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2013-01-24 第182回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十五年一月二十四日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  一月二十四日     辞任         補欠選任      広田  一君     小見山幸治君      長谷川 岳君     石井 浩郎君      福岡 資麿君     磯崎 仁彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中谷 智司君     理 事                 岩本  司君                 小川 勝也君                 野村 哲郎君                 山田 俊男君     委 員                 一川 保夫君                 郡司  彰君                 小見山幸治君                 徳永 エリ君                 広田  一君                 松浦 大悟君                 青木 一彦君                 石井 浩郎君                 磯崎 仁彦君                 加治屋義人君                 長谷川 岳君                 福岡 資麿君                 白浜 一良君                 横山 信一君                 山田 太郎君                 平山 幸司君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        財務副大臣    小渕 優子君        農林水産大臣  江藤  拓君        農林水産大臣  加治屋義人君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       稲津  久君        農林水産大臣政        務官       長島 忠美君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       新村 和哉君        農林水産省食料        産業局長     針原 寿朗君        農林水産省生産        局長       佐藤 一雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (畜産物等価格安定等に関する件)  (畜産物価格等に関する決議の件)     ─────────────
  2. 中谷智司

    委員長中谷智司君) ただいまから農林水産委員会開会いたします。  この際、林農林水産大臣江藤農林水産大臣加治屋農林水産大臣長島農林水産大臣政務官及び稲津農林水産大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。林農林水産大臣
  3. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この度、農林水産大臣を拝命いたしました林芳正でございます。  農林水産業は国の本であり、食料生産はもとより、多面的機能の発揮といった重要な役割を担っている一方で、農業生産額の減少や担い手の高齢化など課題が山積しているというふうに認識をしております。  今月の十三日には、就任最初の出張として被災地の宮城、福島両県を訪れてまいりました。東日本大震災被災地復旧復興状況を直接視察し、また、被災された方々の生の声を聞いて改めて感じましたのは、やはり現場あっての農林水産業ということであるということであります。私自身大変農林水産が盛んである山口県の出身で、これまでも現場を大事にして政治活動をやってまいりましたが、引き続き現場重視の姿勢で農林水産行政を展開してまいりたいと、こういうふうに思っております。  また、年の瀬の組閣ということもございまして大変慌ただしい中でございましたが、年末年始返上補正予算や二十五年度予算の編成などをしてまいったところでございます。まずは防災・減災対策推進や急激な経営環境の悪化への対応などに取り組みまして、その上で農林水産業が持つ大きなポテンシャルを最大限に引き出す攻めの農林水産業を展開してまいります。  具体的には、現場のニーズが高い基盤整備施設整備予算の復活、現場の使いやすさに配慮した基金制度の導入、日本型直接支払等制度設計に向けた調査などを盛り込んだところでございます。  このような政策の実現のためには、何よりも組織が一丸となって取り組むことが重要だと考えております。両副大臣、両政務官、そして職員全員一つチームになりまして諸課題に取り組んでまいりたいと思っております。  中谷委員長を始め委員各位におかれましては、今後とも一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げます。  以上でございます。(拍手
  4. 中谷智司

  5. 江藤拓

    ○副大臣江藤拓君) 皆様、大変またお世話になります。この度、農林水産大臣を拝命いたしました江藤拓でございます。  大臣をしっかり補佐させていただきたいと思います。加治屋大臣、それから稲津政務官長島政務官とともに、チームとしてこれからの農政の組立てについて努力してまいります。  委員長を始め委員皆様方におかれましては、厳しい御指導、そしてその中にも温かい御指導を賜りますようによろしくお願いいたします。  ありがとうございました。(拍手
  6. 中谷智司

  7. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 副大臣を拝命をさせていただきました加治屋でございます。  林大臣が申し上げましたとおり、我々一丸となって、一つになって、チームとなって進めてまいりたいと、このように決意をさせていただいております。  中谷委員長さんを始め委員先生方の良き御指導、御支援お願い申し上げます。  ありがとうございます。(拍手
  8. 中谷智司

  9. 長島忠美

    大臣政務官長島忠美君) 皆さん、こんにちは。農林大臣政務官を拝命いたしました長島忠美でございます。  林大臣の下、チーム一丸となって農林水産業の発展のために尽力をしてまいりたいと思います。  現場目線ということでございますので、一生懸命頑張ってまいりますから、是非委員長始め委員皆さんの御指導、御鞭撻をよろしくお願いを申し上げます。(拍手
  10. 中谷智司

  11. 稲津久

    大臣政務官稲津久君) この度、農林水産大臣政務官を拝命いたしました稲津久でございます。  林大臣江藤大臣加治屋大臣、そして長島政務官とともに農林水産行政推進のために誠心誠意努力をしてまいる所存でございます。  委員長を始め各委員皆様方の御指導を賜りますことをよろしくお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  12. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医薬食品局食品安全部長新村和哉君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  14. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 農林水産に関する調査のうち、畜産物等価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 小川勝也

    小川勝也君 民主党新緑風会小川勝也でございます。個人的なことでありますけれども、質問のマイクを握らせていただくのは大変久しぶりになろうかと思っています。  新しい内閣が誕生して、いわゆる民主党政権の座から降りまして政権交代実現をいたしました。国会が召集されて後、総理大臣からいろんな話をお伺いをして論戦がスタートするわけでありますけれども、今日の農林水産委員会は今委員長から御指摘がありました畜産物価格の閉会中審査ということで、他委員会に先駆けて論戦をスタートさせていただくことになりました。  畜産物価格ということでありますけれども、酪農王国北海道から後に徳永議員が代表してしっかりと質疑をさせていただきたいというふうに思っています。私の方からは、この畜産物価格にかかわらず、この農林水産委員会あるいは農林水産行政大変関心を持っておられる農家方々の一番のいわゆる関心事について、林大臣に若干お伺いをしたいというふうに思っています。  まずは、林大臣、おめでとうございます。農林水産についても大変明るい、農林水産省の役所の方にお伺いしましても、大変のみ込みの早いすばらしい大臣だと、こういうことでございますが、また林大臣は、経済財政を含めた国際的な問題、オールマイティーとして、参議院を代表するというよりも、総裁選にも出馬された日本を代表するすばらしい政治家と存じ上げておりますので、大変期待をしておるところでございます。  実は、農林水産大臣の仕事というのは大変だなというふうに思ったのは、前任の、同僚であります郡司大臣を見ていてであります。やはり農業者が注視をしているけれども内閣の一員であると、こういう二足のわらじでありますので、言いたいこともなかなか言えない、そんな状況もあったんではないかというふうに思っています。  まさに今日の、農林水産委員であれば大体目を通しているかもしれないと思うんですが、日本農業新聞、TPP推進農地規制緩和民間議員が提起次々、これは産業競争力会議の初会合記事であります。日本経済再生本部の下に設置された会議で、次々とこういう意見が出されておるようであります。大変難しい問題かと思っています。  私自身は、日本食料自給率を高めていきたい、農地をしっかり守っていきたい、そして、ふるさと北海道を意識しているわけでありますが、農家戸数を減らしたくない、そして農山漁村地域が元気なまま医療や介護にアクセスできる、買物や金融にもアクセスできる、そんなふるさとであり続ける、そんなことを目指して政治家をやらせていただいているところであります。  しかし、経済というのはいろんな課題があるわけでありまして、私自身思いが全て正しいというふうに言い切れないかもしれません。林大臣も様々なマスコミからいろんなインタビューを受けておられるかと思いますが、BS朝日、これもいろいろ物議を醸したところであります。TPP貸切りバスであり日本が入らないとバスは出ない、そしてもう一点は、参議院選挙前までは勘弁してほしいと、こういう言い回しであります。普通の人が聞くと、参議院選挙までは交渉参加入りするともしないとも言わないで、参議院選挙が終わって参議院の議席を与党でしっかり確保できたら条件を付けて交渉参加入りするのではないかと、このように林大臣はしっかり認識しておられてこの発言をしたのだと考えざるを得ないわけであります。  真意の一端をお伺いをしたいと思います。
  16. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  小川議員におかれましては、実は私は参議院当選同期でございまして、最初に当選したときはもう少し人数もお互いたくさんいたんですが、だんだん残り少ない、絶滅危惧種というわけではございませんが、大変長い間御指導いただいた仲でございます。冒頭で小川委員の御質問をいただくと、感慨深いものがございますが。  今、最初に御質問の中で、郡司大臣、前大臣のことにもお触れをいただきました。丁寧な引継ぎをさせていただきまして、しっかりと郡司大臣時代にやっていたことを継承すべきは継承していきたいと、こういうふうに思っておるところでございますが、なかなか言いたいことが言えないというのは、私もこれで閣僚は三度目でございますが、大分慣れているつもりではございますけれども、やはりまたこういう立場になったんだなというふうに改めて思っておったところでございます。  今お話のありましたBS朝日で、報道がその後出たんでございますが、実際に私が番組の中で申し上げたことは、ルース大使がいらっしゃったときに、参議院選挙の仕組み、一人区が今度増えます、三十一になるとか、それから残りが複数区であるとか、そういうことを御説明をしたくだりがございました。  番組でも申し上げたんですが、外交上のエチケットといいますか、ルールとして、こちらが相手に申し上げたことは申し上げるんですが、その場で相手がこちらに申し上げたことは基本的には申し上げないと、こういうようなことを申し上げた上で、司会者の方が向こうが理解できたのかと聞かれたんで、参議院選挙の仕組みをルース大使が御存じないと言うわけにもいきませんので、それは知っておられましたと、こういうことを申し上げたら、それを、制度の理解ということではなくて、参議院選挙後にまともに発表して間に合うんだという自信を持たれたわけだと、こう返されたものですから、そこは、いやいや、そんなことはありませんよ、制度は知っていると言ったんですと否定をしておきました。  したがって、TPPについては、私自身野党時代にまとめた文書公約にしてございますが、そこにありますように、聖域なき関税撤廃、これを前提とする限り交渉参加反対ということを党でまとめ、それを政権公約にいたしてまいりましたので、この考え方を基本としてやってまいりたいと思っておるところでございます。
  17. 小川勝也

    小川勝也君 自民党内でも多分同じ空気が流れて、多分、この隣に記事があります、入会二百人を超すTPP参加撤回を求める会と。これ、危機がなければみんな集まらないんですね。  私たち衆議院同志をたくさん失いました。野田総理TPPに前向きだという、そういう流布の中で多くの同志を失ったわけであります。そんな中で私たちは、参議院選挙を待って、参議院選挙の後、交渉参加入りをするというようなペテンを絶対に許したくない。そんな思いを強くして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  18. 徳永エリ

    徳永エリ君 皆様お疲れさまでございます。民主党新緑風会徳永エリでございます。  年が明けて初めての農林水産委員会でございますので、委員皆様にはまずは御挨拶を申し上げたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いいたします。  そして、政権が替わりました。林農林水産大臣加治屋農林水産大臣、そして稲津農林水産大臣政務官におかれましては、御就任誠におめでとうございます。これからも真摯な議論をしっかりとしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  さて、明日開かれます畜産部会酪農畜産価格が決定しますので関連の質問をさせていただきたいと思いますが、その前に幾つか、今、小川委員からもお話がありましたけれども、お伺いしたいことがあります。  昨日、政府産業競争力会議の初会合が開かれました。農業成長戦略になり得るとして、大規模化規制緩和、それから法人経営による競争力の強化、支援対象の選択と集中、またTPPを含めた経済連携重要性に対する強い発言参加を求める意見が相次いだということでございますけれども、私、この会議メンバーに非常に問題があると思うんです。  この民間議員メンバー、そうそうたる大企業の経営者の方と、それとあの竹中平蔵さんであられます。小泉改造内閣のころの規制緩和とそれと競争、あの悪夢のような時代をほうふつとさせるようなところがあると思うんですが、現場農業のことをよく分からない方が一方的な議論を展開するというのは非常に良くないと私は思うんですけれども、(発言する者あり)大臣はこの点についてはどのようにお考えになられますでしょうか、お聞かせください。
  19. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 私からも、開会前の初めての委員会でございますので、新年の御挨拶を申し上げたいと思います。健やかなお年をお迎えいただきたいと思います。  今お話がありまして、質問の途中で与党の席からもそうだという声も飛んでおったようでございますが、いろんな議論をやることは私はどんどんやったらいいと、こういうふうに思いますけれども、どなたがどういう立場でどこでおっしゃっているかということをきちっと踏まえながら、最終的にまとめていくときにはきちっとしたまとめをしなければならないと思っております。  先ほど小川委員にもお答えしました、我々の野党時代、これはもう三月九日なので十か月ぐらい前なんでございますが、これをまとめますときも、今御指摘のあったような推進側の御意見、我が党内にもございました。  そして、慎重な御意見も多々あったわけでございまして、そういうかんかんがくがく、建設的な議論を経てこのTPPについての考え方というものを、これは自民党の中の話で恐縮ですが、政務調査会の中の経済連携調査会TPP検討小委員会というところで、私が小委員長でございましたが、まとめさせていただいたということでございますので、その途中でいろんな方がいろんな意見をおっしゃることに一々あの人はどうだと言うつもりはございませんが、やっぱり最終的に結論を出すときはきちっとしたものをやる必要がありますし、私が入ってそこにまとめるというようなところの段階になれば、冒頭申し上げましたように、現場、すなわち現場で本当に御苦労されておられる農家皆さん立場というのを踏まえてきちっとした対応をしてまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  20. 徳永エリ

    徳永エリ君 この産業競争力会議メンバー閣議で決定されたということでございますので、このメンバーの中に農林水産業に詳しい方に入っていただくということは可能なのではないかと思うんですけれども、是非農林水産業に詳しい方、あるいはその関係者方々メンバーに加えていただくように大臣から総理に御進言をいただきたいと思いますが、この点に関してはいかがでしょうか。
  21. 林芳正

    国務大臣林芳正君) メンバー自体人選自体閣議で行われたかどうか、ちょっと今手元に資料がございませんので確認をしておきますが、そういうことがもしできれば、しっかりとやってまいりたいと思っております。
  22. 徳永エリ

