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石原国務大臣 ただいま議題となりました二法案につきまして、その提案の理由及び
内容の概要を御
説明申し上げます。
まず、
絶滅のおそれのある
野生動植物の種の
保存に関する
法律の一部を改正する
法律案について申し上げます。
絶滅のおそれのある
野生動植物の種については、我が国に生息し、または生育する
絶滅のおそれのある
野生動植物の種を国内希少
野生動植物種に指定し、その捕獲及び譲り渡し等の
規制並びに保護増殖事業の実施等を行うとともに、国際的に種の
保存を図ることとされている
絶滅のおそれのある
野生動植物の種についても国際希少
野生動植物種に指定し、その譲り渡し等の
規制等を行うことにより、生態系及び自然
環境の重要な一部である
野生動植物の種の
保存に寄与しているところです。
また、生物多様性基本法が
平成二十年に制定され、さらに、
平成二十二年の生物多様性条約第十回締約国
会議において採択された愛知目標の中に、既知の
絶滅危惧種の
絶滅や減少が
防止されることが位置づけられるなど、生物の多様性に対する国内外の関心が極めて高まってきており、
絶滅のおそれのある
野生動植物の種の
保存を一層
推進することが求められております。
一方、希少
野生動植物種は、その希少性から高額で取引されるものが多く、違法な譲り渡し等の再犯事例も
発生しており、悪質な違法取引が後を絶たない
状況にあります。
本
法律案は、こうした
状況を踏まえ、
絶滅のおそれのある
野生動植物の種の
保存施策を一層強化するための措置を講じようとするものであります。
次に、本
法律案の主な
内容を御
説明申し上げます。
第一に、法の目的において、
絶滅のおそれのある
野生動植物の種の
保存を図ることが、良好な自然
環境の保全のみならず、生物の多様性の確保にもつながることを明らかにすることとしております。
第二に、国の責務として、
絶滅のおそれのある
野生動植物の種の
保存に関する科学的知見の充実を図ることを明記することとしております。
第三に、希少
野生動植物種の個体等に関して、販売または頒布の目的で広告することを原則として禁止することとしております。
第四に、国際希少
野生動植物種の個体等の登録に関する事務手続を改善し、個体等の区分または主な特徴等に変更が生じた場合における変更登録、登録票の書きかえ交付等の手続を新設することとしております。
第五に、国内希少
野生動植物種の保護増殖事業の円滑化を図るため、国及び地方公共団体以外の者が、
環境大臣の認定を受けた保護増殖事業として行う個体等の譲り渡し等について、
環境大臣の許可を要しないこととすることとしております。
第六に、国は、最新の科学的知見を踏まえつつ、教育活動、広報活動等を通じて、
絶滅のおそれのある
野生動植物の種の
保存に関し、
国民の理解を深めるよう努めなければならないものとすることとしております。
第七に、罰則において大幅な強化を図り、希少
野生動植物種の個体等の違法な譲り渡し等に関する罰則の上限を引き上げることとしております。
次に、
特定外来生物による
生態系等に係る
被害の
防止に関する
法律の一部を改正する
法律案について申し上げます。
我が国において、
生態系等に係る
被害を及ぼし、または及ぼすおそれがある外来生物については、
特定外来生物による
生態系等に係る
被害の
防止に関する
法律に基づき、
特定外来生物としてその輸入、飼養等を
規制し、国等による防除等を行うことにより、外来生物対策の
推進に寄与しているところであります。
また、生物多様性基本法が
平成二十年に制定され、さらに、
平成二十二年の生物多様性条約第十回締約国
会議において採択された愛知目標の中に、侵略的外来種を制御、根絶するための対策等を講じることが位置づけられるなど、生物の多様性に対する国内外の関心が極めて高まってきており、外来生物対策を一層
推進することが求められています。
一方、
特定外来生物が交雑することにより生じた生物による
生態系等に係る
被害が懸念されるなどの
状況にあります。
この
法律案は、このような
状況を踏まえ、
特定外来生物による
生態系等に係る
被害を
防止するための施策を一層強化するための措置を講じようとするものであります。
次に、この
法律案の主な
内容を御
説明申し上げます。
第一に、外来生物の定義を改正し、外来生物が交雑することにより生じた生物を外来生物に含めることとしております。
第二に、現在例外なく禁止されている
特定外来生物の放出等について、防除の
推進に資する学術研究の目的で主務
大臣の許可を受けた場合及び防除の目的で主務
大臣の確認または認定を受けた場合は例外として行えることとしております。
第三に、主務
大臣による措置命令の対象を、許可なく飼養等をしている者等に拡大するとともに、措置命令の
内容として、
特定外来生物の飼養等の中止、放出等をした
特定外来生物の回収等を新たに規定することとしております。
第四に、主務
大臣等が、防除のために、その職員に所有者等不明の土地への立ち入り等をさせる場合の手続を規定することとしております。
第五に、
特定外来生物が付着し、または混入しているおそれがある輸入品等の
検査及び
特定外来生物が付着し、また混入している輸入品等の消毒または廃棄の命令を規定することとしております。
以上、二法案の提案の理由及びその
内容の概要について御
説明申し上げました。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。