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荒井委員 ここは独立した
委員会です。
田中さんは大変大きな権限を持っています。原発を稼働させるかどうかという必要条件を提示する
役割を持っているわけですね。
したがって、政府全体に対して、総理に対してでも、避難
計画の確保というのが極めて大事だということをもっといろいろなときに言った方がいいと思いますよ。予算づけについてもそういう点を考慮するべきだということをぜひ発言するべきだと思います。
最後に、
田中さんに。あなたは、一千名以上の大きな
組織で、大きな権限を持っています。
大臣の指示、監督も受ける必要のないポジションであります。
そういう中で、その
組織をしっかり運営していくためにリーダーシップというのが必要なんですけれ
ども、そのリーダーシップとして、中国の明の時代につくられた「菜根譚」という本がございます。この「菜根譚」というのは、皇帝のための帝王学であります。皇帝はいかにあるべきかということを書いた本なんですけれ
ども、その結論は、よき師を持つこと、よき同僚を持つこと、よき部下を持つこと、これが結論なんです。
リーダーとはそういうものなんです。自分一人じゃできないですから、よき同僚を持つ。あるいは、自分一人で全部、過去の
経験も知見もあるわけではありませんから、よき師を持つということ。そして、働いてくれる部下を持つということ。そのための教育をどうするのか、どういう同僚を集めるのか、それがリーダーシップの根幹だということをこの本は言っているわけですけれ
ども、ぜひそういう点を
考えていただきたいと思います。
ところで、この原発
事故の問題というのは、私は二十年前にエイズの問題を
経験いたしました。エイズ問題は、当時、血友病の血液製剤の中にエイズのビールスが入っているかもしれない、
アメリカではその知見がもう既に発表されていたんです。にもかかわらず、厚生労働省は、当時のミドリ十字という製薬会社の圧力もあって、それをとめなかったんですね。したがって、
事故が発生し、広がっていったんです。結局、このときの責任は、当時の厚生労働省の松村さんという課長が、告訴を受けて、告発を受けて、その責任をとる形になりました。
私は、今回の
事故の大きな原因になった、あるいはそれを引き起こすきっかけになったのは、
行政のミスが二つあったと思っています。
一つは、二〇〇七年に当時のIAEAが
原子力保安院を経産省から切り離すべきだという勧告をしているんです。正式な勧告ですよ。これを
日本政府は無視したんです。この当時の政府は誰だったのか、その実務を担ったのは誰だったのか。あのエイズの問題のときには、松村生物製剤課長が責任をとって辞職したんです。そのぐらいの重たいものです、このIAEA勧告を無視したというのは。
もう
一つは、何年だったか、もうちょっと前になるかもしれませんけれ
ども、
原子力安全
委員会が、UPZを設けるべきだ、三十キロのUPZが国際的には常識だ、それを
日本ではEPZという形で八キロにしかしていないという勧告をしようとしたら、当時の
保安院の院長が、寝た子を起こすなと言って、そのUPZ
議論を閉じ込めてしまったんです。
この二つの事象は、
行政の、あるいは政治の、政府の大きな責任だと思います。この二つの事象をしっかりと
日本政府あるいは政治がこなしていれば、私は、今回十六万人の人が避難するというようなことは避けられた
可能性が高いというふうに思います。
そこだけ
指摘をさせていただいて、せっかくきょうは、恐らくこの
委員会として初めて
国会の
事務総長と、それから
国会図書館の館長さんにもおいでいただきました。
余り時間がないので、
指摘だけにさせていただきます。
これは、皆さんのお手元に配付しましたけれ
ども、世界各国の主なところの国の
国会が実施をした
調査会です。今回、
国会事故調は本邦初演だったんです。本邦初演ということを黒川さんが世界各国回って話をしたら、えっ、
日本ではそういうことをやっていなかったのか、やらなかったのかと。
どんなことをやっていたかというと、
アメリカでは、先ほどのスリーマイル島
事故の話や九・一一のテロ、ハリケーン・カトリーナでの対応の大失敗、それからリーマン・ショックの金融危機、こういうときに、
国会でこれらについての解明をしているんです、政府だけにやらせるのではなくて。
イギリスでは、イラク戦争はなぜ参戦せざるを得なかったのか、参戦したのか、その結果は何だったのか、そういうようなことを
国会がみずから
調査しています。
今回は、塩崎
先生もここにおられますけれ
ども、塩崎
先生や公明党の遠藤さん、それから我が党の松井君などの、もう血の涙を流すような、そんな気持ちでやっとこさっとこつくった本邦初演でした。
いろいろな
経験があります。予算の件だとか、あるいは
調査員の確保だとか、いろいろな問題点がありました。そんな中で、
国会図書館の職員の
専門性が極めて高いということもわかりました。それから、
国会の
事務当局が、この種の
調査をつくる、そういう
経験がないからもあるんでしょうけれ
ども、そのあたりの準備をつくるのに、まだまだ
体制が整っていないのではないかという
指摘もありました。
事務総長、そのあたりのことも含めて御
意見ください。