    徳永エリ君 競争ということになりますと、農林水産業は強い方たちばかりではなくて本当に家族経営の小規模な弱い立場方々もたくさんおられますので、競争規制緩和の中でこの弱い立場方々が切り捨てられるというようなことがないようにしっかりと対応していただきたいと思います。  それから、小川委員からも質問がありましたけれども、TPPに関しましても、私は超党派のTPPを慎重に考え国民会議メンバーでございますので、何としてでも交渉参加阻止という立場でございますので質問させていただきますけれども、私の地元の北海道は、道庁の試算によりますと、以前も申し上げたんですが、農業産出額が五千五百六十三億円減少します。それから、食料自給率が二〇〇%から六四%に、農家戸数は半減し、約十七万人が職を失うと言われています。そして、七割の市町村の地域経済が崩壊するとも言われているんです。影響額の合計は二兆一千二百五十四億円ということで、それでなくても地方の町は大変なんです。  もうますます疲弊していくということが懸念されますけれども、TPPのことが今後どうなるのか不安で、例えば酪農畜産関係者の方も、規模を拡大しようと思ってもなかなか積極的な投資ができないと投資にちゅうちょしているんですね。例えば酪農フリーストールの牛舎を造るんでも、何千万から一億という借金をしなければいけないということで、TPP参加したら果たしてその借金を返していけるのかどうか、あるいは農業自体続けていけるのかどうかということで、そういう不安が先立ってチャレンジができないということが現場では起きているんです。いっそ、もしTPP交渉参加ということになったら、もうその機会に農業をやめてしまおうと思っているという方もいるんですね。何とか離農を止めなければいけないという状況の中で、離農を促進するような、進めてしまうようなTPP交渉参加というのは絶対にやめていただきたいと思うんですけれども。  林大臣は、先ほどもお話がありましたけれども、自民党の中でTPPに対する党の考え方、文言をTPP検討小委員長として取りまとめた役割をしておられたと聞いておりますけれども、聖域なき関税撤廃前提とする限りTPP交渉参加には反対ということですが、これまで私たちがずっと情報を得てきたところは、この聖域なき関税撤廃ということはTPPに関してはあり得ないと。例外なき関税撤廃。例えば少し関税を下げたとしても、段階的にどんどん下げていって最終的にはゼロにするというのがTPPの目標であるということですので、例外なき関税撤廃ということを主張なさるのでしたら、交渉参加には反対というか、できないということになるのではないかと思うんですが、その辺りはいかがでしょうか。
  23. 林芳正

    国務大臣林芳正君) あの文書を素直に読めば、これが前提である限り交渉参加そのもの反対するということでございますので、委員が御指摘のとおりではないかというふうに思っておりますが、したがって、その基になる情報ですとか交渉の手前の協議状況等々をよく把握をするということが非常に大事ではないかと、こういうふうに思っておりますのと、それからもう一つは、今北海道お話がございました。  午前中の衆議院の審議でも、農林水は当然でございますが、加工業もこの農林水産物を加工していらっしゃる方が大宗を占めるということで、そちらの影響も非常に大きいというようなことも御指摘もあったところでございますが、そういった影響がどういうふうになるのかという試算、これは民主党政権におかれてもやっておられたわけでございますが、これは農水省、それから経産省、内閣府はモデルのようなものを使ってやっておられたようでございますので、これをなるべく統一的なものにして、そして前提も、それぞれの立場から見ると前提の置き方がいかがなものかという御議論もあったようでございますので、できれば前提複数置いた上で、きちっとした客観的なデータに基づいてもう少し冷静な議論をするということが必要なんではないかなというふうにも思っておりますので、まずはそういうことをきちっとやっていくということに注力をしてまいりたいと思っております。
  24. 徳永エリ

    徳永エリ君 大臣、改めて試算をなさるということですけれども、これ大体いつごろぐらいまでに試算をし直して、そして、その結果は国民的な議論をしていこうというお考えはございますでしょうか。
  25. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに今委員がおっしゃっていただきましたように、試算をきちっと出して国民的な議論、そして、まさにこの農林水産委員会での御議論というのが大変大事になってくると思いますけれども、そのための試算であるというふうに思います。したがって、なるべく客観的かつ、これは衆議院でも御指摘をいただいたんですが、複数前提で、例えば百の前提を置いて、試算だけで何か二百ページぐらいになってしまうと、これではなかなかいけませんので、一方で分かりやすい試算というものも心掛けていくべきだという御指摘もいただきました。  したがって、そういうことを踏まえながらすり合わせをして前提を統一するということも必要になってまいりますので、我が省だけの作業にとどまるということでもないと思いますので、まだいつごろまでにというのはなかなか言えない状況でございますが、なるべく早く作ってまいりたいと思っております。
  26. 徳永エリ

    徳永エリ君 なるべく早く試算をしていただいて、果たして国益に資するのかどうかという判断をして、農業関係者現場で働く方々を一日も早くほっとさせてあげたいという思いがありますので、よろしくお願いしたいと思います。  江藤大臣林大臣TPP国益に沿わないことを論理的に明白にしてもらうとおっしゃっているそうでございますので、ここも併せて期待したいと思いますが、昨年の総選挙で、北海道では自民党の議員の皆さんTPP交渉には断固反対、公明党の皆さんもそうですけれども、場合によっては身を張って阻止するというふうにおっしゃっておられましたし、今、一次産業だけではなくてその関連産業にも大きな影響があるということで、北海道はオール北海道で、経済界も労働界もみんな反対しておりますので、(発言する者あり)はい、ありがとうございます、党を超えて、ここにいる北海道選出の、少なくとも北海道の国会議員はみんな反対だということを伝えておきますので、大臣よろしくお願いしたいと思います。  そしてもう一つ、牛肉の輸入が二月の一日から緩和される方針が決まりました。これまでにこの牛肉に関しては、TPP交渉参加をアメリカが認める入場料として自動車とかんぽと牛肉と、この規制緩和が求められているということでしたが、それに政府がこたえたのではないか、入場料を払おうとしているのではないかと、そういう懸念の声も聞こえておりますけれども、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  27. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 牛肉については、野田当時の総理がオバマ大統領とたしかお会いになったときに関心事項だというふうな話題になったということを私も聞いてございまして、そういうことで民主党政権下におかれていろんな検討をしてこられたんではないかというふうにも思っておりますが、そういうTPPについての入場料という位置付けではなくて、あくまでこれはそういう関心事項があるんだというお話合いの中でそういうものが出てきたということでございますし、我々といたしましては、いずれにしても食品安全の基準というもの、そしてそれを戻すための手続というものがございますので、それに基づいて粛々とやっていくということで、二十八日だったと思いますが、厚労省の方ではその審議会が行われるというふうに聞いておるところでございます。
  28. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。  TPPの問題からちょっと外れまして食の安全、安心という部分なんですけれども、輸入を認める牛の月齢を二十か月齢以下から三十か月齢以下に、検査の月齢も三十か月超に引き上げる。そして、病原体がたまりやすい特定部位のうち、頭部、脊柱、脊髄を取り除く月齢を全月齢から三十か月超に限定する。そして、国内対策も検査対象を三十か月齢超に引き上げる。国産の特定部位の規制緩和する。そして、現在輸入が認められていないフランスやオランダからも同じ基準で輸入を認めるということなので、食の安全が確保されるのか大変に心配なところです。  そして、アメリカは大牧場で放牧されているわけですから、牛がいつ生まれたのかもよく分からない、月齢の確認は歯列でしているというような話もありまして、それから、日本とEUは禁止していますけれども、アメリカは豚と鳥に対しては牛とそれから三十か月齢未満の牛のSRMから製造された肉骨粉を飼料として与えることを認めているんですね。飼料工場でのラインが厳格に区別されていないんで、牛の飼料に混ざるんじゃないかということを非常に心配されております。  それから、屠畜して食用として供給する牛には、日本は検査していますけれども、アメリカは検査をしていないということも心配されています。それから、過去に衛生証明書に記載のない部位の肉が混載されたなどの違反が数多くありました。去年の十二月にも脊柱が混載された肉が日本向けに輸出された事例が見付かっています。さらに、成長を促進するために日本では使ってはいけない成長ホルモンを使ったりもしているわけですね。  こういった点から、本当にこの食の安全と安心、それから国民の健康が脅かされることになるんではないかということが大変に懸念されるんですね。  このアメリカ、カナダ、フランス、オランダは、OIEのステータスでは管理されたリスクの国というふうになっています。その貿易条件を今後違反させないための措置、あるいは万が一違反があったときにそれに対してどう対応するのかということを御説明いただきたいと思います。
  29. 新村和哉

    政府参考人新村和哉君) お答え申し上げます。  BSE対策の見直しについてでございますが、対策開始から十年以上が経過いたしまして、国内外のリスクが低下したということで国内措置及び輸入措置の双方について見直しを行うものでございます。米国を始め諸外国と協議をしてまいりましたけれども、例えば米国内におきましては特定危険部位、SRMの管理や他国への輸出管理の観点から三十か月齢を基準とした分別が従来より行われているということを米国との輸入条件の協議や現地調査を通じて確認しておりまして、新たな輸入条件に対応可能と考えております。  厚生労働省といたしましては、引き続き米国における遵守状況の検証のために、当面、現行の輸入時検査体制を継続することとしておりますし、併せて定期的な現地調査を行うこととしております。  なお、歯列について御指摘がございましたけれども、歯列での月齢確認につきましては米国やカナダのほか、トレーサビリティー制度を導入するまでは欧州においても採用されておりまして、国際的にも広く認められた方法でございます。米国では日本と異なりまして牛は自然交配のため春と秋生まれが多いということでございまして、米国政府説明によれば肥育牛の出荷は二十か月齢前後であるということでございますので、歯列での月齢確認を用いても三十か月齢を超える牛が三十か月齢以下とされる可能性は極めて低いと考えております。  また、輸入条件に適合しない米国産牛肉が発見された場合は、引き続き米国政府から原因調査及び再発防止措置の報告を受けるまでの間、当該施設からの輸入手続を停止し、再開後も一定期間輸入時検査を強化するなどの措置をとることとしております。  引き続き輸入牛肉の安全性が十分確保されるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  30. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。  二十二日に政府説明会を行ったと思いますが、その説明会の場でも説明が分かりづらいとか納得がいかないというような声が多数上がったと聞いております。これからもきちんと分かりやすく説明をして国民の皆さんに理解していただかないと混乱すると思うんですね。ですから、そういったリスクコミュニケーションの点からも、きちんと納得できるような説明、分かりやすい説明というのを継続していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  31. 新村和哉

    政府参考人新村和哉君) 一月二十二日に東京で説明会を行いましたし、本日二十四日には大阪で国民への説明会を行うこととしております。また、国内措置、輸入措置双方につきましてはパブリックコメントもしておりますので、その結果も十分受け止めまして対応考えていくこととしております。  大臣からお話がございましたように、二十八日、来週の月曜日に薬事・食品衛生審議会での御議論お願いしておりまして、そこで了承が得られれば二月一日から輸入条件の見直しを行うということにしておりますが、それ以降も国民への説明会の機会を設けることとしておりますので、引き続き十分な情報提供、リスクコミュニケーションを図ってまいりたいと考えております。
  32. 徳永エリ

    徳永エリ君 よろしくお願いしたいと思います。  また、輸入が規制緩和されるということになりますとアメリカからの牛肉がたくさん入ってくることになりますし、それから、今度はフランスとオランダということになりますと国産牛への影響が非常に心配されるんですね。特に、F1とかホルスタインに対する影響というのが現場では相当懸念されているようですけれども。まあ肉質が余りよくないとか、アメリカ産が、今までオーストラリア産だったのがそれが入れ替わるだけで国産牛は余り変わっていないとか、農水省さんからそういう説明を受けるんですけれども、今まではそうでもこれからどうなるかは分からないわけですね。消費者の方がそうであっても、例えば外食産業の方々とか、それから加工業の方は安ければ安いほどいいわけです。分からないんです、加工してしまえばどこのものなのか。ということもありますので、しっかりと見ていかなければいけないと思いますけれども。  この国産牛への影響というのは、改めて伺いますが、どのようにお考えになっておられますでしょうか。
  33. 稲津久

    大臣政務官稲津久君) お答えいたします。  輸入緩和による国産牛への影響をどのように考えるかという御質問でございますけれども、特に米国産の牛肉の輸入条件を緩和された場合に、当然この米国産の牛肉の調達が容易になるのではないかと、こういうことが考えられますことから、国産だけでは供給が不足している例えばタンですとかサガリですとか、こういった輸入が増加する。それから、豪州産の、オーストラリア産の牛肉が今度はこの米国産の牛肉に置き換わっていく、そういうことが進むだろうと。したがって、基本的には米国産牛肉の輸入停止前の状況に戻る、そういう動向が見られるようになるのではないかと、このように考えているところでございます。  一方で、米国の干ばつ等による飼料価格の高騰というのが今後この米国産牛肉の生産、価格動向に影響を及ぼすということが考えられますことから、またさらに、為替の動向とか我が国における牛肉の消費の状況、それから消費者の米国産牛肉に対する信頼度など、この米国産牛肉の輸入動向には御懸念も含めて様々な要因があると、このように思われます。今後、この米国産牛肉の輸入動向と国産の牛肉生産の影響を注視していく必要があると、このように思うところでございます。  いずれにしても、この輸入条件の緩和によりまして牛肉の価格や子牛の価格が低下するような場合には、既に設置をしております肥育牛に対する新マル緊対策ですとか子牛に対する生産者補給金等によりまして肉用牛経営の安定に努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  34. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。  ちょっと、もしかしたら認識が違うかもしれませんけれども、私はちょっとSBS米のことを思ったんですね。日本のお米はとてもおいしいので外国のお米が入ってきても大丈夫だろうと。ところが、去年西友さんで中国産のお米を売ったら、安いし思ったよりもおいしいということで完売したということがありましたし、今年に入ってからもオーストラリア産のお米を売っていて好評だということも聞いております。非常に国内、経済的にも厳しいですし、消費税が上がるということもありますので、肉質が悪くてももしかしたら安い方がいいというふうに消費者は動くかもしれませんので、ここはしっかりと注視していかないと生産者に大きな影響が出るのではないかと懸念されますので、どうぞよろしくお願いいたします。  さて、それでは酪農畜産価格についてお伺いをいたします。  明日、平成二十五年度の加工原料乳の補給金単価や限度数量、そして肉用子牛の保証基準価格等が決まるということでございますが、私の地元北海道は、平成二十三年度の農業産出額一兆百三十七億円のうち畜産は五千二百二十三億円で全体の五一・五%を占めています。そして、畜産のうち乳用牛は三千六百三十八億円で、本道の農業産出額全体の三五・九%、そして生乳が三千六十八億円で三〇・三%を占めています。今、北海道のお米は全国一の生産を誇っているわけですけれども、この米を超えて作目別では生乳が第一位となっているんです。生産量は全国の約半分、三百八十七万六千トンの八四%が加工向けとなっていますので、酪農畜産価格は、生産者の意欲とか、それから維持向上させるためにも、酪農経営の安定や生産基盤の確保のためにも現行水準以上でお願いしたいということです。  北海道自民党の議員さんと先日お話をしましたら、民主党政権時代は銭でしか上げられなかったけれども自民党になったら円で上げるよという大変に心強い声を聞いていたんですが、今日お聞きしたらううんとうなっておられましたが、そこを何とかお願いしたいと思うんですが。  まずは加工原料乳の補給金単価でございます。  二十四年度は、ぬれ子の販売価格が低下したこと、それから飼料コストが上昇したこと、光熱水料、動力費が上昇したことなど、生産コストの変動率を乗じた算定によって前年度比で二十五銭プラスさせていただきました。十二円二十銭でした。今年は、ぬれ子価格が上がったものの、配合飼料価格の高止まり、それから原油価格の上昇に伴う光熱動力費の更なる上昇、そしてアベノミクスによる今後の円安の影響等も補給金単価の上げ要因としてしっかりと織り込んでいただいて、生産コストの増加要因が適切に反映されることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
  35. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) ただいま徳永先生のお尋ねでございますが、加工原料乳の補給金単価の決定に当たりましては、これにつきましては加工原料乳生産者補給金等暫定措置法という法律に基づきまして、一定の算定ルールにのっとりまして、先ほどからお話ございます配合飼料価格等の生産コストの変化を適切に反映させて算定しまして、食料・農業・農村政策審議会、この意見を聞いて適切に決定していきたいと、このように考えているところでございます。
  36. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。  先ほどお話しいたしました自民党の議員さんの話を地元の方が来られると私はしておりまして、期待してくださいと言ってまいりましたので、何とか銭ではなくて円で上げていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  さて、二十三年は東日本大震災影響で、北海道で搾られた生乳は飲用向けとして本州に回ったので、限度数量百八十五万トンを大幅に下回る二十一万トン減となりましたけれども、一方で低水準となっていたバター在庫の回復が喫緊の課題であったということで、酪農家方々に増産を促すようにということで、百八十五万トンから百八十三万トンへと僅か二万トン減ということでした。その結果、二十四年度の四月—十一月期の生乳生産量は全国でプラス二%、北海道ではプラス一・五%ということになりました。やはり限度数量は積極的に設定しますと増産を促すシグナルというふうになってまいりますので、酪農家方々の経営の安定や牛乳、乳製品の安定供給を確保するためにも、現下の経済状況を反映した補給金単価の引上げ、それだけでは駄目なんですね、積極的な限度数量の設定をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  37. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) ただいまの徳永先生の御質問でございますが、この加工原料乳の限度数量の関係につきまして二十四年度の酪農情勢を見てみますと、生産者が増産に取り組んでいただいたために、生乳生産量、これ全国でたしか二%ぐらい対前年同期比で増えているかと思っておりますが、加工原料乳につきましては、これは本年度の限度数量百八十三万トンをかなり下回るような、このような、百七十三万トン程度のような見込みになるというふうに聞いておるところでございます。  この二十五年度の限度数量につきましては、やはり二十五年度に見込まれる脱脂粉乳やバター等の需要というものをしっかり踏まえまして、また審議会の意見を聞いた上で適切に決定していく必要があるというふうに考えているところでございます。
  38. 徳永エリ

