この場合、患者さんの人権との照らし合わせになると思うんですけれども、ここで一番私が強調したいのは、強制入院における国の責任を明確にしていることを、今回の法
改正で回避しているように感じるのですけれども、そのあたりの御見解はいかがでしょうか。