    徳永エリ君 よろしくお願いいたします。  この加工原料乳生産者補給金制度なんですけれども、生乳生産が全国の約半分を占めながら、東京などの大消費地から距離が遠いということもありまして、大部分を北海道では加工用に回さざるを得ないんですね。そういった北海道の酪農家方々にとっては本当になくてはならない制度なんです。本州の酪農生産者の方々と一頭当たりの生産費に差があるわけでもありませんし、北海道は冬とか雪とか厳しい気象条件の中で大変に苦労して牛を育てて、手塩に掛けて育てて、そして搾った生乳なんですね。ですから、やはり一番単価の高い飲用向けに回したいというのが本音でございましたけれども、今御説明したような事情でどうしても加工向けに回ってしまうということでございます。総合乳価やプール乳価という考え方もありますけれども、むしろこの補給金単価を手厚くしていただいて、分かりやすいシンプルな制度にしていくという考え方もあるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  39. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 徳永先生の算定方式の御質問でございますが、実はこの加工原料乳の単価の決定に当たりましては、毎年冬場にかけまして、一月から三月にかけまして、相当な議論をしてこれまで単価を決定してきた経緯がございます。  その中で、十何年前になりますが、北海道皆さんの方から、この単価というものが非常に変動するというようなこともあって、やはり経営の一定の目安にするためには、一定の目安となる安定的な単価の設定というものが必要じゃないかといったような意見があったところでございます。  こうしたことを踏まえまして、この不足払い法といったものが、これが平成十二年に改正したところでございますが、その前年に、生産者や乳業者あるいは学識経験者で構成されます委員会におきまして、何年かにわたりましていろんな議論を経まして、審議会で今の決定方式といいますか、この算定方式といったものが導入したところでございます。  この方式につきましては、今日は資料がないんで何とも申し上げられないんですが、非常に確かに複雑なところはあるのは事実でございますが、ただ、この算定式の基本的な考え方を申しますと、前年度の補給金単価に生産費の変動率を、これを掛けて当該年度の補給金単価を求めるというものでございまして、審議会におきましては、算定要素というものを公表しまして透明性あるいは客観性といったものを確保いたしまして、この当該算定方式を適切に運用してきたところでございまして、いろんな意見はあるかと思いますが、こうした事情についても十分御理解いただければというふうに考えているところでございます。
  40. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。  生産費の変動とおっしゃいましたけれども、為替の変動とか円安の問題もいろいろありますのでどうなるか本当に分からないという状況の中で、今回、期中改定というような話もちらちらと聞こえてきておりますけれども、明日決まってもその生産費の変動の状況によって期中改定ということもあるというふうに考えてもよろしいでしょうか。
  41. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 加工原料乳不足払い法におきましては、経済情勢が著しく変動した場合には、今先生御指摘のような単価の改定を行うことができるという規定の旨がございまして、たしか平成二十年に期中改定といったことをやった経験がございます。
  42. 徳永エリ

    徳永エリ君 これからの状況を見て、是非生産者にとっていい形になるように、よろしくお願いしたいと思います。  そして、肉用子牛の乳用種の保証基準価格ですが、平成三年の牛肉の自由化の影響緩和するために、輸入の自由化前の農家販売価格の水準を維持して子牛の再生産を保証する市場取引価格を輸入自由化前の農家の販売価格を基にその後の経済情勢を加味して品種ごとに算出しているということでございますが、二十四年度は十一万六千円でありました。敷料とか光熱水料、動力費の上昇が上げ要因で、農機具費、ぬれ子価格の低下が下げ要因として上げ下げが拮抗しまして、昨年は据置きということになったわけですが、今年はどのように算定するのでしょうか、合理化目標の価格の算定についても併せてお答えいただきたいと思います。
  43. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 肉用子牛の保証基準価格の問題でございますが、この価格につきましては、肉用子牛の価格が今度決めます保証基準価格を下回った場合に生産者にその不足した部分について補給金を交付すると、こういったものでございまして、肉用子牛生産の安定を図るものでございます。  また、今、先生の方からお話ございました合理化目標価格でございますが、これは競争力のある国産牛肉を実現しようということで、肥育に必要な合理的な費用を勘案しまして、目指すべき子牛の市場取引価格として設定するものであると、国際競争力といったものを念頭に置いたものでございまして、こうした保証基準価格あるいは合理化目標価格につきましては、生産費や需給事情、その他の経済事情を考慮しつつ、これも一定のルールといいますか方式がございますので、これに基づきまして算定して、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いた上で適切に決定してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  44. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。  二十四年の第二・四半期の乳用種の平均売買価格は九万一千九百円。二万四千百円の補給金が交付されていますけれども、生産コストが上がっていく中で育成農家の経営状態は大変に厳しい状態なんですね。保証基準価格を、所得確保の観点からも肉用子牛の再生産が可能な水準で設定していただきたいということを重ねてお願いをしてまいりたいと思います。  それから、平成十六年から十七年にかけて、ぬれ子導入価格を下げるためのインセンティブが働かず、ぬれ子の価格が子牛の価格を上回るという逆転現象が発生したときに、乳用種だけ二万円近く下げたということがあったんですけれども、現下の状況においては保証基準価格をぐっと上げるべきではないかというふうに考えるんですが、このことも御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  45. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 先ほど申し上げましたように、保証基準価格につきましては、算定方式にのっとりまして生産費等を勘案しまして、先ほど申し上げたとおり適切に決定してまいりたいというふうに考えているところでございます。  ちなみに、先生今お話ありました乳用種につきまして二万円下げたという経緯がございまして、あのときの原因といたしましては、当時の算定方式が規模拡大、乳雄肥育の規模拡大といった問題につきまして算定方式ではそうした要素がなかなか考慮されていなかったということがございましたものですから、なかなかこの価格といったものが、たしか当時十三万円か何かだと思ったわけなんですが、先生おっしゃったように、必ず国が補填するといったようなことから子牛の原料となるぬれ子の方が高くなって子牛がぬれ子よりも下がるといったようなモラルハザードの問題がございまして、こうしたことからその算定方式につきまして見直したと、こういう経緯ございますので、こういう経緯についても何とぞ御理解賜れればというふうに思っております。
  46. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。  それから、多分おととしかな、横山先生からもお話がありましたし、去年は私からもお話しさせていただきましたけれども、政権が替わりましたので名称はどうなるか分かりませんけれども、酪農、畜産の戸別所得補償制度、これは一体どうなるんだということが現場から声が上がっているわけでございますけれども、政権が替わりましてこの点に関してどうお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  47. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 今、徳永先生御質問のいわゆる経営安定対策でございます、いわゆる新マル緊でありますとか養豚の経営安定対策でございますが、これらにつきましては、生産コストに対しまして収益、収入との不足部分を一定割合まで補うと、こういう基本的な考え方の下に各畜種の特性に応じた対策を実施してきているところでございます。  こうした中、二十五年度におきましては、以上のようなこれまで講じてきております対策というものをやはり現場に混乱ないように引き続き安定的に実施すると、こういったような考え方の下に、平成二十五年度の当初予算におきましても所要額として前年と同額の一千七百四十億円を、これを要求させていただいているところでございます。  畜産、酪農の経営安定につきましては、やはり慣れ親しんでいらっしゃるという、そういう生産現場の実態というのもございますので、やはり生産現場皆さん方の意見というものを十分に聞いて、そして将来にわたって生産者の経営継続が図られるよう、畜産、酪農を取り巻く情勢の変化というものを十分に分析しまして、中長期的な検討課題として整理していきたいというふうに考えているところでございます。
  48. 徳永エリ

    徳永エリ君 よろしくお願いいたします。  さて、その負担の大きな生産コストの問題なんですけれども、酪農経営における飼料費の割合が四六%ということなんですね。生産コストを軽減しなければならないということで、そこで、高騰が続く配合飼料について伺っていきたいと思います。  配合飼料価格、主にトウモロコシの国際価格が、昨年六月以降の米国主産地での記録的な干ばつ、それから新興国での穀物需要が伸びていることなどから高値で推移しています。また、世界の穀物消費量は、人口の増加や所得の向上に伴う肉類の消費増加も大きく影響しているということなんですが、この新興国との穀物の争奪戦というのはこれからどんどんと激化していくと思うんですね。農林水産省によりますと、今年一月から三月期の配合飼料の生産者実質負担額は一トン平均五万八千九百五十円で、ピーク時の平成二十年十月から十二月期に次ぐ水準ということであります。十二月以降は大幅な円安も進行しておりまして、生産者はますます負担が増えるんではないかということを大変に心配しておられます。  配合飼料価格安定制度は、配合飼料価格の上昇が畜産経営に及ぼす影響緩和するために、生産者と配合飼料メーカーの積立てによる通常補填と、それから異常な価格高騰時に通常補填を補完する異常補填の二段階の仕組みになっているわけですけれども、通常補填が、その基金が枯渇しているために、異常補填基金に百四十八億円を積み増しした異常補填基金の残高約三百四十億円から無利子で今貸し付けているという状況になっています。この今後の見通しと、それから、制度どおりに補填するための対策といいますか、今後どうしていくのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  49. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 飼料問題につきましては、今日委員先生方から何人かの通告をいただいておりますので、少し経過、現状についてお話をしたいと思います。  二十四年度十月以降、飼料価格が大幅に上昇をしたことから、生産者に対する満額補填を可能とするために、二十四年度の対応として、異常補填基金について発動基準の引下げ、通常補填基金への無利子貸付け、予備費による百四十八億円の積み増し、これらを実施してきております。二十五年度の補填財源としては、通常補填基金に新たに積み立てられる四百三十二億円のうち、借入金の返済分百八十億円を控除した真水で約二百五十二億円、異常補填基金の約百四十四億円の計三百九十六億円を見込んでおります。  このような中で、二十五年四月以降の配合飼料価格については、トウモロコシのシカゴ相場など、円安の急激な進展など現時点で予断することはできない状況だと考えております。今後の見通しについても、為替の動向そして穀物の国際価格などを注視しながら、この安定制度等を適切に運用できるように畜産の経営の安定を図ってまいりたいと、そのように考えております。
  50. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。  それから、飼料価格、高止まりがずっと続くと、ちょっと下がってまた上がったときに補填金が出ないというようなケースがありますけれども、この高止まり対策というのはどうお考えになっておられますでしょうか。
  51. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 為替等々の見極めをしながら対策をしっかり立てていくと、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
  52. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。  それから、この相場にいつも一喜一憂するというのも生産者にとっては大変につらいことでありまして、やっぱり自給飼料というのをどんどん作っていかなければいけないんじゃないかと思うんですね。平成二十三年度の飼料の自給率は、粗飼料が七七%、濃厚飼料が一二%、計二六%であります。我が国は、食料・農業・農村基本計画で飼料自給率を平成二十三年の二六%から平成三十二年には三八%に引き上げるという目標を設定しています。輸入飼料の価格が高騰していることもあって、この自給飼料を作っていくということは、自給率を上げていくということは喫緊の課題だというふうに考えますけれども、北海道日本全体の三分の二を占める広大な飼料作物作付面積を有しているわけですけれども。  最近、気象がすごく変わりまして、ずっと雨が降ったかと思うと、もう一か月も一か月半も雨が全く降らない干ばつというような状況でありまして、自給作物に非常に大きな影響が出ているんですね。また、高齢化とか、それから労働力の負担ということもありまして、牧草を作るのも大変だし、草地の更新もなかなかできないと。いい草ができないと栄養分も低い。結局、配合飼料に頼らなきゃいけないというようなことになっているんですけれども。  これからも価格の変動に注視しながら補填財源の確保をしっかりとお願いしなければならないという一方で、この自給飼料基盤を強化していかなければいけないというふうに考えるんですけれども、この自給飼料の生産強化への取組の支援、それから飼料生産振興の支援について伺いたいと思います。
  53. 稲津久

    大臣政務官稲津久君) お答えいたします。  国産飼料の増産ということで大変重要な課題であると思っています。我が国の畜産業の持続的な発展のためには大変重要かつ喫緊の課題だと思っております。  こういう中で、二十四年度の補正予算におきまして、採草地や放牧施設等への改修、整備の支援、それから国産稲わら等の活用促進、また自給飼料生産機械のリースによる導入支援など、必要な予算を措置しているところでございます。  二十五年度の当初予算におきましても、草地基盤整備推進、それから飼料作物の生産性向上のための優良品種導入等による草地の改良、さらに飼料用米の生産、流通の拡大に向けた乾燥や保管のための施設の整備、そして寒冷地などでも生産可能な飼料作物の品種改良の推進、さらに飼料生産の効率化等のためのコントラクターの育成やTMRセンターの整備の推進と、こうしたことに必要な予算を現在要求しているところでございます。  これらの支援策の実施を通じまして、北海道のようないわゆる寒冷地も含めて、議員御指摘のように自給飼料生産の推進を図ってまいりたいと、このように考えているところでございます。
  54. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。  北海道の根釧、それから道北地域に適したたちぴりかという品種がありまして、青刈りトウモロコシの作付面積が二十三年度には九万二千二百ヘクタールに増えています。今後もその地域に適した品種の改良や生産の支援を引き続きよろしくお願いしたいと思います。  そして、今もお話がありましたけれども、コントラクターやTMRセンターでございますけれども、北海道ではかなりたくさんできているんですね。この二つの共通のメリットは、飼料生産コストの削減、それから生乳生産技術レベルの向上や技術の共有、飼料生産の外部化により酪農家のゆとりの創造ということなんですけれども、特にそのコントラクターのメリットは、高性能機械の活用による品質の向上とか、それから個別農家の機械費の削減、農地利用集積による作業の効率化などです。TMRセンターのメリットは、育成ステージに応じた良質混合飼料を通年給与が可能であること、それからエコフィード等の未利用資源の活用、それから飼料原料調達コストの低減ということなんですが、北海道酪農規模が今非常に拡大しているんですね。飼養頭数も増えています。  そういうことから、酪農経営を維持していくためにもこのコントラクターとかTMRというのはもう必要不可欠なんですけれども、これに対する支援、お聞かせいただきたいと思います。
  55. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 徳永先生のコントラクターあるいはTMRセンターの必要性の御指摘でございますが、先生おっしゃるように、とりわけ北海道では乳牛の規模拡大が進んでおりまして、生産者の皆さんからお話を聞きますと、もうなかなか餌作りには手が回らないと、こういったような状況の悲痛な叫び声が聞こえてくるところでございます。  私どもといたしましても、この畜産経営における労働力の負担軽減あるいは飼料生産の効率化と、こういったものを推進していくためにもコントラクターあるいはTMRセンターの整備が重要だということで、具体的なことを申しますと、今度の、二十四年度の補正予算でございますが、TMRセンターの施設の改修やコントラクターが行う農地の集積あるいは機械のリースによる導入ということで必要な予算をそれぞれ百三十一億円あるいは二百五十億円と、まあ内数ですのでその中に入っていますが、そうした予算を一応計上させていただいております。  また、二十五年度の概算要求におきましても、従来から取り組んでおりますコントラクターの育成あるいはTMRセンターの整備と、こういったものに必要な予算を現在要求しているところでございまして、これらの支援策というものを総合的に講じまして、労働力の負担軽減あるいは飼料生産の効率化、こうしたものを図っていきたいと、かように考えている次第でございます。
  56. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。  TMRセンターの利用者から、設計されたTMRを給与することで乳量が増加したとか、それから疫病牛が減少したとか、あるいは飼料の無駄がなくなった、それから繁殖成績も向上したという声も上がっています。大変に酪農、畜産を営む方々にとっては重要な施設でございまして、まだまだ利用したいという方が増えてくると思いますので、新しい機械の導入、施設の規模拡大ということもありますので、引き続きしっかりと支援お願いしたいと思います。  時間がなくなりました。まだちょっと質問が残っていたんですけれども、これで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  57. 長谷川岳

    長谷川岳君 自由民主党北海道長谷川岳です。  まず、林大臣そして加治屋大臣稲津政務官におかれましては、それぞれの御就任、誠におめでとうございます。新しい政権の下で畜産物価格をあしたまでに決めなければならないというハードスケジュールの中、閉会中にもかかわらず皆様御尽力されていることに感謝を表します。予算編成に合わせた畜産、酪農政策価格を決めるというのは初めてのことですけれども、政府は恐らくこの酪農、畜産の皆さんの当面の安心を確保する決定をしていただくと、そのように思って、期待をしておるところでございます。  まず最初に、今日は大臣に来ていただいておりますので、大臣から今日は特に、この酪農、畜産の政策価格ということで大変関心の高い酪農、畜産の皆さんが今回これをビデオあるいは様々な映像を通して見ておると思いますので、大臣の方からこの酪農、畜産の皆さん最初のメッセージをいただくことができればと思います。よろしくお願いいたします。
  58. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  我が自民党からも北海道の方がやはり質問に立たれるんだなと思って感慨深く聞かせていただいたところでございますが、私も、十二月二十六日でございますからまだ一か月もたたない、言わば新米の大臣ということでございます。この世界では新米の方が古米よりもおいしいということだそうでございますので、しっかりとやっていきたいと思っておりますが。  就任以来、攻めの農林水産業ということを展開していきたいということを申し上げてまいりました。これは、実は安倍総理からの最初の御指示のトップにもなっているところでございますが、攻めの農林水産業、意欲のある担い手、これがやはり十分に確保されるということ、そして、農商工連携と言ったり六次産業化と言ったりしておりますが、こういうことによって生産者が関係者を巻き込んでいって、そして需要の動向を敏感につかんだ経営展開というものを行ってもらう、これらを通じて内外の新しい市場やニーズを開拓すると、こういうふうに展開していくことが大変に大事なんではないかというふうに考えておるわけでございます。  したがって、この展開、攻めの農林水産業の展開を図っていくためには、冒頭もちょっと申し上げましたけれども、生産現場をやはり重視をする、現場のニーズを敏感に酌み取っていろんな政策をやっていくということが大事だろうというふうに考えております。  特に生産基盤の整備については、今TMRセンターの話もございましたけれども、いろんな意味で低コスト化や高付加価値化につながっていくということで、現場のニーズも非常に高いものがあるわけでございますので、この生産基盤の整備というものがこの攻めの農林水産業のとっても大事な必要な要素の一つであると、こういうふうに考えて、そういう意味では予算も十分に確保してまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  59. 長谷川岳

    長谷川岳君 ありがとうございます。  林大臣は、農水はもとより経済財政のプロだというふうに私も尊敬をしておりますけれども、アベノミクスが非常にスピード感を持ってやっていこうということで進んでおりますけれども、アベノミクスによって一次産業というのがどのようにプラスに作用するのか、大臣なりに少し分かりやすく解説をしていただければと思います。
  60. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ちまたでアベノミクスと、こう言われておりますのは、総理自らも三本の矢と、こういうふうにおっしゃっておられますが、これは実は山口県といいますか長州の毛利家の話が基でございます。殿様が、三人子供がいらっしゃって、あなた方が仲たがいをしていると非常に弱いと、しかし三人協力すれば強いんだということを教え諭すために、一本の矢を折ってみせて、三本束ねたらなかなか折れないだろうと、こういうことを言ったというのが元の語源でございますが、アベノミクスでいう三本の矢というのは、財政政策、金融政策、そして成長戦略という三つの矢を一緒にして強いものにしていくと、こういうふうにおっしゃっておられるというふうに理解をしておるところでございます。  したがって、これを一つずつやっていくことによって長い間のデフレから脱却していくということ、そして財政への将来の不安を払拭しながらもめり張りのある予算、そしてまずは官が需要をつくっていくことも含めた今回の補正や当初予算、そしてそれに続く成長戦略の作成と、こういうことになっていくわけでございます。  市場の反応が少し早めに出てきているところもございますが、円安や株高といったことに表れてきておるわけでございまして、いろんな影響、どういうふうになってくるか、今までの御議論でもあったところでございますが、物価が少しずつ上がっていくということ、これは双方に効いてくると。すなわち、生産者から見れば売上げもそういう影響も出るだろうし、仕入れの方のいろんなコストにも跳ね返ってくるということでございますので、ここは注視をして、どう影響が出るのかよく見ながら、その影響対応してプラスの影響は増えるように、マイナスの影響は減るように、また減るためにいろんな施策を展開をしていく必要があれば検討していくということになろうかと、こういうふうに思っておるところでございます。
  61. 長谷川岳

    長谷川岳君 アベノミクスでやはり一ドルどれぐらいが妥当というふうにお考えか、これは経済財政に詳しい大臣として個人的見解で結構でございますが、大体アベノミクスによって一ドルどれぐらい、何円を目指されているのか、少しお聞かせをいただきたいと思います。
  62. 林芳正

    国務大臣林芳正君) もとより農林水産省の所管ではございませんのであくまで私の個人的な見解ということですが、実は九九年から二〇〇〇年にかけて、私は、当時まだ財務省が大蔵省の時代に、総理を一度辞された後、大蔵大臣就任された宮澤大臣の下で大蔵政務次官というのをやっておりました。そのとき随分為替の議論もございましたが、政府としては、為替というものは経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいと、それ以上のこともそれ以下のことも一切言わないというのが当時は大変厳しいルールであったように覚えておりますが、昨今の状況を見ますと随分変わったものだなというふうにも思っておりますが。  今の相場を見ますと、多分ファンダメンタルズを反映して推移をした結果の八十円を切るような段階ということではなかったんだろうなという印象を持っております。すなわち、そのファンダメンタルズよりも少し行き過ぎた円高というものはあったんだろうなと。それを、金融政策が中心になるかと思いますけれども、先ほど申し上げました三本の矢が相まって、もう少しファンダメンタルズを反映したところへ今戻していく過程にあるのかなと、そういうふうに見ておるところでございます。
  63. 長谷川岳

    長谷川岳君 恐らく、一ドル今八十八円でございますけれども、それ以上に円安が進むという想定がされるところでございます。  私は一昨日、士幌町という、北海道のですね、ある牧場に行ってまいりまして、酪農家方々のやはり現在の一番の心配は何かというと円安、アベノミクスによって円安は進んでいくんですが、円安によってどのように牧場経営に影響するのかが分からないということを大変不安がっておられました。  円安によって、一つは、ガソリン、灯油価格の高騰、それから、まあこれは意外なんですが、ビニール製品の高騰が入ります。そして、輸送コストの高騰、当然ながら海外から輸入する飼料というものも高騰するというような、非常に経営環境としてプラスになる、そういう方々もいらっしゃいますが、やはり現場農家、酪農家皆さんはこのような四つの不安を今抱えております。  これ、農水省として、今の言った四つ、どのように考えているのか、少しお聞かせをいただきたい、そのように思います。
  64. 稲津久

    大臣政務官稲津久君) 酪農経営における円安の影響についての御質問でございましたけれども、これは基本的に一般論の話ですが、円安が進展した場合、酪農経営においては輸入が必要であるいわゆる流通飼料費、それから燃料費、電気代、こうしたものの上昇が想定されるわけでございます。このような生産資材費の上昇について、算定ルールに基づいていわゆる補給金単価にも適切に織り込むと、このようにしているところでございます。  それから、これはあれですけれども、為替の動向ということについても今後は十分注視をしていかなければならないと、このように思うところでございます。
  65. 長谷川岳

    長谷川岳君 円安に加えて、北海道はやっぱり今非常に問題になっているのは、先ほど徳永議員も言われましたが、気候の急激な変動です。  それで、実は農水省として、ビートの低糖度問題について、基準糖度の設定について、二十六年度以降については二十二年度以降の急激な気候変動を十分にこれからは踏まえてくださるというような形で今農水省ともお話をさせていただいているところでございます。これは、ビートに対して二〇一〇年以降の急激な気候変動を十分に踏まえるということは、この認識は酪農、畜産にも当てはまると考えてよろしいかどうか、これは農水省の局長の方に伺いたいと思います。
  66. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 今先生御指摘のように、北海道では気象災害によりまして不作といったような、そういった事態になったわけでございますが、これをこのビートとそれでは養豚あるいは牛も同じように扱うかどうかということでございますが、畜産の場合によりますと、先ほども出ておりましたが、いわゆる新マル緊制度でありますとか養豚の経営安定対策事業と、こういったものがございまして、その中で粗収益と生産費の差額を補填していくといった非常に基盤となる制度があるかというふうに私考えておりまして、こうしたものによって、何かそうした場合には対応、場合によれば共済という手もあるかもしれませんが、こうした経営安定対策といったものがまずあるといったことで、ビートとはまた違った場面になるんじゃないかというふうに考えているところでございます。
  67. 長谷川岳

    長谷川岳君 ただ、夏は非常に暑くなる、そして冬は寒くなる、これは電気代の高騰も含めて様々なコスト増の要因につながる、これはビートの農家に限らず酪農、畜産の農家も共通している話なんですが、再度伺いますけれども、この認識は持っていただけるでしょうか。
  68. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) とにかく、先生が御指摘いただいておりますように、気象災害といいますか、気象によりまして生産性が落ちると、こういったことについてはこれはもう事実でございます。  その際、それじゃ、何かほかに手当てはないかというような場合につきましては、先ほども出ておりますが、リース事業でありますとか、やはり違う方策といったことも一つの解決策の一つじゃないかというふうに思っておりまして、この点についてはまたいろいろと現場意見や何かがあるかと思いますので、よくそういうお話も聞きながら、どのようなものが適切か、考えていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
  69. 長谷川岳

    長谷川岳君 是非議論を進めていただきたいと、そのように思います。  それでは、中長期を見据えた酪農政策の確立について質問をさせていただきます。  この一年間で北海道では二百三十戸以上の酪農家がやめています。もちろん酪農家高齢化、後継者がいない、やむを得ずやめるといった酪農家の方が多いわけですが、やはり飼料の値上がり、燃料価格の、経費の高騰によって経営が困難であると、そのような状況に陥っている事実があります。たとえ後継者が戻ってきても、将来にわたる展望が開けず、規模を縮小してしまう酪農家もいる。その根本的原因は、日本酪農政策が安定していないということにあるのではないかと私は考えます。価格が下がってしまうのではないか、飼料が高騰してしまうのではないかという不安が酪農家の意識に根強くあるという現状を踏まえなければならないと、そのように思います。このような背景を十分に認識しながら、加工原料乳の補給金単価、限度数量についても中長期的なものにしていただきたい、そのように思っています。  そこでお尋ねをするんですが、先ほど徳永議員が銭より円だと言いました。これ、どこかの議員が言ったんだと思いますが、私も全く同感でございまして、是非とも、この考え方も私たちも同感をしておりますけれども、加工原料乳の補給金単価については、一キロ当たり、平成二十三年の十一・九五円から平成二十四年度には十二・二円に値上がりをしております。この加工原料乳の補給金単価についてはどのような方針をお持ちか、引き上げられるのかどうか、伺いたいと思います。
  70. 稲津久

    大臣政務官稲津久君) ありがとうございます。  先ほど来、この補給金の単価についての議論がございました。繰り返しの答弁になって大変失礼ではございますけれども、これは算定のルールがございます。それに則しまして、生乳の生産費や物価の動向、これを適切に織り込みまして、そして食料・農業・農村政策審議会の御意見をいただいた上で適切に対応させていただきたいと、このように考えております。
  71. 長谷川岳

    長谷川岳君 これは参考人に伺いたいと思いますが、算定ルールに従うということが多く出てきますが、私はやっぱりこの算定ルールに載っていないものが出てきているのではないかと私は考えます。  農水省さんもお気付きになっていらっしゃると思いますが、この補給金の決定において、この算定ルールに載っていないもの、あるいは算定ルールに反映され切れていない変化があるとすれば、どんなものだと考えられますか。
  72. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 突然といいますか、長谷川先生からちょっと厳しい御指摘といいますか、私どもといたしましては、やはりこの生産コストを見るときに、肥料でありますとかいろんな光熱費とか、そういったものは一応算定要素の中に入れているかとは思っておりますが、今の段階でこれが抜けているとかいうようなことにつきましては、正直なところ、ちょっとそういうことをお答え申し上げるものがございませんので、ちょっと答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  73. 長谷川岳

    長谷川岳君 昨年の秋以降、配合飼料価格が大きく上昇しておりまして、従来は一トン当たり四万円だったものが六万円近くになっていると。今後は、先ほど述べた円安により更に配合飼料の価格の上昇が懸念されると。為替一円の変動で配合飼料が一トン当たり三百円影響を受けるとも言われています。  昨年十月から十二月期の配合飼料価格は、円高による価格上昇を結果として抑える結果になっておりましたが、今後円安が確実視されております。補給金の算定は平成二十年から二十二年と平成二十一年から二十三年の生産費の比率をベースとしておりまして、それに直近の物価修正を反映する仕組みになっている。  この物価修正について、やはりしっかりとこれは精査しなければなりませんし、新政権のやはり円高・デフレ対策による円安を意識した補給金の設定にすること、私は強くこれをお願いしたいと思いますが、ここの確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  74. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 今先生の御指摘でございますが、我々、飼料の価格について織り込むときは、結論から申し上げますれば、飼料は確かにアメリカからドルで買ってくるわけでございますが、それはやはり最新の円建ての水準、円建てということで置き換えておりますので、それを念頭に置きまして算定や何かに当てているということでございますが、いずれにいたしましても、先生御指摘の直近のこの飼料の動向といったものは現在の方式の中でも、算定方式の中でも織り込むことになっておりますので、そうしたことを十分考慮に入れながら算定の作業を進めていきたいというふうに思っております。
  75. 長谷川岳

    長谷川岳君 大臣是非、この補給金単価というのは、私たちと同年代の酪農、畜産の皆さんにとっては一つのメッセージなんです。これから我々のこの酪農、畜産を守ってくれるかどうか、そしてこの政権は大丈夫だというメッセージを発してくれるか、重要なメッセージだと。その点について、大臣是非とも皆さんに大丈夫だとメッセージを与えていただきたい、そのように思っておりますが、いかがでしょうか。
  76. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大丈夫だと、こういうふうに申し上げたいところでございますが、先ほど来お話がありましたように、手続をきちっと経て、実は新聞記事もあったんですが、よく読みますと、二十五日に正式決定の見込みと、こういうふうになっておるところでございます。したがって、しっかりとこの手続どおりにやって、その結果がなるほどと思えるようになるようにしっかりと頑張ってまいりたいと思っております。
  77. 長谷川岳

    長谷川岳君 手続にやはりメッセージを加えていただきたい、そのように大臣思いますが、再度お願いを申し上げます。
  78. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今申し上げましたように、結果を見ていただいて、なるほど、頑張ろうというふうになるようにしっかりと努力をしてまいりたいと思います。
  79. 長谷川岳

    長谷川岳君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  あと、加工原料乳の限度数量については平成二十四年は未達になるという見込みと聞いておりますが、加工原料乳の限度数量についてもどのような考え方伺いたい、そのように思います。
  80. 稲津久

    大臣政務官稲津久君) お答えいたします。  二十四年度の酪農情勢を見ますと、生産者が増産に取り組み、生乳生産量、これは堅調に推移をしておりますけれども、加工原料乳は、本年度の限度数量百八十三万トン、これを下回るのではないかと、このような見込みでございます。  その上で、この平成二十五年度の加工原料乳の生産者補給金の限度数量につきまして今お尋ねがございましたが、二十五年度に見込まれる脱脂粉乳、バター等の需要を踏まえた上で、これも先ほどからの繰り返しになりますけれども、食料・農業・農村政策審議会の御意見を聞いた上で適切にしっかりと対応してまいりたい、決定してまいりたい、このように考えております。
  81. 長谷川岳

    長谷川岳君 これは十分認識をしていただきたいんですが、離農戸数が近年多い中、やはり地元の農協を中心として自ら乳牛導入への助成等によって乳牛を保留して、そして増産に向けた取組をしております。平成二十四年十二月の累計で前年実績の一〇一・五%まで回復している。そういうやはり地元のそれぞれの努力があるということは十分に認識をしていただきたい。  その今後の増産に向けた酪農家へのメッセージのためにも、現行水準を基本とした限度数量の設定をお願いしたい、そのように思います。再度確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  82. 稲津久

    大臣政務官稲津久君) 今、長谷川委員からも御指摘ありましたけれども、例えば北海道の生産現場見ますと、毎年二百戸余りの酪農家離農があるという中で、そういうふうになりますと当然生産量が落ちてくるということがございますけれども、先ほど来長谷川委員からの御指摘もございまして、また、先ほど大臣からのこの価格についてのお話もございましたが、しっかり生産現場を重視し、また現場のニーズにおこたえできるように、今後この審議会の意見聞いた上で適切に対応していきたいと、このように考えております。
  83. 長谷川岳

    長谷川岳君 ありがとうございます。  次に、配合飼料安定制度について質問をさせていただきます。  配合飼料価格安定制度は、民間による通常補填と、異常な価格高騰時には通常補填を補完する異常補填の二段階構成になっておりますが、平成二十四年度の三、四期の価格高騰に対して、既に異常補填の発動基準の引下げ、通常補填の無利子貸付けを実施して、加えて百四十八億円の異常補填積み増しが行われていると。  円安を勘案して、これらの異常補填基金、通常補填基金は平成二十五年の三月末の時点で一つは基金残高としてどの程度になるか、及びこの通常基金というのは民間から千百九十二億の借入れを行っておりまして、四半期ごとに四十五億円返済していると聞いております。円安や配合飼料の価格の高騰を鑑みて、基金財源というのは確保することができるのかどうか、伺いたいと思います。
  84. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 御指摘の趣旨は、補填財源が不足するのではないかと大変御心配をいただいた御意見だと思っておりますが、先ほど徳永先生にも御答弁申し上げたとおり、二十五年度三百九十六億円見込んでおりますので、この制度の安定運用のためにどのような対応ができていくのか、どのような方法が可能なのか、先生の御懸念を深掘りしながら検討していきたいと思っております。
  85. 長谷川岳

    長谷川岳君 もう一つ伺いたいというふうに思います。  新マル緊の事業に関してですけれども、肉用牛の肥育経営の収益性が悪化した場合に、生産者と国の積立金から粗収益と生産費との差額八割を補填していると。八割では慢性的な赤字が続いております。この補填率はなぜ八割なのか、更に引き上げることはできないのか、御質問させていただきたいというふうに思います。
  86. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 補填割合を八割から更に引き上げることについては、高率の補填を見込んで枝肉卸売価格が低い水準で固定化する懸念があることや多額の財政支出を伴うことなどから慎重な検討が必要だと考えておりますので、検討していきたいと思っております。
  87. 長谷川岳

    長谷川岳君 時間になりましたのでこれで質問を終わらせていただきますが、私たち自由民主党北海道代議士会は、十二月二十六日をもちまして、全員、全議員の下でTPP反対の決議をしたところでございます。林大臣の勉強会においても、ISDSの危険性等含めて一緒に勉強させていただきましたし、TPPの本質というのを十分に御存じかというふうに思います。大臣含めて皆様の中でしっかりとこの点については留意をしていただくこと、そして私たちも、これは党派関係ない話でございますので、TPPについては断固反対という姿勢でこれからも臨んでまいりたい、そのように思いますので、これからもよろしくお願い申し上げます。  これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  88. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  今日の質問は私で四人目の北海道選出の議員でございまして、北海道になりますとどうしても酪農が気に掛かるところでございまして、私も酪農から質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、チーズの問題でございます。  チーズ向け生乳供給安定対策事業は、需給調整機能対策で八十八億円が措置されております。国産チーズ、生クリーム向けの生乳需要は平成二十二年以降増加をしておりまして、チーズについては昨年度助成対象数量六十万トンに達していない、増えてはいるんだけれども達していないという状況がございます。こうした状況の下で今後の需要創出をどう図っていくのか、お伺いいたします。  また、生産者団体からは、このチーズ向けの生乳供給安定事業の余った部分を使い切れるようにできないものかと、こういった声が上がっております。また一方では、生クリーム向けの生乳についてもセーフティーネットを望む声があります。こうした部分を含め、生産者需給調整機能強化対策などに工夫の余地はないのか、お伺いいたします。
  89. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 横山先生の御質問にお答えいたします。  今先生の方からお話ございましたチーズ向け生乳供給安定対策事業でございますが、平成二十三年度から行われているものでございまして、需要の伸びは期待できるが国際競争にさらされ乳価が低いチーズ向け生乳の供給拡大と、これから伸びる余地があるといったような観点から、これを伸ばしていこうということで二十三年度から措置している事業でございます。  先生おっしゃっていただきましたように、関係者の方から、この事業については使いやすくしてほしいといったようなこともございまして、二十四年度からは国産乳製品の安定供給を図るために生産者団体が行うバターなどの乳製品の委託製造経費の一部を支援するという、そういった新たなメニューも追加させていただいているところでございます。  この事業につきましては非常に私ども大事な事業というふうに考えておりまして、二十五年度の当初予算につきまして、現在、二十四年度同額の八十八億円の予算を要求しておるところでございまして、まずはこの予算の確保に努めていきたいというふうに考えておりまして、その上で、先ほども先生の方からお話ございました、使いやすくしてほしいといったような現場の声ございますので、どのような工夫ができるか、それについては検討していきたいなというふうに考えておるところでございます。
  90. 横山信一

    ○横山信一君 是非現場の声を満たしてあげられるような工夫を是非していただきたいというふうに思います。  トウモロコシの干ばつ被害による配合飼料の高騰、高止まり、そしてまた燃油高騰、先ほど来話がずっと出てきているわけでありますけれども、こうしたコスト上昇分ということを考えますと、これまでも酪農家は大変な努力をしながらこのコスト部分をカバーをし続けてきているわけでありますが、既に努力の限界に来ているというふうに思います。  その背景として、北海道では酪農戸数が毎年二%から三%ずつ減少している、いわゆる離農しているわけです。昨日もJA北海道グループの要請集会に行きましたら、昨年、根室と釧路では三十五戸ずつ離農したというお話もございまして、合わせて七十戸ですから、大変な勢いでというか、生産意欲が非常に失われている状況が今あるわけであります。  こうした厳しい状況の中で生産者は三年間の中期計画生産に取り組んでいるんですけれども、この酪農生産基盤強化のためには、強化をするために生産意欲を高めるということが大事でございまして、このコスト上昇分は何としてでも補給金単価で充当していただきたい、もうこれ以外に道はないというふうに考えているわけです。  また一方、限度数量につきましては、平成二十二年、二十三年につきましては限度数量百八十五万トンでしたけれども、認定数量は二十二年が百八十万トン、二十三年が百六十三万トンと未達になっているわけです。今年度も十万トン以上未達になるという見込みだというふうに聞いておりますけれども、こうした未達が続いている状況の中で、生産者からは限度数量が削減されるんじゃないかと、そうした不安の声が聞こえるわけです。  これ以上離農者を出さない、そういうためにもこの限度数量の削減はあり得ないというふうに思うわけでありますけれども、大臣の認識を伺います。
  91. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 横山先生も北海道御出身ということで、今日は北海道デーのような感じでございますが、一方で、横山先生は経歴ちょっと拝見いたしましたら水産学の博士を持っていらっしゃるということで、もう鬼に金棒だなという感じでございましたが、今日は畜産の話でございます。    〔委員長退席、理事小川勝也君着席〕  お話がありましたように、二十四年度の情勢、今るるお話があったところですが、配合飼料価格が高止まりをしているということで、この配合飼料価格の高止まりということは急激な変化ではないということの議論も実は午前中もあったところでございますが、そういうふうな一方で、今お話があったように増産に取り組んで生産者にはいただいて、生乳の生産量自体は顕著に推移しているということでございますが、今お話がありましたように百八十三万トンという限度数量を下回っているというような見込みであるというふうに私も承知をしておるところでございます。  したがって、この単価につきましては、先ほど来御議論があったところでございますが、生産費や物価というものを、繰り返しになりますが、適切に織り込んだ上で算定をするということ、そして限度数量については二十五年度に見込まれる脱脂粉乳やバター等の需要に即して設定をするということを旨としまして、審議会の意見を聞いた上で、先ほど、長谷川先生おられなくなりましたが、申し上げたように、なるほどと思われるような適切な決定をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  92. 横山信一

    ○横山信一君 今の酪農の現状についてまた触れさせていただきたいんですけれども、家族経営の、法人経営ではなくて家族経営におきましては、酪農を継続するには様々な課題がある中でやっているわけなんですけれども、その中で唯一というか救いになっているのが酪農ヘルパー事業なんですね。これは、この酪農ヘルパーがあることによって労働の軽減もなされますし、また休日も確保されますし、また傷病などの対応もできるということで、今や欠かせないシステムになっていると。  一方、こうしたヘルパー事業というのは平成二十五年度で一旦は区切れるわけですけれども、こうしたヘルパーは酪農経営に欠かせない一方で、もう一つ、実はこのヘルパーを経験して酪農家になってくる人も、新規就農で入ってくる方たちもいる。いわゆる全く酪農経験のないまま新規就農で入ってくると、酪農の現実、北の大地に憧れて酪農へ入ってきても、酪農の朝から晩まで働く、そしてまた牧草もある、牧草管理もしなきゃいけない、そして生き物を飼うわけですからなかなか休みも取りづらいと、そういう現実を見てこれはやれないというふうに思ってしまう方たちも多い。一方で、このヘルパーを経験していくと覚悟を持って臨めるというか、そういったこともあってヘルパー経験者というのは定着率が高いというふうにも聞いているわけです。  そこで、今後のこのヘルパー事業の継続についてどのように考えるのか、伺います。
  93. 佐藤一雄

    政府参考人(佐藤一雄君) 横山先生の酪農ヘルパーの問題でございますが、まさに先生御指摘いただきましたように、この過酷な酪農の作業の中で、休日の確保あるいは疾病時の経営の継続を支援するといったことで、酪農の生産基盤を維持していく上で非常に重要だというふうに認識しております。    〔理事小川勝也君退席、委員長着席〕  このため、平成二年度から五年度に四十六の都道府県に地方基金といったものを造成しまして、この基金によりまして利用組合の運営経費の一部等を助成してきたところでございますが、この地方基金の助成というのが二十五年度までで終了すると、こういうふうに相なっているところでございます。  この地方基金につきましては、平成十六年度に十年間で利用組合を自立させるということを前提として取り崩してこの基金を使うといったものでございまして、今回、二十五年度で終期が来るわけでございますが、このため、単純にそれを継続するといったのはこれはなかなか困難というふうに考えますが、二十六年度以降に向けまして、先生御指摘がちょっとございましたが、いろんな新たな課題といったものも出てくるかと思っておりますので、そうした取組への支援等についてやはり関係者意見を、現場意見をよく聞きながら検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
  94. 横山信一

    ○横山信一君 大事な事業ですので、是非膨らませて継続をしていただきたいということでございます。  担い手対策について伺いますけれども、先日、北海道のJA新はこだてに伺いました。酪農の現状を聞いてきたんですが、対応してくださった専務さんが酪農をやられているんですね。後継者がいないという中で法人を立ち上げて、そして酪農を絶やさないためにということで法人を立ち上げたと、そういった努力をされているお話を伺ってまいりました。  担い手対策は非常に重要でございまして、一方で今の酪農をめぐる状況、先ほど来ずっといろんな話が出ておりますけれども、コストの問題もありますし、そしてまたTPPという不安材料もあると。酪農というのは一面的にいうと非常に設備投資が掛かる仕事ですから、牛一頭増やすのに百三十万の設備が必要だというふうにも聞いておりますけれども、そうした設備投資考えていくとどうしても借金を背負うという、それが一方では現実的にあるわけであります。仮に親が酪農を経験していても、実際にやっていてそれを息子さんが後継者として引き継いだとしても、常に設備投資をしながらやっていきますから、当然のことながら借金が、当然親の借金も引き受けるという覚悟も必要になってくるということでございまして、この担い手の人たちに対して将来を、どうやって将来に対しての安心感を与えていくかということは非常に大事であります。  そういう意味で、独り立ちするまで段階を踏んで努力を継続できるような制度というのが必要だというふうにも思うわけでありますけれども、この酪農経営に対する担い手対策をどう考えるのか、伺います。
  95. 稲津久

    大臣政務官稲津久君) 担い手対策、酪農の新規参入、設備投資の必要性等々についての御質問でございました。  もう委員も十分御承知の上と思いますけれども、我が国の酪農につきましては、北海道を含めて、高齢化、それから後継者不足、こうしたことで戸数が減少傾向にある、そして、委員指摘のとおり、生乳の生産基盤を支えるためには、酪農における新規就農、これを促進し定着化していくことが極めて大事なことであると、このように認識しております。  少し具体的にお答えをさせていただきますけれども、このために、先般閣議決定いたしました平成二十四年度補正予算におきまして、畜産における共同利用畜舎整備等を支援する、いわゆる強い農業づくり交付金、これを大幅に拡大するとともに、生産性や飼料自給率の向上等に必要な機械のリース等を支援する畜産経営力向上緊急支援リース事業を措置するなど、酪農、畜産の生産基盤の強化を図ることとしております。  それから、酪農は多額の投資が必要であるということで、今御指摘がございました、施設整備や運転資金として活用のできる長期そして低利のスーパーL資金等の融資制度、これを措置しますとともに、様々な作業の外部化や、定期的な休日の取得を促すために、TMRセンター、コントラクター、そして先ほどの質疑にもありました酪農ヘルパーの支援を行っているところでございます。  さらに、平成二十五年度予算におきまして、離農農家等の畜舎などの経営資源を有効に活用できるような施策を新規で要求しているところでございまして、これらの施策によりまして酪農の新規就農を促進してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  96. 横山信一

    ○横山信一君 先ほど、大臣お話の中にも攻めの農林水産業というお話がございましたけれども、この攻めの農林水産業の展開として農林水産業競争力強化ということが示されているわけなんですが、今日の議論の中でのこの補給金、そしてまた限度数量のこうした制度、また畜産の様々な補給金の制度、こうした経営安定対策では、実際のところ、競争力のある酪農、畜産経営にはちょっと遠いかなという感覚を持ってしまうわけです。  今の現状の経営を維持するので精いっぱいの対策というか、ここからどうやって、じゃ、攻めに展開をしていくのかということなんですけれども、直接支払の割合でいけば、やはり日本は、アメリカ、カナダあるいはEUから比べれば極端に低い、二〇%程度ですから、そういう意味では、EUなんか八〇%以上ありますので、そうした直接支払の割合からいっても極端に低い現状にあって、これで、今の現状のままで、さあ攻めだよと言われても、これはもう水を持たないで砂漠にほうり出すようなものでございまして、非常に厳しいと。そういう意味では、この酪農、畜産対策の抜本的な見直しを図る時期に来ているのではないかというふうに思うわけですけれども、大臣の御認識を伺います。
  97. 稲津久

    大臣政務官稲津久君) 済みません、私の方から答えさせていただきたいと思います。  今、横山委員からは、競争力のある酪農経営、そしてこの直接支払等のほかの手法に見直すべき時期に来ているのではないかという大変大事な御指摘の御質問でございました。  ちょっとこれ振り返っての話になりますけれども、酪農においては、加工原料乳生産者補給金制度、これを通じまして、用途別の取引の数量によって飲用向け生乳の販売価格を高く持っていく、乳価の低い加工原料乳の補給金やチーズ助成金、こういったものと相まって全国の酪農家の経営の安定をこれまでは図ってきたところでございます。  そして、この酪農経営安定対策ということで、今議員からの御指摘もございましたが、酪農経営のセーフティーネットとしての生産者にとって非常に重要なことでございますから、このために、生産現場意見を十分にお聞きしまして、将来にわたって生乳の再生産、これが図られるように、酪農を取り巻く情勢の変化を十分に分析しながら、中期的な検討課題としてしっかりと対応し、整理をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  98. 横山信一

    ○横山信一君 最後になりますけれども、やはり酪農、畜産にとって、様々な今の現状はあるにせよ、一番大きな不安は何かといったら、何といってもTPPなんですね。このTPPに対して、その影響を真っ向から受けるのは酪農です。そうした現状からこのTPP大臣はどのように考えるのか、最後お伺いしたいと思います。
  99. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  先ほど来話題になっておるところでございますが、若干繰り返しにもなるかもしれませんけれども、端的に申し上げますれば、この聖域なき関税撤廃前提にする限り交渉参加反対と、これを野党時代に作り、政権公約に掲げ、戦ってまいりました。したがって、政府としてもこれを基本的な考え方として堅持してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  100. 横山信一

    ○横山信一君 終わります。ありがとうございます。     ─────────────
  101. 中谷智司

    委員長中谷智司君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、福岡資麿君、広田一君及び長谷川岳君が委員を辞任され、その補欠として磯崎仁彦君小見山幸治君及び石井浩郎君が選任されました。     ─────────────
  102. 山田太郎

    山田太郎君 みんなの党の山田太郎、本名でございます。  昨年十二月十四日に参議院議員となったばかりの私、新米議員です。これまで企業経営をずっとやっておりましたので、議員になりまして毎日、民間の常識と永田町、霞が関の違いに目からうろこの日々でございます。初めての質疑でございます。空気の読めないところもちょっとあるかもしれませんが、若葉マークの議員ということで、委員会皆様大臣を始め関係者皆様には御容赦いただければ幸いだと思っております。  さて、今日の議題であります畜産物の価格安定のための施策に関しましてどのような手段が取られているかということで、平成二十四年度補正予算の畜産関係の部分につきまして大臣の認識を伺えればと思っております。  まず、畜産経営力向上緊急支援リース事業という二百五十億円の予算がございます。生乳などの生産拡大のために機械をリースで導入する経費の一部を農家に補助しようとする予算です。しかし、農林水産省の担当の方にお伺いしましたところ、日本の生乳生産量は平成二十年七百九十五万トンから平成二十三年七百五十三万トンへ毎年減少しているということです。  牛乳がこの一パック大体スーパーで二百円ぐらいでありまして、後ろにもおいしい牛乳があったんで私初めてでびっくりしたんですけれども、価格が上がっているわけではないんですね。生産量が減っているのに価格が安定しているということは、牛乳の需要が減っているということではないかと思っております。もし需要が高くないのに生産を増やせば、当然価格維持は逆に難しくなるだろうということになるかと思います。  本日配付資料の一ページを御覧いただければと思っておりますが、この資料を見ていただいても、更に生乳の供給量を増やす必要があるのかどうか。二百五十億円ものお金を使うのであれば、牛乳の生産の拡大ではなく、まず消費の拡大ですね、そのための政策を取る方が有効な税金の使い方ではないかと、経済のお詳しい大臣是非その辺をお聞かせいただければと思っています。
  103. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 山田議員、御当選おめでとうございました。  また、私も実は、今お話を聞いておりまして、初当選、十八年前であったんですが、社会人のスタートは商社におりました。数字に常に追いまくられていたようなサラリーマン時代でございましたけれども、こちらに参りましたらやはりちょっと浦島だなと、随分違った基準でいろんなことがあるんだなと思った感覚を持っておりましたが、そういった感覚は大事に持っていきたいと思っておりましたし、是非そういった御経験を生かして御活躍をされていただきたいと、こういうふうに思います。  経営者としての御経験を踏まえた、何というんですか、政策をBバイCで少し考えるべきではないかというようなお話だったというふうに思っております。  この生乳については、この分野では割と珍しいことかもしれませんが、生産価格よりも消費者価格が上回っているというようなこともあるわけでございますが、需要と供給のバランスをさせながらこの維持の拡大を図っていくということが大事だというふうに思っておりまして、今おっしゃられましたとおり、生産力確保ということも大事なんですが、同時に需要の方も消費拡大対策を講じていくということが大事であるというふうに思っております。  したがって、今お話のありました補正予算でございますが、リースで、この畜産経営力向上緊急支援リース事業、これはサプライサイドということになりましょうか、とともに、同じ補正予算で、生乳需要基盤強化対策ということで消費拡大対策も実施してまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  104. 山田太郎

    山田太郎君 補正予算の政策効果とか積算根拠みたいなものに関しては、一例ちょっと取り上げさせていただいたんですけれども、やっぱりどうもはっきりしないところが多いんですね。  そこで、財務省はどのような方針で今回の補正の査定を行われているのか、財務副大臣、お考えをいただければと思っております。
  105. 小渕優子

    ○副大臣(小渕優子君) お答えをさせていただきます。  今般の補正予算における農畜産物対策につきましてですけれども、配合飼料価格の高騰、また高止まり、こうしたことや畜産物価格の下落といった状況を踏まえて、経営環境の変動に対する緊急対策として必要な事業を行うこととしています。  この農畜産物対策は、農林水産省との間で所要の調整を行った上で、先日、一月の十五日に、政府として補正予算の概算決定を行ったところでありますが、それぞれの事業に必要な予算額を適切に見込んだところであります。  今後、国会でこの補正予算、提出したいと考えておりますので、速やかな御審議をどうかよろしくお願い申し上げます。
  106. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございます。  では、農畜産業振興機構という独立行政法人の体制や予算の問題について少し取り上げてみたいと思っています。  この機構、ALICですね、この機構は、本日の議案でございます畜産物の価格安定の事業を行っています。財源の方は一般会計からの繰入れでございますが、その多くの部分を牛肉関税、これ、農林省の皆さんは牛関、牛関というふうにおっしゃっているそうですけれども、この平成三年の牛肉輸入解禁によって始まった牛肉関税を事業の財源とする法人でございます。  実はこの法人の機構の職員宿舎について質問させていただきたいんですが、お手元の資料四ページをちょっと見ていただきたいと思っています。四ページの下の方になりますが、資料にありますように、この機構は自前の職員宿舎を四十一戸持っております。実は借り上げで十二戸あと持っておりますから、合計で五十三戸、職員が二百三十四名のうち五十三戸を持っているという勘定になるんですが、間取りや所在地からすると、家賃は一般の住宅地と比べてかなり安いんじゃないかなと思っております。まさに牛肉関税で造った牛関住宅と、牛関御殿とまではいかないと思いますけれども、そんなものなんじゃないかというふうに思っています。  民主党政権の方で、独立行政法人の宿舎が問題となり、売却していこうという方針が打ち出されましたが、この機構は今後四年間でたった二戸を売却するということだそうです。大臣、この牛関宿舎ですね、職員宿舎というのは本当にどうかと思っているんですが、例えば即刻全戸を売却という方針を打ち出せないものなのかどうか、御意見をいただきたいと思います。
  107. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 独立行政法人の職員の宿舎については、独立行政法人の職員宿舎の見直しに関する実施計画、これは平成二十四年十二月十四日に行政改革大臣により見直しを行うこととされております。職員宿舎につきましては、転勤などをしなくてはならない職員、政府と連携して迅速な対応が求められ、緊急参集する必要がある職員等について精査をされて、機構については、平成二十九年度末を目安に、保有宿舎四十一戸のうち、先ほどお話しいただきましたとおり、二戸を廃止することとしたところでございます。  宿舎については、法人の業務内容や人員配置の変化等も踏まえつつ、今後とも適切に検討してまいりたいと思っております。  なお、実施計画に基づき、宿舎の見直し状況については毎年主務大臣に報告をすることとされているところでございます。
  108. 山田太郎

    山田太郎君 四人に職員が一人を持っている宿舎というのはどうなのかなというふうに思っておりますけれども。  次には、この法人が抱えますちょっと埋蔵金の問題についてお伺いしたいと思っています。  この法人の貸借対照表を拝見させていただきましたら、資料五ページになりますけれども、平成二十三年度末、調整資金という名前で七百七十億円、畜産業振興資金で一千八百四十七億円、計二千六百億円という大金が積み上げられております。この基金は、毎年の余剰金を積み立てた後、会計検査院が、この法人から交付金を支出した公益法人が積み立てたお金を回収したということになっておりまして、国庫に返納しなさいというのが会計検査院の指摘でありましたが、実は国庫には返されずに法人の基金として保管されているということになっています。まさにこの基金、言ってみれば牛関基金ということでありまして、この二千六百億円というのは大変な金額だと思っています。  農林水産省の担当の方に本件に関して伺いましたところ、このお金は将来の政策的経費として取ってあるんですということになりましたが、予算の単年度主義の建前からしますとどうなのかと。ややもすると、もしかしたらTPPによって牛肉関税が廃止されたときにこの基金が独立行政法人の当面の生活費になるのではないかというような勘ぐられる方もいるんじゃないかというふうに大変危惧しております。  この二千六百億円の基金はすぐに国庫に返納すべきだというふうに考えておりますが、政治的な問題ですので、大臣どのようにお考えか、是非考えをお聞かせください。
  109. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 畜産経営というのは日常的に多額の運転資金が必要な一方で、口蹄疫やBSE等の悪性伝染病の発生、飼料価格の高騰や枝肉価格の大幅な変動などの潜在的なリスクを抱えているところであります。こうした不測の事態に迅速かつ適切に対応しなければ経営中止が多発して、畜産業全体の地域経済に甚大な悪影響を与えるのではないかと思っております。このために、農畜産業振興機構が保有資金を財源として経営支援対策等の緊急対策を機動的に実施することによって危機的な状況を乗り越えてきたところであると御理解をいただきたいと思っております。  これまでも緊急事態に際し、年度途中において数百億円規模の緊急対策が必要であったこと等を考えますれば、機構がある程度の財源を保有をしていくことは必要だと、このように思っているところでございます。  以上です。
  110. 山田太郎

    山田太郎君 その点も官僚の方にお伺いしましたところ、二千六百億円のうち、実際に資金の手当てとして必要だということは一千二百億円、一方で一千四百億円がそういう意味で基金にプールされているということを発言でいただきました。  BSEの対策等、過去緊急に掛かった最上限のお金は約八百億円だったということで、計算をすると、であれば、例えば四百億円でも是非国庫の方に返納するとか、是非、今財政が逼迫した状況でありますので、全てこのお金がゼロということではないと思うんですけれども、少しこの部分の基金の見直しをしたらどうかということを是非意見いただきたいんですけれども、いかがでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  111. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 企業経営者としてよくお調べになってということだと思いますが、今、副大臣から答弁いたしましたように、過去、今お話のあった保有資金ベースで八百三十億円というのが十三年度のBSEの発生でございます。それから、口蹄疫の発生が百五十億円ということでございますが、これはあくまでそういう事案があったということで、今から将来これを上回ることが必ずないというふうになかなか言えないところもあるんではないかというふうに思います。  したがって、先ほど冒頭で不要不急のもの、宿舎のお話がございましたが、行革とかそういうことをみんなで話をして閣議決定をして、なるべく不要不急のものは返していくなり処分をするなりしていくということは別途政府全体としてはやらなければならないということで、十二月十四日の決定、これは政権交代の前でございますが、それに従ってやっていくということでございます。  したがって、我々としてはそういう立場でございますので、しっかりとこういうものをある意味では積み立てておいて、先ほど来いろんな御議論があったように、安心につながるという部分も実はあるんでございます。したがって、いろんな御指摘を踏まえながら対応を適切にやってまいりたいと思っております。
  112. 山田太郎

    山田太郎君 最後になりますけれども、牛肉の関税が独立行政法人に交付されまして、役人の天下りとか職員の高い給料、これは資料の二ページ、三ページを見ていただいても明らかなんですけれども、職員の住宅の財源になっていたりとか、この牛肉の関税、二千六百億円の基金として積み上げられているということはちょっと継続して考えていきたいなと思っております。  このままでは、自民党あるいは大臣聖域なき関税撤廃反対という、TPPの件ですけれども、これ、大臣が守られているのは農家じゃなくて農水省の権益ではないかと、こういうふうに疑ってしまうところもありますので、是非この問題引き続き改革のメスを入れていただいて、是非農業を守る、農家現場を守るという形に税金を大切に使っていただきたいと、こういうふうに考えております。  ありがとうございました。
  113. 平山幸司

    ○平山幸司君 青森県選出の平山幸司です。  先ほどの大臣挨拶でも、現場立場に立ってというお話がございました。私も同じように、青森県から選出された全国畜産農業協同組合連合会の山内正孝会長を始め、元全国農協中谷副会長、そのほか地元の現場の農林漁業に携わる多くの皆さんにも話を聞いて、現在の農林水産問題全般に関し、意見交換をさせていただいております。  その中で五点ほど重要なテーマが話題になりました。  まず一点目は、牛の白血病に関する問題。そして二点目、輸入牛肉緩和問題、この委員会でも今取り上げられております。三点目、幅広く農業者の評価を得ている戸別所得補償制度継続への不安の問題。四点目、昨年に続き、連続で続く今冬の豪雪に対する農林水産物への影響の問題。そして五点目、畜産物はもちろんのこと、農業及び幅広い分野に大きな影響を与えるTPP交渉参加の問題。このいずれも食料自給率、そして食料安全保障、さらには食の安心、安全、営農意欲の向上、多面的機能等々という観点から非常に重要なテーマであると思いますし、深く議論してこの問題を乗り越えていく必要があると、こう考えております。  そこで、先ほど来議論にある、今日は畜産物価格及び農林水産業に大きな影響を与え、先ほど来の議論にもあるTPPについて、特に、近い将来政府が何らかの決断を迫られることに対し、農家を最も不安にさせているTPP交渉参加、ここに農業者が未来に希望が持てるためにも、TPPに対する政府大臣考え方を明確にさせていただきたいと思います。  中身といたしましては四点ですね。TPP交渉参加に対する自民党政権立場。二点目、大臣のこれに対する覚悟、非常に大切です。三点目、判断基準の明確化。そして四点目、判断時期。このことについて明確にして、農業者を安心させるという観点から質問をさせていただきたいと思います。  まず大臣に、TPP交渉参加対応に関して前政権自民党政権でその対応の違い、これを簡潔に明確に、農業者が分かりやすいようにお答えいただきたいと思います。お願いいたします。
  114. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  まず、自民党、また我々の政権ということですが、自公政権ということですが、これはもう繰り返し先ほどからお話を申し上げてまいりましたように、聖域なき関税撤廃前提にする限り交渉参加反対というのが基本的な考え方であり、私もこれをしっかりと堅持をしてまいりたいというふうに思っております。  その上で、前政権とどういうふうに違うのかということでございますが、前政権ということになりますと、前任者の大臣もここにおられますので、むしろ前任者にお聞きをして我々との違いを御理解いただいた方がより正確かと思いますけれども、私の承知する範囲で申し上げますれば、前政権の下ではTPPについて関係国との協議を進めるということで、ベトナム、ブルネイ、ペルー、チリ、シンガポール及びマレーシア、この六か国からは基本的な支持が得られたと。米国、豪州とニュージーランドの三か国からは更なる協議が必要とされているところというところは承知をしているところでございます。  我々のスタンスは先ほど申し上げたとおりでございます。
  115. 平山幸司

    ○平山幸司君 ありがとうございます。  聖域なき関税撤廃に対しては反対と、これを前提にするのでは反対というお話です。よく分かります。  前大臣郡司大臣もいらっしゃいます。覚悟としてしっかりと農林水産大臣としてここでお示しいただきたいのは、前政権で、引継ぎもしたと、その内容も継承したというお話もありました。そういった意味で農業者が不安になっているというのは、農業者を守ると、農業者立場に立つだけではなく守るという視点なんです。ここを大臣に、農業者を守るという立場をしっかりと明言していただきたいと思います。前大臣郡司大臣もしっかりと守りました。元大臣の鹿野大臣も守りました。私もある意味で体を張って守ったつもりであります。そういった意味で、そこは明言をいただけますか。
  116. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  この農林水産大臣、先ほどから御議論がありますように、所管をしております農家の方、また林、水に携わる方、こういう方々現場意見を聞いてしっかりやると、こういうふうに申し上げたところでございます。  したがって、その方針に従って現場の声をしっかり重視して、現場の声がきちっと反映された形で先ほどの申し上げた基本的な考え方、これを堅持してまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  117. 平山幸司

    ○平山幸司君 大臣、今のお話ですと、現場の声を重視してということです。これでは私は不十分だと思うんですね。明言できないということであれば、この聖域なき関税撤廃ということを前提とするものであれば参加できないという考え方聖域というところもこの後少し突っ込みたいと思いますけれども、まず覚悟としてやはり大臣是非もう一度、私も実はある意味本来はそちらに座っていてもよかったわけでありますけれども、農業者立場に立って戸別所得補償も実現して、昨年は与党でありました。  しかし、野田総理TPP交渉参加に向けて前向きに協議に入ると表明して、国民の声を聞かずして参加表明に踏み切るのではないかと非常に緊張感があった時期もあったわけであります。そして、私自身はその際、JAのTPP交渉参加阻止の集会で、現青森県の中央会の会長から、当時の与党議員として、ああ、平山、体を張ってでも、ここは離党してでも参加阻止しろという檄もいただいた経緯があります。  私、農業高校の出身でもありますし、農林水産業が基幹産業である青森県選出の議員としてここはやっぱり信念を貫いてしっかりと、その立場に立ったときに体を張ってでも阻止をしなければいけないということで今の立場があるということでありまして、大臣には、交渉参加に前のめりになった際は、政府が前のめりになった際は是非とも体を張って、農林水産大臣として、これまで前大臣、元大臣もやってきたように、ある意味で職を賭してでもというこの覚悟を持って、農業者立場を守るとしっかりと言っていただきたいんですけれども、もう一度お願いします。
  118. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  先ほどどなたかの御質問にお答えしたように、実は昨年の三月九日に、我が党、口頭でいろいろやりますと言葉の端々でニュアンスが変わってしまうことがあってはならないということで、文書にして党の見解をまとめようということでまとめさせていただきました。それが政権公約になり、先ほど私が申し上げたこの自公政権の基本的スタンスということでございます。  したがって、今先生がおっしゃいましたように、聖域なき関税撤廃前提にする限り交渉参加反対する、これと違ったようなことが出てくれば体を張って阻止をしてまいりたいと、こういうふうに思います。
  119. 平山幸司

    ○平山幸司君 そこに聖域なき関税撤廃の意味と違ったことが出てくれば、それは体を張って守ると。ある意味で非常に力強い言葉とも取れますけれども、この聖域という言葉、これがイコール判断基準と言ってもいいと思うんですけれども、ここが明確になっていない、今分からないというのが正直なところだと思うんです。よって、農家は不安になっているわけです。地元でも、青森県でも本当にどうなるんだと、何が違うんだという声があります。  先日、先ほど来話がありましたルース駐日大使と会談された際の報道の話も、この聖域なき関税撤廃という取りまとめは大臣が行ったという、小委員長として取りまとめたということであります。御自身で作られたということであれば、聖域の中身はしっかりと明らかにできると思うんですね。もしこれが明らかにできないというものであれば、それはいいかげんなものだというふうにとらえられるわけであります。  よって、この判断基準でもありますこの聖域という具体的なものを示さなければ、このことについては一つも前に進まないと、いつまでたってもどうなんだという、後ほど、この後、時期の話もやりたいと思いますけれども、そういうことになってしまうわけであります。  一部では、この聖域と言われるものは、いわゆる米の関税化、米さえ守れればTPP参加するのではないかという観測であったり、若しくは、TPPはあらゆる分野に及ぶわけですけれども、米か、それとも少なくとも農林水産物全体なのかというところ、ここを大臣に、この聖域に関して具体的に分かりやすく、明確にちょっと答弁いただきたいんです。
  120. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  実は、午前中の衆議院でも同種の御議論をさせていただいたところでございますが、やはり文書にすることが大切だなと思いますのは、文書の方をもしお入り用であれば後ほど差し上げることはできると思いますが、この聖域なき関税撤廃という八文字に括弧が掛かっております。「「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、」と、こうなっておりまして、要するに、交渉参加の前段階から聖域なき関税撤廃ということが参加前提であるということであれば、今まで我々ずっとやってきました類似のFTA、EPAとは全く質を異にするということにならざるを得ないわけでございますから、そういうものがそもそも交渉参加前提になっているということであれば反対であると、こういう意味で申し上げておるわけでございます。  したがって、この聖域そのものについて、これが入るのか、あれが入らないのかという議論をすること自体が大変に御懸念を招くことでもありますし、じゃ、それがいいと言えばいいのかという、逆に相手に対する誤ったメッセージを出すことにもなろうかと、こういうふうに思いますので、あくまで聖域なき関税撤廃がワンワードで、それが前提になっている限りはそこから前に進まないと、こういう趣旨で御理解いただいたらというふうに思います。
  121. 平山幸司

    ○平山幸司君 時間になりましたので、ちょっとこれ以上進むことはできないと思うんです。  また次の委員会でも積み上げていきたいと思うんですが、この聖域なきというワンワード、関税撤廃というワンワードが前提となっているということですけれども、相手がある話なのでもちろん大切だと思うんですけれども、一方で我が国家の農業者もいるわけであります。その人たちが今後どういうふうになるのかということを非常に心配しているわけですね。  先ほども、御党からの話でも、断固阻止ということもこの委員会でも話があったわけであります。私もそういう立場であります。よって、この聖域なき関税撤廃TPP交渉参加、これには断固反対をして、何としても農林水産業を守るという立場に立って、強い覚悟を持ってこれからも質問に立たせていただきますし、大臣にも強く要望させていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思いますが、最後に、大臣のもう一度決意のほどをお願いします。
  122. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  この問題は非常にまだ、この紙の最初にも書かせていただいておりますが、国民の理解を得るための情報がまだ不足しておるということも申し上げております。したがって、どなたかの御質問でもお答えしたように、その情報を更に提供したり、試算を作ることをしたりしたいと思いますが、大事なことは、今お答えしたように、ここの条件が一番大事なところでございますので、しっかりと堅持してまいりたいと、こういうふうに思います。
  123. 平山幸司

    ○平山幸司君 終わります。ありがとうございました。
  124. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今日の最後の北海道出身の質問者ということになります。どうぞよろしくお願いいたします。  今日、林大臣に初めて質問するわけですけれども、畜産問題ですけれども、まずちょっと冒頭触れておきたいことがあります。  それは、二十二日、先日ですね、厚生労働省がBSEの対策の見直しということで、米国産の牛肉の輸入規制について、二月一日にも緩和の方針を明らかにしているわけですけれども、これは昨年開かれた食品安全委員会の場においても委員からもいろいろ意見が出されていたと。特に、口から餌を食べてなるBSE、これとはまた違う非定型タイプのBSEというものの発生が発見されているわけですよね。これは発生のその経路というのが分からないです、定かじゃないわけです。しかも、若い牛に発生していると。  国内でも、この間、全頭検査の中で二十三か月齢というのもあったり、諸外国においては二十か月齢とか、若い牛において発生しているということで、そういうものがある以上は、やっぱり数が少ないといっても、それがもし回ってそれを食べたときに発生につながるということを考えるならば、慎重の上にも慎重を期す必要があるんだという御意見が出されていましたし、その後のパブリックコメントにおいても多くの方からいろいろ批判や意見が上がっていたということを考えるならば、この二月にもこれを進めるということ自体重大な問題だというように思っていまして、今日はちょっとこの場ではやりませんけれども、回答はいただかないですけれども、また違う場で是非問題にして、厚生労働じゃなくて農水省の角度からの問題というのもあると思いますので、是非取り上げていきたいということを最初に申し上げておきたいと思います。  それでなんですけれども、二十二日に私ども日本共産党の国会議員団として、林大臣あての畜産、酪農問題に対する申入れをさせていただきました。  それで、その中で、まず最初の一項目めで触れたのがTPPの問題です。大臣も御承知のとおり、関税撤廃が原則と。このTPPに加入することになると、乳製品の関税が撤廃ということになってオーストラリア、ニュージーランドなどからの大量の乳製品が輸入されて大きな影響を受けることになると。当然、日本の加工原料乳の生産が成り立たなくなるということは明らかで、それは農水省も認めていることだと思います。だからこそ、全国で酪農、畜産の農家皆さんがこぞって反対に立ち上がっているわけです。  しかし、当時、民主党野田総理のときにこのTPP参加に前のめりになっていたために、その姿勢を見て、いや、これだったら営農は続けられないんじゃないかと不安が広がって、それが離農につながっているということがあるわけで、先ほど来いろいろ紹介されていますけれども、北海道においても一年間で二百五十戸を超える離農、その中には、必ずしも経営が大変だという人だけじゃなくて、若くてこれから担い手になっていくという一定の、何というか有望視されている人までこの先の見通しが立たないということで離農するという事態があるわけです。  ですから、日本酪農全体にとっても大変なこれ損失だというふうに思うわけで、まずこの点で、林大臣のこういう現状についてのどのような御認識をお持ちかということをお聞きしたいと思います。
  125. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  本当に皆さん北海道なんだなということでございますが、大変本質的な紙委員からのお話を賜ったというふうに思っております。  遠慮という言葉が、我々は一般的に使っておりますが、そもそもの語源は、遠きにおもんばかりなければ近きに憂いありと、こういうものが最初の語源だったそうでございまして、まさに今委員が御指摘になったように、先の見通しがやっぱりあるということが、翻って足下に憂いがなくなる、こういうことを指している大事な言葉だといつも拳々服膺しておるわけでございますが、やっぱりそういった大きな中長期的なフレームワークというものをきっちりと示していくというのが我々の大きな役割だと、こういうふうに思っておるところでございます。  したがって、TPPについては、先ほど平山先生とも御議論させていただきましたけれども、聖域なき関税撤廃前提にする限り交渉参加には反対であるという基本的な考え方を堅持してまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  126. 紙智子

    ○紙智子君 自民党さんが昨年の総選挙に当たって、TPPについては聖域なき関税撤廃なら参加反対だということを訴えられて、言わば支持を得て政権に戻られたわけですけれども、ところが、その政権の中での閣僚の中で、例えば高市政調会長は、交渉参加しながら条件が合わなかったら脱退する選択肢もゼロではないというふうな言い方で交渉参加もあり得るとの認識を示したことがありましたし、それから安倍総理も選挙前に日本商工会議所との会談の中で、我々は日米同盟関係にふさわしいTPP交渉の仕方ができるんだということを発言をされている。交渉参加に前向きというふうに取られる姿勢を示しているわけです。  一方、林大臣は、報道によりますと、BS朝日の収録で、TPP参加表明は七月の参議院選挙前は厳しいという見通しをルース駐日大使に伝えたということがされているわけです。それからまた、TPPについては貸切りバスだということで、日本が入らないとバスは出ないというふうに述べたというふうに伝えられていますけれども、この発言は、受け取りようによってはバスを出す、TPPを出発させる、そのためには日本が入らないと出ないということになるわけですよね。まさに、そうすると参加前提になっているんじゃないのかと。今は急がないけれども、いずれはやっぱり乗っていかなきゃいけないんじゃないかというふうにお考えなんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  127. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。  ちょっとバスは例えが悪かったかなと反省をしておりますが、私が申し上げたかった趣旨は、こちらがもう何か非常に小さな存在で、とにかく入らないと大変なことになる、乗り遅れるぞという御議論があったような感じであったので、そうではなくて、我々は、例えばGDP比で見ても大きな割合があるので、自信を持って、これは一般論として、そういうものに向き合っていくべきだというようなつもりで述べたわけでございますが、最初から貸切りバスだから乗るんじゃないかというような懸念があったとすれば、それはもう全く私の意図するところではございませんし、まあ、あえて言えば貸切りバスは注文しなければ来ませんので、逆に言えば。  したがって、そういう例え話であれこれ言うつもりはございませんけれども、先ほど申し上げた聖域なき関税撤廃前提にする限り交渉参加反対と。いろんな報道等、また対談等で、一字一句そろえるとなかなか大人数では難しいところがあるだろうということもあって実は党として文書でまとめさせていただいたということでございますので、この文書をしっかりと踏まえてこの基本的な考え方を堅持してまいりたいと、こういうふうに思います。
  128. 紙智子

    ○紙智子君 注文しないこともあり得ると、あるいは貸切りバスに乗らない選択もあるというふうにお答えになったかなというふうにとらえてよろしいですか。よろしいですか。
  129. 林芳正

    国務大臣林芳正君) そういうことでございます。注文というか、貸切りバスというのは、実は我が実家は少しそういうところに近い会社もあるのでございますが、そもそも相対で発注をしなければ貸切りバスというものはないわけでございますので、注文をするという行為があって初めて貸切りバスが来るわけでございますので、そういった意味では、貸切りバスというのは、まず注文するかしないかというものがあるという意味で申し上げました。
  130. 紙智子

    ○紙智子君 それでは次に、今回の乳価の問題についてお聞きしたいと思います。  申入れの中でも触れているんですけれども、配合飼料価格が昨年来の国際価格の高騰で値上げをされまして、もう既に酪農、畜産経営に打撃を与えていると。それに加え、今日もいろいろ出されていましたけれども、アベノミクスによる政策的な円安誘導ということで、配合飼料価格がこれからも継続的に引き上げられていく可能性が高いと。  乳価を算定するときには過去三年間の平均のコストで計算するわけですけれども、それだけでやられたらとても経営的には守れないと。政府の政策責任でこのアベノミクスを推進するということですから、円安誘導による経営打撃にならないような乳価の算定をすべきだと。さっき算定のやり方は決まっているという話があったんですけれども、やっぱりそれをきっちりと反映させる形でやっていかなければ、本当にこれまでの範囲を超えて経営がもたないということになりかねないというように思うんですけれども、これについて大臣の御見解、伺いたいと思います。
  131. 稲津久

    大臣政務官稲津久君) 私の方から答弁をさせていただきます。  先般、紙委員始め日本共産党の皆さんからこのことについての御要請をいただきました。紙委員、実際に生産現場を歩く中で、様々なお声、御要望、要請等を受けての御質問ということで受け止めております。  その上で、先ほど来からこの補給金の単価についての質疑がされておりますけれども、原則的な話で大変恐縮でございますが、平成二十五年度の加工原料乳生産者補給金単価について、これは、今御指摘のとおり、算定ルールにのっとりまして、配合飼料価格等の生産コストの変化、これも適正に反映をさせていただいて算定をし、食料・農業・農村政策審議会の意見をお聞きしまして適切に決定をしてまいりたいと考えております。
  132. 紙智子

    ○紙智子君 そういう範囲でしかお答えにならないのかなと思うんですけれども、実際に一円円安で、さっきもトン当たり三百円配合飼料でいうとアップするという話がありました。先日、北海道の酪農家の方で大体百頭近い牛を飼っている、北海道で百頭ぐらいというと小さな方の規模なんですけれども、その規模農家の方で、そうなると年間当たり大体百二十万から百五十万ぐらいの上乗せというか持ち出しになるということなんですね。  ですから、そうなると、それが飼料分だけでそうですから、あと燃油だとかいろんなことを足しますともっと更に上乗せされて経営は非常に大変になるし、後継者に対しても払うお金がなくなるということも含めて非常に痛切にこういう実態があるんだという話が言われているわけで、是非これ、大幅な補填、乳価ですね、乳価の問題でいいますと、価格を、単価を切り上げていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それから、もう一つ、配合飼料価格の高騰でもって、この配合飼料価格の安定基金の財源、これも先ほども出されていたんですけれども、改めてちょっと確認をさせていただきたいと。  財源不足になりかねない状況というのが心配されているという中で、政府の責任でこの財源措置をすべきではないかということについて、先ほどもありましたけれども、もう一度お願いいたします。
  133. 加治屋義人

    ○副大臣加治屋義人君) 簡潔に申し上げますが、今後の価格見通しにつきましては大変予断ができない状況にあると思っております。引き続き本制度を適切に運用して畜産経営の安定をしっかり図っていきたいと、そのように思っております。
  134. 紙智子

    ○紙智子君 先ほど幾つか、今取られている対策のお話もありました。  今年、トウモロコシの国際価格の高騰に起因して配合飼料が高くなっているということで、いろいろ一覧表なんかも、資料も私たちの手元にも寄せていただいているんですけれども、それでずっと見ていきますと、四千七百五十円も値上げされている状況になっていると。それで、灯油とか軽油なんかも高止まりということの中で、やっぱり生産者にとってはもう本当に死活問題ということだと思うんですね。ですから、そういう不安のないように、是非、いろいろ今、手当てはしているということなんですけれども、状況を見ながら、不測の事態にならないようにしていただきたいということを併せて重ねてお願いをしておきたいと思います。  それから、最後になりますけれども、放射能物質による酪農、畜産への影響という問題です。  これは、万全な検査体制の構築というのは言うまでもないんですけれども、稲わらの汚染ですね、汚染稲わら、それから汚染堆肥、汚染牧草、この処分を早急に行っていくということ、それから、牧草地を除染するということで今やっているわけですけれども、それによって安全な農畜産物の生産を確立すべきなわけですけれども、今どのように手を打たれているのかということと、それから、併せて東電による賠償もより迅速に行われるように東電への指導を強化すべきだというふうに思うんです。  以上の問題について是非明確に答えていただきたいと思います。
  135. 稲津久

    大臣政務官稲津久君) お答えいたします。  まず、東日本大震災からの復旧復興については、総理から、閣僚全員が復興大臣であると、こういう意識を共有して取り組む旨の指示がございまして、農林水産省におきましても、林大臣の下、一丸となってこの復興に取り組んでいるということを申し上げさせていただきたいと思います。  少し具体的なことについて触れさせていただきたいと思いますけれども、まずしっかり関係省庁と連携をした上で、例えば検査計画の策定の支援、また機器の整備の助成、それから食品中の放射性物質の検査体制の強化、それから原発事故連絡会議等を通じた東京電力による適切かつ迅速な賠償の促進、それから今御指摘のありました汚染稲わら等の隔離一時保管、それから円滑な処理の推進、さらに、農地、森林の効果的、効率的除染に向けた技術開発の実証、こうしたことに今取り組んでいるところでございます。  引き続き、現場状況、この把握に努めながら、各種の取組が着実に進展するよう関係省庁また東京電力、働きかけを含め、特にスピード感を持って対応してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  136. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと、今の答弁だと余りにもちょっと簡単過ぎて、現場にとっては非常に大きな不安の中で繰り返し現場でも交渉しているわけです。  例えば、東電との関係でいっても、私たちが申し入れて聞きますと、いや、請求されたものについては八割方、今、支払が進んでいると、こういう話で回答が返るんですけれども、あくまでもこれは東電が支払われるというふうに言ったものに対して八割今支払っただけであって、風評被害も含めてもっともっと広い範囲に及んでいるわけですよ。  それで、いつも出てくるのが、相当因果関係が……
  137. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 時間が過ぎておりますので、質疑をおまとめ願います。
  138. 紙智子

    ○紙智子君 はっきりしたものというのになるわけで、それにかかわるものも含めて広範囲にわたっているというところをしっかりと受け取って補償するということで、是非手だてをしっかり打っていただきたいということを申し上げまして、質問といたします。  ありがとうございました。
  139. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  岩本君から発言を求められておりますので、これを許します。岩本司君。
  140. 岩本司

    ○岩本司君 私は、民主党新緑風会、自由民主党・無所属の会、公明党及び生活の党の各派共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する決議(案)   我が国の畜産・酪農経営は、配合飼料価格の高騰、畜産物の消費と価格の低迷、東京電力株式会社の原発事故に伴う風評被害など、これまでにない厳しい環境下にある。特に、配合飼料については、為替相場の円安傾向を背景に今後更なる価格の上昇が懸念されており、畜産・酪農経営の将来展望を一層困難なものとしている。   よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成二十五年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 加工原料乳生産者補給金単価については、生産者の努力が報われ、意欲を持って営農に取り組めるよう、飼料価格の高騰等に十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。加工原料乳限度数量については、生乳の安定供給を確保するとともに、生産意欲の増大を図るため、適切に決定すること。    また、後継者の確保、酪農ヘルパーへの支援など生産基盤の強化を図るとともに、国産チーズの生産を拡大するための対策を講ずること。  二 牛肉・豚肉の安定価格及び肉用子牛の保証基準価格等については、畜産農家の経営安定に資するよう、需給動向、価格の推移、飼料価格の高騰等に十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。  三 畜産・酪農の経営安定対策については、畜種別・地域別・経営体ごとの特性に対応し、十分な所得を確保できる実効ある制度として確立するため、その見直しについて検討を進めること。  四 配合飼料価格安定制度については、今後とも畜産・酪農経営の安定に寄与するよう補填財源の確保など十全の措置を講ずるとともに、配合飼料価格が高止まりする中、農家負担の軽減を図る観点から、制度の見直しについて検討を行うこと。  五 飼料の輸入依存体質を転換し、国産飼料に立脚した畜産・酪農を確立する観点から、飼料用米・稲発酵粗飼料・稲わら・エコフィードの利用拡大、水田・耕作放棄地への放牧等の耕畜連携を強力に推進するとともに、草地更新や品種改善など国産飼料の生産基盤対策を充実・強化すること。  六 原発事故に伴う放射性物質により汚染された牧草地の除染対策と汚染された稲わら、牧草及び堆肥の処理を迅速に進めること。    また、原発事故に係る風評被害対策に徹底して取り組むとともに、東京電力による損害賠償が迅速かつ適切に行われるよう措置すること。  七 地産地消や食育の取組を進め、国産畜産物の消費拡大を推進するとともに、諸外国に向けた国産畜産物の信頼回復等輸出促進対策を強化すること。  八 BSEに係る輸入牛肉の規制緩和に当たっては、科学的知見に基づいた検証を十分に行い、消費者の理解を得られるよう努めること。  九 EPA交渉及びTPP交渉参加に向けた関係国との協議に当たっては、我が国の畜産・酪農が今後とも安定的に発展できるよう、平成十八年十二月の本委員会の「日豪EPAの交渉開始に関する決議」及び平成二十三年十二月の本委員会の「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に向けた関係国との協議に関する決議」を十分に踏まえて臨むこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。
  141. 中谷智司

    委員長中谷智司君) ただいまの岩本君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  142. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、林農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林農林水産大臣
  143. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
  144. 中谷智司

    委員長中谷智司君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十五分散会